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1953-07-24 第16回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)    午後一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            木島 虎藏君   政府委員    運輸大臣官房長 壷井 玄剛君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  山内 公猷君    運輸省自動車局    長       中村  豊君    運輸省航空局監    理部長     粟澤 一男君   事務局側     常任委員会専     門員     古谷 善亮君     常任委員会専     門員     田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○通商産業委員会申入れの件 ○港湾整備促進法案内閣送付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより委員会を開会いたします。  速記をとめて下さい。    午後一時五十一分速記中止    ——————————    午後二時二十八分速記開始
  3. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて下さい。  次に、道路運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  4. 植竹春彦

    植竹春彦君 免許基準に関しまして二、三の質問をいたしたいと存じます。先ず今回のこの自動車運送業の公正な競争を確保するという点でありますが、私的独占を排除する立法趣旨は当然のことと思いますが、バス事業のように高度の公共性を以ちまして社会的重要使命が課せられ、而も厳重な取締規則と罰則とが制約いたしておりますこういつたような事業が安易な競願に煩わされまして、更に現実に競争関係に置かれるこいたしましたならば、曾つて業者の血みどろの競争の結果、競争した事業者はお互いに傷ついて業績が悪化いたしまして、競争開始当時のような乗客へのよいサービスは失われて行き、事業体の破産を来たすものが数多いあの歴史を繰返すことが必然と思われますので、企業体の安定と本来の社会的使命が達成せられない結果になることを恐れます、従つてバス事業に関しましては、原則として、交通目的一つにする一路線は一営業として、企業の安定と使命達成をなし得るように考慮せられるべきであると思いますが、この点に関する自動車局長のお考えを伺いたいと思います。
  5. 中村豊

    政府委員中村豊君) 第一条に公正な競争を確保するという規定がございますが、今回の改正でも、この点は従来通り触れていないのでございます。その趣旨は、お話のごとく、不公正な血みどろな競争は勿論避くべきでありますが、公正な競争は大いに確保しなければならぬと思うのでございます。勿論、厳重な責任、義務を課せられておりますから半面、その地位を擁護し、企業の安定を図らずべきでありますが、そのために免許制度で以て、誰でも自由にできないというふうに特殊な権益を与えておるわけでございます。そのような特殊な権益を与えられた範囲においては、公正に競争してもらうことは望ましいのでございます。勿論公正競争でありまして、不当競争を奨励する意思は毛頭ございません。従いまして、第六条の免許基準においても、今回の改正においても、従来の条文において、先ず申請人資力信用その他適格性を十分に審査すると共に、既存業者との供給力輸送需要量とも睨み合せまして、新規免許をすることによつて供給力が非常に殖える結果、輸送需要を超過するという場合には、不当な競争心配がありますので、そのような場合には現行法でも今回の改正でも免許はしないという建前をとつておるのであります、そのように需要供給関係を見て、供給力がオーバーするときには免許しないということは、はつきりと不当競争の原因を除く目的に出でておるのでございます。又運賃の認可基準においても、不当な競争を起さないように、こういうことを十分に配慮するような条文になつておるわけでございまして、第一条に「公共競争」とあるからといつて、何でもかんでも、どんどんと免許するものではない。不当競争は極力飽くまでも避けなければいけないという趣旨でございます。
  6. 植竹春彦

    植竹春彦君 御説明によりまして御方針は了承いたしましたが、実際の運用に対しまして、十分この御方針が堅持せられるように、くれぐれも御注意をお願いしておきます。  次に、自家用トラツクについてお伺いいたします。自家用トラツクで、使用閑散なもの、即ち遊ぶ形になつておりまする車に対して、営業用としての免許をして行く方針であるかどうか。トラツク業者の数は全国ほぼ飽和状態であると思われますので、無制限許可をしては競争の弊害が起るヒと、バスの一路線に数業者許可すると同様でありますので、その点の御方針を伺いたいと存じます。
  7. 中村豊

    政府委員中村豊君) トラツクにつきましても、同様に需要供給関係を十分睨み合せまして、不当な競争を起さないように考えて行きたいと思つております。それで、現在のトラツク輸送力が余つておるのに新らしく免許することは輸送力超過になるという御心配も一応御尤もでございますが、今後の新規免許に当りましては、荷主確保の見通しが十分にあるかどうかということと、それが既存業者に摩擦を与えずに、大して影響を与えずに円滑に確保できるかどうかということを十分審査することにしておりますので、不当な競争を惹起するほどの混乱は起すことはないと思うのでございます。
  8. 植竹春彦

    植竹春彦君 了承いたしました。次に、前回の委員会におきまして政府委員の御説明では、地方によつては小企業者といえども、バスについて、或いは大型貸切について免許する御方針だと御説明があつたと思いますが、資力信用責任事業遂行能力等の諸条件考え合せますと、今、我が国では国鉄が一番その条件に合しておるように思われますので、若し民間業者競願になりました際には、国鉄バス或いは国鉄大型路線バス、それから大型貸切バスにつきましても、同様に国鉄が一番条件の備わつたものとして、民間業者免許が与えられるよりも、殆んど国鉄免許が与えられるということになつては、民間業者の圧迫にもなると考えますので、その点、自動車局長のお考えを承わりたいと思います。
  9. 中村豊

    政府委員中村豊君) 国鉄バスについては、日本国有鉄道法によつて日本国有鉄道に関連する事業体という、性格制限があるわけであります。これを昔から、よく先行代行短絡培養線などと、こう言つておるわけであります、そのような性格上の制限がございますから、それに該当しない場合には、国有鉄道ハスといえども免許されないわけでございます。そのような性格に該当する場合にどうかという問題でございますが、すでにその土地私営バスがあるような場合に、そこへ国鉄バスが割つて入ろうということは、非常に無理なことだろうと思うのでございます。とにかく問題を起して、おるのはそのような事例でございますので、その場合には、既存民営ハスサービスが果して十分であるかどうか、利用者に満足を与えておるかどうかを十分に審査いたしまして、まあ満足できる状態である、或いは近い将来に満足できる状態に必ず改善できる見込が十分にあるというような場合には、国鉄バス免許することを差控えておるわけでございます。どうしても反省の色もなく見込もないという場合に初めて国鉄バスが問題になるわけでございます。全然新らしい道路国鉄バス民営バス競願になりまして、而も国鉄バス性格としても差支えないというような場合、その場合が一番問題がむずかしくなるわけでございますが、その場合には、路線分布状態と申しますか、勢力分野というようなものを考えて、いずれが妥当かを適正に判断して行きたいと思うわけでございます。大型貸切については、国鉄自動車に対する考え方は、もう少し厳格に考えるべきではないかと思うのでありまして、国鉄の経営するバス事業というものは、定期路線公共性の強い事業としては、やる価値が十分あるわけでございますが、遊覧バスといいますか、団体貸切といいますか、そのような事業にまで国鉄がどうして、も乗り出さなければいけないという理由は非常に薄いと思うのであります。従いまして、その土地民営の会社があつて、その需要を賄うことができるならば、これ又国鉄には我慢してもらうということにして、どうしても民営でやれない場合だけ、極めて例外的に国鉄バス団体貸切をやつて頂く、こういうことを一考えて、おるわけでございます。
  10. 植竹春彦

