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1953-07-28 第16回国会 参議院 水害地緊急対策特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)    午後二時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     矢嶋 三義君    理事      永岡 光治君            武藤 常介君    委員            小野 義夫君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            徳川 頼貞君            藤野 繁雄君            松岡 平市君            島村 軍次君            林   了君            三浦 辰雄君            安部キミ子君            山田 節男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告委員長報告   —————————————
  2. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今から本日の委員会開会いたします。  先般院議に基いて和歌山の水害の慰問並びに調査に出張されました島村君から調査視察の概要について報告を承わりたいと思います。
  3. 島村軍次

    島村軍次君 簡単に御報告を申上げたいと存じます。  同県の災害特色から先ず申上げたいと思いますが、百九十六ヵ町村のうち今回の災害を受けましたのは約百ヵ町村でありまして、和歌山県には未だ曾つてなかつたということであります。従いまして第一回の報告の中には当初に四百四十億の被害額と称せられているのが、奥地被害が判明するに従つて、而も奥地は全く潰滅状態なつたという町村や未だにわからないというような町村も相当あるようでありまして、恐らく十数ヵ町村以上にも及んでいるのじやなかろうか。殊に熊野川の上流等はまだ不十分のようでございますが、現在までにわかつておりまする被害総額は、二十五日現在において六百三十六億、四百四十億が六百三十億に増加したことからみましても、非常に激甚であるということが予想されると思うのであります。  我々の視察しましたのは、船に乗つて交通遮断の中に、比較的下流の土地だけの被害でありまして、上流には全く出られない。食糧を、荷物を背負つて一斗くらいのものを運ぶに過ぎないというような情勢下においてでありますから、できるだけ効率的に視察をいたしたのでありますが、全く一村がその姿もないというくらいまでに川の流れ変つて、真ん中に川の流れが来ているために、本流はその姿を没しておるというような、例えば有田郡の保田村の地方の例から見ましても、ともかくもその惨害が他の九州等の例とは趣きを異にした、中小河川の大惨害である、こういうことが言えると思うのであります。  それからいま一つ特徴は、和歌山は御承知の通り林産県であつて、あたかも木材をその自然雨季を利用して自然流下によつて河口に流します県であるところから筏を組むまでの措置がとられておつたものが、あの豪雨等のために中小河川が全く木材惨害によつて谷を全部洗つてしまつて、而も堤防及び橋梁を落した。これが特色であり、従つて河川の流量の計算による堤防の嵩というものは全くこの和歌山災害限つては何ら問題にならない。堤防上数尺或いはそれ以上もオーバーをして、僅か数分にして流されてしまつたというようなのが当地の特徴ではなかろうかと思います。そこでだんだん申上げたいこともありますが、主な特色の点はこの二つであり従つて食糧を運ぶのにも或いはヘリコプターを使い或いは米軍の応援を得て而もこれは一時間に六万円を醵出せねば動いてもらえないようなわけで焚き出しの食糧までも数日後でなければやつと渡らなかつたというような点が特色であると思うのであります。下流における惨害に至りましては全くその材木と家とあらゆる建物を一挙に流した、その結果によつて全く普通の浸水の惨害よりはこの被害が変わつておるということであります。保安隊の二千人の動員もまだ我々が参りました当時には全く手が付いていない。トラツクも一つもまだ来ていない。鼻をつく臭気の中に住民が喘いでおるというような誠に悲惨な状況までも視察いたしたような次第であります。  対策についてはいろいろ県においても相当の措置を講ぜられておりますが、全く混乱してどこから手をつけていいかわからないというような情勢が窺われた状態であります。いろいろ九州災害伴つて措置が講ぜられておりますが、なお和歌山特色災害対策として考えなければならん点も相当あろうかと存じます。これらの点につきましては追つて委員会の進行に伴いまして御報告かたがた私の考えも申上げてみたいと思うわけであります。  なお、その他の調査等につきましては別動隊の意味で徳川さんなり或いはその他の委員なり、或いは御出身の参議院の方々もおいでになると思いますので、そのほうから御聴取を得て対策に遺憾なきを期したい。この機会に御報告をかねましてお願いを申上げて私の視察報告といたしたいと思います。
  4. 徳川頼貞

