運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-08-03 第16回国会 参議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月三日(月曜日)    午後二時五分開会   —————————————   委員の異動 七月二十九日委員松浦清一辞任につ き、その補欠として片岡文重君を議長 において指名した。 七月三十一日委員片岡友重辞任につ き、その補欠として松浦清一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            松浦 清一君            菊田 七平君   委員外議員            成瀬 幡治君   政府委員    調達庁不動産部    長       山中 一朗君    水産庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    外務省アジア局    第二課長    竹内 春海君    外務省国際協力    局第三課長   安川  壮君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (報告書に関する件)  (内灘試射場に関する件)  (博多湾水上飛行機発着に関する  件)  (北海道大島演習地に関する件)  (門別演習地に関する件)  (竹島に関する件) ○継続調査要求の件   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から開会いたします。  先ず第一に調査報告書及び継続調査要求に関する件を議題に供します。  お諮り申上げます。今期国会調査いたしました水産政策に関する調査事件未了報告書議長宛提出いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」とり呼ぶ者あり〕
  3. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めましてさように決定いたします。  つきましては、その案文及び提出等委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。  なおこの報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、この際順次御署名をお願い申上げます。   多数意見者署名     秋山俊一郎  青山 正一     菊田 七平  松浦 清一     野田 俊作  森 八三一   —————————————
  5. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 次に、本件を閉会中も継続して調査したいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  6. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。それでは私より議長宛本件継続調査要求書を提出いたしたいと思います。
  7. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 次に、本日の議題になつておりまする竹島に関する件、門別演習地に関する件、博多湾水上飛行機発着に関する件の議題でございまするが、本議題につきましては、陳情請願書等が本委員会にも参つておりましたが、同時に参議院外務委員会にも廻つておりましたところ、この問題は特に外務委員会関係する部面が非常に多いということで、外務委員会におきましては、こういう演習地その他の基地問題につきましての請願陳情は、すべてすでに採択すべきものと決定いたしておるようでございまするので、一応本委員会ではそれにつきまして了承いたしたいと思います。なおこれらの問題につきまして、特に外務省、それから水産庁調達庁等質疑がありますれば、この際お聞きいたしたいと思います。今日は清井水産庁長官も見えられておりますし、外務省国際協力局安川第三課長も見えられております。調達庁も直ぐ参られますから、御質疑があればこの際お願いしたいと思います。
  8. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 竹島の問題について外務当局の見解をお伺いしたいのですが。
  9. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 秋山委員に申上げます。只今竹島の問題につきましては、これはアジア局の所管になつておるようでございまして、今アジア局のほうから係官が見えられるようでございまするから、それまでお待も願いたいと思います。
  10. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それではアジア局係官が見えるまでの間水産庁長官お尋ねいたします。竹島は我々日本人としては、勿論何らの疑念もなく日本領土であるということはもう古くから承知しているところなのでありまして、漁業権設定等につきましても、島根県知事の権限において漁業権設定し又農林大臣も同様の処置をしているはずでありますが、それが突如として韓国の領域であるといつたようなことで、あそこに日本の船舶、漁民を寄せ付けない、殊に接近したものに対して銃撃を加える等の暴行があるということは誠に驚くべきことでありまして国民ひとしく、これは一体日本政府はどういう措置をとつておるかということを非常に注視しているのでありますが、過般日本巡視艇があそこで銃撃を受けた、その後日本政府としてはどういう処置をとつているか、殊に水産関係ではその後何らかの報告なり措置があつたかどうか、その点清井水産庁長官から御説明を願いたいと思います。
  11. 清井正

    政府委員清井正君) 只今竹島の問題について御質問があつたのでありますが、この点はこれは竹島領土とし、て所属の問題につきましては、お話通り実に明らかな問題でありまして、何ら韓国から言いがかりを受ける筋合のないことは御承知通りだろうと思います。私ども竹島の問題につきましては以前より注意を払つてつたのでございますが、たまたま同島講和条約発効後も演習地域になつておるような関係もございまして、暫らく日本漁船なり調査船等が行く機会がなかつたのでございますが、その後解除になりましたので、早速島根県の巡視船同島に参りまして、お話のような事態を発見するに至りまた。その後いろいろとたびたび折衝を重ねたのでございますが、極く最近におきましては、特に海上保安庁巡視艇銃撃を受けたというような事態が起りまして、外務省よりすでに七月の十三日、本問題に対して厳重なる抗議韓国に対して発しているのであります。同関係島根県庁といたしましても、「いるか」の漁業許可とか、或いは共同漁業権免許等をいたしておるようでありますが、未だ実際に漁業権設定までに至つていなかつたのであります。単にこの問題は地域的な問題でなしに大きな国家的な問題といたしまして、単に漁業の見地からのみでこれは解決すべきものでないことは又当然でありまするが、私ども水産関係の者といたしましても、本問題が円滑に解決いたしまして、我が国の漁民同島周辺において安心して漁業権或いは許可漁業権に基いて漁業ができるようにいたしたいというふうに考えておるわけであります。事務的には従前からも海上保安庁或いは外務省とも折衝を重ねておる次第であります。先ほど申上げました通り外務省からは七月十三日に厳重なる抗議を発して以後、その後の措置についてはまだ何ら聞いていない次第であります。
  12. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産庁といたしましては、事、外交関係にかかわる問題でありますから、直接折衝ができないことでありまして、恐らく交渉の状態或いは今後のとるべき措置についてはお答えは困難だと思いますので、アジア局から担当の人を至急呼んで頂きたい。そうして改めて私は質問いたしたいと思います。
  13. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  14. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。それじや私から安川課長ちよつとお尋ねいたしますが、その後の内灘接収の問題はどんなようになつておりますですか、ちよつと現況をお知らせ頂きたい。
  15. 安川壮

