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1953-06-23 第16回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十三日(火曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   委員の異動 六月十七日委員江田三郎辞任につ き、その補欠として清澤俊英君を議長 において指名した。 六月十八日委員清澤俊英辞任につ き、その補欠として江田三郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 清一君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            赤木 正雄君            近藤 信一君            田中  一君   国務大臣    建 設 大 臣 戸塚九一郎君   政府委員    建設政務次官  南  好雄君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件  (台風第二号の被害状況に関する  件)  (建設省関係昭和二十八年度予算に  関する件) ○派遣議員報告   —————————————
  2. 石川清一

    委員長石川清一君) 只今から建設委員会を開会いたします。  本日の議題は、先日の打合せにおいて御決定を頂きました通り台風第二号の被害状況と、建設省河川局関係昭和二十八年度予算について御説明を聴取することになつております。なお政府側よりは建設大臣官房長及び河川局長がお見えでございます。それでは先ず当局より台風第二号の被害状況の御説明を願います。
  3. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 先般の台風第二号の状況につきましては、後ほど局長から詳しく御説明を申上るはずでございますが、一番被害の多かつたの福岡県だと思います。大体金額として六十億ばかりの災害であります。そのほかそこへお配りいたしましたので、本年初頭の冬期融雪及び風浪災害、先だつての第二号の前の雨の災害、それから先だつての分と合せまして百億余りの災害になつております、災害といたしましては必ずしも非常に大きいというふうにも考えておりませんが、県によつては相当な被害を受けておるのもございます。被害の個所で急を要するような場所につきましては、特に地方建設局等にも連絡いたしまして、速急に手当をすべきような所は地方建設局でその現場において早く差し向き復旧をいたすようにというふうに指示をいたしてあります。なお、やはりこれも早くというような所については、建設省としては、査定とかそれぞれ自然日数もかかりますので、繋ぎ融資のほうを大蔵省と交渉をいたしておりますので、そういう面で急を要する所には成るべく早く復旧をするように、かような手配をいたしておる次第でございます。  詳細な点につきましては、なお事務当局から御説明を申上げたいと思います。
  4. 米田正文

    政府委員米田正文君) 台風第二号の被害に関しましては、只今大臣から御説明もありましたように、およそ六十億程度被害があつたのでございます。勿論これは各県からの報告でございまして、まだ査定をいたしておりませんので、確定した数字はもう暫らく時間を要すると思います。今各県で災害もくろみ書と申しますか、実際の設計を、復旧設計を立てております。大体六月一ぱいかかる予定でございますが、これができ次第に建設省としては査定官現地に派遣いたすことになつております。予定では、七月上旬から現地査定を行う予定であります。で、それによつて確定した数字が出て参るのでございますか、それに先立つて只今お話のありましたように、各府県及び直轄事業においても緊急に措置を講ずる必要のあるものがありまするので、それらについてはもうすでに仕事に着手しておる分もございます。で、差当り資金処置が必要になつて参りますので、大蔵省緊急融資折衝をいたしております。今年度総計、今日までの被害額は百五億に達しておりますので、我々のほうとしては、これの一五%程度緊急融資を欲しいということを大蔵省に今申込んでおるのでございます。これを幾らに決定するかは大蔵省の……今大蔵省集計をいたしておりますので、いずれ決定次第又御報告を申上げたいと思います。  今度の台風特徴は、丁度台風発生の時期が梅雨前に当りまして、六月の初旬、一日からの降雨でございまして、これは梅雨前線による降雨が主でございまして、それに台風の影響が加わつて、五、六、七日というのに特に集中的に降雨があつたのでございます。丁度時期が六月の初旬でありましたために、九州山口地方では丁度麦の刈入れ期に当つておりましたために、田圃で麦を刈つて束にして乾燥しておつたもの等が、雨のために流失したという状況であります。で、特に多かつたの九州福岡県の遠賀川筋であります。遠賀川川筋には、そういう麦束か川の中に、大げさに申しますと、累々と重なつてつたよう状況でございました。それと非常な波浪を伴わなかつたというのが又一つ特徴でありまして、そのため海岸等被害は非常に少なかつたのでございます。で、一般に河川上流部、特に中小河川流域被害が主でございます。そういう点が今度の台風特徴だと思います。で、ただこの九月以降の本格的台風の時期が目前に迫つておりますために、今度の被害を受けた地区も、主要な箇所については、その九月台風の以前に復旧措置をするという必要があるのでございます。で、それらについては緊急処置をそれぞれ講ずることにいたしております。  雨の量はそこにお配りいたしました表の中にございますが、これは非常に大雑把な降雨状況を示したもので、実はまだ……、この三百ミリというのが一番大きくなつておりますが、これより大きい地区もございます。例えば遠賀川地区では四百五十ミリ程度の雨の箇所もございましたので、これが正確な雨量度ではございませんが、およての見当という意味で書いた図面でございます。  それで一番被害のひどかつたの福岡県でございます。福岡県の遠賀川流域中心でございます。それから山口県でございますが、山口県は佐波川流域から下関に寄つた地区でございます。関門海峡を中心にして被害か多かつたのでございます。山口で感じましたのは、今度の災害よりもむしろ一昨年の災害が非常に大きかつたために、その復旧ができていないところに又梅雨期の雨があつたというので、むしろ以前の災害を早く復旧を促進してくれという熱望がございました。で予算措置としては、先ほど申上げましたように、現地現地査定を七月には終りたいと思つておりますので、それが終りましたら集計をいたしまして、大蔵省折衝の上、二十八年度当該年度災害予備費として百億ございます分のうちで、緊急処置予算的に措置をいたしたいと考えておる次第でございます。  簡単でございますが、以上の通りでございます。
  5. 石川清一

    委員長石川清一君) 質疑がございましたら逐次御発言を願います。
  6. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 只今局長から、資金は今大蔵省折衝中ということでございますが、今は農産物上の一番大事な時であつて、成るたけ早く決壊を防ぐとか何とかいうことにしなければならんので、融資を早急にきめてもらいたいと思うのですが、いつ頃までにきまる予定ですか、ちよつと伺いたいと思います。
  7. 米田正文

    政府委員米田正文君) 確定した日取りはまだわかりませんが、数日中には、我々としては今週中にはきめたいというので折衝をいたしておりますが、まだ確定はいたしておりません。
  8. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それでは成るべく早くきめて頂くということで、それから当年度発生災害に対してどういうふうにつまり処理して行くか、つまり三・五・二でやるとか、或いは何年でやるとかいうことなんですが、この方針一つ伺いたいと思います。
  9. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 従来災害復旧が三・五・二という比率ということで一応方針があつたようであります。併し実際にはなかなかその比率通りにも行われていないというような実情承知いたしておりますが、これは私、欲を考えてはどうかと思いますが、この災害復旧を延ばしておくことが、今も局長からも話があつたように、次の災害で余計ひどくなるというようなことがありますので、相成るべくは当年度災害はその年度乃至はその翌年に片付ける、復旧をして行くように今後何とか工夫を加えて参りたい、かように考えておるのでございますが、何分国財政状況からも制約を受けるので、思うようには参らないかも知れませんが、従前は、たしか私の承知しておるところでは、昭和十三年の大災害のあつた以前は、大体その年度乃至はその翌年までには復旧をしておるのが例になつておりまするので、その後崩れておつて、三・五・二というふうになつて来ておるように承知しておりますが、事の性質から考えても、どうしても元のように又やり方を変えて行くことができれば大変結構だと、こういうふうにも考えて研究をいたしておるのであります。
  10. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 結局早くやりませんと、又増破々々を重ねて、結局金をたくさん、国費を使うということになりますので、成るべく早く処置するというふうに一つ善処して頂きたいと思います。そういうふうに思う次第でございます。  それからもう一つちよつと新聞に出ていたのですが、銅山川ダムが、何か排水口が小さいので浸水したというようなことが出ておりますが、この実情一つ説明願いたいと思うのです。
  11. 米田正文

    政府委員米田正文君) 電気新聞にその状況が出ておつたようでございますが、お説のように銅山川は今年の秋にはもう竣工するという直前まで工事が進んでおります。ここに写真を持つて来ておりますが、あとで御覧頂きたいと思います。こういうダムでございます。今度水が溜りましたのは、この溢流頂から下十メートルの所まで水が溜つたのでございます。おわかりにくいかも知れませんが、こういう溢流水門がございまして、その下十メートルの所まで水が溜つたのであります。その水の溜つたために、上流にあつた民家が浸水したというのでございます。実はこの溢流をする堰頂以上は計画通りに実は全部買収を済ましておるのでございます。全部済まして金も払つておるのでございますが、実はそれのいろいろと移転がまだ遅れておる。現地では移転方の慫慂をしておるけれども、まだ移転が全部片付いておらんという状況でございます。そこで実際に金は払つておる、ただ移転しなければならんのにまだ残つておるという実情で、残つてつた家屋が今度浸水したということでございます。で、もうこれは竣工間際のものですから、秋からは満水いたさなければならん実情ですから、早急に現在ある民家移転方を督促するつもりですが、残念ながらまだそれができておらないため今度のような災害が起つたのであります。で、これはその原因排水門が小さいのではないかというようなことが新聞ちよつと書いてあつたようですが、やはりいろいろここにあリますように、ここに排水門が今あります。それと小さいのがもう一つその上のほうにありますが、これはもう当然排水をする門扉にしては非常に小さいので、とてもこれでは能力を挙げ得ません。ここに溢流水門がありまして、洪水期になればこの溢流水門から洪水を溢流させるので、水位がずつと上つて来れば排水能力は非常に大きくなる。そこでまだ途中でして、これを排水するだけの能力は今のところないというのが実情でございます。そんなわけで竣工間際ダムで、実際には又移転すべきものがまだ移転しないで残つてつたというところに今度の問題が起きた。我々としては早急に残つておる移転を促進をいたすつもりでございます。
  12. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 大臣が御出席でございますから、大臣一つお尋ねしたいと思うんでございますが、最近ダムだとか或いは諸工事を山の中で相当しなければならんのですが、山の中へ行つたため手取りといいますか、手取りが少くなつて、職員が非常に困つておる。そうしてなかなか行きたがらないというような実情があるように見受けられるのですが、この一つ現状、それからそれに対してどういうふうに打開されるかということを一つ説明願いたいと思います。
  13. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 自然山奥というようなことで、行くことを好まないような状況があるかも知れませんが、だんだんこうした仕事が多くなつて参つておりますので、当局としてもそういう点に考慮を払う必要がある。只今給与等関係についても研究をいたしておる次第でございます。
  14. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 結局この問題は生活二つになるとか、いろいろ生活上に苦しい問題があるので早急に一つ解決して頂きたい。そういうふうにお願いします。
  15. 近藤信一

