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1953-07-23 第16回国会 参議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十三日(木曜日)    午前十一時十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            木島 虎藏君   衆議院議員            岡本 忠雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  山内 公猷君    運輸省自動車局    長       中村  豊君    運輸省航空局監    理部長     粟澤 一男君    郵政省郵務局長 松井 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸省航空局技    術部長     市川 清美君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○港湾運送事業法の一部を改正する法  律案衆議院送付) ○日本航空株式会社法案内閣提出、  衆議院送付) ○道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  先ず港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題といたします。  発議者衆議院議員岡本忠雄君より提案理由説明を願います。
  3. 岡本忠雄

    衆議院議員岡本忠雄君) 只今議題に供されましたこの法律案提出理由につきまして、提案者を代表いたしまして御説明申上げます。  昭和二十六年六月、本法が制定施行されましてより、港湾運送事業の秩序の確立と改善について、相当の成果を挙げて参りましたが、二カ年の実績に徴しましてなお多くの改善を要する点を認めると共に、昨年七月より施行されました木船運送法との間に調整を要する点を生じて参りましたので、所要改正を行い、港湾運送事業のより健全なる発達を図ろうとするのが本改正案提出理由であります。  なお、この際改正しようとする主なる点を御説明申上げますと、先ず第一に、本法適用範囲の拡張と木船運送法との調整についてであります。現行法では、はしけ運送事業及沿岸荷役事業は、海上運送に直結してその港湾内で行われる場合に限られておりますが、港湾内における一場所から他の場所へのはしけ運送一つ港湾とその隣接港湾間又はその港湾とつながる河川との間のはしけ運送、並びにこれらに伴う沿岸荷役同一港湾運送企業下で行われ各同一施設を使用して行われているのが実際の業態でありますので、これらを本法適用範囲に含めると共に、木船運送法一定の制限の木船による運送を一応網羅しておりますから、本法との間に抵触する点を生じましたのでこれを調整しようとするのであります。  第二に、本法適用港湾等の指定についてであります。本法の目的は、大部分が中小企業である港湾運送事業の健全なる発達を図り能率を挙げることにあるのでありますから、できるだけ多くの港湾に施行することが望ましいのでありますが、現行法におきましては、関税法の開港のうちから政令で指定することになつております。本法を施行する港湾は、関税行政の見地からでなく、運送取扱貨物実量その他港勢によつて港湾を指定するほうが本法適用の客体として実態に即するものと考えられますので、所要改正をしようとするのであります。  第三には、登録基準明確化であります。港湾運送事業登録について、現行法には登録拒否及び取消の規定がありますが、登録基準が明確でない欠陥がありますので、これを明確にしようとするのであります。  第四に、公平なる運賃料金の設定についてであります。運賃料金については、現行法確定運賃料金の方式をとつておるのでありますが、如何に経済事情の変化があつても、港湾運送業者の発意に基かない限り変更ができないようになつておるために、業者利用者との関係が均衡を失しているのであります。経済事情が著しく変化した場合において、従来の確定運賃料金が適正なりや否やについて利害関係人及び運輸大臣に対し、これを検討する機会を与え、その変更をなさしめる途を開こうとするのであります。  第五に、公益命令及びこれに伴う損失補償の問題であります。緊急事態に際して港湾運送公益性を確保すると同時に、海上運送法では航海命令が出し得るにかかわらず、その両端において公益命令が出せないという現行法欠陥を補い、一面この場合公益命令によつてこうむる損失補償をしようとするのであります。  第六に、施設共同利用についてであります。港湾運送事業施設改善能率の向上を図るために施設共同利用について公正な協定が行い得るように私的独占禁止法及び事業者団体法適用除外規定を設けようとするのであります。  以上六点のほか、本法実施上整備を必要とするもの又は疑義を生ずる若干の点について改正をいたすのでありますが、なおこの改正案提出に至りました経緯につきましては、本法実施以来、業者行政庁も種々の不備欠陥経験いたしまして、全国港湾運送業者の協会におきましては二十数回に亘る協議の結果、結論を得て、別途参衆両院に対し請願書を提出しておるのでありまして、私ども提案者はその意向を検討すると同時に、この際、最近日本全国港湾労働組合から出ているところの意見を参酌し、更に政府意見を十分に参酌いたしまして、確定運賃料金変更の勧告、公益命令条項等をも加えてこの改正案を提案いたしました次第であります。  なおこの法案は、前国会におきまして、参議院の鈴木恭一君が代表者となり、岡田先生一松先生そのほか各派が共同提案になつて提出されておつたのでありましたが、解散のために審議未了になりました。提案代表者鈴木君は不幸にして落ちましたし、そのほか二、三の落選した方もございまするので、本法制定当時協力いたしました私が、便宜上提案者となり、衆議院から提出するに至つた次第でございます。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願い申上げます。  以上を以て終ります。
  4. 前田穰

