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1953-08-10 第16回国会 参議院 水害地緊急対策特別委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月十日(月曜日)    午前十一時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     矢嶋 三義君    理事            藤野 繁雄君            三浦 辰雄君            永岡 光治君            永井純一郎君    委員            重政 庸徳君            堀  末治君            松岡 平市君            北 勝太郎君            島村 軍次君            林   了君            安部キミ子君            東   隆君            山田 節男君            松浦 定義君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君    郵 政 大 臣 塚田十一郎君    建 設 大 臣 戸塚九一郎君   政府委員    自治庁財政部長 武岡 憲一君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    建設省河川局長 米田 正文君   説明員    厚生省医務局医    務課長     内藤 誠夫君    農林省農業改良   局植物防疫課長  堀  正侃君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年六月及び七月の大水害  に対する緊急措置法案に関する件   —————————————
  2. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今から本日の委員会を開会いたします。  昨日までこのたびの立法に関しまして各省別にそれぞれ政府委員から予算額その他について所見を聞くと共に質疑を続けて参つたわけでございますが、自治庁関係だけが残つております。只今自治庁財政部長武岡君が本委員会に出席されておりますので、自治庁関係特別災害財政補給金交付に関する法律につきまして自治庁側の意向を先ず聴取したいと思います。
  3. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今回御制定頂きました昭和二十八年の六月及び七月の大水害による被害を受けた地方公共団体起債のことに関する法律でございまするが、これにつきまして結局自治庁といたしましてはかような措置によりまして各地方団体国庫金の貸付けができるという途の開かれましたことは結構なことだと存じております。  ただ、法律実施に当りまして特にまあ私たちとして要望いたしたいことは、この関係のために貸付けられますところの地方債財源となりますところの国庫貸付金でございますが、これはどこまでもこの水害のために特に必要になつ資金を貸付けるという建前てございますから、これはまあ大蔵省としてその貸付け財源とするところの資金運用部資金或いは又これは郵政省のほうで所管しておられますところの簡易生命保険及び郵便年金特別会計積立金というものの額の関係等があると思いますが、どこまでも一般的な地方財政のためにこれまで貸付けをいたしておりますものとは全然別個に考えて頂きたいということを特にお願い申上げたいと思いますのが一つであります。  それからもう一つは、その貸付けました地方債元利補給金というものを毎年国のほうで当該地方団体交付されることになるわけでございますが、これも勿論この法律の特別な措置によつて行われるわけでございまして、これが又一般的な地方財政に必要な平衡交付金でございますとか、或いはその他の補助予算というものと別個に別枠で考えて頂きたい、こういうことを関係大蔵省なり或いは通産省なりにお願いしたい、これはまあ自治庁としてのお願いでございます。  それからその第三条に起債許可についての協議と申しましようか、手続的な規定も入つておるわけでございますが、これは現行の規定におきましても、起債許可につきましては一般的な規定があるわけでございまして、その一般的な規定適用は別に除外するわけではない、この法律に書かれておりますもの以外につきましては、やはり一般的な起債としての手続が行われるものというふうに了解をいたしておるのでございます。  それからこの法律施行に伴いまして事実それでは地方にどれぐらいの財源が必要になつて来るかという見込額でございますが、一応前に資料として提出をいたしてございます通り、各団体で今回の水害によりまして地方税がどれくらい減収して来るかという見込額と、一方この災害復旧対策として、公共事業費等を別にいたしまして、どれくらいの地方負担がかかるかという見込みがあるわけでございますが、第一の地方税減収見込み額でございます。これは一応の推計といたしまして、まあ大体五十二億ぐらいという数字を見込んでおりますが、これはなお精算によりまして若干の動きが出て参ることは御了解頂きたいと思うのでございますが、なお詳細な点につきましては、その後各団体から更に資料を求めまして只今再検討をいたしております。なお、この五十二億三千九百万円という数字を出してございますが、これは最後の備考のほうにも書いてございますように、地方税の減免によつて全然減つてしまいますもののほか、徴収猶予によつて二十八年度には取れないというものも一応見込んでございますが、その徴収猶予によるものが、大体見当でございますが、このうち十億ぐらいはあるのじやないかと考えられます。そういたしますと、まあこの見込みで参りますれば、本当の減収になりますものは四十億前後ということに或いはなろうかと存ぜられます。  それから一方、諸対策費のほうでございますが、これもお手許提出をいたしました資料県分だけについての数字でございます。それからそれも又山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分この大県分についての数字でございますので、このほか紀南水害分数字がまだ出ておりませんのと、それからなおいわゆる西日本の六県につきましても市町村分数字がまだこれに入つておりません。いわゆる西日本県分市町村分で、これに該当するものがどれくらいあるかという数字は、只今更に検討いたしておりますが、大体の見当ではまあ十二、三億ぐらいではなかろうかと考えられます。紀南水害の分、和歌山、奈良等の分につきましては、只今のところまだ申上げるような報告を手にいたしておりません。早急にこれも数字をまとめたいと考えております。大体この法令に関しまして申上げる点はさような点だろうかと存じます。
  4. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 続いて先般本委員会の決議に基いて、自治庁当局へ申入れた事項についてその後の処置の経過並びに結果について報告を聴取いたしたいと思います。
  5. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 先般当委員会から申入のございましたものの中で自治庁関係のものにつきまして申上げます。  一つ災害復旧費地方負担額及び単独事業費については、全額地方債を認めることということでございますが、災害復旧費地方負担額に対する起債充当目標でございますが、これは従来から災害復旧に関しては、その現年災の、その年に復旧をいたしますものの中で補助のつきますもの、いわゆる補助災害分でございますが、これは従来からも全額地方債で見ております充当率でいわゆる一〇〇%でございます。今回のものにつきましても勿論さような扱いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから補助のつかないいわゆるこの単独災害の分でございますが、これも考え方といたしましては勿論現年災分につきましては全額起債で見るような考え方で参りたいと思うのであります。ただ実際の問題といたしましては、この単独災害の中で、殊にいわゆる一件単価の非常に低いもの、今日の基準で申しますならば町村で十万円以下、府県等で十五万円以下というような少額な災害につきましては、各団体のほうでそれに当てるところの金額が非常に少いものでございますから、まあ二、三万とか、或いは五、六万というようなものにつきましては非常に複雑なわざわざ起債手続によつて借入れるよりは、その程度のものはその団体一般財源充当ができるというようなことで一般財源でおやりになつておる例が相当あるのでございます。又いま一つはそういう事情一つ特殊性でございますが、町村等におきましてはいわゆる住民の何と申しますか、労役奉仕と申しますか、そういうことによつておやりになる面が相当出て参ります。従つて客観的に査定いたしましても、仮に一件が五万ならば五万円ということになりましても、実際はその住民のかたがそれぞれ出て労力奉仕をやられるので、そんなに金がかからんというようなことなんかもございますので、私のほうで単独災害分として配当いたしました起債が必ずしも全額消化されないで、その枠が単独災害に関する限りは余つて来る、地方としては十分それ以上のものは要らないというようなことで処理されておるのが相当多いようであります。そういうものにつきましては数字上はいわゆる一〇〇%でございませんけれども建前といたしましてはそういうものにつきましても御要望があればお貸しをするつもりでおりますから、まあ全額充当ということと実際上には変りはないと思うのであります。殊に今日起債の取扱いは町村等につきましても一件三十万以上というようなことになつておりますので、それに満たないような小さな災害しかなかつたような町村におきましては、事実上これは只今申しましたような一般財源で補充するか、或いは労役奉仕というような恰好で以て処置されておるというのが実情でございます。ただ考え方といたしましては、先ほど来申上げておりますように補助災害にいたしましても、或いは単独災害にいたしましても、できるだけ全額目標とした起債充当をいたしたいというような考え方で今後も処置して参りたいと考えております。  それから災害復旧基準の短縮というのは、これは災害復旧を三年でやるか、五年でやるかというふうなお話かと思いますが、私どもといたしましてはこれは少くともやはり従前の狙いといたしておりましたように、いわゆる三、五、二というような比率で少くとも三年程度には復旧が終るような目標でやつて頂きたい。ただこれは私のほうとしては一つの御要望でありまして、私のほうのこれに充当いたしますところの予算がどうなつておるかというようなことで、むしろ大蔵省のほうでどういうふうにそれをお考えになるかということのほうが主じやないかと思つております。私どものほうといたしましてはかような災害について五年、十年ということは到底地方としても困りますので、できるだけ短期間に解決をいたしますように要望いたしておるのであります。  それからその次の国庫補助査定早急実施は、直接には自治庁が担当しておるのでございませんので、主管の建設省なり或いは農林省なり、運輸省なりそれぞれの所で御査定になるわけでございますが、地方団体側要望といたしましても成るべく早くこれを御決定頂きまして、災害復旧についての全体的な目安を早く立てて頂くということは地方団体の人々の要望いたしておるところでございまして、自治庁といたしましてもできるだけさような措置がとられますように関係各省のほうにも絶えず御要望申上げておる、かような状況でございます。以上は大体…。
  6. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑のあるかたは質疑を願います。
  7. 島村軍次

    島村軍次君 この表を見ますと諸対策地方負担見込額の中に救助費防疫対策、その他対策は含んでおりますが、今度の法律改正によつて例えば土木に対する補助金が、いろいろ補助率が殖えましたけれども補助率が殖えてもやはり地方負担が相当に出ると思います。その建設省関係幾ら、或いは農林省関係幾ら、こういうことがこの表に載つておりませんが、その点はどうですか。
  8. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは各事業によりまして今回の特例法によつてそれぞれ国の負担率が変つて参りますが、大体皆いずれも負担額比率が高くなつておりますので、地方負担額はそれに応じましてだんだん減つて参るわけでございます。併しながら勿論応分の地方負担が残るわけでございますが、その各省別数字は今別途集計をいたしておりますが、まだ殊にこの新らしく御制定になられました法律に伴いましてどういうふうな具体的な負担額になるかと、いう数字を具体的に弾いておりませんので、今少しお待ちを願いたい。
  9. 島村軍次

    島村軍次君 この対策費の中には第二台風も含んでおるかどうかということ、第二台風……。
  10. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは今回の西日本水害についての数字でございます、第二台風関係は入つておらないと私記憶いたしておりますが……。
  11. 島村軍次

