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1953-06-01 第16回国会 参議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月一日(月曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員の異動 五月三十日委員木下源吾君辞任につ き、その補欠として岡田宗司君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            森 八三一君            岡田 宗司君   国務大臣    農 林 大 臣 内田 信也君   政府委員    外務省国際協力    局長      伊關佑二郎君    水産庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    調達庁不動産部    次長      大石 孝章君    調達庁不動産補    償課長     鈴木  昇君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (内灘演習地問題に関する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではこれから水産委員会を開会いたします。  今日は農林大臣外務大臣調達庁長官に御出席を求めておりましたが、外務大臣はちよつと何か所用のためまだ来られないように聞いておりますので、今連絡をいたしております。伊關国際協力局長、又緒方副総理に御出席を求めて手配中でございます。只今お見えになつておりますのは内田農林大臣清井水産庁長官調達庁からは大石不動産部次長鈴木不動産補償課長かたがたが見えておられます。今農林大臣から発言を求められておりまするので、ちよつと大臣から挨拶があるようであります。
  3. 内田信也

    国務大臣内田信也君) ちよつと簡単に御挨拶申上げます。  私は曾つて農商省と申すときにお勤めをいたしたこともございますけれども、その際と今日とはまるで状況を異にしておりまして、国際関係やら何やら非常に複雑をしておりまする水産界でございますので、全く不馴れな者で、初めての任官と同様でございますので、皆様誠に御不満な点もあるかと存じますけれども、どうぞこの上とも御指導、御鞭撻をお願いいたします。ちよつと一言御挨拶を申上げます。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それで今日は実は内灘演習地に関する件が議題になつております。これは現地のほうの模様がちよつとこちらに通知がありましたのですが、相当まあ地元のほうでこの問題について尖鋭化しておるような空気もあるやに聞きましたので、急でございましたが、今日委員会を開きまして、政府当局から何かいい御答弁でも頂きましたならば、それによつてまあ地元かたがたも多少とも落着いて頂けるようなことになるのではないかというような観点から、早急に開きまして委員各位に御迷惑をかけた次第であります。今農林大臣から御挨拶がございましたが、外務省関係はまだ参つておりませんが、農林省のほうでは水産庁長官が、調達庁のほうでは大石さん、それから鈴木さんがおられますので、その方面に対しまする御質疑がございましたならば、その方面からお始め頂いたらどうかと思います。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 五月二十九日の朝日新聞の夕刊を見ますというと、「内灘試射場問題について政府地元との折衝を重ねているが、このほど漁業損失補償を一千四百五十万円とすることに地元との話合いがまとまり、二十九日の閣議小坂担当大臣から報告した。政府としては更に今後も地元を説得する努力を続ける方針である。」。こういう記事が出ておるのであります。これで見ますというと、漁業損失補償の額が地元との話合できまつたということになつておりまするが、この漁業損失補償というのは将来に対するものであるか、それから過去四カ月間に使用されておる間の損失補償であるかという点が第一、それから第二には、地元との話合と言うておりますが、この地元とは何を指しておるのかということ、それから第三には、この補償額がまとまるについて、これだけ切離して話が進められたものか、それとも内灘試射場問題全体の話合のうちの一部として先ずこの問題の話合が付いたものか、こういう点について調達庁長官からお伺いしたい。
  6. 大石孝章

    説明員大石孝章君) お答えいたします。漁業補償の点につきましては、一千四百五十万円、これは過去一月から四月までの四カ月間における実際の損失額を私どものほうが計算いたしまして、そうしてそれを補償しようというわけで、その決定を見たわけでございます。それから地元とは何かということでございますが、私どもこの先々どうするかといつたような政府の御方針に関しては、はつきりしたことはまだ指示を受けておりませんが、その地元というのは漁業補償をきめます場合の相手方のことだろうと私思います。それからその他の補償等との関連性の問題でございますが、私ども一月から四月までの間閣議決定を見ました内灘村の試射場、あの地域につきまして民有地が若干程度あるのでございます。それにつきまして、立毛、それから舟小屋或いは漁具の納屋といつたような建物、そういうものの除却移転、それから漁具等の動産の移転、そういつたようなものを合せまして三百九十五万円というものをすでに補償いたしております。ですから、私どものほうで扱いましたものはそういつたような関係でございます。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 今その地元ということについてお伺いしたのは、非常にあいまいなので、特別調達庁がこの問題をお取扱いになつておるならば、対象になる地元ということはもつとはつきりしておるはずです。第一に区域でございますが、これは内灘村だけか、或いは内灘村の隣接町村を含めてのことか、それから又その話の対象になるものは、村長なり、何なりを通じてだつたのか、或いは漁業協同組合等を通じてだつたのか、その点はどういうことだつたですか。
  8. 大石孝章

    説明員大石孝章君) お答えいたします。私どものほうは、話の相手方は常に漁業権のあるかた、即ち漁業権者を指しておるのでありまして、そしてその範囲は、あそこの内灘村地先と、それからあの地先にありますところの入漁権の問題でありますので、その他町村のかたとも話合いを進めたわけでございます。それから村長等を通したかというお話でございますが、私どもは無論県当局にも、村当局にも、こういつたような話合を進めますからということを十分御納得の行くようにしまして、そして話合を進めた次第でございます。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはいつ頃から話が始まりまして、そしていつこの話合が付いたのですか。
  10. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 御承知のように、私どものほうが担当します損失補償は、過去に損失のあつたものを補償するという建前でございますから、四月まであそこの演習場として地先が使われていた関係上、四月が終つたあとに、それまでに進めておつた調査を取りまとめたわけであります。それから実際の交渉は五月十三日に、私ども中央の者と、私どもの所管の出先でありますところの名古屋の調達局長等内灘現地に参りまして、そして話合を進めました。その後今度は東京へ移りまして、先般二十四、二十五、二十六、二十七というような日に話を付けまして、そして一応漁業権者のかたはその金額を持つて帰られた次第であります。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 閣議報告ですと、話合がまとまつたと、こう言うのです。ところが今のお話ですというと、この四日間の折衝の結果、数字を持つて帰つたと、こういうことで、どうもまとまつておるという最終的な決定なつておらんようですが、この点はどうです。
  12. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 私どものほうは全部それで妥結を見たものと確信いたしております。まだ正式の書類に、いわゆる一種補償契約でありますが、それの中に全部の漁業権者から調印を受けてはおりませんが、全部大丈夫だという確信を持つておる次第であります。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今のまあお話ですというと、千四百五十万円という金額決定されたようでありまするが、この損失補償は大体漁業権者一戸当りどれくらいになりますか。
  14. 鈴木昇

    説明員鈴木昇君) お答え申上げます。全体の組合員の数で割りますと、一戸と申しますか、一組合員約二万円でございます。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 この算出については何か基準があつただろうと思いますが、これは何ですか。どういうような方法算出をされておるのですか。
  16. 鈴木昇