    説明員安川壮君) 内灘の問題について申上げます。現地状況は御承知のように六月十五日に使用を再開いたしましたときには、試射場区域に入つております民有地一般権現の森と称せられておりますが、そこは民有地であります関係上、除外いたしまして、その他の国有地のみを使用するという条件で使用を再開したわけであります。と申しますことは、権現の森はかなり北のほうに寄つておりますので、試射射程民有地である権現の森まで到達しない範囲で射つ、そうすれば当座は民有地使用しなくても試射支障を来たさないということで始めたわけであります。そうしてその状況が現在まで続いておるわけであります。現在としましては、民有地を除いても一応試射そのものには支障を来たすことはないという状況であります。他方民有地は勿論国有地を含めました試射場設置そのものに対して、現地のほうで依然として反対態度が続けられておりまして、この問題がまだ解決しておらないということは御承知通りでございます。そこで現在は試射民有地射程が延びない範囲に限定してやつておるわけでありますが、米軍としましては、時期はいつになるかわかりませんが、遅かれ早かれ供給される弾の種類によりまして、どうしても射程を先まで延ばさなければならない事態になるのであります。その時期はまだ確定しておりませんが、いずれはそういう時期が来るということで、従つてその時期には現在の民有地試射場として接収する必要が起つて来るわけでありますけれども、この状況最初内灘試射場として決定した当時とちつとも情勢は変つておらないのでありまして、政府としましては飽くまで当初の計画通り、あの地域全体を試射場として使用するという方針には変りないのであります。一方現地のほうで非常に強い反対が依然として行われておることは重々承知しておるのでありますが、政府としましては、今後どうしても試射場として使用しなければならんという事態は依然として変つておりませんので、如何に現地と話を行けるかということで現在苦心しておるわけであります。それで随時直接現地の村とは交渉しておりませんけれども、県当局を通じ、或いは現地警察等より現地状況は随時情報を聴取しております。そこで最初申上げました通り、この試射場として使用するということの方針自体は、現在のところ政府としてどうしても曲げることはできないのでありまして、どうして現地と話を付けるかという点につきましては、何とか試射そのものは、あそこを試射場として使用すること自体はどうしても変更できないにしても、その試射そのもの支障のない範囲で何とか現地住民希望を多少でも容れて、希望に副う線が出て来はしないかということを目下研究しておりまして、それによつて何とか円満に現地との話合を付けたいと、こういうように考えて折角努力しておる次第であります。
  16. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題に関連して、最近何か射程距離を延ばすということが新聞に伝わつておりまして、いろいろあるようでありますが、どうもすでにこの問題が起き上つてから数カ月たつておりますが、未だにまあ地元の、やはり日本国民のうちの一部でございますが、地元住民の人々とあそこの福祉をやはり補償しなければならないが、現政府のとつておる態度との間に、こうして喧嘩分れの対立状態が未だに続いてしまつておる、このままに置いておきますれば、これは今政府としてもやはり無為無策のままで国民の一部には非常な犠牲なり、こういう軋轢を来たしておることに私はなると思う、何とか解決する道を、今すぐ見付けられなくても、そういう努力を絶えずして頂く方途を当然私は講ずべきじやないかと思うのですが、今のままお互いに睨み合い、対峙の状態のままでやはり頑張つてつて地元のほうが少し疲れたならば、疲れたところを見て射程距離を延ばして行く、更に地元が後退すれば更に突込んで行くというような、何か政府国民が相反するような対立状態ですが、これに対しても全然策がなくて、どうにも政府として打つ手がないというような状況でいるのでございますか。又何かこれについて外務省中心になつて円満解決に多少、円満とは言えないかも知れないが、何か納得の行くような解決方途をいろいろと提示して行く努力を今後続けて行くつもりですか、この点を承わりたいと思います。
  17. 安川壮

    説明員安川壮君) お答えいたします。最初お尋ねになりました射程を近く延ばすのではないかという点でございますが、この点は少し一般に報ぜられましたころが間違つたことが報ぜられておりますので、その点この機会に訂正さして頂きたいと思います。これは実は私のほうの、外務省のほうにも何ら正式の通告のない前に、現地からそういう射程が延びる、海面に向つて長い射程で射つという話が伝わりましたので、早速私のほうの局長から先方に確かめましたところが、多少話が違つておりまして、実際の話はこういうことでございます。従来は権現の森の手前に弾が落ちるように真つすぐ射つてつたわけであります。ところが最近になりまして弾の種類変りまして、その新らしい弾を射ちますと、従来よりも何と申しますか、炸裂度が強いと申しますか、地面に砲弾が落下して破片が飛ぶ範囲が広くなつた、そうしますと、従来の射程は同じでありますから、従来のように真つすぐに権現の森の民有地のほうに真つすぐに向けて射ちますと、その破片民有地に落下する虞れがある、そこで射程は従来と変らないのでありますが、それを多少方角を海面海岸線に近いほうに向けまして射つ、従つて従来真つすぐに向けて、権現の森がここにありますのを、今度はこれをこういうふうに、射程は同じでありますが、若干左にそらして撃ちますと、海岸の近くに落ちまして、それで破片がその結果として、砲弾の落下する所と権現の森の民有地との距離が従来よりも遠くなります。それによつて破片権現の森に落ちることを防止する、こういう意味だそうであります。従つて射程を延ばして権現の森の上を越すとか、或いは更に奥に行つて海面に射つというような話は間違いであつたということが判明した次第であります。それから今後どういうふうにこの事態解決して行くか、何か方策があるかというお尋ねでございますが、先ほども申しましたように、政府としてはこのまま事態対立のままに放任して現地が疲労困憊するのを待つておるというようなことは決してないのでありまして、何とか最初申しましたように、この使用そのものを今変更するということはどうしてもできないのでありまして、政府としては飽くまでこれを試射場として使用するという根本方針には変りないのでありますが、その方針を変えないでも、試射支障のない範囲で何か現地住民漁業活動その他の希望を多少でも容れる余地はないかということは寄り寄り協議しておりまして、何とかこの点に解決点を見出したいという考えで進んでおりますので、その成案を得まして、それをどういうふうにして現地話合をするかという点なりますと、いろいろこれは現地の空気その他も考慮して慎重に考えませんと、下手に政府が動いて却つて事態を紛糾さすということもありますので、この点は成案を得ましたならば、どういうふうにしてこれを現地と交渉するかということは、これも同時に慎重に考え処置して行きたいと考えておる次第でございまして、決してこのまま事態を放任して、対立のまま放置して、現地がへたばつてしまうのを待つて、あと強行するというような考えで現在おるわけではありません。その点は御了承願いたいと思います。   —————————————
  18. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 更にもう一つ陳情が来ておりますのは、博多湾水上飛行機発着に関する件というのでございますが、これはどんな状況なんですか、ちよつと御説明を頂きたい。政府方針と併せてちよつとお聞きしたいと思います。
  19. 安川壮

    説明員安川壮君) 博多湾水上飛行機発着場要求につきましては、実は正式の要求があります前に、軍が事実上使つてつたという事態がありましたので、これは軍のほうに早速申入れまして、六月からは確か使つておらないはずであります。他方水上機発着場として使わせろという要求に対しましては、結論から申上げますと、現在政府としてはこの提供は拒否したいという方針で進んでおります。まだ正式に米軍使用を拒否するという正式の回答はしておりませんが、非公式には先方にこちらの事情を言いまして日本政府としては提供したくないということは非公式に申入れてありますので、目下その方針で進んでおるようなわけであります。
  20. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題は外務委員会ですでに請願が採択されておりますので、一つ政府におきましても十分善処されて、地元の、特に漁民の要望を容れるようにお取運び頂きたいと思います。   —————————————
  21. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それからもう一つは、北海道大島米軍演習地に関するやはり反対陳情があるのでありますが、これはちよつと議題に入つておりませんが、併せて御説明願いたいと思います。
  22. 安川壮

    説明員安川壮君) 北海道大島米軍艦砲射撃に使いたいという要求があつたのでございますが、これはまだこの要求に応ずるかどうかは決定しておらない段階にありまして、現在地元反対その他もありますし、その点を十分考慮して目下検討中でございまして、現在はつきり政府はこれの使用を容認するかどうか、拒否するかどうか、はつきりした結論が出ておりませんので、はつきりしたお答えができないわけでありますが、現地鳥類保護魚類保護その他の点は十分考慮して目下検討しておる最中でございます。そのように御了承願いたいと思います。   —————————————
  23. 森崎隆

