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1953-10-12 第16回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月十二日(月曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   委員の異動 八月十二日委員剱木亨弘君及び田中啓 一君辞任につき、その補欠として大谷 瑩潤君及び榊原亨君を議長において指 名した。 九月九日委員具根登辞任につき、 その補欠として竹中勝男君を議長にお いて指名した、   —————————————  出席者は左の通り。    理事      常岡 一郎君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            中山 壽彦君            西岡 ハル君            横山 フク君            湯山  勇君            山下 義信君            有馬 英二君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁已君   説明員    大蔵省主計局主    計官      大村 筆雄君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    食糧庁長官   前谷 重夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件、 ○社会保障制度に関する調査の件  (人造米対策に関する件)  (インターン制度に関する件)   —————————————
  2. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) 只今から厚生委員会を開きます。  理事補欠互選の件を議題といたします。前理事大谷瑩潤君は八月十日厚生委員辞任のため、理事一名欠員となつておりますので、その後任を互選いたしたいと存じます。
  3. 中山壽彦

    中山壽彦君 理事補欠選挙成規の手続を省略して委員長に一任せられたい旨の動議を提出いたします。
  4. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) 只今中山君の動議通りにいたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) 異議ないものと認めます。  それでは前理事大谷瑩潤君補欠として大谷瑩潤君を指名いたします。  速記をとめて下さい。    〔速記中止
  6. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) 速記を始めて下さい。農林省のかたがまだ見えませんので、厚生省に対して先に質疑を願います。
  7. 山下義信

    山下義信君 私は三点についてお伺いいたします。今人造米が非常に大きな問題になつておることは言うまでもないことですが、我々厚生委員会としても深い関係があると考えておりますので、休会中でありますが、たまたまその他の問題で厚生委員会をお開きの機会がありましたので、是非この問題を取上げて頂きたい、かようにお願いをしたわけなんです。それで一体厚生省農林省人造米対策についてどういう関心を持つておるのか、今日は厚生大臣に出てもらつて伺いたいと思つたのですが、山口局長が来て下さつたので、山口局長に伺うのですが、こんなに大きな問題になつて、或いは場合によつては政治問題になるかわからんと言われる大きな問題について厚生省はどういう関心を持つて今日まで来たかということを私は伺いたい。或いは無関心ではないかと思われるような節もあるし、或いは又相当関心を持つておるのじやないかとも考えるのであります。どれだけの関心を持つて今日までやつて来たか、農林省と何らかの関係を持つて来たかということなんです。人造米栄養がない、栄養が少いということが先般新聞にも伝えられて、又あと如何にもあわてふためいて取消したようなことが出ておつたのです。栄養が劣つておるということを厚生省言つた新聞にですよ。ところがそういうことを政府部内で言うものがあつては困るというので、今度は厚生省はあわてふためいて、栄養は十分で候の、厚生大臣も毎日食べております候でのというようなことで、あわてふためいて取消したようなことを言つておる。人造米が量的の問題の解決として皆が重視しておることは言うまでもないことなんですが、その人造米がどういう栄養価値を持つておるかということは非常な大問題なんです。それですから、そういうことについて厚生省一定見解を発表したのかどうか、又一定見解を持つておるのかどうか、又本当にどれだけの栄養価値があるのかどうか、もうただ食べるのですから、食べなければならんから食べるものもあるしするのですから、栄養が少々少なかろうとどうであろうと、絶対食べなければならんので食べるのであるし、食べさせられるかもわからんことなのですが、そのものの栄養がどういう程度栄養であるかということは知つていなければならない、正しいことを国民は知つていなければならない、余力栄養のそう高くないものを、如何にも白米以上に栄養価があるかのごとくに誤まらしてもいけないことなんでありまして、私は人造米厚生省との関係について政府部内においてどれだけの関心を今日持つて来たか、又今後厚生省としてはどういう関心払つて行くつもりかということを基本的に一つ伺つて、そうして今の人造米栄養の問題について厚生省が正式の見解をここで表明してもらいたい、これが第一点です。  それから第二点は、これは人造米の前に、かなり相当問題として我々も関心払つてつた、実は前国会同僚行先輩にも内々御相談申上げて、一つ会員会としても取上げて頂こうではないかと常岡委員長代理にも、中山先輩にも、その他各位にも申上げておつたのですが、今日まで厚生省関係しているかいないか、厚生省存知強化米というものをやつているのですね、或いはビタライスといい或いは各種名称がある、要するところ強化米というのをやつているのですね、これは厚生省は、この強化米に対してどういう方針をとつて来たか、それについてのことを聞きたいのです。それに関連して、強化米価値というものについての厚生省所見をここで正式に表明してもらいたい。我々はあとでそれによつて研究してみたいと思う。  それからもう一点は、ですから三点聞くんですが、もう一点は、一体今日まで粉食奨励について、厚生省はどういう方針をとつて来たかということですね、一体今後粉食奨励をやるつもりかやらないつもりか、人造米は言うまでもなく、この人造米をやるからといつて粉食をやめる、奨励をやめるのじやないとは思うけれども、少くとも世間の常識では、粉食奨励に逆行するような粒食をこういうふうに大げさに政府方針としてやるのですね、そうすると、この人造米の政策をとることによつて一体粉食奨励というものはどういう影響を受けるか、厚生省は午後どういうそれに対しての方針を持つているか、この三点なんです私の伺いたいと思うのは。ですから、基本的には今回の人造米の問題について厚生省はどういう一つ政府部内においても関係を持つて来たか、今後どういう関系を持つもりか、これは基本的な態度を聞きたい。それで具体的には栄養についての厚生省正式所見を表明を願いたい。  それから第二は厚生省が恐らく奨励して来たであろうと思われる強化米の問題ですね、これを今後どうするつもりか、それと人造米との関係、それから粉食奨励との関係、この三点を一つ伺いたいと思いますが、御説明願いたい。
  8. 山口正義

    説明員山口正義君) お答え申上げます。  第一点の人造米に対します厚生省態度についてどういうふうに考えておるか、又その栄養問題についてどういうふうなことを考えておるかというお尋ねでございますが、現在の直面しております食糧不足に対しまして、国として人造米を取上げまして、そうして食糧対策の一助にしたいということが取上げられるようになりまして、生産関係上、農林省がその生産関係を主として所管するということになつているわけでございますが、厚生省といたしましては、人造米というものに関しましては一部に只今山下先生も御指摘がございました、厚生省人造米出現に反対しているかのように新聞に伝えられたこともあつたのでございますが、この食糧対策として取上げられております人造米出現というものに対しまして、厚生省が決して反対しておるわけではございません、ただこの人造米というものにつきましてはこれは人造的に造るわけでございますから、それを製造いたします際に、その成分につきまして、栄養的にできるだけ欠陥が起らないように十分注意を払わなければならないというふうに私ども栄養を所管しております、国民栄養問題を所管しております、行政を所管しております立場から強く考えておるわけでございます。従いまして、この人造米の問題が取上げられました当初から私どもといたしましては、深い関心を持つておりまして、生産に当ります農林省当局連絡をとりつ現在まで進んで来ておるのでございまして正式には私の名前を以ちまして、食糧庁長官に対しまして人造米製造されるのに当りましては、澱粉小麦粉などを主原料といたしますと、自然米に比較いたしまして蛋白質脂肪、或いはビタミンBカルシユームなどが相当に少くなる虞れがあるからして、国民栄養の現状、国民栄養調査成績から見まして、現在国民蛋白質脂肪ビタミンB1或いはカルシユウムの摂取量が比較的少いまだ現在状態になつておりますので、人造米の原料及びその配合、割合については十分そういう点を注意して製造に当つてもらいたいということを食糧庁長官に申入れしてあるわけでございます。その後、厚生省農林省所管課同士とも種々連絡いたしております。私も食糧庁長官と再三会いまして、この人造米の構成と申しますか、製造ということにつきまして、栄養的にできるだけ欠陥の起らないように取運んでもらいたいということを話合つておるわけでございます。先ほど山下先生からもお話がございましたように農林省当局をお呼び頂きまして、この製造につきまして、いろいろ詳しくお尋ねがあることと思うのでございますが、現在極く最近私が食糧庁長官と数日前に会いました際の話におきましても、農林省におきましては、まだ最後的に規格決定しておるというところまでは立至つていないようでございます。今後この規格を最後的な決定をして、そうしてこれを正式に製造に乗出すということになります場合には、厚生省の要望を十分考慮してそれに当つてくれるということを言われておるのでございます。規格委員会等にも厚生省担当官を加えてやりたいというふうに食糧庁長官は私に申しておつたので、ございまして、今後といえどもこの人造米製造につきましては、農林省厚生省は十分緊密に連絡をとつてつて参りたいと、そういうふうに考えております。  それから人造米栄養的価値の問題でございますが、これは人造米只今考えられておりますのは、小麦粉屑米澱粉、その三者を混ぜ合せるというふうに考えられておるのでございます。この最後的な決定にはまだ立至つておりません。その割合をどういうふうにするかということで、おのずから栄養的価値が変つて来ると思うのでございます。どういう混ぜ合せ方にいたしましても、大体総熱量におきましては、百グラム当りの熱量は余り大きな差は出て来ないのでございますが、澱粉割合が多くなればなるほど蛋白質とか脂肪の量が比較的少くなつて参ります。小麦粉割合が多くなればなるほど脂肪蛋白質の量が比較的多くなつて参るわけでございます。そういう点から考えまして、今後どういうふうな組成が好ましいかということにつきまして、農林当局とも十分折衝して参りたいと、そういうふうに考えている。わけでございます。或いは十分なお答えではないかとも存じますが、私どものほうでそういうふうに考えているわけでございます。第一の問題につきましてのお答えはそういうふうにさして頂きたいと存じます。  第二の強化米の問題でございますが、これは先ほど山下先生からも御指摘がございましたように、現在数種のものが出ております。その製造工程によりましていろいろ差があるわけでございますが、一つ方法といたしましては、自然の米にいろいろ操作いたしまして、ビタミンをそとから覆うように、皮を被せるような方法によつて製造した強化米がございます。これがプレミツクスと言われているものでございます。もう一つ方法は、米をビタミンの溶液の中に浸けまして、そうしてビタミンをその米の中に浸透させて製造するという方法で、ございまして、この方法によつて作られましたものがビタライスという名称で出ているのでございます。第三の方法小麦粉屑米と混ぜ合せまして、それにビタミンカルシユームというようなものを一緒に混ぜ合せまして、そうして形を作らせます。今回考えられております人造米に非常によく似たものでございます。そういう形で作られた強化米がございまして、これがニユーライスという名前で出ているのでございます。厚生省におきましてはこの米を強化することによつてビタミン或いはカルシユームを補給して、そうして普通の食事或いは米では欠陥の起りやすいビタミン或いはカルシユームなどの不足を補うということを奨励しているわけでございます。昨年お作り頂きました栄養改善法に基きまして、そういう特殊に栄養を補給できる食品特殊栄養食品と申しておりまして、厚生省でそれを指定する製造者の申請に基きまして、そういう特別な表示をすることを許可するという方針をとつているわけでございますが、現在までのところ、先ほど申上げました第三の混ぜ合わして作りますニユーライス栄養改善法に基きまして、特殊栄養食品として指定して許可しているわけでございます。プレミツクスビタライスのほうは現在まだ試験的製造段階にございまして、数カ月前から農林省から米を特別に配給してもらいまして、払い下げてもらいまして、プレミツクスのほうが大体私ども今までの聞いておりますのでは十トンばかり、ビタライスのほうが二十トンばかり、米を農林省から出してもらいまして、試験的に製造してこれを各種集団給食施設に出して、そうして現在その効果を検討してもらつておるという段階でございます。ニユーライスのほうは大体日産八トンくらいの現在製造能力で出しているわけでございます。私どもといたしましては、この強化米と申しますのは先ほど申上げましたように、特別に普通の米にビタミンその他の成分を附加してございますので、これによつて一般食事によつて起ります栄養欠陥を防ぎ得る、成分不足を補給し得るという立場からこれを奨励しているわけでございまして、本年度二十八年度栄養対策につきましての地方庁に出しました通牒におきましても、現在の国民食糧状態から考えまして強化米強化食品の採用ということにつきまして、一項目取上げてこれを普及するように指導しているわけでございまして、先般の九州地区における水害の際に、普通の白米による炊出を相当長期間に行いましたために、まあ炊出のためにいろいろな副食物を十分与えることができませんでしたので、だんだんビタミン不足などの栄養欠陥が起りかかつて来るというような状態も見られましたために、九州地区にこのニユーライスを送りまして、これによつて握り飯を作るというようなことをやらせる方策をとつたのでございます。具体的には最近には直接厚生省がやりましたことにはそういうこともございますが、先ほど申上げましたように、地方庁に対します通牒に基きまして、この強化食品奨励ということをいたしておるわけでございます。  第三の粉食の問題でございますが、この人造米出現によつて従来政府がとつてつた粉食奨励ということをやめにするのではないかというお尋ねでございます。これは私どもといたしまして、政府といたしましては人造米出現によつて粉食奨励をやめるというようなことは全然ございません。粉食奨励は今後とも続けて参りたい、そういうように考えております。人造米先ほども申上げましたように、現在非常に食糧不足しつつあるというようなときに取上げました一つ方法でございますので、人造米出現にかかわらず、私ども粉食奨励を今後続けて参るつもりでおりまして、この点は農林省とも十分打合せをしているのでございまして、粉食奨励につきまして現在までは先ほど申上げました本年度栄養改善方策といたしまして地方庁通牒を出しました中にも粉食奨励一つ大きく取上げているわけであります。具体的にどういうふうにしているかというお尋ねに関しましては、集団給食施設指導或いは保健所におきます栄養指導という際に、この粉食奨励ということを特に取上げてやつているわけでございますが、更に私ども考えまするのに、この粉食奨励して参りますのにつきましては、酪農製品の増産或いはそれをもつと安価に国民の口に入るようにするということが必要であるというふうに考えているわけでございまして、そういう点につきましては今後農林省打合せをして生産方面のことを考えてもらわなければならないと思つているのでございますが、極く一つの最近の手段といたしまして、先般国会において御可決頂きましたと畜場法の改正によりまして、簡易と場というものがお認め頂くことになつたわけで、これを地方で実施さして行くわけでございますが、その際に簡易と場の運営につきまして、簡易と場に酪農製品製造する施設をそれに附設させて、農村などで簡易酪農製品をどんどん作らせるように指導して参りたいということを考えているのでございまして、今週初めに地方で開きます乳肉衛生関係主管課長会議におきましてもそういうことを指導して参りたい、そういうふうに考えているわけでございます。これは粉食奨励に伴いまして酪農製品をもつと安価に国民の口に入るようにするということが必要であると考えますので、一つ手段として取上げているわけでございます。なお地方におきまして、この粉食奨励意味から、粉食コンクールというものを実施いたしまして、又粉食の食べ方ということにつきましてのパンフレツトなども配付いたしまして粉食奨励を実施いたしているわけでございますが、今後ともその方針は続けて参りたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  9. 山下義信