    島村軍次君 そこで要求をいたしておきたいと思いまする点は、第二台風農林省関係が主体ですから、恐らく地方財源起債に求めるということは少いじやないかと思います。ところが只今お話土木関係農林省関係はこれは被害額が大きいだけ土木においても数百万円、農林省関係においても数百万円を要する。従つて補助率上つて地方負担というものは非常な大きい数字になると思います。或いは排土費用、その他一般の各河川その他の費用は相当多額に上る。それからなお単独事業については、起債工事の三万円以上は国庫補助対象になる。今度の法律では入れたわけです。よく御調査の上こういう問題も次回の特別委員会において本日挙げられました以外の財源についての調を一つ出して頂きたいということを希望いたしておきます。
  12. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 武岡君よろしうございますか。
  13. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今回いろいろ御制定になられました法令に伴いましていろいろ負担の率が変つて参りましたりいたしますのは当然でございますし、それから全体的な被害査定額も、その後だんだん数字が固つて参つていますし、私ども手許にもその後のいろいろ新らしい報告等も漸次到着しつつございますので、それらの点につきましては、数字のほうをできる限り早く取りまとめまして、新らしい事態に応ずるような資料を早急に出すようにいたします。
  14. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この頂いた資料は、いわゆる公共事業費関係で、従来の仕事起債負担といいますか、これはこの表に入つていないでしよう。
  15. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) はあ。
  16. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこでそれは明らかにしなければ……。今の御説明の中にはそれが明らかになつていない。
  17. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは表題にもございますように、実は今回の御制定になられました法律によつて、それぞれに直接関係して要するところの財源見込額だけを挙げたわけでございます。そのほかに勿論これは従来から起債対象として扱つております公共施設復旧関係等による数字がございますが、これは前に、七月の中旬過ぎ頃であつたと思いますが、一応御報告申上げておると思うのでございますが、簡単に数字を申上げますと、公共施設復旧関係で、補助事業分並び直轄事業分に対する地方負担分としては、大体三十億程度地方負担があるわけでございます。それからその他のそれに伴いまするところの各種の単独事業分、これが先ず大体四十一億程度で、ほぼ七十億程度ということに相成つております。これは勿論ここに今お話になつておりますのとは、別なものがあるわけでございます。
  18. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私それは明らかになつているのですが、この第二条かで、この法律適用する区域を政令で定めるわけです。で、私はどこの村を入れるとか、どこの県を入れるとかいう問題は、この際もう少し慎重にいろいろな資料に基いて、他の法律適用との関連において御研究になることだから、私はそのことを聞こうと思わない。ただ考え方として、災害救助法を発動された町村というか団体、そういうところは、これは恐らく政令規定されることが考えられると思うのですが、その他に、災害救助までは行かないけれども、法は発動しなかつたけれども、これを適用しなければならんというような場所が考えられるかどうか、この点を、言葉を換えて言えば、災害救助法を発動された団体の更に内輪で、政令でこれを考えようと考えられますか、或いは救助法を発動された丁度程度考えられるかどうか。更には発動されない外までも考えなければならんような点がありそうかどうかという、ただ漠然的にお考えになられるか、基本的の態度、結果は或いは例外的にいろいろな問題が出るかも知れませんが、大かた考え方だけ一つつておきたい。
  19. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 御承知の通り、この災害救助法適用になるかどうかというのが一つの大きな目的であることは、申上げるまでもないことであります。ただ併しながらこの法律趣旨から申しまして、その分だけを見るということではなく、今回の水害によりまして、その団体財政運営に非常に大きな支障を来すかどうかという点が今回の特例法狙いとするところであろうと思ひますので、さような見地から団体はこれは選ばなければならん。従いまして必ずしも災害救助法適用を云々ということだけで線を引くということにはならないと私は考えております。
  20. 東隆

    東隆君 先ほどからのお話ですと、問題は、北海道がお考えにまだなつておらんようですけれども北海道の場合、この災害復旧関係は実際のことを申しますと、八月一ぱい遅くとも九月くらいまでに仕事ができないと、あともう十一月になると、これはもう雪が降つて来ます。それで殆んど問題にならなくて来年の春にこれはものすごい融雪による災害が起きて来る。それでどうしても災害関係復旧仕事は、要所要所はどうしても今のうちにやらなければならん。こういう問題で実は第三次の災害が、ひつかかつておるわけです。この六、七月の何にひつかかつておりますので、できるだけ早く解決をつけないと大きな問題になると、こう考えておりまするが、先ほどお話なつ要望事項に対するこの関係は、一つ北海道方面にこれは急速にお考えを願いたい。こういうことなんですが、それについてどの程度考えになつておるか、それを伺つておきたいと思います。
  21. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今回のこの特例法施行対象、又先ほど申入れ事項関係で申上げたような災害復旧対策として一応とつておりますところの措置関係等につきましては、とにかく本年において水害等災害によつて、その団体財政運営上非常に大きな負担を負わなければならんというようなものにつきましては、これはまあ全面的に適用があるものだというふうに私ども考えております。  御指摘北海道状況等につきましても、実はここで申上げ得るような具体的な資料をここに私持合しておりませんから、実情によりまして、他の西日本等水害地に準じまして然るべき措置を講ずべきものだというふうに考えております。
  22. 東隆

    東隆君 農業災害被害が今のところ四十三億程度になつております。それから土木被害が十六億くらいになつておるわけです。それで農業のほうは困つたことには、あそこは単作ですから、それで六月、七月の最初の頃に被害を受けた地方に比較いたしますと、もう殆んどこれからの作付けはできないわけです。それでこの方面被害というのは一度合は今後ますます大きな形で出て来るわけです。それから土木のほうの被害は、先ほど言つたように、道路にしても、河川にしても、橋梁にしても、その他の関係でも、殆んど今のうちにやつておかないと、これはもう由々しき問題を起すようになります。いずれ地域の指定、その他についていろいろ皆さんの御支持を得たい、こう思つておりますけれども自治庁のほうで特にお考えを願いたいと思います。
  23. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 御指摘通り北海道につきましては、そういう地理的、気象的な特殊な事情のあることはもうおつしやる通りだと思います。従いまして、その復旧につきましても、当然さような特殊事情を考慮いたしまして、この時宜に即した適当な措置を講じなければならんわけでございますので、早急に資料を求めまして成るべく速かに適当の措置考えて行くようにいたしたいと考えております。
  24. 松岡平市

    松岡平市君 この資料の中の諸対策費地方負担見込額の中の一番終いの(9)です。その他対策費、これは主としてどういうものですか。
  25. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) その他の対策費と申しますのは、そこにずつと括孤書きしてございます苗代対策費肥料対策費種子購入対策費、以下各項目がございますが、そういつたようなものを入れております。なおその他と申しておりますのは、そこに掲げてございますようなもののほかいろいろこれは細かい問題があると思いますが、ちよつと具体的にこの内容の積上げがどうなつておるか、細かい資料がございませんが……。
  26. 松岡平市

    松岡平市君 内容はとにかく、この中には小さな単独災害復旧費というものは含んでおらんことは事実ですか。そういう復旧費という中には、先ほど説明になりました単独災害の小さなものの復旧費というものは含んでおらんと、こういうことでございますね。
  27. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) つまり一件単価、三万円以下或いは前のもので申しますと十万円以下というものでございますか。
  28. 松岡平市

    松岡平市君 簡単に三万円とおつしやいましたが、三万円以下というのは農林関係だけが三万円まで新らしい立法で国の補助をみることになつておる。土木事業については初めの立法は少くとも府県分は十万円以上のもの、町村分は五万円以上のものということに、立法原案はそうなつたのでございまするが、途中で建設省意見等も勘案して、その部分は削除した。削除したものはどういうものかというと、これらはむしろこの新らしい立法特別交付金をやつて地方公共団体に任してやらせる。こういう趣旨が片一方に生きて来たものだから、それで小さなものは建設省の監督が十分できないというような意見を勘案して、これは我我原案から落すことを賛成したわけです。従つてそれらのものは当然に地方債全額これは先ほど説明要望事項の中で、全額地方債を認めるということ、これでも結構です。この立法趣旨はこつちが認められるならば、従来起債対象にならなかつたものをここで列挙してある。即ち(8)までの種目は起債対象にならなかつた、それらのものをこうして救つてやる。併しながら若し起債がこちらから認められない場合はこつちのほうで行くということを十分我々は含んでおるわけです。というのは、今の農林関係だけは三万円以下のものは皆補助考えておる。ところが土木関係においては相当な金額に上るにかかわらず、初め五万円までというやつを落すということ、即ち起債が全部要望通り認めてくれるか、若しこの起債がなかなかぐずぐず認められなかつたらこちらで行く、この今説明している新らしい立法で認める、こういうことが初めから立法するときの委員会態度なんです。ところが先ほどあなたの説明を聞いているというと、この要望事項説明で県の十五万円以下のもの、町村の十万円以下のもの、即ち単独災害の小さなものも従来は三十万円ぐらいまでのものについては起債を認めておる。それから以下の小さいものについては村なり町なりでそれぞれお互いで労力を提供しあつたりしてやるものだから、そういうものは余り起債等を認めてもらえんと、こういうようなふうに受け取れる御説明であつたわけですが、今回の災害の場合については、その町村の十万円以下、県の十五万円以下という、従来補助対象にならなかつた災害がおびただしいこういうことです。我々はそうしてこれが地方公共団体財政に及ぼす負担が非常に大きい。それを何らかの形で救おうということで、先ず農林関係には三万円以上まで救えということを立法いたしました。十束関係にも、これは原案を御覧になるとわかるように、府県の分では十万円まで、町村の分は五万円まで、こういう立法を最初提案いたしましたけれども、繰返して申しますように、建設省意見もあつて、それらのものは地方債でやらせるか、或いはこの新らしい立法貸付金でやるか、どちらかでやらせるということで落したわけです。その辺のところを自治庁としてどういうふうに考えておられるか。先ほどの御説明ではこの要望事項のほうについても、これは是非その小さな単独災害も全部起債で認めるというような説明ではなくて、むしろ従来の例の説明をされただけである。そしてこちらの新しい立法説明にも、そのほうの予算は全然みておらないということになると、我我が最も心配しておつた、而も地方の公共団体財政を最も圧迫すると考えられるその部分が自治庁においては殆んど考えられておらん、こういうように解釈せざるを得ないのです。その辺を自治庁は如何に考えておられるか、ここではつきり一つ説明を願いたい。
  29. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  30. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。  只今質疑は本委員会としては最も重大な当初から問題になつた点でございますから、詳しく明確に一つ御答弁を願いたいと思います。
  31. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今松岡委員からのお尋ねの問題でございますが、私ども考えといたしましては今御指摘の問題は今の起債でございますね。今の起債の中で全額処理をいたして行くようにいたしたいと思います。と申しますのは先ほど申上げましたように公共補助災害分については、これは文句なしに一〇〇%、単独債については現実というよりは計画上の数字は、財政計画上の数字を見ますと、地方負担として出て参りますものの総額起債という数字になつておらない、実際問題は、実際問題というよりは、これはむしろ言葉は悪いのですが、計画上の数字はなつておらない。ところが現実にはその当年災に関する限りは単独災につきましても一〇〇%起債がついた恰好になつておるということは先ほど申上げましたような事情地方にございましたもので、事実これまでの私たちの起債計画の実情から申上げますると、単独災分として割当てましても、それがもう単独災として十分だからほかのほうに廻してもらいたい、こういう要望が強い。なぜそういうことになるか、その事情先ほど申上げましたように、数字上は仮にこれを全部トータルすれば百億なら百億出て参りましても、実際は或いは非常に村々に割るとこれは非常に少額だから、そういう少額のものを借入れるよりは一般財源で処理したほうがよろしい。こういう村の判断でおやりになるものが非常に多い。そういうものを集積してみましたら、事実上そういうものは団体として起債要望されないものが出て来る。こういう関係で計画上の数字から参りますと一〇〇%出ておらないじやないかということになりますが、現実に各団体の御要望を十分充たしておると私どもは見ておるわけであります。ただ今回の水害につきましてはこれはお示しのように従来の一般的な災害とは非常に事情が違いますから、団体によりましては、いわゆる単独災害に当りますものは相当大きな金額になつて、そしてこれはどうしても起債でなければいけないというのが相当出て来るように一応私ども考えております。従いましてさようなものにつきましては、考え方としては私ども補助災害単独災害も当年災に関する限りは現在の起債充当方針から言いましても目安は一〇〇%に置いて行きたいという考えでおりますので、そのほうで今度起債充当起債は詳細計画を立てます際に十分考慮をいたしまして、それでみて頂けるように、それでつまり充当ができるように計画を立てて行きたい、そつちのほうで処理したいという考え方でおるのであります。
  32. 松岡平市

