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1953-10-22 第16回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十二日(木曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堂森 芳夫君    委員      高野 一夫君            中山 壽彦君            西岡 ハル君            横山 フク君            林   了君            廣瀬 久忠君            竹中 勝男君            山下 義信君   説明員    国家地方警察本    部刑事部防犯課    長       宮地 直邦君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省公衆衛生    局栄養課長   有本邦太郎君    食糧庁長官   前谷 重夫君   参考人    警 視 総 監 田中 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (闇米取締状況に関する件)  (人造米対策に関する件) ○小委員会設置の件 ○小委員選任の件   —————————————
  2. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今から厚生委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査の一環として、闇米取締人造米についてを議題といたします。  本日は闇米取締について先ず田中警視総監及び国家警察本部刑事部防犯課長宮地氏の出席を願つております。先ず田中警視総監から御説明を願います。
  3. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 闇米取締につきまして、私から概要を御説明申上げますと共に、いろいろ皆さまがたの御指導に与りたいと考えております。現在米の統制が行われております以上、これが配給の円滑を図るために、当然闇米取締を実施しなければならないことは、これは明らかなことでございます。ただ昨年は非常に豊作でございまして、そのために各全国の農村におきまする供出が比較的早期に完了いたしました。又昨年の六月、麦の統制撤廃が行われたというような、一般的な食糧に対する国民楽観的気持というものが現われまして、食生活におきましては少くとも非常な安定をしておつたのであります。然るに、本年七、八月頃から相当各地における水書、風水害その他の関係から、本年は凶作であろうというような予想の下に、相当各地における買漁り等が頻繁に行われまして、そのために最近におきましては大都市におきまする闇米のいわゆる相場と申しまするか、そういりものが或るところにおきましては三百円台になんなんとしておるというような状況でございまして、こうしたことを消費地における警察として黙過いたしますることは、延いては今後の供出にも非常に影響を来すことでもございまするし、又いろいろ家庭生活者配給数量というものが、それがために非常に落ちて来るということは、健全なる食生活を害するものであると、かような考えからいたしまして、警視庁といたしましては本年の九月頃から相当この闇米取締ということに関心を持ちまして、ときおり鉄道公安官等連絡を取りまして随時取締を実施いたしておるのでございます。ただ一面御承知のように大都市生活というものは、現在東京都内に七百六、七十万の人口があると思うのでございますが、実際に登録された人口というものは、都内におきまする人口というものは、実在人口よりも非常に下廻つておりまする関係上、いわゆる闇人口と申しまするか、そうしたものが相当ある。それから又現在の食糧配給量におきまして、殊に子弟の多い家庭であるとか、或いはそうでない家庭におきましても、相当食糧配給量において不足を来す。殊に代替食等関係もございまするので、昨年来の食糧事情の好転に伴いまして非常に米食の習慣が一般について参りました関係上、戦後の昭和二十年、二十一年頃のいわゆる代用食奨励時代と異なりまして、一般国民の口が米食に慣れたと言いまするか、贅沢になつたと申しまするか、さような関係から勢い代用食を避けて米食に依存するというようなことになつて参りました関係上、非常に代用食をとらずに米食に走るということから、闇米というものが一層市中に氾濫して来るという状態になつて参つたのであります。それから又、大都市生活者状態といたしまして、今申しましたよりな多子家庭なんかは、どうしても家庭における配給数量では不足を来す関係上、外部において食事をとる、それによつて家庭生活不足量を補填して行くというようなこともございまするので、大都市生活にとりまして闇米というものは或る程度必要なもののようにも考えられるのでありまするが、併しそれだからと言つてこの闇米警察が全然黙過するということは、食糧政策の上から非常に大きな支障を来すここにもなりまするので、警察側といたしましては、あらゆる点を勘案いたしきて、いろいろな関係方面ととも連絡をとりながら適切なる取締を実施して参つたのでございます。そこで現在東京に入つて参りまする闇米数量は、はつきりした数量は申上げかねるのでありまするが、我々の想像するところにおきましては、大体四千俵から五千俵と考えていいのではないか、必らずしも正確な数字ではございませんが、その入つて来るルートは或いは鉄道により、或いは又貨物自動車により、或いは又旅行者が持つて来るというようはものを一切合切合算いたしまして、大体一日が四、五千俵程度になるのではないかというようなことも想像できるのであります。そこでこの闇米取締につきまして我々が一番重点をおかはければならんのは、悪質のいわゆる常習的なかつぎ屋と申しますか、闇米組織的な搬入ルートを持つた人々でありまして、これは先般もつい一週間ほど前に大崎警察署におきまして、闇米ブローカー闇米搬入しているというような情報をとりまして、それに基いて取締をいたしました結果、一貨車七十数俵の闇米を一貨車に積んで来たところを警察において鉄道公安官連絡の上これを取押えまして、正規のルートにこれを乗せたのであります。それから本年の九月中旬には百五十数俵のかますに雑穀と称して闇米都内搬入いたしたような悪質のいわゆるかつぎ屋というものを徹底的に糾明いたしまして、これを取押えて正常の配給ルートに乗せているのであります。かように都内に入つて参りまする闇米の大体三分の二以上はこれが大口消費者と申しまして、料理屋であるとか、飲食店であるとか、いわゆる都内のそうした飲食店業者のほうにこれが流れるのでありまして、この飲食店業者においてこの闇米買つて、そうしてこれを一般に食べさせるということがこの闇米搬入の大きな原因をなしておりまするので、先ずこの料理業者とか、飲食業者のほうの闇米提供を止めさせる、それから又提供することを外食券によつてやることはこれは差支えないのでありますが、それ以外の米食提供を、料理飲食をこれを止めさせるということが、闇米搬入一つの防止の策である、かように考えまして、実は本月の十六日に都内関係業者全部を警視庁に招致いたしまして、東京都と警視庁とで合同で、この米食提供に対して業者みずからが自粛自戒をしてこれを提供しないようにしてもらいたい、と申しますのは、いきなり警察取締飲食店料理店をびしびし取締るということはこれは極めて簡単なことであるのでありますが、ただ従来この食糧事情の非常に好転した時代食糧事情の非常にいい状態が続いておりましたので、一般国民料理飲食店において米食提供されるということが、これがまあ常識的になつてつております関係上、にわかに警察権力で以てこれを取締るということは実際に即しない点もありまするし、又一般国民に及ぼす影響もあるし、それから又非常に人心を暗くする、曾て政令時代におきまして食糧の問題について一般国民が非常に暗い気分を持つてつたというような時代もございまするので、取りあえず一つ業者警告を発しまして、業者自体一つ自粛自戒をしてもらいたい、そうしてこうした期間を暫くおいて、自然に業者自体自粛自戒をして米食代用食に替えて、そしてそれに慣らして行く、そしてなおこの警告にも反して引続いて米食提供するというような、まあむしろ悪質の業者等が出て参りました際には、これに対して一つ徹底的な取締をして行きたい、かような取締方針を立てておるのでございます。  それからなおまだ本年度予想高が五千数百万石という、非常に下廻つておるように発表された関係上、一般人々が非常にこの点を心配いたしまして、私のほうからも新聞報道につきましても余り悲観的な報道だけをやりますと、それだけで以て非常に一般国民が不安な気持になりまして、いよいよ買漁らなくてはならんというような気持を起してもどうかと思いますので、よく報道機関のほうにも私のほうからお願いいたしまして、余り人心を不安に陥れるような報道のやり方については十分一つ考えなつた上で適当な報道をやつて頂きたいということを謹言くお願いをいたしておきました次第でございます。  それからなお今後の食糧取締につきまして一般国民関心を持つておりまするのは、例えば東京におつて田舎の両親の下から米を届ける、そういうものに対し同様にびしびし警察がやられては非常に困る、これはまあいわゆる善良なる市民の心配の的でありますので、一応取締はいたしまするが、これはいわゆる悪質のブローカーであり、業者というものを飽くまで中心にいたしまして取締を実施いたしたいと考えております。本当に多子家庭で困つておる、郷里へ帰つて米を持つて来て、そうして子供に食わせるという程度のものにつきましては、警察側といたしましてもでき得る限り常識的な取締をいたしまして、そうしたものにつきましては成るべく指導的に出て、何から何まで厳罰主義で行くというようなことはいたしたくないと実は考えております。  なお業者方面に対しましても米飲提供をできるだけ早急に代用食提供に切替えて、そうしてそういうふうな風習を作るように極力努力しようということで只今関係におきましてもそれぞれいろいろ研究中でございまして、例えばすし屋人造米すしを握つてはどうかということも真剣に研究をいたしております。それから従来米が、加工品としては、煎餅であるとか或いはあられであるとか、そういう方面にも相当配給される、又闇米使つてそうしたものを加工しておつたのでありますが、これに対しましてもいわゆる米でなくして、代用食によつてそうした加工品ができるかどうか、それを一つ業者自体としてもできるだけ研究しよう、それによつて一つそのものを加工して販売するようにしてはどうかというように指導研究中でございます。  それからなお業者に対しましては、私のほうは警察自体が直接踏み込んで行つてやることはできる限り避けたいと思いまして、業者自体一つ自治監視員と申しますか、自治取締員というものを早急に設けて、そうして業者自体において一つ取締を実施する、そうしてなお且つその取締に服しないいわゆる悪徳業者があつた場合には、そのときにこそ警察が直ちに乗り出して徹底的な取締をする、かように只今のところは申渡しておるのでございます。暫くの間かような状況を続けまして、その上で警察としましては権力による取締を実施する、かような二段構えで行きたいと考えているのでございます。なおいろいろ供出に関して、或いは又いろいろな点につきまして皆さんもお気付きの点が多々あろうと思います。そうした点につきまして細かい点につきましていろいろ各方面の御意見なり、御要望を十分承わりまして、適切な取締一つ実施して行きたい、かように考えておる次第であります。
  4. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 続いて国家地方警察本部刑事部防犯課長宮地氏にお願いいたします。
  5. 宮地直邦