    説明員鈴木昇君) 漁業補償算定基準につきましては、昭和二十七年の七月四日の閣議了解になりました駐留軍の用に供する土地等損失補償要綱というのがございますが、それによりまして、漁業粗収入から経営費を引いたもの、いわゆる漁業所得額損失補償金額になる、こういうことに相成つておりますので、それによつて補償金額を確定しておるわけでございます。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 この内灘試射場ができますときに、林屋国務大臣向うへ行きまして、つまり先見舞金として一戸当り五万円出しておりますが、こういう例はほかにありましたか。先にそういう金額を出した例は今までの補償についてありますか。
  18. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 私ども今までの例ではありません。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、先に見舞金を出したというのは、それは初めてのことなんですね。そしてこれをなすに当つて特別調達庁が先に何か相談を受けて、閣僚なり、何なりから相談を受けておやりになつたのか、特別調達庁のほうは全然知らないで、これは林屋国務大臣地元のかたとの直接の話合できめて、支払の手続調達庁を通じたものであるかどうか、その点をお伺いしたい。
  20. 大石孝章

    説明員大石孝章君) お答えします。私どもこの講和発効後の補償問題を取扱つた中で、先に出したという例は、お尋ねの通りこの内灘ケース最初でございます。併しながら全般的に言いますと、例えば漁業補償等でも何とかこれを早目補償できるような態勢にするなれば甚だ結構なことであろうと思つておりますので、私どもとしましては概算払、前渡払というようなことができますように政令等改正等なんかを計画いたしておる次第でありますが、まだはつきりしたところまでに行つておりません。それからこの一戸当り五万円といつたようなことが新聞等に載つておりますが、私どもも常識的に承知いたしております。併し私ども扱つたのは一戸当り決して五万円といつたようなわけじやなくて、この内灘村に対しまして五千五百万円を一括交付した、こういうことなんでございます。
  21. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 今ので、もう一点何か林屋国務大臣との協議の結果とか、或いはそうでないとかいう質問があつたのですがね。
  22. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 私どもは知つておりました。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、今知つておりました、こういうのは、どういう時点において知つておりましたのだかはつきりしないので、知つておりましたの答えでは答えにならんと思いますが、つまりそういう方法でやるのが適当であるかどうか、こういう相談を受けたのか、それとも林屋国務大臣が直接に向う折衝した結果、大体五千五百万円というものを払うという話がきまつてから、あなたがたのほうに知らせて、そうして金を支払う手続をあなたがたがやるときになつて知つたのか、その経過を聞きたい、こういうことなんです。
  24. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 丁度時間的な経過の点から申上げますと、私どもが先に鈴木補償課長が申上げました閣議了解土地等損失補償要綱で、そういつたような金額を出すのが妥当だというような研究が丁度できた時点と、それからそういつたようなことを、五千五百万円を一括交付するのであるということを知つた時点と同じだつたわけであります。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、先に見舞金を出すのは、特別調達庁としてはそういうふうにありたいものである、こういうお話でございますが、それから五万円が妥当である、こういうお話のように思うのですが、先に五万円出しておいて、あとから又実収高とか何とかいうものを見た上から研究して千四百五十万というものを出すということになつて、まあ総計七千万円近いものを内灘村が、或いはまあ若干附近も入るかも知れんが、受けていることになつているのですが、大体どうも私ども今までの補償問題等を見ておりますと、例えば九十九里の豊海の例を見ても、或いは防潜網のあるところの附近の例を見ても、そこまで行つていないのです。で、何ですか、千葉県の例或いは東京湾の例は、あれはあれで妥当だ、そうして内灘内灘として妥当だ、こういうふうにお考えですか。
  26. 大石孝章

    説明員大石孝章君) さようでございます。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 それじやその妥当の理由を説明してもらいたい。片方は数千円でよくて、片方は数万円になる、それがどちらも妥当だという妥当の根拠があると思う。その理由を説明してもらいたい。
  28. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 東京湾防潜網、御承知通り昨年の十二月に見舞金の支給をしているのでございますが、総体の金額で一億九百万円でございます。それでこれは東京都、千葉県、それから神奈川県と、一都二県にまたがる東京湾地先漁業者損失なのであります。私ども計算の結果、これだけやはり出すのが妥当だというように考えたわけでございます。無論水産庁は勿論のこと、関係各省とも十分打合せをとげまして、それが閣議決定せられまして、そうして出した次第でございます。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 神奈川千葉東京関係漁業者の戸数は何戸ですか、平均して一戸当り幾らになりますか。
  30. 大石孝章

    説明員大石孝章君) そのときの対象漁業者約二万何がしと存じております。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 一戸当り幾らぐらいになつておりますか。
  32. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 約四千円から五千円近くになるはずでございます。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 防潜網ができてから補償が払われるまで一体年数はどれくらいかかつておりますか。
  34. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 占領期間中にあすこのところに防潜網はつきりあつたかどうかといたつたようなことにつきましては、私ども調達庁としましてははつきり存じませんでした。ただ大分相当前からすでに張られておつたというふうにあとで知つたわけであります。占領期間中の漁業損失については水産庁のほうで見舞金を支給したのであります。これが但し防潜網関係が入つておるのか入つておらないのか私今ちよつと存じませんが、そういつたような関係なつております。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは講和発効、昨年の四月二十八日以降からいつまでの分で話を付けたのですか。それじやその占領前は別として、昭和二十七年四月二十八日以降何カ月の分でこの一億九百万円の話を付けたのですか。
  36. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 私の記憶に誤まりがなければ、二十七年の四月二十九日以降と、それからそれ以前、二十七年の一月から四月二十八日までの分というふうに承知いたしております。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 何カ月になりますか。
  38. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 丁度十二カ月になります。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 片方は四カ月で、先に見舞金を五万円、あとから一千百五十何万、片方は十二カ月で一戸当り四、五千円、それでどちらも妥当である、こういうことなんだが、妥当の基礎が、どうもさつきから妥当である、妥当であると言うけれども、妥当の基礎がちつとも示されておらん。一体妥当か妥当でないかということは、私は去年の十二月の二十三日に質問したのです。そうしたところが、これはこういうことを言つておる。その内灘見舞金閣僚懇談会で以て見舞金にこれこれの額を出すというようにきめて、そうして何にも別に基準がなくて出したようなことなんですね。それは特別調達庁の人に、私はこの見舞金基準があるのかと聞いた、そうしたところが、政府委員川田三郎君が、こう言つておるのです。「見舞金普通法律又は政令等によりまして補償基準が定まつていないものを、事情に応じてやはりいわゆる見舞をしなければならんという場合に支出するものでございまして、基準はその際見舞金を支出するという決定政府においていたします際に、基準をきめる場合もございますし、それから事務的にこれを予算当局折衝してきめる場合もございます。一般的に基準がきまつておるかという御質問に対しましては、大体において基準をきめます。今回もやはり政府部内において、一つの基準として五千五百万円というものが決定されたわけでございます。」、こういうことだから、更にそれじや一戸当り五万円というのはどういう基準できめたかということを追及したところが、政府委員は、「その相当の内容につきましては私どもも深くは存じてないわけであります。」、こういつておるのです。あなたの言うのは、存じておつた政府委員が当時こんなばかな答えをするはずがない。だからあなたは今基準があつて相当な額であるといつたのは嘘だと思う。こういうことをどうして一体特別調達庁ははいはい言つておるのですか。特別調達庁は私は内灘へ一戸当り五万円出しておる。だから今度千四百五十万円の補償をするのを悪いと言つているのではない。そうではなくて、防潜網などの問題に対して一年もの間漁民が困つておるのに一戸当り四千円か五千円しか出さないという基準の問題を聞きたい。両方の基準が正しいならば、それをはつきり特別調達庁のほうでその根拠を示してもらいたい。いい加減な答弁はやめてもらいたいですよ。答えられますか。
  40. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 東京湾関係見舞金決定の場合の計算、私ども当時計算各省とも協議してやりましたが妥当だと思います。それから申上げましたように、内灘関係見舞金土地等損失補償要綱の第四条で、一種特殊異例と言いますか、そういうケースの場合は見舞金を出せるという根拠がございますが、先に私岡田委員にお答え申しましたように、私どもがそういつたようなことを研究しておつた時と、それからそう五千五百万円の一括交付ということが決定せられた時期とほぼ同時点つたわけでございます。従いまして、前に川田政府委員がお答えしたことと、私お答え申上げましたことと食い違いがないと私は信じております。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 片貝の問題ですね。あそこは毎年出しておりますか。
  42. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 九十九里浜片貝見舞金は、占領期間中、講和発効まで三年間に亘りまして出しました。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 占領が解除された後は……。
  44. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 二十六、二十五、二十四年、過去三年間出して、それから占領期間中、二十七年は四月一日から二十八日ですか、占領期間中その分だけ出しまして、それ以降のものは目下計算中でございます。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 内灘のほうは大変計算が早いのですが、片貝のほうはどうしてこんなに計算が遅れておるのですか。
  46. 鈴木昇