    松岡平市君 今部長の御説明のように全額起債を認められる。これは一つ厳重に守つて頂きたい。只今の御説明のような場合、地方公共団体がその起債は要らない。ほかのほうに廻してくれというようなことは、これは我々の関知したことでないのです。それは廻わされるか廻わされんかは我々関知いたしませんが、少くともその災害によつて生じた少額の土木災害等の復旧に要する地方公共団体負担分というものは、一応大小にかかわらず原則として要求があれば、全額起債を認めるということの原則は打ち立てて頂きたい。若し地方がそういうものを必要としないところは、これはもう何もあなた方の内輪関係を我々は聞いているのではないから、その原則は打ち立てられていると了承して差支えございませんか。
  33. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 原則と申しますか、建前はさようなことにして処理いたします。
  34. 松岡平市

    松岡平市君 建前がさようであるということは、建前だけがそうであつて、実際においてはいろいろと査定等に藉口して、私はあえてそういう言葉を使つてもいいと思う。査定というようなことで、原則を適用しないということのために、地方公共団体起債をすることをあきらめるというような状況に持つて行かないように、事務的にお取計らいができるかどうかということを重ねて御質問いたします。
  35. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 団体によりまして只今どもの扱つております起債の処理方針上起債のできるような条件を備えておつて、そうして今回の単独災について必要なものを起債したい、こういう要望のありますものにつきましては、勿論それを十分に見て行くように措置をいたします。さような方針で査定したいと思います。これははつきり申上げます。
  36. 松岡平市

    松岡平市君 そうしてそのいろいろな交渉の結果、そのほうの起債で洩れたもの、交渉の結果起債で洩れたものはこの新らしい立法で更に考慮するというお考えがあるかどうかということをお聞きしたい。
  37. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 洩れたもの、実際上どういう負担が残つて参りますか、この法律の第一条にございますものに該当するものにつきましては、この法律の精神に則りまして処置をするように計らうべきであると考えますし、又さようにいたしたいと思つております。
  38. 松岡平市

    松岡平市君 私はそれさえ確言して頂ければ結構でございます。
  39. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 どうも今松岡委員から話をしており、又当委員会委員長も言つていた町村十万以下、府県十五万以下、これには含まない、第三のその他の中には入つていない、四十八億、これには入つていない、而も起債はむしろ補助対象になつていないものの起債を認めるということになるとどうなんですか。
  40. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 勿論補助対象ですから、補助対象になつておるものの地方負担分と、それから補助金の、負担、各地方団体が、いわゆる単独に行う単独災が百億で両方とも今までの起債対象にいたしております。今御指摘の各種の基準対象にならない、一件が基準以下のものは全部従来も単独災害事業という措置をいたしておりますので、今回もさような扱いをいたしたいということを申上げていたのであります。
  41. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると、それは起債というものをみるとか、或いは特別平衡交付金とか何とか、そういう際にも、十分対象として災害団体が途方にくれるということはないようにするということですね。
  42. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) その通りでございまして、従来も起債をみてあるわけであります。
  43. 東隆

    東隆君 今の単独災害の場合に、これは私建設委員で各地を廻つたときに、結局昔は十五万円でしたね、それを十万円に下げた理由は、これはこういう理由なんです。これは府県のほうでやろうと思つても、起債をしてもよこさない、それで次の災害を待つて大きくして、そうして国の助成を得る、こんなようなことが見られるようなものが非常に多いわけであります。それで府県の或いは市町村の欲しておる起債は、これはおつしやつておるように、本当にやつてもらわなければこれは問題にならんと思う。この機会に折角こういうことを主張されておるのですから、それをはつきり一つ履行をされる、そうして起債をやりたいのだけれども、政府も割当をよこさないとか、枠がないからだめだということで、断わられておりますから、この点を一つ考えて欲しいと思います。
  44. 松岡平市

    松岡平市君 それからなおこの機会に併せてさつきの御説明になりました要望事項に関連して、災害復旧基準の短縮ということであります。これはもとより従来三、五、二ですか、そういう比率で三年間で復旧をするという大体の慣行であつたようでありますが、本回の場合については、それをむしろすぐ一年間の、本年度予算だけというふうには考えておりませんが、災害の起つた場所、これは御承知のように来年も又必ずこれは例年台風の襲う地方であります。これを三年も四年もかかつて一言一言とやつておられたのでは、非常に災害が小さな、先ほど来申述べておるような川のどてが切れたというようなものが非常に多いから、これを従来の計画のように三、五、二というような比率でやつておつたのでは、又来年やられてしまうというような危険が非常に濃厚であるために、私たちはこれをむしろ六、四、本年度の会計において六ぐらいはもう済ませておいて、やり切れない分を来年度の予算でやつてしまうというふうにしなければ、今回の災害復旧の実を上げがたいというふうに考えまして、我々はこういう要望をしたのであります。又災害をこうむつた地方要望も、その点においては我々の考えと同様のようでありまするが、先ほどの御説明によるというと、これは大蔵省がどうするかという予算のほうが問題であつて、自分のほうとしては直接には触れられないというような御答弁であつたように、私は考えますけれども、これは自治庁として、地方公共団体の世話をする役所としては、自治庁以外にはないわけであります。只今部長の御説明のようなことでなしに、是非一つ自治庁が率先して、この基準の短縮ということには万全の努力を払つて頂きたいと私たちは考えるわけでありますが、その点についてのお見通しと申しますか、先ほどの御答弁だけではちよつと我々満足いたしかねるわけでありますから、改めて御答弁を願いたいと思います。
  45. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 先ほども実はさような気持で以て申上げたつもりでございましたが、よく御了解して頂けなかつたようでありますが、重ねてお答え申上げます。  災害復旧につきまして、これをできるだけ短期間に完全な復旧をするということは、申上げるまでもなく地方団体の非常に熱烈な要望でございます。自治庁といたしましても是非さようにやりたいということで、従来のように五年とか或いはそれ以上かかるというようなことでは困る、できるだけ、少くとも三、五、二程度復旧率は、是非一つ確保してもらいたいということは、事ある都度建設省なり或いは大蔵省の所管のほうにいつも話合いをいたしておりますし、かような要望を出しているわけであります。ただ公共災害復旧等につきましては、それに要しますところの予算の編成は大蔵省でやることでもございますので、私ども手許で以てこれはこういうふうにするということは申上げかねるのでありますが、希望としてはそういうようなことで、更に厚生省方面と折衝をいたしておりますということを申上げたいと思うのであります。それからなお単独災のほうでありますが、これは公共災と違いまして非常に小規模なものが多い、小規模なもので各地方団体が、小さい橋が流れたとか、簡単などてが切れたというような程度のものは、三年とか五年とかそんな呑気なことを言つておられませんので、実際は至急に復旧を差迫られているということは、よくわかつているのであります。そこでこういうような単独災害につきましては、実は私のほうで地方債の計画を立てまして、単独災害に関する限りは実は二年復旧という計画で計算いたしておるのであります。当年六割翌年四割ということで二年で復旧するという前提で計算をしているわけであります。できればこれは一年復旧にしたいのでありますが、起債の枠の関係等もございますのでそこまでは参りませんが、私は公共災三年復旧にかかわらず、単独の場合に関する限りは六割は少くともその年にやるとして、どのくらい起債ができるかという推定で計算いたしておりますので、その点は御了解頂きたいと思います。
  46. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他に御質疑はございませんか。
  47. 東隆