    説明員宮地直邦君) 国警本部といたしまして全国的な問題について申上げます。  田中警視総監から只今申されましたことにつきまして、私のほうとしていささかも取締方針等につきまして差違はないのでございます。例年の取締は大体供出の時期と供出完了後の取締と大体二つに分けて考えております。供出時の取締と申しますというと、大体生産地重点を置き、生産地或いはその輸送の途中の違反検挙重点を置きまして、供米完了等に側面的に協力をいたしますと共に、治安の面からも必要な措置を講じて来ておつたのでございます。従つて従来とも悪質な未供出農家の横流しとか或いはブローカーの大量的な不正な取引或いは一般の乗客に迷惑を及ぼすような集団的な列車における米穀輸送、こういうようなものに取締重点を置いてやつて参つたのでございます。これらの取締につきましては、本年度状況におきましても当然現在この取締は実施いたしておるところでございます。ただ本年度の特長といたしまして、非常に凶作である、特に北海道、東北方面においては一般的な凶作と申されますほかに水害によりまして丁度虫喰いのような、非常に凶作と申しますか、収穫皆無、或いはそれに近い地点が全国的にばらまかれておりますために、全国一律にこういう方針であるということが具体的な場合にはできない場合がございます。勿論悪質なものを取締るということにおきましてはいささかも違いございませんが、その方法等においては相当現地の状況によつて必要のある場合が今年の取締実情かと存じまして、すでに全国的に国警関係におきましては指示を出し、又自治体警察にもこれに協力を求めるような措置を講じまして、正確に現在の米の状況を把握し、玄米の状況というか、作柄、配給状態、それから起る治安問題というようなものを正確に把握、警察はその実態を把握するように先ず指導しておるところでございます。正確なる実態を把握して、具体的な問題に関しまして適当なる措置を今後とも講じて参りたいと思つております。  なお今年の取締一つの特徴といたしまして、消費地取締があるのでございます。消費地取締につきましては只今田中警視総監から詳細にお話がありましたところでありますが、特に凶作地附近に控えております東京或いはそれ以北の大消費地におきまして、先ず今年の六月頃から不況ではないかというような声に伴いまして闇米価一般的に高騰して参つたのでございます。これまでの経験で参りますというと、最高の闇価格を出しますのは関西方面でございます。常に関西方面東京或いはその附近闇価格よりも高いのでございますが、今年は邊かに関東方面、或いはそれより少し以北の方面闇価格が高くなつていましたので、今年の六、七月当時より非常に闇の動向闇価格の推移或いは闇ブローカー動向には我々関心を持つて注意しておつたところでございます。供米時期に入りまして今年のような一般的に申しましては不作の状態に対しましては、供米の完遂のためにも昨年度のような取締状態では到底参らないことは当然でございまして、一般的に闇米取締に関してはもつと警察でも圧力をかけて参りたいと思いますが、ただ去年のような圧力をかけますというと、闇価格を徒らに上げる結果になつてしまいますので、只今警視総監から申されましたように、消費地における消費規制の問題、大都市に入ります米の相当部分というものが業務用に類した流れ方をいたしておりすので、この方面一般業務用の闇として流れる面を抑えることなくして取締を実施いたしましたら、一般家庭におきましては非常に高い闇米を購入するような事態を、一般家庭が購入することを是認するわけではございませんが、いわゆる闇というものが非常に高騰する慮れがございますので、特に一般業者の使用する米というものを先ず第一には行政指導によつてそのような状態がないようにというふうに考えておるのでございます。勿論今警視総監から縷々申されましたように、第一次に警察力を持つてこの一般業務用の闇を取締るということではなくて、行政各それぞれの機関、農林省の代用食対策或いは人造米対策等行政措置と相待ちまして先業ず第一には行政措置によりまして務田の米の闇の、闇米の購入というものを抑え、更にそのうちでもこういうような一般行政指導に従わない悪質な者にのみ警察権を発動して参りたいと思つておるのでございます。特に多くの善良なる業者というものはこういう行政措置というものに対しましては、恐らくその趣旨を理解し、歩調をともにして来るものと思いますが、一部の悪質な業者、特に第三国人関係業者等におきましては、これらの措置に対して、従来の経験によりますというと甚だ期待が持てない面がございますので、そういう面に関しましては、或いは最悪の場合におきましては、警察権の発動をも考慮しなければならないかと思つております。なお闇米一般取締に関しまして特に今までの状態で申しますというと、警察一般取締をいたしますというと、善良なる者のみに圧力がかかつて行くという御批判を常に受けておりますので、これも又一般消費者買出というようなものもあえて我々が是認するという意味ではございませんが、重点は悪質を取締つて参りたい、その重点という中には第三国人等、特に関西方面におきます行動というものは、今から目に余る行動が従来ありましたので、これらに関しましてはすでに国警といたしましては関係方面連絡をとりまして、治安面から見ましても万全の措置を講じた上で、こういう結果的に闇米取締というものが平等の結果を生ずるように注意を払つておるところでございます。一般的に申しまして、今年のような凶作に関しましては、警察といたしましても重大なる関心を持ちつ取締をいたして参りますけれども、飽くまでも実情に即した取締に徹したいと存じておる次第でございます。  以上簡単でございますが、御説明申上げました。
  6. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今田中警視総監及び宮地防犯課長説明に対して御質疑がございますかたはお願い申上げます。
  7. 竹中勝男

    竹中勝男君 業者の自発的な取締と言いますか、自発的な自粛という方法はどういうようにやられるのですか。
  8. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 大体方法といたしましては、従来、中には大衆食堂もございますし、いろいろ業態があるわけでございます。例えば民生食堂とか、大衆食堂、それから旅館すし屋、それから日本料理中華料理西洋料理、それから飲食店では蒲焼屋天ぷら屋そば屋ふぐ料理屋、一杯飲み屋、喫茶店、列車食堂総合食里、それから加工品としては煎餅、あられ屋、その他いろいろの業態があるのでありますが、大体この大衆的な食堂におきましては、或いは代用食パン提供させるとか、或いはうどんを提供させるとか、そうした代用食に逐次これを切替えさせて行つたらどうか。勿論外食券を持つて来た者については当然に米飯提供しなければならん。それから旅館等におきましては、これも成るべく外食券を持つて来た者に対して提供するとか、或いは直接米を持参したものは当然米を出すというふうに逐次切替えて行きたいと思います。それからすし屋とか、加工品、米を原料として加工するというようなものにつきましては、これは今申上げましたように、他の代替食糧によつて若し替え得るものならば替えるというように、業者自体として研究をしてもらつておるわけであります。それから例えば高級料理屋等におきましては米飯等も若干出しておつたのでありますが、これなんかはむしろ米飯提供させんようにしたらどうか。若し強いてさせるならば、むしろ代替食提供するようにさせたい。それから中華料理西洋料理等においては成るべくパン等を出させて、代替物を出させる、こういうふうにしたい、かように考えております。業者といたしましても相当真剣に只今この問題を研究いたしまして、私のほうにもその結果を報告するような措置をいたしておる次第でございます。
  9. 竹中勝男

    竹中勝男君 業者というのは、組合単位取締られるわけですか。
  10. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今業者と申上げましたのは、いろいろ業態によつて組合がございます。その組合幹部を招致いたしまして、幹部警告を発しまして、幹部において更に組合理事者等を招致いたしましてそうして協議いたしまして、その上で全組合員にこれを完全に徹底させるように伝達方法を講ずる、従ひまして我々といたしましては、個々の業者を相手にすることはできませんので、少くともその各組合であるとか、或いは協会であるとか、そういうものを大体単位にいたしまして折衝いたしまして、折衝を重ねておる次第であります。
  11. 竹中勝男

    竹中勝男君 業者が買う闇米ルートというものはわかつておりますのですか。
  12. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 大体私どものほうでわかつておりますのは、このいわゆる先ほどちよつと申述べました列車輸送によるところのいわゆるかつぎ屋の組織がございまして、産地において買付け専門ブローカーがおりまして、そのブローカーが今度は輸送専門のかつぎ屋に、産地の駅においてこれを引渡しまして、そうして今度は到着駅のホームにおきまして、それを又別なブローカーに引渡す。そのブローカーが、闇米だけを扱つておるいわゆるもぐり食糧販売所みたいなものがございますので……。
  13. 竹中勝男

    竹中勝男君 それはわかつておるのですか。
  14. 田中榮一

    参考人田中榮一君) そういう点から勿論もぐり販売所というのは堂々と店舗を張つておるわけではございません。これは取締の目をかすめまして、随時随所に出没いたしまして、或いは空地であるとか、そういうところで取締をくぐつてつておると思うのでありますが、そういうような組織によつて得た米を業者のほうで買受けておるということもございますし、又一つには貨物自動車等の下敷に米を入れるとか、或いは他の雑穀に偽装して持つて来て、そうしてブローカーのほうか業者のほうに渡す、こういうような組織もございまするし、今一つは免許を受けている食糧販売業者の中に、いわゆる正当なる食糧販売業者の中で、闇米を仕入れまして、それを得意先に持つて行つて、それを横流しするというような点もありますので、この点について特に取締を実施いたしておる次第であります。
  15. 竹中勝男

