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1953-07-28 第16回国会 参議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            木島 虎藏君   衆議院議員            關谷 勝利君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省港湾局長 黒田 静夫君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  山内 公猷君    運輸省自動車局    長       中村  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   衆議院法制局側    法 制 局 長 西澤哲四郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方鉄道軌道整備法案衆議院提  出) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより委員会開会いたします。速記をとめて下さい。    午前十時五十三分速記中止    ——————————    午後零時三十四分速記開始
  3. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。それではこれにて休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    ——————————    午後二時四分開会
  4. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは午前に引続きまして運輸委員会開会いたします。  地方鉄道軌道整備法案を議題に供します。  質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  5. 東隆

    東隆君 私は附則の第二項ですか、「地方鉄道補助法及び北海道拓殖鉄道補助二関スル法律は、廃止する。」と、こういうふうに附則のほうに書かれてありますが、この法律は前のいろいろのお話から参りますと、北海道拓殖鉄道補助法によるものと、それから地方鉄道補助法による二つを中心にして拡大をして行つておるように考えます。併しそのうち地方鉄道補助法によるものはすでに補助がないようでありますから、中心北海道拓殖鉄道補助がこれが中心になつておると思うわけです。そういうような関係でこの法律中心にして拡大をして行くことから、府県の大きな部分にこの地方鉄道関係でいろいろな補助その他の問題が起きて参りますると、一定予算にフアンドがあるというと語弊がありますけれども一定の額を相当数に分けなければならん、こんなようなことになりますと、地方鉄道を必要とした北海道のような所は、これは非常にその影響を受けることが大きいと考えますので、これはどういうふうに救済をされておりますか、この点をお聞きしたいのであります。
  6. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) これはお説のように従来のから見まするというと北海道拓殖鉄道、これを中心として拡大した、こういうふうな恰好になつておるように見えますが、これは今度のこの地方鉄道軌道整備法ができるために重複いたしまするので、その北海道の何と申しまするか、今まで受けておつたところの権利と申しまするか、そういうふうなことを継続することを入れまして、同時にこれで包括をいたしたような次第でありますが、大体予算折衝いたしまする際には、先ず個個の必要のある鉄道、これに対しまして折衝大蔵省といたしまして、そうしてそのものの集計が補助額になつて来るわけでありまして、或る一つ補助の枠をとりまして、その中で運輸省裁量でこれを分配をする、こういうことになるのではないのでありまするので、その点は御懸念のようなことはないと存じまするし、なお従来大蔵省と事務的に折衝をした話を聞いておりますところによりましても、この法律ができた場合には、そのときには一層の増額を考えよう、こういうふうなことになつておるそうでありますので、その点は御懸念のようなことはないと、このように信じております。
  7. 東隆

    東隆君 私は事務当局のほうにお聞きしたいのですが、この法律によつて府県のほうでこれに該当するものはどの程度考えられるか。これは実はこの前の質疑のときに資料を頂戴したいとこういうのでお聞きをしておつたのです。五項の「第二条第二項の新線とみなす。」というその関係ですね、これを少し御説明を願いたいと思います。
  8. 植田純一

    政府委員植田純一君) いわゆる地方鉄道運輸の新線と申しますのは、相当たくさんございまするが、特にこの法律条件に該当するのではないかということで私どもまあ考えております線は、大体北海道以外におきまして、六、七線程度のものではないかと、かように考えております。
  9. 東隆

    東隆君 私は、これで質問を終りたいと思います。
  10. 一松政二

    一松政二君 衆議院法制局長ちよつと伺いたいのですが、先日關谷さんのお答えによりますると、第三条のこの一、二、三と列挙してあるものが非常に範囲が茫然としておる。そうしてまあ一応予算という枠がきめてありまするので、これはもう法律上これを見まするというと、この要件に合致するものに対しては、全部一応六分の補助をする建前になつておるように考えるわけであります。従つてもう少しこれを具体的に明らかにすべきではないかということを伺つたときに、省令によつてそれを定めるというお答えでありましたので、然らばその省令による根拠はどこにあるのかと、こう私は再質問いたしましたところが、同法案の第二十七条の末尾のほうに「この法律実施のための手続その他その執行について必要な事項は、運輸省令で定める。」と、この「実施のための手続その他」のこの「その他」によつて、第三条眼目となるべき、この法案の最も骨子となるべきものをです、省令譲つて、そうしてそういうことをできるかどうか伺いたいわけであります。
  11. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) お答え申上げます。私どものほうで、この法律案立案をいたしましたその過程におきましては、只今お話のありましたように、第二十七条の「最後のその執行について必要な事項」と、この中に第三条の或る程度詳細なことを規定し得るということが当然にこの二十七条の中で読み得るものだと、こういうふうに考えながら立案をいたしたということを申上げておきたいと思います。
  12. 一松政二

    一松政二君 然らばですね、その前段にいろいろの極く細かいことを令に委ねるように列挙してある。なぜこの法律案眼目筋金となるべきものを「その執行について必要な事項」くらいのところにくるめて、いわゆるウエイトの比較的軽い部門の細かいことを列挙した理由はどういうわけですか。
  13. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 御尤もな御質問でございまするが、元来第三条それ自身が非常に仰せ通り漠としたものでございます。或る程度これは内規的にでも枠がおのずから生じて来るものじやないかというふうなことも考えられたわけであります。その意味におきまして、この二十七条に列挙するまでもなく、当然にこの「執行について必要な事項」とこの中に入つて来ると、こういうふうに実は考えたわけでございます。
  14. 一松政二

    一松政二君 そうすると、今あなたのお話を承わつていると、省令で何でもできる。一応ぽつとした枠を定めておいて、そうしてそれより非常に比重の軽いものを列挙してあるのです。二十七条は、「第八条第一項及び第二項、第十三条、第十五条、」と一々見れば、二十六条の営業用固定資産価額、或いは欠損金の額、こういつたものを極めて明瞭に規定してあるのです。そうして最も筋金となるべきものを、なぜそういう茫漠とした所に入れて省令に委ねるということになると、我々国会議員は何のために法案を審議する必要があるかという疑いが起つて来る。若しただ簡単に大枠を定めて、そうしてあと省令に譲るということであれば、法律を審議する私はその必要性ですか、国会議員本来の面目が一体どこにあるのか、行政管庁に全部委ねればいいのだ、というような結果にならないでしようか。御意見を伺いたいと思います。
  15. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 私ども考え方といたしますと、およそ第三条それ自身が、お話のように或る程度漠然といたしておりますか知りませんけれども、この中に相当はつきりした線が出ているじやないかというふうにも考えているわけでございます。従いまして、すべてが行政官庁に一任されているというのではなくして、やはりこの第三条全体の立法の精神から考えまして、補助を受けるべき鉄道というのは、おのずからはつきりした線がこのうちの三号の中に出ているじやないかこういうふうに考えております。これ以上の、勿論具体的に事を書くのも一つ方法であるかもわかりませんけれども、そういたしますと、実際法文が非常に複雑になりやしないかということも恐れるわけでございます。
  16. 一松政二

    一松政二君 法文は、極めて簡単明瞭にすべきであるとも私は思うわけであります。極めて簡単明瞭で、何人の疑いの余地もない。そうして行政府がこの法律執行する場合において、裁量範囲を著しく拡げておくことは、私は国会として、法律を作る建前上とるべき手段ではあるまいと思う。意思決定国会がなすべきことだ。そうしてその瑣末なる手続或いは法律以下の細かいことにつきましては、これは一一やれば煩瑣になるからこれを省令に委ねるというのが従来の行き方であり、当然の措置でなければならんと考えるわけであります。ところが若し二十七条の末項の、「その執行について必要な事項は、運輸省令で定める。」ということであるならば、なぜそれをもう少し第三条はつきりこれ以上細かいことを省令に委ねることができるということをお書きにならなかつたのですか。ここへ入れておけば頗るはつきりするわけです。それを第二十七条のこういう末項に、而も我々から考えれば、価額だとか欠損金の額とか益金平均割合算定方法とかいうものは、細かい技術上の問題である、そういう問題を省令に委ねておるのであつて法案骨子となるべき選定の基準を私は委ねてはいないと考えているわけなんです。重ねて御意見を伺いたい。
  17. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 只今の御意見十分拝承いたしておりましたが、私どもといたしますと、先ほども申上げたような考え方立案をいたしたのでございます。この立案でほぼその目的が達せられるではないかというふうな私ども考えを持つておりまして、今お説ではございましたが、それをこの三条にいま少しく具体的なものを入れるという点については、私はその必要がないではないか。重ねて申上げますれば、第三条の一号乃至三号に掲げてありまするこの事柄で或る程度はつきりした枠がおのずからできて来るものだ、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
  18. 一松政二

    一松政二君 何だか少し答弁が、私がはつきり呑み込めないのかどうか存じませんが、先ほどのあなたの御回答の中には、三条の細かいいわゆるもつと厳密な基準となるべきものは省令によつて定める。そうしてその根拠はどこかと言つたらば、この二十七条の「その他執行について必要な事項は、運輸省令で定める。」、これによつてそういうことができると先ほどお答えなつたようですが、今の御答弁を伺いますと、三条はつきりしているんだから省令は要らんのだ、省令によらんでもこれではつきりしているからそれで行けるんだというお答えですが、私の解釈の間違いかどうか存じませんが、何か前後筋が通つていないように私には聞えたのですが、その辺如何でしようか。
  19. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 私の言葉が足りなかつたかもわかりませんが、第三条で一応この条文を通じてはつきりした枠ができるのじやないか、併しながらそれを省令によつていま少しく枠をはつきりさせるということであれば、それは二十七条の後段においてできることである、こういう意味でございます。
  20. 一松政二

    一松政二君 そうすると、なぜ二十七条のこの前段の細かいことを、省令に譲ることを明示しておきながら、最も重要なことを「その他」くらいな極く程度の軽い表現の仕方でこの法案の中に織込まれたか、その根拠を伺いたい。そういう第三条で大よそ浮び出るじやないか。それは浮び出るかも知れんけれども、選択はどうにでも理由がつくのです。それを運輸大臣一人の責任においてなし得るような法案建前になつておるわけだから、国会としてはもう少しきちんとしたはつきりしたものを法律体裁として、或いは法律規定としては持つべきじやなかろうかと考えたわけであります。そうするとそれは省令で定めますと関谷さんのお答えでしたから、その根拠はどこだと申上げたところが、二十七条の後段の今申上げた所だと、こうおつしやるわけなんです。ところが若し三条省令で定める最初からの考えであるならば、当然私はこの三条のものがむしろ二十七条の一番最初に出るべきであると考えるのですが、如何でしよう。
  21. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 立案過程におきましては、先ほどから御説明申上げた通りでございまして、このでき上つた法律をどういうふうに解釈されるかという点につきましては、どうも立案者の側といたしますと、やはり立案の立場にこだわるわけでございます。その点は御答弁を御遠慮申上げたいと考えます。どうぞよろしく。
  22. 一松政二

    一松政二君 いや、私はだからこれで行くんだとおつしやれば、一つの行き方なんです。三条で、法制局長よく聞いておいて下さい。この三条基準で行くんだ、ぼんやりしておるけれどもこれでも大体わかるじやないかというお話なら、それも一つ見解なんですよ。それを省令によつて更に厳密なことを規定するというお話でありましたから、然らばその根拠はどこだと言つたらば、ここだとおつしやる。それはこの二十七条の条文建前から言つて立案の当時に私はそういうことは予定しなかつたことだろと考えるのです。そこで伺つておるわけなんです。極く手続その他執行上必要な些細なことは省令によつて定めるということが普通常識であり、当然の解釈でなければならん。今のような重要な厳密な事項を、この言葉にこじつけるべきじやないと私は考えるのですよ。だから最初はそういうことは予定しなかつたのだとおつしやれば、それでお話はわかる。じや、どうしたらいいか。ここに第三条のようなものは省令には譲  つていない。極く晴天なことのみを列挙して言つておるのですから、これより更にもつと細かいことでなければならんのです。ところが法律そのもの規定を覆し得るような重要な事項をこの言葉で以て援用されるから私にはわからなくなるわけなんです。重ねて御答弁をお願いいたします。
  23. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 結局御答弁を重ねておりますと議論になる虞れもございますので、立案経過につきましては、先ほど申上げたところで御了承願いたいと考えます。
  24. 一松政二