    東隆君 緊急を要するいろいろな災害復旧の繋ぎですね、先ほど懇談のときにもうすでに各府県でも割当てられているのですが、北海道あたりは非常に必要なのですが、これの救済方法ありませんか。
  48. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 実は繋ぎ融資の問題も私どものほうで、いろいろ地方からの御要望資金に対する需要度等の事情を伺いまして、大蔵省のほうに何と申しますか、事務的な連絡と申しますか、折衝はいたしております。ただ事実上繋ぎ資金の配分或いは総額の決定というものは、大蔵省資金状況を見て直接に割当てるのであります。私のほうがその所管ではありませんので、具体的なことは私からお答えいたしかねますが、実情といたしましては各地方団体からの要望を頂きまして、それをすぐ大蔵省のほうに折衝をし、その割当等についてはいろいろ発言をしている、そういうような状況でございます。
  49. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 自治庁関係に関する質疑は、これを以て終了して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 御異議ないようでありますので、自治庁関係質疑はこれを以て終了いたします。  続いて一昨日保留になつております農林省関係質疑をこれから願います。
  51. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 本年の水害のために田植が遅れる、従つて苗が軟弱に育つ、その後の天気の模様からしてでも病虫害発生に絶好の天候のようであるのでありますが、この病虫害防除に対する手当をしなくては、更に大なるところの被害が増大しようと思うのでありますが、現在病虫害の発生状況がどういうふうな程度であつて、それに対するところの対策をどういうふうにとつておられるのであるか。大体の状況を承わりたいと思うのであります。
  52. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) お話通り水害及びその後の異常天候によりまして、稲のいもち病と二化螟虫が過去にないほどの異常発生をいたしております。稲のいもち病につきましては、これは七月末日で私どものほうで集めた数字でありますが、全国の発生面積がいもち病が七十二万八千町歩ということになつております。従つてその後の経過でこれがかなり増大していることは想像できます。で、これに対しまして都道府県考えました防除計画面積は百一万四千町歩ということになつております。それから二化螟虫でございますが、これは六月末から七月にかけましての低温のために、二化螟虫の第一化期の発生が非常に遅れまして而も後期にたくさんの虫が出たという結果から、やはり同じく七月末口の発生面積が九十八万九千町歩ということになつております。で、これは推定でございますが、都道府県で大体防除される面積は約百十万町歩から百三十万町歩程度になるのではないかというふうに考えております。  これに対しまして農薬の状況でございますが、本年はいろいろの関係、特に本年は急激に農薬の購入費が例年よりも増大したというふうなこともあり、又暫定予算等の関係がございまして、農薬の購入が非常に例年より遅れております。例年は大体三月頃からすでにもう稲に対する農薬の購入が始まりまして五月はその購入の山になつて来るのでありますが、今年は五月になりましても農薬の購入が非常に少くて、そのために一部の業者では農薬生産を差し控えるといつたふうな現象が出て来たのであります。その結果いもち病につきましては、六月までに都道府県で、都道府県でと申しましても、勿論都道府県直接ではありません。農家が購入したもの、或いは組合で購入したものもあるのでありますが、全部でいもち病につきましては三十三万町歩のいもち病対策の農薬上か購入されていなかつたのであります。ところが七月に入りましてから、いもち病の非常な大発生が予想されまして、一時に農薬の需要が殺到して来たわけでありますが、それに対しまして我々といたしましては生産業者を督励し、その他原主剤の割当に努力いたしました結果、七月にいもち病対策用の農薬の生産できました量が大体二十八万町歩の防除農薬が十分にできたのであります。それから更に八月分といたしまして我々は約二十九万町歩を予定いたしております。そのほかすでに地方に手持されておりました農薬がございますので、この数字から考えますと、大体私が先ほど申上げました都道府県の防除計画に、いもち病につきましては、かつかつ間に合いはせんかというふうにも考えられるのでありますが、農薬の入手の非常なアンバランスということがございまして、うまく手配した地方にはかなりよく行つておりますが、地方によりましては非常に農薬の欠乏しておる、特にいもち病に対する農薬の欠乏しておる地帯がございます。なお今年は特にいもち病の防除薬の中で水銀製剤、水銀粉剤という今年から新しく使い出した農薬に需要が殺到いたしておりますために、特にこの薬が欠乏いたしております。  それから一方二化螟虫でございますが、御承知の二化螟虫の特効薬でございますパラチオン剤が、これが今年は全部輸入いたしておりますが、この薬は大体二化螟虫に対しまして今年の輸入量で七十万町歩くらいは防除できるようになつたのであります。この薬を我々が最初計画いたしましたときは一化期、二化期両方に使うという計画でございましたので、約五十五万町歩ぐらいの防除面積ということで推定いたしておつたのでありますが、薬剤の少くて済む第一化期に多量に使いましたために、パラチオン剤で約第一化期に七十万町歩くらいの防除がいたされたというふうに考えております。併しこの特効薬であるパラチオン剤は殆ど第一化期に消費されまして現在ではもう殆どどこにもないというような状態でありますし、国で若干備蓄いたしておりましたものも一つもないというような状態でございます。従つて第二化期の対策といたしましては、主として効果においてはややこのパラチオン剤に劣りますし、又使用の面においても多少むずかしい点があるのでありますがB・H・Cを主として考えざるを得ない状態でございます。併しB・H・Cは大体十分な生産を挙げておりますし、国の備蓄がまだございますので、B・H・Cを使いますれば、二化螟虫の防除に大体事欠くようなことはない、かように考えております。  農薬の状況は大体そういうような状況でございます。
  53. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農薬を撒布するという段階には、それに必要な防除機具が必要であるのでありますが、防除機具対策は現在どういうふうになつておりますか向いたいと思います。
  54. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 防除機具につきましては、現実の問題としては、非常に今のところまだ不十分であるというふうに申上げたいと思います。国では昭和二十六年以来五カ年計画で毎年一千合分ずつの防除機具の購入、特に動力防除機具でございますが、補助いたしておりますが、これも実際の地方の需要から行きますと微々たるものでありまして、現在の防除機具の普及状態から申上げますと、実際の意味におきます適期防除がいたしかねるという状態でございます。従つて防除の効果の点から見ましても、必ずしも十分でない、かように申上げたいと思います。大体我々の考えますところ、防除機具として完全に地方に整備を希望するなら大体七万五千台くらいの優秀な防除機具を必要とすると思うのでありますが、現在実際に十分に使い得るものの普及は三万台程度だろうと思います。あとの足らん分は仕方がないので、古いいろいろな不完全な或いは能率的に低い、各種外様の防除機具を総動員して使つておるという実情でございまして、従つて先ほども申上げましたように、本当ならば、本来ならば一週間くらいで防除を完成したいところを十五日以上も使つておる、こういうのが防除機具の現状でございます。
  55. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうしますというと、その病虫害の防除の費用として、昭和二十八年度の予算にどのくらい組んであつて、第二号台風の場合に更に三億五千万円ばかり追加されたのでありますが、今回の大水害に対して、どのくらいの金が足らないというようなことになつているのであるか。又このまま放任したならばどのくらいの損害になるという考えであるか。大蔵省等の方面ともいろいろと交渉をしておられるということであつたならば、今回の風水害に対する必要な金額をどう考えておられるか、更に御説明を願いたいと思います。
  56. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 昭和二十八年度の予算における農薬の補助金のうち、大体稲の病虫害防除に使える金額は約九億くらいというふうに考えております。それから先般の二号台風における補助金は、農薬といたしましては約一億でありまして、器具の補助金に約五億五千万円になつております。従つて今まで我々が、我々というとおかしいのですが、今まで大体二十八年度予算と、二号台風で農薬購入費として助成し得る、補助金を出し得る金額は、稲に対しまして農薬として約十二億くらい、それから防除器具として一億五千万円くらい、こういうことになるかと思います。西日本災害につきましては、まだはつきりとした予算要求の数字が出ていないのでありますが、大体二号台風に準じて要求をいたしたいというふうに考えております。参考までに私が先ほど申上げました農薬の使用量を金に換算いたして見ますと、先ほど申上げましたものだけで約五十億でありまして、その他農家の手持のもの、或いはこの使用農薬以外の農薬の使用を考えますと、稲だけで本年の農薬の使用量は約六十億というふうに考えます。損害の点でありますが、今年は先ほど来申上げておりますように、かなり従来に見ない防除が徹底しておりますので、果してどの程度の損害が起きるかということはちよつと申上げかねるのでありますが、参考までに過去の例を引いて見ますと、昭和十六年にいもち病が約六十五万町歩全国で発生したのでありますが、その被害が三百万石でございました。今年は先ほども申上げましたように、七月末現在すでに七十二万八千町歩出ておりますので、若し十六年程度のよう防除が不完全であれば、かなり大きな損害が出るということは想像するにかたくないのでありますが、今申上げましたように、今年はかなりの防除ができておりますので、被害は相当食いとめ得るものというふうに考えております。それから二化螟虫につきましは、最近二十二年におきましてやはりかなり大きな発生がございまして、その発生面積が六十万町歩でありますが、そのときの二化螟虫による損害が百八十万石であつたのであります。今年は先ほど申しましたように、すでに百万町歩程度の発生をいたしておりますので、この率からいたしますれば、これを放任いたしますればかなり大きな二百五十万石、或いは三百万石の減収も起きかねない状態でありますが、幸いにパラチオン剤のような非常に有効な農薬も出現いたしまして、なおBHCに併せ用いておりますので、これも被害は相当程度軽減し得るもの、こういうふうに考えております。
  57. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今説明によつて見ますというと、農薬の準備が大体において整つたから、その結果被害は大したものは生じない、こういうふうに考えていいのでありますか。その点更にお伺いいたします。
  58. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 全国的に申しますと、先ほども申しましたように、大体間に合うという数字になつているのでありますが、実際問題といたしましては、手当において非常に地方の間にアンバランスでありまして、殆んど農薬が使用量の半分くらいしか手に入らないという地方もあるかと思います。而も事前準備が十分できていなかつた、つまり六月までの準備が必要量の三分の一もできていなかつたという実情でありまして、七月、八月になつて大急ぎで農薬を手に入れているという状況でございますので、いわゆる適期防除という点において欠ける点がありますので、その意味から申しますと、やはり完全な被害防除ということはできていなかつたのでありまして、まだ数量は想像できませんが、かなりの損害はやはり考えなければならん、こういうふうに思つております。
  59. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在の天候からしますというと、今後起るところの病気はさつきもお話があつたように、穂首いもちであるとか、穂首いもちが発生するということであつたらば稲の収穫は殆んど皆無になつて来るのじやないか。又二化螟虫の、一化は過ぎて、大体はいいというようなことでありますが、一化で遅れたところの二化の発生が今後多いということであつたらば、これ又非常に被害があると、こう考えるのでありますが、これらの点について現在の薬剤で大体十分であると、こういう考えであるか、或いはこういうふうなものは非常に大切であるから今後或る程度の薬剤を入れて又病虫実の防除をしなくちやできない、こういうようなお考えであるか、更に一つ最後にお尋ねしておきます。
  60. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 答弁者に恐縮ですが、本委員会は十二時四十分頃で打切りたいと思つておりますので、答弁は恐縮ですけれども、簡単に明確に願いたいと思います。
  61. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) いもち病につきましては、大体先ほども申しましたように、今一杯々々の状態でありまして、若し今後どつかの地方に穂首いもち病が大発生をするというような事態が出ますと、これはちよつと現在の農薬生産では間に合わないというふうな事態が来るのじやないかという考えが我々心痛いたしております。又併し現在の窮窟な農薬を我々といたしましてできるだけ重点的使用というふうに考えまして、早場地帯には速く、欠乏している地帯にはこれを供給するような方策はとつておりますが、今後穂首いもちが大発生した場合には、農薬が相当不足するというふうに考えております。二化螟虫についてはパラチオン剤は全く望みがないのでありますが、BHCで以てできるだけ対策を講じて行きたい。こういうふうに思つております。
  62. 永井純一郎

    永井純一郎君 これは輸入のパラチオンなんかは割当でやつたんですね。農林省は……。
  63. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) これは現在の農薬は今統制をされておりませんから、農林省で直接的に割当ということはいたしておりませんが、大体業者に対して指導的にこの方面ではこういう事情があるから、この方面の需要があるから、というような指導をいたしております。その程度であります。
  64. 永井純一郎

    永井純一郎君 水銀粉剤は、これは輸入ですか。国で作るのですか。
  65. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 水銀粉剤は国産であります。これは昨年試験的に使用いたしまして相当成績を収めて、実際に又本年使用した結果が、従来の殺菌剤に比べて極めて顕著な効果があるというので、今これに需要が殺到しております。製造業者が限られておりますために、そのキヤパシテイが非常に少いという状態であります。
  66. 永井純一郎