    竹中勝男君 大体その実態はわかつておられるわけですね、どういうところで売つておるという。
  16. 田中榮一

    参考人田中榮一君) そうです。
  17. 山下義信

    山下義信君 総監、並びに国警宮地課長の御説明を聞きまして、今回のお取締方針は、大体においてその御方針に対して、私どもも極めて結構に思うのでありまして、又従来取締が一応何と言いますか、中止の形になつていて、で、闇米搬入も、かつぎ屋の横行も、或る程度是認せられた状態がずつと続いて来て、それが組織化されたということも、根強いものができたということも、いわば長い間そういう取締をしなかつたことにも起因するのであつて、今凶作ということに直面をして、急に取締をやることになつて来たわけなんであります。ですから、政府のほうでも又取締当局においても、いろいろの取締対策について、従来の経緯から見て、又今後の見通しの上に立つて、いろいろな実情に即した考慮を払われるということは極めて当然でありまして、今御説明を聞いて、その辺の御苦心のあるところも、我々においてもまあ了解のできる点があるのでありますが、闇米取締の問題は我々の厚生委員会として、国民生活の問題を多く取扱つているものとしましては、その取締方法というよりは、その効果、或いは又その取締からよつて来るところの諸影響、各家庭の上に及ぼすところの、善悪ともに今両者から説明のありました、若干お触れになりましたが、いい影響、悪い影響というような点について、深い関心を持たざるを得ないのでありまして、本日この委員会の開かれた所以も、又御証言を求めました点も、そういう点について深甚な関心を持ちたいというのが我々の意図するところであつたわけなんですが、今御説明を聞きまして、大体の御方針は我々といたしましても、極めて結構に思うのでありますが、そこで私は総監に伺いたいと思いますのは、業者取締について今竹中委員からも御質問があつたのでありますが、一体見通しとされましては、この一応自粛させて警告をして、或る期間を置いて、そうしてその状況御所望のごとくでなからねば、断乎として取締らなければならんという御方針のようであります。およそそういう業者自粛いたしまして、当局の方針に副うようなふうに実際に効果が上るものでしようか。又効果が上るとしまして、そういう状況を期待することができるのは、およそどのくらいの期間を要するというお見通しでありましようか。そのへんにつきまして当局はどう考えておられますか、承わりたいと思います。そしてその業者という中に、今お述べになりましたように、二つあると思うのですが、一つにはすぐそれを米飯として提供する各種の飲食業者、それから今一つは、そういう今一つは、そういうものを材料として製品化して行く、菓子屋のようなものと、こうあると思うのですが、私は一方は、私卒直に言うのですが、まあこれは皆わかつていることで、常識的のことですが、一方は消費的な業者飲食業者で、まあ店頭ですしをにぎつている程度のことはそれはすぐ目にもふれる、併しながら我々の関心を払うのは、消費量は或いは少ないか知らんが、一流の高級の飲食店ですね、料飲店。そういうところがなかなか従来取締とか、検挙とかいう手の伸びにくい豪奢なそういう業者、そういうものに当局の御方針が果して及ぶでありましようか、どうでありましようか。又そういう面についても相当断乎としておやりになりますかどうか。  それから材料にして製品化する菓子業者のようなものは、なかなかこの中止ということが容易でないと思うのでありますが、つまり或る意味におきましては、営業の廃止になるわけでありますから、休業状態に陥るわけでありますから、こと容易でないと思いますが、そういう点につきましてのお見通は如何でございましよう。この点を伺いたいと思います。
  18. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 大変我々も参考になる御質問と思うのでありますが例えば今直ちにこの米飯提供しなくとも差支えないという状態も相当あるわけであります。例えば普通の料理屋におきまして、あとで食糧米飯提供するというようなところは、何も期間をおかなくとも、その趣旨が徹底さえすれば、業者自体自粛自戒をいたしますれば、私は早急にこのことが実現できるであろうと考えております。又我々にもそのことを希望いたしておるわけであります。いろいろ国民思想に及ぼす点なんかも考慮いたしまして、量の問題は別といたしまして国民の心理に及ぼす影響等を考えまして、成るべくそうしたところから一刻も早く米飯提供を中止してもらうように実は警告しているわけでございます。  それから次に大衆を相手にしている食堂でございまするが、これも直ちに明日からというようなことは無理だろうと思いますので、この点につきましては、国民大衆がこれによつて相当恩典に浴しているところもあるのでございまして、かような点を考えましてこれを逐次代用食に切替えて行くというようなことには若干期間があると思うのでありますが、併しこれが然らば今月末日までにこれをしろとか、或いは来月の十日までにしろとかということは、私どものほうでは言つていないのでございますが、その点につきましては今業者のほうに対しましてどういうような切替えの措置ができるか、その措置について一つ報告をしろと、こういうようなことを言つておりますので、只今業者自体といたしましても真剣に考えてこのことを実施するであろうと期待をいたしております。併し又業者の中には自治統制委員と申しますか、自治監視員を置かずに、飽くまで蔭において米飯提供するというものもなきにしもあらずでありますから、こうした者につきましては、先ほど申述べましたごとくに警告を発しました上で取締を実施するのは、これ又止むを得ないと考えております。  それからまあ大体この現在の米の割当が完了するのが農林省の御方針でいつ頃になるかわかりませんが、十一月、殊に年末の十二月一日頃が端境期で一番私は困難な時期ではないかと考えて、おりまするので、やはり十二月中にはできるだけ早急にこの切替えをして頂きたいと思う次第であります。
  19. 山下義信

    山下義信君 あのかつぎ屋を盛んに最近おやりになりまして、あれはまあ実に私どもしばしば遭遇しまして目に余る者もある。列車なんかでやつておりますが、総監の御説明の通りであります。列車の中が取引場になつておる。非常にまあこのたび断乎としてお取締になつて、中には相当な、かわいそうな者もあるだろうと思うのでありますが、取締をやつておられる。あれはときどき休んでときどきやるということじや私は意味がないと思うのでありますが、まあ相当お取締になれば、今竹中委員もその点を御質問になつたようでありますが、一応おやりになればやみますか。或る程度まで整理がつきますものでしようか。殆んど毎日お取締になるのでしようか。相当ずつと続いておやりになれば或る程度あれはもう整理ができるものでありましようか。  それからあれは、かつぎ屋の持つていました米は公定で買上げて金だけやるのですね、没収でありますか、多分公定で買上げて配給所へ渡して金はやるのですね、あの処分はどうなつておるのでしようか。  それからこれはまあ国警のほうへも関連して伺うのですが、かつぎ屋ばかり挙げて大物が挙らんように、まだこれからおやりになるか知れませんけれども。今防犯課長もお触れになつたが、私ども従来耳にしているような噂は、なかなか集書本案うしろにおつて、相当その第三国へが手ごわい。相当大物がおる。そういう者が余り検挙されたようなことを聞いたことがない。それで併しずつと闇米がどんどん二百円になつて、二百二十円になつて又今度は二百五十円になつて、どんどんどんどん入つたときには、需要が盛んになつて相場が上つたのではなしに大物が貯蔵して買貯めして何万トンとか買つているような噂が世上に非常に高い。そういう大物の検挙というものをまだ聞きませんが、どういうわけで大物が検挙されないのでしようか。かつぎ屋ばかりが検挙される、毎日の新聞に出ているのはかつぎ屋ばかりなのですが、私は大物の検挙を是非一つ当局でおやりになつて根源が断たれなければならんのではないかと思う。若しそういうものがなくて、ただ大口の消費者が小さいルートでだけ注文して、十俵、五俵だけ買つているというのであれば、その点又お取締ができますが、大ボスと言いますか、そういう背後の者に対する当局の御検挙の方針を私は伺いたいと思います。
  20. 田中榮一

    参考人田中榮一君) この大掛りの輸送となりますと、とかく発覚する慮れがございますので、やはりかつぎ屋を利用して輸送するものが相当多いのでございます。で、上野、秋葉原、田端、新宿、両国、隅田等にはとかくこの大口輸送というものがあるのじやないかというので、取締当局といたしましても相当厳重に監視をいたしておるわけでございますが、先ほどもちよつと説明いたしましたごとくに、去る九月十二日の千住警察署で青森県下より馬鈴薯に偽装いたしまして百五十八かますを貨車輸送して参りました事件を検挙いたしております。これがまあ新聞で盛んに報道されたために、いわゆる大口貨車輸送はそれ以来非常に減少しておつたのでありますが、去る、四、五日前でありましたか、大崎警察署におきまして貨車輸送闇米があることを情報によつて知りまして、これを大崎署員が調べましたところが、七十数俵のいわゆる貨車輸送の大口の闇米が発覚いたしたのでありまして、なお我我のほうでも勿論大口の輸送闇米取締るにつきましては、相当目を光らせて現在やつております。かつぎ屋だけをやるのではないのでありまして、両方かねて実は取締をいたしておるような次第であります。
  21. 宮地直邦

    説明員宮地直邦君) 山下委員の大ボスに対する取締につきまして、私のほうでは大ボスのほうをむしろやりたいように重点をおいておるのであります。但し大ボス、大きな事件といいますものは案外世間では目立たない、結果的に申しますと、昨年の数字で申しますと、いわゆるかつぎ屋等において挙げた米の数量よりも、昨年の現象でございますが、指定集荷業者の違反米として検挙した米のほうが大きいのです。これは現実に移動しませんでも青田売買その他の点でやりましたものについては相当の数字が挙つております。従いまして取締では相当の数量を検挙しておるのではないかと思います。なお六月以来の世論の風評というようなものも私どもも十分承知いたしまして、随分捜査いたしましたが、具体的には出て参りません。ただ我々がその問題に関連いたしまして、非常な関心を持つておりますのは密造酒の問題でございます。密造酒に使われます米は相当の量でございますと同時に、相当の部分がこれは第三国人方面が中心になつてつておりますので、いわゆる闇米取締の一環といたしまして、密造酒の取締も今の問題とはそれますけれども、関連いたしまして、そういうつもりで注意をいたしておるのであります。
  22. 山下義信

    山下義信君 さつき防犯課長はこういうことをおつしやつた。今度の取締全国的にやつておいでになると思うのです。私ども調査では、全国一斉に、一斉と言つてはおかしいが、国警の指令で各地ともやつておられるようですから一斉であらうと思うのです。この闇米取締については、全般的な、総合的な施策の裏付けがなくちやいけないのですから、目的が取締にあるのではなくして、国民食糧問題の悪化を防止するにあるのだからという御説明、私は非常にその点を注意して聞いておつたのです。全くそれでなければならんと思います。今日は取締当局のお話を聞いたら、食糧関係、農林関係、又厚生関係等々、その総合的な政治問題を委員会はお取上げに多分なるだろうと思うのでありまして、関心を持つてつたのですが、そうなくちやならんと思う。取締だけでは食糧問題の解決には何にもならんのでありまして、その各関係行政部門との連関を総合的な施策の上に立つた一環としての取締でなければならんと考えておつたのでありますが、そういう御説明がありましたので、大変結構に思うのですが、そういうお打合せというものは、そういう関係機関との連絡というようなものは十分なされてありますか、そういう状況はあなたのほうの国警ではどの点までの御関係がなされてありますか、ちよつと伺つておきたいと思います。
  23. 宮地直邦

    説明員宮地直邦君) 農林省を中心といたしまして、私のほうは随時会合を持つております。幹部のほうで持ちますと同時に、場合によりましては第一線のほうも持つております。定期的にと申しますと、余り形式的になりますが、そういうこどは定期的という日はきめておりませんが、只今までも数回に亘つて幹部或いは状況によりましては警視庁を含めまして、その会合を持ち、今後ともこういう会合を継続して行きたいと、こういうふうに関係当局とお互いに申合せをいたしております。
  24. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私のほうは本当の消費だけの関係でございますが、東京都の経済局と常時連絡会議を開きまして、いろいろ第一線の取締並びに配給状況から得た実際知識、これを情報として主務省である農林省に随時これを持つて参りまして、農林省のいわゆる外米の輸入であるとか、或いは小麦粉の輸入であるとか、或いは粉食の奨励、その他代替食糧の奨励、配給というものにつきまして、我々として知り得た情報を提供いたしまして、農林省の食糧政策の速かな食糧困難の切り抜け策としてのいろいろな参考になる情報を私のほうとしては扱つております。
  25. 山下義信

