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1953-07-31 第16回国会 参議院 厚生委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十一日(金曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堂森 芳夫君            大谷 瑩潤君            常岡 一郎君            江田 三郎君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            中山 壽彦君            横山 フク君            西岡 ハル君            林   了君            廣瀬 久忠君            藤原 道子君            湯山  勇君            山下 義信君            有馬 英二君   国務大臣    厚 生 大 臣 山縣 勝見君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 曾田 長宗君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁已君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○らい予防法案内閣提出、衆議院送  付) ○小委員長報告   —————————————
  2. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今から厚生委員会開会いたします。理事藤原道子君から理事を辞任したいとの申出がございました。これを承認することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。ついては、その後任者互選を行います。
  4. 湯山勇

    湯山勇君 理事互選方法は、成規の手続を省略いたしまして、委員長の指名とせられんことの動議を提出いたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  5. 山下義信

    山下義信君 只今湯山委員動議に賛成いたします。
  6. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) それでは只今湯山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それでは江田三郎君をお願いいたします。   —————————————
  8. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 次に昨日のらいに関する小委員会委員並びに委員長理事懇談会におきまして、本日の委員会の劈頭においてらい予防法案議題とするよう申合せがあつたようでございますが、この際今後の委員会運営に関しまして、委員長理事打合せを行いたいと存じまするので、暫時休憩をいたしたいと存じます。御異議ないものと認めましてそのように図らいます。    午前十時四十六分休憩    ——————————    午後零時十五分開会
  9. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 厚生委員会を再開いたします。休憩中に廣瀬委員ほか九名から厚生委員会を直ちに再開せられたいとの要求がございましたが、委員会の円満なる運営のために委員長理事打合せをしておりましてその点御了承を願いたいと存じます。らい予防法案議題といたします。らいに関する小委員長の御報告を願います。
  10. 山下義信

    山下義信君 議事進行について発言を求めます。只今開会を宣せられると同時に、小委員長報告を求められたのでありますが、私ども昨晩の小委員会におきましてはこの法案議事進行の上に重大な申合せをいたしたのであります。その申合せに基きまして小委員会運営議事進行をいたしておりましたところが、申合せ事項に副わないよう事態が生じて参りましたので、その善後策につきまして協議いたしました結果、ついに意見の一致をみないで、この事態収拾につきまして、委員長理事会で御善処願いたいということの希望を申し出たのであります。その節私どもは率直に申しまして少数党でもございますので、多数の威力を以て何でもかんでも推し進めて行くのだという考えでおやりになりますならば別でありますけれども、私どもといたしましては、委員長理事会を信頼いたしまして、この行詰つた事態に対しまして御善処をお願いしたい。又私どもといたしましては、できるだけ民主主義ルールを信奉いたしたいと考えまして御決定になりましたことにつきましては、あえて異議を持つものではございませんということを申上げまして、事態収拾委員長理事会の御詮議に御一任いたして、本員は退席をいたしたのでございます。昨日遅く、後に承わりますと、いろいろ御心配下すつたそうでありますが、又只今委員長開会に際しまして御宣言の中にお述べになりましたように、議事の円満なる進行を図るために委員長理事会を開いておつたのであるというお言葉でございました。つきましては、平素の厚生委員会議事進行に関しまする委員長理事会のおきめと違いまして、それはどういうふうなおきめに相なりましたか、私どもが存知いたしませんでもそのまま御実行に相成りましても、何ら異議のないところでございまして、平素そういうふうに推し進め下さる慣例になつておるのでございますが、この問題は何人も周知のごとく相当重大な問題でございまして、これが議事進行方法につきましては、昨日以来我々小委員会といたしましても頭を悩まして来た問題でございます。それがどういうふうにお話合いになりまして、ここに再開せられました厚生委員会で、どういうふうに議事の進め方をなさるように御相談の結果がなつたかということは、私どもにも納得の行くように御説明下さつて議事をお進め下さるのが私は当然ではないかと思うのであります。且つ又小委員長は直ちに厚生委員長発言を求められました。そのことに応ぜられて御質疑なつようでございますが、小委員長とせられましては小委員会経過につきましては、よく御存じでもありまするし、直接小委員会を主宰せられたかたでありますから、当然私どもと同様に委員長理事会議事進行に関するお話合いの結果をお聞きになりますることも私は当然じやないかと思うのであります。そこで多く、くどくどと野暮なことは申上げませんが、こういうことはあと思い違い誤解のないように明白にいたしておきますのが私はよろしいと思う。決して他意はないのでございます。議事進行についてお邪魔になるようなこりとをいたそうなどいうよう考えは寸分ございません。一切は速記録なしに進めて参りました次第でございまするので、或いはこれが歪曲せられまして誤り伝えられるようなことに後日相成りましては自他ともに迷惑でありますので、そういう趣旨で本日の厚生委員会議事進行につきましての委員長理事会の御決定模様はどういうふうに御決定に相成りましたのでありましようか。殊に厚生大臣出席を求めましてこの委員会を開催し、質疑応答をするということにつきまして前段申述べましたように、昨晩の小委員会で重大な申合せ等もありましたことでございますから、その辺が明白にならずいたしまして、厚生大臣との質疑応答を開始し或いはその他の質疑をお進めになるということについては、私どもはどうなさるのでありますか、全く五里霧中でありまして、その御予定が了承しかねまするので、その点御説明をお願いしたいと思うのであります。
  11. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 山下委員の御発言もございまして、先刻来委員長理事打合せをいたしました経過について御報告申上げます。結論を申上げますると、小委員長の御報告を願いまして、それが終りましたならば、その小委員長報告に対して御質疑がございましたならば、お願いする、同時に政府に対する質疑も合せてお願いいたしまするが、こういうことが結論でございます。又委員長理事打合せに時間がかかりましたことは、いろいろと小委員会委員のかたがたの間において必ずしもこの法案審議に対する認識と申しまするか、そういう点において、必ずしも一致したと申しまするか、或いは何か齟齬があるというふうに考えましたので、理事のかたといろいろ相談、時間がかかつたわけであります。とにかく小委員長報告を願いまして、更にその報告政府にも合せて質疑委員諸氏からお願い申上げる、こういうよう決点でございました。
  12. 山下義信

    山下義信君 委員長只今の御説明では、私ども十分納得しかねる点もありまするが、それは別といたしまして、我々は小委員会におきまして只今申述べましたように、本案扱い方、即ち議事進行につきまして、重大な申合せをいたしたのでございます。そのことが非常に難関にぶつかりまして、委員長理事会でお裁きを願い、そのお裁きの結果でどういうふうな進行方法を定められても、我々は多数決原理によりましてお任せするよりほか仕方がないということをはつきりしたことを申上げたのであります。然るに只今の御説明では、小委員会話合いました事柄の片付き方というものは、何ら御説明の中にお触れにならないのであります。我々は、小委員会といたしましては、その点を明確にしておきますことは当然の義務であります。この議事を御進行に相成りまするに当りましては、先ずそのことがどうなつたのであるかということを私は伺わなくてはならんと考えるのでございます。その点の御説明を煩わしたいと思うのであります。
  13. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 私が先刻申しましたらいの小委員各氏の間に必ずしも認識と申しまするか、何かそこに齟齬がある、こういうふうに申しましたことは、この法案に対して、少くとも今年度において療養所内に対するいろいろな方面における財政的の措置というものについて、もつと政府善処を求め、これを実現させるというよう事柄が、小委員の全員の一致した意見であつた。これが実現しないことには小委員会としてはなかなかむずかしい事情がある、こういうふうに私は了承しておりましたので、各理事或いは榊原委員など御来席願いまして、いろいろ話合いをいたしましたが、その点についても必ずしもそういうふうな事柄が、私の認識でははつきり、そういうふうな小委員会の、政府側に実現させる、こういうことが一つの申合せであつたとは言えない、こういうふうな御意見もございまして、いろいろその後、理事であります江田委員或いは山下委員藤原委員、御三人が厚生大臣にも合つて頂いたわけでございますが、なかなかその点が結論がむずかしいようであつた、こういうふうに私は受取りました。
  14. 山下義信

    山下義信君 非常に重大な答弁といいますか、御説明があつたようであります。先ず私は、委員長が先ほどの御説明の中に、この法案についての各委員考え方が必ずしも一致していなかつた、その間に意見食い違いがあつたという言葉がありまして、何をおつしやるだろうか、実は合点がいかなかつたのであります。この法案に対しましては、各委員がそれぞれ意見が異なつておりますことは、これは現実の事実でありますが、併し只今重ねて伺いましたところが、今の委員長の御答弁によりますると、昨晩の私共の申合せについての解釈が、同じ小委員の中においても、その取り方が必ずしも一致しなかつたということをお述べになつたのでよくわかりました。前段の、齟齬が少しあるように見受けられたことの意味が、あとの御答弁で私は了承したのであります。併し私は非常に重大でございますが、併しながらこういうことを申し上げておつて水掛論、何も確たる記録昨晩残してあるわけではないのでありまして、私はこれは小委員が満場一致でこの申合せには異議がないと解釈しておるのでありますが、併しながら、その申合せ事項考え方、その解釈というものについてい、今日になりまして委員食い違いがあるということになりますれば、これはもう止むを得ないことで、それを追及いたしてみましたところで水掛論でございまするから、どこに間違いが存在したか、それはいわゆる水掛論に終ることでございますが、併しこのことにつきましては、私は事態を明白にしておいて頂きたい。なお只今小委員長から厚生大臣に、江田委員山下委員藤原委員会つたようであるが云々というお言葉がありました。これは私はこの機会に、一身上のその点についての弁明を簡単にさせておいて頂かなければならん。私ども野党、この法案審議が紛訌を来しておることは事実なんです。その間に野党の私ども議員が、政府の当路の大臣と会見したということにつきましては、それだけではあとに私どもといたしましては誤解を招く虞れがあります。そこで私は事実を申述べておかなければなりません。先ほど理事会がいろいろと難行したと言いますか、お話合いがむずかしくなりました。結局は恐らく各小委員においての思い違いの点があると委員長がお述べになつたのは、この政府答弁に関することであろうと思うのであります。即ち療養所関係の経費に関する当局所信を質すという、その政府が如何なる態度に出るかというその一点にあるだろうと思うのであります。私どもは先刻厚生大臣を訪ねたのは、江田委員理事会模様をお洩らしになりまして、どうも納得しがたいところもあるから、いつそ野党たる我々は当局考え方がどういうものであるかという真意だけを直接質しておくがよかろうというので、その政府真意を質しに参つたのであります。と申しますのは、その政府答弁そのものが、本日の議事進行に重大なる関係があるのでございます。その政府答弁というものを小委員会が検討いたしておきまして、そうして、その結果に基きまして、本日厚生大臣に改めて責任のある御答弁を求め、又その他に懸案となつておりまする藤原委員その他の問題もこの際明らかにしておくということが、昨晩の小委員会申合せ事項であつたのであります。然るにその政府答弁をあらかじめ事務当局に一、二徴してみますると、私どもの期待と非常に相反する、即ち小委員会申合せのその精神と非常に距りがありまするので、或いは小委員会真意厚生大臣に完全に通じないでいるのではあるまいか、我々は野党でございまするから、その間与党の同僚諸君政府との間のことは存じませんので、或いは我我の熱意が、我々の真意厚生大臣まで完全に通じないところがあるのではあるまいかと私は存じまして、江田委員のお誘いに同伴いたしまして、我々がその点について非常にこれを重大視しておりまするし、又昨晩申合せ事項野党として申述べに参つたのでございまするから、この点は明らかにいたしておきたいと思います。そこで私は委員長理事会におきましては、小委員会申合せ事項の中に、各委員の中に必ずしも解釈が同一でない、一致していないということを理事会で御判断に相成つたということを私は非常に重大であると思うのであります。これは明らかに申しますと、昨晩の小委員会申合せは、非常に協調的な基本線を出しまして、与野党本案解決に向いまして、誠意を披瀝した申合せでございます。従いまして私どもはこの申合せによりまして、実質的には本法案扱い方解決をしたのである。少くとも解決の手がかりを得たのであると存じておりまして、この申合せ事項というものはお互いに覚書は交換いたしておりませんが、前段申述べますよう速記録その他に記録をとり、そうして署名捺印等はいたしておりませんでも、お互い議員でございます。私どもは相互いの人格を信頼いたしまして、この申合せを忠実に実行いたしますることにつきましては責任を感じているものでございます。然るにその申合せ事項が必ずしも一致していないということになりますと、言い換えまするというと、小委員会申合せ事項はこれが破棄されるのであるか。最早や価値がないのであるか、これは捨ててしまうのであるか、水に流してしまうのであるか、役に立たんのであるか、どうであるか、ということだけは、私は明らかにして置かなければなりません。これはもう破棄するのだ、やめにするのだというならば、それならそれではつきりするのであります。いや申合せ申合せで守つて行くのだ。ただそこに多少五十歩百歩の差はあるが、大体この申合せ事項は厳存するとして守つて行くのだということに委員長理事会は御解釈になつたのでありましようか。ここに思い違いがあるということになりますと、この申合せ事項は無効になつたのでありましようか、どうでありましようかということを、私は委員長理事会を主催せられました委員長としての御答弁を承わつて置きたいと思うのであります。且つ又、この申合せ事項の遵守ということについて小委員長はどう考えておられるか。たまたまこの席に小委員長出席でございまするから、この申合せ事項は厳として存しておりますものかどうかである。委員長が述べられたようにおのおのの小委員考え違い、思い違いがあるから、これは全く無価値なものであるのであるということにつきましては、小委員長は小委員会責任あるお立場としてどういうふうにお考えに相成りまするかということを委員長並びに私は小委員長に伺いたい。そうして事態を明白にいたして置きまして、私は議事をやはりルール則つてお進めに相成らんことを希望いたすのであります。この点委員長並びに小委員長から確固たる明快なる御答弁を得たいと思います。
  15. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 山下委員の私に対する御発言に対しましてお答えいたします。  私がそのような小委員会委員各氏の間に認識齟齬があるとこういうふうに解釈したことは、山下委員が先刻おつしやいました申合せというものが本当にあつたかなかつたのかということについて、廣瀬委員長並び榊原委員にお尋ねいたしました。そのときに、そのよう政府に向つていろいろ改善すべき点を、これを質疑し要望するということはたくさんの意見が出たけれども、これを何か申合せと、こういうふうなものでなかつたと、こうおつしやつたように私は理解いたしました。間違いであるか知りません。間違いであるならば御発言を願いまして考え直しますが、そのように私は理解いたします。
  16. 山下義信

    山下義信君 小委員長に御答弁を願います。
  17. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 お答えします。只今小委員長としての答弁ということで申上げるのは、この間、昨日のお話のうちには、山下委員政府当局慰安費の問題、或いは作業、或いは文化教養費、その他の問題について御質問になるということについては結構であると自分は思つたのであります。けれどもそういう質問をすること自体が申合せであるとは私はどうしても考えられない。殊にいわんや予算要求事項満足答弁を得られなかつたこととすれば、この小委員長報告をもいたすことに同意できないのだというような御態度をおとりになつたことについては、私は全然そうい)ふうな申合せをした記憶はないのであります。これは小委員長だけではいけません。有馬委員も、それから榊原委員もおられるのでありますから、その点はなお附加えてはつきりさして頂きたいと思います。
  18. 榊原亨

    榊原亨君 私の了解いたしました、なお記憶しておりますことは次のようであります。この小委員会におきましては、一生懸命に今後ともらい予防法につきまして努力を払い、今回問題になりました諸点につきましても法案の改正その他の点につきまして協力努力をしようということは申合せたと私は思つております。なお私ども山下委員の御不在のときに、先日質問いたしましたのでありまして、当局質問いたしまして、そしてその結果は小委員長から御報告をお願いいたしました。山下委員は明くる日お出ましでございますので、山下委員がなさるべき御質問につきましては、これを山下委員にして頂きまして、そうして政府所信はつきりと聞いて頂き、そうしてその結果も併せて廣瀬委員長の御報告の中に織込んで、そうして御報告をして頂きました上におきまして、常任委員会において藤原並び山下委員から当局はつきりと速記をとつて質問をお願いするということで、私は了承したつもりであります。従いまして、この問題も小委員会におきまして、山下委員の御質問によつて当局答弁いたしまして、その答弁が不満足があつた場合には廣瀬委員長の御報告を保留するということまでのお話は、私はした覚えはないのであります。以上であります。
  19. 山下義信