    一松政二君 議論とおつしやれば、衆議院はこういう列挙しておる瑣末な、事のついでに入れたような「その他その執行について必要な事項」というやつでこういう三条のような重要な事項省令に持つて行つても穏当である十不穏当ではない、当然のなし得ることであるのか。法制局建前から一つ考えを願いたい。立案の趣旨とか立案経過じやなくして、これは後世に残る問題ですから、私ははつきりしておきたいわけなんです。省令法律との関係、これは御存じの通り法律より省令が少しでも出ていればその省令は結局無効になる。法律が出ておるわげなんです。だからそこをはつきりしておきませんと、これを実施する行政管庁も困るわけなんだ。その解釈憲法違反の問題になる虞れがある。衆議院では、この三条規定を細かく入れる場合の省令根拠をここに求めても、それは穏当である、不穏当ではないとお考えになられますか。
  25. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 先ほども申上げましたように、二十七条の後段で「執行について必要な事項」という中には、第三条細部規定が入つているという見解であつたことは事実でございます。又現在でもその見解は変更いたしておりませんということを申上げておきたいと思います。
  26. 一松政二

    一松政二君 それならなぜこの法文体裁上、第八条以下のこういう細かな規定を、細部省令に譲るような体裁法案をお出しになるのですか。三条眼目となるべき条件に従属するかどうかという、一番の主眼点は、当然、若し省令に譲るとすれば、もつはつきり、「その他」なんていうようなところで逃げないで、もつはつきりと謳うのが本当ではございませんか。
  27. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 二十七条で列挙してある事柄が、瑣末な事柄だというお話でございまするが、これも見方によつては瑣末なものではなくして、非常にこれが大きな影響を与えることもあるのではないかと考えます。その意味におきまして、ちよつと私ども考え方といたしましては、どれが瑣末で、どれが重要だというような点につきましては、判断いたしかねるわけでございます。二十七条に関係あるもの必ずしも全部が、明示してありますもの全部が瑣末だというふうにもちよつと考えかねるわけでございます。
  28. 一松政二

    一松政二君 二十七条にはつきり出ているじやありませんか。「第二十六条の益金平均割合算定方法」なんという、ただ、いわゆる算定する算定の仕方というのです。ところが三条のほうは眼目なわけです。そのウエイトが、どつちが重くて、どつちが軽いというのか御判断がおつきにならないはずはないと思うのです。ただ私は御答弁のですね、御答弁の仕方もなかなか御注意になつているとしか考えませんから、そういうことだろうと思うのですが、一体衆議院法制局法律案をえ考るときに、この法律案の最も明確にすべき事柄を、若し省令最初から譲ると、最初から譲つて差支えないというお考えであるならば、当然これは明示さるべきでなかつたですか。最初そういうことはお考えにならないではなかつたか、私はそういうふうにしか解釈できないのです。答弁のいろいろのいきさつから、ここへその根拠を発見されたとしか私には受取れないのです。最初からそれは命令に譲るというはつきりした御意思があつたならば、当然私は謳つていたんじやないかと思うのですが、その点は一つ今までの行きがかりを捨てて、これは今後法律案をお作りになつて衆議院で、いろいろなところで議員立法その他をおやりになるときに、命令法律関係を、私は將来のために今日のこの質問をしておるわけなんです。そういう場合、最も明瞭と思われるようなもの、これは誰が見ても、その重要性の度合の問題で私はわかると思うのです。これがわからんと言えば、それはいわゆるまあ何といいますか、ただ、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うという、ただ一つのことに、私はそういうことに捉われたくはないのですよ。もつとさつぱりした気持法律案を、法律の案件をこしらえ、そうしてはつきりしたところを行政官庁実施してもらいたいというのが、我々の国会議員の務めであろうと思うのですよ。だから最初からそれは法律に、第三条をですね、三条命令に譲るというお考えがおありであつたのですか。それを伺いたい。
  29. 西澤哲四郎

    衆議院法制局長西澤哲四郎君) 先ほども申したように、第三条それ自身は、この中で、この一号乃至三号の中で、おのずからはつきりした枠が出て来るということは当然考えております。併しながら具体的な問題に当りまして、これが省令でこの枠をはつきりさせようという御意思でありますれば、それでも勿論差支えないというふうに考えて、そして、そのためには二十七条の後段解釈がつくと、こういうように考えたわけでございます。
  30. 一松政二

    一松政二君 私はですね、今の御答弁でも、先ほどからの御答弁の中でですよ、推察はしているのです。推察はしているのだけれども、そういう行きがかり上、飽くまでそういうことにこだわられているように私は思うけれども、この法律建前から言えば、実施のためのただ手続なんですよ。「手続その他その執行について必要な」というのであつて手続よりももつと軽いものでなければならんですよ、この条文解釈から言えば。じや、私は暫らく衆議院法制局長の御答弁あとにお願いして、先ず参議院の法制局長に伺いたいのですが、これは法律立法者意思が、立法者意思、或いはその当時の事情等がいつまでも斟酌され、その通りに運用されればおおむね間違いはないと思われるのです。併しながら法律が出ると、法律それ自身がものを言うようになる。従つて立法者がどういうふうに考えておつたとか、どういう考えであつたとかいう、とはこの次になつてしまつて法律条文文字そのままが、文字解釈その他でやつて行かれるわけで、この二十七条の今問題になつておる「この法律実施のための手続その他その執行について必要な事項」というのは、私は手続以下の事柄であろうと考えるのですが、この条文上から見て。これは私は間違つておるかどうか、一つ意見を承わりたいと思います。
  31. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 二十七条を文字の上から解釈いたしますと、これは例示的に列挙しておりまして、制限列挙ではありませんが、故に、このほかにもここに列挙されておる算定方法、或いは手続といつたような、列挙されている以外においても、この法律執行について必要な事項について省令で定め得るということは、文字的に言い得ると思います。ただ今問題の三条の点でありますが、三条自体実施を十分やれるのであれば、勿論ここに持つて来る必要はないのでありますが、三条だけでは実施基準実施する上においての基準は不明確であつて、どうしても、それ以外に執行上必要な事項規定しなければならないということであれば、二十七条の上においての省令規定し得られないものではない。勿論これは只今仰せのように「手続その他その執行について必要な事項」でありますが故に、三条列挙している法律できめられた要件を変更するとか、これと別なことを規定するといつたようなことは勿論できませんが、その三条要件の枠の具体的な基準を設けるということは、二十七条によつてでき得ないことではないという考え解釈上持つております。ただ先ほどからお話のあるように、初めから三条自体が不明確で、これだけでは実施が十分に行かないので、当然に具体的な基準規定を必要とするということであれば、御説のように、ここの列挙のうちに頭を出して置いたほうがなお明確であつたかも知れん、批判的に見ればそういうことでありますが、まあなくても三条実施上必要であれば三条規定しておることを変更しない限り、これを具体化して実施基準を設けることは二十七条からできないものではないというふうに考えます。
  32. 一松政二

    一松政二君 そうするとその基準は、三条基準を設けることはこの条文建前からいつて手続以下の小さな条件にしかならんと思いますが、こういう書き方をしておるときに、法律建前上それで差支えないでしようか。不穏当じやございませんか。
  33. 奧野健一

  34. 一松政二

    一松政二君 手続ということははつきり書いてある。
  35. 奧野健一

    法政局長奧野健一君) これは承認を受けるための手続も入りましようが、それのほかにその他執行について必要なる事項というので、承認をする上、或いは認定をする上においての、認定とか承認というものを実施する上の必要な事項として規定ができる、ただ勿論この必要な事項ということも、法律の枠内の、法律実施するための、まあ具体的な枠がもうはめられておりますので、三条規定しておる要件を変更するとか、これと違つたような内容を必要な事項として省令規定することは許されないというふうに考えます。
  36. 一松政二

    一松政二君 三条の枠が焦点が非常にぼけておるから、これを明確にするというわけなんです。ところがそうすれば明確なほうが法律以上になると思うのであります。三条ではぼんやりしているから焦点がよくはつきりしないからもつと焦点の強いものを、焦点のはつきりしたものを省令で打出すということになると、法律を私は左右するような省令になりやしないかと思うのですが、そういうふうにお考えになりませんか。単なる手続と私は同列に置くべき問題じやないように考えられるのですが。
  37. 奧野健一

    法政局長奧野健一君) これは飽くまでも三条規定しておる枠内でこれを明白にするというので、若しこれと三条規定と違つておるような内容のものを盛るということは、省令の性格として許されないのものであると思います。
  38. 一松政二

    一松政二君 これは速記録はあるし、いろいろの関係もありましようから、そうはつきりした御答弁はやりにくいからなかなか含蓄のある御答弁をなさつておると思います。それで私は一応こういう省令によるべきものが、そういう法律主眼点を明白にするようなことをはつきり省令に出すべき条件条文の項目を列挙すべきであつて、それは頗る不穏当であると思います。で、御答弁は頗る満足はいたしかねます。そうしてこの三条規定省令に委ねるという考え方は私はなかつたと想像するのです。それで又省令に委ねるのならば、現在のこの法律を現に審議しておるのですから、省令があるべきである、すでに草案でもあるべきである。ところがそれさえ持つていない、用意していないのです。でありますから先ほど衆議院法制局長が言われたように、この三条の、これでも或る程度浮び出て来るのじやないかというのが私は本音だと思うのです。それを我々がこれじやはつきりしない、もつと明確にすべきじやないかという議論が出た場合に、それを省令によるということを言われたから、私はこういう問題を起して来たので、衆議院法制局長の御答弁にも、最初はそういうことを予定しないようにしか考えられないのです、あの御答弁を見れば。だから私はこういう二十七条の書き方になつていると思うのです。それを両院の法制局長ともそういうことにこだわらずに、私はむしろ率直に、これはそういう予定じやなかつたからこうなつてつたのだが、そういうことであるならば、この体裁はどうも余り好ましいもののじやない、もつと明白にしておきたかつた、その点については最初からそういう考えであつたものだから、例示していなかつたのだというお答えがあれば、これで私どもは納得するわけなんです。それならそれでどうすればいいかということになるのだけれども、余りに私はそういうこじつけの御答弁を頂くから、何遍でも繰返すのです。これ以上私は繰返しても、やはり同じところに固着されてそういうことになるし、他の同僚議員のなにもありますから、私はこの最初に予定していない、これで行けるとお考えになつてつた、大体そういうふうに私は了承しますよ、今の御答弁の中から。省令で以てこれをやるということは頗る不穏当であるという私は考え方を述べて、この質問は一応この辺でやめておきます。幾ら私がやつても変つた答弁はしにくいでしよう。
  39. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかに御質問ございませんか。
  40. 大倉精一

    ○大倉精一君 二十四条の第四項ですが、政府の命令に基かずに国鉄自身で新線を建設するという場合、そういう場合は例えばどんな場合があるのですか。
  41. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 国有鉄道がそれを経営すれば非常に国有鉄道の利益になるというような場合に、自発的に積極的にやります場合は、これは政府の命令によらざるもの、このように考えております。
  42. 前田穰

    委員長前田穰君) この件に関しては、政府からも一つ答弁を願いたいと思います。
  43. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 只今關谷さんが答弁されましたように、国有鉄道が自分で新線の建設をするという場合におきましては、国有鉄道が補償すべきものでありますが、政府が命令をいたしました場合には、ここにありますように、政府から日本国有鉄道に対しまして当該補償金を交付する新線建設、理論的に考えまして、国有鉄道自己の利益においてやる場合、それから政府の命令においてやる場合、二つ考えられますので、その間書き分けてあるわけであります。
  44. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の聞いているのは、そういう政府の命令によらずに、国鉄がみずから新線の建設をするというケースは、相当多くあるのですか、めつたにないものなんですか、ということなんです。
  45. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 国有鉄道が新線を建設するという場合におきまして、みずからの選んだ線をやるということは、敷設法の関係におきまして、現在許されておらないわけであります。敷設法に掲げられました線のうちどれをやるかということは、一応敷設法に掲げられた別表というものは、国有鉄道が勝手な線をしてはいけないという制限的なものであります。その中を選んでやるわけでございますが、その中にも理論的に見まして国有鉄道が利益になるものと、そうでなくて余り利益にならないものと、こういうものが考えられますので、そういう敷設法の別表に掲げられました線の中でやる申請についてそういうことが考えられる……。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういう場合は相当たくさんあるのですか。今までたくさんあつたのですか。
  47. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) それは戦後新線が行われただけでございまして、御存じのように、戦争中は余り行われておりません。
  48. 大倉精一

    ○大倉精一君 大してたくさんのケースはない、こういうことですか。
  49. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 最近におきましては、そういうことでございます。
  50. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の鉄道みずから新線を敷くという場合には、これはそこへ鉄道を引張れば儲かるという場合でなければやらないわけですね。従つてそういうような場合に、そこに既設の私鉄があると、私鉄の地方鉄道があるというそういう場合に、一つの方針としては、地方鉄道補助を与えて地方鉄道の施設拡張或いはその他によつてその資源開発なり何なりをやるという方針なのか、或いは鉄道みずからそこに乗り込んで行つて、その利益を鉄道に吸収して行こうという方針なのか、そういうところをちよつと伺いたい。
  51. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 国有鉄道が新らしい線を敷く場合に、必ずしも儲かるからやるということにも限らないのではなかろうかと思います。それは国有鉄道の性格から言いまして、日本の交通網の幹線を確保するという意味におきましては、或いはその線自体におきましては不利益な場合でも、国でやろ場合もあり得ることと考えております。その場合に、只今質問がありました既設線がありまして、そのときにその既設線を拡充してやるか、或いは国有鉄道がそれを買収するか、それとも廃止をさして廃止の金をやるかということは、その既設線の性格にもよりましようし、そのときの条件にもよると思いますので、ちよつと一概には申上げにくい点もあろうかと思うのであります。
  52. 前田穰

