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1953-09-25 第16回国会 参議院 建設委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月二十五日(金曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 清一君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            赤木 正雄君            江田 三郎君            近藤 信一君            田中  一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    農林省農地局災    害復旧課長   大塚 常治君    林野庁長官   柴田  栄君    建設省建設事務    次官      稲浦 鹿藏君    建設省計画局長 渋江 操一君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局住    宅企画課長   前田 光嘉君    建設省住宅局住    宅経済課長   鮎川 幸雄君    首都建設委員会    事務局長    町田  保君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件  (治山治水対策に関する件)  (都市整備事業に関する件)  (道路整備計画に関する件)  (住宅建設に関する件)   —————————————
  2. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今より委員会を開会いたします。  先ず昨日の委員会田中委員より御要求のございました治山治水根本対策について、農林省側の御意見を承わりたいと存じます。林野庁長官がお見えでございますから、先ず長官から御説明を願います。
  3. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 私どもといたしましても、国土保全の問題と林産物需給の問題を平行させまして、最近の災害に対しまする根本策考えなければならんということで、それぞれ資料を整備いたして案を立てつつあつた次第でございまするが、丁度内閣に治山治水協議会が設置されまして、そこで総合的に御審議を願うということになりましたので、農林省側として計画いたしておりまする治山治水基本対策要綱を提出いたしまして、只今協議会において御審議を頂いておりまするので、その概要を御説明させて頂きたい、かように存じます。  概要につきましては、お手許にプリントを差上げておりまするから、御覧になりながらお聞き取りを願いたいと存じまするが、この要綱目的につきましては、一応省略させて頂きまするが、この要綱におきまして重点的な方針として考えておりまする一つは、重要水源流域指定を行いまして、この地域に対しまして総合的な治山治水事業重点的実施をいたしたいということが一点でございます。この重要水源地域と申しまするのは、私どもの一応考えておりまするのは、自然的な条件並びにその流域の経済的な諸条件を勘案いたしまして、全国河川につきまして計数的なウエートを算出いたしまして、一定基準に基きまして重要水源を選定いたしまして、その公益上の重要河川と思われる流域指定いたしまして、河川改修事業と有機的に関連を持たせまして、私ども仕事を継続的に実施をさせて頂きたい。かような考え方一つ。いま一つ保安林整備拡充計画を立てたい。特に水源地帯森林荒廃防止と、進んでは保安機能の増進のために、従来ありまする保安林を再検討いたしまして、整備拡充を進めたいということが一つ。次にはこれに伴いまして指定地域に対しまする造林増強計画、更に他の地域につきましても治山治水上重要な地域に対しましては災害発生防止、併せて林産物需給調整をもかねて造林事業拡大実施計画いたす、こういう三つ方針を立てておる次第であります。農林省といたしましては、食糧増産確保のために治山治水事業一環として農地保全事業老朽溜池補強事業或いは防災溜池施設事業河川堰堤等との総合的な計画実施という案を持つておりまするが、これは農地局主体計画を進めておりまするので省略させて頂きたいと、かように存じます。  これが実施内容を簡単に申上げますると、治山事業につきましては、現在荒廃地の実状は、山崩れ或いは禿げ山、地すべり地等荒廃林野或いは荒廃林に移行しつつありまする林野が現在国有林におきまして約五万町歩民有林におきまして約四十万町歩ございまして、これらが年々頻発いたしまする災害被害増大の大きな原因をなしておるということに鑑みまして、先ずこれが復旧ということを主眼に考えて参りたいということなのでございます。この治山事業計画といたしましては、治山治水上重要ないわゆる流域指定地域に特に重点をおきまして、当該流域につきましては昭和二十九年度から七カ年間に一応事業を完了いたしたいという計画をいたしております。特にその中で水源林造成に関しましてはこれを五カ年間で完了する、かような計画を立てまして、その他の地域は一応十カ年間で計画完了という計画をいたしております。なお小地域的に急峻な山地侵蝕予防というような施設をも併せて十カ年計画を進めまして、それと農業振興等に直接関係のありまする防災林事業をも十カ年間に計画いたしまして、別表治山事業計画表のごとき事業内容別計画国有林民有林別計画いたしておる次第であります。  一応私ども考え方といたしましては、事業実行に当りましては、指定地域につきましてはできる限り国営事業実施をいたして参りたい。なお補助事業につきましても、奥地の非常に多くの経費を要するという地帯主体になりまするので、補助率の引上げを行いまして完全な事業を行いたい、かような考え方でおる次第であります。水源林造成につきましては一応指定地域内のみについて実施する。他の地域につきましては一般造林計画に入れて造林実施する、こういう考え方でおります。  それから保安林整備拡充計画でございまするが、保安林国土保全上必要な箇所に合理的に配備いたしまするためには、現在の森林法に規定いたしておりまする保安林のうち水源涵養林土砂流出防備林土砂崩壊防備林の主として国土保全対象といたしまするこの三つ保安林につきまして、指定地域につきましては二十九年度から三カ年間に整備計画を完成する。他の地域につきましては四カ年間にこれを整備するという計画をいたしておりまして、その内容は次の表に示しておるような数量になるのでございまするが、御覧通り現在この三つ保全上の必要のための保安林全国で二百十七万町歩に及んでおりまするが、これを指定地域主体といたしまして、その指定地域外につきましても解除編入を整理いたしまして、多少の増加計画いたしまして、合計いたしまして三百一万町歩まで増強いたしたいという考え方でおります。なお保安林整備いたしまして、これが施業の実施を完全にいたしません場合には、保安効果を十分に期待することが困難でございまするので、保安林整備と併せまして保安林管理の適正を期するために、指定地域保安林につきましては同様三カ年間に管理実施計画を立てる。その他の地域につきましては四カ年で管理実施計画を立てる。これは国の責任において計画を立てまして、森林法に規定いたしまする森林計画の修正をいたし、森林計画に載せて行くという考え方を持つております。そうしてこれが実施につきましては誤りないように指導或いは監督するための監視員制度を設けたいという考え方を持つております。なお、かように保安林整備し、完全な事業計画実施をいたすという場合には相当所有権に対しまする多くの制限をいたさなければならん問題が起つて参ると存じまするので、或いは所有者意思によりまして国が買上げを必要とする場合には買上げ措置考えて参りたい。なお森林法にも規定いたしておるところでございまするので、保安林に対しまする必要なる程度において適正な補償制度を確立して参るということを考えております。  次には造林事業でございまするが、造林事業は一面におきまして林野計画的な植伐の調整、これによりまする我が国林産物需給調整、この問題が解決いたしませんと、折角山を一応整備いたしましても、地域的に非常な破壊が行われる、これが水源地帯につきましては国土保全上非常に大きな悪影響を及ぼすということを考えまして、将来の林産物需給見通しをも併せまして造林事業増強考え計画いたしておりますので、昭和二十九年から三十六年度末までに四百七十九万町歩造林事業を是非実施いたしたい、こういう計画を持つております。これは予算関係等で或いはどうなるかわかりませんが、一応指定地域内の民有林につきまして七十一万町歩に対しましては財政援助の強化をも考え水資源効率化をも図つて参りたいという計画を持つております。この内容は、一つには十カ年間に毎年伐採いたします、この伐採いたします量は森林計画において一応の全国林野について計画量を持つておりますので、この中で造林をしなければならんものを一応切つた翌日に造林をするという計画でございまして、これが二百六十四万七千町歩、それから戦争以来伐採いたしましてなお造林の未済になつておりまする所が、現在昭和二十八年度末で七十二万一千町歩ほどまだ残るという見込でございますので、これは三十一年度までに植栽を完了するという計画を持つております。それから先ほど申上げましたように国土保全林産物需給の面から造林地人工植栽林増加によりまして、一面において森林生長量増強、これによつて伐採調整というものを考えるために、従来薪炭林或いは粗悪林、又は天然林等人工植栽の可能な部分につきまして百四十二万三千町歩人工造林地に転換する、かように計画いたしまして、昭和二十八年末に人工造林地国有林民有林を合計いたしまして五百二十八万町歩、約全森林の二〇鬼前後になりますが、これを昭和三十六年度までに七百四十三万町歩まで拡大いたしまして、かようにいたしますと三三七、八%までの造林地ということになります。これで十分というわけではありませんが、一応国土保全森林計画、併せて林産物国内需給の主たる見通しを立てる、かような考え方でおります。  更に人口稠密な里山地帯におきましては、林地の非常に掠奪的な利用をいたしておりますために、極度に生産力が低下いたしまして草も生えない、樹木も殆んど生長しないというような瘠悪林地がございますので、これに対しまする土壌改良と申しますか、肥料木植栽等によりまして生産力増強考えて参りたい。更に薪炭林人工林への振替えによりまして、薪炭材供給減少に対しましては、薪炭林改良樹種改良或いは伐採方法等の技術的な指導等を併せまして薪炭生産確保を図る、こういうことを造林事業としては考えております。更に森林の非常に片寄つた切られ方等によりまする山の取扱いの不合理を是正いたしますために、かような不合理取扱いをいたしますると林相を破壊いたしまして、これが原因となりまして林地全体の破壊を招来いたしますので、一方におきましては森林計画を厳守させまして、伐採の場所、順序等を厳重に規定いたしますると同時に、特に水源地帯につきましては伐採木搬出方法等についきましても、例えば「土しゆら」等によりまして林地を剥奪するような原因を生ぜしめないように、これが集材方法の転換を考えるために搬出施設合理化を図つて参る、こういうことを考えております。  更に、これは或いは私ども計画することが妥当かどうかは存じませんが、現在におきましては高地、山岳地帯気象関係観測機関一つもないのでございます。このことが治山治水計画を立てます場合に非常に非科学性の基礎となると存じますので、先にも山林関係といたしましては第一期治水計画におきまして、明治四十四年に森林測候所というものを全国に四十数カ所置いて、その当時は山岳気象記録をとつてつた時代がありまするが、数次の行政整理その他で現在は殆んど全部廃止になつておりますが、このことが治山治水計画樹立の際に非常な支障を来たしておりますので、山地の簡単でも雨量記録だけは少くもこの際整備いたしまして、計画科学性裏付といたしたいということを計画いたしております。これが実施のために総合的な気象観測事業を行いたい、こういうことが一つであります。  以上の計画実施いたしまするためには、何といたしましても一つには森林伐採規則を完全にいたさなければならない。このために森林所有者を相当制限しなければならんというようなことが起つて参りますので、これに附帯いたしまして林業税制適正化或いは現在実施いたしておりまする伐採調整資金制度拡充整備、或いは時期的に林産物需給のアンバランスを国内需給に強いるということのないように計画的な外材輸入点等をも考えて参らければならん、かように考えている次第でありまして、これに附帯いたしまして保安林整備臨時措置の法律を法制的に措置いたしたいということと、これに要する所要経費予算化を是非とも確保いたしたい、かように考えておりまするが、林野関係といたしましては別表事業費総額国費負担分或いは融資分等を一応計画いたしておりまするので御覧を願いたいと、かように存じます。  概要以上の通りでございます。
  4. 石川清一

    委員長石川清一君) 林野庁関係の御質疑をこの際したほうがいいのじやないかと思います。御質疑の方は御発言を願います。
  5. 田中一

    田中一君 今御説明よく伺いましたが、今基本対策要綱として示めされておりますけれども、従来はこのようなことを相当勘案されてやられておつたものと思います。従つてこのうちの増加されている、例えば現有保安林を新らしい計画によつてこうする、荒廃地をこうする、こういうことはわかりますけれども、しまいに言われたところの人口稠密な里山地帯とか或いは現有薪炭林拡大云々とか、森林伐採合理化という問題は今まで考えられておれなかつたのですか。
  6. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 従来も考えて参つておる問題が主体でございますが、ここで特に計画的に取上げました問題は、重要な河川流域を一応一定基準考えて、その流域について計画的に根本策を立てて行きたい、こういうことが主体になつておりますが、個々の問題につきましては、只今御指摘の里山近くの瘠悪林地に対しまする改良事業のごときは一部手を着けているわけでございますが、これが現状に合せますると極めて微々たるもので、なかなかこれを整備することはできない。或いは薪炭林人口造林地への振替えによりまして生長量増強を図るという問題も、従来もそれぞれ計画はいたしておりまするが、薪炭林改良については現在全く国の施策を講ずるところまで行つていない。ただ指導事業を行なつているだけと、こういうようなことでございまするので、これを全般を通じて根本的な総合計画として実施させて頂きたいということで取りまとめたものだというふうに御承知を願います。
  7. 田中一

    田中一君 そうすると、昨日我々は建設省治水根本対策要綱伺つたのですが、これと当然事業を着手する場合にはマッチして、上に乗つけてやる計画なんですか、それとも全然林野行政の面からやつて行こうというのですか、その点はどういう方法でやつて行くのですか。
  8. 柴田栄

    説明員柴田栄君) その問題に関しまして協議会のほうにおいて総合的に実施をするという御相談をいたしておるわけでございますが、私ども考え方自体も一応重点的に時期を計画いたしまして、総合的な計画を立てたいということで、もうすでに協議会において幹事会で数回御審議を願つておりまするが、私ども計画いたしておりまする重要と思われる流域と、建設でお考えになつておりまする重要河川流域と、これがどういう程度にマッチし、どういう程度に食い違つているかということを具体的に突き合せまして、更に建設で重要な点につきましての御審議を願い、私どもで手遅れになつてはいかんと思われる流域について建設でも御検討願つて、全河川流域についての重要性を全部総合いたしまして、そこに計画の食い違いのないようにという調整をいたしまして、現在流域別の作業をいたしておりますので、これが完了いたしますれば、そうして事業施行の順位をおきめ頂ければ、これは全く一致した方向で総合的な事業計画されると、かように考えております。
  9. 田中一

    田中一君 わかりました。曾つて建設省農林省はいろいろ国土関係で摩擦が多かつた考えるのですが、この協議会でそのようにまでお互いに協調する態度でやられたのは非常に結構だと思うのです。それで伺うのですが、この要綱の中には、現在施行されておる中腹砂防の問題に関しては何らここに表明されてないのです。従つて砂防工事というものは、中腹砂防も含めて建設省に移管しようと、こういうような非常に我々が希望するような御意思が生まれて来たのじやないかとこう考えるのですが、無論我々は中腹砂防の問題につきましては建設省に一任しようという構想が、この裏にはあると了解してよろしうございますか。
  10. 柴田栄

    説明員柴田栄君) それはちよつと意味がはつきりいたしませんが、私ども山腹事業を伴つているものも治山事業ということで計画いたしておりまして、溪流或い河川主体にするものを建設でお願いするということで、これはすでに数河川につきまして建設仕事と私ども仕事との接触点なり或いはダブると思われる点なり、或いは不足の点なり等を具体的に突き合した次方でございますが、まあ只今お話がありまして、建設農林とが機構上何か常に反撥しているようなお話ですが、これは全く世間の誤解だと私は考えております。それほど反撥し得るまでに仕事ができておるということなら、日本はもつとうんと仕合せじやないかと、こう思いますが、両方とも足らないので遠慮しているというところに問題があるということを、諸先生方も十分にこの際一つ御認識を願いたいと思つております。只今まで突き合したところでは、殆んど大部分両方から遠慮しておつて足らんというものじやないかと思つておりますが、最も重複しそうだと思つて仕事調整をいたしました利根川においても、計画において全量で僅かに三%前後が重複いたしておりまして、これは調整いたしまして、建設でやつて頂く方面農林で担当する方面というのを分けて、直ちに調整ができるという程度でございまするので、その点御了承を願いたいと思います。
  11. 田中一

    田中一君 これも治水根本対策要綱には、第四の項で非常に砂防の点を重要視して盛り上げてあるのです。併し林野庁の御説明なつ治山基本対策要綱には、砂防の問題に一つも触れていないのです。従つて砂防工事というものはすべて建設省考えられておるところの治水根本対策要綱に基いて建設省でおやりになるんじやなかろうかと、こう考えるのですが、無論そうでなければ、ここでもう少しその山の中腹砂防の問題については言及され、予算化されなければならないのです。従つてこのあれには全然ありませんから、これは農林省砂防の問題につきましては建設省に一任しようという意図ではないかと、こう考えたわけです。
  12. 柴田栄

    説明員柴田栄君) それは誠に説明が悪かつたかも知れませんが、私ども砂防事業と申しますか、治山事業と申しまするのが、砂防工事と併せて植林まで完成するという計画でございまして、治山事業会体は、例えば荒廃地復旧或いは荒廃防止仕事、或いは崩壊予防水源林造成それぞれ砂防に関連した任事でございまするので、御了承を願いたいと思います。
  13. 田中一

    田中一君 もう一つ伺いたいのですが、今この計画で行きますと、全国営でやりたいというような御希望でしたが、この十カ年計画を遂行するのに就労人員は現在どれくらいで、これをやる場合には年間どれくらいの人員をどういう事業に使うという見込ですか。
  14. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 全部を国営という考えではないのでございまするが、重要水源流域指定地域治山事業についてはできる限り国営事業でやりたい、こういう計画をいたしておる次第でございますが、これも併し全部という考え方ではございません。国有林野事業に関しましては国有林野事業一環として国が直接事業をいたす、こういう考えでおりまするが、まあ人員と申しますると職員の問題でございましようか、それとも……。
  15. 田中一

    田中一君 労務者
  16. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 労務者ですか。それはまだ現在全体的には弾いておりませんが、今後必要があれば数字を出してもよろしいと思います。
  17. 田中一

    田中一君 その国営でやりたいというのはこれのどこにございます。あと民営でやるというのはどういう形式で以て誰にやらすのですか。今御説明聞くと、例えば保安林の問題につきましても、若し指定された保安林民有地の場合にはその所有者意思によつて国買上げする場合もある、又民有保安林に対する適正な補償制度森林法によつて確立する、従つてこういうものは誰がやるのです。
  18. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 保安林整備は国の経費を一部分担いたしました地方の吏員が主体になりまして、国の公務員がこれを指導するという形で考てありますが、所有者が売り払いたという御希望買上げるというようなものが起りました場合には、これは一応国有林買上げるという考えを持つておりますから、従来の国有林事業と併せて事業経営をする、こういう考え方を持つております。それから治山事業に関しましては、従来も国営治山県営治山とに分れておりまするので、国営治山以外は県営治山でお願いする、こういうことに考えております。
  19. 田中一

    田中一君 もう一つ、従来林野庁関係予算というものは、私詳しく知らんのですが売り払つたもので以て事業を進めておるというように解釈しておるのですが、従来どのくらい予算が出ておつて、それがどういうバランスになつておるのですか。
  20. 柴田栄

    説明員柴田栄君) それは少し何か誤解があるかも知れませんが、国有林野事業については企業会計になつておりまして、独立採算企業会計経理をいたしております。それからその他の治山造林、林道の仕事公共事業費を以て一般会計で御負担願つて事業をいたしております。特別会計は二十八年度におきましては二百四十四億余で経理をいたしております。そうして二十八年度から初めて一般会計に二十二億の繰入れをいたすということで実行しております。従いまして国有林野関係事業一般公共事業関係は全く分離されておる、こういうことなのであります。
  21. 田中一

    田中一君 そうすると、ここに別表予算がありますが、国庫支出金(又は融資額)というのは、どこを対象にしておるのです。
  22. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 融資森林所有者対象になる次第でありまして、融資の元は農林漁業金融公庫対象となるわけであります。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 農地関係あと説明があるのですが、この中の農地関係は。
  24. 石川清一

    委員長石川清一君) それをお諮りをしようと思つたのですが、今見えておりませんが、丁度林野局関係が見えておるので、御希望によつて林野局関係を先にやつて農地関係出席を促して、あとでしよう、こういうように今考えております。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 やはり治山治水関係農地関係、特に河川の井堰の問題その他、林野局長官にお聞きしても困る問題だと思うので……。
  26. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 私詳しい事情わからんでございますから。
  27. 江田三郎

    江田三郎君 じやあとで又……。この雄準計画で行きまして、一体禿げた山に木が生えて目的を達するというのは大体何年くらいかかるのですか。木を植えたということでなしに、木が大きくなつて目的を達するまでにはどれくらいかかるですか。
  28. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 完全に山が安定いたしまして、植栽をいたしまして、治山効果を発揮し出すのは、南のほうの地域においては十年後くらいになると思います。北のほうになりますと十五年生くらいから治山効果が相当現われて来る。最初五年くらいはまあ一応土地を安定させるという僅かの程度しか、保水等に関しましては殆んど顕著な効果は現われないというふうに考えております。最も効果の現われまするのは三十年乃至四十年生というところになる次第でございます。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 その間の現状ではやはり生長量より伐採量のほうが多いのじやないかと思うのですが、それは完全に防ぐような措置がとれるのですか。
  30. 柴田栄

    説明員柴田栄君) まあその点に関しまして私どもも非常に心配いたしまして、そこで造林事業を強化いたしまして、奥地の老朽に入つておりまする山を早く更新させるということによつて、一時総体蓄積は下りますが、山全体が計画的に新しく若返るということによつて需給をも併せて考えられるということで計算いたしております。従いまして現在一応私ども森林計画で調査いたしておりまする全国の総蓄積は六十億二千万石程度でございますが、それが最低になりますると五十三億石くらいまで蓄積は下ることになりすが、というのは現在の伐採量を人口増加に伴つて植えるであろうと思われる程度だけを加算して計算いたしましてそういう程度になります。一面におきましては相当利用の合理化、或いは何と申しますか、節約、他への振替え等をも考えて全体施策をお願いするということにいたしますれば、いま少しその面では早く回復すということになりまするが、一応現状を基礎として人口増加に伴いまする推定需要量を加算いたしまして計算して四十年後に蓄積増加を期待できると、こういう計画で進めております。
  31. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあこの予算が皆通るとそういうことになると思うのですけれども、なかなか大砲を作つたり飛行機を作つたりするようになるとそうは行かんと思うので、よほどやられんと、やはり計画計画としてやられんと、現実には蓄積量が減つて来るということになるのじやないかと思うのですが、そういう点自信があればいいのですが……。更にそれに関連して、今度の災害でも奥地の保安林国有林を払下げてくれと、こういう要求が出ておるようでしたが、これも非常に無理からぬ生きるための要求だ、こういうことになりますけれども、よほど慎重にやらんと、そのために又もう一つ災害の種を蒔いたということになつても困るわけですが、そうかと言うて現地のほかに生きる道がないのだということを無視することはできない、そういう問題についてはどういうようにお考えになつておりますか。
  32. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 只今お説の通りなかなか現在の財政力でこの計画が完全に実施させて頂けるかどうかというのには非常な心配をいたしておるわけでありますが、需給の問題は併し差迫つた問題でございまするので、何といたしましてもこの際できる限り外材の輸入を計画的にお願いするということが一つ強く出て来るわけでございまして、まあいろいろ米材、南洋材或いはソ連材の輸入等について今関係方面と努力をいたしております。なかなかまあむずかしい国際情勢で、私どもでは解決できん問題が多いと存じますが、一番現在の世界の森林資源の立場からいたしますと、ソ連材の輸入が計画的には一番よいであろうというふうに考えて、この点を商社とも連絡をいたしております。  なおこの際、生長量の速い樹種をできるだけ入れて振替えて行くということによつて伐採超過に対しまする対策をも考えて、内地の優良樹種或いは外国の優良樹種等をも導入増植するということを考えておりますが、今差迫つた問題といたしましての地元の生業に対しまする例えば薪炭資材のごときものにつきましては、これ又非常に差迫つた問題がございまするので、森林計画の持つておりまする弾力的な点を最大限度までこれを適用させて頂きまして、多少不便にはなりまするが、広い地域から御利用を願う、こういうことで計画をいたしております。
  33. 江田三郎