    植竹春彦君 この点は中村局長の御方針は完全に了解いたしまして安心いたしましたが、現に全国に、殊に定期路線大型貸切バス、いわゆる遊覧バスについての国鉄からの申請がたくさんにありまして、民間業者が脅かされております現状に鑑みまして、この御方針の堅持と運用について、一段と御注意をお願いいたしておきます。本日は細田部長はお見えになりませんので、そのほうは次回に部長がお見えになりましたときに再質問いたします。  最後に質問いたします点は、免許区域の問題でありますが、営業区域と、車両行動区域につきましては、どういうふうに区別が行われておりますでしようか。今回の改正に際しまして局長から御方針を承わりたいと思います。
  11. 中村豊

    政府委員中村豊君) 今回の改正では、その点を相当大きな問題として取上げたわけであります。現行法は、御承知のように、車両行動区域事業区域とみなしたわけであります。従つて相当広く数府県に跨る状態でございますので、その間における行動は自由にしまして、それから外に行く場合には、その都度運輸大臣許可を受けなければならないといたしまして、平常の活動においては、運輸大臣許可なしに事業区域の中に営業を許していたわけで、あります。ところが余りその事業区域を広くしますと、営業所が本来の中心区域と申しますか、本来の営業区域を離れてしまつて、全く営業所のない他の地方行つて、常時そこで営業をやるという問題が起りまして、まあいわば他の事業者縄張りを荒らすというような問題が起つたのであります。これを具体的に話しますと、例えば東京タクシー業者は、東京のみならず神奈川県、埼玉県、その他の府県事業区域になつておりまして、これは東京から神奈川埼玉お客さんを乗せて行くことはあり得るわけで、その都度許可では大変だというわけで、そのように広くしたのであります。ところがこの法律を実施してみますと、東京のそのようなタクシー業者横浜に朝から晩まで出張つて、そこで常時営業をするという問題が起つてしまつたのであります。これは神奈川横浜タクシー業者縄張りを全く荒してしまうということになるわけであります。ところが現行法では、それは適法になつております。このようなまあ縄張りといいますか、勢力分野、地盤ということを考えて、相互にそれを尊重させるというためには、どうしてももう少し事業区域を狭ばめて、営業区域程度のものにする必要があるという考え方から、今回の改正法では、事業区域営業区域に等しいものにまで狭ばめたら如何かと思うのであります。そして法律法には、それから外へ出る場合には、お客さんを乗せて行く場合、又帰りの車でお客さんを拾つて事業区域へ帰つて来るものもよろしい、かよりな跨がり輸送はよろしいけれど、常時営業区域の外で仕事をする、発着地のいずれもが事業区域の外に存する旅客或いは貨物の運送をしてはならないといたしまして、先ほどの例のような、東京タクシー業者が常時横浜営業することは違法であるということにいたしたのであります。この点は、関係業界からも非常に実情に合う適正な改正であるということて、支持されているようなわけでございます。ただ問題は、その場合に、従来の事業区域を狭ばめて営業区域のところまで持つて来るというお話をしましたので、そうすると狭ばめる途端に実情に合わなくなつて、何だが従来よりも右動が不便になる、お客さんに、或いは荷主に不便をかけるのではないかという御心配が各方面に起つていたのでありますので、そのような事業区域を新らしく考にえる場合は、交通経済圏実情に応じたように、十分考慮をするという考えを持つていることを申上げているわけでございます。
  12. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をやめて下さい。    午後二時四十五分速記中止    ——————————    午後三時十七分速記開始
  13. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をつけて。  それでは只今懇談の結果、中小企業金融公庫法案に対しまして当委員会として通商産業委員会に対し次の申入を行うことに御異議ございませんか。その申入は、  一、中小企業金融公庫法第二十一条及び第二十二条の規定により主務大臣認可を行う場合には、運輸大臣に協議すること。  二、運輸関係業種への融資業務円滑化を期するため、公庫の役員中に運輸関係に精通した人を入れること。 これを中小企業金融公庫法案に対する附帯決議として挿入せられたい。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 前田穰

    委員長前田穰君) それではさように決しました。  それではこの申入に対する説明入交理事にお願いしてよろしうございますか。   —————————————
  15. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは、元の道路運送法の一部を改正する法律案審議を始めます。
  16. 重盛壽治

    重盛壽治君 道路運送法に関連してちよつとお聞きしておきたいことは、御承知のように特に東京のような場合を見ると、東京都内における交通が非常に輻輳しておる。バスと言わず、トラツクと言わず、或いは乗用自動車と言わず、軌道電車と言わず、こういうすべてのものを総合的に申しますならば、もうすでに飽和し、否、それを突破しておる危険な状態にまで来ておるということが言われるのでありますが、これには私は免許を与える者と、そして取締運輸をやる者との関係がどうなつておるか。例えば交通取締のすべては自治体警察である警視庁がやつておる。免許を与えるには、運輸省陸運局がやつておるわけでございますね。こうした関係が、もう少し明確に調整されなければならないのじやないかと思うのだが、それに対する何か警視庁の、例えば交通なら交通と相談してやるとかいうような機関があるかないか、若しないと仮定すれば、こういうような実際に取締の任に当る者と営業をする者と、全く別な立場でおやりになつて、それで完全な交通機関整備ができるかどうかという点について一つお伺いしたい。
  17. 中村豊

    政府委員中村豊君) 現在は、お話のごとく権限が分れておるのでございますから、具体的に打合せはしていないのでございます。ところが東京のような場合には、非常に混雑がひどくなつて参りましたから、今後は是非緊密な連絡をとらなければいけないと思います。そのような趣旨から、今度の改正の第百三条において、自動車運送協議会というものを設けましたが、その場合に、第一号に「一定の区域における適正な供給輸送力の策定その他輸送需要供給との調整に関すること。」という項目を掲げまして、重要な審議事項にしたわけであります。東京に果してどのくらいの車両数が適当かということもその点で検討したいと思います。そうしてその審議に当るには、百四条において組織を規定してありまして、そごに関係行政庁職員委員にするわけですが、この関係行政庁職員として考えますのは、主として道路交通取締の衝に当る警察関係の方と、道路管理に当る関係の人、そういう人を最も重要なメンバーに考えておるわけでございます。そのような形も使つて関係官庁と緊密な連絡をとりたいと思つております。
  18. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうするとこういう解釈ですね。従来なかつたことは、私甚だ遺憾だと思う。けれども今度の法律によると、協議会の中には、例えば警視庁交通部長というようなものが入つて来て、東京の場合にはどうするかというようなことが相談できるようになつたということですが。
  19. 中村豊

    政府委員中村豊君) その通りでございます。
  20. 重盛壽治

    重盛壽治君 それから二の法律と完全な関係があるとも言えないし、又ないとも言えない関係にあると思うのだが、昨日同僚議員から質問が出た、先ほどからも出ておるが、バス関係の問題でありまするが、全般的に言つて、御承知のような官庁連絡バスというようなものがある。これに対して自動車局長衆議院運輸委員会における答弁ちよつと拝聴いたしましたが、国際バスの過去の実績、そうして東京都のバス実績というようなものの均衡を、私の聞き違いかも知れませんが、全く同じように見ているというふうに感じられるのでありますが、この点に対しまして、例えば東京都のやつておるバス実態ということに対しまして、私も若干知つておりまするから省略して頂いていいと思いまするが、国際バスにこれと同じようなウエイトを与えなければならんという根拠はどこにありますか、一つ考えを伺わして頂きたい。
  21. 中村豊

