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1953-07-27 第16回国会 参議院 建設委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十八年七月二十七日(月曜日) 午前十時五十二分開会
—————————————
委員
の異動 七月二十四日
委員三輪貞治
君辞任につ き、その補欠として
江田三郎
君を議長 において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
石川
清一
君 理事 石井 桂君
石川
榮一
君
委員
石坂 豊一君
小沢久太郎
君
鹿島守之助
君 赤木 正雄君 高木 正夫君
江田
三郎
君
小笠原二三男
君 近藤 信一君
田中
一君
政府委員
調達庁次長
堀井
啓治
君
建設政務次官
南 好雄君
建設大臣官房長
石破 二朗君
建設省計画局長
渋江
操一
君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
常任委員会専門
員 菊地 璋三君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
土地収用法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
石川清一
1
○
委員長
(
石川清一
君) それでは
只今
から
建設委員会
を開会いたします。 本日は日程に御報告申上げました
通り
、先ず
土地収用法
の一部を改正する
法律案
の
質疑
を続行いたします。
小笠原二三男
2
○
小笠原二三男
君 この前の
論議
の経過に鑑みて、
政府側
は
質疑
の前に何か言うことないですか、なか
つた
ら
質疑
しますが……。
石川清一
3
○
委員長
(
石川清一
君)
小笠原委員
から前回の
質疑
の
過程
において
政府側
から答弁しなければならん
よう
なことがあるという御趣旨でございますが……。
渋江操一
4
○
政府委員
(
渋江操一
君) この前主として御
論議
がございました点は、
斡旋要員
の
職務権限
がやはり
明確性
を欠いているのじやないかということでいろいろ御
論議
がございました。そこでそれに対しまして補足いたしまして
質疑応答
が或る
程度
繰返されてはおりますが、
説明
を附加えさせて頂きたいと思います。その
一つ
は、
斡旋
が
当事者
に
拘束力
を持つかどうかという点でございますが、これはもうこの御審議の際にいろいろ御議論が出ました
よう
に、
当事者
の
合意
をまとめるためにやるのではございますが、それは飽くまでも
当事者
の了解を得るという
前提
に立
つて
斡旋案
が成立するという
関係
にな
つて
おりますので、
斡旋
が出たそれ
自体
が
法的拘束力
を
当事者
に加えるということは、
当事者
の
意思
に反して
拘束力
が加えられるということは、これは全然ないと御了承願いたいと思います。 それからこの
斡旋
と
収用委員会
の本
手続
における
裁決
との
相違点
、これは
石川先生
から多少
お話
がございましたが、この点について若干申上げますと、
斡旋案
の
内容
の場合が、
裁決
の場合の
内容
より広いということは、これは言えると
考え
ております。即ち
収用法
本来の
裁決
の場合におきましては、
裁決案
の
内容
として取上げられない、例えて申しますれば、
犠牲者
の精神的な
損害
に対する
給付
でございますとか、或いは
補償金額
を超える
代替地
の
提供
でございますとか、
道路
の新設或いは
犠牲者
の
就労対策
、こうい
つた
よう
ないわゆる
正規
の
補償措置
では解決できない
便宜供与
と申しますか、
反対給付
というものを
斡旋
の場合においては盛り得るということにおいて、
斡旋案
の
内容
のほうが
裁決
の場合よりも広い
立場
で
斡旋案
を提示し得るということが
一つ
言えるのではないか。即ち要するに
当事者
の
合意成立
に役立つ効果的なあらゆる
手段
をこの際広く取扱うことを
考え
ておるということを補足さして頂きたいと思います。要するにそういう
関係
におきまして、
職務権限
という
一つ
の明確な線は、
斡旋
が成立するには
当事者
の
斡旋
の
申請
というその
意思
に或る
程度拘束
を受ける。それから
あと
は三カ月の
起業者
は本
収用
の
土地細目公告
の
手続制限
を受ける。こういう
関係
を離れましては、
当事者
の
合意成立
をできるだけ可能ならしめる
よう
なできるだけ効果的な
手段
をあらゆる面でとれる。これが
斡旋
の
委員会
の
戦務権限
の大きなプリンシプルだ、こういうことを申上げることができると思います。 以上
補足説明
をさせて頂きます。
田中一
5
○
田中一
君 今
斡旋委員
の
権限
の問題と御
説明
があ
つた
のですが、それは
政令
か或いは
施行細則
か何かで表示し
よう
というお
考え
ですか。
渋江操一
6
○
政府委員
(
渋江操一
君)
政令
その他で
規定
をいたしたいと思いますることは、
斡旋
の
申請
その他、或いは費用の負担、手数料とか、そうい
つた
よう
な点を
規定
したいと、要するに
手続的規定
を
規定
したい、か
よう
に
考え
ております。
田中一
7
○
田中一
君
身分
だけは
斡旋委員
として
法律
からきめられると思うのです。
身分
だけは
法律
できめられてお
つて
も、一体
権限
がどこまであるのか、甚だ疑問なんですよ。結局
斡旋委員
の
身分
だけは
はつ
きりしていますけれ
ども
、この間も
石川委員
からも質問があ
つた
よう
に、どの辺までの
斡旋
をするのか、その辺が明確にな
つて
いないわけですね。無論この
斡旋委員会
というものはこの
土地
を
収用
するための
斡旋委員会
なんです。決して
政務次官
から
お話
があ
つた
よう
なこれを拒否するための
斡旋委員会
ではないのですから、或いはそういうことも
答申
とすればあり得るということであ
つて
、この
法律
の
建前
としては、
土地
を
取得
するために、
土地
を
取得
するための
斡旋委員会
なんです。
従つて
どこまでも
斡旋委員会
というものはその
土地
を、
起業者
に
土地
を
取得
させるための
斡旋委員会
なんです。
従つて
又繰返しますけれ
ども
、
政務次官
が言う
よう
にそれを全部、これは
取得
してはならないという
答申
もしてはいけないとは書いてありませんからかまわないわけですし、併し
建前
はどこまでもその
土地
を
起業者
に対して渡そうという
斡旋委員会
なんです。そこに我々は疑問を持つのです。どこまでも
土地
を
起業者
に
取得
させ
よう
という
目的
の
斡旋委員会
なら、それは何に照し合せて
斡旋
をするかということです。恐らく裏には
土地収用法
という
法律
を
裏付け
として
斡旋
をし
よう
ということに違いないのです。どこまでも
土地収用
という
よう
な
制度
を背中に
背負つて斡旋
をし
よう
ということなんです。無論それは
土地収用法
の中に盛り込まれる
斡旋委員会
なんですから……。そうしますとこの前も申しました
よう
に正しい
意味
の
土地収用委員会
にかかりますと、
法律
の
建前
から行きますと、その
土地
を取られる側のほうの、いわゆる
被害者
のほうの側の代弁もできる
よう
な
土地収用委員
もおれば、或いは
調停委員会
ならば、その直接
利害関係者
から依頼されたところの
調停委員
も出ることがあり得ると思うのです。そうしてなお且つ
土地収用法
にかかりますと、先般
計画課長
が
言つたよう
に
免税措置
がとられてある。併しながら単に
斡旋委員会
だけで
話合い
でや
つた
場合には、これは個人的な
契約
です。
従つて
その
取得
に対する
税金
は取られます。
税金
がただになるということは
法律
のどこにもないわけです。だからこの
大臣認定
によ
つて
、
起業者側
のほうの
利益
を代表せんがために或いは
目的
を達成せんがための
斡旋委員会
ということに断定してもこれは間違いないのです。そうして生れるところは、
話合い
で以てきめた場合は或いは
話合い
のほうが余分な補助的なあれが行くかもわかりません。併しながらこれに対して課税をされる。そうして
土地収用法
に照らし合せますならば、例えば
自分
の家を
自分
では今時間がなくて家が建てられないという場合は、その家をあすこの岡に持
つて
行
つて
建ててくれと言えば
起業者
は建てなければならん。
話合い
で全部済まして行くということになりますと、これは
話合い
の
条件
で
以つて法律
より……あなた方は
法律
より緩やかになるという
考え方
かも知れませんけれ
ども
、私は
法律
よりも辛くなる。
土地収用委員会
にかけたほうが
被害者
の
利益
を守れるという
よう
な
観点
