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1953-06-22 第16回国会 参議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十二日(月曜日)    午後一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            岡田 宗司君            松浦 清一君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    調達庁長官   根道 廣吉君    調達庁不動産部    長       山中 一郎君    外務省国際協力    局長      伊関佑二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    農林省農地局管    理部入植課長  和栗  博君   参考人    前国務大臣   林屋亀次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (内灘試射場に関する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から委員会を開きます。  本日の議題は先般来問題になつております内灘試射場の問題が中心になるわけでございます。重大な段階に立至つております関係上、特に今日は林屋国務大臣に御足労を頂いております。林屋さんのほうは二時にお約束があるそうでございますので、できるだけ先生の御協力を頂きまして、十分前にでも何とかやめたいと努力はいたしております。それから岡崎外務大臣はもうこうした話中に多分見えられると思います。その他外務省から伊関国際協力局長水産庁清井長官調達庁根道長官、おのおの出席されることになつております。内灘試射場の問題につきまして何か御質問がございましたら……。
  3. 青山正一

    青山正一君 ちよつと議事進行について……。いろいろ補償の問題もありますし、水産庁長官とか、それからあちらから来ておりますか、どうなんですか。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 水産庁長官はまだ来ておりませんが、必ず来ることになつております。
  5. 青山正一

    青山正一君 調達庁は。
  6. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 調達庁根道長官が来ることになつております。  ちよつと林屋さんにお尋ねしますが、どうしても二時までとはつきりいたしておるのでしようか。特別のことでございますので多少のまあ御協力を頂いてもよろしうございますか。できるだけ早く切上げたいと思います。
  7. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) どうぞ。
  8. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 時間の関係がございますから、如何でございますか、林屋国務大臣に特にお話を承わるようなところからあれば、御出発頂きたいと思いますが、よろしうございますか。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 内灘の問題も非常に複雑な経過を辿りまして、そしていよいよ六月十五日からアメリカ軍試射が開始されるようなことになつたのであります。で、この問題につきましては、すでにいろいろ論議されたところでありますが、一番問題になりました点は、やはり昨年の暮に政府閣議の結局といたしまして内灘を四カ月に限つて使用する、こういうことできめたのでありますが、そして地元のほうも大体そういうふうに了解しておつたのでありますが、それが延期される、而も永久使用というようなことに政府態度がきまりましたために、内灘村民たちが激昂したことから非常にもつれて参つたように思うのであります。従いまして最初にこの政府が四カ月ときめたか、それとも岡崎外務大臣或いは伊関国際協力局長の言うように、腹は最初から永久使用であつたのだ。併しまあ試験期間として四ヵ月というふうにしたのだというふうなことであつたのか、これはこの問題についての重要な点だと思うのであります。そこでこの問題に最初から直接タッチされまして、そうして内灘村民と直接お会いになつて、四カ月の問題について内灘村民内閣決定を伝えられまして、そうして約束をされました林屋さんに、私どものほうでおいでを願いまして、この四カ月にきめた問題についてのいきさつをお伺いしたい、こう思うのです。で、当時の内灘使用問題についてのいきさつ、それから四ヵ月ということがどういうふうないきさつできめられて、且つ内灘に通達されたか、それを一つ当事者であられる林屋さんから詳しく御説明を願いたいと存じます。
  10. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) お答えをいたします。内灘試射場の問題が世間に知れ渡りまして以来、村は試射場設置には反対の意を表しておつたのであります。たまたま十一月の二十五日か、二十六日の閣議でありましたか、この問題に対して是非とも私が故郷でもあり、その関係上行つて交渉してくれというそのときの話合がまとまりましたので、私が参つたのでありますが、出立前に石川県における超党派的に国会議員即ち衆参両院議員を私の部屋に全部お集まりを願つて政府の意のあるところをお話いたしたのであります。村自体承知されるならば我々には何ら異議なしという結論を得て私は金沢出立をいたしたのであります。その閣議話合は、冬季間四ヵ月を使用いたしたいが、緊急を要するので冬の四ヵ月、本冬四ヵ月だけの使用でもいいという話合がありましたので、成るべくならば政府の要望するところを実行に移したいと思つて私は参つたのでありまするが、なかなかその当時の反対が強いのでありまして、本冬季間四カ月ということを限定して決定いたした次第であります。当時反対のその理由は主に風紀問題であつたのであります。私は私宅におきまして村の有力者各位と、二、三十人おられたと思うのでありますが、三日間に亘つていろいろ協議いたしましたその結果、本冬季間だけということに決定をしたのでありまするが、何分にも風紀問題というものを、再び言うようでありまするが、非常に心配をしておつたのでありまして、御承知通り国警も増員いたしまして、これを使用することに決定することにいたしたのであります。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今林屋さんのお話によりますると、冬季期四カ月に限るということが内閣での決定であつた、そういうふうに言われておるのであります。この点は昨年の暮の予算委員会におきまして私が林屋さんに御質問申上げたときの御答弁と同じであります。従いまして林屋さんのお立場からすれば、閣議は四ヵ月に限定した、そういうふうにお考えになつて、この問題について内灘のほうへ伝えられもし、又その四ヵ月ということに基いて林屋さんは内灘折衝されたということは、これで明らかと思うのであります。ところがこの問題につきまして、伊関局長はそういうふうにお考えになつておらんようであります。これは六月一日の参議院水産委員会におきまして、私が伊関局長にお伺いをいたしましたところが、こういう御返事があるのであります。これは速記録に出ておりますが、「私のほうじや、それじややつて見ればわかるから、やつて見て問題がなければいいじやないかというわけで、先ず四ヵ月にして、その間実際に試射を開始いたしまして、そういう地元で心配するような事態がなければ、そこで地元と又話をして又延ばして行くということをして、初めから延ばすほうを考えておつたのです。」、こう言つておるのです。果してそういうお考えを持つておられたのか。閣議のほうでは本当に四ヵ月というつもりでおられたのか。それとも伊関さんの言われたようなことで、先ず四ヵ月試験期間でやつて見よう、腹は永久使用なんだということで御折衝になつたのでしようか。そこをはつきりして頂きたいと思います。
  12. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) その当時村に大会が開かれましたのであります。私はその大会に行きまして、内灘村というものは、御承知通り右は河北潟を控え、左は日本海を控えておりまして、今日生活をいたしまするのにも出稼ぎをするよりほかに途がないのであります。御承知通り三分の二くらいは出稼ぎをやつてあと女子の手で金沢の市中にそのとれた僅かな魚を売つて生活を営んでおるという状態でありまするので、万一風紀問題が安心をされるようならば、内灘村としては百年の計をこの際考えなければならんのじやないかということは、私は堂々と村の大会において叫んでおるのであります。従いまして四ヵ月を使用した後、改めて政府としても、又村としても考えられたらどうだということは、これは村の当局は全部承知しておる話であります。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 ところがですね、伊関さんのお答えは、もうそのときすでに内灘のほうは永久使用の腹になつてつたというふうに言われておるのです。これはやはり伊関さんのお答えですが、「現地に参りまして、ですから初め非常に反対が強いときに四ヵ月でもやむを得ないというふうな話をされたのであります。併し現地でいろいろその後交渉をしまして、だんだん空気緩和して参りますと、この大体の見通しは無期限に使えるだろうという見通しが付いた。ですから交渉中にずつと変つて来ているわけであります。」、こういうお答えがあつたのであります。併しあの当時の新聞なり、又私どもが当時いろいろ集めました情報によりますというと、あなたが向うに行かれましてから却つて非常に反対が強くなつた。だんだん交渉中に軟化して、内灘のほうで以て永久使用やむを得ないとするような腹になつたとは思われない。そういうふうにお感じになつて帰つて来たかどうか。それとも伊関さんの言われるように、もう内灘のほうはあなたの説得によつて永久使用の腹になられたのかどうか。その点のあなたのお感じなつたところをお話願いたい。
  14. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 村民の腹を考えるわけには私は行きませんのでありますが、私の感ずるところによりますと、あの選挙中、参議院選挙中でありましたが、非常に石川県全体が反対だ、内灘アメリカ林屋が売つたのだという標傍のもとにやかましく騒がれたのであります。従いまして私の有志各位内灘村に行けば必ずもう袋叩きに会うだろうというような懸念さえもあつたのでありますが、私は自分の良心に誉めるところがありませんので、トラックに乗つて内灘に入つたのであります。決してさような空気はなかつたのであります。内灘の老婆の三、四人は私がトラックに乗つておるのを、手を合せて私を仏を拝まんばかりにして感謝の意を表しておられました。なお役場の前におきまして私が立候補の挨拶をいたしました。そのときは村民挙げて私の方歳を三唱して私を送つてくれた状態でありまするので、私の考え内灘村は、一部のかたはわかりませんが、全体のかたは大体において何ら今まで心配しておつたことは杞憂であつたというような感じがしたのであります。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 私の御質問をよく御理解にならなかつたと思うのですが、私は林屋さんが昨年の十一月ですか、十二ですかに、向う交渉に行つたときのお話を聞いておつた選挙のときのお話じやないのです。そのときに伊関君のお話ですと、交渉中にずつと態度変つて、無期限に使えるだろうという見通しが付いた、こういうのです。それならば、そのときになぜ無期限にしなかつたのだ、そのときに四ヵ月に限つたのか、こういう疑問が湧くので、そのときに果して伊関君の言うように永久に無期限使用できるような見通しが付いたかどうかということをお伺いしたいのです。
  16. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 外務省見通しを付ける付けんは外務省としての見解でありましよう。私の考えるところは非常に緩和をしておりました。緩和をしておりましたということは、村の幹部は常に外相の官邸に参りまして懇談をいたし、そのときに各政党の代議士は全部寄られまして、お互いに懇談をし合つておるのでありますから、私は空気緩和しておると思います。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 それならば、なぜあなたがそう感じられたのならば、これは四ヵ月というふうに限定しないで、政府のまあ外務大臣の腹は永久というのでありましたから、その永久使用の腹で臨まれなかつたのです。
  18. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) それは永久使用の腹で臨まれなかつたという御質問は、私はちよつと了解に苦しむのでありますが、私の申上げることは、それを決定した後ですよ。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 ところが伊関君のお答えでは、あなたが向う交渉に行かれて、そうして大分内灘の連中に吊し上げなつた。あなたはあのときのことを言われておる。
  20. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 前の予算委員会にも岡田さんは吊し上げ吊し上げとおつしやいますけれども、決して私は村民には吊し上げになつておりません。吊し上げになつておらない証拠には、三日間も懇談懇談を重ねる機会があつたのでありますので、この点は特に御了承おき願いたいと思います。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、吊し上げお話を聞いておるのではなくて、その際にあなたは、内灘永久使用やむを得んという腹になつてつたかどうか。それならばあなたは四ヵ月ということを切つて帰つて来なかつたはずだと思うのですけれども、どうも懇談懇談を重ねた結果四ヵ月ということで話が付いたと言うのですね。
  22. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) そうです。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、どうも永久使用の腹であつてだんだん緩和して来たという伊関君の言うのと、少々あなたの見るところが食違つておるように私どもには感じられるのです。
  24. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) それは四ヵ月を決定の後です。私は伊関君はそういう考えだろうと思います。四ヵ月に決定するときに緩和したのでなく、四ヵ月に決定した後緩和をしておると思います。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ林屋さんはとにかく閣議決定は四ヵ月であつて、そうして四ヵ月に限るという話を向うへ持つて行かれて、そうして四ヵ月でということに限つて話の成立をされたということは、只今林屋さんの御答弁はつきりしておるのであります。ところがまあ岡崎外務大臣は、本会議における私に対する答弁や、或いは同じ考えと思われる伊関さんの答弁からいうと、最初から永久使用の腹であつたが、併し試験的に四ヵ月使わして見たんだ、こういうことで大分林屋さんの言われるところと食違つておられるように思うのですが、私はどうも林屋さんの言われておることが当時の状況としては本当ではなかつたかと思いますが、岡崎外務大臣は、その当時果して四ヵ月としたのか、それとも最初から腹は永久使用の腹であつたということであるのか、そこを一つ岡崎外務大臣からお答えを願いたいと思います。
  26. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は内灘地方試射場は初めは継続的にずつと使用したいつもりで考えておつたんであります。ところが今お話のようになかなか反対が多い。然るに試射場のほうは早く作らなければならない。そこで緊急の必要がありまするから、その反対の方面のことも考慮して、閣議におきましては四ヵ月間の一時使用ということで、林屋国務大臣に当時お願いいたしたんです。併しながら、できれば続いて使いたいという気持もありましたからして、そういうことになることを希望しておりました。併しその後報告によりますると、とにかく反対はあつたけれども、四ヵ月ということについては林屋国務大臣地元了解を得て来られたということであります。そして而もその後の情報をだんだん集めて見まするというと、風紀の問題とか、アメリカの将兵との間に摩擦が起らないかどうかという問題、或いは村に対する厚生施設と言いますか、いろいろの施設等もありますが、こういうことが別に問題なく、且つ村に有利なように解決するならば、四ヵ月使用後も更に継続して使用することについての話合は可能であろうという見通しがあることを承知しまして非常に喜んだんであります。それが私どもの知つておる範囲の経緯です。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、岡崎国務大臣は、最初から四ヵ月ではなくて永久使用の腹であつたと、併しまあ反対も強いしするから、差当り四ヵ月、こういうことであつたようでありまして、大分林屋さんの言われておるところと、これは食違つておるように思われるのであります。林屋さんのほうは、初めから長いこと使用するんだが、併し藤的に四ヵ月ということは言つておられなかつたようであります。これがまあどうも政府内灘村民に対しまして二つの態度を以て臨まれたということになるので、私は問題がもつれて来た、こういうふうに見るのでありますが、この点について先に伊関君にもお伺いしたんでありますが、私はそれは一体腹は外務大臣の言うように永久使用、併しまあ試験的に四ヵ月ということで臨んだんだが、併し反対が強いから林屋さんはそういうことを言わないで四ヵ月、それでまあ内灘のほうは四ヵ月ならということで応じた、こういうことじやないかと思うのです。で、林屋さんがあのときに、例えば試射場の中に入る国有地あと払下げるということを言われておる、この払下げるということも、永久使用でずつと先の、それが解除になつてから払下げるという意味でなくて、やはり相当短かい期間であつて、それが終つたのちに払下げるというふうに解せられるのが、これは常識だろうと思います。そうすると、その点から推して見ても林屋さんのほうは四ヵ月、それから片方のほうは試験的の四ヵ月、まるで態度が違うと思うのです。ですから内灘村民に対して、私は政府が二枚舌を使つた、ぺてんにかけたと言わざるを得ないのでありますが、これに対して大臣はそうじやないと言われるかも知れませんけれども、全体今の二人の御答弁から見るというと、どうもそういうふうに考えられるのでありますが、果して林屋さんはそのときに、やはり外務大臣の言う長いこと使用したいということを腹に収めて、四ヵ月というので御折衝になつたのでしようか、もう一度念を押しておきたいと思います。
  28. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) なかなかむずかしい問題でありまして……。
  29. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと私の説明に対して申上げたいと思いますが、よろしうございますか。
  30. 森崎隆

