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1953-07-29 第16回国会 参議院 経済安定委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十九日(水曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     早川 愼一君    理事            高橋  衛君            八木 幸吉君    委員            岩沢 忠恭君            奥 むめお君            岡田 宗司君            鮎川 義介君   衆議院議員            栗田 英男君   国務大臣    通商産業大臣  岡野 清豪君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    公正取引委員会    委員      湯地謹爾郎君    経済審議庁調整    部長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      中野 哲夫君    通商産業省企業    局次長     小室 恒夫君    通商産業省繊維    局長      徳永 久次君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○私的独占禁止及び公正取引確保  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○調査報告書に関する件 ○継続調査要求の件 ○国土調査法に基く地籍調査費国庫補  助増額等請願(第二六〇六号) ○大山出雲地方総合開発事業に関する  請願(第二七二八号) ○只見川早期開発に関する陳情(第二  四八号)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは只今から経済安定委員会を開会いたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を、前回に引続き質疑を継続いたします。国務大臣緒方竹虎君が御出席でありますから、前日の岡田委員質疑を続行いたします。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 緒方総理お尋ねをいたします。先に本改正法律案提出されました際に、緒方総理がこの提案について御説明に相成つたわけでありますが、今次の改正がまあ成立をいたしますと、かなり前と違いまして、カルテルに対する態度、或いはトラストに対する態度というものが、緩和されて参るのであります。で今私は緒方総理に、カルテルトラストが全体の経済に及ぼす影響等についてお伺いしようとしているのではないのでありますが、そうなつて参りました場合に、今日の公正取引委員会というものの機構、これで果して十分であるかという問題が一つ生じて来るのでありますが、その前に私は、今までこの私的独占禁止法に対する、財界が、特に大きな資本を擁する製造業者等から、非常にこれに対する激しい、何というか、反対がありまして、これを骨抜きにしてしまう、或いはこれを全然廃止してしまうという意見があつたのであります。そこでまあこの公正取引委員会も、そういうふうな財界側のほうからの要求で、非常な押され気味にあるということを、私どもはまあ外から見ておつたわけでありますが、それと、その財界側行動と相呼応するがごとく、まあ公正取引委員会活動をだんだんに縮小して行こうということが、政府方面においても考えられておつたと思います。例えば公正取引委員会委員の数を減少しようという問題が起つておる、或いは機構を縮小して、人数をうんと減らそうということ、総理府からよそへ移そうというような問題も起つて来るのであります。そこで副総理にお伺いいたしますが、今まで公正取引委員会がやつておりました仕事は、果して従来の私的独占禁止法施行に足るだけの機構であるか、又それを、その仕事を遂行するに足るだけの人員を擁しておるかどうかという点から、お伺いいたしたいと思います。
  4. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今までの機構公正取引委員会に期待されておる目的を遂げるに十分であつたかどうかというお尋ねと存じまするが、今まではこれで予期された仕事はやつて参つたのでありまして、私のところでは、機構が小さいところに人員が不足であるということは聞いておりませんので、やはり十分とは言えぬまでも、不都合はなかろう、かように考えております。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 あなたのところへ、これで以て足りない、或いはこれで不都合があると言つて来なかつたから、そういう不都合なことはなかつたと、これで十分だというようなことは、ちよつとどうも私どもには解しかねるのであります。例えばこのカルテル活動が、事実上この法律があるにかかわりませず、かなり多く行われておる。それについてまあ一つ十分に審査をしてくれ、或いは調査して何とかこれに対して処置してもらいたいというようなものが、相当公取委員会に持込まれて来ておる。ところが最初は三百五十人おつた人が、二百四十五人に減らされてしまつた。そのためにそのさばきが実はつかない。現在でもたくさん仕事が溜まつておる。私が聞いておりますことでも、相当前から公取のほうへちやんと公文書を以て請求しておるにかかわりませず、なかなか取りかからんというようなことで、まあ活動が非常に鈍い。ところが外におきましては、実はカルテル活動はむしろどんどんと事実上行われておるという状態であります。従いましてあなたの言われるように、公取委員会のほうから、今の人数じや足りんからと言つて来ないから令ので十分だというようなことは、私は答弁にはならんと思いまするが、それならば人数を減らしたというようなこと、それから予算は額の面では殖えておるけれども、実際には仕事分量に関する方面では、予算金額も相対的に減つておるというような面から見て、機構が事実上圧縮されつつある、こうまあ思われる。そういたしますと、緒方さんの言われました、仕事が十分に行われるだけあるというふうには言えないのじやないか。前よりカルテル活動が減つておるというのならば、これは又その仕事が少くなるから、減らして行くこともできるでしようが、むしろ現実には審査しなければならん仕事、これが非常に殖えて来ておる。それにもかかわりませずそういうものが減らされて行つておる。行政整理の結果減らされて行つておる。それにあなたが今申上げたように十分だということは私は言えないのじやないか。実際その点についてどうお考えになりますか。
  6. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私のお答えが十分でありませんでしたが、具体的のことにつきましては私が申上げるよりも委員長から直接お答えしたほうがよくないかと考えるのでありますが、今までは仕事をする上に不都合はなかつたと信じております。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 その点一つ公取委員長のほうからお伺いしたいと思います。
  8. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 只今の問題につきまして、具体的に公正取引委員会から定員をどの程度に増してくれ、或いは予算金額をどのくらいにして欲しいというふうに申出ましたその数字を、只今はつきり申上げることができませんが、大体大蔵省最初予算の折衝の際にはいろいろこちらの希望する数字を申出てあるはずでございますが、大蔵省主計段階におきましてそういうものについての理解が全然得られませんでしたので、実に我々といたしましても努めたのでございますが、その段階ですでに問題は一応けりがつくというようなことで恐らく緒方総理その他上層のほうには今申しましたような我々の本当の要求ということははつきり伝わつていないのじやないかと思います。計数の点は若し必要がございましたら……。
  9. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今岡田委員から御質問がありましたように、仕事が殖えて参つておることは常識的にも想像されますが、その反対事務局人員が減つてつておることも事実でございますので、仕事の執務の状況を私は直接知つておりませんが、先ほど岡田委員指摘されたようなことは想像されます。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 今後カルテルが、特に不況カルテル合理化カルテルというものの認可の問題が起つて来るのでございます。そうしてこれが公取にたくさん認可を求めて来るだろう。と申しますのは、ここに今度の私的独占禁止法のうちで不況カルテルというようなものがございますが、恐らく朝鮮休戦後における経済事情といたしまして、不況カルテルを何とか設けたいというようなものが相当出て来ると予想されるのです。或いは又海外貿易上外国との競争の問題、或いは生産費国内において下げるというようなことから合理化カルテルというようなものが問題になるといたしますと、これはどうも私はか言いろいろ怪しいものを含んでおるのじやないかと思うのですが、そうなつて参りますというと、今までは全面的に禁止されておつた、これが今度とにかく認可ということになつて参りますと、どつと押し寄せる、仕事が……、そうすればこれを認可するのに、或いは又違反しておるものを審査いたしますのに、或いは又今度は不況カルテル等の場合では、ときによりますと不況が終りましたときになおカルテルが存続するために、今度は消費者なりその他にも非常な不利な条件になるというときにこれを審査して、例えば早く解散させるというようなことができなくなると思うのです。そういうふうな点から考えて見まして、今度この独占禁止法緩和をやると共に、公取委員会機能の拡充なり、或いは更に、いつそこの緩和をされるのだから、あとは放つて置け、どうせこれが突破口になつて実はカルテルトラストも自由にやらせるのだという立場に立つておられるなら別ですが、若しそうでないといたしますならば、この機能の拡張についてそういうようなものが殺到して来ました場合に、この法律内容の意味は私は立場が違うから別といたしまして、これが施行に必要な処置総理府責任者としてお考えになるかどうか。
  11. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 必ずしも人員の多寡によらんかとも思いまするが、今後この改正案成立いたしました暁に、仕事分量が殖えることは確かに想像されます。先ほど委員長から申上げました、主計局まで出してある増員の申請というようなものが、私見て去りませんが、今回この改正案成立に伴いまして、更によく委員長意見のあるところも聞きまして、研究いたしたいと考えます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは公取委員長のほうにお伺いするのですが、公取のほうでは、若しこの法律案成立いたしまして、そうしてまあカルテル認可の問題が起るということになりましたならば、相当に仕事分量が増大するというふうにお考えなつておりますか。現在のこれと比べてどの程度仕事分量が拡大されますか。
