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1953-06-24 第16回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十四日(水曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     東   隆君    理事            松平 勇雄君            大倉 精一君            菊田 七平君            平林 太一君    委員            石川 榮一君            入交 太藏君            植竹 春彦君            谷口弥三郎君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            岡  三郎君            八木 幸吉君            堀  眞琴君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    会計検査院長  佐藤  基君   説明員    会計検査院検査    第一局長    池田 修藏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出) ○昭和二十六年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和二十六年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 東隆

    委員長東隆君) 只今より決算委員会を開会いたします。  本日は公報を以て御通知いたしました通り昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算昭和二十六年度特別会計歳入歳出決寡昭和二十六年度政府関係機関決算報告書議題に供します。  先ず政府から御説明を願います。
  3. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算及び同政府関係機関決算報告書会計検査院検査報告と共に第十五回特別国会に提出いたしましたが、未だ御審議を了しておりませんので、その大要を御説明申上げます。  昭和二十六年度予算は、昭和二十六年三月二十八日に成立いたしました本予算と同年三月三十一日及び十一月三十日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。昭和二十六年度の本予算は、我が国経済自主自立態勢確立強化のため、従来の財政政策を原則的に踏襲すると共に、内外諸情勢の推移に対処しつつ極力インフレーシヨンの回避に努め、以て健全な経済基盤の育成と公正な国際競争力の充実とに寄与し得るよう所要の転換を行うことを目途として、総合予算の均衡、財政規模の縮小、政府資金積極的活用、輸出の振興、民生の安定、文教及び科学の振興等、一連の構想の下に編成されたものであります。  ところが昭和二十六年九月平和条約及び安全保障条約の調印が行われましたため、これに関連して予想される新事態に対処する必要に迫まられ、所要補正予算を編成したのでありますが、この場合におきましても、財政金融基本方針は既定の方針に則り、経済の安定及び能率化とその発展を図ることに意を用いたのであります。而して予算の執行に当りましては、予算編成の趣旨に従い、その目的遂行のために予算効率的使用を図ると共に、一方極力経費の節減に努め、更に予算決算及び会計令等会計に関する法令整備をいたしまして、予算使用の合理的且つ適正な運営を期した次第でありますが、会計検査院から千百九十八件に上る不当事項の御指摘を受けるに至りましたことは、種々事情の存することとはいえ、遺憾に堪えないところであります。これにつきましては、一層綱紀の粛正を強化すると共に、会計法令整備経理職員の資質の向上を図る等、逐次経理の適正な運営を確保するよう十分留意いたしておる次第であります。  以下決算内容を数字を挙げて御説明申上げます。  一般会計歳入決算額は八千九百五十四億円余、歳出決算額は七千四百九十八億円余でありまして、歳入歳出を差引きいたしますと、千四百五十六億円余の剰余を生ずる計算であります。この剰余金から、昭和二十七年度に繰越しました歳出財源に充てなければならない金額七百三十一億円余、及び昭和二十五年度剰余金使用残額二百六十八億円余を差し引きますと、四百五十五億円余が本年度新たに生じた純剰余金となるのであります。  