からものを言
つて
おるわけです。私が今御質問していることに対しては
計画局長
どうお
考え
になりますか。
渋江操一
8
○
政府委員
(
渋江操一
君) 先ずこの
斡旋
の
制度
が
起業者中心
にこれは行われるものであるというお
考え
でございますが、併し先ほど私が申上げました
よう
に、
斡旋そのもの
の
つまり拘束力
と申しますか、それは
当事者
の
合意成立
ということを
一つ
の
前提条件
にしておるわけです。
合意
の不成立の見通しがあるにもかかわらず
斡旋
を提示するということは、これは
考え
られない。若Fし
考え
られるとすれば、それは
斡旋
の打切りという形にならざるを得ない、こういうふうに
考え
ております。
従つて斡旋案
が提示されるということになる以上は、これは
法律
的には、これは
当事者
の
合意
が、それによ
つて
成立するという
一つ
の
前提
に立
つて
斡旋案
を提示し、それが
当事者
の、今
田中
さんのおつしやいました
よう
にこの
土地
の
提供
、
土地
の
取得
ということに対する
一つ
の
契約
という形に、
合意成立
という形に持ち込まれて来る結果になるわけであります。
従つて
そういう
意味
で
起業者
は、その
観点
だけから申しますれば、これは
起業者本位
ということでこの問題を取扱われることは、私は如何かいうふうな
感じ
がするわけです。従来、この間から
一つ
の例として申上げました各事実上の
調停
、
斡旋
という形の場合を比較して見ますと、これはいずれも
起業者
がそれぞれの
地元
のいわゆる
犠牲者側
に対する
説得方法
という形でこれは行われている。飽くまで
第三者
が入
つて
や
つて
おるのではございません。これは飽くまで
起業者本位
ということがこの場合には言えると思う。この
構成自体
においては、私が先ほど申上げました
よう
に
第三者
も入るが、
当事者
の
利益
を代表すると思われる
立場
の人も
斡旋委員
の中に加わられて一向
差支
ないし、又そういうことを
考え
ておるのだということを申上げておりますから、そういう
考え方
から申しまして、これを
起業者本位
の
斡旋制度
であるというふうに言われることは、やや私たちの立法の意図しておるところから違うと申しますか、外れておるのではないかと率直に
考え
ております。 それからもう
一つ
の、
斡旋
のほうが
法律
の裁定よりも辛くなる。これは私
はさよう
には
考え
ないのでございますが、なおその点については先ほ
ども
申しました
よう
に、
反対給付
の
方法
としては、
合意
が成立するという限りにおいては、できるだけ広くこれを
斡旋
の
内容
として盛り込むことができる。こういうことが書いてありますし、事実上の
運用
もそうでなければ
斡旋
の特色というものは生れて来ないというふうに
考え
られますので、例えて申しますれば、現在の
収用法
の中におけるいわゆる
代替地
の
提供
、或いは九十三条における
補償取扱基準
、これはやはりそれぞれ
損失補償
の
一つ
の目途をつけておりますから、
収用委員会
ではどうしてもそういう
基準
に外れてはこれは
補償裁決
はできない。併し
斡旋
の場合においては、これは
石川委員
からも御
指摘
がありました
よう
に、又私が申上げました
よう
に
反対給付
の
一つ
の
方法
として、或いは
犠牲者
に対する
一つ
の何といいますか、
便宜供与
の
一つ
の
手段
として、或いは
道路
をここに新設するということをこれは
考え
て、
斡旋
の
内容
にそれを取込んでオーソライズしておいたということもある。それから
犠牲者
の
就労対策
という
よう
な問題についても、これは
収用委員
の
裁決
の場合にそれを取上げるということは
法律
は
要求
しておりませんし、又それは事実
収用委員会
の
裁決
がそういうことを取扱うことは私はあり得ないと思いますが、
裁決
以外の
手段
において、それは
収用委員会
がいろいろ
第三者
にそういうことを申すことはあるかも知れないけれ
ども
、それは
裁決
本来の
内容
ではない。そういうことを
斡旋
の場合については
考え
るという
観点
において私は広い
取扱い
ができる、か
よう
に
考え
ております。 それからもう
一つ
の
免税措置
の問題、これは成るほどおつしやる
通り正規
の
補償
の場合においては
法律
で
免税措置
が明示されております。尤もこの
収用法
の他の
手続
における
補償
について
裁決
を経た場合と、そうでない場合と、これは
片方
は
法律
に明示されており、
片方
は
国税庁長官
の通牒で、そういう場合に各
出先
において
免税措置
をとる
よう
にということを申渡しておる。これは事実上行われておるかどうかは別問題ですが、一応そういう
立場
に立
つて
行くという
運営
の
相違
がございます。この点は
はつ
きりそういう
相違点
があるから、
犠牲者
に対して若干のそこに
取扱い
が
裁決
の
通り
行かないという点については
田中
さんの御
指摘
にな
つた
ところと同様に
考え
ておるわけであります。
田中一
9
○
田中一
君
政令
には事務的な扱いだけを書くのですね。私は結局今の
斡旋委員
というものはどこまでも
土地収用法
の、本法の
裏付け
を以て
斡旋
することに間違いない、今の御答弁はその
通り
ですね。従いましてその場合その
業務範囲
と
責任範囲
が明らかにならなければ……これは結局
事業遂行
及び
土地
の
取得
が
目的
なんです。この
収用法
第三条の業種というものは、これは
土地取得
が
目的
なんです。どこまでも
起業者
の
味方
になるということにならざるを得ない。そうして若しも強いて
被害者側
の
味方
になるという場合ならば、その
希望
を十分織り込んで、その
事業
の
目的
を達成する、いわゆる
土地
の
取得
を達成するということにほかならない。そうして又
政令
においてもそのことを明確にしないということになれば、どの
観点
から見ても
斡旋委員会
における
斡旋委員
の性格は全然ないのです。少くとも
起業者
のほうの
立場
に立
つて
の
斡旋
ということにならざるを得ないのです。これを
政令
でも明確にしないというならば、これは私は
被害者
の
立場
に立
つて
見る場合には、そういうことは到底許されないものである、こう
考え
るわけです。これは
あと
は押問答になりますけれ
ども
、
政令
にもそういう
よう
に
斡旋委員
の
業務
の
範囲
とか
責任
というものを明示しないつもりですね、どこまでも……。その点もう一遍明確に御答弁願いたい。
石川榮一
10
○
石川榮一
君
只今田中委員
の御
主張
は一応筋の
通つた
御
主張
と思いますが、私
ども
の
考え
ております現在の心境の
斡旋委員会
というものは、むしろ
業務規定
を
作つて斡旋委員会
の
活動範囲
を限定するということ
自体
がよくない。私は
土地収用
の
補償要項
は、これは
斡旋委員
は十分にそれを了承しておりますから、
土地収用
についてこれだけの
補償
はあるのだ、これは
はつ
きりしておるということを提示して、それ以外にこういうこともや
つて
やる、ああいうこともやるがどうだ、あなた方はどういう
希望
があるかということを聞いて、広汎に政治的な解決をいたしまして、そのいわゆる
犠牲
に立つ方の了承が得られる
よう
にすべきだ。むしろ私はこの際
田中委員
の
説明
と
立場
を換えて言いますと、
斡旋委員会
が
土地収用
の
準備工作
として活動するんだということであれば、これは異議がない。これは
田中委員
のおつしやる
通り
私は
収用委員会
にかけべきだ、それでよろしいと思いますが、それより以上にもつと広汎にです、この
土地収用法
で
補償要項
をきめておりまする以外に逸脱をして、でき得る限り政治的な行政的な
立場
からその
犠牲者
に対して
福利
を増進して上げ
よう
という
よう
な考慮を払いつつ広汎に
亘つて
その
犠牲者
を救済する態度をとりまして、そうして
犠牲者
の
希望
を成るべく達成する
よう
に、そうして同意のうちに、本当に
合意
の下にこの
斡旋委員会
が成功する
よう
にしなければならん、
土地収用法
の要するに
補償要項
で、これが最後的な立派なものだという判断は国会がきめたのでありまするから、法的にはそう
考え
ますが、なかなか私
ども
はそれでは納得行かんと思うのです。
土地収用法
の
補償要項
だけでは物足りない。それでは真実に我が部落、我が地方では生きて行けないという
よう
な
立場
からいろいろ
生活権
を守るため、
土地
の発展を図るためいろいろ
希望
あると思います。これらの点を
斡旋委員
は十分に汲み取りまして、そうしてこれは農林省なり或いは運輸省なり、或いはその他なりにいろいろ折衝いたしまして、或いは
県庁側
にも折衝いたしまして、広汎に
亘つた補償
を供与し
よう
、そうして納得してもらう。その結果は