  13. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 昨日も申上げたのでございますが、仕事分量が殖えることは間違いないと思います。但しどの程度仕事が殖えるかということは、只今からちよつと予測しがたいのでございますが、一応只今人員で発足いたしましたにいたしましても、少しやつておりますうちに恐らく非常に困難な場面も出て来るのじやないか。その際には是非とも只今緒方総理の述べられましたように、我々の意見を申上げまして、政府の然るべく御処置をお願いしたいというふうに考えております。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 政府といたしましては、今度の私的独占禁止法緩和によりまして、カルテルを認めることになりますが、このカルテルを認めることから来る中小企業なり、消費者なり、或いは農民なりというようなものに対する影響ということも考えて見ますと、例えば認可をする要請があつたときにまあ認可をするにしても、或いは認可せずと決定するにしても、急速な措置を必要とすると思う。若し急速な措置がとられないで、そうして認可は申入れた、ところがもう認可を申出るような場合には事実皆やつておるのです、そうして悪いとなつたときに、まあそれから公取委員会のほうで事実それを先行してやつておるものに処置をするというような場合も起つて来る。そうなつて来ると、認可するかしないかどうか、遅くなるために来る何と申しますか、影響というものも考えなければならんと思います。そうするとなかなか今のような公取委員会機構では、私はカルテルによつて被害を受けるほうの側の被害というものがますます大きくなつて来るような気がするんです。若し政府がこの私的独占禁止法緩和することによつて、もうカルテルトラストにどんどん仕事をやらせるんだ、そういうお立場ならば公取委員会を今のままにしておいて、そうして事実上仕事を麻痺させて行くというような方式で、カルテルトラストを間接的に擁護するということも考えられますけれども、まさか政府は、私表向きそこまで考えているとも思えない。そうするとこの問題について、私は政府としてはやはりこの独占禁止法緩和に伴うそういう仕事増加について考えなければならんと思うんで、これは一つ緒方総理においては十分にその点については御考慮を願いたいと思うのでありますが、その点はつきり御言明できますか。
  15. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 先ほど申上げたことで尽きておるように思いますが、よく研究をいたします。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ研究して、この仕事増加について考えるということでありますれば、勿論私どもはそれが至当だというふうに思つておりますが、今まで公取委員会に対しまして、委員を減らせ、或いは機構を減らせというような問題がございましたが、こういうようなことはもう今後は政府としてはお考えにならないつもりですか。今の緒方さんのお話ならば、仕事は殖えるんだからいろいろ考えたいということは、殖やすほうにもお考えになるということなんで、今までとつて来られたように、減らしてしまおう、人数を減らしてしまうということはおよそ逆だろうと思う。その点減らすという方向についてはお考えにならんかどうか。
  17. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 考えておりません。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから次に、今まで公取委員会総理府にありますことについて、いろいろ問題があつたのでありますが、大分総理府内におけるいろいろな機構改革という問題もあるようでございますが、まあ私どものいろいろ聞いておるところによりますというと、公取委員会総理府からよそへ持つて行こうというようなお話もあります。で、これはまあ行先の問題としては、例えば法務省とか、或いは通産省とかいうもののほうへ持つて行くというようなことが考えられるんですが、今日若しその法案が通過するということになつて参りますというと、認可権公取委員会にあることになります。そうなつて参りますと、これが通産省の下に置かれることは誠に変な話なんですが、私は通産省に持つて行くなどということは以てのほかだと思うのでありますが、この点は副総理のほうにおいては行政機構改革上、公正取引委員会はどういうふうにお取扱いになりますか。
  19. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 総理府の中の機構は、今御指摘のように非常に複雑ではありませんが、系列なしにいろいろな機構が集められているような状態であります。これにつきましては或る場合に考えなければならんのではないかと思つておりますが、公取をどこかの例えば通産省というようなものに附属させるというようなことは考えておりません。
  20. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 通産大臣は今労働委員会に入つておられます。若しほかに御質疑がありましたらお願いいたしたいと思います。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは公取委員長にお伺いいたします。公取委員長は、まあ不況カルテルについてでありますが、不況カルテル不況対策として現われて来るということは恐らくお認めになられることだろうと思うのでありますが、この不況ということに相当便乗して、それを口実にして不況対策口実にしてもつとほかに目的のあるカルテルを作ろうということが行われると私は推測するわけでありますが、その点について公取委員長はどういうふうにお考えなつておりますか。
  22. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 今回の不況カルテルを認めます途を開きますにつきましても、只今お話のようにこれにいろいろ便乗いたしまして、いろいろなカルテルが叢生をするということにつきましては、私ども非常に警戒的に考えております。  先ず第一に、この法律を作ります際の不況条件と申しますか、不況カルテルを認めまする条件につきましては、御承知のようにかなりしぼつた案公正取引委員会が出しまして、大体この案が通つておりますので、実際問題といたしまして、この運用に当りましてこの要件を非常に甘く見ますると、今おつしやいましたように、不況便乗をしたカルテルを認めることになりましていろいろな弊害が生ずると思うのでございます。結局この二十四条の三の規定を運用いたします際には十分に注意をいたしまして、不況便乗をしたようなカルテルを認めないという方針で参りたいと思つております。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 不況カルテル認可基準というものが、ここに案として配付されているこの認可基準というものは、殊に第一の特定商品需給が著しく均衡を失しているという問題でございますが、この特定商品需給が著しく均衡を失しているということの認定がこれが非常にむずかしい問題で、何を以て著しく均衡を失しているかということが問題になつて来ると思います。例えば一例を述べますというと、硫安の場合等が、国内需要量供給量とを考えて見るというと、或いは現在かなり、著しくと言うほどかどうか知りませんが、かなり均衡を失しているということになる。併しながら或る程度合理化されて価格が安定をして来てそのために需要量が増大するということになつて参りますと、著しく均衡を破壊されておるというふうなことが言えなくなるのじやないか。高い価格で押えておけば、著しく均衡を失するけれども価格が低くなるために需要量が増大すると、その場合にむしろ均衡は回復されて来る。そのときに価格を維持することが不況カルテル対策として認可要求がありました場合に、この需給均衡の破壊といいますか、この問題はなかなかむずかしい問題になると思いますが、こういう場合にはどういうようにお考えですか。
  24. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) この不況要件は、只今お示しになりました一番最初要件もございますが、結局その他の第一項の第一号、第二号でございます。或いは第四項あたりにございます。これを総合して考えなければならんのでございまして、只今硫安の値が高過ぎるえめに需給均衡を失しておる、そういう状態があるというような場合につきましては、恐らくその他の要件のところで、不当なカルテルを認めるというようなことにならないような操作が認定の際にできるかと思います。結局第一号或いは第二号の、相当合理的な経営をしておつても、なおまだ生産費を下廻るというような場合に、カルテルを認められるというふうな解釈になると思います。非常に条文の文句にいたしましても非常に漠然といたしますが、それは場合々々によつてこの要件を総合的に解釈して参りたいと思います。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 その点から今度考えて参りまするというと、例えばカルテルを作ります。同じような仕事をやつている企業がそれぞれ生産費が非常に違う、そういう場合に例は不況に対処するための価格カルテル認可してもらいたいと言つて来た場合、どの生産費をとるか、一番高い生産費をとるか、そしてそれまでするかどうか、これは合理化の促進の問題とも、関連して参る。それからそれをとるとしますというと、或る非常な優秀な企業では非常な利潤を確保されるということになろうが、そういう場合にはどういう生産費基準にするか。
  26. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) この法律考え方は、大体各企業の具体的な生産費勿論これは算術平均ではなく、いわゆる過重平均にいたしたものを基準にいたしまして、それが現実市場価格がそれより下廻つておる場合にとる、こういう建前になつております。併しその各企業生産費価格ということは、御承知のように非常にむずかしいことでございますが、この各企業生産費計算につきましては、第二号にございます合理化というような点を考慮いたしまして、例えば本社費であるとか、その他の点につきまして、非常に甘い計算をしておるものがあるだろうと思いますが、その点はかなりしぼりまして、各企業生産費認定をいたしましてその過重平均でやつて参る。大体そういう考え方でございます。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、不況の際に価格カルテルを作ります場合には、各企業生産費が明らかにされなければならんということが前提になつたわけであります。そうすると中には相当インチキな書類を出して来るものも多いと思いますが、これに対して公取委員会としては、それが果して正しいものであるかどかということについて、各企業原価計算等についてもお調べになる権限、それから単に出された書面を調べるだけか、もつと深く突つこんで調べる権限を持たれるのか、その辺のところを……。