    委員長前田穰君) 私只今の問答を伺つてつてちよつとはつきりしない点があるので、念のためにお伺いしますが、只今の御答弁は敷設法の別表の予定線を着工する場合にはそれはすべて政府の命令でやるという解釈だと、こう解釈してよろしいのでございますか。
  53. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) これは提案者からも御答弁があつたかと思います。私ちよつと聞き漏らしたのでありますが、最近の事例におきましては、一応建設審議会の議を、諮問を経ましてそれに基いて国有鉄道が新線建設の申請をして来て、この場合には許可を得てやるという手続になつておることは御承知の通りでありまして、この場合には一応国有鉄道の現状から言いまして、みずから進んでやるというよりは、実質的に政府の命令というような、実際は言いませんがそういうような、実質を以て行われております。従来におきましては、その関係上、一応政府の、国有鉄道が申請を出して来ておりますのは、従来の法律によりますとどちらの手続をとりまして国有鉄道が補償することになつておりまして、差異がなかつたわけでございます。今回はその二つが分れますので、今後におきましては、その点におきまして国鉄が申請をするか、或いは政府の命令によるかという問題が残り得るのではないかと、かように考えております。
  54. 前田穰

    委員長前田穰君) くどいようでありますが、私のお伺いしたいのは、鉄道建設審議会において決議せられたる線の工事が国有鉄道のほうから許可を申請するような形においてなされても、それは実質的には政府の命令である場合には政府のほうで負担すると、この四項に該当すると、こう解釈していいのかと、こういう趣旨なんです。
  55. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 只今の現状におきましては、先ほどから繰返しておりますように、一応現在の状態におきましては、国有鉄道が希望したものに対しまして、政府がこれに許可を与えるという状態になつておりますが、実質的には今お話通りの状態でございますので、この点につきましては、この法律が成立をいたしましたあとにおきましてははつきりさせる必要がある、かように考えております。
  56. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言はございませんか。
  57. 入交太藏

    ○入交太藏君 大体この辺で質疑が終つたようですから、討論に入つて頂いたら如何かと思います。
  58. 前田穰

    委員長前田穰君) 只今入交君から、この辺で大体質疑が終つたと認めたらどうかという提案がありましたが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それでは質疑は終つたものと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにして順次御発言を願います。
  60. 一松政二

    一松政二君 私は本法案に一応賛成するものでありまするけれども、この審議の過程において論議になりました特に第三条解釈が、或いはその条件が頗る茫漠としておる。そして他日これが問題になる。それでその取捨の選択が運輸大臣一人の責任のようにこの法律では規定されております。従つて運輸大臣の責任は非常に重いものになり、且つ或いは政治問題その他いろいろな問題がつきまとわないとも限らないように思われるのでありますから、私はこの運営について、附帯決議をつけたいと考えております。で、私は国有鉄道との関係もありますので、附帯決議は、日本国有鉄道と今のこの第三条関係において二項に亘つておりますので、今附帯決議を読み上げます。    附帯決議   一、第三条第一項第一号の認定又は第二号の承認を行うに当つては、政府は、広く関係各方面の意見を聴取する等飽くまでも公正且つ妥当を期すべきである。   二、国有鉄道の新線に要する財源については、本法との関連を十分考慮し、政府において特段の措置を講ずること。  以上であります。
  61. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言はございませんか。別に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異ござませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  63. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中にございました一松君提出の附帯決議を付することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  64. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて附帯決議を付すことに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされたかたは、例により順次御署名を願います。  多数意見者署名    入交 太藏  植竹 春彦    岡田 信次  仁田 竹一    一松 政二  大倉 精一    大和 与一  東 隆    木島 虎藏   —————————————
  66. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  67. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(閣法第百三十七号)を議題といたします。  御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  68. 岡田信次

    岡田信次君 第三条衆議院で修正された第三項ですか、「日本国有鉄道は、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」というのが削除されましたが、大体どういう事業に投資する予定をしておられたのか、又それに……。
  69. 西村英一

    政府委員(西村英一君) この条文衆議院のほうで削除になつたのですが、正直に申しまして、私たちの提案した考え方は、大体鉄道がガヴアメントから公共企業体になつた。それには企業として民間のいいところを取入れて大いに鉄道の振興を図りたいという意思から公共企業体になつたのでありまするけれども、その行き方といたしまして、今までのガヴアメントと一つも違わないような取扱がなされておつたのであります。これだけの大きい企業になりますると、いろいろな民間との接触等も起りまして、国有鉄道みずからが他の民間のいろいろな事業と共同で出資し合つて事業をやつたほうが、場合によりましては鉄道の利益にもなり、又民間のそれぞれの事業も助けるというようなこともあろうかと思うのであります。どういう事業に一体そういうことが起るのかと、こう申しますれば、今までに出て来た例といたしますれば、駅の復興が非常に遅れましたので、民間の資本を入れて停車場につきましては停車場株式会社というようなアイデアで早く駅を復興したいというようなことも事実起つてつておるのであります。そういうような場合に、鉄道が或る程度この会社に出資をしますれば、それは鉄道としてはその会社に対して発言権もできまするし、これが出資をいたさないというと、やはりこの株式会社は結局は資本によつて動かされるのでありまするから、鉄道の思わないような方向に行くかもわからんというようなこともあるわけであります。停車場の復興についての投資ということは、これは一例でございまするが、その他鉄道の事業の面は非常に広いのでありまして、例えば貨物のホームに上屋を作るというような場合も、これは鉄道で必要ならば作る場合もありましようが、鉄道と民間と一緒に作つたほうがいいという場合もあり得ると思うのであります。で、どういう事業に一体やるつもりだと言いましても、具体的には考えておらなかつたのであります。勿論予算等も本年度の予算に計上しておるわけじやございませんし、こういう途を開いて必要なときには投資もし得るという途を開くことが公共企業体として、今後民間と接触して行く上において必要なことじやないかという意味で政府の提案としては挿入いたしたのでありまして、どの事業にやるんだということまで考えておつたわけではなかつたのでございます。
  70. 岡田信次

    岡田信次君 只今の政務次官のお話ですと、まあ停車場の復興のため、或いは貨物上屋等の整備のだめというお話が主のようでありまするが、これらは今までの例によりましても、必ずしも投資という形でなくても、鉄道の工事費の一部をこれに投入してその実質を上げておつたと思う。いやしくも法律を改正して投資しようというからには、もう少し雄大な規模のお考えがあつて然るべし、そういうあれがなかつだがために衆議院において削除されたのだと思う。例えば非常に鉄道の電化をしなくちやいかん、電化するには相当な経費を要する、一方これに要する電源も確保しなくちやならん、といいまして、今電源を開発するとなりますると百億も百五十億もかかるというようなことなので、將来確実なる電源を確保する意味合いにおいて電力会社なり或いは電源開発会社なんかに投資するとか、そういうふうなもう少し雄大なる規模のお考えはなかつたのかどうか。
  71. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 岡田さんから非常にいい例をむしろ挙げて頂いたようなわけでありまして、そういうような場合も或いは將来起つて来るというような場合があるのであります。例えば電源の開発、電化をするに電源が要る、その電源の開発をやりまする場合も、これは近頃県営の例の公営でやるところの電気の事業が盛んになつておりまするが、その公営の電気等にも所によりましては鉄道で出資をして、その電気だけをこちつにもらうというようなことも場合によつて考え得るのであります。併しそれを今考えておつたのではありませんが、とにかくこれだけの大きい事業をして、而も民営的にやつて行こうというからには、そういうような途を開かなければ、たとえどなたが総裁になりましても、やはりうまく行かん。それはもう枠でくくられておるから、或る程度の途を開いておかなければうまく行かん。そういうような今おつしやいましたような例も今後起り得るかも知れないのだが、併しこれはみだりに投資をしようというのではありませんので、投資をする場合もこれは予算によつて皆さん方の協賛を得るのだし、具体的にこういうものに来年から投資するのだという具体的なものはわかりませんでしたけれども、途だけは開いておきたいというので、政府としては一応原案として提出した次第であります。
  72. 岡田信次

    岡田信次君 そういたしますと、この条項は衆議院において削除されたのでありまするが、政府としては削除されたことに対してどうお考えになりますか。
  73. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 削除されましたことは、甚だ遺憾でございます。併し衆議院が削除したことについても、この事項をまあ必ずしも不賛成ではなかつたと思うのでありまするが、時期尚早というような、まだ早過ぎるというような観点からであつたかも知れないのでありまして、今後鉄道が公共企業体となつて、経営もむしろ民間のいいところを取入れてやらせるんだ、こういうようなことになりますれば、むしろこの投資というような問題も今後又起り得る問題じやないか、又皆さん方のほうから積極的にそうしたほうがいいのじやないかというような議論が私は出る機会もあるのじやないか、かように考えておるものであります。
  74. 岡田信次

    岡田信次君 次に、監理委員会が今度は経営委員会というふうに変りましたが、従来の監理委員会の運営の実績に鑑みまして、今後経営委員会の運営が新らしい改正案にある通りうまく効果を発揮し得るかどうかという点並びに監理委員会と経営委員会の本質的と申しますか、それの性格の差異等について一つ伺いたい。
  75. 植田純一

    政府委員植田純一君) 現在の監理委員会でございますが、監理委員会は、現在の第十条の規定にもございますように、「日本国有鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有する。」ということになつております。それから又、これは第二十条でございますが、「総裁は、監理委員会が推薦した者につき、内閣が任命する。」、又十九条には「総裁は、監理委員会に対し責任を負う。」、こういう一連の条項がございます。監理委員会は従いまして「日本国有鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有する。」という表現で現わされておりますように、考え方によりますと、あらゆるものを全部監理委員会が指導統制する、又その責任も持つているんだというふうに法律建前上なつておるわけであります。従いまして、総裁との関係におきましても明確ではございませんし、又現実の国有鉄道の監理委員会につきます運営面におきましても、監理委員会というものにつきまして、この形をどういう形にいたしましても、この法律条文とぴつたりしたものがなかなか考えられない、かような状況でございまして、この点につきまして、非常に不明確な点が多かつたのでいろいろと議論がございまして、それでこれをもう少し実情に副うような明確なものにいたしまして、総裁との関係はつきりするという必要はあつたわけであります。これをどういうふうなそれでは恰好にするかということにつきましていろいろ検討いたしました結果、電電公社におきましてもございますような、この経営委員会ということにいたしまして、国鉄運営上の基本的な事柄につきましての議決機関、意思決定機関ということにいたしまして、性質、性格というものを明確にいたしまして、今後この線に沿いまして運用して参りたい。又これが国鉄の公共企業体としての能率的な運営に十分効果を発揮するものと固く信じておる次第でございます。
  76. 岡田信次

    岡田信次君 経営委員会の制度は、現在電信電話公社ですか、それにおいて行われておるのですが、電信電話公社の経営委員会はうまく運営されておるのですか。
  77. 植田純一

    政府委員植田純一君) 電信電話公社の経営委員会は、まあ発足後まだ十分な日数もたつておりませんが、法律で期待いたしております通り、電電公社の運営上におきまして期待されておる役割を果しておるものというふうに承知いたしております。
  78. 岡田信次

    岡田信次君 この経営委員会委員の資格と申しますか、これに関して第十案の五項いろいろあるのですが、大体この経営委員というのは無報酬だ、そうじやないのですか。
  79. 植田純一

    政府委員植田純一君) その通り、名誉職でございます。
  80. 岡田信次

    岡田信次君 無報酬としますと、第五項にあるような厳重な制限があると、広く人材を求め得るかどうか。
  81. 植田純一

    政府委員植田純一君) この委員の任命資格と申しますか、任命要件でございまするが、ここにございますように、一から六までの制約がございます。これは国有鉄道と特別な利害関係を持つておるという方々は、いわゆる経営委員といたしまして必ずしも公正な判断ということにおきまして、建前上と申しますか、実際その人によりましてはそういうことはないのでありますが、建前上経営委員会委員としては適当じやないということでこの制限があるわけでございます。ただ「任命の日以前一年間においてこれらの者であつた者を含む。」ということがございます。この点はむしろ削除いたしまして、現在そうでない方々から広く適任の方を選んだほうがいいのじやないかということで、この「任命の日以前一年間においてこれらの者であつた者を含む。」という字句は今回削除するのが適当じやないか、かように考えまして、この点だけ範囲を拡げました。この制限を拡げまして、その範囲から両院の同意を得て任命して頂くというふうに、若干このたびは拡げることにいたしたわけであります。
  82. 岡田信次