    説明員鈴木昇君) 片貝制限状況は、或るときは制限いたしまして、或るときは自由に漁獲ができるというようなことで、年間を通じて全く操業ができないという状態にございませんのでございますが、内灘はその期間を通じまして漁業が全く制限をいたされるという状況でありましたので、このほうは、千葉県の関係はその期間が年度末に至りませんと漁業補償算定等ができないということでございまして、算定が遅れたわけでございます。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 内灘の五千五百万円ほど出したのは、あれは防衛支出金のうちから出したと思うのですが、ほかの補償も全部あれは防衛支出金から出ておりますか。
  48. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 講和発効後の補償につきましては防衛支出金でございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから次に伊關局長ちよつとお伺いいたします。内灘は四カ月の期間でやつておりますが、昨年の十二月の二十三日の予算委員会でこの問題について、当時この問題の折衝に当つておりました林屋国務大臣にお伺いいたしましたところ、こう答えております。「又期限の四カ月という問題は冬の間向うを使わしてもらいたいというアメリカ要望もあつたのでありまするので、四カ月ということを限定して参つたのであります。」、こう答えております。あの内灘向う試射場に使いたいというような要求がありました場合に、冬の間使わしてくれとアメリカのほうで言つておるのがこの四カ月という期限になつた一番大きな理由でしようか。
  50. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) あの問題は昨年の春頃から、向うから一カ所欲しいということを言つておりまして、その後農林省が全国に亘りまして候補地を探しまして、三、四の候補地が出まして、これを米軍との間には技術的な面で打合せをいたしました。政府といたしましては、漁業、農業に及ぼす補償というような点を考えまして、結局結論としましては、内灘が一番いいということになつたわけであります。併し内灘地元側交渉いたしましたところ、非常に強い反対がございましたので、政府といたしましては、取りあえず四カ月という決定をいたしたのでございまして、向うが如何に使いたくても、日本政府で承諾しない限りは使えないのでありまして、これを四カ月にするか、一年にするか、或いは無期限にするかということは日本政府の意思によるわけでございます。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあこれは手続上の問題ですが、この四カ月ということについて、その林屋国務大臣答えにあるこの「冬の間向うを使わしてもらいたいというアメリカ要望もあつた」ということは事実でありますか。
  52. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) アメリカは常時使いたいわけでございますけれども、やむを得なければ冬の間だけでも、ともかく成るべく急いで使いたい。ですから、これは冬しか使えなければ冬の間だけで、使いたいのはずつと使いたいのであります。アメリカ要望として言えば一年中使いたいということでありますが、その辺の言葉が大臣もよく御存じなかつたかも知れませんが……大臣御存じだと思いますが、アメリカ要望とおつしやつたのは、アメリカが四カ月だけでいいといつただけの意味ではなく、ずつと使いたいけれども、やむを得なければ四カ月でいいという意味であります。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカの、やむを得なければ四カ月で仕方がない。それだから政府はこれを四カ月にしたといつことになると、一応四カ月の期限が切れておる、こういうことになるのですね。
  54. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) ですから、その場合にアメリカがどう言つたかということは、これはアメリカとの交渉は私がいたしておりましたので、私が林屋大臣報告をしましたのを大臣がどういうふうにお取りになるかによるので、アメリカとしてはともかく一カ所ずつと使いたいわけでありまして、政府としてはどこか一カ所同じ場所でずつと使われれば一番結構なんですけれども、あのときはどうしても話が付かないので一応四カ月にしたということです。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカのほうは一応四カ月にしたと、政府としてはこれは四カ月ということに限定して参る、こういうふうに解釈してよろしいのですが、この林屋国務大臣答弁ですと、取りあえず試験的に四カ月して、あとは続けるのだという含みがどうも答弁の中には見られないのですが、政府は初めからこれは永久的に使うようにするのだ、併し反対運動もうるさいから一応四カ月ということにして、その間に又折衝をして延ばそうというおつもりで四カ月ということにされたのですか。
  56. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 最初地元へ参りまして交渉いたしましたところ、非常にまあ……、反対の論拠というものは風紀問題という点にあつたのです。それで私のほうは、行く米軍の数も極く僅かだと、二十名以下だということを申しましても、どうも政府というものはなかなか信用できんし、一旦出したら幾ら来るかわからない。何百名も来られると非常に風紀が乱れて大変だという心配があつたのですが、私のほうじや、それじややつて見ればわかるから、やつて見て問題がなければいいじやないかというわけで、先ず四カ月にして、その間実際に試射を開始いたしまして、そういう地元で心配するような事態がなければ、そこで地元と又話をして又延ばして行くということをして、初めから延ばすほうを考えておつたのです。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、今の伊關局長の御答弁は、この間緊急質問の際に、私が岡崎外相に対して答弁を求めましたときの岡崎外相答弁と同じです。これは外務省ですから当然でしようが、そのときの緒方副総理の答えはこういうのです。四カ月に限定いたしましたので、アメリカ軍のほうから改めて新たに要求されておるので、これからする、こういう答えなんです。これは大分答弁の食い違いがあるようなんですが、アメリカのほうから更に、新らしく試射場再開の要求が正式に参つておるのですか。
  58. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 先ほどから申しましたように、アメリカとしてはずつと使いたいわけです。改めての要求は参りません。むしろこちらのほうから四カ月たつて、四月末になつたけれども地元との話が付かないから暫らく中止してくれというので、一応中止してもらつているのです。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、緒方副総理の言う、アメリカから新らしく要求があつたので、これから考慮するような話は嘘ですか。
  60. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 私は嘘だとは申しません。それは副総理は十分事情を御存じないかも知れませんし、又お忙しいので、そういう経緯は御存じないのでしよう、アメリカは使いたいと言う、嘘をついたというのとは違いますけれども、使いたいという要求は合つているのです。その辺はお忙しいので十分御存じない点もあるのではないかと思います。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、政府は四カ月に限つたと言つて、これは内灘の何をペテンにかけたようなものですな。腹のうちはずつと永久に使用させるつもりでおつたアメリカも大体そのつもりでおる。併し一応四カ月に限つておる。こう言つておいて、その一応四カ月なんだということは内灘の村民のほうには知らせておらん。それはまあ四カ月だ、四カ月だと言つて来たので、内灘のほうでは四月三十日で期限が切れたと、こう言つておる。そういたしますと政府内灘の村民なり何なりに、この四カ月ということについてまあペテンにかけたような恰好になつておると思いますが、どうお考えになつておりますか。
  62. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) それは最近見える陳情団が皆政府が嘘をついたと言われるのですが、私は嘘をついてはおらんと説明しております。と申しますのは、私はどの程度村民に徹底しておつたかは、それは存じませんけれども、私が交渉いたしました際に、村の有志との間には、引続き永久使用について交渉するという点ははつきりしております。これは決して村の有志が承諾いたしましたとは申しません。併しいろいろ条件を付けまして……。こういう二つの前提があるわけです。試射をやつて見て、当時問題になつておる風紀問題が何でもないということがわかるのが一つ、もう一つは、あの村は従来とも非常に食えないのだ、ますます今後とも見通しが悪いのだ、こういう際に、村の有志といたしましては、多少なりとも国家的に貢献することによつて、村の生活が将来よくなるという見通しが付けば、村民の一部に反対があつても村のためであり、国家のためでもある。これは使いたいと、まあ使うほうに持つて行きたいという考えはあつたのではないか。決してそれははつきりは申しませんのですが、将来使つてもよろしいとか、ただ交渉に応じようということは、交渉いたしましようということは、申しておるわけであります。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 あのときに何か村のほうと、それから林屋国務大臣との間に六カ条の話合ができたのですね。あの六カ条の話合と言いますか、これは正式に覚書を取交して調印したわけではないでしようけれども、あの話の内容を私どもつておるのですが、あれは四カ月たつたら射撃場を止めると、そうして使用後には国有地を内灘村に売渡すと、こういうことが言つてあるのですな。そうして見れば、内灘のほうでこれは四カ月でやめるととるのが当り前だと思います。これは伊關君のほうがあそこに一緒に行かれておつて、大分御苦労があると思いますけれども、そういう六カ条の話は聞いておられるのですか、どうですか。
