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1953-07-09 第16回国会 参議院 水害地緊急対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月九日(木曜日)    午前十一時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     矢嶋 三義君    理事            秋山俊一郎君            阿具根 登君            松浦 清一君            寺本 広作君    委員            小野 義夫君            剱木 亨弘君            重政 庸徳君            谷口弥三郎君            藤野 繁雄君            松岡 平市君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            安部キミ子君            吉田 法晴君            山田 節男君            松浦 定義君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    農 林 大 臣 保利  茂君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室統轄    参事官)    久田 富治君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    農林大臣官房長 渡部 伍良君   説明員    日本銀行政策委    員会委員    三井 武夫君   参考人    長崎県知事   西岡竹次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員選任の件 ○小委員長指名の件 ○水害地緊急対策に関する件 ○第二台風の災害対策に関する件   —————————————
  2. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今から本日の委員会を開会いたします。  お諮り申上げます。昨日本委員会で小委員会を設けることに決定いたしたのでございまするが、各小委員会委員の選定は如何いたしましようか。
  3. 松岡平市

    松岡平市君 私、動議を提出したいと思います。それについて小委員選任及び小委員長の互選は成規の手続を省略して委員長指名せられんことの動議を提出いたします。
  4. 松浦定義

    松浦定義君 私は只今松岡委員動議に賛成いたします。
  5. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ではさよう取計らいます。それでは委員長から小委員並びに小委員長指名をいたします。  建設文部に関する小委員会委員谷口君、剱木君、三浦君、安部君、山田君  農林水産に関する小委員秋山君、重政君、野田君、島村君、松浦定義君、鈴木君  通産運輸通信)に関する小委員小野君、藤野君、河野君、阿具根君、松浦清一君、寺本君  民生厚生地方行政その他)に関する小委員松岡君、西郷君、高野君、林君、吉田君、小松君、加瀬君  以上が小委員でありまして、小委員長は、  建設文部に関する小委員長山田君、農林水産に関する小委員長島村君、通産運輸に関する小委員長寺本君、民生に関する小委員長松浦君、以上のごとく指名いたします。   —————————————
  7. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 次に、昨日の委員会決定に基いて、本委員会参考人として出席を要請してありました西岡長崎県知事がお見えになつていらつしやいますので、西岡長崎県知事から事情を聴取いたしたいと存じます。
  8. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 只今委員長から御紹介頂きました長崎県知事西岡竹次郎でございます。このたびの九州の大水害につきましては参議院におかれましては非常なる御同情を賜りまして、早速慰問調査団を御派遣頂きまして、九州被害県民といたしましては感激感謝に堪えない次第でございます。ここに謹んで厚く御礼申上げる次第でございます。  長崎県もその被害県一つでございまするが、熊本県、福岡県、佐賀県の被害は特に甚大でございまして、その当時全く通信交通も寸断されておつたのでございます。政府から建設大臣、或いは政務次官、或いは局長のかたがたおいで頂きましたが、長崎県には到底おいで頂けるほどすぐに交通は回復いたしませんので、私長崎県からトラツクに乗り、或いは鉄道等により、或いは壊れた橋にぶら下つて佐賀県まで辿り着きまして、鳥栖の駅長室建設大臣にもお目にかかつて実情を申上げたのであります。その際、実は建設大臣その他に長崎県の実情御覧頂きたいという念願を持つて参りましたけれども、併しながら佐賀県、熊本県、福岡県の実情は或いは長崎県以上であるように思われるから私どもは辞退いたしますから、三県をよく御覧頂きまして、長崎県も併せて適切なる処置を早くとつて頂きりますようにということをお願い申上げたのでございます。その後二十日に大野国務大臣本部長となつて対策本部九州を設けて頂いたのでございます。で、実は長崎県の実情を伝うべくお呼び出しを受けたのでございまするが、丁度侍従が御派遣になりまして、私は侍従を御案内申しておりましたために、第一回の今月の一日、一日の午前中に第一回の会合をされましたその際に私は出席ができなかつたのであります。ところがその際、大野国務大臣長崎県の被害はどうだろうかどいうお尋ねがあつたそうですが、どなたか存じませんけれども、長崎県の被害は極く少い。八億七千万だという御発言があつたそうでございます。で、これは全く県からの報告でも何でもない、何を基礎にしてさようなことをされたか、意外千万でございます。今度福岡に参りまして、君の所は被害が少くて八億ぐらいで済んで幸いだつたんじやないかと、こう大野国務大臣から言われまして、それは大変な違いでございまして、お手許に差上げてありまするように、只今判明した分だけでも四十億を越えておるのでございます、ということを申上げたのでありまするが、併しながらその八億が中央のほうに電話を以て報告せられ、それからラジオ、新聞に、全国にこれが伝わりまして、第一印象は、長崎県の被害は実に僅少なりというような印象を与えたのでございます。御承知通り長崎県は島又島でございまして、現在におきましても島の災害実情は詳細にまだわかつておらないような次第でございます。現在まで判明いたしておりますのは約七十億近くになつておるのでございます。この点につきまして、実は先月の四日から七日までが第一回の水害でございました。それから二十五日から三十九日まで、これはこのたびの大水害でありまして、第一回の水害のとき、県といたしましては即日災害救助法を発動いたしまして、知事の専決によりまして農作物の被害が甚大でありましたから五千万円を出しまして、農信連に預託して緊急の措置をとりますと同時に、政府緊急融資のお願いをいたしたのであります。その際政府福岡県に五千万円、長崎県に三千万円を御決定なつた。御決定にはなりましたけれども、その金はなかなか来ない。やつと今月になつて来ておるような有様でございます。このたびの二回目の災害に対しまして八億を土台にされたと思いまするが、長崎県に僅かに三千万の御決定であります。これは県民は八億というその数字と二千万円の緊急融資に対して非常な不満を持つておるのであります。御承知通り朝日新聞毎日新聞全国通信網を張りめぐらしておられます。その朝日新聞は、このたびの災害にいち早く飛行機或いはその他を以て詳細に御調査になつたのであります。その後調査に基きまして両新聞はこの被害県に対して見舞金をお出し下さいました。その見舞金はどういう標準かと申しますると、福岡県が三十万円、熊本県が三十万円、佐賀県が二十万円、大分県が十万円、長崎県が十万円でございます。これは一番正確な御調査だと思つております。然るにこの率からいたしますと、長崎県の僅かに三千万円の査定は何を一体標準にしておられますかと、私は申上げたのでございます、るが、皆さんどうぞこの点を御留意頂きまして、大野国務大臣に誰が一体そういう架空な嘘の八億なんていうことを言われたか。それがまだわかりませんけれども、嘘の報告が東京の緒方総理本部長であられます、対策本部に電話せられたということでございます。これを基礎にされておると、こう思つております。一昨日でございましたか、日赤から一千五十万円の配分がされた。それを見てみますると、長崎には僅かに二十六万円、非常な開きがある。この新聞によりますると、この比率厚生省比率によつて定めたと書いてありまするから、厚生省にそれを聞きますると、そうじやない、と言う。そういつたような不公平な、一体どういう根拠でされたか。そういうものは私は頂戴するわけに行きません。実は厚生省を通してはつきり御辞退申したような次第でございます。どうぞ一つこの点を、誰が一体そういう……これは大野さんの御一行に随行せられましたいわゆる役所の二十名の諸君の中から出ておるのでございまするが、これを是非一つ御究明お願いいたしたいと、かように思います。併し前申しましたように長崎県の被害は主として地辷りでございます。地辷りは御調査をなすつたかたから御報告なすつておると思いまするが、鉄道も埋没せられ、国道も埋没せられ、とにかく山から流れて来たその下にありまする家、田地、田畑等は全く影を没しておるような次第でございまするが、これが百八十何カ所に及んでおります。一番ひどかつたのが今福という北のほうでございます。又南のほうの島原方面にもこれが及んでおるのでございます。  長崎県といたしまして是非お願いいたしたい点は、今のそういう根拠のない資料に基いたところの緊急融資一つ増額して頂きたいというのが一点でございます。それから平衡交付金を増額して頂きたい。これは九州被害県全体の希望でございます。それからこの機会にお願いいたしたい点は、災害救助法特別臨時措置でございます。これは御承知通りに、その県の収入の百分の一、長崎県で申しますると、一千八百万円、即ち十八億の収入でございまして、百分の一でございます。福岡県で申しますると六千五百万、この範囲は県の費用でやらなければならない。これを越えた分に対して、国庫が半額をなさる。只今まで福岡県で恐らく四千万円ほど県費で以て救助しておられると思います。そうすると、今のままだと全部県が負担しなければならないという不合理になると思う。どこの県も財政困難の折柄でございますから、到底堪え能わざることであると思います。これを千分の一に、即ち福岡県で申しますると、六百五十万円、長崎県で申しますると、百八十万円、これを越えた分は全額国庫一つ、非常の場合でございまするから、御処置願いますようにお願い申したいと、かように思つておるのでございます。その他資材の増額、こういう点を是非特別処置をおとり下さいますようにお願い申したいと思うのでございます。前申しましたように、佐賀県は長崎県の被害よりも非常に大きいのでございまするから、長崎県の稲も北松方面は非常に流されておりまするが、できるだけこれを節約いたしまして、小学校の生徒に一人が一束ずつ集める運動をいたしまして、又新たに稲床を設けまして、これを佐賀県に只今まで多分十万束ぐらいはお送りいたしておるのだと思つております。或いは塩、いりこ等佐賀県のほうにやはり県からお送り申して、県でできることはいたしたいと、かように努力いたしておる次第でございます。  ただ御留意頂きたい点は、遠賀川であるとか或いは筑後川であるとか大きな川が流れた。これは国が直轄で全部復旧工事を着手いたします。従つてこれは大きく映ります。併し長崎県或いは福岡県には小さな川がたくさんございます。その小さな川が寸断されております。その寸断された周囲は同じように被害を受けておるのでありますが、大きな川は映りますが、そういう小さな川、小さい所は目に映つてないのであります。併し幸い参議院から御派遣の各位におかせられましては、そういう点も詳細に御調査頂きまして、長崎県の被害のありのままの姿を御報告頂いたそうでございますから、この点を私は深く感謝いたしたいと思うのであります。それから例えば一本の川でございまして川が何カ所も、十カ所も十五カ所も破損をいたしておる。十四、五カ所破損しておりますと、一カ所の被害が十万円以上でなければ県の補助の対象にならない。そこで全部が全部全く小さな村でそれをやらなければならんというような今の法律になつておりますから、川一木といたしますれば、何百万或いは何千万円の被害になるのでございますが、大きなそういう被害を受けておつても現在の法律によりますると何らの恩典に浴すりることができないというような憾みがございまするから、この点も一つどうぞ御留意賜りますようにお願い申したいと思います。  重ねて申しますが、前私が例に引きました朝日新聞毎日新聞、これこそ本当の正しい調査に基いた数字であると、私はかように考えますから、どうぞ一つこの点も御参考に賜りまして、一つ九州の各被害県の苦しんでおつりまする実情をどうぞこの上とも御同情賜り、一日も早く正常に復することが、復興することができますように御同情のほどをお願い申し上げます。
  9. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 折角お見えになつておりますので、質疑のあるかたは願います。
  10. 阿具根登