    政府委員中村豊君) 国際自動車バスウエイトを与えるということをきめておるわけでもまだないわけであります。いわゆる国際自動車バスを、一般に開放しろという切換申請が来ておるものでございますから、その際に考えるべき問題としては、陸上交通事業調整法の過去のいきさつ、それによつて成立して東京都バス立場といいますか、そういうものと同時に国際が今のような特定事業をやれざるを得なかつた事情、その後そのために費した犠牲というような事柄を全部総合判断して妥当な結論を得たい、こういうことを申しておるわけでありまして、ま、だそれほど、どちらにウエイトをおくという、きほどのウエイトの問題は考えていないわけでございます。それでそのようなことを十分総合判断して、適正な結論を是非得たいものだと思つております。
  22. 重盛壽治

    重盛壽治君 これは私は決して言葉尻をとるわけではないが、衆議院運輸委員会におけるところのあなたの鈴木運輸委員質問に対する答弁は、読上げてもようございますが、読上げてまでしなくても、あなた自身がおわかりのことと思いますが、やや同じ資格があるのじやないか、同じ実績があるのでどちらともいたしかねるというような御答弁のように承わつております。ところで私は決してどちらにどうということは申上げられませんけれども、やはり一つ法律の枠の将内で作られたものは、やはりそれを中心にし行かなければならないじやないかということから割出しますならば、国際連絡バスが、終戦後交通機関が非常に不自由であつたそのときに、あなたのほうの要請で勿論東京都にもバス一つ出したらどうかという要請があつたことは私も承知いたしております。けれども当時東京都は、東京都の復興、そうして東京都の産業発達という観点から行きますならば、役人だけの特別バスを出して行くというような余裕がなかつたことは、これ又運輸省承知しておるわけです。そういう建前の上に立つて国際許可し、できるだけの運輸省が便利を図つたことも私は承知しておりますが、それからたまたま今度一般バス切換えろという要請になりましたことは、御承知のように一般の人が官庁連絡特別バスであるということを知らずして、乗車した、それが非常に便利だということのだめに、先般の公聴会などでは、一般に便利だから一つあれは許可してやつてくれんかというような空気がかなり強く出ております。併し一般に便利であつたという空気の出た根拠はどこにあるかというと、法的には非常に矛盾した、法を侵した実態が便利だということになつて来ておるわけなんです。これをあなたの御答弁を拝見しておると、二万年の間そういうことが行われておつたのだが、十分に調査研究して、実態と睨み合せて一つ処理したいと考えておつたけれども、取りあえず警告を発した。二年間ぐらいみておつたというのだが、随分長い間御研究なすつたように見られるのだが、こうした法的な矛盾から来た実績をやはり一つ実績としてお取上げになるお考えがあるのかどうか、これを二つお聞きしたい。  更に、ついでですからお聞きしたいが、例の陸上交通事業調整法なるものは実際には生きておるということと、それから機能は停止しておると、これらの御意見も、一、二度関係会議においてお伺いいたしましたから省略いたしますが、これは私はあなたが御存じかどうか知りませんが、この機能が停止されるに至つたのは、当時の政府のいわゆる行政整調ということで、できるだけ機構を整理しようという中から整理して、本来は今日すでにこれだけ交通事業が複雑になつて参りますならば、再び交通調整を再調整しなければならんということも恐らく運輸省も見越したことだ、見越した上に立つて、残したいはずであつたものが、今言うような政府の不都合で取られたというようなのが実態でないかというふうに考えるのだが、運輸省としては、その当時私の知つている塔内においては何とか一つ残して欲しいというように言われておつたことを聞いておるが、その点をどのようにお考えになつておるか。一つ前の点と今の二点を先ずお伺いしたいと思います。
  23. 中村豊

    政府委員中村豊君) 国際自動車一般人を乗せたという実績があつたことは承知しておりまするし、それが免許条件違反でありましたから、その必要な止むを得ない事情は認めたけれども、違法であるというので警告を発してとめたわけでございます。そのよとな実績を認めるというわけには行かないと思います。ただ特定免許でそういう事業をやつているというだけの事実は、これは事実として認めまするけれども、その条件違反をして一般を乗せたということは、実績として認めて行けないと思います。第二の交通調整法は、当時いろいろ法令が整備されるときに運輸省としてむしろ残してもらいたいという希望を持つていたというお話は、私当時直接は関係ありませんでしたが、私の聞い ておる範囲では、むしろ逆でございまして、あの法律は廃止したほうがいいのではないかと思つていたように聞いております。
  24. 重盛壽治

    重盛壽治君 それはいずれにしてもよろしうございますが、そうするとあれが解消されたということは、私は第一次の、第一回の目的はつきりあの当時達した。東京は御承知のように都内都バスがやる、東京都がやる、或いは地下は交通営団がやる、その他七つぐらいのブロツクに分けて、一つ基準作つて、それが軌道に乗つて一つ交通調整ができたわけですね。そういう意味合いから、大体私は法律があろうがなかろうが一応は交渉していい段階に来たのではないか。けれども今日の段階から行きますならず、再びどういう方法によつてやるか。第二に、誰に実際の仕事をやらせるかということは別といたしまして、交通保安情勢から行きますならば、再び調整しなければならないような段階に来ているように考えるんですが、その点の自動車局長考え方はどうですか。
  25. 中村豊

    政府委員中村豊君) あの当時の交通調整法に基く処置をしたその根本の調整方針というものは、新らしい段階において再検討しなければいけませんじやないかと思います。併しこの問題の解決は非常にまあ困難でございますので、どのような案がよいかについてはまだ成案を得ておりません。これは十分各方面の御意向を伺い、又各種の具体的な資料に基いて決定しなければいけな’問題だと思つております。
  26. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、やはりできるだけ早いうちにそうした方向を打出すことが必要な段階なつたということはお認めになるわけですね。そうでありますと、これは仮定の話でありまするが、若しそういう場合に一部の市営バスというようなものを許可しておくというようなことになりますると、それに関連して類似バスが五つ、六つあると存じます。そうしたものがやはり許可申請して来る。そういうような障害も起きて来る。更に調整をしようというときに、より複雑化して来るというような問題が考えられるんですが、その場合勿論今の連絡バス一般許可するともしないともあなたは言われておらんが、そういう場合のことをお考えになつて、この許可問題と何か関連して一つ考えなつたことがあるかどうか。
  27. 中村豊

    政府委員中村豊君) この問題の解決に、他の同じような性質の事業が便乗して何ることを併せて考えたかという御質問だと思いますが、この問題はこの問題だけとして考えるべきであつて、勿論どのような解決になろうとも便乗組は厳にこれは抑えなければならないと思つております。
  28. 重盛壽治

