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1953-07-09 第16回国会 参議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月九日(木曜日)    午前十時四十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            徳川 頼貞君            佐多 忠隆君            加藤シヅエ君    委員            草葉 隆圓君            梶原 茂嘉君            中田 吉雄君            羽生 三七君            鶴見 祐輔君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    外務省条約局長 下田 武三君    食糧庁長官   前谷 重夫君   説明員    運輸省航空局国    際課長     奈良橋一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○航空業務に関する日本国オランダ  王国との間の協定締結について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○航空業務に関する日本国とスウェー  デンとの間の協定締結について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○航空業務に関する日本国とノールウ  エーとの間の協定締結について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○航空業務に関する日本国とデンマー  クとの間の協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送  付) ○航空業務に関する日本国タイとの  間の協定締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○国際航空運送についてのある規則の  統一に関する条約批准について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○国際小麦協定を修正更新する協定の  受諾について承認を求めるの件(内  閣送付)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。議題公報掲載通りであります。  先ず航空協定五件を一括して議題といたします。政府よりは政府委員として外務政務次官小滝彬君、外務省条約局長下田武三君、なお説明員として外務省経済局次長小田部謙一君、運輸省航空局国際課長奈良橋一郎君、同じく運輸省航空局飛行場課長岩田勝雄君、これらの方々出席されております。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 その前に議題外質問はお許し願えませんか。簡単な質問です。
  4. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 何に関係しますか。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 専門員です。
  6. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) どうぞ。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 この間、佐藤委員長が百方手を尽して人選をされ、大体理事会でもあれは決定して、我々も御異存がないように申上げたのですが、神田というのですか、実は昨日履歴書を頂きまして年令が六十近いんですが、その点は調査マンとしての能力において十分なんでしようか。その点私心配するのです。我々いろいろのことをお願いしたりするので、私、地方行政予算運輸、その他あちこち廻つてみまして、これまでの採用基準が、非常に高級官僚で恩給をもらつて退職して、もう大体とうがたつてしまつたような人が多くて、うばすて山のような恰好になつて、例えば東大教授をして名誉教授になつてすでに七十に手の届くというような人が専門員になつておられる。そこで、重要な問題があるから専門員意見を徴するというので、私たちいろいろ意見を徴しても老齢で殆んど議員の満足するような答弁ができないで非常に問題が起つたりしておりますので、六十に手の届くような人でもそういうことがないかどうか。一つ大変恐縮な質問ですが、余りにもそういう関係が多くてこれまでいろいろ問題があつて専門員も再検討を要する段階に来ていると思いますので。……大体佐藤委員長の御推薦なら間違いなかろうということで、恐らくどの委員会にもない、余り慎重な審議もせずに決定していますので、その点一つお伺いしておきたいと思います。
  8. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) これは、この二、三回前の委員会でありましたか、専門員のことをお諮りしましたときにも、そういつたような御懸念が、たしか中田委員からの御発言であつたと思います。その際私は御説明申上げたはずでありまして、私自身もとよりそういつたような、とうのたつたような人を専門員に物色するということは、これは一切避けなければならんことと考えておりましたし、神田君に関する限りは、成るほど年は六十でありましようが……。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 明治二十九年生れです。
  10. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ですから五十六才でございますね。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 五十七、八ですね。
  12. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それで、これは一概に年令ばかりで以て判断することは困難だろうと思います。その人が六十になつて活動力を保持しているということも少くはないのです。その点私は、神田君においては心配は一つもないということをはつきり認めまして、それで御推薦したようなわけなんです。その調査をするというような点においては、極めて秀でた人であり。それから又非常に人付きのいい人で、これは多少年輩の人であるとはいえ、委員諸君からのいろいろな御註文等に関しましては、そういつたような、年令の点でとやかく支障が起きるというようなことは、私は一切考えられない人物であるということを信じております。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 私が特に申上げますのは、佐藤先生は、単に外務委員長だけでなしに議長もごておられまして、国会の事務局全般運営についても特別深い関心を持つておられると思うから、まあ希望かたがた申上げるのですが、これは名前を申上げるのは恐縮ですが、東大名誉教授でもうすでに中風のようなことになつて、我々が憲法解釈、戦力の解釈について一つ意見を拝聴したいというので出席を求めましたら、もう手が震えたりしておつて殆んど議員が満足するように至らず、これは専門員を再検討せねばいけないという人が一、二に下らなかつた。海軍の法務官をしておつたというような人や実際そういう人がかなりあるのです。もうそういうことがないということでしたら私も御異存がないのですが、一つ、単に外務委員会だけでなしに、全般専門員制度の活用という点で、かなりの高給ですし、まあ次官クラスのような給料も出るわけですし、一つ是非その点希望なんですが、それを附しまして私は了解いたします。
  14. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは航空関係に入ります。御質疑をおありの方はどうぞ御発言を願います。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 日本航空業といいますか業務関係はまだ極めて未発達なものですが、将来国際航空場裡で相当な活躍ができるというような、勿論これは旅客の場合ですけれども、この協定相手側に対してはやはり対等の資格というか、条件を持つものと解釈してよろしいですか。将来日本が非常に航空業務発達した場合、今むしろ受けるほうの立場になつているからですが、進んで日本が外地にどんどん出て行く場合に、対等条件でやつて行けるという、そう了解してよろしいのでございますか。
  16. 下田武三

    政府委員下田武三君) タイ初め五国間の協定全部に共通した規定でございます。又特にアメリカ、イギリスとの協定にも非常に重要な意味を持つ規定でございまするが、おのおの協定の第八条でございまするが、両方の締約国は、協定業務を開設し、運営が公平且つ均等な機会を有する、という規定を特に入れたのでございます。これは、日本が遅ればせで国際競争場裡に乗入れる際におきまして、特にこの規定に重きをおいてある次第でございまして、この法律的の公平、均等な機今の保障がございましたら、あとは実力でサービス競争ということになるのがと思います。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 それで、仮に日本が新しく成る国へ路線を求めて乗入れるという場合には、改めて協定を結び直すのですか、このまま効力を発生するのですか、お伺いします。
  18. 下田武三

