○山田節男君 今の永井
委員の
質問に関連してでありますが、これはもう永井
委員が指摘された
通りに、結局当面の問題は、
政府がこの特別
措置法を裏付ける
予算の処置をどうするかということにかか
つていると思う。こうして今罹災地の者が家を失い、土地を失
つて、明日にも困る。一昨日各班の
報告を聞きましても、又緒方副総理も親しく罹災地を御覧に
なつた。この惨を極めたものを、これを一時も早く復活しなくちやならんということは、これはもう
政府、
国会の最高の今任務である。そこで私は今永井君の
質問に関連してお伺いいたしますが、これは我々が今見た
資料で判断いたしましても、大体六月、七月、八月にこうむ
つた水害による損害というものは二千五百億を突破するのではないか。
政府の最低
限度の
査定を見ましても、やはり千数百億になるのじやないかと思います。でありまするから、我々がこの
法律を作るにいたしましても、
予算措置の伴う
立法でありますから、国家の
予算、財政を無視して、我々が徒らに
立法するということの前例を残してはいけない。殊に参議院の
水害対策委員会だおきましては、それぞれ
政府の
各省の者を呼びまして、
政府によるいろいろな
資料を義々は参考とし、又どうしてもこれをやらざるを得ない
応急対策と、更にこれを二種に分けて、
応急対策と恒久
対策を立てる。そうしてこの特別
措置法を作
つて、大よそ我我がどのくらいの金が要るかということを十分目算をつけてこの
法律を作
つた。
立法府が慎重に
政府関係各省の
資料を取り、又
政府委員を呼んで、単なるこれは空想ではない。又事実これだけは何とかしなくちやいかんという
法律を我々は作
つたのであります。然るに今緒方副総理の
お話を聞きますと、結局これはもう財政上の見通しがつかなければ如何ともできない。これは私は
大臣でありまするから、殊に副総理として政治的なことだけしかおつしやらんのでありますから、極めて漠然とおつしやるのでありますけれ
ども、結論はそうだと思う。若し二十四の
立法措置に対しまして
予算措置が講じられなければ、これが進まないということになりますれば、この
法律は死文化いたすのであります。而も家を失い、土地を失
つて明日どうするかという者に対して何ら希望を与えないということになる。これは重大な問題と思う。こういうことになれば、私は
政府は何をおいても財政的な捻出をいたして補正
予算に組んで
臨時国会を九月末に開くのが当然だと思います。然るに今日まで開かれない。補正
予算の目安も立
つていない。又我々官庁に行きますというと、二十八年度の
予算の、あの
予算の審議の経過は自由党、改進党の馴れ合いによ
つてできた
予算で、官庁におきましては一種のサボタージユ、まじめに
予算の編成をしておらない。かようなことで荏苒として全国の二度目の大
水害による犠牲者を放
つておくこ乏は許すべからざることである。
政府も然りでありますが、我々もこのことについては重大な責任を感ぜざるを得ない。そこで私は今緒方副総理の永井君に対する御
答弁をずつと伺
つておりまするというと、結論を言うならば、
政府においては何ら
予算については
対策がない。結局できるだけ今の
予算でやるということしかない。これは私は何と申しても吉田内閣の非常な無責任であると思う。そこでお伺いしたいことは、補正
予算が組めないという理由も私はわかりますが、当面しておる内閣の問題は結局MSAの問題、小笠原蔵相が行き、池田自由党政調会長が行くとか行かんとか
言つておりますが、私は一昨年アメリカにおりましたが、そのときの講和条約を締結する直前に吉田総理は、日本は国氏の経済が復興し、安定しなければ軍備は絶対にやりません。こういうことを
言つておる。然るに我々が新聞で見ましても、このMSAの問題に関しまして、自衛力を漸増せざるを得ない。ノーランドに怒られ、ダレスにはつぱをかけられ、かような工合で以て我々いろいろな情報によりますと、現在の保安隊の十一万を四万殖やさざるを得ないというのがぎりぎりなんだ。ワシントンはそれを聞かない。ここに少くとも吉田総理
大臣が国民の生活が安定しなければ自衛力の漸増はできないということを我々に言明しておる。それなれば、今日二度の大
水害によ
つて国民が塗炭の苦しみをしておる。これをやるには保安隊の増強などは問題ではございません。我々国民に先ず土地を与え、家を与えるのに二千億の金が要るのだということを堂々と私は言うべきだと思うのです。併し私は今までの緒方副総理の御
答弁を見ますというと、
政府には何らこれに対する施策がないととらざるを得ない。併しこれは何としても責任者でありますからして、
予算措置は
努力をされておるということは確信いたしますが、この自衛力漸増というようなことを今私新聞で判断いたしまして、相当
政府は困
つておると思う。今伺いますというと、税の自然増に対しましても三百八十億、四百億ない。保安隊を四万殖やすには少くとも四百億の金が要る。かような矛盾した状態の下におきまして、今緒方副総理のようなお答えを聞きますというと、これは永井
委員の言われますように、吉田内閣は今日この困
つておる
水害対策について根本的なものが財政的に行詰
つておるのではないか、こういう懸念を私は深くするのでありますが、副総理は大蔵
大臣を兼ねられ、又副総理の地位におられるのでありますが、吉田内閣の責任者である。でありますから、我々は今後の審議におきましても先ず副総理から、かような財政状態である。公債を発行することは大きなインフレの要因になるけれ
ども、併しこれは何とか公債を発行して金を作らなければならんということは、十分これは焦眉の問題としてお
考えにな
つておるのは当然であると思う。でありますから、今の永井
委員の
質問に対する御
答弁に対しまして、どうも歯に衣を着せたような御
答弁でよくわかりません。この二十数名の
委員がここに来て超党、派的な立場で以てこれを審議して何とかしたいということを
考えておるのでありますが、私は緒方副総理にここでお願い申上げますが、一体この財政的
措置ということが是が非でも、場合によ
つては自衛力の漸増というようなことも先ずモラトリアムを発してもら
つて一つ国民を救うという、そういう肚が一体あるのかないのかということを私は伺う。でなければ、今のような御
答弁ならこの審議を続けても何にも生まれないということになる。これは
政府の責任であり、国権の最高の府である我々
国会の責任でありますから、もう一回明快な御
答弁を願いたいと思います。