なお右の剰余金千四百五十六億円余は財政法第四十一条の規定によりまして、一応翌年度歳入に繰り入れるものでありますが、そのうち、本年度新たに生じました純剰余金四百五十五億円余の二分の一を下らない金額は、同法第六条の規定によりまして公債又は借入金の償還財源に充てることとなるものであります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入におきましては、予算額七千九百三十七億円余に対して千十七億円余の増加となるのでありますが、このうちには前年度剰余金の繰入が予算額に比べて六百三十九億円余を増加しておりますので、これを差し引きますと、純然たる本年度歳入としては三百七十八億円余の増加となるのであります。その内訳租税及び印紙収入における増加額四百三十二億円余、官業及び官有財産収入における減少額十二億円余、雑収入における減少額四十一億円余となつております。租税及び印紙収入において多額増加を生じましたのは、朝鮮事変影響等により異常の好況を生じたため、所得税法人税において予想以上の増収を生じたためであります。  一方歳出におきましては、予算額七千九百三十七億円余に前年度一般会計からの繰越額三百七十億円余及び緊要物資輸入基金特別会計法附則第六号及び第八号の規定に基く旧貿易特別会計からの繰越額五十九億円余、計四百二十九億円余を加えました予算現額八千三百六十七億円余から支出済額七千四百九十八億円余を差引きますと、その差額は八百六十八億円余でありまして、そのうち翌年度に繰り越しました額は、前に申し上げました通り七百三十一億円余、不用額は百三十六億円余となつております。  右の翌年度への繰越額のうち改正前の財政法第二十五条の規定によつて、あらかじめ国会承認を得て翌年度へ繰り越しました金額は六百八十八億円余でありましてその内訳の主なものは、終戦処理事業費におきまして連合国軍工事、需品、役務等調達要求書の発出時期の関係から年度内支出を終らなかつたもの、出資及び投資において国際通貨基金に加入の運びに至らなかつたため年度内支出を終らなかつたもの、並びに平和回復善後処理費において講和条約が発効しなかつたため年度内支出を終らなかつたもの等であります。  又財政法第四十二条但書の規定によつて避けがたい事故のため翌年度へ繰り越しました金額は三十億円余でありまして、その大部分は公共事業費一般施設等のうち天候、資材、電力、敷地等関係上避けがたい事由によつて年度内支出に至らなかつたものであります。  なお、学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲与並びにこれに伴う財政措置に関する法律第五条の規定によつて年度へ繰り越した金額は十三億円余でありまして、これは脱脂粉乳の輸入に際し、船舶並びに海外市場等都合により到着が遅延したため年度内支出を終らなかつたものであります。  次に不用額でありますが、そのうち主なものは行政部費における三十八億円余、社会及労働施設費における二十五億円余、出資及投資における十八億円余等でありまして、行政部費につきましては海外出張が少かつたため、海外出張その他海外払関係諸費を要することが少かつたことと、郵政事業特別会計における収入増加に伴い繰入を要することが少かつたことなどによるものであり、又社会及び労働施設費につきましては、生活保護費及び国民健康保険費において被保護人員並びに補助対象予定より少かつたことと、失業保険特別会計において保険金の給付が少かつたため繰入を要することが少かつたことなどによるものであり、最後に出資及び投資につきましては、貴金属地金代金不足補填所要額が少かつたためであります。  次に予備費でありますが、昭和二十六年度一般会計における予備費予算額は十億円でありますが、その使用総額は九億百万円余となつております。そのうち昭和二十六年十二月七日までの使用額八億千五百万円余につきましては、第十三回国会において御承諾を頂いております。又同年十二月八日以降昭和二十七年三月までに使用いたしました金額八千五百万円余につきましては、本国会に別途提出いたします予備費使用承認案について御審議頂きますので、説明を省略させて頂きます。  次に一般会計国庫債務負担行為について申上げます。財政法第十五条第一項の規定による国庫債務負担行為可能額は三十一億円余で、これは全額債務を負担いたしましたが、これに既往年度からの繰越額を加え、昭和二十六年度中に支出その他の事由によつて債務の消滅いたしました額を差引きました金額四十七億円余が翌年度以降に繰越されたこととなります。  又財政法第十五条第二項の規定に基く国庫債務負担行為は本年度はございませんので、既往年度からの繰越額のうち昭和二十六年度中に支出その他の事由によつて債務の消滅いたしました額を差引きますと、翌年度以降へ繰越した額は千九百万円余となります。  次に昭和二十六年度特別会計決算につきましては、それぞれの決算書によつて御了承願いたいと思いますが、同年度における特別会計の数は三十四でありましてこれら各特別会計歳入決算額は一兆四千億円余、歳出決算総額は一兆二千七百五十億円余であります。