    委員長森崎隆君) どうぞ。
  31. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今岡田君のおつしやつたことは、少し私の言つてることを正確にお話になつていない点があると思いますから、念のために申上げますが、私の腹というのじやなくして、初め内灘を使おうというときには、継続してずつと使いたいというつもりでやつてつた。ところがいよいよ話を初めようというときに地元反対がなかなか強い、そこで片方には急いで試射場を作らなければならん関係もあるからして、そこで閣議におきましては四ヵ月使うということをきめて、そうして林屋国務大臣にお願いをいたしたのであります。初めに私の言つたのは余計なことかも知れませんけれども、つまり当時閣議に出ましたのは四ヵ月ということで出たわけであります。そこでその後にだんだん状況地元等了解もよくなつたようで、このほかの条件が充たされるならば、つまり風紀の問題とか、その他の点で更に話合の可能性ありという情報もあつたからして、それじや一つそういうことであつたならば、改めて話をしようというつもりで来たということを申上げておる。何か私のほうは初めから長くそこを使うつもりでいながら、取りあえず四ヵ月と言つて試験的にやつて見ると、こういうようなことで言つたのではないのでありますから、ちよつと念のために申上げておきます。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今岡崎さんの言い方を聞いていると、それは腹じやなかつたというふうにもとれるのですが、どうも長いこと使う意向であつたということも言われているので、どうも意向と腹とが、これは同じか同じじやないか、言葉の上の問題ですが、私のほうはどうもそういう意向であつたと言われることはやはり腹であつたと解釈する以外にないと思うのですが、岡崎さん、如何ですか。
  33. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 意向であつたということは、まだ内灘村にきめる前には、内灘村にきめたときにどれだけの反対があるかというようなことははつきりしないわけであります。まあ大体余り好まないであろうという予想は付きますけれども……。そこで内灘にきめる前には、これをずつと使うつもりで内灘を指定しようとしたのだということを申上げたのであつて、ただいよいよきめる段取にだんだん近くなつて来ると、いろいろ反対があつて、なかなかそんなことじや話が付きそうもない。そこで緊急を要するから四ヵ月と切つてつた、その後の事態は新らしい問題として出て来たわけです。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、岡崎さんも初めは長いこと使うつもりだつた、併し反対があるから、緊急を要するので四ヵ月にした、こういうお話つたのです。それじやその四ヵ月という日を切つたことをアメリカのほうに通告をして、そうしてアメリカに対して四ヵ月であるということをはつきりとお約束したのでしようか。この点重大だと思います。
  35. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 十二月の三日の日に米側に、合同委員会の席上で、四ヵ月ということを申してあります。将来の問題については、将来交渉してうまく行けば使えるかも知れんが、今のところは四ヵ月とはつきり私が申しております。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、初めははつきり四ヵ月であつた、途中で形勢変つて来て内灘のほうが永久使用考えて来たから、形勢がよくなつたから延ばせるだろう。こういう見込みであつたように思うのですが、それならば四ヵ月の満期にならない前の、つまり四月三十日以前において、継続使用の問題について果して内灘に対して正式の交渉をどなたかおやりになつたかどうか、名古屋の特別調達局なり、或いは国際協力局なりで、そういう手続をおとりになつただろうか、それをお伺いしておきます。
  37. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 日ははつきりいたしませんが、三月の末に村長並びに村会議長を私のところに呼びまして、交渉をいたしております。それから四月も、これは大分差迫つて参りましたのでありますが、四月二十八日にも外務省農林省、それから調達庁課長現地に出して交渉をしております。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 そのときに、先ほど林屋さんの言われましたように、永久使用を承諾するというように、あなたがたに察知せられたのでしようか。
  39. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) その点は永久使用を承諾するとは申しません。村長並びに村会議長も。……併し永久使用の場合には政府としてこういうことを考えておるという話をいたしまして、その条件を持つて帰つて、よく相談をしようということで帰つたわけであります。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、先ほど言われた、あと形勢がだんだん変つて来て、村のほうで永久使用もやむを得なかろうというようになつたことは大分違うようです、先ほどのお話ですと、村のほうが大体承諾するというような形になつて交渉されたところが、向うは請合わない、これじやどうも伊関局長の言うことを私は信ずることはできない。
  41. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 大部時間的にお話がズレております。私が申しましたのは、十一月の末に交渉に参りましたときは、当時の空気で、やむを得なければ四ヵ月でも仕方がないという閣議了解林屋大臣はお出でになつたのであります。それでそういうお話をなさつたわけでありますが、その後先ほど林屋大臣お話になりましたように、三日間に亘つて村の当局交渉いたしまして、その交渉の過程において空気緩和して来た、こう申しております。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 空気緩和して来ておるならば、あなたのほうでは大体そういう話を持ち出して、村側の大体の意向というのは伝えられて来たものと思われるのです。併しながら、あなたのほうで呼出して、村長なり村会議長折衝されたところが、向うはつきり返事をしないということであれば、これは空気緩和されて、そうして永久使用向うでやむを得ず承諾したともとれないと思うのですが、これはどういうことでしようか。
  43. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私は永久使用を承諾したとは、この前の委員会でも申しておりませんので、この前の委員会では、だんだん空気緩和して参りますと、この大体の見通しは無期限に使えるだろうという見通しが付いた、こういうふうに私の楽観であつたかも知れませんが、これは無期限に使えるのではないかという私は考えを持つたのであります。併しその交渉は、政府は将来の村の更生策について、どういうことをやるかということについて、政府部内でも検討しなければなりませんし、風紀の問題が一番大きかつたのでありますが、実際に交渉を開始して見まして、風紀の問題が何でもないということがわかつたときに、政府の更生策を考えて見まして、そうして両者が一緒になつたときに交渉をしよう、こういう交渉をしようという点、は、はつきりして帰つて来たと、こう申しておるのであります。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 いずれにしても空気緩和して、向うが受けそうになつたというふうには私どもにはとれないのでありまして、まあ、あとからだんだん辻律を合せて行こうというだけの御答弁ですから、もうあらゆる答弁が食違つているように思われるのであります。殊に緒方副総理のごときは、四ヵ月で打切つたアメリカのほうから新らしく要求が出て来たので研究中であるというような御返事も頂いているのであります。そこで今度は伊関さんに伺うと、いや、改めてアメリカのほうからそういう要求が来たという御返事なんです。そういう工合にすべてがとんちんかんということは、結局私に言わせれば嘘はつけないということだと思うのであります。どう考えて見ましても、これは初め林屋さんは向うに行かれて、現地空気からして四ヵ月とする以外にない、こういうことで四ヵ月とされたというふうに私どもには思えるのであります。併しながら岡崎さんなり、或いは伊関国際協力局長なりは、やはり初めの考えを持つておられる、そうして今日林屋さんが大臣を去られたのちにおいては、やはり初めの考えを貫かれようとするというようなふうに、どうも私どもにはとれるのですが、もう一遍はつきり岡崎外務大臣お答えを願いたいのですが、これはやはり途中でそういう意見になられたにせよ、何にせよ、永久使用にするということは四月三十日以前にそういう腹になられたと解してよろしいのでしようか。
  45. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 四月三十日以前に是非交渉してそういうことにしたいと考えたのであります。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、アメリカから新らしい要求がなくても、あなたのほうで自発的に永久使用がいいというふうに、この期日の尽きる前にお考えになつて永久使用の腹になられたと、そう解釈してよろしうございますか。
  47. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 使用をしたいという希望が腹というのであるならば、その通りであります。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、緒方副総理が過日の参議院会議で答えられました、「昨年内灘使用につきまして四ヵ月に限定いたしましたことは、只今質問通りでありまするが、本年四月後になりまして又新たな要請がありましたので、この新たな要請に従つて今研究中であるのであります。」ということは嘘でございますか。
  49. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは緒方副総理に私は確めて見ました。緒方副総理から直接お聞きになるのが順当ですが、私間違つているかも知れませんが、先ず直接確めたのだから多分間違つていないと思いますから申上げますが、緒方副総理は非常に多忙であつて思い違いをしておつた、それはアメリカ側から早く試射場を使いたいという、つまり新たなのではなくして、更に話合いが付くなら早く使いたいという希望があつたのを、新らしい要求というふうに誤解しておつたということで、この点は訂正をいたしたいというお考えのようであります。
  50. 松浦清一