    政府委員下田武三君) おのおの協定に附属した路線というのがございますから、どこを飛んでもかまわないというのでなくて、当事国同士両用お互いの航空機はごの線を飛ぼうというラインが附表になつてついております。  それからどこの航空会社が勝手に飛んでもいいというのでなくて、指定航空企業という言葉を使つておりまするが、おれの国はこの航空会社を指定すると相手国通告しまして、その通告相手国に認められたものだけが、先ほど申しました指定航空路線上を飛べるわけでございますが、従いまして、いざ日本が乗入を開始するという場合には路線はもうちやんときまつておりますし、あとはこの航空会社を指定するぞという日本政府通告だけで足りるわけでございまして、別に何らの新らしい取きめを要せずにこの協定だけで乗入れることができるわけであります。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 今局長が申されました第八条ですね。これは航空企業の非常に発達しました先進国にとつてむしろ有利で、後進国にとつては却つて不利になるということはないのですか。公平目つ均等な機会を与えるという主張に基いていろいろの立遅れを取戻そうとするようなことに対して、これは通商航海条約等にも当りやせんかと思うのですが、この関係はむしろ逆じやないですか。
  20. 下田武三

    政府委員下田武三君) 法律的には全く公平且つ均等な機会を保障しておるわけでありまして、先ず航空業務を開設するということについても、公平且つ均等な機会を与えられます。運営一することについても一公平且つ均等な機会を与えられる。従つて日本後進国だからおれの方は週三回飛ばすが、お目前の方は一回にしろというようなことは向うからは言えないわけであります。
  21. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに御発言は。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 航空局のお方にお尋ねしますが、このあと頂きました資料で、航空輸送関係で支払う外貨はかなりあるわけであります(非常な額に達していましたが、日本航空政策からいつて、ああいうものは大体どれくらいたつたらああいう外貨の支払がなくなるくらいな発達が予想されますか。
  23. 奈良橋一郎

    説明員奈良橋一郎君) 日本会社が国際線をやります場合に、ドルに換え得る円ではなくて純粋の円で以て切符を買えるという工合にいたしまして外貨を節約するということを考えておりますが、何分この協定でも規定いたしております通りに、現在外国航空会社が吸収いたしております旅客とか貨物を全部日本側にとるということはなかなかむずかしいことでりまして、殊に相当立遅れておりますところの日本国際航空企業が、あの外貨の大半をこちら側でとるということは相一当年数がかかるだろうと考えております。
  24. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 航空協定に関しまする御質疑も大体尽きたようでありまするので、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ない模様でありまするからして、それでは質疑は終了したものと認めます。   これより討論に入ります。御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにして御発言を願います。別に御発言はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 別に御発言もないようでありまするから討論は終結したものと認めて御異議ございませか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。航空業務に関する日本国オランダ王国との間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とスウェーデンとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とノルゥエーとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とデンマークとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国タイとの間の協定締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して採決いたします。  右の五件について承認を与えることに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手
  28. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全回一致であります。よつて右の五件は承認すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者承認を得なければなりませんが、これは慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二条により委員長議院に提出する報告書につき多数意見者署名を附することになつておりまするから、五件を可とされた方々は順次御署名をお願いい「たします。    多数意見者署名     加藤シヅエ  羽生 三七     中田 吉雄  草葉 隆圓     鶴見 祐輔  徳川 頼貞     梶原 茂嘉
  30. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次に国際航空運送についてのある規則統一に関する条約批准について承認を求めるの件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。別に御質疑はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 別に御発言もないようでありまするから、質疑は終了したものと認めます。  ではこれより討論に入ります。御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御発言ございませんか。……別に御発言もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。国際航空運送についてのある規則統一に関する条約批准について承認を求めるの件について採決いたします。右の条約に対して承認を与えることに一賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  33. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全会一致であります。よつて右の件は承認すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口答報告内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者承認を経なければなりませんが、これは慣例により委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条により委員長議院に提出する報告書につき多数意見者署名を付することになつておりまするから、本件を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。    多数意見者署名     加藤シヅエ  羽生 三七     中田 吉雄  草葉 隆圓     鶴見 祐輔  徳川 頼貞     梶原 茂嘉
  35. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  36. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。  小麦協定に関する質疑を続行いたします。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 この二十二条なんですが、三カ年という有効期間がきめてあるのですが、この改正、脱退、終了等はその期間でもできるという意味ですか、その関係一つ
  38. 下田武三

    政府委員下田武三君) 仰せ通りその期間中でも理事会改正を発議して所要数賛成を得ればできるわけでございます。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 食糧庁のかたにお尋ねしますが、小麦の世界的なストックの、情勢から見て、この協定はうま味が非常に少いのじやないか。小滝次官は数百万ドル利益があるのだと言われたのですが、今の過剰の状態、特にアメリカは十七億ブッシェルも年間消費の二倍半以上のストックも持つているということが言われているのですが、そういう際に協定によつてアメリカから買うということになりますと、自由な国際市場で買うやつはもつと安く買えて行くのじやないかと思うのですが、その差額はできないという予定ですか。協定によるやつと、政府輸入食糧補給金を組んでおられるのも、昨年は三・百八十億ですか、不成立予算で三百二十億、今度の予算では三百億、漸減されているというのはやはり食糧価格が漸次下落の一途を辿つている、国内価格との差が少くなつているということから、輸入量においては変りはないわけですが。そういう意味ですか、協定によつて買うのよりは自由市場で買うほうが安くて、むしろその差額政府調整金調整せねばならんという事態が起るのじやないかと思うのですが、そういうことは起りませんか。特に最近のアメリカ市況では二ドル台をかなり割つているというようなこともできている。二ドル五セント程度になつているのですが、そういう点とも関連して一つ、お願いします。
  40. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 食糧庁長官出席されましたから御説明をお願いいたします。
  41. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、仰せのようにだんだん国際的な食糧価格は下つて参りました。輸入補給金も漸減の方向を辿つておるわけであります。この小麦協定との関係につきましては、御承知のように、現在におきましては資料にも提出いたしておりまするが重だ最高価格を下廻つておらない。シカゴ相場はこの前申上げましたように一つのノミナルな相場でございまして、ポートランド相場日本が買う場合の現実の相場になつております。シカゴ相場に対しましては大体運賃その他を考えますると、二十セント程度のものを加算して考えなければならない。かように考えまするので、まだ協定最高価格日本が主張いたします場合におきましては、市価が上廻つておるのじやないか。かように考えますが、将来これが下廻つた場合にどうなるかという御質問と存じますが、その点につきましては、足高価格は我々は輸入国の義務ではないというふうになつておりますから、そこで市価が仮に是高価格を下廻りました場合には市場価格で買うのには何ら問題はないのじやないか。かように考えております。
  42. 中田吉雄