    近藤信一君 先ほどの説明によりますると、第二台風によつて被害を受けた点で、急を要する所は早急にこれを復旧させなければならない、こういう御報告でした。その急を要する地域は一体どのような所があるのか、具体的に御説明願いたい。  更に大蔵省への要求が、全体的の被害報告に対するところの約一五%というふうにして、それだけを要求しているわけでありますが、それだけで秋の台風を控えて、それまでに完全に復旧ができるかどうか、この点について御説明を願いたい。
  16. 米田正文

    政府委員米田正文君) 緊急にすべきものが幾らあるかという点についてはまだ実は調査ができておりませんので、査定が終らないと正確な数字は申上げられないのでございますけれども、従来からの災害時の見当として、全体の一五%程度新旧繋ぎ資金があれば一応やれるという見当でやつております。正確な数字はもう暫らく七月一ぱいお待ちを願いたいと思います。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は災害というものに対しての建設省の御方針という点、多少今までのやり方でいいか悪いか、こういう点について疑義があります。  例えて申しますというと、先ほど局長がこれから災害箇所実地検査をやるんだと、こうおつしやいますが、これは局長の御存じの通りに、私ども建設省にいましたときには、災害箇所を詳細漏らさず、一々現地に行つて検査いたしまして、それがため日にちが或いは二週間になろうと、場合によつては一月も行つて検査したのであります。最近は御承知のように検査に行かれる日にちが非常に少いのと、又災害箇所が殖えているせいかも知れませんが、机上査定をなさることが随分多いように承わるのでございます。この机上査定で果していいものか悪いものか、これが第一に私は疑問を持つている。例えて申しますと、昭和二十三年の災害廃工或いは工事中止なつたものが県工事で六千八百六十三カ所、市町村工事で二千四百三十四カ所、合計九千二百九十七カ所が廃工或いは中止になつております。これは結局査定そのものが非常に間違つていやせんか、ここに根本原因がありやせんか、年々災害は殖える、数字には殖えてますが、この査定そのものについても非常に考え方に違う点があるのじやないか。先に大臣がおつしやいました昭和十三年まではその年の災害に対してはその年に大蔵省が皆金を出した。これは私の記憶では昭和九年と見ております。昭和九年の全国的な災害があるまでには、毎年その年の災害に対しては全部大蔵省が金を出し仕事をしました。併し昭和九年の全国的の大災害の結果、これが一年に金が出しにくいというので、御承知通りに二回にも三回にも、言い換えれば二年にも三年にも、或いは甚しいのは数年に亙つて復旧されています。併し先ほど申した通りに、査定そのものが非常に私は違つておる。これは局長も御承知通りに、以前は非常に厳重に査定をしまして、先ず我々は査定官として行きましても、大体災害箇所として県或いは町村のお出しの六割をその当時の内務省が認めてくれれば、これは非常に災害箇所をたくさんに見た。甚しいのは四割しか認めない。そういう事実はたくさんあつたのでございます。最近は御承知通りに非常にたくさんお認めになつておる。これも先ほど申す現場を視察されない机上査定、こういうふうなものに非常に原因しておるんじやないかと思うんです。で、この査定がいいか悪いかということは、第一にお考え下さらんと、これらは農林省の災害でもそうだと思いますが、年々災害が殖えて、一面においては査定やり方において非常に間違つておるということを私は気遣います。もう一つは、御承知通りに以前は災害査定官はこれは建設省技術官で、よく技術堪能の人ばかり行きました。併し御承知通りに最近の建設省には、これは戦争の結果ではありましようが、実際、技術堪能の人は余りいないように見受けられるのです。むしろ学校を出たばかりで何も知らない人が中央にいまして、これが府県工事を監督する査定官で出て、やはり査定官としていなさる。この点にも随分どうかと思う点があるのです。つまり場合によりましたら各府県技術官は皆県にいますから、或いは中央技術官よりもその県の技術に対しては優れた技倆をお持ちの方があるかも知れません。併しこれは令名ある局長ですから、そういう人事は逐次お直しなされると思いますが、そういうふうで経験のない方が査定官であり、従つて県からしてお出しになる災害箇所を鵜呑みにして、そのままに持つて来させる、これも災害が殖えている大きな原因ではないかと思うのです。先ずこの二つについて局長の御意見を伺います。
  18. 米田正文

    政府委員米田正文君) 災害査定についても御指摘を受けたのでございますが、御指摘通り、従来災害査定は人数と時間の制約を受けましたために、机上査定というものを相当やつてつたのは御承知通りであります。併し只今お話がありましたように、災害査定というものは厳重にしなければならんのでございまして、特に大臣が新任されましてから、特にそういう御注意がありまして、我々としては今年、合同からの災害については、査定方式も変えたいと思つております。併しこれは大蔵省及び各省との足並みを揃えないと大蔵省がなかなか金を出してくれないという実情もございます。そこで今我々が大蔵省に申し出ておりますのは、従来は災害が起ると、その災害の全被害額を出さないというと予算決定してくれなかつた。全被害各省出して行くと、その全被害の大体割振りを見て、大蔵省は全被害額についての予算割振りをいたしておる。併しこれは今のお話のように、少い人間で而も短時間にそれだけの……今度の災害でも一万四千件から、第二号災害だけで一万四千件からございますが、そういうものを極く短時日に少数の人間で見るということは到底不可能でございます。そこで緊急止むを得ないものを実地査定をして来る。そしてあとのものはこの十二月頃までに、或いはもつと早く十一月、できればなお結構と思つておりますが、それまでにあとのものはもう一度査定をして来るという工合に二段にして行きたいと考えております。そうしないと、災害はどうも一時に急にかたまつて来るものですから、そのときに全部を見ようとすると、そういう無理がどうしても起り、机上査定に頼らざるを得ないということも止むを得ないようなことになりまずので、緊急査定の分は、実地査定を先ずやつてあとの分は又事後において査定に行く、こういう方式をとりたいと実は考えております。そして建設省も、御指摘通り必ずしも技術優秀な者ばかり揃つているわけでもございません。で、地方地建等にも優秀な技術官もおりますので、これらもできるだけ査定官になつてつてもらおう、こういうふうな方途も考えております。が、要するに机上査定が問題でございまして、会計検査院でも或いは部内の監察の結果を見ましても、問題になるのはいつも机上査定でございます。そこで机上査定を極力なくす、極端に言えば全然なくするというところまで参りたいというのが私どもの希望でございます。できるだけ早くそういう域に達したいと考、えております。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 次に災害査定につきまして、これはもともと災害復旧は、原形復旧、これが災害復旧国庫補助の原則になつていました。併し原形復旧としては又災害が起るからして、これに改良を加味するというふうに最近はだんだん手を伸ばされています。私はこれは非常に疑問がある。やはり厳重に原形復旧主義をおとりになりまして、その代りそれとは別に、根本治水に金をかける。河川なら河川の全体の計画、そういうものを充実なすつて根本計画をお立てになることのほうが、結論としては災害をなくするのではないか。原形復旧にしてもすぐ災害をこうむるから、これに、改良を加味する。そういたしますと、従つて災害箇所工事費も殖えますし、又その区域も延長いたしますから、なかなかすぐ復旧はできません。それがために又災害が起る。こういうことに陥る欠点が多いのであります。てこで私は、やはりもうこういうふうに災害の多い我が国においては原形復旧主義を厳重にやつて、それ以外の仕事根本治水に持つて行くことのほうが結論としては災害をなくする。こういうふうに思いますが、これに対して局長の御意見を承わりたい。
  20. 米田正文

    政府委員米田正文君) 災害復旧法については、原形復旧根本考え方でございますけれども、併し折角復旧したものが又次の同等程度の出水によつて被害を受けるということは、国費有効使用にならないという見地から、再度災害を受けない最低のものにするということを現実にいたしております。そこで更に一歩進んで、災害復旧を、極端に言えば切り捨てて、根本対策に金を注ぎ込んで行かなければならない、こういう御意見、私は御尤もだと思います。理想として私もさように考えるのでございます。併し現実災害は起きておるのでございまして、堤防に穴が開き、耕地が水に浸り、橋が流れている現在で、何と申しましても現実の問題としては、受けた災害復旧するという仕事はどうしてもやらなくちやならん仕事でございまするので、この災害復旧を我々としては早く終らし、完成してしまいたい。そしてそれを乗り越して災害予防仕事に行きたい、こういうふうに考えております。今年度災害は、今年度二百三十六億ばかり災害予算予定をいたしておりますが、それを全部やりまして、なお二十八年度末に今のところ五百億ばかりまだ残る、過年度災害が残ることになります。でこの五百億を早く解決したい。で先ほどからお話がありましたように廃工すべきものはこの中で廃工さして整理をして行きたい。てしてどうしても残つたものの、その五百億の中の残つたものを早急に解決したい、そうしてそれを乗り越して一つ本格的な災害予防の問題に取組んで行きたい、こういう考え方をいたしております。
  21. 赤木正雄

    赤木正雄君 そこに問題があるのです。五百億という金を大蔵省出してくれればこれはもうわけはないのです。併し五百億の災害復旧費をなかなか出してくれないものでありますから、又災害復旧に属している場所が再災害を受ける、こういうふうな情勢でありますから、場合によつてはもう私はさつきの廃工とおつしやいましたが、これはもう思い切つて場所によつて廃工して、そうしてもう五百億の災害復旧をできれば二百億にしてしまう。その代りその三百億は根本治水に持つて行く、そうしたほうが却つてよくはないか、こういう考えです。御承知のようにどの府県技術官も決して災害復旧を喜びはしないのです。けれども災害復旧参つて、雑費でもないと、自分らの直接の給料に関係しますから、その観点からも災害復旧はだんだん殖えて来ておるのです。併しこういう災害復旧によし土地改良を加味いたしましても根本仕事と言えませんから、やはり災害をこうむりやすい。それよりも技術官としては根本仕事に従事したほうが自分の腕を磨く上からも技術としての価値もあろうと思います。そういうことを建設省のほうで切り替えなすつたら、私はその点からも県の出して来る災害費は非常に減ると、そういうように思います。  もう一つ私は、これは非常に前からも言つておりますが、維持修繕なんです。維持修繕にもう少し思い切つて金をお積みになるならば、災害というものは私は三割、四割減り得ると思うのです。御承知通りのほうぼうの河川を見ましても、僅か一坪くらいの石が抜けている。併しその石の抜けたのを仮にこれを修繕するならば、僅かに一万や二万でできましようが、それをするまでに単県の仕事ならばこれはなかなか起債の認可もできがたい。それで県は止むなくこれを放置している。そうして勢いその次の水害でこれが堤防が破壊する、こういう破壊の原因になつている場所が全国至るところにあります。従つて災害をなくしようというお考えならば、むしろ災害復旧よりももつと日頃の維持修繕に重点をお置きになつたほうが、非常な国としても金をロスすることもなし、災害をこうむることも遥かに少い。災害をなくするという観点から維持修繕に重点を切り替えるというお考えはないでしようか。
  22. 米田正文