  64. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) それは私は全然存じません。六カ条というのは今初めて承わりました。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは林屋国務大臣内灘の村長その他とちやんと話しておるのです。そのときに、四カ月たつたらやめるということを言つておるのです。そうして国有林は内灘村に払下げます。こう答えておるのです。それだから、私がその協定の内容を知つておるから林屋国務大臣にそれを確めましたところが、四カ月ということに限定して参つたのであります。なお国有林の払下問題は、これは若し射撃場にしなかつた場合には、県としても、国家としても払下げて開墾するという話に立至つたのでありますが、不要の場合にはこの国有林は払下してもいいだろうということを了承して参り、永久使用ということとは大分違うのですな。
  66. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 私はそれは全然存じませんが、林屋国務大臣は、表向きには四カ月と言つておられましたが、私は大体交渉したときにおりましたが、内輪の会議では、やはり将来のことを考えて、いろいろの話をされておりましたが、どうもそれと食い違いがあると思います。私が行つたときには、金沢で林屋大臣がずつと使うつもりで盛んに交渉しておられました。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 これを徹底的に調べようとすると、林屋大臣を証人に、それから又この六カ条を出した、話合をした内灘の人を呼んではつきりしなければよくわからんことですが、これは今日できないことですからいたしません。とにかくまあ伊關君は外務省の立場で以て、国際協力局の日米合同委員会のほうの関係から話をされた。とにかく林屋国務大臣は政治的な折衝、その政治的折衝において、そういういきさつから行くとペテンにかけたように思うのですがね。まあ国務大臣が大体閣議においていろいろ話合を付けて、そうして補償問題の金額等も緒方副総理の言によりますと、まあ特殊の場合だということで、そうして林屋国務大臣向うに行つて交渉をしたのです。大体林屋国務大臣向うで話をする際には、やはり四カ月でやめるということを言つているのですね。そうすると、どうしてもこれは腹では永久使用なんだが、一応反対が激しいから、一つ一時逃れで 四カ月でやめると言つておいてやれ、こういうふうにしかとれないのですがね。一体政府はそういうペテンをかけて、村民をペテンにかけるようなことをすれば問題が起るのは当然で、私はそのために内灘の問題が非常に重大な問題になつて来ていると思う。こういう点は一体あなたがた事務当局から考えてどういうふうに思われますか、
  68. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) これは今までこういうケース国務大臣がわざわざ出かけられたということはめつたにないのでありまして、あれは非常に愛知県、静岡県あたりからも猛烈な反対がありまして、研川県からも反対があつて大変な問題になつた。そこで大臣が行かれるときには、閣議のほうではやむを得なければ四カ月だけでもやむを得んというふうな一応の了解をとつて大臣はおいでになつた。件し現地に参りまして、ですから初め非常に反対が強いときに四カ月でもやむを得ないというふうな話をされたのであります。併し現地でいろいろその後交渉をしまして、だんだん空気が緩和して参りますと、この大体の見通しは無期限に使えるだろうという見通しが付いた。ですから交渉中にずつと変つて来ているわけであります。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは話がおかしいので、僕が聞いたのは十二月二十三日で、その現地での交渉終つたあとの日なんですね、この予算委員会で私が聞いたのは……。そうすると、今あなたの言われたのと大分違うので、林屋国務大臣はやはり四カ月という言質を与えて来たものと、そうしてそのことを国会で私の質問に対して答えたものとしか思えないのです。
  70. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 確かに四カ月という言質を与えておられますし、そのあとの国会の質問で御答弁なつておられますけれども、当時の事情としまして、それをあのときすぐ言うことは今後の折衝にまずいということでおつしやらなかつた。腹の中ではあつたけれども、それは言えなかつたと思います。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、政府は二枚舌を使つたということをお認めになるわけですな。
  72. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 今二枚舌とは申しませんが、交渉の経緯においては全部さらけ出すわけには行かないと思う。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは外務省のかたですから、そういうかけひきもおやりになるでしようが、併しその二枚舌から来るあとの問題ということもありましようし、それからそのときの言質ということから、この今後の問題の解決にもいろいろ影響を持つだろうと思うのですが、今内灘のほうで飽くまでも反対で以て、いろいろ運動をしておりますが、これはあなたも会われたことと思うのですが、そういうような運動はいずれも内灘の村民たちが、その政府の腹を正式に知らなかつた、当時やはり外交辞令か何か知らないけれども、四カ月に限りという林屋国務大臣の言質に依拠している。政府の側では、それじやこの反対運動を今後どうしようとお考えですか。
  74. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 内灘の村民全体が知らなかつたとは私は言えないと思つております。大多数が知つてつたと思いますが、これは一人々々に聞いて見なければわかりませんし、今のように反対が強くなりますと、これはおつしやらなかつたと言われても仕方がございません。今後どうするかということについては問題は非常に大きくなりましたので、今閣僚においても非常に慎重に考慮されているということで、はつきりした見通しは付きません。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度は特別調達庁長官なり、或いは外務大臣なりが直接に当面の責任者となるのですが、外務大臣なり或いは特別調達庁長官が現地においでになるなり何なりして、そうして又向うの連中と話合をするというふうな方法をおとりになるのですかね。
  76. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) それは私にはわかりません。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 事務当局向うとの話合では、なかなか付かない状況にあるわけですね。
  78. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 依然として努力はいたしております。見通しは、はつきりいたしませんが、最善の努力をいたしております。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでこの問題については何ですか、アメリカ側のほうではいつ何日から使わしてくれというような要求をして来ておりますか。
  80. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) アメリカ側は明日からでも使いたいと申しておりますけれども、私のほうで使えないと言つて延ばしております。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはまあ日本国内で内灘に代るべきところを作るということになると大変な問題で、又内灘以上の問題になつて来ると思うのですが、占領期間中にはこういう試射場のことはアメリカのほうではどういうふうにしておつたのですか。
  82. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) よく特需の中で新特需というような言葉をお聞きになると思うのでありますが、昨年の春くらいから、アメリカは日本で砲弾の発注をするという方針をきめたのでありまして、これは昨年の夏頃からぼつぼつ注文が出まして、大体今年の年度末、向うの年度末でございますから、六月末までに一億ドルくらいというのが我々の話合つたのでありますが、いろいろな日本のやつが高いとか、いろいろな理由がございまして伸び悩んでおりますので、私は五、六千万ドルになるだろうと思うのでありますが、そういうように新たに日本の経済を助けるという観点が一つ、それで以てそういう発注を始めたわけであります。ですから、この試射場の問題も新らしい問題として出て来たわけでありまして、それまでの米軍の頭は、アメリカ本国で作つて向うで試験をするということであります。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあこちらで弾を買上げて近いところでやるというような、これはまあアメリカ側としては便宜なためにそうしたいのだろうけれども、何かこれはマリアナ群島なんかの無人島へ持つてつてぶつ放すようなことに行かないものですかね。
  84. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 結局それは時間的にも非常に遅れますし、それから日本の業者としましても、今契約をいたしておりますから、そういうふうにされれば非常に困るだろうと思います。でき上ります弾は八〇%乃至九〇%は保安隊に渡すことになつております。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、まあ試射場のことは妥当である。従つてこれはどうしても内灘は使わなければならんという結論を政府のほうではお持ちのように見受けられるのですが、若し内灘の村民なり或いは県の町村民なりが飽くまでこれに反対だという運動を続けて非常にむずかしくなつた場合には、何ですか、強制収用をして、そうして使用するということをお考えになつておるのじやないですか。
  86. 伊關佑二郎