    ○松浦清一君 まだ岡田委員質問つているかも知れませんが、外務大臣、それから林屋さん、時間の都合があるそうですから、簡単に私要点だけ伺いたいのですが、内灘試射場問題が今なお紛争を続けているという原因について、国民はどういうふうに印象しておるかというと、一番には、十一月二十五日の閣議で四ヵ月に限り使用するんだということを、ここの中ではそういう点があつたかも知れませんけれども、一応閣議でそのように決定をして同時に林屋国務大臣現地に行かれた。お話を伺うというと、三日もかかつて村の有力者といろいろ懇談なすつたそうですが、その話の過程において、一点明確にしておかなければならないことは、初めから四ヵ月限りという閣議決定を率直に持つて話をしに行かれたのか。それとも今までの外務大臣の御答弁の中でございましたように、閣議の公式の決定は四ヵ月であるけれども、内部的には村民の同意が得られるならば、引続いてそれを使用したいという考えであつた外務大臣は言われる。それから林屋さんも内灘村八千二十三人の村民生活というものが、この村の漁業だけでは維持して行くことができないので、多くの人たちが出稼ぎに出ておるような村であるから、若し試射場使用することによつて、更生施設なり、風紀問題なり、或いは生活の保障等というような問題が解決が付くならば、この際内灘村民として将来の生活の方針について考え直す必要があると、こういうことを考えておつたと、こういうことでありますから、四ヵ月に限つてということに話をされたのか、三日間の村の代表者諸君との懇談の過程において、若し将来の村民生活が安全に保障されるというような話合が具体的に付くならば、永久使用してもよいつもりであるかどうかということを、具体的にお話なつたかどうかということを明確にいたしておきたいと思います。
  51. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) その通りであります。只今の御質問通りであります。
  52. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 実は外務大臣に、今遺骨引揚等のことで、日本赤十字社その他三団体が陳情に参つておる、それからもう一つは、予算が衆議院で審議されておる。それで是非ちよつて出て頂きたいという要求がございますが、如何でございますか。
  53. 松浦清一

    ○松浦清一君 簡潔にお答えを願いたいと思います。
  54. 千田正

    ○千田正君 私も松浦委員あとに一、二点だけお伺いしたいと思います。
  55. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで筋道として考えられることは、未だに紛争を続けておるということは、政府の責任であると言つてしまつては実も花もないことですが、世間で言われておる四ヵ月ということは、閣議決定はあつたけれども交渉の過程においてはそういう話合をしたのではなくて、四ヵ月使つて見て、そうして内灘村民生活というものが安全に保障されるという見通しが付くならば永久使用してもいいという、そういう政府の方針で交渉されたと、こういうふうに了解をしていいわけでございますか。これは林屋さん、外務大臣両方からお答えを願いたい。
  56. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 今の御質問の中に、ここにおいてということはないのでありまして、四ヵ月に限定したには相違ありません。それから協議の中には、内灘百年の計を立つる上においては、政府が極力誠意を披瀝するならば、戦争中、戦争前にもあそこは軍事の演習地よりほかに使い途のないところであるから、よくこの点を考えらるることが必要だということは、私は石川県の国会議員としてよく村民に納得行くように話をして参つたことにも相違はございません。
  57. 松浦清一

    ○松浦清一君 外務大臣にも御答弁を願つておるわけですが、重ねて外務大臣にお伺いをしたいのは、そこで私は善意に解釈して、内灘村民の諸君が了解をするならば、永久使用するのだという方針で政府交渉に臨んだという点を、いろいろまあございますけれども、それを理解するという建前に立つてお伺いしたのですが、その後受けた村民の諸君は了解をしておらない。現実にまだ内紛を続けておる。そういう姿が今の状態である。そういう状態にあるにかかわらず、外務大臣は、先般の衆議院の本会議で、一部の煽動分子が煽動しているんで、それが表面上のもめごとである。言葉は違うかも知れませんが、実質的には内灘村民の諸君は了解しているのだということを答弁をされて、その事実を挙げてもらいたいという議員の再質問に、新聞にそのように出ているというような問題を起されたこともあるのですが、その点について村民の諸君は了解をしているんだと今日まで政府当局はお考えになつているんでしようか。
  58. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは、継続して使用する場合には、先ほど林屋さんからもお話がありましたように、いろいろの政府としても内灘村に対する更生策と申しますか、例えば漁港を作る問題だとか、或いは畑地の灌漑をする問題であるとか、或いは交通施設について考慮するとか、まあいろいろなことがあるわけでありまして、そういう点でやはり継続して使用をさせて、そういうことを、村なり、その地方に有利に解決しようという希望をする人は相当多いと私は了解しております。
  59. 松浦清一

    ○松浦清一君 今なお反対を続けている諸君は国会にも陳情に見えておりますが、それは村民自体ですか、外務大臣考え村民以外の人なんですか。
  60. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私の会いましたのもありまするが、それは村民の場合もあり、村民以外の場合もあるのであります。
  61. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、村民が相変らず了解しないで反対運動を続けているということは御肯定になつているわけですね。
  62. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 一部の人がそういう態度であることは私も承知しております。
  63. 松浦清一

    ○松浦清一君 一部とはどのくらいなものなんですか。
  64. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それは私にはわかりませんが、例えば陳情に来る人の数とか、或いはあそこの権現の森とかいう所に座り込みをやつている人とか、そういう数はわかりますが、それ以外にどれだけの人が反対しているか、或いは反対を言いながらも、それほどでない人もあるかどうか、そういう点はわかりません。
  65. 松浦清一

    ○松浦清一君 全部ではないかも知れませんが、ともかくも村民の諸君がまだ了解をしないで反対をしている。座り込みをやつているし、それから国会に陳情に来ておられる。こういう人たちに対して、政府の対処方針はどのように立てておられるか伺いたい。
  66. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私はできるだけ事情を話しまして、結局納得してもらえるように努力するつもりでございます。
  67. 松浦清一

    ○松浦清一君 若し納得を最後まで得られなかつた場合にはどうされるのか。
  68. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) そのときには又そのときに臨んで一つ考えなければなりませんが、できるだけ納得の行くように只今は努力するつもりでございます。
  69. 千田正

    ○千田正君 外務大臣にお伺いいたしたいのですが、先ほどから各同僚委員からの質問がありましたように、この問題は紛糾し始めてから、外務当局としましては、その他の地域において適当なる場所を、これに代るべき方面を十分に調査されておられたかどうかということ。なお今後この問題が紛糾を更に続ける場合において、全然これを放棄するという意思がないのかどうか、ほかに代るべき土地が絶対にないという考えのもとに、当初から外務省としてはこの問題だけを重点的に考えておられたかどうか。その点を一つ伺いたいと思います。
  70. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ほかの方面も物色をいたしまして、いろいろ考慮し、調査をいたしましたが、いずれも相当の不便があつて適当であるとは言えないのであります。併し先ほど申した通り、どうしても村民の言うような風紀の問題がとてもいかんとか、或いは将兵との摩擦が非常に大きくてとてもいかんとか、とてもしようがないという理由があれば、これは不便不利があつても又別に考えなければならんということもあるわけでありますが、今までの結果から言いますと、幸いにしてそういう点の懸念は殆んどなかつた、他方、片方の候補地と無理に考えた地域は非常に不便が多いのでありますから、只今のところは今の決定を変更する意思はありません。
  71. 千田正

    ○千田正君 最後に一点、憲法で規定されているところのいわゆる国民の権利、いわゆる付与されたところの人権というものの権利というものと、それから外国との条約によつて設定されたところの条約によつての、仮に国民個人の権利の侵犯という問題に対しての根本的な考え方は外務大臣としてはどういうふうにお考えになつておられますか。
  72. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は国民の基本的の権利というものは、これはもう当然認めるべき、あらゆる尊敬を払わなければならんわけであります。が同時に、これは例えば公共の福祉であるとか、その他の理由によつて承る程度の犠牲と言いますか、或る程度制限があることもこれは当然のことと考えます。その間の調整をできるだけ図るようにするのが政府の勤めだろうと思つております。
  73. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 外務大臣に対しましての御質疑はまだあると思いますが……。
  74. 千田正