    中田吉雄君 外貨割当について。講和後であるからアメリカの圧力の加わるということは表面的にはないでしようが、いろいろな関係から国際市場弱気だというようなことから余り下らないうちに早く割当して、船の手配なんかして入れさしてしまう。それがあたかも日本政府のお宅の方の自発的な意思というような形で、ということはありませんか。昨年なんかの輸入月々別関係なんかは変化はありませんか。
  43. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、外貨割当は一年間のうち四月から九月半年分と、十月から三月までと二期に亘つて外貨日本政府としては決定いたしております。本年度におきましては九月までの外貨がきまつておるわけであります。これは半申分外貨割当がきまつておりますから、需給状況市価等を見まして買付けるわけでございますが、大体平均的に従来は買つてつたわけです。本年度市価等も違つておりますので多少買控えの傾向をとつてはおりますけれども、やはり国内小麦粉の価格を抑えますためには計画的に毎月一定量政府売渡すことによつて国内市価が安定するわけでありますから一定量売渡は必要になつて参りますから、この売渡をする必要量買つておりまするが、それ以上の買持市価等関係を考えまして今はやつておらない。上り気味のときにはやはり先に買つておかなければならん。これは自由にフリーハンドでやつておりますし、やれることになつておりますから、その点は御了承願います。
  44. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、いろいろな関係から余計買われるというようなことはないわけですね。
  45. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) そういうことは、ございません。
  46. 中田吉雄

    中田吉雄君 例えば日本国際収支の面に非常に大きな赤字になつているのは、一つは船が足らん。そこで日本政府山崎運輸大臣の頃にも自国船を建造して、そうしてまあこれは一億数千万ドル以上に及ぶと思うのですが、そういうものを成るべく節約したいというので、第七次造船計画を十五万トンと立てても、そういうことに対してアメリカは非常に繋船をしたりして船腹が余つている、そういうことからそれをいろいろな面から融資をしないようにして、日本自国船の建造を抑制するというような面がその筋から加えられたというようなことで、弱気市場の際にそういうことがありはしないかということを憂慮しますので希望を申上げる次第であります。  なお昨年までは国内価格はやはり安かつたのですが、今度はだんだん逆の関係なつたのですが、国内農業食糧増産麦作農家との調整はどうなるのですか。食糧庁としてはただ品質がいいし、価格が安ければ、もう麦作農家は余り重視しないという政策をとつて、その面からのドルの節約といいますか、安いものさえ入ればいいという立場ですがその調整はどうなるのですか。
  47. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 国内麦作農家との関係でありますが、御承知のように国内麦作農家に対しまして、食糧管理法に基きましてまあ一定価格で無制限に買入れるということになつております。そこでその価格の立て方は、パリテイ価格生産その他の事情を考えて買入価格をきめる、食糧管理法に基きまして国外とは別個に国内の買入価格をきめるわけでございますが、外国からの小麦関係売渡価格の面において国内小麦との競合になる、外国のものについては一括して全部政府買つておるわけでございます。その売渡価格を考えまする場合には、政府国内小麦を買上げまして国内小麦幾らで売るか。これは食糧管理法にもございますように、やはり一面におきまして消費者の家計ということも考えなければなりませんから、大体実際におきまする麦と米との価格比率、いわゆる対米比価と申しておりますが、対米比価によつて売渡価格をきめるわけであります。売渡価格をきめますと、内麦と外麦との歩留りというか、品質差がありますので、小麦につきましては具体的には外国小麦の方がいいわけであります。従いましてその分だけは内麦よりも高く売るという形になつております。従いまして内麦の価格外麦価格とは食糧特別会計において輸入を管理することによりまして遮断をしておるわけでございまするから、内麦に対する影響はないと考えておりまするし、又この遮断をしてやつて参るということは、国内主要食糧でございまするから、国内生産との関係におきまして絶対必要であるということで今後もまあ続けて参るつもりでおります。
  48. 中田吉雄

    中田吉雄君 この輸入量について百万トンにきまつたのは協定関係国とは余り量については問題なかつたのですか。日本がもつと多いことが好ましい際には五十万トンで、市況が不利な際には百万トンになつている関係について、売手のほうから特に要請されたというようなことはないのですか。
  49. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように小麦協定の前協定日本が加入いたしましたのは中途からであります。そこで前協定における輸入数量はすでに輸入国の間に配分されておるわけでございまして、途中で入りましたものですから輸出数量を殖やさなければならん。そうすると輸出国としまして輸出量を殖やす限度というものがあるわけであります。そこで中途加入といたしまして五十万トンということになつたわけであります。今度の場合におきましては、新協定で輸出する総数量輸入数量がきまつてきますので、我我といたしましては、全体の小麦貿易量小麦協定によつて動いておる量との割合等を参酌いたしまして百万トンになりましたので、これは輸出国が余つたからという関係ではなく、前の場合は途中で加入したという特殊事態であつたのでございます。
  50. 中田吉雄

