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説明員(
小田部謙一君) 一番当初この案を討議いたします場合には、何となくこれは占領中の既得権をリーガライズするというような
感じを受けるのでいやだ、法の原則として大体既得権は尊重をするけれ
ども、そういうような
感じを受けるのがいやであるということを相当我が方は主張したのであります。
それならばその次の問題と
なつたのは、一体既得権がどれだけあるのかということが実は問題に
なつたのであります。そういたしまして討議して行きましたうちに、既得権に関しましては当時銀行については三軒しかない、支店を合計しますとでありますが、とにかくナシヨナル・シテイ・バンクとチエース・ナシヨナル・バンクとバンク・オブ・
アメリカと三つしかない。そうしてそのうちのナシヨナル・シテイ・バンクは戦前にも一応許されていた、あらゆる預金まで全部許されていた。バンク・オブ・
アメリカとチエース・ナシヨナルバンクは戦前にはこちらに来ておりませんでしたが、ナシヨナル・シテイ・バンクは戦前にも許されていた。つまり預金業務を
外国人に許すということは、何も占領中に範囲を拡げたのではないというようなことのいろいろな議論があつたわけです。
そのほかに、それならば
制限業種にはまるもので占領中の既得権があるかということが問題になりまして、実はこれは各省で何かあるのじやないかということがありまして相談してみたのですが、事実上
制限業種の株をごく僅かばかり
アメリカ人が持
つておる、而もそれは占領中に取得した
制限業種の株券というのは、ごくそのうちの少いものである。そういうことがわかりまして、銀行に関しましては戦前もその業種に関しては許しておるのだという
考え方、その他の
制限業種は実際上
制限業種における既得権は殆んどネグレジブルだ。そういうような
関係がありまして、ここに置いておいていいのではないか、そういうことに
なつた次第であります。