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1953-07-17 第16回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十七日(金曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員杉原荒太君辞任につき、その 補欠として平林太一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     東   隆君    理事            長谷山行毅君            松平 勇雄君            島村 軍次君            菊田 七平君            平林 太一君    委員            入交 太藏君            植竹 春彦君            宮田 重文君            奥 むめお君            豊田 雅孝君            岡  三郎君            永岡 光治君            小林 亦治君            山田 節男君            八木 幸吉君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君   説明員    大蔵省管財局国   有財産第二課長  牧野 誠一君    会計検査院検査    第一局長    池田 修蔵君   —————————————   本日の会議に付した事件理事補欠選任の件 ○昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 東隆

    委員長東隆君) これより第十三回決算委員会を開会いたします。  最初に皆様にお諮りをいたしますが、本委員会理事でありました平林太一君が六月二十九日委員を辞任せられていましたため、理事一名欠員となつていましたが、本日同君が本委員に復帰せられましたので、再び同君理事に選定いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 東隆

    委員長東隆君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  4. 東隆

    委員長東隆君) 次に、先日の委員会における虎の門公園関係する件について会計検査院池田第一局長より発言を求められておりますので、発言を許します。
  5. 池田修蔵

    説明員池田修蔵君) 先般来御審議を頂きました二十五年度の検査報告の虎の門公園につきまして、会計検査院が二十六年三月六日に関東財務局に対して照会を発しております。その文句の中にこういうことがございます。この虎の門公園土地公園用地以外の目的使用されているから、その用途を廃止して大蔵省へ引継ぎ、別途貸付又は売払処置を講ずべきものと認められるというふうな文句が一応入つておりますので、その点につきまして、検査院売払又は貸付処置を講ずべきものという意見相手官庁のほうへ言つているのじやないかというふうな御議論、そういうふうに御解釈になるのはこれはもう御尤もな次第と思うのであります。併しながらこれにつきましては、この照会文書を全部をお読み下さいますと、必ずしもそうばかりも言えない気持であつたということもおわかり願えると思うのでありますが、そこでその照会文書にそういうふうな文章を書きましたのは、実は虎の門公園が二十年の九月に連合軍に接収されまして、二十三年十二月に至りまして、ニュー・エンパイヤ・モーター株式会社建物用地として使用させるならば、接収を解除してやるというふうな事情もございまして、ニュー・エンパイヤ・モーターの敷地として貸したわけでございますが、その使用状況を見まするというと、当初の許可条件とは大分様相が違つておりまして、外面から見たところ如何にも堅固な鉄骨造り建物が建設されている。而も実際の使用面積公園として貸付けた六百五十坪よりも広い。殆んど全地域に亙つて実際は使用している。如何にも公園らしくない状態じやないかというふうなことを考えまして、これは東京都として公園管理の限界を超えているのじやないかというふうに認めましたので、使用条件は四年ということになつておりますが、一体どういう経緯でああいう公園らしくない状態になつたのだろうか。或いは建設省のほうでは、或いは東京都のほうでは、もう公園を廃止する意図でもあるのかどうか、そこがはつきりわかりません。実はその当時は、そういう形式上の使用許可は四年になつておるけれども、実際の肚は公園を廃止するようなこともあるのかどうか、どうも表面の条件と実際の姿が合いませんので、そこでどういうつもりであろうか、若しそういうつもりでもあるならば、これは当然建設省から大蔵省に引継いで、大蔵省一般普通財産として国有財産法に基きまして引継ぎを受けまして、そうして普通財産となつた上で、貸付なり売払いなりするのが普通の処置でございますから、そういうふうにすべきじやないか。そこでいきさつを先ず聞いたのでございます。それに対する回答が参りまして、これによつて初めて、いや、都や建設省では決して公園を廃止する気持ちはない、まだ存置するつもりでおるということがはつきりわかつたのであります。そこで成るほどそれはもう公園として存置されるならば、それは都市計画としてそういうふうな処置をされることは誠に結構なことである。それについて検査院は何も行政上の措置を干渉することはいたしませんが、併し如何にも今の状態から見ますというと、国は東京都が公園として使用せられるからということで無燈貸与している国有財産管理としては誠に当を得ないものではないかという意味で、この検査報告になりましたときには、公園としての用途使用されていないのに、そのまま放置しておるのは処置当を得ない。ただそれだけを検査報告として、最後に検査院からの最終の意思としてはそういうふうに書いてあるのでございます。  それからもう一つ検査院から植本中川事務官が本件に対する収賄事件を起しましたのは、誠に検査院として国民の前に遺憾に存ずる次第でありますし、我々としても上司としまして、部下職員の監督になお不行届の点があつたという点を十分反省する次第でございますが、この照会文と、あの収賄事件植本中川との関係は全然ないということを申上げておきたいと思うのでございます。といいますのは、あの照会を出しましたのは二十六年の三月六日でございまして、それを起案いたしましたものは、この植本中川は全然関係がございませんで、市川という当時の係長、今は副長でございますが、この人がみずから起案し、自分で筆もとつております。それで照会したのでございまして、植本中川は全然この照会のあるときまでは関係しておりません。従つてそういうふうな会社側の請託でも容れて売払又は貸付をすべきではないかという文句使つたのではないかというような御疑問がありますれば、その点は全然関係がないということを申上げておきたいと思います。
  6. 東隆