    ○阿具根登君 知事さんにお尋ねいたしますが、今度の水害で大変御心配だつたと思いますが、中央でも御覧のように参議院のほうでも毎日会議を開いておりますが、只今非常に御不満のような声がありましたので、三千万円の問題は別といたしまして、現神私たち政府から聞いております答弁では、二十億の繋ぎ融資を出しておるから現地市町村は大丈夫だと、こういうふうなことを聞いておるわけでございます。ところが私たちは、例えば衆議院から派遣せられておるかたがたの情報を聞いておりますと、もう市町村復旧事業に従事しておる人夫の賃金さえも払えない。而も罹災者懐中無一文で途方にくれておる。人心が非常に不安であると、こういうことを聞いておる。政府の言うこととそれから現地に行かれた議員の言葉を聞いてみると非常に大きな差があるわけであります。政府のほうでは必要に応じては直ちに出す。併し今はそこまで必要でない、こういうことを言つておられますので、それで今度もこの委員会でも知事さんに来て頂いて実情を聞こう、こういうことになつたのでありますが、まだもらえないのじやないか、長崎県としてはどうですか。現金が県にありまして、市町村にありまして、そうして今緊急対策に間に合つておるかどうか、これをはつきりしたいと思います。
  11. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 長崎県のことを申上げます。私冒頭に申上げましたように、今度の被害は一回、二回に及んりでおります。第一回の時、県は即日五千万円を提出いたしまして、農信連に預託いたしまして向うの書類がまだできないかまだできないかと実は催促いたして金を渡したわけでございます。ところが同時に政府緊急要請を求めたところが、福岡県五千万円、長崎県二千万円を御決定なつた。三千万円では足らないから五千万円お願いしたいと私は大蔵大臣電報を打ちました。そこでこれは当然渡されておると私は信じておりました。ところが福岡に今月一日に行つてみましたところが総務部長に三千万円はどういうふうに配分したかと聞くと、まだ来ていませんというわけです。そんな馬鹿なとはない。大蔵当局おいでになつておられたから聞いてみようと言つて聞かせました。そうしましたら、まだわからん。それじやわからなければ中央に聞いてみてくれ。電報でお聞きしてみましたところ、やはりまだ配分していな心ということであります。いつできるかと申しましたが、それから二日くらいしてから多分配分されたと思います。そういう緊急なものを政府は成るほどおきめになつたか知りませんけれども、実際金を出されていないんじや、画に描いたぼた餅に過ぎない。これは先ほど御指摘のあつた通り、非常に困つております。金がございません。衆議院の御報告通りだと承わつております。長崎県に関してそうなつております。ほかもそうだと私は推察いたします。
  12. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の三千万円の金が非常に遅かつたから困つておるというようなお言葉でしたが、この三千万円が長崎に来たあとで緊急な対策、いわゆる罹災者が一文も金を持つておらずに路頭に迷つておる、或いは村なんかでそういう小さい川の堤防が切れたのに人夫を使つておる、その金も払えないというような実情があるかどうか。
  13. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) その点につきましては、県で前申しました通り、適宜の措置をとつて間に合せております。いずれ政府から措置があるだろうと思います。長崎県に関しましてはさほどでございません。それでも困つておる。
  14. 阿具根登

    ○阿具根登君 それではこれはもうお困りになつておることはわかります。ここで私がお尋ねしておりますのは、今差当り恒久対策とか何とかでなくて、とにかくそういう金額の多寡を言うのでなく、今つかみ金がなければ民心に大きな不安を与えるということであるならば、二十億がもつと殖えなきやならん、こういうようなことを聞いておりますのですが、今知事さんの御言葉を聞いておりますと、当面の知事さんの言葉であるから、恐らく誇張して言われている、低目にはおつしやらないと思う。そうすると県で賄つてつて、今の三千万円で今のところはやつて行ける、こういうことにお聞きしてよろしうございますね。
  15. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) そうじやございません。そんなものじや足りはしません。或いは御質問趣旨が、私が答えた点があれかも知れませんが、三千万円や五千万円、一億円じやどうすることもできません。ここにちよつと地図がございますが、国道も潰れております。それから鉄道も潰れております。どうしていいか手がつけられない。交通は遮断されております。物を送るにも困る。手がつけられない。その点につきまして私が申しましたのは、そういつたものはなにはいたしておりますが、それじや到底やつていけない。又三千万円や五千万円、これでよければ決して不満はお述べいたしません。
  16. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちよつと感違いしておられる。私の質問が悪いかも知れないけれども、三千万円で終るというんじやなく、そういう問題が今、本委員会でも小委員会に分けて頂いて、建設建設厚生厚生、又通産通産でそういう点は今から研究して考えて行くわけなんですが、差当り今金がなければどうにもできない。どうもこうも手がつけられないんだ、こういうことがありはしませんかということを言つたわけなんです。
  17. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) ございます。殆んど全部がそうだと言つてもいい、今の御質問趣旨に対しては。
  18. 松浦清一

    松浦清一君 今のに関連して、大体今度の水害のことに関係しておる県では大変困つておるという実情は今までの調査行つた人たち報告、それから政府側もそういうことによつてこれはこの委員会としても了解しておるわけです。非常に困つておるだろうという概念的な問題については了解しておる。併し総体で、政府から出した資料によると、一昨日までで一千七十億円の損害であるという数字が出ておる。その前のときにどこから出たか知りませんけれども、千二百億円ほどの損害である、こういうふうなことで、どの県についても損害の額というものはまだわからない。はつきりしたことはわからない。特に長崎県も只今お話がございましたように、七十億円の被害であると、こうおつしやつたようです。その被害全体を国会がはつきりとこれを把握して、そしてとれを復旧するために国が現在の法律でどのくらいの補助をやることができるか。府県及び市町村で自力でどれだけのことができるか。それから県民全体の力でどのくらいそれを復旧する能力があるか。こういうことを具体的に判定して頂かなければならん。現在の法律で国や地方の自治体がやつてもなお且つ復旧ができないという場合には、これも私個人の考えですけれども、特別の災害復旧臨時措置法律でも作つてこれはやらなければならん、こう考えておるわけなんです。そこに行くまでの間に今日食うものがない、今日着るものがない、今日寝る家がない、それから苗を作つて田植をしなければならんのに、若し何々川の堤防は今急速に復旧して置かなければ、もう一度雨が降つたら又洪水が氾濫して田植もできないという状態になつて来る。こういう応急中の応急施策を当面訓じなければならんということいが問題になつておる。その困つておる程度の具体性を我々はつかまなければならん、こういうことなんです。長崎県の七十億の被害があるということをそのまま我々が呑むとしても、何々川が早くこれだけ金をかけて堤防復旧工事をやらなかつた田植にも何にもならん、こういうことは何々川のどういう所でどの橋の復旧をしなければ県民全体の交通に困るのみならず、生活全体にとつて非常に大きな支障がある、こういう具体的な問題、何町の、或いは何村の流失家屋はこれだけ早く応急措置を講じなければどうにもならんものであるというような具体的な実例を、今つかみ金を持つて行かなければ処置に困つておるようなところはないか、こういうことを尋ねているわけなんです。僕はそれを聞きたいのです。
  19. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) よくわかりましてございます。丁度今から三日前かと思いますが、小浜という所がございまして、そこにやはりこういうふうに波がやつて来まして、こういつたような恰好で来ますので、これが山といたしますとここにずつとひびが入りまして、それからそこに水が溜つてずつと行つております。そこに新たな波が来る、こういうことが丁度衆議院の松永さんあたりおいでになる前に現われて参りました。どうも落ちそうでございます。その下には十軒の旅館がある。これを即刻取払わなければ危険でございます。それを取払うについては一体本人たちはどうするか。本人たちでの取払いはできないでしよう、金がないから。併しこういうことをどうして下さるかということは、国としては法律はございませんから……。例えば今申しましたそういうことはやはりしよつちゆうございます。それからさつき御指摘のありました川は、これはできるだけ応急の、何といいますか、俵を積んでおるというようなことをやつております。それから今日食うに困るというのには、災害救助法その他でしよつちゆう県で、長崎県ばかりでなく、ほかの県でもやつております。で、全部がやられますと、長崎県は何でも今の地辷りだけでも百八七何カ所ございます。これも一昨日私の発ちます日で、丁度大野国務大臣実情御覧なつた時でございます。ここもやはり千メートルほどに亘つて墜落しておる。これがどうもひどい。だから約六百軒に対して、何といいますか、警告を発しております。待避しろという警告を発しておる。それではどこに入る家がございますか。早く造らなければならない。その金が差当つてございません。これらの諸君は政治を離れることになる虞れがある。その後併し電報が来ませんから静まつているかも知れませんが、とにかく動き出しておる。この実情大野国務大臣おいでになる前の日あたりから起つた。実際にはそういう点でございます。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 そういう関係災害というものは関係県全部にやはりあると思うのですね。我々問題にしているのは、そういう応急災害措置をしなければならない、忽ちの措置をしなければならない金がどうにかこうにか間に合つて行くのか。今の何千万円かもらわなければどうにもならんという、そういうことになつているのかということを結論的に聞きたいのですよ。例えば今のそれをやらなければならんが、三千万円もらえばどうにかこうにかそれで間に合つて行くのか。或いはもう何千万円かもらわなければ今日明日過ごせんのかという、そういう実情であるのかということを聞きたいのですよ。
  21. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 実例只今御説明申上げましたように、今の五、六百軒の諸君はどこかに家を造つてやらなければならん。或いは一時の避難所でも造つてやらなければならんが、その金が差当つてございません。それからその避難いたしました諸君は一時学校に収容いたしております。で、それらの諸君に炊き出しをやつております。災害救助法範囲内でこれらの諸君のどこかにバラツクを造らなければならん。そういう家を造るなには現在の法律ではできていないようでございます。こういうところに対しましても臨時措置法の一つ御考慮をお願いいたした、かように考えておりますと共に、こういう費用が差当つてないのでございます。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 差当つて応急措置をするのに、まあこれは伺うだけにするかも知れませんが、一体長崎県にはどの程度の金が措置されれば応急措置はできる予定なんですか。
  23. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 今の緊急措置をいたすためのあれですか。少くとも三億ほど頂戴いたさなければそういう措置はとれないだろう。私は今細かな数字はわかりませんでございます。
  24. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今西岡知事からお話があつた三千万円というのは問題が二つあつて、第一回と第二回とであつて、第一回の場合がそれだけであつたということであつて、第二回の問題と切り離しておる、こう考えておるが間違いありませんか。
  25. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) そうです。
  26. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますと第一回のは三千万円、県から五千万円を農信連に預託をされて、そうしてそれに対して三千万円がやつて来たからどうやら第一回分はそれで間に合う、こういうふうなことになるのでございますか。
  27. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 実はその第一回の三千万円すら先月末まで金が来ない。掛け声はあつたけれども金が来ていない。そこで困つておるというわけです。それで処置ができておりません。
  28. 島村軍次

    島村軍次君 そこで只今松浦さんのお話のように、本委員会でポイントになるところは、要するに応急資金の総額が一体政府の考えておる通りでいいのか。或いは地元のほうはそれで足らんのかということが問題の中心だと思う。そこで長崎県で今配付されましたのが三千万円、それから所要額は三億、こういう話であります。政府の答弁によりますと、応急措置はいわゆる繋ぎ資金で土木、農地その他に要する金だ。それが三千万円だと思いますが、そのほかに或いは銀行を通じ、或いは国民金融公庫を通じ、或いは農林中央金庫を通じてそれぞれ手配しておる。その額を合せてみますと現在長崎県で、さような政府でとられた措置による金額は知事は全部数字は覚えておいでにならんかも知れませんが、それと三億との間の差額についてどういうことなんですか。その点ちよつと伺います。
  29. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 今の三千万円は、第一回が三千万円、六月四日から七日までの被害、それから六月二十五日から二十九日までの分に対しまして三千万円と二千万円、五千万円の緊急融資がきまつておるわけです。国民金融公庫その他につきましては、まだ長崎県に対しましては、長崎県から五億ほどの要求をいたしておりますけれども、まだ確定の御通知を受けておりません。一つも御査定がございません。
  30. 島村軍次

    島村軍次君 そこで金融公庫のお話がありましたが……。
  31. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) それは受けておりません。要求は五億いたしております。住宅金融公庫とかそういうものを合計いたしまして五億要求を県としてはいたしておりますが、これに対して御査定がございません。
  32. 島村軍次

    島村軍次君 問題を分けて考えます。こんがらがつては困ると思いますからもう一回分けてお尋ねしてみたいと思います。それはいわゆる緊急融資政府の十億プラス十億の二十億に対する所要額が、今配付されております金に対する不足額が何ぼということは御計算になつておりますかどうか。
  33. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 私が三億と申しましたのは、だから五千万円頂いておりまするから、あと二億五千万円ほど緊急融資をして頂きたいと。先ほどの金融公庫であるとか或いは住宅金庫には五億円の要求を別にいたしております。
  34. 島村軍次