    委員長森崎隆君) もう一つ門別演習地に関する件もあるのでございますが、大島陳情者が参りまして我々に陳情するところでは、外務省にも随分陳情に行くらしいのですね。行きますと、外務省では伊関さんにもお会いしたりいろいろしているらしいのですが、特に北海道から来る陳情者は非常に、外務省行つてもなかなか会つてくれない。たまに会つてくれると、もうとにかくソ連の軍隊が一番攻めて来るのは北海道だぞ、お前の所は早く基地にして守らなければ大変だぞと、とにかく外国の軍隊の侵略ということを前提において、頭からじやんじやんお説教されて、どうにもこうにも頭から話が違うのだということを頻りにこの間私のところに漏らして帰つたかたもあるのでございますが、委員会伊関局長その他のかたがたにお話を聞くと非常に折衝に当つておる立場として、あなたの苦しい立場はよくわかりますが、非常に苦心しておるような形に見受けられますが、陳情者から聞くと随分外務省ではそういうような物凄い説教振りだという話もあるのでありますけれども、やはりこういう問題は地元意見もよく聞いてやつて、そうしてその中から納得が行くような問題があれば納得が行くように取上げるし、地元に又いろいろ物的補償その他の問題で解決の付くような意向があれば、又そのようにも話を持つて行くと、いろいろな問題をよく聞いてやれば解決ができると思うのです。内灘の問題でも現地の模様なんか何も知らずにやつておりましたが、いろいろこれまで審議で話を聞いた結果、現在考えて見ますと、結局私に言わしめますれば、あれは十一月頃から某参議院選挙の立候補者の事前運動使つたと見るべきです。こう見られても仕方がないのです。十一月にぽんとやり、やはり損害補償等桁外れの金をぶち込んで、これで納得するはずだという予想をとつていい顔をするようなところがあつたところが、選挙に逆になつて来たというようなわけで目算が外れたということがあるだけであつて、一挙に選挙運動に利用しようというようなところがあつたのじやないかというふうに私は考えたいと思うのですが、そういう点があつては、こういう基地問題というものは本当に国民立場考える、考えないを度外視した、むちやなやり方は絶対に排撃しなければならんと思うのです。特にそれによつて生活の基盤が支えられているようなそういう地域については、もう少し時間をかけて話をすれば、これはわからないことはないと思う。特に内灘あたりは、私も学生時代に三年間駈けずり廻つてよく知つているが、非常に貧村なんです。だから今頃政府が何億か注ぎ込んで何をするということより、もつと選挙とか政治的な、政略というようなことを取除いて、ずばりとそこに入つてまじめに話をして、地元民と手をとつて話をして解決するまでじつと待つて話をすれば、私はあれだけの大きな予算をぶち込めば、あの問題は或る意味では解決するのじやなかつたかと思うのです。事ここに至つては明らかにとつた手段がみんな悪い。これは特に外務省考えてもらわなければいかんと思います。そういう点、これはみんな外務委員会で採択になつていますから、是非一つ外務省中心になりまして、この基地問題、演習地問題につきましては御善処を賜わりたいと思います。   —————————————
  24. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この際お諮りいたしますが、決算、内閣委員会成瀬委員委員外議員としての発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは御異議ないと認めまして、成瀬委員の御発言を願います。
  26. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 大変恐縮でございますが、お許しを得まして、最初調達庁、或いは外務省両方とも関係がありましたらお答え願いたいと思いますが、占領軍或いは駐留軍個人或いは公共団体などに与えましたところの損害、或いは個人公共団体が提供しましたところの物件に対する損害補償と申しますか、そうしたものの手続或いは補償基準というようなものがございましたら簡単に一つ説明が願いたいと思います。
  27. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) お答えいたします。占領軍並び講和後は駐留軍の各種の合法的な物資或いは不動産調達につきましては、若干講和発効を前後にいたしまして、手続上の相異はございますが、大体論から原則的に申上げますると、合法的に占領軍或いは駐留軍接収或いは又購買されたものにつきましては、それぞれの手続によりまして、これが補償或いは代金の支払いはいたしておるわけであります。ただ御承知のように、占領時代におきましては、物品の調達につきましては普通のコマーシャル・べースと申しますか、商取引の実態に応じましてこれを支払をしておつたわけでありますが、これは俗に間接調達と申しております。ただ建物或いはその他の不動産あたりにおきましては、勿論統制法規に基きますものは大体統制法規に従いましてやるのでありますが、法律のないものにつきましては、補償基準がはつきりした根拠に基いて支払われにくいというのが多々あつたわけであります。併しながら、こういうことは占領におきましては相当個人の財産その他に対する侵害になる、而も日本の国が独立したのだから、これを新たな観点に立ちまして、それぞれ立法措置においてできるだけやろうじやないかということになりまして、終戦後におきましては、これが法律に基くところの補償というのが相当出ております。例えて申しますれば、昨年度におきまして漁船操業制限、これは表から参りますると相当長い文章でございますが、俗に我々は漁船操業制限法と申しております。これは法律二百四十三号でございまするが、こういうものを出しますとか、先般昨年から懸案になつてつたものでありまするが、先般衆参両院の御審議を願いまして可決して頂きました損失特別補償法、こういうふうな法律に基いてできるだけやると、その他立法措置の間に合わんもの、或いは特殊的なもので特に立法の必要のないようなものにつきましては、閣議決定或いは了解に基きまして現在やつておる状態のものが多々あるわけであります。閣議了解或いは決定につきましては、占領中も相当ありましたのでございまするが、現在もその形式をとつておるものもございます。これらの諸種の事情から申しますと、現在は大体我々の業務といたしましては、それぞれ根拠法規に基いて順次軌道に乗つて来るのじやないかと、こういうふうに考えております。これがまあ計算方式その他につきましては、閣議了解によりまして、昨年の七月四日に相当広汎な閣議了解事項で計算方式を立て我々実行しております。その他個々の問題につきまして、いろいろございますれば更に御答弁申上げることにいたします。
  28. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 手続規定というものが法律にあつてそれで行うのだと、こういう御答弁でございますが、私はもう少しそこを具体的に御説明が願いたいと思うのです。と申しますことは、損害の賠償補償要求を出しましても、なかなかそれが支払われていないと、こういうことが現地に参りましたときにしばしば耳にすることでございます。それがどこにあるのか、非常に何枚も、何枚もと申しますか、書類を何種類も出さなくちやならないとか、或いは普通のおかたでは作れないようなものがある、そういうような点が御説明願いたいと思います。
  29. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 個々の問題につきまして具体的に御説明申上げるのが本筋かと思うのでありまするが、何故に現在調達庁補償業務が遅れておるか、或いは又要求があるのが支払われないかと、こういう問題につきまして只今も概論的に触れたのでございまするが、普通の法律その他の国内行政事務と若干趣きを異にしまして、なかなか我々としては予見のできないような事態が絶えずあるわけであります。これらの事務につきまして相当損害があつたと、声が大きくなると要求が出て来ると、こういうふうになるのでありますが、それからそういうことがあつたのかというような事態を我々のほうで検討いたしまして、更に各省それぞれの所管の行政庁がございまするが、農林関係のものでございましたら農林省と一応相談する。文部関係のものであれば文部省と相談する、それで或る程度まとまりますと、更に特殊のケースとして大蔵財務局のほうにこれを支払うべきか、支払うべきでないかということをいろいろまあ相談するわけであります。こういう点で相当手間取ります。ここう辺の問題を我々といたしましては、もう少し簡捷化するところがあるのじやないか、或いはなければ、どういう点で欠陥があるのかということを相当最近になりまして検討はいたしております。ただ法律にこういうものが規定され、或いは原則的に閣議決定されておりますと、比較的事務は敏捷に行く場合が多いだろうと思いますが、ケース・バイ・ケースでいろいろと問題が複雑になりますに従いまして、これらにタツチする範囲の人間が多くなつて来るという点と、その前に原則をどういうふうにきめるべきかという問題で一々の審査に相当手間取る、こういう点が多々あると思うのでございます。それから手続きの非常な複雑さ、これも御承知のように我々といたしましても複雑だと思つております。私参りましてから一カ月半でございますが、大体不動産部におきましても、よく冗談を言うのでありますが、我々が最高度の知慧を絞つたもので型を作り、これを末端に流した場合に、これを果して皆が受入れ得るかどうか、そこら辺をもう少し噛み砕いて簡単な様式で、何か方式がないだろうかというようなことを、専門家の連中を集めていろいろ協議するのでありまするが、何と言いまするか、全体のつかみというよりも、一々の構成のその素因を分析して、これをでつち上げるというような計算方式を非常に調達庁が多く使つておるわけであります。ここら辺に相当事務が複雑化し、末端のほうに流したときに、その形式が十分了解できないという点があるのじやないかと、我々は常々考えまして、これが簡捷化をどういうふうにするかということ々今研究しておるのでありますが、いろいろ各省の関係者を集めましたときには、こういうデーターもなければ、はつきりしたこの問題が浮び上らん、或いはこのデーターがあれば、このデーターも必要ではないかということで、いろいろと関係各省に持ち廻るうちに非常に複雑なものになつて来る、勿論我々のほうも技術屋が相当おるわけでありますから、この技術屋が間違いなきを期して成るべく精細にいろいろなアイテイム、条項を作つて行くと、こういうところに問題があるのじやないかと、これは何故にそうなつて参るかと申しますと、やはり先ほど申しましたようにケール・バイ・ケースで非常に複雑なケースが多くて、主観に頼らなければならんところが多い、主観に頼るということは我々として最も慎しむべき点で、これを資料によつてチエツクして行く、こういうところに発生するのじやないかと私どもは想像するのであります。
  30. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) お答えを聞きまして、私は十分だとも思いませんし、了解ができるような御説明でもないように思うのですけれども、とにかくお困りだということはよくわかる。併しお困りなんだというのはあなたがお困りになつているというよりも、実際は補償がもらえなくて困つている人のほうが多いのでございますから、私はいろいろな御都合もございましようけれども、とにかく何とかしてもらわなけりや困る問題だと思います。  次に、占領軍のほうはそれでよいとしまして、英濠軍関係のほうはどうするかという問題です。特に私が聞きたいのは、今度の朝鮮休戦会談成立後、英濠軍というものは全体どうなるのだ、こういうような点も私は併せて一つお答えが願いたいのです、
  31. 安川壮