    委員長東隆君) 只今池田第一局長発言に対して御質疑もあろうかと思いますが、これは一つ他日に譲りまして次の議案に入りにたいと思いますが、よろしうございますか。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  7. 東隆

    委員長東隆君) 速記を始めて下さい。  それでは只今池田第一局長発言に対する質疑は他日に譲りまして、次に昭和二十六年度決算三案を問題に供します。本日は大蔵省管財局関係で五十六号から先ず五十九号まで問題に供します。最初専門員のほうから説明をいたしてもらいます。
  8. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 五十六号は国有財産管理が当を得ていないという問題であります。これは少しむずかしい問題かと考えられます。大正元年に、海岸地でありまするので国有財産であつて、それを宮城県が管理をしているわけでありまするが、その国有財産管理者という関係で、宮城県が渡波町に砂防用地としてその海岸地四町余りを売却したのであります。ところがその売却した土地と海との間の隣接地、その海浜をば町の当局大正元年買取つたときに、そこも含めて買取つたのだと主張しまして、又売主の県自身もそれを承認いたしまして、昭和二十六年二月に誤謬訂正登記をしてしまつたのであります。そうして同年四月以降に、その一部分を丁度宅地等にするのに適当な場所でありますので、だんだんと売却してしまつたと、こういう事件が起つておるのであります。そこで検査院のほうからは、二十四年の三月に、この町から税務署土地面積誤謬訂正が申請された。それは最初売つた土地は四町でありまするけれども、隣接地というのが五町歩ほどありまするので、合計すれば九町歩になる。四町歩は九町歩の誤りだというふうに誤謬訂正が申請されたのでありまするが、その登記事務を扱つておりました税務署のほうでは、どうも少しおかしいというので、東北財務局のほうへ連絡をしたのであります。ところが検査院指摘では、財務局では事情を検討の上、適宜の処置を講ずべきであつたのに、これをせずにおつたのは、その処置当を得ないという意味批難が出ておるのであります。これに対して当局のほうからのお答えは、財務局誤謬訂正の申請がこの町から出ておりまするがそれは却下してもらいたいということを税務署回答しておいた。ところが二十五年の八月に、土地台帳に関する部分が税務署から法務局のほうに移されたのでありまするが、その後、ここには書いておきませんでしたが、後になつて当局から資料を頂きましたその資料によりますると、法務局に移管されてからあとにも、やはり財務局から法務局に宛てて却下をしてもらいたいということを申入れておられるのであります。ところが、それにもかかわらず、二十六年の二月には訂正登記がされてしまつたのであります。それから一方財務局宮城県に向かつて、この土地はもうすでに住宅等が建つておるような土地でありまするから、普通財産として財務局のほうへ引継ぐことを要求して来たのでありまするが、それは再三要求されたようでありまするし、又県に対してのみならず、その町のほうへもそのことを言つておられるのであります。こんな工合にしてまあ今日まで経過して来たわけでありまするが、財務局では県及び町に前記訂正の再訂正を要求中である。なおこの事件財務局の側から申せば、検査院によつて不都合が初めて発見されたというのじやなく、財務局のほうから進んで検査院報告をしたというような次第でありまするので、決して適宜の処置をとることを怠つていたわけではないという意味報告、答弁になつておるのであります。いろいろな通牒、若しくはこれに対する回答書面を見ますると、県のほうでも町のほうでも、この土地はもはやこの町のものである、国有財産じやないから、財務局のほうへ引継ぐことはないのだというふうの回答をされておりまするが、なおちよつと御参考までに申上げますると、財務局のほうでは職員をその土地へ派遣しまして、実地の状態を調べ、又土地の人々について事情を聞いておられまするが、それによりますると、これを売つたときはもう今から四十年ほども前でありまするが、その当時には売つた土地がすぐさま海に続いておつたのであつて、その中間海岸地というものがあつたわけじやないということが、まあはつきりしているようであります。ところが県なり町のほうからの書面によりますると、自分のほうで調べたところでは、もうすでによほど古い時代からあの辺はもう陸地になつてつたので、最近になつて陸地になつた所ではない。だから大正元年にこれを売払つたときに、土地台帳には四町歩と書いてあるかも知れないが、実際はいわゆる繩伸びとでも申しますか、九町歩のものがすでに実在しておつたので、それを売払つたのだといつたようなふうの書面の往復がある模様であります。  それからお手許に差上げておきましたこのガリ版刷りの中に、二十年以上も管理をしておつたのだから、町は時効によつて所有権を取得したのだというふうのことが書いてありまするが、この二十年と書きましたのは私の書き誤まりで、四十年というのが正しいのでございます。ちよつと書き誤まりましたことをお詫びしておきます。  それから次の五十七号でありまするが、これはもう比較的事柄は単純のようでありまするので、特に御説明申上げることもありませんが、財務局相手方使用させておいたものの使用料などが、これを決定することが遅れているという批難でありまするが、当局のほうの答えは、その中間にこれが賠償物件に指定されたので、手をつけることができなかつたというような事情があることを御了承を願いたい、というようなことが記されておるのであります。  その次の五十八号は、会社政府から借りて使用をいたしておりまするその物品の一部が、外部の者のために盗まれた模様でありまして、亡失しておる。それに対する求償請求が遅れているということでありまして、これについても別段御説明申上げることはございません。  それから次の五十九号でありまするが、これは政府のほうから、サルベージ会社鉄屑などを引揚げさせまして、而もその引揚げるときには、いずれこれはその会社売却をするという条件付で引揚させたのでありましたが、売渡手続が済んでしまえばもう問題はありませんが、その手続が済まないうちに、サルベージ会社がよそへ売却をしてしまつた。そのことを検査院で発見して注意を与えたにもかかわらず、まだ売渡手続が二十七年の十月頃にもとられていないという、こういう批難なのでありますが、これに対する当局答えは、このサルベージ会社はその鉄屑の中の一部分住友金属工業株式会社の倉庫に保管をしておいてもらつたのだ、保管をするのに適当な場所がないのでそこに保管を頼んでおいたものであるというわけでありまして、今ここへも住友のほうからの預り証としまして、鋼屑四十五トン右御預りいたしますという預り証証拠物件に出しておられるのであります。なお、その後のことを申しますれば、全数量をこのサルベージ会社売却をしてしまつたということであります。そこで検査院のお言葉と、当局のお言葉とが少し食い違いますところに問題が残るのでありまするが、検査院のほうでは住友金属工業株式会社の本社のほうを調べてみると、これはもう買入れたものだということが受入票によつてわかると言われるのであります。なお調べに行つたところが、住友側では買つたものだと言つているし、深田サルベージ会社のほうは政府代金を払つてくれないから、遅くなつて困るから売つてしまつたのだと言つたということを、出張した事務官が聞き取つて来ておるというようなことが説明されておるのでございます。
  9. 東隆