    政府委員(伊關佑二君) 強制収用をするか、しないかというふうな問題になりますと、事務当局の判断でなくて、これは閣議でおきめになる事柄と思います。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、結局閣議で強制収用をするか、しないかということをきめる段階にある、そこまで問題が差迫つて来ている、こう解釈していいのですか。
  88. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 今の閣議の意見は、成るべく強制収用ということを避けたいということを皆さん考えておられますが、併し問題が差迫つていることは事実であります。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカのほうは明日からでも使いたい、こういうことですが、政府のほうではいつ頃までにこれをきめたい、そうして再開するのが適当だと、こうお考えですか。
  90. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) それは早いに越したことはないのでありますが、できるだけ無理はしたくないというところでございますから、非常にむずかしいのです。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 岡崎外務大臣の話ですと、向う折衝して話合相当付く見通しがあるように言われておる、これはいろいろ手の内もあると思うのですけれども、細かいことは別として、大体どういうことで話合を付けるというお考えでしようか、これは事務当局のかたも参画しておられるので、或る程度は知つておると思います。
  92. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) どういう交渉をしておるかということは申上げられませんし、又いろいろそのほうの反対運動をしている人がたくさんあるのですから、それに政府が打つ手を見せるわけに行きませんけれども、原則として私は根本的に内灘村の将来の考えというものは、犠牲を忍ぶのでありますから、従来よりよくしてやる、これが政府の根本的な考え方であります。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほどもいろいろ問題になりましたのでありますが、補償の問題について緒方副総理も、先に見舞金三万円出したのも、これは特殊の例であるということを言われております。それから大変早く四カ月の間に内灘漁民の損失補償もされまして、他のいろいろな費用の支払も、ほかに比べると特段にいいような状況であります。これは相当基準と言つておりますけれども、それで安いか、いいか、相当かどうかということは私どもも判定は付きかねますが、併し他の試射場や、或いは射撃場や、或いは又演習地等の補償見舞金等から比べますといいのです。これは私は政府が今までのような漁民や村民に対して木で鼻をくくつたような挨拶をしていたのに比べると一歩前進だと思うのですが、今後内灘のように、政府のほうでもできるだけ今まで大部苦しんでおる農民や漁民も多いわけでありますから、そこにも内灘を標準にして損失補償をするなり、見舞金を出すということをするおつもりですか。
  94. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 内灘の場合とほかの演習地の場合は大部違うのでありまして、内灘の場合には完全に地先漁業が禁止される、ほかの東京湾にいたしましても、これなどは学術的に非常に議論があるわけであります。網というものが魚の動きにどういう影響があるか今研究しておるわけであります。片貝にいたしましても、これは一週間に最近は四日になつたと思いますが、午後射つ、朝早くから出て行つて午前中に何割ということになりますとか、その辺の計算はむずかしいのですが、漁業の半分はできるとか、半分以上できるとかというのが各地の例なのであります。内灘に限りましては、内灘地先漁業は完全にできないという非常に違つたケースであります。その点がほかと違うのであります。それからもう一つは、外務省といたしましては常に補償をする、十分にする、安全にするということを常々考えております。今後とも成るべくそうしたい、私どものほうはそういう犠牲を忍ばすのでありますから、補償は完全にするという方針であります。
  95. 岡田宗司