    江田三郎君 ここに書いてあるような非常に官庁的な、公式的なやり方以外にまだ私はもつと山をよくする方策があるのじやないかと思うのですが、緑の羽根の運動なんかおやりになつておる。併しその一面で例えば今年の長野県の落葉松の苗にしたところで、只で取つてくれんかと言つてもそれを断わられて焼き払つてしまわなければならん。そういうような矛盾が出て来ているわけですが、その点をもう少しお役所がお役所流にやられる緑化運動以外に、もつと民間運動というか何かそういうものをやらなければとても追い付かんのじやないか、そういうことを深く感ずるのですが、この計画の中にはそんなものの重要性というものは余りお認めになりませんか。
  34. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 当然それらの方法をも併せて御協力を願つて進めなければ、具体的にはなかなか進まんのじやないかということを考えておるのでありまして、造林の問題に関しましてもいろいろ民間から新らしい着想の案のお示しを願つておりますので、林業会その他とも連絡をいたしましてこれが促進を図つて参りたいと考えております。その他電源開発に伴いまして電源開発会社が集水区域に対しまする何と申しますか、経営上の造林事業等も相当出て参ると存じますので、それらの御協力をも頂く、或いは地方におきましては村有林その他の造成に対しまして地方の青年属の協力をも求めるというようなことも考えて、その際にできるところでは土地の幹旋或いは国有林の開放等をも考え造林の促進を図つて行くということを考えております。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 まあ一つ、もつと民間の動きを積極的ならしめるような方策を是非考えて頂きたいと思います。少くとも緑の羽根運動があつて、そうして山が禿げておつて、苗木を焼き捨てなければならんというようなことではこれはどこかに一つ大きな欠陥があると思います。それはまあそれでいいのですが、農地関係と跨がるのですけれども、私は一つの持論として、日本の農業というものはどうしてもこれは追い追い或いは急速に山のほうへ上つて行くのだという考え方を持つておるわけですが、そういう農業というものがすぐに上地の侵蝕を来たすようなやり方でなくて、或いは牧畜が盛んになつて、牧草を山のほうへ持つて行くというようなやり方もありましようし、いろいろな行き方が出て来ると思うのですが、これは一つそういうことも非常に計画的にやつて行かんと治山仕事と変なことになつてしまうと思うのですが、農林省の内部においてそういうことを検討されておられるかどうか。例えば一つの水系について、この斜面はどうしても木が生えていなければならん。この斜面ならばこれは牧草になつてもいい。この斜面ならば果樹が入つてもいいというように立地条件的に検討して、少くともこういうような治山治水というような大掛りな計画でやられることになると、木の話でも十年先か三十年先でなければ効果がないということになると、よほど長期の見通しを立つて行かなければならん。その間に必ず今の農業が山へ上るということは顕著な問題になつて来ると思うのですが、そういうことを考慮されておられるか、或いは又検討されているかということですね。
  36. 柴田栄

    説明員柴田栄君) まあ私どもで現在一番考慮し、連絡を取つておりますのは牧野の関係でございますが、牧野が現在非常に粗放に使われているということで、これをもう少し集約化して、或る地域には牧野内にも樹林地帯を置いて頂くということで、一応地目は変換しないで樹林地帯をお願いする、こういう程度までいたしております。
  37. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今度の水害に鑑みまして、私はまだ和歌山県は行つておりませんが、そのほかに京都、北九州方面を見ました。その結果を見ても山に木があれば無論結構ですが、併し木があつても崩壊が至るところに起つている。それで林野庁といたしましては何年生ぐらいの植栽林或いは自然林において崩壊が多いのか、或いは雨量と崩壊との関係、そういうことを御調査なすつたものがおありでしようか、若しあればいろいろな参考に一つ……。
  38. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 調査を持つておりますから後刻書面で先生のほうへお答えいたしたいと思います。
  39. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そういう点で、これは今回の水害に限りません。まあどの水害でも大きな水害と言いますか、こういうことになりますと至るところに崩壊がありますから、今後十分調査なすつて、私ども成るべくそれを材料として欲しいので……。
  40. 石川清一

    委員長石川清一君) 他に……。それでは私からちよつと質問しますが、地域指定をされるということは恐らく水系ごとにだと一応考えるのですが、先ほど江田委員からお話がありましたように、やはり日本農業が山に登つて行くということは零細化されて行く、農民はもう山に行くより方法がない、こういうように私どもは九州の、特に阿蘇山麓に行つて感じたのですが、そういう点から見ますというと、やはり水系における、水系ごとの人口動態を、特に山に爪をかけるような人の動態を非常に注目しておらなければいかんと思うのですが、そういう点をこの中でお考えになつておりますかどうですか。
  41. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 非常に大きな部門として流域の経済構造或いは経済力というものを取上げておるわけでございますが、それが結局は人口との相関関係ということになりまするので、その問題は流域考えまする場合にも相当大きなフアクターとして実は考えておる次第でございます。それで指定をいたしだいと思いまするのは、流域の中の水源地域という奥地だけを考えておるのであります。ただその際に奥地で現在私ども全国森林計画実施いたしまするために二百八十六の森林区を持つております。一応その森林区を区画として利用を考えておりますので、その中で更に水源の計画的な保全考えなければならん地域保安林として考える、他の地域一般施業地域、こういう考えでいる次第でございますので、まあ土地産業を集約化いたしまして、もつと人的集約度の高い利用方法が出て来るということも想像いたされますが、その場合にも山林の限界的な、一応総合的にお考えを頂く、こういうことで十分調整はできる、かように考えております。
  42. 石川清一

    委員長石川清一君) もう一遍お尋ねいたしますが、今回の九州並びに近畿地方の水害を見て、この地域で特に水源林水源林として明治以前から計画的に、或いは地域の住民が協力して最高の効果を挙げ得た、被害を少なくしたというように、一応モデルとして取上げるような所がありますか、どうですか。
  43. 柴田栄

    説明員柴田栄君) それは熊本県においても相当顕著に森林計画的に扱われておるということによつて被害を減少したという事実は御覧になつて頂けると思います。白川流域とそれから菊池川の流域との被害状況を御覧になつて頂きますと、菊池川の流域上流は大部分国有林でございまして、長い計画的な扱いをいたしております結果、殆んどあの地域一帯そんなに大きな、あの当時降水量の変化はなかつたと思いますが、被害状況は顕著に減少している。これは小流域或いは大流域とでそれぞれ詳細に御検討頂ければ相当明確な資料は出て来ると思います。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと私、さつき聞いたことを今委員長のほうからお尋ねがあつたからもう一遍聞いておきますが、私が聞きましたのは、こういう長期計画を、本当の百年の大計を立てるというのなら、それならば水系ごとに、この斜面にはどうしても木を生やさなければならんのだ、この斜面は何に利用してもいいのだ、この斜面はどういう使い方があるのだ、こういうことを今からお考えにならないといかんのではないかということに対して長官のお答えは、ただ採草地に対して木を殖えるのだ、その程度のことだというので、私は私の聞いたことに対してはこれは全然農林省のほうではおやりにならんのだという印象を受けたのですが、今の委員長の質問にはそうでないような答もありましたが、その点ちよつとはつきりしませんからもう一遍お答え願いたいと思います。
  45. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 今委員長お話は、指定地域をとるということになれば、それは全部が林野計画として縛られるかということじやないかというふうに私承知いたしまして、内容を申上げたわけでありますが、先生のお話は牧野或いはその他の利用に関しても恒久対策として総合的に考えて行かなければならんのではないかというふうにお尋ね頂いた、かように思つて実は申上げた次第でございますが、林野全体につきまして将来土地利用という観点から、従いまして山奥へだんだん土地産業が入つて来るということは、これは当然だと私ども考えております。その際に国土保全或いは林産物需給という問題も、産業全体から言うて相当考慮されなければならん時代も来るかと思いますが、主として日本の地形におきましては国土保全等の観点から林野にして置くことが一番必要であるという限界がおのずから出て来るのではないかと思うのですが、今私どもの特に重点的に考えているのは、林野として将来も置かなければならない限界以上であると私ども考えているということを申上げた次第でございます。
  46. 江田三郎

    江田三郎君 ただ奥山だけでなしに里山でもやはりそういう傾向は出て来ているのです。例えば三、四年間に松食い虫のあとあたりが完全に果樹園に変つてしまつている。そうして土砂の流失は多くなつている、川のへりはだんだん砂が高くなつている、こういうようなことは現実に出ているわけです。そこで特に短期の問題でなしに長期のこういう計画を立てるのなら、あらかじめあなたのほうでこれを全部山に復旧させようと思つても、そういう一つの必然性が出て来て、否応なしに農業というものが山へ上つて来るのですから、そのときに無計画に上らせないように、ここの斜面はどうしてもこれは木を植えるのだ、ここの斜面ならばよろしい、但しこれにはこういう施設をしろというようなことが相当総合的に緻密に計画が立てられておらんというと、折角こういうことをおやりになつても、又へりからへりから崩して行くということになりはせんか、その点をもつと総合開発の建前から慎重に計画を立てられんといかんのではないかということなのです。
  47. 柴田栄

    説明員柴田栄君) その点はよくわかりました。実はそこまでなかなか私どもの力だけで及ばんので困る問題も当面いたしておりますので、農林省としてその点も更に林野の立場等を説明いたしまして助成をお願いするよう努力いたします。
  48. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それに関連して、今江田さんからのお話通りで、我々が水害の土地を見ましても、終戦後に無理な開墾をして、それが災害の大きな原因になつています。林野庁長官のおつしやつた通り林野庁としては何ともしなかつたでしよう、でありますから今後のことをどうするか、その点において今江田さんのお話通りに、この限界はどうしても森林地として守らにやならん、これは農林省として十分の線を出して行くことを希望します。
  49. 石井桂

    ○石井桂君 私は最近和歌山と奈良を視察しましたが、その結果、和歌山の日高川の上流に川上というところがございまして、その川上が殆んど全村流されておりました。その復旧として今木材を一番川下のほうから運んでいる。ところが目の前に国有林がある。これをケーブルで降ろせばすぐに復旧ができるのだ、而も家もなく職もなく皆困つておる。そういう場合に成規の手続を経たならば、国有林を木材の市価を上げることのないような安い価格で払い下げられる御用意がありますかどうか。地元は非常な要望をしておるのですが、而もその殆んど手を入れないような立派な、と言つちや悪いのですが、そういう国有林がある。そばまでどうしても行き得ませんでしたから、その村までしか行きませんでしたが、そういう熱望があるのですから、わざわざ三十キロも川下のほうの木材屋から買つて来て復旧するのじやなかなか復旧できない。こういうときには山の守りも必要ですが、復旧も早くしなければならない。一つ国有林伐採して払い下げる意思があるかどうかということと、もう一つは市価の木材を釣り上げることのないような低い価格で、……、承わりますと二、三割高いような価格を国有林できめたので市価が上つてしまつたと、こういう非難も現地ではあるのです。私は価格ははつきり聞いて来ませんでしたからわかりませんですが、その二点について一つお答え願いたい。
  50. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 応急復旧の用材に対しまして国有材の特売措置は当然考えておりまするし、すでに大阪営林局管内で地元と連絡をして、国有林から供給可能な量を地元町村と連絡をして措置するという処置をとつております。ですから、供給可能な、と申しますのは伐採の可能な限度においては当然供給できるところではないかと、かように考えております。併し価格の問題に関しましては、どこを基準として高い安いということになるか、なかなかむずかしい問題でございますが、少くも国有林におきましては現在の公正な取引の価格以上には絶対に売つておりません。従つて地元等では、この上げ傾向にありますと強気の連中の……、相場というものはなかなかむずかしい問題ですし、更に又相当思惑が入つて参りますが、それらを一切排除いたしまして、現在の取引価格というのを基準にいたしておりますので、只今先生のお話のように一、二割も高いというような事実はちよつと私ども了解しかねると存じますが、国有林材の実際の業者の取引価格と、私どもが市価として基準をきめております価格と比較いたしますれば、まあ高いということは絶対にないと申してもいいと思つておりますから、若しそんな事実があれば一つお示し頂ければ結構かと思つております。
  51. 石川榮一

    石川榮一君 只今石井委員から御指摘があつたのと同じようなことなんですが、このたび治山治水の対策として要綱を御発表になりまして非常に結構な案だと存じます。要は治山治水は総合的に勘案しなければ本当の要綱の趣旨を徹底できないと思いますので、恐らく建設省農林省、特に林野庁長官等とは密接な連絡をとつてこの対策に万遺憾なきを期して頂きたいと思います。そこで治山治水、これは離すことのできないことでありますが、特に最近洪水調整ダムが盛んに各地にできております。従いましてそれらのダムサイトは大体山地の奥地であります。従いまして水没する家屋は殆んど山林資源によつて生活を保障しておるという現況なんです。ところが今の土地収用法の適用を広く考えれば別でありますが、ややもするとその水没するところの犠牲の方々の生活を保障するいわゆる山地がなかなかない。そこで国有林がその附近にあれば国有林を或る程度まで開放してもらわなければこの問題が解決をしないということになります。ところが出先に行きますると、今の払下げの要綱の中にはこういう広汎な権限が長官に与えてないということを聞いておりますが、そういうような場合には若し必要があればできるだけの措置を講じて、ダム建設に応ずる、どうしても必要とする国有林に対しては国が積極的にこれらの国有林野を開放し、その犠牲地の方々に相当の値段で譲渡するということにいたしたいと思います。現在、今日もやつておりますが、利限川上流の藤原のダム、これは非常に大きな計画でありますので犠牲地が多いのです。今日もその大会を聞いたそうです。いわゆる水没地の方々の主要なる目標は、国有林を大幅に開放してもらわなければ到底できないという段階にあります。これが各地に起つておりますが、長官としてはどういうお考えを持つておりますか、できれば治山治水の推進をするための国有林払下げの御所見を承わりたい。
  52. 柴田栄

    説明員柴田栄君) まあその問題は各地に具体的問題が起そておりますが、私どもとしましても、水没地域の農家の安定を図るために、国家があらゆる面から相当手厚く補償すべきであるというふうに考えておりますので、そうして農家が農家経済として成り立つということを真剣に考えて、補償されるという場合に、土地の問題で国有林がそれに利用されるということに対しましては、開放することには決してやぶさかでないというまあ基本的な考えを持つております。併しややもすると国有林は一番安易であるから開放させて、そこへ水没地帯の人を追い込んでおけば足ると、非常に安易に考えられる場合がございますので、これは飽くまでも将来も犠牲にならないような経営構造を皆さんで考えて頂いた後に国有林をどうお使い頂くかということをお考え頂いて国有林を開放するということで、もうすでに藤原についても目下検討いたしておりまして、建設省と相談いたしております。その他北上流域についても具体的に話をいたしまして、調整ダムを相当の金をかけてやつて頂いても、下手な山の扱いをいたしますれば調整ダムの効果或いは寿命を縮めるというような結果になつては、山の取扱いとして申訳ないということにもなりますので、土地全体の利用の見地から国有林がその一環として、この地を是非ともという話なら、当然喜んでこれが開放に御協力をいたすということで御相談いたしておりますので、決して国有林の御利用に関してそういう問題を混乱させるということはないということをはつきり申上げさせて頂きたいと思います。
  53. 石川榮一

    石川榮一君 もう一つ、この治山治水要綱といたしまして、将来保安林或いは水源培養林等の指定をしようという限り、ところが現在の情勢では薪炭林或いは人絹パルプの用材として、若い二十年三十年の針葉林をどんどん伐採しておるという状況にあるのです。勿論こういうことも指定してあるから、それらのものは抑えられると思いますが、やはり人絹パルプの発展性を考えますと、そのままにするわけに行かない。それで考えられますのは、奥地林に用材がたくさんあるわけですから、これらの未開発の奥地に思い切つて林道を開発されて、奥地林の用材、薪炭林その他の需要の材料になし得るような計画を立て、そうして需給のバランスをその方面から取つて行く、その方面から林道を思い切つて奥地まで進めて頂くことが、やはり治山治水基本対策要綱に当てはまるのではないかと思いますが、林道開発、殊に奥地林道開発という意味合いにおける林道計画、年次計画等も立てられて、そして遂行される御意思でありますかどうかをお尋ねいたします。
  54. 柴田栄

    説明員柴田栄君) お説の通り、国土の保全のためにも奥地の老朽林を放置いたしますれば減衰するだけでありますので、この方針計画的に考えなければならん。一面において資源等の活用によりまして需給調整を図るという意味におきまして奥地林の計画森林計画に基きまして年次計画に伴う計画にも入れております。特に水源林地域につきましては、設計の内容、或いは最奥端におきまする集材施設との結びつき等考えて、土地保全を十分にして、各種の事業計画ができるような林道計画、この計画は一応持つておりますことを御了承願いたいと思います。
  55. 石川榮一

    石川榮一君 これは最近北九州の水害の視察に参りまして考えておることですが、例えば熊本の阿蘇山の崩壊、これは恐るべき崩壊をしておるようです。殆んど山道に至るまで赤肌になつている。この砂防ということができるかできないか、私ども専門家でないからわかりませんが、恐らく不可能に近いような状態であります。僅かな予算で年次計画を立てまして砂防をやりましてもなかなか困難である。むしろああいうようないわゆる火山灰が多い、崩壊するのが当り前のようなところのものに対しては、可能の砂防は必要でありますが、止むを得ない場合にはあれらの土砂を農地局と連絡をとられ、建設省と連絡をとられまして、そして熊本の有明湾附近の埋立地に積極的にこれを利用して、若し土砂が流れて来ましたときにはどしどしそれを浚渫しまして、そしていわゆる埋立による耕地の拡張の方面にむしろ持つてつたほうがいいのではないか。徒らに砂防費を投入しましても、ああいう非常に火山灰の多い、殆んど青いもののないような状況がそのままにさらされているところは、なかなか若干の金を以てしては砂防の完璧は期せられないと思うので、むしろそういうものには或る程度の限界を置きまして、あとは浚渫に力を入れるというような方途を講ずるか、どうしても崩壊するところは崩壊させて、それを海岸の埋立にするという構想を持つたらどうかと思うのですが、林野庁長官はあの阿蘇山の崩壊に対してどういう措置を講ぜられておりますか、御所見を伺いたい。
  56. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 誠に広大な御構想を拝聴いたしまして、私ども考え方がいささか小さ過ぎるのではないかと思つて恐縮いたしておりますが、まあ私どもといたしましては、先ほど江田先生から御指摘のありました通り、牧野その他の用途に使われているものは一応触れないというような考え方で、あの上部地帯に樹林地帯を持つべきだということを考えながらそこまでよう及ばなかつたということが非常に問題になつておるのじやないかと思いますので、これは県におきましても、約六万町歩のあの草原地帯の最小二割を上部に樹林地帯を設けて、一応土砂の崩壊を将来防ぐ半面、下流から砂止め或いは調整等によつて河川或いは砂防の工事を併行して進めるということで計画をいたしております。その際に相当問題になりますのは、あの地帯は火山灰が表面に乗りまして、その下部に非常に粒子のこまい土層がございますので、この土層まで根の侵入する樹種を植えなければならないということで、経済林というよりも飽くまで保全林の造成という計画を進めて参りたいということで今計画をいたしております。農地としてあの火山灰が使えるかどうかということもなかなか大問題だと存じますし、これ又先生の御構想等も、農地局とも連絡していたしたいと、かように考えております。
  57. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  58. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて下さい。
  59. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 台風十三号の午前十時の状態を御報告します。  午前十時には室戸岬の南方二百二十キロの海上にありまして、中心示度が九百十五ミリバールこういう状態になつております。毎時四十キロの速度で丁度北向いて進んでおります。この調子で参りますと、午後になれば上陸の見込みが相当強い。これは早朝から丁度前の二十五年のジエーン台風と同じコースに乗つて参る。ジエーン台風と同じであるとすれば、淡路へ入りまして、一部大阪湾に又入るわけであります。こうなれば相当大きな風水害が起ると非常に心配しております。中心示度はジエーン台風のときは九百五十ミリバール台であつたのですが、今度は九百十五となつておりますので、大分近くになつている。室戸台風にも近いような大きなものであります。まだこれからの変化がどういうようになりなりますか、相当警戒すべきものと思います。そうして今晩の八時が満潮でございますので、これと一致すれば相当大きな高潮が来るのではないか、こういうような心配をしておりまして、関係の府県なり地方建設局には十分警戒さすように今やつております。いずれ又午後になればもう少し詳しい報告が来るだろうと思います。気象台の何によりますと、このままで行けば四国と紀伊半島に四百ミリぐらいの雨が降る。それから琵琶湖の沿岸は相当降つて琵琶湖にも警戒を要する、こういうような警告で出ておりますので、この辺も注意しております。
  60. 石川清一