    政府委員米田正文君) 災害原因をいろいろと研究いたしているのですが、その原因の中で今お話のように維持修繕が十分でなかつたために起きた災害というものは相当あることを認めております。そこで実はもうこの二、三年来、毎年予算編成期には大蔵省に維持修繕の補助費、いわゆる府県で実施する河川の維持修繕費というものを実は要求をしておりますが、実は残念ながら今日までまだ大蔵省の認めるところとならないのでございまして、我々の努力の至らないところでありますが、併しお話のようにこの維持修繕を私は非常に重要なる仕事だと思つております。これによつて災害根本を是正するように持つて行きたいのでございまして、二十八年度は残念ながら取れなかつたのでございますが、二十九年度には是非この維持修繕費は計上するように努力いたしたいと思います。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 今河川局長も維持修繕には主力を尽したいというお考えで、私結構と思いますが、今河川局長の言う通り、実際維持修繕がないために、災害が年々増加しているという事実がありますから、この点は別に大臣の御答弁を私は要求いたしませんが、よくこの実態を大臣も把握されまして、災害復旧同様にこの維持修繕に大蔵省からもつと金を出す、こういうふうに特に今後御協力あるように私はお願いいたします。これは災害を防ぐ大きな途だと実際思うのです。  まだ質問はたくさんありますが、ほかの方もありますから今日はこれで打切ります。
  24. 石川清一

    委員長石川清一君) 他に台風第二号に対する御質疑ございませんか。……御質疑がなければ次の議題に移りたいと思います。   —————————————
  25. 石川清一

    委員長石川清一君) 昭和二十八年度建設省関係予算のうち河川関係のものについて御説明をお願いしたいと思いますが、大臣が電源開発審議会に出席することになつておるので、若し大臣に御質問がありましたらお願いしたいと思います。
  26. 石川榮一

    石川榮一君 大臣が電源開発審議会に今日は御出席になりますそうですから、これに関連を持ちます件につきまして所見を申上げまして御検討を賜りたいと思います。  実は今日自由党の総務会におきまして只見川の本流案、分流案その他の案件について一応説明を聴取いたしました。近くこの只見川電源開発は審議会によつて連日会合を開いて早急に結論を得たいという方向に行つているようでございます。私ども建設行政に携つておる者から考えますると、只今の電源開発それ自体に異論を言う者ではありませんが、主として水を電源にのみ利用しようとする傾向が顕著になつて参かました。現在日本が置かれております状態から見ますれば無理もないことでありますが、国土が河川によつて非常に荒廃しておる、この災害を防除するということにまつしぐらに今闘つておるわけでありますが、然るにこの災害を防除した後における二の水を如何に利用するかということにつきましては、必ずしも電源ばかりに固着する必要はないので、食糧の増産或いはこれから中小都市が工業化するでありましようところの工業用水の問題、或いは飲料用水の問題等、皆水を中心として動いております。経済はそういう面に大きく動くと思うのであります。ややもいたしますると電源にのみ水を集中するような施策をやりますると、あとでこの経済的な発展の、いわゆる工業用水或いは水道源、或いは食糧増産に要する用水補給源或いは畑地灌漑に要する水というようなたくさんの水を要求するものがうつちやられるというようなことに相成ると思うのであります。従いまして電源開発審議会で今日上程されます只見川電源開発におきましても、あの奥只見の水源が現在流れております本流、阿賀野川に落ちるでありましようが、その水源は尾瀬ヶ原であります。尾瀬ヶ原は利根川の特定地域がその三分の二を領有しておるところであります。建設大臣は先般利根川地区の指定地域を設定するに当りまして、尾瀬ヶ原の三分の二の領域と群馬県だけは特定地域に編入しておるわけであります。従いましてこの水を利用しまして利根川の総合開発を今続けておるわけであります。特に水の問題につきましては、東京都が用水に悩んでおりまして、小河内のダムも着々工事を進めておりまするが、これはここ四、五年間のうちに完成すると同時に、東京都の現在の人口を辛うじて賄う程度しか水源がないはずでありまして、その後における東京都の増加人口に対する用水源は今のところ見通しがないようであります。この用水源を利根川の水源、尾瀬を中心とする水源に求めておるわけであります。それから関東の一部五県の、いわゆる日本における最大の平野であります関東平野のこの利根の流域は、現在農林省が研究しておりますところの土地改良事業でも、その半分の水を賄うことができない、現在の水量を確保することが精々であります。あと開田をするとか或いは畑地灌漑をやる、或いは工業用水に持つて行くというような余地がないのであります。こういう点から考えますと、電源開発にのみ集中せられまして、あの水源を全部只見川のほうへ落す、或いは信濃川の分流のほうへ落すという計画を持ちますと、利根川を中心とする今までこの利根の流域によつて非常な災害をこうむつておりました三都五県の住民の食糧も或いは用水も、或いは工業用水も枯渇してしまうわけであります。そういう点もありますので、是非これらの点を御勘案願いまして総合的な観点から水資源を電力に幾ら使わせるとか、食糧問題ではどう使うか、工業用水、或いは東京のような都市の水道源はどれくらい使うといういわゆる水資源に関する配分案を一応検討いたしまして、その枠内において電源開発を進めてもらいたい、かように考えるわけであります。要は災害の防除に今取組んでおりまするが、その後における水資源の分配、これは将来大きく伸びます日本経済を左右する水の問題でありまするから、こういう根本の点につきましても御勘案願いまして、過ちなき施策を講じてもらいたい、こう考えまして所見を申上げたわけであります。御意見がありましたら拝聴したいと思います。
  27. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 只今石川さんから水の配分のお話がございましたが、尾瀬ヶ原の水源、集水面積のうちどれほどの量が只今の奥只見のほうへ利用するというふうになつておりますか、私はその点を明確にいたしませんが、御心配の利根川流域の面に、又その下流の都会地における工業用水或いは飲料水という点に御心配の点は誠に御尤もだと思います。併し私ども生意気なことを言うようでございますが、阿賀野川へすでに落すように計画なつた水は、そちらのほうの下流で或いは灌漑用水でありますとか或いは飲料水なり工業用水なりに又活用せられるものであります。電力に使つた残り、残りといいますか、使つた後が活用されるものでございまして、若し御心配のようにそのうちの水量がどうしても利根川のほうに落さなければならんということでありますれば今後考えなければなりませんが、一応阿賀野川のほうに落す、電源に利用するというふうになつておるものは、今にわかに変更するということも私却つて混乱を来すのじやないか、利根川の流域はまだほかにもたくさんありまするしいたしまするので、利根川のほうに落す水を活用して下流の都市の工業用水なり或いは灌漑用水なりに使う余地はまだ研究したら十分にあるのじやないか、河川局のほうでもそう申しておりまするから、そういう御心配のないようには十分いわゆる水の配分はいたす、これは是非いたさなければならんと承知いたしておりまするけれども、ただ尾瀬ヶ原の分を持つて行くか持つて行かんかということについては、もう少し研究をいたさなければならんじやないかと思います。御心配の点はもとより十分了承いたしております。万過ちのない水の配分……ただ一つの川の流域に流すべく計画したものはそのほうで活用してそのほうの下流で更に利用する、利根川の流域の上流ではそれぞれダムを作るところやらそれぞれいろいろありましようが、そういう水を有効に使つてその下流で活用するというふうに考えて行くのが本当の水の活用になるのじやないか、こういうふうに考えますので、勿論御心配のないようには研究いたしますけれどもお話はよく伺つておきますが、只今指摘の尾瀬ヶ原の分については、若しこれを変更するようになつたがために下流に水量の変更があるというようなことになれば、又その筋何十ヵ所かの発電所に影響する点でありますから、そういうことはないようにいたさなければならない、こういうふうに考えます。御心配の点は十分了承いたしておりますから。
  28. 石川榮一

    石川榮一君 ダムの建設が非常に最近世論化して参りまして、結構なことでありまするが、ダムの建設に対しての日本の技術はまだ十分の経験もないようであります。主としてアメリカ等のダムの建設技術を学び取つていらつしやるようでありますが、土木研究所が現在内務省以来ずつと続いております。本年の予算を見ますると七千万円程度出ておるようでありますが、何百億、何千億という工事量を要しまする河川中心とする土木行政に対して、土木研究所なるものをもう少上大きく拡張せられまして、日本の建設行政中心をなす土木技術がもつと立派な試験もでき、或いは技術者も、研究せられます人もどんどん入れて、そうして国会等にも新しい技術を宣伝或いは啓蒙してもらうというような積極的な施策を講じて頂く必要があるのじやないかと思うのであります。我々はまだ土木研究所に余り行つておりませんが、この土木研究所に対する現在の予算程度では到底大きな期待は持てない。特にダムの建設に対する研究所等は相当の費用と年月を要することでありましよう。万一一ダムでも誤りを来しますれば、それは何十億という損害をこうむるのであります。どうかそういう技術の面、いわゆる科学を十分に取入れるために土木研究所を拡大強化して、もう少し権威ある、而も相当の立派な技術者を中枢に入れまして土木技術の向上を期してもらいたいと思いますが、これに対しての御所見を伺いたいと思います。
  29. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 御意見誠に御尤もで、十分に拝聴いたしまして御趣旨に副いたいと存じます。
  30. 石川清一

    委員長石川清一君) 大臣に対する御質疑がなければ、河川局長予算に対する説明を求めます。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  31. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて。
  32. 米田正文