    ○千田正君 これは質疑じやありませんが、外務大臣に対して……。この問題は非常に重大だと思います。国民の基本的権利の保障という問題、外国との間の条約による国民の権利の侵害という問題に対しては相当そこに調整しなければならないという点は、これは公共の福祉であるかどうかということは、再軍備或いは自衛軍というような問題を契機とされて、今日においてはこの問題は非常に重大であると思いますが、疑義がありますから、これはいずれ又機会を改めてお尋ねいたします。
  75. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 外務大臣は実は衆議院の予算委員会と三十分の時間限定で約束しておりまして、相当過ぎて向うからの矢の催促でございます。あと御質疑があると思いますが、次の機会に譲つて頂きます。林屋亀次郎君のほうも大分時間が過ぎておりますが、如何ですか、もうちよつとだけ、なければ結構ですが、如何ですか。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 外務大臣がおられないと、この四ヵ月の件を明らかにすることが非常に困難になつて来たのでありますが、それは別といたしまして、昨年の十二月にきめます場合に、内灘に対しましては五千五百万円の見舞金を出された、この見舞金というのは、今までのそういう基地なり、演習場なりの使用については全然先例のないことであつて、まあ林屋さんの力によつて或いはそういう先例が開かれたものと思いますが、林屋さんがこの内灘に対して五万円の見舞金を出すのが至当というふうにお考えになりましたいきさつ、それからその五万円というのはどういうところから妥当なりとお考えなつたか、そこを一つお伺いしたいと思います。
  77. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 昨年の予算委員会におきまして、私の申上げるところはあなたにお答えをしてありまするので、速記録を御覧願えば結構だと思います。
  78. 岡田宗司

    岡田宗司君 大変そつけない御返事のようでございますが、(笑声)これも又今後のいろいろの問題とも関連がございまするので、まあお伺いしたわけなんでありますが、大分この問題について今後もいろいろな先例となりまして問題が起ろうかと思うのでありますから……。なおそのときの内面的な事情は何もお話になつておらん、一つそのときの内面的な事情を、五万円出されるようになつたことを、ちよつとお漏らし願いたいと思います。
  79. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) いろいろ村の有志と懇談をいたしておりまするが、なかなか最初承知しなかつたのでありまして、どういうわけで承知をしないというと、アメリカ軍が来れば風紀問題が重大なる問題だ、その風紀問題の重大なる問題ということは、この席で言うことはちよつと憚りますが、その一ヵ月以前に石川県の小松市における風紀問題が一つつたのであります。その風紀問題がアメリカ人なりと断定を下して、これをやかましく取上げたのでありますが、それはアメリカ人でなく日本人であつたのであります。そういうような空気が非常に私が行つたときには多少緩和しておりまして、成るほどアメリカ人じやなかつたということは、石川県には小松市にも飛行場にアメリカ軍が駐屯しております。又能登の輪島町にもアメリカ人がおられます。これが今日まで風紀問題というものが少しもないにもかかわらず、もう重点が風紀問題でありまして、我々は荒屋に住んでいるのだからこれが実施される際には是非とも戸締りから、すべての点において非常に入費がかかるから、何とかこの点も考慮してくれということを懇談的に私に申されたのでありまして、そのとき村のほうにもかなりの要求があつたのでありまするが、私は政府が日本の産業面から、又外交の客観的情勢から見ても、この試射場というものをどうしても緊急に設置しなければならないという意思のもとに私は五千五百万円を決定いたして参つたのでありまして、それを閣議にかけましたところが幸いに査定を受けましたので、それを実行に移したような次第であります。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 あの五万円の見舞金というのは四ヵ月に対して、四ヵ月と言いますが、とにかく四ヵ月間に対するものということを前提としての五万円でございますか。それとも腹は永久使用ということで見舞金五万円出すということであつたのでございましようか、そこを一つ明らかにして頂きたいと思います。
  81. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) それはその当時としては四ヵ月ときめたのですから、四ヵ月でありますが、その際は私は先ほどから申上げた通りに、村民に対しまして内灘百年の計を立つべきは今じやないか、いつも家庭が離れ離れになつて女ばかり留守をしていなければならなかつたのだから、この際政府に十分に更生施設をやつてもらつて、四ヵ月後一応改めて又相談する必要があるのじやないかというような点を十分に強調して参つたのであります。
  82. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、その五万円を出した場合に、内灘百年の計を立てるために四ヵ月後にも考えるということの含みがあつてお出しになつたととつてよろしうございますか。
  83. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 有無相通じましようね。
  84. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますると、どうもその五万円をきめましたときのあなたの態度も、やはり将来少なくとも永久的に使用するということを腹へ納めてお話なつたように受取るのですが、どうでしよう。
  85. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) さようなことはありません。私はね、次に相改めてやられるときには村も非常に緩和して来るから、外務省もやりやすいのじやなかろうかという意思も多少働いておつたかも知れません、けれども四ヵ月には相異ありません。
  86. 森崎隆

    委員長森崎隆君) まあ大体林屋さんに対する質問を終えたいと思うのでございますが、今の林屋さんの内灘百年の計ということをちよつと一つお伺いします。私もあそこを視察して参りました。砂丘地帯で全く寒村に過ぎない所でありますが、あの内灘百年の計というのは、アメリカ軍永久使用を許して、その代償として例えば五千五百万円を受取るなり、道路を作るなり、或いは公共建築物を作るなり、或いはまあ今後の問題等もありましようが、船だまりを作るなり、或いは河北潟の干拓をやるなりということなんでしよう。そういたしますと、アメリカ軍にあの土地の永久使用を許すということを前提として内灘百年の計を立てろ、こういうことなんでございますか。
  87. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 私は永久ということは、アメリカ軍がそう永久にあそこに駐屯しておる必要もないと思うのですがな。それはお互いに見解を異にするところであります。
  88. 岡田宗司

    岡田宗司君 併し外務省の方は永久使用永久使用という言葉を使われておるので、私ははつきり永久使用ということを申上げておる。
  89. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 私は日本が独立した以上は、いつまででもアメリカに頼る必要はないと思つております。
  90. 岡田宗司

    岡田宗司君 併しなぜ外務省はそれじや永久使用と言われるのか。
  91. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつとお待ち下さい。
  92. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 永久使用という言葉は、我々のほうでは無期限使用と言つておるのです。世間で永久使用というふうに言つておるわけで、正式には無期限使用と言つておるのでございます。それは期限切つてないということでございます。これでもまだ何と言いますか、世間に誤解を与えますので、最近からは継続使用という言葉に直しました。(笑声)
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはもう噴飯ものでございまして、永久使用がどうも悪ければ、何というか、無期限使用、無期限使用が悪ければ継続使用継続使用も悪ければ何と変えるか私知りませんけれども、とにかく無期限に、期限をきらずアメリカ軍が要求するだけ使わすということだけは明瞭だと思う。そういたしますと、林屋さんの百年の計は、その無期限使用なり、継続使用なりということを前提としての百年の計だ、お前のほうは海岸の八千五百ヤードは全部アメリカに使わせろ、漁業はやめろ、その代り代償を受けてお前の百年の計を立てろと、こういうことだと承わつてよろしうございますね。
  94. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) それはあなたの解釈は余り今アメリカ軍にこだわつておられるようでありまするが、現地を御覧になつてもわかりましよう、あれは県道です。石川県の県道でありますけれども、寒村でありまして、県としてはあの道路はなかなか直す経費はないのであります。だから私はこの機会にあの砂丘地の二百町歩というものは、長年我々若い時代からあれを田畑にしなければならんとか、畑地にしなければならないとか言つて叫んで来たわけでありますが、それは到底できなかつたのであります。だからこの機会になかなか普通の予算では取り得ないから、これはあなたがざつくばらんに言えとおつしやるから私は言うのですよ。だからこの機会に内灘を更生して行けば、夫婦も半期間というものは離れ離れなんです、出稼きで……。実際あそこで魚をとるということは些少なものであります。河北潟も最近まではあの河北潟干拓ということで我々随分叫んで来たのでありますが、漁業権の問題で片が付かなかつたのであります。ところがこの頃行つても魚というものはどだいとれないのであります。これではより以上に出稼ぎをせねばならないという声もあるために、私はこの点を強調したことを一つ御了承おきを願いたいと思います。
  95. 松浦清一

    ○松浦清一君 今の永久か、無期限かの期限問題に関連してお答え願いたいのですが、あれはどうなんでしようね。この間新聞で見たのですが、記憶違いかも知れんが、あすこで試射をしている弾は保安隊が使う弾だというと、どうもおかしいのだが、保安隊が使う弾を駐留軍に一遍渡して、駐留軍が試射をして、そして保安隊にお下渡しになるのかどうか知らないが、そういう関係だと、こういうのですが。それは間違いないのですかね。
  96. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) あそこで試射しております弾の大部分は、現在の軍の計画では保安隊に参ります。但しこれは保安隊は弾のもらい方が二つ今ではできて来たわけです。今まではアメリカで作つた弾をもらつてつたのです。それを今度は米軍が日本で弾を作らしてその弾を買つて試験をして、そして渡すという渡し方が新たにできて来たわけなんです。保安隊からして見れば、いずれにしろ米軍から弾をもらつている。併しそのやり方が、本国から持つて来るか、日本で買つて渡すか、二つの方法があるわけであります。
  97. 松浦清一

    ○松浦清一君 そこで期限問題が問題になるのですがね。林屋さんは……。
  98. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつとお待ち下さい。林屋参考人は時間が経過しておりますから……。よろしうございますか。じや一つ林屋さんのほうを先に……。
  99. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで先に林屋さんは、アメリカの軍隊にいつまでも頼つているわけではないから、そのうち引揚げるんじやないかというようなことを言外に漏らされるような発言をなされた。ところが保安隊が若し使つている弾ならば、アメリカの駐留軍隊が引揚げて行つても、やはり保安隊で使う弾をそこで試射するというようなことも想定される。そうすれば、駐留軍が引揚げて行つても、試射場というものはそのことによつて解消されない。永久使用されるということも考えられるというわけだが、その点どうなんですかね。
  100. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 私にはわかりませんな。(笑声)
  101. 松浦清一

    ○松浦清一君 わからんでしようが、だから永久使用問題と無期限問題との関係において、アメリカ軍隊が引揚げて行けば、それで済む問題だという解釈は生れて来ない。軍隊が引揚げても保安隊の使う弾を試射するのだから無期限に使われるのじやないか、こういうことを僕は言つておる。それは答弁なくても結構です。
  102. 青山正一