    徳川頼貞君 只今島村委員報告に多少和歌山県としての特殊事情についての説明をいたしたいと思いますが、よろしうございますか。
  5. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) どうぞ。
  6. 徳川頼貞

    徳川頼貞君 只今大体において島村委員お話を承わつた通りでありますが、そのお話の中にもみられます通り和歌山県の特殊な事情一つといたしまして、今度の災害におきまして只今現在までに知れておりまする全村が失われた村が五つございます。それは花園村、川上村、安諦村、保田村、田栖川村、こういう全村でありまして、これらはみな山一の中の谷の両側にある村々であります。これらは殆んど全部が被害をこうむつておるというような始末でありまして、その大部分はもう再び村に帰つて来て村を立直すという気力すらないほどになつております。特に高野山から約六里ばかり山の奥にございますところの花園村のごときは、全村が再び帰る意思はない、この際ブラジルあたりへ行きたい、或いは北海道へ行きたいというふうに皆感じております。これは花園村ばかりでなく、他の村々におきましても今のような状態に置かれたところの村には大体そういう空気がただよつているように私は察知いたしました。  そこで和歌山県のこのような特殊な事情に鑑みまして、和歌山県下に対しまして、殊に農林関係としては罹災移民として或いはブラジル或いは北海道に行くようなことを一応考えなければならんのではなかろうか。そういう場合には営農資金の貸出しの割合或いはそういう場合の渡航費補助或いはできれば国庫全額補助というようなことも考えて行かなければならないのではないかと私は考えるのです。これなども他の均衡もあろうと思いますが、皆様に御参考として申上げる次第であります。
  7. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 和歌山災害報告をして頂いたわけでございますが、これに対する皆さん方質疑もあろうと存じますが、本日は午後五時から衆議院との打合会が先ほど申上げましたように行われることになつておりますので、只今のお二方の報告に対する質疑並びに政府委員に対するところの質疑あと廻しにして議事を進めてみたいと思います。御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて。    午後二時五十分速記中止    ——————————    午後三時八分速記開始
  9. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。  次に昨日案文を配付いたしました治山治水に関する決議事項に関しまして各党で検討された結果について報告を承わり協議いたしたいと思います。速記をとめて。    午後三時九分速記中止    ——————————    午後三時三十六分速記開始
  10. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。  昨日衆参特別委員会委員長理事小委員長の打合会において、両院特別委員会打合会として申し合せた事項について御報告申上げます。  現行法の一部改正並びに単独立法が必要であるということを認める。その改正並びに新たに立法された法律は年々歳々起るがごとき災害対象とするものでなく、異常な大災害の復興を対象として立法するものである。従つてそれらの法律案両院特別委員会でこれを取扱う。よつて両院特別委員会はそれぞれの常任委員会と緊密な連絡をとつて本国会末である七月三十一日まで立法を終了するよう努力をする。法律案には六月下旬から七月中旬の期間に亘り、豪雨による災害という形で期限を記載する。適用地域については政令で定めるが、将来問題を起さないために審議の過程において如何なる地域に適用するかということを速記に残すように努力をする。両院特別委員会のそれぞれの該当小委員会法律案の内容について協議し、七月二十八日午後五時までに一応の結論を打出し、二十八日午後五時から開かれる両院委員長、小委員長理事打合会に臨むこと。  以上が昨日の連合打合会のまとまりました申合せ事項であります。この両院打合会申合せ事項を御承認頂きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 御異議ないと認めます。  審議都合上本委員会は暫時休憩いたします。    午後三時四十三分休憩    〔休憩開会に至らなかつた