    山下義信君 私は一応関連しておる問題を提供するということにして、同僚議員諸君からの御質疑があるかと思いますが、今の御説明では、人造米栄養についての御所見はつきりしないのです。小麦の量の多いほうがいい、澱粉が多くなつて栄養が下がるというような程度のことをおつしやつたので、新聞にはいろいろ詳しい厚生省栄養分析表ですか、というものが出たようでありますが、もう少し詳しく聞きたいのですが……。白米に比較してどの程度成分と言いますか、蛋白とか脂肪とかそういつたようなものがどの程度落ちるかということをこれから研究されるのでありましようが、厚生省として、人造米成分について栄養的に考えたらばどういう組合せ、どういう成分が適当と考え、又それについて、例えば今のビタライス式のものを何か工夫する必要があると認めているかどうか、そういうことをもう少し具体的に所見を表明して頂けませんか。人造米栄養なり成分、何でも米と変りがない、変りがないとざつぱくに言つていますが、ただカロリーが同じというのじや意味をなさんので、脂肪も非常に少い。その他も米に比べればずつと落ちるということだけははつきりしているのですから、そうすると、その同じ人造米作つて、それを幾らかでも奨励しようというならば、その栄養価については十分考えなければならん。あなたの説明では、厚生省としても多大の関心払つて農林省連絡して十分その点については要望するつもりであるとおつしやつた。ですから、そういうことについて、栄養的にどれだけの評価をして、それに遺憾なき製造についての規格等についてはどういうことが理想的に行われることがいいかという御所見が聞きたかつたのです。
  10. 山口正義

    説明員山口正義君) 只今山下先生の御指摘のように、カロリーだけでは決して栄養的にどうこうということはできないのでございまして、先般新聞に出ました数字は、若し小麦澱粉屑米との割合をこうこうすればこうなるというふうな数字つたのでございます。先ほども申上げましたように、最後的にまだ農林省組成はつきりきめておりませんので、最後的な数字はまだ申上げられないかと存じますが、例えば小麦を四割、澱粉を五割、屑米を一割というような割合で作るといたしますと、先ほど申上げましたように、カロリーの点は、百グラムにつきまして殆んど変らないのでございますが、蛋白質が普通の白米に比べまして約六割弱でございます。それから脂肪が六割強でございます。それからカルシウムが約三分の一になります。それからビタミンB1、これは少し少くなつておる。殆んど変らないというような状況でございます。それから若しも小麦を七割、澱粉を二割屑、米を一割というような割合にいたしますと、これはやはりカロリーにつきましては殆んど変らないわけでございますが、蛋白質につきましては、殆んど白米に近く、約九割でございます。それから脂肪は、これも殆んど九割以上、約九割でございます。それからカルシウムがこれは可なり少くなりまして、半分になります。それからビタミンB1のほうは、むしろ五割方増加いたして参ります。そういうふうなことでございまして、その際において、小麦粉硬質のものを使うか軟質のものを使うかによつて硬質のものを使いますと、只今申上げました数字よりももつといい成績になつて参りまして、むしろ白米よりも小麦粉を七割使いましたような場合には、白米よりは蛋白質脂肪は殖えるような状態になつて参ります。併し硬質でございますと、価格の問題がございますので、硬質よりも軟質のものを使うことが多くなるのではないかというふうに考えているわけでございます。なおこの人造米に際しまして強化するかどうかというようなことにつきまして、この人造米製造いたしますときに、そのまま強化するか、或いは強化木を混ぜるかというようなことにつきまして、現在農林省と相談をいたしておる最中でございます。
  11. 山下義信

    山下義信君 私はこれからやつてみんことにはわかりませんが、栄養的に非常に厚生省は注意して農林省との間の関係を緊密にされん限りには、農林当局は今ここに来ているかどうか知りませんが、遠慮なしに言うが、栄養的には非常にぞんざいに軽視してやる虞れが多分にある。私はこの人造米一体何割入れて食べるのか、三割というようなことを言つておるが、二割か三割か、要するところ、これは悪くすると、もう米とちよつと見てわからん程度になつて来れば、普通の家庭でそれをどの程度使うかということは想像がまだつかんけれども、恐らく学生で言えば下宿屋とか、労働省で言えば寄宿舎とか、そういところはどんどん使い出すですよ。価格が高ければ使わんが、何とか価格がむしろ闇より安くずつと下げて来たら、ちよつと見たらごまかせるのですから、少し考えのあるような上層階級はそんなごまかしの米を食わなくても、ほかのものを食いますし、ほかのことでもやりますが、米と同じように見せてごまかす必要のあるところはたくさんこれを使いますよ。そうすると、下手すると、白米が七に人造米が三割でなしに、もう人造米を半分でもどんどん入れて使い出して来ると、そうでなくても白米ばかり食べれば栄養の上について憂慮せられると厚生省当局が考えておるのに、この脂肪蛋白カルシウムビタミンだのというようなそういう成分白米よりも非常に低い、まあ六割とか半分とかというような低いものをどんどん入れて食べさせるようなことになつて来たら、殊に労働者階級はそんなものでごまかされて来たら、もう栄養が非常に衰えて来る。労働者でなくてもまあ知らず識らずの間に……これは私は国民栄養の上において非常に重大だと思うのです。ですから、栄養という点から考えると、人造米出現して大袈裟に吹聴せられて、時代の寵児のように、一応好奇心もあるし、必要もあるし、この人造米が何といいますか、或る種の流行をもつて、そうして殊に米をごまかすという点について価値があるのですから、それで以てどんどんやられて来るということになると、栄養の点について厚生省は一応恐慌を起さんならんと思う。心配しているような理由はちつともないと思うのですが、非常にその点心配しておりますか。若し心配しておるということなら、その点断乎として栄養的には反対する必要ないですか。国策としてやるということになれば、これは人造米の必要なんということも認めるでしようから、うどんを啜らせるよりいいというならそれで奨励という方針に行きなさつていいですが、栄養という点には一大警告を与える。その栄養的な欠陥の生じないように、私はこの際厚生省の最大の努力が必要である。遠慮する必要はないと思うのですがね。国民に、これを食べることによつて何をどういうふうに注意したらいいか、どういうふうに栄養を補うべきであるかということを十分……私は今この人造米がまだまだ新聞や雑誌の上で宣伝されている最中に、国民栄養の判断を誤まらせないように、そうして、人造米、麦等によつて補うべき必要な栄養というものをしつかり知らせるということが私は必要だと思うのです。ただ分析してこれだけありますというようなことを言つて、それで何か横槍が入つたりすると慌てて……何もおべつかみたいなことを農林省にする必要はない。栄養的にはこすいう注意が必要があるということを言つて、私は今この際に厚生省は十分に注意をしておかなければ、他日私は後悔するときがあるのではないかと思うのです。そういう点についてどれだけの覚悟を持つておられますか。もう一遍念を押して聞いておきます。
  12. 山口正義

    説明員山口正義君) 只今山下先生からの御注意有難く拝聴いたしましたが、私どもといたしましてはこの人造米出現ということに反対しないということは先ほど申上げました通りであります。国策として取上げます以上これを実施して参るわけでございますが、ただその際に只今指摘ございましたように、この人造米出現によつて栄養欠陥が、現在の栄養調査におきましてもまだ欠陥がありますところに、これをより助長するというようなことがあつてはいけないということは、十分私どもも注意いたしているわけでございまして、従いまして先ほど申上げましたように、根本的には厚生省態度といたしましては、この人造米出現できます場合には、その組成等につきまして、十分栄養的の見地から欠陥のないようにしてもらいたいということを食糧庁のほうに申入れしてございます。今後ともその申入れいたしました基本方針に則りまして、私ども国民栄養欠陥の起らないように十分注意をして参り、又農林省にも強く折衝して参るつもりでおります。農林省のほうにおきましても、この人造米問題の出現につきまして、栄養的な観点につきましては厚生省の意見を十分尊重してやるというふうに食糧庁長官のほうでも申しておりますので、この点につきましては、只今御注意を頂きました点につきましては、十分私どもも気を付けて断乎たる態度で進んで参るつもりでございます。先ほども申上げましたようにまだ最終的な規格がきまつておりません。その規格をきめるにつきましても、厚生省農林省は相談をしてやつて参ることになつておりますが、その規格がきまりまして、この政府の取上げました人造米というものが世に広く出て参りますというときにおきましては、私どもはその人造米の食べ方、又人造米を食べる際に栄養的にどういう点を注意しなければならないかというようなことにつきましては、一般の国民のかたがたに対しまして、できるだけ具体的にいろいろの指導をやつて参りたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 山下義信

