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1953-06-15 第16回国会 参議院 図書館運営委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月十五日(月曜日)    午後一時二十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋 道男君    理事            岡田 信次君            野本 品吉君    委員            大谷 瑩潤君            徳川 頼貞君            石黒 忠篤君            安部キミ子君            竹中 勝男君            八木 秀次君   国立国会図書館側    館     長 金森徳次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度国立国会図書館予定  経費要求書に関する件 ○国立国会図書館経過報告に関する  件   —————————————
  2. 高橋道男

    委員長高橋道男君) それでは只今から図書館運営委員会を開会いたします。  先ず第一に、昭和二十八年度の国立国会図書館予算に関する件を議題といたします。つきましては、昭和二十八年度国立国会図書館予定経費要求書につきまして、金森国会図書館長から説明を聴取いたします。
  3. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 昭和二十八年度の国立国会図書館予定経費要求は、お手許に差上げてありまする資料に従いまして、御説明を申上げます。図書館予算はその要求二つに分れておりまして、一つ運営通常の費用であります。一つは新らしき図書館建物を作ることに関しまする経費であります。それを取りまとめてこの予算の中に出してあるのであります。  先ず昭和二十八年度の予定経費要求総額は、合せまして三億七千四百五十六万八千円という額でありまするが、そのうち国立国会図書館管理運営に必要な経費は、少しく二、三行書類で離れて出ておりまするように、二億七千四百七十一万七千円というものになりまするし、それから図書館営繕工事に必要な経費は、少し先のほうに参りまして九千九百八十五万一千円という数字が出ております。  先ず図書館管理運営に必要な経費について申上げまするが、大体、前年度と比較して申上げますると、昭和二十七年度の予算額は二億九千三百六十一万三千円でありまして、昭和二十八年度はそれよりも千八百八十九万円ほど減少しておる数字なつております。減少するということは、表面から見ますると多少不思議なようにも思われまするが、この昭和二十七年度の図書館管理運営に必要なる経費の中に、補正予算でP・B・レポート購入、その閲覧に必要な臨時的な経費を合せまして六千九百七十万八千円というものが追加計上されておりまするが、これは一年限りの経費でありますので、本年のほうには引継がれておりません。それを差引いて計算をいたしますると、昭和二十八年度の予算におきましては、結局五千八十一万二千円だけ増額されることになつておるのであります。これは一般事情によりまして、図書館運営経費が殖えた実額、予想の実額であります。  次に図書館営繕工事に必要な経費につきましては、これを前年度と比較いたしますと、昭和二十八年度におきましては、本建築に要する経費九千九百八十五万一千円が計上されておりまするので、従来のものに比べますると、一千六百四十二万円の増加となつておるのであります。これは建築に関しまするいろいろなものはそのときそのときで処置されて行きまするので、新らしく図書館計画数字と前のいろいろな暫定建物に必要な経費というものとの間には正確な関連性はないのであります。  以上二つのものを差引合計いたしますると、昭和二十八年度の予定経費要求額は、前年度に比しまして二百四十七万六千円を減少しておる形になります。これらの予定経費を各科目ごとに前年度のそれと比較いたしますると、お手許に差上げてありまするこの資料のようになつておりまするが、先に申述べました本建築に要する経費以外には新規の経費要求を殆んど含んでおりませんし、又既定経費につきましては、人件費図書購入費などを除きますと、旅費及び物件費等につきましておよそ一割五分の程度に節約を図つております。さような筋道でございまするので、何とぞよろしく御審査をお願いいたしたいと思います。
  4. 高橋道男

