○
政府委員(
黄田多喜夫君)
只今日本の
貿易阻害の
原因といたしまして、外的のものと
内的のものとあ
つて、外的のものとしてはガツトの不
加入、それから
英特恵関税の存在、それから
中共貿易の
制限をされていること、それから
ヨーロツパにおいてはEPU、
シユーマン・プラン等の実施によ
つて地域的連合みたようなものを形成して、そこで
お互いに
内部貿易を盛んにしようとしておること、
従つてそれが
日本の
貿易阻害の
原因になりはしないかということをおつしやいました。誠に私はそのことはそうであろうと思うのであります。ただこれも
内的原因とそれから
外的理由というものはどちらが秤にかけたときに強いものであるか。若しコストを安くして非常に出易い態勢をとるということにいたしますれば、その
外的理由というものも打ち勝ちがたいものではないとは考えます。併しいずれにいたしましてもそういう外的の
阻害条件があるということはこれは認めざるを得ない次第であります。
それから
お互いの
ドル不足ということでお説のように今
協定貿易というものを相当や
つております。
協定貿易と申しますのは私の考えておりますのは
清算勘定の
貿易でございますけれども、これが決して理想型ではなくて、やむにやまれぬ一時の便法としてこれをや
つておるのだということはお説の
通りであります。そうでないような
自由貿易のできる時代が早く来るということはこれは
希望に堪えない次第でありますが、
お尋ねになりました
スイツチ貿易、或いは
委託加工貿易に関してどういう
態度であるかということを仰せに
なつたのでありますが、これは主として通産省の取扱
つております問題でございますので、私から
お答えするのは筋違いかと存じますけれども、私の知
つておりますことを申し上げますならば、
委託加工で
貿易がしやすくなるというまでは、或いはこれを抑えるような理由は何も存在いたしません。それを恐らく奨励してや
つておることと存じております。
それから
スイツチ貿易、これはどうしても間に一人、人が入るということになりますので、このほうは相成るべくならば避けたいというふうな
方向へ進んでおります。ただ特定の国に関しましては
スイツチ貿易をやらざるを得ないというふうな貸借
関係の国もございますので、そういう場合には
スイツチ貿易を認めてや
つて行く状況に相成
つております。
それから
外務大臣が外交演説の中で申されました多角的
貿易を大いにやりたい、これは全くその
通りでありまして、
只今みたいにバイ・ラテラルな
貿易をいたしておりますれば、ともすれば一方交通(ワン・ウエイトラフイツク)になることが多いわけです。従いまして、それを
多角的決済方法によりまして
貿易を促進するということは申すまでもないことで望ましいことでございまして、例えば先ほど
高良さんに申上げましたように
一般支払協定、これはイギリス及びその
構成員スクーリング・ブロツク等の間におきましては大体多角的
決済ということにな
つております。これは多角
貿易の
一つの形であります。それから例えばEPU
諸国に関しまして
日本がEPU
構成国の二三と、片方では貸越のない、或いは
内部においては僭越にな
つておるという
関係が生じておるといたしましたならば、EPUを通じてその
決済をやるということもこれが多角的
決済の
一つでありまして、そういうことも現にそういう
関係に立
つている国がどういうのがあるかということも
研究いたしまして、その
方法もとりたいということも考えておるのであります。
それからバリにあります非公式の
委員会の
お話がございましたが、どういう
権利とどういう義務とがあるのかということでございますが、例えば
権利といたしましてはその
委員会におきまして、一定の国に対し輸出し得る一定の
種類の
品目はどのくらいに限りたいということが問題になりました場合に、その会議に参加し自己の
権利を主張するということはこれは
権利に属する
部分であります。それから義務といたしましてはそこで
協定に達したと、或いは
貿易ができたという場合にそれを守るわけであります。これは当然の義務であります。これは国連の
決議に基いて
日本が一定
品目を輸出していないのだと、これはその
通りでございます。若し
只今杉原委員のおつしやいましたように、
外務大臣が
アメリカと
交渉中だというふうにおつしやつたのだということを
杉原委員は仰せになりましたけれども、私はそういう記憶はございませんし、又そうおつしや
つているとは私は考えない。