    青山正一君 林屋さんに一点だけお伺いしたい。大体四カ月ということでまあきまつた際において、石川県の地元の衆議院なり、参議院の議員をお呼びなすつた。私は石川県出身でありますけれども、出なかつたわけなんですが、その席上に辻さんがおいでになつてつたらしいのです。ちよつと聞いて見ますると、辻さんは、辻衆議院議員ですね、その席上においては大いに賛成しておしたというようなことも聞いておるわけなんですが、現在は非常に反対態度で進んでおる。その点何かお話つたら承わりたいと思いますが。
  103. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 辻さんもあのときは御同意を願つたのであります。村さえ了承すれば差支がないから、君の使命を果してくれと言つて私を激励して頂いたのであります。なおそのほかに、この四カ月の成立した後、村の村会議員並びに有志が来られましたので、私が昼飯をたしか外相官邸の食堂でみんなに差上げたときに、各代議士とも来て頂いたのであります。
  104. 青山正一

    青山正一君 私は出ませんでした。
  105. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) あなたお出ましにならなかつた。そのときに改進党の武部君から、誠にいいことであつたという挨拶もあつたのであります。なお辻さんもその挨拶に加わつておられたはずであります。さようなことで、決して国会を無視して私がやつたのでないということを特に皆様に御了承を願いたいと思います。
  106. 青山正一

    青山正一君 もう一度ですが、辻さんは最近お国へお帰りなすつて、ニュース映画にも出ておりますが、昨日見て来ましたが、大分アジつておるらしいのですが、そういつた辻さんの態度を見ましてあなたどういうふうにお考えなさいますか。
  107. 林屋亀次郎

    参考人林屋亀次郎君) 私は人様の批評はしたくありませんので、この答弁一つ御勘弁を願いたいと思います。
  108. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは林屋参考人におかれましては、時間が大分超過いたしておりますので、このあたりで一つ御退席を願います。どうも長時間御苦労様でございました。  あと伊関国際協力局長並びに水産庁のほうは立川漁政部長、調達庁根道長官並びに山中不動産部長、農林省からは和票入植課長がそれぞれ出席いたしておりますから、この問題につきましての質疑を続行いたします。
  109. 岡田宗司

    岡田宗司君 伊関国際協力局長にお伺いいたします。伊関国際協力局長が六月の十二日に金沢へ行かれた。田中官房副長官、平川農地局長ですか、一緒に行かれました。あのときには到頭物分れになつて帰つて、そして十五日に直ちにアメリカ軍使用を許すという通告をして、そして十五日から試射が始まつた、まあこういうことになつたのでございますが、あの十二日から十五日に至るまでの間にどういう手続を以てアメリカ軍試射を許すに至つたか、その手続上の問題を一つお伺いします。
  110. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) それは口頭で通告いたしました。
  111. 岡田宗司

    岡田宗司君 六月二日に閣議内灘試射場を十五日に再開する……。
  112. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) ちよつと間違いました。口頭で通告いたしまして、それから閣議了解の写しも文書で送りました。
  113. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 以上訂正でございます。
  114. 岡田宗司

    岡田宗司君 その閣議了解の文書というものは、十三日に出されたのですか、十四日に出されたのですか。
  115. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 十三日が土曜日でございますから、十三日かと思います。閣議あとでございます。
  116. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、十二日の交渉が決裂したことをすぐに閣議に報告されて、そして閣議で十二日なり或いは十三日の朝なりにきめて出されたのですか。
  117. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 十二日に帰りまして、十二日の金曜日の閣議了解でございます。私は十一日の晩帰りまして、十二日に閣議がありまして、そして十三日に向うへ知らしたと、こういうことになつております。
  118. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカ軍がこの十五日から試射を開始するということは、アメリカのほうから通告があつたのでございますか、それとも日本側のほうで自発的に十五日からやるということで御通告になつたのですか。
  119. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) こちらのほうから十五日という日をきめたのでございます。
  120. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、あの十一日ですか、金沢での話合が付かなかつたので、アメリカ軍のほうの要求がないのにかかわらず、閣議が十五日から使用を再開することを通告した、正式に閣議できめて通告した、そう解釈してよろしいのですか。
  121. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) アメリカのほうから要求がないとは申しません。アメリカのほうはもう前から何度も督促をして来ております。
  122. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカのほうは前から何度も督促をしておるというのは十五日という日ではないというふうに思うのですが、やはり十五口という日を限つて向うから要求して来たのでしようか。
  123. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) そういうことはございません。成るべく早くということでございます。
  124. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、その十五日という日をきめたのは日本政府である、こう解釈してよろしうございますか。
  125. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) その通りであります。
  126. 岡田宗司

    岡田宗司君 この点はどうして十五日にしたかということは、これはまあ伊関さんでなく、岡崎外務大臣にお伺いしなければならんと思うのですが、その前にアメリカ側から何遍も要求があつたということでありますが、新聞等に伝えられるところによりますというと、アメリカのほうでは、若し内灘試射場を使わせないなら日本に対する砲彈の発注をやめるぞというような話があつたということが言われておるのですが、そういうことが非公式なり何なり話があつたのでしようか。
  127. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 非公式ではありますが、米軍のほうは、あれはアメリカ国防省の金で買つておりますので、アメリカの調達規則に縛られて買つておるわけでありまして、アメリカの調達規則というのは非常に厳重なものでありまして、私も詳細には存じませんが、その規則の上から見まして、納入が遅れた場合は破棄せざるを得ない場合があり得るということは申しておりました。
  128. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、言葉は多少違うけれどもアメリカのほうからそういう申入があつて、これが政府側をして速かに試射場再開をする決意を促したと、こう解釈してよろしうございますか。
  129. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) それも一つの理由であります。
  130. 岡田宗司

    岡田宗司君 そのほかの理由はそれではどういうことでしようか。
  131. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これはいろいろございましようが、閣議でおきめになつたことでありますが、事務当局としましては、そのほかにも、初め試射を中止いたすますときも、向うは非常に試射を中止するのはいろんな問題で支障を来たすと言つておりましたのを、まあ一月くらいという話を私はしました。それが又半月も延びて参りました。事務当局としましては成るべく早くという考えを持つてつたのであります。
  132. 岡田宗司

    岡田宗司君 その成るべく早くということは、結局地元と折合が付かなくてもいい、付かなければ仕方がない、どんどんやる、こういう意味とつてよろしうございますか。
  133. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) その辺は、我々が参りまして話をしようとしましても、話に応じないというふうな態度でありましたので、事務当局としましては、これ以上努力して見ても事態はよくならん、そう見ましたので、我々事務当局としてはもうこの辺がいいところだろう、もうこの辺で決定されてはどうかというふうに大臣には申しました。
  134. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、その十五日ということを決定したのは、事務当局現地に臨んで、もう話は付かないということで、十五日から再開すべしということを大臣に言つて、そうしてきめさした。そうすると、十五日ということは、事務当局が先ずきめた、それで大臣に言つて閣議できめさしたのだというふうにとつてよろしうございますか。
  135. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) きめるのは閣議の権限でありますから、きめさしたというのは不穏当だと思います。
  136. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、まあそれはそうかも知れませんがね。(笑声)不穏当かどうか知らんけれども、とにかく十五日という日について、それを明らかにして大臣に具申か、上申か何か知らんけれども、したのはあなた方の判断だと、こういうことですね。
  137. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) そうでございます。
  138. 岡田宗司

    岡田宗司君 昨年の十二月にはわざわざ国務大臣が行きまして政治折衝までやるという手続をとつておる。この再開の場合におきましては、国会で非常に問題になりましたけれども、国会の開会しております間、即ち五月三十日までの間におきましては、何のかんの言つておりまして、まあ内灘村民の意思を尊重するというようなことを言つておりまして、そうしてはつきりした態度を示さない。国会が自然休会になりますと、とたんに六月二日に強制使用決定しておる。そうして今度はあなた方で十五日ということをきめて、そうしてまあ閣議に上申か何かしてそれをやらした。まあこういうようなことになる。前のときにはとにかく林屋国務大臣なり何なりが行つて政治折衝をやつておる。今度は再開の問題は非常にむずかしいことはわかつておるのですけれども、全然そういう折衝を抜きにして、あなた方だけで以て事務的に片附けてぽかぽかとやつてしまう、そうしてその結果村民は漁業権を失つて生活の根本を傷けられるということになつておるのです。まあ四カ月ときめたいきさつや、或いはその後の経過等から見まして、私はあなた方が行つて交渉は決裂した。だからもう十五日からさつさとやるのだというような態度ではなくて、本来ならば岡崎外務大臣が自分で行つて折衝に当る、それだけの手数は尽して然るべきではなかつたかと思う。それをあなた方が、まあアメリカからせかされたせいもあるでしようが、とにかくもう駄目だ、十五日からやつてしまえということできめてやるように導かれたということは、これは事務当局としては国民の権利、国民の生活ということの点から、もつと考えてもらわなければならんのじやないか、基地の問題は今後も重大な問題がたくさんあると思うのですが、そういう考え方で私はやられることは非常に今後も問題をむずかしくするばかりだと思うのですが、その点どうお考えになりますか。
  139. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 事務当局お答えする性質の問題でないように思いますが、私のほうは今までは各地の問題につきましてすべて円満に解決して来ております。この問題が紛糾しました第一のケースであります。円満の解決するということは私のほうの一番のモツトーにしておりまして、過去、講和発効後六、七十件そうやつて解決して来ております。
  140. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも内灘問題について円満に解決するという努力のあとが見られない、むしろそれよりも国会などで問題にならない隙を狙つてぽかぽかやつたほうがいいというようなあとはつきり現われていると思うのですが、これはあなたに聞いてもしようがないので、私はこれ以上聞きませんが、今度はあなたのお答えのできる問題をお伺いしたい。それはもう衆議院でも問題になつたのですが、あの十一日の副官房長官、国際協力局長、農地局長という、とにかく高級のお役人さんたちが首を揃えて、そうして金沢へつけないで以て石動で降りて自動車で乗込んだようなことですね、ああいうようなことは一体国民に対して、特に内灘村民や或いは反対運動をしておる人に対して、どういう心理的な或いは社会的な影響を持つとお考えになりますか。
  141. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私たちも何も途中の駅で降りたくはありませんでしたけれども、私たちの目的は県庁に着きまして、そうして県庁に関係町村の理事者を集めてありましたから、これに会うということが主たる目的でありました。ところが情報によりますと、駅には何千人と集まつておる、そうして絶対に金沢の市内に入れないと言つておる、そういうふうな状況下においては、目的を達するためにああいう措置をとるのもやむを得なかつたと思います。
  142. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはまだしもとして、帰りに小松飛行場から米軍の飛行機で以てこつちへ逃げて帰つて来られた、あの件はどういう心理的影響を与えたと思われますか。
  143. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これは素直に解釈すれば何でもない問題だと私は思つております。と申しますのは、汽車がないわけでございます。あそこは汽車が夜までない。私はあの日の午前中までどうしても用事があつた、そして明くる日の閣議に報告しなければならない、急いで帰らなければならないので、ああいう最も早い方法をとつたのであります。日本の飛行機があれば日本の飛行機で帰つて参ります。
  144. 岡田宗司