    山下義信君 農林省委員が見えましたらあとで質問して、山口君に対する質問は私はこれで終ります。
  14. 高野一夫

    ○高野一夫君 私途中から失礼したいので、先に四、五点について、山下委員の御質問に関連して参りますが、お尋ねしてみたいと思うのですが、それは一方において粉食奨励し、一方において人造米奨励し、又一方において強化米奨励する、こういうようなことはみんな人が好き好きだからパンを食いたい人はパンを食わせる。それから米粒に執着するものには人造米強化米を食わせるというようなことはやつてやれないことはないかもわからないけれども、これは副食物とか嗜好品とかいうものとは違つて主食物でありますから、私はこれは又別個に考えなければならないものじやないかしらと私は思うのですが、そういうような非常に多岐に亘つた奨励方法を講じて果して実を結ぶものかどうかということについて私は多分に疑問を持つておるのです。そこで粉食なら粉食、或いは人造米なら人造米強化米なら強化米どちらかに重点を置いて主食というものは国民奨励すべきじやないか、こういう点を私は一つつておるのですが、人造米奨励ずるということは飽くまでも米粒に執着しているそういう人たちに対して、パンはいやだから幾ら奨励しても済まないからそこで人造米みたいな米粒を作つて食わせよう、こういうようなやり方は粉食奨励とは全く逆行するものだろうと思うのです。そういう多岐に亘るところの主食の奨励方法を講じて果して実を結ぶものだろうか、こういう点についての疑問が一つ。  もう一つは仮に人造米の場合に人造米を作らせる相当の工場設備も必要であろうと思うのです。米が豊作であつた場合はどうなるか。輸入外来も僅かで済むというような豊作にあつた場合にそういう生産設備というものとの関連がどういうふうになるであろうかということは、人造米一体どの程度の数量に作らして賄わして行こうという最大目標を立てておられるものかどうか。これはまあ農林省関係するかも知れませんが、これに対して厚生省のほうでもお打合せの結果、何かわかつておるならば一つお教えを頂きたい。  それから粉食の場合は、最近も或る雑誌に出ておりましたが、パンを奨励するにしても、日本みたいな高温多湿の気候の所では。パンは腐敗しやすいから駄目なんだというような議論が素人仲間、専門家の中にもあるように私は聞いておる。そうすると粉食奨励する場合に結局その原料になる小麦はどうなるかということにもなりましようけれども、これもパンで行くのか、或いは麺類みたいなもので行くのかどうかということについても、嗜好の間に間に推奨し奨励をするのかどうか、或いは一定方針粉食のパンならパン、或いは麺類なら麺類というようなことで方針を立てて奨励するつもりなのかどうかということが一つ。  そこで粉食で若しもパンを中心にして奨励するというならは酪農製品のこともありましようけれども、パンそのもののコストをもつと安くするような方法が付けられるかどうかということが一つ、これが第三点。  それから第四点は、これは厚生省で最近お調べになつておるはずだと思いますが、こういうような代りのものを奨励するということのほかに、現在非常な鼠、鼠族関係が非常に米を食つてしまう。聞くところによりますと、全国で鼠に食われる米の数量が輸入外米の数に匹敵するであろうということを言われておる、私は最近厚生委員として北陸に参りまして、その点につきまして各県庁のいろいろな調査を聞いて参りましたが、できているところは新潟、富山、石川、そこで家鼠に食われる米の概算が算出してございましたが、九十四万俵、新潟県産出の米の生産高の約一割が家鼠に食われる勘定になる、こういう数字である。そうすると厚生行政の立場から、我々の立場から行きますれば、これを鼠に食われることを防ぐということによつて輸入の外米の数量が削減され、或いは必要がないということになるならば、これは粉食奨励とか或いは人造米奨励のほかに、それよりも遥かに有意義な仕事じやなかろうかと思うのでありますが、こういう点についてどういう考えがあり、今後農林省のほうと御連絡をおとりになつて、どういう方法でやつて行こうというような考えがあるかどうか、それが第四点、以上の点概略で結構ですから御説明を願いたいと思います。
  15. 山口正義

    説明員山口正義君) 第一点のお尋ねの、重点をどこに置くかということでございます。人間の食生活、それぞれ嗜好がございます。又今までの習慣もございますので、一挙に変えて行くということはなかなか困難だというふうに考えられるのでございます。こういうことは私から今更申上げるまでもないことでございます。私どもといたしましては、粉食の普及ということ、日本人の食生活が米食偏重に陥つているということは、しばしば今まで指摘されております。それによつて栄養的にもわれわれ欠陥が起こりやすいということが指摘されております。私どもといたしましては、粉食奨励ということに重点を置いてやつてつたのでございます。今後もその点に重点を置いて参りたいと考えているわけでございます。又これは単に栄養的の問題だけでなしに外米の輸入、米を輸入するよりも麦を輸入するほうが安くつきますので、国家経済の上から考えましても、粉食普及ということがいいのではないかというふうに考えられるわけでございます。又粉食という食形態をとることによりまして、副食品価格の問題もございますが、その点をいろいろ按配して参りますれば、栄養的に比較的価格の高いものをとりやすいというようなことも考えられますので、重点といたしましては、私どもは従来とつて参りました粉食普及の線を今後も続げて参りたい、そういうふうに考えているわけでございます。生産設備の問題はこれは高野先生も御指摘のように農林省当局からお答え申上げるのがいいかとも存じますが、私どもが現在聞いておりまするところでは、現在の生産能力が大体月産二千百トンぐらいのところだそうでございますが、それを年間三十万トンくらいまで持つて行きたい、そういうふうに農林省では考えているわけでございまして、それを今後恒久的にどうするかというような問題につきましては今後検討して行かなければならないというふうに考えておりますが、この点につきましては私どものほうもこれは従になりますが、生産設備、或いはそれに要する経費、或いは今後のそれの利用というようなことにつきまして農林省のほうからいずれ詳しいお答えを申上げることになると思うのでございますが、私どももそれに強い関心を持つて進んで参りたい、そういうふうに考えております。  それからパンの問題でございますが、パンとうどんと、粉食とする場合にどちらに重点を置くかというお話でございますが、学校給食におきましてもパンを用いておりますが、私どもといたしましてはパン食奨励、パン食のほうに重点を置いて参りたい、こういうふうに考えております。ただ農村などにおきましては従来の食生活形態、習慣等から考えまして、やはりめん類ということも相当採入れてやつて行かなければならないというふうに考えているわけでございます。  パンの腐敗という問題でございますが、良質のものならばそう腐敗することはないというふうに私ども承知しておるわけでございまして、今後は良質のパンを、それからできるだけコストを安く製造できるよう、いろいろの措置を講じて行かなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから第四の御指摘の鼠の害でございますが、これは高野先生御指摘通りでございまして、数字的に計算して行きますれば、全国の家鼠の数が大体人間の数の倍、或いは三倍というふうに言われております。又その体重の何分の一かを穀類を食うという鼠の習性から考えまして全国で、鼠に食われを穀類の量は、米の量は、数百万石に上るというふうに言われているのでございまして、私ども鼠族昆虫駆除という仕事を担当いたしているものといたしましては、疾病予防という点からは勿論でございますが、食糧の節約という点から考えましても、鼠の駆除ということには更に一段と力を入れて行かなければならないというふうに考えているわけでございまして、従来も終戦後鼠族の駆除ということにつきましてはいろいろの施策をとつて参りました。例えばモデル村の設置というようなことで現在までもやつて来ておりまして、全国的にその運動を展開しているのでございますが、来年度におきましては更にこれを大きく取上げまして、全国的にこの鼠族駆除の仕事をやつて参りたい、そういうふうに考えておりまして、先般省議で一応の予算をきめて参りまして、大蔵省に提出いたしまして、大蔵省に先般説明を終つたという段階でございます。
  16. 高野一夫

    ○高野一夫君 只今説明の中の三十万トンというのは年ですか。
  17. 山口正義

    説明員山口正義君) 年産でございます。
  18. 高野一夫

    ○高野一夫君 そうすると大体不足食糧の一割ぐらいに該当するのじやないかと思うのですけれども不足主要食糧の約一割という非常に厖大なものでして、これは厚生省に何とか言うより農林省に御質問したほうがいいのかわからんけれども不足している主要食糧の約一割にも該当するような、三十万トンというような人造米を造つて、それを目標にして、それを一般国民奨励をするということになりますれば、これは如何に私は粉食に主力を注がれようとも、なかなか粉食奨励というのはむずかしいのじやないかと思うのですが、どういうものでしようか、そういう数量の割合からいつてみて。公衆衛生局長農林省、どつちつかずのお尋ねになるかも知れませんが、これは食糧というものは農林省で造ることは造るでしようが、栄養食糧という面から行けば、公衆衛生に関係が深いと思うので、あなたの立場から説明をお聞きしたいと思います。
  19. 山口正義

    説明員山口正義君) 生産能力の点でございますが、これは一応農林省でそういう意見を持つているわけでございますが、これは現在月産二千百トンが二万五千トン、十倍以上に増加するわけでございますが、これがどの程度まで実現できますか、これは今後の問題になると思うのでございますが、これが予定通り行くといたします場合には、これに人造米の強化というようなことも考えて行かなければなりませんし、又白米にそれを代替するというようなことも考えて行かなければならないと思うのでございますが、今後これがどんどん製造されて行くというようなことになります場合に、それをどういう形で取上げて行くかというようなことにつきましては、今後農林省と私ども十分打合せを実施して参りたいと、そういうふうに考えております。
  20. 高野一夫

    ○高野一夫君 この粉食奨励関係になるわけですが、何も小麦粉だけ使わなくても、日本はそばなんというのは年二回とれるわけですが、そばとか、それから又労働者農民の腹応えがないからどうもパン類では食つたような気がしない、労働力がなくなるような感じがするというようなこともよく言われるのですが、そういう人達に腹応えさせるために粟を食う、昔はよく農村では粟を食つてつたが、最近では余り粟は食わないようですが、そばを作らせ、或いは粟を作らして食わせるということについて、そういう方面の栄養価値とか何とかいうようなことについてお調べになつた材料でも厚生省にありましようか。ちよつと人造米の点から逸脱しますが、序でに伺つておきたいと思います。
  21. 山口正義

    説明員山口正義君) 粟、そばの細かい成分表をここに持合せておりませんが、成分といたしましては雑穀のほうは割合優秀な成分を持つておりまするが、ただ消化吸収という点で、栄養の点からやはり考えて行かなければならない、そういうふうに考えておりますが、粟、そば類につきまして農村方面には私どもこういうものを奨励して参りたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  22. 高野一夫

    ○高野一夫君 どうもこの食糧の問題は農林省だけにお任せできないので、先ほど来お話がありました通りに、厚生省が非常な関心を持たなければならん問題だと思いますので、只今の御説明ではまだ我々ちよつと納得しかねる点が多々ございますが、まあこの辺で私は質問を打切りますが、なお、十分に農林省のほうともしかく折衝して厚生行政の立場から御研究をお願いしたいと思います。
  23. 中山壽彦

    中山壽彦君 只今局長のお話で人造米の構成がまだ最後の結論になつていないということですが、私はこの食糧というものは必ず一方経済の面と関連して見なければならんと思います。ところでまあ小麦のほうは米に比べますと、私どもが聞いているところでは約三分の一安い、人造米にいたしましても、小麦成分を殖やせば栄養価はたくさんある、先刻も七割になる、澱粉を二割、くず米を一割というと、蛋白質が相当多い、私はそういうことならば人造米を作るにしても小麦粉成分を多くするということが必要じやないか、併しこの点は厚生省農林省との間には必ずしも私は意見が一致しないのじやないか、現在まあ澱粉のストツクなんかが相当多量にあるらしい、まあ農林省のほうでは多年の関係ある業者と言いますか、そういうもののほうの立場も考慮されるというような傾向があるのではないか、従つて栄養は少いけれども澱粉一つたくさん混ぜて行くというような構想も起るのじやないか、私はこういう食糧政策というものは凶年であると豊年であるとを問わず、豊年でも日本では若干高い米を輸入しなければならん、こういうわけでありまするから、豊年、凶年を問わずして、国民食糧政策というものについて一体化さなければならん、これには厚生省農林省とが一体化してこの重大な食糧政策というものを立てて行かなければならんじやないか、農林省農林省立場でいろいろ立てる、厚生省厚生省で立てる、必ずしもその基礎観念が一致していないんじやないかというふうに私どもは観察されるんです。一つ厚生省当局はしつかりと日本人の食糧政策という大きな観点から一つ立案をされて厚生省の主張の通るように一つ計画を立てて行かなければならん。又粉食にいたしましても、要するに金の問題です。粉食は高いから私は利用ができないのだと思う、これを安くするにはどうしたらいいか、簡略の問題も出ましたが、安くするのには私はまだいろいろ方法があり得るのではないか、パンにいたしましてもうどんにいたしましても乾麺にいたしましても、やはり安ければ必ずこの利用率というものは殖えると思います。安くするにはどうしたらいいかということを、これは政府全体としてお考えにならなければいかん、どうも止むを得んということの一点張りでは私はいけない。そこで私はどうしても厚生省農林省とが一つ一体化して国民食糧政策は又どうしたらいいかという大きな観点からこの問題を一つ研究して頂きたい、こう思つております。そういう点について厚生省当局のお考えを私は伺いたいと思います。
  24. 山口正義