    重盛壽治君 これはまあ自動車局長は相当知り過ぎるほど知つておるんですから、私はくどいことを言う必要はないと思いますけれども、先ほど言うように、交通調整をする場合に、東京都が現在の金に換算すれば八十億になんなんとする巨額な金を投資して調整をし、それもやはり国家の方針に準じて調整して来ておるというような、こういう実態を決して見逃がしてはならんと思います。と同時に、その競合も度合によりけりで、競合することによつて非常な危険を招来せしめる。そうして実際のバス事業としての運営ができなくなる。これは私は曾てこのバスの競合、前にいわゆる青バス、黄バス、いろいろなバスがあつたのだが、一番危険なことは、お互いの従業員がせり合い、客の取合いをする、競争をする、こういう一点だけでも、もうすでに東京都内におけるところの、地方バスは又別であります。輻輳した場所非常な危険を招来するということは、これはもう言を待たない。そういうようなところはこれは十分考慮に入れて、この問題の取扱には慎重を期してもらいたいというように考えている次第であります。
  29. 中村豊

    政府委員中村豊君) お説の通りでございまして、まあこういう次第でございますから、できるだけ競争態勢をとるべきであるというお説もありまするし、今のようにバスのような事業競争態勢をとると無理な競争が起るから、極力それを避くべきであるという御議論もあるし、その辺はなかなかむずかしい問題でございますが、公正な競争を確保し、而も利用者たる乗客に迷惑を与え、不便をかけないという趣旨を根本に考えまして、できるだけその間の調整を図りたいと思うわけでございます。この問題については、十分に慎重に検討いたしております。
  30. 重盛壽治

    重盛壽治君 これに関して、私まだいろいろ御質問がありますが、別の機会に譲ります。  今一つお聞きておきたいことは、あなたの関係されていることかどうか知りませんが、都内に走つている円タクがございます。その円タクにメーターというものが付いておりますね。あのメーターが一つの会社だけで、今独占事業になつているわけですが、その点御存じか。それから、あれが独占になつているために、非常にあの自動車の運転手が迷惑をして、而も極めて微細な部分品一つ取換えるにも、その一つの所へ行かなければならんという関係で、あなたの今まで言われた、すべてのものを公正に競合せしめるということから大分かけ離れたことが行われているのですが、この点の実態をどのようにお考えになつているか。
  31. 中村豊

    政府委員中村豊君) メーターの問題は、実は運輸省の所管でございませんで、計量法によつて通産省の所管で、その製造事業免許制度になつているそうでございます。それで独占でばなくて、東京では二つあるというふうに聞いております。それでまあその間に公正な競争が行われて、そのような弊害はそれほどないのじやないかというふうに考えます。
  32. 重盛壽治

    重盛壽治君 運輸省の所管でないとすれば、ここで議論する必要はないのでありますが、一般円クク業者はこうした程度の許可では困る、そう少し何カ所かにやつてもらわなければ、非常にいわゆる暴利を貧られているという批判がたくさん出ているので、何かそういう機会があつたならば一つ連絡を願いたい。  それから先の問題にちよつと関連するが、今あなたのお話だと、いわゆる国際官庁用連絡バスが法を犯しての実績実績とは認めない、こういうお言葉があつたのだか、それはその通りですね、確認していいわけですね。
  33. 中村豊

    政府委員中村豊君) 実績があつたことは事実でございますが、その実績を考慮するということは無理なことであると思います。
  34. 一松政二

    ○一松政二君 事業区域について、先ほど来の御答弁の中でまだはつきり私はつかめないのは、前は広く許可しておつたけれども、今度は狭くするのだ。どういうように一応おやりになろうとお考えになつておるのか、それを先ず承わりたい。
  35. 中村豊

    政府委員中村豊君) 前は大体トラツクなり、タクシーの行動半径として一日に五十キロ乃至百キロというものを考えましてサークルを描いた、そうすると数府県に跨がることになります。その範囲では営業を自由にやつていいということになつておるわけです。そうなると数府県に亘るために、本来の営業所所在の所と全く離れてしまつた府県に出稼ぎに行つて、そこだけ七もう常時朝から晩まで営業をやる行為が非常に殖えたのであります。その地域にはその地域で需要供給考えて相当数の自動車業を認めておりますので、そこにおける本来の業者と摩擦を起しましてとかく問題がいろいろあつたわけでございます。そこで縄張りという言葉は語弊がございますけれども、おのおの自分の営業の本拠を中心にして適正な車両数免許しているのですから、そこでおのおの自分の営業中心地でて、きるだけ仕事をしてもらいたいという形に、もう一度振返つて整頓してもらおうという考えでございます。併し自動車の特殊性として、数府県に跨がつて動くことは勿論でございますから、跨がつて行くことは毫も差支えない。外へ出つ放しで、外だけで仕事をやることは遠慮してもらいたい、こういうように直したいと思うのであります。
  36. 一松政二

    ○一松政二君 今のお説を伺いますと、この人間の世の中を或る一つの概念を以て非常に何か区画をこしらえて、これはそこだけ別扱いにして、隣には火事があつても、隣に大水が出ておつても、これは極端な例ですよ、極端な例ですが、非常に或る所は需要がある。乗り手が多い。隣の区域では非常に少いというような場合に、例えば県境を一つおいて、自動車が隣には出稼ぎに行けないというお考えのように承わるのですが、そうすると、例えば埼玉県の大工さんは東京へ荷物を担いで来て東京に家を建てちやいけない、そんなことをしてはいけない、それは極端な例ですよ、そういう思想と相通ずるものがないでしようか。ただ道路上を走る交通機関であるということが多少違いますよ、違いますけれども、いやしくも営業をやつておるのが或る範囲に限られて、そのラインから出てはお前は出稼ぎになる。その範囲仕事があつてもなくてもお前はとどまれ、隣には非常に車両が少いので、お客さんが殖えたか何か知らんが、この有利な事業が眼の前にあるのに非常に不均衡になりませんか。
  37. 中村豊

    政府委員中村豊君) 免許する場合に、現在の免許基準でも、今度の改正でも、需要供給関係を睨み合すということを謳つておりますが、或る地区、例えば東京とか横浜における輸送需要、タクシーを利用するであろうと思われるお客さんの数といいますか、そういうものを想定するわけでございます。それに対して何台くらいの車が適当であろうかを睨み合せて免許をして行くわけでございますので、東京にタクシーを許す場合に、東京都に営業所をもつ者だけで供給力を見るわけでございます。そこで横浜の業者が来て事業をやるとすると、初めの計算した需要供給を睨み合すということが意味がなくなつて来るといいますか、非常に超過して来るという恰好になるわけでございます。これは東京横浜の例を逆にしても同様でございますが、そういう状態でございますので、需要供給を睨み合すということを非常に大きな問題にしている限りは、何かそこに一つ交通経済圏考えて、そこで抑えて行かざるを得ないと思うわけでございます。日本のような国をそう一々細かく分けることに問題はございますけれども、今までの沿革といいますか、発生的にも相当経済圏というものは各地にもうできるわけですから、そこにおける需給の関係を睨み合せたい、そういうことでございます。従つて大工さんの例を言われましたが、若しその必要があるとすれば、そのタクシーには東京免許を与えればよい。タクシーの東京営業所を置く免許をやればいいわけでございまして、やはり営業所を置いた免許中心地というものは、或る程度サークルをきめて、その場所々々でバランスを見て行くのが納まりがいいのではないかと思います。
  38. 一松政二