  28. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) これは公正取引委員会調査権限の一般の問題でございますが、特にカルテル認可につきまして、特殊の規定がございませんが、一般的な調査の問題といたしまして、四十条、四十一条、四十二条等に規定がありまして、この権能を適当に行使することによりまして、実態を把握したいと考えております。勿論これは罰則等規定もございますので、或る程度励行し得ると思いますけれども、併し必ずしもこれだけで完全にできるかどうか、これは全く我々の役所の能力と申しますか、そちらに大部分がかかつて来るものと思いますが、大体三カ条の規定をフルに活用いたしまして、実態の把握につとめたいと思います。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 今まではカルテル行動を認めないとい立場つた従つてそのカルテル行動調査すればよろしかつた従つて恐らく原価計算等内容立入つて調査はしないでも済む面が多かつた。ところが今度に逆にカルテルの、不況の場合でも何でもそうですが、価格カルテルやり方をとるということになりますと、今あなたの御説明によると、その面まで深く立入つての問題のほうがより重要になつて来る。果してその際に従来のようなやり方で足りるかということが問題でありますが、その点について……。
  30. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は誠に御指摘通りでございまして、カルテル認可の問題が入りました結果、公正取引委員会としまして新らしい、つまりむずかしい仕事が入つて参つたのでございまして、今までの審判の仕事などとは非常に違つた面があると存じます。大体この仕事は、事務局経済部のほうでやつてもらうつもりでおりますから、経済部では大体今でもかなりいろいろな問題に関連いたしまして、こういう正式な認可というよなことではございませんけれども、従来のいろいろな問題に関連いたしまして、自然に原価計算等の問題その他にかなりタッチして参つておりますので、それらの機構を大いに働かせまして、なお先般来御指摘のように、できますればその陣容を強化することによりましてこの仕事をやつて行きたいと考えております。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 恐らく私は困難ではないかといふう考えるのですが、従来この調査のための資料提出と申しますか、この四十条に基いて強力にやるという例はたくさんございますか。それともこれは、あるだけで、実際にはこれが用いられなかつたというようなこともあるでしようか。
  32. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 今までは正式に第四十条と銘を打つてやりませんでも、大体出して参つておりまするし、中にはなかなか渋つておるものに対しましても、それでは正式に四十条で提出を求めるということにもなるかも知らんというようなことを申しますと、大体こちらの要求するような資料を出して来ておるそうでございます。従つて表立つて四十条を発動したことは今までは少かつたと思います。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 今後は価格カルテルを認めるということになりますと、恐らく原価計算等の問題について四十条を発動しなければならない。実際それができないような場合が相当あるのじやないかと思うのですが、その点に対する委員長の見解を……。
  34. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 或いは場合によりますと、これば発動しなければならないかと思います。大体認可を受けたいということでまあ一応の材料は、こちらの要求いたしまするような材料は出て来ると思いますが、それは先ほど申上げましたように、非常に都合のいいものが出て来ると思います。更にその適正、或いは正確なるものを出すということを求めます際には、どうしても四十条の発動を必要とすると思います。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、まあ価格カルテルの場合には、相当この四十条を発動しなければならないという場合が起るだろう。併し、果して大きな企業体が、じや四十条の発動を匂わしたからといつて、或いは発動するからといつて、あなたがたの期待できるようなものが出し得るかどうかということが問題になつて来る。それは相当脱税なんかで以て税務署がどうも公取以上の強い権限を持つていろいろまとめても、なかなか思うような何が出て来ないというようなこともありますから、なかなかどうも公取の今日の力、それから公務員に対する外からの圧力というような問題を考えて見ますというと、どうも私はお座なりになるような気がするのです。お座なりでなく、認可の場合にこれをやれるというだけの力をお持ちになつていると思いますが……。
  36. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は、実際にやつて見ませんとわからないのでございますが、併し大体認可の場合は、若し公正取引委員会が納得できないような資料しか出ないという場合は、結局認可が受けられませんので、その点は或る程度はこちらの要求にも応じていろいろ出して来るのではないかというふうに……これは少し甘い考え方かも知れませんが……。併し実際やつて見まして非常にうまく行くかどうか。まあ大体認可申請を求めて来るほうの場合でございますから、以前の場合とは違つて割合に出やすいのではないかというふうに私は考えております。
  37. 早川愼一

    委員長早川愼一君) この修正案の発議……衆議院の栗田議員から一昨日修正案についての説明がありまして、大体その際審議もありましたが、今日出席されておりますから、若し御質疑があれば、他のかたは大体おられたと思いますが、岡田委員は御不在でしたから、若しありましたらこの際……。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 では二、三……。それでは栗田議員にお伺いいたします。今度の修正の場合、あなたのほうの党から出されました修正が、自由党との話合いで変つて、そうして今ここに出ておる、修正案が……。その際に、価格カルテルが削られておるわけであります、まあ例によりまして……。この認可権の問題だけは大きく修正されたのでございますが、この価格カルテルの修正が削られたということは、これは事実上カルテル行為が行われ、それが一般化する突破口を開くというようになつたのかと思うのでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  39. 栗田英男

    衆議院議員(栗田英男君) その点も、実は先日の提案理由の説明のときに極めて簡単に申上げたいのですが、私のほうは委員長経済安定は改進党から出ておるのでありますが、改進党から出ておる当該委員といたしましては、価格協定を認めるということには絶対反対をいたしまして、大体改進党の政策委員会の了解を得て、当時では決定はいたしませんでしたが、大体このような当該委員会の案で各党と折衝画するということで、党の政策委員の了解を得て……各党と言いましても自由党と分自党と交渉いたしたところが、第一点は自由党が呑んだのですが、第二点はなかなか呑まない。そこでこの調整のために三日ばかりひまをかけてしまいまして、早急に参議院のほうに回付しなければならんということで、早く上げなければならん、併しながら自由党と当該委員との交渉もはかばかしく行かなくて、衆議院の本会議にかかる前日に、私といたしましては党に帰りまして最高判断をお願いしたわけです。ところが党といたしましての党議の決定は、とにかく価格協定はこのままで原案通り出せということが党の決定でありましたので、特に委員長以下私は価格協定を認めるということは極めて不満であつたのですが、党の決定でありますのでこれを破るわけには行きませんので、価格協定を原案通り呑んだわけでございます。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 その点は修正案のできたいきさつの御説明でございますが、この価格協定をあなたがたの党では反対をしておられた。委員のかたは反対しておられた。併しその点で改進党が譲歩された。恐らくこの価格協定に反対せられたかたがたはこれを認めることによつて、現在では例外的に認めるカルテルが更に一般化して行くのではないか、そのために消費者であるとか、或いは農民であるとか、中小企業者であるとかというものが相当大きな影響を受けるというようなお考えで、価格カルテルは認めないがよかろうというふうにお考えなつたのじやないかと思うのですが、これを放棄されましたについては、そういう点はたとえあつても止むなしというように党のほうでお考えなつて、この価格協定の線は削られたのであるかどうか。
  41. 栗田英男

    衆議院議員(栗田英男君) これは同じ委員の中にも価格協定に対する見方はいろいろあつたと思います。私の考えといたしましては、価格協定を認めるということは、どうしても生産数量なり販売数量、或いは設備の制限を十分やつたから価格協定を認めてくれと言つても、なかなかその実態をつかむということは困難であつて、どうしても価格協定をこの法案の中に認めるということは業者が安易に価格協定につくというような考え方と、この法律の中で、独禁法の中で価格協定を政府が認めるということは、これは非常な工合の悪いことである、根本が違うということで、私は価格協定というものを絶対に認めないということでした。それから特に委員長あたりはどういうことを考えておつたかというと、価格協定というものは別に認めなくても、業者なり生産者というものはこれは暗黙のうちにやつているのだ。これは暗黙のうちにやつていることはこれはしようがないのだ。生産数量なり或いは販売数量の制限をしておると、結局そこに暗黙のうちにやつておるが、而も価格協定というものも、これは又最後は私と結論が同じなんですが、政府がこれを法律で認めるということはこれはとんでもない話で、こういうことは全く立法の趣旨に反するからして反対である。こういうような意見でありました。最後には結局この価格協定を、この原案のように通産大臣がこれを認めるならば、今までの通産省やり方として非常にこれは危険極まりない。そこで通産大臣というものを削らないならば、もう我々は法を流しても断じて反対なのだ。併しながら通産大臣のほうは引つ込みまして公取本になつたりで、公取がずつとこの認可を恐らくしぼると我々の不安は相当に解消しに、こういうふうに私らは思つておりまするけれども、併しながら大体この独禁法の中で価格協定を認めるというとがありますし、実際はいけないのありますから、私の思想なり信念とうのはいささかも変つてないわけでのりまして、この価格協定というのはわゆる不良児でありますから、たまたまその教師が善良な教師に変つたからといつて、不良児がよくなるとは限つておらないので、これは悪いのですから、不良児自体を矯正しなければならぬという意味において、私は価格協定というのは、これを政府が認めてはかんという信念は今日も変りありません。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで公取委員長のほうにお伺いするのですが、今の点ですね、公取委員長としてはどういうお考えですか。それからこの価格協定というものが特にこの中に挿入されて来たということは、やはり相当外からの不平、要求があつた、或いは通産省側のこういう要求があつて、妥協として入つて来たのか。