    島村軍次君 金融公庫のお話はそれでわかりましたが、そのほか銀行に対して指定預金をするとか、災害救助についてのたしか二億九千万円以下でしたか、そういう金がそれぞれの各省から現在の法制の許される範囲において資金が出ておるばかりでなく、指定預金であるとか或いは只今お話の金融公庫であるとかというもので別途の資金の手当をしたので、差当りは現在の二十億で足りる、こういうふうな大蔵大臣の先般御答弁があつたわけですが、それに対して只今お話通り約三億のものに対して五千万円であるからあと二億五千万円というものを更に追加希望をする、こう考えていいのか。例えば只今お話のような崖の崩れというようなものに対しては、今の施設としてはなかなか出せないので、そこで銀行なり或いは金融公庫等の特別融資、の施設でそういうものを貸付けて信用上差支えない、こういうものに対してはその措置が講じられていると思うんです。そういう問題に対してそれらを合せて二億五千万円でいいのか。或いは応急施設そのものだけについて二億五千万円要するのか。こういうことをちよつとはつきり…。
  35. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) それは別でございます。それは農林中金は農村の問題に対してそれぞれ必要でございますし、中小工業のほうはそれぞれ必要でございます。併し政府はただそういうことを知らされただけでございまして、まだそれをなかなか実際金を手に入れるということは、これは御承知通り容易じやない。現に政府が三千万円の緊急融資をすると言つて、そういう通知はいたしておきながら、一カ月も現金を渡さんのです。いわんやそういつたような金融公庫などが果して、こつちは五億円要求いたしておりますけれども、然らば長崎県に幾らする、こうするということはまだ御通知を受けておりません。それからもう一つ附加えておきたいと思いますことは、政府のおつしやる公共事業、いわゆる別申しましたように、一本の川で十万円以上でなければ公共事業の対象にならん。遠賀川とか或いは筑後川のごときはそれ自身が何十億になります。小さな川はもう十万円以上というようなのは殆んど……一本の川全体を計算いたしますなれば何百万円になりますけれども、それは政府のいう公共事業の対象にならない。そういうことを緊急にやりたい。そのためにはどうしても少なくとも三億なければやつて行けんと、かように申上げる次第でございます。
  36. 小野義夫

    小野義夫君 ちよつと速記をとめて、懇談的にもう少し真相を承わりたいのですが、どうですか、ちよつと速記をとめて頂けますか。
  37. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  38. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。では、私から、長くなつて恐れ入りますけれども、若干お伺いいたしたいと思いますが、政府緊急対策として福岡に西日本水害対策本部を設け、内閣に西日本水害総合対策中央本部なるものを設けておるわけでございますが、被害県知事さんとして、こういう本部の行政執行状況について何がお気付の点なり御希望の点がありましたら、一つ要点だけ……。
  39. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 政府が間髪を入れず中央対策本部を設けられ、現地対策本部を設けられましたことは非常にこれは適宜の処置であつたと、たとえその例は少くとも人心を安定せしむるに非常な効果があつたと、私はかように考えましてございます。これはもう福岡対策を設けて心配要らん、やるのだという掛け声を非常に混乱しております際に出して頂きましたことは大きな収穫だと思つております。併しその後における財政措置等につきましては非常な不満を持つております。第一は、一体何を標準にあの第一回の割当をなさつたんでしようかと申上げたいのです。例えばあれは大野さんは二十日お着きになりました。そうして七月一日に中央からどこが幾ら、どこが幾ら、長崎県は三千万円という割当が来ましたが、何を一体基礎にされたのか。何を標準にして知りもしないただ……各県から出したその数字を土台にして一体なさつたのか。その意味から行きまして、長崎県を八億というふうにべら棒に少い数字を出された。恐らくこれを根拠にして三千万円をきめられたと思うのですが、そういう恐らく総額をきめて、そうして福岡現地対策本部がある以上は、現地の司令官である大野国務大臣に配分は任して然るべきではないかと、こう思うのであります。而してあそこに二十人くらいの大野さんは幕僚を連れておいでなつた。その幕僚は例えば長崎県にはどなたも一人も実地を御覧になつていない。御覧になつたの大野国務大臣だけでございます。それから侍従、それから参議院の慰問団のかた、それから衆議院の方々、何を一体基礎にしてそういう数字が生れて来たのかと私は言いたい。非常に私は適切な処置であつた、非常に人心の安定に貢献したと、こう固く信じますが、併しながらそれからとられたところのいろいろな処置に対しては非常な不満を持つております。殊に長崎県民は八億という数字と、三千万円という少額な決定に対して非常な不満を持つておるのであります。
  40. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 続いてお尋ねいたしたいのですが、実は知事さんは恐らく東京においでになつて中央対策本部本部長である緒方総理にもお会いになつたと思いますが、実は現地大野国務相の一幕僚も帰つて来たわけで、そうして本委員会へその帰つて来た事務官、それから大蔵大臣緒方本部長出席を求めて、委員諸君に質して頂いたところが、大野国務相は現在の処置で十分だと認定している。そういうことを事務官までが言うし、大蔵大臣はこの席で大野国務相は今のなにで満足しているのだ、こういう発言をした。そこで委員長はそれを詰問いたしましたところが、あとで大野国務相が、了承していると訂正して欲しいといつて、速記録を訂正した。緒方本部長もそういうことを言つているわけなのです。そこで参議院の慰問視察団と余りに懸隔がありますので、現在の政府の視察というものがどの程度浸透し、被災県の皆様方の御期待に副いつつあるのか、その事情を承わりたいために御足労を煩わした次第なのでありますが、今承わりますと、随分食い違いがあると思うのです。そこで実は本委員会としても自治庁を呼びまして、自治庁のほうに被害県の財政状況はどうなのかと、一つ突込んで言つたのですが、自治庁当局もまだつかめないと言つて、どのくらい長崎県は財政的に困つているので、どのくらいの措置をしなければならないということの数字を示さない。そこで私どもが損失額を今伺えれば結構ですし、今でなかつたならばできるだけ近い機会につかみたい。これは例えば地方税が減収になりましよう、それがどのくらいになるのか。それから災害救助法を適用したのは何人、或いは現在は何人に適用したか。その金額は幾ら使つておるか。それから今度の災害で書類を頂きましたが、損害が幾ら、そのうちの国庫負担が幾らで、地方負担が幾ら、それを三五二比率復旧するにしても幾ら要る。殊に応急的にどの程度要る。現在まで災害復旧に金をどれだけ使つて来たかという最新のデータ、そういうものが御提示願えれば、それを以て現在の政府の考え方を委員会としては改めさせなければ、皆さんがた被害県の御期待に副えないというふうに委員長としては考えるのですが、如何ですか。
  41. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 御尤な委員長質問であります。そういう細部に亘ります数字は私心得ておりませんから御猶予を頂きまして、何分違うございますから、暫らく御猶予を頂きまして御提出いたすことにいたします。
  42. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私遅れて誠に申訳なかつたのですが、だんだん伺つておりまして、結論的に聞きたいのです。それは知事さんが先ほど言つておるように、例えば河川の補助の問題についても、農地の補助の問題についても、一定の十五万とか、そういう限度以上のものは今日対象になるけれども、そうでないものがある。そこで知事さんとしては、当然それが原因となつて、そこで田畑もできない。そこから水が漏れるならば、何としても応急措置をしなければならない。そこでそれも今委員長がお尋ねして細かにされましたが、その数字をことごとく調べて、恐らく現地へ行つても集まつていない程度であろうと思うのですが、そこで私ども視察をさしてもらつた一人として感じたのは、今日知事さんに対して最小限度のとにかく金を、現なまを与えて、そうしてそれを或るものは公共事業の見返り、或いは繋ぎとし、或るものは起債で将来賄えることになるかも知れないが、それとし、或るものは県単独の要するに何か措置の対象とするといつたような、あとでそれぞれの金についての内容を整理いたしまして行くことは勿論だけれども、差当りいわゆる俗な言葉で言うならば、つかみ金的なものを責任を以て、良識を以て運用するなら、先ず欲しいというのが私は現状じやないか。こういうことから先ほど委員長が言われたように、この委員会としては先ず最初にそれにかかつたのですが、いろいろと地方財政平衡交付金が、あなたの県でいえば分担金を入れて二億二千万円である。その他先ほど同僚委員が言われておるように、国庫余裕金も機関を通じて与えるとか、又或いは災害救助については最近四億五十万ばかりの認可をしたとかいうのです。例えば四億五十万円の災害補助によるやつを出したとしても、県の負担になるその四億八千万という分は一体どうなつている。そこでだんだんやつて参りますと、枠が欲しいのだろうと、こういうのです。金はあるはずだというのです。こういう見方もできようと思いますが、端的に言つて、金そのものが納税期の関係等も考えて、県町村一体の枠という問題なのか。例えば補助対象を拡げろという枠の問題なのか。それはあとあととしていいから、とにかく今日今早急最小限度復旧しなければいけない金なんだ、手許の金なんだというのか、端的ですけれどもその点を一つ特にお聞きしたい。
  43. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 大変御尤もな御質問ですが、いわば両方して頂けたら一番結構だと思います。実際本当におつしやる通りもう危いのです。家は今少しも早く移転しなければ人命に関する、併し移転しようがございません。併しその金は、枠を頂いておりましたらその枠の範囲でやつて、あとでその市の起債に切替える方法もございましよう。枠をはつきりして頂いてもよろしうございます。特に現金を頂けばなお結構でございますが、どちらでもいいですけれども、とにかく早く、手つとり早くお願いしたい、こういうふうに思います。今は家の例でございましたけれども、やはり河川も同様でございます。早くしたい、早くするには金がやはりない、こういうわけです。
  44. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると、枠があれば金は何とかなる。なるならないは、金は全然なくてもしなければならないのだから何とかできる。つまり枠だ、その面から言えば枠だというふうにも聞えるのですが、勿論知事さんの言われるように、枠と金が行くことが最も望ましいのでありまして、それが早急に行くことが最も希望であると言われることはわかるのですけれども、それじや枠という問題になりますと、今知事さん自身もお話になられた従来の補助対象との関連が出て参りますので、そこで重ねて伺いたいのですけれども、今の金の問題だということになれば、命の問題はあとで整理ができるというか、或いは結局整理には極めて端的にいつて困難なこの際の出費のことですから、良識を以ち、十分監督をやつても、相当いわゆるボス的なものが入つて収拾整理に混乱をしてしまつて、希望するけれども、全面的にそちらへやらせることであるから心配な点があるのだ、あけすけにいえば、こういうふうにお考えになられますかどうか、その点を一つ
  45. 西岡竹次郎

    参考人西岡竹次郎君) 御指摘のような心配もあるかも知れませんけれども、併しながら今日そういう心配があるからといつて、何もかもなくなつてしまつた人間に早く生業資金を与えて仕事をさせるように、何としてもそういう心配があつても、この際は県としてはしなければならない、そこでおすがり申しておるような次第であります。
  46. 小野義夫

    小野義夫君 勝手に知事さんに、招集というと語弊があるかも知れませんが、御出頭願うことに電報つたのですね。
  47. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 先ほど報告いたしました。今日決定いたしております。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  48. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。  お諮りいたします。本日のこれからの本委員会の運営でございますが、本委員会の開会のときに申上げましたように、二時から予算委員室で災害地のフイルムの映写がありますので、次のごとく取計らいたいと思います。それは昨日第二号台風を取扱つたのでございますが、質疑を本日に持越しております。本日関係政府委員出席を要求したのでございますが、極めて出席悪く、出て参りませんので、次のごとく考えております。即ち二時から映画を見て、それから三時に委員会を開会し、第二号台風に対する本委員会の結論を出して、三時半に緒方総理、小笠原大蔵大臣それから保利農林大臣の本委員会への御出席参議院規則に基いて要求いたしたい。こういうふうに委員会を運営するために、只今から二時まで本委員会を休憩いたしたいと、こう思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ではさよう取計らいます。  休憩いたします。    午後零時四十二分休憩    —————・—————    午後三時三十二分開会
  50. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 再会いたします。  先日中央本部に提出方を要求しておりました西日本水害被害総額総括表の提示がありましたので、只今から久田参事官の説明を聴取いたします。
  51. 久田富治