    ○一松政二君 私は今の説明に同意することはできない。どうしても納得行きません。ということは、若しそういう事情が起るとすれば、最初認定したときが間違つている。大体需要供給というようなものを人間が或る区間なら或る区間が区切つて正確に把握できるものではない。若し私はここへ、大阪の旅客自動車組合というところから陳情書が昨日夜帰つたら届いておりました。私はこれをつぶさに見まして、私はこれはいけない、こういうことは……。ということは、これは神戸から常に大阪に来て流されるというのでは困るというのです。今あなたのお話を承わると、神戸は神戸でちやんと自分が運輸省で睨んだ需要供給によつて、大阪は大阪で一応需要供給を睨んでやつているのだから、頗る水が平静でなければならないはずなんです。両方とも同じような状態営業ができるはずなんです、最初の認定の基準から申せば……。ところが神戸は水が浅くて、さつぱりお客さんがないが、大阪に行くと稼ぎがよくなるというので、わざわざ神戸の人が来るのだろうと思うのです。そうするともうそこが事情が非常に変化している。そういうことを一々私は役所の、或いは或る少数の人間の寄り集りで、この人間の世の中をそう生一本に私は律し得るかどうか。これは私はだから水の高さを大体同じように考え許可しているとすれば、そこに高低が起ることは不思議な現象でなければならない。高低がなければ一向差支ない。新潟の人間が東京に出稼ぎをするのも、新潟から東京に来れば、そこにオポチユニテイがあるから、チヤンスがあるから来るわけです。東京に限らず横浜にえらい催しがあつて、或いは非常にお客さんが来る、そういうときに、東京におるよりかは一つ向うに行つて稼ぎをする、これは人情の自然であろう。それを法律で一々取締つて、一方は適正である、一方は非常に法律違反であるとか何とかぎつい罰則もあるようですが、そういうものに引つかかるということになれば、この企業の自由或いは人間の本来、これはよく社会党の諸君が使う基本的人権、人間の営業の自由というものをかなり束縛するとりになりませんか。
  39. 中村豊

    政府委員中村豊君) 水の高い低いがあれば、低きに流れるのは当然のことでありまして、お話通りでございます。そこで現在過渡的にはそういう事情があると思うのでございますが、実はまあ戦争中及び戦後の輸送力が非常に足りなかつたと、燃料や車両が足りなかつた場合のまだ名残りがありますので、場所によつてはタクシーならタクシーが非常に少い所がございます。それがつまり水の低い所でございますね。そこに車が流れて行くのはこれは当然のことでございます。従つて先ほど申しましたような、横浜東京の車が行くのは、東京の水は遥かに高くて、横浜が低かつたからであります。ですからその事情事情として勿論認めます。そこで考えなければならんのは、横浜にはタクシーが少いのだから、横浜にはもつとどんどん免許をしようと、東京と同じ波といいますか、どのくらいの水準なら丁度タクシーとしてよろしいというところまで横浜の車を殖やそうということであります。東京のタクシーが横浜に行くのをどんどん無制限に認めるということになりますと、だんだんと混乱するといけませんので、そういう車は横浜許可をしよう、増車を認めようという形で、調整、均衡をとろうという考えでございます。神戸の場合も、大阪のほうが水が低いので、大阪のほうが比較的車が少いのですから、大阪に免許しないということになれば、まあ実情に副わなくなるのじやなかろうか。神戸の業者で適当なもので、大阪で仕事をしたい者は、大阪で開業すればこの問題は解消するのだと思うのでありまして、この勢力分野を余り小さし刻むことは、御承知通り実情に合わなくなりますので、その事業区域勢力分野はできるだけ経済交通圏に合わすように広く考えたいと思いますので、その上ではお互いに均衡がとれるように免許、増車で以て問題を解決して行けば、円滑に行くのではないかと思われます。
  40. 一松政二

    ○一松政二君 私はですね、自動車局長といえども、船の定期航路か何かならばこれは問題でありますが、船は、お前はこれは四国の船だから九州に来てはならん、大阪に来てはならん、或いは瀬戸内海だから日本海に出てはならんとはあなたはお考えにならんと思います。自動車が私は無制限に行けるといつても、これは行けないですよ。行けと言つても行かないですよ。ガソリンを使つてそうして空車で走れと言つても走らんですよ。けれども神戸、大阪みたいなものは、第一、経済的に考えればどこがその境界線だかわけがわからんのです。この行政区画上はきまつておりますれども、人の流れが、大阪の人が神戸に来ても、神戸の人が大阪に来るのも、阪神間ならば一つに両方相交錯しておる。こういうところをやはりこの区域で行けば、神戸の業者はですよ、大阪に来て営業罷りならんとお考えになつておるのですか、今のこの条文で行けば。
  41. 中村豊

    政府委員中村豊君) それは事業区域の広さのきめ方によるわけでございます。普通の場合は府県程度がまあ適当とは思いますけれども、実際に合うようにするにはどの程度にしたらいいかは、事実机の上では考えられないことですから、現地の実情に合うようにいたしたいと思うわけでございまして、そう実情に合わないことをしたりする意思は毛頭ないのでございます。その点は御承知かも知れませんが、衆議院でも附帯決議実情に合わせるように、事業区域は経済圏に合うようにせよという御要望がありまして、その点は十分考えて行きたいと思います。
  42. 一松政二

    ○一松政二君 それで東京でも端から端まで相当あるので、いろいろ私どもも運転手あたりから聞くところによると、なかなか一定の区域など走つてやしない。芝居がはねるとどこからかやつて来るし、それから朝は丸之内のほうじやなくて、杉並のあつちのほうの、朝重役か高級社員の出勤を狙つてタクシーが行くとかいうふうに、非常に頭をひねつているようですね。それから丁度まあ昔の郊外地で言えば、やはり電車がなくなる時とか、バスがなくなる時を狙つて、そこに行つて走るとか、随分頭を使つてつてつて、多くの業者は、殆んど私は運転手の請負でタクシーはやらしているように聞いているわけです。そうすると、殆んどもう、丁度輪タクを殆んど失業者がやつてつたように、運転手は殆んどもうほかに適当な職業がなくなれば、先ず運転手にでもなろうかと思つて、一応免許状をもらつて走るというようなので、これを妙にきめてやれば、これは結局人の生活を或る程度規制するようになつちやつて、私はどうしても営業の自由を、区域によつて妨害するような法律ができやしないかと思うのです。それと、自動車局長の昨日あたりの答弁では、かなり私は我々の理解し得るお考えを持つているように思つておるんです。で、積極的にむしろ免許をするという方法をとつた方で、免許制度を廃止してくれというのはその意味があつたわけですが、また免許制度を或る程度拡張されればその辺もないかと思うのでありますが、神戸の業者に、神戸と大阪両方やることを許せば問題ないわけです。神戸と大阪みたいな所、或いは京浜みたいな所を、これが行政区画によつて区別するという考え方は私はどうかと思いますね。関東なら関東の、ここの東京中心としたちよつと一時間以内で行けるような所は、これはもうこれに県境があつたところで、経済的には私はこれを区別することは無理だと思う。であるから、この事業区域が若しこれが何かの、県境か何かをお考えになつているんだとすれば、私はこれに反対せざるを得ません。
  43. 中村豊