    委員長高橋道男君) 只今図書館長の御説明につきまして御質疑のある方は逐次御発言を願います。
  5. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 前回の委員会に欠席して、或いはお話が出たのかも知れませんが、庁舎の新築というと、どこへどういうものができるでありましようか、今年度……。
  6. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この図書館建物を建設いたしまする計画は、ずつと前からこの図書館の実際の運営をいたします頃から次第々々に準備をしておるのでありまするが、なかなか時期がめぐつて来ませんで、そこで今まではこの暫定建物、いわばバラックに近いものをこしらえまして、それで補いとして、焦眉の急を凌いでおつたのでありまするが、やつと昨年の十二月頃から、つまり新しく予算を計上いたしますその時期の頃から、大分本格的な機運が高まつて参りまして、今度この図書館の正式の建物を作る準備ができて来たわけであります。けれども、これにはどこに作るかという問題と、どのくらいのものを作るかという問題と、それをどういう順序に従つて作るかという問題、この三つの問題が起つて参りまして、なかなか一遍にはきまりませんのでありますが、そのうちどこに作るかという問題は、いろいろと研究をいたしました結果、何しろ国会に密接の関係を持つておりまするから、国会に一番近い所に作らなければならん、こう考えまして、国会に一番近い所というのは、まあ数学的にいつて東西南北、四つあるわけでございますけれども、いろいろ既定計画どもできておりまするし、又不便なところもございまして、結局今の国会建物のいわば左側に該当いたします旧ドイツ大使館のある付近が一番適当であろうということが、自然種々方面から話がまとまつて来たわけであります。そのうち一番大きなものは、図書館建築委員会というものがございまして、そこで正式に承認せられまして、議長にも報告せられたのでありますが、ただこれを実行いたしますにつきましては、何しろ旧ドイツ大使館の跡はそんなに大きくないということが一つ、大体六千坪でありまするけれども、六千坪どころではうまく行かない、こういう見込がございまするし、もう一つは、あれは前にはドイツ大使館があつたのでありまするから、戦争の結果あの権利は一応消滅しておりまするけれども、併しものの筋から申しまして、今までドイツ大使館作つてつた所を、全然断りなしにこつちで使つてしまうということは穏当でない点がございまして、この二つの点を解決する必要があるのでありまするが、土地の面におきましては、六千坪を中心といたしまして、周りに少しずつ買足しをして、今のところではおよそ合計一万坪敷地を持ちたい、こう思つております。予算等都合もありまして、一遍には参りませんけれども、昨年およそ九百坪ばかり民有土地買上げまして、まだ土地は残つております、買上げのできない土地はございまするけれども、漸次固めて行きますれば、将来の理想通り図書館を作る土地計画はできるかと思つております。いま一つドイツ大使館のほうからあの土地を返してくれという要求があるのではないかということは前々から懸念をしておりまして、日本国内の側におきましては、各官庁にお打合せをして、大体の了解を得ておりましたけれども、今の実情は、ドイツ大使館のほうからあの土地を一応は返してもらいたい、こういう希望日本のほうに来ておるのであります。併しそれは話合いをつけてみますると、あの土地そのものを必要とするのではなくて、ドイツ大使館を作るに必要な換地が欲しいということでありまして、だから問題は換地を見立てて、相手国相談をするというふうになつております。これとても今日はつきり相談ができておるというところまでは申上げかねますけれども、大体先方とも話を進めておりまして、およそこんな土地ならば向うも満足するのではないかと思う土地がございまするし、そういたしますれば、その土地を、これは民有地でありますから、今考えておりまするのは民有地でありまするから、その土地日本政府の手で買つて、これを換地に交付するということが穏当のように思つております。これは法律的に申しますると、あの土地には実はドイツ権利がないのでありまして、意地悪くやればこちらで建てられる、こういうような状況なつております。
  7. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 大体全部完成いたしまするのにはどれくらいの時日と総額を要するお見込ですか。それをお開きします。
  8. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これが非常に困難な問題でありまして、その点につきまして、今までいわば自分たちのほうだけでいろいろと計数を作つてつたのでありまするが、建築委員会その他の大蔵省を除きました部分の関係者意見といたしましては、将来は、でき上つた場合には建坪として四万五千坪のものを作りたい、こういう希望であります。これは今の国会建物の約三倍に当るものでありまして、非常に大きな計画言つてもよかろうと思いますけれども、今の実情でそういうものが作れる見込は私どもないと思つております。そこで一応それを三分の一にいたしまして、一万五千坪という計画を立てております。ところが一万五千坪の計画というものも、財務当局のほうからは決して承認するような顔はされておりません。これはいろいろ財務当局交渉いたしましたところ、昨年の暮頃までの計画では、財務当局は五千数百坪のものならば金が出そうだ、こういう話合いでございます。けれども五千数百坪というのは、私ども図書館の現に使つております坪数が四千数百坪でありまして、それに僅かばかり加えましても、今だつてごみ溜めのようで、手も足も出ないくらい今日なつておりますので、幾ら建物形等を工夫いたしましても、それではすぐ行詰まるのでありますから、それでは何ともしようがない、どうしても大きい建物でなければならない、こういう主張をしておりました。本年の一月でございましたか、図書館運営委員会大蔵省側委員に、政府委員に出てもらいまして話を進めて行きましたところが、初めの大蔵省側意見は、やはり五千何百坪というものの設計であるということでありましたが、衆議院及び参議院の図書館運営委員会の方々の非常に強い御主張によりまして大蔵省は正式に四万五千坪、一万五千坪、それから差当り計画と、こういうものを理論的には承認をするということを申しました。併し、実際これを行うときのお金の都合があるからして、そちらのほうの言明はできないというようなふうでございました。いろいろとこれも相手のある交渉でございまするが、私のほうでは、先ず八千坪を一番初めの工事として作る。八千坪ができ上りましたら、これに続いて七千坪のものを作りたい、四万五千坪は暫らく後の問題、こういうふうにして、多少大蔵省との交渉でありまするから、そう突き詰めたところまでは行つておりません。線としてはそういうところに進み、具体的なものはあとの交渉に残つておるという姿であります。  今回頂きましたこの予算は大体一億の額であります。少しばかり刻まれておりますけれども、これは今度の庁費一割五分減という一つの線に沿いまして、極く僅か減つておりまするが、この大体一億の金額は、今のところは八千坪の建物を作るということを狙いにしてでさておる数字であります。ただ八十坪というものが何年間にできるか、これからが全く問題でありましてまださだまつておりません。私どものほうとしては、今もう行詰つてしまいまして、例えば本が入りましてもどこに置くこともできない。地下室のいわば石の上に置いてあるというようなものもございまして、本当に言えば図書館の本義に反するような姿であり、寝ても醒めてもこういうやり方では申訳ないと思つております。だからもうできるだけ早く作つて頂きたい。私どものほうは、今回も含めて四年の間にでき上ることを願望しております。併しこれはまだ話はその辺のところから立消えになつておるわけであります。
  9. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 我々もせいぜい早くできることを念願いたします。
  10. 高橋道男

