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1953-08-03 第16回国会 参議院 人事・文部連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月三日(月曜日)    午後二時二十九分開会   —————————————  委員氏名   人事委員    委員長     村尾 重雄君    理事      宮田 重文君    理事      千葉  信君            松岡 平市君            吉野 信次君            溝口 三郎君            山川 良一君            岡  三郎君            紅露 みつ君            後藤 文夫君   文部委員    委員長     川村 松助君    理事      木村 守江君    理事      荒木正三郎君    理事      八木 秀次君            大谷 贇雄君           大野木秀次郎君            剱木 亨弘君            谷口弥三郎君            山縣 勝見君            吉田 萬次君            飯島連次郎君            杉山 昌作君            高橋 道男君            安部キミ子君            成瀬 幡治君            相馬 助治君            深川タマヱ君            長谷部ひろ君            三好 英之君            須藤 五郎君   —————————————  出席者は左の通り。   人事委員    委員長     村尾 重雄君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            松岡 平市君            吉野 信次君            溝口 三郎君            岡  三郎君            後藤 文夫君   文部委員    委員長     川村 松助君    理事            木村 守江君            荒木正三郎君    委員            大谷 贇雄君            剱木 亨弘君            吉田 萬次君            高橋 道男君            安部キミ子君            成瀬 幡治君            深川タマヱ君            長谷部ひろ君            三好 英之君            須藤 五郎君   衆議院議員            赤城 宗徳君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君   —————————————  本日の会議に付した事件 ○一般職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案衆議院提  出)   —————————————    〔人事委員長村尾重雄委員長席に着く〕
  2. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) これより人事文部連合委員会を開きます。  先例によりまして私が委員長の職務を勤めることにいたします。  それでは一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。  本法案につきまして御質疑のあるかたは御発言を願います。なお念のために申上げますが、本連合委員会におきましては主として文部委員のかたの御質問をお願いいたしたいと存じます。発議者衆議院議員赤城宗徳君が御出席になつております。なお政府委員はすぐ出席することになつておりますから、その上で御質問を願いたいと思います。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 議事進行について……。今日は特に文部委員会として連合審査を要求している理由は、言うまでもなく提案者に対していろいろお伺いしたい点があるのは当然でございますが、同時に文部大臣に対しても、この問題についてはいろいろ質疑をいたしたい。或いは人事院総裁に対してもお尋ねをしたい。こういうふうに考えておるわけであります。そういう点については如何ようになつているか。我々としては当然今日御出席あるものと考えておつたわけでありまするが、現在なお見えておらない。甚だ私ども今後質疑をして参ります上において不都合な点が起ると思いますが、こういう点、如何様になつているか、お伺いしたいと思います。
  4. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 浅井君も今出席願うように連絡中であります。文部大臣大達茂雄氏においては早速出席されるという通告が参つております。それまで待ちますか。先ほど私が申上げましたように、発議者赤城君が御出席になつておりますので、御質問のあるかたは御発言願いたいと思います。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは提案者に若干お伺いいたしたいと存じます。先ず初めにお尋ねをいたしたい点は、去る七月十八日に人事院総裁から国会に対しまして給与の改訂の勧告が行われております。同時に給与準則についても法律案が提示されておるのでございます。然るに提案者は、七月二十四日において、教職員給与に関する分のみを取上げて、今度の一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案としてお出しになつておるのでございます。これは当然教職員のみに限らず、公務員全般給与の問題について検討さるべき時期にあると考えますが、なぜ教職員の問題に限定してこういう改正案をお出しなつたか。その理由について先ずお伺いしたいと考える次第であります。
  6. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 実は教職員給与に関しましては、一般俸給表適用から離して、特別俸給表によつてその適用を全たからしめようということは、数年来の懸案であつたわけであります。教職員一般公務員と別にその特殊性を認めて、特別俸給表によつてその適用をしよう、これは私ども考えておるばかりでなく、御承知通り給与法の中にも、税務職員などが特別俸給表を当てはめるようになつた際にも、教職員についても研究をして、特別俸給表を作るように、こういうことが給与法の中にも人事院の責任として書いてあるような次第でございます。そういうことでありましたので、給与準則は七月の十八日に出たのでありますが、実はその前から準備をしておりまして、今国会が開けると同時に、教職員に対しまして、特別俸給表を作ろう、そうして提案しようということで努力しておつたのでありますが、なかなか事情が困難でりましたので、実は給与準則が出てから七月の二十一日に本法案を提出する、こういう逆になつたわけでありますけれども給与準則が出たから、それから教職員だけを取上げて特別に立法をしよう、こういうことでなくて、その前に教職員特別俸給表を当てはめるような立法をしよう、こういうふうに考えておりましたので、結果においては逆になりましたが、実は教職員のほうを先に考えて、そのあと給与準則が出た、こういう事情になつておるわけであります。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も教員俸給表を作らなければならんということが規定してあることは承知いたしております。これについては私どももできるだけこれは早く作る必要があるということについてはしばしば政府に対しても意思表示をしたことがございます。併しこれは四年来放置されておつたのでありますが、従つて教員俸給表を作るということについては、私も別に異議を持つておるわけではないのでありますが、併し今度はその要望に副うと申しますか、教員俸給表についても人事院のほうにおいても考慮され、更に又教員だけの問題でなしに、この際、非常に複雑になつている俸給表を整理して、公務員一般の合理的な俸給体系を樹立する必要がある。こういう見解に立つて全般的な検討が加えられて、すでに法律の案として国会にも提示されておる段階でございます。従つて国会といたしましても、これらの問題については公務員全般の問題として検討さるべき段階であり、時期であると考えるのでございますが、そういう点については提案者はどのようにお考えになつておるかということをお伺いしておるわけであります。
  8. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 私どもといたしましても、教職員俸給特別表を作るにつきましては、一般公務員との均衡、こういうことを強く考えておるわけであります。そういうわけでありますので、給与準則が出ましたが、給与準則は私から申上げるまでもなくべース・アップを含んでおりますが、私ども特別俸給表を作るに当りましては、現行のままで、そうして他の公務員一般公務員との均衡を破らないように、こういう制約の範囲内におきまして特別俸給表を作つて提案した次第でございます。そういうことでありますので、御質問一般公務員との関係も十分考慮いたしまして御提案申上げた次第でございます。なお給与準則法律案としてまだ出ておりませんので、どういうことにこの先なつて行くか。殊にベース・アップを含んでおりますので、若しこれが遅れるようなことであつてはならないが、多年の懸案でありますので、教育職員のことを早くきめたいということから提案した次第でございます。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今の御説明によりますと、一般公務員給与準則の問題についても十分その関連性考慮して考えている、こういうことでございますが、どういう点について考慮せられたか、お伺いしておきたい。
  10. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 現在御承知通り一般俸給表適用教職員においてはしておつたのでありますが、そういう点から考えまして一般俸給表級号をとりますことはもちろん、その俸給表を作るに当りましても調整号俸がついている分につきまして、一号俸だけ本俸に繰入れて中小学校高等学校大学俸給表を作つて行く。それから又十五級の範囲内で作ることは当然ございますが、十五級の範囲を逸脱してはいかんことはこれはもちろんでございます。それから又通し号俸におきましても、現行法通し号俸におきましてでき得る範囲内、こういうことも考慮いたしまして、一般俸給表との差をできるだけ少くして特別俸給表を作つて行く、こういうふうな考え方特別俸給表を作つたような次第でございます。
  11. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) なお人事院給与局長滝本忠男君が出席しております。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まだ私には、公務員給与準則が勧告されている段階において、教職員の分だけを取上げてここに改正法案が出された理由が十分呑みこめないのでございますが、この公務員全般給与準則については、当然我々としてもできるだけ早い機会審議しなければならない性質のものだと考えております。もちろんこの給与準則にはべース・アップの問題も附加されております。従つてこのベース・アップの問題も同時に審議されると思うのでございますが、それにいたしましても、これらの問題はできるだけ早い機会国会といたしましてもこれをとり上げて審議しなければならない、こういう事情にあると思うのであります。然るに教職員の問題だけをこの際切離してここに改正する、こういう理由がなお私には十分わからないのでございますが、四年余りの間放置されておつた問題がなぜ一刻を争う理由がどこにあるかという点でございますが、この点について、くどいようですが、重ねて御説明を承りたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 実は用意して、おつたあとから給与準則が出たのでありますが、形の上では給与準則が先であります。給与準則教員に関する俸給建前等研究してみましても、我々が考えておつたように、或る程度職域の差というものが認められているのか、認められておらないのか、これはちよつとはつきりしておりません。いろいろ私どもといたしましても人事院当局質問したのでありますが、はつきりしておりません。我々といたしましては、この三つ学校に或る程度職域の差を認めて行く、で、これは提案者として一つの筋道と言いますか、そういう方針でありますので、そういう点から見ても、これを特に引抜いてというよりは、こういう体系で行くほうがいい、こういう考え方一つあります。それからもう一つは、予算関係もありまして、二十九年の一月から三ヵ月間に関する予算の協定をいたしまして修正する際に、いわゆる三本建というようなことを行なつて行こうというような関係にもなつておりますので、そういう予算との関係もあります。なお更にお説の通り四年来の懸案でありますので、給与準則給与準則として又研究をすべきものであるけれども、私どもといたしましては、教育職員俸給についてはやはり一日も早くこれを特別俸給表に該当させておくことが適当だと、こういうふうに考えたものですから、実はこの案を出したというような事情になつている次第でございます。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、まあ予算修正の際の話合い等関係もあつて、取敢えずこの法案改正をやつたのであるというふうなことが今お話なつたわけでありますが、そういたしますと、他日国会において給与準則の問題が審議せられる場合は、教職員給与体系の問題についても改めて審議する、こういうお考えを持つておられるのか、そういう点はどういうようなお考えを持つておられるか、お伺いしておきたいと思います。