    説明員安川壮君) 英濠軍と申しますか、米軍以外の国連軍と申しますか、これに対する一般の施設の提供というものは、御承知のように平和条約と同時に発効いたしました吉田総理大臣とアチソン国務長官の交換公文、これは平和条約に附随したものでございますが、それに基きまして朝鮮事変に従軍する国連軍のために施設、区域を提供するということを約束しておるわけでございます。そこでその際のいろんな費用の分担その他につきましてはまだ正式の行政協定というものができておりませんので、一応仮の約束でやつておるわけであります。その細部につきましては調達庁のほうからお答えがあると思います。併しこの問題は、いずれにしましても正式に日米行政協定と同じような趣旨の協定ができなければならんわけでありまして、その協定をどういう形でいつやるかという問題になりますと、只今御指摘になりましたように朝鮮事変の結末にも関連して来る問題であろうと考えます。と申しますのは、朝鮮休戦が成立した場合には国連軍が日本に駐屯する必要はないんじやないか、これが短期間のうちに引揚げるということになりますれば、今更将来を予想した行政協定というようなものを作る必要はない、むしろ今までのいろんな金銭関係その他を清算する意味の過去の債権債務関係、それを協定するというほうがむしろ適当ではないかという考えも成り立つわけでございます。併しながら現在のところ、休戦はできましたもののまだ国連軍の朝鮮からの撤退という問題は残された問題でありまして、この問題は御承知のように休戦成立後三カ月以内に開かれます政治会議の議題になるものだと私どもは予想しておりますが、その結末によるものでありまして、従つて政治会議の結末が付くまでは依然として国連軍はそのまま朝鮮に駐屯を継続する、従つてそのために日本における国連軍と申しますか、英濠軍の施設その他も撤退ということがはつきりするまではそのまま残るのではないかというふうに考えております。そのためにはやはり米軍との間の行政協定というような恰好のものがいずれ必要ではないかというように考えておりまして、その点は目下政府部内で検討をしております。まだ現在の段階はいつそういう交渉を始めるかということまでは申上げられない段階でございます。
  32. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 英濠軍関係補償の問題について簡単にお答えいたします。我々といたしましても講和発効以来すでに一年半余り、この問題が具体的な国際間の協定ができないものでございますから、支払の根拠に実は困つておるわけでございます。併し困つておると申して放つて置くわけには行かない状態なものでございますから、現地関係で相互に折衝さして、それをこちらが確認したのが家賃その他の支払でございますが、これは日本政府において英濠軍の了解の下に立替払をやつております。それから水産関係も相当地先を制限しておるわけでありまするが、これにつきましても関係者と了解の上で一応駐留軍並の補償をやることにいたしまして、今度その作業を行なつております。
  33. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 駐留軍関係でなくて、国連軍のほうはそうすると家賃のほうは立替払をしておる。水産関係のほうはまだ一度も出ていないわけですか。
  34. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 前に見舞金のときにも水産庁でお出しになつたと私は記憶しておりまするが、今度法律に基きますところの支払も同時に、近く一週間以内ぐらいに支払ができるのじやないか、こういうように考えております。
  35. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 英濠軍が日本に駐留するということは、吉田、アチソンの交換文書によつてある。それは併し朝鮮事変に関係しての話であつて、私たちは当然国連軍というものですか、この朝鮮に対する国連のああした警察軍的な行為が終れば日本から帰つて行かなくちやならんものだ、こういうふうに了解してよろしうございましようか。
  36. 安川壮

    説明員安川壮君) これは平和条約でも日本は約束しておると思うのでありますが、国連憲章の義務を負うということと、朝鮮事変に関連しまして国連軍が行う行動には協力する、まあ正確な文句は記憶いたしませんが、そういう趣旨の約束はしておると了解しております。従つてこれはその国連の決議に基いて朝鮮事変に国連軍が参加しておるのでありますから、休戦ができましても、その国連軍の決議と申しますか、決議そのものの効力はまだ消滅しておらないということになると考えております。従つて国連の決議に基きます国連軍の朝鮮派遣という事態が続く限りは日本としてもこれに協力する義務がある。従つて日本に駐留と申しますか、国連軍が日本に駐留するということに対しても施設提供その他の義務というものはそのまま残るということになると解釈しております。
  37. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 国連軍関係に対しまして立替払をしておる、こうおつしやつたが、これは政府の金で言うとどういうところから立替払になつておるかという点が一つと、それから国連軍に対する協力というようなことから打出されまして、本当にこれは英濠軍関係から支払いされる、そういう見通しというものがあるのかないのか、この二点をお伺いいたします。
  38. 安川壮