    委員長東隆君) 会計検査院のほうから説明を求めます。
  10. 池田修蔵

    説明員池田修蔵君) 只今森専門員の御説明によりまして、事態の内容はよくおわかりになると存ずる次第でございますが、只今のこの五十九号につきまして、検査院側主張当局のほうの主張が異つておるという点でございます。この点は実は会社のほうの呉の支店と、それから実際に物を置いてありました住友和歌山工場両方につきまして意見を問い質したのでございますが、この呉の支店長はつきりそう言つておりますし、置場所がないから住友へ売りました。それから引揚料のほうはまだ財務局のほうからもらつておらんからして、所有権はもう会社のほうに移つたものと思つて売りましたといふうなことを言つております。それは現実にその行つた担当官が言つております。それから実際に物の置いてありました住友和歌山工場のほうでも、深田さんからこれは買つたものであるという購買調書がございまして、その購買調書に伝票の番号なんかもはつきりしておりまして、これは買つたものである、代金支払済でありますということを言つておりますが、ただその調書が署名も何もない、ただ会社の用紙に書いたものでありまして、それを資材課長か誰かがはんこでも押して、相違ないということを証明してくれた書類をもらつてくればよかつたのですが、行つた人が若い人で、そこまでに入念に手続をやりませんでしたので、それを証明する書類を出せとおつしやられますと、実はそれまでの行届いた証拠物件は握つておりませんが、確かに向うの責任者がそう言つたという点は私どもは間違いないと信じておる次第でございます。私のほうはこの程度で……。
  11. 東隆

    委員長東隆君) 大蔵省のほうから牧野国有財産第二課長
  12. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 私のほうからちよつと申上げます。  只今説明のありました五十六議案でございますが、五十六につきましては、これは我々のほうといたしましては非常に問題がむずかしい問題でございますので、訴訟でもやるより仕方がないのじやないかというふうに考えているので、そういう方向で準備を進めたいということにいたしております。  それから第五十七号の議案については、これはいろいろ事情はございますけれども、非常に処置が遅れまして、その間にインフレーシヨンはかなり進みまして、財政法の大原則である適正な価格で処分しなければならないということからいたしますと、今価格というものは相当高い値段になるということで、会社側がなかなか当方の主張に応じないというような点で延びましたことは、誠に申訳ないと思つております。それで我々のほうも今関東財務局と近く成案を得まして、解決を急ぎたいということにいたしております。  第五十八号については、これは誠に申訳ない結果であつたというふうに思つております。これは相手方が何分資本が非常に困りました会社で、もう殆んど潰れたものと同然の状態になつておりますので、求償についてはいろいろ手を打つておりますけれども、なかなかむずかしい問題が多いような状態に相成つておりますので、二十八年の二月の九日に調定はいたしましたが、まだ金が入るというところまでなかなか行つておりません。  それから第五十九号につきましては、どうも検査院のほうと話が若干ズレがございまして、私のほうとしましては、この説明書通りだというふうに信じております。この件につきましては、二十八年の二月四日に、ここに検査院報告に書いてあります金額と少し違いまして、二百五十一万円、これは時期のズレがありまして、金額が上つております。二百五十一万円で深田サルベージ会社と契約が成立をいたしました。三月の十二日に代金は全部収納は終りました。
  13. 小林亦治