  15. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 只今お話のように給与準則全体につきまして協議する必要があると考えますので、その際には、やはり教職員関係も含めて審議する、こういうことに相成ると存じます。殊に今の私どもが提案しておりますのは、現行法における改正でありますからして、給与準則法律として提案された場合には、体系やその他も全部違つて来るわけでございますので、その際は勿論教職員関係いたしましても審議を進めて行くということに相成ると考えております。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、我々只今審議いたしております一部改正法案はほんの暫定的なものであるというふうになると思うのでありますが、只今説明にありましたように、教職員俸給体系についても、給与準則法案として出て来たときには、一般公務員の立場から更に審議を進めるというふうなお話でありますと、実際その際に教職員給与体系についても考えたい、こういうことでありますと、現在出されている法案というのは極く暫定的なものに過ぎないということになるわけであります。そこでお尋ねいたしますが、そういう暫定的なものを出す必要はとこにあるかということが私には了解できないのであります。先ほど提案者も御説明になりましたように、国家公務員法にある、教員特別俸給表を作らなければならない、教育職員特別俸給表を作らなければならんということは、そういう暫定的なものを指しているものとは私は考えません。恒久的な、合理的なそういうものを作る必要がある、こういう意味であると思うのでありまするが、そういう暫定的なものを作る必要があるというふうにはどうしても解釈できない。そういうものは何も取り急いで作る必要はないと私は考えるのでありますが、提案者に重ねてお伺いいたします。
  17. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 特別俸給表ばかりでなく、俸給表には、よく本俸給表は暫定的なものだ、こういうふうに書いてありますが、今度の法案にも暫定的ということには書いてあります。併しこれは体系が異なる、給与準則というような職階制による体系が異なる、こういうようなことでは暫定的と、こういうふうにも考えられることと存じますが、私もその意味におきましては御趣旨の通りと思いますが、内容におきましてはこれは暫定的でありませんで、この体系がやはり給与準則に切替られる場合にそういうような形に持つて行くならば、行けるならば、これは決して暫定的なものではない。形、表の構成上におきましては暫定的なものでありまするけれども内容的なものにおきましては暫定的とは考えられないわけであります。そういう意味で、先ほども申上げましたように、私どもといたしまして、この三つ学校におきまする職域の差を、強くとは申しませんが、或る程度認めて行くことが、給与体系上、教職員給与体系上適当だと、こういう考え方から立案しておりますので、内容におきましては必ずしも暫定的ではない。こういう方針を貫きたい。こういうふうに考えているのでございます。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題についての質問は、最後に次のお尋ねをして置きたいと思いますが、提案者は今度の一部改正法案審議を、ごく近く国会において審議を予想される給与準則全般審議機会譲つてもよい、こういう御意思はございませんでしようか。それをお伺いしておきます。
  19. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 全般審議は勿論好むところでありますけれども、やはり一つ体系として立案して御提案申上げておりますので、この法案はこの法案として御審議を願い、又給与準則法律案として出ました場合には、又その場合は給与準則としての法案審議で進む。でありますから、結論的に申しますならば、御提案申上げたことは御提案申上げたことで審議をして頂きたい。私も又その希望でございます。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 では問題を次に移したいと思いますが、この一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、この法の改正教育界如何よう影響を与えるかということについて提案者はいろいろ検討をせられたことと存じます。そこで提案者はこの改正によつて教育界にどのような影響があるかということをお考えなつたか。この際お尋ねをいたしたいと思うのであります。私は総括的な質問をしているのでありますが、若し具体的にお尋ねする必要があれば、順次具体的にお尋ねをいたしますが、少くとも私の考えるところでは、この改正は形の上ではそう大きな改正のようには見えないかも知れませんが、教育界に与える影響というものは、はかり知れない大きな影響があると私は考えております。提案者のほうにおいては、この改正をせられるに当つてどのような影響があるとお考えなつたか。検討せられた範囲においてお答えを願いたいと思います。
  21. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ちよつと形式的になるかとも存じますが、教育基本法などによりましても、小学校初等普通教育を教えるのが目的だ、或いは中学校中学普通教育高等学校高等普通教育、そのほかに専門の教育を施す、こういうことになつておりますので、そういう点など考えましても、三つに分けるほうが適当だろう。或いは大学におきましては又特別に非常な負担やら能力も必要とする。こういうことでありますので、こういう法律を作ることが適当だ。こういうふうに考えたのでありますが、その結果、教育界にどういう影響を及ぼすかを調べたかどうか。こういうことでありますが、私どもといたしましても、こと教育に関することでもありまするし、慎重に考慮をいたしたのであります。又、私どものほうなどにもいろいろの方面から陳情とか、或いは又反対とか、或いはいろいろな意見も承つております。併し結論的に考えて見まして、教育そのもの基本法を変えるとか、或いは教育法を変えるとかいうことではありませんで、職域の差を認めて一号ずつ少しの差を設けるというようなことによつて教育界を混乱させるというような結果にはならないというふうに考えましたので、実はこの法を出すことになつたわけでございます。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今の御説明によりますと、この改正によつて教育界に悪い影響はないと考える、こういうふうに受取つたのでございますが、そのように解釈して差支ないのでございましようか。
  23. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 法律改正でありますから、多少の影響はあると考えておりますけれども、そのために教育を破壊するような悪い影響はないと、こういうふうに考えている次第であります。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その点はもう少し提案者意図をお伺いしておきたいと思うのですが、法律改正するということは、私はそれによつてよくなるという場合にのみ改正するのだろうと思うのですが、これによつて若干でも悪くなるということが予想される法律改正されるというような場合はないと思うのですが、提案者の御意図ちよつと先ほどの御答弁では了解しかねますので、もう一つ伺いしたい。
  25. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 勿論、御説の通り改正してよくしようということでありまするからして、法律を出す以上よくなる、こういう見通しで出すわけでありまするが、併し改正をいたしますれば、その経過や何かにおきまして少しは影響はある、だろう、こういうことでありまして、決して悪い影響があると思いながら出した、こういうわけでありませんので、やはり御説の通り改正したほうがよろしい結果を生む、こういうような考え方から出したわけであります。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは提案者にお伺いをいたしますが、この法改正によりまして若干の影響はあると考えた。それではどういう面にどういう影響力があるとお考えなつたか。そういう点について御説明を頂きたいと存じます。申すまでもなく、立法する場合に、慎重の上にも慎重を期さなければならないと私ども考えるわけでございます。特に教育界に与える影響というものは慎重でなければならんというふうにも考えますので、提案者はもう少し具体的に、この改正によつてどういう点に影響を与えるということをお考えなつたか、御説明伺いたいと思います。
  27. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) この法律は、申すまでもなく将来に亙つてのことでありまするので、例えば高等学校におきまして四級から九級まで一号上げた。それから大学におきまして四級から十級まで一号上げた、こういうことで、職域の差を認めつつ、或いは教育目的を認めつつ法律改正いたしました。そういう改正をいたしましたので、過去におきまして不利になつておる点、同じく大学を出まして中、小学校に勤務しておる人々、こういうようなことで職域の差を認めて来ましたので、これは極く少い数でありまするけれども、パーセンテージから行きまして二割以下ぐらいのように承知しておりますが、そういう過去におきましての不利な点がこの法律によつては救済できない。将来に向つて職域の差を認めて、両方から、四級から九級、或いは四級から十級を認めたところは、職域の差によつて有利にもなつて来まするし、それから又過去における不利もその分は救われる、こういうふうなことになつていますが、先ほど申上げましたように、将来に対する法律でありまするから、過去における不利のままで残つている、これはちよつと体系が違いますので、その方面の救済と言いますると、その方面まで及び得ない、こういうことは私どもとしては遺憾に考えておる点でございます。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私がお尋ねしている意図は、提案者には十分伝えられておらないように只今の御説明で感じますので、私はもう少し具体的な項目を挙げてお尋ねをいたします。このことは同時に文部大臣にもお尋ねをいたしますので、お聞取りを願つておきたいと思います。この法改正によりまして、いろいろ教育界に重要な影響を与えると私は存じます。その一つの問題を挙げますと、人事交流の問題でございます。従来、中学校高等学校の間には可なり大幅な人事交流が行われておりました。このことが今後も行い得ると考えるかどうか。これが一つの問題であります。  それから第二の問題といたしましては教員養成制度との関係でございます。今日の教員養成制度は、高等学校以下の教職員大学四年制の課程を修了することになつております。こういう養成制度との関係如何ようになるかということであります。  それから第三番目の問題といたしましては、教員需給関係にどのような影響を及ぼすかという問題でございます。こういう点について、この改正をする場合に、どういう考慮検討が払われたかという点についてお伺いをいたします。
  29. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 第一は人事交流の点のお尋ねでございますが、私どもの見ておりますところでは、給与が途中から一号変つた、こういうことだけで相当人事の大幅の交流があるとは考えられないわけであります。今細かいことになりまするが、仮に高等学校で一号上つてつた職域の差を認めておりますからして、中学校へ行つた場合には一号俸下るわけになります。下りますけれども人事院の規則かなんかによりまして、これは救済の方法もあるようであります。そういう細かいことよりも、大きなお尋ねと思いますが、やはり第三のお尋ねと同じように関連いたしますが、需給関係が一応きまつているという形じやないか、学校の数も全国にきまつておりまするし、そういうような形で、卒業生に対しましても或いは希望は多いというような形もあるかも知れませんが、一つの枠といいますか、学校の枠の中で制約を受けておる、こういうようなことから、人事交流について大きな支障を来すとは考えられないのでございます。  それから第二の、学校教員養成制度に非常に困難を来たしはしないか、大学四年を出たものが高等学校以下の教員となるというようなことになつておるにもかかわらず、給与の差をつけては、教員養成制度に動揺を来たさぬか、こういうお尋ねのようであります。勿論この改正は、初任給は、同一学校を出た人々に対しましては同一俸給と、こういうことで、初任給はちつとも手をつけておりません。途中からであります。そういう関係もありましてやはり高等学校以下の人々を教える養成制度は、そのままそういう人々が中学校に行かれ、或いは小学校に行かれますることに、別に不当といいますか、そういうことはなく、むしろ好ましいことでもあるので、結果におきまして学校の数というものが一つの枠といいまするかきまつておりますので、養成制度において、より以上の養成する教育をしておつたということが支障になると、こういうふうには考えておらないのであります。  需給関係につきましては第一のお尋ねと含めてお答えしたようなことになると思いますが、なお徹底いたしませんならば重ねてお尋ねを願いたいと思います。