    説明員安川壮君) 只今のは日本政府が立替払をした結果、英濠軍がそれを最終的に負担するかどうかという御質問だと了解いたしますが、この点は、その立替払をするという約束ができましたときに、これは日本政府が立替えるということは、それは日本政府が最終的に負担するということを意味しません。如何なる意味においても将来締結さるべき日本と国連軍の協定の義務を拘束するものでない、でありますから、この立替えておるということと、今後協定を締結いたします場合に、どちらがこれを負担するかということは全然別箇の問題でありまして、今後協定をやりますときには、全然立替えておるという点を前提とせずに交渉をし、協定するわけであります。
  39. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 只今の御質問の立替金は何から支出しておるかというお話でございまするが、大蔵省所管に防衛支出金というのがございます。その中の目に施設提供等諸費というのが項目にあつて、その中から一応立替払をしておるわけでございます。
  40. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) この英濠軍関係のものは私は岩国ですね、あそこは非常に多いと思いますが、この前のときに、今お聞きしますと不動産部長は就任されてから一ヶ月半ぐらいということをおつしやつたのですが、たしか今年の正月頃一度問題になりまして出ておるのじやないかと私は記憶しておるのですが、これは出ていないのですか。
  41. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 水産関係の留駐軍或いは英濠軍によるところの行為による被害につきましては、岩国関係、特に姫小島のほうでございますか、これは私の記憶では山口県と広島に若干関係しておると思いますが、これは両方とも我々の作業では今度立替払じやなく正式に支払うことに一応きめております。
  42. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) この立替払と正式の支払とおつしやると何か違つたように思うのですが、どういうふうになるのですか。
  43. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 正式というのは別に……、立替払でないという意味なのでございまするが、我々といたしましては、こういう補償につきまして、一応水面の提供は日本政府が一応告示で制限をして使用を制限するわけであります。それに対して補償をやる、こういうので補償の対象に取上げているわけであります。
  44. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) ちよつとその意味がわからないのですが、それは実際使つておるものは御承知のように英濠軍があの姫小島を一つの射撃目標にして使つておるわけですね。ですから英濠軍関係は立替払をやると、こうおつしやつたのです。それを日本政府において制限をしたのだからやるのだ、こういうことになると、英濠軍が使用したものに対してそういう要求があるとかどうとか、そこのところの私は説明というのですか、ちよつと了解に苦しむのですが、そこのところを説明して下さい。
  45. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 普通調達の様式といたしましては、向うからの要求に基いてこちらはやるわけでありまするが、水面に関係いたしまして、従来から、只今も話がありましたのでございまするが、水面関係につきまして我々は従来から使つてつたものに対しまして、大体総理府の告示によりまして海面使用制限の告示をやるわけでございます。これをやつているところにつきましては、一応補償の対象にしておる、英濠軍は何でやつておるかと、こういう御質問であろうと思われるのでありまするが、海面につきまして、いろいろ我々も検討したのでありまするが、これがどういう工合であれになつておるのか、私今はつきり記憶しませんから、おつつけ調査しましてお答えしてもいいと思いますが、姫小島使用制限区域、日本の施設提供区域、こういうことになつておりますので、我々として補償をいたしておるわけであります。立替払と申しましても、お断わりしておきますが、これは建物だけについて現在やつておるわけでございます。ほかの施設については現在やつておりません。
  46. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) そうすると、先ほど家賃などは政府で立替払をやつた。それから水産関係については駐留軍並みに立替払をやるのだ、こういうお答えのように聞いたのですが、それは違いなのですね。
  47. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) それは違います。
  48. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 駐留軍が土地を使用するといつたような場合、或いは建物を使用するというような場合、日米合同委員会に申出て来るわけですね。そして申出があつたのちにどういうふうにして手続をして決定しておいでになるのか、その順序を一つ説明を願いたいと思います。
  49. 安川壮

    説明員安川壮君) 米軍からの新規の施設或いは区域の要求は必ず最初に合同委員会に出て来るわけであります。そこで出て来ました際には先ず原則的から申しますと、紙の上で出て来ても、果してこれがどういう目的に使われるか、又使うとすれば、どういう条件で使うかということが必ずしもはつきりしておりませんので、これは施設の種類によつて違いますが、合同委員会の下に各種の施設の種類に応じた分科委員会というものを持つております。例えば演習場、それから飛行場その他です。その分科委員会を持つておりますものである場合には、先ずその分科委員会にかけまして、両者が技術的にどういう目的だということ、その他使うとすれば、どういう使用目的で使うのだということをできるだけ詳しく先方要求なりを聞くわけであります。その上で合同委員会の事務局をしております外務省、その前にその分科委員会の中には外務省代表ばかりでなく、それぞれ担当の各省から代表者が出ておるのでありますが、一応分科委員会の検討を得ましたものは、合同委員会の事務局をしております外務省国際協力局のほうから、関係のある各省に向うの要求並びにその内容を通知するわけであります。その通知先は原則として大蔵省の国有財産を管理しております管財局、調達庁のほうには、必ずその内容を種類の如何にかかわらず送達するわけであります。その他種類によりまして農地に関係しておりますれば農林省、それから農地局、或いは山林が関係しておりますれば林野庁、飛行場、港湾施設ならば運輸省、それぞれの施設に応じまして関係のある行政機関に向うの要求内容を送達いたしまして、それぞれの関係行政機関から意見を求めるわけであります。    〔委員長退席、理事秋山俊一郎委員長席に着く〕  関係行政機関としましては、それぞれ現地に出先を持つておりますので、そこを通じて、現地の、土地ならば土地の所有者その他利害関係者と直接折衝しまして、こちらの要求なりを直接の利害関係者と話合いますと共に、利害関係者のこれに対する意見なり要望なりを聞くわけであります。そこでその間、これは施設の規模その他によつて違うのでありますが、大規模の施設であるならば、単に土地の所有者自身ばかりでなく、その地方にとつていろいろな影響があるわけでありまして、地方経済、それから一般の安寧秩序と申しますか、一般の福祉関係、特に風紀問題その他ありますので、地方の県庁なり或いは関係の市町村当局にもそれぞれこちらの要求内容を伝えまして、県として或いは市町村としてのいろいろ要望なり意見なりを聞くわけであります。そして大体各省を通じまして現地の意向と申しますか、現地の要望と申しますか、その他を再び合同委員会の事務局であります国際協力局でまとめまして、そしてこれは提供差支えない、併し提供差支えないが、これこれの条件の下に提供するのだということで、大体各省の意向を取りまとめて決定いたしまして、その上で合同委員会に対して返事をいたすわけであります。それで提供は差支えない。併しこういう条件でやるということを返事をするわけであります。それと同時にこの問題を閣議に出しまして、閣議で提供するという決定をするわけでございます。そこで提供するということが閣議決定しますと、あとは再び出先に戻りまして、今度は具体的に地元の土地の利害関係者、土地の所有者その他と調達庁の出先のほうで、実際に土地を買う必要があれば買上げの交渉をする、或いは借りる場合には賃貸借の交渉をしまして、そこで土地を買う或いは借りるという話合がまとまつて、初めてそこで米軍側に土地を提供する、そしていろいろ工事が始まる、こういう段階になつております。
  50. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 何か御都合があるそうでございますから……。その場合に私有地などが私は対象になることが間々あると思うのです。その際に地主がこれを拒否することはあると思うのですね。そうした場合にどう処置するか。
  51. 安川壮