    政府委員(久田富治君) 昨日当委員会におかれまして、私どものほうから提出申上げました西日本水害被害総額総括表の不備な点を御指摘頂きました。つきましては、その後その不備な点を各省関係個所に照会いたしましてまとめて参つたものでございます。大変約束の時間が遅れまして申訳ございません。只今から昨日提示いたしました資料と、本日御手許に配付申上げました資料につきまして、特に変りました点に重点を置きまして、御説明申上げて行きたいと存じます。  一番上の総括表につきましては、金額は多少変つておりますが、新たに項目といたしまして第九番の厚生関係施設というのが四十億八千九百五十六万六千円入つております。これは厚生省所管の精神病床、保健所、結核療養所或いは各種の衛生研究所、検疫所、まあそういうような、うしろから二枚目に出してございます細目の厚生省所管の施設関係被害額総額をまとめた分でございます。この一つの項目が追加されております。一頁で変りました点はそういう点でございます。  それから第二頁目に参りまして、西日本水害県別被害額表というのがございます。これは当委員会の御要求に基きまして、総括表の項目の中で県別にでき得るものだけを坂上げまして、それを県別に整理いたしましたものでございます。従いまして昨日の表にはございません新らしい表でございます。一番最初に学校施設関係、こういうふうに書いてございますが、これは国立学校、公立学校、社会教育施設、文化財、例えば文化財として指定されております建造物とか天然記念物、こういうものの被害の金額を県別に割つたものでございます。総額といたしまして三十億八千八百九十五万三千円というようになつております。総括表の第一表の第一項目、これを県別に分けたものでございます。なお一番右側に、非常に小さい字で申訳ございませんが、経費負担関係と書いてございます。これにつきまして申上げてみますと、国立学校については、当然のことといたしまして国庫でございます。公立学校及び社会教育施設、例えば地方の公民館とか図書館というようなものでございますが、そういうものにつきましては、地方公共団体。それから文化財、文化財の中で建造物は七〇%、天然記念物につきましては五〇%の国庫負担、こういうふうに註がございます。これの法的根拠といたしましては、地方財政法及び文化財保護法、こういうようになつております。ただこのパーセンテージにつきましては、法文上の根拠はございませんので、ただ予算的措置ということになつております。  それから次の項目、農地関係と書いてございます。それから入植施設関係、山林関係水産関係、こういうようになつております。これも第一頁の総括の農林省の所管事項の項目の中で大きな項目四つを県別に割つたものでございます。それでこの種の施設の被害につきましては、経費の負担につきましては、法律根拠といたしまして、次の次の頁をめくつて頂きますと、(2)と書いてございまして、農林水産業施設関係被害額(農林省)二十八年七月八日現在、これに書いてございます。これの一番右側の経費負担関係、この中に書いてございます法律でございまして、その名前は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、こういう長い名前の法律によつて国の補助率がきまつておるものでございます。農地及び入植施設につきましては五〇%、農業用施設につきましては六五%、治山施設につきましては六六%、林道施設につきましては五六%、漁港施設につきまして七五%、その他は地方公共団体又は協同組合等の団体、こういうことになつておるものでございます。その要点がこの県別被害額表という中の右側の経費負担関係、この枠の小さい中に書いてございます。  その次の地方公共団体と書いてございますが、これとその次の都市の災害、括弧してございます。街路及び水利、橋梁、公園、いわゆる単独工事でございますが、これにつきましては、基礎の法規は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、こういう、これも長い名前の法律で、公共土木施設に関しまして特別に国庫負担をきめた法律に基きまして、国の補助率をきめているのでございます。その細目が経費負担関係の右の欄に書いてございます。  その次、建物と書いてございますが、これは建設関係被害といたしまして建物をもともと建物の被害全体につきましては、国警本部の調べ、この調べの数字建設省のほうで推算しまして、被害金額九十二億六百六十三万円といたしている数字でございますが、これの経費負担関係といたしましては、今法的に根拠のございますのは、公営住宅法による災害の場合の第二種公営住宅、この第二種公営住宅に対する国庫補助率が三分の二というふうにきまつたものだけでございます。  その次が厚生省関係でございますが、これは厚生省関係の各種地方の病院施設、そういう施設でございまして、これにつきましては、災害関係に対して特別な法律があるというわけじやなくて、いろいろその施設をきめております平常の法律に基きまして国庫補助をきめているのでございます。この表につきましては大体そういうことでございまして、以下に書いてございます註は私が説明申上げました中に大体含んでいるつもりでございます。  その次の文部関係の学校施設関係被害額というように出してございますが、これは学校施設関係を県別に並べましたのと、それから昨日新たに附加えました社会教育施設三億九千百十七万円、地方公共団体負担というように書いてございます。それから文化財関係といたしまして五千七百五十万円、こういうように新らしく本日の資料に追加しているのでございます。  その次の第二の項目でございますが、農林水産施設関係被害額というのでございますが、これにつきましては金額そのものは昨日お手許に配付いたしました資料とは変つておりません。ただ昨日御指摘頂きました施設の被害でなくて農作物、できた物、そういうものの被害、苗代の流れたものの被害、そういうものを調べろというお話でございますが、農林省のほうに厳重に督促いたしましたけれども、なおこれは詳細調査中だということで、今のところ出しにくいということでございます。それからその次に水産関係の漁港施設以外の判明いたしましたものといたしまして、共同施設といたしまして一億六百七十五万円、養殖施設といたしまして千九十五万円、漁船といたしまして二億四千八百六十五万一千円、漁具といたしまして五千九百十四方二千円、養殖物、貝の養殖とかそういうものでございますが、これは六億五千二百三十一万七千円、それからいろいろ魚の製品でございますが、それが六千三百二十五万円、合計いたしまして十一億四千百六万円というようになつております。これは昨日の表に追加いたしました分でございます。これは農林水産関係の総括表でございまして、あと一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、これはその総括表の内訳を書いてある分でございます。
  52. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今久田事務官からのこの資料の説明中でありますが、衆議院の予算委員会を外されて只今小笠原大蔵大臣が当委員会出席されたので、大蔵大臣に質疑のあるかたは質疑を願いたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) さように取計らいます。久田事務官の説明は後刻聴取することにいたします。質疑のあるかたは願います。
  54. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 これは台風二号をやられるのですか。或いは西日本だけをやられるのですか。
  55. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 先ず二号をやり、それと同時に一昨日から問題になつている点についても大蔵大臣に質して頂きたいと思います。
  56. 阿具根登

    ○阿具根登君 二号はまだ資料をもらつておらんのですが、二号はあとで又何かまとまつた資料をもらうのでしよう。それよりも今朝ほどやつた長崎県知事との話の問題に関連して御質問したいと思うのですが。
  57. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 結構です。
  58. 阿具根登

    ○阿具根登君 大蔵大臣に御質問申上げますが、この前大蔵大臣の話では一応二十億送つているからそう現場では困つておらんだろう。又現場で困るような実情があつたならばいつでも送れるのだ。査定はしておらないからいつでも送れるということを言つてつたのでございますが、今朝ほど長崎県知事報告を聞いたり、或いは地方からの要請を聞いて見ますと、現在地方では救済事業或いは土木工事等に働いている人夫の工賃さへ現金がなくて払えない。而も被災者は全くの無一文でそうして途方にくれている、人心が非常に不安である、こういうことまで衆議院のほうで言われているようでありますが、これに対してまだ二、三日前のように二十億で十分足りているのだと、こういうようにお考えであるのか。もう直ちに送らねばならんというように考えておられるのか。どうも政府で言われることは非常に楽観視しでいるようであり、地方から我々が聞くことは非常に逼迫しておるように聞くのですが、その点大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  59. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 繋ぎ融資として最初に決定しました千億、次に決定しました十億、合計三十億のことは過日申上げた通りでありますが、更に十億要るということがありますれば、今後必要があればすぐ追加する用意をいたしております。但し私のほうで一昨日聞いたところでは、まだそれほどの必要がなかつたように聞いておりますが、本日大野国務大臣が帰つて参りますから帰つて参りまして必要であるということでありますれば、即時これを追加することにいたします。但しちよつと申上げておきますが、実はこれは繋ぎ融資という分は、建設関係とか、農林関係の公共土木事業費とかいうものが対象になつているのであります。それ以外でも実は商工業者のかたや炭鉱関係のかたに入用がありますので、こういう繋ぎ融資のほかに、過日も申上げましたように、十五億円政府の資金を預託いたしましてこれらの金融に便宜している次第でございます。そのほかに過日も申上げましたように、直轄河川の災害復旧費六億出しておりますし、それから又災害救助費についても先ず約三億円出しましたほか、本日四億円奥に出すことにいたしましたので、私どもはそういうふうに思つておりませんが、併し繰返し申しますが、必要がありますればいつでも追加して支出する用意をいたしております。
  60. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の災害救助関係二億九千万円、約三億ということを言つておられますが、そのほかに今四億、こういうお話……。
  61. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) さようでございます。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 この間承わりましたのは、四億の中に二億九千万円が入つておるというような御説明でしたが、三億のほかに四億と承わりました。ほかでありますのか、うちでありますのか。ほかに四億ということであれば、それで大体用意ができて大変結構だと思います。
  63. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと私の答弁が……実はこの間の二億九千八百万は、これも災害救助費の繋ぎとして出しましたので、本日正式に手続として予備金より四億出す。従いましてこの繋ぎになつておる二億九千万円はそれだけ減るわけでございますが、四億円を本日決定して出すことになりました。ですから災害の予備費から出るのは四億円でございます。
  64. 吉田法晴

    吉田法晴君 それからもう一つ、従来承わりました答弁の中に、これは本部とそれから大蔵省との答弁の間に若干の、まあ言い廻しが違うかも知れませんが、それは今大蔵大臣の説明に関連いたしますと、例えば政府資金を預託した、ところがこの預託された政府資金は、恐らく大企業には役立つかも知れませんが、中小企業或いは農民等にはなかなか縁の薄い金だと思います。そこで国民金融公庫なり、その他の商工中金等についても一応融資せられましたように聞いて参りましたのですが、その中で国民金融公庫に六億というお話と、それから六億乃至十億という大蔵省のお話、それだけ食い違いがございます。そこで私どもは、今中央で私どもなり或いは政府がなし得る措置は、この金融の途をつけてやることに重点があると考える。その幅を拡げてもらうことに重点を置いているわけです。国民金融公庫に六億というのじやなくて、十億の用意があるというならば十億廻してもらいたい、こう思うのでありますが、従来答弁の食い違いが若干ございましたので、はつきり説明して頂きたい。
  65. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今のお尋ねにお答えいたしますが、決して大企業とか大銀行ではございませんので、内訳を申しますると、地方銀行に五億円でございます。相互銀行に四億円、信用金庫に二億円、商工中金に四億円、都合十五億円を預託してあります。それでこれは福岡熊本佐賀、大分、長崎、山口の六県に対して。若し必要でございますれば細かい表を差上げても結構でございます。
  66. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国民金融公庫の資金の枠は六億でございます。十億と申上げましたのは、恐らく商工中金の関係で十億程度を融資すると、そのことを申上げたのが国民金融公庫のほうと一緒になつたのではないかと思うのであります。商工中金のほうは十億であります。  それからなおこの機会に、水害関係の金融対策を或る程度まとめて申上げたほうがよろしいかと存じますので……。
  67. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それは官房長、あなたこの前この委員会では、国民金融公庫は六億を考えている、これを十億程度によるつもりだと発言しているでしよう、私のメモに残つている。まああるとで速記録を調べればわかりますが……。
  68. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 多少重複いたしますが、取りまとめて申上げたいと存じます。中小企業の金融関係でとりました措置は、只今の国民金融公庫関係が六億円でございまして、これは利率は現在一割二分になつておりますが、それを六分五厘程度に特に引下げたいと存じております。なお国民金融公庫関係の既往の貸付けにつきましても、罹災証明を徴し、元金につきまして六億ぐらいの遅払いを認める心持ちであります。  それから本日新たに出しました分でございますが、開発銀行で目下中小企業融資といたしております。これは中小企業金融公庫ができました暁には、そちらのほうへ引継がるべきものでございまして、差当り開発銀行で月々五億円の枠で実行いたして参つたのでございますが、四月乃至七月の枠が二十億ということになつておるのでございますが、これをこの際五億追加いたしまして、災害復旧の資金といたしまして六分五厘の低利率を以て融資を行うことを決定いたしました。中小企業金融公庫成立の上は、これを肩代りすると、さような段取りに考えております。次に、中小企業の信用保険の関係でございますが、後来保険料両者負担三分でございましたが、これを一分程度に軽減することを決定いたしまして、それがために必要なる政令の改正を考えております。今後の罹災復旧に関連した中小企業の借入金にも負担の軽減を図りたいと考えておるものでございます。そのほかに先ほどちよつと触れました商工中金関係では、十億程度を融資することを考えております。なお農林中金につきましても、資金ぐりを検討いたしまして、できるだけ営農資金等の融資を確保いたしたいと思つておりますが、このほうはまだ具体的な計数等につきましては検討中でございます。最後に、住宅金融公庫の関係でございますが、差当り木造三億円、耐火一億円程度の別枠融資を設けまして、復旧資金、建物建築資金につきまして起用いたしたいと考えております。貸付条件等につきましても、緩和することにつきまして目下考慮中でございます。資金ぐりの関係につきまして、今日までに決定いたしましたことをまとめて御報告申上げました次第でございます。
  69. 吉田法晴