土地収用委員会
で裁定しましたものよりもプラスになる。プラスしなか
つた
ら
意味
はない。
土地収用委員会
できめただけのものをきめるのならばこれは要りません。それで物が足りるのならば、物事は
土地収用法
さえあれば何も要らないのでありますが、ところが現実は
土地収用
の
関係法案
が
通り
まして、
地元
の諸君とは十分に研究をしても、それではまだ納得行かないのです。こういう
よう
な点もありますので、この点は筋としては
田中委員
の言われるほうが正しいのでありまするが、
斡旋委員
はむしろ私は
権限
を拘束されないほうがよろしい。それで不成功の
よう
な場合は、若しその
犠牲者側
からの
要求
を妥当なりと信じて
斡旋委員
が活動して駄目な場合には、
斡旋委員
みずからその
斡旋
を放棄する。そうして
犠牲者
の
立場
に立つということもあり得ると思う。それで或いは成功するかもわかりません。要は
斡旋委員会
によ
つて
得たところの
犠牲者
のその経済的な
価値
或いはその福祉上の
価値
のほうが
収用委員会
で
裁決
されたよりもよくな
つた
、又よくならなくちやならんのだ。こういう
意味
合いに私は
斡旋委員
は活動すべきだ、こう思うのであります。それでなか
つた
ら
意味
がない。そうでなか
つた
ならばこれは全く
田中委員
のおつしやる
通り
であります。 それからもう
一つ免税措置
の問題でありますが、
収用
されたものに対しては
免税
をしております。
収用
しないものは、
斡旋委員
の
妥決
によりましてこのままでおきますれば、或いは
税務当局
はこれに課税して参る。私は
斡旋委員
が一旦きめたものは、形においては直ちに
収用
すべきだ、
妥決
しましたならば必ずそれは、
斡旋委員会
を経たものは必ず
収用形式
をかけるべきだ。そうしてその
免税
に当てはめるべきだ。ここまで
斡旋委員
は努力しなければならんと思う。それから
収用委員会
にいたしましてもそのことは十分に了承して
運用
してほしいのであります。私
ども
そういう経験があるのでありますが、この
利根川筋
におきましてこういう問題に当面いたしまして、結局
斡旋委員
の形をとりまして、両者から任されたことがあるのであります。随分当時
建設省
にも難題を持かけまして、苦しい、いわゆる財政上非常に困難を感ずる
よう
な
要求
も容れさせ、或いは橋梁とか
道路
、
都市計画
、あらゆるものをその
土地
に
提供
することにしまして、
土地収用
のいわゆる
補償要項
できめた以上の
福利
を与える
よう
にいたしまして、その後
妥決
を見たのでありますが、それに対しましては直ちに
収用委員会
にかけてもらいまして、そうして
免税措置
を講ずる
よう
にして頂いておりますが、これはやかましく言えば違法な処置でありまし
よう
。併し
斡旋委員
にかかるということはすでに
土地収用
の運命にありまするから、この
斡旋委員会
で決定したものに対しては全面的に
土地収用
をかけるということを、これは
犠牲者
にも十分了解してほしい。むしろ永久にこれは国家のために
収用
されたのだという事実を
はつ
きり法的に記録させることがむしろ
犠牲者
の
立場
を明るくするのではないか、こう思うのでありまして、これらに対する
建設当局
の見解、いわゆる
斡旋委員会
できめたものは
土地収用法
にかけるか、かけないか、私はかけるべきだと
考え
るのです。この
運用
に対して
土地収用
に関する面においての
計画局長
の御意見を聞きたいと思います。これは
免税
に関する大きな問題であります。
渋江操一
11
○
政府委員
(
渋江操一
君) この
斡旋委員
の
業務規定
と申しますか、これは今御
論議
になりました
よう
なことについて、いわば
業務規定
を作るということは、
却つて斡旋制度
のいわゆる生きた形といいますか、そういうものを
却つて
私は失わせるのではないかというふうに
考え
ておるわけでございますが、いわゆるこれは先ほど申上げました
よう
に
当事者
の
斡旋
してくれということは、
土地
の
提供
をする或いは
土地
の
取得
をしてほしいという、その本旨に反せざる限りにおいて、できるだけ自由な
立場
を
斡旋委員
はと
つて合意成立
の
過程
に持
つて
行く。いわば
当事者
の
斡旋
を申出た意図を忖度しつつあらゆる要素を取入れながら
考え
て行くというところに
斡旋
の本当のうまみと申しますか、そういうものが出て来るのではないか。
従つて
これこれの
ケース
、
ケース
に応じていろいろの態様が生れて来るであろうというふうに想像されます。
従つて
そういう
関係
においてたとい
業務規定
を作りましても、やはり個個の
事件
、
事件
についてのバラエテイというものはこれは必ず残されるのでありますから、そういう
意味
でならばむしろ
業務規定
が、この
収用委員会
と同じ
よう
な形において
一つ
の
補償基準
といいますか、
業務規定
と申しますか、そういうものを作るということは如何かというふうな
感じ
は持
つて
おります。 それから今の
石川委員
から
お話
がありました
免税措置
に対する
一つ
の配慮といたしまして、
斡旋委員
にかわ
つた
ケース
は必ずこれは
収用委員会
にかける。それによ
つて免税
の
裏付
を必ず保障して置くというお
考え
でございますが、これも場合々々によ
つて
考え
て行
つて
差支
えないというふうに私は思うのでございますが、仮に現在の
国税庁
の
長官
から通達されておる趣意を受けて、
出先税務当局
がそれを考慮して
免税措置
その他を
考え
るということであれば、これは何も
収用委員会
にかける必要もございません。それから又現在
収用委員会
にかか
つて
おる
ケース
で、
当事者
の
土地提供
は事実上成立しておるのでありますけれ
ども
、それを
免税取扱い
をせんがためにわざわざ
収用委員会
にかけておるという
ケース
も、これはないことはございません。それらのことはやはり今後の
運営
に待
つて
行くということであ
つて
はどうか。必ずこれが
斡旋委員会
にかわ
つた
ケース
は
収用委員会
にもう一度
裏付
をして行くということになりますと、その
観点
において
免税措置そのもの
だけを了解されて
収用委員会
が活動するということであればそれは結構でありますけれ
ども
、
収用委員会
のおのずからの
建前
、
斡旋委員
の
建前
に若干そこに
相違
も想像されますから、そうい
つた
よう
な
関係
においてはこれはむしろ今後の
運営
によ
つて
場合々々によ
つて
取扱われるというふうな形であ
つて
はどうかというふうに一応
考え
ております。
石川榮一
12
○
石川榮一
君 その
免税
の問題でありまするが、
国税庁長官
が何か告示をした、申達をしておるということでありますが、ややもすると
国税庁
のほうではこの詳細のことは知りませんから、各地でやはり、要するにこの今までの
斡旋
によ
つて土地
の
提供
をいたしました人に対して随所に各税務署が所得の
決定等
にこれを加えておる
よう
であります。それがために紛議が多い。ただそれは
一つ
の手加減でありまするので、行政的な
措置
でありますから、若し
長官
が変りまして、そいつはいかん、とにかく
自由契約
と
土地収用
とは厳然たる差があるので、
自由契約
の場合には、方は
利益
を目標として譲り渡したかも知れない、或いは公共のために渡したかも知れない、どつちかわからんということが多いのです。ややもするとこれは一般の
犠牲者
のほうは
国税庁
、いわゆる
税務当局
の強い線に引つかかりまして、大抵してやられているのでありますから、折角
斡旋委員会
が骨を折
つて
上げて、
補償
を
相当
に上げましても、その大部分は
税金
に取られてしまうという事態が現にあるのです。こういう点もありまするので、私
ども
は小さな問題、要するに全部とは言いませんが、
道路
建設する場合に、僅か一メートル
程度
の
土地
を
収用
する或いは
斡旋
をするという
よう
な場合には大した問題ではないのでありますが、少くともダムの
よう
なもの或いは大きな河川の河口の拡張の
よう
な場合にはこれは大きく影響して来るのであります。その
たびごと
に
建設当局
が
国税庁
との連絡をと
つて
、ここは
免税措置
にしてくれろということを申出ることはなかなか困難だろう、そうしますと結局
あと
になりまして、これは
自由契約
でありまするから、本人の
自由意思
で売
つた
、
相当
の利潤を得ておる。
補償要項
から言いますると、現在の
土地
の
買収価格
は非常に高価なものでありますから、従いましてこれはその利鞘というものはこれは
利益
を得たと見る。これは
国税庁
が見るのが当り前だ。一方は
土地収用
によりますと
損害補償
にな
つて
おる、売買でないから
損害補償
であります。かけ
よう
がないのです。そこは
国税庁
も知
つて
おるのですが、少くともやはり