  43. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) この価格カルテルは前国会にお出しいたしましたのにも入つてつたのでございますが、それは第三項ですか、その前段に当たる部分はこの前もございました。それは技術的な理由によつて生産数量の制限協定が著しく困難であるという場合に、止むを得ず認めるということで、このほうは非常にしぼつてございます。それにどういうものが当るかということを考えることがなかなか困難なくらいしぼつてあるわけでございます。今回お出しいたしました案につきましてはこれは通産省のほうからこのほかにもう少し価格カルテルを認める範囲を拡げてくれというような話合いもありましたり、その間いろいろな折衝ございましたが、我々といたしましては、成るたけ認めたくない気持もございましたのですが、併し止むを得ない場合に、全然認められないということでは困るのではないかという通産省の申出もやや理あるというふうに考えまして、但し生産数量等の制限と、これは同列に認めるということは到底了解できないことでございますので、改正案にございますように、応生産数量の制限をいたしましてやつて見たが、なおその実効がなく、事態を適確にすることが困難であるという場合に、初めて第二段階の問題として、価格協定をやる、この場合も、必ずしも前に僅かな生産数量の制限をやつて、すぐ実効がない、すぐカルテルというふうに行くものとは私たちは考えておりません。かなりの限度の生産数量の制限をやりまして、それ以上やりますと却つてのちのちその業界にいろいろな悪い影響があとに残るという場合に、時の応急的な止むを得ない服の薬として価格カルテルを用いる、こういう気持でこういう改正案を今度の提案の中に入れることを公正取引委員会としても承諾いたしたわけでございます。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のお話を伺つておりますというと、価格カルテルを認めろというのは、大体通産省側からの要求であつた。それで公取のほうではこれに譲歩して、いろいろ条件を附して認めることにした、こういうことを言つておりますが、今度認可権の問題も、改正法律案では、修正案では公取認可なつておるのでありますが、前には通産大臣認可ということになつておりた。こういうような点から見ると、通産省考え方といものは、大幅にカルテル活動を認める、而もそのうちにおいて、価格カルテルについても通産大臣認可権を持つことにより、又通産省側からそいうことを強く要求しておつたという点から見ると、かなり広汎にカルテル活動を許すというようなつもりでやつておられると思うのであります。今後この私的独占禁止法が実施されて参ります、この改正案が実施されて参つて、いろいろな認可の問題が出て参ります場合に、通産省側のほうのそれらに対する意見なり、要求なりというものがこれは必ず起つて参るだろうと思います。公取はそういう場合において、まあ形式の問題は別として、実際上の力ということから言つてどうも通産省側に今のいきさつから行くと押されておるよに思う。財外側からの、或いは通産省側からのまあそれを支持するような強い要望、或いは又或る政党から強く要望をするというようなことになつて来た場合に、公取として果してれに対抗してはつきりと今言われたような線を堅持し得る力があるか、私は非常に疑問に思うのです。公取としてはそういう場合にどういうようにやるおつもりか、お答え願いたい。
  45. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は結局公正取引委員会、殊に委員長並びに委員の決意の問題でございまして、御承知のように公正取引委員会に対しましては一種の身分的な保障もあるのでございまして、こういう場合に只今の身分の保障ということによつて法律並びに良心に従つた正しい判断をするということが我々の任務でございますが、今までもそのつもりでやつては来おりますが、今後こういう新らしい事ができましたのに際しましては、一層に我々初め職員同役所の任務ということの思いを新たにいたしまして御心配のないように万全の措置をいたしたいと考えます。    〔委員長退席、理事高橋衛君着席〕
  46. 高橋衛

    ○理事(高橋衛君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 高橋衛

    ○理事(高橋衛君) 速記を始めて。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 通産大臣にお伺いいたします。今度の改正によりまして不況カルテルが認められました。この不況カルテルが認められたということは、今の時期にこの問題がここへ出されたということは恐らく朝鮮休戦後における世界経済並びに日本経済が相当な影響を受ける。そのためにこれに処するため、或いは又合理化カルテルにしてもそれが主たる狙いではないかと思うのですが、その点はそういうようなことをお考えなつ改正案を御提出なされたのですか。
  49. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答えを申し上げます。これは朝鮮休戦というものは長らくできるだろ、できるだろうというようなことでして、大体の一般の空気もそいうことに考えられておりましたのですが、同時に我々の見通しといたしましてはアイゼンハワー大統領が出られてからの大体の形勢を見ておりますというと、世界の軍拡が少し引延ばされたという感じを受けておるのであります。そういたしますというと、今度は各国が正常貿易によつて、非常に世界で貿易の、即ち自国のために努力しようとい形勢が見えております。そうするという今後貿易の世界的の形勢はどうなるかと申しますというと、非常に競争が激化して来るだろう。競争の激化ということは結局日本の経済にとりましてどうかと申しますれば、只今でも日本のコスト高ということ、又もう一つは外国に対し門戸がよく開かれていない。無論外交交渉によりましてできるだけ貿易協定とか通商航海条約も結ばなければなりませんが、そういうふうな努力をいたしまして外国に門戸を開放してもらい、若しくは開いている門戸はもう少し拡げてもらう、こういことに努力はしますし、その一面に又日本の国内のコストの切下げなんかにいろいろの手を打つ努力をしつつあるのでございます。併しいずれにいたしましても、今後日本経済といたしましては、相当な苦難に陥らなければならないというようなことが予見されますので、そういたしますというと、商売の道としましてまあ仕方がないから一つ大量に作つて安く売つてというようなことに、これはこれとしていいことではございますが、併しその競争が国内的にも波及して来まして、そうしてその結果といたしまして何が出て来るかと申しますというと、外国には売れないし、併し内地においては需給のバランスが非常に失われたというようなことが出て来るのじやないか、こういうことが先ず私どもは心配の種でございます、そういう場合に自由競争の世の中でございますから、どんどんと倒れたらいいのじやないか、自分自身で見込違いでやつたなら倒れたらいいじやないかというような考え方をすべきものじやなくて、やはり何かそういう需給上のアンバランスが出て、そしてその業者が共倒れになる、或いは当該業者だけが倒れるということになるばかりじやなく、その財界の一角が非常な混乱を起しましたために、日本財界全体にいろいろ飛び火しまして、甚だしく言えば、大正九年のパニックのごときものが来やせんかというようなこともいろいろ心配されますので、そういう場合に財界を救う、こういうような精神でこの不況カルテルというものを、先ず我々が独禁法の趣旨はよく尊重いたしますけれども、不意の財界に非常な破滅若しくは危機を招くというようなことがあつてはならない、これを防いで行こうというような万一の場合を予想いたしましてこの法案を御提出申上げたわけでございます。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、朝鮮休戦の結果不況が来るということを前提としておるわけでありますが、この不況がかなり激烈な形をとるようになるかも知れないということもまあ大正九年のパニックの例をお引きになつて言つておられましたが、一体この不況に対してかような独禁法の緩和による一部のカルテル行為を認めるということではこの不況対策にはならん。これはまあ不況対策の一環であろうと思いますが、政府がこの予想されるところの不況に対してとる措置、これは金融上の措置もありましようし、財政上の措置もありましようが、大体においてこの内閣において、この不況に対処する総合的な政策としてはどういうことをお考えなつておりますか。
  51. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 内閣のとります総合的な政策と申しますことは、無論不況が来ますというと、そのときどきの情勢に応じまして我々といたしましてはいろいろ考えなければならんことと存じます。これはそのことが起きて来なければわからない次第でありますが、仮に現実に起きた問題から我々のとります態度を申上げますれば、この北九州における水害のごとく、ああいうような大変な突発事件が起きました場合には、これは今までの前例を破つてそうして資金上の援助だとか、物の輸送だとか何とかというようなこと、又税法のことだとかいうことも考えまして、総合的にそのときによつて不況を救うに必要であり、適切なるところの手段をとつて参りたいと思つております。でございますから、不況が如何なる形で出て来るかということにかかりまして政府のとるべき総合的な対策が当然自然に考えられると思いますが、只今こういう場合はああするああいう場合はこうするということを只今ちよつと想像がつきませんが、併しながらこの不況を救つて、そうして大きなパニックに至らないというために先ず不況カルテルというものは一応これは予想して考えられますから、この際はやりました。そういう趣旨におきまして、ただ単に不況カルテルを作らしてそうしてこれでやるといことばかりでなくて、恐らくそのような情勢が起きましたときには、それに最も適応し、又政府ができる限りの努力を尽して、これを不況から救うという手は打ちたいと思いますし、又打たなければならない問題と、こう考えております。
