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山田節男君 小笠原大蔵大臣がつい数日前、郷里の
愛知県に帰られて郷里の
水害の
状況を見られた、私
ども二十九日ですか、名古屋で新聞を見ると、職を賭してもこの
水害の対策については自分は十分なことを、
一つできるだけのことを勿論やる、こういうようなことを言われたということが新聞に麗々しく出ている、中部日本新聞に。そうのて今の
緒方副総理のお話を聞くと、結局これは今池田君が向うへ行
つて、ワシントンに行
つていろいろ打診してみて、アメリカのほうでは駐留軍を長くとどめるわけに行かん、結局今の
緒方副総理のお話によれば、防衛力、要するに再軍備しなくちやならんという破目にな
つて来たから、それに牽制されて三百億で我慢しなくちやならん
状態にな
つて来た、これは勿論インフレということの防止ということも考えてそういうことにな
つたのだと、かように私は御
説明に
なつたように了解するのですが、そういうことになりますと、先ほど申上げましたように、もうこれだけの罹災者が今日まで何ら政府の施策がきまらんというので絶望的にな
つている。そうして漸く
臨時国会でその
ために救農国会としてお開きになるにしても三百億しか出ないということになりますと、これは国内の治安問題と重大な
関係があると思う。その
ために共産党が躍起にな
つている、だから共産党に操縦されなくてもああいう素朴な農民として政府が何らまじめな施策をしてくれないということになるという場合に、その心理的な
影響というものは私はこれはもう無視できんと思う。又今三百億云々ということについてはこれは私
静岡でも聞きましたけれ
ども、もう第十六国会でも造船、船を造るに利子補償、
利子補給或いは国家損出補償、これも、もう軽く百七十億円の金を引受けてしま
つた。然るに今度のような未曾有の
水害において三百億しか出せんということになりますと、私は吉田政府の非常に矛盾がそこに暴露されて来るのじやないか、これは
一つの例に過ぎません。今吉田内閣がと
つている
財政政策を見ましても、これは国民はもうあらゆる面から批判するだろうと思う。今
緒方大臣のおつしや
つたようなことではこれは金のことは、将来かようなことはあろうということは少くとも国会でも知
つておるわけです。今始
つた話ではございません。そういう点から私はもう
緒方大臣のおつしや
つたことは余りに本部長として
水害、今回の六、七、八、九月の第十三
号台風を含めてまでも、如何に国民が罹災に苦しんでいるかということを私はお含みにな
つておられないのじやないか、小笠原蔵相が職を賭してもと僅か数日前に言
つたことが今
緒方副総理の言によ
つて事態止むを得ないと言う、とれでは私は果して吉田政府がまじめに
水害対策を考えてくれてお
つたのかということすら疑問を持たざるを得ない。ですから、私はこれはもう今おつしや
つたことなら、これは国家の今後の根本的な
財政政策を立て替えて、そうしてとれに対して五百億、六百億の金を出すということを研究されて、我々に納得の行くようなことを
説明されてのあれならまだ罹災地区に対しても
説明ができますが、今の御答弁だけでは、結局私は吉田政府の
水害対策に誠意がないと極言のようでありますけれ
ども……、私はそうではないと思う。ですから、今おつしや
つたことではこれはもう軍備の
ためには、防衛力の、自衛力の増強の
ためには百姓犠牲になれ、これでは私は政治ではないと思う。私はもう若し総理がおつしや
つたことが閣議の結果なり、吉田総理とお話合いの上でこういう御発言をされるのだ
つたら、私はもう一遍吉田総理にもここに来て頂いて責任のある御答弁を聞かないと、私は先ほど申上げたように、まじめにこういうものを審議する気持になりません。ですから、私は吉田内閣全体の御意見として今の御発言をとりたいのですが、それでよろしうございましようか。