    山下義信君 私は、両当局への御質疑は終りますが、希望を述べておきますが、この食糧問題の将来を考えると、我々は実は慄然たるものを予感しておるのです。それで取締だけじや済まんのでありまして、もう米が一粒もないという状況が来たら、これは我々は非常に戦慄すべき問題が起きるのじやないかということを憂慮しておるものです。それで当然その総合的施策の裏打ちがなくちやだめなんでありまして、米よこせ運動が起きたり、焼打ちが起きたり、暴動が起きたりして来たのでは何のために取締をしたのかわけがわらん。取締がだんだんと火をつけて歩く役目をするようなことになつて来て、闇を取締れば取締るほど闇の価値が高まつて来るわけで、逆作用があるわけですから、私は裏打ちがなければならん。今総監がおつしやつたよりに米を使うことをやめて、すし屋人造米を以てやれと言つてみたところで、その人造米もいい加減のものであつたり、又それもできていなかつたり、粉食奨励と言つてみたところで、そういうこともこの政府の関係機関行政がごてごてになつているか。要するところ未解決のままで、一方取締のほうはずんずん進ん書くけれども、実際の裏打ちの政策というものの充実がなかつた日には取締が空回りしてしまうことになることであつて、私どもも十分政府を監視しますが、取締当局ではその取締がいのあるような政策の裏打ちについて十分一つ私は関係機関との連絡を緊密に願いたいと思うのです。何としても七百万の帝都です。人口の一割、東京都における食糧。事情の状況の如何はこれは全国を左右することは言うまでもないことでありまして、その点私は御当局を信頼すると同時に御期待申上げまして、そういう点を一つお願いをしておきたいと思います。
  26. 高野一夫

    ○高野一夫君 私ちよつと伺いたいのですが、先般も私は東北線の三等車に乗つて闇米を運んで、いろいろ取締を受けるところを見たのですが、誠に非常に陰惨な感じを持つのですが、結局は我々考えますところは闇米を運んだり、運ばせたり、売つたり、買つたり、又それを我々が買つて家庭生活に使わなければならん世の中では、誠に政治が行われていないような世の中だという感じを持つのですが、それで取締に当つておられるかたがたいろいろ売るところ、買うところ、悪質、良質、いろいろありましようけれども、ぶつかつていらつしやるわけですから、何と申しますか、一番事情がおわかりだろうと思うのですけれども、これをただ取締をどうこうするということでなくして、どうしたらばこういうような世の中にならなくて済むであろうかという、これは政治問題になると思うのですが、そういうことについて何かお考えがあるのじやないかと、例ば生産者価格を引上げると、そうすると農村が売る必要がない、そうして喜んで供出をすることになるとか、或いはもつと生活が豊かになれば、そういうようなことをして稼がなくてもいいというようなことにでもなるとか、そのほか何かいろいろ政治のあり方、行政のやり方によつてこの根本の原因を衝くことができやしないかというお考えが湧いてきやしないか、こう思うのですが、これは国会、政党方面考えなければならん問題でしようけれども、事実においてぶつかつていろんな事件をお裁きになるあなたがたとしては、何か一つ考えがありやしないかと思うのですが、参考に一つ御意見を聞かして頂ければ幸いだと思います。
  27. 田中榮一

    参考人田中榮一君) まあ今のお話は、こと政治に関係する問題でありまして、消費者を取締る私どもといたしまして、特に意見はないのでございまするが、ただ私どもが駅頭におきまして取締をいたしましたり、或いは車輌の検間所におきまして、貨車取締をいたしたりするのでありまするが、まあかようなときに考えられますことは、何とか早く政府におかれましては、外米買付けの手を早く打つて国民が安心をするような行動をしてもらうことが、これが一番国民が安心をするのではないかということであります。  それから又一面ににおきまして、昨年の小麦の統制が撤廃されましてから、やはり国民全体として食糧問題に対して或る程度楽観的な気持を持つてしまつている、そうしてそれによつて米を幾らでも食べてよろしいのだという一つ米飯依存主義の傾向というものが非常に強くなつたのでありまして、凶作は必ずしも今年のみではありません。来年、再来年、或いはもつとひどい凶作が来るかと思うのでありますが、こうした場合におきまして、やはり米食以外の食糧に対して国民が依存するような、或る程度指導的なことを政策としてやつておく必要があるのじやないかということも考えられるのであります。  それから又これは私どものほうの責任でもありまするが、やはり楽天的な気持が我々のほうにも作用いたしまして、或る程度習慣的に取締の手が緩和されてしまつたということも、これは私ども一つの責任であろうかと思いますが、こうしたこともやはり非常にひどくやる必要はないのでありますが、やはり非常に悪質の業者に対しましては、常時取締というものを実施して行く必要があるのではないか、これはそれがために善良なる市民を苦しめることは、これは困るのでありますが、そうでない悪質のものに対しては私は取締をしておいたほうがよかつたということを今でも感ずるのであります。そのほかいろいろございまするが、取締当局といたしましては、取締を実施する際に考えられることは、大体以上のことを考えております。
  28. 高野一夫

    ○高野一夫君 そちらのほうで、今度農村関係のほうのあれはどうでしようか。
  29. 宮地直邦

    説明員宮地直邦君) 我々としては政治問題に関する論議は避けなければなりませんが、極く素朴な意見として感じますことは、取締の対象になりましたものは、極めて、我々警察官という身分を離れまして、個人的には同情に堪えないという面と、或いは一つは今度は、昔から米というのは相場の対象になつておるようなものでございますから、制度的に何とか考えて頂きたい、こういう面と二つあるわけでございます。  まあ一つの、我々が個人的には同情するという面につきましては、本委員会等においてとくとお考え頂くことだと存じておりますが、制度的な面につ要しては、これはむしろいういろいろの総合行政の一環として農林省等を中心として考えられることだと思いますが、事務的な面につきましてはその都度農林省等にも連絡を事務的な意見として申上げております。例えば今回の措置につきましても、一、二申したのでございまするが、例えば直ちに現在の制度、法律的に申しますと、戦時中以来の米に対する統制というのは、漸次法律的にもこれは緩和されて来ております。直ちに我々取締の便宜のために戦時中のようにしてくれということは毛頭考えておりません。さような状態というものは却つて治安にも悪いと思いますが、例えば輸送制度等におきまして、輸送と言いますか、輸送証明制度等におきまして、甚だ取締が困難があるということは、今度の取締に関しまして、関係方面と事務的にお話を申上げた事実はございます。まあそういうことです。
  30. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう一つ簡単にお伺いしたいと思うのですが、この人造米を奨励したり、或いは粉食を奨励したり、又最近厚生省が提唱しておられる鼠族の退治で百万トン近くの米を浮かすというようなことでも、大いに国民運動としてやるというようなことになりました場合に、消費地においての闇米のことは多少緩和されることになりましようか、その辺のお考えは如何でございましようか。
  31. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私はこれは一個の考えでありますが、やはり闇米取締というのは、これはそのときの情勢によつて多少緩厳よろしきを得なければならんのではないかと思つております。食糧状況代替食その他によつて非常によくなつたからといつて闇米取締を全然手抜きし、今まで若干その手を抜いたためにかような状況なつたんじやないかと私は思つておりますけれども、やはり或る程度、悪質なものにつきましては、やはり取締は継続して実施しなければならん、併し若し食糧事情が農林省の政策よろしきを得て、非常に好転するというときにおきましては、そのときの情勢に応じて適当なる取締を実施する、関係方面と協議して実施するということしか考えられないかと思つております。
  32. 高野一夫

    ○高野一夫君 宮地課長に聞かして頂きたいのですが、生産者価格を引上げるとか或いは米の自由販売をするということになつた場合には、農村のいろいろな実情から考え闇米の売買なんというものは多少緩和されるであろうというふうなお考えでも、取締実情からお持ちになるようなことでもありましようか。ちよつと政治問題に亘つて誠に恐縮ですけれども
  33. 宮地直邦

    説明員宮地直邦君) 全然米が自由販売になつたということが前提になりましたときには、これは闇というものはなくなるわけであります。我々として非常に関心を持ちますのは、どの程度まで米が上るかという問題なんです。或いは暴利の問題、それから米と申しますのは直ちに国民の心理に非常に関係を持つておりますから、机上で考えた以上に心理的に反響が出て参りますので、そういうものも治安の内容に割込んで考えて行きませんというと、ただ価格だけの問題ではなく、価格も非常に上つて行きましようが、それがどういうふうに治安に響いて来るかということあたりは、相当真剣に考えて行かなければならん問題で、ちよつと即答申上げることが困難であります。
  34. 高野一夫

    ○高野一夫君 有難うございました。
  35. 竹中勝男

    竹中勝男君 簡単に発言しますけれども、すでに総監や課長のお話の中にもそういうお気持が窺われると思うのですけれども、厚生委員としては、非常にこれは取締ということはむずかしい、御苦心のあるところだと思いますが、やはり貧乏へを圧迫しないような取締をして頂きたいということです。即ち闇米を農村から運んで或いは都会から買出しに行かなければならないような人たちもいるのです。又闇米を食べなければならないような連中もいるわけです。我々自身もそうです。それから小さいすし屋だとか飲食店はやはりそれによつて生活しております。だから問題は、貧乏人がやはり闇米を食べられるような取締が必要だと思います。貧乏人は麦を食へというようなそういう考えでなくて、一番必要な、働いておる者だとか学生だとか、そういう者はやはり闇米を食べなくちやならないのです。そういう者に過酷にならない取締であつて、それによつて巨額の利益を得ておる者を取締ということに重点を置いて頂きたい、即ちブローカーとかこれのいわゆる業者闇米業者という形のものは収締るべきであるけども、その下つ端に働いておるところの、生活の必要から闇米を売つておる者或いは闇米によつて商売をしておる者、そうして従つてそれによつてとにかく労働力を再生産する米を食つておる生産者、そういうものに過酷に当らないで、本筋をしつかりやつて頂くことを板締の方針にして頂きたいと思うのです。それは非常にむずかしいことで、すでにそういうことを十分お気遣いになつておることが、言葉の端々に窺われるのですが、即ち闇米を必要として、その仲介によつて生活しておる者即ち悪質でない闇屋というものは勘忍して、悪質のものは徹底的にやるという方針を、厚生委員としては、国民生活の安定だとか最低生活を守るという立場としては、そういうことが望ましいと思うので、ただ一言だけ。
  36. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私も産地の人人からいろいろ聞いておるのでありまするが、現在闇米が三百円台になんなんとするというような主たる原因というものは、やはりこの悪質の闇米輸送業者産地に参りまして、そうして勢い価格を吊り上げてむりやりに買取つて行くということが、闇米の値段というものが今日のように高騰しておる最大の原因なのでありまして、従つて今回私ども取締を実施いたしましたのも、勿論できるだけ米そのものを正常ルートに乗せたいということと、それからいゆる一般大衆の生活にこれが或る程度流れ込むようにという二つのそうした気持を持つて取締しを実施いたしておるのであります。ただ取締を実施いたしますと、いわゆる玉石混淆で、つい善良なる家庭のものが誠に同情すべき状態の下にあつて、米を買つたものまで一応取締を受けるということに形においてはなるのでありますが、併し取締の者も、大体その辺の事情はよく了承いたしております。又一見いたしまして、これが悪質のブローカーであるか、そうでない善良なる家庭のものであるかということは、先ず一見してほぼ理解ができるのでありまして、その辺のことにつきましては、十分一つ今後取締る者にもその辺を言い含めまして、過ちのないようにいたしておきたい、かように考えております。
  37. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 闇米貨車で送るとか、或いはトラックで輸送するというようなものが発見された場合に、そういう悪質ブローカーに対する制裁は、どういうふうな制裁をされているか、又そういうものが再びそれを犯すようなことは今日ではないでありましようか、そういう点を。
  38. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 悪質のブローカー等で闇米輸送いたしまして検挙された場合におきましては、直ちに悪質のものにつきましては本人の身柄を拘束いたしまして取調べをいたしまして、いわゆる食糧法の違反といたしましてこれを送検いたしまして、それぞれ罰金刑なり、体刑に処せられると思います。なおこうしたものがいわゆる累犯的に何回も前科者としてやるような場合につきましては、更にその処刑を厳重にするように意見を付して送検いたしております。
  39. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 おすし屋でありますとか、或いは菓子業者が、人造米その代用で以てすることを研究するということでありますが、私はこれは非常にむずかしいことじやないか、業者だけの研究でこれが成功するお見通しがありましようか、そういう点を一つ
  40. 田中榮一

