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1953-07-14 第16回国会 参議院 経済安定・通商産業連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)    午後三時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     早川 愼一君    理事            高橋  衛君            八木 幸吉君    委員            奥 むめお君            永井純一郎君   通商産業委員    委員長     中川 以良君    理事            松本  昇君            加藤 正人君    委員            石原幹市郎君            小林 英三君            西川彌平治君            酒井 利雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            藤田  進君            武藤 常介君            白川 一雄君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    公正取引委員会    委員      湯地謹爾郎君    経済審議庁調整    部長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局次長     小室 恒夫君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○私的独占禁止及び公正取引確保  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは只今から経済安定、通商産業連合委員会を開会いたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案前回内容説明を聞きまして、本日は質疑を継続して頂きたいと思います。なお質疑は大体通産委員かたがたに御優先をして頂きたいと思います。さよう御承知おき願います。なお政府委員側は、通産省企業局次長小室君、それから公正取引委員会横田委員長、同委員湯地君、それから経済部長の坂根君、経済審議庁岩武調整部長、以上のかたがたが見えておられます。御承知おき願いたいと思います。それではこれから質疑を継続いたします。
  3. 松本昇

    松本昇君 この前にもちよつと質問いたしたのでありまするが、まだちよつとはつきりしない点がございますので、それは再販売価格維持についてでございまするが、八幡製鉄所のような大きな購買会が、仮にこの再販売価格契約契約しなかつた場合、それはどういうことになるのでしようか。
  4. 湯地謹爾郎

    政府委員湯地謹爾郎君) 相手方が契約をいたさなかつた場合に、この再販売価格維持契約メーカー或いは卸売業者のほうから強制することはできないのであります。それで若しその同じ商品について、他の小売業者に再販売価格維持契約を締結しておりまして、仮に今の八幡購買会に対してのみ契約をしないで、そうしてその品物を売るということになりますれば、そうして契約をしないで売るということは、八幡購買会においてその定価を維持しなくてもよろしいということになるわけだろうと思いますが、そういう場合におきましては、その品物について、或るものに対しましては販売契約を締結し、或るものに対しては販売契約は締結しないというような差別取扱をするということはなかろうかと思います。そういたしますと、場合によりましては現行法の、或いは今度の改正法の公正な取引方法に該当する場合が生じて来まして、どちらかに一本にしなければならんということになろうかと思います。
  5. 松本昇

    松本昇君 そのどちらかになろうというのは何ですか、フリーに八幡製鉄所がやれるということになりますと、一般小売業者はやはり同じように被害を受ける可能性が多いのでありますから、そういう場合には、八幡製鉄所がそういう不公正な取引という立場から、役所なり或いは公正取引委員会のほうから勧告を出して、そういうことができないような措置はできないでしようか。この点は如何でしようか。
  6. 湯地謹爾郎

    政府委員湯地謹爾郎君) そういうことはできないと思います。役所のほうからそれを強制させるとか、或いはそれに従うようにという意味勧告公正取引委員会としては無理かと思います。
  7. 松本昇

    松本昇君 そうすると、そういう場合にはこの法案が通過いたしましても、現在やられておつたと同じようなことが八幡製鉄所あたりが自発的にやれば効果は、殆んど一般業者に与える影響は同じというても差支えないのでしようか、その点はどうなんでしようか。
  8. 湯地謹爾郎

    政府委員湯地謹爾郎君) 先ほども申しました通り或るものについて再販売契約を締結するということによつて品物供給する、或るものについてはそういう契約をなしに供給するというようなことは、さつきも申しました通り公正な取引方法に該当するのであります。そうして若し八幡のような大きなものが再販売契約を締結することをがえんじないということのために本制度の意義が失われるのじやないかという御趣旨の御質問でございますが、現在考えておりまする、ここに出しました案では、そういう虞れが多分にあろうかと思います。それで実は衆議院の委員会等におきましてこれは現在アメリカがやつております通り、再販売価格契約をしないものに対しても強制力はあるようにすべきじやないかという御意見もあつたのでありまするが、只今の我々の考えといたしましては、契約を結ばない人に対して強制させるということはいささか行過ぎじやないかと思つてその点は規定しなかつたわけであります。
  9. 奥むめお

    奥むめお君 その問題の裏返しの質問でございますが、今度の改正案協同組合が、農業協同組合なんかに再販売契約を維持しなくてもいいという例外をお認めになりましたが私ども消費者のほうから考えますと、そういう定価売りしないところに対してもう品切れですというて取引を事実上しないという想定ができるわけです。そういう場合にはどういう助ける途が用意されておりますか。メーカーがもうないというのですね、品物を注文したときに。協同組合でなくなつた場合に注文しますが、あすこは定価販売しないから例外だから品物がありませんといつて断わられる。ないからないといつて断わられるということになるのですね。そういうメーカー業者のほうに防禦の対策をとる可能性があると思います。そういう場合にはどういう助ける途が用意してあるのですか。
  10. 湯地謹爾郎

    政府委員湯地謹爾郎君) 生活協同組合等が、この再販売維持契約強制を免れて行くということのために、メーカーがそういう組合に対して品物供給する際に、品切れというような口実の下に供給を差控える虞れはありはしないかという御質問だと思いますがこの点について実際に、本当に品物がない場合は別といたしまして、品物はあるがそこが定価売りをいたさない関係定価売りをするほうへ品物を廻して、故意にそこに品物を廻わさないというようなことになりますれば、やはり先ほど申しました通り業者によつて差別取扱をするという形になりまして、場合によりましては不公正な取引方法に該当するということになろうかと思います。そういう意味で不当にそういう供給を停止されるというようなことに対しましては、そういう生活協同組合等においては公取等に対しましてそういう事実の申入がありますれば、当業者或いはそのメーカーに対して不公正な取引方法に該当するものとして処置する場合があろうかと思います。
  11. 中川以良

