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専門員(
森荘三郎君) 六十号は、
北海道の
財務局が
飛行機救難艇を売
払つたのでありまするが、
検査院の
指摘によりますると、その
競争入札の
場所及び
公告の
方法が悪か
つたということを第一に
指摘されております。その訳は、船が軍の命令によりまして、
高野建設会社に海の中へ沈んだ
飛行機を
引揚げるために
使用させてお
つたのでありまするが、もはや軍のほうでは必要なくな
つたというので、それで返されて、もう要らなくな
つたものですから、これを
売払うために
横須賀地方に繋留してあ
つたわけであります。そこで
検査院の見解では、船が
横須賀方面にあるならば、これを
東京なり
横浜なりの
財務局のほうへ移管をして、そこで
競争入札に付したならばもつと適当な
入札ができたであろう。それから又
公告をするにしても、
北海道のただ各
財務部掲示板に掲示をしたというような
程度のもので、甚だ世間へ知らせる
方法が十分にとられていない。だからして結局は
入札の際にもた
つた一人だけしか
入札に出て来なか
つたというような結果にな
つているという点が先ず第一の問題。続いて値段の
関係で落札者がなか
つたものでありまするから、そのただ一人の
入札者であ
つたものと随意契約を結ぶことにな
つたのでありまするが、
最初の
競争入札の際の予定
価格六百万円、それをばそのまま約半年も過ぎたあとでそのままの
価格で
売払つてしま
つた。併し当時は朝鮮事変が勃発したがために、船の値いは、二、三割方騰貴してお
つたというような
事情があるので、こんな場合には改めて予定
価格を面してそうして、もう一遍
競争入札にするのが適当ではないかというような
意味の
指摘であります。なお、それに付加えてこの六百万円という
価格が如何にも安過ぎたということの
一つの証拠とでも申しましようか、買受人はこの船に二十五年十月に千五百万円の根抵当を設定しておるという事実があり、而も二十六年の三月には千四百万円の弁済のためにこの船を充てておるというような事実があるから、如何にも安く売
払つたのだという御
指摘であります。
当局の答弁を見ますると、これは
北海道財務局の所管の船であ
つたから、
北海道財務局がこれを売
つてしまうということにな
つたのであるということで、
ちよつと
検査院の見解と少し異るわけでありますが、恐らくこれは各
財務局におきましては、やはり毎年
国有財産の不用なものを
売払う
責任額とでも言うべきようなものを定められてもおり、成るべくならば
自分のところのものは
自分のところで売
つて、
自分のところの成績を挙げたいというようなことがおのずからあるのではないかと思われる節もなきにしもあらずと思われます。それからなお
最初の
入札の当時は海運界が非常に沈滞しておる時であ
つて、買受け希望者がほかに全然現われて来なか
つたような
事情であるということが
説明されております。それから、それでは半年ばかりあとにな
つてこれを
売払うのについて、なおその
売払価格を変更しなか
つたということについては、
政府から出ておりまする
説明書の中に詳細な
事情が書いてありまするが、その買受人のほうで資金の
準備ができなか
つたので、交渉を打切ろうとしたことも数回あ
つたが、本人は
昭和二十一年の四月同じ型の船を熊本
財務局から一時
使用の
許可を受けて運送業を営んだのでありまするが、同年九月に進駐軍に接収されることになり、それがために本人の事業は挫折してしま
つたというような気の毒な
事情もあるので、この点を斟酌をして資金の
準備に若干の猶予を与えて八月にな
つて随意契約をしたのだ。そういう
事情のあることと、それからもう
一つは朝鮮事変などによ
つて船の値いは高くはな
つておるけれども、併しこの船は
飛行機救難艇という一種特別な船でありまして、普通の運送業などに使
つては甚だ能率の悪い船であり、又タンカー改造するという途もありまするが、その改造の
許可が極度に制限されていたような時でもあ
つたし、ほかに買受け希望者もなか
つたようなわけで、そのような
事情いろいろと重なり重な
つて、当初の見積
価格のままで
売払つてしま
つたという