    参考人田中榮一君) この点は加工業者の意見等もまだ聞いておりせんが、私も仰せのごとくに、加工業者が他の代替品でやるということにつきましては、非常に技術的に困難な点があると考えております。ただ併しながら、困難であるからといつて、その加工業者だけにその闇米の入手を警察側として認めるということは、これは現在の取締の立場上できませんので、業者としましても、一々この取締を受けるということは、業者自体としても非常に生活上に不安を来していることでもありますので、何かはかの代替品でできるものならば、それを正常なルートによつて食糧を主管する官庁から配給を受けて、そうして正常ルートに乗つた営業を継続したいというのが、加工業者の意見だろうと考えております。さような点もございますので、現在私のほうも警告を発しましたからといつて直ちにその日から取締を実施するようなことはせずに、できるだけ業者自体として研究する余裕を与えまして、そうしてわれわれのほうもその成行を今注目しているという状況でございます。
  41. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 他に御質疑ございませんですか。
  42. 林了

    ○林了君 他の委員会に出ておりましたから遅れて参りましたので、総監からどういうお話があつたか、ちよつと私伺わなかつたので或いはお話があつたかも知れませんが、先ほど山下委員からの質問の際に、何回か、一と月のうちに日をきめつやるというのか或いは続けてやるのかというお話がありましたが、私はよく列車に乗つてああいう闇の米を運んでいる者に聞きますと、三回に一回捕まつてもこれは勘定に入れてあるので、いいのだ、従つて毎日これをやられたらわれわれは仕事ができない、こういうことを言つているのです。ですから、先ほど山下委員の御質問があつたように、一カ月くらい強硬に全国的にやつてもらつたならば、相当闇の米の運搬がとまるのじやないか、こういうふうに考えます。それから米の押収したものを公定で買上げるか或いは没収するかという御返答を伺つたかも知れませんが、これもどうなつているか、ついでにお伺いしたい、こう思います。最後に一言、いろいろ各委員からお話もありましたが、徹底的に私は取締つてもらいたい。貧乏人のかた、或いは又生活の豊かなものを問わず、闇の値段は知つても公定の配給の値段を知らんというのが今日の状況です、各委員で或いは又政府の各機関にかけて。こういうことは非常に不思議だと思う。誰に聞いても闇値なら知つております。米の実際の配給価格を知つているかというと知らん、こういう馬鹿なことがあるかということは、非常に政治も貧困であり、又我々国会といたしましてもこういうことがあつちやならない。配給の値段を知らないで闇の値段を知るということは、これは飽くまでも闇を徹底的に取締るということになればなくなるだろう。これによつて米が足りないということがあるならば、粉食がいいか、或いはこれに対して人造米がどうなるかということは、各省により又各研究した結果によつてこれは将来わからなければならん、私はそういうふうに考えております。で、取締当局といたしましては、飽くまでも徹底的にやつてもらうということを私は希望したいのであります。  一応先の二点につきどう考えておられるか伺いたいと思います。
  43. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 先ほどの御質問で私大変失礼いたしました。答弁漏れがありますので、この機会に述べさせて頂きたいと思います。  今後継続してこれをやるかどうかという問題でありますが、警察の立場といたしまして、悪質のものがありまするならば、これは毎日でも継続してやらねばならんと思います。ただ実際の取締状況からいたしまして、万一取締をするとしても果して効果があるかどうか。それから又現在の私のほうの警察力のいろいろの配置の関係から、これも毎日続行するということはなかなかできないと思いまするが、併し情勢によりましてはこれを徹底的に取締を実施したい意向も持つております。殊に悪質のものに対しましては一層徹底的な取締を実施する方針でおります。  それから闇米を、駅頭においてこれを警察官が押えてからの措置でございまするが、この闇米取締の場合におきまして、多くの場合におきましては大体悪質ブローカーがこれを取扱つている関係上、本人らはこれを駅頭に放棄いたしまして雲散霧消してしまうのであります。而していわゆるその物件の権利を放棄するという形になるのであります。そこでその闇米数量を駅の公安官なり関係者立会いの上で、計量器を以て計算いたしまして、それを正常なる配給業者の手に渡しまして、そうしてその売上げた代金を販売業者から国庫にこれを納入さしておるわけであります。いわゆる犯罪供用物件としての取扱いをいたしておる次第でございます。
  44. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 他にございませんですか。
  45. 横山フク

    ○横山フク君 お願いいたしたいと思うのでございますけれども闇米取締は、私も列車に乗つて覚えがあるのでございますけれども、裏日本から表日本に出ます伊丹の近所でありましたけれども、非常にたくさんお米がある。そのうちに、皆窓口ですか、出入口のほうに行きますうちに、どうするのだろうと思つていると、駅へ行きましたらもうなくなつてしまつたのでございますね。駅の途中で、進行中の汽車から皆米を放り投げたらしいのでございます。それを下にトラックかなんか待つていて恐らく持つてつたらしいのでございます。そういうこともありましたし、それから一度は、列車に乗つておりますうちに、今日はこの列車には検査が来るのだからここらで以て下しちやわなければ駄目だと言つているのです。それから今日は赤羽のほうは駄目だから、こちらのほうへ換えようと言つているのです。非常に情報をよく知つているのですね。ひがんで言いますと、警察官のほうからも或る程度情報が洩れるというか、連絡がとれる何かがあるのじやないかと乗客として考えられるような節々もある。でございますから、お取締になるときには、折角取締るときには連日にして、そうして少しは無理しても全駅とか、全列車とかというふうにして、そういう情報なんかが洩れて、向うに乗ぜられて逆手に出られるようなことのないようにして頂くことを私はお願いしたいと思います。三等車に乗つておりまして、殊に各駅停車に乗つておりますと、そういう点についてしみじみと思わせられる点がございますので、お願いいたしたいと思います。
  46. 宮地直邦

    説明員宮地直邦君) 今の御注意誠に恐縮でございますが、情報が洩れておつたという確証をつかんで洩らした者を検挙したこともあるのでございます。洩らした者というのはそういう事例もございますが、我々といたしましてはできるだけ列車に乗らないように措置をいたしたい。今年も、列車に乗りまして、乗つてしまいますとどうじても乗客に迷惑をかけますので、生産地におきましてはできるだけ闇屋が乗らないようにというふうに、一人の警察官がおれば割合とまる場合もあります。大量になつて来ると、たくさんの警察官を動員しなければとても取締ができない。さもなければ、逆に暴動事件を起して来る。今御注意がございましたように、毎日やれという点がございましたけれども、その点実は或る程度まで集まりますと、相当警察力を集中しませんというと却つて危険な場合もございますので、案はそういう面からああいうことが出て参るのです。従つて今の列車の御注意と併せまして、できるだけ生産地等においてそういう集まらないような措置を講じたいと思つております。列車内におきます取締におきまして情報の洩れる点、どうしても非常に細心な注意を払つておりますけれども、今言つたような遺憾な事例がありますので、最近のうちに各方面連絡をとりまして、その列車内の取締のための打合会を開こうと思つております。
  47. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) もうございませんですか。
  48. 竹中勝男

    竹中勝男君 林さんの意見とちよつと私は反対のようになりますけれども、やはりこういう取締を徹底してもらいたいと思うのですが、七百五十万も潜在失業者がおる日本で、闇屋というものはやはり一つ国民の生活手段ですから、これを徹底的に取締るということは到底できない。又できないことをしたら無理が行くし、警察力はそんなことはできないはずなのです。だから少しぐらい運んで来ることは放つたらかして私は構わんと思う。又それによつて我々が生活しておるのです。ただどこまでも企業化して利潤を追求するという階級の取締は徹底的にやつてもらいたい。小さい駅あたりで一斗や五升運んで来るやつは放つといていい。これは必要なんです。むしろ彼等の生活を守つてやらなければならない。併しながら、それで大きな利潤を得ておるブローカーは、これは徹底的にやつて頂きたい。私は厚生委員としてそれを言わなくちやならない。
  49. 林了

    ○林了君 今の竹中さんの意見に対して私意見があります。竹中さんあなたの御意見は御尤もで、私はそこまでわからんとは思つておりません。但しそういう米の価格の差において生活をして行こうというところに、あの考え方を私は重視して行かなければならない。私はそういう考えを持つておる。
  50. 竹中勝男

    竹中勝男君 それは供出価格の問題です。
  51. 林了

    ○林了君 ですからそういう問題があるから一応私は強硬にやつてもらつて、そうしてこのはけ口を、それに救われない人間を、これによつて救われている人間と救われていない人間とをどうするかということは、今後は我々が別の方面考えて行かなければならんだろう、こういう私の考えでありますから。
  52. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) それではこのくらいで田中警視総監及び宮地防犯課長に対する質疑を終りたいと思います。    —————————————
  53. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 食糧庁の長官が十一時頃までには来るという約束をいたしておりましたのが、現在炭労との会見が長びいておりまして、すみ次第出席いたしますという連絡で、まだ出席できないような事情がございますので、その前に山口公衆衛生局長が出席いたしておりますので、前に一応人造米と栄養について説明があつたと思うのでございますが、質疑がございますならばお願い申上げたいと存じます。
  54. 山下義信

    山下義信君 私は質疑はないけれども食糧庁長官が来たら聞いて見ようと思つたのですが、二、三日前の新聞ですが、強化米を配給する考えがあるということを農林省として何か言つておるのです。あれは山口局長は承知しておられますか。
  55. 山口正義