収用
にかけたのでなければ一応
建前
として困るということは、
国税庁
が、最近私
ども
が折衝しましても言
つて
おりました。そういう点から
考え
まして、
土地収用
にかけなければならない
よう
な大きな問題は別でありますが、少くとも
相当
に紛議を起しておる
よう
なものであります。から、若し
斡旋委員会
が
斡旋
をして成功いたしましても、
あと
今の問題にかかりまして、又紛議を繰返すということがあり得るのです。こうい点もあり一まずので、この際は或る
程度
まで明確にして欲しいと思います。
渋江操一
13
○
政府委員
(
渋江操一
君) 現在
国税庁
の
長官
から出ているこの
免税
に対するそれぞれの指導方針と申しますか、これは文言の上では極めて明確に誰
つて
ある。従
つて土地
の
収用
規定
の発動のない場合であ
つて
も、この文言をその
通り
解釈いたしますと、明らかに
収用法
第三条の各号の一に掲げる趣旨に該当するときはこの
免税措置
を取扱
つて
おるこの租税特別
措置
法と申しますか、その第十四条の一項の
規定
を適用することによ
つて
取扱う、こういうことを例規的に謳
つて
あるのです。謳
つて
あるのでありますが、併しそれならば問題はないはずでありますが、実際問題としてそれが末端の
税務当局
の
取扱い
にな
つて
来るとその
通り
行な
つて
おらない。こういう
関係
であろうと私
ども
は想像しておるのです。従いまして今の
関係
につきましては、この例規として通達されている趣意によりまして、まあ
斡旋委員
がこの例規を
運用
しまして
税務当局
に了解を求めるという
方法
も可能でございます。それがどうしても
税務当局
は
収用委員会
にかけなければできないというならば、これ又それに応じた態勢ということも場合によ
つて
は
考え
るというふうに取扱
つて
行くならば、おおむね今
石川委員
のおつしやいました趣意については徹底できるのではないか、か
よう
に
考え
ておりますし、又そういう
方法
において努力をして、今後の
運営
につきまして私
ども
としましても努力して行く、こういうことにして参りたいというふうに
考え
ております。
小笠原二三男
14
○
小笠原二三男
君 今
石川
さんの質問に
計画局長
としてそうお答えにならなければならない事情はわかりますけれ
ども
、この今の改正法案の
建前
が明確でないからそういう答弁しかできなくな
つて
来るんじやないかと思われる。私は別な方面から率直にお尋ねしますが、この
土地収用委員会
というのは都道府県知事の所轄だという
規定
の仕方は、都道府県知事に
土地収用
についての協議が整わないときに
申請
して、それを
収用委員会
に廻して行くのですか、直接
収用委員会
のほうに
申請
があるのですか、
土地収用法
のほうでは……。
渋江操一
15
○
政府委員
(
渋江操一
君) それは直接
収用委員会
に
申請
する、こういう形にな
つて
おります。
小笠原二三男
16
○
小笠原二三男
君 ですからそうなりますと、一方
土地収用
の
正規
の
手続
は
土地収用委員会
のほうに直接かかる、
斡旋
のほうは県知事のほうに
斡旋
を
申請
して行く、そうして県知事が任命する
斡旋委員会
といいますか、
斡旋委員
は五人出る。それでこの
斡旋委員会
と
収用委員会
というものの
建前
が、こう側と申しますか、
土地収用委員会
の特別
委員会
的な形で
斡旋委員
が出て一応
斡旋
に乗り出す。それが協議整わないとき
収用委員会
に上
つて
来る。こういうやり方でなくてこの二つを動かしている何と申しますか……それが別なんですね、だから別なところで、
斡旋委員会
のほうで
斡旋
したものを
土地収用委員会
に持
つて
行
つて
、
免税措置
ができる
よう
にその
通り
裁決
してもらえるかどうかは、全然
委員会
の何といいますか、その成り立ちが違いますから、できるかどうかわからないわけですね。
従つて
あなたの
よう
な御答弁になると思うのですが、これが初めから、この法の
建前
からい
つて
、これは
土地収用委員会
に
斡旋
を依頼するということにし、
斡旋
の依頼を受けた場合には
土地収用委員会
は
斡旋委員
を出してそうして
斡旋
させる。そうしてできて来たものが協議が整
つた
ら協議が整
つた
上において素直にそのまま
土地収用委員会
の決定なら決定にする。又
斡旋委員会
のほうの協議が整わなければ、この三カ月というそれを使
つて
又
土地収用委員会
が
裁決
をして行く。こういうふうに法の
建前
を変えて、都道府県知事の任命ということで
斡旋委員会
と
収用委員会
との
関係
があいまいにな
つて
いるのを
はつ
きり縦の系統に建て直せば、今の
免税措置
という
よう
なものはおのずから解決できるのじやないでし
よう
か。而も
石川
さんの質問に対してその都度々々適宜にやれるのだという
よう
なことを言
つて
いますが、私も実例として、それは
当事者
間の協議ができた場合に
免税措置
もできるんだという
よう
な通達があるのかないのかと言
つて
おるのです。これは運動や請願をそれぞれの税務署長に対してやらなければこれもできないし、又やれるんだとは言うけれ
ども
やれない、できないと言われる。そこでいろいろ面倒な問題が起
つて
来ると思うのですね。そういうことを
法律
的に
はつ
きりさせるというほうがいいのじやないだろうか、私は
考え
るのですが、そこでそのために
斡旋委員会
と
土地収用委員会
とがどういう
関係
に成り立
つて
いるものか、この法ではあいまいな
よう
に私は思うのです。全然
土地収用委員会
が推薦するものを一人、或いはそれが推薦する学識経験者等がありますが、そういうものが推薦したからと言
つて
、
土地収用委員会
は何の
権限
も何の
責任
もないわけです。
斡旋委員会
に対しては……。だからこれは非常にあいまいにな
つて
来る。
斡旋委員会
のほうは府県知事が任命するんでし
よう
。それから
土地収用委員会
は都道府県知事が形式上は任命した
つて
、都道府県知事にコントロールされる
委員会
ではないわけです。そういう点があいまいだと思われるんですが、如何でし
よう
か。
渋江操一
17
○
政府委員
(
渋江操一
君) この
免税措置そのもの
に関連して、やはり国税当局の
考え方
というものには二
通り
あるというふうに私
ども
は想像しているわけでございますが、つまり今
お話
が出ました
よう
に
当事者
の協議或いは
当事者
のいわゆる民法上の
契約
という形で行われた金銭
補償
その他の
取扱い
は、これは実質的な
補償
ではあ
つて
も、それは売買
契約
を基本とした所得であるこいう
考え方
を恐らく強く持
つて
いるのじやないか、か
よう
に
考え
ます。そこでそれが
収用委員会
の
裁決
という形にな
つた
場合に、これは
裁決
というものを表面に出すわけであります。
当事者
の
合意
というものはその間に介入してはおらない、こういう
考え方
で、いわゆるこれは
免税措置
を取扱
つて
も何らそこにあれがないという点で、今の
国税庁長官
のつまり通達なりも、
法律
的に
はつ
きりと明確にする
立場
と、そうでない
立場
を
はつ
きり取扱
つて
いるのじやないか、
斡旋
という問題に引つかけまして……。これを取扱う
考え方
につきましては、これは今後の私は努力に待つということを申上げましたゆえんは、つまり
当事者
の
合意
とは申しながら、これは
第三者
が入
つて
おります。つまり
第三者
が……、その
意味
では
収用委員会
が
補償裁決
をする場合と、最終的な形では
合意
という形をと
つて
おりますけれ
ども
、その
ケース
について
第三者
の、
補償
額というものについては或る
程度
の
基準
を示して、そういうオーソライズされた形としての
補償
額というものを出すという
立場
に立
つて
おりますから、これは
自由契約
に基く
土地
の売買
契約
とは若干趣が違うのである。これにも
一つ
の
主張
し得る根拠があるというふうに
考え
られますので、そういう点からこの
運用
によ
つて
或る
程度
の
免税措置
を取扱うことも可能ではないかということを申上げたのであります。勿論それについては国税当局あたりともう少し
話合い
をしなければならん面がございます。ございますが、そういう
主張
を
一つ
する特異な事情があるということを申上げているわけでございます。 そこで今の
収用委員会
とこの
斡旋委員会
の交流と申しますか、これはやはり今の
制度
では
委員
の人選を、
収用委員会
が推薦するという形において連絡をつける、或いは
委員
の一人は
収用委員会
から出るという形で連絡をつけるということだけでありまして、それ以外の
補償
の
取扱い
についての
立場
はそれぞれ別個な
立場
をと
つて
いるという
関係
に基いて来ているわけでございまして、それを今おつしや
つた
よう