    委員長石川清一君) 先ほどの御相談から見まして、農地局から見えておりますから農地関係説明を聞くことにいたします。
  61. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 農地局治山治水対策事業といたしましては極めて消極的なものでありまして、農地局仕事は元来利水を目的といたしておりまして、ここに出しました仕事も全部治山治水だけを目的としたものではないのであります。その他の目的を兼ねたものでございまして、それが丁度治山治水目的にも一部適します事業、そうしたものをここに掲げてございます。なお、これはいろいろほかの法律とか事業計画に基きまして着々私どもが施行しておりますものの一部を特に繰上げてやりまして治山治水事業の一部に御協力しよう、こういう考え方でございます。  併しながら一番終りにございます井堰の統合の事業につきましては、これは災害関係事業でありませんでむしろ土地改良の灌漑用水の事業でございますが、これも古い井堰等が相当堤防等を決壊さすような場合がございますので、でき得れば利水の面も更に利用度を高めると同時に治水にも協力したい、こういうような考えの下に事業計画したのでございます。
  62. 石川清一

    委員長石川清一君) 質疑はございませんか。
  63. 石川榮一

    石川榮一君 老朽溜池補強事業を取上げておるのでございますが、現在どんな段階にまでこの補強の事業が進んでおりますか、それから将来の年次計画をなさつておるようでありますが、この全貌をどの程度まで、何年の後にこの老朽溜池の補強ができるか、我々が各地の状況を見ました場合に随分老朽溜池の崩壊によりまして思わざる惨害を、局地的には深刻な災害をまうむつておるようであります。聞けば七万にも及ぶ老朽溜池であります。七万の老朽溜池によつて受ける米麦の被害の量は相当の量であろう。若しこの老朽溜池が百年、五十年前できたものであつて、最近盛んにこの老朽溜池の崩壊等に対する現況を考えますときに、食糧の増産に非常な悪影響を及ぼすような事態が起るのではないか。これを速急にこの老朽溜池整備強化をしなければならんと思うのです。それに対する計画内容、殊に完成年次をどの程度に完成されるのであるか等を具体的にお答え願いたいと思います。
  64. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 私どもが現在灌漑用に持つております溜池が全国で二十三万個ございます。それでそのうちその大部分は私どもがその築造の方法を知らない、古い時代に作られたものでありまして、外観はわかりますが、その内部構造についてはわかつておらないのであります。そのうち現在までに把握いたしました数は約五%の一万一千三百個が比較的悪いのであります。早急に手を入れなければならないのではないかという数を持つておりますが、これを五カ年間でやる予定で二十八年度から着手いたしたのであります。併しながらこれは補助率が三分の一という極めて低率でありまして、それから改造いたします工事の対象も余水吐だけとなつておりますので、やります悪い溜池の数はわかりましたけれども、そのやろうという意思のものがまだ余りないのであります。本年度は予算七千余万円でありまして、事業費にいたしますと二億三千万円程度事業をやり得るのでありますが、何分にも三分の一の補助率であつて、余水吐だけをやるというように狭く限定されますと希望者がなくて、まだ全部割当が完成していないという状態であります。目下大蔵省に補助率を二分の一に引上げて頂いて、なお工事も余水吐に限らず、老朽化の防止とかその他一般の補強工事もやり得るような内容にして頂きたいということを交渉中であります。
  65. 石川榮一

    石川榮一君 只今説明を聞きまして私どもは非常に驚くのですが、二十三万個のこの老朽溜池で培養する農地の面積はどのくらいありますか。それによつてどのくらい食糧を取つているか。
  66. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 現在日本の耕地は水田約三百万町歩と称されております。溜池を利水源としている耕地が二五%程度従つて六十七、八十万町歩程度がこの二十三万個の溜池を利水源としているわけであります。
  67. 石川榮一

    石川榮一君 そうなりますと、大体において四分の一の食糧を賄うところの老朽溜池が二十三万個あつて、そのうち僅かの五%程度の一万一千個に手を著けよう……。今食糧増産が非常に叫ばれている。積極的に土地改良等によつてどんどん増産をする必要がありますが、現在今一般的に実収を挙げておりますこれら二十三万個が持つところの約七十万町歩に及ぶ美田が、ややもすると逐年崩壊しているという現状にある。或いはそれがために部落がもげてしまいまして、人畜に大きな影響を及ぼすということが最近起つておる。こういうことを考えますと、二十三万個を一応適正にお調べ願つて、五%と言わず、二十三万個全部をお調べ願つて、これに対する対策を農林省は立てなければならない。特に申上げたいのは、あなたから御指摘がありましたが、この二十三万個によつて出水しますこの耕地というものは、小さいものは二町、三町、或いは十町、十五町、大きいところでは三十町程度でありましよう。従つてあの相当の経費を要する老朽溜池、防水、余水吐ばかりではありません、すでに脆弱になつておる、殆んど数十年間使つて老朽しているのであります。であるからして、余水吐だけでは私は意味がないと思う。少くとも研究をされまして、これなら大丈夫だ、少くとも三十年、五十年は大丈夫だという確信を持つような計画を立てられる必要がある。それによつて必要とする資金は国家にどんどん要求したい。特に僅かな十町、十五町程度しか培養しないところの、貧農の方方がこの古溜池のそばに立つて食糧増産にいそしんでおるということを考えますときに、僅か三分の一の補助で以て五町や十町を培養して、生命としてそれを守り、食糧増産をしておりますところの農家が耐えられるはずがない。そうなりますればこれは必ず一部が崩壊して行くと見なければならんと思います。こういうことはこの際積極面で華かにやるよりも、こういうものを十分に手を着けられまして、間違いのない、いわゆる崩壊を来たさないように、立派に利水のできるように施設をしてやるべきじやないかと思う。ややもすると新奇を衒う、派手な工事費を欲するような傾向に走ることあることは遺憾と思います。殊に二十三万個の古溜池等に対しては適正にお調べ願いまして、案を立ててもらうほうがよいと思います。これらに対して何か御意見がありましたら。
  68. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 誠に御指摘の通りでございまして、現在私どもがはつきりと老朽だと確認いたしましたのは僅か一万一千三百個でございますが、調査を進めることによりましてこの数は更に殖えると考えております。差当り今の一万一千について五カ年計画を立てたのでございますが、これと併行いたしまして、御指摘のように調査を進めて行きたい、こう考えております。  なお、補助率その他につきましても御指摘の通りでありまして、来年度は二分の一の補助、それから工事も漏水防止その他一般の強化施設等まで手を伸ばし得るようなふうに交渉中でございます。
  69. 石川榮一

    石川榮一君 もう一つお聞きしたいのですが、私は最近山口県の災害地を決算委員会の立場から視察して参りました。各地の状態を調べてみますると、非常に農林省災害復旧費の補助率が悪いのであります。どの町村も非常にその復旧が遅々として進まない状況にあるようです。例を挙げますれば山口県の八坂村或いは出雲村というような村は僅かに一千乃至一千五百万程度予算しかもらえない。災害復旧費二十六年のあの災害ですが、この災害によつて七億、八億という災害、それを建設省農林省当局の補助率によつて当てはめますと大体八千万乃至一億の負担をしなくちやならない。それはできない、そういう余裕がない、それがために災害復旧は殆んど手が着いておらない。二十六年の災害が僅か三〇%しか済んでおらない。もうすでに三年になりますのにあとは七〇%は茫然として手を投げておるような状況です。今度九州或いは近畿に起りました災害に対しまして、立法をいたしましたが、これは六月、七月一ぱいに限定しております。山口県における一村において七億、八億という災害を受けたものは、決して九州或いは近畿地方の災害に劣るものじやない。一町村において七億、八億の災害というものは莫大なものです。農林省補助率はよくたつて八割或いは七割五分という程度のものです。その農村は倒れてしまう。そういう農村が山口県には幾個所もある。出雲村、八坂村あたりもそう、これは次の災害をどんどん呼ぶ。でありますからこういうものに対する災害復旧させるためには特に今度特別立法いたしましたような趣旨を農林省自体は勘案せられまして、農地荒廃しておくのだつたら止むを得ませんが、どうしても復旧しなければ食糧は維持できない建前ですから、補助率災害復旧に対しては建設省と同じように各町村が貧弱であつたら思い切つて九割五分まで出せるように立法措置をする必要があるのじやないか。それをしなければそういうような町村はいつまでたつて災害復旧ができない。次の災害で又倒れて行くというような状態に相成つて、自治体が崩壊状況にあるように見て来た。こういうような点は各所にあると思いますが、農林省考え方としましてはこれらのものに対して法律の措置を適用するような法的な措置を講ずるお考えがあるかどうか。若しないとすればこのままで行くつもりなのかどうかということをこの際一つお伺いしたいと思います。
  70. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 御指摘の山口県の災害はルース台風による二十六年に起きた災害かと存じますが、現在農林省におきまする災害は、その法律が二十五年に立案されまして、それは施設に対しては六五%農地に対しては五〇%という一律補助率で施行して参つておるのであります。併しながらこのルース台風が非常に激甚であつたものでございますから、ルース台風以降の災害につきまして、農家一戸当り八万円以上の被害になるような大きな災害につきましては、それ以上の額について八割、九割というような高率まで出し得るというような制度にそのとき直しました。併しながらそうは言いましても、今回の特別立法ほどの法律ではございませんので、結局御指摘のごとく七五%乃至八〇%の平均補助率に落着いているようでございます。まだ補助率の上げ方が少いというお叱りは受けるかも存じませんが一応ルース台風を契機といたしまして、旧法からは幾分か上げた補助率を山口以降について採用したような次第であります。  それからなお現在までにまだ復旧が了えていないという御指摘でございますが、これも御指摘の通りでありまして、昭和二十七年度末におきましてまだ法律によつて補助金をお上げする約束をいたしました地区に対しまして約四百億からの末済の金が残つております。それに対しまして二十八年度の予算が百三十六億程度ございますので、残りの三分の一を今年度にお上げするにすぎない。従つて前の過年度災害に対しましてもまだ全量の三〇%が二十九年度以降に残る。こういうような状態になつておりますので、誠に私ども微力でございますので、その過年度災害の始末もできませんが、そのことが一つ原因となりまして、山口県の災害復旧が遅れているのではないかと考えております。今後過年度災害予算につきましても大蔵省と折衝乃至は予算要求につきましては努力をいたすつもりでございますが、今年度の予算を入れますと、二十六年度発生災害は全体といたしまして五〇%が完了する予定になつております。
  71. 石川榮一

    石川榮一君 今年の予算で五〇%、あとの五〇%は翌年に廻されるということになりますと、又災害が次にどんどん起つて来る。そうすると殆んどそれが荒廃を来たす原因になる。災害復旧費として今まで三年間という案を立てたのでありますが、二年間にしようという案もある、或いは二年間は困難でありましても、小くとも三年間には完全にできるのでなければ誠に意味がないと思う。特に過年度災害につきまして、昭和二十六年度の残りだけを出した、それが済んだといいましても、それをもとにして増破しているのでありますから、二十六年度の災害費だけ出したら二十六年度の災害が完結したというものではない。それがもとになつて二十七年度、二十八年度の災害に拡つているのだから、部分的に二十六年度が済んで次の年度に関係がないというものではないのであります。大部分或いは全部が前の災害が残つたために増破されて災害が起きているという状態が多いのでありますから、過年度災害に対しまして、ややもすると過年度災害さえ済めばそれで済んだと思いますが、済まないのです。仮に百万円かかるところに二十五万円過年度災害費をもらいましても全然手の着けようがない。そういう意味のない予算の使い方は私はいかんと思いますが、過年度災害なんかはやめまして、その年度にできました災害と一緒にしまして災害復旧費として適切な予算を投入したらどうか。過年度災害、二十三年度、二十四年度のができると言つたつて小さくてしようがない。次の災害のほうが大きい。その中に含みますから、過年度災害費は使いようがないということになつておるように思うのです。建設省にもその点は私ども協力したいと思いますが、農林省におかれましても災害は大きいものですから、できるならば過年度災害というようなことはやめて、年々新しく起る災害を調べて行つて、新しい災害と古い災害と一本化して強行に予算を使わせるようにしたらどうかと思うのですが、これらに対してのお考えを伺いたい。
  72. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 誠に御指摘の通りでありまして、過年度災害が末済のために又新規の被害額が殖えるという例は多々ございます。誠に残念でございますが、私ども当初は御指摘のような三年間で終らすべく予算要求をいたしたのでありますが、何分ともほかの関係等もありまして、予算がつきませんような状態であつたのであります。それから過年度災の新規災による増加分といたしましては、勿論その年度にその分を加えた分を予算要求をしてございます。それからもう一つ国営事業とか直轄事業などと異りまして、私ども災害補助事業であります関係上、仮に補助金が来なくても地元の方が非常に熱心の余りこれを自力でやる、或いは一時融資によつてやるというような事態もございまして、予算が残つたほど仕事が残つたとも限らないのでありまして、軽微のものにつきましては融資その他の方法で或る程度つておる事例も多々ございます。それが又持越の事業というような形になりまして、私どもそういうものに対する補助金を早くくれというような要求も又受けておるような次第であります。
  73. 石川榮一

    石川榮一君 それからこれは嫌なことですが、農林省災害復旧その他の工事で、全般に及ぶことなんですが、どうも不正とも言いませんが、不当の工事が随所に起つておる。特に建設委員会等の調べによりますと、会計検査院の批難事項は大多数が農林省関係が多い。二十六年度の災害復旧に対して、目標を立てまして会計検査院がその工事の現況を厳密に調べたところが僅か五%のために、どうしても国会に報告をしなければならんというような重大ないわゆる不正と考えられるような工事が五百件に及んでおる。これを推計しますと二十六年度は一万件であります。一万件の工事が非常に批難を受けなくちやならんような、やり変えをしなければならん、金を返さなければならんような工事が多いのです。こういう次第でありましては如何に予算を投入いたしましても効果的に使われていないというようなことは否むことができないと思います。この監督、いわゆる監査の方法を私どもいろいろ地元に聞いてみますと、県ではいわゆるこれを監査する、監督するだけの権限を持たない、町村工事が多いものですから、町村自体は農林省の補助金でやつてしまう、一銭も出さないでやろうという空気が多い。そこで工事は非常に杜撰なものになり、農林省の目をごまかせばいいのだというような感じを持つてやる工事が非常に多い。それがたまたま批難事項として現われた。ところがそれに又災害が起きる。地元の諸君はそれによりまして非常に脅威を感じまして、会計検査院から厳重な検査をされて、そのために工事の不正を摘発される、或いは予算の返還を要求されるというような事態が起りまして、各所に恐怖を来たしておる。これらに対しましては地方自治法の関係もありましようが、長期予防の関係もございますので、府県に或る程度の責任を与えるような法的な措置をとる。現在ではそれに対するところの責任をとるところの立場にはないのであります。全国の何百或いは何十万という町村を相手にして農林省が、而も農林省の各地の農地出張所の責任であるから、直接なんです。県を通らない。だから農林省の出先機関がこの数万の災害復旧を担当するのですから、どこも見ていない、監査していない。県は計画も調べておらない。ただ町村に任せてやらしておる。紙の上で査定し、紙の上で完成を認めるというようなことをやつております。こういうようなことを抜本的にお考えになりまして、適正に予算が執行されるような法的の措置を講じて、農林省が格段の監督をされなければならんと思います。各地の地方出張所の責任もありましようけれども、人間の数がきまつておりますから、全部のものを十分に監督することは困難だと思いますが、少くとも現在のままにおきましては、町村に対する災害復旧、その他農地改良、いわゆる補助金に対する監督というものは行き亘つておりません。こういう点を一つ考えを願いまして、法的なる面から或いは自主的な、定員増の面からもいろいろ御検討願いまして、さような批難がないようにいたしまして、予算が適正に使えて、町村民の自覚を促すような施策を講じまして、万全を期してもらいたいと思いますが、そういうようなお考えはありませんかどうか、伺います。
  74. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 農林省災害復旧事業が会計検査院の検査の結果、御指摘のような事態があつたことは事実でございまして、而もその件数が多かつたことも残念ながら事実でございます。この災害復旧法が制定いたされましたときは、丁度日本が占領治下にありまして、或る種の思想に強要されたと申しますか、してできたようなところがございます。つまり具体的に申しますと、補助金を出す側と受取る側においては、中間の機関があつてはいけないということなんでございまして、国が補助金を出すならば直接事業者乃至は受益者のところへ、国から直接行くべきだというような思想でございます。従つて県を抜きまして指令等が現在でも出されているわけでございますが、これは誠に日本の実情を無視したものでありまして、戦前は県に対する間接補助、つまり県が第一次的の責任を持ちまして事業自体に補助をいたし、その県に対して国が補助をする、こういうような制度であつたのであります。日本といたしまして現在の県庁の定員、それから農林省農地事務局の技術者の数というものから考えまして、どうしてもその間接補助のほうが私どもいいと考えておりますので、次の国会にはそうした意味の法律改正を災害復旧法においてもいたしたいと考えております。  それからなお御指摘の、現在県に全然監督の責任がないというようなことでございましたが、表向きは成るほどそうかも知れませんが、実際問題といたしましては、県が設計をいたし、その第一次検査、或いは補助金の交付事務、幾多の事務はやはり県が扱つておりまして、監督の一部を県に委譲しているというようなことになつているのが実情でございます。
  75. 石川榮一

    石川榮一君 今のお話ですが、それは一応そういう面もあるのですが、要するに県のほうは、農林省からこの程度のことをやつてほしいというような程度のものであつて農林省から必ずしも厳重な監督を受ける立場にはない。ただ支出命令を出す出納長がやることになつている。知事のほうは間接的な援助の形になつているようですが、ところが町村長は非常に民主的な意欲が強く、これらのものに対して県で文句言うことはない、我々は知事も町村長も同じではないか、農林省の直属でやるのだというような気風もありまして、更にその間の監督をスムーズにすることは困難だということを聞いております。若し次の国会でそういつた法律を改正するようなことになれば、そういう点をよくお調べを願いまして、欠陥のないような法案を出して頂きたいと思います。さつきの補助金についても、一町村数億に及ぶものに対しては思い切つた法的措置ができるように是非やつて頂きたい。特に一町村五億や七億というような災害の起つたものに対して二割を出す、三割を出すと言つたつて出つこない。そういうような面に対しては特別な措置が講ぜられるような、法的なる措置を講ぜられるような提案をしてほしいと、こう思います。以上でございます。
  76. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 防災溜ですが、これは大体いつ頃まで溜めていつ頃空にするわけですか。
  77. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 大体五月まで溜めまして、苗代用水に使つたあとは空にする予定でございます。
  78. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうすると六月から空ですね。
  79. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) はあ。
  80. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 実際問題としてそういうようになつておりますか。
  81. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) これは現在までにできましたのが八つ、福岡県に一つ、岐阜県に七つでありまして、これも福岡県におきます例は、まだ、何といいますか、操作とか何かの一般管理規程が不備であるというような御指摘を受けまして、今その管理規程を立案中でございます。それからなお岐阜県におきましては、まだ建設工事期間中でありまして、建設工事責任者が、これも法規的に言いますとどうなるかわかりませんが、実際の管理に当つておりますので、こちらの面はうまく行つておると、こう考えております。
  82. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうすると管理規程はまだできておりませんか。
  83. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) まだできておりません。
  84. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これはこれまでの、例えば京都の平和池でしたかね、あれがこわれたときも、雨量の取り方とか、スピルウエイの取り方とか、いろいろ問題があつたのですが、その後できておるものに対しては検討したことがありますですか。
  85. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 単に防災溜池ばかりでなく、一般用の灌漑溜池等をも、全部検討し直しております。
  86. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 検討して安全のようにほかのやつもやりましたですか。
  87. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) やりかけております。
  88. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これはその河川の下流にも影響するんですが、例えば降雨量、洪水量とか、いろいろなものが、建設省との関係であるんですが、それは一々連絡して計画されておるわけですか。
  89. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 第一次審査は農地事務局が担当いたしておりますので、詳しいことはわかりませんが、やつておるはずでございます。
  90. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これはやつておると言わずに、一つ厳重にやるように御指導願いたいと思います。それからこれは災害防除が目的ですか、それとも灌漑のほうが目的ですか。
  91. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 御指摘のように、今後直す予定でございますが、なお本日別な会合で防災溜池関係関係府県課長、それから農地事務局の課長が集つておりますから、特に本日の意見も重ねて、その意思をお伝えいたしまして連絡を密にする予定でございます。  それから利水、治水のウエートの問題でございますが、私はこれはやはり治水にウエートを置くべきではないか、こう考えております。利水はその余力でやるべきが至当である、こう考えております。
  92. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この治水の問題は、これは建設省がやるんですが、その問題について建設省といろいろ分担のお打合せはしてありますか。
  93. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 昭和二十三年だつたかと思いますが、当時安定本部がございまして、そこにおいて私のほうと建設省ダムサイトにつきます協定をいたしております。
  94. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 ダムサイトというんでなくて、つまり防災溜池を作る方針についてお打合せはしておりませんか。
  95. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 方針と申しますと、例えばこの水系は建設省で担当するとか、そういうような御趣旨でございましようか。
  96. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 例えば河川法を準用されておる区間はどうとか、準用されていない区間はどうとか、そういうような防災溜池の方針についてやつてありませんか。
  97. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) それは河川法が準用されていない奥地についてのみ農林省が作る、こういうような協定になつております。
  98. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 先ほどの問題のように、これは一つ建設省と十分に、雨量の問題、それから洪水量の問題がありますから、連絡を取るように一つ御指示願いたいと思います。それからもう一つ井堰の問題でありますが、これは今度の災害などでも井堰のある所が非常に弱点となつてこわれているが、これを統合して近代化して行くと非常にいいと思いますが、それを今度変更するような場合に河川管理者に対するいろいろの協議といいますか、どういうふうになつておりますか。
  99. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) この計画ができましたならば協議して万全を期する予定であります。
  100. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これまでの例を見ますと、協議をしないで知らない間にできてしまうというようなとこ、それから協議してもできてしまつてから協議するとか、そういうことがあつたと我我は記憶いたしておりますが、その点は十分一つ御注意を願いたいと思います。それだけ申上げて終ります。
  101. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この防災溜池について私も一つお尋ねしたいと思います。  只今防災溜池は治水を主とする、こういうお話でありましたが、治水を主とするものならば、農林省がやるんじやなくて建設省ですればいい、こういう私は観点を持つております、これはどうですか。
  102. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) この防災溜池の事業を立案されましたのは二十一年頃でありまして、これが実現いたしましたのは二十二年ぐらいであります。その当時は資材労力の面で極めて乏しくありまして、そうは言うものの年々累加する災害を何とか防止しなければならん。こういうような考えもございまして、当時は極めて小さな溜池を川の上流においてたくさん作る、こういうような思想でスタートといたしたのでありますが、ところがだんだん資材等も十分になつて参りますと、そうしたものを無数に作ることは非常に管理上不便を感じます。或る程度下へ下がりまして、一個のキヤパシテイーを大きくいたしますと共に、利水の面も可能になるというようなふうに漸次傾向が変つて参りましたが、当初といたしましてはそうした資材不足の時代にあつて止むを得ず小さなものをたくさん作つて幾分でも災害を防除しよう、こういう考えからスタートをいたしたのであります。
  103. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 建設省といたしましては、一つの堰堤を作つて、これを多目的ダム、つまり治水が主であつても利水にも使用している。こういうのでありますから、同じような仕事を殊更に二つの省で分けなくても一つの省で結構だと思う。建設省にしても治水事業で或る堰堤を作りましても、なおこれを以て利水に使用し得るようにしてくれるように当然建設省はすべきだと思います。  なお私は、防災溜池は河川法を準用されない普通河川云々とありますが、これは砂防事業として当然計画してある堰堤箇所をだんだんやつてもらえる例もある。甚だ一つ河川に対して両省の間が面白くない。殊に今のお話通り、この防災溜池のできましたのはたしかこの前の大水害の直後、ほうぼうに溜池を作つてそれに一時水をためて水害に備えたらと、こういうことがちよつと新聞に出たのがヒントになつたのじやないか。そういうふうなことがありますから、これを治山治水対策の基本対策の要綱に盛つておられます。治水ということならば建設省に行くべきだと思います。併しこれは今ここで議論すべきじやないと思いますが、もう一つ老朽溜池補強云々とありますが、これは維持修繕で結構でありますが、併しさつきの治山面の説明に対して、別に治山上に対して維持修繕は謳つていない。又建設省に対しても維持修繕を考えるべきだと言いますが、特にこういうふうに謳つていない。老朽溜池の補強、これははつきり維持修繕とするならば、これはいわゆる治山治水の基本対策の要綱に入れるかどうか、こういうことは私は非常に疑義があります。治山治水の基本対策は今後水害が起らんためにやろうというのでありますから、その観点から行けば今の溜池を破壊しないようにするとおつしやいますが、それならこれは維持修繕でやるべきで、根本の対策はちよつと筋が違うように考えますが、如何でございましようか。
  104. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 広い意味の維持修繕というようなものになるかも知れませんが、まあそれが建設された年次も不明だし、何年間もその維持修繕を怠つておりまして、現在におきましては破壊寸前にある、ここで大きく手直しをしてそれを防止しようというような目的でありまして、御指摘の通り毎年々々維持さえしておつてそれが万全であつたならばこうした事態に立ち入らなかつたのかも知れませんが、現在におきましてはそういう軽い維持というような程度でなく、根本的な改造工事というふうに考えておりまして、そういうような目的から、趣旨からここに入れた次第であります。
  105. 石川清一

