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石川榮一君 幸い
大臣もいらつしやいますので、伺いたいのでございますが、
治山治水恒久対策の問題は、すでに
建設省においては数年来
研究せられまして、大体の
方針は立
つておると私
どもも承知しております。要はこれを如何に
実施面に移すかというのが問題であろうと思います。恐らく内閣に設置されました
治山治水協議会の根本
方針も、財政と睨み合せて、
建設省が持
つているその
方針を貫くには如何にしたらいいかということに或いは
協議が進められて行かねばならんと思う。現在の国家財政の状況から
考えまして、一兆三千億、
農林省を入れると一兆八千億、二兆にもなるという厖大なる
治山治水の総合
計画を遂行する金が必要だということが
はつきりしておるわけでございます。こういう大きな
計画ではありまするが、これが国家の自立経済の根本でありますのと、本年のような
災害が各地に起りまして、本年に限らず、明年も明後年も現在の状況を繰返すのではないかと私は心配いたします。こういう観点から、
災害復旧工事の
実施は当面の緊急問題でありますから止むを得ませんが、恒久的な
対策は、財政的な見通しを相当長期に立てられまして、現在の財政の規模に執着することなく、五年、十年の将来の
日本の経済の伸展率等を
考えられまして、そうして大所高所からその
計画の
実現を期して頂きたいと思います。今の財政の配分につきまして、特に
建設行政に対する配分は、公共事業費として相当出ているとは
言つておりますが、我々が見ておるところでは非常に少い。決して
治山治水費に国家が相当の
予算を出しておると私
どもは認め得ないのです。それは御承知のように
直轄河川並びに全国の中小
河川等を抱容し、砂防費を入れましても三百億弱だ。まあ一兆億から見ますれば三%に過ぎない。こういうようなことで、これに執着を持
つて、それが数年来の
計画であるからとい
つてそれに執着を持つような財政配分を御
研究になるならば、これは到底この大きな
治山治水恒久対策を進めることは不可能だと思います。これを
一つ十分に御
検討を願いまして、少くとも総
予算の一割
程度、一〇%
程度は
治山治水、利水を
中心とする
総合開発に充てて頂かねばならん。若しそれでは国家財政がどうしても堪えられないとするならば、この際思い切
つて、先ほど来鹿島
委員からも強調され、実は自由党もいろいろ論議しておりますが、
河川の愛護運動或いは
国土開発の愛郷運動というような、超党派的な運動を展開しようというような機運もあるのですが、それを推進すると同時に、具体的に現れる面としては、この際思い切
つて治山治水公債を発行されましてそうして農民層の貯蓄、或いは財界有力者に十分な協力をして頂きまして、できるならば特別会計でも作りまして、その
治山治水公債の償却
方針等をきめられまして、そうして年次
計画を立てられまして遂行して頂かなければならないと思うのです。現在の一兆億の
予算を上廻ることは困るというだけで行きますならば、
治山治水恒久対策なるものは
実施面において私は不可能に近いのではないか。ややもしますと公債発行はインフレを起すと言いますが、毎年
災害を繰り返しまして、全国至るところに荒廃地が多くなりますと、生産が激減して参りますので、如何に財政的に緊縮いたしましても、物資の取れないところにはやはり悪性インフレが出て来る。欠乏経済から起るインフレは最も恐るべきものがある。こういう観点もある。もう
一つは、
政府の
施策が十分示されませんと、愛護運動を唱えましても民心は追従しない。
政府が思い切
つた態度をとるならば、これに追随するでしようが、現在の配分で糊塗して行くようならば、決して民衆は踊
つて来ない。諦めてしまうのではないかと憂えるのであります。愛護運動をやると同時に、
政府が
施策を大きく振り廻しましてそうしてでき得るならば、
治山治水公債を発行してまでやるというような決心を持
つて、これに協力しろということになりますならば、今農村には、関東地方におきましては、どの農村にも協同組合に貯金している者が二千万乃至三千万はある。最近私の地方の諸君に集
つてもらいまして、この問題を話しましたところが、村長においては一千万円ぐらいは直ぐにもお引受けいたしますと
言つている。そういうところは随所にある。農村は現在土地の解放以来自由に土地を取得することができないような状況でありますので、貯蓄いたしましても、その金はややもすると浪費をする。要するに貯蓄した目標をどこに使うかということにつきまして迷
つている状況であるのであります。東北におかれましてはそういうことはないかも知れませんが、関東或いは関西、九州の方面には相当農民に余力がある。これらの者はややもすると闇金利を取
つたり或いは浪費をいたしましたりしまして折角の農村の振興意欲が無
意味にな
つてしまうというような点もあるので、農村が貯蓄したものを有効適切に再生産させるために
治山治水公債、利水公債というものに転換させる。そうして農村の貯蓄したものをそういう方面で活用させるように指導することも、私は将来のために精神的にいいのではないかと思うのです。この
治山治水公債等につきまして、若し何かお
考えがあるならば御所見を伺
つてみたいと思うのですが、私はこの際思い切
つてそういうような手を打ちませんと、この
恒久対策なるものも、結局財政的な裏付が現在の
予算に膠着している以上は、堂々たる
実施方針は立て得られないのではないかと思います。
協議会において御
意見もあろうと思いますが、問題は財政的な措置であろうと思います。これに対する
大臣のお
考えをこの際伺
つておきたい。