  30. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部大臣にはあとでこの問題についてお尋ねいたしますが、提案者に、十分了解できませんので更にお尋ねをいたしますが、私は、人事交流の問題は、将来もこれは高等学校中学校の間には人事交流を行うということは、これは教育的な見地から考えて阻止すべき問題ではないと私は考えております。そういう前提に立つて高等学校教員は一生涯高等学校教員として終る。中学校教員は一生涯中学校教員として終る。こういう前提ならばいざ知らず、その間に互いに交流するということは、教育上の見地からいつて好ましい場合もある。こういう私は立場をとつておるわけです。従つて将来もこういうことは、大量に行うということはあり得ないことでございまするけれども、こういうことはあり得て然るべきじやないかと思うのです。併し今度の場合は、この一部改正法案は、私が今更申上げるまでもなく、職域を認め、高等学校教職員に対して臨時昇給の道を講じ、最高の号俸で差等をつける内容を持つておるわけでありますが、そういう場合に人事交流を阻害するということは、これは誰が考えても明白であると思うのです。そういう点で、人事交流を不可能にする、或いは著しく困難にすると私は考えるのでございますが、提案者はどうお考えなつたかという点が一つと、これは将来の問題です。併し過去の問題を考えますと、新制中学が発足をいたしましてから三カ年の間に、一応新制中学の教員を充足するのに、これは一部を小学校から転用し、一部を新制中学以前の中学校教員から転用し、言い換えますならば、現在の高等学校教員を転用して充足しておるわけなんです。その割合は、私は正確な数字は知りません。併し大体推測いたしまして相当数が、今の高等学校教職員が新制中学に職をとつておるものと考えます。そういう人たちがどういうような結果になるかということであります。過去の問題といたしましては…。当然、新制中学ができない場合は高等学校にとどまつておるものが、新制中学の発足のために中学に来ておる。そのために、これらの者はよほど能力の劣等な者であつたというふうに規定することは、私はできないと思います。そういうものとそれから将来の人事交流、こういう問題を考える場合に、非常な無理が起つて来ると考えますが、提案者はこの問題についてどのように検討されたかということをお尋ねするわけであります。
  31. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御指摘のように、新制中学の教員が、高等学校、或いはその他から相当充足した例も承知しております。或いは又、今の新制高校などにおきましても、教員が充足できませんので、民間に職を持つてつた人なども相当吸収した、こういうことになつておりますので、これは中小学校、或いは高等学校等を含めてそういう事実はあると私も考えております。先ほど申しましたように、そういう不利な過去のことにつきましては、実はこの法律はどういうふうにするかというようなことは、含んでおりませんので、職域の差を認める、将来に亙つてはこういうことでありますので、その方面に手が及ばないというのは誠に遺憾だと先ほど申上げた通りであります。  では将来の人事交流は非常に不利になるじやないか、こういうことでありまするけれども、将来におきましては、私はやはり学校それぞれの目的がありますので、それにおのおの適当したと考える人々がそのほうに向いて行く、こういうふうに考えておるのであります。  一号俸給与の差があつたからといつて、やはりそこで教えるだけの力を自分は持たぬというような考え方を持つ人もありましようし、或いはもつと中小学校のほうの教育のために尽そう、或いは又環境、地理的な関係、こういうようなことで中小学校へ行かれるというようなかたもあると私は考えます。そういういろいろな事情から考えまして将来におきまして、人事交流に大きな支障を来す、こういうふうには考えておらないわけであります。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どうも職域差を認めて、人事交流には大して支障がないと、こういうふうにお話になる提案者説明は、私には十分了解ができないのであります。  この問題に関連して、それでは文部大臣に伺つてみたいと思いますが、或いは話に出たかも知れませんが、私の友人で、たしか東京聾唖学校の校長をしている古谷君が丁度一週間ほど前に私のところに参りましたが、あそこの教員で、相当前の高等師範学校を出た教員で、校長の学校の経営の考えによりまして一人は高等部へ入れておる。一人は中等部へ入れておる。一人は小学部へ入れておる。そういう学校経営をやつているが、今度の法改正によつてこの配置は非常にむずかしくなつて、実は困つているという話を私のところでして参りました。こういう校長の、高等師範を出た者を高等部、中等部、小学部に配置するような学校経営のやり方が悪いのかどうかという問題について、私は文部大臣の意見を伺つておきたいと思います。
  33. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) お話のような事例は確かにあると思います。又そのほかにもそういうことがあつたと思うのでありまして教員としての資格、その能力、その点に別に差別のない人が、高等学校の先生になり、中学校の先生になり、或いは小学校の先生になつておると、こういうことはあると、現実にあると思うのであります。私はそれは決して悪いことではない、結構であると思つておるのであります。そこで今度の提案になりましたこの給与の改訂に関する法律案によりますというと、まあ理論上、小中学校高等学校の間の相互における人事交流ということは或る程度の支障を来たすということは、これはどうしてもあるだろうと思います。殊に教職員に高い俸給を……、相当に高い、昇り詰めたところにおる人には、或いは少くとも給与の面からだけ見ますと、交流は非常にむずかしくなる、こういうことは言い得ると思うのであります。ただ実際を見まするというと、初めのうちは相当大量な交流が行われ、又従来の当然高等学校の先生と同じ立場の教職員の諸君が高等学校に来、中学校に来、こういう事例が非常にあつたようでありますが、今日では大体その相互の人事交流というものは非常に少くなつております。正確な数はわかりませんですけれども、非常に少くなつておるのが実情であろうと思います。今後然らば大量な人事交流というものがあるかというと、これ又今後において仮に給与の改訂が行われませんでも、人事交流というものはそう活発には期待できないものである、こう私は思つてでおるのであります。これは私に対する御質問の外であるかも知れませんが、ただ実際から申しますと、ここに数字の資料があるのでありますが、これは国立学校についての数字でありますが、この新制大学を卒業したいわゆる高等学校二級免許状を持つている職員、これと同じ資格を持つた、小中学校においては一級免許状を持つておることになるのでありますが、この二級免許状を持つておる教職員は、高等学校においては八二%、全体の八割以上を占めております。そうして仮免許状、いわゆる短期大学を卒業した二年制度の卒業生は僅かに四%、こうなつております。これによりますというと、高等学校においては比較的資格の高いいわゆるこの四年制度の学校を卒業した教員が殆んど大部分を占めている。小中学校におきましては、いわゆる一級免許状、高等学校の二級免許状に相当するものでありますが、新制大学を卒業した四年制度の卒業生でありますが、これが小中学校におきましては四%、そうして小中学校の二級免許状即ち短期大学卒業生、これが七八%を占めておるのが現状であります。これによつて見ますというと、これは制度上当然そうなるはずはないのでありますが、実質におきましては高等学校教職員の大部分は実際において資格は高い人がこれに当つてつて、そうして小中学校においては比較的資格の低い人が大部分を占めている。こういう実情でありますから、今のお話のように、同じ資格を持つた立派な先生が高等学校にもおり、又それと同じ力を持つた人が小学校で教鞭をとる、中学校で教鞭をとる、こういうことは非常に結構なことでありますが、事実上これは、六三制が出発しました当時は、そういうことは非常にあつたということを聞いておりますが、今後におきましては、やはりどうしても高等学校のほうに人が集まる、又高等学校のほうでは高い資格を持つた比較的優秀な人が自然に要求せられる、こういうふうに考えております。従つてこの人事交流の点におきましては、成るほど給与の面から見て理論上多少交流が困難になるということは考えられることでありますが、実際の実益から申しますと、大して影響がないのじやないかとこういうふうに思います。
  34. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  35. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 速記を始めて。
  36. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今文部大臣説明を聞いておりますというと、私のお尋ねしたこととは大分内容が違うように考えます。そこで私のいろいろ質問する私の立場を明確にしておきます。私は、学歴の高い者が給与が高いということを否定は全然いたしておらないのであります。そこに差が出て来るということは認めているわけであります。ただ認めないのは、同一の学歴を持つて、同一の経験を持つておる者が、職種によつて差等をつけられることはよくないと、こういう立場をとつておるのであります。そういう立場に立つていろいろの質問をしておるのでありましてその点は誤解のないようにして頂きたいと思います。仮に高等学校に学歴の高い優秀なる者が多ければ、これは当然給与が高くなる。現在もこのために小学校中学校に比べて低い、中学校高等学校に比べて平均給与が低い、これが当然であります。それがよくないと言つているのではございませんから、誤解のないようにして頂きたいと思うのであります。私は、人事交流は、実際問題としては非常に大きな人事交流はないから、大して心配はないだろうということでありますが、私も大きな人事交流はないと思いますが、併し量は少くともこれは相当な障害になつて来るだろうというふうに考えるし、それから、従来新制中学の育成のために、奮つて新制中学に出て行つた人たちをどう扱うかという問題は、私は看過できない問題ではないかと思うのです、と同時に、直接お尋ねいたしたのは、あの東京盲聾唖学校、あの問題です。学校経営上、或いは高等師範学校を出た人たちを、こういうふうに高等部、中等部、小学部に分けるような配置がいけないのかどうか。教育的に考えて、これをみな高等部へ集めるほうがいいのか。そういう点について文部大臣に私はお伺いしたのです。その点については御答弁がないわけなんです。
  37. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) お答えいたします。ちよつと聾唖学校というのを聞き落したものですから、とんちんかんな御答弁になつたのでありますが、成るほど聾唖学校については、特にその感じが深いと思います。これは、やはり、この法律案としては、聾唖学校のような特殊のものについては、やはり研究しなければならないじやないか。こう思います。
  38. 岡三郎

    ○岡三郎君 現実に、只今文部大臣がお答えになつたように、研究されねばならんという問題どころではなくて、現にここに法案が出ているわけです。この法案が、仮に決定すれば、直ちにその影響があるはずなんです。こういうわけで、非常に陳情その他があるわけであります。それから更に、この法案は、ここに書いてあるように、国家公務員職員給与が基本的なものになつたわけです。そうすると、国家公務員に属する教師というものはどういう部面にあるか、特に小中高というのはどういう部面にあるかといえば、各教員養成学校の、各学芸学部その他の学校には、附属高等学校、附属中学校、附属小学校というものがあるわけです。それから今言つた聾唖学校、盲聾唖学校、こういつたものが、直接対象の国家公務員教職員、これら直接に法案関係する直接の教職員の中には、この法案は最も悪法である。これは全部一体になつて教育研究をやつて行くためには、小中高を通じた新学制の建前を体得することにも、同じ資格を持つたものが、小学校に、中学校に、いわゆる高等学校に行かなかつたならば、教育研究はできないと言つているわけです。現実の問題として、それらの人がこの法律によつて高等学校にあるもののみが優遇を受けるというふうな偏頗な取扱いをするならば、実質的に直接国家公務員に属するところの教職員は、非常な迷惑を受けるし、教育行政上非常な難点がここにある。こういう点について私は率直に云つたわけですが、今の文部大臣の回答では、その人達の、この法案に基いた不安は解消できないと思う。いつまでに研究され、どのようにこの悪法を是正して行くかということについて、更にお伺いしたいと思います。
