○
説明員(渋江操一君) それではお手許にお配りいたしております。「都市
整備対策
協議会資料」という資料をお配りいたしておりますが、これにつきまして御
説明をいたしておきます。
御承知の
通り戦災直後から戦災復興
事業というものを各戦災都市に
実施して参
つたわけであります。この
事業は当初戦災都市の
対象面積一億坪を一応
対象といたしまして、これに対して区画整理を
実施し、戦災復興
事業を図ろうということのために出発をいたしたわけでございます。その後占領政策当時におきまして当初
考えられておりました
事業量が当時のドツジ政策等によりまして相当財政的な緊縮を図らなければならないという点と、それから当時の資材状況等から睨み合せまして、この
事業量を相当圧縮すべしという問題が出て参りました。その結果といたしまして、
昭和二十四年に至りまして、これをその線に沿いまして相当圧縮することにいたしまして、当時閣議決定をいたしたのでございます。これが現在まで
実施しております
計画の基本的な
裏付けにな
つておるわけでございます。即ちこの資料の九ページにその閣議決定が出てございます。
この閣議決定は、
内容的に見ますと、先ほど御
説明いたしました一億坪の
計画を八千五百万坪ということに面積からいいまして圧縮をいたしております。それからなお事事の種類、戦災復興
事業計画の
内容として
考えられております
事業の種類を、当時の資材状況等或いは相当金のかかる
事業、こうい
つたものをそれぞれ査定をいたしまして、この分を後年度に繰り延べるという
考え方に立
つております。その結果といたしまして、おおむね当時の金額にいたしまして二百一億ということに
事業量を圧縮いたしておるのでございます。さようなわけでございまして、これが二十四年から……なお、
内容的に御留意願いますことは、これを二十四年から五カ年間に五カ年間
計画において
実施するということであります。
それからもう
一つの点は、当初戦災復興
事業に対する国の助成と申しますか、
補償と申しますか、そういう
考え方として、これを国の
負担分を相当高めるという
考え方で出発いたしておりました。即ち当初の
方針におきましては、この
事業に対しては国は八割を
負担するという
考え方で立
つておりましたけれ
ども、この際の閣議決定といたしまして、これを国としては半額
負担、
あとは地元
負担にすると、こういう
考え方にな
つておるのであります。これがこの閣議決定の重要なる
内容でございます。
そこで明年度、即ち二十九年度がこの閣議決定に基く
事業計画の最終年度ということに相成
つて参るわけでございます。そのような次第でございまして、各戦災都市とも現在までの進捗率はおおむね七割をちよつと超えておるかと思いますが、おおむね七割
程度の進捗率にな
つておりまして、併しながらこれを各都市別に見て参りますと、中都市乃至は小都市におきましては、二十九年度を待たずしてこの
計画事業量をおおむね消化し尽すという段階に相成
つて参りました。それに反しまして五大都市を中心といたしまする大都市におきましては、進捗率はやや遅れておる。殊に五大都市におきましては、所定の二十九年を以て完了することもやや困難であるという状況がそれぞれ見えておるわけでございます。そこでこれに対する地方側、殊て戦災都市の要望といたしましては、是非この繰延べられた
事業というものを
実施してもらいたい。例えて申しますと、この繰延べ
事業の中にいはゆる堅牢建物の移転という問題が残
つておる。或いはこの幅員を拡げました街路上の軌道或いは地下埋設物の移設問題が残
つております。更に焼け残り地区との
関係におきまして、
対象面積に取上げられました区劃整理地区におきましては、幅員の拡げられた街路ができ上
つた半面におきましては、焼け残り地区におきましては旧態依然たる街路がそのまま残されておるというような
関係が残されておる。更にそのような
関係は幅員を拡げられた街路とそれを結び付ける橋梁との
関係においても同様な事態が起
つておる。更に又鋪装とか側溝とかいう街路の利用の上におきまして、やらなければならない
事業というものが繰延べられておるような状況に相成
つておるわけであります。これらをそれぞれ私
ども戦災復興
事業の肉付け作業と申しておりますが、かようなものを処理いたしませんことには、要するに区画整理で当初
考えられました土地の利用、宅地の利用、それをいわゆる減歩においてそれぞれ地元の土地
所有者が
負担しておるわけでございますが、その減歩されました土地
所有者に対する
補償的な上においても、
只今申上げましたような繰延べ