    政府委員米田正文君) 河川関係の二十八年度予算として只今国会に提出中のものについて御説明申上げます。  今お配りいたしました印刷物のうち、表紙を入れて三枚ほどめくつて頂きまして、第三表、河川という所がございますが、三頁でございます、三頁を御覧頂きたいと思います。河川を内地と北海道とに分けて予算を区分してございますが、初めに内地関係の分を申上げます。直轄河川改修費が一番先に書いてございますが、これは現在二十七年度で七十六本の利根川初め直轄河川を実施をいたしておるのでございます。これは明治初年以来工事を実施しておるのでございます。最近の実情を見ましても、中小河川区域というものは非常な災害を受けるのでございますが、もう直轄河川区域というのは非常に災害が減つたのでございます。今度でも直轄河川は四億五千程度災害復旧費で済んでおるのでございます。中小河川区域及び市町村区域を合せて百五億という一般公共土木被害を起しておるのに比較いたしまして、直轄河川区域は四億五千という数字でとどまつておるのは、今日まで実施をして来た直轄河川工事の効果でございます。併しこの直轄河川もまだ十分とは申上げる域に達しないので、まだむしろ今後事業として残つておるのでありまして、まだ今の状態で参りますと三、四十年はかかるというような現状でございます。この直轄河川改修についても今後予算の増額に努力をいたして、これが早期に完成を図るために実は今直轄河川の再検討をいたしております。これらの数字を再検討の上整理をいたして来年度予算要求までにはまとめてみたいと努力をいたしておるのでございます。今年度はこの七十六本の河川のほかに江川と信濃川の下流の再改修とを合せまして、新規二本を採択することといたしまして、七十八本の直轄河川を実施をいたす予定でございます。次に直轄河川維持費でございますが、これは利根川外九河川の維持費でございまして、先ほど赤木先生からもお話のありましたように河川維持の重要性を特に力説をして進めておるものでございます。その次の直轄河川総合開発事業費、これはわかりやすく言えば直轄のダム事業費でございます。而もダム事業費であつて、継続事業費になつていないものでございます。ここに挙げてありますほかに六つのダムは継続事業費として要求をいたしてありますので、この中に含んでおりません。ここで継続事業費でない直轄のダム事業費を挙げておるのであります。二十八年度予算が十三億六千万円というのはそれでございます。新規に七河川予定中でございます。岩木川、荒川、木曾川、由良川、肱川、球磨川、和賀川の七本の河川を新規に予定をいたしております。次は河川調査費、これは河川改修計画及び総合開発計画調査費でございます。八千二百十万円、その次が海岸堤防修築費補助でございます。これは現在のところ府県管理になつております海岸について主としてそれについて海岸補助の事業として実施をいたしておるのでございます。今参議院でも御研究の海岸保全法との関連の非常に強いものでありまして、海岸保全として、海岸堤防として予算に計上されておる唯一のものでありまして、他省で所管をいたしております実際の海岸事業等はこれは他の費目で、それぞれの農地その他の費目でその中に含まれて計上をしておるもので、海岸という名称を打つた費目はこれだけでございます。十億四千四百万円、それから今一般の海岸堤防と、この中には高潮対策と申しまして大阪、東京等の高潮、特に大阪は二十五年のジエーン台風の高潮対策を実施しておるのでございます。それもこの中に含んでございます。その次は河川改修費補助、二十八年度の四十三億二千三百五十二万円というものは、これがいわゆる中小河川補助費でございます。本年度約二百七十本の河川を実施する予定でございます。このうち二十七年度から継続に入つて来ますものが二百二十七本でございます。その他を新しく新規として採択して、約二百七十ちよつと切れると思いますが、二百七十本実施する予定でございます。そのほかに局部改良と言つております改修工事、これは一定計画でなくして、極く局部的な改修をやる河川工事でございますが、これが六百ヵ所、そのほかに災害土木助成事業として九十河川を含んでおります。これらを全部総合して、四十三億二千三百五十二万円を予定いたしております。その次が河川総合開発事業費補助、これが各府県の実施いたしますダム事業の補助費でございます。これは二分の一補助でございますから、実際にはこれの事業費は倍額になるわけであります。これも七河川を新規要求をいたしております。継続中のものは十一河川でございますから、新規を入れて十八堰堤を実施する計画でございます。その次に河川事業調査費補助でございます。これは調査費の補助、各府県に対する補助でございます。先ほどの調査費は直轄の分、これは府県に補助する分でございます。その次は特別鉱害対策事業費補助、二億一千七百六十七万五千円というのでございますが、これは特別鉱害復旧臨時措置法による鉱害復旧工事費の補助費でございます。主として福岡県でございます。その次が一般鉱害対策事業費補助、これは臨時石炭鉱害復旧法に基く特別鉱害以外の一般鉱害に対する補助でありまして、福岡県外四県でございます。その次が地盤変動対策事業費補助三億円、これは主として南海地震による地盤沈下の対策でございまして、愛知県外十県でございますが、それらの沈下対策のために堤防工事、或いは排水工事、或いは橋梁の工事というような事業をやつておるものでございます。これも実は総額が八、九十億に達する厖大な全工事費に対して三億程度でございまして、現在のところ極く緊急なものを実施するという程度にとどまつておるものでございます。これらを合せまして百八十八億四千八百四十三万円を要求いたしておりまして、二十七年度に比べて四十四億一千五百七万円の増として要求中でございます。  その次の総合開発、これは継続事業費でございます。継続事業費は項が別に分れております。鬼怒川、猿ヶ石川、物部川の三ダムについては、継続事業費第二年度として十六億四千九十万円を要求しております。その次の利根川外二河川の総合開発事業費でございますが、これは利根川、江合川、十津川の三河川についてのダム建設費でございまして、二十八年度から継続事業費を新たに設定をしようとするものでございます。  次が砂防事業でございます。直轄砂防事業費として十二億三千八百万円、直轄は利根川外二十五水系について直轄砂防を実施するのでございまして、大部分継続の事業でございます。その次の砂防事業費の補助は、これは各府県砂防に補助をする予算でございます。三十四億六千四百万円、昨年に比較しまして四億二千六百万円の増を要求しております。次は、砂防事業調査費千八百三万七千円、砂防事業調査費補助、これは府県に対する補助費でございまして、一千二十万円でございます。この調査の補助費が特に殖えておるのは、大蔵省府県砂防の調査費の必要を認めまして計上をされたものでございます。以上砂防合計四十七億三千九十九万三千円でございます。二十七年度に比較しまして四億九千八百五十九万、約五億円の増の予定でございます。  その次が災害復旧でございますが、直轄河川災害復旧費十四億三千七百六十四万七千円でございます。これは先ほどから災害復旧について早期完成というようなことを大臣からもお話がございましたが、直轄災害は、去年の災害は本年度で全部完成をする、今年の災害は来年度で全部完成するというところまで漕ぎつけたのでございます。ただ府県災害のほうは金額が非常に厖大なために未だそういう域にまで達しておらんという現状でございまするが、我々としてはこういう直轄河川災害程度に早く持つて行くことを理想にいたしておるのでございます。その次が直轄河川災害復旧費の内訳でございます。三項目飛びまして、災害復旧土木事業費補助二百三十六億六千六百六十五万六千円というのがございます。これは各都道府県に対しまする災害復旧補助費でございまして、災害国庫負担法に基く補助費でございます。昨年度に比べまして十八億の増になつておるのでございます。併しこの程度では二十七年度残の約三分の一が竣工をする程度でございまして、満足とは申せない数字でございます。で残りますのが、なお補助費として五百億程度のものが二十九年度以降に持越される予定でございます。それらを合計いたしまして、内地関係河川事業費総計五百十五億四千九百六十二万八千円でございます。前年対比で五十九億九千一百八十三万六千円増の計画でございます。  その次が北海道でありますが、北海道は直轄河川改修費十七億、この内訳は石狩川外十河川の改修費、それから北海道開拓計画に基く土地改良事業に関連する幹川改修は、特殊河川と称しまして、これは全額国費で改修をすることになつております。それと国費河川の維持費と三つを合せまして合計十七億八百十方円でございます。その次の河川改修費補助は、これは道庁の施行する河川改修費でありまして、道庁に対する補助費であります。併し一般とは補助率が違いまして、一般補助が二分の一に対しましてこれは十分の六補助ということにいたしております。これが三億九千三百四十万円。その次が河川事業調査費、河川事業調査費補助、海岸堤防修築費補助等それぞれございますが、これはその趣旨は内地分に準じて計上されたものでございます。北海道の河川関係として二十一億五千六百四万六千円。  砂防関係は補助費、調査費の補助、合せまして五千四百三十四万円でございます。  総合開発としては、幾春別川の総合開発事業費が、これは継続予算としてすでに継続費が設定をせられておるもので、第二年目で七億四千二百五十万円を計上いたしております。これら北海道の合計が二十九億六千三十八万六千円でございます。  このほか一般経営費として要求をいたしております調査費等がございますが、大体河川局の主要な要求予算の項目は以上の通りでございます。
  33. 石川清一

    委員長石川清一君) 質疑がございましたら順次発言願います。
  34. 田中一

    ○田中一君 河川局長ちよつと伺いたいのですが、十三国会でしたか、河川法の一部改正の原因者負担ということに改正した法案がありましたが、改正法案があつたのですが、例えば利根川におけるところの東武鉄道の附帯工事、ああいうものの予算はその後予算化されたことがあるのですか、それとも二十八年度にでも含まれているのですか。
  35. 米田正文

    政府委員米田正文君) それは附帯工事費に相当するものでありまして、これは直轄河川改修費の中に含まれております。
  36. 田中一

    ○田中一君 あの法律が改正されて後にどの河川に幾ら使つたか、或いは若し二十八年度ならば二十八年度のどの項目にどう入つているか、詳細に御説明願いたい。
  37. 米田正文

    政府委員米田正文君) それは数が非常に多いものですから、今ちよつとここで簡単に申上げられませんが、ずつとあれ以来全額負担を、河川工事ために生じた他の工事は全額負担を原則にして実施をいたしております。件数も非常に多うございますが、あれは励行いたしております。
  38. 田中一

    ○田中一君 先般この委員会から視察を命ぜられまして行つた利根川では、まだ東武鉄道の蒿上げができておらないのです。これは調査費か何か出ているのですか、それともどうなつているのですか。
  39. 米田正文

    政府委員米田正文君) それは今私がやつていると申上げましたのは、すでに実施をしておる分についてでありまして、今のお尋ねの東武の問題はまだ予算関係で実施に至つていなかつたと思うのですが、二十八年度には実施に移りたいと思つております。今年度から実施をすればあの改正法律の通り予定をいたしております。
  40. 田中一

    ○田中一君 その場合にその受益者負担ということが一応委員会の質疑の間に謳われておつたのですが、そうして全額国庫負担の附帯工事に対する受益者の負担、こういうものはどのくらいの率で調整しているのですか、又全然そういうものをせずに国が全部負担するという形になつておりますか、その点どうですか。
  41. 米田正文

