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木村禧八郎君 私はこの
法律案に反対いたします。
反対理由の第一は、この
法律案が
通りますと
予算の審議権が拘束されるということであります。本案
提案者の
趣旨は了解できるのでありますが、そうして
道路を早く
整備しなきやならない、それに
相当やはり
重点に
財政投資を行わなけりやならんという点については決して私は反対するものじやありません。同感なんです。問題は、この
財源措置をどうするかという問題ですが、これは単に
道路問題だけから
考えたのではいけないのであ
つて、やはり国策の総合的な
観点から
財源というものを求めなきやならない。特に二十九年度以降の
日本を見ますと、これは重大な問題なんであります。御
承知のように二十八年度に過去に蓄積した資金は、インベントリー・フアイナンスとして蓄積されました二千二百億を除くと殆んどもう使い果してしまうのです。二十九年度はこの
財政投資というものは非常に困難な状態になります。そこで
予算編成全体の上から見ると、或る
特定の
政策なり或いは
事業に
財源を拘束するということは、これはやはり
予算というもの、
財政というものを
考えますと慎重に
考えなきやならないわけでございます。建設的なものならばやはり公債
政策というものもいいのであ
つて、私は必ずしも公債
政策案がいかんとは
考えておりません。建設的なもものならやはり公債
政策もあえて反対するものではないのです。総合的に
財政というものを
考えなければならない場合に、
目的税的なこういう
財源を求めるべきではない、こういう
観点から私は先ず反対しなければならないと思います。
第二の反対理由は、
ガソリン税をこれに充当するということですが、
ガソリン税は非常に高い税であ
つて、これは、戦時中非常に高い税にされまして、そういうもののやはり戦時税的なものが残
つておる。これは大衆課税であ
つて、
ガソリン税は転嫁税です。
ガソリン税が高いというために小運送費が高くなり、輸送費が高くなるので、大衆に転嫁される。前の
大蔵委員会において
ガソリン税の問題について
公聴会を開きました。そうして各
方面からの
意見が述べられましたが、この
法律が通ると大衆税たる
ガソリン税を今後引下げることが困難である、こういうことについて
相当反対論があ
つたのです。先ほど
提案者の
田中氏はそういう
ガソリン税の撤廃乃至減税を要望する町も全部我慢して、
道路費に当てるなら減税或いは撤廃運動もやめてもいい、こういうようなお話がありましたが、前に我々は
公聴会でその
意見を聞きましたときには反対論者のほうが多か
つたのです。それは記録にございます。
従つて大衆の利益を守らなければならん大衆政党に属する私としては、こういう大衆転嫁税、こういうものは引下げようとしても実際において困難になる。そういう
立場からこういうところに
財源を求むべきではない、他に
財源を求める方法が幾らでもあるわけです。それをもつと真剣に私は
考えるべきであると思う。これが私が本案に反対する第二の理由であります。
それから第三の反対理由は、この
法案の
重点は第二条にあるように、即ち五カ年間に
道路の
整備を急いでやるということでありますが、それならば、やはり議員提出
法案である以上は、一応この
法案が
通つてしま
つてから自由党の
政策によ
つてその中身がきめられて行くということを、例えば白紙委任状を与えるような形においてこういう
法律案を出すべきじやないと思う。自由党の諸君の提案ならそれでいいが、併し社会党なら社会党の
道路政策があるはずです。又改進党なら改進党の
道路政策があるはずです。例えば改良を主にするとか補修を主にするとか、砂利
道路についてこの
政策もありましよう。こういう今後の
道路政策に関して或る
程度の議院がこれを制約し得るような内容がここに盛られていなければならない。この裏付として出て参りました
道路五カ年
計画は杜撰極まる。先ほど小笠原
委員の
質問にありました
通り、
ただ枠を与えてしま
つて、
あとはその中身がどうなるかわからんというような、こういう白紙委任状的なこういう
法律案は私は出すべきじやないと思う。而もこれは政党的に、政略的に
利用される点がたくさんあるのです。こういうことを心配するならば、何故
法律案の中にこういうものを明らかにしないのか、例えば建設大臣に注文して見たり或いは建設次官に確約をさせて見たところで、
法律案にそういうものを書いてなければ、
大蔵省との間に
意見が違つたとか或いは自治庁との間に
意見が違つたということで、この
法律案に意図されたようなふうに
道路政策が行われることは確保できないのであります。私は議員の一人として同僚議員が出されたものに対してこれを決して非難するわけではありません。これを批判しておるわけなので、クリテイークであ
つてコンデムネーシヨンではないのです。よりよい
法律案が出るために、私はそういうことを心から念願して討論しているのでありまして、議員みずからが自分の
予算審議権を拘束するようなこういう立法を作るべきではない。又議員みずからが自分の所属する政党の
道路政策というものが、他の政党の
道路政策にこれが左右されてしまうというような中身において、そういう形においてこういう立法を私はすることに非常に疑問を抱くのです。今度
日本の国会においては前の国会とは違
つて、議員立法というものが非常に自由にできるようになりました新しい制度でありますが、それだけに議員立法というものはやはり飽くまでも議院の
予算の審議権とか或いは
政策が自由に貫き得るような形において私は出すべきであると思うのでありまして、以上の三点から私はこの
法律案に反対せざるを得ないのであります。