    委員長高橋道男君) ほかに御質問ございませんか。御質問がなければ、何か御意見がございますれば同時に御発言願います。  ちよつと速記をとめて下さい。    午後一時四十二分速記中止     ——————————    午後二時十二分速記開始
  11. 高橋道男

    委員長高橋道男君) 速記を始めて。この要求書についての措置如何いたしますか。
  12. 岡田信次

    岡田信次君 この要求書勧告を付けるか付けないかということだろうと思うのでありまするが、本日の冒頭、委員長からお話もございましたように、図書館運営委員会として本建築の問題について大蔵大臣に申入れをされておりますし、一方二十八年度の予算にこれ以上政府が金を出してもなかなか工事のほうはそれに伴わないという事情もこの前の委員会で伺いましたので、今回は勧告書を付けないで、例えば今回の予算がきまつた機会に、夏に二十九年度以降の本計画に対して強力に推進する意味勧告なりその他の措置を講じたら如何かと、かように考えます。
  13. 高橋道男

    委員長高橋道男君) 只今岡田委員から御発言ございましたが、ほかに御意見はございませんでしようか。只今の御意見勧告を付けないでこの経費要求書議長に送付するという御意見だと思いますが、それに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 竹中勝男

    竹中勝男君 付帯して勧告を何遍もしても同じだというような考え方でなくて、有効な勧告をやはり考える必要があると思うのです。国会図書館現状からすると、今年は皆さんの御決定の通りで結構と思いますけれども、何かそういうことをやはりいろいろ考えて頂きたいと思います。国会図書館の建設について……。
  15. 高橋道男

    委員長高橋道男君) それでは昭和二十八年度国立国会図書館予定経費要求書は、勧告を付けないで議長に送付することに決定いたします。   —————————————
  16. 高橋道男