    岡田宗司君 あれは最初から頼まれたのか、それともあの日になつて急に思い付かれてアメリカの飛行機で帰つて来られたのですか。
  145. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 最初から考えておつたのではありません。いろいろと汽車の時間表を調べまして、一番早く帰る方法としてはあれしかないので、たまたま飛行機があるかと申しましたら、一人将官を降せばあると申しましたから、それではというので乗つて来たのであります。
  146. 岡田宗司

    岡田宗司君 最初からああいう予定をされておらん、特にああいうふうな問題があつた後にアメリカの飛行機で帰つて来られた。これは成るほど素直にとれば急ぐ一番の途は、これはもう確かに急行の夜行に乗つて来るより早いことは明瞭であります。併しそういうような問題が一体国民の心理にどういう影響を及ぼすかということをお考えなつたかどうかということを聞いておるのであります。
  147. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) そのときは考えませんでした、ただ早くこれは帰ろうというので……。
  148. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ何もお考えにならずにやることがあとでいろいろな波紋を起すことが、この一事を以てもおわかりになることと思うのでありますが、とにかく私どもの受けました印象は、少くとも独立国の高級官吏ともあろうものがああいうような態度をとるということは、結局日本がやはりアメリカの従属国みたいな形にあるということをどうも如実に物語つておるものじやないかという印象を受けた、こういうようなことは、私はやはり少くとも国の高級官吏としては考えてもらわなければならんと思うのであります。先にマーフイ大使が軍用機で以て日本の各地を歩いたときにもこれが大部新聞等で問題になつたことも私は承知しておる。それ以上に而も時がああいうふうな内灘の問題がありますときに、官房副長官或いは国際協力局長、或いは農地局長というような人がまあ思い付きで、早ければ何でもよいのだということで、アメリカの飛行機を使用するというようなことは、国民に及ぼす心理的な影響というものも相当私は大きいと思う。新聞でもそれを大分取上げておりますが、そういうことが今後行われれば、又これは国民としても日本の政府或いは日本のアメリカ折衝しておる官吏についていろいろな考えを持つようになると思いますが、そういう点について少しもお考えになつておらない。あとになつてもそういう点でしまつたともお考えにならんのか、或いは当り前と考えておるのか、その点をお伺いしたい。
  149. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) そのときは先ほども申したように素直に考えておつたわけでありますが、それは議会でも御意見が出ますので、そういう見方もあるということは、私よくわかりました。
  150. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、そういう見方もあるということは、これは喋つておるのですから、これは耳があれば聞えるからわかる。私はそれに対してそれはどうお考えになるかということを伺つておるので、そういうことは耳があれば聞えるからわかる。その点についてもう一度重ねて、今どうお考えになつておるか、いい心理的な影響を及ぼしたと思われるか、悪い心理的影響を及ぼしたと思われるか。
  151. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) もう少し広く世間の批評を聞いて見たいと思います。
  152. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、それではその点はそれだけにしておきます。次に調達庁の長官にお伺いしたい。先に例の五万円の見舞金の問題をお伺いしたときに、あれについての基準は何から求められたかということをお伺いした。そのときのお答えですと、大分それについては理由があるように言われたのであります。速記録を読上げるとはつきりするのでありますが、ところが昨年の暮には、いや、あれは閣議できめて、そうして閣議できまつたのを出せと言われたから出したのだというお答えがあり、又今日の林屋さんのお答えですと、戸締りなんかのためにどうも必要だというようなお考えつたのですけれども、あの五万円については、調達庁長官最初から御承知になつてつたのか、そうして又調達庁で適当と認めたので、あの五万円ということを閣議のほうへ手続をしてきめてもらつたのか、それとも林屋さんが政治折衝で勝手にきめられたのか、その点お伺いしたい。
  153. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 五万円と申しますのは、調達庁としてきめたのであります。勿論きめますに際しましては、関係の各省庁とも協議した上に、その額が内灘村の現在の経済情勢から判断いたしまして、当面の不安なきようにその額をやるのが適当である、こう決定したわけであります。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 五万円やれば不安ないようにできるというのでありますが、五万円をどういうふうに使えば不安ないようにできたのでありますか、そういうことをお考えになつてやられたように思うのですが。
  155. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 五万円と申しますのは、数字の細かい計算は別問題といたしまして、四カ月の近き将来の使用に対しまして、内灘村というものが特殊な漁村であり、寒村である、殆んど全村が一時職場を離れるというような経済的な、社会的な状態のもとにおいて、その程度の金額は出してやらねばなるまいと、こう思つたわけであります。
  156. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、昨年の暮の予算委員会におきまして、川田三郎君が答弁されたことは、どうも嘘のように思うのですがね。とにかくそのときには、緒方国務大臣は、「一戸当りどうということでなくて極めて大ざつぱに考えます。」と、こう答えているのですが、そうすると、五千五百万円というものをきめたので、一戸当り幾らというのでなくて、大変大ざつぱにきめた、こういうふうに書いてあるのですが、そうではないのですか、はつきりきめたのですか。
  157. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 五千五百万円というのは、一戸当り大体五万円ということを基準にして、約千戸に対して五千五百万円、こういう数字になつたわけであります。
  158. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今の五万円という額が相当である。そうしてそちらできめたという根拠がどうも私にはわからないのです。ほかの補償のときは、大体において根拠が何とかかんとか出ておるのですけれども、五万円の根拠というものは明らかになつておらんのですが、一つ五万円の根拠を詳細に説明して頂きたい。
  159. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 正直に申上げますと、五万円の詳細な基準というものはございません。これは一種の見舞金と称すべきものでございまして、全体の情勢を勘案しての行政的措置であります。
  160. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、大ざつぱな一つ基準をお示し願いたい。詳細がなければ、今基準があると言われたのだから、大ざつぱなあれならあるでしよう。
  161. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) この見舞金と申しますと、その全体の事情を勘案しまして適当の額をきめる、但しこういう場合には、如何に調達庁長官がその支払の責任を負つておりましても、これは独断で払うわけには参りません。やはり閣議の了承を求め、各支出予算の元を握つておりまする大蔵省等ともよく協議した上でなければきめられない額でありまするが、基準そのものと申しますると、その事態に応じまして、その場の判断でございます。
  162. 青山正一

    青山正一君 今話の途中ですけれども、先ほどの五万円を渡したのは、四カ月間のための五万円であるというような御発言があつたようなんでございますが、これは一番重要なことですが、どうなんです。今度又永久使用ですか、継続使用というのですか、そういうふうなことになりますと、又そのほかに政府は見舞金を出すというのですか、その点をはつきりしてもらわないと……。
  163. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今申上げました、私どもが当時わかつておりましたのは四ヵ月使用するということがわかつてつたのであります。併しながら如何に四カ月と申しましても、内灘村といたしましての事情から、非常なる社会的不安をもたらす、直接には経済的にこの一村挙つて業を離れるというような事情にあるということを考えたわけであります。
  164. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも今の長官のお話を聞いて参りますと、何かやはり相当であるというふうに考えて、そうしていろいろと計算なり何なりした結果ほうぼうと話合を付けて、その上で閣議で御決定を願つてというふうに言われておつたのですが、昨年の暮の答えですと、どうもそうじやないようですね。一節を読んで見ますと、「それは御審議になりました閣僚懇談会の結果、この村に対して五千五百万円の見舞金を出すということになりましたので、相当と申しましたのは、そういうお達しがありましたから相当と申上げたのであります。」、こういうふうにあります。相当とあなたのほうで認めたのではなくして、閣議で以て大ざつぱにおよそ五千五百万円ときめたと、これは林屋さんの政治力か何か知らんが、それをあなたのほうに、まああなたのほうがチヤンネルだから、そこを通して払えというので払つたというふうに受取れるが、そういうふうに解釈してよいのですか。
  165. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) それは必ずしもそうではございません。或いは林屋国務大臣がそういうような折衝を事実上なさつたかも知れませんが、林屋国務大臣とはその関係につきまして私ども直接お話をいたしたことはございません。併し我々といたしまして、当時内灘界隈の使用の問題が問題となつておりまして、将来の補償の問題等についても十分考えなければならない。それから又強制的でなしに納得させて、これを円滑に使用するというためには適当な方法を講じなければならんと思つて考えておつたわけであります。
  166. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも林屋さんと話合つたことはない、こう言つておるのですが、林屋さんの答弁はこうなつておるのですよ。「お答えいたします。先ほど申上げた通り村の幹部と実は三日間夜通しでいろいろ懇談をいたしました結果、五千五百万円くらい支出すればこの話がまとまるだろうということできめて参りました。」、こうあります。そうすると、あなたの言う詳細な基準もなければ、或いは大ざつぱな基準もなしで、これは政治折衝できまつた結果をあなたのほうを通して支出するということになつたほうがどうも事実のように思われるのですがね。どうでしよう。
  167. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) そういうような経緯が別に仮にありましたといたしましても、調達庁といたしましては、支出に際してはやはり支出官庁といたしまして独自の見解を以て、長官の責任において支出しなければなりませんので、私といたしましては私の職務といたしまして、そういうような措置を図つた、こう申上げておるわけであります。
  168. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ答弁が私は納得できないのでありますが、あなたの立場からすれば、そう言わなければあなたの職責が尽されなかつたということになるので、そう言われておるので、こう認めるよりほかないのですがね。事実は私は林屋大臣が言われたことのほうが本当ではないか、又向井大蔵大臣の答えにつきましても、そういうふうになつておるので、その「特殊の場合として行なつたものと存じております。」、こういう答えがあるのです。そういたしますと、どうも大臣が皆そう言つているのに、あなたが、いや、おれの算定で以て払つたのだと言われるほうが却つておかしいので、どうでしよう、まあそこいらで一つそれをお認めになつたら如何です。
  169. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) お答え申上げます。私が申上げておりまするのは、事実上いろいろなことがきまりましても、又同時に五万円というものを一戸に平均に払うというようなことがいろいろな話合に出ているということを承知いたしましても、それのみで調達庁長官といたしまして支出はできないのであります。これは私といたしまして、いろいろ村の経済状態等を関係官の報告を求め、又関係官庁の意見も伺いました上で妥当と認めて、その妥当と認める、認めぬの基準がはつきりしておらないと、こう仰せられるのでありますが、当時私といたしましてはその金額を妥当と認めたのであります。これで御了承願いたいと思います。
  170. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、了承はできないのですけれども、今の長官のお話を伺つていると、長官が全責任を以てやられたものである、そうして内灘の事情等を勘案して、こういう措置をとつたということでありますから、若しそれが本当なら私は大変結構なことだと思います。これは筋だろうと思います。そこでお伺いしたいのは、この筋は今後も通されるつもりであるかということなんです。
  171. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) さようでございます。
  172. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで内灘はあれは特殊の例ではなかつたのですか、それとも特殊の例なんですか。
  173. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 私としてはあれは特殊な例でございまして、今まで私どもの前に現われました問題としては、ああいうものはございませんでした。
  174. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく今まではああいうのはなかつたが、ここで特殊の例としての道を開かれた。そうしてあなたがそれに対して妥当なりという査定を下して、その責任においてなされた。こういうことでございますね。そういたしますと、この特殊の例ということは一遍きりで終ることでもないのでありまして、今後も特殊の例というものはあるものと思われます。又内灘と比較していろいろの問題も起つて来ると思うのでありますが、その際に長官は、例えば見舞金というようなことはなお他の場合にも特殊な例があれば考えられると、こういうふうにお考えでしようか。
  175. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 通常の事例におきましては、それぞれの基準によりまする補償というものがございます。又非常に特殊異例な場合におきましては、その場合に当りましていろいろ考えなきやならん場合が将来生ずることなしとは断定するわけには参りません。
  176. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで内灘が特殊であつたかどうかということは、特殊であつたという御断定ですから特殊といたしますと、その特殊であつたという事情が今後の特殊の場合の例になり、今特殊の場合には或いはそうしなければならんかも知れんというお話でしたが、その特殊ということを、内灘の場合にはどういうふうに具体的な点で特殊であつたかという点を、一つその特殊ということを参考に承わりたい。それは将来の問題にもなりますから、どういう点が特殊かということは……。
  177. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) この点については毎々本委員会においても関係官よりも申されておると思うのでありまするが、私どもといたしまして、内灘は特殊の地域における非常な貧困なる漁村であります。それから又殆んど全村がその影響を受ける、而もそれが余りに直接的である。全村挙つてその業を脅かされるというような状態である。又近き将来にどういうふうな日産を付けて、転業その他更生の道を図るということが、まだ百度も付いておらないような、そういうような場所である。こういうことを私どもといたしましては、この場合特殊異例であると、こう考えたわけであります。
  178. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今の特殊ということの具体的事情をお伺いしておると、大分ほかにも通じるところがあるようなんですね。あまり特殊でないような問題を挙げておられるように思うのですが。例えば青森県の関根なんかにいたしましても、今あなたの言われたような意味の特殊だ、大分特殊なんだ。それから片貝といたしましても、豊海にいたしましても特殊なんだ。山形の大高根にいたしましても、大分特殊も出て来るのでありますが、そういうようなことはやはり特殊の事例として、内灘であなたが特殊として挙げられたようなことを今後特殊として取扱つていいのですか。
  179. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) そういうような多少似寄つた例はないとは申せませんかも知れませんが、内灘はやはりほかのほうのところと比べますと、私どもとしては現在におきましては特殊異例と認めざるを得ないのであります。恐らくこれは程度、種類みんな勘案して見なければ同じようであるとはなかなか申し兼ねると存じます。
  180. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ内灘だけが最初に見舞金を出した。この事例、それから四ヵ月間のあすこの補償の問題にいたしましても、五カ月のうちにすでに決定して、もう金は内灘へ行つておる、これはお役所には珍らしく異例の早い措置でありますが、あれも特殊とお考えになつて、今後の支払は、あれは特殊だから早いのだが、ほかのほうは二年でも三年でも当り前にやつてつていいのだと、こういうお考えですか。
  181. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 一切のことを総合的に考えなきやなりませんが、補償及びその支払ということに関しましては、如何なる場合におきましても、できるだけ速かにしなければならんものと考えて、そのように関係官を督励しております。
  182. 岡田宗司