    政府委員米田正文君) それは特に受益者がある部分を除いては全部全額国で負担をいたしているので、例えば木橋がある場合に、木橋の架換費は全額国費で持つております。ただそれをそのときに、それが府県道であるような場合に、同時にそれをコンクリートの橋梁に代えたい、どうせ改築するならばこの際木橋よりも永久橋にしたいというような希望があります場合には、そのコンクリートに代えるだけの費用をその附帯工事の当事者が持つという、受益分だけを持つ、こういうことになるので、一般原則としては百パーセント国が負担をいたしております。
  42. 田中一

    ○田中一君 そうしますと、東武鉄道のあの利根川の鉄橋の場合にはどういうことになります。あれは受益者負担はしなくていいというお考えですか、それとも受益者負担が多少ともなくちやならんか、如何ですか。
  43. 米田正文

    政府委員米田正文君) 東武の場合には現状のまま工事をする場合には、原因者として河川関係で全部負担をする。あれを特に特別に補強するとかいうような問題があれば別ですけれども、現状のままを上げるという場合には全額国で持つ、こういうわけであります。
  44. 田中一

    ○田中一君 ではそのような原因者負担の附帯工事につきまして、大体小工事はかまいませんが、あの法律改正の後に起つた主なる工事について資料をお出し願いたいと思うのです。それから二十八年度に織込んであるものはそれも同時に主要なるものの資料をお出し願いたいと思います。
  45. 米田正文

    政府委員米田正文君) 承知しました。
  46. 石川清一

    委員長石川清一君) では只今の資料を早急にお願いをいたします。
  47. 石井桂

    ○石井桂君 この第三表の上から何行目かに河川事業調査費というのがある。その中で地盤沈下の調査に要する経費ということが出ておりますが、東京と大阪は非常こ地盤が沈下しておるようですが、この調査費でどういうことを調査して、又調査しておるのかどうか、その経過並びに効果というようなものをお聞きしたいのです。  それから更に地盤調査の結果、或いは文献でもよろしゆうございますが、地盤沈下の原因というものを確められておるかどうか、そういうことと、更に近頃の東京の地盤沈下をしておるところから大量のメタンガスをとつて事業化しようとしておる。そういうものに対しての、どんな影響があるかという見通しですが、非常にむずかしい問題になるのですが、たまたまこういう調査費が出ておりますから、すでに研究もされておるだろうと思いますので、御調査になつておることだけでよろしうございますから。
  48. 米田正文

    政府委員米田正文君) 実は地盤沈下の調査については、ここに挙げておりますのは主として現状調査でございます。併しお話のような点、原因調査については実は各都市がそれぞれ実施をいたしておる。御承知だと思いますけれども、大阪における地盤沈下の調査には相当厖大なものが出ておりまして、東京も現在なお調査をいたしております。それで地盤沈下の原因に関しましてはいろいろな原因があるものでございまして、単一でないので簡単でございませんけれども、まあ一番大きな原因は、地下水の汲上げによるものであるということだけは最近確実に認めておるのでございます。ただそれのみでなく、他にもいろいろ原因が相重つてあれだけの沈下を起しておるという実情でございます。特に今地下水汲上げによるということを申上げました資料といたしましては、今、今日持つて参つておりませんが、相当正確な資料がございまして、大阪では終戦直前から例の爆撃を受けて工場が閉鎖いたして、それから工場閉鎖期間は地盤の沈下が殆んど静止の状態にとどまつておる。それが二十三年頃から工場の復活と共に多少ずつ沈下が又増加をいたしておるというようなことから、主なる原因は地下水汲上げによるものであるということだけはまあ一般に認められておるのであります。ただメタンガス等についてまだそこまでの研究はいたしてございません。いずれそういう研究もしたいと存じております。
  49. 石井桂

    ○石井桂君 只今調査費のところの御説明では、ただあの沈下の実状調査ぐらいの程度だというお話でありますが、これは河川局の予算に入るのかどうかわかりませんが、東京、大阪の沈下しておる部分は主として工業地帯だと、生産部面を担当しておる重要な地域なんですが、そこが震災後、私は東京だけのことを記憶しておるのですが、一メートル数十センチ下つておると思うのです。丸の内ビルデイングなどはもう階段をつけなければ一階に入れないように沈下しております。そういうところをただ沈下の状況だけ調べておるだけでは、折角建設省があつて日本の技術をすつかり集めておるところで、誠に物足りないと思うので、これは都市の大きな問題でありますから、根本的な一つ調査をするような機構でも作つて、そうして大きな将来に対する対策を立てませんことには、江東方面、一番生産に関係のある東京でいえば江東方面或いは大阪の工業地帯などは、もう都市としての利用ができなくなるのではないか、又その調査研究が十分でなければ、たとえ毎年々々二十センチとか五十センチとか堤防を上げて行つても、それは結局は立派な防水壁と申しますか、或いは洪水の防止の対策にならないのではないかと思いますので、もう少し根本的に一つ研究できるようにして頂かんと、都市に住んでいる人は非常に心細くないかと考えますが、御所見は如何でございますか。
  50. 米田正文

    政府委員米田正文君) 全く同感でございまして、私大阪については詳細に承知いたしておるのですが、東京のほうはまだ十分承知いたしておりませんが、大阪ではこの地盤沈下の調査に厖大な機関を設けております。府が中心となつて建設省及び運輸省、市、というようなところで調査委員会を設置いたしまして、そうして各省調査費を持ち寄り調査をして、それぞれの所管の分野をきめて調査をいたしております。それを年に数回集つて、その資料を持ち寄りの上で討議をする、それには学識経験者も入つて頂いて討議をしております。そこで大阪についての研究機関は一応そういうふうに進んでおりますのでこれでよかろう、東京についてはまだ私十分承知いたしておりませんが、よく一つ調べてみたいと思つております。  お話のように幾ら復旧をやりましても次から次へと沈下が進行したのでは、糠に釘と申しますか、賽の河原でございますか、我々としては大阪については、或いは東京についても早急にその地盤沈下の対策そのものを立てる必要があると感じております。特に大阪では汲取りの井戸を或る程度禁止するという法令の準備を今いたしております。従つて井戸の汲上げの禁止をする以上は、それに代るべき用水を供給しなければならないということで、その用水源の調査まで今いたしておるような状態でありまして、そういう総合的にこの問題を解決して行きたいと思つております。
  51. 石井桂

    ○石井桂君 もう一つ今の対策ですね、これはまあ建設省としても国としてもまじめに一つ取組んでもらいたいと私は希望するものでありますので、どうぞ河川局長のお答えで私は満足いたしますが、官房長もおられるのでございますから、よく一つお帰りになりまして御相談下さつて、対策を樹立せられんことを望みます。私はそれで終ります。
  52. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の御質問に関連してちよつとお伺いいたしますが、速記はおとめになつて結構ですから。
  53. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  54. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をつけて。
  55. 田中一

    ○田中一君 前国会で議員提案できめられた特殊土壌の事業はどれの砂防にどれだけ入つてつて、どこにどういう工合に配分をするような計画ですか。
  56. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは六億五千万円の特殊土壌地帯の砂防対策費というのでこの砂防事業費の補助の中に入つております。三十四億六千四百万円の中に入つております。これは内輪の話になつて恐縮ですが、赤木先生もどうもそういうふうに金額をはつきり言われるのは困るという御意見がありましたが、我々も実ははつきりそう書かれると非常に困るというので、大蔵省にも説明の中にはつきり六億五千万円と書くのはどうも適当じやないじやないかということで、折衝いたしておりますが、これを書いてくれなければ比較的うまく運用ができるのではないかと思うのですが、はつきり説明書の中に書くというとどうも適当でないということを今折衝しております。
  57. 田中一

    ○田中一君 私は単行法の事業がどつかに隠れてうやむやにされることは好ましくないのですが、少くともはつきりした、明確にここにあるということを、法によつてきめたものですから、若し予算書に書き込むならばわかるように書いて下さい。そして予算委員会なり我々のほうから質問があつた場合には、どこにどれだけ配分するつもりだ、これだけのことを言つて頂きたいのです。いわゆる宮崎、鹿児島その他の視察した地帯だけが特殊土壌じやないのです。この法案の審議に当つて、これは赤木さんもよく知つている通り、各地にあるのです。それをごまかしで以て、赤木委員から追及せられたからごまかしで以て隠してうやむやにしようというのは私は非常に不穏当だと思うのです。従つてこれは官房長も正規の予算書ではないと言うのですから、恐らく正規の予算書には確かに単行法として特殊土壌の予算が別個に織り込んであるものと了解いたしますから、はつきりとこの場合にも織り込んで頂きたいと思います。
  58. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 正規の予算書を差上げます際には参照書のほうにですね、はつきり書いております。お尋ねの特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法に基く特殊土壌地帯の保全を図るための砂防事業費六億五千万円が含まれていると参照書に書いてある。ただ府県別には予算書の参照書に出ておりません。
  59. 田中一

    ○田中一君 では大体河川局で特殊土壤の六億五千万円の予算を配賦しようとする府県並びにその箇所、それを資料として要求いたします。委員長お願いいたします。
  60. 石川清一