    山下義信君 これは結局水掛論になるのでありますから、先刻来から申上げましたように、証拠のないことでございますから、小委員長は、申合せ事項なんというものはなかつたとおつしやるならば、これはもう小委員長の良心に訴えるよりほかにありません。又榊原委員がお述べ下さつた点は申合せ事項のありました一部分は御是認に相成つたようで、但しその内容の深みと言いますか、具体的の点についてのそこまでの申合せ、即ち政府答弁まで不満足状態であつたときの処置等については申合せはなかつたと御証言下さつたように存じまするが、小委員長は全然申合せ事項なんというものはなかつたとおつしやる、同じ小委員榊原委員申合事項のあつたことは、前提としては御是認に相成つて、私の質疑に対する政府答弁が不満足であつた場合における必然的な諸状態に対するそこまでの申合せはなかつた、こういう御解釈と私は只今承わつたのであります。私は廣瀬委員長のいわゆる御証言、御答弁と、榊原委員の御承言との間に、すでに食い違いがあるわけでありまして、私は両委員のその食い違いを追究しようとは思いませんが、私もその点を明らかにいたしませんと、小委員といたしまして虚構の事実を申述べ、或いは無実なことを開陳いたしたということになりますると、本員といたしましても誠に心外でございまして、この申合せ事項のありましたことは、後に委員長理事の御参加を願いまして、私は小委員の一人といたしまして、小委員会がどうして難航をしておるのか、どこの難関にぶつかつておるのであるかという点を、事態を、委員長理事に訴えまするために、休憩前の小委員会におきましては、かくのごとき話合いがあつたかということを申上げたのであります。若しその際にそんな申合せはなかつたのだとおつしやるならば、なぜ小委員長はその席で御否定なさらんのでございましようか。これはその小委員だけがお聞き下さつたばかりでなく、他の委員長理事にも御参加を願い、又同僚委員にも小委員会外意見として御列席も給わつたのであります。現に常岡委員も又高野委員も御参加下さつた。又、事重大でありますので、専門員列席をいたしたのでございます。このよう申合せ事項は全然なかつたということをどうしてさようにおつしやるのでありますか、私は小委員長のお考えにつきまして付度に苦しむのでございますが、私どもといたしましては、この問題の法案進行をスムースにさせるという早地に立ちまして、協力態度を明白にいたしたのでございます。そうしてでき得べくんば会期中に結論を出すということにつきまして同調いたしたのであります。その会期が今日三十一日きりか、或いは延長されるか不明でございまするから、二段構えといたしまして今日の三十一日中にこの結論を出すことに協力を惜しまない旨の公約をいたしたのでございます。而して万一会期が延長されるということになりましたならば、本案審議の取扱い方につきましては、改めて事態に即応いたしまして相談をいたそうではないかということに相成つたのであります。従いまして会期中に結論を出す。この法案審議をなめらかに進行させるというために厚生委員会を開き、厚生大臣出席を求め、廣瀬委員長のいわゆる中間報告をされることを是認いたしたのでございます。而して同時に我々といたしましては、この法案を離れて療養所の整備、或いは患者諸君福祉の上に政府当局がどれだけの考慮をするかということにつきまして、質疑応答の形式を以てその所信を質すということに相成つたのでございます。今一点のことは、これは私はこの席で申上げることをはばかります。而して政府当局質疑いたしまするそれらの内容につきましては、どということを質疑するということも大体御了承願つておいたのでございます。而して全体的といたしましては、只今榊原委員の御説の通りに、政府のその所信が非常に不満であつた場合の処置につきましては、まさに榊原委員の御証言通り、そこまで申合せが十分にされていなかつたのであります。併しながら私ども政府に質さんとするその意思につきましては、即ちこれらの患者の処遇、福祉関係の諸費の問題につきましては、その趣旨につきましては、その具体的な金額等につきましては、小委員会の一定の結論が出たわけではございませんけれども、これは改善するということにつきましては、全小委員のおかたに、何人も御異論はなかつたのであります。殊にその点有馬委員は指摘せられまして、この法案審議につきまして朝野両党が額に汗して闘い来つたけれども、併しここに至つて真に患者福祉についてかくのごとき結果が生まれて来たということについてはかくのごとき熱意の結果が生まれて来たということについては多とするというお言葉があつたのであります。従いまして私どもといたしましても、我々の要求する全幅を政府がこれを入れるがごとき答弁を必ずしも固守して求めようとするものではございません。併しながら、できるだけ政府がその改善の誠意を示すことを期待いたしましたことは、これは暗々裡に各小委員のかたがたが御了承に相成るところであつたと思う。然るにその後開かれましたところの小委員会におきまして、関係事務当局が参りまして、あらかじめ事前にその意思を質して見ますというと、或る一点を除きまして、その他は殆んど零なのでございます。それでは、質疑応答後、この厚生委員会に関し、重ねて責任ある大臣答弁を以ちましてピリオドを打たんとした委員会当初の趣旨とは、非常に内容的に隔つて参るのでございます。そこでどうすればよかろうかということになりまして、遂に思案に窮しましたのが、私は昨晩の行詰つた状態であると存じます。私どもはそれらの点につきまして、もとより希望を持つております。併し我々の希望が一〇〇%容れられなければいけないということを申した覚えはないのでございます。然るに政府のほうの、一応何といいますか、事務当局だけの考えを聞いて見まするというと、一〇〇%どころか殆んど零なのでございます。これが現実でございます。もとより我々はこの問題の解決の上に、本日の小委員長経過報告了承し、又会期中に結論を見出すことに協力を惜しまなかつた。この解決点のその一つでありまするそれらの点につきまして、不十分な状態であります状態をどうすべきかということを憂慮いたしたのでございます。併しながら多数党の諸君が、その点は不十分でも、多数の威力を以て一挙にやつて行こうじやないかという、数の力で以て我々に有無を言わさずやるというならば、これは多数党の諸君の御自由でございますから、我々は何ともいたしかたございません。併しながら本日ここに厚生委員会を開き、厚生大臣出席を求め、厚生大臣質疑し、その前段に小委員長報告をすることについて、我々が協力いたしまして了承いたしましたゆえんのものは、右の問題が同時に申合せといたして小委員会において扱われたことは、事実なのでございます。若し私に微塵でも虚言がございまするならば、私は諸君から懲罰に付せられましても、如何ような御処分に相成りましても、厭わないものでございます。私は昨晩申合せを誇張しては申しません。一言一句も加えておりません。私見を交えてはおりません。まだまだそれ以上のことがございましたが、それは政治的な言葉でございまするからここに省略いたしますが、大体の骨子は私は只今通りであると確信をいたしておるのであります。従いまして小委員会におきまして申合せはなかつたんだ、そんなことはなかつたんだ、まあ申合せは違うんだ、こういうことに委員長理事会で御審判相成るということになりますれば、本日の厚生委員会議事をお進めになりますることは、小委員会申合せによつてここに実現するのでございますから、一応私はこれも御破算に願わなければなりません。又昨晩申合せで各小委員間の見解に食い違いがあるということになりますれば、改めて私は小委員会に御諮問になつて、その食い違いの点を調節せられて、そうしてこれらの申合せが存続するか、認めるか認めないか、食い違いがある点は小委員会にお諮りを願わなければ、委員長理事会で以て一部の……私も一部でございますが、一部の小委員の言うところを以て直ちに食い違いがあるとせられまするかどうかということは、私は御判断が軽卒ではないかと考えるのであります。従いまして本日の議事進行は、決して私はお邪魔をいたしません。或いは私は若しも命ぜられますならばこの席から退席もいたしまするが、本日の議事を開きますることは、小委員会申合せによつて開いているのでございますから、その小委員会申合せ事項に疑義がある、或いはそういうものは存在していないということになれば、改めて本日の議事進行につきましてはその点を明確にしてお進めに相成りますることが小委員会の設立でありまする建前からいい、小委員会申合せ事項と関連があることといい、その点は明白にいたさなければ、本日の議事進行は私は道理に背くものではないかと思う。多数の力を以ておやりになることは自由でありまするが、併しながら我々は少なくとも民主国会にこうして席を列しておつて民主主義を護つておりまする以上は、昔日のごとき横暴は私は許されんと思うのであります。多数にものを言わすというのも一つの暴力であります。私はそういうことは、賢明なる同僚諸君がなすはずはないと思いまするので、事態さえ明瞭になりまするならば、私は本日直ちに如何様なる多数の力でこれがお取扱いに相成りましても、我々は否むところではないのであります。私といたしましては、事態が不明瞭のままに、何が何であつたか、どうがどうであつたか、のちに至つてああである、こうであると言つていろいろと事柄が歪曲おせられますることを遺憾に存じまするので、この議事進行に当りまして事態を明白にして頂いてお進め願いたいと希望いたす次第であります。そこの点御明確に願いたい。
  20. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 只今山下委員のお言葉の中で、全然申合せがなかつたというようなことは私は少しも申しておりません。ただ現在問題になつているのは何でありましようか。これは私の委員長報告をするかしないかということが昨日来の問題であります。その問題が如何なる条件にかかつて私が報告をすることを妨げられているかと申しますと、先ほど来お話のあつた厚生当局山下委員との間の予算質問に関する満足なる当局答弁を得られないということが条件にかかりまして、私の答弁は認められないで、昨晩は私はその点について、有馬委員が予算の答弁の問題と、それから委員長報告とは切離したらどうかということをおつしやつたときに、山下委員はこれに対して、そういうことは困るということを非常に言われておつたように私は思つております。そういう点については申合せはなかつたと私は言うのでありまして、全然申合せがなかつたというようなことは私は申上げた記憶はありません。それから私をして言わしむるならば、昨晩委員会において、最後に、山下委員がお帰りになる前に、藤原委員山下委員は外に出て御相談の上、もうあとは任せる、俺たちはもう何も言わんということを仰せられたのであります。そしてお帰りになつた。山下委員はお帰りになつたのであります。そういう状況のあとどもは皆集りまして、委員長を中心といたしまして御相談をいたした結果、委員長は明日十時に委員会を開き、而して劈頭に小委員長報告を認めるというお話でございます。そういう事情でありますから、私は根本において、根本において私の報告は厚生当局とあなた方との予算問答に条件としてかけられているというようなことは、そういう申合せはなかつたということをはつきり申上げておきます。ただ全然申合せがなかつたということは断じて申上げないのであります。
  21. 藤原道子

    藤原道子君 私どもは今重大な事態を控えて、目の前にして、この法案審議に当つておるものでございます。これは申上げるまでもないことであります。そこで私といたしましては、成るほど昨晩ここを引揚げました。廣瀬さん聞いて下さい。だから任せます。併しながら……廣瀬さんこつちを向いて下さい。昨晩私は確かに皆さまの御決定に従いますということを申上げて帰つたのでございます。その御決定がどうなつたかということを我々に報告する義務はあるでしよう。私は小委員を解除された覚えはございません。それから榊原さんも小委員であるならば私も小委員であります。山下さんも小委員なんです。それなのに理事委員長打合せ会におきまして暗礁に乗上げたときに、なぜ榊原委員だけをお呼びになつて、その上に立つて食い違いがあるという断定をされたのです。私は委員長に対して不満であります。それと同時に今朝劈頭報告するということになつておりましたけれども委員長理事打合会の御決定も、昨夕は遅くまでおかかりになつたということを私は聞いておる。それと同時に、今日再び理事委員長打合せ会が行われたはずなんです。その結果を委員長に御報告になりますることは、今までの慣例であろうと思う。この点はどういうわけなんですか、任されたのだから何をやつてもいいという御解釈で参議院議員がこの議会を運営してもよろしいもんでございましようか。これは私は、少くとも国会の最高の権威を持つ参議院においてのその扱い方といたしましては、了承に苦しみます。それといま一つ、昨日の申合せのことが問題になつておるのでございますが、昨日私たちがこれに応じましたときの小委員会の空気は、有馬委員の申されますることも、榊原さんの申されますることも、或いは小委員長の申されますることも、非常に明るい見通しだ。この間あなたがたが帰つたあとの小委員会が、これも政府了承、これも了承、これも了承というふうに、非常に明るい御報告であつたと私は記憶いたしております。そこで私は、法案そのものには反対であるけれども我我が修正を出してもこれが認められない。少数党の悲しさ、葬られることは明らかだ、だから我々の反対の基本線は変わらないけれども、せめては患者のために、せめては患者のために私たちは少しでもいいものをとつてやりたい、これを考えましたからこそ、それならばということになりまして、殊に十三項目、私あとで問題になつてはいけないと存じまして、ここに全部メモにそのときひかえてございます。そうしてこれを政府に質して、そうしてその上に立つて委員長報告をしようというふうな申合せであつたことは満場一致なんです。満場一致でないとは私は言わせない。私は女でございますから、成るべく控えていた。けれども先ほど来のその応答によりまして、私はどうも納得しがたい。予算委員会におけるがごとく議事規則も何も無視して、そうしてこの厚生委員会を、何でもかんでも多数でおやりになるというならば何をか言わん。この事態解決は一体どうするのですか、この点についての明快なる御答弁を伺いたい。理事委員長打合せ会のことは理事にも、小委員にも報告しなくてよろしいのでございましようか、そういう慣例をお作りになるのでございますか、その点から先ずお伺いいたします。
  22. 榊原亨

    榊原亨君 らいに関する小委員長報告を求めます。(山下義信君「議事規則を見なさい」と述ぶ)
  23. 藤原道子

    藤原道子君 私は質問続行中なんです。その質問答弁しなさい。私は協力しておりますよ。榊原さん。曾て大臣は私の質問に対して何て答えた、速記録をよく見てくれということなんです。
  24. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 答弁申上げます。藤原委員のさつきの委員長理事打合せ会に、なぜ榊原委員だけを呼んで、藤原山下委員を呼ばなかつたか、こういう話でございますが、私は今日朝山下委員にもお目にかかりまして、そうして私がお話を聞きまして、大体山下委員のお気持を了承したつもりでおります。それからそういうふうな私の了承の仕方で、委員長理事打合せ会に臨んだわけでございます。ところが他の理事のかたがたのうちには、それは少し話が違うから、小委員の他のかたを呼んでくれと、こういう話があつたのでありまして、私は榊原委員、又小委員長に来てもらつた、こういうことでございます。従つて一方だけの小委員、一会派の或いは多数の会派のうちの一部の会派の小委員を呼んだ、こういう取扱いではございません。或いはそういうふうに理由をつければそういうことはあるかも知れませんが、私の意思はそれでございます。それから理事は社会党の第二、第四控室からも出ておりまするし、又従つて私は今委員長理事のうち、今日の打合せ会においては、まあ割合円満にこの委員会を開くという結論が出ましたので、あなたがたに直接お話申上げずにおつたけれども理事から藤原さんにはお話がある、こういうふうに考えておつたわけであります。(山下義信君「答弁違います。答弁の事実に相違があります、発言をお許し願います。」と述ぶ)
  25. 山下義信

    山下義信君 委員長は私に今朝お会いになつて、私は同じ控室でありますので、こういう声を荒げたいとは思いません。あなたが今朝私に会つて了承を求めた、そういうことはございません。私は今朝、党の国会対策委員会に出ておりましたら、九時四十分でありましたか、委員部が参りまして、本日は時間励行正十時に開会しますから、お集りを願いたいという通知を持つて来たのであります。委員長として、今日は十時にかつちり始めるのだな、そうすると何か夕べ申合せがあつたのだな、その結論でこういうふうにやられるのだなということを私は感じたのでありまするけれども、併しながら内容がわからん。そこで九時四十分頃でありましたが、国会対策から、私は中途退座いたしまして、至急にあなたに夕べの模様を聞きたいと思つて、電話連絡いたしましたのですが、なかなか連絡ができない。そこで漸く十時過ぎでありましたかお見えになりましたときに承わつたのでは、今日十時からやることになつた、そうして広瀬小委員長報告をやることになつた、厚生大臣が来て質疑応答をすることになつたのだと、こういう日程をお告げになつただけでありまして、その御相談がどういう内容なつたかということ、ましてや昨晩申合せ事項についていろいろ意見食い違いがあつたことについては、只今我々にお示しになりましたようお話は、私は寸毫も承わつたのじやございません。本日のただ日程に十時に強行開会することになつたということだけをお告げになつたのでありますから、その点を私は明らかにいたしておきたい。決してこの議事進行内容委員長理事打合せ会の内容等を私ども了承したのではございません。そうして私は前段質問いたしておきましたことに、まだ委員長お答がございません。お答えにならずに、他の委員発言をお許しになるのはどういうわけです。私は前段の質問におきまして、小委員会申合せというものは破棄するのか、守るのか、それをどう委員長理事打合せ会では決定せられたかということをお尋ねしておるのであります。食い違いがあるとかいうような、不得要領なことではいけません。若し食い違いがあれば、意見の調整を委員会にお命じ下さい。私は五分や三分の意見の調整をすることにやぶさかでありません。併し意見の食い違つたままで、これを理由にされまして、小委員会結論意見というものを蹂躙せられることは、小委員としまして、私は承服しがたいのであります。従つて委員会申合せというものはこれを破棄するのか、これを守るのかということたけは明白に願いたいのであります。
  26. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) さつきの最初の発言でございますが、私が了承したということは、山下さんの小委員としての態度考え方について私が了承したと、こういう意味でございますのでお間違いなく。それからもう一つは、勿論、小委員会申合せということがございます場合に、それを尊重していく、これは当然でございまして、他意はございません。
  27. 山下義信

    山下義信君 小委員会申合せは、勿論、尊重するというお言葉で私は了承いたします。私はその一言で極めて明快だと思います。従つてその小委員会申合せを尊重せられると、委員長理事打合せ会で御決定になりました。それに決して私はひつかかつて行こうとは思いません。それならばその方針で議事の御進行を願います。先ほどの御説明によりますというと、この申合せ事項について、いろいろ食い違いがあつて、必ずしも申合せ通りを実行しなくてもいいんだと言わんばかりの御発言があつて、本日の議事進行は一方的に、或いは私の邪推かも知れんが、多数の威力を持つて強行なさるのではないかと邪推し得られるような御報告がありましたから、私は事態の明確をお願いしたのであります。で、申合せ事項につきましては、これを尊重するという建前をおとりになつたということでございますならば、私はその線で議事進行をお進めになりまして、何ら異議を差挾むものではございません。    〔榊原亨発言の許可を求む、その他発言する者多し〕
  28. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) ちよつとお待ち下さいませんか。ちよつとまあ紛糾して来ましたから、暫時ちよつと速記をとめたら……。    〔「賛成」「議事進行」と呼ぶ者あり、榊原亨発言の許可を求む〕
  29. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) ちつとお待ち下さい。そうおつしやらずに……。    〔榊原亨君「いや議事進行発言を求めているのですよと。」述ぶ。〕
  30. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 榊原君。
  31. 榊原亨

    榊原亨君 既定のごとく、理事会でおきめになりましたように、例の小委員長の御報告をされるようにお願いいたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  32. 江田三郎

    江田三郎君 今榊原さんの言われたように、小委員長報告をされるのは、きまつたことですから、やられればいいので、ただ少しまあ私らは今までの事情を知らんから、お前ら何もわからんということになるかも知れませんが、非常にこんがらがつて来て、山下氏の言われるのも、申合せ事項というのが尊重されるのならそれでいいということを言つているのですから、そうむきにならんでも、小委員長報告をなさればいいのです。ただ小委員長報告が、申合せ事項と異なつたということになれば、それはそのときに山下氏なり、或いはその他の小委員の中で、自分が小委員として決定参加して聞いたことと違うと、こういう問題が出て来るわけです。で、小委員会申合せを尊重すると委員長もおつしやつておられるし、小委員長申合せがあつたということで……、その申合せの範囲がどこまでかということがどうもはつきりしないのですけれども、言つておられるのですから、そういうことに何もがたがた……、と言つては甚だ失礼なことを申しましたが、この議事進行とか何とか言わんで、もつと和やかに行けると思うのですよ。ところで私たちは、この予算委員会はああいう空気になつておりますし、それから労働委員会のほうも、スト禁でいろいろ殺気立つておりますけれども、そういうような、労働委員会なり、予算委員会のほうが非常に紛糾しているから、それに右へならえで、この委員会でも或いは徒らに引延ばし作戦をするのであるとか、或いは喧嘩腰でやるとかというのですよ。そうでなしに、この問題については我々は基本的には反対だけれども、反対は反対として、何とか今の事態というのは、この委員会の中だけじやなしに、外からいろいろ起きて来る問題を早く収拾をつけなきやならん、こういう意味からお互いに何とか早く結論に到達するようにという気持で言つているわけです。そういう点について、もつと話合えば私はうまく行くのだと思うのですけれども、何しろ多数の署名を以てずつと委員長開会要求されるようなことになつて、その時間がないわけです、そういう我々の気持ですから、余り殺気立たんでやつて頂きたい。だから私は議事進行についてあえて……、私の言うことは終りなんで、終るのですから、小委員長報告に入つていいのです。やつてみて、その小委員長報告が、山下さんなり、藤原さんなり、小委員として理解しているところと違つていたら、お二人のほうから議論が出ると思う。(「委員長動議が明らかに出ているよ、さつき」と呼ぶ者あり)
  33. 高野一夫