    吉田法晴君 今一応御説明を頂きましたが、御説明を聞くために七月七日付けの資料参考にいたしましたのですが、その中にも商工中金十億程度予想して融資をやつているというほかに、国民金融公庫として一応六億を予定しているが、場合によつては十億円までなら何とかしたいとはつきり書いてあります。そういう意図がこの間の説明の中に六億乃至十億と、こういうお言葉に出たのだと思うのですが、四億について七月七日にも意図があつたのですか。それを枠を拡げられることをやられたのか、或いはやられる意思がなおおありになるかどうか。
  70. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 私の説明は六億ということでございましたが、他の政府委員が、場合によりましては十億まで考慮するということを申上げたのではないかと思います。これは今日におきましても、今後の情勢によりまして十億まで拡張することを考慮いたしたいと存じております。
  71. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから問題は、その四億或いは今住宅金融公庫について別枠として木造三億、耐火一億というお話でございましたが、それらは今までの一応のこの資金枠と申しますか、予算上の資金計画の中からですか、それとも拡げておやりになると、こういうおつもりですか。例えば住宅金融公庫について別枠というお話でございましたが、それから四億の今の国民金融公庫について、これも今後支出し得る額がある、こういうお話でございましたか。
  72. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 現在国民金融公庫も住宅金融公庫も資金の総額がきまつておるわけでございまして、そのうちから特に災害地のために捻出をする、そういう趣旨でございます。
  73. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと御注意申上げますが、森永官房長はずつとおる予定でございます。そこで大臣に質問するために必要な点については、引続いて森永官房長にお聞き願つて結構ですが、大臣の質問に関連なくして森永官房長に質問したい点はあとに廻して頂きたいと存じます。そういう立場で御質疑をお願いいたします。
  74. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど私からも質問を申上げておりましたが、政府現地に行かれました大野国務相なり或いは厚生大臣等についても、今までの法令或いは今までの予算等を以ては緊急の対策が講じにくい、こういうことで災害救助法の枠も漸次拡げられて参り、それから或いは食糧の放出等についても処置を講じて来られたのですが、その資金源であります金の点について、十億或いは二十億という連絡があつてつたのであります。これは大蔵大臣は国家の巾着を預つてその紐を締められる役割であるということは私はわからんことはありません。併しながらこの未曾有の災害に対して緊急の措置を講じ、そして人命を救い、それから一日も早くあの悲惨な状態から救い上げるためには最大限のことをしなければならんという大きな観点に立ちますならば、これはその日頃の任務といえども、私は大局に立つて徒らに紐を締めるだけが能ではないと思います。で、どの程度の国が補助、援助をしなければならんかということは、概数もそろそろ出て参ると思います。それで融資その他をいたしますのに何の躊躇しておる必要もない上思うのでありますが、この間から出ましたこの二十億或いはあとの融資の問題について、一応今のところ何とかなつておるようだから、話があるまで待ちたい、こういうお話でありましたが、先ほども申しましたように、これは衆議院現地に行つておられます調査団からでありますけれども、各地とも救護について繋ぎ資金の大幅増額と、時機を失せざる政府の緊急具体措置を切望しており、今や現地市町村復旧事業人夫の工賃の支払にも窮し、且つ罹災者は嚢中無一物にて途方にくれ、人心不安なりという電報が参つておる実情であります。この点はお聞き及びであると思うのでありますが、繋ぎ融資その他を出して参るのに躊躇せられることなしに、僅かな英断でございますから、その英断を願いたいと思うのであります。まあ今日のことでありますから、これはお聞きしてもわからんことはないと思いますが、全体の心組みからして今までのような予算の範囲内で紐を締めて行くという心組みでなくて、心組みを転換して頂くことを期待するのでありますが、そういう点について大まかな件数について、一つ大臣なり或いは副総理も出ておられますが、承わつておきたいと思います。
  75. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今お尋ねの点につきましては、私どもは何らその紐を締めるというような考えは持つておりません。けれども必要がありますれば必要なだけをお送りする、こういうことでやつておりまして、只今までのところ私どものほうは何らの支障なきように聞いておりまするので、そこで又金というものはあなたもよく御承知でしようが、使つて行く、だんだん使つて行くのに、金が要つたからといつて一遍に使えるものではないので、これは私どもが査定しておるわけでも何でもないので、必要に応じてお出しするというので、十億出して又十億出す、更に必要があれば又十億出す、こういうことを申しているのでありますから、この点はよくおわかりではなかろうかと思うのでありますが、何も一遍に二十億出さなければならん。それでなければ時機を失するのではないかということは、これは私はないと存じます。併しお話の意味はよくわかりますから、今後必要の場合、今日は丁度大野国務大臣が帰つて参りまするから、この前申上げた通り、この前十億送つて、更に十五億指定預金をいたしましたときには、その事情を向うとよく打合せまして、よく了解済でありますから。併しなお至らんところがあれば、それに対して法制上許される必要な措置については、今度のような非常の場合にはこれを講ずる考えでございます。
  76. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) この際、一昨日本委員会緒方本部長に要望しておいた点について答弁を求めます。その点は、いわゆる千億の融資の問題についての善処方と、それからこの大災害の被災者を救済するために当然臨時特例を設けてこれを救済しようとしておるがという点について、本委員会報告して頂きたいという点を要望しておいたのですが、この際答弁を求めます。
  77. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) この前私ここに出席いたしましたときに、委員長から繋ぎ融資について大野現地本部長から二十億を言うて参り、その二十億のうち十億しか決定してないので、残りの十億を、明日の午前十時半までに来て報告をしてくれというお話がありました。或いはこれは私的におつしやつたのでしたか、公におつしやつたのでしたか……。
  78. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 公です。速記に残つております。
  79. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) その際に千億を増す、繋ぎ融資を送つたことにつきまして、大蔵大臣及び大蔵当局からの説明がありまして繋ぎ融資十億と、それからほかから指定預金十五億で差当りいいという大野本部長の了解済みであるというお話もありましたので、そのことも附加えまして昨日の幹事会にかけたのでありますが、その結果、更に現地と打合せたところによりまするというと、別に今不自由はしていないが、必要があればいつでも残り十億の繋ぎ融資を出してよろしいということにきめております。それから特例につきましては、まだ検討中で御報告申上げるまでになつておりません。
  80. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) じや重ねてお伺いいたしますが、只今吉田君からも発言がありましたように、現地派遣されている衆議院の視察団は、非常に現地では困つている、人心は不安の状況にあるということが、衆議院委員会に対して報告が参つている。それから当委員会としては、政府委員のほうからそういう発言がありますので、各県知事を招致して実情を聴取しようと思つて連絡しましたところが、熊本知事のごときは、今日明日を争う問題が山積していて、東京にはとても出て行けない、院のほうからむしろ来で欲しい、こういう返事すら参つているのであります。大蔵大臣言葉では、大野国務相がお帰りになると言われますが、これは大野国務相は自発的に帰京されるのでありますか、それとも政府のほうで何か目的があつて招致されたのでございますか、そういう点も併せ御答弁して頂きたい。
  81. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今委員長のお話のようなことが現地にあるなら耳に入つているに違いありませんが、若しその通りであるならば、東京にそういう情報が参りますると同時に、現地本部長にも入つていなければならんと思うのであります。中央本部といたしましては、無論国会におけるいろいろな御報告、或いは委員長の御意見等も耳を傾けておりまするけれども、最後のよりどころは本部長との連絡以外にないので、本部長には、今までのところ本部長が向こうでいろいろ決裁をしたり、対策を講じたりするのに不自由はかけていないつもりであります。今日大野本部長が、これはこちらから一度中間報告に帰つてもらいたいというのと、大野本部長も同様の意思があつたことを厚生大臣から伝えて参つておりましたつので、両方の意思で今日帰つて参る。今のような意思の疏通していないような点も大野本部長が帰つて参りますれば直接に確めることができて、更に適切なる対策ができるだろうと思います。
  82. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) じや、はつきり委員長として確認いたしておきますがそれでは政府としては、被害県の各現地当局は不自由はしていない、小笠原大蔵大臣言葉を借りるならば、大野国務相は満足している、或いは中央措置はこれで十分であると了承している、こういうふうに政府はお考えになつていると確認してよろしうございますね。
  83. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 不自由しているかいないかはこちらから直接に確かめようばないのでありますが、先ほど申上げましたことを繰返すようでありまするが、大野本部長並びに本部関係から申して参りますることに対しましては、向うの意思に反して、現地の意思に反してそれを査定するとか、或いは値切るとかいうようなことで、向うの考えを中央の間接の意思によつて拘束するようなことはしておりません。
  84. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 私は満足という言葉はこの間も取消しまして、満足しているという言葉言つておりませんが、大野本部長とは十分了解済です。ただ私の感ずるところを一つ申上げますと、それはこの頃こちらで決定しても、決定した金を更に分けることについていろいろ手間取つている事情が少しでもあるりじやないか。たとえて申しますれば、十億円次の分が行つても、その十億円を何県が取る、又何郡何村が取るということについての問題について多少時間がかかつておるのじやないか。こう思いますのは、先頃向うから帰られた人の話に、駐留軍がこれこれのものをすぐやる、それをすぐ決定して向うが言つて来たのに対して、こちらが申受けるのに四日間かかつた、配分に問題があつた、それで非常に向うのほうでも、なぜ早く取りに来ないのかということを言つたということも耳にしましたので、金のことですから、そんな手間取るはずがありませんが、先へ先へと行くのに幾分時間をどつておるのじやないか。その点我我今申上げたように向うの本部長のほうはこれで了解済であつても、先へ行ぐというとまだその金が渡つていない部分が、その点が多少時間が遅れておつて、そういう時間的な差異があるために不自由されておる点があるのではないか、こういう感じがするので、私は事実のことは知りませんので、感じのまま申上げておく次第であります。
  85. 吉田法晴