    委員長高橋道男君) 次に国立国会図書館経過報告に関する件を議題といたします。  この件は、国会図書館法第十一条によるものでございますが、先ず金森図書館長から国立国会図書館昭和二十七年十月から昭和二十八年三月までの経過に関して御報告をお願いいたします。
  17. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今手許に「国立国会図書館経廻報告要綱」というものを差出しておりまするが、大体それに基きまして御報告を申上げます。  丁度この期間は、一年度の下半期になつておりまするので、新しい問題は殆んどなくて、ただ今まであるものについて後半期分経過を申上げるようなことになりますので、数字等は複雑になつておりまするが、格別取上げて申上げるほどのこともございません。余り細かいことを一々申上げますのも恐縮でございまするが、ただその報告書に基きまして、一、二目立つた事柄について申上げたいと思つております。  先ず最初の頁につきまして、一、組織という所がございまするが、組織は大体従来と同じでございましたけれども、ただ支部図書館がこの期間二つだけ殖えたのであります。と申しますのはいろいろ官庁が名前を変えたり、新らしくできたりいたしまするために、この期間支部自治庁図書館支部海上保安庁図書館、この二つできまして、その結果二十六支部図書館が二十八の支部図書館なつたわけであります。大局から言えば漸次この図書館系統組織が整つて行くという形になるのであります。  次にこの第一枚の裏を返しまして二、人事というものがございまするが、これは職員の定員その他を書いておりまするが、定員につきましては、昨年の四月一日を契機といたしまして、行政整理によつて人が若干減少いたしまして、その過渡期の処置といたしまして多少の人員の異動はございますけれども、現在は五百六十六名を定員といたしております。現在員は少々欠けておりまして、最近には中央館が四百十八という数字が出ておりまするが、これは年度変りのときでありまして、新らしく学校を出た人を採用するために少しく定員に余裕をこしらえておつたのでありまして、原則といたしましては充実いたしておるのであります。  次に主要なる人事といたしましては、そこに掲げてございまするが、例えば専門調査員大久保利隆アルゼンチン駐在大使なつてしまつたということで欠員を生じておりましたが、これは外交関係のこと、国際法関係のことを担当する人でありまするが、後任者として別府節彌を採用することにいたしました。  次に三という所、「国会への奉仕」という面に入つて参りまするが、何と言つて国会への奉仕の一番大きいものは、調査立法考査局考査でありまして、議会からの或いは議会関係者からのご質問に応じまして、いろいろと必要なることを調査してお答えを申上げるのでありまするが、そこに書いてございまするように、立法考査局考査件数は、この半年の間に千四百十二件でございまして、これを一年に引延はしますと二千八百ということになりますが、始終殖えたり減つたりしておりますから、きつかりその通りにはなりません。大体月に二百件以上近頃考査もとめに応じておるというのが姿であります。又書物出入れ等はそこの数字の上に現われておる通りであります。  その次に参りまして、四の「行政司法部門への奉仕」というのがございます。これは国会図書館の機能といたしまして、国会にサービスすることのほかに、各官庁或いは最高裁判所というような行政司法の各部門奉仕する職責がございまして、そこに図書閲覧の途が開かれております。又書物の貸出をしたり考査をいたしたりしておりますが、その数字が概要そこに示されておるのであります。一括して言えば漸次その数量が増加して、初めは細々と立上つた奉仕でございましたけれども、次第々々にその奉仕の内容が潤沢になつて来るというのが現状でございます。  次に五の「一般図書館及び一般公衆への奉仕」という点について申しまするが、このことは通常意味図書館と言われておりますところの仕事に当つておるのでありまして、大体数の上で申しますると、上野図書館が一番大きく活動いたしております。その次には中央館が活動しておりますが、そこにAとBの所に示されておりますように、中央館は半年の間に八万四千人によつて利用され、上野図書館は十六万七千人によつて利用されております。こういう利用の値打は数ばかりではわかりません。その実質上の点に触れて申上げなければなりませんが、漸次高級者利用して行くのでありまするけれども、大体から言えばまだ頗るその当初の趣旨に合わないというきらいがございます。それから支部図書館のほうは、今の上野図書館を除きまして静嘉堂文庫、東洋文庫大倉山分室という三つが丁度一般図書館の姿を呈しております。何しろこれは特殊な存在でありまして、利用者の数も利用された書物の数も極めて少いものであります。殊にこういう静嘉堂及び東洋文庫のような極端に限定せられた目的を持つておりますものは、かような姿も止むを得ないものだと思つております。  