    高野一夫君 動議に反対じやないですが、私にも一言言わして下さい。私は小委員でもないし、理事でもないから、別の立場で申上げたいと思うのですが、昨晩、今日の会議のやり方をおきめになつたのは、小委員会でなくして、小委員と常任委員長理事との懇談会で、今日のことをきめようということのお話でおきめになつたと思うのです。それで正十時に開会して、そして小委員長報告を求めて、それから大臣においで願つて、いろいろ私はお質しするべきを質問するということで決定なつたと私は理解して、今日は実は正十時に参つたわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)話がいろいろこんがらかりましたが、そこで先ほど来山下委員お話も承わつておりますが、山下委員は、自分は別にその議事引延しその他をやる意思じやない、協力的な気持なんだ、藤原委員もそういうお話であるし、且つ又水掛論になるがごとき点について別にそれを追及する気持もない、こういうことをおつしやつているのでありますから、どうか一つ円満にお運びを願いたいと思います。と同時に、私どもは小委員会に出ておらない。一体お話内容が何のことやら、てんで雲をつかむようなことで、まあ薄々は様子はわかるのでありますけれども、わからんのであります。一応ここで小委員会内容或いは結論があるならば、その結論をお出し願つた上で、その上で又質すべきは質し、又質問すべきは質問するというふうにして頂ければ、つまり我々小委員以外の者も、事態が鮮明になつて、話がよく理解ができるようになると思う。かように思うのでありますが、一つ山下委員もそういうふうに御了解願えれば、非常に結構だと思いますが……。(「同感心々」と呼ぶ者あり、廣瀬久忠君「私は報告をいたしたいと思いますが、よろしうございますか。」と述ぶ)
  34. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) ちよつとお待ち下さいませんか。さつき榊原委員動議がございましたので、これは如何いたしましようかな。    〔「動議は成立しておる」と呼ぶ者あり〕
  35. 江田三郎

    江田三郎君 その動議に賛成したのですよ。私は議事規則を無視してやつたのじやなしに、楠原君の動議に賛成の趣旨で言つておるだけで、反対しているのじやない。
  36. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) それじや榊原委員動議廣瀬委員長の報告を聞くと、こういう榊原委員動議を取上げますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり、湯山勇君「ちよつと御報告に入る前に緊急に質問があるのですが、これは非常に緊急なので、お尋ねをしたいと思うのです。」と述ぶ〕
  37. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 今決定いたしましたので……。何のことでございますか。ちよつと関連した……。
  38. 湯山勇

    湯山勇君 私はちよつと……。(「もう決定をされて、宣告されたわけですから」と呼ぶ者あり、江田三郎君「問題外ですから……、問題が違うのですよ」と述ぶ、湯山勇君「ちよつと素直にお聞き頂いたらいいのですが、実は今私も知らなかつたのですけれども、座り込みをやつておるそうなんです前のが。で、あの連中に対して大臣のほうから昼飯を食べさすな、食べさすなという言葉は悪いですけれども、昼飯を持つて行くなというような命令が出たということを今聞きまして、そのことだけ簡単にお尋ねしたいのです。で若し、私たちは勿論今の動議にも賛成いたしますし、別にそれについてどうだということはないのですから……」と述ぶ、「報告を先にやれよ」「人命に関することですよ。いいのですか。」と呼ぶ者あり、湯山勇君「ちよつと待つて下さいよ。実は通告もしておつたのです。」と述ぶ)
  39. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) ちよつと待つて下さい。どうでございますか。ちよつとお待ち願つて湯山さん時間は短いのですか。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 ええ、短いのです。
  41. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) ちよつとそういうふうにお願いしますよ。湯山君。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 誠に済みません。(「もう少し進行をうまくやるようにやつてらいたいな。」と呼ぶ者あり)実は小委員会というのを私どもがお願いしたのは、話がうまくまとまるようにという意図であつたのですが、それが只今よう意見がまとまりにくいのは甚だ残念ですが、今はそれに触れないで、実は今座り込みをやつているということを私今さつき聞きました。これは私たちが行つて前のときは帰したのですが、そのときに行かれたどなたかに、座り込みを又するという連絡があつたのかどうか、或いは委員長なり或いは小委員長のほうへ又座るということの連絡があつたかどうか。これはなくてやつたとしたら、私は大きい不信行為だと思います。患者のほうのですね。で、それがあつたかなかつたかということを一点お尋ねいたしたいのと、それからもう一つは今申上げましたように、大臣が……。昨夜は食事を運んだそうです。ところが所長のほうに命令を発せられて、食事を運んじやならない。放つとけというような命令が出されたということを今聞いたのですが、これは直接委員長が行つて責任者から聞きました。次官もおられたのですが、これは事実はどうなんでございましようか。
  43. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 私は昨日遅くまでこの委員会を待つておりまして、朝来それの……、朝来閣議がございまして、詳細のことをまだ報告を受けておりませんので、間違つちやいけませんから、政府委員から御答弁申上げます。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 いや、大臣から御命令になつたかどうかだけをお聞きしているわけです。
  45. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 私はさような命令はいたしません。当然にどう言いまするか、事務といたしていろいろな点を勘案いたして処置いたしておると思います。(「さつきの動議も成立しておるのだから」と呼ぶ者あり)、山下義信君「今の厚生大臣に対する湯山委員質問に私は答弁をいたしたいと思います。お許しを願います。」と述ぶ。廣瀬久忠君「それはおかしいですね。私が発言の許可を得ているのだから」と述ぶ。山下義信君「答弁を許しませんか。今のデモの来ることの不信の問題とか、誰がこうしたかということの事態を明らかにせよと湯山委員が言われたのです、答弁を許しませんか」と述ぶ。林了君「動議が成立したのだから」と述ぶ。「委員長、許すか許さんかということのさつきの動議はどうなつているか」と呼ぶ者あり)
  46. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 廣瀬委員長発言動議が成立しましたから、のちほどにお願いしたいと思います。
  47. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 らいに関する小委員会におけるらい予防法案についての審議経過並びに結果を御報告申上げます。  らい予防法案を付議されました厚生委員会は七月八日の委員会において本案審議に先き立ちまして国会裏に集結いたしました患者代表の解散を政府に強く要請いたしました。ところが政府の措置に期待し得なかつたので、委員長及び各派の代表者が患者代表に面接いたしまして説得に努めました結果、患者代表は法案審議のために小委員会を設けること、及び実情調査のために公聴会を開くことの希望意見を開陳いたしまして、厚生委員会の慎重審議に信頼して解散をいたしましたことはすでに御承知の通りであります。  同日の厚生委員会らい予防法案審議を付託するためにらいに関する小委員会を設置することを議決いたしたのであります。  翌九日の厚生委員会においては次の通り委員及び小委員長の指名が行われました。小委員長廣瀬久忠、小委員山下義信藤原道子有馬英二、榊原亨。  同日開催せられました第一回の小委員会においては実情の調査並びに法案審議に関する方針について協議が行われ、なお必要があれば参考人より意見を聴取することを厚生委員会に申入れることを決定いたしました。同日午後小委員長及び厚生委員長は多摩全生園に出張いたしまして親しく園長職員代表及び患者に面接じて四時間に亘りその意見を聴取いたしたのであります。これは主として患者だけを対象とした公聴会に代える趣旨のものでありまして、法案についてはすでに陳情書等があるけれども法案に関連した実情についての意見を聞くのが趣旨でございました。  七月十三日、第二回の小委員会を開催いたしましたが、この間に厚生委員会においては、厚生省の局長、東京都の衛生局長を招致いたしまして、主として患者陳情運動に対する東京都の衛生対策並びに措置についてその実情を聴取したのであります。同日小委員会懇談会の形式におきまして厚生大臣官邸で行われましたが、このときに谷口弥三郎議員のおいでを願いまして、第十四回国会より第十五回国会に至るまでの厚生委員会に設置されたるらいに関する小委員会における審議経過並びにその結果について当時の小委員長としてのいろいろな参考になる御報告を求め、小委員会においてもその尊い結果についてはできるだけの尊重をいたしたいということにいたしました。続いて弊害のない限りできるだけ患者  の希望を取入れるという趣旨の下に法案の逐条審議を熱心に行いましたが、その結果は別紙の通り十三項目に亘る問題が討議抽出されたのであります。  この十三項目を更に法運営政府の言質をとる部分と、附帯決議とする部分、或いは次期国会における修正の部分並びに今次の修正の部分とに分類いたしまして、今次の修正はでき得る限り最小限度にとどめる方針を申合せまして深更に散会をいたしました。  只今より十三項目の内容を申上げます。  第一は法律の目的というところについてらい患者のみる対象とするのでなくして、広く人類かららいを撲滅すべき法の目的を闡明するということはど一うだろうか。又らいの病名を、因習的意味を打破するごとき別の科学的名前はないだろうか。法律のらい予防法という名称はとつたがいいだろうというよう事項がその第一であります。  その次にはらいの問題について国又は地方公共団体いずれが主たる責任をとつてらい病行政に当るべきかということが第二の項目でありました。その次はこの秘密の厳守の問題について完全に秘密を守らせるというような意味のことはどうだろうか。それから或いは届出について県庁に届出るよりも療養所長に届けるようにしたらどうだ。或いは又第五項といたしましては療養所長が一の診断、診察について国立療養所長が省令で定める医師をして診察をさせるということはどうだろうか。    〔委員長退席、理事大谷瑩潤君委員長席に着く〕 第六には患者全決の場合は退所、退院のできることをはつきり書いて、そうして明るさを与えたらどうだろうというようなことを論議しました。それから又らい患者が癒るということに対して希望を与えるために研究所を設けたらどうだろうか。それから、又次には家族の生活保護を今のままでは遺憾だ、あれをどうしたらいいだろうかというような問題もありました。それから又患者の所内の作業については如何なる作業が適当であるか、又これに対する報酬を如何にするかというような問題もありました。又外出の問題についても、外出について現在とかく厳重な制裁を加えることになつておりますが、この点はどうだろうかというような問題もありました。それから所内の規律の問題についても、或いはかくのごとき規律は、三十日の謹慎、戒告というようなことがあるが、これはどうだろうかというようなことの議論もありました。又その患者の家族の検診問題等から秘密の暴露するようなことがあるが、それについてはどうしたらいいかというような、そういうような問題の十三項目に亘つての研究すべき事項を選び出したのであります。それから七月十五日にはこの十三項目を中心といたしまして小委員長が中心になり、厚生専門員並びに参議院法制局並びに政府当局と終日懇談いたしまして、この十三項目についての分析的研究をいたしたのであります。七月十六日の厚生委員会におきましては法案審議のために参考人より意味を聴取することに決定し、この人選は厚生委員長及び小委員長に一任されたのであります。十六日開催の第三回小委員会におきましては、参考人の人選及び日程について厚生委員長と協議し、問題点十三項目に対する前日の技術的懇談の経過並びに結果に関する報告委員会で申述べたのであります。    〔理事大谷瑩潤君退席、委員長着席〕 翌七月十七日の小委員会においてはらい予防法案に対する修正案及び問題点について慎重に協議を重ねました結果、前述十三項目から論議して搾り出したところの第一次試案というものを得たのであります。今この第一次試案を項目別に申上げますと、第一は国民一般に対するところの秘密保持の義務の規定を設けることというのが第一であります。次には治癒したる患者の退院に関する規定を設けること、これが二であります。次には三には、所内の秩序維持は所長が厚生大臣の認可を受けて定めるところの紀律規定によることとして、且つ懲戒に関する規定の表現を改めなければいけまいではないかということが三であります。四は患者が最も心配するのは、その郷里に残した家族である。患者の家族の生活援護を原案では十分でない、より以上拡充すべきではないか、これが第四であります。第五、患者に対して癒るという希望を与える、これによつて必要な国立らい研究所を設けること、これが第五であります。但しこの第五項は特別な予算措置が要りますので、この規定は二十九年度からでなければ施行ができないということ。以上が第一次試案であつたのであります。これは小委員会において一応調査された修正案でありますので、各党派におけるところの意向をそれぞれ打診すること、又堂森厚生委員長は衆議院の厚生委員長に十分に了解を求めること、不肖私はこの問題並びにこの患者が陳情運動に来たこのときの政府態度を明確にすること並びに小委員会の協議の線に沿いまして、予算の裏付を必要とするところの患者の家族の生活保護の問題と、研究所設置の問題等について厚生委員会において大臣質疑を行うという申合せをいたしたのであります。当日の会合の問題の焦点は法案第二十一条即ち家族の生活援護の問題にあつたのでございます。七月二十日の第五回小委員会におきましては、修正案に対する各党派の意向及び衆議院厚生委員長との懇談の経過について報告が行われ、更に討議を重ねた結果第二次試案を得たのでありますが、衆議院の各党派の意見を調整することは頗る困難な段階に立至つたのでありました。その第二次試案について申上げます。第二次試案は、先ず第一は、この法律の理念を原案よりも明らかにしようということが一つ加わりました。その次には先の第一次試案と同じように、国民一般に対する秘密保持義務の規定を設けること。三、治癒した患者の退院に関する規定を設けること。第四に所内の秩序維持は所長が厚生大臣の認可を受けて定める紀律規定によることとし、且つ懲戒に関する規定の表現を改めること。五は患者の家族の生活援護に要する費用はその全額を国が負担すること。六は国立らい研究所を設けること。但し予算措置の関係があるので、この規定の施行だけは昭和二十九年四月一日とすること。これが第二次試案となつたのであります。小委員会としては患者家族の生活保護については生活保護法を尊重することという建前でこれを認めて、全額国費という意見が強く要望されたのであります。七月二十一日の厚生委員会における参考人の陳述及びこれに対する質疑応答はすでに皆さん御承知の通りであります。七月二十三日の第六回小委員会におきましては、修正に関する衆議院側の各党派の意見を調整することがますます困難な段階に到達いたしましたことを確認し、小委員長は独自の立場から厚生大臣責任ある答弁を得ると共に、最小限度にしぼつた修正私案を以ちまして折衝し、その結果を見た上に審議を続行せんとするに至つたのであります。同日午後及び翌二十四日に開会されました厚生委員会においては、小委員長らいに関する基本問題を中心とした質問並びに参考人の陳述を基礎としたる質疑厚生大臣に対して行われたのであります。小委員会において重視された患者家族の特別の生活保護方法については遺憾ながら大臣は賛意を示さず、飽くまで生活保護法の建前を固持し、ただその運用の面において改善に努力するとのことでありました。二十四日第七回の小委員会におきましては、参考人の陳述内容と、厚生大臣答弁内容とを総合的に再検討いたしまして、審議を進め、小委員長の最終的態度決定するべく協議を重ねたのであります。二十七日の第八回小委員会におきましては、小委員長が独自の立場から患者の静居三十日以内を十日以内ということにするという点と、患者家族の生活保護に要するところの特別制度の創設ということと、患者のための研究所の設置ということの三点に関する修正試案を小委員長は以ちまして、折衝を各方面にいたした経過報告をいたし、そのときに厚生大臣は、二十九年度より患者家族の生活援護は、生活保護法と別建で国費を以て措置すること、及び研究所の設置を二十九年度より実施すべく誠意を以て実施を期したいとのことでありました。そこで私はこれを附帯決議として厚生委員会報告し、委員会において厚生大臣の言質をとるという小委員長の方針について協議いたしました結果、生活保護法と別建の措置をとるという厚生大臣の言明を重視いたしまして、討議をいたし、なお小委員会は超党派的の立場からあらゆる努力を払つて慎重審議を続行することと小委員会決定いたしました。  二十八日の第八回小委員会におきましては、小委員意見を明らかにするということのために、法案の中の基本的重要問題を再検討することになりました。この討議は二十九日の第九回小委員会、三十日の第十回小委員会において続行されたのであります。  この間において小委員会に付託されましたところの請願、陳情を審議いたしましたが、この経過並びに結果につきましては、すでに御報告申上げた通りであります。  以上のよう経過を辿りまして、小委員会結論として本病患者に対する深い同情と責任を以て熱心に慎重審議を重ね、国政の現段階において政治的に可能なる範囲における結論を見出すべく、必死の努力を続けて参つたのでございます。  本法案審議におきましては、超党派的立場から各条項につきましても微に入り細を穿ち徹頭徹尾検討を続けましたが、特に注意すべき根本的重要問題の諸点につきましては次の通りでありますから、それを申述べさせて頂きとうございます。  先ず法律の名称、題名の問題であります。この問題につきましては、或る委員は学界の意見を聞いて法律の名称を変更するということを考えたらどうだろうかという御意見もありました。いずれにいたしましてもよい名前があつたならば、らい予防法という名前よりもこれを変えたらいいじやないかという意見が多数であつたのでございます。  第二条の国及び公共団体のらいに関する責任の問題につきましては、将来未収容患者がなくなつたというような場合には国一本の責任にすべきであるという意見がありまして、当局もこれに賛意を表しましたが、要するにらい対策は特殊の対策でありまするから、国が徹底的にこれを行う義務がある、責任の所在は国ということを明らかにすべきであるという意見が多かつたのでございます。  第四条につきましては、秘密の確保が強く要請せられ、医師の届出のごときもただ県庁に届けられるでは困る。親展書を以て衛生部長に届出るように厚生省令等においてはつきりしてもらいたいというような親切な御希望があつたのであります。  第五条の検診につきましては、殊に家族の場合における秘密の確保が要望されましたが、これに対する政府当局答弁は、単に家族であるという理由だけで検診を行うというようなことはやらない。その方法についてはできるだけ秘審保持を考えまして、結核等の集団検診の場合、或いは夜間訪問等の方法によつて秘密をできるだけ守るという点についての小委員の注意については、できるだけ関係官吏に徹底せしむるということでありました。  第六条に規定する患者の入所問題については、勧奨と強制入所等に関連性のないことを明確にすること、又いわゆる医師の診断なくして強制入所せしむる場合のあり得ることなどについて厳しき追及が行われましたが、これに対し政府当局は、在宅患者につきましては飽くまでも勧奨納得を根本の建前といたし、強制入所の対象は不浪らい、或いは勧奨に応ぜずして公衆衛生上危険である患者についてのみということにするというその限界を明らかにいたしたのでありますが、更に委員の側よりは強制入所の対象については、それが悪質な患者であるということを含めてもらいたいという要望もありました。又第五号に規定する医師の診断なくして入所せしむる場合があるが、それは都道府県知事は医師たる衛生部の当該官吏をして処置せしむるのであるから差支えないという政府の見解を発表されました。  第七条によるところの患者の就業禁止につきましては、物件の廃棄についても補償制度があるのに、営業その他事業の禁止について補償のないというのは実に片手落ちではないかという意見があり、これに対し当局としては、他の法令との関係もあるが、十分に研究いたします。併し今日でも生活困窮者に対しては生活保護法の適用をいたすことは勿論でありますという見解が示されました。  第十三条の更生指導につきましては、患者作業の性格から申しまして、患者に対して無理があつてはならん、患者が希望することでなければやらしてはならん、又長いことやらしてはいかんというような点にいろいろ親切な御注意がありまして、これらの場合については無論これに従うという当局言葉があり、なお患者の作業に対する報酬については、明年度は倍額を要求するつもりであるという政府当局の言明がありました。  第十五条の外出の制限の問題、患者の外出の制限については、その罰則が如何にも強過ぎる、結核その他の伝染病に比べまして不均衡を呈しており、あたかも犯罪者扱いをしておるではないかという御意見がありました。政府当局は本条項はたびたび無許可で外出するような悪性の場合に発動されるものに過ぎないのでありますという言明がありました。  第十六条に規定する秩序維持の問題につきましては、小委員質疑に対し、秩序維持の責任者は所長である。患者はこれに協力する建前である。そこで所長の定めますところの所内の規律というものは、規律の規定は厚生大臣の承認を得ることといたしまして、各療養所間における不公平をなくするつもりである。又謹慎措置については所長より詳細な報告大臣に送らして、政府当局より十分なる監督をするという答弁がありました。  又本条の濫用については厳に関係方面を戒めて患者全体が納得するような運用を期したいという言葉政府当局からありました。  次に第二十一条に関する問題、これは最も初めより最後まで重大な問題でありますところの患者の親族の生活保護の問題であります。患者の特殊性が強調されまして、これに対する特別の措置が熱烈に要望せられたのであります。患者は全く一般公衆のために犠牲になつ療養所に入るという形であります。従いましてこれに対する特別の措置がなければならんのは当然であります。従つて患者が一番心配するところの郷里における家族に対する生活保護は、どうかして手厚い保護をしてもらいたいというのが希望でありました。だから生活保護法とは別建の国の負担によるところの援護措置を講ずることに努力する。この努力についていろいろ又問題がありますが、これらの問題については十分に慎重な研究を遂げるという政府委員答弁がありました。  又小委員会の一致して主張して参つたところの研究所の設置の問題、これにつきましては明年度より設置に着手して、単に治療の研究ばかりでなく、本当にこれは一部のセクシヨナリズムに陥ることなく、非常勤職員を相当数置いて十分に研究所の能力を発揮するように最善の努力をすると共に、療養所における研究室の充実について十分な力を注ぐつもりであるという政府委員答弁がありました。  なお療養所の職員の増員及び待遇の問題について、明年度においては主として看護婦、司厨夫を含むのでありますが、総人員の六割乃至七割の増員を予定して、今大蔵省に折衝中であるというお話もありました。又懸案となつておるところの、職員の待遇改善問題につきましては、人事院との全面的折衝において、明年度は必ず解決するように進みたいということでありました。なお予算的質疑といたしましては、慰安金の問題、作業賞与金の問題、食糧費の増加が要望せられ、文化教養費、更生指導のための生業資金、補助金のごときもの、これらのものについては明年度予算に計上すべき旨が特に強調せられ、本年度は現予算の可能なる限り差し繰つてつて行くつもりであるという考えであつたのであります。政府はこの問題についてもなおできるだけの努力を払うということでありました。  法案の最終的審議内容につきましては、以上のごとくであります。  以上私の癩に関する小委員会における審議経過の御報告を申上げます。
  48. 高野一夫

