○一松政二君 それじや午後の予定がよくはつきりわかりませんから、二、三
一つ伺
つておきたい。昨日、一昨日、実は
運輸大臣にお聞きしたいことがあ
つたのだけれ
ども、一応法案は通
つておるわけですが、私の満足しないようなことが多々あつたわけです。先ほど
運輸大臣のお答えの中に、
新谷委員がこの法の運用の方面について、この
法律の
規定があ
つても、むしろ死文になるんじやないか、却
つてそうあ
つても、実際の運用はそうは行かんのだ、
法律があ
つてもその
通りにはむしろ行かないで、
新谷委員の要望される
通りの運営になるであろう、私はこの答弁は実に結構だと思うのです。そうあ
つて頂きたいのであります。ところが
運輸省のもろもろの我々が審議した法案を見ると、実に裁量の
範囲が広汎であ
つて、そうして先ほ
ども指摘されておるように、
運輸大臣の認定如何にすべてかかる。すべてのことが
運輸大臣に全部直結されて、そして
運輸大臣の御判断を請われるならば大変結構でありますが、実際の運用上には、この法案などはよほど重要であるから、そういうときには勧告も要りましようが、本国会で通されました道路運送法の一部改正にしても、港湾運送事業法にいたしましても、或いは港湾整備促進法その池すべて
運輸省の物の
考え方に非常に統制力が強い。そして需給という問題を
運輸省で非常にお
考えにな
つて、そうして整備促進という言葉をしよつちう使われております。ところが世の中は非常に変化しやすいわけなんです。でありますから私は常に
考える。昨非今是という言葉がありますから、今是は明非になるだろう。明非はその次には是になる可能性がたくさんあるわけであります。それを一々行政官庁、
政府色体でお
考えになるときには、又よほど違つた
観点も出て来ようかと思うのでございますけれ
ども、例えば港湾の運送にしましても、港湾の
仕事、或いははしけ、機帆船その他の
仕事なんかを睨んでお
考えになると、或る場合には不当競争みたいに見えるけれ
ども、世の中全体が血みどろの競争をやる。そうして
日本全体の今後の経済の取り方が、どうしても原価を下げなければならんという立場に立
つてお
つて、これらの港湾の費用にしても何にしてもできるだけ切下げて行こうという
考え方に私は皆な
つて来ると思うのです。ところが法の建前は秩序を維持する。そうして賃金をきめてそれに違反したものは三万円の罰金を取つたり、或いは五万円の罰金を取つたり、或いは事業の停止を命ずるというのが法の一応の建前にな
つておりまして、そうして港湾運送事業法のごときは、現在のものよりも更に
範囲を拡大して、二十八カ所の港湾にこの
法律を拡げよう、そういうことにな
つておりまして、それが昨日の本
委員会で可決されておるわけであります。ところがその中には、別にさしてそういうものをや
つても必要がない。又違反するような者を除く法文ができておれば、それを監視しなければ違反者は挙らない。そうすると結局業者同志が摘発行為をや
つて、そうして何か訴えて来るようなことがあるか、あ
つて初めて発見されるようなことがあるし、或いはあ
つても発見はできないというので、いわゆる匙加減した、それからいわゆる手心、これが多くの場合に、私は
当該担当者の、前線の者の判断によ
つて事が決せられることが常に多くはないか、そういう者の裁量の
範囲が非常に多くなる。
従つてその間にいろいろな請託なり或いは運動なりが行われて、その問題が私は将来何かの形で、又
運輸省全体のむしろ非難をこうむるようなことがありはしないかと恐れるわけであります。この今審議されている
利子補給法案にいたしましても、その
業務命令におけるところの
運輸大臣の判断それ自身もさることながら、今日各地の税務署の、いわゆる 職とか収賄とか、いろいろな問題が世の報道するところにな
つておりますが、こういうことは、私はこの
法律が
通りますというと、これは通るでありましようが、私は頭痛の種にならなければ幸いであると
考えておるわけであります。その人の報告如何が
運輸省の判断の材料になります。その報告は実はどういうふうにでも、或る
程度は軽重の差はありましようけれ
ども、報告の如何が問題になるわけであります。とこ泉これは他のいろいろな同類のような
仕事で、今まででもこの
補給金或いは
補助という問題にはこれはつきものであつたわけです。この
法律は私は検査もしなければならんし、勧告もしなければならんし、ひどいのになると今のような補給の停止をもしなければならんと思いますが、それをする段階以前にかなりいろいろな問題がありはしないか、そこまで行くまでには私はよくよくのことであると思います。世間周知の事実にな
つて、どうにもこうにもならないので成るほどと
思つておやりになることは結構でありますが、そこまで行かない前に、私はかなり気遣われることがたくさんあると思います。これは製鉄の
補助金或いはその他について、経理に前の商工省から一々検査に行かれてお
つて、その検査を受ける者のその検査に来た人に対する醜事を一、二私は知
つておるわけであります。この
法律はその問題だけですが、他にこれと類似のものがあ
つて一そうしていろいろ服務規律その他の点について、世の指弾を買うようなことが間々起つたわけであります。でありますから私はそういう危険を包蔵していないか。それからとかく余るとか足らないとかという判断を、
運輸当局がこれを判断するということは私は非常にむずかしいことだと思う。これは世界的な情勢の変化と、
日本経済の変化によ
つて常に波動を受けておる。私の率直な
考えから言えば、それは足らなければ余らないし、余らなければ足らない。どこが余つたとか、どこが足らんというようなことは、それはなかなか言うべくしてむずかしい問題です。お前余
つておるから、船を造ることはならんのだと言いますと、一番船を造らなければならん時機を逸することになる。
造船所でも船の安いときは船を一番造りたいときなのです。多少赤字でもこれはもうやらなければならんのです。そういうことの判断を私は
運輸省が、需要供給の一番むずかしい面を
運輸省が判断されるような
法律案がしばしば出ました。今のように道路運送法とか、或いは港湾運送法とか、これらはみんなその需給の調整をとり、そうして秩序を維持するというような眼目が
法律に盛られてあります。でありますから
運輸大臣は、当時私は
運輸大臣まで御
質問申上げなか
つたのですが、今丁度ことのついでに私は
運輸大臣の心がまえをお伺いして、そうしてその方針に則
つて、下僚がいやしくも過ちのないように、行過ぎないように、行過ぎないということと又行き足らんという問題も起
つて来て、これがなかなかむずかしい問題になりまして、微妙ないわゆるそこに忌わしい問題がつきまと
つて来る危険を包蔵しておりますから、その点について
運輸大臣の心がまえをお伺いしておきたいと思うのであります。