    委員長石川清一君) ほかに御質疑ありませんか。……ありませんければ今日はこの程度で休憩いたしまして、午後二時から再開いたしたいと思います。これにて休憩いたします。    午後零時四十二分休憩    —————・—————    午後二時三十五分開会
  106. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今から午前に引続いて開会いたします。  道路局長が所用がありまして遅れますので、先ず都市整備事業について計画局長渋江操一君から、御配付しました資料の説明を伺うことにいたします。
  107. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) それではお手許にお配りいたしております。「都市整備対策協議会資料」という資料をお配りいたしておりますが、これにつきまして御説明をいたしておきます。  御承知の通り戦災直後から戦災復興事業というものを各戦災都市に実施して参つたわけであります。この事業は当初戦災都市の対象面積一億坪を一応対象といたしまして、これに対して区画整理を実施し、戦災復興事業を図ろうということのために出発をいたしたわけでございます。その後占領政策当時におきまして当初考えられておりました事業量が当時のドツジ政策等によりまして相当財政的な緊縮を図らなければならないという点と、それから当時の資材状況等から睨み合せまして、この事業量を相当圧縮すべしという問題が出て参りました。その結果といたしまして、昭和二十四年に至りまして、これをその線に沿いまして相当圧縮することにいたしまして、当時閣議決定をいたしたのでございます。これが現在まで実施しております計画の基本的な裏付けになつておるわけでございます。即ちこの資料の九ページにその閣議決定が出てございます。  この閣議決定は、内容的に見ますと、先ほど御説明いたしました一億坪の計画を八千五百万坪ということに面積からいいまして圧縮をいたしております。それからなお事事の種類、戦災復興事業計画内容として考えられております事業の種類を、当時の資材状況等或いは相当金のかかる事業、こういつたものをそれぞれ査定をいたしまして、この分を後年度に繰り延べるという考え方に立つております。その結果といたしまして、おおむね当時の金額にいたしまして二百一億ということに事業量を圧縮いたしておるのでございます。さようなわけでございまして、これが二十四年から……なお、内容的に御留意願いますことは、これを二十四年から五カ年間に五カ年間計画において実施するということであります。  それからもう一つの点は、当初戦災復興事業に対する国の助成と申しますか、補償と申しますか、そういう考え方として、これを国の負担分を相当高めるという考え方で出発いたしておりました。即ち当初の方針におきましては、この事業に対しては国は八割を負担するという考え方で立つておりましたけれども、この際の閣議決定といたしまして、これを国としては半額負担あとは地元負担にすると、こういう考え方になつておるのであります。これがこの閣議決定の重要なる内容でございます。  そこで明年度、即ち二十九年度がこの閣議決定に基く事業計画の最終年度ということに相成つて参るわけでございます。そのような次第でございまして、各戦災都市とも現在までの進捗率はおおむね七割をちよつと超えておるかと思いますが、おおむね七割程度の進捗率になつておりまして、併しながらこれを各都市別に見て参りますと、中都市乃至は小都市におきましては、二十九年度を待たずしてこの計画事業量をおおむね消化し尽すという段階に相成つて参りました。それに反しまして五大都市を中心といたしまする大都市におきましては、進捗率はやや遅れておる。殊に五大都市におきましては、所定の二十九年を以て完了することもやや困難であるという状況がそれぞれ見えておるわけでございます。そこでこれに対する地方側、殊て戦災都市の要望といたしましては、是非この繰延べられた事業というものを実施してもらいたい。例えて申しますと、この繰延べ事業の中にいはゆる堅牢建物の移転という問題が残つておる。或いはこの幅員を拡げました街路上の軌道或いは地下埋設物の移設問題が残つております。更に焼け残り地区との関係におきまして、対象面積に取上げられました区劃整理地区におきましては、幅員の拡げられた街路ができ上つた半面におきましては、焼け残り地区におきましては旧態依然たる街路がそのまま残されておるというような関係が残されておる。更にそのような関係は幅員を拡げられた街路とそれを結び付ける橋梁との関係においても同様な事態が起つておる。更に又鋪装とか側溝とかいう街路の利用の上におきまして、やらなければならない事業というものが繰延べられておるような状況に相成つておるわけであります。これらをそれぞれ私ども戦災復興事業の肉付け作業と申しておりますが、かようなものを処理いたしませんことには、要するに区画整理で当初考えられました土地の利用、宅地の利用、それをいわゆる減歩においてそれぞれ地元の土地所有者負担しておるわけでございますが、その減歩されました土地所有者に対する補償的な上においても、只今申上げましたような繰延べ事業がある限りにおきましては、びつこの形における区画整理事業、設備というようなものができ上つたというようなことによりまして、土地所有者に対する補償が十分行われていないという問題を生じます。即ちこれを放置いたしますならば、土地所有者側からは区画整理で減歩されたものの国の補償というものは、完璧な形で行われていないという意味合いにおきまして、これに対する政府への要請となつて来ることは当然考えられますので、それらを考え合せまして、この戦災復興のおおむね終熄を考えられます二十九年度に対応しまして、それに引続きましてさような関係の繰延べ事業のうち都市活動に極めて必要な而も産業施設上放置し得ないものについては重点的にこれを施行して行くという建前に立てまして、これを検討することにいたしたのでございます。  これに対する地方の要望額は、この資料にも出てございますが、最後のページになつておりますが、五百数十億に実は上つているのでございます。併しながら現在の財政状況を以ていたしましては、この五百数十億のそれぞれの戦災都市の要望というものをそのまま呑むわけには参りませんので、これに対する取上げ方の方針というものを検討することにいたしたのでございます。これは本年度御審議を頂きまして成立に相成りました予算中におきまして、都市整備対策協議会というものの費用が認められております。この予算成立に伴いまして、早速この都市整備対策協議会というものを御決定願いまして、現在第一回の会合を先般開きまして、この審議に当つて頂くことになつたわでございます。  都市整備対策協議会の規程等につきましては、ここに資料として出ております。更に又この協議会のメンバー、これにつきましてもお手許に配付いたしました資料中にそれぞれ掲げてございますので御了承を願いたいと思います。実は国会関係からも御参加を頂きたいと、実はかように考えているわけでございますが、現在の国会法の建前からいたしまして、政府部内の委員会等に対しましては所定の手続乃至はこれに対して非常にいろいろ複雑な手続が考えられておりますので、さような関係でこの再検討五カ年計画の際におきましても同様な委員会が設けられたわけでございますが、その際におきましても衆参両院からはオブザーバーという形におきまして御参加を頂きましたわけでございまして、さような関係を以ちまして同様の方法をとらして頂くことにいたしたのでございます。  そこでこれに対しまして第一回の会合乃至は現在の審諸過程において如何なることが問題になつているかということを御参考ために御披露申上げておきたいと思います。一つの議論は、戦災都市中心にかかる事業を行うことがいいかどうかという問題が一面出ております。即ち戦災復興事業もすでに五カ年を経過し、これに対しては一応これを以て打切るべきである。その後における各都市の対策というものは全然白紙の観点において、非戦災都市をも含めてこの区画整理事業等を中心とした事業、或いは街路事業等を中心とした事業をそれぞれ重点的に取上げるべきであつて、必ずしも戦災復興という問題だけに膠着すべき意味合いではないではないだろうかという議論も出ているのであります。これに対しましては建設省考え方といたしましては、やはり当面の問題としては、先ほど申上げました意味合いにおきまして、戦災復興事業に関連した問題を中心としてやはり考えて参りたいという考え方に立つております。併しながらこれを終始都市の対策事業としてかかる形をとることは必ずしも当を得たものではございませんので、この考え方の戦災復興事業の関連事業を取上げる場合におきましても、やはりその都市の産業活動等に極めて緊密な関係のある事業というものをできるだけ重点的に取上げて参りたい、かような考え方に立つておりますことは先ほど申上げました通りでございますと同時に、この名称等につきましても、重要都市の整備対策という考え方に基きまして、当面の戦災復興事業の関連事業というものを処理し、なお財政的な観点等からいたしまして、余力のある場合におきましては非戦災都市の事業等についても十分の検討を尽したい、かような考え方で二段がまえの考え方でこの問題の処理に当つておるのでございます。さようなわけでございまして、いずれこの結果につきましては、大体急いでおります関係からいたしまして、十月半ば頃までに、この今申上げました方針に基く事業計画というものを明確にいたしたい考えでございます。かようなことになりました後におきまして改めて又御説明をさせて頂きたいと、かように存じております。  それからこの表の中で更に御覧願いましたことは二十二ページ或いは二十三ページにそれぞれ現在の進捗状況等を現わしておりますので、資料によつて御覧を願いたいと思います。  それからもう一つ説明いたさなければなりません点は、衛星都市の整備促進に関する対策でございます。先般新聞紙上等にもこの構想について出たわけでございますが、この問題は主として現在首都建設委員会が中心となつて研究されておる問題でございますが、すでに御承知のように都市におきます人口集中の現象というものは年と共に激しくなつてつておるような状況でございまして、仮に東京都の例を取つて申しますと、年間おおむね四十万の人口増加を見るというような状況に相成つております。これをこのまま放置いたしますことは、その地方公共団体自体の財政負担というような現実の問題を離れましても、社会的にも或いは都市機能の上におきましてもいろいろの問題を起すわけでございまして、さような点からいたしまして、これに対する何とか対策を考えて行かなければならないのではないかというようなことが各方面から言われておるのでございまして、それに対する考え方一つとしてかような構想を試みておるような状況でございます。  お手許の法案の内容につきましては、なお首都建設委員会事務局長も来ておられますから、そのほうからも御説明があることと思いますが、現在建設省考えておりますことは、この法案については大体まだ検討を要する問題が相当ございます。この法律の主として狙つておりますことは、先ず首都を中心といたしまして五十キロ圏内における衛星都市というものをおおむね想定いたしまして、これを建設大臣がその地域指定するという考え方を先ずとつております。それからその指定された地域に対するいわゆる衛星都市の整備事業というものは如何なるものかということがこの資料の第三に書かれておるわけでございまして、即ち工業生産施設等に対する土地の取得乃至は住宅用地の取得、それから街路、水路等の公共施設整備、それからそれらに対するいわゆる区画整理事業、更に上下水道の整備と住宅の建設、これだけのことを大体衛星都市の整備事業内容として考えておるわけであります。これに対する措置として或いは現在の都市計画法との関係におつてこれらの事業を都市計画事業といたしまして認定をするという関係、或いはこれに対する国の助成措置考えるという関係、その他のことをそれぞれ規定をいたしておるのでございます。なお事業主体として国が直接この事業を行うという場合も考えておりますし、或いは地方公共団体、そのほかに私設鉄道、いわゆる郊外電車、そういうような私設鉄道によるかような事業実施ということを考え、それに対する助成方式或いは融資措置、かようなことを規定いたしておるのでございます。  もう一つこの問題と関連いたしまして、これは二十九年度等の問題として考えておるのでございますが、勿論この法律もこれから若し提出いたすといたしましても、この次の国会乃至はその次の国会というふうな考え方でございますけれども予算面におきまして現在公営住宅乃至は住宅金融公庫の融資住宅、かような住宅の建設が現在宅地の取得が極めて困難なために非常に行詰つておるような状況にございますので、それらの状況を見まして、これに対して或る程度の宅地の取得の方策を立てて行かなければならないというような考え方におきまして、この衛星都市の整備と併せましてかような融資住宅乃至は公営住宅の宅地取得に便ならしめようというような考え方におきまして、二十九年度の予算に一億数千万円の大体事業費を以ちまして区画整理事業実施いたしまして、この区画整理事業の上におきまして、土地所有者から現在区画整理事業で行なつておると同様な手法におきまして、一部公共用地、一部さような公営乃至は融資住宅用地としての土地の減歩とそれからそれによる造成というようなものを事業化しようという考え方をとりまして、これらを盛り込みました事業予算化したい、かような関係におきましてこの法律の構想と考え併せまして、さような適地を区画整理事業実施するというような予算要求等をいたしております。さような考え方で現在この衛星都市の整備乃至は住宅用地の取得という問題を考えております。併しながらこの法律自体につきましてはまだ試案の程度を出ておりません。これにつきましては建設省としての考え方をきめますにつきましては相当研究をいたさなければならない問題点が残つておるというような状況でございます。  以上で説明を終ります。
  108. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  109. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をつけて。大体本日中に住宅と道路関係を終らせたいと思いますので、三時半までくらいに質問を終らせたい、都市計画については。それでは御質疑を願います。
  110. 石井桂

    ○石井桂君 私途中から説明をお聞きしたものですから、局長が御説明つたのかも知れませんが、只今の御説明で都市整備対策協議会の資料並びに衛星都市整備促進法要網案の御説明に触れておつたようですが、大体都市の過大化防止、例えば例を東京にとつて、一体今の人口を膨脹させないようにする方針なのか、或いは衛星都市のこの示された要綱のような、できるだけの方途を講じつつ漸次人口が増加して行くのは止むを得ないと思つておられるのか、或いはその他建設省だけの力でなくて政府全体としての手を打つことをお考えになつていないのか。それらの根本的な方法がとられていない以上は、何か一つ方法だけでは到底都市の急速な過大化が防げない。例えば東京に例をとつて言いますと、少河内の貯水池が何年後かにできますが、できる頃までには人口がもう一千万くらいになつてその水では飲めなくなる。ですからそういうようなわけで、人口の流入の防止対策というものが衛星都市の整備といつたようなくらいのことでできるものであるのかどうか。その他の対策を考えておられるのかどうか、又将来考えようとしておられるのかどうか、そういうことから出発しないと、一部局だけでやつておると、いつも設備のほうだけが追つかけられて、そうして住民のほうが困つておるというようなことになつておるのですが、今計画局長がその分野の主管者だと思いますので、計画局長或いは次官から御説明を伺いたい。
  111. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) お話通り都市の人口の過大化防止という問題に対する対策というものそれ自体は非常にいろいろの手段方法を講じなければならんということは私どもも十分わかるわけであります。この法案或いは衛星都市の整備対策を考えます場合におきましてもやはり同様な議論が建設省内においても相当意見として出ておりました。即ちかようなことをやつてみても、結局この地方から流れ込む人口というものが衛星都市を足溜りとして、又もう一度輪をかけた形で東京都なら東京都の人口集中に拍車をかけるような形になるのではないかというような問題も実は出たのであります。併しながら従来考えておる、もうすでに石井先生も御承知のような戦時中の転入抑制措置を今更ここで手を打つという方法は、現在の情勢では恐らく許されん、かように思つております。そこでやはり何といたしましても、それの地方から流入する人口の受入れ態勢というものは、やはり作らなければいけない。それを只今説明申上げましたような形において、衛星都市に相当吸収して行くということが先ず一つ方法ではないかという考え方に実はこれは立つておるのであります。それからなお現在東京都内にある人口、そのうちの或るものにつきましては、これは通勤可能距離においてかような都市環境を作るということにおいて、それに対する緩和策にも恐らくなつて行くであろう、かような考え方でございます。まだ先ほど申しましたように構想の段階でございまして、いろいろこれに平行して考えらるべき施策というものがあるであろうと存じますけれども、その点は建設省自体としてはまだ研究中でございまして、十分御質疑にお答え申すだけの考え方は実はまとまつておらないのであります。なおこれにつきましては、首都建設委員会におきましては相当衛星都市の調査もいたしますし、それに対する考え方もまとめておりますので、このほうからもお聞取りを願いたいと、かように存じます。
  112. 田中一

    田中一君 東京の問題、首都の問題もやるのか、関連してやるのか、別にやるのか、こつちもやるのかどうするのか、さもないと混乱してしまいますよ。
  113. 石井桂

    ○石井桂君 私は東京に例を取りましたが、過大都市の人口の抑制の問題として例を東京に取りましたので、一般的にお答え下つて結構です。
  114. 石川清一

    委員長石川清一君) 政府の説明の中には、東京都を中心とした、いわゆる東京都の膨脹を中心としたものも含まれておりましたが、それと同時に一般戦災都市以外の都市も相当影響があるような内容でありますし、構想もありますので、含めて質疑をして頂きたいと存じます。
  115. 石井桂

    ○石井桂君 只今計画局長の御説明によりますと、過大都市の人口防止の一方法として衛星都市整備の案が考えられておるようでありまして、非常に私は結構でありますので、この案は成るべく早く実現ができますようにお骨折りを願いたいと思います。ただ併し建設省だけでこういう方法考えておられることは、この方法のみは建設省でできるでしようけれども、もつと大きな立場から人口抑制の方法考えられたらいいのじやないかと思います。ついては私はこの衛星都市の方法を以てしても何割か、大きな数の人口がどんどんと東京に入つて来る。その場合に当然問題になるのは、戦災を受けた当時に作られた都市計画が何年か後に再検討されなければならない姿で現在はあると思う。その場合に現在の情勢で再検討していろいろな都市計画、諸施設を検討し、必要があれば改めて行くところの御決心があるかどうかをお聞きしたい。
  116. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) 現在の戦災復興事業を中心といたしました都市計画計画として改めて行くかどうか、これは結論的に申しますれば、或る程度やはり改めて行くということを基本的には考えて行かなければならないというふうに考えます。併しながら漸次、東京都あたりに例をとつて申しますれば、堅牢建物の集中しております都心部等におきましては、もうすでに計画はいろいろな形で考えられましても、実際問題としてこれの街路の区域を獲得するとか、さようなことが実際問題としては考えられない。やはりそういう関係においては現在東京都でも考えられておりますし、建設省もその方針に基きましてこれを認めたわけでございますが、いわゆる高速度交通道路の処理等を図つて行かなければならない、或いは部分的ではございますけれども、いわゆる自動車の交通量の増大に伴いまして駐車場の計画を立てて行かなければならない、かようなことが考えられているわけでございます。これは全部ではございません。併しさようなことを考えて行かなければならないと同時に、私自身の考え方といたしましては、やはり住宅方面考えられておりますいわゆる不燃化方式、それに伴います土地利用の高度化というものを考えて行かなければならない、さような観点におきまして、やはり都市計画上もいわゆる利用区域の計画を立てます際に或る程度低さの制限ということも大都市等においては考えて行かなければならないというようなことが考えられるというふうに思つております。  それからなお先ほど人口集中過大都市防止方法として他の方法はないかということに関連いたしますが、例えて申しますれば、イギリスで工業分散法或いは新都市法というものが制定されましたのでございますが、これがやはり同様な考え方に立つて過大都市の防止を図ろうとする施策の現われだろうと思いますが、さような考え方におきまして、私どももいわゆる地方の工業都市の整備というものを図つて行く、いわゆる都市に人口が入る一つ原因である就業先というものを、人口の受入れ先というものを、やはり地方の産業の育成或いは産業都市の育成の形において吸収して行かなければいけないというふうな考え方でさようなことを考え、工業地帯整備に関する法律を一応用意したわけでございますが、これは提案には至りませんでしたけれども計画としてはさような計画を持ち、それに対する手当といたしましては、現在の段階でいわゆる地方の工業都市の整備に必要な工業用水でありますとか、或いはそれに対する街路事業とか、或いは埋立でありますとか、そういつた手当を考えて行く、こういうふうな考え方で現在進んでいるのでございます。一応御参考のために申上げておきます。
  117. 石井桂

