○国務大臣(
大達茂雄君)
お話のような事例は確かにあると思います。又そのほかにもそういうことがあ
つたと思うのでありまして
教員としての資格、その能力、その点に別に差別のない人が、
高等学校の先生になり、
中学校の先生になり、或いは
小学校の先生にな
つておると、こういうことはあると、現実にあると思うのであります。私はそれは決して悪いことではない、結構であると思
つておるのであります。そこで今度の提案になりましたこの
給与の改訂に関する
法律案によりますというと、まあ理論上、小
中学校と
高等学校の間の相互における
人事の
交流ということは或る
程度の支障を来たすということは、これはどうしてもあるだろうと思います。殊に
教職員に高い
俸給を……、相当に高い、昇り詰めたところにおる人には、或いは少くとも
給与の面からだけ見ますと、
交流は非常にむずかしくなる、こういうことは言い得ると思うのであります。ただ実際を見まするというと、初めのうちは相当大量な
交流が行われ、又従来の当然
高等学校の先生と同じ立場の
教職員の諸君が
高等学校に来、
中学校に来、こういう事例が非常にあ
つたようでありますが、今日では大体その相互の
人事交流というものは非常に少くな
つております。正確な数はわかりませんですけれ
ども、非常に少くな
つておるのが実情であろうと思います。今後然らば大量な
人事交流というものがあるかというと、これ又今後において仮に
給与の改訂が行われませんでも、
人事交流というものはそう活発には期待できないものである、こう私は思
つてでおるのであります。これは私に対する御
質問の外であるかも知れませんが、ただ実際から申しますと、ここに数字の資料があるのでありますが、これは国立
学校についての数字でありますが、この新制
大学を卒業したいわゆる
高等学校二級免許状を持
つている
職員、これと同じ資格を持
つた、小
中学校においては一級免許状を持
つておることになるのでありますが、この二級免許状を持
つておる
教職員は、
高等学校においては八二%、全体の八割以上を占めております。そうして仮免許状、いわゆる短期
大学を卒業した二年制度の卒業生は僅かに四%、こうな
つております。これによりますというと、
高等学校においては比較的資格の高いいわゆるこの四年制度の
学校を卒業した
教員が殆んど大部分を占めている。小
中学校におきましては、いわゆる一級免許状、
高等学校の二級免許状に相当するものでありますが、新制
大学を卒業した四年制度の卒業生でありますが、これが小
中学校におきましては四%、そうして小
中学校の二級免許状即ち短期
大学卒業生、これが七八%を占めておるのが現状であります。これによ
つて見ますというと、これは制度上当然そうなるはずはないのでありますが、実質におきましては
高等学校の
教職員の大部分は実際において資格は高い人がこれに当
つてお
つて、そうして小
中学校においては比較的資格の低い人が大部分を占めている。こういう実情でありますから、今の
お話のように、同じ資格を持
つた立派な先生が
高等学校にもおり、又それと同じ力を持
つた人が
小学校で教鞭をとる、
中学校で教鞭をとる、こういうことは非常に結構なことでありますが、事実上これは、六三制が出発しました当時は、そういうことは非常にあ
つたということを聞いておりますが、今後におきましては、やはりどうしても
高等学校のほうに人が集まる、又
高等学校のほうでは高い資格を持
つた比較的優秀な人が自然に要求せられる、こういうふうに
考えております。
従つてこの
人事交流の点におきましては、成るほど
給与の面から見て理論上多少
交流が困難になるということは
考えられることでありますが、実際の実益から申しますと、大して
影響がないのじやないかとこういうふうに思います。