    説明員(山口正義君) 私のほうにはまだそういう正式の連絡はございません。
  56. 山下義信

    山下義信君 強化米のことや、人造米の栄養関係のことも、この前では食糧庁長官も厚生省も、農林省と厚生省とよく協議してこれからやるのだということを言つたので、強化米のあれは新聞の記事が嘘か本当か質して見なければならんが、強化米を配給ルートに乗せる計画がある。そうしてやるのだということを農林省の当局が言つておるのです。これは確めて見る必要があ「る。
  57. 山口正義

    説明員(山口正義君) 只今の点、私のほうでも確めなければならんことだと思います。先般も申上げましたように、今回の人造米製造に当りまして、その規格をきめますのに農林省として規格委員会というものを制定いたしまして、それに厚生省の栄養課長、それから主任技官を委員として入つてくれということを向うから言つてつておりました。人造米の規格につきましては厚生省の栄養とい立場から十分意見を述べ、又それを向うで取上げてもらうようにして参りたいと存じます。
  58. 山下義信

    山下義信君 強化米のことです。強化米のことでは何にも話はありませんか。
  59. 有本邦太郎

    説明員有本邦太郎君) ありません。
  60. 山下義信

    山下義信君 一方的な新聞ですか。
  61. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 山口君にちよつとお尋ねしておきたいのですが、栄養対策に対する審議会のメンバーもうきまつておるのですか。そうして又今までお開きになりましたか。その結果はどういうふうになつておりますか。
  62. 山口正義

    説明員(山口正義君) 栄養審議会の構成につきまして手続きがいろいろ遅れましたので、発足が少し遅れたのでございますが、先般の委員会でも申上げましたように、厚生省関係では私が入りました。それから農林省は食糧庁長官、経済審議庁は松任谷審議官が入りました。そのほか民間のかたなんかが入つて頂きまして結成してございます。今まで開きましたのは先般行いました栄養士の国家試験に関する、栄養士の養成に関する部会を開きまして御相談申上げたのでございます。今回の人造米につきまして大体規格が検討され、規格が決定するようになりますれば、それを先般山下先生からも御注意がございましたように一般家庭における消費、殊に集団給食に際してこれが用いられますようになりました際のいろいろの注意事項炊繋様式、或いは栄養上の注意というような点を考慮しなければならないと考えておりますので、そういう指導要領式なものを、原案を作りまして、これを審議会で審議して頂きまして、一般に達したい、そういうふうに現在考えております。
  63. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 この人造米の規格はまだ主にきまつておらぬようでありますが、これが確定いたしました後に審議会におかけになつても遅いのでありまして、やはり規格を受けます前に、審議会でこういう問題を審議をなさり、その結論をやはり農林省のほうとも打合せるというふうにしたいとこう思つております。
  64. 山口正義

    説明員(山口正義君) 御注意通りにやつて参りたいと思います。
  65. 山下義信

    山下義信君 ちよつと最前の問題ですがね、今月の十九日の朝日に「食糧庁では準備中の人造米奨励とは別に『強化米』を十二月一日から希望配給することにきめ、国民の栄養確保につとめることになつた。目下厚生省とも連絡、細部案をねつている」云々ということがずつと詳細の記事が出ているのですが、まだ何にも連絡ないのですね。それで厚生省のほうでは強化米はどれを、二種類か三種類あるが、大体どれがいいという厚生省のほうでは考えを持つておられるのですか。
  66. 山口正義

    説明員(山口正義君) 現在米を強化してございますのが二種類ございまして、それから人造米を強化した人造強化米とでも申しますか、それが一種類ございますが、厚生省で特殊栄養食品として登録をされておりますのは人造強化米、市販の名前ではニュー・ライスというものだけでございます。あとの米を強化いたしましたプレミックス、ビタ・ライスのほうはまだ現在農林省からその製造業者に対して米を特別に払下げまして、今まで三十トンばかり払下げてそれを試験製造いたしまして、そうして集団給食の中に使いまして、現在その成績を検討中でございますが、分析表から見ますと、プレミックスとビタ・ライスとは少し趣きが異つておりまして、片一方のほうはビタ、ミンB1が多くてB2が少い、片一方のほうはB1が少くてB2が多いというような差がございますので、厚生省のほうでは今のところはこのプレミツクス、ビタ・ライス、どつちを特に推奨するというようなところまでは立至つておりません。
  67. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  68. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記を始めて下さい。
  69. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 この食生活の問題が今非常に大きな問題に取上げられておりますので、厚生委員会におきましては特に小委員会を設置して深く堀り下げて研究いたしたいと思います。小委員会の名前は国民生活改善に関する小委員会ということにして頂いて、委員の数なり小委員長委員長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  70. 山下義信

    山下義信君 只今の中山委員の動議に賛成いたします。
  71. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今中山君から提出になりました国民生活改善に関する小委員会を設け、その定数及び小委員の指名、小委員長の指名は委員長に一任することの動議が提出され、山下委員からも賛成がございましたが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それでは国民生活改善に関する小委員会を設置することに決定いたしました。その数及び委員長等につきましては追つて委員長から指名いたします。それでは暫時休憩いたします。    午後零時十二分休憩    午後一時四十五分開会
  73. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 午前中に引続きまして委員会を再開いたします。最初に午前中に設置されました国民生活改善に関する小委員につきまして御報告申し上げます。その数は七名とし、  中山 壽彦君  高野 一夫君  廣瀬 久忠君  林   了君  山下 義信君  藤原 道子君  有馬英二君を指名いたします。小委員長につきましては後ほどこれを指名さして頂きます。只今前谷食糧庁長官出席しておられますので、食糧対策と人造米につきまして食糧庁、長官に対する質疑を願います。
  74. 山下義信

    山下義信君 長官に伺いますが、三点ほど伺いたいのです。細かいことは今お聞きのように、小委員会ができましたから又何かとお教えを受けたいと思いますが、今日伺いたいと思いますことは、農林委員会のほうではしよつ中長官と話される機会があつて、よく委員諸君は知つておられると思うのでありますが、こちらのほうは長官に聞く機会が少いのでよくわからない、従つて一般的なことを一つ聞くのですが、この食糧需給の将来の見通しからして、米食率を下げるか下げないかということに非常に我々として関心をもつのですが、新聞等で見ますと、農林大臣は米食率は飽くまでも維持するのだということが農相談として出ているのをみるのであります。又一面には食糧庁長官の意見として、或いは米食率を切り下げなければならんのではないかということも伝えられておるようであります。けさの新聞にもそういうことがあつたように思うのでありますが、その点は長官はどういうふうに考えておられるかということを一点承わりたいと思います。それから一つは私どもに非常に関係あるのですが、先般まあいろいろ承つて我々も質疑の形で意見を申上げたのですが、人造米も結構ですが、同時に粉食をこの際非常に大いにやろうという機運がこれ又全国的に起きているここは御承知の通りなんですが、併せてやらなければならんと思うのです。それで粉食の奨励ということになりますこ、何としても政府の手持ちの小麦、これを安く払下げて、而も大量にやつて頂くということが第一番こなくらやならんことなんです。そういう粉食の奨励をやるということになると、我々の側ではいろいろバターとか、そういつたような副食関係とか、栄養関係に手を打つて行かなければならんわけですが、政府の手持ちの小麦の払下方針、又世間の要望するように安価に払下げる意思があるかどうかという点を承わりたいのです。  それから最後に例の強化米のことなんですが、これは人造米の強化米でなしに、政府で、食糧庁のほうでどう考えておるか知りませんが、白米の例のビタミンで加工してある強化米ですね、これは一昨日の朝日に、食糧庁では準備中の人造米奨励とは別に、強化木を十二月一日から希望配給することにきめて、国民の栄養確保に努めることになり、目下厚生省と連絡、最後案を練つている。その構想はかくのごとくであるという詳細な記事が出ている。今朝厚生省当局に聞いて見ると、まだ何にもそういう相談を受けていない、一向存じません、こういうことなんです。或いはこれから御相談があるか知りませんが、そういう強化米の希望配給という、そういうことを考えておるのかどうかという点を最後に聞きたい。以上伺いたいと思うのは三点であります。
  75. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 山下委員にお答え申し上げます。食糧の全体の需給の問題でございますが、これは御承知りように本年度におきましては昨年度に比べまして、昨年度は六千六百万石の内地の生産でございましたが、御承知のように十月五日の作況によりますとほぼ五千四百万石、千二百万石程度の生産の減少になつておりますので、本年度食糧の需給は、特に米につきましては非常に困難なことがあることは御承知の通りでございますが、我々といたしましては、食糧の、米食率の現在配給いたしておりまする切下げということは、これは最悪の場合のことでございまして、何といたしましても現在の配給量というものは確保いたしたいということで目下いろいろ各府県とも折衝をいたしておるわけでございまして、現在まだ食糧の需給につきましては明確な見通しを持つておらないわけでございます。御承知のように大体米につきましては各府県の供出の打合せをいたしまして、そうして更に各府県における需要量の打合せをいたしまして、例年でございますと一月頃に大体食糧需給の見通しが立つわけでございますが、本年度はこういう作柄でございまして、できるだけ早く各府県との間の打合せを了しまして、十一月中にでも明確な需給を立てたいということで目下検討をいたしておるのでございますが、承知のように現在までのところは大体十県程度しか米の供出につきましての打合せを了しておらないわけでございまして、あと目下毎日中心でございます関東地方、それからそれ以西の各県との打合せの予定になつておるわけでございます。いわゆる政府の義務供出というものは、本年度の作況によりますと相当下らぎるを得ないと思いますが、我々といたしましてはその義務供出以外に相当量の超過供出を期待いたしておるわけでございまして、これにつきましては第二段にもお話がございましたように、麦を以てできるだけ節米をして頂いて、産地から出して頂くというふうな意味におきまして、農村地帯にも、特に大麦でございますが、そういうものを政府といたしましては手配をいたしまして、そうしてできるだけ農村地帯におきまする節米を図つて頂きまして、それによつて更に超過供出して頂くというふうな措置もとつておるわけでございます。我々としましては、現在はやはり現在の配給量を何とかして維持いたしたいということで、その目標の下に鋭意努力をいたしておるわけでございますが、御承知のように従来から米を他府県に出すいわゆる搬出県におきましては、米食率が一般消費県よりも高かつたわけでございます。これは供出の問題もありますし、同時に従来からの食習慣といたしまして、その地帯は麦の生産がないわけでございまして、米麦総合配給時代におきましても、麦の消費量は非常に少く、米の消費費が多いという形になつてつたわけでありますが、麦の配給が停止されました結果、米の配給量がその当時と同じような形で残つておるわけでございますが、こういう際でございますので、特に作柄が減退いたしました府県につきましては、消費地におきますと同様の配給景によつて均衡を図りますと共に、又消費地に対する県外の搬出を多くいたしたし かような観点からいたしましてそういう生産県と打合せをいたしておるわけでございます。只今御指摘にでございました配給量の問題につきましては、これは一部の生産県につきまして消費県なみの配給にいたしたいということで打合せをいたしておる、その点が新聞紙上に現われたのかと存ぜられるのであります。私たちといたしましては、消費地配給量については是非一つ現行の配給量を維持したいということで、国内の買入れ並びに外国食糧の輸入についてもいろいろな手を打つておるわけでございます。ただ御承知のように、この問題は非常に影響すところ大でございまして、輸入量につきましてもこれを明確にすることが同時に海外の市価を高めることになるわけでございまして、日本の作柄が悪いということですでに少し海外の市況が上り気味であるという点もでございますので、そういう点については慎重にいたして参りたい。そうして内地の集荷と外米の集荷と相待ちまして、でき得る限り現行配給量にしたいということで鋭意検討をいたして、おるわけでございまして、できるだけ早く明確に需給計画を立てまして、そうしてその点につきましてはつきり御報告できる機会を持ちたいと思つておりますが、現在の状態においてはその中間的な過渡期でございますので、その点御了承を願いたいと存ずるのであります。  第二点の粉食の普及につきましては、これは御承知のように、我が国といたしましては朝鮮、台湾を失いました現状におきまして、主食といたしましては米麦と同時にこれは確保して参りたい。その意味におきまして粉食の普及につきましては、従来も我々といたしまして力を入れて参つたわけでございますが、特にこういう時代でございますので、更にこれについての力を入れて参りたいと考えておるわけでございます。具体的には、御承知のように麦につきましては政府が内麦及び外麦をもちまして、それを量的に市場の需給を安定させますることによりまして、麦の価格の安定を図つて行くという態勢になつておるわけでございまして、現在の粉食につきましては、大体ほかの物資が相当食糧関係におきましても上つておるわけでございますが、粉につきましては大体私たちといたしましては価格が安定いたしておるように考えておるわけでございます。政府の払下げの問題でございますが、御承知のように内地の麦を買上げまする価格と、それからその麦を払下げまする場合とにおきまして、現在におきましては特別会計において相当の赤字を出しておる状態なのでございます。つまり内麦の買上げと、それからその払下げの間におきまして、その値幅が相当少くなつておりますので、相当、大体三十億円見当になろうかと思いますが、その程度のものを政府が食糧特別会計としてコストを切つて売却いたしておるような状態であるわけでございます。この統制につきましては、間接統制でございまするが、我々といたしましては、粉食につきましては、現在工場の月産の最高能力が大体四十五万トンと考えられておるわけでございますが、この工場能力の最大限度までは無制限に払下げる態勢をとつておるわけでございます。従いまして、工場におきましても相当現在におきましては殆んどフル操業をいたしておる、これは地帯的には多少違いますが、東京周辺等におきましては殆んどフル操業をいたしております。そういうふうな面からいたしまして、粉食の量的な供給については全然事を欠かないというふうに確信をいたしておる次第でございます。その価格につきましては、現在そういうふうに政府が無制限に払下げるという建前をとりますと同時に、製粉業界に話合いをいたしまして、現在の価格を自粛的に上げないように措置して頂くということで、現在は価格が安定いたしておると考えるのであります。従いまして、現状におきましては。パンなりうどんの売れ行きが相当殖えておる。併し一方におきまして、その価格は殆んど上つてないというふうに考えておるわけでございますが、更に具体的には、東京都と相談いたしまして、標準店の制度を設けるというふうな形によりましても、更にこの製品価格の安定を図つて参りたい、かように考えておるわけでございまして、現在におきましては、現在の政府の売却価格を更にこれを引下げてやつて参るというふうな考え方はいたしておらないわけでございます。  第三点の強化米の点でございますが、これにつきましては、昨年末ビタ・ライス或いはプレミックスというようないろいろの方式が検討されておるわけでございまして、これについても国内的にいろいろ研究はされておつたわけでございます。それに対しましては、我々は極く試験的な意味におきまして原料を配給いたしまして試験を願つてつたわけでございます。これは将来はこういうものに対しても更に矢大的に栄養の面からいたしまして強化されるということが望ましいわけでございまするが、現実の問題といたしましては、現在のような食糧不足の場甘におきます状態及びそれの価格関係等の関係がございまして、差当りこれを大々的にやるということは非常に困難かと存ぜられまするが、従来からまあそういう方向で検討はいたしておるわけでございます。先般新聞に出ましたものは、一応部内におきましてそういう検討をいたしておるものが一部出たわけでございまして、まだ食糧庁といたしましても最終的に討議の終えた段階ではないわけでございます。従いまして、厚生省に対しましても正式にその方針について打合す段階には至つておりませんが、我々のほうでも検討を続けますと同時に、十分厚生省とも連絡をとりましてこれの方向を定めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。で、原則的には、勿論栄養を添加いたしましてこういう方向に進めて参るということが必要かと考えておるわけでございますが、先ほども申上げました、本年の米の作柄の状態、それに伴う輸入の関係、米全体の需給関係とも関連いたしまするし、又政府が米を配給いたしまする場合には、御承知のように公定価格で以て配給いたしておりますので、価格関係、或いは消費者の負担の関係等もございまするので、そういう需給価格についても今後十分又検討いたさなければならんのではないかと、かように考えておる次第でございます。
  76. 山下義信