    岡田信次君 次は第三十九条の予算関係ですが、今回衆議院の修正によりまして大蔵大臣に協議しなくてよくなつた。運輸大臣だけで処理できるというふうに修正されておりまするが、国有鉄道は全額国の出資であり、又今後も相当の出資を考えなくちやならないだろう、更に借入金、その他一般会計の何と申しますか御援助を受けておる次第でありますが、こういうふうに大蔵大臣を全部除外してしまつても、今後いろいろの点において支障なきや否や。
  83. 植田純一

    政府委員植田純一君) この国鉄の予算案と申しまするのは、国の予算とは若干その性質を異にいたしておりまして、大体自分の企業収入を以て経営費の支出に充てるということを基本といたしております。勿論そのほかに、外部資金、或いは政府の財政資金等を必要といたしておりますことは御承知の通りでございまするが、そういう面から申しまして、国の全般の財政金融とも密接な関係を持つておることも、これ又事実でございます。従いまして予算の調整ということにつきましては、この現行法のように、大蔵大臣が調整権を持つて決定をするという考え方と、それから電電公社のごとく、電電公社は郵政大臣が調整権を持つております。これは大蔵大臣とは全然無関係にできるというのじやなくして、大蔵大臣と協議をして、郵政大臣が調整をするということになつております。こういう考え方と、まあ両方ありますわけであります。企業的立場から申しますると、企業の運営に責任がありますところの運輸大臣が調整権を持つておるということは、これは当然のことかと思います。又国の財政金融の面から申しまして、大蔵大臣も又相当の発言権を持たなきやならんということも、これ又当然でありまして、どちらに調整権を持たすか、或る程度それぞれの理由もあることと存じまするが、少くともこの企業的性質を持つておるということと、この今年予算が企業的な性格、つまり自己の企業収入を以てその経営費の支出に充てるのが大部分であるという点と、それから運輸大臣が運営上におきまして責任を持つという観点からみまして、運輸大臣が調整権を持ち、そして大蔵大臣と協議をして、そしてきめて行くという、この郵政大臣の電電公社に対すると同じ関係建前考えて行くのが至当ではないか。実はかように私ども考えておりまして、事務的折衝をいたしておりますが、併し大蔵省とその点につきまして、意見もまとまりませんので、結局政府として、最高の協議までに至つたわけであります。その結果、運輸大臣と協議して大蔵大臣が必要な調整を行うという、この政府原案のような線に、政府といたしましては一応決定を見たわけでございます。運輸大臣が調整権を持つということも、十分理由があることであろうと考えております。
  84. 東隆

    東隆君 この第三条の新らしい第三項ですが、「日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」、これは私は私鉄なんかに投資をすることも、この条文からは非常な密接な関連がありますので、いいと思うのでありますが、伺いますと、そうでないようですが、これはどういうきめ方によつてこれを決定するのですか。
  85. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 最前も申上げましたように、この条項は政府の原案には入つてつたのですが、衆議院において修正削除になつたのです。それで地方鉄道に投資するというようなところまでは実は考えておらなかつた。それで最前も申しましたように、いろいろな場合があるが、それだけの広い面の仕事をするところであるから、総裁が仕事をするにいたしましても、仕事が国有鉄道としてやりいいようにしたい現在帝都高速度交通営団には出資をいたしております。併しこれは単独の法律に基いてやつておることでありまして、その他の地方鉄道軌道等に国有鉄道が投資するということまで、まあ具体的に考えたわけではないのでありますが、いろいろな場合も起り得るであろうから、その途を開いておきたいということで、原案には入れたのでありますが、不幸にいたしまして、いろいろな状況から、衆議院におきましてこの条項は削除になつたわけでありまするが、私たちは甚だ遺憾であるとは思いまするが、併しこれは時期尚早であるというような点からであつたと思うのでありまして、今具体的に地方鉄道に投資するという考えがあつたかどうかということにつきましては、具体的にそういうことはないけれども、場合によつてはそういうことも起り得たかも知れん、例えば地方鉄道といいましても、地方鉄道が国有鉄道に乗入れる、結局接続点において、両者が資本を出し合つて鉄道へ投資をするというようなことも起り得たかも知れませんが、さような次第であります。
  86. 前田穰

    委員長前田穰君) 議事進行の便宜のために、一応衆議院の修正案の説明を簡単にやつてもらつた如何でしようか。
  87. 東隆

    東隆君 結構です。
  88. 前田穰

    委員長前田穰君) じや、政府委員のほうで逐条的に大綱を一つ……。
  89. 植田純一

    政府委員植田純一君) 政府原案に対しまして、衆議院で修正を受けましだ点につきまして、御説明を申上げておきます。  先ず第三条の第三項、先ほどお話がございますところの「投資することができる。」という条項を、第三項全部を削除されました。この理由につきましては、政務次官からお話がありましたように、まあ差当り時期尚早と申しまするか、必ずしも適当ではないじやないかというような御意見が出まして、この投資の条項が削除になりました。これに基きまして第十条の経営委員会事項ですが、そのうちに「投資」ということがございます。第五号、投資、これも削除になりました。  又、その次は、予算総則第三十九条の四でございますが、これにも「日本国有鉄道の投資の目的及び金額」というのが第六号にございますが、これが削除になりました。投資の条項が削除になりましだ結果、そういう関係条文が削除になつたわけでございます。  それからその次に、三十九条の二、「(予算の作成及び提出)」でございますが、これも先ほど岡田委員の御質問に対しまして御説明申上げました通りでございますが、この第二項で、「これを検討して適当であると認めたときは、大蔵大臣に送付しなければならない。」という字句を、「大蔵大臣と協議して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。」というふうに変りました。第三項は全文削除でございます。第四項、第五項が、従いまして、それぞれ第三項、第四項というふうに繰上がつたわけであります。この調整権の点は、先ほど申しましたように、運輸大臣が、電電公社と同じように、電電公社に対する郵政大臣と同じように、運輸大臣が調整権を持つて、指導的立場において大蔵大臣と協議をして必要な調整を行う、かようなふうに修正になつたわけであります。  この三十九条の二の修正の結果、関連いたしまして数カ条の条文の変更がございます。実質的には、この三十九の二の変更に伴う変更でございます。又この結果、大蔵大臣に対しますところの報告、或いは通知というものを若干数カ条に亘りまして修正いたしまして、その点の監督の事項を簡素化いたしております。  大体主な点はこの二つの点でございますが、附則におきまして幾分変つておりますのは、この附則の第二項におきまして、この歳出予算の繰越という事項につきまして、これは昭和二十九年度から実施する、本年度から実施するということに修正になりました。予算の繰越を二十八年度から実施する、こういうことにいたしますと同時に、この第四項を一項加えまして、「この法律施行の際、現に日本国有鉄道の監理委員会委員である者は、改正後の日本国有鉄道法第十二条の規定により最初に経営委員会委員が任命されるまで経営委員会委員としての職務を行う。」という繋ぎの規定、過渡的な規定を新たに挿入されました。  以上の点が修正の主な点でございます。
  90. 東隆

    東隆君 伺いますが、この監理委員会が経営委員会に変つておりますが、これは公社になつ関係からこういうふうにされたのか、或いは又別に深い意味があるのか、お伺いしたい。
  91. 植田純一

    政府委員植田純一君) その点も、只今お話申上げましたように、現在の監理委員会は、この公社になりました当初からこの監理委員会というものができておりますが、監理委員会の権限につきまして極めて不明確な規定があるわけであります。即ち第十条にございますように、「日本国有鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有する。」ということになつておりまして、この「業務運営を指導統制する権限と責任を有する。」ということになりますと、この文字通り解しますると、あらゆる業務を全部監理委員会の権限と責任とを以てやつて行くというふうに読まれるわけであります。ところが、こういうまあ監理委員会の運用というものは、ちよつと形が考えられませんので、又そうなりますと、総裁の権限と申しまするか、との間も非常にいろいろ不明確なものがあります。従いまして実際の運用におきましては、到底この法律の期待しておりますような運用を現にやつておらないわけであります。その点がいろいろ問題にもなりまして、もう少しこの点を明確にいたしまして、総裁との関係はつきりするというような必要に迫まられておりまして、たまたま電電公社におきまして、経営委員会というのができまして、その点をも十分斟酌いたしまして、経営委員会というふうに改めまして、格別の基本的な重要な事項につきましての意思決定機関というものを明確にいたしました。そういう趣旨でございます。
  92. 東隆

    東隆君 経営委員会意思決定機関であると、こういうことがはつきりしましたが、総裁その他の役員は執行機関と、こう考えて差支えございませんか。
  93. 植田純一

    政府委員植田純一君) そういうことでございます。ただ国鉄総裁は、この経営委員会の特別委員といたしまして、その意思決定にも参画いたしております。
  94. 東隆

    東隆君 若しこの経営委員会意思決定機関であるとすると、問題はこの委員の選任の方法が非常に問題になつて来ると思うのですが、これによりますと「委員は、運輸業、工業、商業又は金融業について、広い経験と知識とを有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」、こういうふうになつておりますが、運輸業、工業、商業というのは、これは皆兼ねた経験を持つておるという意味ですか。それとも別々に経験を持つておる者から選ぶと、こういう意味ですか。
  95. 植田純一

    政府委員植田純一君) この法律条文だけから見ますると、それぞれの業についての経験、知識、個々の業種についての広い知識と経験を有するということを以て十分なのでありますが、運輸業、工業、商業、又は金融業といたしておりますのは、この国鉄の広く関係しておりますところの業種のうちでも、特にこういう点に重点を置いておる、こういう意味解釈いたしております。
  96. 東隆

    東隆君 そうすると、これは、簡単に言えば、これらの業種の代表者、代表的な人と、こういうような意味にはなりませんか。
  97. 植田純一

    政府委員植田純一君) 必ずしも代表者という意味にとる必要はないのでございまして、これもこの条文解釈といたしましては、現在例えば必ず運輸業なら運輸業に関係しておろうがいなかろうが、とにかく過去において広い経験と知識とを持つておれば、この条件に当てはまると、こう解釈されるんじやないかと思つております。
  98. 東隆

    東隆君 この運輸業に経験と知識を有する者と、こういうような場合に国鉄の職員はこの中に入り得るんですか。
  99. 植田純一

    政府委員植田純一君) 国鉄の職員はこの中には入りません。現在の職員が入るかどうかというお尋ねかと思いますが、それは入りません。
  100. 東隆

    東隆君 鉄道関係の従組の者が、この中に入ることはどうですか。
  101. 植田純一

    政府委員植田純一君) その点も現在の職員はこの委員を兼ねることはできないと思います。
  102. 東隆

    東隆君 私は国鉄という運輸の仕事をやつておる一つの大きな事業の中に働いておる者のうち、一番トップになる総裁だけが特別委員で入ると、それから職員の代表者である、こう言つてもいいと思いますが、そちらのほうから選任されない。こういうのは非常に仕事の面において矛盾があると思いますし、国鉄そのものから私は大きな意味で経営に参画するというような、そういうような、そういうような形をとる意味からも、従組のほうから、労働組合のほうからも一人この中に当然運輸業に経験と知識を持つておる者という、こういうような意味で当然選ぶことが必要でないかと、こう考えるのですが、この点については、何か法文作成の場合に論議がございましたか、伺います。
  103. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 監理委員会が経営委員会になりまして、従来の監理委員会の行き方を多少是正いたしましてやつて行きたいというようなことで、名称と共に委員会の内容も多少変つてつたのであります。それで只今いろいろお話がありましたように、事例を挙げて、運輸業或いは工業、商業と挙げて、そういう知識を持つておる人々の中から選べというようになつておりますので、こういうような知識を持つた人を選ぶんだということになるわけでありますが、お話の労働組合の方々からも、その委員の中に入れたらどうだというようなお話も御尤もであると思うのであります。ただそれが労働組合の者を入れてはいかんとか、或いは従来、特定の人を入れるんだというようなことをきめてあるんではありませんので、こういうことに知識を持つた人を選ぶ。要はその委員に選ばれる場合の人選の問題でございまして、必ずしもそういうように、労働組合員を入れるとか入れんとかいうようなことは考えてはおらないのでありまして、場合によつては、そういうかたが適当であれば入れても結構ではなかろうか、かように思うわけであります。
  104. 東隆

