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政府委員(中野
哲夫君) お答え申上げます。特需の受注につきましては、
只今御指摘になりましたような事例を往々私ども耳にいたすのでございます。ただその場合に先ほども御言及になりましたが、出血受注になるかどうかという点は、これの実態を見極めますことは、生産費を割
つておるかどうかということは非常に困難な問題でございます。それはさておきまして、特需が御
承知の
通りJPAが一元的に発注いたしております。而も直接発注という形をと
つております。そこで現実の事例は私
只今はつきりここで握
つてはいないのでございまするが、
お話のような場合もあるように存ぜられますので、
通産省といたしましては、従来発注が継続するという方向に持
つて行くようにいろいろ
考えておるのでございますが、アメリカ側といたしましては、やはり公正な
競争によ
つて、安いだけが条件じやございませんが、入札
制度によ
つてやる、こういうこれはアメリカの
独禁法の精神に則
つてのやり方ではないかと思いますが、
日本の
戦前の軍需工場のように工場を指定しまして、これを育成するというのが根本方針にはな
つておらんようでございますから、入札
制度にな
つておるわけでございます。そこでそういうことでは
日本の特需
産業の育成もおぼつかないわけでございますので、我々としては先般来
法律に基くわけではございませんが、重
工業局におきまして砲弾或いはその他の軍需品につきましてもこれらのA社B社C社D社というふうにいろいろな技術とか或いは経験とか、資金
関係とか、いろいろな点を調べまして、この範囲の工場に発注をしてもらえるならば、アメリカ側として合理的な価格による品質も保証のできるような製品が納められますということで、或る範囲の工場推薦制というものをと
つておるようでございます。そうなりますと、アメリカ側としてもただ入札だけでなしに、製品について規格、品質、納期等も安心したものを得られるわけでございますので、向うも利益する、又受注した者もそれによ
つて産業が発展する、こういうような
考え方によ
つて、さようなことを事実上行な
つております。又今国会におきまして、御審議を願
つておりまする武器等製造
事業におきましても、ほぼ今申上げましたような趣旨で、特需
産業の強化育成を図る、ばらばらのときどき思い付きみたいに注文が変
つて行くというような、
只今お話のような弊害は避けたいという、そういうところの狙いの
一つにな
つておる、かように存じます。