これを一般会計決算額と合せ、相互の重複額等を控除調整いたしました決算の純計額は、歳入において一兆八千六百六十五億円余、歳出において一兆六千十四億円余となる計算であります。  次に、昭和二十六年度政府関係機関決算でありますが、同年度における政府関係機関の数は十九でありまして、その収入支出決算内容につきましては、それぞれの決算書によつて御了承願いたいと思います。  以上昭和二十六年度一般会計特別会計及び政府関係機関決算につきまして、その概略を御説明申上げたのでありますが、詳細につきましては、更に御質問の都度説明申上げたいと存じます。何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  4. 東隆

    委員長東隆君) 愛知大蔵政務次官は時間の都合があるようでありますから、次に昭和二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書、及び国有財産無償貸付状況計算書議題に供しまして政府説明を願います。
  5. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 昭和二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書及び国有財産無償貸付状況計算書会計検査院検査報告と共に国会に報告いたしましたので、その大要を御説明いたします。  先ず、昭和二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書内容について御説明申上げます。昭和二十六年度中に増加しました国有財産行政財産六百十八億四千七百六十一万円余、普通財産六百十七億八千二百六十二万円余、計千二百三十六億三千二十三万円余であります。又本年度中に減少しました国有財産行政財産百二十四億八千七百十一万円余、普通財産千六十五億二千六百二十三万円余、計千百九十億千三百三十四万円余でありまして、差引きいたしますと、総額において四十六億千六百八十八万円余の純増加となるのであります。これを前年度末現在額二千七百十六億四千五百八十三万円余に加算いたしますと、二千七百六十二億六千二百七十二万円余が昭和二十六年度末現在の国有財産総額であります。  この総額内訳分類及び種類別に申上げますと、行政財産においては、公用財産四百五十五億千五十六万円余、公共福祉用財産一億二千九十九万円余、皇室用財産一億八千六百十万円余、企業用財産九百七十一億七百二十万円余、計千四百二十九億二千四百八十七万円余、普通財産においては、千三百三十三億三千七百八十四万円余となつております。  又、これを区分別に申しますと、土地百三十六億三千四百十六万円余、立木竹百五十三億千三百六十一万円余、建物四百九十億四千七百三万円余、工作物八百五十九億四千六百四十万円余、機械器具五十九億九千六百五十六万円余、船舶七十億千九百四十一万円余、地上権地役権鉱業権等権利五千百八十八万円余、特許権著作権実用新案権等権利、四百四十三万円余、有価証券その他九百九十二億四千九百二十一万円余となつております。  更にこの増減事由についてその概略を申上げますと、増においては、購入及び新営工事により取得したもの四百七十二億九千五百九十三万円余、所管換、所属替等の異動によるもの百四十二億六千九十七万円余、出資によるもの三百四十三億五千二百七十三万円余、その他二百七十七億五十八万円余で、減においては、売払によるもの三十一億五千六百五十八万円余、出資金回収によるもの九百三十億八千五百三十五万円余、所管換、所属替等の異動によるもの百四十五億一千三百五十四万円余、その他八十二億五千七百八十六万円余であります。  以上が昭和二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書概要でありますが、この総計算書には国有財産法施行令第二十三条の規定によつて昭和二十七年三月三十一日現在の国有財産総合評価計算書が添付してありますので、この総計算書について御説明申上げます。  御承知の通りこの総計算書は、五年ごとにその年の三月三十一日の現況において大蔵大臣の定めるところにより、国有財産総合評価するもので、昭和二十七年が最初の総合評価の年に当りましたので、昭和二十七年三月三十一日の現況において総合評価し、調製したものであります。  而して昭和二十七年三月三十一日現在にて総合評価をしました結果、国有財産総額は、八千八百三十四億四千六百五十二万円余となりまして、これは台帳価格二千七百六十二億六千二百七十二万円余に対し約三倍余に当ります。  