    ○石井桂君 只今お話の中に都市の中心部における人口集中の一つの策として建築物の高度化、耐火、防腐、不燃化、そういうような事業考えられていると思いますし、お話の中にも多少触れられておつたと思いますが、そういつた方策を徹底的にやることを私は望ましいと思うのであります。それでありますから、いろいろこれはまだ長くありませんが、不燃化議員連盟というものがあつて、土地の高度化利用を研究していると思うのですが、それらに対する具体的な施策というものがおありになるかどうかということが一つ。それからなおこういう衛星都市の方策をお考えになつて、少しでも人口が流入する分を減らそうとする御努力は結構でありますが、具体的に流入する人口の受入れ方法として近頃都心でなく周辺地区に現在作られている都市計画法による緑地地域の問題があると思います。例えば例を東京の練馬とか、板橋にとると、五〇%以上の土地が稲が実つている所は別として、草茫々として緑地地域の銘を打たれている。それが緑地地域の制限を受けて家も一割しか建てられないし、而も税金は高く取られている。そういうことで今まさに政治問題化しようという問題があります。それらについて計画局長のところへもそれから首都建設事務局長のところへも陳情者の方を御案内をして御説明をしたはずでありますけれどもそういうものについても、まああの都市計画は数年前に検討されたものであつて、現在人口がすでに倍ぐらいに殖えているが、この際一つそういうものについて多少でも受入れる覚悟はあるかどうか、その点一つお聞かせ願いたいと思います。
  118. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) 前段の宅地の高度化利用という面につきましての法律的な措置なり、そういう問題につきましては、これは終局都市計画法そのもののやはり改正を待たなければいけないのではないかというふうに考えているわけでございます。まあ都市計画法の改正もかなり前から問題になつておりますので、そういう意味合いにおきましてその考えや検討せられるべき問題点の一つとしてこれも取上げて行きたいというふうな考えでおります。  で、後段にお話のございましたいわゆる東京都周辺の緑地地域における計画の再検討の問題でございますが、お話がございましたようにかなり熾烈な要望として地元団体から中央にお話が出ているということでございます。これも私どもお話がございましたので現在検討中でございます。慎重に検討して行きたいと、かように考えているのでございます。
  119. 石井桂

    ○石井桂君 もう一つ私はこの都市の住宅問題を考えるときこの都市計画によるところの宅地の造成ということが非常に重大であろうと思います。今集団的に各戦災都市で住宅建設の公共事業をやつておりますが、大体軽少な附帯施設の費用だけしか配賦されておらない。従つて千、二千と集団的に家を作るところでは道路とか、下水とか、或いは給水、排水その他の施設が、いわゆるコミユニテイの施設というものが殆んどなさられていない。これについて住宅建設と平行して、都市計画事業として集団建設事業を起させれば私は一遍で文化生活が営める道路ができ、而も住宅難を解決できる途が開かれると思います。今まで一つも都市計画事業としての住宅集団計画に伴うところの施設がされたことを聞かないのですが、そういう御計画がありますかどうかをお伺いしたい。
  120. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) 現在の建前では御承知のように公営住宅の建設は公営住宅法によつてやるわけでございます。まあそういう意味合いにおきまして都市計画事業として全部包括してやるという建前に実はなつておりません。先ほど御披露申上げました衛星都市整備計画考え方には、御覧願いましてわかりますように、その点を現在の公営住宅法による住宅建設とそれから衛星都市整備によるいわゆる街路であるとか水路、上下水道の建設と、これとを抱き合わせて総合的な計画の上で実施して見たい、かような構想に基いておるのであります。これを各都市全般にやるということは現在のところ考えておらないわけです。先ず構想の段階ではございますが、かような衛星都市の環境整備関係におきまして、今お話がございましたような計画を持ち、考えて行きたいというようなことにしておる状況でございます。
  121. 石井桂

    ○石井桂君 私が御質問いたしましたのは、特に今回の水害地等で非常な熾烈な要望があるのです。例えば和歌山県の各地方に行きましても、住宅を二十戸、三十戸或いは多くは百戸と建てますときに、非常な軽少な建設費をもらつて、漸く雨露を凌ぐような家をこさえて行くような予算しかない。これでは非常に町が困つてしまう。是非一つ都市計画的に考えた集団建設をして頂きたい。それには都市計画事業として住宅建設と併せてやつてもらいたいという陳情を地元の国民からもそれから県の当局からも非常に聞いて参りましたので、でき得べくんば衛星都市だけにやらないで、やはり都市と名の付く所は、費用のこともございましようから全部やれとは申しませんけれども、できるだけ一つ併せてやつて裁きたい、こういうふうに考えましたが故に発言したわけでありますので、その趣旨を御了承の上ますます一つ計画を実行されるように御努力を願いたいと思います。私の質問は終ります。
  122. 石川清一

    委員長石川清一君) ほかに……。
  123. 田中一

    田中一君 この戦災復興事業再検討五カ年計画年度別事業費一覧表の括弧の中のものは、その年度にできなかつたものを指しているのですか。十八ページです。
  124. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) ちよつと私もその点調べておりませんので、後ほど……。
  125. 田中一

    田中一君 じや調べて下さい。この進捗状態を拝見して、この最初の二十四年度にきめた事業計画通りに進捗していないのはこれで明らかでありますが、例えば二十六年度には五〇%八、二十七年度には六四・三、この理由です。この理由というのはどんなものかというこを一遍あなたのほうで分析して検討したことがございますか。
  126. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) これは結論的に申しますと、進捗率の上ですでにおわかり願えます通りに、単価改訂によりまして二百三十五億ということに相成つております。それに対します現在までの事業量を対比して見ますと、二十九年度以降に八十七億残されておる、こういう関係になつております。従いましてこれらの事業予算関係からいたしましてもこれ以上の進捗率を高めることがむずかしい。こういうことで現われておるわけであります。それを分析して参りますと、結局移転補償の問題でありますとか、或いは一部にはそれは地元の区画整理事業に対する何と言いますか、反対と申しますか、さような要素もございます。併し概括的に申上げれば、やはり私は事業化すべき予算額、これが問題を制約しておるのであるというふうに考えておるわけでございます。
  127. 田中一

    田中一君 この移転の事業費の高騰ということですね、いわゆる二十四年、二十五年、二十六年、二十七年、二十八年、今年までの間に物価並びに労務の上り工合というものはどういう工合になつておりますか、それは調べてありますか。
  128. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) この単価の改訂の問題でございますが、単価改訂は再検討のこの政府決定がありました当時に二百一億という数字になつてつたのであります。それに対しまして二十五年度の一応三十四億という事業量を支出いたしました以後におきまして、いわゆる朝鮮事変の勃発に伴います物価の値上り、こういうものを勘案いたしまして、二百一億から三十四億を差引きました事業量に対して二百三十五億という単価改訂をいたしたのでございます。  お話の中に、補償費とかそういつたような問題につきまして、現在補償費の十分な手当ができているか、この点は私も実は若干地元のいろいろの方面におきましてやはりそういう何と申しますか、不平と申しますか、補償措置が十分でないという話も聞いております。それあたりに対する一つの手当といたしましても、今度のいわゆる関連事業整備の際におきましてさような不足分に対する手当も十分考えて見たいというふうに思つておるわけでございます。
  129. 田中一

    田中一君 多分そうだと思いますが、ここで私はこの協議会で、国が国会できめられた予算を交付してもその年においては事業が進捗しないという原因をもう少し掘下げてお考え願わなければ、どういう検討をしてもどうにもならんようなネツクがあるのなら、これはどういういい案を出しましても、金とそれからその地元の個々の事情によつてはこれは完成されないのです。従つて検討する前にそういう一つ一つの問題について何かあなたのほうで資料があればそれを出して欲しいと思うのですが。
  130. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) 全般的に申上げられますことは、戦災復興事業の当初計画がきめられて、事業実施の運びに至る当初におきまして相当これに対する各都市としてもいろいろの障害にぶつかつております。それは地元の反対、さような関係、いずれの場合におきましても土地所有者に対する相当の権利の、何と言いますか、犠牲を払わせるという考え方に立つわけでありますから、これに対する反対論が出るというのは当然のことであろうと思います。併しながら今日までそれぞれこの事業実施して参つた都市、殊にこの戦災復興事業をやつた地区とそうでない地区とが同じ都市内に併立してあるような場合におきましては、現在の段階では私どもの聞いておりますところでは、やはり戦災復興事業をやつてもらつてよかつた。焼け残り地区の手を着けない所についてもどうしてもやつてもらいたい。同じ店がまえでありながら、同じ営業をやつておりながら、片方のほうではこれだけの事業をやつてもらつて相当の環境整備もできておるのにもかかわらず、焼け残り地区について放置されているというようなことで、それに対してやはり手を着けない所についても手を着けてくれという声が一部には起つている。併しこれは必ずしも全部とは私は申上げません。現在進捗率の極めて遅い都市においては、やはりさような終熄の段階にまで至らない過程において相当の反対論が起つております。さような関係でございまして、各都市ともいろいろ事情はかなりありますけれども、この協議会にも相当地元の市長連中も参加いたしております。参加いたしておりますが、全体的に申上げられることは、戦災復興事業を今日までやつた効果としては、区画整理事業というものは決して悪いものじやない、或る程度の、やはり地元に対するそれだけの、相当のやはり利益をもたらしておるという考え方で、それに引続いての事業を何とかやつてもらいたい、こういう声になつて現われておるのでございます。
  131. 田中一

    田中一君 今ここで「都市復興事業の完遂について」というので、二にしいろいろな理由が明らかになつておりますが、結局、例えばですよ、まあ東京で言えば恵比寿の駅の近所ですね、あれは御承知のように道を拡げ三倍くらい広くなつたのです。でいながら鉄道も下の、何と言いますか、鉄道の架橋の、鉄道の線路の下は依然として昔のままです。そこから十メートルくらい離れた所にぽつんと土手に沿つて家がある。それからあの目黒川を越えておる橋が、幅員五メートルぐらいの橋があるきりで、それで事業を遂行しろと言つたところがしやしません。結局あなたのほうの計画は画に描いたけれども、あなたがさつき石井君の言つたように、ほかの鉄道なりほかの部局がそれに乗つて来なければ到底できつこない。それが一つ。それからもう一つは、都市整備法という法律を……私は区画整理そのものが、耕地整理法の廃法を以てそのままやつているところに私はネツクがあると思う。あなたは、この何年間この廃法で国民を、市民をいじめたかわからない。結局土地収用法なんという法律ができても、それによらないで、全く山の中の耕地と同じように、都心の一坪幾らという大変な、一坪取られても半坪取られても何万円、何十万円という土地を取られるという現状をよくお知りになりながら、未だに都市整備法という法律をお出しにならずして、あえて廃法の耕地整理法によつて実施せられておる。それで市民はみんな喜んでおります……その法律で取上げても、みんな、ああよかつたと言つておるとは私は受け取れないと思う。従つて再三申上げたように、なぜこのように金をやろうが何をやろうがどうしても進捗しないという問題は、物価の問題か或いは労銀の問題か、国は一応予算を組み法律は出しておるのです。或いは地方財政の貧困か何かの理由がなければもう少し進んでいると思う。従つてこの問題の解決を、この協議会で解決しようという熱意で立つておるというのか、ただ各省の人間を集めて、一応の残工事をするに際して、まあ反対のないように各メンバーを集めて、そのバツクによつて跡始末をしようと考えているのか、抜本的な都市計画そのものに対して、そうした法的措置をとろうとするのか、計画局長は、私は当選して二年半か三年になりますが、最初からあなたには、あなたの前々任者から再三再四言つております。そうしてあえてそれを実行しないところに、やはり頭から押え付けて、権力で一坪で何十万円というものを取上げようというつもりで今この協議会を持つておられるのか、その点一つ説明……。御説明というか、性根を据えて返事をしてもらいたい。
  132. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) 先ず前段のお話がございました恵比寿の例を取つてお話なつた問題、さような問題を是非解決したいというのが協議会で今審議をし、方針を立てておる一つの問題点でございます。先ほどの御説明で私は焼残り地区との関係お話し申上げたわけでありますが、いわゆる事業主体が違うために、国鉄等の関係があるがためにあそこのいわゆる恵比寿のガードの立体交叉ができないという問題は、当初の計画の際にどうしても相当の資材がかかる、金がかかるというような関係において繰延べ事業の中に入れられたという関係において今日まで延びて来たようなわけでございまして、それを是非やつてしまいたいというような考え方に立つておるのでございます。  それから都市整備法の関係、これはもう私は何辺もこの国会の席上で、殊に田中委員からその提案を迫られておるというような状況でありますので、是非これは本当に性根を据えて提出したい、かように考えております。
  133. 田中一

    田中一君 この衛星都市整備促進法、これを見ると、一番おしまいに農地法の適用除外というのがあります。このように首都建設法そのものが、一番食糧増産のためのウエートの高い農地というものを、これは首都建設法によつては適用外になつております。同じような思想がここにあるならば、今のように都市整備法によつて、都市計画法によつて一つの公共的な事業を行うのならば、この計画が立つと同時に鉄道はどうしてもそのガード下を拡げなければならないというような形に持つて行くようにすればもつと進捗するのですね。首都建設法は農地だけは随分いじめております。農地を宅地に転換するのはえらいことです。農地委員会を開いて大変なことです。それを首都建設法ではぽこつと計画すればそのまま来るというような、非常に強い法律をあなたがたは作つている。非常に強い法律ですよ、首都建設法は。同時に今衛星都市整備促進法もその通り非常に強い。こんなことは今まで恐らく立法上ないというような強い規定をしておりながら、市民の犠牲の面においては平気で以てものをやらせるというあなた方の考え方がこの協議会のメンバーの中に前提として入り込んでいるのなら危険です。この点はどうなんですか。農地は黙つて取れるというようなことを書かれていながら、今のようなことで道から十メーターも後のほうで、細々と泥んこにまみれて商売している人もいるのですよ。今度の協議会ではその点も立法化して、都市計画法のできた場合にひとりでにそうしなければならないというような、規制しなければならないという考え方がありますか。
  134. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) まあ都市整備法の考え方、これについてはまあ二通り考え方があるのでございまして、一つはできるだけ権利者のほうも考えて行く、土地所有者、権利者のほうも考える。これは恐らく田中委員の最も強力に御主張なさる御議論の一つだろうと思います。それから一面は事業施行者、この方面はできるだけ強力にやりたい、こういう考え方、これは土地所有者に対してはむしろ強力に働くという形になつて参ることは当然であります。そこで今お話のございましたように都市計画のやり方というものを強力性を持たせるということに、例えばお話のように国鉄の施設の場合であろうとその他の施設の場合であろうと、これは都市計画でいやしくも決定されたものについては、有無を言わさずとにかくこの事業実施をするという建前で貫かなければいけないということになる。現在の都市計画法はさような形になつてつておりません。従つてあのような形ができるわけでございますが、まあそれに対しては、現在の措置としては法律的な解決ということまで考えておりません。実際問題としてはこの計画或いは事業化をするというものと関連のある他の事業主体事業化、予算化というものを平行的にこれは審議して、取上げて解決をして行くという建前に立つておるのでございます。
  135. 田中一

    田中一君 そうしますと、この首都建設法に規定されている、殊に衛星都市整備促進法案に規定されている第二十五の「農地法の適用の除外」というこの強い規定です。この強い規定というものはほかにないと思うのですが、ほかの都市、横浜とか或いは神戸とか、或いは小さい浦和とかいう都市と首都というものはどこにそういう問題について強い規定をしなければならない理由があるか、私は不思議に思うのです。これだけがなぜ、首都建設法だけがなぜこのように農地法を除外して執行できるというような考え方が立つかということが不思議に思うのです。東京都だけがそういうようなものを持たなければならないという特権はどこから生ずるのでありますか、伺いたいと思うのです。若しそれがほかの都市にも及ぶものならこれは容認できます。
  136. 町田保

    説明員(町田保君) 只今農地法の適用の除外のことでございますが、これは現在農地法の第四条に、国又は都道府県が農地農地以外のものにする場合については許可を要しないという規定が現にあるのであります、農地の転用の制限のほうに。これは国又は都道府県が都市計画事業をやつて行くような場合は現にもう許可を要しない自由にやつてよろしいということになつておる。ところがこの衛星都市整備促進法の案の十七条によりますと、この事業は衛星都市の計画の線に沿つてやる場合には、必ずしも国又は都道府県がやる場合だけでなく、民間の例えば電鉄会社等が特許を受けてやる場合にもやれるというふうに規定しておるわけであります。従いまして、同じ仕事をするのに国又は都道府県の上には何ら制限がない、同じ仕事をやるのに民間なるが故にできないということでは困りますので、その平仄を合せただけでございまして、特に農地法を衛星都市整備については適用を除外するということではないので御了承頂きたいと思います。
  137. 田中一

    田中一君 そうすると例えば今のガード下を拡げるというようなことは最も容易ですね。片方は建設省の所管であり、片方は運輸省の所管である。容易にできるはずですね。しないのはどうしてしないのですか。
  138. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) その点は今度の審議会のときにも問題になつた点の一つなんであります。結論的に申しますと、国鉄側の事業化というものとそれから戦災復興の事業化というものとの半分が合つていなかつたということに帰着するのであります。国鉄側としましては、まああの事業全部戦災復興即ち都市側の負担において解決するということであればこれは問題ないのでございまするが、予算的な建前としましては一部は国鉄負担、一部は都市側の負担、こういう抱合せ方式でやるという形になつております関係上、国鉄側の予算が併行して参りませんと、幾らこちらで気があせつてもできないという形に追いつめられたわけでございます。で、今度はそういつたような欠陥を補正するように努めようということで現在いたしておるのであります。
  139. 田中一

    田中一君 もう一つちよつと伺いたいのですが、我々は先般の前国会でガソリン税の相当額を道路費に持つて来るという法律を通しましたが、都市計画のほうの事業の道路改修費の補助には入れないということになつておるのですか、これは、私はこはを通したときの了解点は、道路というものは計画局の所管する道路、それから道路局の所管する道路も同じ道路なんです。これは当然含まれるものと思つたのですが、計画局長はそれでいいのですか。今度来年、二十九年度から相当大幅な道路費が計上されるのですが、それは都市計画の分野に入るところの道路にはあの金は来ないのですか来るのですか、聞きたいのですが。
  140. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) これも建設省で現在それについてはいろいろ検討いたしております。検討いたしておりますが、私ども考えはまだ最終的な結論まで出ておりませんけれども、要するに都市計画事業の中でのいわゆる街路事業というものにガソリン税が充当さるべきものであるかどうかということに帰着すると思います。それで従来までの区画整理方式を伴いました街路事業、これは実は市道とか、そういう認定行為前の事業としてやつてつたわけでございます。そこで現在ガソリン税を見送りとする道路整備という問題が出て参りました。これはやはりあの法律の適用受けるからには道路認定ということをいたさなければいけないということでありまして、是非そういうふうな道路認定をしてあのガソリン税の適用を受け得るものについてはやるような方法にしたいというふうに考えておるのであります。
  141. 田中一

    田中一君 道路局長も来ておるのだが、一体同じ建設省の中で以て計画局所管の街路にはあの金が廻らないんだというような考え方はいいのでしようか。これは次官に聞きたい。
  142. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) あの法律の建前上、道路であれば都市内の道路でもあれを使つていいと考えます。今局長の説明いたしましたように、道路を認定してやるというような形で両方の連絡を合しております。ただの市道とか街路というような形ではそのままじやちよつと当てはまらんじやないか、できるだけ道路を認定しましてそこに持つて行こう。勿論都市内の国道、府県道というようなものは、これを使うことは差支えないと思います。そこで予算要求もそれに合してやつておるはずでございます。その点は別々にはやつておりません。私のところで調整をとつております。
  143. 田中一

    田中一君 調整してそれをやるということですね。
  144. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) ええ、そうです。
  145. 田中一

    田中一君 どうも都市計画で区画整理やつたあとでなかなか鋪装なんかもできやしない。いつもほつぽり放しなんです。これはやつても中途半端のために非常に困るのです。今度道路局にたくさん予算が行くのだから、局長よく話合いして、若干でも廻して、余り泥濘のない街路にしてほしいと思う。もう一つ聞きたいのですがね。首都建設……。
  146. 石川清一

    委員長石川清一君) じやもう一問、あなたばかり時間を取つては……。
  147. 田中一

    田中一君 もう一つ聞きたいのですがね。衛星都市整備促進法をお出しになつて、無論これは結構だと思うのです。これは無論考えてよろしいのですが、これを考えられる前にもう一つ考えにならなきやならない点があるのじやなかろうかと思うのです。これは住宅局長……住宅局誰か来ておりますか。
  148. 石川清一

    委員長石川清一君) 来ることになつております。
  149. 田中一

    田中一君 関連するのですが、私はここでさつき石井君言つた水道の問題或いは交通網の問題に尨大な金をかけてやる前に、平行して、集中する大都市の生活の問題、市民の生活の問題を考えなきやならんと思うのです。これには私残されておるものが一つあると思います。これは計画局長にも次官にも聞いてほしいと思うのです。空間の利用なんです、結局。これはいずれ住宅局長に資料の提出を望むことになつていますが、民有地であつて防災建築地区内における木造建築の現状を知りたいのです。そうしてこれが二階であるか三階であるか、大体二階でしよう。三階のところは少いと思います。この人たちが十五年なり二十年たてば駄目になり、又改造しなくちやならんと思うのです。そうしてそれを将来改造する場合には、どつちみち不燃建築にしなきやならん。耐火建築促進法によりまして三階までのものは補助金が出ます。出ますからその場合には三階までのものは本人にやらしてもいい。三階以上の空間に対してはこれは国が収用する。首都建設委員会で首都建設法によつてこれを収用する。そうして地下室並びに一階二階、三階までは国が建つてやる。そうしてほしい人には、必要な人に土地の所有者に与えてやる。そうして三階以上建築基準法にきめられた百尺までのあとの空間というものは国が収用する。空間の収用です、空間を収用してそこにまあ国営でと言つちや工合が悪いが、公営のアパートなり事務所なりを作る。これは無論道路、建築の関係で以て或いは十階まで行くか、八階まで行くか、五階で済むか、いろいろあるでしよう。併しながらその空間というものは無駄にしちやいかん。ですから初めから計画というものは、土地所有者が三階なら三階におれは建てるという場合には、国並びに地方公共団体でも結構です、金を出して建つてやるのです。無論下は住宅金融公庫なり何なりで月賦でやつてもかまいません、少くとも三階から上の空間というものは国或いは公共団体がその建造物を取得する。三階に建つたものを今度三階からつぎ足すということは不可能です。基礎工事から、或いは柱のゆとりからいつてですね。三階に建つたものを六階にするというのは不可能です。初めから六階なり七階なり一ぱいまでのものを建てて国が補助する。公営住宅法によつて上の空間というものはこつちへもらう。そうしてそれに人を収容し、又事務所にしてもかまいません、店舗にしてもかまいません。アパートにしてもかまいません。そういうふうに利用するという考え方を衛星都市を作ると平行して進めなければならないのじやないか。ですから東京都の周辺、中央周辺の少くとも防火地区として指定されたところの木造建築がどれくらいあるか、民有地の。お調べになれば相当、恐らく私は五十万や百万の人口は幾らでも収容し得る余地はあると見ておる。若し政府が出さなければ、いろいろ私構想を練つています。これはそういう立法をきめましてもちつとも民有地の侵害はしない。土地の侵害は全然しない。上に建つ三階なら三階、四階なら四階というものはこれは土地に対する使用料を払う、土地に対して、こういうような構想をお考えになれるかどうか。これは計画局長並びに首都建設委員会並びに次官の考え方を聞きたい。
  150. 町田保

