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参考人(
西岡竹次郎君)
只今委員長から御紹介頂きました
長崎県知事西岡竹次郎でございます。このたびの
九州の大
水害につきましては
参議院におかれましては非常なる御
同情を賜りまして、早速
慰問調査団を御
派遣頂きまして、
九州被害県民といたしましては
感激感謝に堪えない次第でございます。ここに謹んで厚く御礼申上げる次第でございます。
長崎県もその
被害県の
一つでございまするが、
熊本県、
福岡県、
佐賀県の
被害は特に甚大でございまして、その当時全く
通信も
交通も寸断されてお
つたのでございます。
政府から
建設大臣、或いは政務次官、或いは局長の
かたがたに
おいで頂きましたが、
長崎県には到底
おいで頂けるほどすぐに
交通は回復いたしませんので、私
長崎県からトラツクに乗り、或いは
鉄道等により、或いは壊れた橋にぶら下
つて佐賀県まで辿り着きまして、鳥栖の
駅長室で
建設大臣にもお目にかか
つて実情を申上げたのであります。その際、実は
建設大臣その他に
長崎県の
実情を
御覧頂きたいという念願を持
つて参りましたけれども、併しながら
佐賀県、
熊本県、
福岡県の
実情は或いは
長崎県以上であるように思われるから私どもは辞退いたしますから、三県をよく
御覧頂きまして、
長崎県も併せて適切なる
処置を早くと
つて頂きりますようにということをお願い申上げたのでございます。その後二十日に
大野国務大臣が
本部長とな
つて対策本部を
九州を設けて頂いたのでございます。で、実は
長崎県の
実情を伝うべくお呼び出しを受けたのでございまするが、丁度
侍従が御
派遣になりまして、私は
侍従を御案内申しておりましたために、第一回の今月の一日、一日の午前中に第一回の会合をされましたその際に私は
出席ができなか
つたのであります。ところがその際、
大野国務大臣が
長崎県の
被害はどうだろうかどいうお尋ねがあ
つたそうですが、どなたか存じませんけれども、
長崎県の
被害は極く少い。八億七千万だという御発言があ
つたそうでございます。で、これは全く県からの
報告でも何でもない、何を
基礎にしてさようなことをされたか、意外千万でございます。今度
福岡に参りまして、君の所は
被害が少くて八億ぐらいで済んで幸いだ
つたんじやないかと、こう
大野国務大臣から言われまして、それは大変な違いでございまして、お手許に差上げてありまするように、
只今判明した分だけでも四十億を越えておるのでございます、ということを申上げたのでありまするが、併しながらその八億が
中央のほうに電話を以て
報告せられ、それからラジオ、
新聞に、
全国にこれが伝わりまして、第一
印象は、
長崎県の
被害は実に僅少なりというような
印象を与えたのでございます。御
承知の
通り長崎県は島又島でございまして、現在におきましても島の
災害の
実情は詳細にまだわか
つておらないような次第でございます。現在まで判明いたしておりますのは約七十億近くにな
つておるのでございます。この点につきまして、実は先月の四日から七日までが第一回の
水害でございました。それから二十五日から三十九日まで、これはこのたびの大
水害でありまして、第一回の
水害のとき、県といたしましては即日
災害救助法を発動いたしまして、
知事の専決によりまして農作物の
被害が甚大でありましたから五千万円を出しまして、
農信連に預託して緊急の
措置をとりますと同時に、
政府に
緊急融資のお願いをいたしたのであります。その際
政府は
福岡県に五千万円、
長崎県に三千万円を御
決定に
なつた。御
決定にはなりましたけれども、その金はなかなか来ない。やつと今月にな
つて来ておるような有様でございます。このたびの二回目の
災害に対しまして八億を土台にされたと思いまするが、
長崎県に僅かに三千万の御
決定であります。これは
県民は八億というその
数字と二千万円の
緊急融資に対して非常な
不満を持
つておるのであります。御
承知の
通りに
朝日新聞、
毎日新聞は
全国に
通信網を張りめぐらしておられます。その
朝日新聞は、このたびの
災害にいち早く飛行機或いはその他を以て詳細に御
調査にな
つたのであります。その後
調査に基きまして両
新聞はこの
被害県に対して
見舞金をお出し下さいました。その
見舞金はどういう
標準かと申しますると、
福岡県が三十万円、
熊本県が三十万円、
佐賀県が二十万円、大分県が十万円、
長崎県が十万円でございます。これは一番正確な御
調査だと思
つております。然るにこの率からいたしますと、
長崎県の僅かに三千万円の査定は何を一体
標準にしておられますかと、私は申上げたのでございます、るが、皆さんどうぞこの点を御留意頂きまして、
大野国務大臣に誰が一体そういう架空な嘘の八億なんていうことを言われたか。それがまだわかりませんけれども、嘘の
報告が東京の
緒方副
総理が
本部長であられます、
対策本部に電話せられたということでございます。これを