それから先に参りまして、大きい区別の六、「国際交換業務」という所に入つて行きますが、各国の間に文書の交換をするということは、この図書館一つの大きな任務でありまして、そこでこの国際交換ということに重点をおいておりますが、まだまだ我々の図書館は世界と交通をする上におきまして十分ではございません。アメリカ中央政府とは公けに刊行せられた資料は全部交換をしております。全部というのはすべてを一かためにして交換をするという方法をとつておりまして、全体で相当の数に上つております。ほかのものも含めてはおりますが、そこに掲げた数字によつてわかりまするように、日本から外国に送りましたものは図書雑誌で一万八千五百を送つておりまするし、代りに外国から受取りました図書雑誌は八千百三十二冊ということになつております。これは両方で受取つてしまうというものでございまするが、そのほかに甲の図書館と乙の学会との間に図書交換的に送るという場合の斡旋をもいたしております。この数字もそこに出ておりまするが、国内から外国に発送いたしました書類は五万二千百四十五冊になつております。相当数の上で大きなものになつております。  それから次の七の所の「図書館資料の収集及び整理」ということは、これは非常に大事なことでありまして、図書館図書館資料がなければ意義をなしません。あらゆる方法を以て図書館資料を集めるように努力しておりまするが、ここに挙げました数字は、ただこの半年の間に起つた変化だけを掲げておるものでありまして、その蓄積された全数を示しておるものではございません。大体蓄積されたものは、中央館におきまして約七十五万ばかりになつております。支部図書館を含めますと四百万を超す形になつております。図書館書物計算というものはまだまだ合理性を持つておりませんで、ただ数字だけをここに申上げても、それだけでは何ら意味がないと思いますが、その点は省略さして頂きます。  そのほか先のほうに人員表等もございまするが、それも一応印刷物によつて御覧を願うことにいたしまして最近のこの六カ月内に図書館としてやや目星しい問題が二つあるのであります。一つはP・Bレポートを買込んだということであります。たびたび申上げて恐縮でありますが、ドイツオーストリア等戦争終了の頃に持つておりましたところの発明、著作の印刷物或いは書いた物の記録は約十数万で、アメリカのほうに持つて来られましたものがだんだん開放せられて我々もそれを手にすることができる、これを利用いたしますれば学問の上にも相当進歩するというのでありますけれども、いろいろの事情でなかなか日本にはその全部のものが入りかねておる状況であります。昨年夏頃でありましたか、その点にも、予算関係を離れておる時期でございましたが、各方面お話をまとめまして、そこで差当り十万五百点だけはその文献を買入れようということになりまして、早速注文をいたしましたが、なかなか外国のことで思うように任せません。まだ到達はいたしませんけれども、このうちのミミオグラフ版でできておりますものは多分今月の終りか来月の初めに着くと思います。もう船で発送したという意味の通知が来ております。それからフイルムで来るものはアメリカ国会図書館で考慮してくれるらしいのでありますが、八月の末ぐらいに入手できるであろうと思つております。そうなりますると、学問的な調査図書館としての任務の一端を達し得るものと思つております。  第二の点はいよいよこの図書館写真施設相当程度準備するということであります。この写真施設、つまり書物マイクロ・フイルムに写すとかいうような作業を、この図書館ができます当時から考慮に入れましても、当時写真機も買うこともできないような事情為替等の面から思うように任せません。そこで一つだけ極く小さい写真機を、アメリカの持つておるものを借りて使つておりまして、今日までもそういう携帯用写真機を借りており、これでどうにかマイクロ・フイルム写真をとつておりました。そんなことでは実際日本需要を満たすわけに行きません。民間にも少しばかり設備がだんだんできて参りましたけれども、併し今回そういう写真機の写すほうのものを四組ばかり整えまして、なおこれの現像施設等の技術的なことは、私は存じませんが、比較的最新の設備をしたものを整えまして、この次の半期の間にはできることと思つております。現在その道具類アメリカから船荷証券は送つて参りましたが、まだ荷物は到達いたしません。そのうちに到達すると思います。技術的に研究をする人もアメリカに差出してございますけれども、五カ月の修業を終つて帰るのもそんなに遠くないことと思います。これが入りますると、かなり別個の需要が出て参りまして、いろいろの書物希望に応じてこの図書館で縮めて渡すということもできましようし、殊に新聞紙等の保存に非常に困難なものが、マイクロ・フイルムによりまして百分の三とか百分の四であるとかいう大きさで保存までできるように、而も紙は腐らないで、どのくらいもちますかわかりませんが、調査によると、五百年以上もつというのでございまするから、そういう方向に貢献できるものと思つておりまして、現に日本の或る部分からはそういうことについて協力してもらいたいという希望も出ております。今この際にはできておりませんけれども、多分二カ月くらいの後にはこの二つともほぼ目鼻がつくものと思つております。附加えて御報告申上げます。
  18. 高橋道男