    説明員(町田保君) 只今のお考え非常に新らしいお考えでありますので、よく研究いたしたいと思いますが、ただその狙いと申しますか、そういうふうにするのは人口収容のキヤパシテイを殖やすという狙いでありますかどうか、その点がはつきりいたさないのでありますが……。
  151. 田中一

    田中一君 じやはつきり申しますが、第一、都市の不燃化の問題、少くとも日本は軍備を持たない都市であつたはずでございます。従つて焼夷弾には守れます、少くとも。台風でも守れます、生命財産は。少くとも密集するところの人口稠密な所は不燃化することは、政府でも耐火建築促進法を出してそれを主張しているのです。これはもう当然しなければならんと思うのです。あなたが今どういう狙いかなんと言うことはおかしいですよ、実際。そうして人間も入れられる。それでさつき計画局長が言つた高度化の問題も解決されるという狙いなんです。
  152. 町田保

    説明員(町田保君) 実は衛星都市法の狙いと申しますのは、先ほど計画局長からも説明のありましたように、区部の人口を余り多くさせたくないということが一番大きな狙いであります。従つてその範囲内において都市を不燃化しコンパクトにして行くということは大変いい考えと思いますので、そういう範囲内においてよく今後研究いたして行きたいと思います。
  153. 渋江操一

    説明員(渋江操一君) 非常に、確かに一つの着意として我々も検討すべき余地があると思います。ただいわゆる現在までの所有権なり何なりの関係におきましては、今のお話で参りますと、土地所有者、乃至は居住者、それの考え方に二つ分けて考えてみて行かなければいけないという根拠に立つように思うのでございます。現在の土地所有者なり何なりの考える現在までの土地所有権の建前では、一応空間といえどもやはりその土地所有者の持ち物であるという考え方に立つているわけであります。従つてそれを三階建以上、或る高さ以上のものは国なり公共団体が取上げる、これは場合によつては収用とかそういつた形で取上げて行くよりほかに方法はない、そういうことを考える以上は、それに対する公共的な性格をどういうふうにして付けて行くかということも併せて考えて行かなければならない、そこら辺に私どもの研究すべき余地があるのじやないかというふうに、只今お聞きしただけで、十分まだ検討いたしておりませんししますから、そういう点を研究さして頂きたい、かように思います。
  154. 田中一

    田中一君 ちよつと今の、私権の侵害にはならないのです。今言う通り鉄筋コンクリートで家を建てますと、将来十階にするということでは工事費がうんと上ります。基礎工事から違つて来る。三階建を十階建にするには基礎工事から違つて来る。柱も違つて来ます。従つて土地の所有者は三階を建てよう、四階建てようという初めからの意図でやるのです。木造と違つて、何というかお神楽はできない。従つて耐火建築、鉄筋コンクリートの建物を作るには初めから何階ときめてやる。その上に軽量なもので鉄板の建物を作るような場合は許せる可能性はありますけれども、初めから四階なら四階ときめて建てる、不燃建築の場合には。従つて空間の放棄なんです。或いはその上に大きな広告塔を立てるというか、或いは気球を上げるというか、私は知りませんけれども、空間の放棄と言つては工合が悪いのですけれども、少くとも空間というものは遊ばすことなんですよ、初めから。若し鉄筋の家を三階のものを六階にするのだということになりますと、基礎も違つて来ると思うのです。これは石井君のほうの分野だから石井君のほうが詳しいでしようけれども、それをやらないで、四階なら四階に建てるという場合には、あとの二階なり三階というものの階数は放棄するわけです。これをもらおうというわけなんです。それには空間を使用する妥当なる空間賃貸料というものは払えばいい。収用ということはあえて言つたのです。収用しないでもできるのじやないか。こういうものはたくさんできると思う。一面においては三階までは耐火建築促進法で補助してやるということならこれはできると思う。こういう点を相当考えなければ、イギリスのように工場を持つてつて行従業員も皆持つて行こうという思想なら結構です。今の交通機関では地方に通うには大変です。そういうものを収容するだけですら相当まだまだ入れられる途がある。そうして焼夷弾くらいじや心配ない、風水害でも心配ないというようなことにするならば、この空間を遊ばすことは勿体ない。水道を引く、ガスを引く、電気を引く、道路を引くという金をかけるのも結構ですが、併行して遊んでおるものを、資源を活かす。空間という資源を活かすという考え方も御検討願いたいと思うのです。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  155. 石川清一

    委員長石川清一君) 次に道路整備計画について道路局長から説明を願います。
  156. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 道路整備の五カ年計画を御説明申上げます。  この道路整備五カ年計画といいますのは、道路整備費の財源等に関する臨時措置法が前国会で通りましたが、その法律に基くものでございまして、大体の骨子は提案者から審議の過程において御説明申上げた通り計画に盛つておりますが、それの具体的な点は、まだこれは道路局の草案でございまして、建設省でのまとまつた意見ではございませんので、御了承を願いたいと存じます。  お手許に資料5、6を差上げてございますが、その5によりまして御説明申上げます。最近自動車が非常に増して参りましたのと自動車の輸送量が非常に殖えて参りました。これは資料1、2を御覧下さいますればわかりますが、そこで非常に道路整備の必要が緊急なことになつたわけでございますが、この五カ年計画では幹線道路の改築、それから幹線道路及び主要街路の鋪装及び修繕、ここに鋪装及び修繕とありまするのは、すでに改良されておる幹線並びに主要街路でございます。その次に生産及び資源開発道路の改築、並びに重要橋の架換及び修繕、これらを骨子といたしまして昭和二十九年度から昭和三十三年度までの五カ年計画を立てたのでございます。  そこで前申上げました事業の具体的方針について申上げますが、第一に重要幹線道路の改築でございます。この重要幹線道路と申しまするのは一、二級国道を考えております。全国的な交通幹線であります一級国道及び二級国道につきましては、「自動車の交通に対しておおむね支障がないという程度改良する。それから交通の要請に応じて全国的な調和を図つて現道の近代化整備等を促進するとございますが、全国的な調和と申しますのは、ガソリン税を余計納めておるからその地方の道路を先にということではございませんで、全国的な調和を図つてつて行きたいという趣旨でございます。一級国道につきましては特に東海道、それから京浜、中京、京阪神及び北九州地区、この地区を中心に周辺道路の改築を一応完成させるということを考えております。又各ブロツクの基幹となる国道については区間をきめて計画的に改築をおおむね完成する。そのほかのものについては自動車交通の困難な個所或いは不通な個所というものをなくしようという計画でございます。この一級国道につきましては大体国の直轄施行を主にいたしております。併し地方補助も併せて行うことに計画いたしておりますが、大体直轄施行を主といたしております。二級国道につきましては交通輸送上の重要路線について部分的完成を図るとありますが、二級国道につきましては全般的にはなかなか行きがたいので、交通輸送上の重要路線について重要なところから完成をして行くというやり方にしております。そのほかのものにつきましては自動車交通に対する当面の隘路を打開する、自動車が不通であるというところをなくするように考えております。この事業は大体地方補助を以て行うのでありますが、大規模な工事或いは特殊な場合には国の直轄でやることにいたしております。  第二が地方幹線道路でございますが、これは都道府県道の改築でありますが、都道府県道のうち重要路線につきましては大体二級国道の場合と同じように一定区間を定めて自動車交通の困難を緩和するように改築しまして、そのほかのものにつきましては交通量に応じて特に隘路となつておる個所の改良をできるだけやるという計画にいたしております。この事業は地方補助事業を以て行う計画でございます。  第三が生産及び資源開発道路でございますが、電源開発及び農水産、林産、鉱産等の増産並びに国際観光地の開発及び生産資源開発に直結する連絡又は搬出道路、そういうものについて開発計画に併せて道路改良を行うというものを取上げております。この事業は北海道だけは国費でやりますが、他は地方補助になります。  第四が道路鋪装の急速普及ということでございますが、この鋪装には重点的に力を入れて行きたいと考えております。即ち幹線道路、それから主要街路及び観光道路の鋪装を大幅に実施し、重交通の道路、それから市街地及び人家密集地等にあります道路の交通輸送の能率化及び経済化を図るという点に主眼をおいております。又衛生的な見地からも鋪装しなければならない。又観光道路等においては外客誘致のために鋪装しなければならないというものがございますので、そういうものもこの計画に取入れておりますが、この鋪装につきましてはすでに改良されております道路でありまして、大体一日五百台以上の交通量のあるところ、こういうものは全部五カ年で鋪装いたしたい、かように考えますが、なおそのほかに交通量は五百台なくとも推持の面で非常に金の要るというような道路につきましては鋪装を実施する計画でございます。これらは国道については直轄でやりまして、その他については地方補助を以て実施するわけでございます。  次に第五でございますが、腐朽木橋の永久橋化、木橋を永久橋にするというのをこの五カ年では舗装と同様に重点的に考えておりまして、この木橋につきましては支線の道路であつてもやるという考えでございます。と申しますのは、木橋は荷重が保たなければそれだけで不通になつてしまいますので、その点で橋梁は重要でありますから、幹支線とも木橋を永久橋化することに計画いたしております。又この木橋のありますということは災害原因或いは災害を累加する結果にもなつておりますので、重点的に木橋を永久橋化したい計画でございます。  次に道路、橋の修繕等の助長でございますが、この五カ年計画におきましても修繕を実施して行きたい考えでございます。鋪装道の修繕、それから永久橋の修繕、又砂利道等でございましても、相当路面だけでなくて路盤も傷んでいるというようなものについては修繕を実施したい考えでございます。  以上申上げましたこの六項目のうち特に五番までに重点を置いておりますが、なおその上での重点と申しますか、特に力を入れておりますのが、重要幹線道路の改築と、それから地方幹線道路の改築、それから道路鋪装の急速普及、腐朽木橋の永久橋化、これに特に力を入れております。これらの事業実施いたしますために事業予算はどうなるかということでございますが、この五カ年間の全体の事業費は二千七百億円でございます。これに対しまして国の予算が千七百億円でございまして、これは臨時措置法の審議の過程に説明された通りのものでございます。これにつきまして全体の計画とこの五カ年計画との対比、又五カ年計画の年度割を6の資料に示してございます。で、この財源といたしまして千七百億円のうち千二百八十億円をガソリン税相当額、四百二十億円を他の国費ということに考えておりますが、このガソリン税相当額につきましては資料の3に見積つたものがございますが、これは後に御説明申上げます。この見積り方は、大体ガソリンの輸入計画と合せて見積つたものでございまして、我我といたしましては内輪に見積つたつもりでございます。で、これらの事業をこの五カ年で実施いたすわけでございますが、法律にありません道路の新設事業でありますとか、災害事業等はこの中には含まれておりません。  そこで資料をざつと御説明申上げますが、資料の1は年度と共に自動車がどのくらい増したかを示すグラフでございまして、二十七年度末に七十五万台ということになつております。これは戦前昭和十三年の三倍乃至三倍半になつておりますが、このうちの約六割が、普通の自動車でございます。これは軽車両も全部含めた台数でございますので、普通の乗用車、トラツク等はこれの六割がその数に当つております。  それから資料の2に、これは自動車の輸送量をトン数で出してございますが、これに対比いたしまして鉄道貨物の輸送トン数を挙げてございます。これはトン・キロで出ておりませんので直ちにこれで比較いたすわけには参りませんが、自動車輸送のどんどん伸びて行く傾向を示すことには間違いないと存じております。  それから資料の3の一番上に点線で書いております曲線がございますが、これがガソリン税相当額を予想した線でございまして、これは通産省と連絡いたしまして、通産省も大体この程度の増量を見込んでいるようでございます。ここに挙げておりますのはガソリンの消費量をキロ・リツターで表わしたものでございまして、二十九年度は百九十九万キロ・リツターになるわけでございます。一キロリツトル一万一千円でございますので、ラウンド・ナンバーで申上げますとこれが二百二十億になるわけでございます。現在二十九年度予算といたしまして二百八十億をこの臨時措置法によるものとして要求するつもりでございますが、そのうちの二百二十億、ガソリン税相当額は二百二十億でございます。  その次の資料が、これが五カ年計画の年度割を示したものでございまして、これの総額が国費で申上げますと千七百億、事業費が二千七百億、二十九年が二百八十億ということになつております。この事業を全体と対比いたしますためにその資料の5に、全体計画との対比表を載せてございますが、これを御覧下さいますと、道路改良におきまして一級国道が三八%行くということになります。一番最後の段に事業費の対比パーセンテージとございますが、これがさようでございますが、二級国道が一四%、地方道が五%、全体で申上げますと九%、鋪装の新設が一級国道が三〇%、二級国道が七%、地方道が一%、全体で見ますと四%、橋梁整備、一級国道が九七%で、これは殆んどやつております。二級国道が四九%で半分程度、地方道が二二%、全体で申上げます三一%ということになつております。  資料の5に道路現況、それから以下昭和二十六年度から昭和二十八年度までの道路事業費を挙げてございます。  簡単でございますが道路整備の五年計画について御説明申上げました。
  157. 石川清一

    委員長石川清一君) 御質疑を願います。
  158. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 お伺いしますが、二級国道に入れる面の関係で道路審議会というものがありましたですね、あれは今でもありますか。
  159. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 道路審議会はございます。
  160. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 二級国道は一応審議会でもう御決定になつたものと思いますが、今後もなお御要求によつては二級国道に編入なさる方針なんですか。
  161. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 二級国道につきましては将来その路線が重要になつたということでありますれば二級国道に入れることに考えておりますけれども、二級国道は最近きめたものでありますので、ここ当分は増して行こうという考えはございません。
  162. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それなんです。つまり今お示しになつ通り二級国道もこの金でやつて行こうという、こういう計画で、又新らしく地方の要望とか或いは各方面の要望で、次から次に二級国道にお入れになりますと、折角計画をなすつたものができませんから、或いは五年か十年たつて、又必要に応じて二級国道に編入なさるのはわかつていますが、今新らしく二級国道に追加するということは何だか話が聞えないのです。それで特にどういうふうな御方針かを承わつておいたのです。今の御説明でいいわけですね。
  163. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この五カ年計画で二千七百億ということを道路局長はおつしやつたのですが、この前の道路整備の再建に関する法律のときにこの財源は道路乃至街路に行くということであつたのですが、二千七百億には都市内の街路は入つているのですか、入つていないのですか。
  164. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 道路は都市内であると否とを問わずこの条項に該当するものは入れております。ただ街路でありましてまだ道路になつていないというふうなものについては考えておりません。
  165. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうすると都市内の道路というのはどういうことを言つておりますか。つまり都市内に今道路は通つておるが街路は通つておらんというのがありますか、都市内の道路というのはどういうものをとつておりますか。
  166. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) この重要幹線道路、地方幹線道路は無論でありますが、主要街路等につきましては、これは鋪装について計画いたしております。それから又その他の市道でございましても、これは国道の代替線になりますとか、或いは府県道の代替線になる、連絡線になるというようなものにつきましては考えたいと存じております。
  167. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 ですから国道とか府県道とか以外に、主要街路についてはとつてあるわけでしよう。
  168. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) そうです。
  169. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それからいつも一番問題になるのは、道路局と都市局とあつて、道路をやるときに何メートルは道路局でやるが、何メートルは都市局でやるといふうにして、道路のほうは予算があるが、都市のほうは予算がないというので、いつでもトラブルを起しておるが、それについては或る路線については道路局、或る路線については都市局というふうにはできませんか。
  170. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) これはお説の通りでございまして、できるだけそういう線でやつたほうがいいと考えておるのでございますが、その点では只今建設省においても研究中でございまして、近く結論を出したいと思つております。
  171. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この点は道路局長だけではここで御答弁はできないでしようが、お帰りになつて建設省として御研究願いたいと思います。  それから例の道路の規格とか何とかは非常に最近荷重が殖えておるしそれから幅が増しているというので昔の規格ではなかなか間に合わんと思うのですが、これも成るべく早くきめられる、二十九年度から一刻も早く新らしい規格に合つた道路を作られる。殊に五カ年計画の発足ですから、そういうふうにしてちやんと近代道路を作られるというふうにお願いしたいと思いますが、二十九年度からそういうふうにできるお見通しでございますか、ちよつと伺いたい。
  172. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 道路構造のほうにつきましては、実は内定いたしまして、それによつて現在やつております。これを近く正式なものにいたしたいと思いますので、二十九年度から実施することができると思います。橋梁につきましては新らしい橋梁の案が目下研究されておるところでございまして、これもできるだけ間に合せて二十九年度から実施したい考えでおります。ただこの計画にあります工費、事業費等は在来の規格によつたものでありますので、新規格によりますと多少の変動も起つて来ます。
  173. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうしますと、これは次官にちよつと伺いたいのですが、二千七百億のほかに都市局関係の街路がほかにあるということでよろしうございますね。
  174. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 都市局の街路は先ほど田中さんにお答えしたのですが、道路というものに対して五カ年計画が立てられたものであつて、都市内の道路はこのうちに含まれているわけです。そこで道路に認定してこれを使つて行く、こういうわけです。
  175. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 道路に認定するとはどういうことですか。
  176. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 国道とか或いは地方道とかですね、都市の街路じやない……。
  177. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 道路になつていない街路が実はあるのです。それは区画整理等で生み出された土地がそれでありまして、これは将来道路にする予定で生み出されたのでありますが、まだ認定の手続に至らないものがある、そういうものが道路ではまだない。これは認定いたしますと市道になり或いは県道になるものでございます。
  178. 田中一

    田中一君 直轄施行でこの二千七百億の事業を五カ年にやるというのですが、これは現在の定員で間に合うのですか、人間は道路局の構成人員で間に合うのですか。
  179. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) まだお手許には直轄か地方補助かを分けた資料は差上げてないかと存じますが、この直轄でやります分は、殆んど一級国道でありまして、これは二十九年度におきましても本年度と殆んど数は変りません。少し増す程度でございます。在来もやつておりましたところを大幅に伸ばすというところに力を入れておるので、建設省建設局につきましてはこの定員などを殖やすということは考えておりません。なお請負工事も併用して行く考えでございます。
  180. 田中一

    田中一君 例えば浜松のような場合、南のほうに迂回線を作つてくれればすべての問題が都市局のほうの計画とうまくスムーズに行くのです。そういう付替の問題が相当大胆にやれるのじやないかと思うのですが、ただ改良だけでやるならば、これも又僕らの法案を通したという理由と違つて来るのですけれども、実際に東海道線にしたも、ただ密集した市街の中をそのまま通つて行くというのはどうかと思うのです。当然今まであなたのほうで大きな計画の中に含まれておるものは新設の線も相当やつて行かなければならんと思うのですが、新設、付替ですね、こういうものは考慮の中に入つておるのですか。
  181. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) そういつた性質のものは考慮いたしておりますが、浜松の迂回線をこの中に入れてあるかどうかはちよつと暫らくお待ち願いたいと思います。
  182. 田中一

    田中一君 そうすると大体これで一応出ておりますが、この前も提案者の田中角榮君も、五カ年の計画を何県のどこどこのどこというものを一応建設大臣が決定しなければこれはできないことになつているもので、これはしまいには田中君もそれを修正してくれてもいいとまで言つたほどですが、一応五カ年の分も本気で以て、将来修正する場合もあるかもわかりませんけれども、一応その箇所というものを本当に織込んでやる決意でおるのですか。
  183. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 五カ年計画には同じ国道でありますと、どこからどこということをきめたいと思つております。それから都道府県道の中でも重要路線につきましてはどこからどこということを示したいと思つております。ただ生産及び資源開発道路等がございますが、これはそれぞれに起つて来る事業に併せてやつて行かなければならない面もあるわけでございまして、そういう枠も持つていなければならんと思いますので、それらについては箇所まできめるというわけには参りません。
  184. 田中一

    田中一君 どうもずるいね。約束が違うじやないか。法律を作つたときの……。  それからもう一つ伺いますが、今駐留軍専用の道路費は幾ら残つておりますか。
  185. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 安全保障諸費から出ましたものははつきりした数字はちよつと覚えておりませんが……。
  186. 田中一

    田中一君 残つておるやつ……。
  187. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 百三十億ほど使いました。
  188. 田中一

    田中一君 残りは……。
  189. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) どれだけということでなしに、必要に応じて出してもらつておるのでありますから、残りがわからないのでございますが……。
  190. 田中一

    田中一君 必要でなくして、向うの要求によつてつておるのでしよう。
  191. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 要求によつてつております。
  192. 田中一

    田中一君 そうすると将来その安全保障諸費がなくなつたとする。そうしてこの枠からは一銭一厘でも出さないという決意でおるのですか。又この枠から出すならば、やはりあの法律を通した意図と違つて来るが、その辺の建設省にしてのお心がまえを聞かして欲しい。
  193. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 安全保障諸費によるべき性質のものの道路改良は、これからは一銭も出さないつもりでおります。
  194. 田中一

    田中一君 そうするとあなたのほうで今度これをずつと各道路ごとに、区域ごとにきめて行きますのに五カ年分を……。それから今おつしやつたようにこれから起る資源開発、その他の問題についてはそれは若干保留しておく、まあ予備費に取る、それと、競合する、のつかるようなところはあなたのほうで計画していませんか。もう一つ、それで若しもあなたのほうで計画するものに対して向うの駐留軍がやつた場合に、それはキヤンセルして、お前のほうは邪魔だということを言えますか、競合する場合……。
  195. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) この安全保障諸費で出さなければならん度合というものは、この計画の中には見ておりませんが、その後又演習場ができたとか施設ができたとかいうことで、安全保障諸費に似た金から出すべきものは出て来ると思うのです。そういうものは今度そういうものが出て来ましたらこの計画から落します。
  196. 田中一