  39. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) お答えいたします。これは直接は国立学校が対象になつておりまして、従つて中学校は結局附属学校ということになるのです。これは普通の小中学、或いは高等学校につきましても、附属の場合におきましては、これは戦争前でも事情が普通の場合と違つてつたかと思いますが、殊に特殊な聾唖教育等につきましては、まあ考えられることは、高等学校の先生が、同じ学校でありますから、中学校小学校の先生を兼務するとか、これはもとの師範学校の附属のようなものでも、そういうことが実際行われておつたかと思いますが、そういうことを考えて、実際的に配属して行くというのがいいのじやないかと思います。
  40. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 先ほどお話しましたように、衆議院で採決があるようでありますので暫時休憩いたします。    午後三時三十四分休憩    —————・—————    午後五時四十七分開会
  41. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 休憩前に引続き会議を続行いたします。御質疑のあるかたは御発言願います。
  42. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 大学のほうは別にいたしまして高校と小中学校教職員給与を別建てにいたしました論拠につきまして、もう一度はつきりと御説明して下さいませんか。わかりにくいのです。
  43. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 学校教育法に、小学校中学校高等学校等の目的が書いてありますが、その目的の中で、小学校におきましては初等普通教育を教授するのが目的である、中等学校において中等普通教育を教授するのが目的、それから高等学校においては高等普通教育を教授すると共に専門教育を教授することを目的とする、こういうふうな建前にもなつておりますので、中小学校と違つて高等学校においては普通教育のほかに専門教育を教授しなければならない、こういうことになつております。教育の価値、こういう点から検討いたしますれば、価値に上下の差別はないと思いますけれども、実際教育に当つております場合に、そういう専門教育という負担が高等学校のほうには余計にかかつておる。従つて特殊の教員の方々をとる場合は別でありますが、一般的な平均的な方々の教員の場合をとつてみますれば、高等学校のほうが負担或いは又これを教えていこうとするための努力或いは能力等について多く考えたい、こういうような考え方から、中等学校高等学校の間に職域の差を設けて行く、こういうことでございます。
  44. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 一つでございますか。その理由だけでございますか。
  45. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 主としてその理由でありますが、そのほかにいろいろ附加的な理由はありますが、いろいろ学校教職員の免許等につきまして新制大学を出ました場合、中等学校等におきましては一級免許状を与えるわけでありまするが、高等学校へ行きまする場合には二級免許状しか与えられない。高等学校において一級免許状を取るためには三年教えて十五単位の科目を取ると、こういう負担がかかつておりまして、そのために相当努力もしておる。こういうことも一つの例としてとつておるわけでございます。
  46. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 高校と小、中学校教職員で、四級から九級までが異なつておりまして、その後先は全く同じでございます。特に十級以後になりますと全く同じになつておりまするが、この理由はわかりませんか。
  47. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 今の表で御覧願いたいと思いますが、三級の二号の八千百五十円、これは現行法の六級三号になつておりますが、これは初任給、新制大学を出たときの初任給になつております。初任給は中、小、高等学校とも一緒でありますが、今の一級免許状を取るというような関係もありまするし、それから又、初任給から、今の細則によりますと、二年たてば昇給すると、こういうことになつておりますので、それを勘案しますると、丁度四級から昇給するほうが適当であろうということが一つ理由でございます。  それから四級から九級までは、人事院の規則によりまするというと、校長になり得る級であります。校長になり得る現実の統計的なものを見ますと、いろいろ統計にも違つおりますが、小学校においては校長になり得る機会が非常に多いのであります。中等学校がその次で、高等学校に行きますというと、校長になり得る機会が非常に少い。こういうことになつておりますので、高等学校においては校長になり得る機会が非常に少いので、教諭の間の給与を一号増すのが適当ではないか。丁度この四級から九級の間が校長になり得る該当の級になつたような次第であります。これが第二の理由であります。それからいろいろ統計上から見まして、この中間の人々の給与が割合に不利になつておるわけであります。これは中、小学校或いは一般公務員の場合もそういう傾向が多いようでございますが、改正するためにあらゆる方面から手を加えまするというと、給与体系を乱すというようなことになる虞れもありましたので、この中間の部の高等学校の部を、先ほど申上げました第一或いは第二の理由として上げるならばこの中間のところを上げたほうがよかろう。こういうような観点から、四級から九級の間を一号ずつ上げたような次第でございます。
  48. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 そうして十級になると同じというのはこれで説明がつくのですかしら。
  49. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 丁度九級までが校長になり得る現在の級に該当しておるわけでございます。それで、そのあとは教諭といたしましても相当優遇されておるということでありますので、九級にとめてあるわけであります。大学のほうは教授として更に十級を一号上げております。こういうようなふうになつております。
  50. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 同期に卒業いたしまして就職した人は昇給の時期が同じようになつておりましようか。校長になる以外は皆……。
  51. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御承知通り給与法によりまして、昇給の時期は俸給の額によつて六カ月とか九カ月とか、こういうことになつておりまするので、同じ学校を出まして初任給が同じの場合に、昇給の時期は一定しておるわけであります。変りはないのであります。
  52. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それでは、もう聞かなくても同じようでありますけれども、そうすると、この世界では特に努力精進した人も、怠けておる人も、皆、給料には絶対差別をつけないようになつておるのでございますね。
  53. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 今の給与法ではそういう建前のようでございますが、それに特別の上げる場合の例外も規定されておるようでございますが、原則はそういうふうになつております。
  54. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 赤城さんにお尋ねしますが、大変給与のことに関心を持つて、こうした普通言われておる三本建をお出しになつたのですが、私はこういうことをおやりになるようですから、非常に賃金関係に御造詣が深いと思う。そこで賃金の性格と申しますか、そういうふうなものについてどういう考えをお持ちになつておるか、承わりたいと思います。
  55. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 賃金は私の考えではやはり労働に対する報酬だと考えております。なお生活給が原則と考えておりますが、併し生活給一本だけで行くべきでもない。こういうふうに考えております。終戦当時……今ちよつと脱線するかも知れませんが、例えば私からそういうことを申上げると恐縮ですが、ロシアのように最低生活が保障されておる、こういう所ですと、まあ能率給、ノルマというような給与体系ができて来るのではないか。又アメリカのように、資本主義が非常に発達しておつてこれはそのなりに、大体、最低生活が保障されておるとは言えますまいけれども、日本などよりはよろしいというようなところにおきましても、やはり能率というようなことを非常に強く主張されていると思いますが、日本のような敗戦というようなことで、日本が非常に壊滅して、立ち上がると、食べる物もない、着る物もない、こういうようなときには、何をおいても生活を保障して行くというようなことで、生活給を中心とした給与体系ができるのは、これは当然だと思うのであります。然らば今最低生活が保障されているか。憲法の健康で文化的な最低生活を営む権利を保障するというようなことが確立しているかどうか。そのために最低賃金を制定しろというような御意見も御尤もだとは考えますが、ともかく終戦後、敗戦時代におきましては、非常に生活給を中心として行かなければならなかつたけれども、やや安定的な情勢になつて来たといたしますならば、生活給という一本建で行くべきでなくて、やはり能率給というようなことが加味されて行つて初めて給与体系或いは賃金も均衡を得て来るのじやないか。こういうような考えを持つておる次第でございますが、学問上のことや何かで質問をいたされましても、どうも浅学菲才でございまして、御希望のようなお答えができるかどうか、私にもわかりませんが、そういう考えを持つておる次第でございます。
  56. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 非常に謙遜して浅学菲才とおつしやるけれども、私は少くとも人事院は片方において給与準則というものを勧告しておる。そうして、そういうことをせなければならないということもわかつている。そのくらいのことについては、少くとも法案を提案されるとするならば、人事院なんかについても私は意向をお尋ねになつていると思う。万般の準備をされて、そしてあらゆる角度から検討されて、こうした法案というものをあなたは出されたと私は思う。ですから、もう一度私は賃金の性格についてお尋ねしたいのですが、生活給という……あなたは生活が主であるのか、労働に対する報酬が主であるのか、どういうふうにお考えになつているか、そこを一つ明確にお答え願いたい。
  57. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) この法案を出すのには研究をいたしたことはいたしたでありまして、ただ漠然と出したわけではありませんので、その点は御了承願いたいと思います。  それから賃金は労働に対する報酬だと、こう申しました。これはやはり一つの、労働が商品というような形でありましようから、その売買関係でしようけれども、併しながらやはり売買のような労働に対する報酬であるといたしましても、先ずもつて生活を保障するというような線が一応守れなければならないのじやないか。それから終戦後そういう方面に力を入れたけれども、やや安定した最近におきましては、やはり能率給というか、その労働の商品価値と言いますか、そういうものに従つて能率給的な給与体系というものが加味されて行つていいんじやないか、こういうふうに考えておるのでございます。
  58. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 成瀬ちよつと……。その前に、御存じだと思いますが、只今出席になつておるのは、発議者赤城君、大達文部大臣人事院給与局長滝本君、文部省大学学術局長稲田君、同じく初等中等教育局長田中君、説明員として文部大臣官房人事課長平野君が御出席になつております。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 終戦後と比較すると、まあ生活がやや保障されておる。そこでノルマを言われる。能率給というものを加味すると、こうおつしやつた。それから或いは最低賃金などのそうした法案を制定することを要求されておつた。こんなようなお話もあつた赤城さんは、最低生活、いわゆる最低賃金制のできておる国はどのくらいあるか、御存じだつた一つお答え願いたい。