    委員長高橋道男君) 御質問なり御意見あれば御発言願います。
  19. 野本品吉

    ○野本品吉君 国際交換業務のことでございますが、相手国とは大体どの範囲ですか。
  20. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今のところでは、相手国アメリカ中央政府と我々との間には完全に全部を交換するという道順をとつております。併しそのほかの地域、例えばアメリカの各州とか或いはヨーロツパの冬地域というものには、基本的な約束がございませんで、そこで希望に応じて大体両方で損の行かないような、合理的な気持で交換をするという態度をとつておりますが、だんだん拡がつて参りまして、局部的ではありますが、イギリスともやつており、フランスともやつており、ドイツともやつておるということになつておりますけれども、併し今のように一般的というわけでございませんで、まあ微々たるものであるわけでございます。で、これが一番根本は、条約か何か要るもののような気がいたします。全部的にとか、或いは大仕掛な文献資料交換には条約が要るのでございますけれども、まだそこまでの方法が付きませんで、アメリカとの関係におきましては、今年の初めに一人向うへ出しまして、そうして交換条約の下ごしらえの相談をして参りましたが、いずれにしても正式になるとすれば、外務省の仕事になつて来ますので、まだすぐに行かないので、まだ近くは慣習法でやつておる状況であります。
  21. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つ伺います。副館長さんが欠員のようですが、これはどういうことになつておりますか。この表を見ますと……。
  22. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 副館長が欠員になつておりますることは、どつちかと言えば、私の不徳であります。申訳ない次第であります。ただかようになりますにはそれだけの事情があるのであります。事情がありましても、弁明には実はならんかと思つておりますが、この図書館が五年半ばかり前にできまするときに、やはり副館長問題で相当もつれがあつて、衆議院と参議院の間に激しいもつれがあつたのであります。それがまあ今に来ております。それで昨年五月に副館長が亡くなりまして、あと作つたという段階になつたのでありますが、それから先まだできないということは、今日私としては表向きに弁明はできませんが、ただ私の力足らざる故であるというように申上げるよりほかしようがございません。併しほどなくこれは何とかして副館長を置かなければならんものと考えております。
  23. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の副館長の問題ですが、館長としてはできるだけ早い機会に適当な人がほしいということですね。
  24. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) そうです。これは私ども何も手を打つていないというわけではございません。併し私どもの手の打ち方が悪かつたのであつて、今日まで実現を見る機会に恵まれなかつたわけであります。
  25. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 国際交換業務国内から外国へ発送される書籍はどういう種類のもので、どこへやつておられますか。
  26. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 大体これは日本側におきましては学術団体が中心であります。向う側におきましても学術団体が中心であり、従つて大学とか学会とかいうものの間に交換されるものでありまして、この手を使いますると、郵便による経費が非常に省けるわけであります。というのは、国内では私のほうの図書館まで品物を送り届けられなければならないのであります。これは郵便であり、或いは荷物にして持つて来られます。そこで私のほうで大きな箱に詰めまして、船の荷物として送りますために、非常に安価に行くわけであります。勿論時間が少しかかるかも知れません。これがアメリカに参りますると、スミソニヤン協会の手に送り届けられます。スミソニヤン協会でこの中をあけまして、それから先は向うの規則によることでありますが、大抵郵便無料で行くということになつておりますので、先ほど申上げました五万数千件の書類というものは、そういう意味で学問上の役に立つという趣旨に考えております。
  27. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 そうすると只今お話のこの分は、もつと殖えるということが言えるわけですか。
  28. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは今のところは私のほうで格別の制限もせず、各部局の御希望に従つてつております。でありまするけれども、大体殖える傾向にありまして、一面から見ると結構なことなんですけれども、私のほうの図書館のほうの立場から言いますと、経費その他を全部背負わなければならないのでありまして或る意味から言えば痛し痒しの状況でありますが、そうは言うものの、この線によつて学問の交流をさせるということは、私ども任務であります。ちよつと口が滑つて悪いことを申上げましたけれども、実は一生懸命やつておるわけであります。
  29. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 いま一つ伺いたいのは、一般図書館の、上野図書館閲覧状況におきまして、そこで見られる本と、おのずから中央館において見られる本と、おのおの特色が違つて来ると思うのでありますが、上野図書館のほうではどういうものが一般に見られ、中央館ではどういうものが見られるのですか。
  30. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは主として沿革的な理由に基くのでありますが、上野図書館は明治五年から八十年の間、ただ一つの国立図書館として伸びて来ておりますから、その八十年間に集め得られましたような国家的な貴重な文献は全部上野の図書館にあるというふうに考えられるのであります。写本であるとか、その他ただ一冊しかないというようなものであり、いわば歴史的に見て相当価値ある本が上野のほうにあるのであります。それから私どもの図館書は、今から五年数ヵ月前に立ち土つたのでありますから、勿論多少は古い本も引継ぎましたけれども、原則として新らしいものであります。そうして私どものほうでは外国書物を比較的多く買いまして、特に法律、政治、社会、経済というような面にかなり重点を置いておりますので、自然に特色ができて来るのであります。一体かようなふうに国の図書館が二組に分れて、何かその間にはつきりした連絡がないということは決して結構なことではございませんので、これは何らかの時期にもつと色彩を鮮明にしなければならんのであります。ところがこれが非常に困難な事情がございまして、というのはこの国立国会図書館法の中に、上野図書館を或る時期にこれを東京都に引渡せ、そして或る条件を付けてこれを管理せしめよという規定があるわけであります。この立法の趣旨をいろいろ私ども当時の関係者に聞いておりますけれども、なかなか私どもとしてその正確な意味がつかめないのであります。けれども法律は法律としてはつきりできておりますから、私どもはもつぱらその線に沿つて動くよりほかに途がないということになりまして、それで四年半くらい前にこの図書館にありますそういう図書館の連絡運営委員会にお諮りをいたしまして、それで上野の図書館にありますところの純国家的な、つまり国家として持たなければならない図書だけを中央館に移すということを議決いたしまして、順次それを移す運びをしておりまして、現在でも例えば博士論文とか或いは地図の類というものは移しておりますが、そこへ行きますと建物の不足ということが関係をいたしまして、持つて来られても、こちらで適当に置く所がないというので、或る代表的な物以外にはまだ移しておりません。で今申上げましたような形になつております。今のところ常識的に申しますると政治関係、例えば外国事情を、外国の経済事情、社会事情を直接に調査するという、多少高級な調査をする人はこの中央館に来なければならないのでありますが、ずつとくだけまして、一般人の読む読み物は上野の図書館に行く、こういうふうになりまして、時と場合には、こちらで見たい本がこちらにはないというときには、借出しの手続を或る程度までは融通しておるわけであります。そんな実情で今進行しつつあるわけであつて国会図書館の本当の建物がはつきりできますれば、そのときに書物その他をきちんと整理して合理化させることができようと思つております。
  31. 高橋道男