更にこの評価額分類及び種類別に申上げますと、行政財産においては、公用財産千七百三億五千三百二万円余、公共福祉用財産四億四千二百十二万円余、皇室用財産八億八千百四十四万円余、企業用財産二千七百億六千四百七十二万円余、計四千四百十七億四千百三十一万円余、普通財産においては、四千四百十七億五百二十万円余となつております。  又、これを区分別に申し上げますと、土地千百二十六億二千百二十四万円余、立木竹五百八十億九千七百十万円余、建物二千三百六十二億五千七百七十三万円余、工作物二千五百九十二億九百五十九万円余、機械器具八百七十三億六千三百六十万円余、船舶三百二十八億七千三百六十三万円余、地上権地役権鉱業権等権利六億四千七百五十九万円余、特許権著作権実用新案等権利二億二千九百八十万円余、有価証券その他九百六十一億四千六百二十万円余となつております。以上が国有財産総合評価計算書概要であります。  次に昭和二十六年度国有財産無償貸付状況計算書について説明致します。国有財産法第二十二条及び同条を準用する第十九条及び第二十六条の規定により地方公共団体等無償で貸付けてある国有財産の本年度中に増加した総額は、九千七百十七万円余でありまして、減少した総額は、千八十三万余円となつておりますので、差引八千六百三十四万円余の純増加をしております。これを前年度末現在額七千三十八万円余に加算しました一億五千六百七十二万円余が昭和二十六年度末現在において無償貸付をしている国有財産総額であります。この増減の主なるものを申上げますと、増加したものは、公園の用に供するもの五百四十九万円余、生活困窮者収容施設の用に供するもの八千八百十二万円余でありまして、減少したものは、公園の用に供するもの三百四十万円余、生活困窮者収容施設の用に供するもの五百十七万円余であります。以上が昭和二十六年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。  なお、これら国有財産の各総計算書には、各省各庁から提出されふそれぞれの報告書が添付してありますので、これによつて御了承願いたいと思います。  以上各総計算書について概略を申上げたのでありますが、詳細につきましては、更に御質問の都度説明申上げたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  6. 東隆

    委員長東隆君) それでは次に、昭和二十六年度決算について、会計検査院より検査報告について御説明を願います。
  7. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 昭和二十六年度決算検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和二十六年度決算検査報告には、国の収入支出決算の確認、検査上不当と認めた事項のほか、会計事務職員に対する懲戒処分要求、及び検定、検察庁への通告事項政府関係機関に関する検査事項等を記述いたしてあります。  昭和二十六年度一般会計決算額は、歳入八千九百五十四億余万円、歳出七千四百九十八億余万円、各特別会計決算額合計は、歳入一兆四千億余万円、歳出一兆二千七百五十億余万円でありまして、一般会計及び各特別会計決算額総計いたしますと、歳入二兆二千九百五十五億余万円、歳出二兆二百四十九億余万円となりますが、各会計間の重複額等を控除して、歳入歳出の純計額を概算いたしますと、歳入一兆六千五百三十二億円、歳出一兆五千九百五十二億円となり、前年度に比べ、歳入において三千三百五十九億円、歳出において二千六十一億円の減少となつております。  政府関係機関昭和二十六年度決算額総計は、収入五千九百四十五億余万円、支出四千四百七十九億余万円でありまして、前年度に比べ収入において五千四百六億余万円、支出において五千九十五億余万円の減少となつております。以上申上げました国の会計及び政府関係機関会計決算額のうち、会計検査院においてまだ検査が済んでいないものは総計九十九億四千七百余万円でありまして、その主なものは終戦処理費関係歳出八億九千八百余万円、特別鉱害復旧特別会計歳出六億七千二百余万円、日本国有鉄道歳出四十六億九千八百余万円などであります。  次に会計検査の結果、経理上不当と認めた事項、及び是正させた事項として記述しました事項の件数は、合計千百九十八件に上つております。今これを経理大要従つて金額を概計いたしますと、不正行為による被害金額が一億二千九百余万円、架空経理など、法令又は予算に違反して経理したものが三億六千六百余万円、検収不良のため、又は計算上の過誤等のため誤払又は過渡となつているものが七千四百余万円、補助金交付額が適正を欠いているため、返納又は減額を要するものなどが、三億百余万円、歳入などで徴収決定が洩れていたり、その決定額正当額を超えていたものが四億四千七百余万円、工事請負代金物件購入代金等が高価に過ぎたり、又は物件売渡代金等が低価に過ぎたと認めたものの差額分が一億三千八百余万円、不急不要の工事の施工、不急不要の物件購入など、経費が効率的に使用されず、いわゆる死金を使つたと認めたものが十一億五千三百余万円、その他の雑件を含めて総額三十億五千八百余万円に上つております。