    委員長前田穰君) 本案に対する質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  6. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、日本航空株式会社法案議題といたします。  前回に引続き質問のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 岡田信次

    岡田信次君 この新らしい航空会社計画と、それから飛行場或いはその他航空保安設備等政府でやりますね、その政府計画と、その新会社事業計画とがマツチして進んでいるのですか、どうですか。
  8. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) この新会社は現在やつております国内線では幹線、それから新たに計画にもございますように、国際線を主として運航する会社になつております。従いまして現在の幹線につきましては、すでに保安施設その他完備とは行きませんけれども、殆んどまあ間に合う程度に整備されております。  次に国際線でございますが、これは御承知の通り、すでに世界中十一社に亘る飛行機が毎日のように羽田空港に到着しております。従いまして国際航空機のための羽田設備と申しますものは、大体現在では運航に支障がない程度に整備されております。現在なお滑走路延長或いは新らしくターミナルの延長というような計画もいたしておりまして、これも大体近く着工できる程度に準備を進めております。それらの関係を勘案いたしまして、大体政府のやるべき保安施設或いは飛行場計画等は、この本計画に大体間に合うというふうに考えております。
  9. 岡田信次

    岡田信次君 国際航空に使う飛行場羽田だけですか。
  10. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 現在国際航空に使われております飛行場羽田と岩国の二つの飛行場が使われております。将来私ども考えとしましては、例えば朝鮮へ参る、或いは沖縄、台北方面へ行きますものは福岡の板付飛行場を使いたいという計画も持つております。それはまだ完全に、現在使つております米空軍協定がついておりません。使わしてもらえるかどうかまだ未定でございます。その際には待機通信等関係で若干航空通信施設が要るのじやないかというふうに考えております。これはまた今申上げましたように未決定でございますので、その予算は現在ではまだ確定いたしておりません。
  11. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、只今監理部長答弁で、日航のほうのいろいろな計画がどんどん進んで行つて飛行機がどんどん飛んで行く離着陸場なり或いは保安設備等がこれに遅れるということはないというふうに承知していいのですか。
  12. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 大体支障なくできると御了承頂いていいと存じます。
  13. 森田義衞

    森田義衞君 将来の経営について、現在でも外人操縦士がいるのですが、そういつたものが経費の面からいつて割高である、こういつたような場合、早急に日本人航空士と切替えたいという話がありますが、それについての操縦士養成計画と申しますか、どういつた時期に全面的に切替えるなり、或いは将来の航空路発達伴つてそれらの操縦士早目養成して補填して行けるか。相当大きなこういつたことには政府関係からも補助的な方法をとらなければ、会社自体が先の見込をつけてやるということには、経費の負担も多かろうではないかということを心配するのですが、少くとも日本では先般大臣からお話がありましたように、前に相当航空関係でブランクがありまするが、経験もある、そういつた相当素質のある者をやれば、早期にこういうことができるのではないかといつた感じがするのですが、その点の計画がどうなつておりましようか。
  14. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) お話通り、現在アメリカ人を使つておりまして、非常に高額な給与その他を払つておるわけでございます。できるだけ早く日本人にこれを切替えたいということは、私ども役所は勿論、又航空会社としても非常に希望しておるところでありまして、現在まですでに相当数アメリカへ留学させましてパイロツト養成をいたしております。なお本年度は五千万円という経費をこの訓練養成補助金としまして、予算にも計上いたしております。それから昨年は三千万円を計上してこの訓練補助をいたしております。引続いて勿論この養成が続けられるわけであります。なお航空会社としましても、そのために約二億という訓練費を計上いたして、できるだけ速かに日本人パイロツトに使用する、こういう計画にいたしております。なお実際問題としましては、最初にはやはりキヤプテンと申しますか、機長には当分日本人技倆の点のみでなく、外人にも乗つてもろうという関係もございまして、信用を博するまではすぐに日本人では無理だろうという点も考慮いたしまして、副操縦士と申しますか、コー・パイロツトと申しておりますが、これに差当り訓練をやつた日本人を乗せまして、年乃至二年の期間操縦士としての勤務及び訓練を経まして、これなら大丈夫という見通しのついた後に機長にする、こういう計画に現在いたしております。国内線につきましては爾後半年乃至一年の期間日本人機長もでき得るかと思うのであります。国際線につきましては、私ども安全率を見込みまして、二年ぐらいの後には是非機長日本人にいたしたい、こういう訓練計画にいたしております。
  15. 森田義衞