    政府委員中村豊君) 御説の通りでございまして、まあ県境が一つのめどにはなりますけれども、それは地方の問題です。非常に人口が機密で都市が連続しているような場合には、県境で行くことは実際に合わないと思います。又一つの県の中でも端つこのほうに営業の本拠を置くときは、それより隣の県が主な営業区域になると思いますので、この点は実情に合うように必ずいたしたいと思いますので、具体的に考えるべき問題と思いますが、まあ法律問題としては、このような二十四条がございましても、その点は決して差支ないだろうと思うので、問題は事業区域のあり方を実情に合つて、それこそ自動車の特性を発揮できるようになれば差支ないのじやないかと思うわけであります。ただ事業区域ということを考えるのは、その需要供給というものを判断して免許をしなければいけないわけですから、その区域というものはどういうふうにとるかという基礎になるわけですから、この観念はどうしてもとらざるを得ないわけです。その作り方は、十分実情に合うようにいたしますから……。
  44. 一松政二

    ○一松政二君 どうもね、私は運輸委員になつて昨年から運輸委員会に来ておりますが、運輸省考え方は、これは私の独断かも知れませんが、もとの鉄道省から来ていると、そうして交通を一本でやつてつたから、どうもそういうことは邪推ですよ、だからそういうことでお聞き願つて、別に私が皮肉つたりする意味だというわけじやない。何か需要供給とか、或いは道路交通調整するという言葉を使つたり何か耳を揃えて、行列を作つて行儀よく走らせるような恰好にならんかなというふうにお考えになるのじやないかと私は考えるのです。世の中がそれほど割切れて私は人口などでもそう適正に配分されるような世の中になれば何の苦労もない。地方では職が得られぬから毎年々々東京に人口が殖えてしようがないわけです。車両なども、自動車も確かに非常に多くなつております。そうして事故を起すのはおおむね円タクだ。私は自動車に乗つてもはらはらするのは、常に円タクがお客さんをとればもう一生懸命に走つているし、お客さんのないときにはどんな事がおころうと右や左を見もたもたして行くというので非常に交通を阻害しております、事実……。けれどもそれがために、今東東では車がこれでもう盗れておる、これ以上もういけないの、だという判断は下すべきじやないのです。これはまだ世界の大都会に比して車両数は非常に足りない。それでただこれは交通の整理が悪いか、それから道路がたくさんありながら道が悪いために、一つ道路に集中されるためにこういう状態が起つて来ておる。そうしてその交通の混むことにおいては、ニューヨークみたいなああいう一方的な交通しかない、或いは川を渡つて行かなければならんほどの自動車の氾濫のし方が一里も二里も続くような混乱のし方が日曜や祭日にあるのです。そういう所ですら自動車を制限しておるということを私は聞いたことがない。でありますから、こういう何か車両数制限するとか、何かこう需要供給調整するというようなお考えがちらちら耳に入るので、それは私は神様じやなければできないと思う。そうしてそれは常に変化する。先ほどあなたのお話がありましたけれども、例えば神戸に催物があつたり、或いは大阪に催物があつた場合には、需要供給が根本的に違つて参りますよ、少くとも一週間か十日の間は。その都度特別に許可するとか何とかいつて、そんなまどろつこいことはできない。人間はもう自由にやつて行けば自由に埋つて来るわけです。それを一々許可しなければできないということは、人間の生活を或る意味において、職業の自由とか人間の活動、人間の動きということを或る意味において規制することになる。どうもその辺で私は割切れない。この船のことを聞いておりましても、すぐ許可制に持つて行くとか何とか、紐がいやというほど付いている上に、更にもう一つ紐を付けたがるので私は了承がいかないのです。であなたの御答弁の中にも非常に積極的に許可される方針をとつている部面は私は非常に賛成ですが、これは一応の参考にするという以外に、私はそれを金科玉条としてそれによつて許しているから、それを侵した者はすでに違法であるということは、少くとも経済的に考えたら言えないのです。私はまだ質問がありますけれども、仁田君の都合で一応仁田君に譲ります。ちよつと今の私のなにに御意見がありましたら……。
  45. 中村豊

    政府委員中村豊君) 杓子定規に厳重に取締るというつもりではございませんので、自動車の特殊性というか長所を十分活かすようには考えたいと思います。従いまして一応事業区域は定めまするけれども、それの範囲を越えて常時他に行つて、又これを常習にするような場合にはこれは取締らなければいけませんけれども、その場合でも先ほどお話がありましたが、罰則というものは別においていないので、事情が余りに逸脱行為をして余りにも秩序を乱すような場合には、行政処分で事業の停止というようなことはあり得ますけれども、罰則というようなことは考えておりませんし、遇発的なものは取締る意思はございません。ですから実情に合うようにできるだけ運用をいたしたいと思います。
  46. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 大分時間が長くなりましたので極く簡潔に御質問申しますから、簡単にお答え願いたいと思います。提案の説明理由によりますると、審議会の制度を廃止されたようでありまするが、たくさんの審議会にはいろいろ批判がありまして、私どもも悩されておることが多いのでございますが、この道路運送法審議会の制度を廃されておるようでありまするが、その理由は行政手続の簡素化を図るということが目的らしうございますが、それ以外に何か目的がありますかどうか、廃止しますその理由ですね。
  47. 中村豊

    政府委員中村豊君) 簡素化を図ることが一番大いなる理由でございまするが、それ以外と申しますと、責任の所在を明確にするという意味があると申せると思います。陸運局長が自分の責任において、自分の判断において結論を見出す、その代りにそれに対する責任は全部自分で負おうと、こういう形にいたしたいというわけでございます。
  48. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 従来でも審議会がありましても、審議会はどこまでも諮問機関でありまして、それによつて大臣なら大臣の決定権を侵すことはなかつたと思いまするが、その点を一つお伺いしたいと思います。それから今度の廃止された後におきましても、やはり公聴会は、聴聞会ですか、やはり設けておるようでありまするし、大臣の諮問が運輸局長の諮問と変つただけでありまして、従つて別に簡素化されておるようには思われないのであります。なお又公聴会の場合でも、審議会の意見と協議会の意見との間に相違州あるか。特に法的にどのような相違があるかということをお聞きしたい。
  49. 中村豊

    政府委員中村豊君) 問題を整理しますと、大臣の権限の仕事と、運輸局長の権限の仕事とがあるわけでございます。大臣の権限の仕事は、まあ一等代表的なものはバス事業免許運輸大臣が決定するわけでございますので、これに対する諮問機関は運輸審議会でございます。これは廃止いたしません。ただ事案が余りだくさんありますので、運輸審議会が東京で一々公聴会をやらずに、地方道路運送審議会に調査を委託していたのがあつたわけであります。その機構がなくなりますので、今後は大臣権限のバス事業免許の際は、全部運輸大臣が運輸審議会に諮問してきめるということになります。これは従来と変らないわけでございます。第二の陸運局長権限の仕事、これは例を挙げれば、タクシー、ハイヤーの免許のようなものがあるわけでありますが、従来はその場合に道路運送審議会に諮問しておりましたのが、今度はそれをしなくても済むわけであります。又公聴会をしていたのが公聴会もなくなりまして、それよりも比較的軽度な聴聞会によるということになるわけであります、それだけ遥かに手続が簡素になり時間もうんと早くなると思うわけであります。今度できます自動車運送協議会というものは少し違うのでありまして、個々一つ一つの案件の処分について意見を聞くことは一切いたしませんで、自動車運送に関する基本的政策といいますな方針について諮問をするだけでございますので、個々の問題については、子、の場所を通しませんから、時間をかけることはないわけであります、
  50. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 又わからなくなりましたが、陸運局長の権限といいますものは、自動車業というものでなくて、一つ路線免許等の場合に協議会に諮つて陸運局長の権限においてこれを許可するというふうに私は考えておりますが、そうだといたしますと、責任の上におきましては、大臣の責任陸運局長の責任との違いがありましても、事実上の責任は同じことだと思いますが、如何です。
  51. 中村豊

