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平林太一君 これは今
専門員から朗読された
決算審査に関する小
委員会報告(案)、この
内容については数点、この
決算委員会のいわゆる
決算審査の
使命上、甚だ
趣旨に相違背するようなものがあるので、これを二、三
指摘しまして、私の
意見を申上げておきます。
第一は、
始末書であります。
国税庁長官の
大蔵大臣宛ての
始末書、
昭和二十七年三月二十六日附を以て提出した書類であります。これを一読いたしますと、「今般
国税庁管下の四
国税局、四十一
税務署における
架空支出等については、その大
部分を
占むる食糧費への
流用に充てたものであるが、その当時における
税務の
実情より察するに、
税務行政の
執行上止むを得ざるに出でたろ
支出なることにも拘わらず、
本庁として
正規の
予算措置を講ぜざりしことに起因するものであると認められる。
税務行政の
実情より、当時斯くの如き
事態を生起すべきを想像しながら、
小官として之に対して充分なる
対策を講じ得ざりしことは、全く
小官の不徳且つ
無能の致すところ……。その
責任は全く
小官にあるのであ
つて、
管下各
職員の
責任を追及することは、その当を得ざるものと
考え……。」これは
国税庁長官の
始末書として何らこれは
反省をいたしていない。この
内容を見ますと、
却つてこういうことを肯定しておる、
国税庁長官が。そして、
小官がその
責任を負うのだと、
国税庁長官がその任を負
つてどうするのだ。一体それほど
国税庁長官の存在というものを過大評価しておるところに、こういう
事件を発生することを
考えなくちやならん。でありますから、こういうことは、
管下でしたことは当然のことなんだ、事情止むを得ないことなんだ、併し
手続上その他の、そういう
手続上のような問題で、
一つ手違いとしてこれは起つたのだ、その
手違いは
所管である
国税庁長官の
責任である、こういうふうに解釈上されるわけであ
つて、事実そういう性格を帯びておる。今日の国の
公務員の
最高の指導すべき地位にある者がこういう
考えを持
つておるから、いわゆるこういうような
事件が絶えないわけだ。何らこれは
反省をいたしておりません。でありますから、この点に対しましては、
決算委員会といたしましては、
国税庁長官を改めて招致いたしまして、これを出したときの
国税庁長官はこれはよろしいが、
従つてこれは現在の
国税庁長官、又今後もありますから、これを呼びまして、この真意を厳重に質して、そうしてこういうようなことにするところの根本的な
措置を
考えて、ここで
反省させなくては、これは
決算委員会の
使命が何らその意義をなさないということを第一に申上げておきます。それでありますから、
委員長、これに対しまして正式に取扱いますまでに、一度これを出した、いわゆる何と言いますか、当時の
始末書を出した、
昭和二十七年三月二十六日現在の
国税庁長官がどこに行
つていますか、それを呼びまして、現在の
国税庁長官、これも呼びまして、十分一つこれはこういうものを出した本人の気持を質す必要があります。
それから最終の
報告書の末尾に、「以上の諸
案件を通観するに、
終戦後における
一般社会情勢の
混乱につれて、
公務員の
綱紀の
弛緩、
遵法精神の薄弱、
会計法規の
軽視等の諸
原因が重な
つて、みずから
経理の
紊乱を生ずるに至つたものと思われる。
従つて各省等においては、
講習会の開設その他の手段によ
つて、
経理事務担当者に
会計法規の徹底並びに
一般教養の向上に努め、他方には
各省等における
内部監察制度の整備によ
つて非違事件を未発に防止すべきであり、一たび
違反者を生じたる後においては、一罰百戒、信賞必罰の
精神によ
つて行政処分を厳重且つ適切ならしむべきである。非常に私これはいいと思います。併しこれはこれでよいのであ
つて、その次において、「併しながら一面、現在
公務員の
待遇は幾分か
改善の道に