    中川以良君 私から先ず最極に承わりたいのは、独禁法改正の問題が先年以来いろいろこれ論議されて参つた問題であります。殊に通産省公取との間、或いは経済審議庁の間でいろいろな、私は論議が交わされたように承わつておりまするが、ここに成案を得られたまでの一応の経緯と申しまするか、経過についての一つ概要お話頂きたいと思います。
  12. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 御承知のように今回提案いたしました案は、大体において前国会にお出しいたしました案とほぼ同じでございます。従いまして前回の案が成立いたしますまでのいきさつを簡単に申上げます。  独立回復前からこの独占禁止法改正は問題になつておりまして、これは単に財界のみならず公正取引委員会自身といたしましても或る程度改正は是非ともいたしたいと考えておりましたが、司令部のございました間はいろいろな関係から遂にそれができませんような状態でてございまして、独立回復後直ちに公正取引委員会といたしましても独自の改正案いろいろ検討しておつたのでございます。又これと並行して勿論財界並びに他の行政官庁方面におきましても、いろいろ研究があつたようでございますが、この研究の結果をどういうふうに法律にいたして、改正案といたして出すかということにつきまして、昨年の暮に私が官房長官をお訪ねいたしまして、いろいろ御相談いたしました結果、先ず基本となるべき案を公正取引委員会で作りまして、それを他の官庁、殊に一番関係の深い通産省等と大いに検討いたしました結果、成案を得て閣議に出して議会にお出しをするということになりまして、昨年の暮から今年の正月にかけまして、かねがねの研究の結果に基きまして一応の要綱を作りまして、当時直ちにそれを一方において天下の御批判を受けるという意味におきまして新聞紙等に発表いたしますると同時に、それと並行的に各省その他財界等の御意見も承わりまして、この要綱中心にいろいろ検討いたしました。この要綱案につきましては通産省、主として通産省でございますが、等の機関に多少の意見の相違もございました。併し、基本の線につきましては殆んど各省の間にそうひどい懸隔がございませんで、いろいろ折衝いたしました結果、大体カルテル認可権主務大臣が持つか、或いは公正取引委員会が持つかという点が最後まで決定いたしませんでございましたが、大体その他の点につきましては意見調整が行われまして、これを次官会議にかけましたがカルテル認可問題は遂に次官会議でも決定いたしませんで、閣議に持込まれまして、閣議において主務大臣ということになりました。但しこれは要綱でございましたので、具体的な案は又次官会議に戻りまして成案を得るということで、その後法制局等中心にいたしまして要綱に基く法案の起草に取りかかりまして、結局認可問題も只今お出ししておりますような公取の認定、主務大臣認可という線でまとまりまして御提案をいたすようなことになつたのでございます。今回更に提案をいたします際にもいろいろ考えましたが、大体前回の案でよろしいということでございましてただその後二、三通産省のほうからもうちよつとこの点についての修正をして欲しいというお申出がございまして、御承知のように不況カルテル価格協定を認めます場合をいささか拡げましたことと、それから合理化カルテルの中に一種の品種の配分とでも申しますか、そういうものを少し加えましたことと、それからカルテル認可の問題にからみまして通産大臣にも一種の、或る程度調査権規定するというような点に若干の修正が加わつたのでありますが、その他は全く前回お出しいたしました法案と同じことになつております。
  13. 中川以良

    中川以良君 法案提出までの御苦心は私ども大変多とするのでありますが、この法律趣旨といたしましては、第一条に述べられておりますように先ず我が国の立ち遅れた産業の確立に役立たせ、一方において消費者需要者利益をも確保いたしましてそうして日本経済の民主的健全なる発展に資しようというのでございますが、これに対して今回の改正を以て果してその通り実施ができるかどうか、公取といたしまして本当に信念を以てこれを御提出になつておるのか、或いは今お話のように通産省とか或いは経済審議庁とかのお話によつて或る程度妥協をせられたいわゆる折衷案であるのかどうか。この点公取としての確固たる御信念を承わりたいと思います。
  14. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) この点は大体今度の改正案は最初に公正取引委員会が決定いたしました基本的な線に沿うてできておりますものでございまして、その間に私どもといたしまして必要以上の緩和図つたというような点は全然ございません。私どもといたしましては大体この線におきまして、独占禁止法第一条の申しておりますところの競争を通じて、民主的に健全な国民経済の発達を期するという線を十分守り得るという自信を以ちまして今度の改正案をお出しいたした次第であります。
  15. 中川以良

    中川以良君 それでは一つ通産省経済審議庁に伺いたいのでありまするが、今公取委員長からお述べになつたのでありまするが、通産省経済審議庁もこれを以て十分に満足をしておられるのであるか、或いはなおかように改めたいけれども、折衝した結果この程度に妥協したというような結果から出て来た成案であるか、その点を一つ伺いたいのであります。
  16. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 通産省でございますが、基本的な立場只今公取委員長が申された通りであります。この案で以て原則的に結構だと思う次第でございます。
  17. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 経済審議庁でございますが、大体におきましてはこの提出されました原案におきまして結構だと思います。いろいろ消費者生産者、或いは販売業者との利益の対立がございますので、結局はそういうふうな利益調和点を見出すことにあるのじやないかというふうに考えております。いろいろ両方からの主張を組合せ、調整しますと、大体この辺が現段階独禁法改正としては適当であろうかと存じております。
  18. 小林英三

    小林英三君 では中川君の質問に大体関連しておりますから、承わりたいと思いまするが、昭和二十二年に制定されました現在のこの独禁法ですね、これは勿論占領下において制定されたのでありまして、私どもが素人として聞いておりましても、まあ相当苛酷といいますか、峻厳といいまするか、ここにも各国独禁法との規定の対照を頂戴しておりますが、まだよく読んでおりませんからわかりませんけれども、とにかく相当厳しい独禁法であるように私ども考えておりますが、公正取引委員会におかれましてもやはりそういうふうにその当時お考えでありましたかどうか。
  19. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点はく御同感でございまして、それはむしろ司令部自身もこの法律日本民主化を促進するために少しきつめにできており、又これを施行する態度もむししろ少しきつめに指導をしておるということを当時総司令部自身も認めておつたようであります。
  20. 小林英三