    説明員山口正義君) 只今国の食糧政策について農林省厚生省とが十分連絡をとつて一体となつてやらなければいけないという御注意でございました。私ども今まで事務的にいろいろ連絡をとりながらやつてつているわけでございますが、今後もその線は十分続けて参るつもりでおります。栄養改善法に基きまして設置して頂いております栄養審議会の構成人員といたしましても、農林省或いは経済安定本部のそれぞれの責任者に入つてもらいまして、そうしてそれを構成しているわけでございますが、この栄養審議会の活用等におきましてその点をより力強くやつて参りたい、そういうふうに考えているわけでございます。勿論繰返して申上げますが、事務的に担当課、或いは私のほうと食糧庁の長官のほうと十分連絡をとりながらやつて参りたい、そういうふうに考えております。  人造米価格の問題も御指摘でございましたが、仰せの通り農林省といたしましてはやはり価格の問題をいろいろ心配いたしておりますが、成分価格とのバランスをどういうふうにとつて行けば一番いいかというようなことでいろいろ苦慮もいたしているわけでございます。そういう点も私ども十分理解して今後折衝を続けて参りたい、そういうふうに考えております。
  25. 山下義信

    山下義信君 実は今日人造米栄養関係を取り上げてもらうことはもう数日前に委員部を通じて当委員会にお願いしてあつて農林省関係者は農林大臣、食糧庁長官、特に名指しをして出席の要求をしてあつた。然るにこの委員会が開会されることがわかつているにもかかわらず、農林大臣は急遽日程を作つてどつかへ行つちやつた、それから朝から食糧庁長官はどこへ寄つてそこへ寄つて、どこへ寄つてそこへ寄つてというようなことで未だに出席しない、これはいずれ来るかもわかりませんけれども、これは私が推測するのに、この厚生委員会が取上げて、そうして栄養関係と結び付けて人造米国会の問題にするのは本日が初めてなんです休会中なんですから。この栄養の問題で彼らが自信のない証拠なんでです休会中なんですから。この栄養の問題で彼らが自信のない証拠なんです実を言つたら。ですから非常に恐怖して出席を躊躇していると思うのですが、これは当然我々としては出席を求めますが、今中山委員からも御注意がありましたがよほど注意しなくちやいかんと思うのです。とかく農林関係は要するところ経済省で、いわゆる経済政策で、今御指摘のありましたように非常に大きなメーカーを、即ち澱粉を何千万貫抱えてその処分に困つている業者に非常な利益を与える目的でやるのじやないけれども人造米澱粉を主成分にして作ろうとしているということが伝えられている。飢餓対策としてやるのであつても、我々はとにかく栄養というような面から注意しなくちやいかん。何も政府の施策に私どもが水をさすのじやないですけれども栄養の面において注意しなくちやならんと思う。今局長はこのこれからの規格その他についても十分申入れもしてあるし農林省と相談してやるつもりであると言つているが、すでに昨日あたりの新聞はこの人造米規格やその他をきめたり、いろいろ宣伝や何から何までそういうことに対しての何というか委員会というか協議会というか、そういうものもきめて、そして大きなメーカーをそこに入れて協会のようなものをつくつてそこでやつて行くというようなことを言つている。農林省系統の発表を見ると厚生省と相談するということはただの一口も半口もない。とかく省の関係については大臣はどうか知りませんが、ともかくも私は厚生省は負けちやならんと思う。これは委員長農林省関係者が出席するまで一応この問題はこうしておいて頂きまして、他の委員のかたの御問題もあろうと思いますから、農林省が出席しましてから一つ本問題をお続けを願いたいと思います。
  26. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) 只今山下委員動議通りにやらして頂きたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕    —————————————
  27. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) それでは人造米の問題につきましては一時このままにいたしまして、次の議題でありますインターン制度に関する件を議題といたしたいと思います。厚生省及び文部省当局から一応御説明をお願いいたします。
  28. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 先般懇談会の形でいろいろと御説明を申上げましたのでありますが、今日までこの問題につきまして厚生省においてどのように考えを進め、準備を進めて参つたかということをかいつまんで申上げます。根本的なこの制度の現状に対しましての批判というものとしましてはいろいろのことが考えられるのでございますが、今日における医師の資格というものが従来戦前におきました医学生の教育或いは今日の状況といたしましても、医学校を卒業しましたばかりの卒業生というものでは十分でない。このためにはやはり或る程度の実地の修練を加えなければならないということが再確認されておるのであります。ただこれをどういう形でその医師の広い意味での教育というものの中に加えて行くかということにつきましては、医学校の課程の中に含めて行けないかということが一応は考えられるのでありますが、その場合に教科課程を、年限を延長せずにこれを含め得るかどうかということにつきましては、これはむしろ私のほうよりは文部省のほうの直接の御考究の問題でございますが、私どもいろいろと学校の先生がた、いろいろのところから伺つておりますところから判断をいたしましたのでは、少くとも医学の専門教育だけではなしに、広くこの学制全体に対する批判というようなものから出発しなければならん、この五カ年間の課程の中に今日要望されておりますような実地修練の内容を盛ることが困難であるというように考えております。然らばこれを半年なり或いは一年なり延ぜばこれが実施可能であるかということにつきましては、この実地修練をいたしますその施設でございますが、主として病院の施設となるわけでございますが、この病院の施設が今日の医学校の附属病院というようなものにおきましてはこの一カ年の実地修練を行うというためには相当施設を拡大しなければならない。そういうような関係でいろいろ物的の点につきましても、或いはそれに伴ういろいろ財政的な問題といたしましても、これは早急に実現はなかなか困難であろう。又その実態といたしましても医学校の附属病院というところは一般の患者の診療をいたしております普通の病院とはかなり性格が違つて来ておりまして、いろいろ教育のため或いは特殊な研究を行うというような特殊の任務を持つておりますことのため、ここに集つて参ります患者というのは普通の患者は割合少いのでありまして、一応一般のお医者さんがたに診て頂いて或いは民間の病院で診療を受けておつてそこで以てなかなか処理が困難であるというような非常に珍らしい病気であるとか、或いはいわゆるむずかしい病気というようなものが比較的多く集つて来ておるというような点がございまして、普通の開業の医師、開業と申しましては狭過るかも知れませんが、普通の診療所或いは病院で診療を担当します医者が日常診ます患者というようなことから行くと非常に偏つた患者が集つて来ておる。インターンの教育修練の目的といたしましてはこれは専門教育ではなくて、飽くまでも一般医としての必要最小限の実習をいたすということが目標となつておりますので、大学の病院を幾分拡張いたしましてもそこに集つて来る患者の質がそれにふさわしくないというような点もございますので、この学校の教育の中にこれを含めるということは少くとも早急に結論が出ないというような点で、私どもとしてはこれに切替えるということは困難だというふうに考えております。  最後にはやはり学校卒業後実施修練をするということは必要と考えられるが、これは余りに固くすべてのものにこの義務を課す、そうしてその後に国家試験を行うというようなことではなしに、初めに学校を卒業いたしましたら直ちに国家試験を行いまして医師……、或いは試験を不要という説もございますけれども、一応医師免許を与え、そして一定の指定されました病院で一年或いは数年以上の実地修練を積んだ、済ませた暁に初めて独立開業を許すという制度にしてはどうかというような考え方も検討されたのであります。これにはいろいろの又御意見があるかと思いますが、私どもの、当局及びいろいろ意見をお問いいたしました国家試験審議会の実地修練部会の委員のかたがたの御意見というようなものを総合いたしますと、さような制度を採用すると、この実地修練を指導いたします先生がたとしても、或いは指導を受ける学生のほうといたしましても、責任というものが今日においては十分果されるかどうかということが疑わしい状況にある。従つてその成果がどの程度に上つたかということは、お終いにやはり何らかの形で以て試験というような制度を設けなければならんのではないかというようなこと、若しそれがなければこの制度は殆んど実質的に無に近いものになるのではないかというようなことが懸念いたされます。それから又卒業後直ちに医師免許の資格をやつたらどうかというようなことにつきましても、まだ独立して医業に従事することが適当でないというふうに考え得られております。今日の医学校の卒業生というようなものは直ちに免許を、不安はありながらも免許を国家が与えるというようなことは、形式的にもここに相当無理があるのではないかというような点が考えられまして、私どもとしては結論はやはり現在とられております医学校において十分基礎的な、又できるだけは実地についての教育もそこで可能な限りにおいては与えて頂きますけれども、その実地の経験だけは不十分とは言いながら基礎的な教育というようなものはしつかりと与えられて、いい卒業生を送り出されますならば、それを学校の附属病院とだげに限らず一般の病院の中でも優れて実地修練にふさわしいと考えられます病院に配属いたしまして、そこで一年以上の実地修練を積み、そしてその成果が十分に上つたかどうかということを国家が試験いたしまして、そしてその試験に合格した場合に一人前の医師として免許を与えるというこの現在の制度は、まだまだ簡単に崩すべきものではないというような結論に到達いたしたのであります。ただ現状におきましては、その制度が必らずしも円滑に進んでおらない。又その目的を十分に果してもおらないというようなところから、現在の制度の運営の方法を改むべきではないかということは、いろいろな点を考慮いたし一応の意見をまとめたのであります。それを申上げますと、おおむね問題が三つに分れると思うのでありますが、一つは実地修練の内容の向上ということでございます。もう一つは実地修練生に対する経済的待遇の改善ということ、第三番目は実地修練生のいわゆる身分ということでございますが、この点につきましては、のちほど又細かく御説明申上げようと思います。初めに戻りまして実地修練の内容の向上ということについては、実地修練の場となつております今日の指定実地修練病院でございます。この病院で施設いろいろ十分整つておらない、又指導医が十分そろつておらないというような状況が多少ございますので、こういうような点を改めなければ、折角修練生が病院に参りましても、一カ年を十分利用し得なくて、殆んど空費に近かかつたというような訴えが出ておるような状況であります。この病院の指定というようなことを厳密にいたそうというようなことで、その指定の基準等をはつきりと定め、そうして又その病院の内容につきましても、詳細な調査をいたしまして、そうしてこの選定に慎重な措置をとるということが第一でございます。言い換えますれば、指定施設の、インターン施設の厳選ということでございます。  それから二番目はこの施設にお願いいたします実地修練生の数の問題でございます。この数がとかく評判のいい病院と申しますか、立派な病院でインタン生もそこでもつて役に立つ修練を受けられるというふうに考えておりますところは非常に大勢の者がそこに集つて参ります。そうすると、その施設はいい施設でございましても、余りに大勢の者が集まり過ぎるというようなところで、十分な指導が行き渡らないというようなことでございます。これは具体的に挙げますれば、医学校の附属病院というようなところで、これは母校の、自分の学校の卒業生でもございますので、この母校に残りたいというような者がございまするというと、その病院の施設或いは先生方の人数というものから考えまして多大だと思われるようなものが、そこに採用されておるのであります。これはいろいろな事情もございますので、ほかの病院と同じような基準で一律には行きかねるかもしれませんけれども、かように余りに大勢の修練生が集まり過ぎて、修練の効果が上つていないというようなところについては、具体的に個々の学校及び病院とよく御相談いたしまして、この定員を然るべき数に抑えて行くというようにいたしたいというふうに考えておりします。  それからその次は実地修練生がその修練の効果を上げますためには、日中だけではなしに夜勤をいたす或いは宿直勤務をやるということが必要でございます。各インターン施設の中に修練生を収容いたします宿舎があることが望ましいのであります。今日の状況としましては、これも若干はございますけれども大部分の病院に宿舎の整備ができておりません。これにつきましては非常に遺憾と考えられるのでありまして、国の施設、国立病院及び国立大学の附属病院というようなところでは、このインターンを収容いたします宿舎を国費で以て創設する必要があるのじやないかというように考えまして、明年度はこれに予算経費を若干組んで頂きたいと考えておるわけであります。なおインターン施設の中には国立以外の公立及び私立の病院もございますので、これに対しましては宿舎の設備を強要するわけにはいかないと思いますが、できるだけこの宿舎を造つて頂き、又そういうように宿舎を整備する意欲及び能力を持つておられます施設を今後も逐次選んで参りたいと考えるのであります。こういうように公立及び私立の病院がインターンの宿舎を作つて下さるというような場合には、その半額を国から補助いたすというような措置が必要ではないかというふうに考えまして、国の病院及び病院における宿舎の設備費の全額及び国以外の経営いたしますインターン病院の設ける宿舎の整備費、その半額というようなものを合せてこの予算を組む必要があるのではないか、ただいろいろ国の経済状態も非常に緊迫しておるような状況でございますので、余りに過大なことは要求申上げることも困難かと考えまして、一応これを三年計画で整備を終りたいというふうに考えて、只今大蔵省のほうにもいろいろ御説明を申上げて、考慮を願つておる次第であります。  それからその次には施設にインターンをお願いいたしました場合に、指導医の先生がた及びその施設に対して施設及びその設備のいろいろな器具、機械類を使わせて頂いておりますので、これに対する謝礼を差上げておるわけであります。今日もこれは極めて僅かに予算に計上してございますが、これでは僅少過ぎると考えますので、これを増額して頂くというふうに考えて、大蔵省のほうといろいろ話合いを進めております。  それからなおこの病院の運営が、病院における修練生の教育が円滑に行つておるかどうかということにつきましては、いろいろ慣れておらない病院等もございますので、これを十分指導監督して行く、又非常に成績の上つております病院の経験等を広く伝えるというような意味で、その施設長或いは指導医の研究会、懇談会というようなものを設ける、或いは国家試験審議会の実地修練部会の委員のかたがたに、これは主として学校の先生がたでございますが、こういう先生がたに予算の許します限り施設を巡つて頂いて、その実況を視察し、それに対しいろいろな指導監督をお願いするというような措置をとつて、この内容を向上して参りたいというふうに考えております。  その次には修練生の経済的所遇の問題でございますが、この制度ができましたのは今日の日本において医師の資格としてはどうしても戦前に比べましてはより高いものが必要とされるというふうに考えられたのでありまして、それだけ今後医師になろうというふうに考えます医学生の人たちが、自分でそれだけ余計に勉強をして頂かなければならんということになつたのであります。それに対して国としましては特別な予算を計上いたしませずに、結局インターン生は病院にお世話になつていろいろ勉強をする、病院としましてはいろいろ世話に手がとれますけれども、一方においてはその病院の仕事、診療業務ということと極めて密接した仕事を勉強してもらつておるのでありますから、病院の業務としても若干の手が助かるのではないかというようなことも考えられまして、おおむねそのインターン生が病院におかけする迷惑と、それから病院でインターン生の協力と申しますか、こういうものによつて得るところと大体見当がつきませんので、先ず先ず相殺すると一応考えてもいいのではないかというようなことでスタートしたと私たち聞いておるわけであります。ところが実際に実施いたしまして数年を経た経験から申しますというと、病院のほうでもまだこの制度が熟して参りませんために、必ずしもその役に立つというふうにも考えられないというふうに考えております。病院のほうからこのインターンに対して協力と申しますか、サービスと申しますか、こういうものに応じて個個の病院で応分のインターンに対するいろいろな所遇の改善ということが行われるということも予想しておつたのでありますけれども、なかなかそういう状況に行きかねるというような状態であります。そうなりますと一カ年間一応学校を卒業してから自分たちの生活というようなものを立てながら勉強をして行かなければならんというような事情にあるところから、非常に勉学の継続ということに困難を感じておるというようなことをインターン生も訴えておる次第でございます。又この医師が世の中に出ましてからは、成るほど今日においては日本においても自由開業医制度が根幹になつてはおるのでありますけれども、その場合でもすでに社会保険或は生活保護法等によります社会的な診療というものが日本の医業の過半を占めるというくらいな、いろいろな趨勢はございましようけれども、非常に大きな部分を占めて来ておる。決して単純に、自分が余計に勉強して腕を磨いたのだから、それだけ報酬を得られるだろうというような、自由な生業を立てて行くというような性格のものではない。又こういうような社会保険というような形をとりましたこの社会的な医業というものがだんだんと拡大して参つておる。又国としてもこれに非常に頼ることが大きいのでありますが、かような点からいいますれば、この医学生が気持よく、そうして効果的に勉強をして、そうして立派な医師になつてくれるというようなことが国としても必要と考えられるのでございますが、この修練生に対しまして若干の経済的援助の途を講じたい、少くともインターンとして病院に勤めております間必要といたします食事とか或いは診療に直接関係のあります被服類とか、こういうような程度のものは最小限でも国からこの制度を布いておる以上給与をいたしたいというように考えまして、従来からもいろいろと考えたことはあるのでありますが、今回は特にこの点の必要を感じまして明年度からこの面において幾分の経費を組みたいというふうに考えて、これもその予算書を大蔵省のほうに提出いたしまして、いろいろ御説明を申上げて考慮をお願いしておる段階でございます。  それから最後に修練生の身分という点でございますが、この修練生の身分というものには私ども二つ問題があろと思うのでありますが、一つは医師法との関係における身分でありまして、修練生にも或る程度の医業、診療業務ができるということを何か明文化してほしいというようなことであります。又インターン時代はどういう仕事はできない、診療業務ができないときめられても、どこまでできて、どこからできないかということをはつきりさせてほしいというようなこともございます。これは私どもいろいろ検討いたしました結果、この学校を卒業いたしましたばかりのものと、それからインターンの末期におきまして国家試験を受けさえすればもう一人前の医師になれるという段階のものとでは非常に力の差がございますので、一概にどういう仕事はやつていい、どういう仕事はやつて悪いということをはつきりと成文として表わすことは困難だと考えまして、やはり飽くまでも指導医の指導監督のもとにおいて、この診療の業務を習つて行く人たちが修練生であるというふうに考えており、又そう考えざるを得ないのではないかという結論に到達しております。で、ただこのいわゆる身分と申しておりますうち、この施設との関係ということになりますと、例えばインターン生が病気になつたというような場合に、普通の職員でございますれば、その施設からいろいろな世話をやいて頂けるのでございますけれども、そういうときに何の保障もないではないかというようなことを訴えております。これにつきましては、これもはつきりと今申上げるような結論は出ておりませんが、その病院の準職員といつたような形にいたすというような、何かこれは方法が考えられるのではないかというようなことで、国家試験審議会の実地修練部会におきましても、この点及びその身分の点について、学校から出て施設に入つたばかりのときには、どの程度の仕事をさせるか、そしてだんだん修練が進んで来たならば、どのような仕事まで教えるかというようなことを定めるために、この身分の問題については、更に小委員会等を作つて検討をし、具体案を練ろうというようなことになつております。大体今日までこの問題につきまして、厚生省において考究いたしました考え方及びその附置されております国家試験審議会の実地修練部会において御検討を得ました結果を申上げた次第でございます。
  29. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) 只今から質疑に入りたいと思いますが、その前にちよつとお願い申上げますのは、文部省の稲田大学学術局長が最初から来ておられましたが、十二時半に審議会がありまして、それに出席しなければならんので、できますならば早く先に質疑を頂きたいということでありますので、ちよつと予め申上げておきます。
  30. 榊原亨