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はいわゆるパニックが起きたのではなくて、パニックが起きるであろうという、或いはパニックは起きないかも知れませんが、現在朝鮮休戦から起つておるところの世界的な軍拡のスロー・ダウンによる貿易等の沈滞、それからそれの国内への影響等に対して、例えば日本の産業がコスト高で以て、そのために輸出が不振になつてこれ又国内のいろいろな問題を起しているというようなことがありますのと、現在政府がとつております方式、例えば今度の予算に現われております船舶に関する利子の引下げの問題だとか、ああいうような問題、ああいうものを総合してどういうような政策をおとりになるのか。カルテルもその一つでありますが、それを私は総合してどういう政策をおとりになつているかということをお聞きしているわけです。
  53. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私只今まで御質問の趣旨がつかめなかつたものですから失礼しました。不況カルテルに余り頭を使い過ぎておるので、答弁が変なところに行きましたけれども朝鮮休戦ができるとそれから世界の貿易が激化するであろう、そうして日本の情勢は、外国の門戸も開かれていないし、それからコスト高である、こういうことに対して当然日本が不況に陥り、若しくは経済界が苦しい立場になるだろうというようなことについてどういうことを政府考えているか、こういう御質問だと思います。それにつきましてはいろいろ実はやつておるわけでございまして、私どもといたしましては先ず経済の自立には何が一番大事かと申しますれば、今特需によつて我々の国際収支はバランスを保つている。これは臨時的のものであつて、又我々としては自分自身の汗水によつて……無論特需も汗水によつてはおりますけれども、臨時的の注文とか何とかいうようなことによらずして、平常の道を踏んで行つて貿易ができる、その貿易ができるということが結局自立経済の根本でございますが、そこで我々といたしましては、日本の経済を建直しまするにつきましては輸出貿易が一番大事なことだ、輸出第一主義というものが私どもとしては根幹ではなかろうかと思います。これについていろいろなことをやつております。この輸出貿易につきましては基幹産業が先ずコストの合理化をしなければならない。そうしますというと、でき上りました完成品というものも安くなります。いろいろに分けてやります。先ず石炭に対する措置、鉄鋼に対する措置、今問題になつております硫安の問題とか、若しくは合成繊維の問題とか、電力の問題とか、いろいろございますが、これは簡単に項目を並べて我々将来日本が不況にならないように、輸出が振興して参りますようにと思いまして、とつておる題目を並べまして、同時に題目だけではございません、無論実行しておることではございますが、これを一つずつ申上げますと、石炭の合理化をして価格を安くして行こう。こういう方向を一つ決定して、それにつきましては竪坑を、五カ年計画でございますが、三十年度末までに三十三本くらい作りまして、三十二年度くらいまでには七十九本の竪坑を作つて、そうして非常に老朽したところの炭鉱を早く物が出せるというような調子にしてやつて行く。こういうことも一つの方法でございまして、これに対しても所要資金がやはり四百九十億くらいございますから、これを年割にいたしまして三十年度末までに完成する三十三本に対しまして百二十億くらい必要でございますし、二十八年度には約四十億円くらいの国家投をしてそうしてやつて行きたい、こう考えております。それから又中小炭鉱の機械化を計画しておりまして、これには採炭とか、運搬とか、選炭設備の合理化なんかをいたしますために三十九億くらいな予算を二十八年度持つておりましてそれに対しては国家資金を十億くらい出す。又税制の改正もいろいろここにやりまして生産の推進のために追加投資がよくできるようにしまして、坑道の堀進方法とか堀進機というようなことにつきましてもできるだけ低利な資金を投じ又安く行くようにする。又長期資金も大分持つておるようでございますから、これを一つ肩替りしてやりまして、安い金を貸してやる。それから又石炭の主要積出港の港湾荷役とか何とかいうものの能力を強化する方向をとるとか何とかいたしまして、石炭のコストを安くして行きたい。こういう考え方から一番大事な根幹である石炭に対しても、只今申上げましたみたいに、まだいろいろございましようが、方策をとつております。それから鉄鋼につきましては、これは御承知通りに、粘結炭と申しますものは日本で需要の全部を補うわけに参りませんので、自然外国から輸入をしなければならないと思いますけれども、併しこの粘結炭なんかも成るべく確保するという方向をとりますし、又鉄鉱石とか、屑鉄なんかのコストもやはり下げて行く、こういう方向にいろいろ指導助長しております。又鉄鋼と石炭とは関係がございますから、無論炭価の引下げができれば鉄鋼も安くなると思いますけれども、そのほかに、鉄鉱石を買つて来る場合に、外貨の割当なんかで割合に安いものが買える、こういうふうに指導をして行きたいと思います。先般予算の修正などがあつて、船会社に金を貸したやうな調子に鉄鋼にも何とか低利な金利の補給というようなこともして見たいと思つておりますが、まだこれはその緒についておりませんが、そういう意欲を持つております。それから鉄鋼の一番着手して現に実績を挙げておりますことは、設備の合理化をやるために二十六年度からやつておりましてこれは圧延設備の更新とか近代化を中心とした近代化、合理化でございますが、二十九年度にたしか完成するはずだと思います。それからいろいろ鉄鋼に対しては製鉄、製鋼部門、圧延部門につきましてもあらゆる合理化方策を講じまして、所要資金といたしましても相当な金を注ぎ込んで、国家資金といたしましても本年度は相当な金をとつておるわけでございます。  それから硫安も御承知通り今回ああいうような措置をいたしまして法案を出しまして、最もたくさんできるようにし、又国内の需要に十分マッチするように、而もマッチして国内の需要には何らの不足不便をかけないようにしてその余力を輸出に向けまして、外貨獲得に資して行きたい。又合成繊維なんかは実は日本の内地の材料で立派な衣料ができるのでありますから、これは只今八百万ポンドくらいできておりますものを、五年くらい後に一千五百万ポンドくらいに一つ伸ばして行きたい。こういう考えで、これに対してもこれは国家資金も投じて、今年は二十五億くらいを予定しておりますが、その他いろいろ考えております。そういたしますというと、将来外貨節約といたしましても相当なものが浮いて来る。五年くらい先になりますと、一億三千万ドルくらい合成繊維において外貨の節約ができやしないかと、こう考えております。又電力は御承知通りに相当長い間懸案になつておりましたところの只見川の電源開発もいよいよ決定いたしまして、あそこを推進して行きたいと思つております。又五年先に五百五十万キロワットくらいな出力を想定いたしましてぐんぐんと電源を開発して動力源を殖やして行きたいと、こう考えております。又輸出振興の直接の問題としましては、先ほども申上げましたように、輸出を阻害しておるところのたくさんの要因がございましてこれは主として外交交渉によつて阻害を除いて行くという方向に進んで行くために、外務省によくお願いしまして通商航海条約とか、通商協定とか貿易協定とか、こういうものの促進を図つておりますし、又関税障壁によつていろいろ通商に不便を感じておりますから、ガットに対する早期加入を非常に努力しております。それから新市場を開拓するにつきましては又外務省に東南アジア貿易推進のための委員会を作りましたり、通産省に貿易振興委員会を作つたりして、いろいろ実務家の御指示をこうむりましていろいろなことをやつております。その他まあ申上げればたくさんそういう方法がございますが、併し政府といたしましては、輸出第一主義を標榜しまして、これにあらゆる努力を傾倒してそうして進んで行きたい。この輸出貿易を振興させることは結局日本の経済自立を確立するゆえんでもございますし、その経済自立と申しますことは、底の浅い経済をもう少ししつかりした深いものにしてやつてつてもらいたいと、こういうような大きな方針から、いろいろな施策を推し進めたいと思います。
  54. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今対策の中には、例えば石炭の竪坑の問題にいたしましても、或いは化繊、合成繊維を日本において将来作つて羊毛なり或いは綿花の輸入を減少せしめるという問題にいたしましても、大体において五年先、六年先とかということにならんと効果が現われない。ところが朝鮮休戦によるところの不況というようなものは、やや緩慢ではありますが、すでに現われておる。そうして間もなくもう少し大きな波になるかも知れないというような事態にあると思います。恐らくそういうような場合における、極く手近な策でございますが、これはどういうところに力点を置かれているかということをお伺いしたい。
  55. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これはもう至極お説御尤もな次第でございまして我々が考えましたのは、例えば竪坑の開鑿なんかでも、僅かばかりでも年次別に進行をしておるわけでございまして、行き着くところは二割くらいな値下げになりますけれども、年度々々でそれは幾分ずつ効果を現わしておる状況には進んでおりますけれども、お説の通り、今回朝鮮休戦成立いたしまして、世界は不況と申しますか、競争が非常に激化しておる。この競争の激化しているときに、日本経済そのものがその競争に加われない情勢にある、もう少し速効薬がなければならないのじやないか、速効薬はどういうふうなものかと、こういうような御質問だろうと思います。私はその通りで、その点につきましては非常に苦心しておるものでありますが、併し御承知通りに、過去二年、三年、朝鮮事変が続きましたので、国民並びに業者のいろいろな消費の状況が一時にこれが変化をしている状況にあることは、これ又一つの事実でございまして、そこで我々といたしましては、これは皆様がたどうお考えになるか知りませんけれども、すべて物事というものは急激の変化がありました場合には、必ずその副作用といたしまして急激な変化があるときには非常な出血とか、若しくは打撃とかいうものが伴うものでございます。経済の建直しの一番いいことは、やはり病気を治すのには、いわゆる食つた栄養分が血にまじつて、そうして病気を治して行くということが一番副作用なしに病気が治るゆえんでございます。併しながら、これはどうしても今にも急に死んでしまうというような場合には、或いはリンゲルの注射とか、或いはカンフルの注射とか、特別なものを、血液の中にこれを押し込んで治して行く。それから又そうでなければ、又丸薬とか散薬とかいうものをそろそろ服んで、そうして治して行く。私は体の病気を治すにいたしましても、そういうように大きく分ければ二つの方策があると思う。日本の経済の建直しをいたしますには、私どもといたしましては急激な変化をせずにそうして自然に治して行く。