    山下義信君 大変明快な御答弁を頂きまして、よくわかつたのでございますが、今の最後の分から伺いますが、一体ビタミンを加工する強化米というものは、これは農林省、即ち前谷長官のところでやられるのですか。厚生省の栄養関係の所管局課でやられるのですか。研究はまあ双方の研究所でおやりになるのでしようが、一体この強化米というものの、つまり栄養補給米ですが、これは将来はどういうふうに両省の間の関係は扱いを進めて行かれるのですか。どういうお考えでしよう。どうなつているのですか。その所管のことがわからないのです。米はすべてあなたのところですかね。
  77. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この強化米につきましては、御承知のように、経済審議庁におきまして、資源委員会におきまする、これは大森先生が小委員長になつておられるわけでありますが、食生活の改善という項目を取上げまして、そうして小委員会を作りまして、特にその際におきましてこのエンリッチの問題を取上げたわけでございます。この小委員会から一応結論が出まして、その小委員会におきまして、内閣総理大臣に対する資源調査委員会の栄養の小委員会から一つの答申が出ているわけでございます。その答申に基きまして、これを実施の段階に移す場合におきましては、その答申は一つの将来の大きな理想と申しますか、大きな一つの希望の下にやられておるわけでございまして、殆んど米の全体的な強化を将来としては考えなければならんと、こういう方向になつておるわけでございます。従いまして、米の全体のものがこういうふうに強化されますれば、これはまあ当然非常に国民の栄養にも貢献するところでございまするし、この小委員会には幹事会といたしまして、経済審議庁を中心にいたしまして、厚生省、農林省皆参加して小委員会案ができたわけでございますが、この答申案に基きまして、これを実施の段階に移します場合におきましては、主として食糧庁がこれの配給その他の操作についてその任に任ずることになるわけでございますが、これを実施いたしまする場合におきまする元と申しまするのは、やはり関係各省が相談いたしまして、そうして経済審議庁を中心にいたしまして、その資源委員会の答申に基きまして実施をいたすわけでございますから、実施の責任官庁は、これは食糧庁でやるべきだと考えておりまするが、その実施に当りましては、やはりその答申案に基いて実施をして参るという考え方からいたしますると、十分厚生省その他の関係省と協議をしてやつて行くべきだと、かように考えておるわけでございます。
  78. 山下義信

    山下義信君 山口公衆衛生局長の所見はどうですか。私は何も厚生委員会だから我田引水をするのではなく、又強化米を取り合うわけでは決してなくて、これの需給関係というか、供給をするという配給ルートに乗せて、先ほどの長官の答弁では新聞に載つてつたような方向を是認されておるようですが、まあ庁内というか、省内の議を固めておる最中だというお話でありますが、大体の方向としてはそういう方向ということが含まれておつて、それを供給するということについては、もとより誰が考えても食糧庁の所管ですが、一体強化米というものを作るというか、どれがいいかとか、どの程度のどうとかということ自体については、私はただ単に栄養が分析してどうとか、人造米のときにはどうとか、カロリーはどうとか、蛋白が〇・一とか三とかいつた、そんなことでなしに、一体この強化米というもの自体についての製法から、価値から何から、それに対してはもう私は厚生省の所管行政だと思うのですが、厚生省の考えとしてはどうなんです。
  79. 山口正義

    説明員(山口正義君) この強化米の問題を取上げますのにつきましては、只今食糧庁長官からお答えがございましたように、経済審議庁の資源調査会のほうで、厚生省も参画いたしまして、この問題を栄養補給の観点から取上げるほうがいいということをきめて答申がされているわけでございます。厚生省としましては、原料が米になりますので、その米の需給が許しますればこういうものを現在の国民食生活国民栄養調査の結果に基きます状態から見まして、ビタミン、カルシウム等が不足しておりますので、それを補給する意味でこの強化米を取上げてもらうということが非常にいいことだと、こういうふうに考えております。それで只今山下先生から新聞にも配給するということが出ておつたという御指摘でございますが、食糧庁長官に伺いますと、これは配給でなしに自由販売をするというお考えのようでございます。いずれ細部については食糧庁のほうから御相談があり、私どものほうも十分意見を申さなければならん、こういうふうに考えておりますが、それで原料は、つまり原料と申しますか、母体になります米は食糧庁のほうからそれを払下げてもらいまして、製造業者がそれを製造するということになりますが、それが自由販売として世の中に出て参ります場合に、それの消費をどういうふうにやればいいかという食べ方の問題につきましては、私どものほうで指導して行かなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  80. 山下義信