    小林英三君 先ほど横田委員長お話によりますと、日本独立をする前から日本経済実体に副うて何とか独禁法改正しなくちやならないというようなお言葉を聞いたのでありますか、前段に私がお伺いをいたしました、いわゆる昭和二十二年に現在の独禁法が制定された当時にも、占領軍からして経済民主化のために相当厳しいが、日本経済民主化にやるのだ、まあこういうお話があつたのでありますが、その当時におかれましても、これは日本経済実体からして、こういう独禁法をこのままで置くことは無理だ。ただ占領下だから如何とも仕方がない。直ちにこれじや無理だから改正しなくちやならんのだというようにお考えになつておりましたかどうか。公正取引委員会並びに政府側のほうからこれに対して御意見を拝聴いたしたいと思います。
  21. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 御承知のように昭和二十四年になりまして司令部自体も余りきつ過ぎるということを認めまして、株式の保有の問題、或いは役員兼任の問題、或いは合併等認可にしておりましたのを大体実質は似ておりまするが、事前届出制にするとかいうようなことにいたしまして大分緩和をいたしたのでございます。併しながらこれでもまだいわゆる予防規定の面におきまして多少きつい点がございますので、我々としましては二十四年の改正があつたにかかわらず、その後も引続いて改正の必要を認めておりましたし、なお、二十四年の改正の前に、二十三年に御承知のように事業者団体法という、これ又独占禁止法に輪をかけたような極めて峻厳な法律が制定されまして、この問題につきましては、もうその制定のときから余りにきつ過ぎるという点をしばしば我々も司令部のほうにも申出まして、これは幸いにして独立回復前でございまする前国会前に司令部の或る程度の了解を得まして、独占禁止法基本的な線のところまで事業者団体法は、昨年の国会で以て修正することができたのでございます。
  22. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは一つ占領政策批判になるかと思いまして、或いは政府側といつたまとまつた見解ではないと存じますが、この占領初期におきましては、むしろこの財閥或いは極度経済力集中形態を分散さして、比較的この解放的な形の経済体制をとつて参ろう。それからもう一つ事業者団体等占領末期におきましてはそういつた形で結成されましたので、そういうふうな団体を通じまして政府による経済の支配がまあ強くなつて参るのを防ごうというふうな趣旨政策が強くとれらたことは御承知通りでございまして、これは只今公取委員長か申されました事業者団体法であり、或いは過度経済力集中排除法であつたと存じております。つまり経済復興過程におきましてはカルテル的な経済動きよりもむしろそういうふうな過去の経済のいわば固まつた、息の通らないような形のものを解きほぐして参ろうというふうな政策が強くとられたのではないかと思つております。ところがその後だんだん経済も回復して参りますのと、もう一つはそういうふうにばらばらな小さい企業形等をたくさん作つて参つても、日本のような市場が小さくて資源の少い所では、本当の国際的な競争に堪え得るような企業なり産業はできて参らないというふうな点がだんだん認識されて参つたことだろうと思います。かたがた以上のような占領下経済法規は、これはいわばまあローラーをかけ直すような極端な政策でありますので、どこの国でも正常な経済下においては見られないような極度の峻厳なものであつたことは、これはまあ疑いないところたと存じております。で、占領末期におきましてだんだん日本経済も回復して参り、国際経済社会に加入して参る、そういう事態になりまするとそういうふうな法規の制約を非常に強く不自由に感じて参るのはこれは当然のことであります。それが朝鮮事変の終りになりまして景気の波かやや反転して参りますると、そういうふうな在来の資本集中関係よりも、むしろ企業間の協定といつた形のものか、今カルテル行為と申しまするか、そういうふうなものが現われて参るというのはこれはもう経済の必然の動きだろうと思います。そういうふうな経済関係考えて参りますと、結局経済法規は、これは経済の運営を律するものでございまするので、千篇一律万古不易というふうなものはあるわけではございませんので、そういうふうな経済動きの中において、その合理性を認めながらも、而もその半面、それによつて生じまするいろいろな弊害を防止し、或いは制約しながらその間の調和点をとつて参ることは必要だろうと思つております。先ほど私が経済の現段階ではと申上げました意味はそういうふうな意味でございまして、昭和の初めの大恐慌のようなああいうふうな極度経済の萎縮、或いは混乱状態になりますると、これは又別の考えが出るかと存じますが、現在程度のいわば景気の反落或いは停滞といつた形の時期におきまする経済法規としましては、大体提案されておりまするような線の考え方で結構ではないかというふうに存じております。
  23. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 私的独占を防止してできるだけこの経済面における自由競争確保して行きたいという考え方は、これはまあ独禁法占領下にできたものではありますけれども占領下と否とを問わず、理想としては結構なことだと思うのであります。ただ理想を追う余り占領下にできた法規、或いは今日改正対象になつている独禁法は、どうも実情に即しない、少し行過ぎた点が多々ありますので、今経済審議庁からお話のありましたような経済変動に応じて柔軟性のある対策経済界が講ぜられないようなことにもなつて参り、これは又国際的な競争に伍して自立経済をやつて行こうという日本立場からいつても不利益な点が多々ある、こういう行過ぎを是正して行きたい、こういう考え方でございます。
  24. 中川以良

    中川以良君 只今公取並びに政府側の御答弁からいたしましても、今までのいわゆる独禁法並びにこれに関連した法律というものは世界を眺めまして他に類例のないいわゆる峻厳な行過ぎの法律であつたという話であります。そこでこの行過ぎが是正をされたわけでございますが、これを国際的に眺めまして、各国カルテルトラスト等制限法規等と比べまして、今回の利らしく今制定されんとするこの法律は、その立場は一体どういうところに置かれておるか、こういう意味において先般私は米国、西ドイツ等比較資料をお願いしたのでありますが、本日ここに資料を頂いておりまするが、この資料に基きまして、一つ日本の今回改正せられんとする法律の地位は一体他と比較してどういうところにあるかというような点を一つ説明を願いたいと思います。
  25. 湯地謹爾郎

    政府委員湯地謹爾郎君) 今回提案されておりまする独禁法改正案によりますれば、お手許に各国との比較資料がございますが、このうちで現在西独におきましてその国会において審議されておりまする競争制限法というものと大体同じでありまして、或いは場合によつてはそれよりも幾分緩和している点があるかとも思います。一番各国のうちで厳格なのはやはりアメリカ法制であります。尤もアメリカ法制は御承知通り条文といたしまては非常に簡単な条文になつておりまして、それが実施過程におきまして、委員会の審決なり或いは裁判所の判決なり、そういうおのおのケース・バイ・ケースに判例が重ねられておりまして、それがむしろ実質法規と同じ効果を持つておるわけであります。それからよく現行法各国比較いたします際に引合いに出されますのはイギリス法規であります。イギリス法規におきましては、御承知通り、いわゆるカルテルの問題につきましては業者が自主的にカルテル実施いたしまして、そうしてまあいわゆる届出主義でありまして、そうして行過ぎの分は後に是正する、こういうやり方をいたしておるのであります。その意味におきまして、日本の今回の改正によりまする法制イギリス等に比べて相当厳格であるのではないか、少くともイギリス並みにしたらどうかといい意見財界等からも、特に鉄鋼関係業者のほうからそういう御意見が出されておるのであります。併し実は我我といたしましては、これは一つ考え方でございまして、イギリスにおきましては御承知通り、鉄、石炭等相当重要な産業イギリスにおきましては国有或いは公有というような政府の直接監督乃至規制の下に置かれておりまして、むしろこの独禁法に似た法制によつて対象になつておる面は、どちらかと申せばそれ以下の産業、言い換えれば小さい産業対象になつている、こういうふうに考えられるのでありまして、そういう分につきましては、場合によつてカルテル等におきましても届出主義、そうして事後に弊害があるものはこれを除去するという方法でやつてもよいではないかというような意味が、実は先ほど委員長からもお話がありました通り、この本法の改正案におきましても、特定の重要な産業以外の産業の分につきましては、そのカルテル届出制にしたらどうかという意見が或る省から出たような程度でありまして、そういう全体から申しますれば、必ずしもイギリス等に比べて非常に厳格だということも言い得ないのじやないかと思うのであります。それから同時に最近の情勢といたしまして、アメリカのいわゆる経済援助を受けております国々におきまして、或いは通商航海条約或いは国際連合社会経済理事会の申合せ、或いはMSA等の中にもその条文があると思いますが、その援助を受ける国におきまする制限的商慣行、言い換えればカルテル等に対しましては成るべくこれを自由競争にできるようにというような意味規定があるのでありまして、そういうような世界的傾向から見ましても現在程度改正が最も適当でないか、我々は公正取引委員会としては最も適当なところでないかというふうに考えておる次第でございます。
  26. 中川以良