    永井純一郎君 三化地帯には特別に斡旋をしてもらつていたわけですか、パラチオン剤……。
  67. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 三化螟虫地帯も二化螟虫地帯も一緒に計画をいたしております。特に三化螟虫地帯に優先的にというふうな計画をいたしておりません。
  68. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他に質疑はないようでございますから、農林省植物防疫課長堀君に対する質疑はこれを以て終了いたします。  続いて一昨日松岡委員が保留をしてありました厚生省関係質疑に入ります。厚生省医務課長内藤君が出席されておりますので、松岡君から改めて質疑の点お述べを願いたいと思います。
  69. 松岡平市

    松岡平市君 私の質疑は極く簡単なことであります。それは曽つて政府にいたしました申入れ事項というのがありますが、今回の災害に鑑みて、防疫ということは非常に重大なことである。而もその防疫の衝に当る医療機関等が災害をこうむつている。でこれは防疫の立場から至急に回復、復旧しなければならん、こういうことで、ともかく上下水道施設、或いは簡易水道施設の復旧と並んで国立公立の医療機関の応急補修のために一億一千六百万円を即刻国費で支弁するなり、或いは地方債の融資を認めるなりしろという申入れを政府に対していたしております。並びにこれはあとで立法措置も講じましたが、私立の病院、診療所並びに薬局、医薬品の販売業者というようなものの復旧のために緊急に五億六千万円の融資をして頂きたい、而もそれは九月までに十分それらが活動を回復し得るようにしてもらいたいということを、この委員会にも申述べて、政府へ申入れをしているのであります。災害地におきましては当初政府の予想といささか異つて、赤痢等の発生も相当猖獗を極めているようでありまするが、これらの申入れ事項に対しては厚生省はその後どの程度措置を講じられ、どの程度の効果を見たかということをお示しを願いたい、こういうことであります。
  70. 内藤誠夫

    説明員(内藤誠夫君) 先ずお尋ねのございました国立及び公立の医療機関の関係でございますが、国立につきましては資料を具しまして只今大蔵省と折衝中でございます。  それから公立のものにつきましては、これは非常にいろいろの関係で非常に資料を入手するのに困難を感じて参つたのでございますが、本日九州地方の各課長も本省に集まつておりまして、いろいろ最後の資料固めに努力をいたしております。  それから私的医療機関に対しまする融資の問題でございますが、これは直ちに大蔵省銀行局とも交渉をいたしたのでございますが、銀行局といたしましては、只今の段階では国民金融公庫の九州分の枠六億のうちで差当つて操作をするよりほかは、ちよつと今のところ計画がつかない、こういう考え方でございまして、今回制定を見ました特別措置法の線に沿いまして、今後最善の努力をいたしたいとかように考えております。
  71. 松岡平市

    松岡平市君 只今御答弁を聞きますというと、いずれも厚生省は努力はしておられるけれども、その結果は見ておらんということに相成つているように了承いたします。防疫のために非常に緊急を要する措置であるのでこういうことをしなくても防疫には別に支障を来たしていないと、かように厚生省は現在お考えになつておられるかどうか。その点を一つ
  72. 内藤誠夫

    説明員(内藤誠夫君) この医療機関の復旧ということは、防疫の上にも、又国民の医療の確保のためにも極めて喫緊の要務であると考えておりますので、私どもといたしましては御趣旨を体しまして一日も早く対策の確立いたしますように努力をいたしたいと考えております。
  73. 松岡平市