    中田吉雄君 この外務省から頂きました説明書には四十五カ国がこの協定署名国になつていますが、協定小麦の総額は幾らになりますか。
  51. 下田武三

    政府委員下田武三君) ちよつと御質問の趣旨がわかりませんですが、小麦協定の第三条についております保証数量がこの協定の下において取引されるマキシマムの限度でございます。
  52. 中田吉雄

    中田吉雄君 食糧庁長官にお尋ねいたしますが、我が国が輸入します小麦の百五十何万トンのうち百万トン、三分の二はこれでやるのですか。これはくどいようですが、少しでも外貨を節約するというためには、私は弱気の際によくないのではないかと考えますが、同じ量を安く買うためには、百五十数万トンのうちの三分の二も縛り付けられた価格で買うよりか、そのほうがいいのじやないかと思うのですが、そういうことはありませんか。
  53. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 輸入国といたしましては、縛り付けた価格で買わなければいかんというのは一ドル五十五セントであります。我々の考えといたしましては、まあ昨年の改訂の第一次の会議におきましても、濠州等はああいう最高価格ドル八十セントであります。とても非常な減反になつて来る。国内生産は維持できないというような強い主張があつたわけであります。それからカナダにいたしましても小麦ボードがありまして、ここで統制いたしておりまして、アメリカにおきましてもCC・Cの制度がありますし、取引価格が余り下りますとその国の生産量が下つて来るというふうな面もございまして、最低価格以下で、輸入国の義務といたしまして買わなければいかんという事態が、この協定期間においては起るということは想像されないのじやなかろうかと、かように考えております。
  54. 中田吉雄

    中田吉雄君 恐縮ですがもう一つ。イギリスはこの協定署名しなかつたというのですが、これまで、この協定買つてつたのはどのくらいですか。
  55. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 四百八十一万トン毎年買つております。今度のほうも大体四百八十一万九千トンという、これまでと同じ量に想定しておつたけれども、入らなかつたという関係であります。
  56. 羽生三七

    羽生三七君 先ほどの食糧庁長官の御答弁の中に、市場価格のほうが最高価格上りも安くなつた場合には、協定以外の市場で買うことも自由だというような御答弁があつたと思うのでありますが、そういうことになると、これはどうなんでしようか、第一条の輸入国輸出国とのそれぞれの何といいますか、供給の確保或いは市場の確保、そういうこの協定の基本精神という点から見て、余り拘束力のない協定だと理解できるのですが、例えば協定を脱退するという場合にえらい罰則もなさそうですし、協定価格よりも市場価格のほうが安ければ市場で買つていいということになりますれば、一体協定意味するものはそもそもどういうことになるのですか。
  57. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように農産物でございますから、相当価格の変動が従来非常にあつたわけでございます。そこで農産物の価格としましては、各国においても考えられますように、我が国においてもそういうことがあつたのでございますが、安定帯と申しますか、一定の幅で価格が変動して参るということが農産物の生産の面においても非常に必要なことでございまして、非常に暴騰暴落をするということは、生産者及び消費者にとつても非常に不利なわけでございますから、この協定におきましても、最高価格と最低価格との幅の中におきまして小麦価格が安定するということは、国内のみならず国際的にも必要になつて来る。ここに一つの幅の中において国際取引が行われるということが、非常にこの協定としての重要なポイントじやないかと思います。
  58. 羽生三七

    羽生三七君 そうするとこういうふうに理解したらいいですか。最高最低のこの値幅の間で、例えば市場価格が非常に下つた場合でも、併し当面の見通しとしては一ドル五十五セントの最低価格を下廻るというような見通しは先ずない。従つて最高価格よりも下廻る場合には市場から自由に買えるという権利を留保しておるものと考えてみて、暫くの見通しとしては最低価格より下廻る見通しがなければ、この協定に加入しておつたほうがなお有利だと、そういうふうに理解していいですか。
  59. 下田武三

    政府委員下田武三君) 先ほど食糧庁長官協定外で自由市場で買うとおつしやつたのでなくて、この協定の下において自由市場で買うということをおつしやつたのであろうと思います。つまり最高価格はどういう意味かと申しますと、これは日本側の義務ではなくて、これが非常に暴騰したときにこの最高価格で買うぞと言つたら売らなければならない。最低価格は逆に輸出国側の権利でございまして、市場が下つてしようがない、だから一ドル五十五セントで売るぞと言つたら買わなければならないと。そういうことからして日本側の義務を負うのは、最低価格より下廻つた場合にこれだけで売るから買つてくれと言われたときに買わなければいかん。そこで初めて日本側の義務が発生するわけでございまして、一普通の場合には先ほどの自由な値段で買つていいわけでございます。
  60. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると今のは協定された数量の中でというお話だつたと思いますが、そうするとその値幅如何によつて協定数量を自由に変更し得るわけですね。
  61. 下田武三

    政府委員下田武三君) 協定数量は、値幅の間でたとえばカナダから五十万トン買うといたしますと、ちやんと帳簿の記録ができておりまして、日本の買付保証数量の五十万トンが記録されまして、残りの五十万トンは買える、そういうふうに値幅の間で自由に取引いたしました数量がだんだん帳消しされて行きまして、百万トンまでは買えるということでございます。
  62. 羽生三七

    羽生三七君 そうするとその自由というのは、同時に相手の輸出国の選択の自由ということなんですか。
  63. 下田武三

    政府委員下田武三君) 買付先、つまり輸出国の選択、それから数量価格、この三点が自由に行われるわけでございます。
  64. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 羽生委員のおつしやる点は、恐らくはかの国で安く買えるなら、この協定に入つていないオーストラリヤ、カナダ、アメリカ以外の所でも買えるかという御質問だと私は理解しております。それは百万トンはこの協定に入つておる輸出国から買わなければならないわけであります。が併し実際問題として考えてみますると、この協定に入つておる国はみんな小麦の重要なる産地でありまして、その他のアルゼンチンとかシリアとか或いはブラジルというような所を考えてみますと、みんなこの協定よりこれらの自由市場の値段が高いのでございまして、この百万トンをこの協定に加わつておる輸出国から買入れても日本の損にはならない、こういうように私どもは考えております。
  65. 羽生三七