    高野一夫君 ちよつと小委員長に伺いますが、最後の、私の意見、私の折衝した結果とか、私の修正案というお話がございましたが、それは小委員長だけの御希望の修正案、いわゆる御意見でありましようか。それとも小委員全体が御承認になりました附帯決議なり、御見なり、そういう附帯事項なんでありましようか。
  49. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 答弁いたしますが、それはこの委員会は決をとりませんでした。決をとりませんでした。決をとりませんでした。
  50. 山下義信

    山下義信君 議事進行につきまして発言をいたします。只今廣瀬委員長から小委員会経過につきまして御報告が相成つたのであります。この御報告につきましては、委員長が御宣言になりましたように、質疑をお許しになることになつておつたわけでありますが、私はその前に、大体におきまして、委員長の、この小委員会審議経過につきましては前半におきましてはその通り審議経過はその通りその御報告の一、二につきまして私どもも存じません点がありますので、伺いたいと思いますが、これはまあ後刻といたしまして、私が委員長要求いたしますことは、只今廣瀬委員長の御報告の後半に小委員長個人の意見をお述べになつたのであります。今高野委員からその点の入念の御質疑がありまして、小委員長の個人的御意見であるということが明白になつたのであります。私は委員長はこの廣瀬委員に後段の個人の意見を述べました報告の部分をお取消しになりますように、御要求あらんことを希望いたします。
  51. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今山下委員発言通り、百五条に「委員長は、報告に当つて、自己の意見を加えることができない。」 こういうふうに規定されておりますので、山下委員発言もありましたことでございますし、当然のことでございますが、お取消しを願いたいと思います。
  52. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 それは私法律を知りませんでしたが、自己の意見を加えてはいけないというのですから、自己の意見ではなしに、委員として申上げたのであります。
  53. 山下義信

    山下義信君 同じことでありますから、なおお取消しを願いたいと思います。
  54. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) それはちやんときまつていることですから、取消さなければいけません。お取消しを御発言願います。
  55. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 それでは私取消します。
  56. 山下義信

    山下義信君 廣瀬委員の御報告につきまして、質疑のお許しがあつたわけでありますが、なお小委員長の御報告につきまして伺いますなどということは実は非礼の点もあるかと思います。成るべく私どもとしましては伺わないほうがいいのではないかという気持ちもするわけであります。ともかくもこういう時刻でございますから、十分なり、十五分なり御休憩を一つ願いたいと思います。
  57. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) もう午後二時にもなりましたことでございますから、暫時委員会休憩いたしたいと思います。    午後一時五十九分休憩    ——————————    午後三時三十六分開会
  58. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) これより厚生委員会開会いたします。  先ほどの小委員長報告について、御質疑がございましたならばお願いいたします。
  59. 湯山勇

    湯山勇君 議事進行について……。できますれば、私の質問が、先ほどのが残つておるのですが、それについて御答弁頂きたいと思います。
  60. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) なおそれに対する質疑も併せて、含めてお願い申上げます。
  61. 湯山勇

    湯山勇君 先ほど私は……。本委員会の代表が前回の坐り込みを説得して帰したわけですが、再びああいう事態なつておりますので、今回ああいう事態を発生する以前には任すという話があつたはずでございますが、そのことに対しての何らかの患者たちの意思表示があつてああいうふうにしたかどうか。これは前回説得に行つた場合には各派代表という形で行つたのですけれども、その後小委員会もできましたし、又委員長は直接それのどれへ入つておられるかということもちよつと判定しかねるということでありますので、どなたからでも結構でございますが、そういうことがあつたということがあれば御答弁頂く、全然そういうことなくしてああいう事態にしたとすれば、これは明らかに我々に対する患者たちの不信行為であるという判定が下されると思いますので、その点だけ一つ明確にして頂きたいと思うのです。
  62. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今湯山委員からの御発言に対しまして、今度癩療養所患者諸君が、この前の坐り込みに際して厚生委員会の代表が面会いたしまして、我々の誠意を認めて引揚げて参つたことは御承知の通りであります。ところが今度は我々に何らその後相談もなく来た、こういうことは、我我に対する不信行為である、こういうふうに湯山委員はおつしやるのでございます。で、こういうような行動に出たことに対して厚生委員のかたがたに何か通知があつたか、こういうふうな意味の御質問だと思います。私はその後、昨日も代表に会いました。それから私にはこの前会つて以来、又向うの療養所、全生園へ行つて以来たびたび代表の諸君から手紙はもらつております。その手紙の中には、この前帰つたのは、坐り込みをやめたのは、参議院の厚生常任委員の人たちが非常に誠意を以て慎重審議をする、こういうことで帰つたのであるから、若し我々の意に満たない、不満である、こういうようなときには又そうした行動を起すという自由を保留すると、こういうような文書がたびたび参つたこと私記憶しております。私に関してはこれだけでございますが、委員のかたがたに何か患者の人たちから連絡でもあつたことがございましたならば一つ御発言を願いたいと思います。
  63. 高野一夫

    高野一夫君 私のほうには何も連絡ございませんが、私が不思議でならないのは、我々ですらもよく小委員会内容を知らず、小委員長報告を伺つて初めてわかる。速記をとる分は、速記録を見て適当に判断するでしようけれども、この審議結論がどうなるのかもわからんのに、そうしてああいうような一つの見通しをつけて、恫喝的の態度に出るのは不思議に堪えないと思つている。私の自宅なんか、随分、半数以上は脅迫的のまるで恫喝の電報が参ります。私は、こういうような、我我がまるでああいう恫喝戦術の中に閉ぢ込められて審議しなければならないという実態が遺憾に堪えない。どういうわけで、この結論が、どういうふうに向いそうかということが、どうして、いろいろな想像をしたり或いは何かわかる点があつたりするのかどうか、私は不思議に堪えないと思つている。
  64. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 私小委員長をやつておりますから、何か話があつたというように承わつたのですが、私のところにもよく見えます。見えますけれども、別にこれということもなく、極く穏やかに話をしまして、あの法案は通さないでくれという要求はしますけれども、二、三分で極く穏やかに、六、七人くらい或いは三、四人のこともありますが、穏やかに帰る。私は何も言わない。言わなくても二、三分でよければお目にかかる、大概その条件でやつても何も特別のことはありません。
  65. 山下義信

    山下義信君 休憩前に湯山委員からこの問題が出まして、私ども委員でもあり且つ又厚生委員として何らかの関係があるかどうかという問題が出たのであります。私どもはこの法案に反対をいたしております野党の立場で、恐らく何らか関係があるのではないかという誤解を受け易い立場にあるのであります。その意味で我々の立場を御答弁申上げよう考えておつたのでありますが、今再びそのことが問題になりましたので、この機会に我々の立場を申上げておきたいと思うのであります。  先般患者のデモの撤去につきまして我々が説得に参りました。それに応じまして患者が退いたのであります。その際我々は何らの条件を持つたのでないことは今更申すまでもございません。併しながら当時慎重審議をしてもらいたい。小委員会を設置してもらいたいというようなことが希望事件でありましたことは、当時の説得にお出でになりましたかたから御報告がありまして、御承知の通りであります。その通りに実行いたしまして小委員会を設け慎重審議をいたし、又公聴会も先刻廣瀬委員長から御報告通り開催せられたわけであります。然るにその途中におきまして、審議の過程を知りたいということは、これは当然人情の然らしむるところでありまして、患者たちが成り行きを承知いたしたいということは、我々といたしましてもその心情はわかるのであります。併しながら先ほど小委員長報告のありましたように、小委員会審議は一つ一つ結論をつけつつ参つておるのではないのでありまして、我々といたしましても第一番に報告する約束もいたしておりませんし、義務もございませんし、又報告する材料もございませんので、我我はその心情は諒といたしておりましても、さようなることは一際関知いたさなかつたのでございます。併しながら漸次日が経つに従いまして、しばしば手紙が参る。先ほど委員長からお話になりましたように、私どもにもいろいろなことを申して参りまして、或いは電報或いは書面その他で参つているのであります。それらの状況から見ますると、或いはあのデモを撤去させました成り行き等からいたし、非常に参議院に最後の望みといいますか、期待をかけておりまする現実の事実からいたしましても、或る程度の事実が経過いたしましたらば何らかの様子を知らせてやるのがいいのではないかということは、私どもといたしましてもそういう感じを持つたのであります。香としてその消息を知らさない、香としてその成り行きが彼らに一向わからんということになればなるほど、或いは焦燥感、或いはその間にデマ等が飛びまして、不祥の事態なつてもいけないかと存じまして、そういう気持を持つたのであります。併しながら事は非常に重大且つデリケートでございますので、私は藤原委員相談いたしまして、これは小委員長に御相談して若干審議経過患者たちに言つたほうがいいのではなかろうかと話合いまして、小委員長の御意向を伺つたのであります。然るところ廣瀬委員長におかれては、この事情は諒とするけれども、併しながら療養所に行つて患者経過報告するということは、審議の途中でもあるし、且つ又それ自体が国会の権威に関することであるから、自分としては賛成いたし難いという御意向が述べられたのであります。私も同感でございまして、御尤もであります。と申しまして、藤原委員にそのことを伝えましてそのままと相成つたのでございます。その後何日でありましたか日は忘れましたが、患者が約二十名ほどでございますか、面談所に現われまして、面会を求めているということでございます。私の秘書が飛んで参りまして、今榊原先生に、まあ卒直に申しますと、多少言いがかりをつけ、暴言を吐いているというようなふうでありますと、こういうことを伝えましたものでありますから、私は直ぐ飛んで参りまして、丁度榊原先生もおいでになりましたか、今湯山委員か提起せられましたように、いわゆる患者の不信をなじつたのであります。諸君は一応我々を信頼をして説納に応じてさがつておりながら、再びここに現われて来るとは何事であるかということを語勢激しくその点を難詰をいたしたのであります。そういう行動をする以上には、最早や我々として一片の同情の余地がないということは、はつきりとその際に申上げたのでございます。そのときにいろいろ患者側におきましては、不隠の計画と申しますか、そう申しますと語弊があるかわかりませんけれども、この審議がどうあろうと、彼ら自身としては……大体今高野議員は、誰か連絡したのではあるまいかという推側もあるようでありますが、彼らの意見は、とても駄目であろうというような或いは見通しを当初から持つてつたのか、早くから全国の療養所と連絡をいたしまして、大規模なデモ計画のあるやに私どもは仄聞をいたしたのであります。従いまして、私は先般本案審議の際に当局に警告を発しまして、不祥事態の生じないことにつきまして注意を促し、又さよう事態が起きましたときの当局責任を、私が釘を刺しておいたのでございますが、併しながらいろいろな私どもの身辺に側々として迫る諸情勢と申しますか、何となく感じが穏やかでないと存じますると同時に、卒直に申上げますと、先ほど小委員長の御報告にありましたように、各派でもつて話合つて意見を統一いたしたような修正案の実現は大体において期待薄ということになりましたのでありまして、私はそれが結論ではございません。決定的な結論ではございませんか、小委員長の御報告ように大体修正案をするということの各派の共通意見というものは実現困難の状態に立ち至つたのであります。だんだん審議に日はかけて来てはおりますし、いわゆる大詰めに迫つておりますので、あのデモを退去させました参議院といたしまして、又法案審議をいたしております小委員会といたしまして、且つ又私は一個の議員いいたしまして徳義上最後の段階になるまで何らその様子も言わなくてピリオドを打ちますということが、それは理窟の上から見ますというとそれでよろしいわけでありますが、情において果してどうであろうかと考えますと同時に、私どもは多摩全生園に参りましたその一人といたしまして、我々が当時彼らに希望的所感を持たせたのではあるまいかという道義的な責任も感じまするので、この段階におきましては私の良識の判断で参りまして、彼らの希望いたしまするような、端的に申しますれば反対意見の陳述、或いは修正意見への努力等をいたしましても、何としても微力がございまするし、少くとも我々の立場におきましては少数党の立場でございまするから過度の希望を持たせないように、希望的観測を持たないように私どもといたしましては一応何と申しますか、刀折れ力尽きたと申しますか、そういうことでありますので、非常に諸君のデモを責任を持つてつておる立場でありながら、期待に添うことのできないこの状況に相成りましたことをこれは一昨々日であつたと思うのでありますか、早朝藤原委員と、野党の立場でございますので、その点を私どといたしましては簡単に彼らに我々の立場を申したのであります。従いまして今回の患者の、或いは本日のデモでありますが、昨日のデモでありますか、私どもは一向そのことに関係はございません。又当委員会の成り行き等に関しまして彼らにその情勢を伝えたことはございません。ただ我々に訴えられますときに、まあ何と申しますか、我々としては請合いかねるということを、この段階になりましては希望的所感を持たして繋ぐということはできませんから、卒直にそういうことを申します程度でございまして、情報の提供をした覚えはございません。即ち患者の従来からありまする闘争方法、或いはその後に現われましたその運動、又今日すでにやつておりますよう事態等につきましては、反対党でございますけれどもどもにおいて何ら関係ございませんばかりでなく、湯山委員の申されたように、我々の立場を裏切るようなその行動に対しましては深く遺憾の意を表して、いわゆる不信の態度につきましては、私ども非難と申しましては彼らに済みませんけれども十分申しておる次第でございます。この点は明白にいたしておきまして、皆様がたから誤解のないようにいたしておきたいと存ずるのでございます。なお一言申添えますることは、こういう国会内の情勢でございまするから、もとより多くの患者が出入しておることでございますので、我々議員がそのことは申さなくても、大よそ各種の案件等の推移につきましては渡すまいとしても自然外部に洩れて参りますることは日常あります現象であるのではないかと考えるのでございまして、一応湯山委員から問題が提起せられましたから私どもの、少くとも私の立場におきまするこの経過と申しますか、態度等につきまして申上げて置く次第でございます。
  66. 高野一夫