    東隆君 国鉄関係からは、先ほどは入らないようなお話で、今の御説明ではそちらのほうも入りそうなお話ですが、私はもう一つ進めて私鉄の関係の方面から、特に私鉄の従組なんかは若し選ばれるとすれば、ここには引つかかりがないと考えますが、これは選ばれる可能性があると思いますが、この点はどうですか。
  105. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 私最前申しましたのは、ちよつと質問意味を取り違えておつたのでありますが、職員の労働組合の出身のかたということで限定されると、そういう人を入れるということを言つたのじやないのでありまして、労働組合の出身のかたで運輸業、そういうかたを……、労働組合の出身のかたはどうかと、こういうように承わりましたので、そういうかたは結構だと申しました。その点は質問ちよつとわかりませんでしたので、訂正いたします。
  106. 東隆

    東隆君 私鉄の場合はどうですか。私鉄の場合における従組の職員、或いは私鉄における高級職員、これは該当いたしますか。
  107. 植田純一

    政府委員植田純一君) 私鉄で、私鉄の出身といいますか、私鉄の関係者であるからいいとか悪いとかという制約と申しますか、は全然考えておりません。ただこういう点につきまして広い経験と知識とを有するかたであればいいのである、こういうふうに考えております。
  108. 東隆

    東隆君 そういたしますと、これは私が間違つて解釈しているかもわかりませんが、運輸業に経験と知識を有する者、特に鉄道について経験と知識を有する者、こういうことになりますると、現役の人の場合を考えると、私鉄よりしか選ばれない、こう範囲が限定されて来るのじやないかと思う。そういうようなことから考えまして、却つて大国鉄の中からやはり選び得るような態勢をとつておかないと、甚だ国鉄から浮いてしまつたような意思決定機関ができ上る虞れはないか。これは総裁がおられるから一向差支えないということも言えますけれども、併し総裁と働いている者との関係は、これは微妙な動きを実際において持つておりまするし、それが完全に一致したところで仕事がうまく行く、こう考えますのでその方面を私は拡大する必要があると思いますので、そういう点お考えになりませんか。
  109. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今お話がございましたように、国鉄の全体の代表として国鉄総裁が特別委員として加わつているわけであります。この従前の監理委員会におきましては、総裁はやはり特別委員ではあつたのでありますが、表決権と申しますか、それはなかつたの薫り享。今回この意思決定機関であるということをはつきりいたしましたので、この点の表決権、議決権というものを、特別委員たる総裁に加えたのでありまして、国鉄の代表といたしまして総裁も議決に加わる、こういうことにいたしましてこれで一応十分であろうと考えておる次第であります。
  110. 東隆

    東隆君 私はこの点で非常に国鉄の運営その他において選択の範囲を故意に狭ばめる必要はない、こう思うのでこの辺は特に考える必要がある、こう考えます。これば別といたしまして、提案理由の説明をしておるところの、初めの何ですか、削除になる事項になるかも知れませんが、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の内容説明であります、この条項の中の第二十二です。ここの規定は、これはそこの規定のところ未項のほうに、「これは日本国有鉄道の経営意欲の減退、ひいては独立採算制の本旨にもとるため損益計算上利益を生じたときは、利益積立金とし、欠損を生じたときは繰越欠損金として整理することとしこれに伴つて政府の交付金は廃止することにいたしました。」、ここのところはこのままになつておるわけですね。新らしいこの点について伺いますが、飽くまで国鉄は独立採算制の本旨に副うてやるつもりなんですか。
  111. 植田純一

    政府委員植田純一君) この国有鉄道は、この法律の第一条にもございますように、能率的な運営によつて公共の福祉を増進するということをまあ眼目にいたしておるわけであります。この四十一条の関係でございますが、従来の規定によりますと、利益金が生じますると、一般会計、国庫に納付する、それから損失を生じた場合におきましては、特別の必要がある場合には政府が交付金を出す、こういうふうな建前になつてつたのであります。これを企業会計の方式に改めまして、できるだけ利益ができれば利益金として積み立てる、損失ができれば、繰越欠損金として整理するというふうに企業会計資金に改めまして、そうしてできるだけ能率的運営ということを目途とするというふうに改正いたしましたような次第でございます。直ちにそれによつて独立採算のみを目的とするかどうかということになりますと、必ずしもそうは参りませんので、公共企業体としての性質上公共の福祉のためのいろいろの政策、社会的な政策というものは現に相当行なつておりますし、今後もこの点につきましては相当行うということが、公共企業体のまあ本質からみましてこれは当然のことだと思うのでありますが、ただこの企業の会計の処理という面から申しまして、従来のような、どつちかといいますと、官庁的な処理方法よりも、企業としての処理方法に改めるほうが能率的運営に役立つ、かように考えてこの処理方式を改めたようなわけであります。
  112. 東隆

    東隆君 この独立採算制の説明を私が求めますと、いつも能率云々とこういうことでお逃げになるのですが、私は国鉄が独立採算制をとるということによつて非常に利益の上がる所にはそれ相当の設備が持たれるけれども、利益の上らない所、これから伸ばして行かなければならん所、そういうような所はいつも犠牲になつて行くというそういう形が出て参るわけであります。そのために私はこの表現は、非常に国鉄が経営の、企業の合理化、能率化ということを前提において邪道に落ちていると思う。国鉄、国がやるというそもそもの本旨にこれは反して来る、こう思うのです。私は却つて利益が上る所はどんどん国鉄がおやりになつて、そうしてその上つた利益は利益の上らない所にどんどん出して行く。民間の交通事業を圧迫するとよく言われますが、併し利益の上る所を、常に民間事業を圧迫するといつてそうして反対をされておるのでありますが、それば何もそんなに心配をすることはないと思います。そういうような所こそどんどん収益を上げて、そうして上つた収益はこれを先ほどつたように上らない所にこれを振り向けて行く、こういう全国をプールにした考え方をとることが、これが国鉄の本当の意味だろう、こう私は考えます。そういうような意味でこの変更は、私は或る意味において逆な考え方になるんじやないか、こうも考えますし、それで一般会計のほうから新線に対するものその他を大きく出すためにも、国鉄が利益の上る所ではどんどん収益を上げて行く。こういう考え方で、逆に国庫に、利益の上つたときには積み立てないで国のほうへそれを出す。このくらいの私は考え方のほうが本当でないか、こう考えるのですが、これはただ企業の合理化をやるために、能率化をやるためにこういう規定を変更されたのですか。
  113. 植田純一

    政府委員植田純一君) お説誠に御尤もな点があるわけであります。この国鉄が能率的な運営を行わなければならないということから、当然この独立採算ということも大きな関心事ではありますが、併し只今御指摘の通り、地方の建設線も行なつておりますし、又既設線と申しましても本当に採算がとれるのは全体の三割くらいでありまして、あとは皆不採算線と言つていいような状態であります。国有鉄道としまして全国的に亘るところの鉄道の運営をやつております以上は、その能率的な運営を図ると共に、飽くまで強い公共性ということを十分念頭におきまして、全体をプールいたしまして全体の福祉、公共の福祉を図らなければならんということは、お説の通りでございます。従いまして国鉄の運営の根本方針は、只今御指摘のような意に沿いまして、全体的に公共の福祉を増進するということを忘れてはならないのであります。そういう点が飽くまでも国鉄の基本的な考え方でなければならんと思つております。ただ一面におきまして能率的な運営と公共性を貫くという点の調和ということは、非常にまあむずかしい点が実際問題としては多々あると思いまするが、そういう点を両々併せまして鉄道の発達を図つて行くというところに国鉄の重要な又非常にむずかしい役割があろうかと、かように考えておるわけであります。只今問題になつております。ところの会計の処理の問題でございまするが、今まで申上げました基本方針は、この会計の処理の前提と申しまするか、会計の処理はともかくとして、とにかく基本的な問題であつて、そういう心がまえで進まなければならんということは全く同感でございます。ただこの会計の処理という面だけから考えますると、確かに能率的な面という意味から、企業的な会計処理という方法に改めたほうが、公共企業体の会計処理として合理的であり且つ適当ではないか、かように考えておるわけであります。これによつていわゆる利益追求本位になるということも考えられませんが、仮にそういうことがあるとすれば、これはまあ本末顛倒も甚だしいのでございまして、やはりそういう基本的な方針というものは飽くまで十分考えて行かなければならん、かように考えておるわけであります。
  114. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちよつと関連質問ですけれども、さつきの経営委員会委員の任命について、これはどこか推薦母体か何かを考えておられるのか、どういうような方法で以て推薦をされるかということを伺いたい。
  115. 植田純一

    政府委員植田純一君) 特別に推薦母体ということは別にないわけでありますが、政府といたしまして、こういう法律の趣旨に沿いまして慎重に選定するということになろうと思いますが、その手続といたしましては、ここにございますように、両議院の同意を得るということになつております。その上で内閣が任命するということになつておりまして、手続的には最も慎重を期しておる、かように考えております。
  116. 大倉精一

    ○大倉精一君 国鉄の総裁は経営委員会委員長になる場合もあるのですか、どうですか。
  117. 植田純一

    政府委員植田純一君) 総裁は委員長にはなれないことになつております。
  118. 大倉精一

    ○大倉精一君 推薦母体というものもはつきりしていない、ただ両院の承認を得て任命するということですが、結局推薦をするということが非常に大事なんですが、これは政府或いは国鉄当局の御都合的な人間の頭を揃えるというような虞れがあるのではないか、そういうことについてはどうですか。
  119. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに組織を運用するのは人でござまいすので、この委員の任命選定如何によりましては、経営委員会の趣旨も十分全うされない、かように考えます。従いましてこの委員の任命につきましては、十分一つ慎重にしなきやならん、当然のことでございまするが、さように考えております。
  120. 大倉精一

    ○大倉精一君 十分に慎重にするということはこれは当然なのですが、私の今心配しておることは、今申上げたようなことを心配するのですが、殊に国鉄は公共企業であるという半面、独立採算制ということで以て営利的な性格を多分に持つて来ておる。そういうことで、この経営委員会の運営如何によつては、むしろ公共事業としての性格からの経営方針じやなくして、利潤追求本意に流れる、こういうような公算が非常に大きくなるという虞れを私は考えておりますが、そういう点は如何ですか。
  121. 植田純一

    政府委員植田純一君) 飽くまでも国鉄は公共の福祉を増進するという目的を忘れてはならないのでありまして、総裁初め国鉄全職員は勿論でございまするが、経営委員会におきましても当然その法律の精神、従いまして国鉄の使命というものを十分認識の上での運営が図られると存じまするし、委員の任命につきましても、只今申上げましたように、内閣として極めて慎重に国会の御意思を承わつてそうして任命するという手続をとることになつておりますので、この経営委員会によつて国鉄の方向が曲るということであつてはならんと、かように考えておりまして、むしろ全般的な各界のいろいろな広い経験特に知識を持たれるところの経営委員会委員の非常に優れた御意見或いは識見というものが国鉄の運営に反映いたしまして、そうして国鉄の運営が更に目的に副うように立派に運営されるということを期待いたしておるわけであります。
  122. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで国鉄の場合はいわゆる公益事業、単なる公益事業というより公共事業である以上は、経営の基礎といいますか、基本方針というものは、やはり公共の福祉ということが立脚点になつて、そうして事業採算ということはその次に附随して考えられるものだ、こういう工合に私は考えておるのですが、それでよろしうございますか。
  123. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 私は大体そういうような考えでいいかと思いますが、やはり程度の問題ではなかろうかと思うのでありまして、勿論公共の福祉が第一であつても、それはやはり能率的な運営でなければならんのであります。公共の福祉だからといつてその全体として採算が全然とれんというようなことでもいかんと思うのでありまして、そこは大体の考え方としては賛成でありまするが、やはり程度の問題ではなかろうかと思つております。
  124. 大倉精一

    ○大倉精一君 その言い廻しは、僕は非常に不明確だと思うのですが、無論公共の福祉というものを基礎においてやらなければならんが、だからといつて経営の放漫はこれは一番許すことができない。併しながら飽くまでも公共の福祉になるがためには、いわゆる事業計画において、これは経営上不利益だ、収支相償わんという、そういう事業或いは事業計画というものについても、これは採算を無視してやらなければならん、こういうのがやはり私は公共事業の本質ではないかと思うのですが、そういう点はどうでしようか。
  125. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 現在そういうような方針でやつておると思うのであります。例えば最も大きい例は、最も不健全財政で引合わないところの鉄道につきましても運転をいたしておるのであります。それは引合わないからといつて運転を中止するわけにも参りませんし、大きい目から見れば、まさに御説の通りでございます。
  126. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういう部面もあると思うのですが、実際現在我々が毎日汽車に乗つたり或いは旅行していろいろ考えさせられることは、例えば車両の改造、改良にしましても、或いは客車の設備にしましても、例えば二等車とか或いは特別二等車とか、非常に利益の上るようなものは敗戦国にふさわしくないような、極めて立派な施設がしてあるが、併しながら中央線とか北陸線とかいうような煤煙に悩むような所は依然として昔の車のがたんがたんの古つぽいものでやられておるというような現実に直面をするのですが、やはりそういうようなことも公共事業として一般民衆の、何といいますか、ためになるようなことに目をつけてやられなければならんと思うのですが、そんなような傾向については、どういうお考えを持つておりますか。
  127. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 大分そういうような点につきまして鉄道も非常な非難がありましたのでありまして、主要幹線のみに優良車を通しまして、その一万又田舎のほうは甚だ悪いサービスだというような非難が相当にあつたのでございますが、皆様のそういうような輿論を十分考えまして、最近では田舎の線でも相当によくなつておるのじやないかと思うのでありまして、それも、併しその逆を考えまして、それではといいまして本当の支線の支線に又優良車を持つて行くというようなことも実際問題としてはできないのでございまして、やはり私が程度の問題というのはそういうことを言つておるのでありまして、お説の趣旨は十分わかつております。
  128. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ支線の支線をという極端なことを私は申上げておるのではなくて、いわゆる一般庶民大衆とは余り縁のない一等車、展望車、そういうもの、或いは特別二等車というものに重点を置く、或いは又バスにしまけても、一そんなような傾向と思うのですが、そういうようなことを申上げておるのです。国鉄がそういうような傾向にあるのじやないか。それは今の独立採算制ということを強く強要されるというようなところから、勢い経営方針というものがそういうような傾向に流れつつあるのではないかということをまあ、心配しておるわけです。
  129. 西村英一