    説明員安川壮君) 先ほど御説明いたしましな閣議決定前には、一応現地の土地の所有者その他と話合をするわけでありまして、従来の例から申しますと、大体そこで土地は提供することは差支えない、併し土地を政府が買う場合には幾らでこれを買うかというような、細かい売買契約そのものまでは立入れないわけであります。従つて一応大体提供することに異議がないということになりますと、そこで閣議決定だけいたしまして、あとは実際の売買なり賃貸借の契約は調達庁の所管になります。そこで出先を使つてやるわけであります。その場合も、私は所管外でありますが、従来私らが承知をする限りにおいては、大体そこで両者の自由契約で売買契約なり賃貸借契約ができまして、そして引渡すという状況になるわけでありますが、私はまあその点は細かいことは調達庁のほうからお答えになつたほうが適当かと思いますが、法規的に申しますと、そのときにどうしても値段が折合わんという場合には、土地収用法に準じまして、駐留軍に行政協定に基いて提供する場合に適用になります。土地等の収用に関する特別措置法でございますか、それに基いて俗に言う強制収用、収用委員会の採決に基く買上ということもできるわけでございますが、従来に関する限りは、そういういわゆる土地強制収用を使つてつたという例は非常に少いというように聞いております。大体自由契約で、両者の納得付くで話が付いておる。但しそれは場合によつては半年以上時間はかかりますけれども、大体その線でまとまつておるというふうに聞いております。
  52. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 私は先ほど聞いておりますと、内灘権現の森は一つの私有地である。だからそんな所を避け、海面のほうに向けて、十三センチのものを一門か入れたそうですが、そういうふうにして射つんだと、こういう点は飽くまでも強制接収と申しますか、そういうようなことを避けて大体やつて行くという方針のように伺つて差支えないわけですか。
  53. 安川壮

    説明員安川壮君) その通りでございます。
  54. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 最後に、日本軍があつた当時から使つてつて占領軍が来た、それが又駐留軍に切替つたいわゆる場所が相当数あると思いますし、そういうようなところに対して何か損害要求するというようなことが私は起きて来ておると思うのですよ。そういうものに対してはどう処置をされる予定なんですか。
  55. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) お答えいたします。只今の御質問の要旨は、日本軍が最初軍用地として使い、それから占領と同時に国連軍が入つて来た、更に講和と共に駐留軍になつたと、そのときはどこの損害であつたかということでしようか。
  56. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  57. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) 速記を始めて。
  58. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 最初に申上げましたように、講和発行後につきましては、実質上の損害についてはできるだけ補償をすると、こういう建前で我々は進んでおります。講和発行前の国連軍の占領時代にも相当補償要求はたくさん出ておりますが、昨年あたりにつきましても国の財産の許す限り、相当の被害を受けた実態につきまして、我々は原則を立て、成るべく補償したいと、こういう気持でおることは勿論でございますが、占領軍から駐留軍に切替りましてからのちは、あらゆる面で実損害に対する補償はこれは対象として取上げたいと、こういうふうに現在考えまして作業を進めておるわけであります。
  59. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 誠に恐縮ですが、実は今たくさんの金とおつしやるのですが、私は何か承わりますと、九十二億の予算を組んでおつた、ところが昨年は十四億円ぐらいしか支給されていない。それだのにこの二十八年度の予算において六十億まだ組まれておるやに聞いております。そうしますと、ここに大体百三、四十億の予算があるわけなんです。これを大体支払う予定……大体こうした損害賠償に関して支払う予算だと、こういうふうに睨んで計上されておるわけですか。
  60. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 只今の御質問のように、大体我々としては二十九年度におきまして五十三億の防衛支出金の中の施設提供諸費というものと、二十七年度からの繰越、これははつきり私今記憶しておりませんが、大体合計額でお話のような状態であると思いますが、これにつきましては我々は計画を立てまして、これを乱暴に使うというわけではないのですが、一応はつきり作業を計画的に進めまして、これを支払の財源に充てたいと、こういうように考えておるわけであります。一例でございますが、先ほども出がけにいろいろ会議をやつてつたわけでありますが、或る県なんかにつきまして、これはまあ要するに申請と申しますか、希望でありますから、わかりませんが、一県につき四十億ぐらい要求が出ておつたところがあります。これが果して四億になるか、四千万になるか、或いは二十億になるか、今のところわからないのでありますが、ただそういう話を係が持つて来たのを記憶しておるのに過ぎないのであります。どういうふうになるか知りませんが、我々としましては大体現在の作業の進行状況から申しまして、そのくらいな金を充当しても正確な作業で支払えるんじやないか、こういうふうに考えております。
  61. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 念を押すようで恐縮でございますが、例えば九十九里浜の補償内灘補償とは非常に差があるのです。そういうのもこれは非常にまずいが、そういうところも若干出さなければならんというようなものも考慮されて、今度の予算要求をされておると、まあそういうふうに了承していいわけですね。
  62. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 只今の趣旨は内灘が多くて九十九里が少いという御趣旨ですか。
  63. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) いやそうじやなく、アンバランスの例がたくさんあるのです。私はここに代表的な例をとればそういうことが言えると思うのですよ。
  64. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 我々としましては、同一の法律なり規定に基くものにつきまして、成るべく客体を完全に把握して、そのアンバランスをなくすることが我々の責務でございますから、そういうことはあつてはならないと思います。先ほどお叱りを受けましたように、果して今資料を要求して正確なものが得られるかどうかわかりませんが、我々としてはああいう資料を得て、成るべくアンバランスを是正したい、この資料が果して妥当であるかどうかは、更に十分検討いたしますが、主観を混えず、成るべくまあ客観的データーに基きましてアンバランスを避けたいというふうに思つております。従いましてアンバランスの補正のために余計予算を組むとか、どうとかいうような気持は、我々は予算編成の鳥初の要求には持つておらないのであります。
  65. 成瀬幡治