    森田義衞君 国内線機長を全部日本人にできるときはいつ頃でございますか。少くとも国内線日本人機長で安全な航空ができるといつた信用を博することが、これが国外へ伸びて行く、日本人でいいといつた一つの裏付けになるのではないか、そういつたことを積極的に早くやることが大事じやないかと、こう考えます。
  16. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 仰せの通りだと思います。私どもも成るべく早くというように考えているのでございます。なお安全率相当考えまして、国内線での機長日本人責任を持たして乗せるというのは、大体今後なお一年を要するのではないかというふうに考えております。
  17. 大和与一

    大和与一君 昨日の部長さんの回答で、事務当局が立案した当時でも、国際場裡競争して必ず自信があるということは言えない、こういうふうなあなたのお話があつたのです。それで私はこれからこれを進めて行つた場合に、なかなか思うように行かないかも知れん、行かないときには政府として十分にその業績その他をよく検討して、例えばコーポレーシヨンにすることか、或いは国有にするとか、諸外国の例もよくわかつているのだから、そういうようなことを考えるということを考えておるかどうか、お尋ねしたい。
  18. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 私どもとしましては、とにかく政府もできるだけの協力をしまして、この会社一つ国際場裡に乗り出してやつて行つてもらいたい、又現在の計画或いは過去の日本航空に対する経験その他に鑑みまして、必ずしもこれはできないことじやない、こういうふうに考え計画しておるわけでございます。将来果してこれが実績を挙げられないために、まあコーポレーシヨン或いは公社等の形態も考えなければならんかどうかという点につきましては、少しやはり実行いたしてみませんと、私どものほうも何とも申上げかねるのでございます。只今のところでは何とかとにかくやつて行けるのじやないかというふうに考えておる程度でございます。
  19. 大和与一

    大和与一君 いや、そういうふうなお気持のあることはわかるのですが、昨日からのいろいろな質疑に対する御回答を拝聴すると、まああなたの言つておるのは甚だ自信のないことが多かつたのですが、ですからそれはそういうふうにやつて行つて、結局その会社のほうでは、それは国から一銭でも余計金を取つて、そうして生きておればいいのだから、極端に言えば、そういう人も中におるかも知れん。そういうふうなことをやつて、泥沼に金をぶち込むようなことになつたのでは政府としても面目ないし、又国際場裡に実際に営業が成立つてつて行くということにもならないのだから、そういうものは十分あなたがたのほうで、今からでもそう考えるという決意を持つていないと、非常に昨日からも再三お話があるように、一番立遅れた航空事業であつて、而もそれに対する補助は船に比べるとうんと低い、こういうふうなお話もほかのかたからもあつたようなわけでありますから、よほどお考えになつて頂かんと、ちよつとこれで一つの事故でも起つたらぺしやんこになる、或いは又そういうことが起つて会社のほうでも潰したくないから、やはりしがみついておるという恰好が当然現われて来ます。そういうような心配を今でも私たちは若干持つのですけれども、それはまあ一応気持よく出発をしてもらつて、最善の努力をしてもらうのだけれども、やはりそういう危惧が十分にあるように思いますから、そういうときに再検討するのだということをはつきりと確言をして頂きたいのですがね。
  20. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) おつしうやることはよくわかりましたので、私どものほうも勿論新らしい会社に対しましてはできるだけ監督も十分いたします。なお御質疑点等につきましては、御趣意をよく考えまして十分検討いたしたいと思います。
  21. 一松政二

    一松政二君 今月から国際航空路郵便料金値下げがあつたのですが、あれはどういう理由に基くか、お伺いをしたい。
  22. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) その点は郵政省でいたしておりますので、私ども直接よく准じておらないのでありますが、大体国際会議で成るべくできるだけ下げようというふうな話合いの結果下つたように仄聞しておりますけれども、甚だ申訳ございませんが、主管でございませんので、その程度しか存じておりません。
  23. 一松政二