    小林亦治君 大蔵当局に聞きたいのですが、五十六の売買が大正元年に行われて、問題はこの正当に売買された四町歩に関して誤謬があつたというよな場合であれば、町当局が四十年間平穏に管理したからというので、町の主張はこれはできると思うのでありますが、この問題がこの四町歩以外の五町歩に関して不法占有がなされたのでありまするから、町と県当局時効取得の理由は成り立たないと思います。そこで国がこれを取戻すためには、現在占有しておるところのこの繩伸びになつておる町歩占有しておる個々の占有者に対して訴訟を起さなければならんと思うのです。そういう準備がなされておるかどうかということと、財務当局のとつた処置は適当であつて、而も誤謬が発見せられてから直ちに再三に亙つてその訂正方を要請しておるのでありまするから、これは財務局責任にはならないと、責任の帰趨は町と県にあると思うのであります。そういうふうに解釈しておらないと、これは見込みのない追及になるのでありますが、どういうふうにお考えになつておるか。
  14. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 私のほうの訴訟をいたしたいとい相手方は町でございます。登記は形式的には合法的になされておるということを法務局のほうで申しておりますので、第三者に対しては直接はこちらからは困難ではないかというふうに考えております。
  15. 小林亦治

    小林亦治君 十分御研究になつたと思うのですが、ちよつとそれは違うのではないか、不動産の取戻しですから、直接には占有しておるものを相手にして、町に対してはこの取戻しの原因主張するだけであつて、直接の当事者にはなり得ないのじやないかというふうに考えるのですが、その点どういうものでしよう。私も若干それは疑問があるのですが、ただ町だけを相手にして勝訴した場合は何ら実効がない。登記簿上の誤謬抹消をして原状に復することだけはできますが、国が失つたところの五町歩に対しては現実的に占有の奪還にはなり得ないのです。町を相手にしただけでは目的は達せられないのじやないかと……。
  16. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 現実占有を取戻すということができれば、それが一番いい方法かと思いますが、国のほうといたしましては町に対して訴訟を提起しまして勝ちましたならば、町が原状に復帰するという方法をとらなければ、この国の損害を別の形で補填させるという方法でもよろしいのじやないか。金額によつて解決するというような途もあるのじやないかというふうに思つております。
  17. 小林亦治

    小林亦治君 そしますと大蔵省は何ですか、この町が主張を撤回して、相当な対価で譲つてくれという申出が町からあつた場合には、これを売るお考えなんですか。
  18. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これは今のところそういうことはちよつと……この町が強硬に主張しておりますので、考えられないわけでございます。それで訴訟をやりました結果によつて処置いたしたいというふうに思つております。
  19. 小林亦治

    小林亦治君 それならば、町に対しては登記回復を求むる請求と、現実占有しているものを全部共同被告にして、建物の収去と土地の引渡しと両方やらないと、玄人の攻め手にはならないと思うのです。それはどういうふうですか。
  20. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 私のほうはまだ訴訟を提起してこういう方法で具体的にやるというところまで、実は手続が進んでおらないので、今研究中なんでございます。只今のお話の点登記抹消請求と、それから所有権確認訴えと、両方に問題が置かれやせんかと思うのであります。それで登記抹消請求のほうは町に対してやり、それから所有権確認訴えのほうは、これは現実占有している人のほうにやるということになるのじやないかと思いますが、これは目下法務局或いは法務省と相談中でございますので、研究さして頂きたいと思います。
  21. 小林亦治

    小林亦治君 御研究中だそうですから参考に申上げるのですが、回復請求確認請求を重複してやらなくてもいいのです。回復請求原因確認になつているのですから、確認以上のものを求める本訴の場合には、確認ということは前提になるだけですから、やはり回復請求をすべきだ。よく官庁がおやりになるのは名義さえ戻ればいい、帳簿の上だけの原状回復をやればそれで済むのだ、こういう考えが往々にあるので念のために伺うのです。こういう場合にはそうではなく、確証を以て、訴訟の結果によつて占有者のほうにも又別途にやるというのでなくして、当初から町当局占有者相手にしないと、何倍という時間がかかる、そうすべきだと私は考えているのです。これは御研究中なら御参考に申上げたいと思います。以上です。
  22. 東隆