    中川以良君 今の御答弁によりますると、まあ大体西ドイツは今改正せんとしておる法律と大同小異である、英国よりは幾分きついというような御見解であつたのでありまするが、まあ英国の程度にすべきであるという業界の要望等もございまするが、これらに対して一つ政府側の御見解がどうであるかという点を伺いたいのが一点。それから今後こテの法案通りますると、いずれにしても従来の独禁法緩和されるのでございますから、これに伴つていわゆる通商条約の締結だとか、或いは今問題になつておりまするガットの加入問題だとかいうようなことに対してどういう影響があるか、殊に只今審議中の輸出取引法の改正案が出ておりますが、こういうものと関連をいたしましてどういうような影響を及ぼすか、これがためにそういう方面に悪い影響を与えるようなことがないかどうか、そういうような点につきまして一つ政府側の御意向を承わりたいのであります。なお、この機会にガットの問題がどうなつているかを極めて簡単に一つ説明を願いたいと思います。
  27. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 先ず第一点は、この西ドイツの立法例、或いは英国の立法例と比較して、通産省として今度の改正法案をどういうふうに考えるかという問題についてお答えいたしますが、カルテルをまあこれはいけないもの、悪いものとして原則的に禁止いたしまして、まあ止むを得ない事態に対応する非常の策としてだけ例外として認めるという考え方と、それから又カルテルというものは今日のような経済では自然に生れて来るものであつて経済体制が今日のようになつていれば、これは防いでも防ぎとめ得られるものではない、いわば自然発生的な産物、必然的な産物なんで、これは認めて弊害だけ防止すればいいじやないか、それにはまあ原則的にこれを認めて事後の取締をやればいいじやないか、こういう考え方と二つの根本的な考え方があると思うのであります。これがまあ理論としてはどちらにも言えるものであります。実際面としてこの不況対策その他に直面しておる一部の産業等においてはまあ後者の考え方カルテルは当然認めてもらいたい、こういう考え方に傾くことも当然だと思うのであります。又事後の取締というものが非常にうまく行けば確かにそれも一つ考え方だと思うのであります。ただ経済の制度というものは余り急に百八十度の転回をするのも如何であろうか、やはり漸進的に変えて行く、又その変えたあとの運用状況もいろいろ見て行くというようなことも必要じやないかというふうに考えますので、理論としては通産省の中でもいろいろございまして、最後まで今のような二つの考え方をいろいろ議論したこともございますけれども、今日の状態においては、やはり只今提案されている程度のものがいいのじやないか、こういう考え方に固まつております。それから国際的な影響の点でありますが、まあ只今公坂から御説明したように、この西欧諸国の中で非常に重要な地位を占めておる英国の法令も非常にまあ厳しいものじやございせんので、大体そこまでも行かない程度緩和でありまして、輸出取引法というようなものはそれと同じものが英国にあるとも思いませんけれども、まあ総じて言つて、今日提案されている程度独禁法緩和程度通商航海条約或いはもつと言えば平和条約とかその他に書いてあるような国際的な義務といいますか、日本側の守るべき筋道というものに抵触して国際問題を起すというようなことは全然我々はないということを確信しております。  それからガットの問題でありますが、私通商関係を直接担当しておりませんので、殊にまあ大分デリケートな状況になつておりますので、万一言い間違いがありますると何でございますから避けたいと思います。ちよつと簡単に加入の手続が済むかどうかちよつとわかりかねるような雲行きもあるようでございます。これは別途通商局長から或いはその他から御説明頂くと思います。
  28. 中川以良

    中川以良君 岡野通産大臣基本政策におきましても、まあ今後日本産業の振興発展のためには、何としても貿易の拡大伸張をしなければいかんということが最も大きく取上げられておるのでありまするが、今回或る程度カルテルのように、こういつた独禁法緩和によつて輸出産業に対してどういうふうに影響を及ぼすか。只今輸出産業を全般的に眺めますると、日本が非常にコスト高になつておる。そのために輸出が頭打ちになつて、殊に他の日本の近くの台湾或いは東南アジア方面においても、欧州方面の進出に負けて行くというような状態でありますので、この独禁法緩和によつていわゆる合理化が促進をし、価格の引下げになるかどうか、或いは又この運営如何によつては逆の結果を招くような虞れもなしとはしないだろうと思うのであります。こういう点についての政府側一つ御所見を承わりたい。
  29. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 先ほども我が国の経済の国際的競争力を強化するために独禁法を或る程度緩和しなければならんということを申上げたのでありますが、これはまあ独禁法自体でなくて輸出入取引法その他を含めて申上げたわけでありますが、それはともかくといたしまして、この独禁法の中で以て、今度新らしくカルテルを認める場合に不況カルテル合理化カルテル、この二つ大ざつぱに言つてあるわけでございます。不況カルテルのほうは、これは特定物資の需給が非常に不均衡になつて、生産費割れというような事態が起つた場合に発動する非常対策、こういうことでございますので、まあ不況カルテルを結んだから直ちに当該物資のコスト高というか割高が更に促進されるというふうにも考えませんけれども、ただどうしてもこういう不況カルテル等は悪く行くと価格の吊上げになる、そうするとただでさえ価格が割高になつている日本の輸出物資について高くなるという懸念はございますので、これは認可の点は私どもとしても十分厳重に審査いたしたい、こういう考え方でございます。それから合理化カルテルのほうでございますが、これは合理化カルテルは品質の向上、能率の向上或いは価格の引下げ、結局まあ最終的にはいい品物で価格が下るということを目的にして今度新らしい合理化カルテルを結ぶ途を開いておりますが、かなりしぼつた規定にもなつておりますし、これで以て直ちにどれだけの価格引下げになるというようなことを今から想定することは少しく早計かと思いますが、併し今までの日本産業或いは業界全般に非常に無駄な競争をして無駄な投資をやり、どうも一社一社の立場だけで猛進して、結果的に非常につまらない浪費になつて、更にそれが物資のコストを高めるというような弊害も至る所に見られることでありますが、合理化カルテルをそういう際に認めまして、そういう浪費をできるだけ防いで行く。例えば屑鉄なら屑鉄の協同組合、機関の回収というようなことも合理化カルテル一つの狙いにもなつているようでございます。まあやたらに制限された物資供給の、制限された物資を買い漁ることをやめて鉄のコストの引下げに役立てよう、そういう趣旨のようでございますが、いろいろやり方があると思いすが、究極において独禁法例外規定として認められたカルテルはどの程度ということはなかなか申しかねますけれども日本の輸出品の競争力を阻害しない、又強化する方向へ好影響がある、こういうふうに考えております。
  30. 中川以良

    中川以良君 今の面は今後の運営におきまして極めて重大な問題と思いますので、その点は一つ通産当局におきましても十分慎重にやつて頂きたい。殊に通産省に対しましては、多年基礎産業がいわゆる中小企業等の犠牲において輸出されるというようなことがないようにもつと国家としてこれの合理化を促進し助成する途が幾多あると思います。そういう点を併せて十分に御考慮を希望いたしたいと思います。これは御答弁要りません。  それからもう一つ伺いたいのは、トラストについてですが、十条によりますと、競争実質的に制限するようないわゆる株式の取得等は禁止をされておるのでありますが、実質上独占的な会社が存在するような場合ができて来ると思います。例えば競争会社が力がなくてそれが自然消滅してなくなつてしまつた、そういう場合にはその会社は自然のうちにこれは独占的な事業になつて行く場合が想像されるのでありますが、そういう際には又再び集中排除法みたいなことを実施される御意向かどうか。これは公取のほうではどういうふうに考えておりますか。そういう場合は予想されておらないかどうか。この法律を見ますると、そういう場合は一応取締上そういうことをしなければできないように考えられるのでありますが、その点を一つ説明を頂きたいと思います。
  31. 湯地謹爾郎