    羽生三七君 この脱退の場合の罰則というものはないのですか。
  66. 下田武三

    政府委員下田武三君) 何ら罰則はございません。
  67. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると何か突然の都合で年間の途中で脱退したというような場合は、やはり契約量だけは引受けなければならん責任を負うのか、そういうことは解消されるのか。そういう場合には罰則がなくて国際信義の問題と思いますが、その辺は如何ですか。
  68. 下田武三

    政府委員下田武三君) この協定は自由に脱退し得るようになつておりませんで、何か価格その他のことで非常に困る事態が起りました場合には理事会改正を発議いたしまして、当事国の三分の二の賛成が得られましたならば改正されるわけであります。ところが改正された結果、元の協定と違つて来たからおれはもういやだ、そのときに改正に不満であるという事態が起つたときに、初めて脱退されるわけでありまして、改正の議なしにいきなり不満であるからと言つて飛び出すことはこの協定ではできません。
  69. 中田吉雄

    中田吉雄君 食糧庁長官にお尋ねいたしますが、輸入する小麦は非常に品質がよくて国内産のは悪くて、払下についていろいろ問題がある思うのですが、製粉業者なんかとの関係はどうですか、国内産のものとそれとの関係は。
  70. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 原則といたしましては、多少夏場、冬場で市場の変化がございますが、需要は大体一年間内を通じて同じでございますからして、年間平均に売却をいたしておるわけでございます。ただ内麦と外麦と併せての需要でございますからして、例えば七月から八月とかいうような時期には外麦の払下は内麦の出廻りに応じまして少くなつて来て、内麦の出廻りが少くなりますると外麦の売却が多くなつて参るという、かような形になるのが原則でございます。大体食糧管理法の建前といたしましては、無制限に政府所有の麦を売渡すというのが建前になつております。ただそれには価格の変動をなくするというような意味におきまして、大体二月分、これだげの数量政府に売りますということを公表いたしまして、それから製粉なり精麦のそれぞれの加工業者からの申込を受けて、価格はきまつておりますからその価格によつて売渡をする、こういう形になつております。
  71. 中田吉雄

    中田吉雄君 その品質はどうなんですか。それと何か私はやはり外麦が非常にいいので、製粉業者や精麦業者の歩留りその他品質等で非常にそれを好むというようなことから、いろいろな関係が払下に伴つて起るということを聞いておるのですが、そういうことはないのですか。
  72. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 歩留りの関係価格において差を付けておりまして、新麦の出廻る時期に、外麦のこういう品質のもの、例えばマニトバ何号はこういう価格で売ります、ホワイト・ウエスタンはこういう価格で売りますということを一年間の当初に公表するわけであります。勿論それについては内麦の売渡価格も公表するわけであります。それによりまして毎二カ月ごとに一定の二十万トンとか三十万トンとかの政府売渡限度数量を総体といたしまして公表いたしまして、それに基きまして売却するわけでございまして、そういう御懸念のような点はないわけでございます。
  73. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 英国とアイルランドが参加しないようですけれども、そうしますると約五百万トンの数量の食違いが来るわけなのです。これはこの協定の趣旨から見て再調整が当然行われると思うのでありますけれども、どういう方法で行われるのか、御説明を願いたいと思います。
  74. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 四百八十一万トン予定しておつたものがそれだけ減ることになりますと余剰のものが出ますので、この次の理事会でこれを話合うという段どりになるわけでございます。
  75. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 その話合はこの協定との関係においては、日本に対してどういう関連と影響とを持つて来るのですか。
  76. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 日本としては、若しこれより多い量を協定によつて入れた方が日本に有利であると考えるならば、量を百万トン以上に殖やしてもらうこともできるだろうと考えます。
  77. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 食糧庁の見解からいうと当初百万トン以上の要請をされたように聞き及んでおるのであります。それが会議の結果百万トンに減ぜざるを得なかつたということでありますが、増加し得る機会がありとすれば、先般の会議において主張されたように百二十万トンでありましたか、それを要請される考えでありますかどうか、伺いたいと思います。
  78. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 百万トン以上を会議におきまして取るチャンスがある場合にどうするかと、こういう御質問でございますが、勿論我々といたしましては百五十七万トンの輸入があるわけであります。この場合に食糧需給の面からいたしますと、総体といたしまして百五十七万トンの総数量が確保されれば、食糧需給の問題においては差支えないわけでございます。今、梶原委員からのお話の点につきましては、外貨とか或いは通商政策としてのいろいろな問題がござい手ので、今関係者の間においてこれについて検討いたしておる次第でございます。
  79. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 第九条で数量の変化のあつた場合の調整があるのでありますが、その二項によりますると、変化のあつた場合は按分して削減をするという趣旨の規定があるようであります。三項になりますると、「売渡保証数量及び買入保証数量の合計をできる限り高く維持することが一般に望ましいことに留意する」とあるのでありますが、この三項の趣旨といいますか意味合といいますか、前段と比べての意味合が私にはちよつとわかりかねるのであります。御説明を願いたいと思います。
  80. 下田武三