    委員長東隆君) ほかに御質疑がないようですから、六十号から六十三号までを問題に供します。専門員説明を求めます。
  23. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 六十号は、北海道財務局飛行機救難艇を売払つたのでありまするが、検査院指摘によりますると、その競争入札場所及び公告方法が悪かつたということを第一に指摘されております。その訳は、船が軍の命令によりまして、高野建設会社に海の中へ沈んだ飛行機引揚げるために使用させておつたのでありまするが、もはや軍のほうでは必要なくなつたというので、それで返されて、もう要らなくなつたものですから、これを売払うために横須賀地方に繋留してあつたわけであります。そこで検査院の見解では、船が横須賀方面にあるならば、これを東京なり横浜なり財務局のほうへ移管をして、そこで競争入札に付したならばもつと適当な入札ができたであろう。それから又公告をするにしても、北海道のただ各財務部掲示板に掲示をしたというような程度のもので、甚だ世間へ知らせる方法が十分にとられていない。だからして結局は入札の際にもたつた一人だけしか入札に出て来なかつたというような結果になつているという点が先ず第一の問題。続いて値段の関係で落札者がなかつたものでありまするから、そのただ一人の入札者であつたものと随意契約を結ぶことになつたのでありまするが、最初競争入札の際の予定価格六百万円、それをばそのまま約半年も過ぎたあとでそのままの価格売払つてしまつた。併し当時は朝鮮事変が勃発したがために、船の値いは、二、三割方騰貴しておつたというような事情があるので、こんな場合には改めて予定価格を面してそうして、もう一遍競争入札にするのが適当ではないかというような意味指摘であります。なお、それに付加えてこの六百万円という価格が如何にも安過ぎたということの一つの証拠とでも申しましようか、買受人はこの船に二十五年十月に千五百万円の根抵当を設定しておるという事実があり、而も二十六年の三月には千四百万円の弁済のためにこの船を充てておるというような事実があるから、如何にも安く売払つたのだという御指摘であります。  当局の答弁を見ますると、これは北海道財務局の所管の船であつたから、北海道財務局がこれを売つてしまうということになつたのであるということで、ちよつと検査院の見解と少し異るわけでありますが、恐らくこれは各財務局におきましては、やはり毎年国有財産の不用なものを売払責任額とでも言うべきようなものを定められてもおり、成るべくならば自分のところのものは自分のところで売つて自分のところの成績を挙げたいというようなことがおのずからあるのではないかと思われる節もなきにしもあらずと思われます。それからなお最初入札の当時は海運界が非常に沈滞しておる時であつて、買受け希望者がほかに全然現われて来なかつたような事情であるということが説明されております。それから、それでは半年ばかりあとになつてこれを売払うのについて、なおその売払価格を変更しなかつたということについては、政府から出ておりまする説明書の中に詳細な事情が書いてありまするが、その買受人のほうで資金の準備ができなかつたので、交渉を打切ろうとしたことも数回あつたが、本人は昭和二十一年の四月同じ型の船を熊本財務局から一時使用許可を受けて運送業を営んだのでありまするが、同年九月に進駐軍に接収されることになり、それがために本人の事業は挫折してしまつたというような気の毒な事情もあるので、この点を斟酌をして資金の準備に若干の猶予を与えて八月になつて随意契約をしたのだ。そういう事情のあることと、それからもう一つは朝鮮事変などによつて船の値いは高くはなつておるけれども、併しこの船は飛行機救難艇という一種特別な船でありまして、普通の運送業などに使つては甚だ能率の悪い船であり、又タンカー改造するという途もありまするが、その改造の許可が極度に制限されていたような時でもあつたし、ほかに買受け希望者もなかつたようなわけで、そのような事情いろいろと重なり重なつて、当初の見積価格のままで売払つてしまつたという説明が出ております。  それから最後に、検査院のほうから根抵当がこの通り設定されておるじやないか、その値いの千五百万円と売払つた値いの六百万円ではえらい開きがあると言つておられまするが、これはこういうふうに比較されては事情が当つていない。それはこの船を買受けましてからあとに随分多額な金をかけまして、この船を改造をしております。なお又買入れたりするために金を銀行などから借入れたりなんかもしておりまするし、それの利息ということも見なければならない。とにかく大改造を加えたあとの船の値いが根抵当の値いとして現われて来ておるのであつて売払つたときの値いとそれを比較されることは必ずしも適当でないように思うという、こういう説明になつております。  それから次の六十一号は、立木を売却したのが適当に行われていないという点でありまするが、これは先ず政府からの説明書のほうに書いてありまするように、この村が自作農創設に伴い、開拓適地として農林省に或る一定の土地を所管換したのであるが、所管換ののちにおいて入植者の専断で地上の立木を濫伐し、ために問題も引き起すようなことにもなつてつたので、青森県としばしば折衝を重ねた上で開拓部落民の代表者に対して開拓者用の薪炭林として評価し、用途を指定の上で売払つたのだという、こういうようないきさつが一番最初にあるわけなのであります。それで政府のほうでは薪炭林としての買受けの申込に対して、薪炭林としてこれを評価して売却した。それは立木を一万石あるものを七十万円で払下げた。ところがこの中には薪炭林ばかりでなくて、松の木なんかの用材になるものが三千石ある、それを売主たる政府のほうで薪炭林の中へ突つ込んでしまつておるのが価格の評価の上で適当でない、現に買受人はその一万石全部を百九十万円でよそへ転売しておる、こういうふうに検査院から指摘されておるのであります。これに対して当局答えは、開拓部落民の代表者に開拓用の薪炭林として用途指定で売払つたのである、その売払つた当時の価格は正当なものであると思う、ところが別に高畑某という者がありまして、この者が部落民を欺いてこれをほかに転売してしまつたと、そういうようなことがあとから起つて来たのであつて、起つたこと自体は甚だ遺憾でありまするが、売払いそのものには別段の不都合はないように思うというような意味の答弁と解釈いたします。そこでここに書いてありますることだけでは事情がよくわかりませんので、検査院のほうにもう一度初めから終いまでのことを詳細に話をしてもらいたいということを頼んでみましたらば、ここに書いておきましたような工合に、こういうふうに順序を覆んで甲から乙、乙から丙と、こんなようになつたのであるということが、その初めから終いまでの話がわかりましたので、御参考にここに記しておきましたのでございます。  それから六十二号と六十三号は同種類のことでありまするが、国有財産、殊に旧軍用財産などを学校などに売払いまするような場合には、初めは二割引で売つてもよいのであつた。後に又四割引で売つてもよいということに法律が定められたのであります。ところがここで問題になつておりまする東京医科大学に払下げるに当りまして、調査不十分のためにもうすでに学校のほうでは建てるだけの建物をすでに建ててしまつておる、そのあとで払下げをした、従つてその払下げられた鉄材、飛行機格納庫か何かのようでありますが、その鉄材をほかのところへ高価に転売されておる、こういうような事実があつたのであります。それで政府では直ちに契約を解除して、損害賠償を要求しておるということであります。  その次の六十三号、劔心学園というのでありまするが、これは解体によつて得た鉄材若干を解体業者に保管をさせたままになつておるので、業者は勝手にこれを流用しておる、そうしてその解体された鉄材がどこにあるか、数量がどのくらいか、それもよくわからないというように検査院から指摘されておりまするが、当局のほうでは、事情があり、遅れてはおるけれども、買受人のほうを調べてみると敷地も確定しておる、資材も集めてある、校舎の建設の意思もあると認められるので、それで建設の期限を指定して目下監督中である、こういうような答弁になつておるのであります。
  24. 東隆