    吉田法晴君 小笠原大蔵大臣が言われるような、こちらから十億なら十億送る手配をしても、県から市町村に行くまでに分け方のことで時間がかかりましよう。そこで問題は、成るべく早く末端まで行くようにしてやるということが私どもの任務だと思うのですが、そこで値切るつもりはない、或いは値切つたつもりはないと、こういう今お話でありますけれども、先週の土曜日に十億のあと二十億を本部から要請して来た。そしてその返事が遅れるから、月曜日に十億を現地限りで配分することを手配したから了承を願いたいということで、その間には少くとも二日の食い違いが、足かけ三日ですが、完全に一日有半というものは、これは違つているのです。そこで問題は、中央としてやるべきこととして、末端に届く時間もあるだろうから、早くしてやらなければならん。それを向うから二十億言うて来たのに、十億現地で配分するのに任せるということでは、なお次の措置を講じ参りますのに時間を要するということだから、こちらでは早く二十億言うて来たら二十億出してもらいたい。或いは更にその後要るだろうからやつてもらいたい。これはむしろ向うから言うて来なくても、これから国が出して行くべき金額が、大体現状で問題が残らんということであるならば、出されたらどうか、こういうことを私ども申上げておるのであります。そこでその心がまえについて、私は政府にしても心がまえを変えてもらいたい。今まで通り現地から言つて来たからそれに従つて措置するということではなくて、これは新聞にも出ましたけれども、イギリス等においても総理その他が現地に飛んで行つておる。成るほど大野国務大臣現地に行かれたけれども、日本の場合に総理或いは副総理現地に飛んで行くほどの措置はやらない。こういう多少の違いが出ておりますが、私はその点に政府の御指導の心がまえの違いがあるのだろうと思います。心がまえの切換えができないかということを考えておるのであります。それからもう一つ、これは衆議院が院議に従つて向うに行かれての連絡、それからその点はそとに参議院調査を担当されたかたもおりますけれども、同様の点を見て来られたので、そこで、それに従つて繋ぎ融資について急速に出してもらいたい。差当りのよりどころとしては、現地からの二十億というものがあるから、最小限二十億の要望にすぐ応えたらどうか、こういうお話があつたのですが、重ねて、各地ともに救護について繋ぎ資金の大幅増額等時機を失せざる政府の緊急具体措置を切望している。今や現地市町村復旧事業に従事する人夫賃の支払にも窮し、且つ罹災者懐中無一文にて途方にくれ、人心不安なりという実情政府は否定されるか、その点一つ
  86. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) イギリスで総理大臣がどういうことをしたか私存じませんが、大体建設大臣の出張に始まりまして、そういう点については余り時機を失していないつもりでおります。向うから言うて来る前にすべきじやないかというお話でありまするが、これは何と申しましても国民の大事な金でありまするので、政府としてはや号いろいろ両院の視察なさつたかたの御報告も聞いておりまするけれども、やはり本部長に確かめ、現地本部長に確めて、本部長及び現地本部との連絡の下に慎重にやることが私は中央本部の責任だ、それは時間的に遅くなつてはいけませんが、慎重な手段だけはやはりいたして置く必要がある。そういう意味におきましては私は今までの災害の場合よりもよほど手ばしこく行つておると、さように考えております。
  87. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大蔵大臣、あなたがさつきここで説明されましたように、まだ届いていないかも知れない、それは事実なんですよ。だから当委員会としては、大体どのくらいの災害ということはわかるのだから、ともかくその一部の金をあとどういうふうに精算するかは別ですよ、ともかく現地の責任者に持たせたい。そうでなければ災害救助法によるその予算、費用、それから法規には当てはまらないかも知れないが、ともかく人命救助の立場から放置されないという問題がある。或いは公務員には繰上げ支給をせねばならん。だから参議院としては、ともかく一刻も早く或る程度の、あとで精算はするのですよ、或る程度の金を現地の責任者に持たして、そうして緊急の手を打たせなければならないというので、緊急救助という角度からこの前から要望して参つたわけです。ところが当然とは言え、あなたがた法律規則ということでこうやつて行くものですから、今日の長崎県知事のなにを聞いても、現地からの連絡を聞いても浸透していないわけですね。だから私は緒方総理にそれと関連して伺いますが、内閣に西日本水害総合対策中央本部と、如何にもいかめしい堂々たる看板を掲げられておりますが、一体あすこで委員である大臣のかたがたはお集りになつたことがあるのですか。それから局長級が幹事になつておりますが、責任あるところの現地を視察された局長もいるのですが、毎日集まつてつていらつしやるのですかどうですか。この資料によると、その損害額が或る場合には千四百億円、或いは千九十億円へ或いは千百八十四億円とまちまちに報告されているが、これらは極めて不十分な資料であります。これは私はスタツフが不十分か、或いは緊張度が若干弛緩しているのではないかということを私は被害者の身の上を思うと考えざるを得ないのですが、如何ですか。
  88. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 対策本部の名前について御批評がありましたが、それは別に大袈裟なことを掲げておるのじやないので、名称をつければああいう名称をつけざるを得ないのであります。それは言葉の末節であると思います。それから幹事会は毎日開いております。大臣は必ずしもみんな揃つては出ておりません。これは国会の要務がありますので出ておりませんが、幹事会はかなり勉強してやつておるつもりであります。  報告については御不満の点があるかも知れませんが、何分災害の際で、現地報告の前後した場合等もありましようし、そういう点はどんどん改めては参りますが、すべて完全に行つておるとは申しませんが、係のものは相当勉強しております。
  89. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 現地を見て参りました三井日銀政策委員の話によりますると、資金の配分については、現地の財務局は県の地方課と協議し、本来ならば災害地を一遍見るべきですが、それを見ないで、災害費を机の上で緊急に決定して配分しておる。補助金はあとで不足するというところには特別の措置をするということにして配分案を決定しておる。資金を急速に分けることには全力を尽しておる、こういうことでございます。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 緒方総理に尋ねますが、先ほど慎重さを持たなければならんということですが、その慎重さは、もうこうなつてはその慎重さは要らんのじやないか。すでに被害の概数も出ております。或いはそのうちで国がどの程度負担しなければならないかということも明らかであります。慎重さを捨てる意思はないかどうか。それから先ほどお尋ねしまして御答弁がございませんでしたけれども、衆議院派遣団、或いは参議院調査団が参りましての報告というものに基く実情について、副総理はどういうふうに考えているか。これを違つていると考えられているのか、それともどういう工合に考えておられるのか、もう一度お伺いしたい。
  91. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私は自分で現地に参つておりませんので、両院のみならず、すべての報告を少しも疑つてはおりません。そのままに信用いたしておりまするが、ただこちらで措置をいたしますのには、本部長乃至現地本部から来たものにより、或いはそのほうと連絡をして、そうして慎重にしていかんというわけにはいかんというふうに思つて私は今も慎重にやつているつもりであります。
  92. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 両大臣は衆議院の予算委員会から出席要求が先刻からなされておりますので、保留となつております台風二号に関する島村軍次君の質問を願います。
  93. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつとその前に。三井日銀政策委員が折角御出席になつておりますし、現地から帰られておりますから、その点について一点お聞きしたいと思います。
  94. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大臣いるところで。
  95. 吉田法晴

    吉田法晴君 ええ。
  96. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) どうぞ。
  97. 吉田法晴

    吉田法晴君 あなたはこの繋ぎ融資その他の配分についても、現地も見ないで緊急に配分をして来たというお話でありましたが、私どもは、調査団の報告等によりましても、金がなくて困つて、いるから繋ぎ融資を早く送つてくれ、それで初め十億送り、それから先週の土曜日に二十億というものを本部長から要請をされた、引続いてこちらから返電がございませんので、連絡がないので、現地限りで十億配分した、こういう連絡があつて今日に至つております。そのときの要請の十億というのはなぜ政府は出すことをしなかつたか。これはこの二、三日問題になつておる。それから今日本員が長崎県知事から聞いても、なお金が足らんとういう陳述があつた。それから六日付でありますが、衆議院調査団からも、救援について繋ぎ資金増額等時機を失せざるよう政府の緊急措置を切望している、これは各県の実情であります。それから現地市町村復旧事業に従事する人夫賃の支払にも窮し、且つ罹災者懐中無一文にて途方にくれ、人心不安だ、こういう連絡さえ出ておる。政府のこちらでの認識と、それから現地の情勢とに食い違いがあるように私は局受けているのでありますが、その繋ぎ融資の点についてどういう工合に考えられますか、この際承わりたいと思います。
  98. 三井武夫

    説明員(三井武夫君) 私は命を受けまして九州へ行つて参りまして、各地を一まわり廻つて参りましてつぶさに実情を見て参りました。実情を見て参りましただけに、現地の惨憺たる状況、それから災害のあとの、災害を受けた人たちの窮乏いたしております状況をまざまざと実見いたしております。委員各位が言つておられる以上に、実は私は現地の悲惨な状況を感じている次第でございます。従いましてこの状況を一日も早く救つてやらなければならないという感じにつきましては、私は委員各位と、或いは失礼な話でございますけれども、だんだんと日がたつに従いまして委員各位以上に痛切に感ずるというくらいの気持になつているわけでございます。で、この救済をいたしますためには、お話の通り何と申しましても先立つものは金でございますので、この金を先ず心配しなければならない。この金を如何なる方法で、如何なるところから先ず出したらよいかということを随分心配したわけであります。で、この金の出し方といたしましては、お話のありました資金運用部の資金、或いは簡保資金の繋ぎ融資という方法が災害の場合に先ずとられる普通の第一の方法でございますので、今度の場合にもその方法を先ず第一にとらなければならない。併し今度の場合特に大蔵省といたしましても、それ以上に緊急性を痛感いたしましたので、この繋ぎ融資の点につきましては、御承知のようにあとで金利の負担の問題も起ります。それからあとできまりました補助金が繋ぎ融資額よりも少なかつたというような場合にその不足額をどうするかというような非常に厄介な問題も起るのでございます。それよりも今度の場合には、先ず最初から災害の予備金を支出いたしまして、それを緊急に各地に配分したほうがよろしい、むしろそのほうを第一の措置に考えるべきではないかということを強く考えておつた次第でございます。従いまして先ほど来小笠原大蔵大臣からもお話ありましたように、すでに十億円の予備金の支出が決定されているような状況なのであります。普通でありまするとこれが先ず繋ぎ融資でやりて行く。その中に予備金の支出がきまりましてそれに移り代るという順序になりますのを、今度はあべこべに災害予備金の支出のほうが最初にきまつた。これも我々とたしましては先の予備金のほうをできるだけ余計にきめてもらいたいということを中央にも要請しておつた次第でございます。先ず予備金の支出の措置をとりまして、続いて繋ぎ融資の問題でございまするが、これは委員各位が各地をお廻りになりましたときの結論は三十億と承わつたのでありまするが、私どもの極くざつと見ましたところでも、そのくらいの金は当然必要になるということを感じたわけでございます。ただ先ほど来大蔵大臣が言われましたように、三十億円の資金は一度にこれを出しましてまなかなかこれを配分するのも大変な手数でありまするし、配分した金が今日すぐに使えるということでもありませんので、これは場合によりましては分割して支出したほうが却つていいのではないか、必要なときに必要な額をどんどん出して行くということで国の措置をとつたほうがいいのではないかということで、最初に中央で御決定になりました十億円に取りあえず十億円を増額して頂きました。その配分は現地に任してもらいたいということに決定を見たわけでございます。続いて十億円はいつ出そうかということは、大野本部長ともいろいろと御協議を申上げておつたのでありまするけれども、私どもが引揚げて参りますまでには本部長のほうから、自分が帰つた上でその時期をきめようということで、私は大野本部長のお帰りを待つておるわけでございます。  なおそのほかに指定預金或いはその他の資金対策を立てまして、一日も早く私どもといたしましてもあの現地実情を救済したいということを痛感いたしておるのであります。その点中央のほうに私からも詳しく報告いたしております。認識に相違がないように努めてはおりまするけれども、やはり多少の、実地を見た者と見ない者との間に多少の食い違いが生じておるのではないかということを懸念しております。その点私どもなお努力いたしまして現地実情をも説明いたしまして皆さまの御要望に副いたいと考えております。
  99. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他院との関係もございまするので、一刻も早く両大臣を衆議院出席できるように取計らいたいと思います。つきましては、三日前以来の問題でございます島村君からの台風二号の問題について簡単に要領よく質問願います。
  100. 島村軍次

    島村軍次君 一昨日の委員会において合口風二号の問題について質疑を重ねたのでありますが、先に本委員会において両方の問題を取上げるということになつている。而うしてこの問題を、早く切離して西日本の水害対策に全力を注ぐべきであるという見地から、一日も早く御決定を願いたい、かような見地が一つと、それからもう一つは、六党において協議されました金額は二十八億数千万円と施設について十四億円という数字が一応出ております。ところが農林省の現在の数字は僅かに五億数千万円にしか過ぎないのでありまして、この点に関しまして、その被害の程度等から考えますというと、早くもつと至急に増額の措置を講じて頂きたい、かように考えておるのでありまして、この問題に関して、大蔵大臣は或いはまだお耳に入つておらんかも知れませんが、至急に一つ決定を願うと同時に、つぶさに一つ御検討の上で、この際は思い切つて一つ予備費の支出を災害、凍霜害に準じてやつて頂きたいということを希望いたします。  私の希望はそれだけであります。簡単に一つ御説明を願います。
  101. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 農林省のほうから出しました五億数千万円のものは、一応私もこれを見ました。なお事務的によく研究してもらうようにということで双方話合いでございます。更に六派で御協議になつたという三十億、ざつと三十億と思いまするものも拝見いたしました。これも今果して日本の在来の関係及び今の予算措置上どうなるか、これについても一応事務的に検討してくれということで、この書類を渡して今検討を急がしております。併しこの問題も、もう日にちもたつておりまするし、速急解決いたしたい考えを持つておりますので、今島村さんのお話もございましたし、できるだけ早く進めたいと考えておる次第でございます。
  102. 島村軍次