    政府委員下田武三君) 三項の趣旨は、この協定の下で取扱われる世界の小麦取扱数量はできるだけ高い限度で維持したいという根本方針を調つておるのでありまして、具体的にイギリスの不参加のために四百八十一万トンの買付保証数量が減ります場合に、だからといつて今度売渡保証数量までそれに対応して減らしてしまいますと、協定に予想した千六百万トンというものがどかんと大削減になつてしまいます。でございまするからそういうような事態の発生は御指摘の第九条三項の精神に反するわけでございます。そこで恐らく次の理事会では、イギリスの四百八十一万トンという穴ができたができるだけほかの輸入国に振当てて、協定の全体の保証数量としてはやはり千六百万トンの水準に成るべく近いところで維持したいという結果になると思います。そこでその穴を埋めるためにどういうように調整するかというその方法を誰つたのが第九条の第二項でございまして、これは理事会で協議の結果きめていいわけであります。併し協議かどうしても成立たない場合には末部にありますように按分できめるということになると思います。
  81. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 御説明通りだと私も思うのでありますが、ただ前段においては英国が不参加のために五百万トン見当の違算があつた、そうすれば当然に前段の方法によれば売渡す保証量を按分して減らすのだということがはつきり出ておるわけなんです。そうしてその三項においてはできる限り高く持つて行くのだという規定があるのであります。その点にちよつと不審を感ずるのであります。若し第三項の趣旨がこの協定の趣旨であるとすれば、按分して削減するという規定かこの三項と一致しない感じが私にはしたのです。協定は四カ年やつたのでありますけれどもあの四カ年の経過において、この保証数量等に関連して加盟国の間に何らかトラブルがなかつたかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  82. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。昨年度におきまして価格関係で濠州が自国で保証いたしております数量につきまして、それを国内の減産によりまして達成することができなくなつた。その結果といたしまして、濠州からその保証数量の免除という申請があつたのでございます。その結果総会におきまして、濠州の保証輸出数量の免除が認められまして、その免除されたものをどういうふうに処理いたしたかと申しますと、先ず輸入国からまだその、ときに輸入しておらないものにつきまして、輸入国の自発的な輸入量の辞退ということを輸入国から希望を募りまして、若しそれで輸入国希望が濠州の保証数量の免除以下である場合には、輸入国に按分するという考え方で議論されたわけでありまするが、結局におきましては輸入国の辞退が欧州各国にありまして、その自発的な辞退によりまして処理されたわけでございます。
  83. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 もう一つ協定に関するあれでありますが、現行の加盟国には中国国民政府が入つてつたようであります。今回の改訂ではそれが脱退しておるようにプリントでは見受けられるのでありますが、台湾はやはり私相当小麦を入れる所ではないかと思うのであります。なぜ台湾が脱退したか、或いは私の見間違いかもわかりませんが。
  84. 下田武三

    政府委員下田武三君) 中国政府は前の小麦協定には署名いたしましたが結局受諾しませんので、当事国にならなかつたわけでございます。
  85. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 相当台湾には小麦なり小麦粉がアメリカから入つているのじやないかと思いますが、その間の事情をわかりましたらお知らせを願いたいと思います。
  86. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 台湾の小麦粉の需要でございますが、我が国から昨年度におきまして小麦粉として数量は明確にいたしませんが、五千トン程度のものを出したかと思います。そのほかにアメリカから行つたということは私詳しく調べておりませんが、まだ聞いてないのですかそう大して行つてないのじやないかというふうに考えております。
  87. 中田吉雄

    中田吉雄君 この協定文に保証数量が出ているのですが、日本のは五十万トンから百万トンに変つたのですが、ドイツ、インド、こういう前の協定のときと大きな変化のあつた主要輸入国はどうなつていますか。私古いのを持つていませんから、ドイツ、インド、イギリスなんかのはありますか。
  88. 下田武三

    政府委員下田武三君) 新旧協定保証数量は、日本が五十万トンが倍の百万トンになりましたのが一番大きな差異でございまして、その次はインドが前に百四万トンの保証数量でありましたのが約五割殖えまして百五十万トンになりました。ドイツは新協定では百五十万トンになつておりまするが、前協定では百八十万トン、逆に三十万トン減つております。
  89. 中田吉雄

    中田吉雄君 イギリスはどうですか。
  90. 下田武三

    政府委員下田武三君) イギリスは前の協定も百八十万トン、今度も百八十万トンでございます。
  91. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 協定から買入の義務がある国が成る数量を保有しなければならない義務の規定があるようであります。それは大体どういう基準で算定されるのか。日本としてはどの程度この協定にいう保有量を持つているのか、その点を一つお聞きしたい。
  92. 下田武三