  60. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) まだ最低賃金というものはきまつておらんと思いますが、私は、それをきめろというものではなくて、そういう意見も今非常に強くあるようでありますけれども、それとは別として終戦当時は生活給を中心としておつたが、生活給に能率給を加味する時代だと、こういうふうに考えておる、こう申上げたのであります。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の質問するのは、最低賃金法を世界で採用をしている国は幾つぐらいあるのかというのです。(「つまらないことを聞くのじやないよ」「答が違う、国の数を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)
  62. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) お静かに願います。
  63. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) これは国の数は私もはつきり覚えておりませんけれども、イギリスなどではそれができているということを承知しております。或いは小さい国でスイスとかスエーデンとか、ノールウェイですか北欧の国々などにできておると聞いておりますが、はつきりしたことは今資料持つておりませんから御答弁できかねます。
  64. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は人事院関係一つ御答弁を願いたい。それから、こちらのほうからいろんな野次が出ますけれども、私が聞いておるのは、赤城さんがこういう普通言われておる三本建を出されるということについては、賃金関係に非常に御造詣が深いからお出しになつていると思うので、あえて御質問を申し上げておるわけであります。(「議案に関係する質問をしてくれ」と呼ぶ者あり)
  65. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 最低賃金を世界のどれくらいの国で設定しておるかという御質問でありますが、私も今ここに直ちに資料を持つておりませんから、そのことは再度改めましてお答え申上げたいと、このように考えますが、いろいろな国におきまして最低賃金というものを設定しておるところも多くあるというふうに考えております。
  66. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私もそれじや資料が出ましてからこの問題に進んで、なお赤城さんに一つ質問申上げたいと思います。  続いて赤城さんは、最低生活というものは、もはや小中学校或いは高等学校の少くとも教員関係には保障されておるのだ、こういう前提に立つてこの改正法案をお出しなされたのか、そこの点をお答え願いたいと思います。
  67. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) これは教職員ばかりでなく、一般の関係においても保障されておるというようなことになつておらないから、保障するような法律を作れというゆうな声もあるのかと思います。併し私どもがこの法律を提案するに至りましたのは、現在の俸給体系において即ち十五級の俸給体系で、そうして又一般公務員一般俸給表範囲内で、教職員特別俸給表の該当を受けしめようと、こういうことでやつておりますので、今のような最低生活が保障されておるとは考えませんが、最低生活を保障するかしないかという問題とはおのずから別個の問題として提案した次第でありますから、御了承を願います。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それでは、先ほどの労働の価値に対する報洲だというようなことをおつしやいました。労働の価値ということになると、私はやはり質と量の問題がここに出現して来ると思います。若しあなたがおつしやるように、それは質を指しておるのか。ここで先ほど深川委員質問に対しまして、専門教育をやるからここで付けなければならないという、こういう御意見のように承わりました。それは質を指すのか、量を指すのか、説明を願いたい。
  69. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 申上げるまでもなく、教育につきましては、その量と質とを判定することは非常に困難は困難であります。併しながらここで差をつけようということにつきましては、質も量も考えての上でございます。
  70. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、その四級から九級まで一号上るということは、質、量を加味してこれだけ上げさえすれば、これで差支えない、これでもう十分だ、或いはまだ不十分だとおつしやるかも知れない。今後これを上げなければならないというお考えだと思いますが、質と量を共に考えて一号上げるという。それでは大学の教授と高等学校とは質と量は一緒だと、こうお考えになつておりますか。高等学校大学とは一緒だとお考えになつておりますか。
  71. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 原則論におきましていろいろお尋ねになられておるようでありますが、大学高等学校とは質と量が一緒だと考えておりません。ただ給与体系におきましては、現在におきましても御存じの通り人事院の細則によりまして、大学は別の給与格付けの基準を持つておりまするし、高等学校及び中小学校一つの基準を持つておりまして、人事院の規則によりまして、或いは細則によりまして高等学校以下と大学とは分けております。質と量が原則論として同じだと、こういうふうに考えておりません。
  72. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、あなたがおつしやる通り大学の先生は、教授は別になつておる、それで一号積むことは同じことなんだ、高等学校大学と、そこに矛盾はないか、こう質問しておるのです。
  73. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) これは俸給表ばかりでなく、人事院の細則等につきまして相当区別がしてあるわけであります。で、教授の点におきまして、高等学校より一号上げて行つた、十級において一号上げたというのは、大学の教授には相当立派なかたもあるし、又負担の多くを持ちつつ学究として努めておる方々もあるというので、教授の場合を考えまして、大学の場合は更に高等学校の場合よりも一級を伸ばして一号上げた、こういうわけでございます。
  74. 深川タマヱ

    深川タマヱ君  一つだけ……高校の初任級が二級でございまして、これが一級上りますためには三年を要し、その間十五単位をとらなければならない。これも一つ理由で、高校の先生のほうの給与が高くなるんだという御説明であつたかと存じますが、そういたしますと、三年の月日を要しまして、十五単位をとつて一級上りましたとき、そのときから給与に差ができそうなものだと存じますのに、即ち二級から三級に進んだときに給与の差ができそうなものでありますのに、四級になりまして、初めて中学校高等学校の先生の間に差ができるような表になつておりますのは、どういうわけでございましようか。
  75. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 先ほど私の言葉が足りなかつたと思いますが、現在新制大学を出たときの初任給が、ロの表でございますが、三級の二号、八千百五十円になつております。ですから、丁度まあ三年たつて十五単位をとる頃が四級ということになつております。
  76. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほど御答弁頂いたのですが、私が耳が悪くて聞えないのか、よくわからないのですがね。大学高等学校というものはおのずから給与俸給表においても差があつたのです。あなたがおつしやる通りなんです。併し今度一号積むことにおいては何ら差がないわけです。あなたは、先ほどいろいろと伺つておりますと、高等学校と小中学校の差をつけることは、専門教育というようなことがあるから、或いは労働の質と量との差があるからつけると、こうおつしやつた大学には差があるわけなんです。これはきまつている。そこで高等学校大学とにおいて差があることは前からきまつている。それに対して同じように一号積まれるのはどういうわけですか。矛盾じやないか。こう言つておるわけなんです。それに対して私は御答そういう事情でありますので、俸給表弁が伺いたい。
  77. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 私もちよつと頭が悪いせいか、ちよつと聞きとりかねるのですが、私が申上げたいと思つておるのは、高等学校で四級から九級まで一号上げておつた。それを更に大学において一級上げた、これがおかしいということでありましようか。それとも高等学校大学との俸給表が殆んど同じじやないか、同じであることがいけない。こういうことなんでしようか。どちらの御質問ですか。
  78. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  79. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 速記をつけて下さい。
  80. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) これは御存じの通り、現実の上において、この俸給表は、一般俸給表を使いながら、人事院の細則によつて高等学校大学とは区別を設けておることは御存じの通りであります。この俸給表は、大体におきまして現実に行われておる人事院の規則とか細則、これに極力触れない程度で作つております。ここで、そういうわけでありますので、高等学校大学と一号ずつ積んでそれを大学へ行つたら本当は一号余計に積んで行つたらいいじやないか、それでなければ差がないじやないか、こういうようなことでありますけれども、今の人事院の規則、細則等によりましてその点は差ができておりますので、この俸給表適用いたしまして、人事院の規則なり細則をこの俸給表範囲内で適用いたしますれば、当然大学高等学校との間に差が生じて来るのであります。そういう事情でありますので、俸給表といたしましては、余りにこの現行の下で手を加えるというようなことになつて一般俸給表体系の不均衡を来たすというようなことがあつてはならない、こういうふうに考えましたので、現行の規則、細則によつて差ができておりまするから、高等学校より下げるわけには行きませんが、高等学校と同じ俸給表でありながら、その適用に当りましては大学のほうがずうつと優遇される、こういう建前からこの表を作成したのであります。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 成瀬君のほうから引続いて御質問があるようですから、先ほど休憩前に私の質問人事交流の問題で中断されておるわけです。それで、その問題を一応片附けておきたい、かように思いますので、若干残つた問題をお尋ねいたします。先ほど提案者高等学校から中学校へ転任をした場合は一号を引下げる、こういうお話がございました。逆に中学校から高等学校へ転任した場合は一号を引上げる措置がとられますかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  82. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) この四級から九級の間におきましては、仰せの通りのようなことが起きると考えます。
  83. 岡三郎

    ○岡三郎君 先ほどの関連質問ですが、先ほど赤城さんの答弁は、高等学校から中学に異動する場合ですね、異動、する場合には一号下げるようにこの俸給表ではなるけれども、それは人事院の細則か規則で下らぬようにできる、確かにこうおつしやいましたねその点、間違いございませんか。
  84. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 今の人事院の規則の初任給等に関する規則というのがあります。その十八条の二項かに、一応高等学校から中学校に行く場合は一点下げるわけでありますが、併しその部内において著しく不均衡であるというような場合には、人事院と協議いたしましてそれを是正することができる、こういうふうになつておりまして、必ず是正されるのではありませんが、是正する余地が残つておる、こういうことでございます。
  85. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連して続けて……。著しく是正を要するというのはどういうことです。具体的に……。
  86. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 御承知と思いますが、「前項の規定によつて求められた号俸又は俸給月額がいちじるしく部内の他の職員との権衡を失すると認めるときは、前項の規定にかかわらず、その職員が異動後の俸給表適用を受ける官職に従前から在職していたものとみなし、部内の他の職員との権衡及びその職員の従前の勤務成績を考慮し、人事院と協議して、その号俸又は俸給月額を決定することができる。」こういう規定になつておるのでありますが、その……
  87. 岡三郎

