○藤原道子君 私は日本
社会党左を代表いたしまして、本
法案に対しまして絶対に反対をいたすものでございます。先ず本
法律は、その目的におきまして、予防と医療と併せ、その福祉を図り、以て
社会の福祉、公共の福祉を推進をすることを
規定いたしております。又本条項におきましては、人権の尊重であるとか、或いは自由を謳い、又
家族も含めた福祉とその秘密の保持を明記いたしておるのでございます。ところがその内容におきましては、余りにも相違をいたしております。なお明治四十年に制定されましたところの旧法に拘束されまして、
療養所というよりもむしろ収容所的な
考え方が各所に頭をもたけておる、かような点におきまして我々は幾多慎重審議をいたしましたけれ
ども、どうしてもこの目的を達するわけには行かなかつた。先ず一人の人間を、いわゆる公共の福祉、公共衛生ということから、その
生活の自由に拘束を加えますためには、飽くまでもそれを絶対に不可避の
措置とするに足る明確なる医学上の根拠がなければならないと存じます。又
家族の犠牲を負う者の人権の十分なる尊重と、その精神的或いは物質的な福祉への十分なる
考慮がなければならないと思うのでございます、らいに対しまする偏見を先ずなくなさなければならない。従いましてこの際法文、
法案の名称の変更をなすべきことであると同時に、らいが永年不治の病となされて来ておる。こういうことの偏見が如何に
患者を、その
家族を、且つ又
社会の人々に不幸と不安を与えておるかということは、私の申上げるまでもないことでございます。アメリカの前大統領トルーマン氏も申しておりまするが、
病気の治療法に或る進歩を十分、治療法における進歩にかかわる
意味のないらいに対する恐怖が未だ公衆の間に存在しておる。そのために
患者のみならず、その
家族をも非常に不幸を与えておるのである、この恐怖は
法律によ
つて消すことはできない、それは事実を知ることによ
つてのみこれをなし得るものであるということを申されております。私もこの点は絶対そうでなければならない、だからこの中にございます強制収容であるとか、或いは秩序の維持であるとか、或いは外出の問題等に現われておる面におきましても、こういう罰則を以て、或いは強制を以てなきなくとも、もつと相互信頼の面において、或いは
社会の偏見をなくし、
患者にも、
療養所に入れば必ず治るのだということを周知徹底させるところの
措置が講ぜられなければならないと存じまするけれ
ども、従来においてもそれがなされていないのみならず、今度の
法案を見ましても、殆んどそれらのことにおきましては、
予算的な
措置におきましても、ゼロと言
つても過言でないくらい過小なものでございます。でございますから、こういう点を幾多
検討してみましても、何ら進歩的なところが見られない。私はこういう面におきまして、
法律で裁くのでは駄目だ。本当にらいにかかつた人は、自分が好んでかかつたのではない。自分には何の責任もない、けれ
ども不幸にしてこの病に侵された人たちに対して、もつともつと私たちが温かい理解をも
つて処さなければ決して
社会的な不幸を絶滅することはできない、こういう点からこの
法案に現われておりまする幾多の面に対して、私は誠に不満であるのでございます。それと合せまして、この人のいわれなき因襲的な
考え方から、嫌悪からして、病人に対してこれを取扱
つておりまする職員に対して温かい配慮の面もなお現われていないのであります。成るほど執行の面におきましては増員であるとか、或いは待遇の面におきましては
考慮いたしますというようなことが言われておりますけれ
ども、なお私たちは不満でございます。明確なる
予算措置もなされていないし、なおその言明におきましても或いは慰労金等におきましても、現在四百円であつたものを次には四百五十円くらいにしようなどということを聞きますと、どこに誠意のあるかということを疑わざるを得ません。職員におきましてもその
通り、なお或いは
療養所の職員の処遇の点におきましては、その特殊な勤務でございますが故に、これに対しましては調整号俸と申しましようか、中央
労働委員会におきましても或いは何と申しましようか、特殊な、特殊勤務
手当委員会というところにおきましても、曾てその答申におきましては、一〇〇%を以て妥当とするということを、はつきりと答申されておるものでございます、けれ
どもこれらもなお取上げようとしない、こういう点において飽くまでも、
法律にも或いは伝家の宝刀という強制収容を背後に匂わせるというような強権によ
つて、そしてすべてのものを律して行こうという精神が随所に現われておりますこの
法案に対しまして、飽くまでも基本的人権を尊重し、そして真に
社会の福祉を冀う私たちといたしましては、どうしても本案に賛成するわけにいかないのであります。従いまして幾多
質疑の面において明らかにいたしておりますような立場におきまして、この本
法案の成立に対しましては絶対に反対を主張するものでございます。