基礎にされておると、こう思
つております。一昨日でございましたか、日赤から一千五十万円の配分がされた。それを見てみますると、
長崎には僅かに二十六万円、非常な開きがある。この
新聞によりますると、この
比率は
厚生省の
比率によ
つて定めたと書いてありまするから、
厚生省にそれを聞きますると、そうじやない、と言う。そうい
つたような不公平な、一体どういう
根拠でされたか。そういうものは私は頂戴するわけに行きません。実は
厚生省を通してはつきり御辞退申したような次第でございます。どうぞ
一つこの点を、誰が一体そういう……これは
大野さんの御一行に随行せられましたいわゆる役所の二十名の
諸君の中から出ておるのでございまするが、これを
是非一つ御究明お願いいたしたいと、かように思います。併し前申しましたように
長崎県の
被害は主として地辷りでございます。地辷りは御
調査をなす
つたかたから御
報告なす
つておると思いまするが、
鉄道も埋没せられ、
国道も埋没せられ、とにかく山から流れて来たその下にありまする家、田地、
田畑等は全く影を没しておるような次第でございまするが、これが百八十何カ所に及んでおります。一番ひどか
つたのが今福という北のほうでございます。又南のほうの
島原方面にもこれが及んでおるのでございます。
長崎県といたしまして是非お願いいたしたい点は、今のそういう
根拠のない
資料に基いたところの
緊急融資を
一つ増額して頂きたいというのが一点でございます。それから
平衡交付金を増額して頂きたい。これは
九州の
被害県全体の希望でございます。それからこの機会にお願いいたしたい点は、
災害救助法の
特別臨時措置でございます。これは御
承知の
通りに、その県の
収入の百分の一、
長崎県で申しますると、一千八百万円、即ち十八億の
収入でございまして、百分の一でございます。
福岡県で申しますると六千五百万、この
範囲は県の費用でやらなければならない。これを越えた分に対して、
国庫が半額をなさる。
只今まで
福岡県で恐らく四千万円ほど県費で以て救助しておられると思います。そうすると、今のままだと全部県が負担しなければならないという不合理になると思う。どこの県も財政困難の
折柄でございますから、到底堪え能わざることであると思います。これを千分の一に、即ち
福岡県で申しますると、六百五十万円、
長崎県で申しますると、百八十万円、これを越えた分は
全額国庫で
一つ、非常の場合でございまするから、御
処置願いますようにお願い申したいと、かように思
つておるのでございます。その他資材の増額、こういう点を
是非特別処置をおとり下さいますようにお願い申したいと思うのでございます。前申しましたように、
佐賀県は
長崎県の
被害よりも非常に大きいのでございまするから、
長崎県の稲も
北松方面は非常に流されておりまするが、できるだけこれを節約いたしまして、小学校の生徒に一人が一束ずつ集める運動をいたしまして、又新たに
稲床を設けまして、これを
佐賀県に
只今まで多分十万束ぐらいはお送りいたしておるのだと思
つております。或いは塩、
いりこ等を
佐賀県のほうにやはり県からお送り申して、県でできることはいたしたいと、かように努力いたしておる次第でございます。
ただ御留意頂きたい点は、遠賀川であるとか或いは筑後川であるとか大きな川が流れた。これは国が直轄で全部
復旧工事を着手いたします。
従つてこれは大きく映ります。併し
長崎県或いは
福岡県には小さな川がたくさんございます。その小さな川が寸断されております。その寸断された周囲は同じように
被害を受けておるのでありますが、大きな川は映りますが、そういう小さな川、小さい所は目に映
つてないのであります。併し
幸い参議院から御
派遣の各位におかせられましては、そういう点も詳細に御
調査頂きまして、
長崎県の
被害のありのままの姿を御
報告頂いたそうでございますから、この点を私は深く感謝いたしたいと思うのであります。それから例えば一本の川でございまして川が何カ所も、十カ所も十五カ所も破損をいたしておる。十四、五カ所破損しておりますと、一カ所の
被害が十万円以上でなければ県の
補助の対象にならない。そこで全部が全部全く小さな村でそれをやらなければならんというような今の
法律にな
つておりますから、川一木といたしますれば、何百万或いは何千万円の
被害になるのでございますが、大きなそういう
被害を受けてお
つても現在の
法律によりますると何らの恩典に浴すりることができないというような憾みがございまするから、この点も
一つどうぞ御留意賜りますようにお願い申したいと思います。
重ねて申しますが、前私が例に引きました
朝日新聞、
毎日新聞、これこそ本当の正しい
調査に基いた
数字であると、私はかように考えますから、どうぞ
一つこの点も御
参考に賜りまして、
一つ九州の各
被害県の苦しんでおつりまする
実情をどうぞこの上とも御
同情賜り、一日も早く正常に復することが、復興することができますように御
同情のほどをお願い申し上げます。