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島村軍次君 簡単に御
報告を申上げたいと存じます。
同県の
災害の
特色から先ず申上げたいと思いますが、百九十六
ヵ町村のうち今回の
災害を受けましたのは約百
ヵ町村でありまして、
和歌山県には未だ
曾つてなか
つたということであります。従いまして第一回の
報告の中には当初に四百四十億の
被害額と称せられているのが、
奥地の
被害が判明するに
従つて、而も
奥地は全く
潰滅状態に
なつたという
町村や未だにわからないというような
町村も相当あるようでありまして、恐らく十数
ヵ町村以上にも及んでいるのじやなかろうか。殊に熊野川の
上流等はまだ不十分のようでございますが、現在までにわか
つておりまする
被害総額は、二十五日現在において六百三十六億、四百四十億が六百三十億に増加したことからみましても、非常に激甚であるということが予想されると思うのであります。
我々の
視察しましたのは、船に乗
つて交通遮断の中に、比較的
下流の土地だけの
被害でありまして、
上流には全く出られない。
食糧を、荷物を
背負つて一斗くらいのものを運ぶに過ぎないというような
情勢下においてでありますから、できるだけ効率的に
視察をいたしたのでありますが、全く一村がその姿もないというくらいまでに川の
流れが
変つて、真ん中に川の
流れが来ているために、本流はその姿を没しておるというような、例えば有田郡の
保田村の地方の例から見ましても、ともかくもその
惨害が他の
九州等の例とは趣きを異にした、
中小河川の大
惨害である、こういうことが言えると思うのであります。
それからいま
一つの
特徴は、
和歌山は御承知の
通りの
林産県であ
つて、あたかも
木材をその
自然雨季を利用して
自然流下によ
つて河口に流します県であるところから筏を組むまでの
措置がとられてお
つたものが、あの
豪雨等のために
中小河川が全く
木材の
惨害によ
つて谷を全部洗
つてしま
つて、而も
堤防及び橋梁を落した。これが
特色であり、
従つて河川の流量の計算による
堤防の嵩というものは全くこの
和歌山災害に
限つては何ら問題にならない。
堤防上数尺或いはそれ以上もオーバーをして、僅か数分にして流されてしま
つたというようなのが当地の
特徴ではなかろうかと思います。そこでだんだん申上げたいこともありますが、主な
特色の点はこの二つであり
従つて食糧を運ぶのにも或いはヘリコプターを使い或いは
米軍の応援を得て而もこれは一時間に六万円を醵出せねば動いてもらえないようなわけで焚き出しの
食糧までも数日後でなければやつと渡らなか
つたというような点が
特色であると思うのであります。
下流における
惨害に至りましては全くその材木と家とあらゆる建物を一挙に流した、その結果によ
つて全く普通の浸水の
惨害よりはこの
被害が変わ
つておるということであります。
保安隊の二千人の動員もまだ我々が参りました当時には全く手が付いていない。トラツクも
一つもまだ来ていない。鼻をつく臭気の中に住民が喘いでおるというような誠に悲惨な状況までも
視察いたしたような次第であります。
対策についてはいろいろ県においても相当の
措置を講ぜられておりますが、全く混乱してどこから手をつけていいかわからないというような
情勢が窺われた
状態であります。いろいろ
九州災害に
伴つて措置が講ぜられておりますが、なお
和歌山特色の
災害の
対策として考えなければならん点も相当あろうかと存じます。これらの点につきましては追
つて当
委員会の進行に伴いまして御
報告かたがた私の考えも申上げてみたいと思うわけであります。
なお、その他の
調査等につきましては別
動隊の意味で
徳川さんなり或いはその他の
委員なり、或いは御出身の参議院の方々もおいでになると思いますので、そのほうから御聴取を得て
対策に遺憾なきを期したい。この機会に御
報告をかねましてお願いを申上げて私の
視察報告といたしたいと思います。