    榊原亨君 医務局長お尋ねいたしますが、只今お話になりましたような御構想で、予算はどれくらい要るのでありましようか。三年間に宿舎を完備いたすということと、それから今食糧のお話なんかの、単価は出ておりませんが、新聞で七十五円とかいうことに承知しておるのでありますが、そうでございましようか。そういたしまして予算はどれくらいこのために来年度に要るということになりますか。
  31. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 宿舎の関係といたしましては、三年計画として、ラウンド・ナンバーで申上げますが、約三億六千万円でございます。  それから修練生の経済的援助といたしましては、この食費は職員会費というものを基準にいたしておりますので、非常に僅かではございますけれども、これとそれから被服手当というようなものを込めまして年三万円、一人月二千五百円というふうに勘定いたしまして、総額が一億八百万くらいになると思います。  なお病院に対する謝金等を増加して頂きたいというふうに考えておるのですが、これがたしか九百万円程度になると思います。全部合算いたしますと、二億三千五百万円程度になります。只今資料を印刷したものを持つて来ておりますので、今大蔵省のほうに御説明申上げました数字は、印刷をお配りをいたしますから、詳細はそれを御覧頂きます。
  32. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますと、今の予算が若しとれなかつたら、どういうふうなお考えでございましようか。
  33. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 従来から今申上げましたような額の予算は頂いておらんのであります。それにもかかわらず、この制度を是非実施いたしたいということでやつてつておりますが、私ども予算の有無にかかわらず、この制度は是非この日本の現状として必要なものであるというふうに考えておるわけであります。併しいろいろ過去数カ年の経験に鑑みまして、この制度は是非存置し、更に強化して行かなければならんというふうに考えておりますが、施設のほうといたしましても、或いは修練を受けます学生のほうからも、いろいろな点で以て今日の制度でうまく行かないというようなことを訴えてもおりますし、又私どももその部分について或る程度了解できる点もございますので、これは是非この程度の金額というようなものは明年度から組んで頂きたいものだというようなことで、極力大蔵省のほうにはお願いいたしておるような次第で、是非これは組んで頂きたいと考えております。
  34. 榊原亨

    榊原亨君 その点については更に質問もございますが、今文部省のほうはお急ぎでございますから、文部省のかたに伺いますが、今曾田医務局長がおつしやつたと同じようなお考えを文部省でお持ちでございますか。もう一つ、又若しこの予算が明年度において取れないときには、取れなくても何でも、今医務局長のお話になつた線をやろうというお考えでありますか、その点について伺いたい。
  35. 稲田清助

    説明員(稲田清助君) 文部省といたしましても、只今厚生省から御説明がありましたように実地修練に関しまする改善が速かに行われることを希望いたしております。
  36. 榊原亨

    榊原亨君 希望はそうでありますが、若し予算が取れないときは、やはり今の線でどうしてもそれを改善してやるというお考えでありますか。
  37. 稲田清助

    説明員(稲田清助君) 実地修練の事業の実施及びそれに対しまする制度その他は、厚生省の所管でございますので、それにつきましては厚生省のお考え以外に別段の意見を文部省といえども所有いたしておりません。
  38. 榊原亨

    榊原亨君 只今医務局長のほうからお話になりました点を改善いたしますには、何といたしましても予算が伴うことであります。そこで今まで全国の医学生が要望しておりますことは、インターンは必らずしもこれをやるには反対ではないのだけれども、その内容といい、その他の点が十分行届かなければ、今までのようなことであるならば、インターンはむしろ廃止してもらわなければならんというような要望がたくさんあるわけであります。そこで何でもやるのだということを医務局長が言われますけれども、何でもやると申しましても予算が伴わなければできないことである。今まで通りであるならば、それは全国の医学生もこれに必ずしも満足しておらないと思うのでありますが、又今医務局長が言われた点だけでは、私どももそれで完全だとは思つておらないのでありますが、今医務局長の言われた点を実行するための予算というものにつきまして大蔵当局ではどんなお考えを持つておられますか、承わりたいと思います。
  39. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 今医務局長から縷々御説明がございましたが、一つは病院の施設の内容の向上、もう一つはインターン生の実地修練、処遇の改善という点でございます。この点につきましては、先般厚生省から予算要求を承わりまして、折角検討中でございまして、今のところ結論を申上げる段階に至つておりませんですけれども、十分内容を検討いたしましてできるだけ財源のほうもございますけれども善処いたしたいというふうに考えております。
  40. 榊原亨

    榊原亨君 どつちつかずのお話のようでございますが、財源がつかんというお話のようでございますが、そういうことに努力をされるようにお考えになつていらつしやるのですか、どうでしようか。
  41. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 従来インターン生の経済的処遇という点につきましては、これは育英会の貸付金におきまして、大体三人に一人の割合で、月二千円程度つております。従いまして非常にお困りのインターン生のかたには国がやつておるわけでございます。  それから宿舎の点につきましては、必ずしも全部が宿舎が要るのではないので、中にどうしても必要なものは、これは或る程度病院なりの施設で多少の点は融通がつくこともございます。従来は施設の点はなかつたのでございますが、非常にこの点が現状が無理かどうかという点につきまして、これは厚生省からも御説明がございまして、この点も従来の考え方と非常に違つているようでしたが、多少考え直さなければいかんかと思いますが、全体の財源というものがございますので、はつきりどうするということは申上げられませんので、その点十分考慮したいと思います。
  42. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は二、三点お聞き申上げたいのですが、今のインターン生に対する住居が建てられない、そうした場合に、建たないところに対して特別な住宅手当というものを考えておられるかどうかというようなことが第一点です。  それから第二点は、ここで考えられておる食事手当或いは被服手当というのは公私立の学校の区別なく全部に対して考えられておどうか。  第三点としては公私立の病院に対しては二分の一の補助をするというようなお考えですが、残りの二分の一についての融資というふうなことは考えておられるかどうか、この三点をお尋ねいたしたいと思います。
  43. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 第一点につきましては、私どもの本旨と申しましては一挙に必要な数だけの宿舎を整備いたしたいと考えておるのでありますが、なかなか一挙にはむずかしかろうというふうに考えまして、特に住宅難の激しいところ、或いは宿舎料の高いところというようなところから順序をつけまして、三年計画をいたしたわけでございます。従いまして誠にお気の毒ではございますけれども、この宿舎のできないところは三年後まで待つて頂かなければならんというふうな事情が出て参ります。  それから第二点につきましては、公私立の医学校の卒業生又は公私立のインターン施設に働いておりますものすべて無差別に給費いたすというふうに考えております。  それから第三の点につきましては、その補助は二分の一ということで案を立てておりますが、残余の経費の融資ということにつきましては、いろいろな形で融資についてお世話をいたしたいというふうに考えております。
  44. 榊原亨