    政府委員湯地謹爾郎君) 現在の現行法におきましては、不当な事業能力の較差を持つている会社に対する取締規定があるのであります。併しその場合におきましても、そういう能力を持つに至つた過程なり原因において、これは公正な適正な競争の結果そういうふうになつた会社でありますれば、これは取締るというつもりはなかつたわけであります。併し今回の改正におきましては、不当な事業能力を持つ事自体が現行法においては取締の対象になつておるかのごとく誤解されております点もありますし、又そういうふうな大きくなる過程において適正な競争の結果なつたといたしましても、なつたのちにおいてその独占力を利用して取引制限或いは独占等を行なつて、他の業者を圧迫するというような場合には、現行法の第三条なりの規定によつて十分取締ができます関係上、不当な事業能力を持つ会社自体に対する規定は削除いたした次第でありまして、今後そういうような会社ができた場合に再びそのような不当な事業能力を持つ会社そのものに対してそれを排除する規定を置くかどうかという点につきましては、先ほど申しました通りこの改正法なり或いは現行法においても他の規定で十分その弊害を取締ることができますので、そういう規定を置くことは考えておらない、こういうふうに思う次第であります。
  32. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 独禁法改正の必要性というものは、従来政府の言われて来ておるところによると、第一に対外貿易のために必要だというふうに言われて来ておるのであります。ところが今回輸出入取引法が改正せられまして、輸出入取引法の内容も非常に強化されるようになるのであります。価格カルテル或いは数量カルテルも行える。又貿易業者だけで足らんという場合には、製造業者なり販売業者なり事業者などとも協定ができる、それでもなお足らんときには政令でアウトサイダーまで抑えられるということになつておるのでありまして、非常に輸出入関係、貿易関係については、今回画期的に規定が強化せられてありますが、私も貿易については、勿論かようなやり方が必要だと思つております。併し貿易関係については、この強化された輸出入取引法さえあれば独禁法を特に緩和する必要がないじやないかというふうに考えるのでありますガ、その点について御意見はどうですか。
  33. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) まあ今回の独禁法改正案の眼目が不況カルテル合理化カルテルを新たに認めるということにあると考えるわけでありますが、その場合に我が国の経済が底が浅いと一言に申しますが、輸出産業を含めた重要産業経済変動に対応して伸縮性のある対策が講じられないと、非常に濫売競争をやり、そうして負債もかさみ、或いは一部は倒産するというような事態に陥る危険性が非常にあるわけでありまして、只今まで程度の市況なら或いは或る程度持ちこたえて行く、更にそれが悪化すれば、相当経済混乱を招くというようなことも予想されますので、輸出産業を含めてそういう産業に対して不況に対応する途を講じて行き、それから更に積極的に合理化カルテルによりましてコストの引下げを図るということをやらせることは、これは全く苦我が国の経済の国際競争力を高める、或いは個々の輸出産業の対外競争力を培養するやはり一つ基本的な方策ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。輸出入取引法はいずれかというと、貿易の輸出入の出口、入口の面だけを抑えており、輸出産業に対しましては、中小企業安定法と並んでやはり独禁法緩和ということが必要であろう、こういうふうに考えるわけであります。
  34. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 お話を聞いて見ましても、結局海外貿易関係については私は輸出入取引法を巧妙に運用するということで目的は達せられると思うのでありまして、従つて今回改正した結果がどこへ本当に狙いを持つて行くかということになると、結局は国内産業関係に持つて行くのだということになるだろうと思うのでありますが、その点はお認めになるのか。
  35. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 輸出振興の方策にいろいろございますが、国際的に競争可能な価格で物を売ることも第一前提でありますが、同時に非常に物が安かつたら安かつただけでいいかと申しますと、やはり或る相場がかなり続くという目安がありませんと、安い価格が更に安くなる、どこまで下つて行くかわからんというような状態では、なかなか取引もできないのでありまして、これは綿製品なんかでも、昨年の春頃にはそういう状態に一時あつたのでありますが、どこまで下るかわからんというような状態では甚だ輸出振興の阻害になるわけでございまして、一例でございますが、やはり我が国の経済が安定する、又個々の業種については余り経済的に市況が混乱したような事態が生じないことが、やはり輸出入取引を成立する一つの前提になるかと思うのでございます、これは一断面でありますが……。
  36. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、結局輸出入関係については、貿易関係については、大体輸出入取引法の運用でいいのであるが、国内産業関係において今回の独禁法緩和が必要だというふうに解釈してよろしうございますか。
  37. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 私只申今上げたのは、その反対の意味で申上げたのであります。やはり出口、入口の貿易業者の行う取引だけの点で抑えないでやはり肝心かなめの輸出品を作ります輸出産業自体についても適度の安定措置を講ぜられないと、輸出入取引が円滑に行かない、やはり輸出振興が期せられない、こういう意味で申上げたわけでございます。
  38. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 輸出入取引法の今回の改正案を見ますると、海外市場の模様によつてもいろいろ活動さすことができるようであります。又国内関係においては生産者が主になつていろいろやるというような場合には、これとタイアップして貿易業者がやるということもできる。従つて生産面にまで相当及ぼし得るというふうに輸出の面においてはなつておると思うのでありますが、従つて貿易関係については、この今回の輸出入取引法だけで私は十分に効果が発揮できるのではないか。むしろ今回の独禁法改正案よりももつと強いのじやないか。今回の独禁法緩和案でもアウト・サイダーまでどんどん行くというようなことになると、なかなか技術的に困難じやないかと思うのですが、むしろこの点は輸出入取引法のほうがはつきりしていると思うのでありまして、私はいろいろ説明を承わるのでありますけれども、輸出入取引法が今回のような非常な強い改正を見るようになつた事情変更というものを考え併せて見ますると、独禁法緩和考えられたのが、そのもう一つ前に考えられたことなんであつて、輸出入取引法をあれだけ強化させて来たということを考えて見ますると、必ずしも貿易関係については独禁法緩和する必要がないのではないかと思うのでありますが、この点公取としては如何お考えでしようか。
  39. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 輸出貿易の関係につきまして今回独禁法改正する際におきましては、この考え方としては不況カルテル合理化カルテル及び貿易面のカルテル、こういう三つの問題につきまして、むしろ一番多く考えたのであります。併しそれは別の法律にいたしてありまして、ただこれは先ほど通産省政府委員から御答弁があつたと思いますが、輸出入取引法は、やはりその輸出、輸入のその面においてそういう協定相当大幅に認めたのでありましてこれが国内産業、国内事業に及ぼす点につきましては、これは特に我々のほうからも要望いたしまして、そういう条文が入つておると思いますが、そういう輸出或いは輸入貨物の同種類の貨物の国内におきまする事業分野におきまする取引制限にならないようにという一点が最後の線として残しておるのであります。従つて輸出入取引法は主として輸出される面、或いは輸入されるその先において限定いたしてありまして、それが国内に及ぼす影響については、その面につきましてはこの独占禁止法対象にしようという意味法制ができておる次第であります。
  40. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 只今の御答弁を聞けばなお私は一層私が言つたようなふうになると思うのでありまして、対外関係、海外市場との関係においては、これは輸出入取引法でいいと思うのでありますが、国内関係においても勿論必要だと私ほ思うのでありまして、従つてこの独禁法緩和というものは、対外的な海外市場におけるいろいろな変化に伴う関係においての法律というよりも、むしろ輸出入関係にいたしましても、国内で受けていろいろやらなければならん面においての関係を主として狙つておることになるのではないか。要するに国内関係に重点を置いて運用せられることになるのではなかろうか、こういう質問なんであります。
  41. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 輸出産業、これは国内産業でございまして、又輸出産業は成るほど輸出物資を主として作つておるにしても綿製品であれ、或いはその他の製品であれ、国内のものも一緒にやつておるわけでありまして同時にいわゆる国内産業でもあるわけであります。私ども独占禁止法改正する際に、常に輸出振興ということを頭に置いて、そういう角度から改正案についてもずつと考えて参りましたけれども、直ちに輸出産業が国内産業であるという意味の、国内問題とおつしやるならば、これは国内問題だという面もございます。
  42. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 次の問題といたしまして、政府は非常に物価引下げ、コストの引下げということをやかましく言つておられます。又実際今のままで行つて物価が下つて来るかも知れないし、又下りつつあるというふうに見られる面があるかと思うのでありますが、かように物価の下つて来ようとするときには、当然当該商品の価格がその平均価格を、平均生産費を一時的に下廻るということは出て来ると思うのであります。ところが二十四条の三で、不況カルテルをそういう場合には行わせる、甚だしい場合には価格カルテルも行えるということになりますと、これは物価引下げのてこ入れをせられるということに、結果的には運用の重点が置かれて来ると思います。まあこれは先ほど中川さんも言われましたけれども、合理化もしにくいようなことにもなるでありましようし、或いは却つて輸出振興上困るというような問題にもなるかと思うのでありますが、要するに国内的に見ますると、今回の独禁法改正に上りまして、物価引下げの障害になつて来るというふうに考える面が非常に多いと思うのでありまして、この点について政府が非常に物価引下げをやかましく言つておられるのでありますが、これと場合によると矛盾する結果が出て来る。勿論一挙に下ることを抑えるのだ、それが狙いなんだというふうに言われるのでありましようけれども、併しだんだん下る、それが阻害せられるということになつて来ますと、これは非常に大きい問題になつて来るというふうに考えるのでありまして、その点についての御意見を伺いたいと思います。
  43. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 確かに我が国の輸出品のコスト或いは価格が国際的に見て割高であるということが、輸出振興の大きな癌になつておるわけでありまして、できるだけ合理的な行き方で以て価格が下るということは、是非推進して行かなければならないことであります。又一時の不況で価格が下つた、併しこれはすぐ回復するというような一時的なものに対して、直ちに価格のてこ入れをやるということは、これは結果において我が国の物価の割高を更に強化させるということになると思います。この法律に書いてございますように、非常に厳重な制限の下においてだけしかいわゆる不況カルテルはやらないと、こういうことになつておるわけでございます。この経済的な条件として、当該商品の価格が平均生産費を下廻つて、而も当該事業の相当部分の事業者が事業継続が国難になる虞れがある。これは随分きつい規定でありまして、反対の立場からこれを批判いたしますと、そんなきつい規定では、一体不況カルテル、不況防止として間に合うかどうか、そういうような批評もあるくらいでございまして、その規定を厳格に適用して参るということになれば、今の不況カルテルによつて物価の割高を助長して、輸出に一層の阻害孝与えるということはないと考えております。
  44. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これが実行せられるときに厳重に行くということだといいのでありますが、多くの場合、一つの途が開けると、殊に法律によつてそれが開けた場合には、特に日本においては奨励的な傾向を来たすのでありまして、どんどんそれが行われるということになる虞れも多分にあるのであります。殊に現在でも原料高の生産安という傾向が非常に強いことは御承知通りでありまして、これは結局原料業者のほうが有利であつて、加工業者のほうが不利であるということになるのでありますが、日本の現状から貝ますると、大体原料業者は大企業者が多いということになりますから、大企業者のほうが有利であつて、加工業者等の中小企業者は不利だということになると思うのであります。従つて今回改正が行われるということになると、中小企業者消費者、加工業者などの非常に脅威となるということは、これは蔽いがたい事実だと思うのであります。従つてこの際不況カルテル、特に価格カルテルまで認めようとするということは、私は非常に問題じやないかと思うのでありまして、これを認めようということになると、私は公正取引委員会の性格も、今までと変つて来るのじやないかというふうに思うくらいなんでありますが、不況カルテル、殊に価格カルテル公取としても追加せられたくなかつたというふうなことも仄聞するのでありますが、又前回の案にはなくて、今回追加せられたというようなことに聞いておるのでありますが、この際貿易関係につきましては、とにかく対外的な最も重要な関係それ自体については、輸出取引法もできたことでありますから、不況カルテル、特に価格カルテルの条項は削除しようというお気持におなりにならんかどうか、この点公取のほうからも伺いたい。
  45. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 只今の御懸念は誠に御尤もでございまして、若しこのカルテルを非常にルーズな態度で認めるということになりますると、関連業者或いは一般消費者にいろいろな迷惑の及ぶことは、このカルテルについてのいろいろの今までの弊害等々を思い合せまして、よくわかるのでございますが、従いまして今回は先ほど小室次長から申されましたように、非常に要件を重くいたしますると同時に、関連業者一般消費者に迷惑をかけるようなものについては認可をいたさない、仮に認可した後も、そういう事態がはつきりいたしますれば、これを取消して参るというようなことにいたしてあるわけでございます。なお価格カルテルにつきましては、実は一応条文には書いてございまするが、あそこにございますように、技術的に数量制限では目的を達しない場合、これがどういうものがそれに該当するか、具体的に現在どういうものがそういうものに該当するかということは、余り適切な実例がない、思い付かないくらいのものでございますが、更に今回追加といたしまして、操短、数量制限をやつてみたが、なお十分に効果を奏しない場合に、併せて価格カルテルをすることができるという途を開きましたのも、何もここで価格カルテルを安易に認めようという趣旨は全然ございませんで、相当の分量を生産制限をいたしましてもなお効果を発揮し得ないような、極めて稀なる場合に例外的にそういう途も開かれておつてよいのではないかというような、主として通産省のほうの意向もございまして、この適用を厳格にいたしまするならば、これによる弊害もないことと存じまして一応こういう規定を入れたわけでございまして、決してその規定によりましてそのしわ寄せを中小企業その他関連業者のほうに寄せるというような結果のないことを私どもは期しておる次第でございます。
  46. 中川以良

