○
委員長(
佐藤尚武君) この
青森県の第一の
請願、関根
地区の問題、第三番目の
陳情、いわゆる岩木
訓練場の問題、これは山甲野という
場所でありますが、この二件に関しましては
高良委員と同じくこの
委員会から中田
委員がわざわざ実地
調査に行かれたのでありまして、その
報告もまだこの
委員会としては聞くに至
つておりませんが、
現地を見て来られました中田君がこの際この
委員会に出られて、そうして
説明をして頂けば一番よくわかつたわけでありまするが、不幸にして予算
委員会のほうにとられて誠に残念でありますけれ
ども、
現地調査の実況を知ることができないのを遺憾といたします。そこで
紹介議員にな
つております私から政地側に対して申上げたいのでありまするが、第一の関根
地区は占領時代に、今
お話がありました
通り千七百何十町歩というものがすでに接収されて、そうして海面に向
つての射撃の
場所にな
つておる模様であります。これは占領当時のことであるから、やむを得ないとして、県民側も今以てそれに忍従しておるわけでありますが、然るにそれでは足りなくて今度三千六百町歩という隣接
地区を拡張
使用したい、こういう
申出が来たわけでございます。今の
お話によりまして知事側も又当該町村側も承諾した。但しそれを接収されるについては、やむを得ず接収されるというような場合には、条件はこれこれにしてもらいたいというような
はつきりした何か返答があ
つて、それに基いて閣議
決定に
なつたというような
お話であります。最近
陳情の人たちがこの地方からや
つて参りました
説明を聞きますと、必ずしも
はつきりやむを得ませんからお使い下さいと申上げたわけでもないようでありまして、御承知の
通り青森県は私の出身県でありますが、県民の習性として誠に物事を
はつきり言わないくせがあります。そこで官憲から押付けられたりなんかしますと、昔からの因習でますます
はつきりとした意思表示ができないというようなことで、そこに多分に
政府当局で村民乃至は県民の意思をつごうのいいほうに解釈されたという傾きがあるように見受けられるのであります、それが一点。
それからもう
一つ私
どもが県から選出された者として、これは
政府の処置としても困るというように強く感ずる点は、
青森県はすでに合計十四カ所という広大な
土地を連合軍側に提供しているのであります。ほかに海に面した地方が五カ所、それだけすでに
米軍側に提供している。その上に今の問題の関根
地区三千六百町歩、それから第三番目の
陳情にあります岩木山の山田野地方、これも四千町歩に亘り、それを
米軍側に接収したい。こういうのでありまして、この点は私といたしましても簡単には同意ができかねるのであります。というのはあまりにも負担が
一つの県に対して重くかけられているという点にあります。すでに占領当時から十四カ所に亘
つての
演習地ないしは
訓練所も提供し、それなのに今申上げたような二カ所に亘
つて広大な
地区を接収するということは、
一つの県にとりましては非常に大きな出来事であります。穀倉地帯をとられる。例えば岩木山林、山田野を接収されるということになりましたならば、それは多くは牧草地帯でありますので、その牧草によ
つて岩木川の流域の、何百町歩になりますか、広大な又それは有名な米産地でありますが、そこの肥料がそれによ
つて非常に
影響されるという大きな問題が起ろうと思います。直接にはそれらの農家が家畜を養う牧草に不足するということになる。関根
地区という問題も同じことでありまして、あれは牧草地帯であり、又耕作地帯でもあるわけであります。地方の農民にとりましてはこれは非常に大きな死活問題であると言
つても過言ではないと思うのであります。いわんや、広大な海面を占領されておりまするために漁業ができない。あの辺はこんぶの名産地であります、こんぶの採取もできないというようなことで、さなきだに貧弱な漁村がますます疲弊するというようなことにな
つております。そうして単に
米軍にと
つては
青森県内でそういつた
演習地を設けるというのが便宜であるということだけで、
一つの県にそれだけ大きな負担をかけるというここは、私はそういう負担をする上に公平でなければならんという見地から見て、簡単に御同意はできないのであります。もち論安保
条約により、或いは行政協定によ
つて日本が
米軍の駐屯を受けておるのであるからして、その
米軍が駐屯しておる以上、
演習地がこれに必要であるということはよくわかることであり、
日本側としても適当な
演習地を提供しなければならんという義務のあることは、よく私も承知はしておる。が、併しながら
一つの県にのみ大きな負担をさせるということ、これは甚だしく公平を欠く問題であり、他の諸県においてそういつたような負担をまるつきりしていない県がたくさんあるのでありますが故に、その負担の公半分担を
政府としては期して頂きたい。こういうのが私の主張の主眼なのです。又この
陳情を私自身も支持をするというゆえんがそこにあるわけであります。
私はほかの県に新たな負担を負わせてそして自分の県の負担を免かれるということに、結果としてはなるので、その点は誠に遺憾だとは思いまするけれ
ども、併しそうかと言
つて一つの県のみが大きな負担の大部分を引受けるということは、いずれの点から見ても公平を欠く問題であろうというふうに
考えまするが故に、あえてこれは
政府の本当にまじめなお
考えを願いたいのです。関根
地区拡張問題のごときもそういう観点からしてよく御検討をお願いしたいと思うのであります。