事業がある限りにおきましては、びつこの形における区画整理
事業、設備というようなものができ上
つたというようなことによりまして、土地
所有者に対する
補償が十分行われていないという問題を生じます。即ちこれを放置いたしますならば、土地
所有者側からは区画整理で減歩されたものの国の
補償というものは、完璧な形で行われていないという意味合いにおきまして、これに対する政府への要請とな
つて来ることは当然
考えられますので、それらを
考え合せまして、この戦災復興のおおむね終熄を
考えられます二十九年度に対応しまして、それに引続きましてさような
関係の繰延べ
事業のうち都市活動に極めて必要な而も産業
施設上放置し得ないものについては重点的にこれを施行して行くという建前に立てまして、これを検討することにいたしたのでございます。
これに対する地方の要望額は、この資料にも出てございますが、最後のページにな
つておりますが、五百数十億に実は上
つているのでございます。併しながら現在の財政状況を以ていたしましては、この五百数十億のそれぞれの戦災都市の要望というものをそのまま呑むわけには参りませんので、これに対する取上げ方の
方針というものを検討することにいたしたのでございます。これは本年度御
審議を頂きまして成立に相成りました
予算中におきまして、都市
整備対策
協議会というものの費用が認められております。この
予算成立に伴いまして、早速この都市
整備対策
協議会というものを御決定願いまして、現在第一回の会合を先般開きまして、この
審議に当
つて頂くことに
なつたわでございます。
都市
整備対策
協議会の規程等につきましては、ここに資料として出ております。更に又この
協議会のメンバー、これにつきましてもお手許に配付いたしました資料中にそれぞれ掲げてございますので御
了承を願いたいと思います。実は国会
関係からも御参加を頂きたいと、実はかように
考えているわけでございますが、現在の国会法の建前からいたしまして、政府部内の
委員会等に対しましては所定の手続乃至はこれに対して非常にいろいろ複雑な手続が
考えられておりますので、さような
関係でこの再検討五カ年
計画の際におきましても同様な
委員会が設けられたわけでございますが、その際におきましても衆参両院からはオブザーバーという形におきまして御参加を頂きましたわけでございまして、さような
関係を以ちまして同様の
方法をとらして頂くことにいたしたのでございます。
そこでこれに対しまして第一回の会合乃至は現在の審諸過程において如何なることが問題にな
つているかということを御参考ために御披露申上げておきたいと思います。
一つの議論は、戦災都市中心にかかる
事業を行うことがいいかどうかという問題が一面出ております。即ち戦災復興
事業もすでに五カ年を経過し、これに対しては一応これを以て打切るべきである。その後における各都市の対策というものは全然白紙の観点において、非戦災都市をも含めてこの区画整理
事業等を中心とした
事業、或いは街路
事業等を中心とした
事業をそれぞれ重点的に取上げるべきであ
つて、必ずしも戦災復興という問題だけに膠着すべき意味合いではないではないだろうかという議論も出ているのであります。これに対しましては
建設省の
考え方といたしましては、やはり当面の問題としては、先ほど申上げました意味合いにおきまして、戦災復興
事業に関連した問題を中心としてやはり
考えて参りたいという
考え方に立
つております。併しながらこれを終始都市の対策
事業としてかかる形をとることは必ずしも当を得たものではございませんので、この
考え方の戦災復興
事業の関連
事業を取上げる場合におきましても、やはりその都市の産業活動等に極めて緊密な
関係のある
事業というものをできるだけ重点的に取上げて参りたい、かような
考え方に立
つておりますことは先ほど申上げました
通りでございますと同時に、この名称等につきましても、重要都市の
整備対策という
考え方に基きまして、当面の戦災復興
事業の関連
事業というものを処理し、なお財政的な観
点等からいたしまして、余力のある場合におきましては非戦災都市の
事業等についても十分の検討を尽したい、かような
考え方で二段がまえの
考え方でこの問題の処理に当
つておるのでございます。さようなわけでございまして、いずれこの結果につきましては、大体急いでおります
関係からいたしまして、十月半ば頃までに、この今申上げました
方針に基く
事業計画というものを明確にいたしたい
考えでございます。かようなことになりました後におきまして改めて又御
説明をさせて頂きたいと、かように存じております。
それからこの表の中で更に