    中川以良君 只今豊田委員がいろいろ御指摘になつたのでありまするがこの法律を見ますると、中小企業組合は適用の除外になつておるのであります。中小企業は御承知通り、元来経済的に非常に弱い業種でございますので、これらが組合を作つてそうして初めて公正なる競争条件を獲得しようというふうに努力しておるのでありまするが、ところが第二十四条を見ますると、小規模業者組合が一定の取引分野におきまする競争制限することがあり得るように但書に書いてございまするがこれは一体どういう例をお考えであるか。それから同時に大体これと関連をいたしまして、本日もこの委員会で審議をして参つたのでありまするが、特定中小企業の安定に関する臨時措置法を改正いたしまして、恒久立法として中小企業をこの独禁法に対応して保護をして行こうということを考えておるのでありまするが、これの関係を一体公取としてどういうふうに御覧になるか。今中小企業の安定に関する法律が妥当であるとお考えであるかどうか。これらの点についての一つ御所見をお聞きしたいと思います。
  47. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 只今の小規模事業者組合に関しまする二十四条は、申されましたように、大事業者には許されないカルテルを中小企業のみには許すという趣旨の適用除外規定でございまして、この但書の一定の取引分野における競争実質的に制限するという問題は、殆んど中小企業の場合には余り考えられないのでございますが、小さな小規模事業者ばかりでやつておりますような業種につきましては、その大部分のものが結束いたしますることによつて、やはり一定の取引分野における競争実質的に制限するという場合があり得るのでございます。これは御承知通りに床屋さんであるとかそういうものは大規模業者はないようでございます。これらが結束いたしまして、非常に理髪の料金を不当に引上げて消費者に迷惑をかけるとすれば、中小協同組合だからいいじやないかとはいえないのでございまして、こういうような場合には、一定の取引分野における競争実質的に制限することによつて不当に代価を引上げる、こういう但書に該当するということになりますので、そういう場合をこの規定考えておるわけでございます。  なお特定中小企業の安定に関する法律を今回一般的なものにいたしましたことにつきましては、私どもは最初からそういうふうに実は考えておりまして、なお今回今度の独禁法改正ともからみまして、いささか特定中小企業のあの法律のほうも相当カルテルを結びまする範囲を拡大いたしたりなんかいたしておりますが、大体において今度の議員提案改正案につきましては賛成でございまして、ただ細かな点につきましては多少私ども意見を申上げた部分もございまするけれども、全体といたしましては非常に賛意を表しておる次第でございます。
  48. 中川以良