    ○岡三郎君 その場合は、中学から高等学校に行つた場合には均衡を失しておるから、それは一号俸を上げることができるが、高等学校から中学に来たときには、そのいわゆる部内の職員均衡を失して高いわけですが、その場合は均衡を失するからその学校のものを全部一号上げるか、そうするか、下げなければ均衡を失するわけになるんです。その解釈はどうなんです。どこと均衡をとるか。例えば高等学校中学校大学職員はどういう均衡をとるんですか。
  88. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 今のお尋ね高等学校との均衡については、高等学校から中学に行つた場合は、高等学校から中学に行つた場合の部内の均衡考えますので、部内におきまして、学校関係とか、或いは卒業の学校関係とか、或いは勤務成績とか、いろいろな条件があると思いますが、こういう条件だということの、私がここで決定するわけに行きませんが、これは現行の規則でありますので、人事院のほうでもそういう研究はあると思いますが、ここでその標準はどういうことだ、こうお尋ねになられましても、私が法的にこういうことだという決定的な解釈をすることは、ちよつとむずかしい立場にありますので、御了承願います。
  89. 岡三郎

    ○岡三郎君 今言つたその法文ですね。その条項について、もつと具体的に言うと、均衡を失する、つまり中学校から高等学校にかわる。この法律適用されるということになれば一号無条件に高くなる。一号無条件に高くなるその人が、無条件に高くなつた人が、中学に行けば、中学の人よりも無条件に高いから、当然一号引下げられて同じようにならなければ理窟に合わんです。それをあなたのほうが人事院の細則なり何なりかによつて一号下げると明言された。先ほど言われました。その点について私が聞いておるわけです。
  90. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 先ほどそういうふうに答弁になつたとおつしやいますれば、私の口が下手と言いますか、徹底しなかつたのでありますが、高等学校から中学に移つた場合は当然一号下げるわけです。下つてなおそういう不均衡がある場合には、この規則の適用があるということを申上げたのでありまして、高等学校中学校及び大学の間に職域の差というものを認めてのこの立法措置でありますから、当然高等学校から中学に移つた場合には一号俸は下る、こういうふうに解釈いたします。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、今の説明は、どの法律のどれに根拠を置いておるか、十分わからないのでありますが、学校を変えることによつて給与が引下げられるということは、少くとも公務員にはあり得ないことだと私は承知しておるのですが、この問題については人事院の総裁の説明を私は要求いたします。少くとも公務員学校を変ることによつて給与を引下げられることはあり得ないというふうに私は了解しておるんですが、さようなことがあるのかどうか、人事院総裁説明を私は要求したい。  なおこの問題は、従つて質問を保留しまして、次に移りますが、これは文部大臣お尋ねをいたしますが、大学の場合ですね、大学院を設置する大学大学院を設置しない場合と差等を設けております。教授の給与の最高限度に、たしか三号俸であつたと思いますが、差等を設けております。これはやはり人事交流の面から考えて著しい障害を起すものだと私は考えるんです。特に、今日、日本の教育行政と申しますか、大学行政の面から申して大臣もしばしば新制大学の育成発達のためには努力をしなければなちん、特にその内容の充実のためには教授陣容の充実を図らなければならんということについては、しばしばその意見を述べておられるわけです。従つてその教授陣容の充実を図るためには、私は広い大学人事交流というものは当然やつて、行かなければならん問題だと考えるわけなんです。ところが今度の給与改正によつて大学院を置く大学の教授と大学院を置かない大学の教授との間に給与の差等ができて来るということになると、人事交流に障害が起つて来る。これは高等学校中学校との場合上りも更に弊害が大きいものと考えるのです。大臣の所見を伺つておきたい。
  92. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 大学院を設置してある大学と通常の新制大学との間に教授の俸給の差を設けられましたその御趣旨につきましては、これは提案の趣旨と言いますか、立法につきましては、私は審かにわかりませんのでありますが、恐らく、大学院を設置しておる大学、これは大学院は申すまでもなく普通の大学よりも更に高い程度教育をするのでありますから、従つてその高い教育より、より高い教授に当る先生の俸給に区別をつけられたんじやないか、こういうふうに私は了解しております。ただそれは人事交流に妨げになりはしないか、その点はどうであるかというお尋ねでありますが、或るほど新制大学をますます強化して、いわゆる旧制の現在大学院を設置している大学にも実質において劣らない立派な大学にしたいということは、極めて大事なことと思つております。それには、やはりいい先生が新制大学のほうに、いい先生を、何と言いますか、もつと充実する。これは極めて大切なことだと思います。そこで先ほど業者との間にいろいろ質疑応答があつたようでありますが、或いは私もその点間違つておりましたらあとで訂正をいたしますが、私の承知しているところでは、大学院を設置している、高い俸給給与されている先生が仮に新制大学のほうにかわつても、それがために、かわつたために給与が下るということは、私は現在の制度の上では、今度の提案についてはわかりませんが、現行の制度の上においては、かわつたために俸給が下るというようなことはないのではないかと思つております。従つて新制大学のほうにかわりましても、それがために給与の上で従来より低くなるということはないんじやないか。ただ新制大学におきましても、例えば充実するに従つて大学大学院を設置するというようなことも考えられるのでありまして、その人事交流において新制大学の人が、大学院を設置している……皆、新制大学でありますが、大学院を設置している学校にかわる場合は、これは条件がよくなるのでありますから、問題ではないと思つております。大学院を設置している大学の教授が普通の設置しない大学にかわられる場合でも、俸給上、下げられるとか、或いはひどい不利益なことになるということは一応ないのじやないかと思つております。
  93. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは提案者伺いますが、大学院の設置されている大学の教授で、大学院の設置されていない大学に転任をしても給与が下げられないと、こういう大臣の御説明であつたわけですが、下げられる場合もあるということは私は事実だろうと思います。いつの場合でも下げられないと提案者はそういうふうにお考えになつているのかどうか、お伺いして見たいと思います。
  94. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ちよつとその前に申上げておきたいと思うのですが、十一級の四万六千三百円という俸給は、現行法におきまする教授の中では一番最高俸になつているわけでございます。従つてどもといたしましても、教授の号俸をもう少し上げたいと思つたのでありますが、教授としては最高でありますので、大学院を置いた大学だけに三号俸を設けようということで、今十二か大学院を置く大学があるようでありますが、その十二に該当するのでありますが、そういう意味大学院を置く学校におきまして教授として三号延ばしたわけでございます。そういうわけでありますので、お尋ねのように大学院を置かない大学に移つた場合に俸給が下る場合があり得ると思います。
  95. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大臣の答弁と若干私は食い違つていると思います。大臣の答弁は、大学院の設置されている教授が新制大学に行つても下げられる虞れはないとおつしやる。併し当然これは差があるのですから、下げられる場合があるというのは確かだと思うのですが、大臣はないと言つておりますが、これはどういうことですか。
  96. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは全く事務的な問題でありますから、政府委員からお答えいたさせます。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 政府委員の答弁は要らんです。私はこういう問題で深く追及しようとは思いません。これは確かにあるわけであります。従つて人事交流に相当な障害が起つて来るということを私は申上げているのであります。従つて、大臣が常に新制大学の充実を図つて行きたいという方針に相当な支障を来して来るのではないかという点が、私の質問の眼目になつて来るわけであります。こういう点について、大臣はこの新しい改正法案に対してどういう所見を持つておられるか、それを伺いたいと思うのであります。
  98. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 大学院を設置していない大学、これを充実し、育成し、強化して行く。これは我が国の学術振興の上から見て極めて重大であります。ただ、その場合に、大学院を設置してある現在の大学の教授がこれにかわるというか、そのほうに転任されるということは、大学院を設置していない大学を充実するゆえんであろうと思いますけれども、併し転任だけによつて充実するということは、これは実際においてできないことであります。一般に、学術の発達、学者の研究にまつて大学の教授の素質が向上するということを常に言つているのであります。それから、只今事務当局の答弁は、全く現在の事務のとり方、或いは現行法の建前でどうなつているかという説明でありますから、これは事務当局の政府委員のお答えをお聞きになつても問題ないと思う。これは方針の問題ではないのですから……。現在の現行法の下でどうなつているか。これは先ほども私が申上げましたように、私の言つたことが間違つているかも知れません。けれども、その答弁をお聞きにならんで、それは必ずそうなる、その前提の下に御質問になる、こういうことでありますから、一応政府委員の答弁をお聞き取り願いたいと思います。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この改正案では……、現行法についてはお尋ねをしておらないわけです。事務当局の答弁は必要がないわけです。改正案についてお尋ねをしているのであるから……。改正案については、大学院の設置されているところから設置されていないところに行くと給与が下る場合があり得るか、こういう質問に対して、大臣は現行ということでお答えになつているのだから、大体取り方が違つたので、その点、私も了承します。  それから人事交流の問題ですが、先ほど質問半ばで置いておいたのは、実は新制中学が発足をいたしましたときに、これは全国的に起つた問題ですが、特に西日本全体に起つた問題です。当時は占領下にあつたのですが、高等学校の統廃合が起りました。これは占領軍当局によつて半ば強制的に行われました。私もこの問題について占領軍当局と折衝を持つた経験を持つておりますが、西日本全体に亙りまして非常な強力な措置によつて統廃合が行われた。このときに、高等学校教員の相当数を、特にそのときの条件は新制中学を育成するために優秀な教員を新制中学に供出するよう、提供するようにという、半強制的な指示が出ました。そうして、相当数、校舎と共に教員を提供させられました。その数は私はいくらになつているか知りませんが、これは文部省から御報告願いたいと思う。現在高等学校教員の資格を持つているもので、新制中学に勤めている者が何人いるかということを、後刻でも私の質問が終つたらして頂きたいと思う。これらの人々は今度の改正によつて給与の面では犠牲者になると私は考える。そういう点は私は看過することができないと思います。そういう点について何らかこれを救済する必要があると思うのですが、文部大臣はそういう点についてどういうお考えをお持ちになるか。お伺いしたいと思います。
  100. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) お答えします。只今お話になりましたことがあつたということは私も承知はしております。今数字は資料を取りに参りましたが、これは実はこの提案と別個に、文部省としてこの教職員給与の改訂の問題を研究いたしました際にも、実は省内でいろいろ議論があつたのであります。それをそのままにしておいて高等学校職員のほうの給与をよくするということは、当時の事情から見て不公平になりはせんかという議論は実はあつたのであります。併し結局、結論を申しますと、やむを得ぬといつては甚だ無責任なことになりますが、数の上においても大分ちがうのであります、ただそれらの個人的な、個人的といつても語弊がありますが、具体的なその場合の事情というものにあまりウエートをおきますと、結局やはり現在通り同じにしておくというよりほかにないのでありまして、さような関係で甚だその点は議論の余地があるけれども、やむを得ないと実は考えておつたのであります。これは併し私どものほうで研究したときの話であります。今度の提案におきましても同様の問題が起つて来るわけであります。当時の事情から申しますというと、その先生方には気の毒だと申しますか、まあ思いがけぬ損をしているということになるかも知れませんが、併しこれは給与を下げるということでもありませんから、まあやむを得ぬ。実はそういう結論に、文部省としてこの給与問題を研究したときにはそういう結論に達しているのであります。