    政府委員(西村英一君) そういうようなことにつきましては、お説の通り今後国有鉄道といたしましても十分考えなければならん点だと思つております。又現在は大倉さんの御心配のような傾向になつて行きつつあるとは思いませんので、相当に輿論のことも考えまして、徐々に今御心配になるような点は改善されつつあるのじやないかと私は思つております。
  130. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあそういう傾向にないということになればこれは結構ですが、是非そういう傾向にはなつてもらいたくないと思うのですが。なお次に、これに関連しまして公共事業或いは公益事業というもののサービス、公共のサービスというものを慎重にやつて行くというがためには、やはりこれに実際従事する人間の問題が非常に大事な問題であると思うのです。特にサービス面においては、組織を整備し、或いは設備をきちんとしても、実際それを動かし或いは第一線に立つところの従業員諸君の生活なり或いは職場の安定なり或いは適正なる仕事量というようなもの、そういうようなものがやはり適当に常に考えられなければ、本当にこの国有鉄道の公共事業としての性格が実際面において発揮できないのじやないか。ところが最近私は鉄道の、まあ本省或いは局というところはよく存じませんが、末端の駅へ参りましても、実際お客に接するところの職員諸君の勤務状態を見、或いは耳で聞きますと、非常に労働強化だということを至る所で聞いております。而もいわゆる残業手当その他も、予算、経費の切詰めで以て非常に窮屈な仕事をしておる。残業をするというと、あいつは残業手当が欲しいのだといつて睨まれるので、止むを得ず日曜に家に持つてつて仕事をやつておるというような極めて馬鹿げた実情を耳にしておるのですが、そういう状態に対してどういう工合に御認識を持つておられるかということについて承わつておきたい。
  131. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに国鉄のサービス、公共事業としてのサービスの向上のためには、職員の地位の向上と申しまするか、生活の安定と申しまするか、そういうことも十分考えて行かなければならん問題だと思つております。この施設の改善、或いは近代化、それとこれを運営する人、両々相待つて初めて国鉄の運営もよくなる。まあかように考えておりますことは、只今御指摘の通りでございます。ただ何と申しまするか、非常に遺憾なことには、国鉄の施設の面を申しましても、なかなか。まだくと申しまするか、これから大いにやらなければならん改善等も非常にたくさんあるわけで、非常に不十分でございます。従いまして又職員の面におきましても、恐らく又いろいろの不十分な点があろうかと思いますが、やはりこの点は車の両輪のごとく双方のやはり改善、発達と申しますか、向上ということを図つて行くということでなければならんと、かように考えておりまして、そういう点につ遂ましては、国鉄当局と共に十分検討を加えまして、改一善に留意して参りたい、かように考えております。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ特にそういう点に留意して行くということはちよちよい聞くのですが、一向にその実績というものを私はまだ見ぬのですが、こういう工合に非常に労働強化になつておるというどとは事実だと思うのですが、労働強化になつておる原因というのは一体どこにあるのかということについて、監督局長、どういう工合にお考えになつておるか。例えば労働強化というのは、事務系統のほうにも非常に労働強化があります。それから末端の駅なんかへ行きますというと、切符は切る、切符は売る、或いは荷物が来たら荷掛けをかけて荷物を引かつぐ、こういうことをやつてつて、実に我々が見ておつても気の毒なほどの労働強化を、事務方面におきましても、さつき申上げますように、次から次と仕事が溜つて日曜にこつそり家へ持つてつてやるというような労働強化が起つている。これはどういうところに原因しているのかということについて、国鉄の労働強化についてどういうふうに考えておられるか。これは非常に重要な問題だと思います。
  133. 植田純一

    政府委員植田純一君) 国鉄の業務も非常に多岐に亘つておりますので、いわゆる仕事の種類というものも非常にいろいろの分野に分れております。従いまして一概に国鉄の職員と申しましても、それぞれ分担しておりまするところの仕事というものは千差万別といつていいんじやないかと思つております。確かに最近の、最近といいますか、戦後の輸送量の増加というような点に鑑みまして非常に労働の強化になつている面も、勿論そういう面からあろうかと思つております。併しこの点につきましては、いろいろのセクシヨンによりまして、この点につきましても又いろいろと差があるんじやないか、かような点につきましても十分一つ調整も考えなければならん面もいろいろとあろうかと考えております。なお一面におきまして、労働時間というものにつきましては、一部改善されている面も戦前に比べまするとあることも事実であります。又その時間内に部分的に非常に強化されているという面もあろうかと思います。そういうような点につきまして、いろいろと科学的と申しまするか、国鉄におきましてもいろいると職種別のそういうものを検討いたしておるようでございまするので、そういうような面につきまして十分検討する余地があるんではないか。根本的には何と申しましても、能率の向上ということからいわゆる予算上の定員が非常に逐年減らされておるというようなことも原因いたしまして、そういう部分的な労働強化ということも起つておるだろうと思います。そういう点をいろいろ総合いたしまして今後十分検討する必要があろうかと、かように考えておる次第であります。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 このことはくどいようですが、これは私は罷業権を取られておる国鉄の労働者諸君のために明らかにしておきたいと思うんですが、この労働強化になつておるという一つの原因は、私はこういうことを考える。それは一つは、公共企業体としての事業の計画と、そうして従業員に対するところの計画、或いは何といいますか、そういうものとぴつたり一致していない。つまり独立採算制とか或いはレッド・パージとかいうようなことで、本当に無計画に大量に首を切つてしまう、人間さえ減らせばいいんだ、人件費が減るからそれで採算がとれるんだというような、こういう簡単な考え方から無計画にたくさんの人を仕事から減らして行つたということが、こういうことが未だに整理が付かずに非常に無理な労働をするような結果になつておるんではないかと思うんですが、そういうことはお考えになりませんか。
  135. 植田純一

    政府委員植田純一君) それも確かに部分的にはあろうかと思つております。全体的に見ますると、これはどういうふうに考えるのが適正か、非常にむずかしいわけでありますが、国鉄の出しておりまするところの資料を見ますると、業務量当りの職員数、これは全般的な問題であります。全般的な問題でありますが、それは二十一生度におきましては列車一万キロ当りが八・八人であつたというような数字が出ております。又延人トンキロ百万キロ当りが五・四人であつた。これが昭和二十七年度におきましては、列車一万キロ当りが一三・二人であつた、延人トンキロ百万キロ当りが三・六人である、かような数字が出ております。勿論この数字だけで判断するということは、結論を直ちに出すということは非常に困難である。又十一年と昭和二十七年とにおきましては、いろいろ勤務時間その他の点においても変つておりますので、或る程度人が多く要るということも考えられます。輸送量から見れば、非常に輸送量強化になつているということも言えるのであります。この延人トンキロ百万キロ当りから見ますると、非常に強化になつているということも言えます。一車当り一万キロ当りからいいますると、却つてそう強化になつていないというふうなことも言えまするが、これは一概にこういう簡単な資料だけで、この勤務緩和になつている、或いは強化になつているかどうかということは結論付けることは非常に早計でありまして、先ほど申上げましたように、いろいろな職種別にもつと検討してみなければならんのじやないか、かように考えておりまして、非常にむずかしい問題でありますが、今後十分に検討を加えて参りたい。又現在にお遂ましても、検討を加えているわけであります。仰せのごとく部分的には非常に労働強化という面につきましては、何らか緩和の方法を講ずる必要があろう、かように考えております。
  136. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の何キロトンに対してどうのこうのという全般的な統計を示されましたが、そういう全般的な統計で以て、だからこうだという概算で以て人間の整理なんかするから、こういう非常に問題が出て来ると思うのです。人間と物の配置というものは、人間の職場の配置というものはそう簡単に行くものじやない。やはりこれは職場職場の実情を具体的に現地について検討をする、そうして人員配置はきめねばならんと思うのですが、而もこの労働強化に加えて、まあそういうと非常に遺憾なことですが、国鉄においては大小様々の不正事件というものが出て来ている。これは私は今の労働強化或いは低賃金というような問題から、この仕事の職種の関係もありましようが、そういうようなもので、下級職員のかたがつい不正に手を出す、而も僅かな金額で以て長年辛苦してもう恩給がもらえるという時期になつて、ひよつと引かかつてそうして退職金ももらえない、恩給ももらえないという悲惨な運命に陥るような人がたくさんあるのです。そういう人が悪いことをやつたと言えば悪いことをやつたのだが、併しそういう下級の職員のかたのそういう微々たることについては、これはやはり国鉄におけるところの職場におけるところの実情というものを十分考えなければならん。延いてはそういうものがたくさん発生すれば、これは公共事業であろところの国鉄に対する国民の信頼感というものは失墜するというような、非常に大きな問題が起つて来ますので、進んでこういうような問題についても、やはり原因である低賃金、労働強化というような、職場の無理というようなところから私は来ているという工合に考えるのですが、その点はどういう工合に。そういう下級官吏の不正というような点についてですね。
  137. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに御指摘のような事由からいわゆる不正が起きておるというような事例もあろうかと思います。従いましてそういういろいろと御指摘の点につきましても十分参考にいたしまして、一つ当局を鞭撻いたしまして、人員の適正な配置、業務量の適正な配分ということに心歩けたいと、かように考えております。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体総問答のような質問応答になりましたが、要は公共企業体としていろいろ計画されることは結構なんですが、肝心な人間の問題については、もう少し具体的な、現地について具体的な勤労状態について監督官庁として十分に一つ把握して頂いて、そうして少くともその無理な労働をし、或いは低賃金で以て生活の不安を醸成する。僅かに〇・二五上げるにしても赤旗を持つて毎日々々坐り込みをやらなければ出してもらえないというようなこと、或いは又自分の仕事を少くとも土曜日や日曜日家へ帰つてこつそりやらなけばならんというような、そういう状態は一刻も早くなくして、公共企業体の職員として名実共に一つの誇りを持つて、自信を持つて、公共の、大衆のためにサービスできるような具体的な方途を講じて頂くように特に御要望を申上げるのであります。
  139. 西村英一

    政府委員(西村英一君) お話のような問題になりますると、大倉さんと私たちとは党の立場も違いますので、或る程度の議論はあるかと思いまするが、実際の問題は、これは非常に現場の従業員のことに対しましての御心配でして、国有鉄道それ自身がやつているわけでありまして、私たちはその監督の任に当つておる立場でございまするが、お説のような労働強化にならない、従いまして私たちはその仕事々々につきましては計画性を持たして能率はくやつて労働強化にならないようにということで指導しなければならん。あなたがたの気持は非常に我々もわかるのでございます。さような立場で私たちも十分監督をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  140. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の党が違うからというお話なんですが、これはもう別に私は政党のイデオロギーがこうだとか何とかいうお話でなくして、私の質問申上げておることは現場の実情に即して、まあ本省のそういう偉い人はこれは余り影響ないと思います。が、実際現地で、国鉄四十万という中では、大半の人が現地で以てやつておるのですから、そういう人の実情を見て私の気の付いたところを申上げるので、私が左派社会党だからそういうことを言つておるんだという工合に考えられたのじやこれはどうもしようがない。それでこのように指導して行きたいということであればまあ結構なんですが、併しそのように実効が上つで行くように一つ具体的にやつて頂きたいと思います。特に本省或いは局というような所と、第一現場というものとの不均衡というものが、相当私は勤務上の不均衡、仕事上の不均衡、或いは精神上の一つの差別的な不均衡、あらゆる点において非常に不均衡があると思うのですが、くどくは申しませんが、そういうようなことを具体的に解決して頂くように、特に監督の任に当られるかたとして特に要望する次第です。
  141. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 十分御意見として承わりまして、あなたの御心配のないようにいたしたいと考えます。さよう御了承願います。
  142. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうぞよろしく。
  143. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御意見ございませんか。
  144. 一松政二