    榊原亨君 医務局長お尋ねいたしたいのでありますが、この前参議院の厚生委員会におきましてこれに関する公聴会を開かれましたときに、教育者側並びに学者のかたがたの御意見は、インターンを存続することでなければいかん、今の医学教育の上からいつたらインターンを存続しなければならんというようなお話でありまするが、それをやるのには少くともいろいろな面におきまして、今医務局長がおつしやつたような点におきまして十分施設を改善し、内容をよくし、インターンの身分をはつきりさせなければならんというようなお話を承わつたのであります。又その他のかたがたにおきましては到底そんなことは予算がとれないから、何ぼ口で言つても予算がないから駄目だから止めるよりし方がないというような公聴会の御意見であつたようであります。そこで今大蔵当局のお話を聞きますというと、それはいいことであるかも知れないけれども、なかなかこれには予算の問題があるから十分努力はするが考慮するというようなお話でありまして、どうしてもこれの予算をとるというようなお話もないようなわけでありますので、ただこれはインターンを残すのでなくて、実際の施設その他についてできなくてもやるのだといつたようなお話につきましては、相当御考慮をお願いいたしたいと思います。私どもといたしましてはこの全国の学生諸君並びにインターンを実際やつておられる諸君にとりましても、この問題は非常に重大な問題でございますので、今政府がお話になりましたような点について学生諸君がどんなように考えられ、又その他関係者がどんなように考えられるかということは今後の問題でございますが、一応そういう点を十分に御考慮をお願いいたしたい、こういうふうに存ずる次第でありますが、局長のお考えを承わりたいと思います。
  45. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 私ども今日までこの問題を検討いたして参りました結果を申上げますれば、予算が通ればこの制度を置く、予算が通らなければ潰すというようなことは絶対に申上げられません。私どもはこの制度はその予算の如何にかかわらず、是非国として必要な制度であると確信いたしております。ただこれを存続して行きますためにはどうしても予算措置を講じて行かなければならない。明年度駄目でありますれば再来年度講ずる、とにかく何とか措置を講じて頂いてこの制度を存続して行きたいというふうに考えております。結果論におきましてどうにも処理できなくなつて自滅するようなことになれば別問題でありますが、私どもとしては飽くまでもこの制度は必要でございまして、そのために措置をして頂けるように十分財政当局、大蔵当局にも御説明申上げて御理解を願いたいものと考えております。
  46. 有馬英二

    ○有馬英二君 先ほどから医務局長の大変詳細な御説明がありまして、私ども了承しておるのでありますが、この一つ一つに対して私は賛成はいたしますけれども先ほど榊原委員からも御質問がありましたように、予算がとれなかつたらどうするということは私ども非常な深い関心を持つておるわけであります。榊原委員からも言われたように、今日全国の多数の学生並びにインターン生が最も憂えておるのはその点であります。若し予算が今年駄目であつたら来年、来年駄目だつたら再来年というふうな非常に遠大な御計画で進んでおられるということであるならば、私どもと少し考えが違うのじやないかと私は思うのです。私ども、もつと切実な切迫した考えを持つておる、もつと根本的にこれを改善するということを考えておるのでありますが、予算がとれれば私どもも賛成はいたしますけれども只今大蔵省の主計局のかたからのお話でもどうも余り確かに、本当にそういうことが実現可能であるかどうかということに非常な疑いを持たざるを得ない。そうするというと、御承知のように非常な学生並びにインターン生において今日甚だ不穏と申しましようか、私どもの黙過しがたいようなことを考えておるのです。若しそういうふうなことが今月の終りまでに起りますというと、これはどうも厚生省としても大きな責任になると私は思うのです。それよりも、もつと根本的に考えて、この予算如何にかかわらず彼らに満足を与えるような案を一つ私はここで考えるのが至当ではないかと思うのです。それはこの前も申上げたかも知れませんが、或いは他の委員からも計画としてもお話になりましたし、曾田局長先ほどからのお話のうちにもありましたが、卒業をしてからすぐ卒業試験と同時にこの国家試験を行い、そうして一応医者にしてしまう、そうして開業するまでに一年間の修練期間を置く、その修練期間を経なければ開業させない。先ほど局長のお話の中には審議会でそういう話も出たのです。併し一遍試験をしてしまつて修練をさせるが、そのあとに試験がないというとどうもまとまりがつかん、それは本当の修練になるかどうかわからんという非常に危惧の念を抱いておるようなお話がありましたが、これはたしかそういうこともありましよう、ありましようが、実際において私ども地方を廻つて歩いて、私ども北海道でありますが、北海道の学生或いは大学の修練の状態を見まして、一体一年間の修練期間をどういう工合に彼らはまじめに行なつておるかどうかということに非常に疑いを抱くのです。それは必ずしも私は北海道だけではないと思うのでありますが、制度と申しましようか、施設が悪かつたり或いは指導者に当を得てないせいもあるでしようけれども、どうも実際においては一年間の大部分がフルに或いはまじめに行われていない、試験間際になつて大急ぎで勉強するという点も大分あるらしいが、そういう実際面から見ますると、開業前に一年の修練期間をやる、これはいい、これをつまり今のように修練後に国家試験を行わないで国家試験を早めにやつてしまつて、そうして身分を保障してしまうというやり方をしましても、私はそんなに素質が落ちるとは考えていない、これは尤も素質の問題でありますからして、中にはまじめでない人もたくさんありましようし、全体から申しますというとかなり危惧の念を抱かざるを得ないのでありますが、併し各地の修練病院を私は見廻つて歩きまして、どういう工合に修練が実際に行われておるかということを見て歩きますというと、必ずしもこれはどうも私の今申上げたよらなプランが実際において甚だどうも拙劣で、結果において甚だ困つたようなことになるというようには私は考えておらない、そうすれば彼らの身分も保障され、そうして一年後に開業を許されるということであれば、私は何も予算をとつて頂かなくても、予算をおとりになればなお更いいかも知れませんが、改善すべきところはそれは政善しなければなりませんけれども、今直ちに困つた問題は起らんと思う。若し局長の言われるような予算が通過しなければというようなことであるとこれは重大な問題になつて学生並びに修練生に非常に不満を与え、そこで今計画しておるような彼らの実際行動を行われるということになると、私どもどうも責任を負わざるを得ないということになると考えるのであります。そういう点を十分一つ御考察になつて、もう一遍この今計画されておるところの、今お話になつた案が実際どの程度まで実行可能かということをもう一遍お考えになつて、そうして実行可能であるところのプランを早速実現されるよう計画をお願いしたいと私は思うのであります。その点について一つお考えを……。
  47. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 只今有馬先生からお話になりました件については先ほども私ちよつと触れたのでありますが、私どもも慎重に検討いたしておりまして、ただむげにこの従来からの制度というだけに意地になつてこだわつておるというようなことはいたしておりませんが、そういうような場合にはどういうような措置をとるのが次善の策であるかというようなことにつきましてはいろいろ検討をいたしておりますが、私どもの検討の結果は先ほど申上げましたように、その案に直ちに飛び込んで行きますということは非常な危険性がある、これは多少先生がたの御意見と違うかもわからんけれども、さように考えておりますので、やはりこの予算の編成ということに当面の努力を注ぎたいというように考えておる次第であります。
  48. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) インターン制に対して御質疑がないように思いますが。
  49. 榊原亨

    榊原亨君 この問題はまだ当局も御検討中でありますから、今後折を見て、再びこの当委員会において御検討を願うために保留させて頂きます。
  50. 湯山勇

    ○湯山勇君 大蔵省のほうへお聞きしたいのでありますが、今検討中だというお話があつたのですけれども、大体いつ頃見通しが付く御予定ですか、大蔵省としては……。
  51. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 毎年十一月には臨時国会がございますし、それから年によつて一定はいたしておりませんですけれども、来年度の通常国会までには十分間に合うのじやないかと思いますが、昨年の例によりますと、大体一月の早々には確定するというふうになつております。
  52. 湯山勇

    ○湯山勇君 確定ということは勿論ですけれども、今お聞き及びの通り、かなりこの問題は重大な段階に来ておると思いますので、先ほどのお話のようにただ検討中だとかというのでなくて、これには相当好意を持つて努力をするなら努力をする、或いはまあこの実現についてはこうこうだというような或る程度の見通しを最終的なものでないにしても、そういうことも現在の事態を収拾する上においては一つの重要な要素になると思いますので、そういうはつきりしたものでなくても、一応方向がきまるというのはいつ頃になりますか、早急にはできないですか
  53. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) なかなかそう急には決定いたしかねるのです。まあ御趣旨のところは十分体しまして、検討して行きたいと思います。    —————————————
  54. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) それでは先ほど人造米栄養に関する件を議題といたしておりましたが、農林当局の御出席がなかつたために一時中止しておりましたが、只今食糧庁長官が御出席になりましたので、人造米栄養に関しまして、食糧庁長官の御説明をお願い申上げたいと思います。
  55. 山下義信