    委員長東隆君) 検査院のほうの説明を求めます。
  25. 池田修蔵

    説明員池田修蔵君) 只今専門員の御説明に関して特に申上げることもございませんが、今の六十号の船舶の売払でございますが、これは実は検査院で幾らぐらいが妥当な価格であるかということの計算を出しますと、非常にはつきりいたしますが、いろいろの計算をやつてみましたが、どうしてもそれがそれだけという計算を出すのが非常にむずかしいものでありましたから、一応その点の内容には触れませんで、あと先と言いますか、大体契約の仕方が、公告なんかの仕方が悪かつた。それから入札が不落札になつたので、そのままになつておりましたが、その後数カ月を経て随意契約をして元の入札の予定価格と同じ値段で売つた、そういう方法論の概略から論を進めて行きまして、それからあとの八月に売つたときには、この三月から八月までの間に朝鮮事変が起きまして、その間にこの程度の小型船の二百トンぐらいの船舶の値上りから行つても、相当の二割五分乃至三割ぐらいの値上りがしておるから、そのときの価格としては改訂すべきであつたのじやないかということを言いまして、それから最後に千五百万円とか千四百万円とかありますが、これは一応それを直接比較するというほどの強い意味ではございませんが、まあ裏付資料にもなるかと思いまして、現にこういう状況であるという状況報告として書いておるのでございます。そこでこれがまあ幾らぐらいかということははつきりは言えませんが、大体まあ八百万円か九百万円、その辺じやないかということでございますが、それは検査報告としてはつきり言い切るだけの確実な資料がないのでございますから、その点は特には言つておりません。必ずしもこれが千五百万円、千四百万円であつたというふうには関連さしておるつもりじやございません。  それからその次の立木でございまするが、これはどうもいろいろ大蔵省のほうでも御意見がございましようが、これは用途指定というふうに大蔵省は言つておられますが、特にこれは薪炭林にせよという用途指定というほどの強いものであつたか、ただ材種はこれは雑木だという程度の規格使用、そういうものとして売るという程度のものでなかつたかと思いますが、そういうふうな種類のものとして売つたのに実は松の用材が三千石も入つてつたという点を特に言つておるのでありまして、そういう材種を一々点検するということは或いは相当困難かとも思いますが、これは普通の薪炭用の雑木であるが、松の用材が相当大きなものが入つておるかどうかということはそうむずかしい調査じやないはずだと思われますので、そういうものが入つてつたのに一括雑木だと言つてつたのは調査が不十分じやなかつたかという意味でございます。  それからあとの六十二号と三号は特に申上げることもございませんが、六十三号について、大蔵省のほうでは、学校のほうはまだ校舎の建設の意思を持つているというふうに言つておられますが、実際は売りました鉄材はすでにもう他に売却されておりまして、当分といいますか、ここ二、三年か四、五年の間には学校建設の実力はないのだというふうに見ております。以上で終ります。
  26. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 私のほうから特に申上げることは、六十二と六十三号についてちよつと申上げたいと思います。六十二号につきましては、説明書に契約を解除したと書いてございますが、その後求償すべきものと決定いたしました。これは勿論何割引というような法律で定まつている額ではなしに、全然引かない地のままの額ということに相成ります。二十八年の四月十八日に求償額を決定いたしまして、それを学校に対しまして納入するよう納入告知を発行して督促いたしました。ところが、その納入期限は五月なのでございますが、まだ入つておらないという実情でございまして、今学校当局に納入するよう督促をやつているところでございます。  それから第六十三号の事案でございます。これはこの説明書を見ますと、当時は校舎建設の意思は学校側にあるということを学校のほうも強く主張しておりまして、やるのだということでございました。その後いろいろ督促いたしましたところ、これは只今検査院のお話にもございましたけれども、我々のほうも六十二号と同じくこれは契約を解除して六十二号と同じような措置をとらざるを得ないという段階に現在のところ来ております。
  27. 東隆

    委員長東隆君) 御質疑ございませんか。
  28. 永岡光治

    ○永岡光治君 この六十一の項でお尋ねしたいのですが、これは今当局検査院の話を聞いておりますと、当局は残念ながらその高畑なるものが部落民を騙して売つたものであり、誠に遺憾であつたというに過ぎないのですが、そういうことでは非常に何か心細いような気がするのですが、それについて何か特別な措置をせられているのか。ということは高畑某というのが詐欺容疑者として括弧して書いてありますが、これは詐欺容疑として問われて、今事件を審理中か何かですか。そういうことはないのですか。
  29. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) この人は詐欺容疑で指名手配中で、まだ捕まらないというふうに報告を受けております。
  30. 永岡光治