に、
収用委員会
と完全な縦の系統と申しますか、そういう形で成立することは如何かというふうに私は
考え
ている。この立法もそういう形でいたしているわけなんであります。
小笠原二三男
18
○
小笠原二三男
君 この如何かと思うなら、而も
斡旋委員
の構成は、
土地収用委員会
から一人は出すのだ、
土地収用委員会
が学識経験者を推薦する、そんな必要はないんじやないんですか。如何かと思うならそれは都道府県知事に任せておいたら……。なぜこういう
規定
をされるかといえば、
土地収用委員会
との関連を
考え
て入れたわけなんです。ところが関連は
考え
ながら
斡旋委員
は何の
権限
も
責任
もない、
法律
的に……、そうして又都道府県知事がこの
斡旋委員
を任命したからとい
つて
これ又何の
権限
も
責任
もない。そういう形で
国税庁
が、都道府県知事が任命した
斡旋委員
の、
第三者
が
斡旋
したものだから、これは
免税措置
ができる
法律
的根拠がある、これはどういうところから言われますか、何の
権限
も
責任
もないんです、この
斡旋委員
は……。少くともこれが
土地収用委員会
のほうからこの
斡旋委員
を出して
斡旋
をしたという形であれば、実体としてはそれは取りも直さず
土地収用委員会
の裁定ともなるものなんだから、だからその
第三者
としての
斡旋
を認め、
免税措置
をするという合法性も出るんでし
よう
。併し都道府県知事が任命しただけでそれは
免税
できる根拠が出て来るということは私は素人でわからない。先ずその点をお伺いするし、なぜ何の
関係
もないのに、自由に都道府県知事の裁量に任せることをしないで、
土地収用委員会
から
委員
の一名を出す、学識経験者を推薦する
よう
な
手続
を
規定
したのか、その理由をお伺いしたい。
渋江操一
19
○
政府委員
(
渋江操一
君)
収用委員会
の推薦に基いて、知事専決で
委員
の任命をしないということにしましたのは、やはり公正な
第三者
というもので以て構成される、
一つ
の何と申しますか、保障をするという
建前
におきまして、知事専決にすることは、これは知事は場合によ
つて
は
起業者
の
立場
に立つこともございます。府県
自体
が
一つ
の公共
事業
の
事業
主体である場合もあり得るわけです。いずれにいたしましても
収用委員会
自体
が中立的な
立場
に立
つて
いるという
観点
を取入れまして、その推薦に基く者の中からこれは任命するという
考え方
が
委員会
の構成、
斡旋委員会
の
構成自体
として公正な、いわゆる公平な構成
委員
を確保することができるであろうという
考え方
に立
つて
おります。
小笠原二三男
20
○
小笠原二三男
君 それなら
土地収用委員会
の中から一名を出すとした根拠は何ですか。
渋江操一
21
○
政府委員
(
渋江操一
君) 学識経験者ということで
委員
の構成の
基準
を謳
つて
あるわけでございますが、これは前前回あたりから申上げました
よう
に、一部は
起業者
或いは
土地
所有者
関係
人の
利益
を代表すると思われるその人々をその構成分子の中に加えるということを
考え
ておるわけでございます。そういう
関係
もございますし、中立な
第三者
というものを
一つ
収用委員会
の中から出すということと、それからもう
一つ
は
収用
の
一つ
の
斡旋
も変形ではありまするが、そういう
観点
からいたしましても、
収用
その他の
委員会
において或る
程度
そのほうに熟達している人がこの
斡旋
の中に入るということも効果的な結果をもたらすということも
考え
まして、その中の一名は
収用委員会
の
委員
から充てる、こういう
考え方
に立
つて
おります。
小笠原二三男
22
○
小笠原二三男
君 どうも私今までの御答弁を聞いているとですね、すつきりしない。若しもそういう
よう
な御答弁を飽くまで論理的に
主張
し進めるならば、
土地収用委員会
というものは裁定だけでなくて
斡旋
もやるのだということにして、而も
斡旋委員
は
土地収用委員会
のほうからこういう学識経験者なり或いは
土地収用委員会
の
委員
を一名出すなりしてやらせて見る、現段階の問題としてやらせて見る。そうしてそれが成り立たないとき三カ月の期間を待
つて
裁定のほうに取りかか
つて
行く、こういうふうなやり方のほうが一貫して筋が通
つて
おると思うのですが、而もあなたのおつしやる
よう
に、都道府県知事が
起業者
自身にな
つた
り或いは
起業者
の影響を受けたりする場合もあるという
よう
なことを
考え
るならば、なおのこと公正中立な
立場
をとり、
土地収用委員会
に初めから終りまで面倒を見てもらう
よう
な
手続
を
考え
るほうが妥当ではないか、私はそう思うのですが、如何ですか。
渋江操一
23
○
政府委員
(
渋江操一
君) おつしやる
通り
の
方法
がとれれば一等
はつ
きりすると思いますが、要するにそれは
収用委員会
の
委員
にな
つて
いる人の
立場
から言えば、いわゆる二枚看板を取らなければならんことになる。
斡旋委員
としての形も取らなければならん。つまり事実上の
斡旋
をやる場合、
斡旋委員
の
考え方
、それから
収用委員会
プロパーの
考え方
、この二枚看板を取らなければいけないということにな
つて
来ると思います。それで二枚看板を取るということにな
つて
来ますと、先ほどから問題にな
つて
おりました
職務権限
の問題にも関連します。いわゆる
収用委員会
の
立場
では取り得ない、
一つ
の
裁決
の
内容
とは成り得ない
手段
、
方法
において
当事者
の
合意成立
を図ろうとする、いわゆる自由な
立場
における
斡旋
の
内容
というものは、これは
収用委員会
の
立場
では取れない
関係
から出ているわけですが、そういう二枚看板を同一人である、
収用委員
でもあり
斡旋委員
でもある形の者が二枚看板としてやるということは、これは実際問題としてはむずかしいのではないかというふうな
考え方
を持
つて
おるわけであります。
小笠原二三男
24
○
小笠原二三男
君 一名だけなら二枚看板でいいというわけですか。
渋江操一
25
○
政府委員
(
渋江操一
君)
斡旋委員
も、これは個々の一人々々が
斡旋
の
斡旋案
を提示するのではございません。
斡旋委員
という、この際
考え
られておる五人なら五人の構成員としてまとま
つた
ものとして出すのですから、そういう
関係
としては私は
収用委員会
の一人が参加しておるということが、完全なる同一構成人が五人が五人とも出す場合とは私は若干違うのじやないかというふうに
考え
ております。
小笠原二三男
26
○
小笠原二三男
君 私の申上げているのは、
土地収用委員
がイコール
斡旋委員
にもなれるという
建前
をとれと申上げておるのではない。
土地収用委員会
が
申請
を受けたら
斡旋委員
を委嘱して、他に求めて委嘱して、そしてこの
斡旋
の仕事をさせる、こういうことなんです。それがいけないというのですか、二枚看板だと言うのですか。
渋江操一
27
○
政府委員
(
渋江操一
君) でございますから、そういう
意味
では二枚看板ではございません。
はつ
きり
収用委員会
が
斡旋委員
を委託してそれに
斡旋
をかける。ところが
収用委員会
自体
はいわゆるそういう行政機関的な職能を営む
よう
な形には
規定
されておらない。飽くまで準司法的な機関として
考え
ておる。いわゆる人事その他についての発言権を持つことは一応形式の上ではとらないという
立場
をと
つて
おる。そういう
関係
から推薦の形をとり、それを知事が任命するという二段がまえをと
つて
おるというふうにしておるわけでございます。
小笠原二三男
28
○
小笠原二三男
君 それなら推薦した
土地収用委員会
はどういう
責任
をこれについて持つのですか。
斡旋委員会
について、或いは
斡旋委員
個々について、推薦した
土地収用委員会
はどういう
責任
があるのですか。
渋江操一
29
○
政府委員
(
渋江操一
君)
斡旋案
の
内容
自体
は、これは
斡旋委員
の
責任
において処置さるべきものであるというふうに
考え
ております。まあ強いて
収用委員会
の
責任
ということになりますれば、その公正な人選を推薦するという
立場
において
収用委員会
の推薦
制度
を認めたわけでございまして、そういう
考え方
に立
つて
人の推薦その他をやらなければならないということは、これは
一つ
の或いは
責任
と言えるかも知れません。そういう
関係
を一応
考え
たのであるというふうに御了承願います。
小笠原二三男
30
○
小笠原二三男
君 若しも推薦された
斡旋委員
の一、二の人が一方の側から、又はその他の問題を起したとすれば、
土地収用委員会
はそういうことまでは
責任
はないのだ、ただ不明であ
つた
というだけでございますか。
渋江操一
31
○
政府委員
(
渋江操一
君) そういうふうに
考え
ております。
