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説明員(
石井由太郎君) 中小企業に関連いたしまする
災害立法の附属
政令につきましては、先ず
被害中小企業者に対しまする金融を促進するために作られました中小企業信用保険法の特例に関する
法律の施行例があるのでございます。本件につきましては
法律が八月十五日に公布せられますると同時に、附属
政令を以ちまして
地域の
指定並びに特免いたしまする保険料率の
指定をいたしておるのでございます。これは御案内のごとく信用保険制度それ自身が
政府事業として行われておりまする
関係上、
法律が
通りますれば一日もこれなくしては作業ができないわけでございまするので、取りあえず
地域は奈良県、和歌山県、山口県、福島県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県の八県といたしましてこれを
指定いたしたのでございます。
又保険料率を逓減いたしたまするのでございまするが、これは一般の金融機関に対しまする保険料率は百分の五十四即ち年二分の割合でございます。それから府県にございまする信用保証協会、これに対しまする再保険料の特免につきましては百分の三十六、一分三厘と相成るのでございます。この
政令を公布いたしましてすでに実施いたしておるのでございます。今日までのところこれによりまして公布されて資金の融通されましたものが百二十四件、九千百四十七万五千円という
報告が参
つております。但しこの
報告は金融機関が
貸付を実施いたしましてから三週間以内に事業主体でございまする中小企業庁に
報告いたすことにな
つておりまするので、事実はこの数倍の資金の
貸付が本制度によ
つて行われておることと推察いたしておる次第でございます。
次に中小企業者に対する、小企業者に対する資金融通の
特別措置法、これに基いての
政令でございまするが、この
法律と同様な
措置が、例えば農林漁業者に対しまする資金融通でございますとか、或いはたばこ耕作者に対する資金融通とかい
つたような同様な立法が多数ございまするので、本件の
政令につきましては、
政府の行政に統一を保持せしめる必要があるという
考えから、各省の間に
地域等の
指定でそう隔りがあ
つてはならぬという見地から、歩調を合せることに
努力いたしておるのでございます。その丁度中途におきまして国会から
地域指定についての御
意見が出て参
つたわけでございます。これによりますると相当我々が今まで
考えておりました
地域とは異なりまして、相当広範囲に亘りまして
地域を
指定をいたさねばならぬかと思うのでございます。即ち九州及び近畿の八県
程度では足りないのでございまして、細かく当りますると、これを府県を単位として数えますると、二十数府県になるということだそうでございまするが、勿論その
地域には確たる中小企業者はなくて、単に農林漁業者だけが
被害者である場合もございましようしいたしまするが、実は国会からの御
意見の
通りにいたしますると、非常に山間僻地といえ
ども小規模の、まあ山間僻地でございますればございまするほど、小規模の商工業者に相成るわけでございます。これがないというわけには保障できないわけでございまするので、この点につきましては各省と
連絡をとりつつ、
政府の方針がきまりました線に副いまして、
地域を
指定いたそうと
考えておる次第でございます。
なお
政令そのものは、内容は極めて簡単でございまして、先ず第一に
政令で定める事業、いわゆる中小企業者と小企業者の行いまする事業の種類を特定いたす必要があるのでございます。これにつきましては、おおむね現在行われておりまする中小企業信用保険の
指定業種と同じ範囲、即ち物品販売業、物品製造業、或いは物品の保管業運送業とい
つたようないわゆる固い商売と言われるものを洩れなく
指定いたす
考えでございます。
それから第三番目の問題といたしましては、
貸付の利子補給の手続の問題があるのでございまするが、利子補給の手続といたしましては、府県に
法律が、きめられました二十億という利子補給の対象となりまする
貸付の総枠の枠を配分いたしまして、その範囲内で府県で利子補給の
措置を講じて頂きまして、その補給利子額の半額を国庫が
負担するための請求の手続を明らかにするという
考えでございます。
以上が
政令についての現在の進行
程度でございまするが、
大蔵省方面におきまして、各省各庁の
災害立法についての
地域指定につきましては、これを調整して統一する御方針のようでございまするので、この
政府の方針が明らかになりますれば、直ちに
政令を公布して実行に移して参りたいと