即ち日本の財界が目に見えるような大きな打撃を受けずに治して行きたいというのがこれが念願でございますが、併し面と向つた貿易というものにつきましては、もうお説のように世界の貿易が激化しておるときでございますから、これに対応する策を講じなければならない。これはその通りでございましてその点つきましては、まあ輸出品というものだけにつきましても、何か応急策を講じなければならん。又たとえ物が高くつても、向うの高いものを買つてやれば自然にこちらのものを買つてくれるというようなことがありますれば、リンク制でも作りまして輸出をするというようなことでもしまして、そのときそれの状況を考えまして目先きの波だけを切抜けて行く。併し本当の建直しは五年くらいかかつて建直すのがいいのじやないかと考えます。只今特需がこの二、三年は続くという見込でがざいます。二、三年乃至五年くらいの間、特需のある間に、特需がなくてもやつて行けるような経済の建直をして行くのが長期の考え方、それから短期の考え方といたしましては、そのときどきの貿易の状況に応じまして、貿易がしやすいようにそのときどきに随時随所適正な手段をとりまして、そうしてこれを伸展させて行きたい、こういうことに考えております。又東南アジアあたりの国へ技術使節団を送りますとか、ニューヨークに国際見本市の事務所を置きますとか、使節団を中近東、中南米とか何とかこういう方面に送りまして、そうして向うの買い意欲を探り、同時に買い意欲に対してこちらで援助ができますれば援助してやる。それから向うの技術で学ぶべきものがあればこつちで学び、又技術を教える、そうして連絡をとりまして、そうして日本のものを買つてもらう、こういう方策を講じようと考えております。これはお説の通り長期計画といたしましては只今申上げたようなことをやつておりますが、短期計画につきましては、これはそのときどきにできるだけの努力をして、又できるだけの方策を講じましてそうして一層輸出を振興して行きたい、こう考えております。
  56. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ不況が目の前にあるというときに特需の長期契約が速効薬にならんということはおつしやつた通りでありますが、果してその場合にこの不況カルテルですね、これは只今生産数量の制限の場合もあるでありましよう、更に進んで価格協定という形で現われて来る場合もありましようが、この法律改正案にある不況カルテルはその対策の中の相当重い部分を占めておるとお考えになりますか、不況カルテルは目の前にある不況対策として相当重く考えられているかどうか。
  57. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) これは不況カルテルは商業的な目的を持つておるものでございまして、只今申上げましたように、できるだけ貿易の振興、特に輸出の振興というものにつきまして日本の経済自立に尽したいと思いますけれども、併しながら世界の情勢上、それをやつております過程におきまして、若しも業者が非常な生産をしまして、併し需要はそんなにない、そしていろいろ困難が起きるというようなことが出んとも限りませんが、そのときにはこの不況カルテルによつて一つ堰を作つて行こう。とにかく水に流されてしまうというような状況にならんとも限りませんが、併しそういう大きな波が出て来た場合には、この大きな土手によつて一つ堤防と土嚢で何とかして行こうと考えております。決してコンクリートの大きなダムを造るほどではございませんけれども、若しもそういうような大水が出ましたときにはここの不況カルテルの方法を以て、土嚢を以て一時防いで行く。だから結局我々としましては一時的の、消極的の不況を防ぐ方策と考えております。従つてこれは恒久的にその土嚢を積んで置くわけではございませんで、水が引いてしまつてそうして平静なときにはその土嚢は取りのけて元通りの田にし畑にして行く、こういうふうに考えております。極くテンポラリーに不況カルテルが結ばれて必要がなくなつたらこれを解除する。この解除するにつきましては通産大臣が必要なしと認めます場合にはこれの認可を取消しますのは無論のこと、私のほうで必要があると思いましても公正取引委員会のほうでもうそんなものを続けるときでないという御判断を下しますれば、公正取引委員会の御指摘によつて取消さなければならない。こういうことになつておりますので、これは本当の土嚢的臨時的一時の防衛手段である。こうお考えを願いたいと考えます。
  58. 岡田宗司

    岡田宗司君 今不況カルテル等を今度作られる途を開くことになりましたが、本法律がたとえできなくとも現在事実上或る意味で価格協定が行われております。それから又いろいろな生産数量の制限等についても事実上いろいろな方法で暗黙の了解等でカルテル行為が行われておると私は見ておりますが、通産大臣は現在大きな企業が、或る種の産業においてこういうような法を潜つてといいますか、或いは法に引つかからない方法でといいますか、とにかく事実上カルテル行為をやつているということをお認めになつているのですか。
  59. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私は只今カルテルが現に行われておるということはよく承知しませんのですが、この点におきましては私は厳然たる公正取引委員会がおありになりますのですから、若しそういうことがあれば公正取引委員会のほうで恐らく目を光らしていらつしやることと思います。通産大臣といたしましてはそういうことはないと今まで承知しております。
  60. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは表向きのお答えですが、実際は公正取引委員会のほうにもいろいろとこの問題ついては訴えて来るものもあるし、先ほどの公正取引委員長お話でもそういうような活動が行われておるということが言われておるのです。私は恐らく不況なつて参りますれば、例えば認可を求めないでも、こういうような自衛上といいますか、とにかく只今大きな企業が寄つてかようなことをやるであろうということが推測されるのであります。先ほども公正取引委員長がやはり不況になればカルテル認可申請もどんどん殖えて来るだろうということを言われておつたのはやはりそれを私前提としておると思う。そういたしますとこのカルテルというものが出て参りまして、生産数量の制限という方法を通じて間接にせよ、或いは又直接に価格カルテルという方法にせよ、価格を、このまま自然のあなたがたのほうの御主張になつておる自由競争を事実やめまして、そうしてその価格を維持する、場合によつては吊り上げるという方法が広く行われるのじやないかというふうに考えるのですが、その点はどうお考えになりますか。
  61. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) これは我々の考えておりますところと全く逆でありまして、私は先ほども申上げましたように、輸出貿易としまして大体一割乃至二割くらい物が高うございまして、今国際的に競争ができるのは繊維工業くらいのものでございますが、ところが繊維工業は今度は価格の点においては競争できるけれども、向うのドアがしまつたというようなことで実は苦慮しておるわけでございます。方針といたしまして価格の低下、即ちコスト高というものをいろいろな政府資金まで投じてこれを下げて行きたいということが第一の目標でございますから、業者がカルテルを結んで価格を吊り上げて行こうとか、低下を阻もうとかいうようなことをすることは我々は見逃してはならんと考えて、その点は十分留意して通産行政に当つて行きたいと考えております。
  62. 岡田宗司

    岡田宗司君 例えば合理化カルテル不況カルテルの名に隠れてそういうものができて来ました場合に、例えば硫安なんかの場合を見ますると、今までは内地において或る程度のそういうようなことから価格が維持されておる。併しながら海外に対してはそれぞれ或る程度の協定でやるものがある。こういうことになつて内地では農民に高いものを売つてそして高い利潤を得ておる。そして輸出をいたしましたものによつて或る程度の損失があつても内地で高く売ることによつてカバーをして、全体として相当な利潤を挙げるというようなことになつておる。これでは国内のコストを引下げようという努力がされても実際においてなかなか下らないのじやないかというふうに考えるのです。ほかの産業についてもカルテルができますと、どうしても国内において価格を或る程度吊り上げて国内消費者の犠牲において外に安く売るというようなことが往々にして起るのじやないかと思いますが、こういうようなことも不況カルテル等を許すということについてあり得ると御想像になつておつたかどうか。
  63. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) これは先ほどもたびたび申上げましたように、値段を下げてそして国際競争力を養うということは日本の国策でございますし、又国民経済のためにそうあらねばならんと、こう考えております。この不況カルテルは先ほども申上げましたように、余りに需給のバランスを失いましてそのために業者が倒れてしまうということになりますると元も子もなくなるから、それで元も子もなくなれば財界全般が倒れてしまうということにならんとも限らん。こういうような危険な時期にこれを防止するために作るカルテルでございまして、このカルテルによつて価格の引下げが阻まれるとか、若しくはコスト高を是正することができないような結果になるようなカルテルは我々は無論認めるわけには行きませんし、認めない考えであります。  それから硫安の問題が丁度出ましたが、この点につきましては私一つ意見があるのでございますが、あの硫安は出血輸出をしてそうして内地には高いものを売つてつたというような御非難が出ておつたようでございますが、併しこれを百歩を譲りまして若し輸出の余力のない、即ち日本の国内の肥料だけを作つてつてそれでやつて行くということにしましたら、私は恐らく今の安定帯価格以上にうんと高いものになつておるのじやないかと思います。  日本でとにかく高いものを売つて外国へは日本と比べては安く売つているということは今日これは農民感情から申しましても面白くないことでございましようが、そういう点から見ましてこういうことを是正したいと思いまして、今回いろいろ新らしい法律を作つてこの農民感情にも副い、同時にそういうことのないようにする努力をしておる次第でございますが、私はまあとにかく純経済的観念からいたしますれば、国内において物価のバランスのとれた値段で若し売りますならば、そのあとはその増産というものによつてこれを外国に出すということは純経済的に見たら不思議じやないと、こう考えておつたのでございますが、併し今日は民主主義の時代でございますから、そういうような会社の経理の内容、若しくは常道から考えますれば、多量に生産をして、そうして国内価格はこのくらいに売つておいて外国へは競争があるからうんと安くして売ろう、そうして利益は均分するとか、こういうことは感情上許されませんから、今後はそういうことのないようにいたしますが、私昔アメリカにおりましたときのやり方を見ておりますというと、アメリカでは国内経済の半分の値段、即ち百ドルのものは五十ドルで輸出をしておつた時代があつたのです。