    田中一君 先ほど二千七百億円のうち、地方負担というものが、前国会で通した例の一級国道に対する府県負担分は起債で以て認めてやろうということになつておりましたね、現在は。そうすると二級国道並びに府県道の場合ですね、国はその結果補助金をやるけれども、これも厖大な道路費というものを府県が負担し切れないものがあつた場合、恐らくあると思うのです。今日の地方財政の範囲では……、恐らくこれも大きな計画を持つておりますので地方が負担し切れないものが多いと思うのです。その場合どういう措置をとろうと思うのですか。
  197. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 只今のところではやはり起債で行こうという考えでおります。
  198. 田中一

    田中一君 起債で行こうというお考えは結構ですが、それは起債を承認するほうの側との十分の打合せ……この道路整備五カ年計画は全部起債で賄えるという閣議決定をされるつもりでおるのですか、そういうことによつてですね……。
  199. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) この道路整備五カ年計画の地方負担分につきましては起債で行く、その枠を認めて頂かなければならんわけで、それはお話のように閣議決定まで持つて行くつもりでございます。
  200. 田中一

    田中一君 起債にも限界があります。従つてそのためにほかのものが制限されるというような危険が多分にあると思うのですが、そういう点はどうです。本当に心配ないようにやれますか。一級国道に対しては府県分負担金は法律を作りまして起債で認めるということになりましたが、そうすると次の国会でもそういうような意味の道路整備五カ年計画のほうで府県負担分は起債によるというような法律を作るつもりですか、もう一遍……。
  201. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 法律を作るということまでは考えておらんのでございますが、これは折衝によりまして、できるだけ起債に持つて行くという考え方であります。
  202. 田中一

    田中一君 前国会で通つた法律はなぜああしなければならなかつたか、前国会で作りましたね。国が事業を行う場合にその府県の負担する分は起債で以てやらせるというような法律を作りましたね。むずかしい何とかいう法律があつたが、御承知でしよう、それは。ああいうような意味の法律を、単行法を作つて今後どうするかということ……。
  203. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 その問題に関連して……。それで大蔵委員会がやかましく言つたのです。地方財政の関係があるから、起債の問題もあるから、私はそれはそういう法律を作つていないと私は思つています。
  204. 田中一

    田中一君 大蔵委員会で通つたのですよ。それと同じようなものをやるつもりなのか、閣議決定でできやしませんよ。枠があつて……。少しも出すまいというつもりなんだから、出したらほかのものに対する制限をつけなければならん。その点をもう少し検討しなければならん。国が行う場合にその府県の負担する分は起債でやらせるという特別法があるのですよ。
  205. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  206. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をつけて。
  207. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 補助に対してはよろしうございますね、補助事業につきましては。そうすると直轄の工事で地方負担分がありますが、これについてはどうしてやるかというのが第一の問題でありますね。それを適用して行けばよろしい……。
  208. 田中一

    田中一君 そうすると今度地方道の場合補助してやる、こう言つたところがなかなか地方では負担し切れないですよ、実際の問題において。負担できれば結構ですよ。今でさえ困つているのに負担し切れない。その場合にどういう措置をとるかということですね。そうすると五カ年計画がとまつてしまうことになる。完成できない。そういう場合にどういう措置考えるか。
  209. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) これは補助でございますので、元来は県の事業であるわけであります。県がこれだけ補助してくれという申請に基いてこちらから補助するのでございますから、できなければ申請して来ないという……併しそれでは五カ年計画実施できないので、その間にちよつと問題が起ろうと思いますが、最初の五カ年間ぐらいはこれは相当やれるというところもありましようから、全体の延長の点においては問題ないじやないかというふうな気がいたしますが……。
  210. 田中一

    田中一君 その問題はいろいろな問題が起きておると思うのですよ。あなたが言うように簡単に、申請して来なければ補助してやらないというようなだけではあの計画はできないことになるのですよ。あなたのほうは、地方から来るものは申請によつてやるのじやなくて、これは国が当然支出すべきものとしてこの計画を立てる。だからそこに非常に問題があると思います。その点を今ここで言えというのは無理かも知れない。それを問題として閣内でよく考えておいて、次の機会に答弁して下さい。
  211. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それに関連して、私はこういうふうに感じておる。地方からこれこれの仕事を要望する。それは恐らくは道路局のほうでお考えになつておる以上にたくさんの道路を要求しておると私は思つております。併し地方の財政の都合上、今の田中委員の言われておるようにできない分がある。そのできない分はその地方にはやらないでほかの余裕のある地方にお廻しになる、こういうふうに私は解釈しておる。道路局長どうですか。
  212. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 先ほど田中先生のお尋ねに対してそういうつもりで御返答申上げましたら、それでは五カ年計画ができないではないかということを言われたわけですが、それはそういうことになるわけなんで、その点は一つ研究させて頂きまして、後に何いたします。
  213. 田中一

    田中一君 この法律を作るときに、今言う通り五カ年分を先ず先に認定してそうしてやるということをするから駄目だ。僕はそのときに非常に心配した。恐らく変更々々なら、もう初めから計画を立てないほうがいい、これは一つ研究して下さい。
  214. 石井桂

    ○石井桂君 ちよつとこれはつかぬことを伺いますが、橋梁の指導監督はどこでやつておられますか、道路局のほうでやつておりますか。
  215. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) さようでございます。
  216. 石井桂

    ○石井桂君 それでは、実は今度参りました災害地の日高川ですね、川上という村から下へ六つか七つ釣橋があるのです。これが全部流れている。無筋コンクリートなんです。而もその一つはこの間の災害でできたばかりのものです。その倒れたところを見ますと、ピアーがすかつと切れているように明らかに打ち継ぎから切れている。それで現地では不正工事か計画が悪いかということで大分沸いているわけです。併しいずれにしてもその非を責めるのでなくて、この間できたばかりのものが又こわれてしまうようでは永久橋として用をなさんと思うのです。この点については直接御監督になつているのか、府県に監督を任しているのかわかりませんが、住民としては非常な災害時に疎漏があつた、人も死にますし、あと復旧も困難だ、こういうことがわかつて来たわけですが、これらはどういうふうにされているでしようか。
  217. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 只今お話のあれは、災害復旧で架けた橋と聞きましたが、災害復旧でありますと河川局が出掛けて行きまして査定をいたしまして、どういう工法にするかきめるわけでありますが、で、実際やる場合にもその指導監督は直接その責任は河川局でありまして、その橋梁につきましては道路局に協議がございます。そういつたことで道路局のほうも関与しているわけでございますが、今お話のように無筋の橋脚であるというようなことは近来行われていない筈でございまして、よく一つ調査さして頂きます。
  218. 石井桂

    ○石井桂君 私の言つたことは、どこに欠点があつたかということの追及でなくて、この間できたばかりのものが又こわれるような指導ではちよつと困ると思うので、内容さえ直つてくれればいいわけなのですから、そういうことで一つ河川局とも御相談の上で現地でもお調べ下さつて、現地の人々は、結局工事が不正か設計が悪いかということでわいわい言つているわけです。ですから、而も一つも残さずずつと流れてしまつている、こういうことであります。
  219. 田中一

    田中一君 補助率ですがね、これは二十九年度できめればそれがもう確定ですか、補助率というものは。これは全体の計画を、五カ年の計画をやるのですから、最初にきめた率で確定してしまうといろいろな問題が起る。補助率というのはどういうことになつて計画を立てますか。
  220. 富樫凱一

    説明員(富樫凱一君) 臨時措置法では補助率を上げ得ることになつておりますが、審議の過程で、これは二十七年度並みにやるというお答えを申上げておりますが、その補助率によつて要求いたしております。それで五カ年間は今のところは変えるつもりはございません。
  221. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは、ちよつと住宅局長が国際労働会議に出ておりまして欠席で、住宅経済課長の鮎川君と住宅企画課長の前田君が見えております。お手許に配付しました8と9の資料に基いて住宅関係に対する政府の説明を求めます。それでは8の資料に基いて……。
  222. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) この資料は住宅関係の最近の状況と今後の見通しに関連した資料の簡単なメモでございます。  初めに公営住宅のところでございますが、御承知のように公営住宅は三カ年計画の第二年度といたしまして、本年度は五万三百八十戸の予算がついておりますが、目下建築を急いでおります。  その三カ年計画概要を一遍申上げますと、昭和二十七、八、九の三カ年に公営住宅を十八万戸作る、これが根本でございまして、それに関連いたしまして住宅金融公庫も十八万戸作る、この両者は三カ年でございますから、平均年額にしまして六万戸でございます。このほかに民間の自力建設を一年間二十三万戸、三年間で六十九万戸見込んだわけでございます。そのほかに官公庁の関係の公務員宿舎その他のものを入れまして、合計四万四千三百戸、これは一年間で一万四千八百戸になりますが、大体この計画で、これを全部総計しますと、一年間に平均三十六万四千八百戸くらいできればいいと思う。一応我々の計算上辻褄と申しますか、住宅の不足に対応して二十カ年程度の目標で復旧ができるという計画でございました。  ところがこれに基きまして仕事なり建設見込を立てたのでありますけれども、実績はその次に書いてありますように、二十七年度におきましてはこれは実績が出ましたが、公営住宅は二万五千三百七十九戸、この年は御承知のように三カ年計画計画よりも先に予算がきまりました関係上、三カ年計画では一年間に六万戸くらい建設したいところでありますが、予算が二万五千戸分でございましたので、多少事業の結果端数が出まして、できたのは二万五千三百七十九戸でございました。それから住宅金融公庫は二十七年度におきましては五万五千三百五十戸できました。民間の住宅建設は予定したよりも伸びませんで、そこにございますように二十七年度は結局十六万八千九百六十六戸という数字でございます。このほかの公務員住宅その他が一万九千戸でございますが、二十七年度は一応、ここに註も入つておりますけれども災害その他を入れて公庫住宅の実績を多少差引いたしまして、結局二十七年度の住宅建設総量は二十七万二千七百五十七戸というような数字を我々持つております。勿論これは統計によつておりますので、住宅の統計は非常に実際の実績を把握しにくいという点がございますので、或いはこれよりもつと上廻つておりますと思いますけれども、一応統計に出た数字が以上のような数字でございます。我々が当初予定した計画の三十六万戸とは相当の差がございますので、この点は非常に遺憾に思つております。  二十八年度はこの二十七年度の実績がまだこういうふうに数字的にわかつていなかつたのでありますけれども、大体そういうふうな近い見通し考えられておりましたので、三カ年計画の数字もありますし、極力努力いたしまして、公営住宅につきましては五万戸の予算を用意しました。その後予算関係もありまして、今年の二十八年度の公営住宅は五万三百八十戸になつております。現在これで各公共団体におきまして建設を急いでおります。それから住宅金融公庫につきましても五万一千五百戸、これは御承知のように一般の認めた四万五千戸に産業労働者住宅資金融通法に基くものが六千五百戸でございます。一般の公庫のほうは大体受付を終りましたし、産業労働者住宅も最近受付を一応終りまして、現在審査をいたしております。こういう事情でございます。  昭和二十九年度におきましては、公営住宅については三カ年の最終年度であるという意味もありますし、住宅事情から考えましても是非とも計画通りの十八万戸の全部をこの最終年度に完成したい、こう考えまして、目下残りました二十七年度と二十八年度の合計を十八万戸から差引きました十万四千二百四十一戸というものを建設すべくいろいろ検討いたしまして、関係方面と打合中でございます。  で、これに関連いたしまして現在我我が当面いたしておる問題は、東京都におきますところの過大都市抑制の問題がございまして、住宅を作る場合も、東京都に作る分につきましては或る程度衛星都市というふうな観点から住宅建設考えなければならんということを考えまして、できればこの公営住宅の十八万戸を作りますにつきましても、首都につきましては、単純に東京都に作るというふうなことよりも、むしろ東京都の近傍の府県を大きな首都圏というふうな観点から考え直しまして、その県に適当な衛星都市の配置というふうな考え建設して行く。そのためには東京都或いは茨城県、埼玉県というふうな従来の公共団体、行政区画の公共団体に仕事して頂くよりも、特別な経営主体を作つたほうがいいのじやないかというふうなことで研究を進めております。これもそういう研究によりまして、来年度からできれば実施をしたいというふうな考えを持つております。  その次が住宅金融公庫でございますが、住宅金融公庫につきましては先ほどちよつと申上げましたが、公庫設立以来今日までの実績が、その表にも出ましたように、二十五年度初年度におきましては三万四百七戸、二十六年度は六万五千百十三戸、昭和二十七年度が五万五百七戸、昭和二十八年度、現在貸付けいたしておりますのが五万一千五百戸でございます。その内訳が、先ほど申しましたように、一般の分が四万五千戸と産業労働者住宅の分が六千五百戸でございます。そこで住宅金融公庫につきましても、三カ年で十八万戸という見通し計画を持つておりますので、二十九年度におきましては、二十七、八両年度において融資した分を差引きまして、八万戸について一般貸付を実施したい。それから産業労働者住宅につきましては、昨年度六千五百戸でありましたが、いろいろ事情、申込の希望、その他労働者の住宅状況から考えまして二万戸程度融資をすることが適当かと思いまして、目下その資金を関係方面と話合をしております。  そのほかに最近宅地問題が相当深刻になつて来まして、特に地価の値上りが相当影響されて来まして、公営住宅の敷地の獲得は勿論、公庫につきましてもかなり困難なものが出て来ておりますので、できればこの宅地の対策につきましていろいろな手を打ちたいと考えまして、一応そこで書いてございますのは宅地開発事業というものを国の資金でやつたらどうかということを書いておるわけでございます。宅地対策につきましてはいろいろ考え方もあると思いますが、まだ我々のほうでも研究中の段階でございまして、これと言つてきまつた案はございませんけれども、やはり現在の社会情勢なり或いはこの法律体系に根本的な改変を加えることは困難と考えられますので、取りあえず公共団体が相当な宅地を造成する、勿論都市内にもまだ未利用地はあると思います。併しここを皆が狙つたのではただ地価を上げるだけでございますので、できれば衛星都市の開発に関連いたしまして、郊外で適当な土地、山林、原野、その他のところを新たに開発して……、これは民間ではなかなか現在それほど活溌にできておりませんし、ほかの都市施設にも関連がありますので、公共団体の手によつて必要最小限度の費用で開発をして一般に供給するならば、価格も安く、而も新たに供給するという面から、一般市街地内の宅地との競合も避けられますので、こうやつたらいいのじやないかと思いますので、一応計画して目下研究中でございます。  それからその次に水害対策をちよつと書いてございますが、これは先般の六、七、八月に亙りました水害につきまして、まだ実は関係の政令が最終的にきまつておりませんので、一応の試算でございますが、我々の計算では、ここに挙げましたように、住宅の滅失が一万八千五百六十一戸と考えられます。そのうち公営住宅法とそれから特例法で、我々が一応考えました案に基くところの適用地域考えまして、戸数で計算いたしますと八千五百四十六戸につきまして、公営住宅法に基く補助金を出すような計算になります。その所要金額が二十八年度におきましては九億九千八百万円、次年、二十九年度におきましては七億一千二百万円という計算になります。これは勿論政令のきまり方如何によりまして多少変つて来ますが、一応こういう計算を出しまして、一応の話合をしておる状況でございます。  そのほかの対策につきましては、住宅金融公庫はすでに西日本関係には特別融資の枠を設定しまして、ここにありますように四億六千万円の枠を設定いたしまして、これは受付を終りました。その結果西日本では千六百三十一戸分の四億三千万ばかりの申込がございます。和歌山地方のほうは、これも受付がもう終つたかと思いますが、まだその最終的な数字は来ておりません。枠は九州と同じように四億六千万円の用意がしてございます。その次の半壊住宅につきまして、或いは長崎県その他の地すべり地における住宅の移転についての融資につきましては、相当困難な問題もございますが、今大蔵省なり自治庁と折衝中でございます。まだ最終的な結論が出ておりません。  以上最近の住宅関係の状況を申上げます。
  223. 石川清一

    委員長石川清一君) 次に産業労働者住宅資金融通業務方法書について、鮎川住宅経済課長
  224. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 9と10は産業労働者住宅資金融通法に関する資料でございまして、これは先般本国会におきまして御審議を願いまして通過成立いたしました産業労働者住宅資金融通法に基きます業務方法書でございます。又この10の資料は、この法律に基きまして受付をいたしました結果でございます。融通法が国会におきましていろいろ論議いたされました際に、衆議院におきまして付帯決議が付けられたわけでございますが、その際に、融通法の基本に関する重要事項については住宅対策審議会の意見を十分に尊重することという付帯決議がございました。そこで融通法が通過成立いたしましてから、建設省におきましては早速住宅対策審議会を開きまして、融通法に関します重要事項についての諮問をいたしたわけでございますが、それに対しまして早速答申がございましたので、この答申を中心といたしましてこの産業労働者住宅資金融通に関します基本的な事項を定めておりますこの業務方法書を作成いたしたわけでございます。  これは住宅金融公庫がその業務を運営いたします際の基本となるわけでございまして、公庫におきまして作成いたして、主務大臣の認可によつてこれが制定されるわけでございますが、この業務方法書には先ほど申上げましたように、審議会の意見の重要事項は全部取入れまして、更に細かい点につきましては、従来の住宅金融公庫のいろいろな諸規程を一緒に盛つてございます。  それから10の資料でございますが、これはいろいろそういうふうな準備をいたしまして、公庫におきましては八月二十日から九月九日まで第一回の申込みを開始いたしたわけでございますが、その受付の状況が概要がわかりましたので、ここに配付いたしたわけでございますが、これは未だ最終的なものではございませんので、一応この締切期日に取急ぎ集めました資料でございまして、今後若干変更があるだろうと思いますが、その概要を申上げますと、申込の件数が千九十六件、木造の住宅が五千四百十戸、耐火構造が七千三百三十九戸、簡易耐火構造が五百七十二戸、それから単身者共同宿舎のほうは、室で申しますと概略四千九百五十九室ぐらいになると推定いたしておるわけであります。これらをすべて合せますと一万八千二百八十戸程度になるわけでございまして、予定戸数は御承知のごとく大体本年度六千五百戸でございますので、約三倍程度の申込状況というふうになつております。
  225. 石川清一

    委員長石川清一君) 御質疑ございましたら逐次お願いいたします。
  226. 田中一

    田中一君 この二十八年度の予算計画のうち公務員住宅ですね、厚生省関係のものと大蔵省関係の分と、これは予算でわかるでしよう、どのくらいになつているのですか。
  227. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 予算で二十八年度はわかりますが、この資料には私のほうに関係がないものですから書かなかつたのでございます。
  228. 田中一

    田中一君 済んだものは……、二十七年度分のものはわかつて、二十八年度は予算がわからないはずはないので、調べて御報告下さい。
  229. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 承知しました。取調べ御報告申上げます。
  230. 田中一

    田中一君 この首都圏住宅管理協会というのは何をやるのですか、これもちよつと説明して下さい。
  231. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 今構想を練つておりますのは、首都圏と申しますと、一応考えられますのは東京都を中心にして四十五キロ程度の半径内の地区が入りますが、その中で衛星都市的に住宅を建てて行つていいようなところに公営住宅を作る。その場合には目的は首都圏、東京都に対する流入人口をそこでとめようという企画でございます。ところが建設地が埼玉県であるとか或いは神奈川県でありますので、両当局の協議体、或いは国がいろいろタツチをしたそういう母体があつて、それで建設するのが一番よろしかろうという構想で、いろいろ事業範囲も考えられますので、取りあえずは公営住宅が一番大事でございますから、公営住宅をそういうものにこしらえさせたらどうかという構想を持つております。
  232. 田中一

    田中一君 そうするとこれは公営住宅……、東京都を囲る府県、どことどこを大体考えているのですか、県で。
  233. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 県で言いますと千葉県、茨城県の一部、埼玉県、それから神奈川県、これだけが入ります。
  234. 田中一

    田中一君 そうすると山梨県は入らないのですね。
  235. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 山梨県は我々の現在の計算では入つて来ておりません。
  236. 田中一

    田中一君 入つて来ない理由というのはどういうのです。あそこは御承知のように電車も走つておりますし、一時間半で来ますよ。与瀬、あれは神奈川県、次は山梨県ですが、一時間か一時間二十分で来ますよ。それは今の原則から外れるからという意味ですね。
  237. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) ちよつと我々の構想のサークルを描いてみますと、具体的に申上げますと、四十五キロの線で中に入る都市らしいものは、千葉県で申上げますと、南のほうから来ますが、五井、八幡というところが入つて来まして、それから茨城県に入りまして取手が入つて来ます。それからその次は埼玉県に入りまして川越が入つて来ます。所沢も入つて来ます。東京都のほうで青梅の近所に八王子があります。神奈川県のほうは高座郡大和、茅ケ崎が四十五キロの線から外されます。併しこれは御指摘のように交通機関にも関係がありますので、単純に地図の上に線を引くだけではございませんので、一応こういうことがめどでございますので、これに交通機関の整備状況から考えまして、適当な首都圏が必要だと思います。
  238. 田中一

    田中一君 これはそうすると政府と並びにこの関係当局を含んだ関係府県と、それから建てようとするところの地域の周囲の人間が集つて協会を作るということですか。
  239. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) まだそこまで構想は確定しておりません。東京都だけがやるということもちよつと不可能だろう。さればといつて地元の茨城県だけでも不可能であろう。殊に首都であるから国も何らかの協力をする必要郷あろう。その三者の協力関係を法律的、具体的にどうしたらいいかということを研究しております。
  240. 田中一

    田中一君 それから宅地開発事業ですが、これはどういうことですかね。これも大体案を今研究しているのだというならこれは研究で結構ですが、何か構想があれば、どつちみちこれは予算化するでしようから、殊に三十年度に必要とする公庫住宅の用地三百三十六万坪を買収して造成すると、これはこういう土地は、今の何というのですか、やはり住宅管理協会なんかのそういう構想に関係があると思うのですが、こういうことは得られるのですか、どういうところからこういう数字は引張り出したのですか。
  241. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) その三百万坪の敷地を計算しました一応の基礎は、公営住宅の場合、住宅金融公庫の三十年度の建設に必要な戸数を一応弾きまして出したのでありますけれども、具体的にはまだ現場々々を当つておりません。ただ先ほど申上げましたような東京の周辺におきましても、或いは東京以外の大阪の周辺におきましても、まだ相当宅地として利用されていない山林なり原野があるようでございますので、そういうところを開発して、それに必要な施設を設けるならば非常に有効な宅地が供給できるだろうということで、これも目下研究中でございます。
  242. 田中一