    島村軍次君 大蔵大臣及び副総理は私のほうは結構です。
  103. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) これを以て両大臣に対する質問を打切つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 島村軍次

    島村軍次君 実は一昨日出席者が非常に少くて、殆んど私が一人で質疑応答を重ねたようなことでありますが、その結論は只今申上げましたように、北九州水害対策を早く進行するためには、第二台風の問題をこの委員会において早く結論を出して頂きたい、かような念願からいたしたのでありますが、その結果は今申上げたように、我我の希望と農林省の原案との間には非常な差異があるわけでありまして、この点に関して私一人の質疑だけでは御満足が行かない問題であると同時に、最後の決定について委員会としての意思をこの際一つ至急に決定して頂きたい、かような考え方で一つお諮りを願いたいと思います。
  105. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 丁度只今質問のあつた直後でございますが、この際台風二号の問題を議題に取上げたいと思います。  只今島村君から御発言がございましたが、本委員会の意思決定するに当つては、如何なるもので意思決定をしたらよろしいかというような御意見がございましたら承わりたいと思います。
  106. 松岡平市

    松岡平市君 私は一昨日来委員長に切に衆議院のほうの水害特別委員会との連絡をお願い、ておるのであります。結局決議をするということ、これは単独に、参議院参議院の見識に立つて決議をすることは何でもないのでありますが、要は困つておる災害地に早く実際に救助を与えるということでありまして、それにはやはりおのずからそれを実現させる途があると思います。衆議院のほうが主となつて、六会派の案も出ておるわけでありまして、まあそれに農林省の案もあつて、その農林省の案は更に大蔵省に行つて査定を受けるのじやないかという私は心配を持つておるわけであります。農林省の案よりも、実際の案はそれよりも減るという心配すらあるのであります。そうしますというと、我々が考えておる第二号の災害の実際と政府のこれに対する対策との間には相当な食い違いが出て来る、こういう危険もなお残つておるのであります。私はこの間から申上げておりまするが、その問題については是非やはり衆議院災害特別委員会とこの委員会とが連絡を図つて、緊密な態度で政府に実現を迫り得るような措置を講じて頂きたいと、かように考えております。
  107. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) その点については、衆議院の特別委員会とは連絡済でございます。
  108. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから松岡さんの折角の御意見ですが、党として、或いは六党協議の結論云々ということについては、私どもも連絡もして参りましたが、これは連絡すべきだと思うのです。併し正規に申しまするならば、やはり院と院との関係はこれは独立で、委員長が個人で御連絡になるならばともかく、その点は公式に連絡しなければならんというほどのことではないと思うのです。そこで問題は、大覚の結論とそれから農林省の一応出ております査定案との食い違いをどうするか。大覚の結論に従つて実施すべきだというのがこちらの委員諸氏の恐らく御意向だと思うのです。それには或いは計算の基礎になりました法律の改正等もいいことだと思うのでありますが、或いは農林委員会において法律の改正等も願わなければならんと思うのでありますが、この委員会として一応出て参りました今までの結論に従つて、具体的に大党の申合せというものをここに公に出すかどうかということは別問題として、結論は一応出ておるのです。それを実現するように、これは農林委員会その他も或いは審議努力しておられるかも知れませんし、農林委員会等とも協議して、予算にも関連いたしますので予算委員会にも連絡をすると、こういうこの委員会の一応態度決定を願えれば私はいいのではないかと出行えます。
  109. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後四時四十三分速記中止    —————・—————    午後五時十六分速記開始
  110. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。  只今委員会出席要求に応じて、保利農林大臣が出席されましたので、質疑のあるかたは願います。
  111. 島村軍次

    島村軍次君 第二台風の措置については、昨日官房長との間に質疑応答を重ねたのでありますが、大臣はかねて御承知通り、六党の一致の意見として要求しました額は、施設の十四億を除いて二十八億三千七百九十一方九千円の要求をされておつたのであります。これが風水害対策六党合同議員連名の結論であつたわけであります。ところが農林省の現在要求されておりまする数字は、再三検討されました結果、最初の五億五千万円に対して僅かに三千万円、即ち五億八千万円の要求を大蔵省との間に折衝を重ねておられる趣きを拝聴したのであります。我々は何も架空の数字によつて、或いは又六党の決定は決して無駄な数字を挙げたものとは考えないのであります。で問題はこの基礎数字については、見解の相違もありましよう、併し一面から考えますというと、この種の被害実情は未だ曾つてなかつたことでありまして、農林省として取上げられる場合におきましても、いろいろの見解のあることもわかるのでありますが、余りにも数字の相違があるのでありますが、大臣はこの点に対してどういうふうなお考えをお持ちになつておりますか。なお大覚の最後案については十分御承知のことだと思うのでありますが、その点に対する見解を一応承わつておきたいと思います。
  112. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 各党の災害対策に対する結論は、私も頂いて承知をいたしております。農林省のほうとしましても、この広汎な二号台風の対策につきましては今日までの前例等も考えまして最大限できるだけの対策を講じなければならないということで、積み上げました数字只今お示しのような数字になつておるわけでございますが、六党上の開きにつきましては補助率等において相当の幅ができて来ております。農林省の一応結論として只今財政当局と折衝いたしておりますることにつきましては、近くは凍霜害の例もあり、考えられる最大のことを考えて要求をいたしておるつもちでおるわけでございます。
  113. 島村軍次

    島村軍次君 そこで農林省の現在要求されておりまする基礎数字とそれから別途六党との間で協議されましたいわゆる最後案十九億何がしの最後数字と今日の農林省が大蔵省との間で折衝を重ねておられる五億数千万円との間の差については大臣はこの点に対して更に増額を要求される御意図があるかどうか、この点に対して承わりたいと思います。
  114. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 各党派のかたがたが御協議の上結論をつけられましたこのいきさつもございますし、但し併し行政事務として見ますれば凍霜害等の例によるのがまあ妥当ではないかと私も感じますけれども、入党協議会の御趣意もあることでありまするから、別途大蔵大臣に対しては更に考慮を願うように私から話してはおります。
  115. 島村軍次

    島村軍次君 そこで問題の一番……各費目についての補助率の問題が検討される政府のほうの見解と大党との間の差の重点になると思うのでありますが、例えばこの西日本の大水害等に当りまして融資に当つて利息を農民に、国の利子補給をして貸付けられる場合において農民負担が六分五厘というようなことになることは、現にあの大水害のあとからり考えましても、又一般の今日の麦作の被害を受けた実例から考えまして、農民の負担が六分五厘に相当するような問題は、たとえ凍霜害の場合にそういう実例があろうとは申しますものの、我々といたしましてはもつとこの際は凍霜害と切離して特別な措置が講ぜられるべきものと私は思うのであります。この点に対して特に希望を申上げ、この利子補給の問題に対して大臣のお考えを一つ承わつておきたいと思います。
  116. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 二号台風の災害につきましては、先ほど申上げたことでとくと一つ御了承頂きたいと思いますが、今回の大水害の地域はたまたまこの二号台風と折重なつて、その上に又激甚な、到底現わし得ないような激甚な被害が襲つているわけでございますから、この地方に対しては又その被害の程度によつて考えて行かなければならんというような考えを持つております。
  117. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連してちよつと質問をいたしたいと存じますが、被害の面積は六党の分も農林省の分も大体同じだというのだが、利子補給或いは期限、それから種子代、肥料代等の負担率等は農林省の場合は凍霜害の場合と同じと申しますか、準じて取扱われる。ところが今までこういう災害の場合の国の態度でありますが、南海地震の場合、それからオホーツク海の場合、それから凍霜害の場合と今度と、中には例えば漁業関係被害等になりますと、オホーツク海の場合の対象になりました漁業関係被害、そういうものが今度の水害の場合にも二号台風による水害の場合にもあるわけであります。そうするとその場合の取扱が余りに懸隔があるということは妥当を失するじやないか、こういう点を考えましたならば、凍霜害の場合との関連は例えば融資の期限にしても五年というのを三年という工合にして遠慮している。むしろ六党の中で遠慮をして、三年ぐらいに切下げている。先ほどの御答弁にも補助率もなお大蔵省とも折衝する云云とありましたが、その点について凍霜害の場合以上に利子或いは種子代、肥料代の補給等について考える意思はないのか。それからもう一つ、それでは例えば凍霜害と二号台風の場合と関連性があると言われますが、今私はそれなら二号台風の場合と今度のあとの九州台風の水害とが重なつていると、お気の毒なように重なつているという点をお認めになつたというのですが、それでは法の適用について或いは利子補給、或いは種子代、肥料代その他の薬剤費等についてもそうでありますが、それは同じであるというわけには参らない。そうすると今度のあとの被害に対する適用と、それから二号台風の場合との関連等、実際に現地に行つて見ますと、やつと二号台風の場合の融資その他が、あとの大水害の場合に間に合つている。今まで最初水につかつた麦、而もそれをあとでは流したり或いはなくしたり腐らしたりしてしまつておりますが、相関連して思われることは私はこの実情を見てもわかると思います。お尋ねをいたしますのは、そういう水害の中で、やはりいろいろあります災害の中で、二号台風の場合について凍霜害以上に利子補給その他を殖やす意思はないかという点をお伺いします。
  118. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 十勝沖やオホーツク海沿岸の災害、その場合にとりました処置につきましては政府委員から申上げますが、ただ今回の二号台風と今回の大水害と重複した点につきましては只今現地被害調査を進めておりますから、この調査に基きまして、その被害の度合によつてこれをプラスして行くという考え方で行かなければならないのじやないか。と申しますのは、二号台風の処置は二号台風の処置として講ずべきであるという考え方をとつているからであります。
  119. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 利子の補給その他の補助等につきまして十勝沖、オホーツク海のお話がございましたが、利子の補給としましては十勝沖が四分、オホーツク海が五分、それから融資の期間でありますが、それは五年になつております。これは大体施設関係に対する融資の分でございます。今度の場合は営農流動資金的なものでありますので期間を短くしておるのであります。但し水産の施設等についてはこの前例に従つております。ただオホーツク海の場合には損失補償の限度が高くなつております。この点だけは従来の凍霜害或いは今度の二号台風の中にはオホーツク海の例に従つておりません。これは四割の補償になつております。十勝は三割でありますが、凍霜害のやつは四割、もと三割だつたのを四割に修正されたのでございます。それからもう一つ違うのはこれの利子補給、或いは損失補償の負担が国と県に按分されておりまして、その点が従来と違うのであります。これらはやはり災害が相当……、凍霜害の場合が二十二件、今度の場合は対象が二十八件となつておりますので、大体全国に相当数拡がつておる、こういう関係で国の負担等も考えまして、府県にも分担して頂く、こういうふうな考え方になつております。なお先ほど大臣からお話がありましたように北九州の六月末の水害に対しまして、利子補給の額と、それから損失補償の程度をどういうふうにするかという点につきましては被害の程度が非常に大きく感ぜられますので、今検討を加えております。
  120. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつと質問をいたしました趣旨が十分徹底せずに御答弁も質問に十分お答え願えなかつたのですが、私はバランスのことを言つているのです。二号台風の場合に水産関係もある。そこでそれは他の期限或いは利子補給等についても及びましようが、期限の問題については今の御答弁では、今度の場合は水産関係についてはオホーツク海のと同じであるという御答弁であつたと思いますが、若しそうだと、その点は十分解決していることと思うのです。申上げているのは凍霜害の場合を越えて考えらるべき要素が、例えば水産関係とその他の農業関係というぐらいに二号の中にもある。そこで凍霜害、凍霜害とこう言われますけれども、凍霜害の事例の場合を越えてしなければならん要素が二号の場合にも水産関係にある。それとのバランス、そういう意味から言つて、今の方針を考慮して大蔵省と折衝する云々ということですが、それについて変更して折衝するという意思はないかという点をはつきり伺いたい、こういうふうに申上げたのであります。
  121. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 水産関係につきまして、これの漁船漁区の施設的な面については融資期間五年、利子補給は五分、こういうふうに私のほうの案はやつておるのであります。そうなつておるのであります。二号台風の場合に水産関係の漁船漁区等については施設的なものについては期限五年、利率五分、これも県の負担はありません。
  122. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今二号台風についての質疑を農林大臣にして頂いているわけですが、一応質疑も出たようでございますから、これとも併せてこのたびの六月下旬の九州水害に関して質疑のあるかたは願います。
  123. 島村軍次