第一次大戦後の輸出貿易振興の非常な根幹になつておつたわけです。そのときにどういうことかと申しますると、内地の諸物価から見まして釣合いのとれた値段で時計とか蓄音機というものは売りまして、そうして外国へ出すときにはそれを半値で輸出したというようなアメリカの苦しい時代の経済というものも見て来ておりますので、まあ今日輸出貿易第一主義ということになれば、そんなことも或いはやらなければならんじやないかと、こう思つたこともあるのでござおますけれども、併し只今の国民感情上はそういうことは許されませんから、外国へ出すものも日本内地へ出すものも釣合いのとれたものでやつて行くということが趣旨でございます。よく言われることでございますが、余り日本の業者に独占さしておくものだから肥料が高過ぎるのではないか、安い肥料をどんどん入れたらいいじやないかというようなことも或る人から言われましたけれども、これは誤解のないように一つ御了承願いたいと思いますけれども、肥料は安定帯価格で行きますと、ドルに換算いたしますと六十一ドル乃至六十三ドルに当るわけなんです。ところが非常に西独は安い。西独の国内価格は五十ドルぐらいであると思いますが、併しこれは日本へ持つて来ますと十三ドルくらいな保険、運賃がかかるわけであります。そうしますとこつちへ持つて来ますと六十三ドルになりますから高いほうの値段に属しますし、それを今ちよつと考えますと如何にも高いのですが、日本の内地にたくさん入るだろう、たくさん入るということは別問題といたしまして、私どもこれをどんどん入れるといたしますというと、これはまあ商売でございますから市況によつて向うの国内価格の五十ドルを上げんとも限りませんし、もう一つは大量に輸入するということになれば、運賃保険料はもつとかかりはせんかということもございますから、只今の情勢では外国のものを入れまして、硫安なんか入れまして、そうして農民に安く供給するということはこれはちよつと考え方として間違つているのじやないかと思いますそんなことでございますので、この不況カルテルというものは、これは止むを得ず一つ御了承願いたいと思いますことは、これによつて価格を維持して置こうとか、若しくは価格が下つて行くのを食いとめて参るのだというための不況カルテルじやなくつて、むしろ財界が混乱して、非常な混乱に陥つた場合の土嚢として一応その波を防いで行く、こういうような臨時的の措置考える、そうして水が引いてしまつたらその土嚢はできるだけ早く片付けて、そうして平常な状態に帰るという趣旨で御審議をお願いしたいということだけを御了承願いたいと思います。    〔理事高橋衛君退席、委員長着席〕
  64. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 時間が大分過ぎましたから……。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだ不況の問題とカルテルの関係、それからまあ不況の時代における自由党の言われておる自由主義経済と、それからまあ統制との関係ですね、そういうものをお聞きしなければならんと思つておるのですが、時間がおありにならないようですし、お疲れのようだし、又私いずれ改めてお伺いしたいと思います。
  66. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 一応休憩いたしましようか……。  ではこれで休憩いたします。午後は二時に再開します。    午後零時五十七分休憩    —————・—————    午後二時四十八分開会
  67. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは休憩前に引続きまして経済安定委員会を開会いたします。  本委員会の調査報告及び継続調査についてお諮りいたします。御承知のように本委員会におきましては今期国会の当初日本経済の安定と復興に関する調査の承認を得てその後今日まで経済審議庁の業務内容政府当局の経済自立政策の構想等について審議を行い、調査を進めて参つたのでがざいますが、会期も切迫いたしました関係上、例によつて調査報告書を議院に提出いたさなければならんわけであります。つきましては本件は未だ調査を結了する段階に至つておりませんので、調査未了報告書を提出することとし、その内容は先例に従つて委員長に御一任願いたいと存じます。又調査事件の性質に鑑み、今後閉会中も引続き調査を行う必要があると存じますので、この継続調査要求をすること、及びその要求書の内容をこれ又委員長に御一任願いたいと存じますが、これらの点につきまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないものと認めまして、さよう取計らいをいたします。
  69. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは引続き私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案質疑を継続いたします。   —————————————
  70. 岡田宗司

    岡田宗司君 通産大臣がおいでにならんので甚だ遺憾なんですが、先ほどの私の質問に関連いたしまして公正取引委員長にお伺いしたい。先ほど通産大臣の話では、不況カルテルというもは、これはもう本当に不況を阻止するための洪水に対する土嚢のようなものであると、ほんの応急措置であるということが言われておつたのです。経済の全体の動きから行きますというと、カルテルの発生といいますか、形成というものは、どうもそんなものではないように私は思うのです。殊に不況のような場合になりますというと、特にそういうカルテルが公然或いは隠然と形成されるということは、これはまあ経済界の動きのどうも通則のように思うのです。従つて、先ほどの通産大臣の御意見というものが、私どもの見たところでは、不況カルテルにしろ何にしろ、これは例外的なものだということを根本にしての御議論のようですけれども、殊に委員長のほうにおきましては、不況カルテルなるものは不況の際には、何と言うのですか、経済界の実情からしてやはりどんどんできる傾向にあると、そういうふうに御認識になつておるかどうか。
  71. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 今回の改正案法律上認めますようなカルテルは比較的少ないのではないか、その点やはり通産大臣もそういう趣旨で、これは非常の場合の一時的なものであると、こういうふうに申されたように私も承わつたのでございますが、ただ法律が認めると認めないとにかかわらず、いわゆる不況の時代にはだんだんカルテルの方向へ実際に向いて参るという傾向のあることは、私もよくわかります。従いまして、例えばこういう規定を設けますとその要件如何にかかわらず、恐らく公正取引委員会のほうへカルテル認可申請というものの数はやはりかなり出て来るのではないかと思うのでございます。併し、実際に要件に当てはまつてこの法律上認められるようなものは、差当りは非常に少いのではないか。この点は衆議院の審議の際にも問題になりましたが、私もそういうふうに考えますし、通産省のほうのかたも、差当りこの法律要件に当てはまるようなカルテルがどの業界に果して起るか今からちよつと予測しがたいというふうに答えておられましたが、私もそういうふうに考えております。
  72. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで、公正取引委員会のほうではそういう認可をしなければならんようなものは少いのではないかということですが、私どもは本当に認可しなければならないようなものの申請よりも、むしろその認可をされるとかされないとかいうことを全然その考慮の外において、こういうような法律自体を無視して潜つてやる、全然認可を求めて来ないやつがたくさんできて来るのではないかと思うのです。それからまあ認可を求めて来ても、この認可には相当ひまがかかる。それじや認可を受けてからやるというのではなくて、もう認可を受ける前からどんどん実際上の行為をやつておるというのが相当出て来るように思うのですが、そこいらは一体この取締との関係はどういうふうになつておるのですか。
  73. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は、認可を受けないで事実上やるような場合、或いは認可を申請するにしてもあらかじめもうすでに始まつてつて、それをあとから追認するというような形の認可の申請がありはしないかというこの二点とも、私はそういうことが相当にあるのではないかというふうに考えます。結局前者につきましては、これは全く独占禁止法違反でございますから、できる限りこれを取締つて参らなければならんと思つております。後者につきましても、認可前の行為というものについては、やはり違反は違反でございますから、いずれにいたしましても、法律規定しますることから逸脱した行為がございます場合には、公正取引委員会としましてはできる限りの手続をとりまして法律を運用し、できるだけの措置をとらなければならないと考えております。
  74. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ公正取引委員会のほうは主としてどうも取締のほうなんで、取締のほうよりも、むしろその発生原因等についてお伺いしたり、或いは一般のどうも政策の問題と関連して来るものですから、どうもやはり通産大臣に対する質問を続けて行つて、そのときどきに取引委員会のほうの御意向を伺うというふうでなければまずいのですが……。
  75. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ちよつとお諮りいたしますが、岡野大臣は病気のために自宅に引取られましたので、他の政府委員でよろしかつたならば要求いたしたいと思います。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう少し細かい点に入りましたときには、私他の政府委員のかたにお伺いしてもいいと思いますが、まあ総論的なことですとやはり大臣がたをお願いするのが適当ではないかと思いますので、今日のところはこれで私は質問を打切りたいと思います。
  77. 鮎川義介