    松岡平市君 只今の御答弁でございますと、これはこの災害状況から考えて誠に一日も忽せにすることができないと、かように考えますが、只今偶然或いは幸いにして非常に大きな社会問題になるというような伝染病等が猖獗を極めておらないということ、これは偶然であつて、あれだけの水害があつたあとで防疫、医療の点に私は十分の措置を講じたために、現在のような状況になつているというふうには考えておりません。というのは殆んど只今の御答弁でも我々は非常に緊急なりとして要望したことについて、最後の措置はまだ今日において講じられておらんということです。間もなく八月或いは九月の伝染病の最も危険な時期を迎えるわけです。この際政府は一日も速かに、もつと熱心に、本委員会の政府に対する申入れの事項の全般的な具現のために大努力をして頂くように特に強く御要望申上げます。
  74. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 内藤課長よろしいですか。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  75. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————    午後四時二十四分開会
  76. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員会を再開いたします。  これから午前中要求した大臣の出席を求めて質疑を継続いたしますが、委員会は本日を以て一応審査を終了して、次回は九月の十日頃を目途とする、従つて本日以後の処理については、本委員会の意思決定として次の事項を吉田総理以下関係大臣に書面を以て申入れる。  即ちつなぎ資金の件について善処すること、それから本国会で立法された法律の裏付けをなすところの予算編成を、先ほど衆議院側と打合せた結果に基いて臨時国会の召集を要望する、なお、爾後の災害復興についての政府の迅速なる処置を強く要望し、それらの経過並びに結果を次回九月十日頃に開かれる本委員会に書面を以て報告するように要望する。以上の内容を織り込んだ書面を吉田総理以下関係大臣に提出することによつて関係大臣に対する質疑は本日を以て終ると、こういう委員会の運営の仕方に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 御異議ないようでございますからさように決定いたします。ちよつと速記をとめて下さい。    午後四時二十六分速記中止    —————・—————    午後四時四十七分速記開始
  78. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。  只今戸塚建設大臣が出席されました。質疑のあるかたは質疑を願います。
  79. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ではお尋ねするんですけれども、実は衆議院のほうの特別委員会の連中と今日懇談をしたんです。それで今度の、いわゆる政令で定めるところの問題を、できれば立法側の意見として或る程度趣旨を政府側に申入れてやるのが、やつぱり立法側としては一つの責任じやないかといつたようなことからいろいろ話が出たわけですが、なかなか資料も十分ありませんし、まとまらない。併し今度の法律は御承知の通りに殆んどすべてを政令に委ねてあるんです。この法律がうまく運用されるのも、又そうでなく非常にその趣旨とは違つて運用を誤つてしまうのも、この政令の如何にあるとも言える。これは勿論金の問題で予算との関連が非常に多いと思うのです。でありますから財源というものの或る程度の目安がつかなければ政令というものもなかなか生み出しにくい、こういうような見方もできると思うのです。私どもといたしましては、この政令というものを何としても、災害国日本に毎年ある災害ではあるけれども、今度の災害は余りにもひどく、余りにもひどいということから出たので、或る程度厳格に限るべきだ。併し限つてその政令対象にした以上、この目的を達成するだけの、いわゆる予算というものはいろいろと政府側としちや財源で御苦労だけれども、やはりやつてもらいたい。そうでないならば、議員は勝手に同情的な、非常な諸法例を作つてくれたけれども、そしてそれで有難いと期待しておつたけれども、さつぱり実これに伴わない。こういうような非常な、或る意味において、曽ての感謝は或る意味において裏切られた怨嗟の声にならないとも限らない。私どもはこの立法に当つて、当然その過程において、やがて執行の責任を持たれる政府側のかたと十分な打合せをしながら行こうとしたのでありまして、現に或る程度この建設の関係などはして参つたのだけれども、何しろ財源という問題について、大蔵当局方面との打合せについては誠に欠ける点がないわけじやない。今日国会が終る、而もすでに参議院としては法律を通したあとに、こういうことについて所見を求めたり、或いは更にお願いを申上げるというのも何だかおかしな話ではあるのだが、良心がなかなかこれを許さないというので、今日私どもはこの会を持つているわけなんです。そこで先ほど指定をするとするならば、最小限度という意味で、災害救助法を発動したせいぜい地区であり、更にはその災害救助法を発動した中でも、場合によつてはしぼつて行くべきであろう。当初はしぼつて行くべきであろう。やがては調査が明らかになるに従つて実情やむを得ざるものについては多少にしても、当初はしぼつて行くべきであろうというのがかなりの空気なんですが、ところがこの公共土木事業につきましては、御承知の通りに、災害救助法とは違つて災害救助法は多く人、住民というような問題を特に重点的に見た発動の指定がございますが、人は余りに住んでない、だが通過地点であり、或いは又川なり道なりの関連において、かなり非常な災害を受けておるという所があるに違いない。ここは当然今度の、手厚いと考えられる高率の適用の中に含めてもらうべきじやないかという議論が出ております。私はその点についてはそういう考え方は当然すべきだろう、なければこれは幸いです。あつた場合には災害救助法を発動してない町村、恐らくそれは災害救助法を発動しているだろうとは思うのですけれども、ない場合においてもその点が、公共土木関係について非常な異常な災害を受けたときにはあの高率適用を受けるという考え方は無理か無理じやないか。私は無理じやないと思うのですが、それについて一つ意見承わりたいと思うのでございます。
  80. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) 災害救助法を受けた所と、公共事業との関係がぴつたり合致するかどうか、これはちよつと調べたあとでなければわからんと思います。併し只今三浦さんのお話のように、今度の災害が特にひどかつた。特にひどかつた所に今の特例を適用するという考え方は、私も大体同じように考えております。ただその指定のやり方ですね、これはなかなかむずかしいので、実は法律をお作りになつたほうではあつさりと逃げて、私のほうへかぶせられたような嫌いがあるので、本当を言えば迷惑いたしておるのであります。併しそうばかりも言うてもおれんので、成るべく御趣旨に副うようにいたしたいと思うのでありますが、これはどうしても今申上げたようなわけでありますから、実際の被害状況がもう少し判明しないというと、わからんと思います。それで、今私の大体の考えとしては、県で分けるという行き方はいけないのであつて、これはやはり町村を単位にしてその被害状況なり或いは負担の様子ですが、そうした条件をいろいろ併せて考えなければならん。ただ県の場合にも、或いは全体として県の事業というようなことについて考える余地があるかも知れない。こういう点も今考えて、いろいろ研究はさしておるのですけれども、まだどうという、はつきりした結論まで参つておりません。成るべく御趣旨に合うように、あとで恨みを買わんようには注意をいたしたいと思つておりますが、まあご趣旨が御趣旨でありますから、やはり特例に合うところは厳重にこれを調査するといいますか、査定するといいましようか、調べた結果でやるほうがいいのじや意いか、こういうふうに考えております。
  81. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 その点については是非、いわゆるこの趣旨に副つて、なかなか財政は多端ではありましようけれども、是非これをやつて行く、住民、更には国土復興のためにもお順い申上げたいと思います。  それから北海道の問題が出て来て、だんだんとほうぼうに災害が勃発して全く国民としても残念なことですが、これも事実として仕方がない。そこで早速この繋ぎ資金、いわゆる狭い意味の公共事業費関係の繋ぎ資金という問題が、これ又考えられなければならん。島根あたりにも繋ぎはお出しになつたようでございます。ところがその島根は土木関係としては報告によると、一億何ぼのいわゆる災害が、土木関係としてはやつておる。ところが北海道のところでは、土木関係ですでにわかつて、八月の三日にわかつて報告なつたものだけでも十三億何がしというものがあるわけです。土木関係だけでもあるのです。そこで殊に北海道は御承知の通りに工事時期も非常に制約されております。これについては十分御存じの大臣であり、石段省であるから、至急お出しになるお考えだと思うのですが、どのくらいに今考えておられますか。又その時期は成べく早くなければ困る。これがこの委員としても殆んど共通の、要するに非常な関心事に今なつております。この点について一つ意見を……。
  82. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) ちよつと数字のところが或いは間違つておるかも知れませんが、只今まで私のほうで報告を受けておりまするのは、七月の上旬の分を併せて十四億ぐらいになつております。先だつての月末から今月の初めにかけての最後の分では、今私はつい北海道関係のことを開いて来たばかりですが、これが六億とか七億とか言つておりました。それから、融雪関係の当初の分から加えると、もう少し多くなつておつたのであります。今私のほうで融資というのは、取りあえず五千万円を予定しておるのであります。これはいつも申上げるように、実際の状況と合せて、必要であればいつでも増すことができますのですから、今道庁の知事も来ておりますし、いろいろそういうことを連絡をいたしておきましよう。今の五千万円は、もうすでに出しております。
  83. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私はつなぎ資金の問題ですが、これは災害当時委員会が約一週間くらいかかつてまだ水があるときに非常にやかましく言うた問題であるのでありますが、私はその当時はどうもはつきり五十億を出せ、幾ら出せという声を挙げたのですが、わからなかつた。ところが実際問題とするとこれからが本当につなぎ資金を要するだろうと私は思うのであります。大体災害の農民はこれから復旧に働いて、その労賃を得てこれで生活して行かなければならん。従来の例から見ると耕地の復旧は大体一年に、その災害の年に七割くらいは復旧する。これは農民は翌年どうしてもこれを植えねば、植え付けせねばならんという強い意欲で非常な無理をするというようなことで、大体どんな大きい災害でも総体的に言えば七割は来年植え付けをするという、こういう熱心な状況にある、それのみならずそうせざるを得ない立場に置かれておるのであります。そういう意味から言えば、一応落ちついた現在、これからが最も一日も早く耕地の復旧をする、こういう状態になつて来るのであります。本日議会が終つたのでありますが、我々はどのくらい要るかということはわからんので、直接につなぎ資金の支出を考慮して下さいと言うて政府に言うにとどまるのでありますが、どうか政府におかれましては急速に調査して、この点遺憾ないように処置して行かねば、全く生活に一頓挫を来たすというようになつて来るだろうと思うのであります。建設省方面では直轄の事業が大半を占めておるのでありまするが、なるべく災害農民を使用してそうして工事をやるというように取計つて頂きたいのであります。特に農林大臣のほうではこれからが本当に農民のつなぎ資金を要する時期でありますから、これを遺憾ないように取計つて頂きたいと思うのであります。  なお第二台風のときに、開拓地の麦なんですが、これがいつとき問題になつて、私は農林省は然るべく取計つてくれておるとこう思つておつたのでありますが、聞くところによると大蔵省ではねられていかん。この問題は開拓地の麦、開拓地の麦は相当一般農民の麦と同じく、干拓地は最もその中でも被害が激甚である、或いは山の開拓地に至つては麦は一般農民と同じくやられておる。ところが災害共済に加入しておらない、加入しておらないと言うよりも加入できないというような状態に置かれておるのであります。これには特に政府は考慮すべきであろう、こういう見解を私は持つておるのでございます。大蔵省でその点が抜けておるというようなことを承わるのでありまして、これは何とか一つ処置して頂かねばならん、かように考えるのであります。農林大臣の御意見を承わりたいと思います。
  84. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) まあいきさつは重政委員が詳しく御承知の通りでありますが、愛の種子代をまあ何とかそういう実際の実情に合うように予算措置大蔵省に掛合つておつたわけですけれども、結局御承知のように種子代その他補助率を上げまして、何ほどかのカバーをして行くというような措置で行く上りはかなかろうかと、こういうことであります。
  85. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうも何ほどかと、極めて、不明瞭なので困るのでありますが、どういう措置をとつておられるのか一つ。今日、明日もまだ議会はないけれどもあるのですが、何か一つ、こういう措置をとつておるということを明示して頂きたい。
  86. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 開拓地の麦の肥料代等要求しておつたのでありますが、それは菜種の肥料代の要求と同じように今年の麦なり菜種には間に合わないのでそれは具合が悪い、こういうのであります。先ほど大臣からお話のありましたように、種子代の補助率を上げる、これも又法律の中に入つております。営農資金の融通の際に利子補給の補給の仕方を一般よりもよくし、又融資期限をよくする等の措置を講じておるのであります。只今手許に詳しい数字的な資料を持つておりませんが、肥料代が開拓地について見えないというので今が、それをできるだけカバーするという趣旨でほうぼうへ少しずつ織り込んだのであります。
  87. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 一応農林省が考慮する、こう言明して大蔵省にはねられて、而も議会は終局に至つて初めて知る、これは非常に困る。会期中にこういう事情になつておるということを早く委員会に申出てもらわねば困るのであります。なおこの点私は特にその状況から考えれば、開拓地の開拓者というのはすべての点で一般農家よりも多く、これは関東の霜害のときにも一般農家よりも厚く取扱つておるように私は承知いたしておるが、その点極めて開拓民のために遺憾に思うのであります。いずれ九州の地方におきましてもこの開拓地は相当被害をこうむつておるのであります。どうか一つ、そういう趣旨で将来早く我々に、農林省と大蔵省との間においてそういう齟齬があつた場合に、早く我々に知らしめるようにお願いいたしたいのであります。  なお種子代及び営農資金の取扱いにおいて、それがカバーしておるというお答えであるようでありますが、どうかどういう状況になつておるかということをお知らせ願いたいと思います。
  88. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 後刻資料を取揃えて御配布申上げます。
  89. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は先ほど三浦委員から御質問になつたことで大体尽きると思うのですが、もう少し一つ大臣の本当のお気持をお伺いしたいという意味で申上げるのですが、つなぎ融資につきましては、先ほど北海道の問題についてはすでに五千万出ておる。あとは調査の上やはり現在行われておる他府県なみに一つ出して頂ける、まあこういうふうに了承していいかどうかということと、それからもう一つ政令で定める地域でありますが、今のように府県対象でなく、或いは町村単位ということも十分考慮に入れなければ決定しがたいというような御意見ですが、少くとも今回の非常に数の多い法案を作るに至りましますまでには、本委員会といたしましてはすでに四十数日間、殆んど連日のように、而も連夜のように真剣にこれはやつて来た。従つて本日閉会になりますと同時に各我々委員はそれぞれ現地に帰るわけですが、恐らく本委員の中には本当に災害を受けた府県委員も相当おられる。従つて今のような大臣のお話ですと指定地域に果して全部該当するかどうかということが非常に不安な点があるわけです。と申しますのは、本日までに決定いたして、本委員会にとり上げました福岡ほか十一県と先日これに併託されました北海道とで十二都道府県だと思うのですが、少くともこの十二都道府県だけはやはりこの指定地域として決定されるものであるというようなくらいの一応の御意見を承らないと、而もこの中には誰が考えてみましても府県単位からいつても当然であるが、中には町村段階からいつて、もう恐らくこの委員会で審議した意思と、意思に十分副わないような府県が出て来るのじやないかというような、そういうような考え方を我々委員として持つて帰るのでは、非常に心細い点が多いと思うので、できればこの十二都道府県というものに対しては取りあえずまあこの指定地域の対象にするというような、こういう考え方を持つておるかどうか。更に若しこれがそうでなしに、先ほど大臣のお話のように、或いはその町村段階ということになりますと、この委員会に当然取り上げてないような町村でも当然これは指定されるというふうに考えなきやならん。従つてまあこの委員会としては府県段階として、或いは十億とか或いは二十億とかいうような被害の極く小さいものに対しては要望がありましてもとり上げてないものがある。ここで率直に申上げますと、衆議院においては、例えば長野県は特別委員会に取り上げておるが本院においては長野県というものは取り上げていなかつたというような点、これはまあ一つの例でありますが、そういうことから考えまして私は只今質問しました、少くともこの本委員会に取り上げたものについては、指定地域として先ず優先的に考慮をしておるかどうかこういうようなことについて一つお伺いいたしたいと思います。
  90. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) つなぎ融資のことは先ほど重政君からもちよつとお話がありましたが、或いは金額が少ないようにお考えになるかも知れませんが、これは利子の付くものでございますので、余り早く、使わないのに早くやつておくということは却つて地元の不利益になるのです。そういう意味できざむようでありますけれども、実際に必要に応じて融資することが私は親切だと、かように考えております。但し復旧仕事が進むに従つて資金が足りないという場合には、欠かさないように融資をして上げるというやり方がいいのだ、こういうふうに思つております。これは決してうまいことを言うつもりではありません。で殊にこれからが融資が必要だということもよくわかります。先立つて中に何十億というのは、本当は実際には使つておらないのが使つたように、つまり最後までわかるところまでなかなか行かなかつたような実情もあつたようでありまして、これからのことを欠かさんようにして上げるのが一番大切じやないかというふうに考えております。ただ金額災害の総額と比較してそれほど多くないように見えますが、これは実は災害復旧は従来三、五、二というような比率で三年にかかつてつておる。私の気持としては、これはできるならば三年なんということは言わないでもつと早くやるようにしたいという気持で、大蔵省と交渉いたしておるのでありますから、できるだけ早くやる。できるだけ早くやるには従つて融資の早く必要のある場合があるかも知れませんが、そういう点には成るべく連絡を欠かさないようにして地方のためにやつて上げたいというふうに考えております。  それから指定の問題でございますが、私がさつき申上げたのは両院で県の指定が違つておるということは実は私は承知しませんが、併し県全体としてはそれほどでなくても、或る特殊の町村でひどい災害を受けた所もあるのではないか、こういうふうにも思いますし、それでやはり町村を標準にして考えないというと、その町村負担というような関係からそれこそ本当に気の毒な所があるのではないかというように思いますので、先ほども申上げましたのは一応町村を単位にして考えるのが順当ではないかというように、まだ実は建設省としてこれをすつかりまとめてあるのではありません。私の気持を率直に申上げたつもりでありまして……。  それから県と言つたのは、県全体として大きな被害、これが県の負担力から見て、いろいろな条件によつて調べた揚げ句が必要であるかどうかという県そのものに対して、県の事業というものに対して、やはり特例を以て充てるのがいいかどうかということを考える場合もあると思うので、その場合にはそういう意味の本来の県の指定というものが必要かも知れない。これはまだ実は研究中でありまして、どちらにきめたというふうには至つておりませんので、そういう両面から考えなければならないのじやないかということを考えておる、こういう意味で申上げたつもりであります。それで別に突つ込んでというお話でありますが、私としてはこれで十分に突つ込んで甘いものを申上げておるつもりでありますので、どこか何かはかに、若しこういう点がというものがございましたならば……。
  91. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ大臣のお気持はそれは本当だと私個人としても一応考えられるのです。というのは例えば県全体としてはそうでなくても、やはり町村においてはそういうものがある。一つ一つの例えば個人的に対照した場合に、当然これは対象になるべきだと思うが、この特別対策委員会の使命というものはやはり町村単位ということから発足したのではなくして、やはり府県という大きな面からこの法律を作つた。若しそういうようにこの細かいことばかりでやるのであれば、これはやはりこの法律はもつともつと前にもこれはできなければならない。こういうことになれば現在のこのできておる基本はやはり穏当でないというようなことも一応考えられるわけであります。この意味合から、私は少くとも本委員会がとり上げてやつた限りにおいては、やはりそれは例えば北海道なら北海道を私は仮定した場合に、北海道全体では六十数億であるが、これは今のように町村段階に分けて行くと、これはやはりとり上げるべきではないというような結論が出る。併しそうすると本委員会でこういう事態がやはり本委員会で適正なりとして審議の対象として行くことと非常に矛盾して来る点がありますので、これは一応やはり大臣のお話においてのようなことを一応基礎にして考えるについても基本的な考え方は、私は別に否定はいたしませんが、そういう事情もあることも十分お考えつて……。今後本委員会はそれぞれ閉会になりますと同時に、従つて府県からそれぞれの陳情或いはいろいろのことがあると思いますが、そういうときに我々はここで審議したこととやはり政府においてお考えになつておることと食い違つてつて、我々はこうであると言つておるにもかかわらず、陳情その他の面においては、いや、こうだというようなことになりますと、先ほど申上げましたように、折角二十数件の法案を作り、更に又四十数日という長い間審議したこの我々両院が特別対策委員会を持つたその趣意が国民全体にわかつてくれないというようなことになりますと非常に困る点がありますので、この点を一つ十分衆参両議院の水害対策関係の、少くとも両委員長とはですね、両委員長とは十分この点を御協議尽くして頂きたいということを、特に私はお願いする次第であります。
  92. 林了