    委員長石川清一君) 只今の特殊土じよう地帯振興法に対する府県並びに箇所、金額の資料を早急提出願います。
  61. 赤木正雄

    赤木正雄君 私はこの問題はもうすでに二回も申して、三回言うのは実は余り好まないのですが、今田中さんのお話通りに特殊土壌の法律は、これは全国的にあの予算を持つて行くものなんです、あの法案の審議の過程から申しまして。ところが実際においてあの審議会なるものは非常に偏頗な、あの法とは全然違反した形の審議会で、本当に局部的になつております。例えて申しますと、この間言つた通り岡山県においても瀬戸内海のほうだけは持つて行けるが、砂防を要する海岸の山地には持つて行けん。又鳥取県は殆んど全部持つて行けん。又あのときはつきり申上げましたが、ここにおられる石坂君のおられる富山県のごときはもつと顕著なる事実で、特殊土壌の浸蝕が多いからして持つて行くべきだと言うと、そうしますと言いながら、あの審議会の過程によりますと全然持つて行かない。実に妙なことになつておりますから、これは決して局長を責めません。これは私審議会のほうが悪いと思いますが、併し次官もあの審議会の委員なんでありますから、これは私は各省の次官に大きな責任があると思います。その点からまあ特殊とついたものを今更変えることはなかろうと思いますが、とにかく二十九年度から少くともこんな変なことのないようにしてほしい。折角この委員会で皆さん御協力を得てできた予算がああいうばかばかしいことでは本当に困つてしまいます。これは特に私強調しますが、二十九年度には絶対ないということをむしろ確言してほしいのです。
  62. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私ども実は特殊土壌地帯の法については、あれが出た以上は或いは砂防法の中に入れて計上するのが適当だとは思つておりません。別途に項目を立ててやるほうがはつきりしてよいと思う。そうすると従来の砂防事業等の関連も明確に割切ることができますので、そのほうがよろしいという考え方を持つております。かねてから特殊土壌地帯の審議会においてもそういう考えで、別に予算の柱を立てるという主張をしておつて、まだ実現しないのでありますが、私どもも今度の特殊法については別の予算の柱を立てて行くという行き方に努力をいたしたい。そうしないと、ただこの中に幾ら含まつておるというようなことでは甚だ明確でないので、それから予算を執行する上においてもいろいろと不便な点がある。そこでできるだけ早くそういう項目をはつきり立てて、明確にしたい。ただその内容についてどうだと、こういうお尋ねでございますが、実はここに予算項目がずらりと列んでございますが、この項目も今内容について検討いたしておるので、それと同時に特殊土壌地帯の予算の分もやりますので、今すぐ提出はちよつとあれですから、もうちよつと時間をお貸し願いたい。全体の予算はいろいろ今内訳をやつおりますから……。
  63. 田中一

    ○田中一君 それはいつ頃出してもらえますか。すぐに資料が出せないならば、恐らく内容についても相当再検討しよう、若し審議会以外に政府として考慮しようという意図があるものと善意に解釈いたします。従つて時日は待つてよろしうございますから、いつ頃出るか、そうして従来、審議会の決定を鵜呑みにしないでもいいのですから、政府として善処するというようなお言葉が出れば、時間はお待ちします。従つて資料を出すことを間違いなくいつ頃出せるか、委員長、聞いて下さい。
  64. 石川清一

    委員長石川清一君) 只今田中議員の要求しました資料はいつ頃提出できるか、河川局長
  65. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今各項目についてやつておりますから、七月、二十八年度予算通りますまでに一つ皆整備をしたいという考えでやつております。
  66. 田中一

    ○田中一君 そうしますと審議会の答申通りでなく、政府として考慮したいという点、修正したいという点があると了解してよろしうございますか。
  67. 米田正文

    政府委員米田正文君) 内容についしは勿論審議会の御意見は参酌しますが、建設省としての方針がございますから、それらは勿論審議会の意見を調整してやるという考えであります。
  68. 田中一

    ○田中一君 今の問題了解しました。  次に本年度予算の編成に当りましてこれは河川局ばかりでなく、主要なる資材と賃金、これを二十七年度と比しましてどういうような考え方を以て編成したか、無論建設資材、主要なるもので結構です前年度の編成期の物価をどう見たか、賃金はどう見たか、又今やるのは二十九年度予算ですから、現在の実施状態はどうなつているか。それから一年後に実施する場合にはどういう見通しでやつているか。それを一応御説明つて、なお細かい資料をお出し願いたいと思います。
  69. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 持つて来たのですけれども、今はつきりしたものがありませんので、御要求がありましたので、この次の機会までには御要求の事項を取りまとめまして、御説明をし、御報告もいたしたい、かように考えます。
  70. 田中一

    ○田中一君 細かい数字あとでいいですから、大体予算編成の考え方は、二十七年度予算に対してどういう考え方を持つたか、それくらい言えるでしよう。
  71. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 重ねての御質問でございますが、誠に恐縮でございますけれども、事数字に関することでありますので、いま暫らくお待ち願えますれば、本日中でも資料を取寄せます。持つて来たはずでございますが、ありませんので、御了承願いたいと思います。
  72. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今の単価の問題は、実はそれぞれの単価についての指数を出しております。それでその指数が項目がたくさんありまして、労力、鉄材、そういうふうになりますので、今ちよつとその数字がないという意味でございまして、それぞれの指数を出しております。私も実は持つて来ておるのでありますが……。
  73. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今の資料、資材といつたようなもの或いは労力といつたものは、委員長にお尋ねするのもおかしいのですが、河川関係だけですか、建設省全般ですか。
  74. 石川清一

    委員長石川清一君) 全般と存じております。
  75. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私も全般についてお尋ねしたい。件しどうせ資料を積算したのでしようから、河川関係について、或いは道路関係についてこういう所管別にそれをお出しを願いたいということを私からお願い申上げておきます。
  76. 赤木正雄

    赤木正雄君 さつきの特殊土壤とは違いますが、多少それに似寄つた問題でありますからもう一度お伺いしたい。利根川外二河川総合開発事業、これは重要なる事業と思いますが、たしか北上川の総合開発と思いますが、それと関連しまして、河川のほうの事業もそのようになつておるかどうか、はつきりいたしませんが、砂防のごときは北上川の砂防を何ぼ持つて行け、こういうようなことがたしか特殊土壤と同じような形で予算書にあつたと思うのです。そういうことになりますと、成るほど北上川も重要河川でありますが、併し十分予算があつて、特に北上川にたくさん持つて行けというのは、私は何ら異議はありませんが、併しこれほどほうぼうに災害が起ります場合に、少い予算一つ場所に持つて行くために、あと殆んど日本の工事が空巣になつて、それがためにほかの災害が大きくなる。こういうことになつては由々しい問題でありますので、これは治水事業全般の予算が殖えるときには異議がありませんが、今日の情勢においてはそういう河川があるために特にそこに重点的に予算を持つてつて、ほかの河川、小さい河川でもそうでありますが、そういうところの水系が非常に被害をこうむる、かような偏頗なことのないように、治水政策として少くとも二十九年度予算編成に当つては特に局長において御考慮を願いたい。これを私はお願いしておきます。
  77. 米田正文

    政府委員米田正文君) 勿論そういう特定地域的に見た見方と、国全体の河川行政、それから治水行政として見た観点とあると思います。勿論両方の面から検討して申上げたいと思うので、北上水系だけの観点から見るようなことはいたさないつもりでおります。
  78. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 ちよつと河川局長に伺いたいのですが、河川改修費補助の残はどのくらいありますか。
  79. 米田正文

    政府委員米田正文君) 中小河川改修費の残としては二十七年度末で七百四十三億九千二百九十四万円でございます。
  80. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 河川総合開発事業費補助は。
  81. 米田正文

    政府委員米田正文君) これはございますけれども、実は各一本々々についてあつて、全体集計しておりませんから、御必要ならばあとでそろばんを入れまして……。
  82. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それではその資料をあとから御提出を願いたいと思います。それからもう一つ伺いたいのですが、これによりますと、直轄河川総合開発事業、それから河川総合開発事業というものは大体ダムの建設のように思われるのですが、大体何年間くらいでダムを建設される予定ですか、御説明願いたいと思います。
  83. 米田正文

    政府委員米田正文君) ダム自体としては我々は三年乃至四年というのを標準に考えております。それぞれのダムで違いますけれども、大体それらを標準にして実は二十八年度から五カ年計画というものを一応想定をしております。まだ別にこれはオーソライズしておりませんけれども、一応そういう想定をして五カ年間に四十ダムをやりたい、こういう計画を内輪でまだ持つて、オーソライズしておりません。いずれオーソライズしたいと考えております。それによつて五カ年間で約四十を完成したい。一つ一つ言えば三年乃至四年かかる、こういうことになつております。
  84. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 只今河川局長は大体三年乃至四年に完成したいというような御説明でしたが、直轄河川総合開発事業費から見ますと相当かかるようになつていますが、予算の組み方は只今河川局長が言われたように組んであるものか、それを承わりたいと思います。
  85. 米田正文

    政府委員米田正文君) 継続費設定のものはそういうふうに組んでおります。
  86. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 例えば直轄河川総合開発事業費の例をとつて説明願います。……これは書類であとから御提出願つても結構です。
  87. 米田正文

    政府委員米田正文君) それでは一例を申上げます。五十里の堰堤について申上げます。五十里の堰堤は二十七年度から三十年度まで継続費として設定をしております。それから猿ヶ石川はこれも二十七年度から二十八年度、二十七、二十八に完成いたします。物部川は二十七年度から二十九年度まで、こういうふうに継続事業費をしております。それから利根川の藤原の堰堤については、二十八年度から三十年度まで三カ年間、それから江合川の南部堰堤については二十八年度から三十年度まで三カ年、十津川の総合開発事業費として猿谷の堰堤は二十八年度から三十年度まで三カ年、こういうふうに組んであります。
  88. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 各府県に補助する河川総合開発事業費補助についてもやはり同じような考えで三年乃至四年という考えでございますか。
  89. 米田正文

    政府委員米田正文君) そうでございます。ただ御承知のように補助事業費は継続事業費は設定できませんので、内輪ではそういう計画を持つておりまして、実行はそういうふうにいたしたいと思いますが、予算の面ではそこまではつきりするわけに参りません。
  90. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 災害関係ですが、二十七年度末で七百三十九億残つているというのでございますが、これはどのくらい、何年度くらいまで済んだのですか。
  91. 米田正文

    政府委員米田正文君) 災害はその残りの分は、まだ二十三年度災害からの分を全部集計してそうなる。二十八年度には、二十三年災害は完成をさせたいと思つております。
  92. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これは単価の更正はしてありませんか。
  93. 米田正文

    政府委員米田正文君) 単価の更正はその都度やつております。その都度と申上げるのは、予算要求の都度更正しておつて、今のところ単価更正を特に必要だというので、二十五年度災害までは単価更正をやつております。その後の分はまだ査定のままになつておりますが、必要に応じて再査定をして単価更正をすることになつております。
  94. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうするとこの七百三十九億は現在の単価に直すと大体どのくらいになりますか。
  95. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今のところそういう先ほどお話したように古い災害は単価更正をしてありますから現在は大体この程度で行けると思つております。どうしてもいけなければ又単価更正をすると考えております。
  96. 田中一

    ○田中一君 もう一遍伺いたいのですが、大臣に伺おうと思つていたのですが、事務当局から聞きますが、総合開発を謳つておりますのに、現地においてはやはり建設省建設省、農林省は農林省、その他おのおの予算で、例えば北上川なら北上川の総合開発計画を進めているわけであります。建設省事務当局としては、若しこれが仕事の看板とか、或いは予算の編成上、実施面だけは一本の統制の下に施行して行くというような機関を設けたほうがいいか、或いはそれじや困るか、その点を一つ伺いたいと思います。  それから北上水系の総合開発をやる場合、予算編成に当つてはかかる総合的な見地から施行そのものの計画を事前に打合せて予算を組んでいるのかどうか、この三点だけお伺いしたい。
  97. 米田正文