    ○鮎川義介君 私は今回の御諮問の点三つあると思います。一つ私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案、二が特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、三が輸出取引法の一部を改正する法律案、この三つだと思います。これはいずれも非常に重大な問題でありまするが、私は実は日本が敗戦いたしましてこういうふうになつてから、日本を復興するにはどうしたらいいかということを大分研究して見ました。恐らくこういうふうな法律で頽勢を盛返すということは不可能だと私は思うのです。改正してもせんでも同じことになるのではないか、いずれは……、という考えがございますから、私は今回これはいいとも悪いとも何とも申し上げまいかと思つておりましたけれども、併し他日やはりこういう問題は何か言うておかないと賛成いたしました場合にもどういうわけで賛成するのか、不賛成であればどういうわけかということを言わないといかんような良心もございましたので、一応私のこれは質問ではありません、意見です、申立てることをお許し願いたいと思います。それはこの一番主にありまする独占禁止法のできた原因から申上げまするというと、私から申上げるまでもなく、これは占領政策がこれを命じたわけでありまして、いわばこれは戦勝国の、日本に科した一種の罰則と思つたらいいと思います。私は皆さん御承知のように、大企業をやつてつたものでありまして、殊に財閥扱いを受けたのであります。そのことに関しまして随分深刻な取調べを受けたのでありまして、その間に感じましたことは、日本があれだけの戦争をやつたというのは原動力の一つとして財閥が非常な大きな力を振つた、少し極端に言えば財閥が儲けるために戦争に加担して戦争を始めさせたんだ、というようなことまで考えて我々の取調べに当つたと思われる節が多々あるのです。で殊に私なんかは満洲にその力を伸ばしたものですからああいう国を取つて、そうして財閥的な利益を壟断しようというふうなことでかかつておりはしないかというサスペンスを持つて随分そのほうから申されたのです。結局これはそうでなかつたということがわかりましたけれども、併しああいうふうに財閥の解体をするというようなことをやつたのは全く日本を無力化しよう、再び戦争を始めるがごとき力を持つ、即ち強くなるということはいかんから、弱く弱化するという一つの建前からああいうことをやつたものにほかならないのです。日本のために善政を施して日本の民衆をよくしてやろうということは、それは無論そういうことは謳われておりますけれども、本当は再びああいう戦争を起さないためには財閥のようなものがあつてはいかん、だから成るべくこれを小さく小分けにして、砂のようにする。コンクリートじやいかん、コンクリートでは力が出るからして、どうしても一つ砂のような無力なものにして、おのおの小さくして無化力するということが一番必要だということからああいうことが出たものと思われるのです。でありますからして、我々はそれを国内的に考えまするというと、従来財閥に対するいわゆる今日の民衆といいますか、中小企業というか、そういうふうなものとの間に一つの溝のようなものがありまして、これがいわゆる思想的にいろいろ私は問題があつたと思うのですが、この点は私は先だつても公聴会のときに社会党のかたがおつしやつたようなことは、あれは観念的にはそういうふうにお考えになるけれども、実際財閥というものはそういうものじやなかつたということはいつでも私は証明ができるのであります。この事実でないことを一つの観念、前提条件としてものを判断して行くということは非常に恐ろしいことになりはしないかという私は考えを持つのであります。若しそれが本当に事実であれば、これはどこまでもその問題を解決して行かなければならない。誤解によつてものを処置して行くことは非常にこわい。というのは戦勝国が日本に科したところのその一つの取極というものに却つて乗じて、そうしてだんだんやればやるほど、志は日本を民主化してよくしようと思つても、逆に日本が弱化して立つ能わざる境地に立ちはしないかということも一つ考えなければならない。こう私は考えたのであります。これは一つの誤解というものがもとをなしておることから、そういうことに行きますので、私は従来昭和十二、三年頃の、明治御維新からこつち日本の力が出て来たということは、これはやはり財閥のようなものが、丈夫なものが出て来て海外に対しても対抗力を持ち、又国内においてもそれが一つの財の大きな塊りがあるために下草が育つたということで、下草だけじや育つて行かない。要すに一つの大きな松の木があつてその松の木の露に下草が潤うて下草は繁茂し、松の木も又その下草があるがために自分が青々として行けというような、相互関係というものがあるということが、大体世の中にあることでありますから、それで財閥があるために非常に下草が栄えたという事実はたくさんあります。若しあれが、財の塊りが相当なかつたらば、昭和十二年頃までの日本の経済的の、あれだけの発達というものは恐らくなかつただろうと思うのです。ということは、日本にどうしても資源が乏しいのでありますからして、資源の多い国と同じことをしてもいかんのであります。資源の少い国は少い国のようなやり方があと思う。今日必ずしもアメリカの言うておるような問題が、すべてが世界的に及んで行けものじやない。立地条件も違つておりますから、いわゆる貧乏人は貧乏人のやり方というものがあると思うのです。それをつまり占領されて、負けたがために何でもかんでも勝つた人の言うことを聞かなければならんということは、非常に私は間違いだと思う。  そこで私はその中小企業問題というものを相当実際に研究して見ましたが、結局中小企業というものは今日のような情勢に陥つているということは、行政とかいろいろな他の圧迫というものよりも、じかに非常に病気がある。中小企業者の内部に殆んど逸すべからざる病根を持つているということです。それは何かと言うと、業者が、同業者というものの組合があつても、それがお互いに強力な結束をすることができないということなのです。これは殆んど例外なしに私は申上げることができる。ということは、中小企業者というものは大体個人的に立身出世のつまり達人がそういうほうに行くわけでありまして、いわゆるマス・ゲームできない、マス・ゲームには適しないような性質のかたがたが中小企業者になるわけであります。むしろ一緒になつてやつたらいいというのは、サラリーマンになるとか、お役人になるとかいうような人が却つて一緒になる力が強いのでありまして、中小企業者は、その者は非常に立派な人であし、又刻苦精励もされるし、財産がないといつたところで普通の労働者よりも財産を持つておる。それから自分のところには労働問題にしても、オフ・リミットになつておるというようなことで、大体はいい条件に恵まれておりながら、同業者が集まるというと結局損ばかりするということは、結局お互いが相反揆して、結束しないということから来る。その病気を治さなければ、対外的な問題から言うて、財閥があるから自分たちは駄目になるのだという観念は私は間違いだと思う。じかにその根、下の大きな病気を治して、そうしてそういう問題に取組まなければならないと私は思う。その点は私が随分長い間実際問題として研究して見まするというと、これは殆んど私は、漏れなく日本全体の中小企業者間にはびこつている大きな、深い病根というものは、そこにあと思う。それでありますからして、若しこれが、自分たちがよくなろうと思うならば、お互いが相助け合つて、強力なる、要するに力を以て行くこと以外には方法はないのです。それを持たないで、そうして自分たちが今日都合の悪いのは、強力なものがあるからして駄目だという考え方は、それは一つは現象として現われますけれども、大体において私は自分のほうがまだベストを尽しておらんというところに大きな欠陥がある。それで私はどうしてもそういうふうにするには政治力というものがなくてはならんというようなことから考えまして、今回参議院に出たような次第でありますが、この点について私は確固たる信念を持つておりまして、それは悪いことは悪い、いいことはいいということになつております。併しながらそれだけでありませんけれども、それは非常に中小企業者自体が顧みて是正しなければならん大きな私は欠陥だと思う。でありまするからして、それがあるために或いはこういうふうの法律がいろいろできましたところで、その問題はますます直らんほうに近付くんじやないかという虞れがありますから、私をして言わしめれば、この独占禁止法というものは全然ないがいいと思うのです。私はこの日本が敗れて今日復興するには、これを少々これぐらいいじつたところでは日本の経済力というものは復興しないと私は思う。やらんでもやつても同じことになりはせんかと私は思う。けれども若し本当にこれは日本の中小企業なり或いは財界をよくしようというなら、この独占禁止法というものは全部私はやめることがいいと思う。そうすればおのずから自己に立返つて、自分が必ず……、貧乏人は貧乏人の長所を持つておるわけです。必ずしも貧乏人が金持のまねをすることはない。金持を羨むこともないと思うのです。自分が、金を持つた人は非常に体が弱いということのためにそればかりを気にしておる。又貧乏人は金がないために金の持つておる人を羨む、権力のない人は権力を持つておることを羨むという、いわゆるジェラーシーの落伍心理というものが非常にあるんです。そういうことについてこういつたものでは私は駄目だと思うのであります。やはりそれは正々堂々の自然の法則に従つて行くべきものであから、私は中小企業者というものも自覚して行けば必ず中小企業は中小企業独占禁止法がないほうが、むしろよく行くという場面もあると思います。これは私の議論でありますからここでどうこうということを申上げる時間もありませんから申上げませんが、私はそれを確信しております。若しも独占禁止法がなくなつて、そうして自己がどうしてもこういうふうにして行かなければならんという場合に、そういうところの境遇を与えれば必ず私は発奮して今よりよくなる。こういう法律ができて保護するよりもう少し一段と発奮した大きな産物が私は出て来るのじやないかという自信を持つているのです。だからこんなものはおやりになつても又これは変えにやならんということがある。ただ併し政府のあり方といたしまして漸進的でもこういうことをやらなければいかんというお考えでおやりになるならばそれはよろしうございますが、私はこれがやつたからして、不景気がよくなるとか、中小企業者が非常に全幅的に立直るだろうということは私はあり得ないと思うのであります。それだけ考えているということを私は申上げまして、そうして本法案はどちらでも私は大差ないと思いますけれども、まあ併し折角できたことでありますからそういうことにするのだ、将来は独占禁止法というものは全部やめるのだというお考えを私は持つて頂きたいというために賛成したいと思つております。
  78. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記をとめて。    午後三時十五分速記中止    —————・—————    午後三時三十一分速記開始
  79. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。  それでは次に第二千六百六号国土調査法に基く地籍調査費国庫補増額等請願、第二千七百二十八号大山出雲地方総合開発事業に関する請願及び第二百四十八号只見川早期開発に関する陳情、以上請願、陳情三件について御審議をお願いいたします。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  80. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。  それではこの三件の請願及び陳情は、皆様の一致した御意見によりましていずれも議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時三十二分散会