    高野一夫君 どうも、私は別に山下先生に疑いをかけたわけでもなかつたのでありますから、そのへんはあしからず御了承願いたいと思います。ただ私はこの際こういうような世間を騒がせるようなデモがあつて、我々がその中で審議をしておるどいう以上は、急速にこの事態収拾解決を図らなければならないと考えるのです。そこで先ず私の考えますことはこのらい予防法案の精神というものを彼らが一向理解しておらない、そこでただ一片の感情に溺れて、そうして本当の大乗的な愛情というものが込められておる原案であるということを少しも理解していない、この点を我々は彼らによく納得せしめるという義務があるのではないかしらんとも思うのであります。例えば先ほど私は意外なことを実は伺つたのでありますが、小委員長の御報告の中に大多数のかたがたが、患者が収容ざれた、誠に患者は気の気であるという考え方が強かつたというお話が出ましたが、私はこういう考え方は変えて頂きたいと思う。それは大変一般論になつて恐縮でありますが、大事なことでありますからお聞き置き願いたいと思いますが、患者らい療養所に収容されるということは、誠に世間から隔離されるので犠牲であり、気の毒であります。その点は何人もそう思わない者はないけれども、民家に放置されておるよりは、一日も早く療養所に収容されて、そうして早く癒るという希望を持たせて療養させることのほうが患者自身のために私は幸福だろうと思う。それから又自分が患者なつたならば、みずから進んで自分の体を隔離して、そうして療養して自分の体を早く癒すことを心掛けると同時に、あとは自分の家族に伝染しないようにするのが、自分の家族を本当に愛する患者の私は気持であるはずだと思う。それを自分がらいで収容される、そうして世間から隔離される。あれは犠牲だ、成るほど外から見ている家族は可哀想だ、どうだというような、そういう考え方は一片の単なる皮相なる感情論に過ぎない。本当に公衆衛生という大きい立場はさておきまして、患者自身のためにも、又その家族を救う上から言つても、私は大乗的見地から家族の検診もやり、又納得させて、そうしてできるだけ勧誘してらい療養所に進んで入つてもらうということのほうが、患者患者の家族を救うゆえんだということが、このらい予防法案の第三条と第六条は、私はそれが盛られておる条文だと考える。そこでそれは見解の相違でありますから、そうお考えにならないかたもございましようけれども、そういうような他の村人が家族をいじめるとか、同情しないとか、強制収容するというようなそういうことではなくして、その本当の大乗的、大きい大所高所に立つた患者を愛するゆえんを私は患者に納得させなければなるまいと考える。そういたしましたならば、必ずやこの今度の予防法案というものが決して患者の不幸を招くゆえんではないということを私は理解されるだろうと思う。どうか一つもう少し深く我々も反省し、考えて、そうしてこの予防法案の私は意見を申上げるわけですが、成るべく早く解決の途をつけられるように一つ皆様にお願いを申上げたい次第でございまして、さなきだにああいうようなふうに感情的な気持になつておる患者であります。又その家族でありますから、そこのところは特にその点を汲取つて特にそういうふうにはしらないで、冷静なる気持で本当の愛情のあるところを知らして頂きたい。我々もそういう気持でこの予防法案の審議に当るのが、私は厚生委員としての本当の考え方ではなかろうか、こう思いますので、甚だどうも質問でもなく意見がましいことを申上げましたが、デモに関連して最後に一言私の意見を申上げて皆さんに一つ……。
  67. 藤原道子

    藤原道子君 私は本日のよう事態の起ることを非常に恐れておりました。結局先ほど湯山委員の御質問でございましたが、山下委員の先ほど申上げたように、私どもは癩療養所に参りまして法案の改正は困難かもわからない。併しながら何とか諸君のためにこういう途をとりたい、こういう希望を持つておるのだということを申しましたことは、昨日山下委員から皆さまに申上げまして、皆さまも十分御承知頂いたことと思うのでございます。そのとき患者が非常に大多数の者が希望をもつやのごとき拍手を送りましてのであります。そこで私ども昨晩来このことにこだわつておりますのはそこにあるということを私はこの際申上げておきたい。それと同時に私は昨日患者が参りましたときに、何で来たんだ、法案審議の大切なときになぜ厚生委員諸君を心から信頼して任せられないか、任せろというほうが無理かもわからない。或いは諸君の希望に応えられない法案で終るかもわからないけれども、諸君の病気は伝染病である。そして悲しいかな世間の人から非常に恐れられておる病気である。普通の労働組合のデモとか何とかということことと、は違うのだ。それが余り可哀想だから私たちは過日、来るにこられない……、すべての法案審議に当つては、すべての階級の人たちは陳情に来るけれども、あなたがたは陳情することも許されていない、だから今日は報告に来てやつたのだということを言つてあるにもかかわらず、今日やつて来たということは我々は法案審議上非常に支障を来たす。再びこういうことをしないように私は強く要望する。これであなたがたとの間の交渉は切れたというふうに解釈してもらいたい、きびしい昨日は叱言を申しまして、以来昨晩おそくここの小委員会を帰りまするときに私の秘書があそこに坐り込みをしているのだから一つ何とか言つて慰めてやらないかと言いましたけれども、私は患者にもうここまで来たらばお前たちとの交渉は切れたんだ、残念だけれども、行動を共にするわけには行かないからと言つてつて来た以上、私は行くわけにいかないと言つて私はそのまま帰つたわけでありまして、どうぞ我我と連絡等があつたかのごときは、どうぞその点御理解を願いたいと思います。以上でございす。
  68. 山下義信

    山下義信君 一言だけ蛇足を附加えさして頂きたいのでありますが、尤も私も相当疲労いたしておりまするので、ついこういう脱漏があつたのでございまするが、只今この問題が出ましてから我々デモに関係のないということの弁解と言いますか、そういうことを言い、又いろいろそれにつきまして湯山委員からは、患者の不信の難詰の御表明等もあつたわけであります。併しながら少くとも私自身におきましては、私は患者を難詰したばかりではいけないのではないかということだけ私は申したいと思います。それはあの事態におきましても、我々がデモの引揚げを説得に参りまして、そうして最後まで望みをかけられ、最後まで信頼を受けました、我々といたしましてなぜ黙つていつまでも待つていないか、不都合じやないか、不信じやないかと、果して言い得るかどうかということを我々が良心的に反省いたしました場合、まだ今日は結論が出ておるわけではありませんから断言をいたす段階ではございませんけれども、恐らく休憩前に小委員長の御報告にありまするように、見通しといたしましては、彼らが満足すべき解決点というものは甚だ希望が薄いと言わなければならないわけでありまして、これで果して我々が参議院という立場において、かの患者たちに対して最後の一縷の望みを託した、その望みに対して我々が果して満足に答え得たかどうかということを考えましたときに、徒らに患者をのみ責めるわけには参るまいかと存じまして、私自身非常に慙愧しておるということだけはこの際蛇足でございますが、附加えさして頂きたいと思うのであります。
  69. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私は今日初めて私の自宅に患者代表が参りまして、気持よく会見いたしました。向うの申しまするのは、自由党、改進党その他において修正に反対だというけれども、修正に同意してくれんかと言う。自分は修正には賛成しかねる、このことははつきり申上げる。併しながらあなたがたの不幸な立場について同情する点においては自分は人後におちない。従つてあなたがたの福利増進のためにはどういうことをしたならばいいかということについては、今日まで苦慮を重ねてきたのであつて、いずれにしてもあなたがたを満足させるためには第一に金の用意が要る。金というものはすでに今年度の予算も皆さんが承知されたような状況に進んでおるので、今直ちに右から左に金をとつて、皆さんに満足を与えるということは非常に困難である。併しながら、来るべき来年度の予算には、できる限りのものをとつて皆さんの福利増進に寄与したいと思う。併し今年度においてもたとえ僅かの金でも融通がついて皆さんの福祉にプラスになることであるならば、そういうことの実現については努力いたしたい。これは率直な僕の意見だから誰にもお伝えを願いたいしそのとき体にさわらんように十分自重されたがよいのじやないか、こういうふうに言つて帰一しておきました。そうすると十分も経たんうちに闘争本部からというので電話があつて、私電話に出ました。今日は国会の最終日だということになつていますが、この改正法案を流して頂きたい、こういうことを闘争本部ではお願いをする、こういうことでありましたから、私は流すということは御同意しかねる、それだけ御返事しておくということで電話を切つておきました。こういう状況があつたということだけを申上げておきます。
  70. 林了

    ○林了君 それに関連いたして、私のほうからも今日できましたことを報告いたしますが、たびたび参つておりまするが、不幸にして私は会えないのです。ところが電報が、この案を若しここで握り潰さなければ、如何なる事態が発生するやも知れずという電報が、一もうこれで十数回入つております。それから本日留守宅に参りまして、丁度おりませんので書面を置いて参りました。書面には、どうしても今日きめるこの案は握り潰してもらいたい。そうして若し握り潰してもらわない場合は如何なる事態が発生するかもわからんということを申し添えておきます。どうか先生にはこの旨をお伝え願いたいという書面でありました。そういうことが書いてありますので、私がお会いできれば却つて私はいさめてやりたい、そういうことをやればやるだけ第一あなたがたが損だということを言つてやりたいと思うのです。本日もたくさん見えておるという話でありまするが、私はこういうことをやれば世間が大体厚生委員会は何をしているんだということになりますし、そうしてああやつてあちらこちら患者が歩くということは、患者自身のために非常によくない。私は見通しというものは、我々ができる範囲内ということはあるので、ここが我々の最後の点だというところの見通しをつけたらば、一応私はそれでやつて行きたい。それで全力を尽してこの法案を先ほど廣瀬委員長からのお話がありました通り、これは法律は改正に改正をして行けばいいので、私はその点を一つ強く要望いたしまして、彼等のためには全力を尽してやつて来たのだという精神は私たち、皆さんも同じだと思います。どうか一つ余り長びかせないように、今日はこの法案を一つ何とか皆さんによつて審議頂いて結論を出して頂くことを私は要望する次第であります。
  71. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 他に御発言はございませんか。
  72. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 只今のことでちよつと申上げますが、私のところにも今日七名ほど参りまして朝一時間ばかり会いました。どうぞ握り潰してもらいたいという趣旨でありました。私はあなたがたから頭の判断までしてもらわなくともよろしい。あなたがたのために早く通すことが必要だと思えばそのほうに賛成します。あなたがたのためを考えてやります、ただ今あなた方がこういう行動を起されました。ことは、非常な正しい意見を述べようとしても我我は心の中に熱く皆さんに同情しても理論的に押されてしまう。非常に不利であつたということだけは申上げてよいと思います。強制収容ということが非常に怪しからんと言いますから、強制収容ということは、あなたは強制収容を受けて来たのですか。いいえ受けない。あなたは強制収容を受けないで任合せだつたでしよう。そうすると強制収容があるということになりますと、そうするとどうしても行かなければならん。だとすれば早く行く。そうすれば仰々しい迷惑を受けるような、そういう争いまで受けなくて行けるという考え方が違いましようか。こう私申上げましたら、そういうことも言えましよう。いろいろ一時間ほど応答したわけであります。  只今高野さんのお話の中に、患者が隔離されるということは、患者のためであつて何も国民に関係ないかのごとき、てはないかそういう考え方でこれを考えてもらつてはいけないというよう考えられるのはどうかと思うようお話がございましたが、これは私は昨晩発言いたしましたことに関係があると思いますので一言弁明いたします。これは一般の場合にこういうことは申しません。ただ本当に委員のかたがただけがおられての話でありましたので、これを同じピストルを一つ持ちましても人のことを一つも考えない、心に温かさを持たないそういう人が危器を持つた時は周囲は非常に不安となります。いつでも生命を捨てて守り得る、その信頼すべき人がピストルを持つて寝ずの番をすると言つたならば、安心してその周囲が平和で寝られるのでございます。同じピストルでありましても、心に温さがあるか、冷さかによつて非常な結果に違いがあるのであります。  今日一面にこうしたことが現われて参りましたことは、それを単なる向うの間違いだとのみ言えない。不幸な人人の訴えるところなく、罪なくして、而も隔離されて行くことの中に、気の毒な人々のために、それに全国民が同情を寄せることは大切だと私は思う。この大事な法案審議する私たちの心には、涙が常になければならんというように私は思うて申上げたのであります。  例えばあれだけの人が出て参りましたときに、世間も騒ぐし、戦々兢々たる気持が事務員のかたにも現われております。ひとりそれが隔離しない場合には、非常に人は恐れますけれども、目に見えない黴菌を恐れる。近代人の感覚から言いますと大変な精神的な打撃であります。それが収容所に入つてくれるということによつて、八千万の日本人がどれほど仕合せを受けるかということを考えますときに、一人頭にして僅かなものでも、八千万全体の心の中に湧くものの温さから、その出て来るものによつて得られるような精神的運動も起したいものだと私は思つておるものであります。  そういう意味から申しまするというと、この法案審議する委員の中に冷い考え方、理論的なものに換われるよう考え方があつたならば、それは外に現われた姿に繋るようなものが、原困結果になるのではなかろうかと反省した気持も必要だと思つて、私は自分に言い聞かせるような意味で昨日申上げたのでありまして、公開の席で申上げたのではないのでありますから、その点は誤解のないようにお願い申上げたい。
  73. 高野一夫

    高野一夫君 私は収容の問題については言葉が大変足らなかつたかも知れませんが、只今常岡先生のおつしやることとどうも変らない気持でありますから、どうか誤解のないように……。
  74. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  75. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記をとめて……。  只今多数の委員諸氏からの発言もございまして、らい患者が多数国会の附近にデモを敢行して参つておることは、公衆衛生上、或いは又患者のためにも極めて不穏当である、こういう事情に対して厚生省は如何なる対策を持つておられるのか、今後どうして行かれるのか、そういう点について厚生省当局の御答弁を願いたいと思います。
  76. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) らい予防法案審議に関連をいたしまして、らい患者が国会に陳情のために許可を得ずして参つておりまするのでありまするが、これに対しましては、厚生省としては昨日も園長を呼びまして、園長からできるだけ懇切丁寧にそれらの患者に話を聞かしてくれ、折角国会においては先生がたが審議をされておることでもあるし、又この暑い中でもありまするから、病院に帰つて、そうして国会の審議に信頼して頂くようなふうにして、一時間も早く引取つてもらうように説諭をいたして参つておるのであります。で、その後只今どもこうして厚生委員会出席いたしておりますから、現実は詳細に承知いたしませんが、先ず以てできるだけ説諭をいたして、できるだけ事を荒立てないように、早く帰つてもらうよう方法只今手を尽している次第であります。  なお又昨日も参議院の議長から公式に厚生大臣に申入がございまして、先般来たびたびかよう事態であつてそれに対しては公式には申入れをしなかつたけれども、にちにちの面会所において一般の面会人等に対してもいろいろ支障もあり、なお又この国会の内外において、議員或いはその他の人々にも非常な迷惑をかけておるので、できるだけ善処を頼むという方針の申入れがございました。で私はその点を事務当局にも直ちに伝えまして、関係の向きとよく連絡をとつて、できるだけ早く患者が納得をして帰るような手をつくすように今手配中であります。ただ併しまだ今報告を受けたところによりますると、患者が院の内外と申しますか、まだおりますようでありますが、なお今後手をつくしたいと思つておる次第であります。  なお又詳細は、関係政府委員から御報告をいたしたいと思います。
  77. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 只今大臣から概略のことはお話しになりましたのであります。私どもといたしましては、先般患者が出て参りまして、座り込みを続けておるというような状況に対し、極力帰所を勧告いたしたのでありますけれども、私どもの力を以てどうしても説得できずに誠に申訳ない状態にございます。こちらの参議院の先生方の御努力によりまして、患者が一応全生園に皆帰つてくれたのでございますが、私どもとしましては今後いろいろと国会のほうにいろいろ陳情するとか、或いは連絡するとかいうようなことはいろいろ他に書面を以て、或いは電話、電報というようないろいろな方法もあることであり、又人を介してでもできることであるからともかく療養所に入所して療養に従うべきものだと、あなた方はそこで静かにしていてもらいたいということを極力説きまして、そうして外に出ないように警戒もし、又そのように奨めてもおつたわけでありますが、だんだんこちらの御審議が進んで参りますうちにいろいろ先生方のお話がございますように、患者も焦躁の念に駆られるというようなことから、遂に所員の説得に従い続けずに、前回も一遍出て参りましたが、又昨日から相当数まとまつて外出するというよう事態が出まして誠に私どもも遺憾に存じておる次第でございます。外へ今般出ました患者に対しましても、これは所長は未明に患者が出ましたためにいつ脱出したかというそのときを確認しておらないわけであります。あとに早速こちらに連絡して参り、それで早速所長自身も職員を数名連れ出て参りまして、そして患者に帰所を極力勧めたのでございますが、到頭患者を集めて帰ることができませんで、昨日は到頭こちらに夜を徹したというような状況でございます。本日によりまして昨日よりも若干名増加しておるようでございますが、又この全生園の内部におきましてもこの相当に出るというような動きがございましたのでありますが、これはいろいろ極力慰撫し、外へ出た者はこれを連れ帰るということに折角努力をいたしておるわけでございます。所といたしましてはこの前にも一応御説明申上げましたように極力説得によつて外出を止めるという方法を講じておるわけであります。併しながらなかなか療養所の地域的な関係というようなもの、或いは職員の手不足、こういうようなもののためにこれを絶対に脱出を防止するというようなことができないような事情にございまして、若干名のものが外へ出るに至つたということを極めて申訳ないと存じておる次第でございます。今後とも全生園だけではございませんので、各療養所に対しましては、今日全生園に集まつております患者のうちで他の療養所に入所中の患者がありますので、これらに対しては、皆一時帰省という許可を得ていながら帰省いたさずにこちらに来ておるような事情がございますので、よくよく、本当に親が危篤であるとか、よくよくの事情がございませんならば、漫然とした帰省というようなものはこの際許可しないようにということを伝えまして、各所ともその措置をとつておるような次第なのであります。  大体療養所を脱出いたしました事情を申上げた次第でございます。
  78. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 現在坐り込んでおります患者に対しまして説得を続けておりますことは、只今大臣或いは事務局長から申上げた通りでございます。どうしても説得に応じない場合に公衆衛生のいろいろの影響も考えられましたので、昨日患者か出て参りましたということがわかりましたので、直ちに東京都に連絡をいたしまして、東京都の幹部を厚生省に招致いたしまして、どうしても説得に応じない場合の対策を協議いたしました。東京都におきましても知事を中心として現在どういう対策をとるかということを検討いたしておる次第でございます。
  79. 山下義信