向つたとは言いながら、なお未だ往時の水準に達せざること遠き憾があるから、速かにその
待遇を
改善し、安んじてその職務に専心せしめ得るよう、最善の
考慮を払うべきである。衣食足りて礼節を知り、倉廩満ちて栄辱を知る。吏道の
刷新は
精神的であると共に、物質的であることをも必要とする。
架空経理事案の多くが、
食糧費、
接待費等を中心とすることは、今日の世相を如実に反映するものである。」とにかく
決算委員会としては、こういうことに対しては別に他の
方法によ
つてこれはこういう表現なり或いはこういう
処置が講ぜられるべきじやないか、折角
決算委員が
決算審査の目的をここに具体的ならしめ、最後にこういうことを言つたのであれば、
決算委員会自体が又これを何といいますか、いろいろ緩和するような、非常に
決算審査の根本義というものをみずから自繩自縛の結果に陥れるようなことを非常にに慣れるのであります、私といたしましては。なぜかと申しますれば、こういうことは、又別にそういうそれぞれ
公務員の
待遇向上その他のことは別に、これはいたしますかり、
決算委員会としてはどこまでも
決算審査の
使命を、甚だあれではあるが、個人的には忍び難いものがあるが、冷厳、厳重にこれをいたすことによ
つてこれを進めることが極めて私は妥当と思います。いわゆる国家
公務員の問題については、食料費、
接待費等を中心とするからこれはいけない。実は今日国の
公務員そのものが、
地方の
実情等をみても、
地方の料亭、或いは食糧接待をいたすような機関を最も利用しているのは
公務員である。
地方の住民というものは、一年かか
つても足を運ぶことのできないような場所へいわゆる
公務員であることによ
つてこれがしばしばそういう所に足繁く行く。
地方によりますると、殆んど
地方の県庁でありますとか、或いは国の
関係で言いますと
税務署でありますとか、とにかくそういう機関というようなものの
職員が最大の得意先にな
つているという
実情である。
従つてこれは私から言いますれば、昔の諺ではありませんが、「汝の俸、汝の祿、民の膏にして民の脂なり、下民は虐げられ易く上天は欺きがたし」という、民を虐げているのは今日依然として国家
最高の地位にあるところの国家
公務員というものがいわゆる大衆を虐げている。そうして自分の俸給、自分の祿というものはみなこれは民の膏血の結晶であるということ全然
考えない。そういう点は、
決算の私は
審査の上において十分にそういうことを中心に置いてこれは処理いたすべきであると思う。それであるから、この点はむしろ私自身といたしましては、今申上げました
通り、最後の項は必要はないということを申上げます。
それから一番終いに、「なお、
予算の
配賦を始め、
予算制度の運用に最大の
注意を払い、機宜の
処置を敏活に行い、ということでありますが、機宜の
処置を敏活に行うということは、
考え方によ
つてはやはり不正不当な
架空経費を何かその機宜よろしきを得て合法的にやるというような錯覚を起し得るようなことがあり得ないとも限らない。この点ももう少し字句のあれをいたされるようにいたして、これに対するこのまとめをなされたいと私は第一に
考えておりますが、ただ
国税庁長官がかような
審査の爼上に上るということは容易ならないことである。いわゆる行政庁の性格として、
国税庁のそれが而も先刻言つたように
国税庁長官が我々に
始末書の
内容を示したということは言語道断である。これは厳重に、これは本人を招致してこの場所においてこれに対するところの根本的の問題として、懲戒或いは厳重なるいわゆるこれに対するところの
処置を、この場所でこれはよろしいのでありますので、司法上のことは別でありますが、こういうことに対してはよろしいのでありますので、今の
報告に対してそれだけのことを申上げておきます。
それから取りあえずの
処置としては、
国税庁長官を次回に招致して、これに対する本人の真意を十分に聴取して、それに対して又こちらから適当の
処置を出すということをいたしたいと思います。ですからその二点を要求いたしておきます。