    政府委員米田正文君) 北上川総合開発計画というものは御承知のようにできたのですが、それでこれは予算期に各省が審議庁を中心にして集りまして、それで北上川水系に関する計画にある項目についてはそれぞれ打合をして、調整の取れた予算を組まうという趣旨から、打合を審議庁が中心になつていたしております。それで勿論そのときに先ほど申しましたように、各省としてはそれぞれの、治水なら治水の全体の面から見た北上川というものを考え、なお北上全体の総合計画というものを考えて全体の予算をきめております。そこで計画ができれば一つの調整の取れた開発計画を作ることになる。ただ先ほどちよつとお話のように政府の機関をこしらえるということですが、これは私どもはそういう計画を調整することによつて実施はむしろ現状のままやるへぎだ、なぜなら、例えば治水の問題にいたしましても、治水は全国的に見なければならん、他の河川とのバランス等も見なければならないという面がありますので、日本全体としての治水という考え方をとる必要がありますので、計画として北上なら北上を一つまとめて行つて、そうして実施はやはり全体として各省所管の実施をやるという行き方のほうがいいと我々は考えております。
  98. 田中一

    ○田中一君 まあ多分そんな答弁と思つていたのですが、結局治水の場合ですね。利水を考えずに治水をやるのは今までの行き方です。今度は先ほど石川委員も言つたように利水を考えて治水をするということも総合開発の根幹です。従つて利水を図るため治水をやるという面も相当大きくクローズ・アップされて来ると思うんです。ところが先般も利根川水系を見て参りますと、それは現場においてはその調整が取られてない、やはり港湾関係の運輸省の仕事は勝手にやつている。それから建設省治水の面でそのままどしどし自分計画でやつておる。利水の面も何ら考えていない。それから農林省は農林省で以てやつている。こういうことでは実際の仕事の面にロスがたくさんあると思う。無論各省各局が予算を余分に分取つて勝手に自分仕事をやるほうが、少なくともたくさんの公務員を抱えているのですから、当然責任としておやりになるでしよう。予算分取りは結構です。止むを得ません。併しながら実施面においてはそういうロスのないような方法を一遍考えなければならん、こう思うのです。その点についてやはり別々にやつたほうがいいという河川局の考え方は非常に不満です。これは事務当局に回つたのですが、恐らく大臣並びに各省大臣はそういう答弁ななさらんと思います。一応今日はこれでよろしうございますが、この問題については大臣からも特にお話を伺いたい。いずれ何かの機会に同おうと思います。
  99. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  100. 石川清一

    委員長石川清一君) それじや速記をつけて下さい。只今田中委員から調査報告の件が出て参りましたが、如何扱いましようか。
  101. 石川榮一

    石川榮一君 先ず最近に視察なすつたのでありまするからして、今利根川の問題は、大きく総合開発の問題も出ております。いい機会ですから、この際委員の代表として田中君に一つ報告願いましよう。
  102. 石川清一

    委員長石川清一君) 只今石川委員から賛成がありました。それでは田中委員報告を願います。
  103. 田中一

    ○田中一君 委員会の決定によりまして去る六月九日より十二日に至る四日間に亙つて利根川水系建設事業を実地調査いたしました結果を簡単に御報告いたします。  これは小沢久太郎君と小笠原二三男君と私でございます。調査の日程及び視察個所についてはお手許に配付いたしました印刷物にある通りであります。  現在利根川治水並びに砂防事業は、いわゆる改訂改修計画に基いて行われておるものでありますが、一応現在に至る道程を顧みますと、明治初年より利根川においては他の大河川におけると同様、主として航路維持のための低水工事並びに災害復旧工事が行われて参りました。併しその後明治十八年、同二十二年、同二十七年と連続的に大出水を見、災害をこうむるに及び、ここに政府は根本治水計画を樹立して事業を行う必要を感じ、明治三十三年上り着工したのであります。その後明治四十三年に再び未曾有の出水があり、一部計画を改正して、昭和五年に至り事業の完成を見ました。更に昭和十年に又もや災害をこうかりましたので、計画洪水量を修正し、これを増補計画と名付け、昭和十四年度より十五カ年計画を以て着工したのでありましたが、戦争のため遅々として進捗しないまま戦後の大災害を迎えたわけでありまして、その結果三たび計画を修正し、昭和二十四年、今日のいわゆる改訂改修計画が樹立されたものであります。これは利根川、烏川合流点の計画伏水量を毎秒一万七千立方メートルと想定するものでありまして、計画の概要についてはここに一々説明することを省略し、お手許に印刷物として配付いたしました。以下各視察個所についてその状況及び所見を簡単に申述べることといたします。  一、江戸川改修工事、現在江戸川に行われていますのは、行徳における可動堰の建設、野田より上流区間の引堤及び野田より下流区間の掘鑿並びに堤防蒿上げ工事等であります。即ち全体計画を三期に分ち、先ずその第一期として、毎秒三千五百立方メートルの洪水流下を目標として工事を行なつているのでありまして、これは昭和三十年度には完了の見込であります。行徳可動堰は現在橋脚工事を行なつておりますが、これについて地元上り可動堰の個所を閘門として上流へ舟航し得るよう考慮されたい旨の陳情がありました。引堤区間は大体河幅二百四十メートルより四百メートル程度に拡げるものでありますが、このため三百八十六万平方メートルのつぶれ地を生ずるものであります。特に宝珠花村における土地買収は、村の希望に上り部市計画事業を併せ行い、土地区画整理をした結果極めて円滑に完了したものでありまして、今後同様のケースが各地に起る場合の参考に供すべきものとして注目に値するものと思われます。関宿における分派計画については、地方建設局において現在なお技術的見地上り水理実験を行なつて検討中でありますが、地元五霞村では成るべく速かにその結論出し計画を提示すると共に、事業施行に伴う土地買収については、替地その他補償に万全の措置をとるよう要請されております。引堤に伴う行政地区の分合についても相当考慮せねばばらんものと考えられます。  二、利根川下流改修工事、下流部においては主として銚子の導流堤建設及び本川の浚渫、堤防蒿上げ並びに附随的土地造成工事が行われております。導流堤は昭和二十四年着工、すでに延長九百三十メートルを完成して河口に堆積する漂砂の排除に相当効果を挙げております。今後引続き三百五十メートルを延長し、これに要する工費は約二億五千万円と算定されておりますが、現在の進捗状況ではなお六—七年を要する見込であります。地元においては導流堤工事の促進と銚子港の整備による市の発展を企図しておりますが、これは更に上流、佐原、土浦港の港湾整備並びに霞ヶ浦地区の開発に関連する航路整備等の問題と相待つて総合開発の見地より考究さるべきものと考えます。佐原、小見川その他の地先においては、現在合計一千馬力、四隻の浚渫船を駆使して浚渫を行なつておりますが、それでもなお年間この地区に流下堆積する約三百万立方メートルに匹敵する土量を浚渫し得るに過ぎない状態であります。今後上流砂防堰堤工事の進捗と浚渫船の増強が必要と考えられます。更に利根放水路の開鑿が改訂改修計画中の重大なる一課題として残つておりまして、当地区においては現在農林省の印旛沼、手賀沼干拓工事が行われておりますので、これと関連して地元に放水路開鑿反対の意向があり、又千葉県としても種々希望条件を付けているようであります。これに対しては技術的且つ経済的に十分検討を加え、関係者の意見の調整を図つて、速かに実施計画の策定を図るべきものと考えます。なお小見川附替工事は地建において曾つてその計画は発表され、地元の反対に行き悩みの状態でありますが、これについても早急に解決せねばならぬと考えます。  三、利根川上流部改修工事、本区間としては本川筋、川俣、関宿間の一部引堤工事及びその他浚渫、堤防蒿上げ工事並びに渡良瀬游水池の低水路浚渫と堤防増強等が行われております。従来最も危険であつた栗橋附近はすでに引堤工事を完了しておりますが、その他の地点においてはなお多く応急的ないわゆるかみそり堤防と称せられる個所が残つており、昭和二十二年災害によつて破壊を生じた個所は復旧されましたが、災害を受けなかつた個所はなお延長七十キロメートルにわたり頗る危険な状態に放置されております。維持費の増大を図つて早急にこれらの護岸水制工事を施行しなければならんものと考えられます。  四、渡良瀬川上流改修工事、渡良瀬川は足尾銅山より流れ出す土砂量は年間百万立方メートルに達すると考えられ、このうち粒度の大きいものは上流足利市以北に、土砂は渡良瀬游水池に沈澱し、著しく河床の上昇を招き、二十二年或いは二十四年災害の因をなしたものであります。従つて現在の改修工事は、足利市における計画供水流量を毎秒四千立方メートルと定め、堤防を拡築し、或いは掘鑿によつて河積の増大を図つております。岩井山における狭窄部の除去については、下流部の改修工事進捗の状況を勘案して現在検討されております。矢場川の改修は、渡良瀬川改修に附随して是非行わねばならんものでありますが、群馬、栃木両県の県境となつているため、両県において改修計画の調整を図る必要があります。昭和橋と錦桜橋の間は二十四年災害で破堤した個所の災害復旧工事はすでに完了しておりますが、堤防の拡築は現在これを施行中であり、暫定予算の影響を受けてやや手待ち状態でありますが、本年度中には完成されねばなりません。  次に、五、砂防工事、渡良瀬川水源地帯足尾鉱山附近は煙害のため周辺約二十四平方キロに亙つて全裸荒廃地となつて、農林省及び現地鉱山所によつて施行された若干の山腹工事も効果なく、流出土砂量は年間五十万立方メートルを繋る有様であります。内務省時代、昭和十二年より堰堤工事が行われて来ましたが、現在建設省に上り直轄施行されておりますものは足尾堰堤外二カ所であります。なかんずく足尾堰堤は高さ三十二メートル、長さ二百五メートル、総立積九千二百立方メートル、推定堆砂量五百万立方メートルの大堰堤であります。昭和二十五年見返資金の導入を得て着工、すでに七〇%を完成し、総工費四億円を以て昭和二十九年度完成の見込であります。併しながらこの大堰堤を以てしても漸く十カ年余の寿命を保つに過ぎないのでありまして、速かに煙害処理の実を挙げ、直ちに山腹砂防を実施する以外に途はないと考えます。利根川支川、沼尾川上流敷島村附近は、昭和二十二年出水の際赤城山系の崩壊土砂が多量に流出しために大災害をこうむつた個所でありまして、現在なお山腹崩壊の跡が歴然と残つております。この地点においては土砂貯溜並びに河床安定のため堰堤工事を行なつておりますが、赤城山系については昭和二十二年出水の際、各河川に新たに九百八十四カ所、合計二百四十八町歩の山地崩壊を生じていると推定されておりまして、災害を防除するためにも、砂防工事を一層促進すべきものと感じられました。利根川上流藤原堰堤は、洪水調節を主目的、発電を副目的として、昨年度より建設省直轄工事として施行されております。現在は迂回県道、材料運搬道路、仮設木橋等、準備工事を行い、諸器材を購入、設置しておりますが、本年度を以てほぼ完了し、来年度より本工事に着工し得る予定となつております。堰堤は高さ九十四・五メートル、長さ二百三十メートル、堤体積三十九万一千立方メートル、貯水池の有効貯水量三千六百七十万立方メートルであり、堰堤工事費は三十四億七千万円、発電の最大出力八千キロワツト、年間増加電力量一億四千六百万キロワツト時であります。又貯水池として水没するものは、家屋九十戸、田畑四十一町歩、山林百五十町歩等であります。これらの移転並びに買収補償についてはまだ具体的交渉の段階に入つておりません。一時感情的問題のため、一部地元側より反対の声がありましたが、現在すでに解決を見ておりま5ので、今後具体的交渉を行うに当つLは慎重に取扱い、先に決定された電岨開発用ダム建設に伴う補償要項に則リ、十分の措置を講ずる必要があると並われます。ただ地方の希望として、でき得る限り現地附近に代替地を求めて移転したい向きがありますが、水没地附近は国有林が多く、この払下げと受けることについては将来相当の困難が予想されまして、特別の措置を要するものと考えられます。因みに発電事業に関しては東京電力株式会社が行うことになつております。赤谷川相俣堰堤は、群馬県営として、本年度予算の配賦を待ち着工の予定となつております。堰堤は高さ六十五メートル、長さ八十メートル、建設費六億七千四百万円中、公共事業支出分四億三百万円であります。これにより洪水調節を行うと共に、灌漑及び発電を行う計画となつております。県の調査結果によれば、本地点は交通の便よく、且つ有効貯水量に比し堤体積が比較的小さく、工事は安価且つ短期に完了し得る利点を有すると称せられております。以上のほか、現在調査中のものに堰堤がありますが、毎秒三千立方メートルの洪水調節を行うためには、なお数カ地点の堰堤を必要とするもので、速かに調査を行なつて、堰堤計画を確定すると共に、多目的ダム建設に附随するアロケーシヨン、建設後のダム管理等の諸問題について適切な方針を確立することが望まれます。  以上各視察個所について簡単に申し述べましたが、改訂改修計画の工費は、本年度物価に換算して約一千億と推定され、現在予算配賦状況より見ますと、これが完成には実に数十年を要することになります。従つて今後更に河川費の増額を図り、事業の促進を図る必要のあることは当然でありますが、制約された予算の範囲内で一層技術研究を行い、予算を重点的に使用する等、事業効果を更に増進するよう検討を加えることが望まれる次第であります。  最後に利根特定地域総合開発について一言附加えますと、計画の基礎をなす各都県の計画はすでに中央に提出され、近く審議会の調査審議を始める段階にあります。ただ本地域については各都県の利害が非常に錯綜しておりまして治水並びに利水の両面において計画策定の前提条件として解決すべきものが多々ありまして、これら諸問題については、少なくとも根本方針だけは速かに確立する必要があると思われますが、これがためにも総合開発調査費は更に拡充すべきものと考えます。  以上を以つて報告を終ります。
  104. 石川清一