    一松政二君 今大倉さんのお話を承わつたのですが、非常に鉄道従業員がこの労働強化になつて、そうしてお宅に持つて帰らなければその仕事が片付かないで、日曜或いは夜分にそういうお仕事を持つて帰られて、事実非常に強化になつておるというお話で、私は非常に意外に感じたのでございます。国民一般の感情は、恐らく多少見解を異にしていやしないかと思うのです。若しそういう事実があるなら、私はこれを赤裸々に一つ調査して、そうして御発表願いたいと思います。で、普通の国民の常識から言いますと、戦前と戦後、いわゆる労働立法ができてからあとのやり方と、それから労働立法のない者の考え方と、それから今の勤務の程度その他についているく法制上の差異もありますが、鉄道のキロ数は大して伸びていないが、或いは輸送量は増しているかも知れませんが、併し人員の増していることは非常にたくさん増しておりますから、国民感情的には、個々の例は知りませんけれども、国民感情的には、恐らく鉄道の従業員がそれほど労働強化され、過重な仕事をしているようには考えていないのじやないかと私は想像するのですが、そうすると考え方の間に非常な差異があると思う。これはお互いに余計なつまり心配をして、そうしてそれが結局国鉄の経営にうまく行かないという原因にもなるわけです。私はこれは仕事の種類が千差万別ですから、その点もあろうかと思いますが、これは若し、そうであるかないか知りませんよ、併し大倉さんの今の発言もまさか架空のことをおつしやるわけがないのですから、そうであるとすれば、国民の考え方と実際の上に非常な開きがある。而も国民全体から言うと、まあ言い方によると、考え方によると、鉄道の従業員も或いは国民の多くの人間から言うと、つまり一つの役人と同じようなふうに考え勝ちになるわけなんです。そうして役人の数が多い、役人の数が多いというのは殆んど皆口ぐせに言つておりますから、そういうことは誤解を生む種になると思うから、やはり当意即妙の答弁に終らずして、実情を明らかにされて、そうして当事者の了解も得、或いは国民の批判も仰ぐ、そうして国会にも実情を明らかにして、そうしてお互いに無用の誤解のないようにして頂きたい。先ほど政務次官の話で、多少政党的立場の御発言もありましたけれども、これはまあ主観的な政党の立場、ものの考え方によつて多少の相違があることは止むを得ませんが、実際問題に当つては、考え方が違つたところでそう差のある処置はとり得るものじやないと思う。であるからできるだけ早い機会に大倉さんの発言の事実を一つ御調査願いたい。これは何も私は日を限るわけでも何でもありませんが、そうしてまあ広く世間に言われていることですが、超過勤務手当というもの、或いは居残り手当があると、昼の間は仕事をしないで夜に持ち越すというようなことはこれは労働立法のない、ずうつと昔の私たちのまだ若い時分でも、民間でもそういうことがよく言われておつて、そういう事実も現に私どもも目撃したところでありますが、極く公平に見て、一つ折角大倉さんの発言の機会を捉らえて私は実情を明らかにして頂きたい。そうでないと遵法闘争とか、或いは公共企業体、いわゆる争議権がない、いろいろな問題がそういうところの誤解から派生すれば私は非常に残念なことだと思う。どうか運輸省においても、国鉄の係のかたを督励して、そういうことは事実を明らかにしないでただ抽象的な議論に終つておると、誤解を生むことになると思いますから、どうぞ一つそういうことのないようにお願いしたいと思います。
  145. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは今一松さんの言われたように、私の要望しているのは事実を具体的に調査してくれということを要望した。だから先ほど次官からも社会党とは違うからというような、これは本来ならば発言取消しというところまで行くのだけれども、私はそこまで申しませんが、実際日常家へ帰つてつておることは実際私この耳でちやんと聞いておる。而も現場の実情は私は駅の近所に住んでおつたからよく知つておる。商売柄からもよく知つておる。そこで一松さんより幸いにこの御発言がありましたので、この機会に労働強化の実態なり何なりというものを、各職場について十分よく調べてもらいたい。漠然たる全国的な統計ではなくして、具体的な職場に当つてそうして実情を御調査願いたい。中には人員の多いところもあるでしようが、大多数の職場というものはそういう現状にある。国鉄の労働組合員諸君も遵法闘争とか何とかいうものを、決してあれは誤解によつて起された闘争であるとは考えられないので、あれだけ大騒ぎするにはそれだけの原因がある。これは又赤旗を持つて来たという感覚ではなくして、やはりまじめに現実を十分に調査されて、そういうことのないように特に要望します。
  146. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。
  147. 一松政二

    一松政二君 私ちよつと中座しましたので、重複しているかも知れませんが、重複しておつたらそのようにおつしやつて頂きたい。衆議院の決算委員会鉄道会館の問題がたまたま問題になつて、新聞にもいろいろ公表されておりますが、それが結局この日本国有鉄道の投資ということの削除、表向きにそうは言いませんか知れませんが、どうもそういうふうに仄聞しておるわけです。そうすれば、私は何も根掘り葉掘り聞こうというのじやございませんが、どういうことが問題になり、どういう点がいわゆる決算委員会として話題になり、或いは衆議院の労働委員会でそれがどういうふうに論ぜられ、どういう結果になつたか、それは速記録を読めばそれでいいという問題でありましようが、若し皆さんがお差支えがないというなら、要領だけかいつまんで一応御説明願えれば結構だと思います。
  148. 入交太藏

    ○入交太藏君 今一松委員から鉄道会館の問題のことを聞いたらどうかという御要求もありますけれども、それもいいかも知れませんが、この直接今やつている法案と、はちよつて違いますから、一応大分時間も過ぎましたので、この法案を進めてそのあとに願つたらどうでしようか。もう大分日取りもなくなつておるので、成るべく早く委員会を上げたらどうかと思います。これを進めてそのあとにお願いするようにしたらどうかと思いますが。
  149. 前田穰

    委員長前田穰君) お聞きの通りでありますが……。
  150. 一松政二

    一松政二君 それはわかつていますけれども、これは政府が提案しているうちの重大なる一つの項目として、修正が衆議院で行われているわけなんです。その修正が行われているということはよくよくのことであろうと思う。そうして政府は遺憾であるけれどもそれを了承した、こういうのですから、本法案と私は重大な関係があると思うのです。
  151. 植田純一

    政府委員植田純一君) 東京駅の八重洲口にできますところの鉄道会館の問題につきまして、実は決算委員会並びに運輸委員会で問題になつております。私も終始そつちのほうに出ておるわけじやございませんので、詳しいことは別といたしまして、概略の点につきまして御説明申上げます。  実は、八重洲口が、これは二十何年ですかに焼失いたしまして、それの復興の問題がかねてあつたわけであります。それからこの本屋の問題と別個に、東京駅の六番線、七番線のホームの新設の問題が前からありまして、これは鉄道の手で建設いたしております。こういうようないろいろ東京駅の改良問題と一緒に、東京駅の本屋の問題が起つておるわけであります。それで国鉄当局といたしましては、この東京駅の八重洲口を再興いたしまするにつきましては、勿論東京の一つの玄関でありまして、東京駅の大体四割は八重洲口を乗降する、二十六万くらいの乗降が八重洲口にあるわけであります。従いまして造る以上は余り変な恰好のものは造れない。たまたま国鉄の八十周年記念ということで何か復興したらどうか、いろいろなことが一緒になりまして、今問題になつております鉄道会館という問題ができたわけであります。これは御承知の通り十二階建の建物ということになつておりますが、一階は勿論鉄道の本屋でございます。二階以上がいわゆる会館、そのほか先に申しました駅の一部の鉄道の直接必要でない部分はいわゆる商店街として鉄道会館に貸し与える、こういう構想で鉄道会館の問題が出ておるわけであります。  それで今問題になつております主な点は、あの八重洲口のいわゆる場所、東京でも非常に目抜きの場所を鉄道会館に使わすにつきまして、いわゆる競争入札をしないで随意契約で加賀山さんを発起人代表とする鉄道会館と契約を結んだ。この点が果して適当であるかどうかという問題が一つございます。もう一つ鉄道会館と契約を結んで一応契約はできておるのでありますが、その契約に基きますと、構内営業規則を適用する、鉄道の構内営業規則を適用するという契約の条文になつておりまして、国鉄当局としますると、構内営業規則を適用するということで、どういうふうに構内営業料金なり、或いは土地の使用料なりを取ろということは、金額こそはつきりしていないが、取るということはもうはつきりきまつておるのだ、取り方その他についても構内営業規則を適用すれば大体はつきりしておるのだという考え方でありますが、併しこの契約だけを見ますると、構内営業規則を適用するというだけであつてはつきりと幾ら地代を取るということも明確でない。そういう土地の使用料も具体的の金額がきまつていないで、そういうものを契約を結ぶということはおかしいじやないか。普通の常識から見て、はつきりと幾らという金額をきめて、そうしてその契約を結ぶということが本当ではあるが、今日に至るまではつきりと金額がきまつていない、それは不都合ではないかという点が鉄道会館についての大きな二つの点であらうと私は承知いたしておるわけであります。  なお、この会館に関連いたしまして、丁度あの地区は外濠を東京都から埋立の権利を国鉄がとつて、そうして国鉄の手で埋立てて国鉄の土地になつておるのでございまするが、その土地の管理につきまして、鉄道会館並びに隣接の土地の使用方、使用状況、使用方針等につきまして、関連いたしましていろいろと質問が出ております。又これに関連いたしまして、いわゆる民間資本を導入いたして駅の本屋を造つた個所、今までに造つた個所、又これから作ろうとする計画等につきましても一応論議の対象と申しまするか、いろいろと質問なり或いは批判的な意見が出ておる。かような状況でございます。  非常に概略でございますが、大体そういう点が問題の焦点になつておるように思つております。
  152. 一松政二

    一松政二君 それでなお且つ投資という条項を削除されて、先ほど岡田議員の質問に対して、頗る遺憾であつたような政務次官の御答弁のようでしたが、遺憾であるのにそれを削除しなければ承知しなかつたというのが運輸委員会の雲行きであつたのでしようか。
  153. 植田純一

    政府委員植田純一君) この削除が結論付けられました運輸委員会の部内におきますところの論議の詳細につきましては承知いたしませんが、実は国鉄が民間から資金を導入して駅を建設する、駅の本屋を建設するということは、徒らに民間資本に利益を与えておる、不当な利益を与えておるという観点から相当論議がありましたことは事実でございますが、投資という途を開く意図は、更にこういうことをどんどんやるのじやないか、どんどんやつていわゆる民間の利益というものを図るという方向に更に拍車をかけるのではなかろうか、かような論議が行われていたことは事実でございます。私ども或いは国鉄当局の説明もあつたのでありますが、決してそういうことでなくして、どういうふうな場合に投資するかということは、運輸大臣が認可いたしますことは勿論のこと、その目的及び金額というものは予算総則に書きまして、国会の御審議を得るのだからそう御心配になるようなことはできないのだし、又国鉄の財政の見地から見ましても、そういう途が開けたからといつてどんどん投資を盛んにするということはちよつと考えられない。ただ投資することによつて、国鉄の財政の不足を幾分でも補つて、それが公共の福祉に役立つときにおいて投資ということが考えられるのであるというふうに御説明申上げたのでありますが、それならば具体的にどういうことを投資の対象として考えておるかという御質問があつたわけでありますが、具体的にそれではどこの駅を、どこのどういうものに対しまして投資を直ちに考えておるかということになりますと、今差当りそれじやどこの駅のどれを対象として考えてこの投資というものを改正法文に入れたかという、そのはつきりとした対象がないことは事実であります。先ほど政務次官のお話がありましたように、国鉄の事業活動、活溌な活動を促すためにも投資の途を開いて置くべきである。又実際問題としましても特別のターミナル・ステーシヨンであるとか、或いは倉庫会社であるとかいうような場合に、さつき申しましたように国鉄の資金の不足を補つて、而もそれによつて公共の福祉を増大できるという、いわゆる投資するところの十分な理由の存在する場合が考えられますので、やはり投資という条項を加えることにしたのであります。さればといつて具体的にどこの個所のどこを投資の対象としているというようなはつきりした考えも実はなかつたのでありますので、そういう点で実は力弱かつたということになつているのじやないか、一面におきましてこれを非常に悪用するのじやないかという疑惑と、一面におきましては、どういうものに投資するかという具体的な事例について納得されるような事例を差当り持つていなかつたと、こういうようなことが重なつて削除になつたのではないかと、かように考えております。
  154. 一松政二