    田中一君 これはさつき委員の方々に申訳ないからくどく言いませんでしたが、横に伸びる住宅というものは今の段階では考えちやいかんと思います。当然もう考えられなければいけない段階にも来ておりますが、やはり一応上に伸びるという構想を持つて行かなければこの目的は達成されないのではないか。現に電源開発でもどこでも補償問題とか何かで以てもめているのです。実際に土地の問題に対して安易な考えで以て計画されたのでは、これは到底あなた方の考えられる目的は達せられないと思うのです。その前にやはり空間に伸びるという考え方を持たなければそれは無理じやないかと思うのです。そのことにつきましては次官がよく承知しておりますからくどく申しませんけれども一つ方法として僕はこういう方法はどうかということをお示ししたわけなんです。さつきそれは、あと計画局長にも聞いて頂きたいのですが、先ほども三百六十万坪のものを売収してどうするこうするということ、そんな金あるのですか。一体予算措置できますか。本当に本気でこういうことを考えてやつているのかどうか聞きたいもんだな、僕は。一坪幾らに見てどういう、三十年度までにこれが進められて十分の一でも実現できるでしようかな。これは企画課長一つこれを証明して返事をしてほしいのだがな。
  243. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 土地は一応平場千二官用くらいの土地を買いまして、それに千八百円くらいの工事費を加えて三千円くらいになるだろうと思つて計算をしておりましたものです。ただ今御指摘のように相当予算を要しますので、問題が多いと思いますけれども、この予算はこれはすぐに公営住宅なり住宅金融公庫のほうに振替えをして行くといいと思いますので、そうしますと大体一年間或いは二年くらいですぐに元に戻りますので、回転資金になりますので、回転資金としての作用をさせたい、こういうことでこの案を考えまして、目下研究中なんでございます。
  244. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫の募集を始めると地価がずつと上るのは御承知の通りです。この計画は実際は土地収用か何か強権を以てしなければ、恐らくあなたが考えている千五百円の坪が、一万五千円になつてしまう。すぐなんです。地価を上げないという何か政策を別に方式の中に考えていらつしやるのかどうか、それを聞きたいと思う。すぐです、これは。又今の、先ほどお話のあつたような千葉県の住宅管理、この地域でもこれを発表する、これが新聞に漏れたら、建設省はこういう計画を持つておる、これはぽんとはね上つてしまう、簡単です、ぽんと。だから若し本当にやる気ならば計画を密にしないとこれはとても何もできません。ここのところは非常に慎重に考えて、こんな構想があつたなんて構想を発表せずに……、本当に地価というものはどんなものか、地価というものは魔物以上です。今じや投機対象物は土地きりです。僕はこういう計画は企画課長の手許だけで案を練つたんだと思いますけれども、次官、一体これを御承知なんですか。
  245. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) なかなかむずかしい問題で、私今住宅局から説明しておる問題と先ほど都市局で衛生都市の問題大体これは全部過大都市の防止と住宅敷地の問題でいろいろ建設省の内部で練つて検討しておるようですが、まだここへ出すのは早い。出してしまつた以上はしようがないから言いますが、(笑声)これも併し皆さん建設委員の方だから、いろいろ田中さんのような御意見を承わることは非常に結構で、地価の上ることも非常に問題になりまして、こんなものを発表したらすぐに地価が上るからどうするのだという意見が盛んにあるのです。それによつて今盛んに研究しておる。結論としまして過大都市をどういうふうにして人口を阻止するか、それから住宅の敷地をどうして獲得するか、こういう悩みを解決するためにいろいろ検討しておるわけでありまして、委員会へちよつと出すのは早いと思つたんですが、十分御意見を承わつて、我々としても慎重に研究して行きたい。勿論いろいろ御意見のあることは勿論よく承知しておるのでございますが、それから空間の問題ですね。これは非常に示唆に富んだ結構なあれでございました。私この前アメリカへ行かしてもらつたときも、サンフランシスコあたりは土地が狭く、十五階くらいのアパートの非常に立派なものを建てておる。これは国力の差だからしようがないのですが、あのくらいのアパートをたくさん作れば面白いと思いますが、やつぱり空間を相当利用するということは考えております。ロスアンゼルスに行つたときは、土地が広いから平面的な都市を作るといつて改造をやつておりましたが、狭いところと広いところと考えを異にしなければ……日本のような狭い土地はやはり十分に空間を使うことを研究しなければならんと思います。それは非常に面白い案と思いますので検封しますから、一つどうかよろしく御指導願います。
  246. 田中一

    田中一君 私が質問したから悪いのだが、千葉県の何は忘れることにしましようね。直ぐ上りますよ。いい投機対象物ですよ。株は動いていないから土地というので土地へ行つたら大変ですよ。これは忘れようと思います。
  247. 石井桂

    ○石井桂君 私も重複しないように質問したと思いますが、先ほどから宅地問題が住宅政策の今ネックだということが質疑応答ではつきりしておりますが、住宅金融公庫を利用する人の大部分が宅地が急騰いたしまして昨年の倍以上に上つた。今宅地に金融公庫で貸付ける価格は、私はちよつと忘れたのですが、どのくらいですか。
  248. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 住宅金融公庫で只今貸しておりますのは地域によつて、又その住宅の構造によりまして違つておりますが、東京地区におきましては木造の住宅につきましては最高が二千五百円でございます。それから鉄筋の共同住宅の場合につきましては先般若干いろいろの観点から検討いたしまして、従来は四千円でございましたけれども、今度八千円まで上げております。
  249. 石井桂

    ○石井桂君 実は私所用がありまして少しほうぼうの地所を調べでみたのですが、今二千五百円で買える土地というのは三十五区の中にはないようですね。それから鉄筋コンクリートの建ちそうなところは八千円なんということではないようでございますね。結局今の金融公庫の貸付の単価を上げれば又地価が上るかも知れない。金融公庫の利用者の困つているのは宅地にごそつと持つて行かれるということです。現在の価格を少しでも上げてもらえないかどうどいうこと、これを……(「上げると又上がるよ」と呼ぶ者あり)いたちごつこになるかも知れないが、これでは実際住宅金融公庫ではできない。  それともう一つは、建築費の二、三割の増なんです。これも二、三割低いやつの何割というものだから、今までの庶民階級が家ができなくなつてしまつた。これはいたちごつこになり、悪循環になることはなるのですよ。併しやはり急場を凌いで行くには多少上げてもらわなければならんだろう。このことは東京のみならず、罹災地の和歌山県も奈良県もひとしく陳情しているところなんですが、この貸付の単価或いは公営住宅の建築費の単価を上げるつもりはないか。その辺を聞かして頂きたい。
  250. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 宅地価格の問題でございますが、只今いろいろお話もございましたように、住宅金融公庫の只今の標準価格は非常に低い。一般の市価に比べまして非常に低いところにございます。又これを上げますと更に上るといういたちごつこがいろいろ考えられますので、私どもといたしましてはその解決にいろいろ苦慮いたしているわけでございますが、そこで取りあえず先ほど申上げましたような鉄筋の共同住宅につきましては最近これの値上げをいたしたわけでございます。全体的な値上げにつきましては今いろいろと検討はいたしておりますが、直ちに値上げしたらいいかどうかということは今のところまだ結論は得ておりません。併しながら全体的ないろいろな現在公庫の申込者が宅地問題に困つて、折角抽籤に当つても設計審査が出ないというような状況も若干ございます。ただこれは少し従来新聞などでは約三割程度しか設計審査が出なかつたというようなことでございますが、公庫におきまして若干期間を延長いたしたり何かいたしまして、只今のところ東京地区では七割程度が設計審査を提出いたしております。全国の恐らく設計審査の申請状況は七割から八割になるのではないかと私どもは見ております。併し如何にいたしましても宅地問題その他については非常な問題がございますので、来年度におきましては先ほど企画課長からも説明がありましたように、新たに未利用な、いわゆる未開の宅地といいますか、原野等をできるだけ開発して供給を増加するということを考えますと共に、できるだけ公庫におきましても高層化を図るというようなことも考え、更に宅地の価格などにつきましてもできる範囲のことは考慮いたしたいというふうに只今検討をいたしておるわけでございます。  それから建築費の問題でございますが、これも特に災害直後は若干の値上りを見せまして、いろいろな点で非常な問題となつておるわけではございますが、公庫におきましていろいろ今のところその資料を収集いたしております。災害直後は値上りいたしまして、又少し落ちついたところもありますし、時間的に地域的にいろいろ変動もあるわけでございますが、現在のところこの建築費の値上り状況について資料を集めまして、それに対していろいろ検討をいたしておるわけでございますが、特に災害地につきましては公営住宅とも同じような問題もございますが、できるだけ善処できるようにいろいろ関係官庁とも折衝いたしておるという状況にございます。
  251. 石井桂

    ○石井桂君 もう一つ、その宅地の高度利用化について田中議員から大分名案が出ておられますが、それについて私も御意見を承わりたいのですが、現在都市が高さは百尺のビルを限度としておるようでありますが、今の建築技術だと百五十尺から二百尺ぐらいにしても、一切震災後の建築としてはちつとも支障のないような高層ができます。都市計画方面から考えても私はそうだろうと思いますが、それについて百尺という限度を一つ取る御意思がありますかどうですかこれは建設次官からお答え願つたほうがいいと思いますが……。
  252. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) これも法律上きめられておるものですから、今どうもしようがないのですが、だんだんと各地で問題が起つておりまして、例の駅前の、あれは大阪でも問題にされたんですが、そのほか大阪に又堂ビルの前に一カ所そういうのがあります。盛んに今高層建築の出願が出て来ますし、そしてあの法律の基礎をいろいろ考えてみますと、そうむずかしい規則からなつておるものではないと思いますし、私個人としては或る程度もう少し緩和してもいいのじやないかという考えを持つております。ただ建築専門の方々がいろいろの意見がありますので、私だけの考えであつてはいかんと思いますが、これは将来研究問題にして残して大いに研究さして頂きたい。石井さんもその専門の方でありますから、できるならばもう少し高いものを建てて有効にこの空間を使うようにしたい。ただ駐車場とか何か平面土地の利用がそれに伴わないために、下が非常に混雑を来たすのじやないかという虞れがありますので、その点をどういうふうに解決して行くかというようなことも伴つて来るだろうと思いますので、それは一つ将来の研究問題にしておきたいと思います。
  253. 石井桂

    ○石井桂君 只今の次官と私は個人的には全く同感なんで、まあ百尺に抑える時代じやないと思うのです。従つて割合に若いジェネレーシヨンの建築の学者は皆百数十尺を目指して今研究を進めておるところなんで、これを抑えるほうの側の人は、昔法律を作つたというような方から非常に抵抗力があるような調子なんです。従つてどももそういう方向に進みたいと思いますので、将来とも一つ建設省におかれましてはその方向に御協力願いたいと思います。  それから更に、もう一つでおしまいにいたしますが、一般の罹災家屋の救助について今度の罹災の法律がたくさん出ました。その中で一般民家の大破以下の損害を受けたものの救助は法律には何も明文が出てなくて、議決されたとき附帯決議か何かが付けられたように承わつております。これについて予算措置を今しておるんだが甚だ心許ないという御説明が前田課長からありましたが、それでは誠に心許ないので、罹災地に参りますと非常に困つて、生業もなくなつてしまうし、実際に家もこわれておるという状況で、罹災地は随分泣いておるようでありますので、これは幾らの費用でもないのです。例えば一万戸として十万かかつても十億円ですから、当然その点は一生懸命で私どもも及ばずながら大蔵省のほうへ一つ働きかけてみたいと思いますが、是非一つ御努力を願いたいと思います。
  254. 田中一

    田中一君 これは前田課長に二カ月ほど前からお願いしておいたんですが、水害対策として、罹災家屋に対しては住宅金融公庫の融資等でやつておりますが、曾つてお願いしたように天災地変に対する損害保険制度ですね、これを研究してくれるようにお願いしておいたんです。若しもこれが現在施行されておるならば……、これは何も国の補助をもらおうというんじやないんです。最悪の場合には、丁度あの農地保険、或いは漁船保険のように、最悪の場合には国家が裏付けしてくれるというのであるならば容易に起ち上れると思うのです。そういう意味で以て災害住宅ばかりでなく、住宅並びに宅地に附随するもの、そういうものに対して一定限度の額をきめて、それ以下のものに対しては相互保険ですから、結局加入者から料金を取つて、最悪の場合には払うというような天災地変に対する損害保険制度考え意思はないか。若し考えなければ、あなたのほうでデータを出してくれさえすれば議員立法で出してもいいと考えております。これは何らこれの予算としては伴いません。最初二億なり五億なりというものをあなたのほうで予算をつけてくれれば予算の問題……、そうすればできると思うのですが、次官どういう気持を持つておるか。これは企画課長には二カ月前にお願いしておいたんですが、どういうお考えを持つておりますか。
  255. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 私昨日初めてあなたの御意見を聞きましたので、まだしつかりした肚はきめておりませんが、一つ研究さして頂きたいと思います。まだ資料を出しておりませんで非常に相済みませんが、急いで出しますから御了承を願います。
  256. 田中一

    田中一君 ただ企画課長に甚だ済まんですが、資料はないんじやないんですか、これはないですよ。殊に公共土木費などは十五万以上のものだけ調べただけです。今度法律を改正しまして十万円になつたんです。その程度のものを調べて民間の人たちの罹災した額というものは推定できない、従つてその大体の罹災地、主として罹災者に十ヵ年くらいでいいと思うんですが、十ヵ年ぐらい……罹災地域、罹災戸数、そういうものから一応の算定をして、まあ私の考え方では大体二十万円程度のものを最高の契約金としてそれによつて全国的にその災害保険に加入する者は掛金をかける。たまたま西日本のようにどかつとああいうものが来て、一万八千五百六十一戸というものが罹災した。その場合には足りない場合がある、掛金が。これは損害保険ですから二年から三年、五年十年とかかればかかるほど楽になつて来るのです。支払能力ができて来るのです。これは民間保険会社は貸すまいと思う。併しながら最後の裏付けがでていきれば、どかつと来た場合五億なり十億なり国がみるということになれば、国がそういう予算措置をとらなくても自力で起ち上れるということになると思うのです。これを早急にやつて欲しいと思うのです。損害保険協会を調べますと、地震に対する一応の研究はしているそうですが、風水害に対するものに対しては手が著かないそうですから、これは私希望しますが、是非ともその点だけは私起ち上り資金を与えるという意味で真剣に取組んで考究して頂きたい、こう考えておりますが、今次官の御答弁が、先ず二十九年度の、次の国会に法律化されて出ることを約束してくれますか。
  257. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) それはどうも……。
  258. 近藤信一

    ○近藤信一君 先ほどのあれで、二十八年度の貸付が五万一千五百戸、こう出ておりますが、この前ラジオで聞いておりますと、第二次でしたか、この前の受付は、第二次の受付に対して水害関係で資材の値上りによつて相当数が権利を放棄した、こういうことがラジオでも放送されたのですが、その点一体……ここに数字は五万一千五百戸とあるが、放棄した数字、そういうようなものに対して調査ができておるかどうか、一応お尋ねしたい。
  259. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 只今五万一千五百戸とおつしやつた数字は、恐らく産業労働者住宅関係が六千五百戸と住宅金融公庫の関係四万五千戸、合せた数字だと考えられるわけですが、特に今御指摘になつた設計審査の提出状況が悪くて、或いは中途で権利を放棄するというような場合もあるというような、その問題の対象になつておりますのはその四万五千戸分の中でございます。そこでその中の詳細な正確な資料としては申上げる資料がございませんが、大ざつぱに申しますと、四万五千戸の中に、すでに数回落選いたしまして、優先分等もございまして、只今一番いろいろ問題になつておりますのは、六月に申込を受付けました、六月及び暫定予算後に申込を受付けました本年度の最終回の分でございます。この人たちは宅地の値上りとか或いは風水害による値上り等のために若干設計審査の提出状況が従来よりも遅れていたわけでございます。九月初めの調べによりますと当選者が三万九千八百十五件でございますが、そのうちに申請をいたした者が三九%という状況であつたわけでございます。そこで更に公庫におきましては設計審査の提出の時期を少しずらしまして、これは各地域によつていろいろ締切期日が違いますが、今のところまだ締切をしないところもございますが、東京などは九月十九日に締切つておりますが、そういうふうな対策をいたしましたところ、東京におきましては、これは先ほども申上げましたけれども大体七〇%程度以上が申込設計審査の申請書を提出いたしております。恐らく全国的に見まして七〇%から八〇%の申込設計審査の提出があると私ども考えておるわけでございます。併しこれによりましても若干予定よりも少くなると思いますので、只今のところはこの十月に落選者で土地を持つておる者に対しましてはできるだけ早く契約をいたしたいというようなことを考えまして、只今その準備をいたしておるわけでございます。
  260. 近藤信一

    ○近藤信一君 今のお話説明で聞けば、約七〇%が現在済んでおる状況のようですね。併し七〇%、それは全体的に見ましてもまだそのあと三〇%というものは権利を放棄するというこういう形になつて出て来るわけですが、それは先ほどの土地の値上りと同じようなことで、住宅資材の値上り、これは非常な値上りになつておりまして、現在公庫では坪二万八千円貸付けているが、それが現在一坪四万五千円くらいどうしてもかかるのですね、そういう点から行くと、これはもう非常に……今度今年もう一度申込があるわけですけれども、落選者も、坪二万八千円の費用ではできないという見通しが立てばもう借りる人もないと思うが、それに対して今三〇%残つておるが、今度十月の貸付に対して坪の貸付額を上げるという意思があるか、どうか。
  261. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 建築費の値上りの問題につきましては先ほど申上げましたように、只今公庫におきまして詳細な資料を各地方から集めておるわけでございます。ただ先ほど申上げましたように公庫の今までの資料によりますと、災害直後から非常に上つたところもございますし、更に時期を見て若干値下りをやつたという傾向も生じておるところもあるわけでございますし、又値上りの状況も地域によつても若干違つておるわけでございます。そこで公庫におきましては最近の資料を集めて、その資料に基いて検討を加え、できるだけ現状に即応するような措置をいたしたいというふうに只今いろいろ資料を検討いたしておるわけでございます。
  262. 近藤信一

    ○近藤信一君 もう一つ、産業労働者住宅資金融通法についてこの業務方法書の第七条に、当該事業者を管轄する都道府県労働基準局の意見を参酌云々と書いてあるが、実際この手続は非常にむずかしい、借りるほうでそういう意見が出ておる。というのは例えばこれを申込むと、その事業所に対して全体の従業員の住宅状況を調査せよと、そしてその調査報告書を出さなければならない。百人か二百人おるところならばこれは簡単にできますけれども、三千人も五千人も居るところに全体の労働者の住宅状況を調査せよというようなことを基準局は言つておるが、そのために非常に、それの調査だけに数人がかかつて相当に日数がかかると、これではこういう法律ができても手続がむずかしくて困る、もつと簡素化する方法はないか、こういうことが言われておつたのですが、これは一体そういう調査が必要かどうか伺いたい。
  263. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 産業労働者住宅資金融通法に基きますこの受付に関する手続が非常に煩瑣であつて困るという御指摘でございますが、公庫におきましてもこれが初年度の第一回の仕事でございましたし、いろいろな点において不慣れな点もあつたと思いますし、又申込をされたほうにもいろいろとまだ慣れない点もあつたと存じております。そこで公庫におきましてはいろいろ今までの手続につきまして、その内容等につきましてもいろいろ検討をいたしておりまして、重複している面とか、或いは内容を簡単にできる面とかにつきましては、できるだけこれを簡素化したいという、今いろいろ検討いたしておりますが、今御承知のようにこの融通法におきましては、住宅不足が非常に甚だしい場合において、建設資金の全額を調達できないところに資金を貸すというふうな規定もございますし、又初年度の貸付資金が非常に限られた僅かなものでございますので、できるだけ最もいろいろな観点から見て貸付けたらいいというところに対して貸付いたしますためには、どうも住宅不足の状況とか或いは資金その他の点において必要な点についてはできるだけその実情を把握するための書類を出してもらわなければならないかと考えております。又長期に亘ります不動産金融というような点もございますので、こういう点においても止むを得ない手続も若干これは残るかと思います。併し全体として見まして、私どももこの初年度にやりましたこのやり方が必ずしもいいとは考えておりませんので、最初申しましたように、手続全般につきましては十分公庫のほうとも連絡いたしまして簡素化いたしたいというふうに考えております。
  264. 近藤信一

    ○近藤信一君 それからこの産業住宅のほうに対しては地方的にこれは枠があるのか、それとも全国的に申込の件数によつてなされるのか、これを見ますと、これだけの県しか産業住宅のほうは申込がなかつたのかどうか、その点……。
  265. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) この申込の名前は、これは県名ではございませんので、各住宅金融公庫の支所の名前でございますので、恐らく全都道府県から申請が参つておると考えられるわけでございます。併しこれは只今各都道府県とか基準局の意見をいろいろ状況を審査いたしておりますし、その最終結果によつて公庫もいろいろきめるわけでございますが、各府県別の地域的な割当というようなことは考えてはおりません。
  266. 近藤信一

    ○近藤信一君 折角こういういい法律ができたのだからこれを簡素に、簡単に借りられるような方法で、そうしてやはり政府の三カ年計画を強力に遂行できるように、更に地代の値上りの点について早急に調査して、六月の貸付に遡及して一坪当りの貸付額を上げるような方法考えて頂きたい、これを私は希望いたします。
  267. 田中一

    田中一君 産業住宅並びに住宅金融公庫を通じてやるとあと二時間ぐらいかかるからやめますが、個人的に一遍伺つてお話し申上げます。今近藤君が言うようにしようがないです、一言にして言えば。もう抜本的な考え方をしなければこれは駄目です。殊に家のほしい人が家が持てないということになる。これは今では常識ですよ。これは一つ次官もお考えになつて、今の場合は止むを得ませんから、次の国会までに何とか対策を立てるという決意を一つ持たなければこれは到底無用の長物です。これは一つ考え願いたいと思います。
  268. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは次回の委員会は十月の十二日、十三日にいたしたいと存じますので御出席を願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会