    委員長高橋道男君) ほかに御意見、御質問ございませんか。
  32. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 一つだけ伺います。外国へ出ます書類でございますが、それは医学書とか哲学書とか文学書、いろいろの種類がありましようが、何が一番余計出て参りますか。
  33. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) ちよつと今のは交換で行くものでございますか。
  34. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 はあ。
  35. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 交換で参りますものは、一般にいうと科学の書類ですね、例えば植物のものとか、もつと具体的に一例を言えば、日本でりんごは如何にして栽培せられておるかというようなことでございまして、つまりりんごの栽培というものはアメリカが本元かと思つておりましたが、どうも余りいいりんごができなくて、日本の青森県あたりにいいりんごができるというような点に着眼をしておるように見える面もあります。そういうものを交換してくれというような要望がときどき手紙で来るわけでありますけれども、もつと又はかの面もございまして、例えばミシガン大学などというところでは、日本のあらゆる雑誌類の交換を求めておりまして、その中には文学の書物もあり、美術の書物もあり、科学の書物もある。一わたり日本雑誌類を一目に見られるような意味においてたくさんのものの交換を求めておりますのでございまして、どうも一概に言えませんけれども、併し常識的に言つても、何しろ日本語を読む人は少いわけですから、つい科学のほうに重点が置かれるように思つております。
  36. 高橋道男

    委員長高橋道男君) 御質問、御意見ございませんか……。それでは図書館長報告異議がないときめてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 高橋道男

    委員長高橋道男君) それでは過去半年ごとの経過報告に関しまして、只今図書館長報告通り異議がないと議決いたします。  なお本件につきましては本会議において委員長から口頭報告をいたすことになつておりまするが、その内容につきましては委員長に一任して頂きたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 高橋道男

    委員長高橋道男君) それではさよう決定いたします。  本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後二時四十五分散会