又このほかにも経理上妥当と認めがたいものとして、それぞれの関係責任者に対し厳重な注意書を発した事項も多数あります。  二十六年度は二十五年度に比べまして、架空経理など、法令又は予算に違反した経理において十一億二千九百余万円、工事請負代金物件購入代金などが高価に過ぎたり、又は物件売渡代金などが低価に過ぎたと認めたものの差額分において八億二千百余万円の減少を示しているなど、一般的の傾向として経理改善の徴が現われているように感じられます。併しながら国民租税を主な財源とする国及び政府関係機関などの会計において、このような事項がなお多数発生しておりますことは甚だ遺憾に堪えませんので、その責任を明確にすると共に、発生の根元を塞ぐことに、更に努力を傾けたいと存じております。ここに検査の結果についてその概要説明いたします。  第一は歳入収納未済についてであります。一般会計昭和二十六年度収納未済額は六百三十億余万円で、その徴収決定済額に対する割合は約六・五%に当り、前年度の約七・二%に比べますと、やや好転しております。この一般会計収納未済額に、特別会計収納未済額百六十五億余万円を合わせると、収納未済額は七百九十五億余万円に上り、そのうち主なるものは租税収入の五百五十二億余万円、食糧売払代の六十一億余万円であります。これら収納未済額のほか、まだ徴収決定をしていないものがあることなどを考慮すれば、事実上の収納未済額はなお多額に上るものと認められます。これらの収納未済額につきましては、国の財政に鑑み、その徴収の促進について、一段の努力の要があると認められます。  第二は契約締結についてであります。契約締結について、十分な注意が行届かなかつ事例が相当見受けられます。即ち契約締結基本となる予定価格算定か杜撰であつたなどのため、より低価に購入し、又はより高価に売渡すことができたと認められる事例や、競争契約における予定価格算定が緩に過ぎ、論議の余地のあると認められるもの、又は関係者入札を周知させる方法考慮の足りなかつたなどのため、結局契約価格において不利を来したものがあります。又契約締結後の事情の変化に応ずる処置について不十分であつたもの、或いは相手方の履行が完全に行われないときは、履行補正代金値引その他適宜の処置をとらなければならないのに、実施担当者適確検収を怠つたり、契約担当官に対する連絡が十分でなかつたなどのため、契約金額をそのまま支払つている事例もあります。  今その主な事例をあげてみますと、国税庁で予定価格の検討が不十分なため封印鉛を高価に購入したり、営林署で杉及び檜素材を低価に売渡したり、又は財務部発電機を低価に売渡しているものがあります。  又、財務局で入札方法について考慮の足りなかつたなどのため船舶を低価に売渡したり、或いは日本国有鉄道価格改訂に関する条件を附して契約すべきであるのに、その考慮がされなかつたため軌条を低価に売渡しているものなどがあります。  第三ば、不急不用又は不経済経費使用についてであります。工事についてみますと、事前調査が不十分であつたり計画が未熟であつたため不経済施設なつたものがあり、又、物品についてみますと、多量在庫品があつたり又は差当り使用の見込のないのに物品購入したり、検収が粗漏であつたため粗悪品を受取つたものがあり、又、役務についてみますと、運送料倉庫料等支払が高価についているものなどがあります。  今、その主な事例をあげてみますと、電気通信省海底電線布設ひき揚機を建造させながら遊休の状態となつていたものがありますが、この機械布設船の入手を前提としなければ使用することができないのに機械だけを取り急いで建造したものであり、契約の際このような結果となることが予想されていたものであります。又、農林省で事前調査が不十分なため一時に多量麻袋購入し、購入後全く使用することなく営業用倉庫保管させたり、警察予備隊で病院の施設も要員も整備されていないのに手術用器械等購入したり、日本国有鉄道で既設の施設を活用することができるのに別に施設を新設したり、特別調達局営業用倉庫等接収借料支払が高価になつているもの、又は通商産業局アルコール原料用糖蜜運送代金支払が高価についているものなどがあります。このような事例に徴し、予算効率的使用について、なお一層の改善を要するものがあります。  第四は、物品経理についてであります。現品把握帳簿整理が不十分なまま簿外品があつたり、不足があつたり、又、保管についても責任者が明確でなかつたり、保管方法が適切でないため亡失毀損品質低下を生じさせ、又は使用に耐えなくなつている事例が多く、又、外部からの盗難を被つたり、甚だしいのはほしいままに関係職員により領得される事故が発生しながら責任の追求又は防止対策が十分に行われていないものがあります。