小笠原二三男
32
○
小笠原二三男
君 それから前に戻りまして、
石川
さんの質問ですが、あなたのほうからも
国税庁
とそれは協議をしなければならん部分も出るだろうという
お話
でしたが、あなたのお
考え
では、知事の任命する
斡旋委員
の
第三者
たる
立場
による
斡旋
がなされたものは
免税
の法的な根拠を持つものである、
免税
できるものである、税務署当局と交渉の結果は
免税
できるものである、こういうお
考え
でございますか。
渋江操一
33
○
政府委員
(
渋江操一
君) これは先ほ
ども
申上げました
よう
只是非そういうふうな折衝たをいして解決する
よう
にしたいというふうに
考え
ております。
田中一
34
○
田中一
君 今の小笠原君の質問に関連するのですが、
土地収用法
第八章の「
収用委員会
の
調停
」、これはまあ国からというか国が発言すると言きまで、この
裁決
に対して
起業者側
は
調停委員会
に提訴できることにな
つて
おります。四十八条の一項の
規定
による
裁決
があり、又その途中において
収用委員会
の
調停
を申立てることができる。そうすると
調停委員
はこの
土地収用委員
のうちから五名を選んで、これが
調停委員
として
調停
業務
を行うということにな
つて
おるのです。そこで
斡旋委員
というものは、やはりこの
土地収用法
、本法の
裁決
或いは
斡旋
、或いは
調停
その他と同じく一貫性ある
業務
に違いないのです。
従つて
斡旋委員
だけが何ら
権限
もない人間が集
つて
どうこうするということは
考え
られないのです。今伺
つて
みると、
権限
もなければ
責任
もない、こういう
よう
なものは結局百害あ
つて
一利なしです。
調停委員
の場合には、
はつ
きりと
土地収用委員
のうちから五名が選ばれて
調停委員
になる、こう書いてあるのです。今小笠原君の質問は、これを
収用委員
の中から
斡旋委員
を推薦したらどうか、これは一貫性があります。
調停委員
というものを設けたという趣旨から言うならば……。これは
起業者
倶の申立てで
調停
するのです、
裁決
に対して。結局
被害者側
といいますか、該当する側のほうの異議申立てというものは最後に訴願がある切りです。訴願、次に来るのは訴訟、これ切りです。こういう
よう
なもので
起業者側
に対して
裁決
に対する
調停
もできるならば、そうならば害を受けるほうの
立場
に立つところの
斡旋委員
ならこれは結構なわけですが、この
斡旋委員
そのものも
土地
を
取得
する
目的
を遂行するための
斡旋委員
なんです。そこでどうも立派な
土地収用法
というものの
裏付
の法を使わないで、
斡旋委員会
というものを以て
収用
される側のほうに損が行く
よう
な
運営
に行くのは当然じやないか、こう
考え
るのですが、
調停委員
との関連性をちよつと御
説明
願いたい。
渋江操一
35
○
政府委員
(
渋江操一
君)
調停
はこの前の
法律
できめられた
制度
でございますが、これと
斡旋
の
制度
との食い違いでございますが、
調停
そのものは、これは
斡旋
が
事業
認定その他の
手続
をとらずして、事前
措置
として
斡旋
を持ちかけることができるという
建前
と違いまして、
事業
認定、
土地
細目の公告、
土地
調書の作成という
手続
を経てその後に
調停
という問題になる。まあこれが
はつ
きり違う点でございます。それから
調停
の
申請
そのものは、これは
起業者側
から出せるという
建前
にな
つて
おります。それからそれにつきましても相手側のその代り同意を必要とする、こういうことで縛
つて
おります。で
斡旋
につきましては、今の
よう
に
起業者側
からも出してもよろしいし、それから
土地収用
者側から出してもよろしい、必ずしも両者
合意
を必要としない、こういう形をと
つて
おります。それから
委員
の構成その他につきましては、今御
指摘
になりました
通り
でございますから、これはもうすでにおわかりと思います。でまあ
調停
のほうは、これは
田中委員
がもうよく御存じの
通り
、非常に
調停
の効力というものを、これはこの
当事者
の協議が成立したものとみなしておるわけであります。そこに
裁決
と同一の
法的拘束力
を持たしているわけであります。
従つて
調停
にかける以上は、これはもう
裁決
と同様な
関係
において、ただそれが
裁決
の場合と違
つて
、
当事者
の
合意
の上で
調停
に持ちかけるという後段のところが違
つて
おりますが、その
よう
な点或いはそうい
つた
よう
な工合に
当事者
を縛
つて
おります。そこで
当事者
の
意思
を忖度するということは場合によ
つて
はないと、そういうふうに
考え
られる。でいずれにいたしましてもこの大きな
相違
ということは、先ほど
小笠原委員
の御質問に対しても私がお答え申上げました
よう
に、結局
調停
そのものはやはり
裁決
の
一つ
の変
つた
形と申しますか、ということになりますから、これはやはり
調停
上の
一つ
の与えられた
補償
の
条件
でこの
調停
内容
をきめるよりほかにこれは
方法
はございません。やはりそういう形にならざるを得ないのです。
斡旋そのもの
は、さつき
石川
さんの御質問にありました
よう
な工合で、若干そういう点では
収用法
本来の
補償
の
基準
と申しますか、
規定
をむしろ広く援用して
斡旋案
を提示することができる、ここが
一つ
大きな食い違いということになります。
田中一
36
○
田中一
君 どうも今まで
質疑
をしておりますと、非常にその
斡旋委員
のやる
範囲
というものは広いとか、何も制限はしないから何でもできる
よう
に思いますけれ
ども
、何でもできることはあり得ない。しても何もできない、何もならない。ただ、まあ例えば基地の問題に取りますと、輿論の捲き上るのをこの
斡旋委員会
制度
によ
つて
一応鎮圧する、いわゆる冷却期間を持つ。それで三月た
つた
ならば輿論を抑える。今
斡旋委員会
で
斡旋
をや
つて
おります。いい
よう
になりますとこう抑えて、そうして三カ月た
つた
ら又
土地収用法
ですぱつときめるということが政府提案の真意じやないかと思うのです。これはまあ今の基地問題が
一つ
。それから各所で起
つて
おるところのダム・サイド、以下その他の三十幾つかの認定
事業
、この
事業
を遂行するためにやはり争議或いは反対運動、そういうものを一遍抑えておいて、そうして三カ月抑えておいて、十分態勢を整えておいて或いは
収用委員会
にかけるとか何とか、結局
事業
目的
というものはその
土地
を
収用
し
よう
というところに
目的
があり、このための
斡旋
でありこのための
収用委員会
であり、このための
調停委員会
なんです。
従つて
私は、むしろこの
斡旋委員
というものがあ
つて
該当の
被害者
のほうの
利益
を擁護するとなれば、そこに
業務範囲
と
権限
、こういうものを明確にしなければ、結局これは
法律
で示すところの
土地収用
の
目的
のための冷却期間、いわゆる反対曲輿論が起きるのを防いでおこうという機関に過ぎない、こう断定せざるを得ないのです。そこで小笠原君がさつき提案した
よう
に
収用委員会
が……、
収用委員会
にかける前において、
収用委員
の三名なら三名、
調停委員会
におけるところの
収用委員
が三名出ると同じ
よう
に、この
事業
の
斡旋委員
というものは
収用委員
が当るという
制度
になるならば、これは少くとも
責任
のある
斡旋
ができるのです。同時にそれをそのまま
収用委員会
に持ち込まれる場合もあるし、持ち込まれない場合もあります。
片方
の、一方のほうには、
収用委員
のほうにはちやんと
法律
に
基準
があります。併し
斡旋委員会
のほうには
基準
なしと見て、少くとも
事業遂行
に伴うところの
被害者
のほうの不
利益
を擁護する形においてこの
斡旋委員会
が持てるならば、それは一応納得する余地もありますが、すべてが
土地
を
収用
することの
目的
のために、その
斡旋委員会
というものに対しては、どうも提案者である政府に何か含みがあると言わざるを得ないのです。
従つて
先ほど小笠原君が言
つた
質問に対して
計画局長
は答弁を外らしております。なぜ
収用委員会
が発動する……全然
収用委員会
が発動する前に、そのうちの三名なら三名の者が、巾の広い
斡旋委員
として乗り出すことが不可能かどうかという点についてもう少し明確に
一つ
速記に残して御答弁を願いたいと思います。
小笠原二三男
37
○
小笠原二三男
君 関連して。さつきのあなたの御答弁では、
収用委員会
は人事のことはやらないんだ、或いは二枚看板になるから、都道府県知事の任命にして別建てになるんだとかおつしやいましたし、又今は
調停委員
というのは或る制約されたその
立場
で行われる巾の広い民主的な、何と申しますか、結論を生むための
委員
だ。それで而も
事業
