○国務大臣(山縣勝見君) 今回の
災害に際しましては、これはいずれの
災害の際にもそうでありますが、最初にとられます政策は、
災害救助法に基くものであります。なお又か
ような
水害等の
災害に際しましては、伝染病という問題がありまして、いわゆる防疫
対策という問題があります。
従つて緊急の
対策といたしてとらるる
災害救助法に基く
災害救助並びに伝染病予防法等に基いてとられます防疫
対策、これは
厚生省の所管でありますので、直ちに社会
局長を急派いたしまして、なお又引続き大野国務大臣と一緒に薬務
局長を急派いたしまして、なおその間これは
災害救助法、或いは伝染病予防法等に基きまして、各
府県に厚生大臣の命令を以て救護班或いは防疫隊等を急派いたしまして、万全の
措置をとりましたのでありますが、同時に所管大臣といたしまして、なお又中央の総合
対策本部の
委員閣僚といたしまして、本部から派遣を命ぜられまして現地に参りまして、何分にも私は二日に参
つてなか三日、丁度五日間おりまして帰りましたのでありますが、その間できるだけ航空機関を利用して罹災各県には参りたいと思
つたのでありますが、そのうち長崎県には、御
承知の
通り小型の飛行機でありまするから、途中風雨のために。パイロットの判断によ
つて途中から引返しました。なお又大分県は日田地方の手前まで参りましたが、これ又小型機のために途中から引返しました以外には、各県に参
つておる次第であります。時間もありませんから極くかいつまんで申上げますれば、
災害救助法の
関係については、これは御
承知の
通り焚出し、医療、衣料、或いは
応急の仮設住宅、その他のいろいろな問題でありますが、大体これは
応急の手配を了した次第でありまして、例えば焚出しにつきましては
災害救助法に基きまして六日間とな
つておりますが、これは熊本地方、久留米地方、或いはその他の地方において、六日間を超過いたしまして、なお且つ集団的に避難いたしておる久留米とか、熊本のごときは多分
先ほど報告があ
つたと思うのでありますが、家は潰れておりませんが、家に帰れないという
ような家庭も相当あり、
従つてこの
災害救助法に基く一番大事な焚出しの期間を現地の
対策本部で十日間にいたしましたが、その他基準の引上げ等も実行いたしまして、なお中央から
政府の持
つておりました
物資等を保安隊が空路、或いは
鉄道によ
つて現地に持
つて参
つて遺憾なきを期した次第であります。なお防疫
対策につきましては、一番懸念いたしたのが赤痢でありまするが、これは私は現地に参
つて事情を聴取し、なお又私の滞在期間中衛生部長会議並びに本部から参
つております防疫官を招いて防疫官会議を聞きました。
災害救助につきましては、民生部長会議等を開いたのでありますが、防疫
対策につきましては、例えば赤痢でありますが、赤痢をありていに申上げますと、現在集団的には余り起
つておりません。それから昨年の統計と比しますと、昨年の六月の十五日から本年の七月三日までの累計をいたしますと、昨年が千十六に対して、本年は八百九十三名であります。これは各県に参
つて、現地の報告を受けましたので、大体において現在では憂慮すべき集団的な流行の兆はありません。併し何分にも未曾有の
災害でありますから、防疫
対策に対しましては今大野国務相の
お話のごとく、今後重点的に完全を期したいと思
つております。これに対しましては、直ちに伝染病予防法に基く、いわゆる地区の指定をいたす、或いは又一応現地調達が可能と言れておりました消毒剤、薬品或いは器材、こういうものにつきましては、特に
水害地におきましては水が非常に問題でありますので、濾水器等については現在二十八台動いておりますが、神奈川県からも空輸いたしまして、保安隊、或いはその他の
府県からも動員いたしまして活躍いたしております。なおカルキとか消毒薬、これも当初懸念されましたが、現地の
状況におきましては遺漏はありません。その他の医薬品等におきましても現地調達が可能であるということでありますが、中央におきましては現在の在庫品や、或いは製薬会社の在庫品、つまり緊急
対策その他によります配置を終
つております。なお又ヘリコプター等を利用いたしまして器材或いは薬品の現地の配給に対する手配は整えております。なお当時これは東京の新聞には載らなか
つたかと思いますが、現地の新聞で相当大きく取上げられましたので御報告を申上げまするが、私は久留米に参りましたが、久留米市の上流筑後川が決壊いたしまして、久留米市が三角州の底辺に当る
ような位置に置かれて、非常な
水害をこうむりましたが、その際久留医大の細菌学教室にありました二百本の細菌が保存されております試験管、これが流出いたして久留米市が伝染病の脅威の中に置かれたという記事が新聞紙上ございましたが、これは私翌日ヘリコプターに乗りまして現地に参
つて、医大の
責任者、県、市の
責任者、本部派遣の係官立会の上で検査をいたしましたところ、この二百本の管は綿栓をいたして無事にそのままでありました。なお又菌を培養いたします試験管等がございましたが、これも水が入
つておりませんで、大体遺漏なきを確かめました
ような次第であります。なお今回は濾水器が非常に活躍いたしておりまするが、保安隊が衛生班を久里浜からも送
つてくれまして、給水、衛生或いは緊急な救助、これに対して非常な活躍をいたして来たのであります。
なお巨細な点は省略いたしますが、
予算的な
措置といたしましては、御
承知の伝染病予防法に基く各
府県に対する補助は、年度末に決済をいたします。併しこれでは及びませんので、今回は一応第一回といたしまして四千六百万を送りまして、各
府県にこの配付を急いでおります。なお国民健康保険等が相当、現地の
水害によ
つて今後の運営に問題がありまし
ようから、これに対しましては、貸付制度等を活用いたす、或いは又保険医等が
罹災地において報酬がとれないので、非常にその間困
つておられるので、一億五千九百万円でございましたか、今確かな数字を持
つておりませんが、これを一応概算払として送りましたり、いろいろな
措置を講じて参
つた次第であります。特に私ども
厚生省といたしましては先般新聞紙上において御
承知の
通り、
厚生省主唱の下に
日本赤十字社等を中心にいたしまして、救難国民運動を展開いたしております
ような次第であります。
なお今後残りまする問題は、伝染病予防法に基くいわゆる防疫
対策を完全にいたしまするためには、現地におきまする器材或いは薬品等の備蓄或いは配置、これらに対して今後は万全を期する必要があると思うのであります。なお又
災害救助法に基きます国庫負担は、現在御
承知の
府県税収入のほうの百分の一を超過するものについて五割乃至八割ということにな
つておりますが、百分の一では現在の甚大なる
水害に対して
府県の
財政が許しませんので、百分の一という限度を引上げる必要があるのじやないかと、か
ように考えるのであります。なお
災害に対する単価の引上げは先般いたしましたが、今後にも問題が残
つているので、焚出しのごときは一応十日といたしましたが、厚生大臣の指令によ
つて延ばす必要があるのではないかと考えております。
只今予算委員会で
質問を受けております最中でありまするので、甚だ簡単な御報告でありますが、一応この
程度で終ります。