    ○永岡光治君 この事件についてですか。この事件についての詐欺容疑者としての何ですね。
  31. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) この事件だけであるか、ほかにまだありますか、その辺今わかりません。
  32. 永岡光治

    ○永岡光治君 少くともこれは入つているわけですね。
  33. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これが入つていることだけは確かのようであります。
  34. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 六十三号ですが、建設の意思は学校当局にまだあるということであつたようだという説明になつておりますが、只今大蔵当局からの御説明だと、その後もうその意思もないようだ、すでにその材料は業者のほうで流用にもなつているというのでありますが、それで結局契約解除したければならん。従つてあと求償手続をせられるというのでありますが、その求償手続をすることだけでこういうような案件はいいということになるのでありますか。
  35. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 本件のような問題は、大蔵省といたしましては求償手続をいたしたいということで只今進めておりますが、六十二号の問題と似たような問題でございますが、これなどは確か刑事問題化した事実があつたように聞いております。場合によりましては、そういう問題も起り得るものとは思います。我々のほうとしては求償手続をいたしたいというふうに考えております。
  36. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 学校に売渡契約をせられるときにはどういう程度にまで調査をせられているんでしようか。
  37. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) どこへ建てるか、いつまでに建てるか、どういう形のものを建てるか、そのための資金計画はどうであるか、学生の収容計画はどうであるかというようなことを成るべく詳しく調査することにいたしているのでございます。こういうような問題が幾つか起きましたのは、役所の手続が少し時間がかかるというような点にも我々のほうにも責任があるのじやないかこいう点で、これは我々も反省しなければいけないのではないかというふうに思つております。
  38. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 調査不十分の結果売渡しをし、そうして建設不能に終つて、鉄材等は他に流用せられ、それは不当に使用せられることになるが、その間物価値上り等の際にはそこに不当の所得を得ることになるわけですが、かような案件は私ほかにもあるのじやないだろうかという考えが出て来るのでありまして、かようにルーズにやられていると、一応申請をしておいて、売渡しを受けて、うまく行かなければどこかへ流用される、転売するというようなことになる弊がどんどん起るのじやないかという懸念を多分に持つのでありまして、かようなことについて今後どういうふうに全体的な方針をお立てになるか、その点お伺いしたいと思います。
  39. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 今法律では学校などに売ります場合、普通我々がほかのかたに処分する場合と比べまして、四割引というような法律がございます。前は二割引というようなことになつておりましたが、そういうような措置をする場合に、そのものずばりでそのまま使うということでなく、こういうような鉄骨を持つてつて何か別の形のものを作つて塗りつぶしてしまうというようなものについて、こういうような何割引というような形で処分するということ自体が非常に危険を伴いますので、こういうようなことは法律では引き得ることになつておりますが、成るべくすべきじやないというふうに考えております。それで勿論法律に定まつております条項は学校に対して適用されるわけでございますが、学校が或る建物をそのままその場で使うというような場合、或いは木造の建物をばらしてそのまま同じような建物をすぐ近所に造るというような極く確認し得るような程度にしか、なかなか実際上は役人が判断してやるのはいかんじやないかというふうに考えて、そういうふうに財務局のほうにも指導しておりますので、全然原形をとどめないように変つてしまうというようなものについては、今まで幾つかこういう事件は御指摘通りでございました。それで原形を変形して活用されるというような話については、これはよほど慎重にせにや話に乗れないのじやないかということに今なつておる次第でございます。
  40. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 学校にもいろいろ当局者如何によりまして、いいのも悪いのもあると思うのでありますが、又余り厳重にやられるということになりますと、却つて教育振興上差支えるということになるのでありまするので、いいものには従来通りやるという必要がありますが、悪いものに対してはいろいろ今後お考えになつておるような線をもつと強化せられる必要があるのじやいかというふうに考えられるのでありまして、かような問題については、今後の方針をもつと御研究になつて、そうしてその方針によつて十分監督をして行く。いいものにはいい結果を来たすように大いに考えてもらうことが、教育振興上必要だと思います。然らざるものに対しては、これを十分に監督して行く。然らざれば却つて教官だ従事しておられる学校当局を悪い方向に向けて行くようなことを誘致するということになると思いますから、この点十分今後方針の御検討と、その監督励行について一言しておきたいと思います。
  41. 永岡光治