このように物品経理がとかく粗漏となりがちになりますことは、関係法令の不備や現品把握が必ずしも容易でないことによる面もありますが、一般に物品の取扱は現金に比べ軽視される傾向がありますので、その経理に関し、特に関係職員の関心を喚起する必要があります。  第五は、公共事業費についてであります。本費の昭和二十六年度支出済額は千二十七億九千三百余万円で、九億五百余万円を翌年度に繰り越し、九千八百余万円を不用額としております。本事業の実施についてその経理状況をみますと、後に述べますように国の直営工事において架空の経理を行なつて資金を捻出し、これを他に使用したものが、農林、建設両省所管において総額一億二百余万円に上つております。次に工事の施行状況をみますと、国の工事におきまして、工事の監督又は竣工検査が不十分なため設計に対し出来高不足を来したもの、工事方法について研究が不十分なため工事費を徒費した結果を来したもの、計画又は施行が不良のため工事の手もどり及び工事費の増大を来した事例が見受けられますが、このような事例については、工事の計画、設計に当つては調査の周到を期すると共に、工事の施行に当つては監督、検収を厳にし、又工事施行の時期、請負業者の選定等に留意するなど公共事業費の効果的使用に努める必要があります。なお、公共事業費支弁の補助金経理についても次に述べますように不当事項が多数発生しておりますことは遺憾に堪えません。  第六は、補助金についてであります。補助金経理に関しては、特に、その対象となる事実の審査、交付時期、交付後の監督及び精算等の諸点において適正を欠いているため、補助金の返納又は減額を要するものなどが総計三億百余万円に上つておりますが、その大部分は公共事業費支弁の工事に関連したものでありまして、この事態は甚だ遺憾であります。その主な事例を挙げてみますと、農林、運輸及び建設各省所管におきまして、災害を受けた事実の認められないものや、災害復旧とは認められない改良又は維持工事を災害復旧事業として補助金交付の対象とした事例や、原形超過工事を原形復旧工事として処理上、或いは設計通りに施行されていないのに施行されたこととして処理したため、補助金の超過交付となつていたり、事業主体が正当な自己負担をしていない事例など、補助金の交付及びその処理について適正を欠く事例が多く見受けられます。  特に、災害復旧事業におきましては、緊急を要するためいわゆる机上査定によるものが多く、このため補助を受ける側の設計が過大となる傾向があり、他面、補助金交付事務に当る国の会計機関に補助を受ける側の都道府県の吏員を充てることが通例であるため、過大に交付された補助金に対する是正の処置が十分にとられないきらいがあります。このような事態に対し主管省の現状としましましては、現場についてて実地に査定を行う余裕に乏しく、又、竣工検査についても工事完成後相当期間を経過しなければこれを行うことができない実状にありますので、主管省側の適切な処置と共に、地方公共団体側における補助金交付事務の厳正な執行が肝要と存じます。  なお、市町村、農事実行組合等の施行した工事については、適正とは認められない処理をして正当な自己負担を避ける傾向等が認められますので、これらの事業主体に対する指導監督について、なお一段の留意が望ましいと存じます。  第七は、架空の名義による支払その他不法の経理についてであります。経費使用の事実がないのに、その事実があつたように関係書類を作成してその経費相当額を別途に経理して使用する事例につきましては、毎年度決算報告に掲記すると共に、関係庁に対しても厳重に注意して参りましたが、二十六年度においても地方建設局の工事事務所、国税庁及び管下の局署並びに農林省管下の開拓又は干拓建設事務所等において架空の名義による支払事例が見受けられます。又その他不法の経理として営林局で素材の買受希望者から概算代金を受領し、これを別途に保有して人夫賃、物品購入費等国の経費に流用したり、或いは国立病院で診療収入金を直ちに歳入に払込まないで、別途にこれを保有して工事費、会議費等に流用するなど、ほしいままな経理をした事例が相当見受けられます。このような経理は、必要経費不足経理手続が煩わしいことを事由にしているものもあつて考慮を要する点もありますが、主として法令予算及び経理の諸規定を軽視した点にあると認められ、これらの点につきましては関係庁において責任の追求を厳にすると共に、会計事務職員の教育と経理の監督について一層努力の必要を痛感する次第であります。  第八は、職員の不正行為についてであります、会計事務に関係ある職員が不正行為により国又は政府機関に損害を与えたもので、この検査報告に掲げたものの金額は一億二千九百余万円に上り、昭和二十七年十月末現在補填された額は二千四百余万円でありまして、被害金の主なものは、郵政省の三千三百三十余万円、税務署の二千四百八十余万円、厚生省の千二百三十余万円、法務省の九百八十余万円、日本専売公社の九百七十余万円であります。