    島村軍次君 対策本部でお作りになつて水害総額の総括表が昨日も出、本日も出たわけですが……。
  124. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質問の途中ですが、保利農林大臣は予算委員会から出席を求められておりますので大臣に質疑のあるかたはできるだけ簡潔にお願いいたします。
  125. 島村軍次

    島村軍次君 私はり数字の問題ですから官房長で結構ですから、ほかに…。
  126. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 農林大臣に質疑のかたはございませんか。農林大臣への質疑はこれを以て打切つて異議ございませんか。
  127. 松岡平市

    松岡平市君 農林大臣にお尋ねいたします。水害対策総合本部からの資料によりますというと農地の施設、山林の施設というようなものについてはそれぞれすでに相当なる被害の見積りが出ております。我々が最も憂えておる農産物の被害、即ちこの災害がなければ植付けらるべかりしところに植付ができなくなつて生ずる被害、或いは種籾が非常に遅く蒔かれてこの間の説明では二割減収でとどまるというお話ですが、その二割減収のために生ずる被害というようなものについては全然これまで何らの見込の数字も出ておりません。どういうわけでそういう数字が一向に出ないのか。田も多くは推定数字でありまするが、我々が一番被害が多きかろうと考えるその点について、農林省から出された資料に基いて作つたと総合対策本部言つておられますが、全然その点にお触れになつておられない。被害が余りに大きくてまだお出しにならないのか、他に理由があるか。これは大臣でなくても結構ですが、一応お答えを……
  128. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) お話御尤もでありますが、このたびの被害現地からの報告は勿論現地に私のほうから係官を出しました、それが交替で二、三帰つたのがありますが、福岡県は或る程度状況がつかめて来ました。これは一昨日の午後現地から帰りました。ほかの県につきましては交通等もまだ意のごとくならんようであります。殊に熊本県とか大分県等につきましては現地から帰つて来た人の報告では、新聞その他についてそちらのことが余り出ていないけれども、そちらのほうがひどいぞというふうな抽象的な報告はありまして、そちらのほうの状態などはまだ殆んどつかめておりません。そこで私のほうとして只今改良局長が農林省の最高現地の出先機関として行つておりますが、五日に一遍統計事務所長を集めまして、そうしてそのときの聞いた模様では全然つかめませんので、或る程度こういうふうなやり方で至急出してくれということで又各県に帰りまして、十日にもう一遍寄つて、そうしてこの中間報告的でもいいから一応の数字を出そうというふうな手筈にしておりますので、施設の関係でありますと、川が切れたとか、或いは道路が決壊したとかいうので目に見えるのが相当ありますが、とれとてまだ相当の漏れがあるのではないかと想像されますが、農作物のほうはそれ以上に調査がむずかしいのでありまして、只今出ておりませんからもう暫らく御猶予願いたい。
  129. 松岡平市

    松岡平市君 別に大臣の答弁を求める必要はありませんが、今回の災害においてすでに総合対策本部から出された資料においても、今日改めて一千百八十億という数字が出ておりまするが、そのうちには只今私が申上げ、御説明になつた最も大きいと思われる数字が全然現われておらん。今日までそうしてここで論議されるものも専ら施設その他の救助補助というようなことに論議を費やされております。我々が憂えるものは堤防ができても、或いは河川が改修されても、自分の田は全然今年は田植ができない、麦も何も作れないという、そして何ら別に収入の途がないという百姓を如何にして救うかということでありまするが、それらの被害額が今日なお見積額も全然出ないということであつては、一番最初に救わなければならんそうした農民に対する施策の論議が非常に遅れるのであります。詳細な数字はともかくといたしまして、大体冠水した田地がどれだけだ、流失した田がどれだけだというようなことはもうすでに相当な資料も来ておるわけでありますから、そのために生ずる農作物の植付不能、或いは収穫減収ということについての大ずかみな、即ち農民がこれからこの災害によつてその施設でなしにこうむる被害というものを一日も速かにお出しを願いたい。私たちが一番心配するのは橋梁とか、或いは河川とかいうものはそれぞれ補助の規定もあるし、これは従来の法令等によつても或る程度の復旧もできましようけれども、植付ができなかつたとか、或いは減収だというようなものについては、これは現在のところこれを直ちに法令によつて補助をするという方途はなかなか見つからんようであります。只今市町村の財政の援助というようなことと、それから今申しました農民がどれだけこの災害のために収入が減つて来るかという面について、その両方一番肝心な点について私たちは何らの資料も今日まで得ておらんのであります。是非一つ農林省はその方面の資料をお出し願いたいということを希望しておきます。
  130. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) つぶさに現地御覧頂いて、そうして被害農民の実情を目の当り御覧頂いて調査を頂いて参りました松岡さんがたのその御感想は、私は全く想像いたしましてもわか  るわけでございます。いずれにいたしましても、只今お話資料は現行制度  でどうなるこうなるということにかかわりませず、この災害対策を御協議頂く上において、極めてやはり重要な資料だと存じますから、できるだけ督励いたしまして、趣意に副うような資料一つ提出いたしたいと考えます。
  131. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の答弁の中に、現行制度にかかわらず云々ということがありましたが、例えば今問題になつておりました今度の災害による或いは復旧、それから営農資金の貸付等についても、今まで通りの条件ではいかんということは、これは明らかだと思うのです。そこで費用や何かについても問題になりました、或いは利子補給、或いは南海地震、或いはオホーツク海の災害等についても従前の例によらないという方針であるのかどうか、その点を承わりたい。  それからもう一つ、例えば耕地の復旧等についても、災害等につきましても十万円云々と言われるのですが、これによるわけには参らんという実情にあることは大体御承知だと思うのです。例えば耕地が洗い流された、或いはその他熊本関係の火山灰が流入をして云々という耕地の流失については、今まで通りの法制で行かんことは明らかだと思います。それらの点について現行法規によらないという御決意が具体的に法の改正その他で進んでおると思うのですが、その辺の御決意と態勢を承わりたいと思います。
  132. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) これはひとり農林災害のみならず、全般にかかつて参ります問題でございますから、私は責任を以て従来の現行の制度によらないでということを言明し得る資格はございませんけれども、ともかくもこの被害の深刻広汎なことからいいまして、これは相当やはり考えなければならんということは痛切に感じておりますから、そういう考えで私は善処して行きたいと思つております。
  133. 吉田法晴

    吉田法晴君 今あなたは、現行にこだわらん云々と言われるからそれを速かに立ててもらいたい、こういう気持で御質問申上げておるので、あとはテンポを一つ早く願いたい、こういうわけです。
  134. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) お諮り申上げます。台風二号の件について、本委員会としての意思決定を本日してはどうかという意見がございましたが、先ほど懇談会の結果、一部委員のかたから、その意思決定を明日に延期して欲しいという要望もありまするので、委員長としては台風二号による本委員会の結論を明日出すことにいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) さよう取計らいます。  それでは明日以後の小委員会の審査並びに調査上必要でございまするので、本日目頭に説明を聴取しつつありました中央本部から出された資料についての、残つた部分に関する久田参事官の説明を重点的に十分間程度聴取いたしたいと思います。
  136. 久田富治

    政府委員(久田富治君) 只今御要求によりまして、十分間程度変つたところだけを申上げたいと存じます。  丁度説明が農林水産業施設関係、これとそれの関連の説明資料が済みましたところで、第三の鉱工業商業関係等(通産省)これに及ぼうとしておつたところでございます。丁度枚数にいたしまして中途辺のところでございます。この数字に関しましては、昨日提示申上げました資料とは何ら変つてございません。これは主として融資関係によるものでございまして只今中小企業庁を中心にいたしまして、関係の向きと折衝中でございます。  それから次は、その次の頁の(4)国鉄私鉄港湾その他関係これでございまして、国鉄関係といたしまして四十九億一千九百十九万四千円、これは国庫負担、地方公共団体負担こういう区分ではございませんので、国鉄の公社としてまあ融資を希望すると、そういうことでございます。あと同様にそういうように御覧頂きまして、ちよつと変に思われますかも知れませんが、地方鉄道関係といたしまして、国庫負担六千万円というように出ておりますが、これは当然地方鉄道会社において被害を負担すべきではございますが、今回の被害が莫大でございまして、六億六百五十万円一番右の計とございます。これが被害総額でございますので、従来の例に倣いまして国庫から約六千万円ぐらいの補助金が欲しいと、まあそういう要求だそうでございます。これは要求としてお考えを願いたいと思います。大体そういうようなことでこの頁は終らせて頂きます。  それからその次は建設関係でありますが、(6)河川住宅等これでございまして、直轄河川四十八億、これは変りません、国庫負担でございます。それから直轄道路六千万円、これも変りません。それから地方公共団体、これの分も変りございません。これは県別が下のところに別表(1)となつて出ております。それからそり次の都市関係、主として水利施設でございますが、次の別表(2)でございますが、この点につきましてこの委員会からこれは網羅つ的に出ておらん、もう少し調査を厳重にやつてくれんかというお話でございました。それで特に松浦線の奥のほうの僻陬地域或いは離島そういり所について重点的に建設省のほうで調べて頂きましたが、今のところでは何ともしようがない、わからない。現在わかつておる範囲では都市関係の単独事業についてはこの程度だということでございます。なおその点につきましては、建設省を督促するつもりでございます。それからその次の別表(3)建物関係被害額でございますが、これは県別に出ております。それを金額といたしまして、一番右の欄に九十二億一千六百六十三万円というように出してございますが、この金額の出し方につきましては一応のこしだめ式のものでございまして、国警の数字が大体出ておりました数字これをもとにいたしまして全壊流失は一戸五十万円、半壊、一部破損それにつきましてはつつくるみ二十五万円、それから床上浸水これはつつくるみ三万円平均、こういうふうな平均数字をぶつかけたただの推定数字でございます。  それから警察施設通信関係、その点は変りございません。労働関係施設、これも変りございません。  それからその次の厚生関係施設被害額、これは厚生関係の(1)の国立公園関係から始まりまして(26)の引揚者住宅に至るまで各県別に詳細が出ておるわけでございます。  それからその次の参考といたしまして、これは当委員会で昨日要求されました分を被害とは認められませんけれども、その他経費として大きく計上さるべきものというので要求されました。第一点は、国警の活動経費でございますが、国家地方警察本部、国警に関しましては約五千万円ということでございます。但しこれは自治警は入つておりません。自治警のところは只今調査中でございます。それから保安隊の活動経費でございますが、保安隊といたしまして一億四百五十四万円、その内訳が次の通りで一番大きいものが機材費、機材費と申しますと燃料とか……、燃料が一番大きいものでございます。それからずつと行きまして運搬費、これは国鉄に支払う運賃その他でございます。それから警備隊の活動経費、これが四十万円でございます。総計いたしまして活動経費として一億四百五十四万円、その次が災害救助法に基く経費でございまして、これは災害救助法の二十三条で救助の内容といたします種類とか、期間とかがきまつております。その枠内で活動いたすと考えられます経費が八億八千四百九万五千円ということになつております。それから防疫関係に要した経費、これが二億一千百二十二万六千円、こういうことになつております。それでこの参考に掲げてございます(1)の活動経費、災害救助法に基きます経費、防疫に要しました経費合計いたしまして、ちよつと書き漏らしてありますが十二億五千二十六万一千円ということになつております。なお家財道具その他どのくらい損害があるかということが御要求ございましたが、これは保険協会のほうで一体動産保険はどのくらいかけておるかということを聞きましたところ、大体現在動産保険につきましては六万円から七万円ということでございますので、その数字六万円か七万円というものを信頼いたしますならば、それと国警の罹災世帯数というものをかければ出て来るわけでございます。それからもう一つ労働力の損失は幾らかという要求がございまして、これは内閣の統計局のほうで労働力の関係から生産人口構成、人口構成を指数にとりまして、それと国警の罹災者の数というものを双方突き合せまして調べましたところ、労働力の損失といたしましては五十七万という数字が出ております。以上で昨日御要求になりました非常に不備な点を補つたつもりでございます。
  137. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑ございませんか。それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時五十八分散会