    岡田宗司君 大分そういたしますると、外務省のほうは補償の点は完全にしたい、こういうふうに言われておるのですけれども、なかなか特別調達庁や大蔵省のほうがうんと言わんようですな、それで一年間に一戸当り四、五千円というようなこともある、どうもそういう点で努力が足りないのじやないか、防衛支出金なんていうのは大部余つておる、それから同じような性質を持つている安全保障諸費なんというのは、年度末にうんと余つている、もそつと方々に出したらどうかと思う。又そういうような点について、これは岡崎外務大臣のほうから話をして、まあ今までの苦しいところに、もつとよくするようにさしてやれないものですか。
  96. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 私としてはそういうふうにしたいと思つております。
  97. 岡田宗司

    岡田宗司君 それからこの間私が本会議で質問いたしましたときに農林大臣の御答弁がありまして、アメリカのほうで陸上演習地として要求されているものは五十一地区である。そうして合意したものは二十二地区だ、飛行場として要求されているのは二十八あつた。合意したものは二十一、こういうふうに言つております。内灘、浅間などはその数字に入つていない、こういう御返答があつたのですが、こんなにたくさんまだ向うの要求が残つているのですか。
  98. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) その数字は殆んど全部が占領中から引続いているものであります。占領中から米軍演習場としているものであります。ただ講和が発効いたしました際に、改めて日米の間に、従来米軍が持つてつた施設或いは演習場等を再検討いたしまして、そうして不必要なものは返さそうということになりましたので、そこで一応白紙の状態に還つたような形になりますから、新らしいというのでなくて、従来から使つておるものなんです。そのうちの二十幾つかにつきましては両者の意見が完全に一致して、形式上提供、何といいますか、正式な手続は済んだ。あとにつきましては、まだ完全に意見が一致しないからぺンデイングになつているというのであります。新らしいものじやなくて、昔から使つておる、なぜ意見が一致しないかと申しますと、何と申しますか、大分演習地の中でも弾丸の落ちる実弾射撃の場所、インパクト・工ーリヤと申しております弾丸の落ちるところ以外には、農民が入つて耕やしておるところが随分あるのであります。それをそのまま除外するか、或いは除外せずに一週間に何回立入るようにするとか、向うの演習のやり方とか、向うとしては成るべく自由に使いたい、こちらとしてはすでに入つて耕やしているのですから、これが十分耕やして行けるようにしたいというので、そこでまだ話が付かないものがあるわけであります。占領中のままにしておいたならば完全に話が付いているのですが、占領中よりもいい条件にしようというので交渉しているわけであります。交渉が遅れますのは、一々現地に行つて見なければならんわけでありまして、農林省と我々のほうと、向うの係官等と一緒に飛行機で飛んで行つては見ているわけであります。冬の間は雪があつて見られないとか、いろいろありまして遅れているわけであります。
  99. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近になつて又アメリカのほうから大分要求して来ているように聞いているのであります。例えば浅間にしろ、妙義にしろ、そうです。それから青森県の岩木山ですか、或いは博多湾が向うの水上飛行機の発着場になつている、いろいろ新らしい要求があるそうです。一体アメリカのほうは、今そういうふうな新らしい要求をどれだけ持出して来ているのですか。
  100. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 新らしい要求で今ありますのは、博多湾の場合はすでに何カ所かあるわけでありますが、それが狭いから、もう一カ所ぐらい水上飛行機の発着と言いますか、言つておりますが、私のほうはあそこは何カ所かやつておりますので、これ以上は無理だろうというので、こいつは断わるつもりで今のところはおります。そのほかには、もう少し詳しく申しますと、先に飛行場がございまして、飛行場はなぜそういうふうに問題になるかと申しますと、飛行機の性能が変つて、従来の五千か、六千の滑走路ではいけない。これを成るべくできるだけ延ばす。これはジエツト機を使うようになりましたので、飛行場はこういうふうに……。演習場につきましては、青森県で岩木山と申しますか、あるのでありますが、これは従来ありました関根というところに演習場があるのでありますが、これが少し狭い。一箇連隊の演習をするのには狭いというので、替えられるものならば岩木山のほうに替えてもらえんかという程度の話でありまして、これはもう非常に土地が地元の受ける影響が大きいという点をよく考究いたしまして、そして無理であるならば取りやめようかと思つております。それから今の妙義、浅間と申しますのは同じでありまして、妙義のところに学校を作りまして、そしてあの川辺で以て四週間山登りの訓練をし、四週間目の最後に浅間に三日ぐらいのあれで行軍をいたしまして仕上げをするという同じものなのであります。これは新らしいものでありますが、これは朝鮮事変の経験に鑑みまして、殊に日本の地形等に応じましてやはり山岳戦の訓練が必要だということで、新たなものとして出たものです。そのほかに新たな要求というのは余りないのでありますが、一つはレーダーの基地、これはなぜ今までこういうものが遅れておつたかと申しますと、やはりこれを動かすのにはかなりの非常な技術的な訓練を要する。それで動かす兵隊の数も定りなかつたという点もございましようし、又レーダーというものが非常に精巧なものであつて、そうなかなかたくさんアメリカでもできないのですが、数が間に合わなかつたという点もありまして、逐次これが機械ができ、そして人員が充実するにつれ、レーダー網を張つて行こうとする。この要求が今後も多少あるかも知れません。
  101. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも新らしいものの要求をできるように行政協定になつているものですから、向うとしても向うの戦略戦術上の必要から要求して来ることになるわけでしよう。まあこれ以上殖やされて、そのたびに問題が起つて行くとこういうになりますと困ると思うのであります。だから向うの戦略戦術上の必要から幾らでも殖やせるのだという考えでやられたのじや、これは迷惑至極で、そのたびに地元民が非常な苦しみをしなければならん。これはやはり、もうこれ以上要求しないのだというふうに、何か要求してもだめなんだというふうに、はつきり先ずこれ以上の要求は全部拒絶する。そして今あるものをだんだん減らさして行くというふうな何か原則というか、などをはつきりできんものですかな。これはあなたの何じやないと思いますけれども、見込みはありませんか。
  102. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) それはいつか朝日新聞に出ましたあれは私が言つたことじやないのですが、新規施設の提供には一切応じないい出ましたが、非常に最近むつかしくなつて来た。又狭い国ですし、私としましては、できるだけ新規なものは避けて行きたい。併し絶対に必要なものは止むを得ないのであります。そういうことを常に考えている。又合同委員会のときもしよつちゆう申しております。そういうのがあの新聞になつたわけであります。そういう今の御趣旨のような点は十分考えております。ただ絶対に提供しないということは申せません。これは安保条約並びに行政協定に基いて国家として義務を持つておる。成るべく最小限度にとどめるということしかできないわけであります。
  103. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ向うが軍人ですから、これが日本の経済上、或いは日本の国民の生活上、或いは国民の思想上に及ぼす影響があるということを考えないで、戦略、戦術という立場から要求されるものが非常に多い。飛行場の問題なんかでもそうなんです。私ども見ておりますと、相当もう返してもいいのじやないかというものを返さないでまだ押えておる。もつと縮小してもいいのじやないかと思うものをそのままにして放つたらかしておるというようなところも見受けられます。港湾なんかにいたしましても、こういうふうに見送つておられる。こつちから積極的に、もうあなたのほうは、そこは余り使つていないようですから、返したらどうかという要求はできるのですか。それとも向うが返すという話があつてから初めて返させるようにするわけですか。減らすことは要求し得るのですか、又して来ましたか。
  104. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) そうでございますね。向うが自発的に返したものと、こつちから要求して返したものの比率を見ましたら問題にならん。こつちから要求して返した……まあ向うとしましては広い国で馴れて来ておるものですから、それほど苦にも思わない点もありましようが、こつちから申しますと、いろいろなあれがあるのでございますね。ですから大体今の形が所有主とか、或いは地元の市町村、県等から返してくれという要求が盛んに参りまして、そうしてその理由を十分聞きまして、それをよく説明しまして返して来るというのが最近のです。ですから、向うから殖やしてくれという要求も来ておりますし、こつちから返せと言うのも大分出ております。いずれも懸案になつておる件数はたくさんございます。
  105. 岡田宗司