  101. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ちよつと途中で申上げたいことがあるのですが、先ほど大学院の場合に、大学院の教授が他の大学に移る場合に、人事交流に支障がありはしないかということをお尋ねであつたと思いますが、実はこの大学院の教授の場合はもう教授としての最高でございます。最高峰に達しておりますので、このために人事交流に非常に支障を来たす、こういうふうには考えておらないようなことでございます。
  102. 田中義男

    政府委員(田中義男君) お尋ねは、曽つて高等学校の統廃合をやつた場合の、それが中学校へどういうふうに分れて行つたかというような詳細な人数についての御質問であつたと思うのでございますが、これは今当時の資料をここで持ちませんので、今、本省に照会をしておりますから、その結果お答えをいたしたいと思うのでございます。ただ先ほど大臣からも御答弁があつたのでございまして、御質問より又離れるかも知れませんが、現在教員数八万余を数えております高等学校の先生の中で新制大学を出た者が約八二%、高等学校関係の即ち短大卒が四%、これが小中学校べ参りまして、約五十万の中で、小中学校一級が約四%、二級の免許状を持つておりますのが短大卒七八%、かような現状になつているのでございます。
  103. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これはわかりませんか。まあ今の資料はあとで頂くとして、高等学校教員の資格を持つていて中学校に現在勤めている数、小学校に現在勤めている数は、今手持の資料でわかりませんか。
  104. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 高等学校の免許状ということだけでは、直ちにはつきりした数は手許にございませんが、大体旧制大学を出ました者はそれに該当するかと思うのでございますが、それが現在中学校に勤めております者が比率から申しまして三・九一%、高等学校について見ますと、これの人数は弾きませんとわかりませんが、パーセントは手許にございますから、なおそれを弾きましよう。百分比で申しますと、高等学校において旧制大学卒が二〇・三六%、こういう比率だけは出ております。
  105. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、中学校に幾ら、小学校に幾ら、人数をお尋ねしているわけです。これはすぐおわかりになるはずだと思います。それから、旧制大学だけでなしに、高等学校教員の資格者ですね。いつか私は、どこかの資料に出ておつたと思いますが、今持つておらないから、ちよつとお聞きしておく必要がある。あとで結構です。とにかく占領中に半強制的に統廃合が行われて、そのために可成りの数の人たちが新制中学に行つた。又、中には新制中学の充実のために進んで行つた人も可成りあることも事実であります。こういう人たちが今度の給与改正によつて犠牲になるということは、私は教育上好ましい影響を与えるとはどうしても考えることはできないのでありますが、提案者はこういう点についてはどういう見解をお持ちになつたか。この提案をされる場合どういう見解をお持ちになつたか。
  106. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 占領後、荒木さんの御指摘のように、高等学校から中等学校教員を入れるように占領軍の命令もあつて、相当異動したというようなこともあつたかと聞いております。同時に、私どもは、こういうことも実地に知つております。それは、非常に食糧事情などがひどかつたので、高等学校の所在地に、県におきましても数校でありますので、通うのに遠い。自分の村、自分の町、近くの町や村で中学校へ就職したほうが食糧事旧情その他の関係からよろしいというようなことで行つた人々も相当あるように、私どもは実地に見ましたり聞いたりしております。それは別といたしまして、然らばそういうことで高等学校から中学校へ行つた者に対する措置をどうするのか。進んで行つた者もこれは勿論あると思います。こういう人々は給与が一号違つたからとかいうようなことで不満の気持はないと思いますが、さりながら、そのままで捨てておいていいとは考えられません。この立法につきましても、そういうようなことにつきましては始終研究いたしまして、又、文部省としても、大臣も先ほどおつしやられました通り研究をしておるように聞いております。それはそれとして、別個の問題として研究し、措置をとらなくちやならん問題であり、今現在といたしましては、この専門学校大学等を出た者が大多数を占めておる。高等学校及び大学、これが中等学校との給与の差が殆んどないというような状態を勘案しまして、殊に職域差ということを認めまして、これを先に改めて行くのが時宜に適しておると考え、又御指摘のようなことは考えないわけじやない。それにつきましても考慮を払いつつ、而もその二つを一つ法律にまとめ上げるというようなことは体系上できませんので、先ず以て職域差を認めて、この俸給表三つに分けた。こういうことを先に進めたわけでございます。
  107. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今の御意見は十分理解しがたいのでございます。なぜかと申しますと、今提案されているのは職域差を認めるという観点に立つて出されていると思うのです。若し先ほど私が申上げたような人たちに対して何らかの措置を講ずるということになれば、職域差を否定するという立場に立つのじやないでしようか。その点ちよつと提案者考えが私には十分わかりにくかつたので、その点、伺いたいと思います。
  108. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) おつしやる通り、終戦後、中等学校のほうへ行つて不利な立場にある人を救済するというような措置を講ずるというようなことは、職域差の問題ではありません。私ども職域差の問題としてこの問題を出しましたので、このほうへこの法律の手を届かせるということは、これは矛盾したことでありますので、この俸給表は将来に向つてのことが主であります。それから、御指摘のような事態は過去に起きたことでありますので、これは救済措置をとるとすれば一時的にとる方法でありますが、これは将来職域差を認めてこれで行こうということでありますので、法の建前が違つておるわけであります。そういう人々を何らかの措置を講じなくちやならないことは、職域差を認めた上でのことではありませんで、一時そういう不利なことに立ち至つておるのだからして、そういう者に対しての措置をとるとするならば、臨時的、一時的に措置をとる。この法律職域差を認めて、将来に向つて差をつけて行く、こういう建前でありますから、御了承を願いたいと思います。
  109. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 教育界において職域差を認めることは妥当であるかどうかという問題は、これは理論的にも相当究明を要する重要な問題であると思うのです。併し同時に私は、実際の、言い換えますならば実情というものも十分考慮する必要があるというふうに考えるわけであります。実情というものを全く考慮しないで、仮に理論的に職域差を設けることが妥当であるというような結論に達したとしても、実情がそれを許すかどうかという点を考慮しなかつた場合は、これは非常に大きな誤りを冐すことになるのじやないかと思うのです。私は職域差を設けることが理論的に妥当であるという見解は持つておりませんことは十分申上げておきますが、仮にこれを認めるとしても、実情というものも十分考慮する必要がある。その実情と申しますのは、次にお尋ねしなければならんのは、教職員需給関係、この点を十分考慮しなければならんという点であります。これは新制大学と旧制大学の間にも言い得る問題であります。新制大学にその人を得るか得られないかという問題、新制大学にその人を得にくいというのが今日の私は実情であると思います。新制大学にその人を得にくいという実情下において、給与に差をつけるということが、果して実情に即した措置であるかどうか。これは大いに考うべき問題であると思うのです。と同時に、私は、小学校中学校高等学校の間における教員需給関係について一応文部省から説明を求めたいと思うのです。小学校において教員需給関係がうまく行つているかどうか。私は今までしばしば報告を受けておりますが、最も需給関係がうまく行つておらないのは小学校であるように承知いたしております。或る地方では、例えば北海道のようなところでは、正規の資格を持つている教員が漸く半数に達するか、達しないような状態にある。これは私は教育上由々しい問題であると考えておるのです。全国平均にいたしましてどの程度のパーセンテージに達するか知りませんが、恐らく正規の資格を持つておらない者が小学校において三〇%程度に達するのじやないかというふうにも思われます。こういう情勢においては、この需給関係は極めて不満な状態にあると言わなければなりません。極めて悪い状態にあると言わなければなりません。この状態を改善することなくして義務教育尊重などということは、口には言い得ても効果を上げることはできん。少くとも義務教育の充実を図るためには、何をおいても三〇%に及ぶこれらの教員を、有資格と申しますか、正規の教職員を以て入れ換えるように努力することが何と申しても第一の問題であろうと思う。こういう需給関係におかれている現状において、これらに対する給与の面において更に職域差というものによつて差等をつけて行こうというこの考え方が、果して現在の実情に適した考え方であるかどうか。これは私は提案者においても真剣に考えてもらいたい問題であると思う。私は義務教育の尊重ということは、これは自由党内閣の立派な教育政策であると考えております。併し実情が今申したような状態下あるならば、何が故に給与の面において今日の段階において職域差を設けて、その開きをつけて、ますますこの需給関係を悪くするような結果に追いやろうとされるのであるか、どうしても了解し得ないのですが、この点を提案者にお伺いしたいと思います。
  110. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 確かにお説の通り義務教育の充実を図らなくちやならんということは、私どもも痛切に感じておるわけであります。併し御指摘のように三〇%が小学校の免許証をもつておらん実情であるといたしましても、ここで高等学校中小学校との間に四級から九級の間に一号俸の差をつけた、こういうことのために、小学校のほうへ行こうとするものが全部高等学校へ行くとか、或いは大部分高等学校へ行くというふうには考えられませんで、おのずからそれは行くべきところへ行くと、こういうふうに考えるのであります。まあ端的な例を引いてお笑いになられるかも知れませんが、例えば私どもといたしましても、高等学校へ行きまして私が教えるということにいたしますればなかなか教えにくいのでありますが、併し中等学校或いは小学校へ行きますれば相当私でも役に立つ、(「暴論だよ、それは」と呼ぶ者あり)こういうようなことにも考えられます。で、そのためにこの一号俸を上げた、それで小学校のほうの充実が欠けて来ると、こういうふうには考えられませんで、やはりそれには充実する方法をやはり当局なりも考えておりましようし、私どもといたしましてもその充実に熱意を持つているわけであります。そういう観点から一号俸の差をつけたわけでございます。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は、私は教育界に与える影響が最も大きな性格を持つて来ると思うのです。先ほど成瀬君から賃金とは何であるかという質問もございました。提案者からは労働に対する報酬という答弁もございました。教育というものは言うまでもなく筋肉労働ではございません。而も労働に対する報酬であるという以上、この労働の価値というものが義務制よりは高等学校のほうが高いという判断を提案者はしているわけなんです。この判断は私は非常に大きな問題を与えておると思う。少くとも戦争前はそういうことがまあ通念のような形において行われておつたのじやないかと私は考えるのですが、今日なお労働の価値というものをそういう判断の上に立つて若し行うとするならば、そうして給与というものが決定されて行くというならばこれは私は由々しい問題ではないか。義務教育尊重というようなことは吹つ飛んでしまうのじやないかというふうに考えるわけなんです。今提案者はいろいろ御説明がありましたけれども先ほどの御説明と勘案して考える場合、到底私どもには了承し得ない点があるのでございます。そういう点について御説明を願いたいと思います。労働価値というものは、更に義務教育に従事する労働価値というものよりも高等学校のほうが高いと考えているのか、従つて給与が高いのは当然だ、こういう価値判断をされているというのであれば、私は義務教育尊重などということは、全くその内容というものは、私どもが受取つておるのとは全く違つておるものであるということを言わざるを得ないと思います。そういう点、御説明を願いたいと思います。