    山下義信君 私はこういうことを説明してもらいたいのです。時間がないから、ずつと詳細な一般的な御説明ももとより承わりたいと思うのですけれども先ほど厚生省農林省関係と御列席の上ですと非常にいい質疑ができたと思うのですけれども、長官がお差支えがあつたから厚生省関係だけ主として栄養面から質疑応答をして来た。私は食糧庁長官に伺いたいと思いますのは、この人造米で一般の需要に応ぜられる言いますが、いろいろ新聞等であなたのほうの御計画を見ているわけですけれども、相当の量が出廻つて来ますのは大よそいつ頃になるお見込みでございましようか。即ち今の月産二千トンとか言つているのは、あなたのほうの計画で年産三十万トンと新聞でも言つており、厚生省でも言つておりますが、その御計画かどうか存じませんが、とにかく相当の生産ができて、或る程度の需要に応じられるというような時期は大体いつ頃になるというお見込みでございましようか。それからこれは我々今日まで新聞で存じておる程度ですが、政府も相当に腰を入れて主要な政策としておやりになるというようなことで、諸説紛々として論議がなかなか盛んでありますが、これはどういうふうにして普及なさろうというお考えですか。普及の方法ですね。それで今大変人気はいいようですね、率直に申しまして。これは市場宣伝というか、政府宣伝というか、大変うまい手をお打ちになつておる。どんなにうまい人造米か、お米と違わないような印象を一般のものは持つております。聞くところによると、配給場へも人造米があるかどうかということを盛んに尋ねて来る。下宿や旅館でああいうふうに多量に需要するところは、何といつても米と見えるのですから、米と見まがうところに長所があるものですから、多数の寄宿舎や食堂は何とかして人造米を買いたいということでやつておるらしいが、なかなか買えないということで二、三日前もこぼしておりましたが、一体この普及方法はどういうふうになさろうというお考えでしようか。或いは配給にでもなさるというお考えですか。全く自由販売にしちやう。どんなことがあつても配給なさらんというお考えですか。私はそういうことを聞きたいのです。これが需要家の手に入るについてのあなたのほうの方法。それで同僚議員から実はさつき厚生省に対して質疑があつたのですが、まあ大きなメーカーにやらせるということ、いろいろ多数の生産者がこれをやろうとしている群小製造家がいるわけですが、大きなメーカーを中心にしておやりになるというようなことになつて来れば、澱粉等を非常にたくさん入れるというようなことがあるのではないかと危惧されているのです。それで組成分について、まあ組合せですね、組合せについてどういうお考えを持つておられるかということを聞きたいのです。万一これが初めの駈出しは調子がよくつて、若し嗜好に適しない、量的の問題についてはこれはいいでしようけれども、若し嗜好その他によつて売れなかつた時分にはどういうふうになるでしようかね。余り先に多量の生産ができて売れないようになつたらどういうふうになるでしようか。そういう需給についてのお見通しやお考えを承わりたいのです。それが一点。  それから第二点は、当委員会でも問題にしていますのが栄養の点なのです。先般新聞に出て厚生省が云々と言つて、あわてて取消して、大変あなたのほうの御気嫌を損ねたようですが、併し栄養は非常に大事なんですからね。この栄養という点について農林省ではどうお考えになりますか、長官はどう御留意下さるか、そういう点を一つ承わりたい。こう思う。
  56. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) ちよつと私外務省の会議がありましたので、厚生省のかたのお話のときに出席できなかつたことは非常に遺憾でございます。大体人造米につきまして、現在食糧庁で考えておりますことを簡単に申上げまして、只今の御質問の点についてお答え申上げたいと思います。御承知のように、人造米につきましては、本年当初から、昨年度麦の統制を廃止いたしました以後の状態を検討いたして参りますと、一般消費者の方面におきまする所得の関係もありましようが、昨年度におきましては、パンでございますとか、或いは又麺でございますとか、そういう粉食の傾向が一応頭打ちの傾向を来して参りまして、そうして一方におきまして、押麦でございますとか、或いは闇の米でございますとか、そういう面の消費が殖えて参つてつたのでございます。御承知のように、我が国の現在の食糧の態勢といたしまして、やはり米麦を合せて主食としてこれを確保して参る。又米麦を以ちまして主食の安定をはかつて行くという態勢にございますので、何か麦の消費について適当な方法はないかということをいろいろ考えておつたわけでございます。昨年度におきまする粒食傾向の増加というふうな面、又闇米の消費増というような面からいたしまして、いろいろ我々のほうでは検討いたしまして、昔から芋につきまして、これを粒型にいたしまして、芋飯のような方法がいろいろ考えられておつたわけでございますので、こういう面を検討いたしまして、そうして現在大体米とほぼ同様なものを作り得るという研究が出て参つたわけでございます。これを人造米としてとり上げて普及して参りたいというふうな考え方でおつたわけでございまして、本来この考え方は、これを以ちまして本年度の米の不足を補つて参るということではございませんで、麦の消費の増進、又同時にそれによりまして闇米が減りまして、政府の集荷の面も非常に楽になる、こういうふうな狙いからこれの検討に著手いたしたわけでございます。現在考えておりまするのは、これは特許権の問題がございますので、特許権の問題を処理いたしまして、そうして検査を厳重にいたしまして、配給の面におきましては、これを自由にいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、現在これを米の配給といたしまして、政府が買い上げて配給をして参るという考え方は持つておらないのであります。と申しますのは、御承知のように、原始生産物でございませんで、やはり一つの工場生産物でございまして、或る程度の技術が安定いたさないと、いろいろその間に製品に不均質が生ずるというようなことがあつては困りますので、目下新製品といたしまして、これから更に技術が要るし、更に製品が向上して参る段階にあるわけでございますので、そういう面を指導することによりまして、技術の安定、製品の安定ということをはかつて参りたい、そのためにこれをやはり自由に持つて参るということは、工場側におきましても、消費者に対し又配給業者に対する責任感というものを明確にさすということが必要であろうと考えておりますので、配給をして参るというふうなことは現在考えておらないわけでございます。これにつきましては、現在、只今お話がございましたように、月産二千トン程度でございますが、大体現在から設備をいたして参りますので、まあ明年の三月になりまして相当の数量が出廻るのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。我々といたしましては新製品でございまするし、又工場製品でございまする関係上、検査を厳重にいたして参りたい、かように考えまして、検査を中心といたしまする団体を設立いたしたいというふうに考えておるわけでございますが、これの生産につきましては、特殊銀行の開発銀行でございますとか、そういう方面の銀行関係の資金の斡旋に十分我々としても努力して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。これの原料の面につきましては、只今栄養的なお話がございましたが、我々といたしましても、十分その点につきましては留意して参り、又栄養の点につきましては、十分厚生省とも御協議して参りたい考えでございますが、この製品につきましては一面におきまして商品的な面におきまする面がございますので、商品的な面における検査をどういうふうにするかということを現在考えておりまするが、原料の組合せの面におきましては、大体米と同じ重量を持つという関係で、やはりそこに一つの限度があろうかと考えられるわけであります。大体まあ砕米と小麦粉とそれから澱粉と、こういうことになるわけでございまするが、栄養の点から申しますると、澱粉の量等も或る程度限定があろうかと思いまするし、又実際上生産の面から申しましても、澱粉の配合割合につきましては、これは一升重量の関係から申しましても、又生産技術の面から申しましても、そこに限度があるわけでございます。我々現在考えておりますのは砕米一、小麦粉四乃至五以上でございます。それから澱粉が四乃至五という程度が適当ではなかろうかと考えておるわけでございまして、これは現実に生産をして参りまする場合におきまして十分工場を指導いたしまして、この原料につきましては或る程度の幅が勿論あろうかと思いますが、栄養面に欠けるところのないように十分厚生省とも御協議いたしまして適正な指導をして参りたい、かように考えておるわけであります。ただ更に慾を申しますれば、これに対するエンリツチの問題も当然起つて来るかと思うのであります。我々といたしましては、従来からエンリツチの問題につきましては小麦粉のエンリツチの問題でございますとか、或いは米のエンリツチの問題等についてもいろいろ検討いたしておるのでありますが、これはやはり米につきましては価格の問題がございますし、小麦粉は御承知のように自由な製品でございますので、価格関係におきましてまだ十分に進んで参つておらないわけであります。人造米につきましても工場の製品でございますから、やはり商品といたしましての価格等もございまするので、差当り直ちにこれで以てエンリツチをして参るということは、すぐには困難ではなかろうかとも考えておりまするが、将来の問題といたしましては、これは原料を混ぜましてそうして一つの固形にいたすわけでございますからして、エンリツチ等の問題は非常にた易くできるのじやなかろうかというふうに考えるわけでございます。ただこれは御承知のように製品といたしまして熱を処理いたしましてコーテイングをずるわけでありまして、米と一緒に炊く場合におきましても、それが均一にコーテイングされまして、そうして中身が出ないというふうな技術を要しますので、コーテイングの技術が相当これが生産の面におきましては研究を要するむずかしい点があります。コーテイングの技術が大体現在安定しておりますが、このコーテイングとそれからエンリツチされた場合の温度の問題でございますので、今後そういう点については、製品が市場に出廻りまして、又製品としても現在の原料の組合せにおいて技術が安定して参るということになりますると相当問題に取組めるのではなかろうか。勿論これにつきましては、価格の問題もございますけれども、そういうふうに考えておるわけでございます。で、この需給の面につきましては、我々まあ大体消費地におきます配給量等の関係からいたしまして、現在まあ或る程度の闇米の消費が行われておるわけでございます。で、その或る部分に代替して参るということで一つの見通しを立てておるわけでございまするが、これは御承知のようにまだ僅か製品が出たばかりでございまして、今後の需要の状況というものは、これは明確には我々もつかみ得ないと思つております。非常に製品が良くなり、又価格も下つて参りますと相当の需要になるのではなかろうかというふうに考えられますが、差当り消費地におきます米の消費の一割程度ならば先ず先ずいいのではなかろうかというふうに考えまして一つの見通しを立てておるわけでございますが、これは現実の問題といたしましては、絶えず生産の状況と消費の状況とを見比べながら、相互に需給の安定をもたらして行くように現実の事態に処してやつて参りたいと、かように考えておるわけでございます。極く簡単でございますが考え方と御質問の点につきましてお答えを申上げた次第であります。
  57. 山下義信

    山下義信君 よくわかりました。これからということで余り先走つてかれこれ議論をいたしましても、或る意味において邪魔になつてはいけませんので、余り先走り過ぎまして申上げてもいけませんが、併しながら当局にお願いしておくということになれば、今の段階が一番いいわけなんで、我々はまあ食糧庁長官としては、全体の商品化の問題、当然これが又需要者の好み、いろいろな経済的に打算等に相適合して行かなければならんので、いろいろ製品技術も又進歩その他で御心配下さるのですが、我々は主としてエンリツチの問題で取上げて行く立場にあるわけなんで、関連してかれこれと当局方針を伺うわけなんですが、これはこれから何ですか、もつと製品技術に改良を加えますると、我々しばしばサンプルを、極く最近のものを見て、炊いても食べてみておるが、それよりはもつとよくなるでしようか。  それから先ほどお話のありました特許の問題ですね。関連しまして、これは誰でも当局に願い出る、まあ仮に特許の問題が片附けば、その生産についてはあなたのほうの許可を受けるようになるでしようか。或る程度の規模を持てば、それでその生産は誰でもできるようになるのでしようか。私はあのいろいろなものであなたのほうの今日まで農林省食糧研究等の御苦心の状態を見ておると、いわゆる何といいますか、パテントと言いますか、そういう基本的なものは発明者が持つておるのでしようけれども、製品をここまで至らしめたところの工程等についての苦心はあなたのほうが相当苦心をしておると思うのですね。それで、ああいう製品化する、その技術面等についての政府の苦心がそこに入つている。ただその粒形化するといいますか、その機械だけについての基本的特許があるでしようが、そういう点は一体どうなんですか。これは誰でも造れるようになるのでしようか。或いは今言つたような、日清製粉その他といつたような大きな製粉会社が中心になつてやるようになるのでしようかね。それでそういう点を私はまあ余り先走るようでありますが、従つて関連して粗悪品の取締りをする、検査を励行するというようなことも実際においちや非常にむずかしくて、人造米の闇人造米も又できるようになつてしまつて、闇人造米をどう取締るかというようなことになつて来る。而も自由な製品ということになる。そういう点について粗悪品が出てくれちや困るのです。当局製造等についてはどういう御方針、お見通しを持つておられるか、そういう点を承わつておきます。
  58. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お答え申上げます。今の山下委員の御質問、実は一番中心になるのでございまして、我々といたしましてはこの点についていろいろ検討いたしておるわけであります。と申しますのは、只今のお話のように、これは建前といたしましては誰でも造つていいという形になるわけでございます。この企業につきまして、これの企業の許可制を布くとか、或いは制限をするとかいう考え方は我々としては持つておらないわけでございます。ただ併しながらこれが新製品でございまして、そして当初におきまして粗悪品が出ますと、折角のいいものがその粗悪品のために全然元も子もなくなつて来て、非常な不評を買うということになつても困りますので、検査を是非一つ厳重にやつて参りたいというふうに考えるわけでございまするが、この検査をやりまする場合におきましても、やはりそこに一定の限度がございまするので、只今のお話がございましたように、特許権につきましては米式のものが現在特許として行われておりまするが、これを或る程度食糧研究所において改良いたしたと申しますか、別個の形とも見得るわけでございますが、これにつきましてはまだ特許の許可がありませんので、まあそれは現在のところにおきましてはその前の特許が一応行われておるわけでございますので、これを何らかの形におきまして政府が取得いたしまして、特許の面、検査の面、それから同時に資金の斡旋を或る程度、こういう次第でございますから資金の斡旋をしなければならない。そういう資金の斡旋等を通じまして、余り小規模のもので自由にこれが無責任に造られて参るということを阻止いたしたいと考えておるわけでございますが、併しこれも御承知のように全部の統制ではございませんから、検査につきましてもやはり強制検査という形になり得ないかと存じます。従いましてこれはマークなり、何らかの形におきましてやはり政府として検査をいたした点をはつきり明らかに表示いたしまして、そうして政府の検査をいたしましたものについて、一つ消費者のかたにそれを消費して頂くように、その両者の間におきまして或る程度の消費者面におきまする撰択ということをお願いいたしたいと考えておるわけでございます。従いまして検査の問題につきまして或る程度の、これを実施して参ります場合、或いは融資幹旋をいたします場合等におきましては、或る規模におきまするそういう検査に堪え、又十分技術的に見ましても優良製品を造り得るというふうな規模のものを融資なり、特許権としての対象として考えて行く必要があるのじやないだろうか。建前論といたしましては、これは誰もがやり得る形になるわけでございますが、現実に政府といたしましてそれに融資の斡旋をし、或いは又特許につきまして使用を与えるという場合におきましては、消費者の面を考えまして、余り危険な面に亘らないように、そこにチエツクして参るという形に考えているわけでございます。従いましてこれは製粉業者でなければならないとか、或いは澱粉業者でなければならんという制約は考えておりませんが、少くとも消費者の面におきまして、或る程度消費者に営業が不利な損失を与えないような態勢に持つて行きたいという点で、そういう点の規模その他につきまして検討いたしている次第でございます。
  59. 山下義信