    政府委員中村豊君) 陸運局長が免許するのは事業の、タクシーならタクシーという事業免許でございまして、又路線免許といいますか、路線とか、事業区域というものは事業一つの内容でございますので、飽くまでも事業免許でございます。そういうものは従来は道路運送審議会に諮問していたのでありますが、今後はそういうことは一切せずに、聴聞会を開いた上で陸運局長が独自の判断できめるというわけでございます。
  52. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そういたしますと、審議会と協議会というものの法的な解釈はどういうふうになりますか
  53. 中村豊

    政府委員中村豊君) 審議会は個々の案件について、陸運局長の諮問に応じて意見を具して答申していたのでございますから、諮問機関ではありまするけれども、その答申は尊重しなければいけないということになつておりますので、相当程度の、拘束力とまでは行きませんが、発言権を持つていたわけであります。協議会というのは、全く個々の案件に関与せずに一般方針だけについて答申をするということでございますので、大分そこに実際的な力が違つて来るわけでございます。実際的な役割が違うわけでございます。
  54. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 民主的な方法によつて協議会云々ということがたしかあつたように思いますが、今の御説明ですと、それが逆になりまして、審議会という民主的なものの力が弱くなつて陸運局長の力が非常に強くなつたという結論になりまして、結局民衆の声は、役人のところに対する力が弱くなつたというふうに解釈できると思いますが、その点は説明と食い違うと思いますが。
  55. 中村豊

    政府委員中村豊君) 行政の民主化を図ろうとして道路運送審議会を作つたのでありますが、その運用については、いろいろと御批判がありまして、事実上民主化にならなかつたという御判断が大部分であつたように思うのであります。そこで運輸省としても、そのような御意向なり御批判であるならば、この際予算運用の点からも困難であるからということで廃止するということにいたしたのであります。あの道路運送審議会が理想通りに行われれば行政の民主化ということが円滑にやれたのではないかと思うのでございますが、実際はその通りではなかつたわけであります。そこでこのままで行けば、陸運局長独自の判断ということになれば、民主化の方向に背馳しますので、聴聞会という制度を今後は拡げまして、できるだけ関係者の意向を聞こりということにいたしたわけです。その形で、その機会に民衆の声を聞こうという考えでございます。
  56. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと提案理由の説明にありました簡素化するということが目的である、これ以外に、従来の道路何とか審議会という制度は行政の運行上いろいろ支障がある。思わしくない、だから簡素化にはなるが、加うるに適当でないから審議会を廃止したの、だというふうに考えていいわけですか。
  57. 中村豊

    政府委員中村豊君) そのような御批判もほうぼうから伺つておるわけでございます。そこでそれを直して理想的なものにするには、予算運用上到底困難でございますので、この際いさぎよく諦めたわけでございます。それともう一つの理由は、先ほど申しましたように陸運局長が自分独自の判断で全責任を持つて事案を処理するという態勢をとりたいと思つたわけでございます。
  58. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そういうようなことも私どもにも一応納得の行くような場合があるのでありますが、この道路運送審議会以外にたくさんの審議会があるわけで反りますか、このような例は他にもありますか、若し御承知ならばお知らせを願いたい。若し御承知がないようでありますれば、委員長にお願いいたしまするが、他にも審議会の制度を廃止して、どういうような方法によつて審議会に代るべき民主的な方法を作つたことがあるかという例を一つ調べてお知らせ願いたいと思います。それは後ほどお知らせ願うことにいたしまして、問題は、審議会と協議会との法的根拠が、審議会の方が強くて協議会の方が弱いということになるようて、ありますが、そういたしますと六条ですか、免許基準がありますが、これは見方によりましていろいろ相違がありまして、場合によれば不許可になつていろいろ理窟を言う者もありましようし、又不許可になるべきものが免許なつたというので、従来の業者がそのため非常に損害を受けるというふうなことで問題が起ることがあり得るわけでありますから、そんなふうな場合には、当然損害を受けました者は行政裁判を起し得ると思いますが、この点の御意見を伺つておきたいと思いま す。なお又行政裁判を起し得ました場合に、審議会と協議会との効力といいますか、それに対してどういうふうな御意見……。
  59. 中村豊

    政府委員中村豊君) 審議会があつた時代でも、なくなつた時代でも、最終の責任陸運局長にあつたわけであります。従いましてそれに不服のある者は訴願をすることができたわけであります。運輸大臣に対して訴願をすることができるわけで、その点は今回はその通り残してございます。又訴願について不服のある者は最終的に訴訟ができることは、これは憲法で保障されておる通りでございます。
  60. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 それからもう一つ、この説明の中の第三に、運賃料金制度を改正しておるようでありまするが、自動車運送事業の一部についてという具体的な実例並びに又確定運賃制度のほかに最高及び最低運賃制度の途を明らかにしておるということでありまするが、その理由をちよつとお知らせ願いたい。運送事業の一部の具体的な例、それから最高、最低確定運賃以外に、最低最高の幅を持たせた運賃をお定めになつた理由。
  61. 中村豊

    政府委員中村豊君) 現在は確定額を以て定めるということにしてございますが、事業の性質によつては、一本の運賃では実情に合わなくて、むしろそのときの事情、或いは荷主、旅客に対して多少の差を以て運賃を取つてもいいじやないかという事業があると思うのであります。余りに一本の確定額運賃では、杓子定規で画一的過ぎる事業があると思うのであります。そこでかような事業については、全く自由では困りますが、最高額を抑え、最低額を抑えてその間の幅のある弾力的な運賃を認めるのが実際に合うと思うので、このような改正をしたわけでございまして、その一部の事業というのは、只今考えておりますのは、区域トラツク事業とか、貸切旅客事業、つまり大型貸切といいますか、いわゆる遊覧バス、ああいうものを考えておるわけであります。いわゆるバスとか路線トラツクとかというものは確定運賃でこのまま行きたいと思つております。タクシー、ハイヤーも確定運賃で行きたいと思います。
  62. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 一路線が一営業の場合は、お説のようなことも、時に又臨機応変の処理も結構だと思います。若し一路線に二業者かありまする場合、いわゆる公正なる競争を阻む虞れがあると思いますが、その点は。
  63. 中村豊

    政府委員中村豊君) そのようなバス事業は確定額一本で推して行くことにしております。
  64. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 バスに限らず、貨物にいたしましても、或る区間によつて競争が起ると思いますが、そういうふうな御懸念はありませんか。
  65. 中村豊

    政府委員中村豊君) 申し落しましたが、貨物についても、路線トラツクは確定額一本で行くつもりでございます。それとタクシー、ハイヤー、バス、こういうものは確定額一本で行くつもりでございます。
  66. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと、如何なる場合でございますか、幅を持たせる場合は。
  67. 中村豊