説明が出ております。
それから最後に、
検査院のほうから根抵当がこの
通り設定されておるじやないか、その値いの千五百万円と
売払つた値いの六百万円ではえらい開きがあると言
つておられまするが、これはこういうふうに比較されては
事情が当
つていない。それはこの船を買受けましてからあとに随分多額な金をかけまして、この船を改造をしております。なお又買入れたりするために金を銀行などから借入れたりなんかもしておりまするし、それの利息ということも見なければならない。とにかく大改造を加えたあとの船の値いが根抵当の値いとして現われて来ておるのであ
つて、
売払つたときの値いとそれを比較されることは必ずしも適当でないように思うという、こういう
説明にな
つております。
それから次の六十一号は、立木を
売却したのが適当に行われていないという点でありまするが、これは先ず
政府からの
説明書のほうに書いてありまするように、この村が自作農創設に伴い、開拓適地として農林省に或る一定の
土地を所管換したのであるが、所管換ののちにおいて入植者の専断で地上の立木を濫伐し、ために問題も引き起すようなことにもな
つてお
つたので、青森県としばしば折衝を重ねた上で開拓部落民の代表者に対して開拓者用の薪炭林として評価し、
用途を指定の上で売
払つたのだという、こういうようないきさつが一番
最初にあるわけなのであります。それで
政府のほうでは薪炭林としての買受けの申込に対して、薪炭林としてこれを評価して
売却した。それは立木を一万石あるものを七十万円で払下げた。ところがこの中には薪炭林ばかりでなくて、松の木なんかの用材になるものが三千石ある、それを売主たる
政府のほうで薪炭林の中へ突つ込んでしま
つておるのが
価格の評価の上で適当でない、現に買受人はその一万石全部を百九十万円でよそへ転売しておる、こういうふうに
検査院から
指摘されておるのであります。これに対して
当局の
答えは、開拓部落民の代表者に開拓用の薪炭林として
用途指定で売
払つたのである、その
売払つた当時の
価格は正当なものであると思う、ところが別に高畑某という者がありまして、この者が部落民を欺いてこれをほかに転売してしま
つたと、そういうようなことがあとから起
つて来たのであ
つて、起
つたこと自体は甚だ遺憾でありまするが、
売払いそのものには別段の不都合はないように思うというような
意味の答弁と解釈いたします。そこでここに書いてありますることだけでは
事情がよくわかりませんので、
検査院のほうにもう一度初めから終いまでのことを詳細に話をしてもらいたいということを頼んでみましたらば、ここに書いておきましたような工合に、こういうふうに順序を覆んで甲から乙、乙から丙と、こんなようにな
つたのであるということが、その初めから終いまでの話がわかりましたので、御
参考にここに記しておきましたのでございます。
それから六十二号と六十三号は同種類のことでありまするが、
国有財産、殊に旧軍用
財産などを学校などに
売払いまするような場合には、初めは二割引で売
つてもよいのであ
つた。後に又四割引で売
つてもよいということに法律が定められたのであります。ところがここで問題にな
つておりまする
東京医科大学に払下げるに当りまして、調査不十分のためにもうすでに学校のほうでは建てるだけの
建物をすでに建ててしま
つておる、そのあとで払下げをした、
従つてその払下げられた鉄材、
飛行機格納庫か何かのようでありますが、その鉄材をほかのところへ高価に転売されておる、こういうような事実があ
つたのであります。それで
政府では直ちに契約を解除して、損害賠償を要求しておるということであります。
その次の六十三号、劔心学園というのでありまするが、これは解体によ
つて得た鉄材若干を解体業者に
保管をさせたままにな
つておるので、業者は勝手にこれを流用しておる、そうしてその解体された鉄材がどこにあるか、数量がどのくらいか、それもよくわからないというように
検査院から
指摘されておりまするが、
当局のほうでは、
事情があり、遅れてはおるけれども、買受人のほうを調べてみると敷地も確定しておる、資材も集めてある、校舎の建設の意思もあると認められるので、それで建設の期限を指定して目下監督中である、こういうような答弁にな
つておるのであります。