    ○永岡光治君 六十号ですが、ここで検査院主張しているのは、非常に価格が安くないかという主張に対して、当局の話の内容を見ますと、これは決して根抵当で評価されている値段、それから弁済に充てた千四百万円というものを考えて、決してこれは不当な値段じやないのだというふうに考えておると、この文面では考えられるのですが、そうしますと、買入れの融資だとか、当局が挙げておるところの補修費、改造費とか、こういうものを考えて妥当な額だと考えておると、こう解釈するのでありますが、そういうふうに今でも考えておるのか、それとも多少これはやつぱり安過ぎやしなかつたかと考えておるのか、それはどうなんですか。
  42. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) この船の値段についていろいろな見方があるかと存じます。それで私どものほうとしましては、価格もこの船、あの船ということではなしに、一応の基準がございます。その基準で値段をきめまして、それを本件については競争入札に付しましたような次第でございます。そしてその公告の点、或いは財務局の所轄の点等については、これは検査院からいろいろ御指摘もございました。我々のほうも決して万全ではなかつたというふうに考えておる次第でございます。それで一応入札をやりまして、落ちなかつたというこの値段、これについては、入札のときにおいては安過ぎるということはなかつたというふうに我々は認めざるを得ないのであります。それから又朝鮮事変で値段がその間上つたのじやないかということは、これは確かに言い得ることだと存じます。それでこれは朝鮮事変が起りまして、船の需要が相当殖えたというふうに我々も承知しております。八月にこの契約をやつておるわけでございますが、八月頃船の需要がどの程度殖え、船の値段がどの程度上るかというようなことがちよつと当時の状況じや判断困難じやなかつたかというふうに我々は思つておるのです。それは、このとき丁度低性能船舶買入法という、小さな悪い船を屑にして新らしく造るという法律がございましたが、あの法律がこの年の春出て、秋の十月に買入れが実行されたわけでございますが、あのとき申入れが八月から九月に際してかなり運輸省にございまして、十月頃買入れるときにはだんだんとその申入れが辞退されて減つて行つたというような事実がございますが、八月頃には運輸省が当初見込んだのとそう変らない程度の申入れがあつたというふうに我々は思つております。それでその入札に付しましたときから著しく上つたとか、これは上つたのじやないだろうかというようなことは、当時の資料じやちよつと判断できなかつたのじやないだろうかというふうに思つておりますので、結局この値段で、いろいろ見方があるかと思いますが、間違いとは言えないのじやないかというふうに存じております。
  43. 永岡光治

    ○永岡光治君 売払つた人はどういう業者かわかりますか。
  44. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これは個人でございます。西野さんというかたでございます。ここに説明ちよつと書いてございますが、個人で以て前に船を当時の熊本の財務局から一時使用を受けておつたようでありますが、改造いたしましてそれを運営しておつたという仕事をやつてつた人であります。
  45. 東隆

    委員長東隆君) ほかに御質疑ございませんか。  ちよつと六十一号ですが、この関係は農林省の関係のものが中に入つておると思いますが、如何ですか。
  46. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これは、青森県と財務局のほうはこの濫伐されている問題をどうしようかという交渉をしたように報告を受けておりますが、その間農林省系統のかたとも折衝はあつたのじやないかと想像しております。
  47. 東隆

    委員長東隆君) こういうような国有財産の払下をする場合に、立木の売渡しをするような場合に、大蔵省のほうとして農林省のほうとの関係はどういうふうに……ほかの事件もそうですけれども、どういうふうな関係を持つておりますか。
  48. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これは立木などで林野庁所管のものがございます。これが国有の立木の中の大部分でございますが、それは農林省の林野庁或いはその出先で処置しておりますが、大蔵省の所管しております普通財産のほうにも立木が若干あるわけでございますが、これについては大蔵省で処分いたしておるということになつております。
  49. 東隆

    委員長東隆君) 開拓地で開拓者のこれは何か組合みたいなものがあつて、その組合長みたいなものが恐らくその名義で以て払下を受けて、そうしてその間に部落民を欺いて、そうしてそれを他に転売した、こういう事件だと思うのですがね。その場合に開拓地における立木を分離してやつているところに問題があると思う。くつ付けて恐らく軍用地ですから払下げをしたのじやないかと思うのですが、大蔵省とそれから林野庁乃至は開拓のほうですね、この関係はもう少し折衝をはつきりして置く必要があるのではないのですか、こういう問題は……。
  50. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これは立木だけを残しまして、土地を農林省に所管換したということをやつて、立木だけは別に処分するつもりであつたところ、濫伐をされてしまつた。それで県当局と相談して薪として売つたということだと思いますが、これは農林省に所管替いたします際には、あの当時にやりましたことで、いろいろ土地の上に乗つているものの処分については、財務局によりまして若干処理が不統一な点がございます。これは立木などの処分についてはもう少し研究の必要があつたのじやないかとは存じますが、当時立木は残してほかのものは所管換したということだと存じます。
  51. 東隆

    委員長東隆君) ここで問題になるのは、被害者が国か或いは部落民かという問題になるわけです。それで私は若し正当に売渡が行われたものだとするならば、国は問題がないと思うのです。それでその後における被害者は、これは部落民が被害を受けているわけですね。だからこの事件は部落民の利益を擁護するように解釈したらいいのか、それとも国有財産を不当に処分をした、こういうことで問題になるのか、これは会計検査院のほうではどういうふうにこれを見ているのですか。
  52. 池田修蔵

    説明員池田修蔵君) この点は検査院としましては、直接財務局のほうを批難しておりますので、国のほうが損失を受けているということを言つておるわけでありますが、部落民のほうも被害者じやないかということにつきましては、他に転売しました代金を、その儲けの分を部落民に分配したか、或いは転売した者がその儲け分だけを自分で取つたのかという問題になつて来るかと思いますが、その点は詳しくは調べておりません。
  53. 東隆

    委員長東隆君) それでは五十六号から六十三号まで質疑は終了したと、こう認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 東隆

    委員長東隆君) 御異議がないようでありますから、本日はこれくらいで散会をいたします。    午後零時十五分散会