    中川以良君 只今の御答弁中、特定中小企業の安定法に関して細かな部分についての意見を多少お述べになつたということがございましたが、それは細かな部分について同意しがたいものがあるのですか、どうですか、それはどういう点でございますか。
  49. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 只今余り細かな点は明確に覚えておりませんが、例えばあの業種の指定ということ自体が、これはえらい法制的の問題になりまするけれども、要らないのじやないかということ、私どもとしてはああいう一々指定をいたしませんでもあそこの条件に当てはまつて来ますものは、すべてああいう一種調整組合を作り調整規程を設けることができるというふうにして一向差支えがないのじやないかというのが第一点でございます。その他の点は実は私まだ法の詳細を読んでおりませんので、果して我々の述べました意見がそこに入つておるかどうか正確に存じませんが、もう一つ公正取引委員会との関係におきまして丁度今度の改正案にございますように、独占禁止法認可はいたしましても、全然まるまる外してしまうのではなく、不公正な競争方法を用いる場合とか、或いは公正取引委員会がもうそういう調整規程はやめるべきではないかということを申出た場合に、今度の改正案でございますと、それから一カ月たちますと独占禁止法が働くようになるのでございまするが、それらの点につきましてはどうも今度の改正案には入つておらないようでございます。これは勿論中小企業と普通の場合とは多少趣きが違うかとも思いますが、併し我々の立場からいたしますと、もうそういう調整規程はやめるべきではないかという場合に、通産省のほうで認可を取消さなかつた場合に、我々としては何らの手も打てないというようなことでは困るのではないかというような点、大体大きな点はそんなところでございます。
  50. 中川以良

    中川以良君 今の問題につきましては私は質問を留保いたしまして、今日は提案者もおりませんから、改めて本問題は再質問いたします。
  51. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほどの続きなんでございますけれども、大いにカルテル認可については厳重にやられるというお話なんでありますが、これを保障する途は何かあるのかどうか。具体的に言いますと、カルテル認可の基準というものを明らかにすることができるかどうか、そういう点について伺いたいと思います。
  52. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) これは独占禁止法のいろいろな規定に通じて問題でございますが、例えば操短を何割やつてそうしてなお効果が挙らなかつた場合に、初めてカルテルを認めるというような御趣旨だと思いますが、これはどうもその業態なり或いはそのときの状態なりによりまして、一概に何割操短をやつた上でなければ価格カルテルは認められないというような一般的な、形式的な基準を示すことは非常に困難と存じますが、これはやはりケースバイ・ケースによりまして処理して行くより仕方がないかと思います。
  53. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ケースバイケースでやつて行くうちだんだん軟化して行くことを一番恐れる盆でありましてその方面につきまして今後厳重にやるということを保障する何らかの途をこの委員会が終るまでに御研究つておきたいと思うのであります。一応終ります。
  54. 加藤正人