    山下義信君 それはね、折角小委員会ができましたのですから、小委員会でまあ検討し、或いは国会側で言えば農林委員会とも相談して、政府の所見なりいろいろ検討さして頂きますが、成るほど配給に乗せるのならば農林省で扱うが、自由販売ということになつたら、強化米に関するいろいろ監督権その他は厚生省の所管ということになる、希望配給ということが一体配給か自由販売か極めてあいまい模糊たることで、一体希望配給とは何ぞや、希望配給というて名は希望配給だけれども配給所を通じていやが応でも一升買うた者には五粒ずつ背負わして行くと、今のように自由販売なら厚生省で監督して行くのだと言いながら、これは非常なデリケートなことになるわけです。委員会で私は検討さして頂きますが、又政府にも検討してもらうが、今の両者の御答弁になりました経済審議庁の資源調査委員云々は、これは研究の段階ですから両方から御参加になつていろいろ御研究なつたことであろうと思いますが、さて実施に移す段になりますと、この行政上の所管ということが相当の問題になつて来ると思うのですが、一応問題として提起して、まだその辺がはつきりしていないということだけ私は印象として受取つておきますが、食糧庁のほうではまだ決定版は出ていないのですか、この強化米についてお扱いになろうというそのこともですが、例えばプレミックスがいいと考えられるか、ビタ・ライスがいいと考えられるかという点等は一応の結論が出ておるのですか、どういうお考えでしようか。
  81. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 私のこの前の合弁を補足して同時に只今のお答えを申上げたいと思います。資源調査会におきまする栄養部会におきましてこの問題が取上げられまして、答申が総理大臣にされたわけでありますが、それの実施の段階におきましても又御承知のように実施要領といたしまして、やはり幹事会におきましてこれはどういうふうに実施したらいいかということは、関係各省が集まりまして実施要領を決定するわけでございます。その大よその実施の要領は、これは実施要領といたしましても大綱でございますが、これは関係省が寄りまして、大体昨年の秋でございましたか実施要領につきまして検討をいたしたわけでございます。その当時といたしましては、これは食糧の事情或いは又その当時の栄養の事情、家庭の消費水準というふうな面からいたしまして相当広範囲に実施できるのではなかろうかというふう考え方の下にいろいろその実施の問題について検討されたわけでございます。併しながらその後の食糧の需給がやはり外貨資金等の関係もありまして、急速にこれを大量にその製造を実施して参るという段階にはまだ立ち到つていないわけでございまして、我々といたしましても現在の食糧事情と、それから消費者の家庭の受入れ状況等を睨合いましてどの程度にこれをやつて参るかという点について検討をいたしておるわけでございまして、これは従来の生立ちから申しますというと、やはりその案につきましては幹事会で以て御審議願うことが適当であろうというふうに考えておるわけであります。只今のビタ・ライスがいいかプレミツクスがいいかというふうな問題は、これはいろいろ問題があろう思います。私個人といたしましては、いろいろの製法がございますので、これは勿論厚生省の御意見も伺わなければなりませんけれども、これがいい、あれがいいというふうにそうはつきり甲乙をつけ得るものかどうかというふうな点についても検討いたさなければならないのではないか。必ずしもこれでなければならないというふうなこともないのじやなかろうかと私個人としては考えております。併しそういう点につきましても、更に従来この実施要領につきましても幹事会で以て関係各省集まりまして相談をいたしたわけでございますから、そういう点につきましても十分そういう機会を通じ又直接厚生省とも御協議いたしたいと、かように考えておるわけでございますが、只今のところそういう問題を離れまして、強化米をどの程度に果して実施できるものかどうかという点につきましては、食糧需給との関係もございますので、これは慎重に検討いたしたいと、かように考えております。又御承知のように、これは強化米といたしまして純粋の米、原形ではございませんけれども、やはりこういうものは食糧統制の範囲内においてどのようにこれを取扱うか、例えば自由販売と申しましても、それがもう完全な自由でいいのかどうかというふうな点、更に食糧統制の面とも考え合せて検討いたさなければならない点もあるのじやなかろうか、こういう意味におきまして我々としては内部的に見て検討いたしておる次第でございます。
  82. 山下義信

    山下義信君 私はだんだんと米が不自由になつて来て、食糧不足になつて来るに従つてパンその他の代用食といいますか、その奨励もさりながら、この強化米というものによつて栄養を補給する、即ちまあ量において足りなくとも栄養において欠くるところないという行き方も非常に大きな問題で、私は当然このことが考えられることが至当だとは私は思うのですが、これは人造米の問題よりは、これは下手するとこの強化米の問題はかなり大きな問題になるのじやないかと思うのですこれは実際。まあ今のところは白紙にしておきましよう。だが併しながら世間の噂はぼつぼつ高いのであつて、これはまいろいろ噂が飛んおる。それでこれがいよいよ政府の食糧政策の一環として、大きに国民生活の面前に押出されて来るということになると、一体このプレ・ミツクスを作る者は誰が作つておるか。その背後には誰がおるか、それが今まで何省のどこにどういうふうに関係したかという事柄を明確にして国民の疑惑のないようにして行かなければならんことであつて、大きな問題になると私は思う。葛原のニュー・ライスというそんなことでない、もつと大きなことになると思つて関係者もこの問題に対しては非常に厳粛な態度で臨んでもらいたいということを、折角小委員会ができましたから検討したいと思つているのでありますが、そうして今のに関連して承わつておきたいと思うのでありますが、ついでですから承わつておきたいと思うのでありますが、人造米の特許につきましては、先般伺いましたときに長官がお答え下さつたのでわかつたのですが、実際は松浦某氏の特許を余り重視しなくて政府のほうでいろいろ御研究下さつた結果等に基いて余りそういうこと煩わされないで、どんどん行けるのではないかど思うのでありますが、いろいろに取沙汰されておりますが、政府のほうで今日まで研究所等で御研究になりました結果で、おやりになれるのじやないでしようか。
  83. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お答え申上げます。人造米の問題につきましては先般もお答え申上げたわけでありますが、我々といたしましては、その製法につきまして食糧研究所で研究いたしました製法が現在においては妥当である、適当であるというふうに考えております。併しながら御承知のように、この問題は特許の問題と関連するわけであります。いろいろその問題につきまして我々も検討いたしたわけでありますが、この人造米に関する特許は過去におきましては百種類以上の特許がそれぞれの部分についてあつたわけでございます。特許の問題は一定の特許料を一定期間払わないときには、失権公告によりまして失効するわけでございます。現在権利として残つておりますのは僅かに三種なのであります。三種の中で二種類は現在食糧庁が考えております。又食糧研究所で研究いたしました製法とは全然と申しますか、殆んど関係のない特許になつております。松浦式がこれと非常に関連のあると申しますか、非常に関係があるような形の特許になつておるわけでございます。そこで人造米につきまして普及いたします場合におきましては、御承知のように我々といたしましては食糧研究所の特許の決定を待つてやりたいと考えておるわけでございますが、特許は御承知のように出願の期日によつてだんだんに審査が行われて行きますので、これの特許の許可を待ちますと相当期間かかるわけでございます。従いまして現状におきまする特許の状態から考えましてこれを早急に進めるためにはやはり松浦式の特許というものが、何かの形で措置いたすということが特許その他の状態を調べますと必要だというふうに考えておるわけでございます。
  84. 山下義信

    山下義信君 わかりました。今食糧庁のほうで、食糧庁といいますか、あなたのほうの資料をあとから拝見さして頂こうかと思つておるのでありますが、食糧研究所のほうで人造米を特許出願されておるのですね。これは近く特許が許可と言いますか、公告と言いますか、近く解決するのじやないでしようか。そういうものがあなたのぼうの出願されておる線といいますか、特許がそれが公告されるということになつて来ると事態は変化して参りますか。
  85. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 私たちは食糧庁の特許が確定いたしますると、これは当然我々の特許で以つてやり得ると思います。御承知のように特許は一応公告されまして二ヶ月間の異議の申立期間がございますし、更にそれの異議の申立がございますと更に数ケ月かかる、相当の期間が特許を確定するまでに時間を要する、それまで待つておるかどうかという問題でございます。そこでそういう事情も我々は勿論考慮いたしまして、仮にこれを特許の実施権を借りるにいたしましても、期間的な関係とか、そういう点については特許の審判がいつあるかということは我々も窺い知り得ませんが、そういう事情は十分考慮して行きたいと、かように考えております。
  86. 山下義信

    山下義信君 よくわかりました。最後にパンの値下げをやうとすると、どういうふうにやられるわかりませんが、あれはいわゆる公定価格というわけでもない。自由価格ですから。パンの製造家が自分で値下げしなければパンの値下げというものはあり得ないでしようが、政府のほうでパンの値下げについて何か御尽力なされるという余地があるのでしようか、どうですか。
  87. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) パンの問題につきましては実は私たちも非常に頭を悩ましております、と申しますのは、パンは御承知のように大体原料費と、それからそれに要する原料と申しますか、小麦粉とパンの製品との割合というのか、他の原料費及び労賃と申しますか、そういうものが非常に多いわけでございます。大体小麦粉でございますと、パンの中の五割以下でございます。四割程度が小麦粉の原料価格になるわけでございます。従いまして政府が操作いたしておりますのは小麦でございますので、これを以てしてパンの価格を左右するというわけには実は参りかねるのであります。一例を申し上げますと、大体コッペパンが現在十円といたしますと、仮に小麦粉の価格がその中の五割を占めているといしたましても一円下げるにも約小麦粉の価格を二割下げなければならん。そうするとトン当り大体六千円以上になるのであります。現在パンのほうに廻つておるのは百万貫以上ものがパン行つておるわけでございます。そういうことを考えますと、それを原料的にトン当り六千円下げるということは相当莫大な価格になるわけであります。私たちといたしましては現在の状況からいたしますとできる限り一つパンの合理化を図つて行きたいという意味におきまして、いろいろ技術指導なりを、或いは団体を通じ或いは都府県を通じて行つておるわけであります。差当り東京都といろいろ相談いたしておりますのは、例えば麺とか、押麦などにつきまして一つの標準店運動をやつておりまして、その標準点では少くとも原料価格から計算いたしまして又正当なコストを掲げることによりましてもう少し安いものができるのじやなかろうか、現に麺なり押麦につきましてはそれが可能になりまして、押麦について例を申上げますと、現在一キロあたり五十六円くらいいたしておると思いますが、我々で計算いたしますとこれが五十円くらいで売れるのじやないか。そこで東京都におきまして大体標準店を設定いたしてありまして、五十円に売る運動をやつておるわけであります。これに対しましては、政府といたしましてそういう店に対しては原料の価格の責任を持ちましよう。若し原料不足があればいつでも政府が精麦工場に斡旋するとか或いは直接政府の手持を出すとかということによつて、原料を確保することによつて自主価格と申しますか、適正価格を設定して参りたい。東京都におきましてはこれに対して一種の奨励策といたしまして税金等におきましても何かの措置をとるとか、こういう形で進んでおるわけでございまして、こういう考え方をパンにも相当に普及いたして参りたいという考えでおるわけでありますが、御承知のようにパン関係は非常に技術的にも、又設備的にも、或いはコスト的にも非常に段階が多いわけでございまして、非常にパンの業体というものは種々雑多な関係がございすまるし、一種の菓子パンを作る場合のものとか、或いは菓子パンのみを作つている場合で片手間に殆んど食糧の食パンを作つておるとか、食パン専門の場合とか、非常に業体が雑多でございすまので、非常にむずかしいわけでございます。そういう形で、このパンの品質良化と、同時に価格の適正化をやつて参りたい。行政指導でそういう方向に考えておるわけでございます。
  88. 山下義信

    山下義信君 わかりました。質疑は終りました。
  89. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 他に質疑ございませんですか。これにて本日の委員会は閉会いたします。    午後二時三十二分散会