    政府委員下田武三君) 協定の第七条に在庫量に関する規定がございまして、これは輸出国にも輸入国にも合理的な水準の在庫量を維持するように努力しなければならないという抽象的な規定でありまして、その趣旨は、輸出国側においても円滑な輸出を行うためには一定の在庫量を持たなくてはならない、輸入国側でも在庫量をキープしておかないで、いきなりなくなつたからあわてて買うというようなことをしておりますと、この協定の円滑な遂行ができませんために、こういう規定を設けたのだと思いますが、ただ在庫量を然らばどれだけ保持するというような具体的な規定は何ら設けておりません。結局各国それぞれのヂスクレシヨンにおきまして自国の政策から勘案いたしました在庫量を保持することにいたすほかはないであろうと思います。
  93. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 ちよつとこの協定から外れますけれども、アルゼンチンとの取りきめというのは無期限になつておるようですけれども、これは何、どきでも一方的に破棄と申しますか、脱退と申しますか、そういうことが可能な取わきめですか、どうですか。
  94. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) お尋ねの点はアルゼンチンとの貿易取極めのことであろうと思います。あれは貿易計画と申しますか、トレード・プランというものを附録のようにして附けておりますが、これは年年改正するものでありまして、一年間だけの予定でありまして、そのあとは品目は始終これまでもずつと変えて来ておりますし、自由に変えることができます。
  95. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 そうしますと、アルゼンチンからは今後小麦を買わないという内容に変えることもこちらの自由なんでありますか。
  96. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) その通りであります。
  97. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 これは外務省にお伺いしたいのですが、アメリカの支持価格制度による政策が何と申しますか、何とかこれを改めなければならないような段階に来ておるように思われるのであります。非常に巨額の手持を持つて困惑しておるように思われるのです。先般の共和党の政府のできますときに、もともと現在の価格指示政策は申すまでもなく民主党時代における大きな政策であつて、共和党としては必ずしもあの政策には全面的に賛成のようには見受けられなかつたのであります。非常に批判的であつたように私は思うのでります。たまたま大統領の選挙があつて、選挙に関連して一時何と申しますか、やや不明確なあの価格支持政策に対する共和党の態度が選挙のためにとられたように思うのであります。果して今後現在の政策があの通り続くかどうか、相当疑問を以て見ていいのじやないかと私は思うのであります。先般来あの手持の穀類について、或いは東独に出すとか、或いは東南アジヤに特別の措置で出すとか、或いはMSAの関連において適当の措置が行われるのじやないかというようなことがしばしば報道されておるのであります。これは私は必ずしも荒唐無稽なことではないのじやないか、あの手持の小麦というものは、相当私この小麦協定の今後の動きが強気になるか弱気になるか材料としてはこれは別でありますけれども、影響を持つて来るということは必ず起つて来はしないかという感じがしきりにするのであります。外務省としての見通しと申しますか御見解を一つお伺いしたいと思います。
  98. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) この問題は梶原さんが専門家としてよりよく御存じだと存じますけれども、今の支持価格は一九五四年産の小麦に主では必ず適用することになつておりますので、先ず一九五四年の小麦に関する限りこの制度は存続されるだろうと思います。  ただそのほかに先ほどからお話のありましたようにストックも多くなりましたので、作付割当をするところの法律を下院の農業委員会に提出しておるのでありまして、これは大体通過するのではなかろうかというふうに見られるわけであります。支持価格制度も相当政府としては犠牲でありまするけれども、農民の声もありまするし主だ当分存続せられはしないか、こう見ておるわけなんであります。これが又MSAの援助などと関連して、小麦の売さばきというものを考えるかどうか。こうした点については私どもまだ詳細な情報を受けておりませんので何とも申上げかねる次第であります。
  99. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点一つ至急に。私の得ている情報では、やはり綿花とこれとを政府が支持価格の下で買つたやつを、安全保障本部に肩代りさして、乗つけて出すというと法案がすでに出ているということで、一つこれは御調査希望しておきます。
  100. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 恐れ入りますけれども、現在のアメリカ小麦に対する支持価格の線と、多少調整が要るのでしようけれどもこの協定の最低線の数字ですね。言い換えますると、アメリカの支持価格の線をこの協定の基準の計算に直せばどの程度になるか。大体の見当で結構ですけれども、ちよつと。
  101. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 支持価格は現在は二ドル二十セントであります。併しこれからは二十一セントを下らない線で支持価格をきめる、こういうことになつておるそうであります。
  102. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 もう一つ数字のあれになりますけれども、食糧庁でとつておられまする補給金算定の基礎の金額、単価ですね、それはどういう基準ででき上つておるか。それと、現在の現実に輸入されておる価格の最近のやつ、実際との開きがどれほどになつておるか。これをちよつとお伺いいたします。
  103. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、従来の協定におきまする一ドル八十セントを、日本のCIF価格で直しますと七十六ドルになろうと思います。それから本協定の二ドル五セントをCIF価格で直すと大体八十六ドル、こういうことに見込んでおるわけであります。  で、この協定の以外のものにつきましてはそれぞれ品質によつて値段が違いますし、カナダとアメリカとの関係におきましても多少値段が違うようでございますが、国別で違いまするが九十四、五ドル程度ということが現在の価格であります。
  104. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 数字のことで恐縮でありますが、そうしますると、現在予算に計上されておる小麦に対する補給金の算定の基礎になつておる単価は、輸入小麦がCIF価格でどの程度になればパーになるか、といいますか、とんとんになるか。これでも結構であります。大分近付いて来たんじやないか。昨年来或いは一昨年来、小麦市況は下つて参りまして、恐らく日本価格輸入価格とはもうクロスするのじやないかということはしばしば言われたわけです。
  105. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 予算の本年度補給金の計算といたしましては、小麦につきましては、IWAその他を平均いたしますと九十ドルになつておりまして、これをドメスチックCIFといたしまして計算いたしますると、これはまあそれぞれIWAにおきましてはむしろ逆に八十六ドルでございますから余りが来る場合がございますし、又その他の国々におきましてはプラスになりまして、大体自由小麦におきましては四ドルから五ドル程度の……八十五ドル程度にドメスチックCIFがなると思います。アルゼンチンにおきましては、更にそれが上廻りまして二十ドル、約二十ドル一以下になります。
  106. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 こちらの予算の単価は八十六ドルですか、九十ドルですか。単価といいますか、補給金を出す基礎になつておる単価であります。
  107. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 大体全体といたしまして、IWA及び自由小麦、アルゼンチンを入れました平均CIFが九十ドルになるわけでございます。これはそれぞれ品物別、国別に計算をいたしまして補給金単価を出しております。大体これの補給金単価を出す場合のドメスチックCIFは八十六ドル程度でございます。従いまして、旧協定におきまする場合におきましては七十六ドルでございますから、逆にドメスチックCIFよりも安いということになりまするし、新協定の八十六ドルの場合におきましては、大体ドメスチックCIFとパーでございましたから補給金は要らない。自由小麦、アルゼンチン等の協定以外のものにつきましては、ドメスチックCIFとの差だけが補給金になるわけでございます。