認定前でも
あと
でもこの
斡旋
は行われる。
土地収用委員会
の仕組の中には包括してないものがあるんだという
よう
な御答弁でしたが、そんなものは皆直してしま
つて
何も
差支
えないのじやないか。
目的
を達成するために
土地収用委員会
の
権限
なり或いは
手続
なりを直してしま
つて
何ら
差支
えない問題じやないか。この
土地収用法
の中の一部修正でこういう
斡旋
や何かを行わせ
よう
ということであれば、この
土地収用法
の第一条の
目的
においては、
収用委員会
であろうが
斡旋委員会
であろうが同じ
目的
でこれは働いておるものだと思います。そうしたらその働かせる機関を
土地収用委員会
一本にして、それから瘤みたいに
斡旋委員
というものを特別委嘱なり任命して
斡旋
段階をつける、
斡旋
をやらせる。そうして
調停
或いは裁定と逐次
収用委員会
が仕事を進めて行
つて
、この
土地収用法
の
目的
に副う
よう
にする。こういう体系立
つた
やり方については私は文句はないのじやないか。それは
斡旋
は
事業
認定前にも行えるのだから、今の
土地収用委員会
の
規定
から、
土地収用法
の
規定
から言えばできないというのなら、
斡旋
については
事件
ごとに
土地収用委員会
が
申請
を受けたなら
斡旋委員
を作
つて
やらなければならない、それは
事業
認定前であろうと
あと
であろうとかまわないと、こういうことをどんどん
収用委員会
の
規定
の中にきめこんで行
つて
差支
えないのじやないか。私は
法律
技術上はもう無智蒙昧のほうですから1独断的なことを言いますが、
法律
は作ればいいんですから、どしどし作り直して筋を立ててや
つた
らいいと思うのですが、この点は如何ですか。
渋江操一
38
○
政府委員
(
渋江操一
君) これは
収用法
の
収用委員会
乃至その取扱う
補償
という問題につきましては、これはかなり長い歴史が実はありまして、いわゆる正当な
補償
ということについては、これはこの新しい
法律
でかなり巾を拡げて参りましたけれ
ども
、やはり
一つ
の裁判的な
取扱い
としての
補償
の
取扱い
、例えて申しますれば営業
補償
については適正な営業
補償
、
土地
価格においては近隣地の
土地
価格ということで抽象的な
基準
を謳
つて
おりまして、それから問題になりますのはいわゆる起業の
損失補償
という
よう
な
観点
におきましても、これはかなりしぼ
つた
補償
の
規定
をおいておるのであります。そういうことを
前提
において私は
斡旋委員
の広いか狭いかということを申上げて、むしろそういう
観点
においては
斡旋委員
のほうが広く活動し得るのであるということを申上げているのであります。それを
斡旋
で今
考え
られている
制度
にまで全部
収用委員会
のその
補償基準
なり……。
小笠原二三男
39
○
小笠原二三男
君 いや、そんなことは
考え
ていない。
渋江操一
40
○
政府委員
(
渋江操一
君) これは
考え
ておいでにならないとすれば、私もその点では
考え
るあれは今のところはできないのじやないかというふうに思
つて
おりますが、そこでこれは一面民事のほうにおきましても裁判機関というものがありながら、片一方に
調停
機関があると同様な
関係
において私は見るべきじやないかというふうに
考え
ております。 それから
田中委員
の仰せにな
つた
……。
田中一
41
○
田中一
君
収用委員会
の中から三名ぐらい
斡旋委員
を任命して、これが
収用法
の
収用委員会
と
関係
なく
斡旋
業務
をするということであれば、筋が通るこいうことを言
つた
のです。それをなぜせんかということです。
渋江操一
42
○
政府委員
(
渋江操一
君) その点は先ほど
小笠原委員
にお答えしたと同様の
考え
を持
つて
おるということを申上げなければならんと思います。それからその前に
田中委員
から
お話
になりました、この
法律
意図が何か非常に政治的な、
法律
を改正する意図があ
つて
されたごとき
お話
でございますが、その点は全然
考え
ておりません。それは私自身がこの改正案にも当りましたのでございますから、今までのところそういう要請があ
つて
この改正をしろというあれを受けたことは全然ございませんし、純事務的な
立場
において現在の提案理由で申上げました
よう
な趣旨を中心としまして、何らかの合理的体制を
制度
的に立てるべきである、こういう
関係
から出発いたしましたので、その点は御了承を願いたいと思います。
小笠原二三男
43
○
小笠原二三男
君 誤解がある
よう
ですが、私は
斡旋
の段階も
土地収用委員会
の
手続
でやらせろと、こう言う
意味
は、
土地収用委員会
の
委員
そのものを
斡旋
の段階の
委員
にせよということでもございませんし、又
土地収用委員会
の裁定なり或いは
調停
にかかる、こういう
よう
な場合の
補償
の
基準
等を動かすことでもございません。即ち
収用委員会
に
斡旋
の段階を設けるという場合に、
斡旋
の段階においては
補償
の
基準
、その他何々の
規定
に準拠することの必要のないことを明記しておけばいい、それは
法律
技術で何でもやればやれるのじやないかと思うのですが、それを今の
収用委員会
はそうさせてないのだから駄目だ、こうさせてないのだから駄目だとかいう論理は、それならば今の
土地収用法
はそういうものでないから、こういう
斡旋
なんというものは
収用法
の一部改正なんというものも駄目だこいうことと論理は同じ
よう
に私は思われる。それでどうもあなたのおつしやることは納得できない、こういうことにな
つて
来るわけなんです。
渋江操一
44
○
政府委員
(
渋江操一
君)
小笠原委員
の御質問と私の申上げておることと結局最終的に巾はそう大してないというふうに私は
考え
ております。結局
小笠原委員
のお
考え
になることは、要するに
収用委員会
の全員か或いは多数がその
斡旋
に当
つた
らどうかということだろうと思います。
小笠原二三男
45
○
小笠原二三男
君 私
ども
はそうでない。私の初めから申上げることは、県知事任命の
斡旋委員
は独立しており、
土地収用委員会
は独立しておるのに、なお
土地収用委員会
からこそこそと橋渡しみたいに
収用委員
が出たり学識経験者が推薦されたりする。それをすつきりと表立
つて
、すべて前であろうが、後であろうが、
斡旋
の
申請
を
土地収用委員会
に
事件
ごとにする、そうされたら受けて、
土地収用委員会
は他に学識経験者を四名なら四名
斡旋委員
として委嘱し、それから
収用委員
一名が出て
斡旋委員会
を構成して
斡旋
に当らせる、その場合の
斡旋
の中というものは、
土地収用委員会
の
規定
している
基準
等によらない、自由な
斡旋
ができるものとする。こういうことにして体系立てておいたらそれでかまわんじやないか、こういうことなんです。
石川榮一
46
○
石川榮一
君
只今
の
小笠原委員
のお一説も御尤もでありまするが、第十五条の三にはやりそれを語
つて
ある
よう
に私は解釈するのです。「あつ旋
委員
は五人とし、
事件
ごとに、
収用委員会
がその
委員
の中から推薦する者一人及び学識経験を有する者で
収用委員会
が推薦するものについて、都道府県知事が任命する。」、こうな
つて
おります。従いまして一人は
収用委員会
から出るが、
あと
の
委員
は
収用委員会
が推薦する者、その多数の中から知事が選ぶということにな
つて
おりますから、これは或る
程度
までは
小笠原委員
の
主張
は通るのではないか。要するに五人の
斡旋委員
というものは
収用委員会
の推薦するもの一名、
あと
の四名は
収用委員会
がいわゆる選挙母体であ
つて
、名簿を提出して知事に任命だけをさせるということにな
つて
おりますから、
収用委員会
と
斡旋委員会
とはこの面において繋りがつくのではないか、そういうふうに思うのです。
小笠原二三男
47
○
小笠原二三男
君 その点は前の十五条の二項なんですが、
申請
を都道府県知事にすることにな
つて
おる。それでいながら十五条の三のほうは何か
土地収用委員会
がそれについて
権限
があるかのごとき
規定
だ、この立法技術は……。そうして都道府県知事が主体的に任命するのではなくて、何か
事件
ごとに
収用委員会
が
申請
された場合に、
収用委員会
がその
委員
の中から推薦する者一名、学識経験を有する者で
収用委員会
が推薦する者について何名というふうに都道府県知事が任命する、この書き方も、私の言うことはくどいですが、この表現の仕方も、この十五条の三の前段で「あつ旋
委員
は五人とし、
事件
ごとに、」とな
つて
、その次に「
収用委員会
が」とな
つて
、「その
委員
の中から推薦する者一人」とな
つて
いる。この
あと
の「学識経験を有する者」というところを一切削除してこれを読んでみますと、その
委員