    岡田宗司君 返すものもありますが今までのところはゴルフ場だの、ホテルだの、住宅というようなものが多く返されて、いわゆる基地ですか、エーリヤに属するところのものは余り返されておらんようですが、件数の減つたのはそういう細かいところのほうであつて、大きいもののほうはむしろ殖えて行く傾向にあるのじやないですか。
  106. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 面積から見まして、いつか発表いたしましたが、殖えておりません。だんだん減つておりますが、殆んど減つていないと言つていいのじやないかと思いますが、これは占領中の米軍というものは占領行政でやつてつたものが主であつたと思います。朝鮮事変が始まりまして、全部朝鮮に行つてしまいました。そして最近になつて二箇師団帰つて来た。去年の一月以来から初めて実戦の経験を経た部隊が帰つて来た。そして新たに日本の防衛という任務を負つたのでありまして、そこで従来とは比較にならんような猛烈な訓練をやつているわけでございます。従いまして従来の演習場では非常に狭い。非常に演習がやりにくいということを盛んに申しておるのでありますが、そこを何とか多少の不便を忍べと、私のほうは国民生活とか、国民感情とかいろいろな点を考えまして、こつちとしてはないに越したことはない。向うとしては成るべく広いほうが訓練の目的を達し得る。その間の調和点をとつて行く、こう私は思つておるわけです。
  107. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは最後に一つ。伊關局長は近く内灘内灘問題解決のために行かれますか。又向うから代表を招致して具体的な折衝をやられますか。事務的な問題ですが。
  108. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) それは何とも申せませんですが、必要があれば参りますし、今のところ何とも申せません。
  109. 岡田宗司

    岡田宗司君 それじや……。
  110. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに今日の議題、その他につきまして御質疑ございませんか。
  111. 千田正

    ○千田正君 特別調達庁大石次長ちよつとお伺いしたいのですが、この内灘最初の前渡金五千五百万というのは、これは損害を予定しての損害に対する見舞金の前渡金という意味ですか。それともただ漠然として将来相当長い期間使うのだから、これを前渡金としてやる、この前渡金としてやるというのは損害を標準としての前渡金ですか、ただ漠然としてやつたのですか、その点をはつきりしてもらいたいと思います。
  112. 大石孝章

    説明員大石孝章君) お答えいたします。これは施設区域として閣議決定を見たあと見舞金としての支出でございまして、その見舞金としての内容は何を対象としたかという御質問になるだろうと思います。先にも申上げましたように、あすこは殆んど全般が村の経済上の観点からしますと影響をこうむるということから、異例のこととして見舞金を出したということになつております。
  113. 千田正

    ○千田正君 さつき岡田委員の御質問に対してのお答えを承わると、将来ともこういう問題があつたら出して上げたい、こういうような意向のように私は聞いておるのですが、そこで当時の問題としましては、水産委員会としましても東京湾防潜網の問題、或いは九十九里の問題等について、林屋国務相は自分の出身県であるが故に見舞金として特に出した感がありましたので、委員会としましてもその点を追及したのであります。ところがそのときの答えとしては、さつきもあなたがたが言う通り、この東京湾は必ずしも全部一年間通じて漁業ができないような状態ではない、或いは科学的に研究しなければならないとかという理由を以て、その当時の漁民からは仕込資金がない、不漁である、あらめる悪条件の下に苦しんでおるから一日も早く見舞金なり、或いは損害の査定をして、この点を補償してもらいたいという要求に対しても検討を与えなければならない、その同じような時期においてさえ、片方においては大臣の出身地であるからというので、大臣がいわゆる政治交渉のもとにやつたのだという理由のもとでこういう多額の金を出して、一方はそれよりも戸数が多くてなお且つ又重大ないわゆる生活の脅威にさらされておるというところに対しては一文も出してくれない、こういうことに対しては、実に政治の不公平を私はあなたがたの行政面に反映する点から行つて甚だけしからんと思つています。我々はいわゆる等しからざるを憂うのであつて、やはり損害の査定ということから行けば、相当我々から考えれば内灘と比較して必ずしも少いものではないと私は思う。でありますから、こういう確定しない見舞金を出すということが前例であるとするならば、将来ともこういう問題が起きた場合においては、あなたがたのほうではこういう見舞金を出すのかどうか、早い話が今日は農林大臣内田君が来ておりますが、内田君の郷里であるところの茨城県、あの海岸において問題が起きております。その場合に内田君は、それじや政治折衝するという場合におきまして、やつぱり金を出すことになりますか。
  114. 大石孝章

    説明員大石孝章君) お答えいたします。先ほど私が先に金を渡すという制度を研究中であるということを申上げましたのは、一般的に実損害の補償等が予想せられる場合に、これは当然早くそういつたことをやらなければいかんというそのことを申上げたのであります。それから丁度内灘に該当するような事案の際に、今御質問の御趣旨の、出身大臣のおるような場所なんかはやるのか、そうでない場所はやらんのかといつたようなことについて、私事務当局といたしましては、決してそういつたようなことはないというふうにお答えするだけでございます。
  115. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の問題ですが、ここに林屋さんの答弁があるのです。どうして林屋さんが一戸当り五万円相当とお考えになつ閣僚懇談会に持ちだしたかを私がお聞きしたのに対して、「村の幹部と実は三日間夜通しでいろいろ懇談をいたしました結果、五千五百万円くらい支出すればこの話がまとまるだろうということできめて参りました。」こういう答えをしておるんですな、だから事務当局は何も関与しないでやつておるんですから、結局大臣のおるところは責められると出すということになるんですね。
  116. 千田正