    ○加藤正人君 独占がもたらす弊害を防ぎ、取引の公正を確保し、又公共の利益を擁護せねばならんというこの独禁法の理念は、資本主義の繁栄を維持する上からいつても、その安全弁としても、絶対必要なものであることは、今更申すまでもないのでありますが、併し現行法の下においては極めて観念的になつております。又固定的なものの考え方がそりままやはり今回の改正案にも貫かれておるという点は、前々、この前も私が甚だ残念に思つたのでありますが、今通産当局の言われたようにこの法律に対する考え方も、カルテルは絶対に罪悪であるというのと、これは時の政治、経済の推移に従つて自然発生的に要望が起るものであるという考え方と二つあるというように考えられておつたのでありますが、どうもまだカルテルは絶対に罪悪であるというような見方に立つた立法であるように考えられるのであります。そのためにこの法律は極めて、やはり従来我々の申した通り依然予防的である、法律禁止する行為というものの類型に合致する行為は、その型に合致しているというだけでこれは違法なのである、不可とされて、行為の意思とか、或いは行為のもたらすその結果ということについては、余り考慮が払われておらんように考えられるのであります。これは基本的の観念がどこにあるかということで非常に問題であると思う。カルテルを許す場合には、これが公益に反しないというものであるならば許すというのであるが、然らばその公益とは何ぞやということに自然なつて参ります。これは非常にこの法律の重要な点であると思う。ただ一時的の原料高製品安という現象のみをとらえて、国の経済の将来に繋がる運命を決するような処置をとるということは、これは甚だ遺憾だと思う。その点については今通産当局が言われたような解釈は誠に結構だと私は思うのであります。要は近視眼者的にこの問題を解決せんようにお願いしたい。公益の利益ということは言うまでもなく一般消費者利益であり、安ければ安いほどいいのだということである。今回の改正案にもやはりこの考え方がこびりついておる。基本的にそれは貫かれていると私は思うのです。これは疑いないところである。併し問題はその観念をそのように固定的に考えることが果して許されるかどうか、アメリカのように資本主義の高度に発達した国においてはとにかく、現在の我が国の経済実体から考えて、産業立場を全然度外視して徒らに無用の競争を強要して今後の日本に本格的な不況の襲来と共に産業界が絶えず混乱して来る、産業の不振を招来するということは、真の意味の公益の擁護にはならんと私は思うのです。産業立場一般消費者利益調整を図りつつ、できるだけ産業に対する手かせ足かせを緩和して、産業活動を活発にいたし、貿易の伸張を図つて国民生活の水準向上をもたらすように、公益擁護という点をもつと積極的に弾力的に考えるべきじやないかと私は思うのです。この意味において、今回の改正案程度では産業立場を考慮していたとはいえぬばかりか、言うところの公益の擁護にも背馳するのじやないかと私はむしろ思うのであります。この点について公取の御見解を同いたいと思います。
  55. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) カルテルを悪と見るというような言葉をときどき私自身も用いるのでございますが、これは確かに非常な言過ぎでございまして、殊に今回の改正法案におきましては、そういう点はかなり是正されたと申しまするか、かなりの改良を見ておると思うのでございます。つまり今加藤さんが仰せられましたような現行法の第四条はややそれに近い感じを抱かせる条件でございましたが、今回はこれを削除いたしまして、一定の取引分野における競争実質的に制限するというカルテルのみを問題にいたすことにいたしたわけでございまして、その程度に至りませんものはその範囲におきましていろいろなカルテルが取結べるわけでございます。一定の取引分野における競争実質制限、これは要するに有効な競争が行われないような状態、極めて俗語で申しますると、そういう状態を指すと思うのでございますが、そういう状態が来ますことが何故に取締の対象にならなければならないかということになりますが、一方におきまして御承知のようにこういう状態におきましては、もはや十分なる事業者の創意、工夫による清澄な事業活動ということには非常な拘束が出て参りますのみならず、ここに言葉は悪うございますが、いわゆる独占価格というものの形成を許す状態が、即ちここに言う一定の取引分野における競争実質的に制限せられるという状態でございまして、これは延いてその業界のためにはいいのでございますが、関連産業や、一般消費者にいろいろな不利益をもたらすことになる、ここが、この線が即ち独占禁止法での一応の面白からん線と、こういたしますのも私は御理解の頂けるところではないかと思うのであります。ただそうだからと申しましても、この一線だけですべてのものを処理することとは形式的でございまするので、今回は更にその上に持つて参りまして、不況の場合、合理化の場合、或いは貿易の振興上必要な場合につきまして、その向き向きによりまして、或る程度緩和を更にこの上に図つておるのでございましてこの程度緩和がございますれば、先ほど申されましたカルテルを単なる悪と考えるというようなところからは非常に進んで、適当なところまで来ておるというふうに考えるわけでございます。更にこれをもう一歩進めまして、例えば公共の利益、或いは国民経済上必要のあるものは何でもよろしいというような極めて一般的な条項で以てこの独占禁止カルテル規制の問題を処理して参ろうといたしますると、第一にこういう言葉自体甚だ漠然たるものでございまして、こういう生きた経済の問題を法律的に処理して参ります場合に、こういう漠然たる基準では非常に困ることになるのではないかというのが我々の考え方でございます。これは甚だ例が悪いのでございまするけれども、交通の秩序を守ります場合に、例えば自動車の速度を制限しなければならない、これは基本的に申しますれば交通秩序を害しない程度の速度で走れということで足りるわけでございますが、併しそれでは実際問題としまして交通秩序は保てないのでございます。やはりそこには多少形式的ではございまするが、一応の基準というものを示しまして、その基準によつて取締つて参る、みんなの自由に任せておいて何か間違いがあつたときにあとでそれをとがめればいいではないかというふうにはちよつと行かないのではないかというふうに考えるのでございまして、勿論この交通規則にも消防自動車とか救急車とかいろいろ適用除外が必要ではございましようが、おのずからそこにやはり一応の基準があるということが必要だと思います。で私は独占禁止法に関しましては一定の取引分野における競争の自主的制限、即ち独占価格の形成せられる虞れのある状態、そのものが一つの交通規則における何マイルという一つの基準で、但しそれにはその場合々々によりまして適切な適用除外をはつきりした形で打立てて行くというのがこの独占禁止法を運用します上に最も適当なやり方ではないかというふうに考えておる次第であります。
  56. 加藤正人

    ○加藤正人君 いろいろお話がありましたが、私のはつきりしたいのは、公益とは何ぞやということをどう考えられるかということであります。公益を擁護しなくちやならんから企業カルテルを認める場合に自然そこにいろいろな思わしくないようなことが発生する、併しこれは貿易政策においてその企業を擁護して貿易を発展させる上において必要である、併しながら自然そこには他の業種に不利を与えるようないわゆる思わしくない、今おつしやる通りの線が出るかも知れない、それを公益を害すると解釈すべきか、これは自然その事業を安定させて、それを放置しておくことによつて経済界が非常に混乱するということを防止するという点に想到しますと、その処置は公益に反するがごとくに見えても、究極においては経済界を安定させる、自然被害をこうむつたように見られる爾余の事業も初めてそこでいい影響を受ける、こういうことになりますとそれは公益を害したのでない、こういうふうに考えて見なければならんと思うのであります。これを直ちに好ましくない結果が起つた、これは公益に反するというような解釈をとられては甚だ遺憾だと思います。ややもするとそういう解釈が行われ勝ちである。なお又先ほどお話のように、カルテルを許す場合でありますが、企業が非常に不況をこうむつて打撃をこうむつて、至る所に取付が起り、倒産するものが起り得るらしくなつて来たときに初めてこれを認めるというがごときは、この前本会議において私が質問し、委員長から答弁があつたのでありますが、それは救うがために病人に薬を飲ますのか、もう駄目になつて見込がなくなつてから薬をやる。生かすのではない、これはまさに死ぬと運命がきまつた者に初めて薬をやる、これは面目くないことである。やらんも同じことであるということに対するあなたの答弁は、薬というものはそれはやるときが大事である。タイムリーにやらなければいかんという御答弁でありましたが、まさにその通りである。私はそれを言わんとして答弁を求めたのでありますが、これらもどうも甚だ私は納得が行かんのであります。要するに納得の行かんだらけでありまして今更ここで議論をしても仕方がない。ただ一方的にいろいろこれでは強過ぎるというような議論もあつて、それが速記録にもとどめられるということであつては私も一応申上げなければ工合が悪い、こういうような意味で申上げるのであります。もうすでに矢は弦を放れたりのような運命になつておりますから、この上蛇足を加える必要は私はないと思います。一応私たちの考えはその通りであります。これはまさに正論だと信じております。それだけを申上げておきます。
  57. 早川愼一

    委員長早川愼一君) なお御質疑があるようでございますけれども、次回に継続することにして、本日はこの程度において散会いたしたいと存じますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会