    山下義信君 大変明確な御答弁を頂いて大分わかつて来てありがたいと思うのですが、結局長官の御答弁によりますと、この人造米を主食の対策の非常に大きな問題として恒久的にやるという考えはない。今年度のいろいろ米穀需給の状況等をも勘案し、又麦の消費という点も考えてやるということでありまして、成るほどそうかなという同感の気持もするわけであります。こういうことは今日から予測、見通し等はお互いに困難でありますから、かれこれ申しませんが、今先ほどからの御答弁で、粉食等についての状況が頭打の状況にあるということをおつしやつたのは、私非常に注目すべき御言明だろうと思う。今朝厚生省で聞くと、粉食を一生懸命やる、まだまだ奨励するという、委員の我々としても多大の希望を持つて、この人造米のために粉食奨励が逆コースになつてはいかん、世評もその点を指摘して一部言つておりますが、なつてはいかんというような気がする。併し長官が、食糧事情通の而も権威者の長官が、そういう粉食のようなものは先ず頭打の情勢だという今日の御観測は、私はこれは注目すべきだと思うのです。それで今の何と言い、ますか、パンをもつとうまくして値段を下げたらどうかという御指摘が本席でもあつた。或いは麺類を下げたらどうか、食糧の種類は幅が広いほうがいいじやないかという議論の一部として、そういう、値段を下げたらどうか、うまくしたらどうかといつたような議論もあるわけなんです。そういう点についてのお考え方はどうでしようか。  それからもう一つ念を押して聞いておきますが、栄養の点は十分これは考慮して一つつて頂けますかしら。それから関連して、あなたのほうに御関係があるのか知らんのです、私は。厚生省のほうが主として関係しているのか、奨励をしているのか知らんのです。知らんのですけれども、例のニユーライスとかビタライスとかプレミツクスとか、ああいうものがありますね、ああいうものの価値はどんなものですか。若しああいうふうな式に人造米一つあの式をとり入れてやるというようなことも研究されますか。あの俗に強化米と言つている、ああいうものの価値食糧庁長官はどう考えられますか。若し人造米栄養価において白米に劣るところがある、カロリーは同じだけれども成分等について不足を生ずることもある、それを一つ大いに栄養的面を補強しようというので、そういうようなものについての関連してのお考えというようなものはどんなものでしようかという点を私は最後に承わつておきたいと思うのです。
  60. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お答え申上げます。私先ほど粉食につきまして頭打ちをいたしているということを申上げたのは、先ほど申上げましたうちに、統制中とそれから昨年の七月に統制を廃止いたしまして、自由に消費し得るような形に持つて行きました場合とを比較いたしまして、やはりそこに粉食の伸び悩みが現れおつたわけでございます。ただ我々といたしましては、この麦の消費につきましては従来共に一つの食生活の改善という建前からいたしまして、これをないがしろにいたしまして、そうして他の方向に転換するという考え方は全然ないわけでございます。ただ日本人の米と申しますか、粒食に対する執着が非常に強いわけでございますから、そういう麦を今後米と並んで国民の食生活に組入れて参ります場合に、麦が絶対的に粉食でなければならないということでなくても、やはり形を変えて小麦粉が消化されるということも、その一部分としては考えられるのじやなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、やはり小麦につきましては、粉食がパンなり麺なり、これがその根幹であるということについては我々全然異論がないわけでございます。勿論最近の闇米の状況からいたしまして、この麺なりパンなりが相当売行きが回復して参つて、むしろ従前よりも非常に売れて参つておるということはこれは現実の事実でございます。これに対しましては価格の安定を図りまして、必要な数量は小麦なり大麦につきましては製粉会社の希望に応じまして、もう殆んど無制限に出して行く、そういうことによつて価格の安定を図り、そうして又パンなり麺なりの消費を増進して参りたいという考え方には全然我々も従来からと変りはないわけでございます。  それから栄養の点でございますが、人造米につきましては、栄養の面におきましても白米と同様な形において栄養が摂取されるという建前で我々は考えておるわけでございます。ただ白米に欠ける問題のビタミン類のエンリツチの問題でございまして、従来ともに米につきましてもビタラィスなりプレミツクスなりエンリツチの問題が研究されておりまして、我々もそういう方向に将来進むということはこれは非常に歓迎すべき点でありますので、配給統制の中にありますけれども、試験品といたしまして原料をお渡ししまして、更にその原料の面の検討を続けて頂いておるわけでございます。ただ御承知のように現在の家計からいたしましても又配給の価格を統制いたしておりまするので、これを全面的に実施して参るというのにはまだ段階があろうかと思われるわけでございます。この際に人造米についてのエンリツチは白米のエンリツチより非常に簡単であるということは考えられると思います。併し現在の人造米価格から申しますとエンリッチしたものはキロ百円くらいになります。現在の白米の六十八円より相当高くなつてつておる、これは恐らく特殊用途の、例えば工場でございますとか、或いは保安隊でございますとか、そういう特殊の用途の場合には行き得るかと思いますけれども、一般的に新らしい製品を奨めて普及して参ります場合においては、やはり価格関係で消費者の家計というものに問題がございますので、これは差当りはエンリツチをしないで持つてつて、更に合理化によつて価格が下つて参りまして、或る程度消費者のほうの需要も安定いたしまして、そうしてこれによつてエンリツチをすることによつて価格もそう上らん。又それによつて消費者の需要も減じて参らないという段階においてエンリツチを考えて参ることが必要ではなかろうかと、かように考えておるわけで、ございまして、ただ従来の白米のエンリツチと人造米のエンリッチ、これはいろいろそれぞれの効果と申しますか、狙いと申しますか、違つて参るかと思いますので、エンリツチの問題は将来の食糧政策といたしましても十分考えて参らなければならないと思いますが、それではその現在の段階において直ちにこれが実施に移り得るかどうかというと、そこに時間的な距離はまだあるんじやなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
  61. 山下義信

    山下義信君 一応私の質疑は打切りたいと思います。
  62. 中山壽彦

    中山壽彦君 今朝厚生当局もこの人造米価格の問題はまだ検討していないということでありますが、只今長官のお話のように、小麦澱粉成分というようなことになりますと、これは栄養の面からいうと栄養価が劣る。併し大体人造米の一キロの値段をどのくらいの見通しをつけておられるか、澱粉の量が殖えると人造米が非常に白く見えがいい。やはりこれを買うような意欲をそそるんじやないか。併しながら栄養価はだんだん下る、値段も澱粉をたくさん混ぜれば高く行くだろう、こういうふうな関係に私はあると思いますが、そういう点をどういうふうにお考えになりますか。
  63. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お答え申上げますが、お説のように新製品でございますから価格の問題で非常に問題がございまして、現在におきましてはとに角内地米の配給価格より高くなつております。我々といたしましては一つ少くとも内地米程度、或いはできればそれ以下ということでなければ進んで参らないのじやないかというふうに考えまして、大体内地米或いはそれ以下という程度に考えております。従いましてその価格と関連をいたして参るわけでございますが、澱粉の消化につきましては、これは栄養面でも勿論問題がございまするが、我々の人造米として考えておりまするのは、少くとも白米と同程度カロリーのみならず、蛋白なり脂肪なりの持てるものにいたしたい。それにはやはり小麦粉の使い方が問題だと思います。小麦粉の使い方の問題につきましては我々は個々の点につきましては二つのジレンマを持つておるわけでございます。と申しますのは、栄養価を高くするためには強力粉を以て行けば小麦が少量でも栄養価が高くなると思います。これは又本来のパンに強力粉を以て行くのが本筋でございますが、そこに強力粉の問題とパンの問題、そういう問題を睨み合せて配合指導をいたして参りたい、脂肪なり蛋白につきましてはほぼ白米と同じ程度に持つて行きたいと考えておるわけでございます。ただ澱粉の問題につきましては、そのほかに原料面におきましても、甘藷澱粉につきましては砂が入つておりますとか、或いは脱色等の問題がございますので、今後更に技術的の検討を加えなければならん問題がございまして、現在使つておりますのは馬鈴薯澱粉とそれから小麦澱粉という形になつておるわけでございます。将来は或る程度工場が拡張いたしますると甘藷澱粉等も使うことになると思いますが、これはそういう見えがいいと同時に、価格関係もございまするし、又生産技術から行きますと、余り澱粉を使うとうまくできない、そういう制約もあるわけでございます。やはり小春とか澱粉とかいろいろ検討いたしますると、当初は余り技術の面からいたしましてもそう多くは入らないんじやないか、価格関係から申しましても澱粉のほうが高い現状であります。
  64. 中山壽彦

    中山壽彦君 私はこの春或る会社に視察に来てくれということで、それは人造米の視察ではなかつた、ほかの目的でありましたが、たまたま行きましたところが、そこの社長から、今これができたから食べてくれといつて出されたのが私は人造米だと思います。現在会社によりましてはそういう人造米作つて市場に販売をいたしておるんですかどうですか、それを一つ
  65. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 現在約八工場ございまして、月間二千トン程度のものが市販されております。そのうち市販されますのと、相当大口の工場のほうにも行つておりますが、その二千トンのうち殆んどが一般市場の消費者を対象として流れておりますけれども、製品として二千トン程度のものが市販されておるという状態であります。
  66. 中山壽彦

    中山壽彦君 それから今朝ほども厚生当局にも話したのでありますが、粉食というものは食パンにいたしましても麺類にいたしましても価格が高いから利用がよく行かないという欠点がある、この粉食の製品というものが何らかの形で現在よりも安く一般消費者に渡るような方法はないものでありますか、それを一つお尋ねいたします。
  67. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この点が粉食普及の面におきまして一番重要な問題であります。我々といたしましては現在粉食の普及につきましては、政府といたしましては原料面での価格の安定を図つて参る、これで大体現在政府が狙つております小麦粉価格というものが安定した形になつておりますが、御承知のようにパンなり、特にパンでございますが、パンの場合におきましてはその原料費は五割以内でございます。その加工賃、特に人件費というものは高くなつております。御承知のようにパン工場というものは中小企業でございます。極く小規模の形で造られておりますので、そういう点からいたしまして技術面にも問題がございまするし、又そういうコストの点から言つても相当割高になつておるわけでございます。それで、これは希望から申しますれば或る程度の企業に合体されまして、そうして特に食パン等のものにつきましては大企業で以て造らせるということがコストの面から行きましても品質の面から行きましても適当であろうと思うのでありますが、我が国の現在の経済的な状態からいたしますと、そういうふうにすぐには行き得ないことでございまするので、だんだんにこのパンの技術の指導なり、或いはコストの低下なりを図つて参るということを考えておるわけでございます。現在におきましては、小麦粉価格につきましては、御承知のように食糧につきましては本年度におきましては闇米が非常に高くなつておる、それに引替えまして、小麦粉につきましては大体ほぼ価格が上らないように政府としては間接的な統制をやつておるわけでございます。そういう形におきまして現在におきましては相当いわゆるパンなり麺なりが最近におきましては非常に売れ行きかいいわけでございます。この売れ行きを利用いたしまして、我我といたしましては原料をどんどん与えて、そういうことによつて価格が安定をするということを狙いまして、同時に配給面或いは又加工面におきましてはそれぞれ、例えば東京でございますと、東京都と警視庁と相談いたしましてできるだけそういう面で原料面を援助をすることによりまして価格を上げないように自主的な話合いをいたしておる、こういう現状にあるわけでございます。
  68. 中山壽彦

    中山壽彦君 最後に私は希望をいたしておきたいのですが、食糧政策というものはこれは農林省だけでは私はいかんと思います。厚生省関係もあるので、両面から国民にどうしたら一番いいか、又値段も高ければいかんですから、そういうことを考慮して一つ根本的に建直して行く。それには農林省と厚生当局一体化して日本の食糧政策は今後どうすればいいかという大きな見地からこの問題を取上げて、一つ十二分に検討してもらいたいということをお願いをしておきます。
  69. 山下義信

    山下義信君 この問題は委員会といたしまして重大な問題ですから、なお調査を継続するということにして、本日はこの程度で御散会を願います。
  70. 常岡一郎

    理事(常岡一郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十四分散会