このように不正行為が毎年あとを断たないのは、会計事務を執行する職員の倫理観及び責任観の低いことを直接の原因としますが、会計帳簿等の整備及び記帳整理の迅速適確を期し、会計職員の資質の向上を図り、責任観念を高揚すると共に内部けん制組織等の充実徹底を図ることが特に必要であると認められます。  なお、検査報告説明を終るにあたりまして、会計検査院検査方針及び検査状況について一言附加えたいと思います。国及び政府関係機関等の会計経理に対しましては、会計検査院は特に収入の確保及び支出の節約を図り、経費を効率的に使用し、又、事業を能率的に運営し、物件経済的に管理処分すると共に一般的に当務者の経理の適正を期し、且つ、不当事項の是正及び発生の防止を図るなど、適正な経理事務の執行を確保するよう検査の徹底を期したいと存じている次第であります。  会計検査院検査は書面検査及び実地検査の二方法によるのでありまして、書面検査においては昭和二十六年十二月から二十七年十一月までの間に、国及び政府関係機関等の歳入歳出等に関する計算書及び証拠書類を検査したものは十七万四千余冊、六千六百余万枚であります。又、同期間中に実地検査を施行した個所は約二千九百個所であります。  なお、従来から現金物品の在高や帳簿整理の状況を検査する場合などは、必要に応じて予告しないで実地検査を行なつておりますが、今後は更にこの方法を活用し検査の徹底を期したいと思つております。  会計検査に伴い関係者に対して質問を発したものは一万千余件に上つていますが、会計検査院検査の結果及び経理上の所見に対しましては、検査を受ける側の一層機敏な反応による内部是正が望ましい次第でありますので、国会におかれましても、この点についての一層の御支援を頂きたいものと存じております。
  8. 東隆

    委員長東隆君) 次に、昭和二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書及び国有財産無償貸付状況計算書、これについても会計検査院検査報告の御説明を願います。
  9. 池田修藏

    説明員(池田修藏君) 昭和二十六年度国有財産検査報告につきましてその概要説明いたします。  昭和二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに無償貸付況総計算書は、昭和二十七年十月三十日本院においてこれを受領し、その検査を了して同年十二月二十六日内閣に回付しました。  国有財産昭和二十五年度末における現在額は二千七百十六億四千五百余、万円でありましたが、昭和二十六年度中の増加しましたものが千二百三十六億三千余万円、同年度中の減になりましたものが千百九十億千三百余万円でありまして、同年度末における現在額は二千七百六十二億六千二百余万円となり、前年度末に比べ四十六億千六百余万円の増加となつております。  次に、国有財産無償貸付状況について申上げますと、昭和二十五年度末には七千余万円でありましたが、昭和二十六年度中の増加が九千七百余万円、同年度中の減になりましたものが千余万円でございまして、差引八千六百余万円を増加し、同年度における無償貸付財産の総額は一億五千六百余万円となつております。  又、国有財産の取得、処分及び管理について不当と認めましたものは昭和二十六年度決算検査報告に掲記しております。これらの事項につきましては、いずれ昭和二十六年度決算の御審議の際説明申上げる予定でありますが、これらの事項を取りまとめて申上げますと、国有財産の取得に関するもの十七件、管理に関するもの二十八件、処分に関するもの三十九件、合計いたしまして八十四件の数に上つております。
  10. 東隆

    委員長東隆君) 以上で昭和二十六年度決算三件及び昭和二十六年度国有財産計算書二件につきまして、一般的の説明を聴取いたしたのであります。御質問がございましたら、この機会に願います。
  11. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 政府の方はおいでになりますか。
  12. 東隆

    委員長東隆君) 今ここに見えておりますのは、政務次官はおられませんが、説明員の大蔵省主計局司計課長柳澤英藏君、それから会計検査院長佐藤基君、検査第一局長池田修藏君、管財局国有財産第一課長木村三男君、これだけおられますが、今日は虎の門公園の現地視察の点もありますから、この程度で今日は散会することにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 東隆

    委員長東隆君) それでは今日はこれで散会いたします。    午後二時四十一分散会