    委員外議員成瀬幡治君) 有難うございました。   —————————————
  66. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) それでは先ほど私が竹島の問題について質問をいたしておつたのですが、所管がアジア局のほうの所管だということで、アジア局からの御出席を待つてつたわけであります。従いまして、私から竹島の問題について一、二お尋ねいたしたいのであります。  先般来やかましく問題になつております竹島は、我々日本人といたしましては、勿論その所属に何らの疑点を持たない、立派な日本領土であると考えておるのであります。この周辺における漁業権設定或いは漁業の操業実施等につきましても、古くから日本でやつておりますし、又当然やり得るものと考えておつたわけでありますが、突如として韓国側が韓国領土であるというような建前をとりまして、現在ではこの島を占領しておるがごとき態度に出て、日本漁業者が行つて漁業するどころでなく、日本の水産試験場の水産試験船等が周辺に近寄ると、これに対して発砲する、或いは射撃を加えるというようなことが最近起つておるのでありますが、これらの問題につきまして、国民は非常にこの措置に対して関心を持つておるわけであります。もともと俗に言うマツカーサー・ラインというものが設定された当時に、そのラインに包含されておりました、そうして更に又その次の李承晩が李承晩ラインと俗に称する線を引いたときに、竹島を含んだ線を引いておる、そういうときから韓国としては自国の領土であるがごとき発表をし、態度をとつておるのではないかと思いますが、我々は日本領土を、現在の状態は殆んど占領されたような状態になつておるのに対して、外務省はただ一片の抗議を以て解決すると考えておられるかどうか。我々は事大小にかかわらず、日本領土に侵入して来るものは外敵だと見て差支えないのじやないか、これに対しては行政協定によつてアメリカ軍が日本を防衛するというようなことになつておると私は考えておるのですが、それに対して外務省としてはアメリカとどういう交渉をされておるか。又これに対して現在どういう措置をとつておるか、この点を伺いたい。
  67. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 竹島の問題につきましては、御指摘の通り韓国側は韓国領土である、日本側は日本領土であると主張が対立しておるわけでありますが、我々といたしましては、同島の歴史的な所属乃至は最近の平和条約の規定に鑑みましても、我が国の領土であるということについては一点の疑いはないと信じておるものであります。併しながら韓国側におきましても、この歴史的な事実を誤解したり或いは曲解しておると思われる節もありますが、先般我が国から日本政府の見解というものを提出いたしまして、これが歴史的な所属並びに平和条約の関係というものを縷々説明したわけであります。それに対しましてはまだ韓国側から何らの回答を得ておりませんが、先ず我々のなすべきことといたしましては、お互いの間で誤解を解除するという方法をとりたいと思います。現在とつておりますのは、この段階にあるわけであります。併しながら問題が紛糾いたしますれば、これは或いは第三国の仲介或いは適当な国際機関なりに解決を求めなければならないかも知れないのであります。これにつきましては、内々研究を進めております。
  68. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) もう一点、これは事竹島という一孤島であつて無人島であるからこそ、こんなに抗議ぐらいでがたがたやつておられますが、若し日本国民が、住民があそこにおつたら、こんなことでは私は済まないと思う。日本領土である限り住民がいようといまいと、この点には私は何らの差別はないと思います。若し仮に他の島嶼に対して、日本国民が住んでおる所にかような事態が起つたとしても、なお且つ同じような態度であるかどうか、私はそういうことはあり得ないと思いますが、若しそういうような状態が起つても、やはりそういうような抗議程度で以て措置をしなければならんものであるかどうか、これは仮想の問題でありますけれども、私は同様な立場に立つのじやないかと考えますのでお伺いするわけでありますが、韓国としては、私は終戦直後朝鮮におりました当時、韓国の主張した点は、日本住民の住んでおるところも韓国のものであるということを主張しておつたことがあるのであります。そういう点から考えまして、僅かな小さな島であるからといつて、簡単に荏苒これ交渉でぐずぐずしておるわけには行かん、かように私は考えるのでありますが、今少しく強硬な態度をとつて措置し、迅速に片付けるという考え方は外務省にはないのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  69. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) お説の通り領土権の侵害という点におきましては、竹島にいたしましても、ほかの大きな島にいたしましても相違はないと思うのでありますが、この問題につきましては、できるだけ平和的に解決したい、そのためにあらゆる手段を尽すというのが現在の政府方針でありますので、現段階におきましては、韓国との間において話合をする段階であります。この次の段階につきましては、米国に対しましても、この竹島の問題に対しましては、逐次通報いたしまして、将来の布石といたして置く次第であります。
  70. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) この問題は先ほど私が申しましたように、マツカーサー・ラインの中に含めてこの島を取込んでおつた、取込んでおつたと言うと語弊がありますが、その線の中に加えてマツカーサー・ラインが引かれておつたということは、これはアメリカとしてどういう見解でやつたのか、日本領土というものに対するアメリカ側の見解はどういうふうになつておりましようか。
  71. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) マツカーサー・ラインは御存じの通り漁業に必要な際の線でありまして、日本領土権なり或いは行政権なりを制限したものではないということを当時指令の中にも言つておる次第であります。殊に平和条約のマツカーサー・ラインを規定いたしました覚書の第五項におきまして、「この許可は当該区域またはその他の如何なる区域に関しても、国家統治権、国境線または漁業権についての最終決定に関する連合国の政策の表明ではない。」ということを言つております。又この指令についても終戦直前に撤廃になりましたことは御存じの通りであります。その後できました平和条約の規定におきましても、竹島韓国領の中に入つておりませんので、この平和条約の一つの規定を見ましても、我がほうの領土であるということは明らかであると思います。
  72. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) そういたしますと、私が先ほど申上げましたように、今、日本の置かれておる立場は、外部からの侵入に対してはみずからこれに対して力を以てと言いますか、武力を以て対抗することができないという憲法の条章に照らしまして、即ち国際間の紛争を解決するところの武力を持つてはいかん、戦力を持つてはいかんということでありますから、日本がこれに対して、たとえ先方から発砲されても応戦することができないという解釈かも知れませんが、然らばかような際にこそアメリカの駐留軍日本の防衛に当るということになつておると私は考えるのであります。小さい島であるが故に放つたらかしてあるのかどうか、その点はどういう見解をお持ちでありますか。
  73. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) その点は研究して御回答いたしたいと思います。
  74. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) そういたしますと、次の機会にでも御回答頂けますか。
  75. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 承知いたしました。
  76. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) 次の機会に御回答頂くといたしまして、なお私はかような問題が、無人島であり、小さな問題であるからぐずぐず交渉しておつてもいいように、現在のところ国民に非常に大きな影響を与える、障害を与える、いわゆる経済的の点に具体的に大きな影響を与えるという問題でもないのでありますから、案外荏苒日を送つてつてもいいかと思いますけれども、これは決して小さな問題でない、少くとも日本が幾多の領地を失つた上に、僅かな島嶼であつても、日本にとつては重要な資源基地であります。これが外国の占領に任されて、そしてじつとしておるということになりますと、第二、第三の竹島が又現われないとも限らないのでありまして、この点は私どもは速かに解決することを強く要望するわけでありますが、只今私がお尋ねした点を一つ十分御研究の上次回にはつきりとお答えを頂きたいと思います。本日の私の竹島に対する質問はこれで打切ります。    〔理事秋山俊一郎君退席、委員長着席〕
  77. 森八三一