    岡田宗司君 できるだけ速かに払われることは非常に結構なことでありますが、その内灘の補償の問題のように速かにやれるだけのお覚悟、或いは自信がありますか。
  183. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 場合によりましては、そうせざるを得ないことがあろうかと存じます。
  184. 岡田宗司

    岡田宗司君 この場合によりましてはの場合というのは、反対運動なり何なりが強いという場合ですか。
  185. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) そうではございません。内灘の場合にはすぐに補償的な措置を講じなければ、政府が米軍に提供しなければならんという条件を果すことができない。それでなければ本当の意味の強制、無法な不当な使用ということに相成りましてそれでは相成らんのでありまして、そういうことを避けるために先ず速かに払う必要があると、こう認めたわけであります。
  186. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今お答えで大変よくわかりましたが、これをもう少し私どものわかるような平たい言葉で言うと、アメリカ軍のほうからじやんじやん使用を要求されて来ておる。政府も従つて早く使用したい。ところが反対が非常に強い。そこで何とかして早くこれを使用させるようにするためには異例の措置をとる。こういうふうに解釈できるのですが、そう解釈してよろしうございますか。
  187. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 岡田委員の申されますること全部その通りそうだと申上げることは私としてはできないかと存じます。それは即ち政府といたしまして、内灘使用せしめなければならんという状況にあつたことは、これは事実でありましよう。それから、こういうところを使用いたしますについて、日本政府がやりますについては、使用されるほうの側の自由意思による同意を求むるということが今までのやり方の一つになつておる。同意せざるままにこれを強制的にやるということは非常に問題であります。でありまするから、そういうことのないようにするためには、これはどうしても我々が適当と認め得る見舞金というようなもの、近き将来の一応の不安をなからしめる措置をとることが必要であろうと、こう考えておるわけであります。
  188. 岡田宗司

    岡田宗司君 平つたく言えば反対運動が強いからこれをアピーズする、こういう意味で特殊な例を使つた、こう解釈してよろしうございますか。
  189. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 私としてはそう解釈いたしたくございません。
  190. 岡田宗司

    岡田宗司君 いたしたくないということですね。それでは次にお伺いいたしますが、内灘政府の強制使用がきまりまして、すでにもう使用しておる。その前に、あなたが言われたような意味だろうと思うのですが、政府はやれ船だまりを設けるとか、或いは道路をよくするとか、学校を建てるとかいうようないろいろな交換条件と見られるようなものを出した。これはあなたの先ほどの言によりますというと、異例なやはり措置のようでありますが、まあ異例の措置を二度お続けになるつもりであつたのかどうか。すでに今日強制使用が始まつてしまつたから、そういう異例の措置は必要ない。すでに始まつてしまつたんだから、もうそういうことはしない。それでもよろしい、こういうふうにお考えになつておるのかどうか。
  191. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今岡田委員の御質問になつている事柄は、多分調達庁の所管のほかのことだろうと私存じます。
  192. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、又何ですな、外務大臣や何かのほうで以て異例の措置をおとりになつて、あなたの知らないうちにそういうような話ができておる、こう解釈してよろしいですか。
  193. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今申されまたいろいろのほかのことをやるかやらないかということでございますが、とにかく一国の行政の全都といたしまして、いろいろな面がいろいろなところでなされるだろうと私は存じます。道路の何であるとか、港湾の何であるとかいうようなお話が出たようでありますが、それは調達庁といたしましては、この補償或いは補償に代るべき或る種の場合における見舞金というようなものについてやつておるわけであります。これは道路交通に関する行政に関するもの、そういうものは私の関係でございませんので御了承願います。
  194. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にこれは和栗さんですかにお尋ねしたいと思うのですが、権現の森ですか、あそこは民有地になつております。あれは話がまとまらないうちは使用できない。今使用を除外しておるように聞いておるのですが、その通りでしようか。
  195. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今使用地域外になりまして、今使用をいたしておりません。
  196. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、あの土地は非常に面倒な問題が起つておる土地であるので、今後も使用ば外すつもりでございますか。
  197. 和栗博

    説明員(和栗博君) 地元のがたの御了解を成るべく得たいと考えておりますから、今後も折衝を続けますが、その結果といたしまして、地元のかたがあれも合せて使用してもらいたいというようなお話になりますれば、そういう方法をとりますし、どうしてもいやたということになりますと、又そのときにいろいろ考えにやならんということになると思います。
  198. 岡田宗司

    岡田宗司君 地元の人が合せて使用してもらいたいと向うから申出るのを待つておられるようですが、これはちよつとどうもなかなか今の形勢からいうと困難のように思います。アメリカのほうじや権現の森の民有地を使用したい、こういう要求があるのですか。これは伊関さんに伺います。
  199. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) あれは今のところ地元交渉いたしておりますが、もう暫らく様子を見まして、どうしても地元が応じなければ、あれは必要でありますから使えるようにしたいと思つております。
  200. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の使えるようにしたいということは、行政協定に基く特別措置法にかけて、そうしてこれを強制収用するという意味でございますか。
  201. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 必要があればそういたします。
  202. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはいつ頃までにあのほうは話を付けるのか、若し付かない場合には、いつ頃そういう措置でやろうとする見込みですか。
  203. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 目下交渉中でありますので、そういう何と申しますか、秘密会議でなければちよつと申上げないほうがよいと思います。
  204. 岡田宗司

    岡田宗司君 そう言われるところを見ますと、私は相当近くにやるものと了承するわけですが、あれはやはり一応土地収用委員会の議決を経なければならんと思うのですが、その点どうでしようか。
  205. 和栗博

    説明員(和栗博君) 大体収用の手続の途中にそういうようなものが入つておると記憶いたしております。
  206. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、若し石川県の土地収用委員会があれに対して反対の議決をした場合に、伊関さんどういうふうになされますか。
  207. 山中一郎