    政府委員中村豊君) 先ほど申しましたように区域トラツクでございます。区域トラツクと申しますのは、一定の事業区域を定めて貸切でトラツク運送するもの、それからまあ俗に言う観光バスといいますか、遊覧バスといいますか、ああいう団体貸切事業でございます。
  68. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますとどうなりますか、まだ法案を十分見ておりませんのでわかりませんけれども、この事業の一部の内容等を何かの形におきまして明示いたしませんと、将来いろいろの問題を惹起する虞れが多分にあると思いまするが、どこか法律にあなたのおりしやつたようなことでも明記してある条項がございますか。
  69. 中村豊

    政府委員中村豊君) 今度の改正の第八条第三項にそのことをまあ謳つてあるわけであります。但書以下に、一般乗合旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業は確定額で行くのでありますが、それ以外の事業のうち、運輸大臣の指定するものは最高最低額で行こうと、こういうふうにまあ法律は書いてあるわけでございまして、その指定の種類として考えておりますのが区域トラツク、それから小型トラツク、貸切旅客事業というようなものであるわけであります。
  70. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 もう一つ、それではこの免許基準のうちの、現行法の六条の五号でありますが、これは一松さんの今質問にも関連を持つようなふうにも思いまするが、「当該事業に使用する輸送施設が当該路線又は事業区域における。輸送需要の性質に適応するものであること。」という条項が改正法では除かれておるのでありますが、これは今一松さんのおつしやつたものに、やはりこういうようなことを心配なさつての議論のようにお聞きしますが、これが除かれたのは一体どういう理由なんですか。
  71. 中村豊

    政府委員中村豊君) 今度の六条の改正では、この三号にその趣旨を入れまして、この施設が適切な計画であるだけでなしに、その他運行計画、運行回数その他も適切であるということを望む意味で拡張的な規定をおいたのでございまして、従来の第五号は新らしい第三号にまあ溶け込んでおるというふうに考えております。
  72. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 これはどうも納得が行きませんが、片一方のほうは遂行上適切な計画を持つておるかということでありまして、むしろこれは業者側の立場において立つておることだと思います。一方その現行の五号のほうはそうでなくて、事業区域における輸送需要の性質に適応するものに許可しようというので、これは許可するほうの側と許可されるほうの側とでうんと違うので、この五を三に含ませるのは少し無理だと思いますが、その点どうですか。
  73. 中村豊

    政府委員中村豊君) こちらの考えは、新らしい条文の「適切な計画」と申しますのは、例えば運転系統とか運転回数とかいう事業の計画のほかに、どういう車を使うか、どういう施設を使うか、どういう所に営業所を置き、車庫を置くかということまで含めた全部の計画について謳つておるのでございますので、現行法の五号の、当該事業に使用する輸送施設が適応するものであるかどうかということは、当然この中に入れたものと考え規定したわけであります。
  74. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 「当該事業に使用する輸送施設が当該路線又は」というあれまでは丁度三と同じことだと思いますが、あと残された、「事業区域における輸送需要の性質に適応する」という、いわゆる大阪、神戸というような所だと思いますが、これが今度除かれているように思いますが、これはどうも「計画を有するものである」のだから入れるということは、少し無理だと思いますが、今一松さんが御指摘なさつたようなことがあつたんでは便利が悪いからといつて除いたわけではないのですか。
  75. 中村豊

    政府委員中村豊君) さような意思で除いたのではございませんが、その「輸送事業の性質に適応するもの」という点は、今のような三号に含めたつもりでございますが、又一号でもその趣旨はあるわけでございます。それで先ほど一松委員からお話のございました点は、まあ性質よりもむしろ数量という量的な問題もあると思いますので、その点は第三号に今まで通りあるわけでございます。まあこれはわざとそういう点を狙つて落したのでは決してございません。観念を整理をしてみたわけでございます。
  76. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 別に議論してみたところでしようがない話でありますが、その一は、やはり前にも一があるわけなんですね。そうすると前は同じようなものを二つ書いているということに考えられますね。まあそれをここでは一応除いているのですが、何だかあつてよさそうなものが除いてあるので、ちよつと奇異な感じがいたしますが……。私の質疑はこの程度にいたします。
  77. 前田穰

    委員長前田穰君) まだいろいろ御質問があろうと思いますが、本法律は本日はこの程度に打切りまして、次に、港湾整備促進法案を議題に供します。質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  78. 一松政二

    ○一松政二君 それではちよつと質問します。港湾整備促進法も、これはまあ提案理由、理由を付ければいろいろあるでしよう。この法律がなければ港湾の整備はてきないのですか、先ず端的に言つてもらいましよう。
  79. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) この荷扱施設、上屋等、或いは埠頭用地につきましては、日本の港湾の中て輸送の一番の隘路になつておるのでございまして、このことは従来戦前戦中を通じましてこれらの施設に一割乃至二割程度の補助があつて、それらの施設が或る程度促進されましたが、なお且つそれらの整備は港湾管理者に任されておりましたがために、水域施設、岸壁施設ができ上りましても、これに対応して荷役をする施設が非常に遅れておつたのでございます。戦後は特にこれらの施設が収益が挙るという理由て以て、整備に対しで何らの措置がとられておらなかつたのでございまして、今の港湾管理者の財政の窮迫した状態におきましては、これを建設するための何らかの財政的の措置をとつてやらないと折角できました岸壁の利用が全然非能率になつておるような現状でございまして、これに対しまして地方債から政府の財政資金を融通する法案でございまして、これがありませんと従来と同じような状態に置かれるのではないかと思うのでございます。地方債も相当窮屈でございまして、補助事業に対する起債が漸く認められる程度でありますから、これらの法律によつて政府か財政の許す範囲て施設に要する財政資金の融通を図つてやるという措置をとりまして、施設の促進を図らねばならないかと思うのでございます。
  80. 一松政二

    ○一松政二君 それが私の最もわからない点てす、昨日も私は法律のことに触れましたが、法律があればそれをやりやすい、法律がなければ或いは大蔵省と掛合つたり何かするのに不便である。それはそういうことが私は全然ないとは考えませんけれども、今の御答弁のようなことであるならば、この港湾当局者か儲かつてですね、そうしてそれが十年なら十年でちやんと償却ができるというのであるならば、港湾当局者は当然これはその起債を私は求むべきわけです。法律があれば起債が許されやすいけれども、法律がなかつたら起債ができないというのじやなくして、それは当局者の熱意如何じやないでしようか。その点は如何ですか。
  81. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) この港湾のいわゆる荷役施設或いは埠頭用地等につきましては、地方も非常にその整備を希望しておりますし、私どももこれを促進するように努力いたしておるのでございますか、従来補助が多少とも出ておりまして、それか呼び水的になつて促進されておつたのでございますか、新らしい港湾法の法定によりまして、この補助の途が杜絶えたのでございます。かたがた最近の資金の情勢か全体的にこれを見て行く必要がありますのて、国が必要とする港湾だけに運用部資金等の財政資金が導入されますことが非常に薄いのでありまして、これを法律を制定することによりまして、一つの港湾整備に対する特定の枠を作りまして、これによつて整備を促進しようと図つているのでございます。
  82. 前田穰

    委員長前田穰君) それではなお質疑も残つておりますが、本日はこれにて散会いたします、    午後四時三十四分散会