御覧願いましたことは二十二ページ或いは二十三ページにそれぞれ現在の進捗状況等を現わしておりますので、資料によ
つて御覧を願いたいと思います。
それからもう
一つ御
説明いたさなければなりません点は、衛星都市の
整備促進に関する対策でございます。先般新聞紙上等にもこの構想について出たわけでございますが、この問題は主として現在
首都建設委員会が中心とな
つて研究されておる問題でございますが、すでに御承知のように都市におきます人口集中の現象というものは年と共に激しくな
つて参
つておるような状況でございまして、仮に東京都の例を取
つて申しますと、年間おおむね四十万の人口
増加を見るというような状況に相成
つております。これをこのまま放置いたしますことは、その地方公共団体自体の財政
負担というような現実の問題を離れましても、社会的にも或いは都市機能の上におきましてもいろいろの問題を起すわけでございまして、さような点からいたしまして、これに対する何とか対策を
考えて行かなければならないのではないかというようなことが各
方面から言われておるのでございまして、それに対する
考え方の
一つとしてかような構想を試みておるような状況でございます。
お手許の法案の
内容につきましては、なお
首都建設委員会の
事務局長も来ておられますから、そのほうからも御
説明があることと思いますが、現在
建設省で
考えておりますことは、この法案については大体まだ検討を要する問題が相当ございます。この法律の主として狙
つておりますことは、先ず首都を中心といたしまして五十キロ圏内における衛星都市というものをおおむね想定いたしまして、これを
建設大臣がその
地域を
指定するという
考え方を先ずと
つております。それからその
指定された
地域に対するいわゆる衛星都市の
整備事業というものは如何なるものかということがこの資料の第三に書かれておるわけでございまして、即ち工業生産
施設等に対する土地の取得乃至は住宅用地の取得、それから街路、水路等の公共
施設の
整備、それからそれらに対するいわゆる区画整理
事業、更に上下水道の
整備と住宅の
建設、これだけのことを大体衛星都市の
整備事業の
内容として
考えておるわけであります。これに対する
措置として或いは現在の都市
計画法との
関係にお
つてこれらの
事業を都市
計画事業といたしまして認定をするという
関係、或いはこれに対する国の助成
措置を
考えるという
関係、その他のことをそれぞれ規定をいたしておるのでございます。なお
事業主体として国が直接この
事業を行うという場合も
考えておりますし、或いは地方公共団体、そのほかに私設鉄道、いわゆる郊外電車、そういうような私設鉄道によるかような
事業の
実施ということを
考え、それに対する助成方式或いは
融資の
措置、かようなことを規定いたしておるのでございます。
もう
一つこの問題と関連いたしまして、これは二十九年度等の問題として
考えておるのでございますが、勿論この法律もこれから若し提出いたすといたしましても、この次の国会乃至はその次の国会というふうな
考え方でございますけれ
ども、
予算面におきまして現在公営住宅乃至は住宅金融公庫の
融資住宅、かような住宅の
建設が現在宅地の取得が極めて困難なために非常に行詰
つておるような状況にございますので、それらの状況を見まして、これに対して或る
程度の宅地の取得の方策を立てて行かなければならないというような
考え方におきまして、この衛星都市の
整備と併せましてかような
融資住宅乃至は公営住宅の宅地取得に便ならしめようというような
考え方におきまして、二十九年度の
予算に一億数千万円の大体
事業費を以ちまして区画整理
事業を
実施いたしまして、この区画整理
事業の上におきまして、土地
所有者から現在区画整理
事業で行な
つておると同様な手法におきまして、一部公共用地、一部さような公営乃至は
融資住宅用地としての土地の減歩とそれからそれによる
造成というようなものを
事業化しようという
考え方をとりまして、これらを盛り込みました
事業を
予算化したい、かような
関係におきましてこの法律の構想と
考え併せまして、さような適地を区画整理
事業を
実施するというような
予算要求等をいたしております。さような
考え方で現在この衛星都市の
整備乃至は住宅用地の取得という問題を
考えております。併しながらこの法律自体につきましてはまだ試案の
程度を出ておりません。これにつきましては
建設省としての
考え方をきめますにつきましては相当研究をいたさなければならない問題点が残
つておるというような状況でございます。
以上で
説明を終ります。