  112. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 労働の価値に対する報酬というようなことを申上げましたが、これは学校を別にした場合ばかりでなく、同じ学校の中におきましても、或いは世間におきましても、この労働に対する価値はおのおの違つておると考えられます。ここで原則的に労働の価値論を争つて、或いは論議して、労働の価値或いは社会的の評価ということをとつて、そのために高等学校或いは中小学校との間に区別を設けるべきか設けてはいけないものであるかということになりますと、これは非常にむずかしい判断になると思います。併し同じ学校の中でも、労働に対する価値は違う。それに違えばこそ、俸給表の中におきましても、或いは級があり或いは号がある。こういうようなことに承知しておりますので、それが高等学校中学校の間におきまして差を設けるというようなことになりますれば、幾分価値に差はあるというふうに認めざるを得ないのでありますけれども、これが非常な差で、まるで別世界のような考え方までに、そこまで考えて差を設けようというようなことではないのであります。現実的にみて、中等学校及び高等学校との間に教授の内容、そういう点からみて差等を設けたほうが適当であろうと、かように考えております。
  113. 岡三郎

    ○岡三郎君 非常に重要なことを聞いたわけですが、私は高等学校が高くなることに反対しているのじやない。ただ納得できるように、やむを得ないとか或いは仕方がないとか、そういうことじやなくして、やつぱり筋を通した建前をやらなければ、教育というものは筋が通らなくなると私は思う。そういう点で、今、労働の価値として、同じ学校の中で価値が違うから級があり、号がある。これは後刻又お尋ね申上げますが、そうなるというと、この俸給表自体がでたらめになると思う。これはまあ、ちやんと昇給期間というものがあつて順次行くようになつておるのでしようから。だから同じ資格の者について違うというようなことを言つてないと思う、大体この表では。だから、そういう点で、私はあとでこの問題については触れますが、この五百円とか千円違う。高等学校のほうを高くしてやるのだ。差別的な取扱いをするのだということが、はつきりこれは今出ておるわけです。差別的な取扱いをして教育がうまく行くわけはないのです。同じ人間が、高等学校と、中学校に行つた場合に、同じ取扱いを受けないのだとすれば、誰でも高等学校のほうへ行つて残りの粕が小中学校のほうへ行くというような原則が現われて来るわけです、実際に。あなたのほうでは、そうではないのだ、俸給が違つても行くのだ。そういう人も多くいましよう。いますけれども、さればと言つてそれによつてなぜ高等学校と中学に差等を付けなければならないのかというわけが私にはさつぱりわからない。そこでお伺いいたしますが、この提案の理由の中に、高等普通教育のほか専門的教育を云々と書いて、その職域差を設けるのは、専門的教育を施すという点に主眼を置いておられるということは、先ほどの答弁で明確なわけです。そうすると、普通の高等学校においては専門的な教育ということはどういうことをやられるのですか。その点をお聞きしたいと思う。
  114. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) これは申すまでもなく、学校教育法の中に専門の教育として指摘されておることであります。それを指して専門的な教育が課せられておる、こういうふうに考えております。
  115. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連して……。その今の答えですね、この学校教育法というものを失礼だけれども赤城さんは十分御理解になつていないのじやないかと私は思う。而もこの点がこの法案のポイントなんですからね。この点についてよくお伺いしたいと思いますが、文部省のほうにお伺いいたしますが、普通の高等学校で専門的な教育というものはどういうものであるか。一つ初中局長お尋ねしたいと思います。
  116. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 御承知のように、高等学校に関する学校教育法によりますと、高等普通教育並びに専門的な教育を授ける、かような規定になつておるのでございます。そこで特にこれをはつきり申上げますならば、職業課程の点につきましては、これは、はつきりしておると思う。ただ普通課程におきましても、その職業課程に類するようなそれぞれの教科或いは科目というものは、可なりこれは専門的な知識を持たなければ、これを授け得ない程度に、これは専門化しておる、かように私ども考えておるのであります。
  117. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一点。そうすると、中学の三年と、高等学校の一年との英語なら英語を例えばとつて見てどれだけ違うか、ちよつと聞きたいと思う。中学の三年の英語と、高等学校の一年の英語を教えるのにどれだけ専門的な違いがあるか、聞きたい。
  118. 田中義男

    政府委員(田中義男君) これは、なかなか具体的になるとむずかしい問題だと思います。中学の三年と高等学校の一年分英語がどういうふうにそこが違うか、こうおつしやいますと、確かにこれはなかなか具体的には困難だと思います。けれども、併し制度として、先ほど申しましたような意味において、高等学校全体として、或いは中学校全体として、さように申上げることはできると思うのであります。
  119. 岡三郎

    ○岡三郎君 私のほうから、それではこの学校教育法についてちよつと講義いたしますが、この学校教育法の中の、高等学校目的の中の専門的というのは、特に言えば、職業課程というよりも、いわゆる普通の商船高等学校とか、或いは工業学校とか、特別のそういつたような技術を指すのであつて、高等教育とちやんとここに明確に書いてある普通の高等学校、定時制なり、そういつた高等学校においては、そういつた要素ならば、職業課程なんか、中学校高等学校も大差ない、実際問題として。そこのところに職域差を求めるということはできない、現実の問題として。そういうふうに、高等学校のほうは、昔の中学校と同じように、商業学校とか、工業学校とか、商船学校とか、いろいろなこういう学校があつたわけです。そういうところにおいては、そういうような専門的な教育をするので、普通課程と職業課程というものは明確に分れておるわけです、現実においては。そういう点の専門的なものを指すのであつてこの点については、先般、産業教育振興法が出て、そういつた面についての教育の尊重とか何とかということについては一応言われておるわけです。ということになれば、これは屋上屋を架して二重な取扱いを受けるのであつて、普通教育の担任者は一体どうなるかというような非常な大きな矛盾を含んでおるように私は思う。そういう点について田中初中局長が言つておるように、専門的教育を施す旨の附加的条項がある。この専門的教育というものについてもうちよつと明確に、私はあとでこれは又お尋ねしなければならないと思うので、これは明確にして置いてもらいたいと思う。いい加減でなくして、いわゆる現在の高等学校教育目的の中に、学校教育法の中にある目的を明確にして頂きたいと思う。
  120. 田中義男

    政府委員(田中義男君) たしかにお話のように、専門的教育という点において職業課程がはつきり指示されるということは、これは確かでございまして私はそういう意味先ほど申上げました。なお、いわゆる普通課程における、それでは教育全般についての専門的知識を授けるというのはどういうわけか、こういうお話でございましたが、これは非常に……
  121. 岡三郎

    ○岡三郎君 いや、そうではなくて、この目的の中に「高等普通教育及び」とある。だから、あなたの言つておることは高等普通教育の問題ではないかと思うのだが、それとは別個な観点であると言つておられると思うのだが、その点を言つて頂きたい。
  122. 田中義男

    政府委員(田中義男君) それはたしかに私、先ほど申上げましたように、同じことを只今繰返すことになるのですけれども、はつきり申上げるのは職業課程である。ただ一般普通課程においても、その教育内容について申上げますならば、全般的の制度として、ともかく中学校とこれを比較した場合に、専門的教育を施す、こういうことは非常に強くなつておる、かように理解しておるのであります。
  123. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 岡君の質問とも関連し、或いは荒木君の質問とも関連するわけですが、赤城君にお尋ねするわけだが、あなたは今度の職域差を認めた大きな理由は、専門教育があるから、こういうわけです。あなたが言う専門教育の解釈というのは、今の産業教育振興法の対象となつておるそういう学校を指すのか、あなたはどういうふうにお考えになつているかを、私は明確にしてもらいたい。
  124. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) 職域差を設ける根拠はその法律ばかりではないのであります。ただ根拠を求めればそこにある。それから、お尋ねの専門教育というのは、申すまでもなく商船学校とか、工業学校とか、商業学校というような専門的な教育を指すものと考えますが、先ほど文部省の政府委員も言われておつたように、私どもといたしましても、教えるほうで知識も必要である、こういうふうに今見ております。
  125. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたは先ほど深川委員質問に対して、どうなのだと、こう言われたら、専門教育もやるのだ、従つて専門的な負担が余分にかかるから上げるのだ、こう言つて答弁して帰られた、そこで深川さんがたつたそれだけかと、こう言われた。あなたはこれに対して「それが主としての理由です。附加すれば一級免許状が云々」、こういうことを言われた。あなたのおつしやるのは飽くまでも専門教育というものが主になつている。それを今ここで、ごまかしたつてそれは聞こえん。速記をとつているからはつきりしている、ごまかしの答弁は私はいかんと思う。あなたはもう一度、職域差を認めるというのは、何が本当に主であるか、もう一遍言つてもらいたい。
  126. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) どうもごまかしの気持はないのですが、職域差を設ける理由というので法的根拠を考えれば、今の先ほどから問題になつているところにある。それで高等学校におきましては、高等普通教育のほかに専門的な教育、専門教育も附加されている。専門教育の中には、今申上げたように、職域的な商業学校とか商船学校とかというような、これは勿論それも含まれているかと思いますが、私の言葉が足りなかつたかも知れませんが、やはり高等普通教育におきましても教員の負担が非常に重くなる、こういう見方で、そういう見方から職域差を認めた、こういうことであります。
  127. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつとおかしくなつて来るのですよ。高等学校においては、あなたは高等学校の先生は専門的な科目を担当しているのは御承知でしよう。中学校もそうでしよう。それも御承知なんです。だから、中学校において、中学等校の教育目的は中等普通教育をやるのだ。高等学校高等普通教育をやるのだ、この目的は同じことなんだ。みんな専門をやるのだ、ところが、そこに強いて差を求めれば専門教育というものがある、だからこれが主だ、こうあなたはおつしやつておる。それをあなたは取消さないで、それが主だと、こう言われるなら、そういうところだけ上げたらいいじやないか。高等学校全体に持つて来るというあたなの論旨は不徹底だ。おかしくなつてしまう。筋が通らんことになる。だから私はもう一度聞くのだが、あなたは職域差を認めるということは専門教育があるから上げた、こういうことなんでしよう。違うのですか。
  128. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) それでは先ほどからのちよつと私の言葉が足らんようでありますから訂正いたしますが、専門教育が附加されているということも一つでありまするし、同じく高等普通教育という中におきましても、高等学校教員の負担が重い、こういう二つの点を今の職域差を認めた直接の根拠ということに御了承願いたいのであります。
  129. 千葉信

    千葉信君 議事進行について動議を提出いたします。文部委員の方々にはまだ可なり御質疑もあるようでありますが、当人事委員会といたしましては、今日決定いたしましたように、更にこのあと日を改めて地方行政委員会と連合審査をすることにもなつておりますので、今日は衆議院本会議の関係等で時間も可なり延長されましたので、文部委員会との連合はこれで打切るというのではなく、適当な機会文部委員長と人事委員長との間に協議をして開くことにされるように取計らつてもらいたいという条件で、今日はこれで散会されることの動議を提出いたします。
  130. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  131. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 速記を始めて。  お諮りいたします。本連合委員会の運営につきましては双方の委員長におきまして協議の上然るべく取計らうことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後七時二十七分散会