    政府委員(山中一郎君) 県の収用委員会のほうは、条件その他につきましていろいろと協議を願つて答申願うことになつておりますので、収用自体につきましては現在のところそのまま行けるという考えでおりますが。
  208. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは収用委員会の性質の問題が問題になるし、又収用委員会の権限の問題が問題になるので、私はここで議論しようと思いませんが、併し収用委員会にかけるということは、単に条件の問題だけではないと思う。条件の問題が不調に終りましたときのやはり救済措置というものがある以上、これはやはり土地収用委員会というものが収用そのものについて論議することができ、又それについてちやんとこの法律に基く決定をすることができる、答申することができる条件の問題だけじやないのです。それをよくお調べになつて頂きたい。そうでないとあなたのほうでやることが憲法違反になりますよ。政府自体が法を破るということになるのですよ。伊関さんの言うように非常に簡単に行政協定に基く特別措置法によつてできるというふうにお考えになつてやることは、これは私は軽率のそしりを免れないと思う。よくその点は政府のほうでも研究して頂きたいと思う。で、和栗さんにもう一つお伺いしたいんですが、その後の国有地の問題ですね、あれを林屋さんは済んだら村に払下げる、こういうふうに言つておるんですが、あの土地は前に興国土地とかいうものが持つておりまして、そうして農地調整法で買上げた土地だと思います。そういたしますと、あの土地が使用されるためには、今ですと農業委員会がやはり使用の目的変更等について、或いはそのはかのことについていろいろ議決しなければならんと思うのですが、その点についてどうお考えにおつておられますか。
  209. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今お話通り、あれは自作農創設特別措置法に基きまして、国が会社のほうから買収いたしました土地でございます。従いまして現在では開拓財産ということになつております。開拓財産であります場合に、現在の農地法の面から見ますると、御承知通り農林大臣が一応管理権を持つておるわけでございまして、従いまして農林大臣がその管理権に基きまして、一時使用のような場合は他のものに使用さすこともできますので、まあ暫定的なような場合に、これを一時試射場にするというようなことは農林大臣の管理権でやると、なおこれが先々になりまして、これは見通しの問題になつて参ると思いますが、これはもうさつき大分議論がございました本当の文字通り永久試射場というようなことになつて参りますれば、これは開拓財産として農林大臣が持つておる意味がなくなつて参りますので、これは現在の農地法の八十条の手続によりまして、一応前所有者に返しまして、その後又それは試射場としての手続は、他の方面でおやりになるというような恰好になつて参るものと承知いたしております。
  210. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、農地法に基いて、あれは開拓に適さない土地として前の所有者に売戻して、そうしてそれを更に政府が特別措置法に基いて借上げるなり、或いは又買入れるなり、そういう措置をとるということでございますね。
  211. 和栗博

    説明員(和栗博君) それはさつきのお話通り、文字通り永久試射場にしてしまうんだ、将来もうここは全部開拓しないということになりますれば、そういうような形をとらざるを得なくなると思います。
  212. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど伊関局長の話だと、永久使用と、それから無期限使用と、継続使用とは皆相等しいように聞えたんですが、そうすると、継続使用ということになると、これは無期限使用であり、同時に又永久使用であるということになるんですね、逆に考えると……。そうなると、そういう手続をとらざるを得ないことになると思うのですが、四カ月の間は一時使用でいいけれども、一時使用の範疇から出て来た場合には、速急にそういう手続をとらなければならんのだが、まだ私はとつているという話を聞いておらん。これは私は、やはりどうも法律に準拠しないやり方を政府が慌ててやつておるんじやないかと思うのですが、それに対する見解を承わりたい。
  213. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今の前に、永久使用継続使用という言葉の使い方でいろいろお話がございましたが、結局外務省伊関局長お話にいたしましても、継続使用というのは、結局米軍があそこを試射場として使つておる間という意味だと私どもも解釈いたしておるわけであります。米軍が試射場として使つている期間というのが現在のところまだはつきりいたしませんので、まあ継続使用という言葉を使われたと思うのでございますが、そういうような、いわば暫定的な場合といたしましては、これはもう開拓財産から全部はずしてしまわなければならんというように私どももまだ考えておりませんから、農林大臣の管理権に基きまして、一時それを試射場にするというような考え方でいるわけでございます。
  214. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはえらい食違いだと思います。あなたのほうは米軍が期限を定めずして使用する、だからこれは一時使用、こういう解釈、それで伊関さんのほうはさつきの話を聞いて見るというと、いや永久使用というのは言葉が悪いから継続使用だと、どうもあのほうが長い、それをあなたのほうは一時使用だとして、農林大臣の一時の扱い方だけでやつて行けるというようなことじや、政府部内が一体統一してものを考えているのかどうか私どもにはわからん、やはりはつきりした法律的措置をとるようにしなければ問題のけじめが付かないと思うのでありますが、そう一時使用で行けるのだというごまかしで行かれると、こいつが又飛んだところに飛び火いたしますから、十分に法律的の手続は間違いないようにしてやつて頂かんと、これは何ですよ、問題は永久か一時かの問題で大分揉めて来ますよ。それでもなお且つ一時使用でいいというようにお考えでしようか。
  215. 和栗博

    説明員(和栗博君) 私ども了解いたしておりますところでは、一応現在米軍の試射場としてあれを使うというお話しでございますので、その期間というものも実は不定でございますから、そういうふうに考えておつたわけでございますが、それがさつき私が申上げましたように、これをずつと引締いて、これが文字通り永久試射場というようなことになりますれば、今岡田委員からお話のありましたように、これは八十条の手続をとらざるを得なくなるということになることと思います。
  216. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、あなたはあれがいわゆる永久使用でないと、大体そう長いことでないというお見通しなんでございますか。
  217. 和栗博

    説明員(和栗博君) 米駐留軍の試射場であるという関係におきましては、そう米駐留軍がいつまでも日本にいるというふうには考えておりませんので、これはまあいわゆる私が申す文字通り永久使用ということではなかろうというふうに考えて、現在はそういう手続をやつているわけでございます。
  218. 岡田宗司

    岡田宗司君 一時という問題は、これは解釈でいろいろむずかしい問題なんでありますが、今のようなお話しですと、米駐留軍があそこを使用する見通しはそう長いことではないというふうに解釈されるのですが、それじやそう長くないうちに米駐留軍はあそこの使用を解除するだろうということを、あなたは何が情報を得ておられるのですか。
  219. 和栗博

    説明員(和栗博君) そういう情報は得ておりません。
  220. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、どうも伊関国際協力局長の言つたような長いと解釈するほうが私どもも妥当のように思うのですがね。そういう情報がない限りはあなたの言う一時ということの立証はできないのですが、どうですか。
  221. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今の点は米駐留軍のその使用する期間が不定であるというふうに考えまして、そういうふうに考えるわけでございます。
  222. 岡田宗司

    岡田宗司君 不定である場合にはすべてこれを一時と考えていいものですか。そういう解釈は成り立ちますか。
  223. 和栗博

    説明員(和栗博君) 不定である場合は全部一時だということは、まあ多少そうとも言えんとは思いますが、私どものほうといたしますれば、できるだけ開拓財産として取得いたしましたものは、できるだけ開拓の用に供したいという考えがございますので、これはもうとても見込みがないというようなことがはつきりいたしまして、開拓財産として保有しておることが無意味だというようなことがはつきり見通しが付きますれば、これは八十条の手続きによつて処理いたしたいというふうに考えております。
  224. 岡田宗司

    岡田宗司君 非常な食違いが出ておるわけです。権現の森の民有地の問題をお聞きしたときには、伊関局長はこれば特別措置法で以て処理したい、これはかなりドラステイツクなやり方だと思いますが、そう言つておる。そうすると、あなたのほうは一時使用で糊塗しておきたい、こういうお考えですので、大変な食違いがあるように思うのですが、こういう食違いを残しておるからこそ更に問題が紛糾して来ると思うのですが、その点もう一遍あなたのはつきりした御意見をお伺いしたい。
  225. 和栗博

    説明員(和栗博君) どうも今まで申上げたこと以外には私は考えていないわけでございまして、結局結論といたしましては、試射場として使う期間がまあはつきりしていない、だから開拓財産である以上はできれば……とても開拓財産として持つておる意味がないというときになりました場合に八十条によりまして処理をいたしたいという程度に考えておるだけでございます。
  226. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の和栗課長の言う開拓地として成るべく残しておきたい、国家でそのまま保有して行きたいという気持は私どもよくわかるし、又それはいいと思うのですが、併し事態はどうもそれと矛盾をしておるように思うので、そこでまあ法律の適用の問題についてお伺いしたいわけなんですが、他にも開拓地がやはりいろいろな問題で強制収用されるようなところがあると思いますが、他の開拓民がすでにおりました土地ですね、こういうところでも、そういうふうなまだ全部それが払込みが終つておらないようなところで、そういうような問題になつておるところがありますか。
  227. 和栗博

    説明員(和栗博君) 強制収用するというような段階にまで至つておるところは殆んどございません。ちよつと私も記憶がはつきりいたしませんが、和歌山県のどつかの大島でございましたか、何かそこに電探の基地を設けるので、その電探基地を設ける場合に開拓地が非常に面績が小さいのでございますが、ちよつとかかるのですが、それがどうしても地元話合が付かないので、現在そういうやむを得ん場合は収用しなければいかんのじやないかという段階に進んでおるというようなことを外務省から聞いたことがございますが、他の開拓地については現在のところございません。
  228. 森崎隆

    委員長森崎隆君) まああといろいろまだ次にあると思いますが、それでは一応この辺でこの問題は今日は打切りまして、速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  229. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。
  230. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は先ほどの林屋国務大臣との質疑応答をやりました間において、かなり地元の人々が受けた考え方と違つておるように思われる点が多々ある。そこでやはり四カ月使用問題についてはこれは明らかにしなければならんと思いますので、やはり地元村長、或いは漁業組合長、或いは反対運動の実行委員会の会長というような人々を参考人として呼んだらどうかという考えです。それから又先ほど青山さんの質問に対する林屋さんの答弁によりますというと、辻政信代議士もこれについて最初賛成を唱えておるというようなことがあります。これもやはり明らかにしなければならんと思われる点、やはり辻政信代議士等も一つ来て頂きたいと、こういうふうに思います。
  231. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 何かこれについて青山君御意見ございませんか。
  232. 青山正一

    青山正一君 今日の委員会に、もうほかの委員も六名か七名かお帰りになつあとですから、まあ呼ばれるならば、これはどうもやむを得んと思いますが、今岡田さんがおつしやつたほかに井村代議士、西田漁連会長、それから地元村会議長、これは先ほどの村長以外、そういつた人たちも呼んだほうがよろしかろうと思いますが、一応委員長のほうでここに理事のおかた二名とも御欠席なさつておられますから、理事のおかたとよく相談し合つて、それからほかの欠席委員ともよく御懇談なさつて、その上でやるともやらんともはつきりなさつたほうがよかろうと思います。それから今日のこの問題について、例えば漁業権の問題などの質問も相当あるわけなんですが、今日は時間も遅いし、委員の連中も非常に少いですから、これは次の機会に延ばすということにして、一応今日の会合は閉じて頂きたい。
  233. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではよろしうございますか……。それでは青山委員の御提案通りに、一つ後ほど折衝いたしまして、御相談申上げまして、又御通知申上げます。  それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後三時二十九分散会