    山下義信君 当局の御説明でよくわかつたのでありますが、私はあの昨日今の難詰的言辞を彼らに浴びせまして、速かに退去を求めましたときに、その中の一人が申しますのは、もう押えようつて押えられない、先生の言われるように止めようと言つても止められない、もう今国の療養所から続々上京中であつて、相当多数の者が集まるようなつておるので、これは如何ともし難いことであります。言わば我々は我々が勝手にしますこういうことで。それならもう僕たちも君らを見ることができないというようなことで、藤原委員の申されたように喧嘩別れの形になつたのでありますが、私もそのときに思うのは、それが若し事実ならば非常な不穏な情勢であると私は考えます。而も全国から患者が続々と上京するというような、或る療養所のごときは全員が出ているというようなことがあるとまで昨日面談所に来ておりましたものは申しておりました。若し事実とすれば私はただ単に国会附近に集合しておる若干のデモ患者のみの対策ではおざなりではないか、こう考えます。又それから、どこへ集合いたしますか、どこへ帰るか知らないが、まあ東京都で申しますには、全生園等の所内におきましても万一のことがあつてはならないと考えていますが、そういうことに対しましては或いは当局は先般来から少し楽観的なお考えを持つておられたのではないかというような気持もするのでありますが、万般のお手配というものが講ぜられてありますかということを私は念のために承つて置きたいと思います。
  80. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 私どもといたしましてはできるだけの手段は講じておるつもりでございます。
  81. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 他に御発言はございませんか、さつきの政府当局答弁に対してもございませんか。
  82. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 厚生大臣に念のためお伺いしておきますが、私は前々から申しておりましたこの患者の家族の保護制度につきまして、二十九年度から生活保護法というようなものによらず独立の制度を立ててもらいたい。全額国庫負担でやつてらいたいということと、それから患者のための治療研究所を二十九年度から是非やつて頂きたい。これに対して委員会で一ぺん御答弁頂きたいと思つておりましたが、それに対する御答弁を願いたい。
  83. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 廣瀬委員の御質問に対しましてお答えを申上げますが、先ほど小委員長報告を拝承いたしまして、その委員長報告内容の中での主たる二件について只今質問がございましたのでお答え申上げますが、らい患者の家族に対する生活援護の問題につきましては、前回当委員会におきましていろいろ御質問の際に申上げましたのは、生活保護法の運用を最高限度にいたしてということを申上げましたが、それはすでに予算案も組まれておりまして、本年度の措置といたしましては、らい患者の家族のために運用の面で最高限考えたいという意味で申上げたのであります。併しその後いろいろ委員会において各位の御熱心なる御質問或いは御討議を承り、なお且つ私自身といたしましても何とかしてこのらい患者の家族に対する援護を考えたいというこの気持は、先般藤原先生の御質問の際にも申上げた通りでありまするが、いろいろ考え、なお又その後検討いたしまして、本年度はもう予算編成も終りましたことでございますから何でありまするが、来年度においては只今お話ようなふうに、生活保護法とは別建で国の負担において何とかこれを実現いたすように誠意を以て努力をいたし、その実現を期したい、かよう考えている次第であります。なお研究所の問題を申し落しましたが、研究所も同様本年度は千万円の研究費を出すことによつてこの研究をしたいと思つておりますが、これ又本年度の予算編成も終りましたことでございますので、来年度らいの治療等を中心としましたらい研究所の実現に対して只今申上げましたと同様、誠意を以て努力をいたしたいと、かよう考えております。
  84. 江田三郎

    江田三郎君 今後の運び方ですが、一応先ほど小委員長のほうから報告があつたのですから、小委員長報告に対して質問があれば先ずしてもらつて、さらに小委員長報告に関連して政府のほうへ質問がある人は質問する、こういうことが順序上いいのじやないかと思いますから、そのようにお願いしたいと思います。
  85. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 先ほどの廣瀬委員の御質問と、ちよつと前の多数の議員のいろいろ発言があつて政府から答弁があつたということとちよつと関係のないことでございますので、一つ前のいろいろな意見の開陳に対して政府答弁があつた、こういうことに関連してもう御発言はないか、こういう意味で私尋ねたのでございますから、前の問題について御発言がなければ次の問題に移りたい、こういうふうに考えますが。
  86. 江田三郎

    江田三郎君 前の問題に関連して当局のほうでお考えなつていることはよく分りましたが、ただ私どもは今の御説明ように極力納得せしめる、この精神でやつて頂きたいと思うので、先ほど午前中の湯山君から問題にされましたように、何か昼飯を大臣のほうが食わすなといつたということで、大臣のほうではそうじやなかつたということでございましたが、患者のほうにはそういうふうに伝わつてつた。だからそういうのが出たかわかりませんが、そういうのがあると却つて感情を刺激していろいろ起こさなくてもいいトラブルを起すことになりますから、そういう点についてはよく注意してやつて頂きたいということをお願しておきます。
  87. 湯山勇

    湯山勇君 私はこれは患者に会つたわけじやないのです。直接厚生委員室の係りのかたに会いましたところが、出た者には飯なんか持つて行く必要はない、こういうまあ昨夜持つてつたことを大臣がお咎めになつて、決して持つて行つちやいかんというような御命令があつたというのでお尋ねしたわけであります。関連いたしまして私ちよつとだけお願いしたいのですが、今私どもがこの重要ならい予防法案を……、私は今患者の人達に対しても或る憤りを持つているわけです。これは常岡先生からああいうふうにおつしやいましたが、何んと申しましても現在の気持を冷静に返すということには可なり努力が要るわけです。こういう気持の中で審議しなければならないということは非常に残念に思います。併しこれもしかたないと思いますけれども、併し厚生省の係りのかたが今のように昼飯を持つて行くことを止めるというようなことをなされば、これはやはり生きている人ですから腹が減つて来ればいつどこへ行つて食べるかわからないのです。成るほど警戒していたつしやるけれども、併しああいうふうに許可を得ないで出て来た人達がどこの飲食店へ入つて、或いはどんな暗闇に紛れてどういうところに行つて食べて来るかわからない。こう考えますと、飯を持つて来ることを止めるというようなことは私はやはり厚生行政として当局のほうとしてとるべき態度じやないのじやないか、食事を持つて来てやることによつて彼らを分散させな  いということも一つの途であるということさえも私はこの段階においては考えられるのです。で、大臣の御答弁が決して食事を持つて来てはいけないというような指図はしていないのだ、命令はしていないのだというようなことをお聞きしまして安心しましたのですけれども、係りのかたははつきりそう申しておりますので、又ああいうようなことがあつてもいかんと考えますので、どうかそういうようなことのないように、そうして私達が冷静な気持であの人達のために審議ができるような環境を早く作るように全力を挙げて頂きたいと思います。
  88. 山下義信

    山下義信君 たびたび発言して恐縮なんですが、只今湯山委員から私は重大な御発言があつたと思う。先ほど厚生大臣はそういうことを言つたことはない。今の御発言によりますと厚生省の係官は大臣が言い付けたのだ、こういうことを言つているということでありますが、若し係官が言うことが事実ならば大臣はここで虚偽の証言をされたということになる、大臣の言われたことが真実ならば係官は誤つたことを言つているということになる、私は人を追及しようと思いませんけれども只今湯山委員発言を私は軽々に聞き流すということはできないと思います。これは議事進行に妨げにならん程度で委員長はどういうふうにその点を明確にされますか、ということを私  は伺つておきたいと思います。
  89. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  90. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記を始めて。先刻の湯山委員発言、更にそれに関連して山下委員発言されましたデモのらい患者に対して厚生省当局が昼食を提供することを禁止した、こういうふうな事実があるかないか、その真相については委員長が調査いたしまして皆様がたに御報告申上げる、こういうことで如何でございますか。    〔「異議なし」「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  91. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) どういうふうにいたしましようか。    〔「異議なし」「それでいいでしよう」と呼ぶ者あり〕
  92. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) それではちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  93. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記を始めて。それでは先に戻りまして、小委員長報告について御質疑がございましたら御発言願い、更に同時に政府に対する質疑も併せてお願いいたすことにいたします。
  94. 藤原道子

    藤原道子君 私は小委員長報告について御質問いたしたいと思います。お互いにざつくばらんに話合つて来たわけなんで、先ほどの御報告には、委員長の私見というようなものまでも御発言があつたのにもかかわらず、あの委員会全体としてもこれは重大な問題である、議員審議権に関係する問題である。だから大臣が私に述べられました先ほど来の生活保護の問題は、各委員に申上げているから速記録を見てもらいたい、こういう御答弁があつた。私はそのことに対しましては、大臣速記録を見ろと言われたのだから、速記録が出るまではこの審議は進めるわけには行かない。少くとも大臣は各議員質問に対しては何回でもお答えにならなければならんと思う。若し間違うといけませんからというようなことがあのときあつたかと思いますけれども、信念を持つてお答えになつているのであれば、決して間違いがあるべきものではないと思う。従つて私は、大臣速記録ができるまでは法案審議を進めるわけにいかんということを申上げたはずなんです。皆様もそれをお認めになつて、これは重大なものであるから大臣速記録ができるまでということはお認めが願えたと思うけれども、夕べの皆さんとのお話について大臣速記録を幾ら……。それでそのことは専門室へお願いしまして、速記録の速かなる御提出を求めて来ましたことも、小委員長は御承知だと思う。ところがそれが未だに出て来ない。こういうことはやはり審議の過程の一つの問題であろうと思うのです。大きな問題だと思う。けれども夕べ折角与党であられる榊原さんが今日の法案審議までに随分御協力下さつて、もう会期もないのだからというようなことで、私は法案審議に御協力を申上げて来たということもあなたが御承知の通りだと思うけれども、そういう本当に審議の過程においてあつたことについては、委員長は何らお触れにならなかつた。こういう点は私は誠に遺憾でありますが、わざとお落しになつたのでございましようか、如何でございましようか。
  95. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 只今の御質問、あれは本委員会の際に大臣との質疑応答があつたのでございます。それで速記録の問題は、小委員会にはないわけなんですね。そこでそれはいいです。いいですけれども、それが足りないのなら附加えてもよろしうございます。けれどもあの問題を特に落したという意味ではないので、本委員会のほうのときの問題でありますから、で、私はなくてもいいのである。こう思つたわけです。
  96. 藤原道子

    藤原道子君 確かに本委員会で起つた問題ではあるけれどもらい予防法案について特別の質疑をしたときなのであつてらい予防法を附託されましたところの小委員会審議においては、これは重大な問題だと思う。従いまして私は附加えて頂きたいと思います。
  97. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 私も決してそれは大臣答弁がよかつたとは決して思つていません。重大だと思います。思いますが、そのことあるが故に、ほかの進行ができないということはないのじやないかと思う。
  98. 藤原道子

    藤原道子君 いや、あなたそれはあなたの見解でしよう。これは本当に重大な問題でございますよ。けれどもそれは今申上げているでしよう榊原さんの折角のあれで、昨夜和やかに小委員会お話合の際に、私はこれが穏やかにまとまるならば、大臣に釈明を求めて、それで御協力は申上げましようということは昨夜申上げた。ですからそれを審議をしないとは言つておりません。
  99. 榊原亨

    榊原亨君 関連して……、お互いに大分疲れておりますし、いろいろ記憶違いがあるかと思いますが、第一、只今藤原さんの言われたことにつきましては、これは大臣に御質問藤原さんからされまして、又速記録というのはまだできて来ておりませんから、その件につきましては留保をいたして、飽くまでも藤原さんの質問の権利と申しますか、権限を留保するということで、この話合いができたと私は記憶しているのでありますが、あまり夜遅くりでありましたから、或いは私の申上げることが違うかも知れませんが、そういうことだと思います。
  100. 藤原道子

    藤原道子君 私は今榊原さんが言われましたのは昨夜のこと、審議の過程を今日は御報告なつたと思う。だからそれを審議の過程の経過報告としてお加えを願いたい、こういうことを申上げているのですから、その故に、私が審議を妨害しようとか審議しないとかいう意味じやございません。それは榊原さんとは紳士協約がございますから、それに私は信頼したいと思います。
  101. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 小委員長に申上げます。お願いします。
  102. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 それならば藤原さんの質疑に対して大臣答弁が、速記録を見ろということであつたが、速記録ができておらんということで、大臣に対してあなたが御質問になるということになつておつたということを附加えればよろしいですか。
  103. 藤原道子

    藤原道子君 そうでなくて、結局審議の過程においてそういうことが起つたんですね、それで質問を留保してある。速記録ができるまで、大臣速記録を見てくれと言われたのだから、速記録を見るまで質問を留保するという  ことであつたのでございますけれども、それがどうしても間に合わない、幾度か小委員会のときに催促をしたけれども速記が輻輳していて間に合わないといううちに、昨夜の段階に入つた、でございますから、私は皆さんとお話合いの上で、それならば大臣に御質問申上げて、大臣から御釈明を願つて終りにいたしましようということになつたはずであります。
  104. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 只今の事実を速記録のあの報告の中に入れましよう
  105. 山下義信

    山下義信君 私は小委員長の御報告について一つ伺いたいと思うのですが、小委員長報告の中に非常に重大な点は、小委員長は一応修正私案というものができましたときに、これを各党各会派に持ち帰つてみて、そうしてその意向をたしかめて小委員会に戻つて来てそれぞれその結果を報告し合おう、こういうことであつたのでありますが、その前後のことであつたかと記憶するのでありますが、今、小委員長報告されましたその中に、患者の生活保護に関して厚生大臣に会われて政府がどういう考えを持つているかということをお尋ねになりまして、そうして生活保護法以外の別仕立の法案でやるのだと政府が答えた云々ということが小委員長報告の中にあつたのであります。これは、どういう御趣旨で政府と御会見になりましたか。小委員長の資格で御会見になりましたか、或いは又廣瀬委員という個人の資格で御会見になりましたか、それは如何なる資格で御会見になつたでしようか、その辺の分際と言いますか、それを明らかにして頂きたいと思うのであります。
  106. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 それは私はその折衝をする前に、これをやはり非公式でありましたが、やはり小委員会懇談会か何かでありましようか、私は三つの点くらいしかどうも修正の案が作れないが、これを以ていろいろ折衝をして見ようと思うかということを実は小委員会の皆さんにお諮りをするような非公式のものであつたとは思いますが、ありましたときにやはり皆さんにもお耳に通じていると思うのですが、そして私はその三つの問題を持ちまして政党にも、大臣にも友人にも話しました。で或る場合には、友人と話す場合には議員の資格でも個人の資格でもありましたし、又大臣お話したときは私はやはり委員長という資格でお話を申上げても一向差支えないと思つてそういう公けの問題を折衝いたしたのであります。そこで私は、やはりこの問題はたしか二十何日かに大臣と目分が会つた結果こうだ、だから私は今の腹案、試案というものは大体こんなような試案をもつているのですということを一応皆さんに申上げたことがあるという記憶をもつております。どうも小委員会速記がないものですからここにどうも記憶の間違いなどもあるかも知れんが、私はそういう小委員長の資格をもつて大臣と折衝したと、こう思つております。
  107. 山下義信

    山下義信君 小委員長の資格で御会見になるということは、即ち小委員会を代表して御会見になるということになるのでありまして、そういう場合には私ども通例にはこういう問題で会見するという小委員会の総意を提げて御会見になり、御折衝になるのが私は当然ではないかと考えるのでありますが、小委員長は、これを小委員長の資格で会つたとおつしやるならば、これは当然小委員長報告の中には書くべきである。即ち小委員長報告としてなすべきである、そういうとが小委員会の総意に基かずして勝手に政府と御会見になつたということになると、若干の問題があるかと思いますが、それは一応別としまして、只今小委員長報告に述べられました、その点は、小委員長として会見したのだということでありますれば、当然小委員長報告の中に私はお述べになつていいことだと思う。然るに小委員長はこの点に関しましては自分は個人的立場で厚生大臣に会つたのだ、こういう趣旨のことが先ほどの御報告の中にはあつたように思うのであります。私の聞き間違いであつたかどうかと思いますが、いま一応お調べ下さいまして、小委員長政府に会つたということは、私の独自の立場で会つたので、こういうことをお述べになつておるやに記憶いたすのであります。私も非常に疲労しておりますから、記憶間違いがあるかも知れません。私のメモにはそう書いてある。而もそのことは、私の小委員長報告をメモいたしましたのに見ますると、厚生大臣が七月二十三日に患者の家族の保護の問題、即ち生活保護法の問題で質疑応答がありました。その前に会つておられるよう只今報告があつたのであります。従いまして、小委員長はあなた個人の立場でお会いになつたというふうに前回御報告があつたのでありますが、その点をもう一度確認をお願いしたい。個人の立場で御会見になつたことならば、先般参議院規則百五条によりまして、あなたは自分の独自の見解を述べた点は個人の意見であるから、これは取り消すとおつしやつた。従いましてその点はやはり取消しの中に入るのか、或いは公式の小委員長の立場から政府と交渉せられた、その点を報告せられたならば、それは速記から取消されるという範囲の外にあるわけでありまするので、その点を御明確に願いたい。そして厚生大臣とお会いになつて、厚生大臣の見解が生活保護法とは別建にあるのだという見解を御承知に相成つたのは、生活保護法関係質疑応答が行われました前でありますか、あとであつたかということを一つ御説明を願いたいと思うのであります。
  108. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 お答えいたします。私が二十三日にこういうようにしたのですな。小委員長は独自の立場から厚生大臣責任ある答弁を得ると共に、最小限度に絞つた修正試案を以て折衝をして、その結果を見た上で審議を続けようとするに至つたと、このときに実はあなたがたに御相談したのですな。私が二十三日に御相談をして、二十七日の第八回の小委員会において、小委員長は独自の立場から、所長の命ずる例の静居三十日を十日以内にする、それから患者家族の生活保護に関する特別制度の創設、研究所の設置という三点に関する修正試案を以て折衝した結果が報告されたと、そのときに、つまり二十七日に厚生大臣と私が会つたのか何かわからんが、二十七日のときに、厚生大臣は二十九年からこうこうこうしてやろうということを私に話した。それで私と厚生大臣との質疑応答があつたのは、それらの話よりずつと前です。
  109. 山下義信

    山下義信君 二十三日はお会いにならなかつたのですな。
  110. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 二十三日はあなたがたと御相談をして……。
  111. 山下義信

    山下義信君 それでは会つておられない……。
  112. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 いや、第六回小委員会ですよ。だから会つておりますよ。そのときにあなたがたと御相談をして……。
  113. 山下義信

    山下義信君 厚生大臣には会つていないのですな。
  114. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 この日には厚生大臣には会つていないのです。その後です。二十四日か五日か知りませんが、その後二十七日に私があなたがたに発表しておるわけなんです。そういうわけなんです。それよりずつと厚生大臣と私たちとはこの問題について質疑応答をやつておるわけなんです。そんなことになつておりますな。
  115. 山下義信

    山下義信君 その程度でよろしうございます。速記へ残つておりますのが間違いがあつたらいけんから質すのでありますが、念のために……、先ほど御訂正もあつたわけでありますから、大事なことでありますので、あと藤原委員質疑とも関連があるので、私は報告を確めたいと思つたのでありますが、その今の厚生大臣とお会いになつたのは小委員長としての公式の立場であつたのだと先ほど御答弁になつたのです。独自の立場ということは、つまり小委員長としての公式の立場であつたと、こういう解釈でよろしうございますか。
  116. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 私は、小委員長が独自の立場ということだから、小委員長の資格でと、こう思うのだがな。
  117. 山下義信