    委員長石川清一君) 続いて熊野川流域の調査報告近藤委員にお願いします。
  105. 近藤信一

    近藤信一君 熊野川水系紀の川、吉野川及び宮川等の建設事業について、去る八日から十三日までの六日間に亙り飯島委員と私が課査いたしました。その概略について説明申上げます。  先ず八日朝、東京を出発いたし奈良市に行きました。奈良市で近畿地方建設局企画部長から、吉野熊野特定地域開発計画と、奈良県土木部長及び計画課長等から、県の重大関心を寄せている十津川分水事業及び吉野川上流の農業水利事業等について説明を聴取し、翌九日、これらの説明に基きまして実地に調査いたしたのであります。  奈良市を早朝出発いたし大和平野を南下しまして大淀町の農林省事務所に行つたのですが、この大和平野は御承知のごとく、大和川が放射状に流れ、一見灌漑用水には不足していないようでありますが、それとは全く反対でありまして溜池が散在しており、灌漑用水の大部分は井堰と溜池にかかり、毎年旱害に悩まされておるとのことであります。農林省の事務所で担当者から紀の川、吉野川上流の管轄事業及び紀伊平野等の事業について説明がありました。それは吉野川上流津風呂地点に高さ五十四メートル余のダムを築造して貯水池とし、発電を起すと共に下渕頭首工及び五キロ余の大和平野導水隧道を建設して、大和平野に幹線水路を東西に作り、灌漑用水を補給しようとするものであつて、農林省は昨年五月に起工いたし、津風呂及び導水隧道等については二十八年度から施工いたす計画で、現在地元の了解を得て、工事用の道路の新設拡張工事を行なつております。又大迫貯水池の計画もありますが、ここでは後年の問題ですので省略いたします。  次いで南宇智村にある建設省工事事務所に行き、十津川分水及び電源開発について説明を聴取いたしました。即ち十津川分水に関する公共事業、即ちダム建設は、建設省で二十七年度より着手し、且つ十津川分水の一部及び発電は電源開発会社で施工することに決定し、電源開発会社は早速準備に取りかかり、西吉野建設所を開設し、昨年十一月発電のための水利権使用許可申請書を県に提出したのです。これに対し奈良、和歌山両県は調停の趣旨を勘案して、各種項目の条件を付して建設省に稟請しておるのです。併し本事業の推進を図るため地元の了解を得て、工事用道路を建設中であり、工事区域を三カ所に分けて入札し、施工者も決定しております。  次に猿谷ダムを実地に調査いたしましたが、建設省で昨年五月に起工式を行い、電源開発会社と同一歩調で地元の了解を得次第着工できるよう準備を進めております。なお補償問題については、津風呂についても猿谷についても、昨年三月に知事の諮問機関として十津川、吉野川総合開発補償協議会を設置して、事業主体側と被害者側との斡旋を行うことにきめ、両貯水池の水没物件の補償額を、事業主体側では去る三月協議会に内示し、地元交渉を始め、現在なお交渉している様子でした。計画を申上げますと、高さ七十四メートルの猿谷ダムを十津川の天の川に建設し、川原、樋川の水を集め、吉野川支流丹生川に分水する吉野第一発電所、最大出力三万二千八百キロワット、なおその水を隧道で落差を取り発電する第二発電所の一万二千六百キロワットである。なお、放流した水は紀の川を流下し、紀伊平野にある現在八井堰を四井堰に統合整備し、支川の山田貯水池を建設して、一万余町歩の灌漑用水を確保するものであります。  猿谷ダム地点を調査して、そのまま十津川水系を南下する計画でしたが、前日降雨があり、道路も悪く、舟航も杜絶しておりましたので、和歌山に向つて紀の川沿いに下りました。十日は和歌山県庁で、前述いたしました和歌山県側の計画を聞きましたが、殆んど同様であり、両県とも早期完成を希望いたしておりました。次いで新宮市に午後出まして、電源開発会社熊野川調査所で電源開発計画について聴取いたしましたが、すでに本水系には計画案が多数ありますが、再度建設省が既に調査していたものを電源開発会社が引継ぎ調査を実施しており、その調査の結果、計画を樹立すべく検討を加えているところでありました。従つて近いうちにその計画が確定することと思われますが、その一つに、OCI案にある小鹿地点の高堰堤は、砂層が五十八メートル余もあり、到底技術的に困難であるとのことでもありまするし、低堰堤にしたらという計画もあるようですが、具体的にどうするかという問題は今後に残されているようです。その他小鹿地点及び熊野川河口の流木問題等について実地に調査いたしました。  十一日は木ノ本町から北山川水系の大又川と七色ダム候補地点を調査いたしました。現在ボーリング試験を行なつております。その他上流の沿岸地を調査いたしまして、宮川水系の三瀬谷町に出ました。宮川綜合開発は県営事業として三重県で施行しており、昨年起工いたし、宮川開発建設部という事務所を開設して現在工事中であります。即ち概要を申述べますと、工事用電力を得るため現在宮川の支流の大内山川に取水堰堤、高さ六・九メートルを築造し、隧道で三瀬谷町の長まで導水し発電するものですが、その発生電力量は二千三百キロワット程度です。現在工事中です。又宮川の最上流の大杉谷村久豆に高さ八十四メートルの重力式コンクリート堰堤を築造し、この貯水量を圧力隧道により分水して三戸川に落し発電する宮川第一発電所の最大出力二万八千二百キロワット、その水を下流に三十二メートルのダムを作り、貯水し調整池となし、右岸から取水して隧道で落差を取り、三野瀬村三浦で発電し、熊野灘に放流する第二発電所一万三千三百キロワットであります。なお、このダム建設については各部門につき入札を行い、工事に取りかかるべく現在付替道路を建設中であります。その補償についても土地整理と代地方式で円満解決したという話でありました。なお堰堤操作により洪水を防除することも可能であり、下流に灌漑及び新規開田等の問題も附帯しており、県営事業としては大規模のものでありますが、県当局はこの建設費の調達について傾倒しており、公共事業の補助が低額であるのでその増額を要望いたしておりました。  この水系を十二日に調査いたし、十三日に帰京いたしました。  なおこの地方調査いたしまして、痛切に感じましたことは道路であります。殆んどが行詰り道路であることです。このため豊富な森林資源、水産資源、鉱産資源等が搬出に不便のためつているというのであります。鉄道も木ノ本、尾鷲間が不通であり、現在建設中でありますが、早期完成こそ本地方開発の先駆でもあると考えます。  以上大略を申上げて置きます。
  106. 石川清一

    委員長石川清一君) 以上の御報告をお聞きしまして、本日は質疑はこれでとめたいと思います。  次回は二十五日木曜、午後一時より委員会を開会したいと思いますが、審議事項は、二十八年度予算について道路計画関係説明を承わりたいと存じます。  速記をちよつととめて下さい。    〔速記中止
  107. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会