    ○林了君 これは建設、農林両大臣にちよつと伺いたいのですが、特に農林大臣のほうに伺いたいことでありまするけれども、今度の水害を、特にこの福井県の様子を見ますると、堤防あたり或いはまあこの土地の陥没は、この前の震災が影響いたしまして、予想以上のまあ冠水を見て、稲の冠水を見たというようなことを聞いておりますんですが、或いはまあ一方この堤防の問題につきましても、その地震の影響のために、あそこにある足羽川、九頭竜川、日野川が決潰しておるというようなことも聞いておりまするけれども、これに対してどういうふうに両省ではお考えを頂いておりまするか、お答えをちよつと伺いたいと思います。
  93. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 福井県の災害につきましては、私どもの所管いたしております農地、農業用施設の災害につきましては、八月七日の現在で調査をいたしておりますところによりますれば、被害額が一億九千九百万円ほどに達しておる。それに対して復旧費が、農地におきまして千七百九十万、農薬用施設において一億二千百万で、そういう復旧に要する費用が、これに対処して措置を講じて参りたい。こういうふうに考えております。
  94. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 今年度の福井の災害については、六、七月には約公共土木施設の災害としては二億八千万円程度ございます。で、これは併し県の報告のままでございまするので、これについては今月末頃に査定に参ります。査定に参りまして金額を確定いたしたいと思つております。  それから一般の治水については、御承知のように福井は大震災がありまして以来、九頭竜川が大破壊をいたしましたので、これは震災直後復旧に着手しまして、昨年全部完成をいたしたのでございます。ただこれは震災の影響ではないのですが、河川の改良、いわゆる治水事業として、現在九頭竜川の一部分であります足羽川の工事は、県の補助事業として施工中でございます。これは今後とももう少しピツチを上げて工事を進めたいと思つております。
  95. 永井純一郎

    永井純一郎君 建設大臣に伺いたいと思います。秋の二百十日と二百二十日、秋の暴風雨の対策というものは、私は今から方針……これは当然予想されるし、これがやつて来ると、もう今の災害地の状態というものは収拾つかないことになる。で、これはどういうふうに今指導して行つていますか。
  96. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) 只今お話の意味は、災害費百億では足りない場合がありやしないか。こういう意味でございましようか。
  97. 永井純一郎

    永井純一郎君 繋ぎですか。
  98. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) はあ。そういう意味ですか。
  99. 永井純一郎

    永井純一郎君 当然そのことと関連して来るのですが、繋ぎ融資を使つてやることと関連して来ますがね。そこで建設省なり、これは農林省もそうですが、今の復旧考えることは当然なんですけれども、農家などは今のままの一応現状で植えられるところはどんどん植え変えているわけです。ところが秋の災害が又再びやつて来ますと、これは又元も子もなくなくなつてしまいましよう。一応繋ぎ融資なりなんなりは勿論考えながら、その金を使つて秋の対策をするであろうと思いますが、同時にこれは国会を開く時期にもよつて来るのですが、臨時国会できめる予算が確定しないと、本当の工事には着工できないわけですね。その間繋ぎ融資をやつて行くわけですが、その繋ぎ融資を使うのに、どういうふうに指導はあなたのほうはしながら秋の対策考えてやつて行くのか。これは国会を非常に早く開いてくれればいい。併しそういうことがなかなかできそうにもないと思うのですね。何とはなしに、秋若し暴風雨があつた場合には、それは止むを得ないのだということでただ行くのか。そこのところをはつきりした何か一つの指導方針を持つて、繋ぎ融資等の使い方を考えて行くのか、その辺を聞いているんですが…。
  100. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) 先だつて災害の跡始末としては、殊に農家の関係もありますから、努めて農地に影響するようなところの復旧を最も早く、少しでも安心をさせるという意味で指導をいたしております。それから若し秋に再び大きな災害があつて災害費百億で繋ぎ融資が足りないという場合には、特別な考え方をしなければならんと思います。ただ現在の災害費に対する繋ぎ融資で百億が全部が出てしまうというふうには考えていません。何億か残つているもので融資をするというよりほかない。それ以上に要る場合には、それこそ臨時国会で早くやるなりなんなりしなければならない。これは勿論建設関係のみではありません。私としてはそういうふうに考えております。
  101. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは百億で足りるか足りないか僕はちよつとわからないのですが、今植え変えたところなんか、或いは植え変えてなくても次に雨が降つたり風が吹いて来ると、折角の工事がだめになるということは予定されているわけですね、もうわかるのです、現地に行きますと……。それから人命に危険を及ぼす箇所というのもわかるのです、今度の災害地では……。そうするとそういうことを、人命の危険を防ぎ、それから今のところの工事、或いは植え変えたところを守るために、相当な応急施設をどうしても優先的にやらなければならんと思うのですね。ということを計画的にやらないと、例えばそれが百億で足らんときには、二百億要るときには、まあ二百億要らんかも知れませんが、それだけのものを取るということができるという意味なんですね、今のお答えは。
  102. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) 先ほど申上げたように、農地に関する点が一番大切でありますから、この間の災害直後から特にそういうふうに注意をいたして復旧事業をやらせているわけです。応急にしろ、或いは実際の復旧にしろ、そういう点を一番早く……、なお、続いては輸送関係を早く回復するということを狙いにして復旧事業をいたしておるわけであります。なかなか復旧事業は、先ほど申上げましたように、今まで三年かかるとかいうようなわけでありますので、そう急に進行しない個所も多いと思いますので、必要なところを優先的にやつて行く、こういう考え方で、もう先だつて殊に直轄の例えば筑後川とか遠賀川というようなところはいち早く災害が終つてすぐあとから農地に関係したところは締切等を早くやつております。それから地方に対してもそういうふうな行き方で指導いたしておるわけであります。ただそこでその工事がどんどん進むというと今の金で足りるか足りないか、或いは次の災害が起きてきたら不足しはしないかという心配は私どもも思つておりますけれども、まあできるだけ今のできる範囲でやつて行く、それで不足ならばどうしてもそのときに急いででも臨時国会なり何なりをやるというより仕方がないと思います。
  103. 永井純一郎

    永井純一郎君 農林大臣に次にお伺いしたいのですが、災害のあともうすでに非常に発生しておるのですが、私どもの県なんかでもいもち、螟虫ですね。特に紀州は三化螟虫があるのですが、今後の食糧増産の見地から行けば、今度の災害では特に今後の病虫害対策だと思う。どれだけ収穫をどこでとめ得るかということは今後の一にかかつて病虫害対策だと思う。復旧工事はこれは来年再来年又もつと先に役に立つのであつて、今年の増産対策に対しては病虫害対策が一番大事だと思う。現にいろいろ聞いてみると、農薬対策というものは実におぼつかないのです。殆んど的確な手が打つてないという状態である。例えば螟虫等の特効薬のパラチオン剤等でも輸入が非常に少くて、そうしてそれを今後入れるのか入れないのか、今すぐ間に合うような方法を講ずるのかというようなこともはつきりしない。これは恐らく三百万石、四百万石という減収になつてしまう。病虫害対策を誤れば更に減収がそれくらいは殖えて来ると思う。そこで予算化は勿論のことです。農薬に対する補助金もこの前の二号台風のときに相当渡部君あたりが非常に努力して取つてくれておるのですが、今度のやつはもつと徹底した補助金を出すようにすると同時に、農薬を確保してもらわないと、災害地の増収ということは非常な困難な点が起きて来ると思うのですが、その点農林大臣はどの程度まで病虫害対策考えておられるのか、お伺いいたしたい。
  104. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私も永井さんと全く同じ心配をいたしております。折角この災害をこの程度で防ぎとめますには、一にもう病虫害をどう防ぐかにある、だらしのない状態じやないかということも御尤もだと思います。まあ大体平常発生当時に対する措置としてはそう緩い措置ではない、かなりの手は打つてあつたわけでございますけれども、こういうふうな病虫害の発生には誠に好条件になつている状況でございます。各地異常発生の状況で、これに対しましては実際私どもも心配いたしております。そこでとにかく全能力を挙げて何とか食いとめなければならんというので、製薬工場等に対しましても昼夜兼行で操業をいたしまして、精いつぱいのとにかく努力をいたしまして、現在のところはいろいろその部分々々でかなり行届いていないところがあるようでございますけれども、全体といたしましてはまあまあという、今日の現状ではそういうところにおろうかと思います。決して楽観はいたしておりませんけれども、十分その点はもうお話のように減収をとにかく防ぎ得る、これが第一の問題だという考えで督励いたしてやつております。
  105. 東隆