    山下義信君 個人ではないと……。  もう一つたしかめておきたいことは、これで終りなんですが、私の質疑は、只今、参議院規則の第百五条によりまして、委員長委員長報告に私見を加えてはならないということで、その点御削除になりましたのですが、その御削除になりました点は、どこからどこを御削除になつたのでございましようか。実は只今小委員長としてその資格において厚生大臣に会つて患者の生活、患者家族の生活保護問題についての政府所信を質し、こういうふうに政府は言つたのだと、こうおつしやつた。そのことを最後にあなたは、これは廣瀬の一私見であるが、私は患者の家族の生活保護についてはこういうやり方で、つまり厚生大臣の答えられたそのやり方で、且つ又らい研究所の明年度の設置と、これらの点でこの辺で我々は収めたいということで、私の個人的見解であるがこうだということをお述べになつた。それを参議院規則の百五条によりまして全部お取消しになつたのです。そういたますと、小委員長として政府所信を質されたことが、後には私の個人の意見であるがとおつしやつたのでありますが、これはお取消しになるのか、或いは小委員長として報告に残されるのかということをおきめおき願わなければ混同の虞れがあるのではないかと考えますので、どちらかおきめを願いたいと思うのです。
  118. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 私は、先ほど私見を述べた点があるじやないかということでしたら、私見を述べた点はないつもりなんだが、併し報告を見るとそうあるから、私見を述べたところがあるならこれは取消そうということを申上げたので、どこも私見を述べたということをはつきり申上げてはおらない。これは速記を見ればわかる。そういうことを述べておらない。ただ私の述べた点に私見があるのなら、これは違法状態になるなら取消してもよろしゆうござると、こういうわけなんです。私が小委員長として折衝してここで申上げるのは、私の私見じやないと思う。事実を申上げたので、厚生大臣がこう言つたと、それを私は御報告申上げたので、私は私見を言つたのではないので、事実を御報告したと、こう私は考える。
  119. 山下義信

    山下義信君 私見はちつとも混つておらんとおつしやると、私は大変困るのですが、はつきりしておきたい。これは自分の個人的見解であるがと述べられたので、私は耳をそばだてたのでありますが、その点は一つはつきりおきめを願いたいと思います。
  120. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 廣瀬委員おわかりになりましたか。
  121. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 ちよつと今わからなかつたのですが、もう一度お願いします。
  122. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 山下委員に申上げますが、廣瀬委員長はさつきのあなたの御発言がよくわからなかつたと言うのです。もう一度御発言なさいますか。
  123. 榊原亨

    榊原亨君 非常な暑さで、それで昨日夜十時頃までやりましたものですから、お互いに非常に頭が混乱しておるのです。それで廣瀬委員長も連日の御苦闘で非常にお疲れでございますので、どの点どの点と今言われましても、はつきりわからん点がありますので、一応廣瀬委員長と私とそれから専門員のほうではつきり御相談いたしまして、その間非常に時間がとると思いますから、厚生大臣に対する御質問をお始め下さいましたら如何かと存じますが、如何でありましようか。
  124. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 如何でしよう
  125. 山下義信

    山下義信君 私の質問に関しての榊原委員の御提議につきましては了承いたします。私ども質疑進行いたしておりまする間に只今の小委員長報告につきましては、どの点を削除されたのか、どの点を削除されないのかということを明確に御調査を願いますことは榊原委員の御提案に御一任申上げまして、その間質疑を続行いたすことに異議ございません。
  126. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 然らば榊原委員の申出のように取計らいます。然らば厚生大臣に対する質疑をお願いいたします。
  127. 藤原道子

    藤原道子君 私はこの際厚生大臣に御質疑を申上げたいと存じます。  私が申上げるまでもなく現行癩予防法は明治四十年に制定されまして、当時は立法の動機は浮浪らい患者の強制隔離収容のための法規でありまして、その内容も又取締法規としての面のみが強くその内容なつていたわけでございます。従いまして今回法の改正では第一条本法の目的に明示するごとくに医療、患者福祉並びに予防の三つの面を包含いたしまして、社会立法的な性格を持つに至りましたことは大いなる進歩と思われるのであります。併しながら、法の内容の実質におきましては、現行法の強制による患者の取締りの観念が依然として踏襲せられ、法の随所に頭をもたげているわけでございます。かかる点を案ずるが故に、他に訴えるべき途も持たない患者たちにとつて厚生大臣こそが真に親として纏りつく思いでお訴えしているのだと思うのでございます。そこで何とぞ大臣にお願い申上げたいことは、本当にあなたのほかに頼るもののない、社会からも見捨てられたような立場にある患者にとりましての、どうか温かい親心を持つて一つお答えをお願いいたしたいと存ずるのでございます。  現在におきまするらい予防の問題は、治療医学の進展と患者の知的、道徳的水準の向上というような、こうした二つの面が昔とは違つて来ているのだということを度外視いたしましては正しい解決はなし得ないのではないか、私はかよう考えるものでございます。これに反しまして一般社会の人たちのらい及びらい患者に対する観念は依然といたしまして嫌悪の念に駆られております。何ら過去のままの非科学的な、理由のない或いは恐怖、或いは嫌悪の状態に止まつておるのでございまして、この観念こそが患者をして一家の破滅となるような秘密を暴露されることを恐れ、そうして療養所へ入所することを渋らせ、らい予防を困難にならしめているのだと存じます。らい予防の推進は強制検診、強制入所、或いは囚人にも等しいところの所内秩序維持等によつて行われるものでは断じてない。社会に対するらいの科学的な正しい啓蒙によりまして、過去の因襲的通念を払拭することによつてのみらい患者の精神的重圧を減じ、みずから進んで療養所に入所することによつてのみ真に達成せられるものであろうと存ずるのでございます。ところが今回この法の改正に当りまして、その内容を見まするとき、私どもは誠にさびしさと申しましようか、失望を禁じ得ないのでございます。政府らい予防法の実施に当りましては家族の強制検診であるとか、或いは強制収容は絶対に行わない、飽くまで勧奨によりたいと再三再四言明しておられるのでございますが、二十八年度のらい予防関係の予算を見ますると、家族の検査費や、患者収容費に重点が置かれておりまして、勧奨のための費用や或いは宣伝費というようなものは殆んど計上されていないという実情にございます。これは明らかに勧奨よりも強制入所に重点を置かんとする政府の意図を露骨に示したものでないかと私どもは案ずるものでございます。この点について政府当局は在所患者に対しては飽くまでもこれを勧奨で行く、従つて原則として強制収容の対象は浮浪らいであるということを申されておるのでございますが、この点につきまして大臣にしかと御答弁をお伺いいたしたい。この点が一番患者の心配しておるところでございますが、特に御親切なる御答弁を頂戴いたしたいと存じます。
  128. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 只今らい予防法についてらい患者の主として自由について尋ねでございました。この前の委員会においても縷々申述べました通り……、なおその前にお断りをいたして置きたいと思いますが、前に速記録云々と申しましたのは私の言葉が足りませんことがございましたので、この際私は釈明をいたして置きます。ただ患者の同意の問題についていろいろ御答弁を申上げましたので、他意なく、又いろいろ言葉の相違によつて云々考えました次第であります。これはいずれにいたしましても釈明をいたします。  なお今患者の自由についましては、これは新らしい法律においてもその点を相当考えていたしておりますることはたびたび政府委員からもお話をいたしておりまする通りであります。只今主としてお尋ねの点はそれらの考え方に基いて在所と仰せられましたが在宅  であろうと思いますが……。
  129. 藤原道子

    藤原道子君 在宅です。
  130. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 在宅患者について、主として勧奨によつて、いわゆる強制入所を命じまするのは浮浪らいに限るのでないか、又そういうふうに聞いておるが大臣の所感如何というお尋ねだと思います。私も考え方におてはその通りであります。浮浪らいについてさような強制収容等のことをいたすと、それがまあ主眼です。但し法は厳格に解釈いたしますと必ずしもそうでありませんで、在宅患者につきましてはできるだけ勧奨でやる。又それが理想であり、又現実にもさようなふうに運営をいたす。併し最後、在宅患者でも伝染の憂いがあつたりいろいろなことをいたしまして療養所に入つてもらつて治療をやるのがいいという場合において十分に勧奨に手を尽して、その上なお且つ入所して頂くことができないという際においては最後の最後の手段としては法はやはりそれらの人々に対して、いわゆるどう言いまするか、強制と言うと甚だ本当の気持が現われんのでありますけれども、法の建前として入つて頂くことを最後の最後、いわゆる強制をするということは法の建前としては規定いたしてあります。併しこれは運営の面において、いわゆる浮浪らいを主眼として、そうして先生の仰せられるようにそれが主たる目的である、こういうふうに考え、又今後の運用もさようにいたして行く、これは従来政府委員が御答弁を申上げておる通りであり、又先生が主としてお考えなつておりまする通りであります。
  131. 藤原道子

    藤原道子君 勧奨という点でございますが、飽くまでも勧奨でやるということは繰り返し繰り返し御答弁を頂戴いたしておりますと同時に、従来も又そういうことがあつたはずなんでございますが、今まで社会のいろいろな因習的観念と申しましようか、らいに対して非常に恐れておると同時にらいは遺伝である。こういう点から随所に悲劇が起つておる、でございますからこれは是非とも社会の人々に十分にらいが伝染病である、そうしてこの項ではプロミン等新薬もできておるので入所して治療するならば治る希望があるのだというようなことがもつと宣伝されましたならば、私は今こんなことは余り論議せられなくても解決がつくと思う、ところが従来におきまして殆んどこのらい思想の普及であるとか、らいに対する考え方を十分啓蒙教育するという点においては、殆んどなされていないのです。ところが今度はつきり法律に規定してあるにもかかわらず、このらい思想の普及宣伝というような点でありますると、何と申しましても今度の予算におきましては僅かに二十三万しか載つていない、ところが二十二、三万円の金で二十円のパンフレツトを頒布するということを言われるのでありますが、この日本の国土の人々を啓蒙するのに、二十二万円でどれだけの啓蒙ができるか、従いましてこういう点からみましても、やはり強制収容等に重点がおかれるのではないかという考へ方を持ちまするのは、私は当然だと思う。大臣は果して二十二、三万円のこうした予算で十分勧奨納得をなさしめるだけの御自信をお持ちでございましようか、或いは又将来何とかしてこの費用を増額する御意思がおありでございましようか、この点について御答弁をお願いいたします。
  132. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) この点は私も全く同感に考えておりまして、らいが依然として田舎等においては遺伝だというようなことも間々言われております。併しらいが本当に遺伝でなくして伝染病であるという点、そういう点もよく普及いたしますることが、やはりらいの治療にも重大な関係がありますので、らいの予防治療に関しまする普及宣伝に対しましては、只今お話ようなふうに、本年度は二十万円ちよつとであります。併しこれは今後らい研究所等の設置等にも関連をいたしておりますが、この普及宣伝には十分力を入れて、予算等の点におきましても努力をいたしたいと考えております。なお又藤楓協会と話合いをいたしまして、藤楓協会でパンフレツトを発行したり、映画を作つたりしておりますが、まだそれでも不十分でありますから、今後これらの団体と十分連絡をとり、又その方面に対する活動を依頼いたしまして、両々相待つて仰せのようなふうに十分努力をいたしたいと考えております。
  133. 藤原道子

    藤原道子君 私は第五条の点でございますが、「都道府県知事は、必要があると認めるときは、その指定する医師をして、患者又は患者と疑うに足りる相当な理由がある者を診察させることができる。」という条項があるのでございます。ところがごの条文に対しまして、私どもは家族の強制検診を可能ならしめるのではないか、というような心配をいたすものでございます。厚生省は患者の家族というだけでは、この条文の適用対象にならないと言つております。ところが厚生省は昭和二十八年度の予算におきまして、らい予防府県補助金といたしまして、二分の一の国庫補助でございますが一千四百十三万円を計上いたしております。ところがその内訳は、職員の旅費、患者の検診或いは家族の検診その他の収容費となつておるのでございます。この予算から見まするならば、厚生省は明らかに家族検診を意図しておるのではないかとさえ解されます。大臣は本条文の適用と予算について、どのようにお考えなつておいででしようか、患者の反対しております家族の検診、患者の恐れておりまする家族の検診ということに対して、私も非常に不安を覚えますので、患者の家族の検診等は無理にやらなくても、らいの恐ろしさは家族はよく知つておる、従いまして早期の検診を求めるものと考えますので、この点につきまして大臣の御意見をお伺いいたします。
  134. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) その点御尤もでありますから、これ又政府委員からかねて御答弁を申上げておるわけでありますが、予算上は家族、私も詳細なことは承知しませんが、家族の検診費、そういうような費目になつておりますが、これはただ名目のことでございまして、患者の家族なるが故にいわゆる家族検診をするということではなくて、患者の家族に対してのいわゆる一般に伝染の疑があるというような、公衆衛生上必要な場合に、患者の家族ということにあらずして、一般的に疑いのあるものを検診をするという意味でございます。患者の家族なるが故に強制検診をするという意味ではありません。
  135. 藤原道子

    藤原道子君 私がこの点を特にお願いいたしますことは、昨日も山口局長にもお願いいたしたのでございますが、実は最近長野県等におきましても、政府はこの法案審議に当りましては、相当慎重にやつておられると思う、地方に対しても相当慎重にやるように指示されていると思うのでございますが、最近入所している患見の家族が、何ら世間にわからないでいた、ところが、その家族の検診に端を発しまして、学校の先生をしているその人の兄さんが、ついに学校におることができなくなり、弟は行方不明になつた。先ほど高野委員が仰せられましたが、これは当然らいであるから入るのは当り前だ、そうなんです。入れば治療ができるのだということであれば、喜ん入るのが当り前なんですけれども、社会の人はらいであるということのみならず、らいの肉身である、らい患者であるということだけによつて、もうその土地にいたたまれないような事情になるのでございます。でございますから幾多の親子心中であるとか、いろいろな悲劇が起るのでございますから、特にこの家族の検診につきましては特段の御配慮を頂きまして、断じて、間違つてもこのような悲劇が再び起らないようにして頂きたい。それにはどうか温かい親心を以て、むしろ呼出して診察をする。或いは結核の国民の一般の健康診断、こういう場合に、その家族も含めて健康診断をするというよう方法を、主としておとり願いたいと存じまするが、その点は如何でございましようか。
  136. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 全く同感であります。さようにいたすつもりでおりますし、なお又厳重にさようにいたすように、関係の者にも指示をいたします。
  137. 藤原道子

    藤原道子君 所内秩序の維持の問題でございますが、こうした屋外に聞えまするところの患者たちの騒ぎ等を見まするとき、胸が潰れるような思いがいたします。私は飽くまでも所内の秩序は、所長と園長と患者との相互信頼によつてなされるのだというふうに解釈をいたしております。現在の法律でも強制収容もできる、懲戒検束もできる、いろいろ処罰の規定があるにもかかわらず、こうしたことに対して何ら手を打つことができないのです。法はあつても行われていない、これはもう具体的に現行法において明らかになつております。従いまして私は、こういうことは温かい相互信頼、即ち所内の設備の改善であるとか、慰安施設の完備であるとか、或いは家族の生活の保障であるとか、又入所することによつて生活が安定できるのだ、こういうところに私は重点が置かれて、それによつてのみ所内の秩序は維持される、かよう考えているのでございます。この所内秩序の規定、これらにつきましては大臣はどのよう運営考えておいでになるか。私は過日参考人を本院にお呼びいたしまして、ここに速記録もちやんとあるのでございますが、参考人の人たちは口を合わせて、所内の秩序維持は、このよう法案はあつてもなくても同じだ、それよりも私は温かい相互信頼が必要であるというようなことを述べておいでになるのです。私はこういう点につきまして、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。法律があつたつてできない現実を、どうぞお考え頂きたい。
  138. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) この所内の秩序の維持につきましては、この前も私は申上げたことでございまするが、たしか先生の御質問に対してお答えいたしたように思いますが、やはり最後はいわゆる療養所でありまして、いわゆる監禁をする場所でありませんから、要するに治療をして一日も早く退所して頂くことが目的でございまするから、そのためには、これは人間の集団生活ということは、各々人間は感情の動物であり、又いろいろ日常生活には不満もありましよう。併しその間にやはり秩序を守つてそうして整然とした秩序の中に初めて本来の治療ができることでありますから、そこにはやはり患者の諸君にも温かい気持を持つてお互いに相互信頼のうちにこの秩序を保つて行くということが、私は法の精神を守り、又法の運営においてもその精神で行くべきだと確信をいたしております。その故に私は個々の些細なことは、私の口から申しませんが、さような意味で如何なる法律の運用に当つても、政府委員も御答弁申上げておりまする通りいたすつもりであります。又今回法の改正に当りましても、やはりそういうような気持で、これは見方によつては不十分かも知れませんが、少くともさような気持でやつておると私は信じておるのであります。殊にこれは運用の問題でありますから、私は全く同感でありまして、さように運用いたすように指導監督いたしたいと考えております。
  139. 高野一夫

    高野一夫君 委員長にちよつとお願いしたいんですが、この厚生委員会は何遍もこれをやりまして、同じよう質問が何回も出ている。ですからどうか一つ委員長において、質問の整理をやつて頂きたいんですが、前に繰返し繰返し同じよう質問応答をやつたことで、大体答弁はもう同じよう答弁を聞かれているんだし、速記録に残つているんだし、我々も何回も聞いたわけです。ですから一つ整理して頂いて、議事進行を図つて頂くようにお取計い願いたいと思います。
  140. 藤原道子

    藤原道子君 私は過日の小委員会におきまして、最後の仕上げといたしましてこの十三項目に対しては、なお大臣の明確なる御答弁を頂いて、その上で結論を出すということに相成つておるのでございまして、あなたはお聞きになつておわかりかもわからないけれども政府のやり方について私たちはなお納得しがたい点がございますので、一つ御辛抱をお願いいたします。私もやはり委員の一人といたしまして、その点は強く要望いたしておきます。(「打切つてらいたいな」と呼ぶ者あり)
  141. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御静粛に願います。
  142. 藤原道子