    一松政二君 私は答弁は極く簡潔で結構であります。別にこれをどうという考えを持つて言つているわけじやないのだから。ただ今まで投資はどういう法律根拠によつておやりになつてつたか承わりたいと思うのです。今までに京都とか、或いは池袋とか何とかそういつたような、或いはその他の駅について同様のことをおやりになつたのじやないですか。
  155. 植田純一

    政府委員植田純一君) 今まで国鉄が投資いたしておりますのは、帝都高速度交通営団のみでございます。これは帝都高速度交通営団法に根拠があるわけでございます。国鉄が投資していいという根拠が営団法のほうにございまして、それ以外にはいわみる国鉄が投資している事例はございません。
  156. 一松政二

    一松政二君 そうすると純然たる民間会社が駅を建設して、そうしてそれを国鉄に貸す形式をとつている所がおありですか。
  157. 植田純一

    政府委員植田純一君) 民間会社が造りまして駅に貸しているという所もございます。又何と申しますか、国鉄のいわゆる資金に民間資本をつぎ足してできているというような個所もあるようでございます。
  158. 一松政二

    一松政二君 そうするとこの投資の条項を削られても、従来と同じような形式でやろうと思えばやれるということになるわけですか。
  159. 植田純一

    政府委員植田純一君) 従来と同じような形のものは勿論できます。
  160. 一松政二

    一松政二君 これは新聞の記事だから別段そう問題にする必要はないと言えばそれまでですが、何だからよつと東京駅の鉄道会館は新聞じや、建設中止かなんということで、インタロゲイシヨン・マークを付けてニュース・ヴアリユー、興味本位で書くのだから、それは出すのはいいけれども如何にも国鉄が何かそれによつてすべからざることをやつたがごとき印象を与えて、そうして国民は、国鉄は何をするかわからんというようなことをとかく口にする人もある。そういうことは非常に残念なことだと思う。で、それは長崎さんのせりふであるけれども、これは無論決算委員会がそんなことの中止を命ずるような、これほど非常識なことはあるまいと私は思うのだけれども、そういうことに対してはまあ放つておいて、そのまま過ごしてしまうことも一つの手ですが、勿論そこまでやつたことを私も、国鉄としては別段何らやましいところはないというようなことに違いないのだから、それであれを中止するようなことは、無論私は聞くだけ野暮かも知らんが、建設して見せれば、現在やるのだから、成るほどやつたということになつて来るのだが、余り新聞の記事が大げさなものだから、私は何かそのいわれなきゆえんを、或いは国会開会中だと又刺激してどうか、ということもあるかも知れませんが、適当な機会にやはり一応世間が非常に疑惑を持つような、大逆な帝都一流の新聞の書き方ですから、何らか誤解のないように、別にどう措置するかという諮問が来ているわけでもございませんから、お考えなつたら如何かと思うのです。
  161. 西村英一

    政府委員(西村英一君) まあ運輸委員の方々にはこの件につ遂ましては、詳しくお話をいたしまして、むしろ積極的にいろいろ交通行政のことについてお力を一つ頂かなければならぬと思うのですが、実は停車場の復興につきまして、国家財政では今ではなかなか復興ができない。いわんや東京駅のごときは二十数年前からこの東京駅の裏口の問題はあつたんです。これは東京、品川間の線路増設と共にあつだのでありますが、不幸にして今までできなかつたわけでありまするが、やはり私は戦争によつて多くの駅も失われましたし、又都市計画上いろいろな駅が都市の中心から位置を変えなければならぬというような問題も起つて参りまして、駅の復興は、駅の今後の問題には相当にいろいろな問題があるわけであります。この場合に当りまして、国有鉄道の財政を以て駅の復興ができないといたしますれば、そのままに放つておいていいか、或いは民間の資本を或る程度導入いだしまして駅の復興を下る。御承知のように停車場は利用価値といたしましては、非常にお客の集まる所でありまするから、相当にこれは利用価値が社会的にあるわけであります。従いまして鉄道の業務を害せざる範囲においてそれを有効に使うということも、今の社会情勢といたしまして必ずしも排撃することではなかろうと思うところでありますが、その一つの問題といたしまして、東京駅の復興にまあ株式会社鉄道会館という一つの民間会社にやらして、そうして一方又国鉄といたしましては、国鉄の業務に支障のない程度におきまして、国有鉄道からも金を出して共同で以てやることもできるというので復興にかかつたわけであります。併しこれが何と申しますか、弘報宣伝が足らなかつたと思われまするが、いろいろその間におきましてまあ誤解を招くような状況になつたのは、一松先生のお話のように、甚だ私どもは遺憾とするところであります。併し私たちの目的とするところは、又発起人各位の目的とするところも、早く東京駅を復興したかつた。この方々が主として鉄道の出身の方々であつたということも大分非難の材料にはされておりまするが、又翻つて考えてみますと、これらの方々がやはり特に駅の復興に対しまして関心を持ち、又この方面の知識を持つておるということにつきましても、この方面にまあ集まつて来たということになるのであります。それで要は今後のこの駅の復興につきましても、停車場株式会社等を作つて、民間会社、民間資本の協力を得てやるという方法につきましても、まあ一定基準と、しつかりしたものがあつてそれに従つてやるというようなことも、これはいたさなければならぬと思うのであります。出たところ勝負でやりますれば、やはりいろいろな疑惑を招く。併しまあそれはそんな必要はない、国家財政でやれるときにやつたらいいじやないか、こういう議論があるかも知れませんが、この辺のことにつきましては、運輸委員の皆様方にも今後御指導をお願いいたしまして進めたいと、私はかように考えておる次第でございます。問題になつておる鉄道会館の問題につきましては、只今監督局長からも若干のお話がございましたが、そのやる場合におきまして、手続その他の問題について多少の手ぬかりがないかというようなことがいろいろ問題とされておるようでございまするが、これらの問題につきましても、あらかじめ皆様方によくわかつていなかつた、世間でよくわかつていなかつたということが大部分の原因ではなかろうかと思うのであります。機会がありますれば、又別の機会にこの問題については、当委員会の皆様方には詳しくお話をする機会を得たいと、私はかように考えておる次第でございます。
  162. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。
  163. 大倉精一

    ○大倉精一君 本問題については、ちよつと私も耳に挾んでおつたのでよく聞いてみたいと思うのですが、今の御報告のほうに疑問とするところがあつたら後ほど又質問するかも知れません。そのときには詳しくお教え願いたいと思います。
  164. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言なければ、質疑は終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  166. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて下さい。  他に質疑はございませんければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  168. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 日本国有鉄道は昭和二十四年に公共企業体となつて出発した次第でありますが、この公共企業体なるものが、この経営形態が我が国で初めての経験であつて、当時においては、大体占領下でもありいろいろの制約があつたと思うのでありますが、そのために折角公共企業体としての種々の特性であるところの自立性に至つては極めて貧弱なものになつておる。併しながらこの比類のない大きな企業形態であり、又経済体でもありますが故に、又大きな国民の財産を動かすものでありますが故に、この運営に至つては十分慎重であるべきは申すまでもないと思うのでありますが、併しながらそれらの関係を、極めて十分に国民の気持を取入れて自主的に経営せしめるためにはまだまだ規定の面において自主性を十分発揮せしめるだけの根拠がないように考えるのであります。その点から今回の改正はまだそういう見地から言えば極めて不十分なものと言わなければならない。かように存ずるのでありますが、今後においてなお深く検討し、改善をすべき点について深い検討を加えて、更に一段の改善を努力するということを期待することを前提といたしまして、この法案に賛成いたしたいと思います。
  169. 東隆

    東隆君 私は、この日本国有鉄道法の一部を改正する法案に賛成をいたします。  ついては三つほど希望したいと思います。  第一は、投資の問題は衆議院の修正で削除になつたのでありますが、併し一般の予算から助成をしたり、或いは資金の融通をやる、関連事業にそういうような方法ですることよりも、私ははつきりと投資の途を開いて、将来国鉄がその関連事業をやり得るような態勢にするほうがいい、こういうふうに考えるのであります。  第二の問題は、国鉄内部の経営の民主化をやるために、経営委員の選任は天降りでは問題になりませんので、飽くまで汎範な基盤のうちから民主的に選任をする方法が必要だろうと考えます。従つて国鉄の労組からも委員を選任するような方途が将来において考えられて然るべきでないか、こう考えるのであります。  三番目は、国鉄の独立採算制には相当国鉄として考えなければならない点がたくさん伏在をしておる、こう考えますので、この点については、その局に当る者が大いに考えて頂かなればならん、こう考えるのであります。  以上三つの点について將来に向つて善処されるようにして頂きたい、こういうことを付しまして賛成をいたします。
  170. 森田義衞

    ○森田義衞君 法律案のこの改正によりまして、或る程度自主的運営に一歩前進したとは考えられまするが、単に法律の改正をいたしましても、実際の経営の衝に当てられる人が本当に公共の福祉を増進する、そのためには経営の能率を一層向上するといつた手段がありまするが、その点で更に一層の能率を上げられまして、私、公共の福祉を特に増進してもらいたい。と申しますことは、例えば四つの島に限られました日本では、この島の最大限度の利用によつて我々生きて行く以外に途はないのであつて、そのためには、国鉄を通じまする産業動脈の拡充によりまして産業の伸展を図つて行く、そういつた私は地方ではかなり新駅の設置の要望、或いは停留場の設置とか、或いは現に駅が開業になつておりまするが、小口扱をやつてくれとか、或いは貨物の取扱を更に拡充してくれとかいろいろな要望がございます。こういつた点は国鉄自体がやはり経営費が上る面は当然でありまするが、そういつた点につきまして、そういつた経営費の増嵩は能率の向上によつて、こういつた民間の希望を特に入れてもらうように更に一層の努力を願いたいということの条件を付しまして、この法案に賛成いたします。
  171. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はこの法案に賛成をします。  ただ四つだけ要望を付すのでございます。それはさつきも東委員のほうから言われたように、運営の民主化、特に公共企業体としての、公共事業としての基本に立つた運営、経営方針の確立ということに重点を置いて、將来の経営計画を立ててもらいたい。特に経営協議会につきましては、このメンバー、委員の任命選定に当つてはやはり民主的な方法で、そしてこの労働者、働く者の推薦をする、こういう者もこの中に包含をしてやつて頂く、つまり民主的な委員の任命方式を是非ともやつて頂きたい。  次には従業員の生活安定、適正な労働ということは公共企業体として、又サービス業務として是非とも、これは根本的な問題と考えますので、今日の質疑応答の中にもありますように、是非とも実情を調査して、そしていやしくも生活不安なり、或いは過度の労働強化のないように特別の御指導をお願いしたいということ。  それから次には、国鉄の自主性ということについて、これを特に要望したいと思います。それは例えば従業員の僅かな手当を出せということにつきましても、大蔵省の紐がついてどうにもならないという恰好ではなくて、やはり国鉄の自主性ということについては、将来とも十分確保できるように御留意を願いたいと思います。  なお、要望の次としまして、現在国鉄の従業員の町会議員の兼職について、これは禁止されておるようでございますが、これは将来町会議員の兼職については、これを保障するような方向に是非とも考慮を願うようにお願いしたい。  こういうことを要望して賛成いたします。
  172. 一松政二

    一松政二君 私は日本国有鉄道法の一部を改正する法律案衆議院の修正の通り一応賛成いたします。  併しながら、先ほど同僚の加賀山議員から申されましたように、まだまだ改正しなければならんという御意見でございましたが、私は又はかの方面から、今日言われておる独立採算制とかいろいろなことを言われておりまするが、やはりまだ昔の官営鉄道よりも却つて私はまずい結果になつておるのじやないかというような気もします。でありますから、これをもう少し百尺竿頭一歩を進めて、そうして新規企業として健全に、誰が見ても立派な企業である、そうして健全であるならば、外資の導入が必要ならば外資を導入すべし、或いは起債が必要ならば起債をなすべし、私は金がないからできないとか、国鉄ではできないが、民間の資本を仰げばで遂るなどということは情けないことだと思います。若し企業が健全であるならば、国鉄ほどの資産を以て資金の得られないということは、私は経営自体に欠陥があるからだと考えます。でありますから、今後その方面に向つて大いに努力をして頂いて、そうして国鉄はみずからの手で起債もなし、或いに外資の導入もして、国民の要望に応え、営業は頗る健全である、どこからも何の打ち所もない、或いは従業員もそれによつて満足する、これは経営者及び従業員共にそういう方面に向つて一路邁進するように要望いたしまして本案に賛成するものであります。
  173. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  174. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それでは本案を可とされました方は、例により順次御署名を願います。  多数意見者署名    東  隆   大和 与一    大倉 精一  森田 義衞    加賀山之雄  一松 政二    岡田 信次  植竹 春彦    入交 太藏
  177. 前田穰

    委員長前田穰君) 御署名漏れはございませんか。御署名漏れないと認めます。   本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会