  108. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 大ざつばに申しまして、今の海外の小麦市況から見れば、少くともこの協定に塞ぐ輸入小麦については補給金は要らないというような、逆にそこに一つの何と申しますか黒字が出る、こういうふうに観測していいのかどうか、これを一つお見通しを伺います。
  109. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) これはまあ海外市価の問題でございまするが、全体としまして平均で九十ドルと考えておりまするが、まあ今後のアルゼンチンの価格等も考えられまするので、本年度におきましては補給金が要らなくなるということはないのじやないかと考えております。ただ御承知のように、補給金につきましては成る時期を限りまして、実績によりまして一般会計からの繰入をいたしております。従いまして、その実績が下りますれば食糧特別会計に対する補給金の繰入はその実績に従つて繰入れいたして行く。こういうまあ関係になつておりますので、一応の予算の金額と実績とがどう今後変つて行くかということは、見通しの問題でございまするが、我々といたしましては、本年度においては補給金が要らなくなり、又逆に黒字になるということは想像いたしております。
  110. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私がお尋ねしたのはこの協定に対する分であつて、その他のアルゼンチンとか或いは自由買付の分ではないのであります。  それからこれまでこの協定に参加している国以外、まあアルゼンチンはいいのでありますが、その他の国から小麦輸入した事実があるか。或いはありとすればどれほど輸入されたか、これを一つ伺いたい。
  111. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 最近におきましてはアメリカ、カナダ、濠州でございまして他の国から輸入したことはございません。
  112. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 もう一つ小麦輸入の枠が条約的に縛られておるわけでありまして、一つはこの協定に基く分、一つはアルゼンチンの協定であります。残る日本が自由に操作し得るといいますか自由に買い得る限度というものは、二十万乃至三十万程度のように思われるのであります。市況関係とかいろいろでこの状態で進みますると、私は大麦の輸入との間に一つの関連と影響を持つて来るように思われるのであります。言い換えますると、日本として大麦の輸入が必要であつても、小麦については協定の制約があるためにそれによらざるを得ないということであります。外米についても同様の問題が起り得るかと思いまするけれども、その点についての農林省のお考えをお伺いしたいと思います。
  113. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答えいたしますが、我々といたしましては、一応国内におきまする出廻りの量と国内におきまする需要の状態とを考えまして、両者の差を輸入に仰いでいるわけでありまして、小麦につきましては百五十七万トンの輸入国内の需要の面、出廻りの面からいつて必要であろう、かように考えて輸入を計画いたしておるわけでありまして、大、裸の関係におきましても国内の出廻りの量等を考えまして六十二万トンといたしておるわけでございます。  ただ梶原委員のお話は、恐らく本年度におきまする大、裸の減産の関係において、大麦の輸入も増加する必要がないかどうか、かようなお問かと存ぜられますが、一応昨年度におきましては大麦の輸入も相当いたしましたのでストックがございますので、国内の減産の程度によるかと思いまするが、現状におきましてはこれを大きく変更する必要はないのじやなかろうかとかように考えております。
  114. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 いずれ別の機会に農林大臣なり通産大臣なりに伺いたいと思うのでありますが、先般の施政方針の演説で、米は漸次減らして行つて麦類に転換して行く方針であるということを演説されたのであります。この問題は非常に私重要な意味合を将来に示唆しておると思うのであります。結局東南アジア方面とアメリカとの一つの関連性が出て来る。そういう際に大体ドル地域を対象にする一つ協定ができて来て、その数量についてはともかく協定をした信義上、当然制約を受ける。他地方からもつと安く米なり或いはその他の穀類を輸入し得て、それが日本のためにプラスであつてもこの協定に制約されるという結果に私はなるであろうと思うのであります。それ自体をすぐに私はこの段階でいかんという趣旨ではないのであります。麦類に転換して行くという政府の方針はどういう意味合を持つておるのか、この協定の関連においてそれを一つ食糧庁長官の御意見で結構ですから承わりたい。
  115. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 経済審議庁長官が、将来の大きな方向といたしまして、日本の食糧生産及び自給の関係、又国際的には前年度主要食糧米麦におきまする貿易取引上の実態等からいたしまして、外国から輸入をいたします場合におきまして、取引量の多い世界的な商品でありまする小麦の面におきまして、入手可能であり又価格的にも安いというふうな点から考えまして、将来の大きな方向として粉食傾向に食生活を持つて参りたいというふうに説明されたと承知いたしておるのでございます。御承知のように現実の問題といたしましては、昨年度の実績を見ましても所得の関係等もございまするが、粒食傾向が相当出て参つておるわけでございまするし、又米につきましては国民生活の安定の中心といたしまして、御承知のように政府が統制配給をいたしておるわけでございます。我々といたしましては国民生活の安定の面からいたしましても、米の一定量の供給は絶対に必要じやなかろうかと思つておりまするから、国民の嗜好の面、或いは又その嗜好に対しまする副食物等の生産費の面というふうな回からいたしまして、漸次その方向に向うということは望ましいとは考えられまするけれども、現実の問題といたしまして、これが早急にここ一両年でそういう方向に向い得るということは非常に困難ではなかろうかとかように考えております。
  116. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 これは私非常に重要な問題だと思うのでありまして別の機会に又伺います。  いま一点だけ。この協定に加盟した国の中で、協定による数量なり或いは自由買付による原麦を加工して再輸出するというふうな事例が、私はあるのじやなかろうかと思うのでありますが、その点がどうかということと、日本においても會つては加工輸出の国として相当の機、脂を持つたわけであります。相当程度そういう途を推し進めてもこの際はいいのではないかという考え方を持つのでありますが、それらについての具体的の一つお考え方を承わりたい。
  117. 下田武三

    政府委員下田武三君) この協定の下で輸入した小麦を再輸出し、又は加工した上で再輸出するということはこの協定では別に禁じられておりません。
  118. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今の梶原委員の御質問でございまするが、勿論協定は只今外務省からのお答えのように再輸出の問題については禁止をいたしておるわけではございませんが、我々現実の問題といたしましては、主要食糧の面から見ますると国内主要食糧の需給並びに価格の安定という見地からいたしまして、又補給金を現実に出しておるというような見解からいたしまして、現在の状態の下におきましては、この小麦協定によつた輸入国内用の消費として廻して参る。輸出につきましては、目下別個にこれを食糧管理の面と併せまして、加工輸出として、どういう制度をとるか、例えば保税倉庫の制度等につきまして検討をいたしておるわけでございまして、この小麦協定輸入したものを以て直ちに加工輸出に充てるという考えはないわけでございます。
  119. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 本日の質疑はこの程度として、あとは次回に譲りたいと存じますが、本件は実は今日午後一時から衆議院の本会議にかけられることになつておりますので、若し衆議院を通適して本付託になりましたらば、明日午後一時より本審査に入つて採決にまで進みたいと存じております。  では本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会