    藤原道子君 委員諸君にお願いするんです。私はこういうことは言いたくないんです。ところが本院はあの小委員会におきまして、初めはみんなを改正するという意気込だつたんです。改正の項目を並べたんですよ、私の出席のない委員会におきまして。私が意図しているところの改正の要点が全部出たんです。ところが審議しているうちに一月、二月となつて、ついに原案を通そうとしているんじやありませんか。こういう事態から本日のこういう問題が起きているんです。もつと温い気持になつてやつてらいたい。私は何も与党だからといつて数でやるのには反対です。患者を収容することによりまして益するのは誰ですか、患者は家庭を破壊されて行くんです。そうして患者を収容することによつて利益を受けるのは、お互い全体の社会人が利益を受けるんですよ。社会の公共の福祉のために患者が入院する。その患者に何の罪があるかということになると、これは患者には罪はない。不幸にして病気になつた人が収容されるのでございますから、それに対してはもつと温かい私は親心が必要だということを繰返しお願いしておるのはそこにあるんです。従いまして同僚委員には御迷惑かもわかりません。本委員会には医者が五人もいる、宗教家が三人もいる、女性議員が三人もいる。それでいてなお非人道的な考え方による問題がすらすらと行くことに対して私は了承できないんです。もつと当委員会が本当にその気になつたならばこの法案改正ができないはずはない。悪いということは皆認めておる。けれどもこれが押切られている。今日の段階において、野党である我々はなお且つこの審議協力ようとしておる。
  143. 高野一夫

    高野一夫君 聞き捨てならん言葉でありますから御注意願う。
  144. 藤原道子

    藤原道子君 私は了承できない。高野委員のお言葉了承できない。それなら大臣にお尋ねいたします。過日私が本委員会において繰返し繰返しお尋ねいたしましたときには、飽くまで生活保護法でやるのだということでそこから一歩も出なかつた。ところが過日廣瀬委員に対しまして特別措置でやるのだということを言明なさいましたということを伺つております。私はこの患者の家族の生活の保障は、らい問題の解決に対しましては何にも勝つて大切なものだと存じます。本当に家族の生活が真に保障されますならば患者の入所の大半は解決するのではなかろうか。こういうふうに考えておりまするが、これに対して大臣が飽くまで生活保護法でやるのだ、そうして保護の枠があるから特別の措置ということはできない、こういうようなことを再々繰返して御質問いたしましたが、そういう御答弁でございますか。我々が廣瀬委員から特別措置でやれというようなお答えを大臣から頂いたということは御報告受けております。従いまして大臣はこの点に対しましてどういうお考えでおいでになるかということをこの際明確にして頂きたいと同時に、私はこの生活特別措置でやるといたしまして、その際にらい患者の家族の特別措置に対してはどの程度のところまでは保護なさいまするお考えであるかということにつきましても合せてお伺いをいたしたいと思います。
  145. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) このらい患者の家族の生活保護に関しまして只今お尋ねでございますが、これはこの委員会において各委員から御質問のありましたその際におきましては、本法律案の修正ということを基礎にしての御質問でございまして、即ち修正と相なりますれば本年度予算に関係のありますることに相なりますので、併し政府といたしましては昭和二十八年度の予算案を提出いたし、なお且つ本委員会において御答弁を申上げた際においては、すでに衆議院のたしか本会議も通過いたして参議院に回付されている際であります。政府におきましてはそれに対して組替等の方針をとつておりませんでしたので、本法律案の修正に伴う、即ちいわゆる別建てで参りますると国の負担においては本年度からということはできませんので、精神においては先生と全く同感でありますから、さようにいたしたいと考えておりますが、これは将来の問題として、取敢えず本法律案を修正するかどうかという問題に関しましては、生活保護法のいわゆる運用によつて最高限参りたい。かように御答弁申上げたのであります。但しその際にも私が再々申上げましたことは、らい患者らい家庭に対しましては私も先生と全く同感に考えておりますので、今後できるだけ我々といたしましても十分の考慮を払いたい。かように申上げておりました。私も諸先生の御意見も聞き又諸般の情勢も勘案いたしまして、或いは大蔵大臣、或いは閣内においても、或いは私も政党内閣の一員でありますから、それぞれ与党ともいろいろ協議をいたしまして、そしてそのことを、又藤原先生の御質問が残つてつたと思つてお  りました、或いは残つていなかつたら次の委員会において私の気持を申上げたいと考えておりました際に、本委員会がなくして小委員会が続行されており、その間又廣瀬先生が、これはどういう御資格か私はそこまで詮索いたしませんでしたが、廣瀬先生もいろいろ心配になつておりまして、どうだろうかというようお話のあつた際において、本年度は再々申上げた通りこれ以上参りませんが、何とか来年度において我々も努力する途もありますから考慮いたしてみたい。ついてはいろいろなことを相談いたしておりますということで、結論としては先ほど小委員長の御報告ようなことになりましたのであります。その間直ちにどうこうということでなくして、私の気持としては丁度連関をいたしておりましたが、ただ予算の編成もあり、なお又本年度の予算に関しまする部分においては一応本年度の予算の枠内において万全を期して参りたいと申上げておりますので、この点御了承を願いたいと思つております。    〔高野一夫君「委員長委員長」と述ぶ〕
  146. 藤原道子

    藤原道子君 まだ質問中でございますから……。    〔高野一夫君「ちよつと今の御発言で、藤原さんに御相談があるのです。」と述ぶ〕
  147. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 議事進行についてですか。
  148. 高野一夫

    高野一夫君 いやそうでないが、今の発言で重大な問題があるのです。私は藤原先生というかたは実に聰明なるかたと思つて、かねがね個人的には御人格を推服しておつたのです。そのかたが政府原案に賛成するものはことごとく患者に非人情である、そうして反対する自分だけが患者に同情しておる、こういうようなものの言い方は、厚生委員会速記にも残るので、そういうことをおつしやるのは言語道断だ、そういうことをおつしやるから患者を刺激するのだ、そういうことは大事に考えてもらわなければならん。(「同感同感」と呼ぶ者あり)
  149. 藤原道子

    藤原道子君 私は申上げます。それならばこの法案が本当に完璧だとお考えでしようか。この法案に欠陥がある、改正しなければならんということは小委員は全部一致しております、それがどうして改正できないのですか。若し本当に私たちが社会の福祉のために患者の幸福のためにやろうとするなら改正できるのです。我々は審議権を持つているのですよ。立法府なんです。改正の要ありと言いながら、なお改正しないとはどういうわけなんですか。全員が本当に改正の要ありとお考えでございますならば、私は改正されないはずはないと思う。衆議院が何と言おうと、参議院は二院制の立場に立ちまして、はつきりと改正を決定いたしまして、そうして向うの両院協議会に持ち込んで破れましようとも、私は議員ならそこへ行くのが本筋であろうと思うのです。改正しなければならんということは全部認めておるのです。けれどもこれをしないから、私もこういうことを言いたくなるのです。
  150. 高野一夫

    高野一夫君 改正の必要があるかないかということは、それは小委員会でどういう議論があつたか私は知りませんが、とにかく原案を支持するかしないかということは各自の見解の相違なんだ。あなたが御反対になるのはこれはあなたの御意見だ、我々は少くとも現在の法よりはなお改善された段階に立つておるというわけです。それが私の見解なんです。そういう見解を持つておるものは何の同情的考えを持つていない、そうしてこれは改正しなければならんという考えを持つているものだけが患者に対して同情を持つている、そういうふうなことをおつしやるということは私はいかんと思うのです。そういうことはいかんと思う。これは見解の相違なのであつて、だからそれがどつちがいいか悪いか、これは別問題です。これは別問題なんで、是非は別問題として、この案を賛成するか反対するかということで以て、こういうふうに取りまかれておる患者に対して、自分だけは同情している。お前たちは非人情だ、こういうようなことは、これは厚生委員会としては、これは懇談会の席ならまだいいけれども、こういうことをおつしやることは私は藤原先生のために惜しまれます。
  151. 林了

    ○林了君 只今高野委員発言に私は賛成いたします。藤原委員がおつしやいました中に、この原案に賛成するものは非人道的だということを言われておりましたが、私は今日までこうやつて来たのはこの案を何とかして修正もし、又よりよくこの案を作り変えなければならんという考えで今日までやつて来ておりますが、非人道極まるという言い方はちよつと私どももこれはお取消し頂きたいと思うのです。我々委員会が今日ここまでやつて来ております。今日藤原先生が大臣に対する御質問はダブつて、我々が二度三度聞いたことをおつしやつておりますので、先生もそのことは限定されまして、私がそのことは承知しておらないので、皆さんここで暫くお附合い頂きたいというお言葉がありましたので、我々はそれを認めます。併しながらとにかくこの問題に対しては十分に今まで検討を私はされておると思います。それで先ほど私がお願いいたしましたものは、今日の状況を見まして、らい患者のかたがたが、各家庭を訪問されて、あの人たちが必らず病状が重くなるだろうと思います。今日の状態で而も社会はこの問題に対して、だんだんこういうことが拡まるに従つて同情的になるとは私は思わない、こういう点を考えまして、彼らのことを考えて上げなければならんというときに、早くこの問題を私は審議して、これの結論を出さなければいけないというふうに私は考えておりますので、先ほどお願いしたわけであります。でありますので、どうか一つ今日はこの御質問なり或いはいろいろな討論質疑がございまするが、簡単にして頂きまして、できますごとならば、私は動議を提出いたしたいと思います。更に改めて、動議は、質疑討論はここで省略をさせて頂きまして、直ちに私はこの採決に移つて頂くようにお願いいたします。(「委員長」「委員長」と呼ぶ者あり)いや、ちよつと待つて下さい、発言中です。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)何を言うかと言う御発言がありましようが、私のこと、きでもこれは意見でありますから、これは決して私の意見を押える必要はないので、私の意見を押える必要はありません。あなたが私の意見を押える必要はありません。だから私のこれは意見でありますから、これを採用されようとされまいとこれは勝手であります。併しながら、一応私の意見を申上げますので、何を言うんだというようなことはこれは怪しからんことだと思う。誰がこれを押える権利があるんですか、これは当然私が言うて差支えない。委員長発言を求めて発言しているのになぜ私が発言できないという理由があるんですか。
  152. 山下義信

    山下義信君 ちよつと私に答弁を求められたから、私はあなたが今動議を出されましたから、今藤原委員質疑発言中なんです。その藤原委員発言に関してあなたが発言を求みられた。藤原委員発言中に不穏当なところがあつたらそれだけの見解を表明されたらいいので、他人の発言中に動議の提出ができないことは厳然として議事規則がきめておるので、私が禁ずるのではない。議事規則が禁ずるから、藤原委員発言が済んだあと、あなたが藤原委員発言に関連して不穏当なところがある点に対して抗議を申込まれる、それは委員長発言を許可されたのでありますから御随意でありますが、それに便乗して動議を提出するということは、議事規則が厳然として禁止するのでありまして、私が求めるのではございませんから、議事規則通りにおやりになつたら……。
  153. 林了

    ○林了君 議事規則によつて発言せいというならそれは私いたします。それは訂正いたしましよう。併し今のお話はそういうお話でございませんでしたから、突然あなたが何を言つておるんだというお話でありましたから、私が今そう申上げたんです。(「進行々々」と呼ぶ者あり)
  154. 藤原道子

    藤原道子君 私は林さんが今でも審議は終つておるんじやない、改正の意思があるやに拝承いたしまして非常に嬉しく存じますが、どうぞまだ結論は出ておりませんので、慎重御審議を頂きまして、私は改正に御協力を願いたいと存じます。  なお私に若しも不穏当な点がございましたらあとで御相談申上げます。私は何も患者を使嗾しているものではない、それは先ほど来申上げておるはずなんです。私は大衆の意見を、患者意見を十分聞かなければならん、併しながらこの意見に追随することは間違いでございます。従いまして私たちはあらゆる方面の考え方を総合いたしまして、自分の信念を持つて私は発言しておる。従いまして私は私の発言に対しまして、皆様がたからとやかく言われることはないと思うのでございまして、何も皆様がた全部が云々というわけではない。非人道的な法律だと私が思うのです。でございますから、その点はどうぞ御了承を願いたいと思います。  それからなお重ねてお伺いいたしたいのでございます。こういう事態が起つておるから早く法案を制定したい、こう今林委員が言われた、果して政府当局はこの法案がこのまま原案で通過することが、この事態収拾することに役立つとお考えでございましようか、その確信がおありでございましようか、私はその点について大臣並びに両局長の御見解をお伺いいたします。
  155. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 私はこの法案の、先ほどの小委員長の御報告に対して御答弁を申上げまして、政府といたしましては原案に加うるに将来最善の努力を払いたいと申上げた通りであります。従つて現段階におきましては、政府といたしましてはこの原案に只今小委員長報告された点に対しては賛意を表して、いろいろ困難はありましようけれども、最善の努力を払つて誠意を持つて努力をいたしますということを申上げた通りであります。従つて私はこれはいろいろ見方もありましようけれども、なお又今後このらい患者に対しましては決してこれを以て終れりとは考えておりませんで、今後これはいろいろな角度から検討をいたし、又いろいろな点から改善をいたして、そして今後の完全を期しますることは当然でありまするが、現段階におきましては一応これが私は最善の、これはいろいろな観点から見まして又いろいろな条件を勘案いたして最善の案と考えておる次第でありますから、さよう考えました以上、なお又それが国会の意思決定と相成りました上は、それを基本にいたして、国といたしては、政府といたしては最善を尽すということ以外には言えないのでありまして、又最善を尽し得るという確信をするということを言わざるを得ないのであります。
  156. 山下義信

    山下義信君 関連質問。私は厚生大臣に対する質問をお許しを頂いておるので留保しておるのでありますが、私の順番が廻つて来ませんが、私も藤原委員が早く質問をお終りになりますことを私は待つておる。先ほど私語いたしましたのは早くおやめなさいということを実は言つたのです。今、藤原委員質問に重大な御答弁厚生大臣からあつたのです。これは廣瀬委員長報告に関連があるのでありますが、その点は又あとから何か御答弁があろうかと思うのであります。  私は厚生大臣に伺いたいのは先般来から患者の家族の生活保障につきまして、生活保護法一本槍で行くのだと繰返し繰返し御答弁があつたのです、詳しくは速記録を見給えというお言葉まであつたわけであります。それは先ほど御釈明になりまして落着をいたしたのでありますが、廣瀬氏に対しましては、従来の考え方を変えて、今の御答弁によりますと、昭和二十八年度はもう予算を組んだのだから仕方がない、生活保護法で行くのだ、併しながら明年度からは全額国庫負担で患者家族の生活保障についてはいわゆる別仕立の考え方で行きたいと考えておるのだ、こういうお話廣瀬委員長にもあつたということです。これは先ほど廣瀬委員長の御発言でその点が我々といたしてもそれは小委員長としての公式な御報告か、或いは私的の御報告の範疇に入るかどうかということをお調べを願つている最中でございますが、只今藤原委員の御質問に対しましてもその点をお答えになつたのでありまして、厚生大臣としては、廣瀬氏の資格が公私いずれであつたかは別といたしまして、厚生大臣はこの席で公式に御所見を御発表になりました。私は非常に重大だと思うのでありますが、若し厚生大臣ようにお考えであるとしまするならば、その別仕立の方法患者の家族の生活保護を全額国庫で負担でやるという考え方は大体どういう御構想になるのでございましようか。その点を伺いたいと思うのであります。
  157. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 詳細の点は政府委員から補足をいたさせますが、大体只今、従来からも当委員会においても論議になつておりまする点を勘案いたしまして、生活保護法を以てらい患者の家族の援護を、生活保護をいたしておりまする点について、いろいろ秘密の保持であるとか、或いは又どう言いまするか、援護の対象者を決定いたしまする際に、その他にいろいろ問題があるということでございまするから、これを当委員会においてもいろいろ御意見もあつた点も勘案いたしまして、別仕立ということについて実はまだ先ほど藤原委員の御質問にもお答えいたしました通り、いろいろ委員会の御審議経過も参照いたし、又何とかして私といたしてもこの生活援護の面に対して万全を期したいということでいろいろ考えた結果、又党とも相談をいたしました結果、さようなことにいたしたので、具体的にどうこうということのところまで或いはまだ至つておりませんけれども、少くともこれは昭和二十九年度の予算を編成いたす際、又昭和二十九年度の予算編成のいろいろな点、法律改正等を勘案いたします際には少くとも生活保護法からはずしてそして例えばらい予防法の中に入れて、そうしてそれは生活保護法の八割に、二割にあらずして、国の負担において、国の負担と申しますか、国の全額国庫負担でありまするが、そして大体これは先般当委員会においてもいろいろ御意見が出ておりましたから、その点を勘案いたして、らい家族のうちで困難されておるという向きに対して生活保護法を以ていたしては万全を期しがたいということもありまするので、できるだけいわゆるらい患者の家族の困窮程度等を勘案いたす際にもこれを斟酌いたし、又これらの生活保護につきましても実はまだ具体的にどの程度、どの単位ということを考えておりませんので、この点は今後の研究に待つ考え方の基本を申上げておることでありますが、それらの点につきましても可能な範囲において考えて行きたい、かような構想を申上げておることでございまして、なお今後この考え方に基いて具体的に今後考えをまとめて行つて、これは委員会等の皆さんの方針、考えを問うてみたい、かよう考えております。
  158. 山下義信

    山下義信君 もう一点たしかめて置きたい。只今厚生大臣答弁でやや明確になつた、大筋としては明確になりましたが、そういたしますと、御趣旨によりますと、現在の生活保護法によらないで別仕立の生活援護の方法をとるということになりますと、只今の御答弁の中にありましたように、大体本法案を改正いたしまして、その中にやはり法律として規定いたさなければ、この方法はとり得ないよう考えますが、その点は厚生大臣はどう考えておられましようか。
  159. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) らい予防法の改正等の立法措置をとるのかというお尋ねでございますが……。
  160. 山下義信

    山下義信君 そうです。
  161. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 多分さようにいたすことになるだろうと思います。さよう只今構想でございます。
  162. 江田三郎

    江田三郎君 議事進行について、今本会議が始まつておりまして、言うまでもなく今日の本会議はこれは予算の本会議ですから、慣例によりまして、予算の本会議中はいわゆる委員会というものは大体開かんことになつております。議事規則の三十七条によつてきまつておりますので、本日は委員長、散会をお願いいたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  163. 榊原亨

    榊原亨君 関連して。このらいの問題につきましては御承知のような社会情勢がかようなときであるから、一刻も早く審議を急ぐべきであります。従いまして委員長からこの議長に向つてこの常任委員会は継続されるようにおつしやつて頂きたいと思うのです。
  164. 江田三郎

    江田三郎君 とにかく私の動議を先にやつて頂きたい、それからあとどうせられるかは委員長のなんでやつてらいたい、議事規則にきまつておりますから、今ベルが鳴つて急がれておるのでこれは仕方がないと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
  165. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 本日の委員会は予算の本会議も始まつておりますから、これにて散会いたします。    午後五時五十九分散会