    ○森八三一君 今の秋山委員の御質問に関連してお伺いしますが、当然私は日本領土が侵された場合には、日米の条約の条章に基いて日本の国土の防衛を積極的に要請しなければならんと思うのです。そういう態度をなぜおとりにならないのか、それをとることが非常に国際的にマイナスになるのか、或いはそういう要請をしたときに、その責務を条約上持つておるアメリカ側から、平和的な方法によつて先ず折衝しなさい、それが妥結せん場合にはというような話でもあつたのか、その辺のいきさつ、交渉は一体どうなつておるのでありますか。
  78. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 私の承知いたします限りにおきましては、現在の措置日本政府の自主的な措置であるというふうに承知いたしております。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 これは非常に大きい問題ですから、課長にお伺いすることは無理かも知れませんが、当面の事務当局として、前段申上げましたように、日米の条約の規定に基いて日本の国土を当然防衛してもらうべきだ、そういう要請をすべきだというお考えにおなりにならないのか。そういう考えを持つべきでないとお考えになりておるのか、その点はどうでありますか。
  80. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 現在の段階におきましては、竹島に参りました韓国側の漁民或いは警官の数等からいたしまして、いわゆる大規模な武力による攻撃というふうには見られないのではないかと考えられております。これは私の私見でございますが。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 武力によるということについては、これは一応実態から来る感覚の問題もあろうと思いますが、武力であるなしにかかわらず、当然日本領土が侵されておるということですね。そのことは武力によろうとよるまいと、条約の規定に基く保障を要求するという条件が私は発生しておるのじやないかと考えておりますが、どうですか。
  82. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今竹内課長は武力によつてではないと言われたが、過日日本巡視船が行つたときに砲撃をした、銃撃をしたということについては、これは武力とは見ないのでありますか。我々は小なりといえども、日本の無防備の船に対して発砲して、而もその島に上陸して日本の船を寄せ付けないということは、武力を行使していると見て差支えないのじやないですか。鉄砲を射つたから武力じやないと考えることは、これは余りにも遠慮しな考え方じやないか、大きな大砲とかいうようなものでも射つたかどうか知りませんけれども、少くとも日本の艦船に向つて砲撃、銃撃を加えるということは、武力の行使と見て差支えないのじやないか、単なる強盗盗人のようなものとは違うと我々は思つておりますが、その点も併せてお伺いしたい。
  83. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 武力の定義につきましては、いろいろ議論があると思いますが、安保条約の第一条に「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために」米軍を「使用することができる。」と書いてございますが、ここに書いてある武力攻撃という範疇には入らないのじやないか、これは全くの私見でありますけれども、先方の来ましたのは七名ほどの警官でありまして、使用しましたのも小銃でございます。むしろこの場合は武力攻撃或いは武力占領というよりも、不法入国というふうな現状ではないかと感じます。
  84. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私は一遍質問を打切つたのですけれども、只今の御回答はどうも腑に落ちんのでありますが、不法入国というのは密航者なんかが来るのも不法入国であり、あそこは明らかに日本の艦船を撃退して上つて来ておるということは、不法入国どころじやない、私は占領だと思うのです。この島を占領しているのじやないか。然らば不法入国であれば、なぜ日本の船が行つて、それを追つ払わないのか、不法入国だからといつて交渉しておるような、そんなことでは……、私は不法入国じやないと思う。不法入国なら日本の艦船が行つて迫つ払うなり、つかまえて連れて来たらいいと思う。そういうことのできないのは、例えば戦力でない、武力でないと言いますけれども、船に対して鉄砲を射つて来れば私は武力だと思う。大砲でなくても、相手次第では小銃で結構なんです。戦争にも小銃を使つているのですから、相手次第によつては大砲もぶつ放そうという態度かも知れません。こつちが何らの武器も持たないし、何らの抵抗もしないから、鉄砲で射たれたりして逃げて来るようなものですけれども、これは小銃でも私は武力と見て差支えないと思う、若し御見解のごとくこれが単なる不法入国くらいなものなら、私ども行つて引つつかまえて日本の本土に連れて来て、これを送還するなり何なりの処置をとつたらいい、それができないところを見ても、単なる不法入国と見るのはおかしいと思う。
  85. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 私説明員でありまして、政府を代表して御答弁申上げるわけには参りませんけれども、現在の韓国の最近の事件と言いますのは、まさに不法入国というふうにとられますので、外務省といたしましては、我が国の担当政府機関が当然これを取締つて然るべき問題だと存じております。
  86. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題について今のようなお話がありますのですが、それじや一つ仮定を置いて考えますと、竹島がああいうふうになつて交渉ばかりやつている、進展しない。次に壱岐なり、対馬に四、五十客来まして、ぽんぽんと射つて不法入国した場合、又交渉を続けて行くか、又九州の一角あたりのところに又百名くらい来て、ぽんぽんと射つて来た、これも交渉して不法入国だといつて済ますかという問題も一つあるわけです。私は今までの政府のやり方から見れば、例えば北海道のどこか北のほうの小さな島に、ソ連の兵隊さんが十名くらい来てぽんと射つて不法入国した、これは今までの実績からすると、もう大宣伝してやるだろうと私は考えます。その間の取扱いなんということははつきりしていない、統一した見解を持つて頂けんと、竹島はああいうふうに島も小さいし、木もない、人もおらんからという、そういう程度なり、軽重の差を付けるということは、これはやはり秋山委員、森委員の言われた通りで、どうも我々としては腑に落ちないのです。それで第一条ははつきりしていますが、あなたのおつしやるような意見をはつきり考えますと、やはり何十万の軍隊日本本土に侵略した以外は一切これは侵略とは言わない、そうすると、さつきも私が言つたようなことになるのです。じりじりと五人ぐらいで来て、対馬なり壱岐をやり、又九州の一角をやるようになる、だんだんやりまして、これは合計したならば大きな侵略ですが、ここに段階をとつて来れば、これは不法入国で、帰れ帰れというわけで、駐留軍は一向にこれに取合わないという場合に、これは私は辻褄が合わないと思うのです。恐らくこれがソ連の軍隊なり、中共の軍隊なりがやつて御覧なさい。これは目にかどを立てて徹底的にやるだろうと私は想像しますが、そういう両方を比較した場合に相当おかしい問題ができるのじやないか。それをもつと深く根を掘つて見ると……私はこの安全保障条約というものは或る意味では日本にやはり再軍備をするための一つ措置に過ぎないので、相手が来る、来んは別問題だというふうに少くともアメリカ側では考えているのじやないかと解釈されても仕方のない面ができるのです。小さな竹島、この一角のときに早くこの問題について、やはりそれだけの誠意なり、責任なりを示して頂かないと、我々としては割切れない、これは国民全体としても同じだと思います。そういう点については一つ外務省としても意見を統一されまして、政府の責任者の立場ではつきりした答弁なり何なりを得たいと思いますが、私はやはりそう考えます。
  87. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今委員長お話のように今の御答弁は聞き方によつてはこれは問題です。
  88. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 大問題です。
  89. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 大きな問題になりますので、一応省内の意見を取りまとめられて次回に一つ御答弁を頂きたい。単なる不法入国くらいに扱つていいものかどうか、こういうことになりますと、問題はなかなか外部に対する問題として大きな問題になりはせんかと思います。この点一つ十分御研究の上で外務省としては責任ある御答弁を頂きたいと思います。
  90. 森八三一

    ○森八三一君 次回に統一して御答弁を願うのですから重ねてお聞きする必要もないのでございますが、参考に一つ素人ですからお教えを頂きたいのですが、不法入国という定義は一体どういうことなんでしようか。どこかの国の人が密航船で入つて来て、ちよつとその国に上うて商売をしているとかいうようなことは、これは常識的に不法入国だとわかるのです。併しその国の国民を寄せ付けないということも不法入国の範疇に入るのかどうか。密航して来て他国に上陸して、そこで住まつているというのは私ども常識的に不法入国だと思うわけです。併しそこに住まつている土着の国民を迫つ払つてしまつて、そこに寄せ付けないということも、これは不法入国と称すべきかどうか、これはどうなんでございますか。私はそういう場合はこれは明らかに領土を侵犯しておる、占領行為に入るのではないか、こう常識的に思うのですが。
  91. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) その定義は私もはつきりしたところは存じませんけれども、ただ竹島の実情といたしましては、あそこには人が住めない状況でありまして、草木もなく、又水もない関係上、従来とも漁民漁業するときにだけあそこに参つておりまして、住民は全然おらなかつたわけであります。今回の事件のあとにおきましても、恐らく韓国側は同島には引続いて残留していることはないと承知しております。
  92. 森八三一

    ○森八三一君 私の申上げたその引例が悪かつたかも知れませんが、その国の国民がそこに寄り付くことを事実上禁止するという行為ですね。日本漁民竹島に行くことを禁止している、それは不法侵入の範疇に入るのかどうか、おる人を追つ払うのではなしに、国民が自分の家へ行くのを入つちやいかんというのは、それは不法侵入と見るべきか、それは占拠と見るべきか、おる、おらんという問題じやないのです。自分の家へ行くことを阻止される、そういう行為をもあえて不法侵入の範疇に入れていいかどうか、これは私もその法律的な解釈は知りませんが、常識的には自分の家へ自分が行くことは、これはもう当り前なことなので、それをも拒否されるという場合にはこれは通常考える不法侵入とかいうものじやなくて、明らかにそれは占領しておるというように理解するのですが、今課長お答えでは、今度の事件は不法侵入だとおつしやるけれども、一つ不法侵入というものの定義をはつきりしておかないといかんと思うのですが。
  93. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 森委員如何でしよう。今の御質問、御意見を含めて次回に一つはつきりした御答弁を頂くように……。
  94. 森八三一

    ○森八三一君 今の不法侵入の定義を併せて一つ明確にして頂きたいと思います。
  95. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 不法入国ですね。
  96. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 侵略、不法入国、言葉はいろいろありまして、永久接収、継続接収(笑声)いろいろあるのですが、実際考えれば重大な問題だと思います。ほかに御質疑ございませんか……。それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十八分散会