考えております。なお、九州方面乃至は近畿方面の各府県とは事実上の
連絡はとれまして、府県におきまして、利子補給の地方条例、県条例等を公布条件もある
程度までの
段階に取運んでおる次第でございます。
続きまして、去る九月十九日に当
委員会から私
どもに対しまして御
要望のございました点につきまして申上げたいと存じます。御
要望の中心点をなしまするものは、第十三号にございまする中小企業の迅速なる
復旧を図るため、国民金融公庫の
融資の枠の拡大、並びに貸出手続の簡易化を図ると共に、商工中金、農林中金等の金利を引下げることという点でございまするが、国民金融公庫につきましては、先ほどの
災害のための特別
融資額といたしまして、十一億円を決定いたしたのでございます。これにつきましては、鋭意貸出しを急いでおるのでございまするが、現在私
どもが手にいたしまする資料によりますると、貸出しの実行されておりまする額が、
総額七億三百七十万円、件数にいたしまして五千百六十三件ということと相成
つておるのでございます。公庫の方針といたしましては、九州方面につきましては十月十五日までに、それから和歌山、奈良両県についての貸出は十月一ぱいを以て、予定の資金量を全部貸出しを終了するつもりで業務を急いでおる状況でございます。当初和歌山県等につきましては、当
委員会からも御指摘があ
つたのでございますが、非常に
貸付が煩瑣複雑であるという御非難もあ
つたのでございまするが、
調査いたして見ますると、例えば和歌山県御坊等におきましては、代理業務を行な
つておりました信用金庫が壊滅いたしまして、その業務体系がなかなか整わなか
つたというような事情によるものということが判明いたしたのでござごますが、これらの点は逐次改善されておるわけでございまするので、九州方面では予定の十月十五日、紀南方面におきましては十一月一ぱしで十一億という予定の枠をすべて貸出し得るものと思
つておるのでございまするが、なおこれで足りませんという状況でございますれば、御
要望に副いまして、
融資枠の拡大を考慮いたしたく存ずる次第でざいいます。
貸出手続の簡素化につきましては、昼夜兼行、大いに
努力をいたしておりまするのみならず、先ほど申上げましたような一時の手違いがあ
つたのでございまするが、現在では大いに改善されておりまして、担保等を取るのはむしろ異例の事例に属するような状況でございまするから、これはこの上とも督励いたしまして、御
要望に副いたいと
考えておる次第でございます。
最後に、商工中金の金利を引下げよという御
意見につきましては、従来とも商工中金の金利は高いという評判がありまして、私
どもといたしましても、できる限り資金コストを引下げまして、安い金が中小企業者の手に渡るようにということに
努力を続いて参
つておるのでございますけれ
ども、どの
程度に金利を引下げよという御
要望なるやは、この文面だけでははつきりいたしておりませんけれ
ども、そう大幅な金利を、現在の資金コスト、業務態容というものからは、容易に期待できがたいのでございます。併しながら
災害復旧とい
つたような特例の場合でございまするから、こういう場合にはやはり今回の特別立法にございまするような、むしろ利子補給という積極策を講ずるにあらずんば、なかなかに御
趣旨にございますような金利引下げはできないのではないかと思うのでございます。
考えて見まするに、今回の
災害によりまして受けました中小企業者の
復旧資金につきましては、国民金融公庫を十一億、中小企業金融公庫を、これが先頃から開発銀行でや
つてお
つたのでございますが、中小企業金融公庫十一億、即ち二十二億という
政府資金は六分五厘という一般市中金利に比べますれば、約五%低利の資金で供給されておるのでございます。又先頃の立法によりまして、二十億の資金は一口二十万円というような小口の業者に限
つてではございまするけれ
ども、これ又五%の利子補給を以て貸出されることに相成るわけでございまして、かれこれ
考えますると、約四十二億の資金が五%
程度一般金利よりも低率で供給されておることに相成るのでございますが、勿論今回の
災害の規模の大なこと、並びに
復旧費の莫大なことから
考えますると、この
程度を以て十分とは申しがたいと存ずるのでございますけれ
ども、四十二億の五%の金利源は
財政負担といたしましても、二億
程度を中央地方を通じて、これを
負担いたしておることにな
つておるのでございまして、今後一般的な引下げには、大いに私
ども努力をいたす
考えでございますけれ
ども、今回の特別立法並びに
政府自身において行いました施策によりましても、相当
程度低利な資金は
復旧資金として中小企業者の手に渡
つておるということが言い得るのではなかろうかと存ずる次第であります。