の中から推薦する者一人について都道府県知事が任命する、こういう表現になる、学識経験のところを除けば。そうするとこの書き現わし方は、
収用委員会
がこの
事件
について扱う主体性を持
つて
いて、形式上都道府県知事が任命するという
よう
な表現の仕方なんです。この十五条の三つの現わし方は。ところがこの「学識経験を有する者」というところの書き現わし方は、都道府県知事のほうが主体性がある
よう
な表現の仕方なんです。即ち学識経験を有する者で
収用委員会
が推薦する者について或る部分は何か都道府県知事のほうから初めから任命して行く
よう
な表現の仕方なんです。前段のほうは
収用委員会
が何か任命はしたいのだが、形式上は都道府県知事の任命になるのだ、こういうふうな現わし方なんです。こここつちやにな
つて
おる。そうして十五条の二のほうの何項かにおいては、初めから
申請
は都道府県知事だ、だから
石川
さんのおつしやる
よう
に
収用委員会
と関連があるなんというのですけれ
ども
、
法律
的には何らこれは関連がないということは明白なんです。そして而も表現の仕方があいまいなんです。この十五条の三では……。だからどつちにもいい
よう
に何か提案者のほうは書かれて、
土地収用委員会
の中に
斡旋
の段階を入れるわけに行かない、さればと言
つて
まるつきり切離してしまうこともできない、それでいてもやもやとした
規定
の仕方をしている
よう
に私は思うのです、卒直に言
つて
。だから私は他の関連法を直して
収用委員会
に
斡旋
の段階を入れ、そしてその
斡旋
の中とその使命というものはこの修正の
目的
が達成できるものをそのまま載せるということができないものかどうかということを再三あなたに聞いている。そうしたらあなたは
土地収用委員会
というものは狭いものだ、だからできないのだ。狭いもんだというなら拡げたらどうか。拡げることはこの法の
建前
上、
土地収用法
の
建前
上できないというならできないという根拠を示してもらいたい。そうすれば私は
はつ
きりわかる。ところがいやそれもできるのだということであれば、それは相対的な議論なのですから、筋の立つほうでやりいいほうに直したほうがよい。私はその議論なんです。
渋江操一
48
○
政府委員
(
渋江操一
君) これは
収用法
全体の
建前
としまして、主として今立法技術の問題になると思いますけれ
ども
、知事と
収用委員会
、こう両建の
建前
にな
つて
おる、本法そのものが。
従つて
事業
認定はこれは知事が認定するという
建前
にな
つて
おります。
土地細目公告
についても同様であります。そういう行政機関とそれから
裁決
に当るべき準司法的な
収用委員会
と、こう両建をと
つて
おる。この
斡旋
の場合においても、先ほど申上げました
よう
に人事その他は
収用委員会
にやらせないということは、そういう
観点
から推薦をされる
程度
において認めてお
つて
、最後の任命権を知事に与えている、こういう形をと
つた
わけです。十五条の二項の
申請
の受理という
関係
においても、やはりこれは行政機関としての知事の
権限
において、今の
収用法
全体の
建前
から見まして、
事業
認定或いは
土地細目公告
というものを所管する
立場
を知事に与えていると同様の
関係
において
斡旋
の窓口、
申請
の窓口を知事に与える、こういう立法技術をと
つた
。そういう
観点
でや
つて
おるだけでございます。それ以上の意図というものも別にこの
規定
の上から
考え
ておるわけではないのでございます。
小笠原二三男
49
○
小笠原二三男
君 だんだんわか
つた
よう
なわからない
よう
なことでして、これは私のほうが
法律
的に不明であるからわからない点が多々あると思うのです。
従つて
私は
あと
で勉強して来て又お伺いしたいと思うのですが、ただどうも腑に落ちないことは、裁判所において
調停
裁判とか何とかあるのだから、そういう
斡旋
の段階を、他に
斡旋委員
を置いてやるのだという
よう
なことを引例せられましたが、併し私はそれについても異議がある。あれは
調停
裁判だろうが何だろうが、民事のほうに行く前の段階で、それは裁判所の中の
一つ
の
手続
としてあることなんで、而も
調停
にかか
つて
いながらも示談にな
つた
り……。そして
土地収用委員会
の裁定をしなければならない段階と丁度似つかわしいのは民事裁判の段階だと思う。そういう段階においても示談にな
つた
りすることがあるのですよ。その示談にな
つた
りするということは、いわゆる
当事者
間のそれに
第三者
が入
つた
斡旋
という形式と同じなんです。今もう裁判をするということにな
つて
いても示談が成立するという、もう事が成立つということにもな
つて
いるんですよ。裁判所のほうは……。だからそれは私は同じ裁判なら裁判の中にも示談も認められ、
調停
もでき、裁判もできる
よう
にな
つて
いるのを、全部をあなたが見て引用せらるるならいいけれ
ども
、
調停委員
があ
つて
調停
に乗出す場合もあるのと同様に
斡旋委員
というのを出してやるのだということだけの引例では私は不満なんです。だから裁判所がそういうことをやり得るなら、
土地収用委員
も
斡旋
もでき
調停
もでき、裁定もできる。こういうふうなやり方で何らおかしいことはないのじやないかと、又私はそういうふうに理窟をこねたくな
つて
来るわけです。ただそれだけ申上げておきます。時間がないそうですから又勉強してやります。
石川榮一
50
○
石川榮一
君 駐留軍
関係
に関する本法の適用に関して、私は前回早退しましたので、その間の事情を
はつ
きりしてもらいたい。恐らく駐留軍
関係
におきまして
収用
にかかるものは、この
斡旋
の
制度
が適用されるものじやないかと思うのです。その点を
はつ
きりして御答弁を願いたいと思います。幸いに調達庁も来ておりますので。
堀井啓治
51
○
政府委員
(堀井
啓治
君)
只今
御提案にな
つて
おります改正案につきましては、先般お答え申上げましたが、特別
措置
法の第十四条に基きまして、改正案はそのまま特別
措置
法にも適用されることに相成ります。
石川榮一
52
○
石川榮一
君
はつ
きり私しないのですが、要するに駐留軍
関係
による
土地収用
も全面的に本法の適用を受けていろいろ
斡旋
の
制度
を適用すべきものだということに承知してよろしいでし
よう
か。
堀井啓治
53
○
政府委員
(堀井
啓治
君) はい。
江田三郎
54
○
江田三郎
君
斡旋
は、この間から議論が出ておりましたけれ
ども
、もう一遍重ねて聞くのですけれ
ども
、
土地
を
収用
しないことの
斡旋
を申出ることができるわけですね。
渋江操一
55
○
政府委員
(
渋江操一
君) それは
斡旋
の
申請
をされましても、十五条の二の二項にあります
よう
に、
斡旋
に適しないと認められる場合を除くのほかと、こう
規定
してあるわけであります。
斡旋
の
申請
をしたからには、それに対する
土地
の
取得
乃至は
土地
の供与という
一つ
の
当事者
の
意思
を尊重して、それを
前提
として
斡旋
というものを
考え
ている
関係
から、
土地
を
提供
したくないという
関係
は、要するに
当事者
としては
斡旋
してもらいたくないということの
意思
であります。そういう
関係
については拒否することがある。こういうことになるわけでございます。
江田三郎
56
○
江田三郎
君 この間
政務次官
のお答えを聞いておりますと、
斡旋委員会
で、この
土地
を
取得
させないほうがいいという結論が
斡旋委員会
で出る場合もあり得ると、こういうことは
はつ
きりおつしや
つて
お
つた
わけですから、その答えから行くと、この
土地
を
取得
させることは困るという
斡旋
の
申請
をしても一向
差支
えないのじやないのですか。
渋江操一
57
○
政府委員
(
渋江操一
君)
当事者
としては
土地
の
取得
を
斡旋
してもらいたい、こういう認定の下に
斡旋
申請
をしたということに仮定いたしますと、それが
斡旋
の審議その他の
過程
において、この
土地
は
斡旋
の対象としてはむしろ
取得
させないほうがいいと、こういう結論が出るということになりますれば、これは
当事者
の
意思
に反するわけでもございます。そういう
観点
において
斡旋
の打切りということを
考え
るよりほかに
方法
はないと思います。
石川清一
58
○
委員長
(
石川清一
君) 明日も
質疑
を続けますが、本会議で採決をするので呼びに来ておるのでございますが……。
江田三郎
59
○
江田三郎
君 それでは明日にしますけれ
ども
、それまでに、この間の
政務次官
のほうの答弁の速記を取
つて
もらいたい、今私が質問した部分について。
石川清一
60
○
委員長
(
石川清一
君) 明日までに
江田
委員
の質問に関連する速記録を取り寄せる
よう
にお願いします。 本日はこれにて散会します。 午後零時二十二分散会