    東隆君 私はこの際建設大臣にお伺いをいたしますが、先ほど松浦君からも御質問がありましたが、確認する意味でお伺いをいたします。ざつと土木関係で三千五百件、災害が十七億程度、私の手許にある資料ではそういうようになつております、北海道は…。それでこれに対する融資はざつと八億六千万円になりますが、併し今度の関係災害地が集中的になつておりますから、それが五割といたしましてざつと四億くらいの金が必要になると、こう思うのです。そこで先ほど、五千万円は出したいのだ。それから急にたくさん金が出ても、利息のかかる金だからおいおい出すほうが得だろう、こういうお話があつたのです。併し大臣も御承知のように北海道における仕事をやる時期はこれは限られておりますが、その点を一つ十分お考え下さいまして、この土木災害関係については総災害の約五割、それに対する融資、こういうような関係で計算をすると約五億近くになりますが、そのうち約五千万円取ると四億五千万円ですが、その程度一つ大蔵省との折衝において大分むずかしい問題もあろうと思いますが、大いに一つ御努力を願いたいと、こう思うのですが、その辺のところをお伺いしたい。
  106. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) そういう今あなたの御計算で行きますと、五千万円というと非常に少いように感ぜられるのは非常に御尤もでありますが、総災害の半分が建設関係、そのうちの半分を融資する、こういうふうに行けばお話のようになりますが、災害復旧は、先ほども申上げたように、今すぐ目の前でそれだけ全部できるわけではない。先にも申上げたように従来の例で行くと三、五、二、それも成るべく早くやりたいと私は思つておるのでありますが、仮に早くやるにいたしましても、そう目の前ですぐそれだけ要るというふうには考えられんではないか、こういうことを申上げたつもりであります。実は私どものほうで大蔵省にはたくさん要求したのですが、又大蔵省がねばつて今五千万円になつておる。これは地方実情を始終よく連絡をいたしまして困らないように、成るべく次を続けてやるようには努力いたしております。一応四億と御計算になりましたが、それは例えば復旧工事で全部できあがつたときの勘定……。
  107. 東隆

    東隆君 いや、そうではない、約五割やるとして……。十七億の災害に対して八億六千万円、それの約五割ですね、今年度やるというと四億の金が要るわけですね。
  108. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) そうすると少し早く工事が進むのには足りないという感じがいたしますので、それは報告を待つてどものほうでも始終計算をいたしておりますから、成るべく困らないように私どものほうでは差向き一億二、三千万円融資したらいいじやないかという事務当局の考えだつたらしいのです。取りあえずが五千万円……。
  109. 東隆

    東隆君 一億二、三千万円というと三分の一ですね。
  110. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) あと農林大臣にございませんか。
  111. 東隆

    東隆君 北海道災害が遅れて発生をしておりますので、融資その他の関係においてはずれております。大蔵省方面に折衝をされる場合においても、農林省のほうで大きく覚悟をしておいてもらいたいと思うのですが、それは北海道における農林災害は、今のところ四十三億くらいになつております。それで特別措置法に基き、融資総額を計算をしますと、概算しますと八億三千万円くらいになるわけであります。併しこの中には土地改良関係のものが入つておりませんから、それはざつと二億くらいあると思いますが、ざつと農林関係が十億くらいになると思います。それでこのうちこれのざつと半額は、これはどうしても必要なものだと考えますが、これは建設の場合におけると同じように早急にこれはやつてのけなければならん仕事だ、こう考えますので、ざつと十億に対する半分の五億に相当する金額が、これが緊急に融資をして頂きたい金額になろう、こう思いますので、そういうような面の資料、その他はお手許に届いておると思いますが、十分一つ考えを願つて、御処置を願いたい、こう思いますが、一応農林大臣にお話を願つておきたいと思います。
  112. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は昨日北海道長官や、関係町村長のお話を伺いまして、これは実際の実情をよく調査いたしまして、手落ちなく処置を講じて参るつもりでおります。
  113. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはどなたにお尋ねしたらよいかよくわかりませんが、緒方副総理がおいでになつたら或いは緒方副総理が適当かと思うのですが、一つお尋ねしたいのですが、御承知の通り立法事務、今日衆議院を通過すればすべて緊急対策に対する立法措置も終るわけでありますが、その中には政令に委ねられていることがたくさんあります。それで恐らく災害地の地方長官もお招きになつて、十分政府も検討を進められると思うのでありますが、今日は一つ激励の意味で要望もし、お尋ねもしたいわけですが、これを実施に移すには補正予算を組む必要があろうと思いますし、又補正予算を待つまでもなく、現在の政府に委ねられた一つの予備金の支出として対策を講ぜられる途も開かれておりますし、或いは又金融関係に対するところの融資等は、これは別段国会の承認の必要もなければ、又政府の考えておる点をどんどん実施に移されることでありますが、そこで一つここで早急に解決をして頂きたいと思うのでありますが、今この政府として考えているのは、いつごろまでにこれらの問題についての結論を出し、そして又補正予算を組む必要が当然出て来ると思いますが、臨時国会いつ頃に開いてこの対策を講じようとしておるのか、その辺の事情一つ今日はお聞かせ願いたいと思います。
  114. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) お答えいたします前に、東君の先ほどの質問に付加えて申上げます。十七億というお話でしたが、そのうちの五億ばかりは直轄の事業のほうに廻りますから、十一億で、今まで五千万円では或いはどうかと思いますので、その点はなお大蔵省に折衝します。  それから只今のお尋ねでございますが、これは実は災害の箇所について実地に査定をいたして、そして正確なる調査の結果、この額をきめなければならない。これには相当の時日を要しまするので、やはり本当に予算を組むというのは相当時期が必要だと思います。これは私のほうだけのことで言つてはどうかと思いますが、私の気持で少くとも十月中に出なければ無理じやないかというふうに考えております。それならば復旧仕事のほうをどうするかということになりますのですが、そこで先ほどからだんだんお話がありますように、融資で実質的にはどんどん仕事を、復旧をやつて行けるようにできるだけの仕事はそれでやつて行く、勘定はあとからという意味になりましようが、そういうようなやり方でなければ仕方がない、こういうふうに、思つておるわけであります。
  115. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大変時間が延びましたので、最後に私のほうから三大臣にお伺いしてこの委員会を終りたいと思いますが、それは閉会と同時に特別委員の諸君も現地に視察に参りますが、大臣各位も御視察においでになることと存じます。ただここで承わりたいのは、出先機関から皆さんのところへ報告されている現状は、復旧事業が順調に行つているかどうか、どういうように東京の本省で把握されていらつしやるかということと、それからこれは建設大臣からもお話がございましたが、政府予算の積み重ねというものはいつ頃終られるか。それは私たちの見解では、まあ立法もなしたわけですが、先般通過成立した予算の枠内ではどうしてもこの復旧はできないと考えているが、それぞれの所管省においてその点どういうふうにお考えになつておられるか。恐らくまあ臨時国会でも開くことになると、閣議でもきめられることになるんですが、所管大臣としてはどういう御見解でおられるか。  それから最後にもう一つお伺いしたい点は、例の県工事十五万円を十万円、市町村工事十万円を五万円にするという、いわゆる小災害の問題ですが、これについては、当時西日本水害対策本部長であつた大野国務大臣の中間報告にもこの度の災害は余りにも大きくて、小災害は広範囲に数多くわかれているから、小災害対策を何とかして講じなくちやならんということは中間報告になされておつたわけです。そこでこの委員会でもその立法化を考えたのですが、建設当局の行政的な御見解もあつて最終的にはあの十五万を十万、十万を五万に下げるというのは削除いたしたわけでございますが、建設省としては、この小災害に対してどういうふうにお考えになつておられるか。それと関連してこれが数多くあるということはこの地方財政に非常に響いて来るだろうと思うんです。従つてこれらの問題については塚田自治庁長官も地方行政委員会で相当強力な発言をなされているようですが、我々としては特別災害財政補給金交付に関する法律というものを立法したわけでございます。この災害地の地方財政と関連して自治庁長官としてどういうふうにお考えになつていらつしやるか、三大臣から最後にお伺いしたいと思います。
  116. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) 結局補正予算が必要であるということは、只今お話がございましたことも、恐らくそういうことになると考えます。ただその時期については、先ほども申上げましたように、私どものほうの調査もどうしても相当の日数がかかりますので、予算化するには十月……、どうでしようか、我々心配いたしておりますが、九州のほうへ査定に出かけたのは大分前に出かけました。和歌山方面もすでに出かけてやつております。それから北海道は、先ほど言い落しましたが、特に気候の関係もありますから、なお早速出かけるつもりでおります。それから小災害の問題は先般来たびたび意見として申上げてございますが、なお自治庁長官からもこの際御発言あることと思いますが、御趣旨は十分尊重いたしているつもりでございまして、内輪では大蔵大臣自治庁長官と私とそれぞれ話合いはいたしております。
  117. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) この六月、七月の災害で当初相当の植付不能の面積を出すのではないかということを非常に心配しておりました。今日まで集まつておりますところでは、一万町歩ちよつとを越している程度の植付不能、従いまして応急の復旧としては、先ほどどなたかおつしやいましたように、実際個々の農家が涙ぐましい復旧をしたことがここに証拠が出ているわけでございます。只今どものほうといたしましては、建設大臣がお話のように、現地の実情を調査査定をいたしておりまして、そうほど遠くなく確実な資料を集め得るだろうと考えております。そういう状況であります。
  118. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私のほうもいろいろと国から支出をしなければならない金があるわけなんでありますが、今度の法律ではとりあえず起債で面倒を見るということに法律ができましたので、その趣旨従つてつて行きたいと考えているわけでございます。恐らく財政部長から御説明申上げたと思いますが、西日本の分だけでもその数字は大体百六十八億の総体の必要の中に三十九億二千万ばかりが補助金として出て、従つて百二十八億九千万ぐらいがどうしても起債で以て面倒見なければならない分があります。而もこの起債で面倒を見ろということになりますと、それに対しましての元利の負担金が当年及び翌年以後におきまして交付金として出て来なければならないということになりますので、それも睨み合わせて御趣旨に副うように補正予算の機会に考慮いたしたい、こう考えております。又小災害の分でありますが、これは御承知のようにすでにこの起債の枠があるのでありますけれども、これは国会全体として見ると完全にはならないのでありますが、併し災害地の分だけは仕事をなさる分については百%面倒を見て差上げるように是非したい。これも総額が今度の補正予算の機会に公共事業の総額が殖えれば、単独事業のほうも総額を殖やしてそうして大体災害地の単独地のそういう復興に対しては事欠かないようにいたしたいと考えております。なおそれからこの単独事業起債をしました分は、今までの扱いにおきましては翌年度から元利の償還は大体その三五%ぐらいは特別平衡交付金で見るというならわしになつておりますが、今度の事情が特別でありますので、それらの点も特別平衡交付金の額と睨み合せて最大限にやるように努力いたしたい、こう考えております。
  119. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 別に御質疑もないようでございますから、三大臣に対する質疑はこれを以て終了いたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは終了いたします。速記をとめて。    〔速記中止〕
  121. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。本日はこれを以て散会いたします。    午後六時三分散会