    ○千田正君 今のお答えは、当時の速記録をお読みになつて、そういう最後の決断を下されたようでありますが、現実において、結論から行けば同じようになるのだが、あなたがたは大臣からそういう要求があつて、或いは閣議決定した場合はしようがないから出すということですか。
  117. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 私どもは一般論として閣議決定せられて、そうしてそれを命ぜられた場合は、行政機関といたしましては実施せざるを得ないだろうと思つております。
  118. 千田正

    ○千田正君 併しあなたのさつきの答弁から言うと、原則的には損害が発生して、そして最終的に例えば一月から四月まで、その間におけるところの損害はこれこれであつて、それを査定をして払うのが原則だと、こう言つておるんですよ。
  119. 大石孝章

    説明員大石孝章君) さようでございます。
  120. 千田正

    ○千田正君 原則を貫いて行かないのですか、あなたのほうは……。
  121. 大石孝章

    説明員大石孝章君) 私ども常に補償の作業をいたしておりますときは、実態調査に基きまして、その調査の結果を査定し決定いたす、そうしてそれにつきましては無論関係各省等の意見も十分参照いたしまして、拝承いたしまして、そして決定して相手方話合を付けるということにいたしております。
  122. 千田正

    ○千田正君 例えば今の防潜網の問題にしろ、或いは片貝の問題にしろ、あなたがたの方面に対してあらゆる方面から請願、陳情、嘆願等が行つておるはずであります。そういうのを一応聞いて、そして損害を査定しなければ払えない、片一方は未だ損害が発生しないのにかかわらず、いわゆる大臣の出身地でございますから、政治折衝をしたから閣議できまつたので、それだけ出してやれということになれば、我々は仕方がないから命令だから出す、国民の大多数が請願、陳情しておる現状というものは、一応これは原則として、建前として払えないのだという、そういう行き方を今後ともやろうとするならば、我々は考えなければならないので、その辺のけじめをどういうふうにやつておりますか。
  123. 大石孝章

    説明員大石孝章君) お答えいたします。私ども事務当局といたしましては、常に実際の調査に基きまして、そしてその結果の出たものをやるという建前は飽くまでとつております。それで今後といえどもども事務当局はそれでやるつもりでございます。それからいろいろ国民の大多数から陳情、請願と言いますか、陳情等、お話のあつたということについては、できるだけ時間を割きまして、その趣旨に副うように調査をいたしております。ですから何と言いますか、許された人員と時間或いは事務費予算の範囲内において御趣旨に副うような作業はいたして参つておるつもりでございます。
  124. 千田正

    ○千田正君 これはいつまで伺つても話はつかんようでありますから、最後に聞きますけれども、これは今私が言う通り、これを千葉の問題にしろ、防潜網の問題にしろ、もう前から何回となく陳情、請願として、我々委員会としてそれを受けているのであります。それであなたがたのほうを呼んで、幾たびか早く査定をして早く出せ、漁民は仕込資金もないのだから、明日の糧にも苦しんでおるから、一応の概算払として見舞金を出したらどうかと言つておる、片方内灘の問題はまだ決定しないにもかかわらず、大臣の出身地で、大臣が三日間もかかつてそうして村民を説いたから、一応この辺でまあまあと手を打つたから、これであなたがたは出してくれと言われたので、それだから止むなくあなたがたは出した。事務的には落度はないかも知れませんけれども、そういういわゆる考え方であなたがたが事務を処理して行くつもりであるかどうかということを、もう一遍はつきり聞いておきたい。片つ方は、国民の大多数が、いわゆるあなたがたに対して実情を訴えて、概算払でもいいから、見舞金でもいいから、明日の仕込資金も生活資金もないのだ、年の浜も越せない、だから何とかしてくれということを歎願しておる、切実な問題です。まだこつちは提供するともしないとも言えない。だが併し、まあ政府が出したならば提供しよう、大臣の出身地なら大臣が行つて、そういう政治的折衝でまあまあというところで落着いたものに対しては、まあ仕方がないから、上のほうから言つて来たから出すのだという考えで今後も処理して行くのかどうか、その点をはつきりお聞きしたい。
  125. 大石孝章

    説明員大石孝章君) お答えします。何回も申上げますように、私どもは実際事務をとつておる面におきましては、今後といえども、又今までもできるだけそういつたような国民大多数のいろいろなお話のあるところは、実際の調査を遂げて、できるだけ速かに許された範囲内の補償をするという建前で進んで参つたし、又進むべきだと考えております。
  126. 千田正

    ○千田正君 一応この問題につきまして、大石さんのほうではこれ以上のことは言えないと思いますから、私どもとしては特別調達庁のあり方というもの、それからそれが行政的にどういうふうにやるのかというはつきりした態度を、長官から改めて、次の機会に呼んでその態度を鮮明に聞こうと思いますから、今日はこれで私の質問は打切ります。
  127. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは私から一言大石さんにお願いしておきますが、今の東京湾防潜網の場合の補償計算されました実態、それともう一つは内灘の問題、五千五百万円ですか、これをやはり損害補償を基礎にしたということでございますが、損害が大体どう見積つてどうだという基礎を、先ず算定されました資料を一つ出して頂いて、それに基いて次の機会に調達庁長官出席を頂きまして、よくお話を承わりたいと思います。と申しますのは、今大石次長のほうでは、原則としてやはり損害の実態をつかんで、それに基いて補償をするということでございましたが、今岡田委員の速記録によりますと、これは林屋国務大臣のほうでは、地元との話合で、そういう基礎は全然関係なくして、大つかみで話合がきまつておるということになつておる。それから、これを類推すると、地元との話から五千五百万円ときめたと、調達庁はこれを一つの枠として、これにあとから理論付けをしろと言われて理論付けをしたのか、本当に調査したら損害がこれだけだということで五千五百万円が結果として出たのか、その点はつきりしたいと思います。今日はこれはあなたに聞いても無理だと思いますので、次の機会に千田委員要望もありますので、両方の損害補償の基礎的な資料を出して頂きまして、長官からじかにこの問題をはつきりして頂かないと、今後やはりこういう問題が起きた場合に、今千田委員から言われておるように、有力者がおる故にその地元は非常によくなる、よくなるのではない、これは当り前でありますけれども、そうでない所は非常に不利を忍ばねばならない。これは国民全体に対して我々としては申訳ないことでございますのでその点を宿題として次の機会にお願いしておきます。  ほかに御質疑はございませんか。
  128. 岡田宗司

    岡田宗司君 特別調達庁のほうで片貝防潜網の損害の費用を出されて、そして補償金の算定の基礎を出されると思いますが、水産庁のほうからも、一つ水産庁として調査したそういう漁業上の損害、片貝、或いは内灘、或いは防潜網関係のもの、それから又青森の沿岸等、一つ出して頂きたい。特別調達庁調査と照合して見て、なお地元のほうからも出ておりますが、その地元のほうの額、この三者を照し合せて見たいと思いますから、それを一つ。
  129. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 今の岡田委員の御希望を一つ水産庁のほうでもよろしくお考えの上御準備を願いたいと思います。  ほかに御質疑はございませんか…。それでは今日の委員会はこれで散会いたします。    午後零時二十五分散会