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国立国会図書館長(
金森徳次郎君)
只今問題にな
つております点について
図書館側の
意見を申上げます。
この連絡調整
委員会は、或る
意味におきましては
図書館を監督するような
意味も持
つているものでございまして、
図書館としては受身の形に表面はな
つているのであります。そこで正式にはその調整
委員会の内容に関知するのではございませんけれ
ども、併し実質的には非常に利害
関係の深い立場に立
つております。今回連絡調整
委員会において御決定になりました
二つの項目は第一と第二に分れております。
この
二つの項目の第一は、
図書館の
運営の規模と企画の重要性に応じて合理的な
予算を配賦し得るよう措置されたきこと、この点でありますが、従来各官庁等にありまする支部
図書館はそんなに傷遇せられておりません。従来はその官庁のただ一部分としてのみ見られてお
つて、特別扱いはされていなかつた。その結果自然軽視されておつたという傾きでありました。
国立国会図書館の支部
図書館ということに名義がはつきりいたしましても、まあその進歩の
程度は漸進的であ
つて、そんなに飛躍的に進歩するとも言えなかつた。これはよそから見ておりますから真実とは違うかも知れません。従
つて各支部
図書館の方々は一方ならざる苦心をして順調なる発展をお図り下す
つたのであります。ところが今度我々の中央館の立場から見ますると、中央館のたくさんの職務の中におきまして、この支部
図書館と連絡して
仕事をして行くという」とは非常に重要でありまして、又その行き道が今まで非常に滑らかに行
つておりまして、
図書館機能はこの
方法によ
つて著しく完備して来たということは言を用いません。そういう貴重な支部
図書館に対しまして、我々は何とかしてよき努力をしたいと思
つておりまするが、万事必ずしも意のごとくにならないのであります。先ほどお話がありましたように、或るときに各支部
図書館には標準的な
書物を買入れる費用として五十万円の
予算を組んでもらいたいということを
大蔵省側に努力をしたことがございまして、それによりまして当初五十万円の図書購入費を中心とする
経費が織り込まれておりましたけれ
ども、それとても時代の浪によ
つて減るほうに向いまして、先ほ
どもお話があり三したように、三十万円に落されてしまつたというところもございます。さような
方法によ
つて図書館が合理的な活動をし得る
理窟はございません。殊に
図書館の種類によりましては非常な重要な幅の広い
仕事をなさるところもございまするので、それでは工合が悪いということは言を用いません。そこでこの決議の一におきまして「規模と企画の重要性に応じて合理的な
予算を配賦しうるよう措置されたきこと」ということは、我々
国会図書館本館側としては何よりも
希望するところのものであります。で、これがどうして行われるかと言えば、今日のところ各官庁、
大蔵省とも、その努力によ
つてできるものと思いまするので、それに何とかして協力と刺激とを与えて立派な結果を得たいものと思
つております。
それからこの二に示されております。るのは、「
図書館全蔵書を活用し支部
図書館の使命遂行上必要な基礎をかためしめるため、」という理由によりまして、あとのほうに若干の人的改善というようなことが予想してございまするが、これは今日支部
図書館というものは実際行
つてみますると非常にお気の毒な境遇に置かれておるものが多いのでありまして、本を置く所も不自由であり、中におる人も数が少いというのでありまするが、
仕事の分量は恐ろしく殖えて参りまして、
図書館を
利用するという面から言うと有卦に入るとでも
言つていいくらいでありましよう。
利用者は非常に殖えて来る。又そこに寄託せらるるところの
書物も随分殖えて来る。又そこでレフアレンス・サービスをする中身も年々殖えて来るのでありまするが、
予算の点、人の点というものはさほどに発達しておりません。その結果一番止むを得ないところに重点をおかるるのでありましよう、幾らか余裕を見得るような
仕事はどんどんあとのほうに残されてしまいまして、いわば経営的事務ともいうべき業務の基礎となりまする多くの
仕事が甚だしく停頓しまして、折角立派な
書物があ
つても目録にも載らない、本は殆んど自然の運命に任されて埃だらけにな
つて行く、こんなふうになりておるところが非常に多いのであります。こういうところを何とか適当に援助して立派な業績の挙げられるようにするという
方法はいくつも
考えられるに相違ございません。各官庁の
予算をうんと殖やしてそうして
図書館に金を入れてもらう、これがまあ一番簡単な
方法であろうと思います。併しいろいろの面を
考えますると、できるだけ経済的な面を行かなければならんとなりますると、ここの二にありまするようにもつと簡便な
方法をとることが
考えられます。ここに掲げてありまするのは、我々の
図書館の本館に
関係の司書要員を増加いたしまして、これを
利用して、一番必要を感ずる支部
図書館に機動的にいわば手伝いに行くというような
気持で、その支部
図書館の基本的業務の改善を援助するということが
考えられるのであります。これはまあ非常に意気地のない
方法と言えばそうも言えますけれ
ども、併しだんだん専門家が育成されますると、そういう人が機動的にお伝いに行きますれば、行
つておる間に従来の停頓したところの
書物の整備の事務なんかが補い得まするので、そうや
つてお手伝いしておけば、あとは又自然の道順によ
つて発展する途もあろう、こういうふうの
議決であろうと思
つております。
その
議決につきましては私
どももとより賛成でありまして、そういうような
方法で努力して、一日も早く今日のいわば受難の支部
図書館というものに協力したい、かように
考えております。