    一松政二君 これは意外なことを承わる。私は政府の機関のセクシヨナリズムに最も私は遺憾の考えを持つておるのですが、何か法律か規則によつて自分所管がきまつていない事項については、こういう重大なことを私は航空局責任者が今のような答弁をなさるということは以てのほかだと思う。主管郵政省であつても、いわんや日本航空株式会社法というものを出して、そうして政府が十億出資する、これの保護の援助もやらなければならん。それが一定旅客の賃金及び郵便物収支計算を立てて今日国会審議にかかつておるのです。そのさなかに郵便料金値下げになつておる、その理由航空局として、自分主管でないから詳しいことは存じませんという答弁は私は了承できない。私はこれを運輸大臣から答弁を頂きたいと思う。若し事務当局、極く簡単なことであるから、これは私は将来旅客の問題で起つて来ることを予想するから言つておる。必ず国際航空日本が出発して、そうして成る実力を発揮すればするほどこの問題は私は出て来ると思うのです。そうして世界的に国際航空路が充実し発展すればするほど、こういつた問題は陸との競争、海との競争という問題が起つて来る、従つて今のような甘い料簡で私は国際航空ほ行かないということを深く信ずるものであります。従つて郵便料金値下げがどういう理由によつておるかということは、若し航空局説明ができなければ、委員長にお願いするが、郵政当局から、一この法案審議しておる間に郵政当局を呼んでお伺いするよりほかはないと思うのであります。
  24. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 甚だ不勉強でお叱りを受けまして申訳ございません。簡単な問題でございまするので、只今すぐ郵政省に問い合せまして御回答を申上げたいと思いますから、少しお待ちを願いたいと思います。
  25. 一松政二

    一松政二君 重ねては、重ねては私は抗議を申したくはございません。ございませんけれども、頗る簡単なことです。簡単なことだけれども、これは収支計算に強く響いて来る。将来の予想もそれによつて考えなければならん。でありますから、郵便料金、而も国際航空によつてそうしてここで国際航空に我々が登場しようとしておる、そうすると、その郵便料金なり貨物料金は、これは大きなアイテムをなすのです。その料金が目の前で値が切下げられておるのですから、これはもう私は航空局としては重大関心事でなければならんと思うのです。我々であつたならば、たとえ法律的に自分の管掌であろうとなかろうと、自分の管掌している事項営業収支に直接響いて来ることですから、法律とは私は関係がない、法律がそういうことを所管に命じていなくても、監督の衝にある者は当然知つて置くべきであると思うのです。でありますから、これ以上深く追及することはむしろ気の毒でありますけれども、私は頗る遺憾であるということだけは深く銘記しておいて頂きたい。
  26. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 この法律通つたとして、この会社設立はいつ頃を予定しておられるのですか。
  27. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 只今予定では十月の初めに会社として設立いたしまして、十一月初めには一番機を飛ばすと申しますが、要するに国際線の業務を開始いたしたい、こういう予定をいたしております。
  28. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 この設立委員は、運輸大臣が命令されることになつておりますが、この設立委員は、どういう標準で選ばれるつもりですか。何名ぐらいな設立委員
  29. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 大体航空関係或いは国際的な輸送関係について知識経験のあるお方というふうな考え方をいたしております。人数としましては、十人内外という程度に今考えております。
  30. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 定款のモデルのようなものはもう作つておられますか。
  31. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) まだはつきりした形になつたものはございませんが、或る程度考慮いたしております。
  32. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 その中できめられるのですが、基本金額はここに書いてあるように二十億程度予定しておられるのか、それとも設立当初においては十六億になりますか。二十八年度でやられるのですか。
  33. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 大体二十億を予定しております。現在日本航空株式会社としましてもすでに十億に増資いたしておりまして、現在四億を六億増資をいたしておりますので、大体特に増資をしませんでも、二十億の会社にはなり得るという形になる予定でございます。
  34. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 そういたしますと、新たに株主を募集される必要がなくなるということになるわけですか。
  35. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 若干はあり得るかとも思いますが、その点は評価委員が現在の日航資産その他をどの程度評価するという点にもかかつて参りますので、只今のところはまだ必ず募集ということも申上げられないかと思います。
  36. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 これだけの事業をやるとして、二十億の資本でいいのかどうか。各外国国際航路会社資本金は、私実はまだ不勉強で調べておりませんが、どんなことになつておりますか、パン・アメリカンとか代表的な会社だけで結構ですが。
  37. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 先般提案理由の御説明のときにお配りしました資料のあとのほうに出ておるかと思いましたが、大体大きな所を申上げますと、英国のBOACこれは一〇〇%政府出資でございますが、三千五百万ポンドということになつております。それからフランスのエール・フランスが百億フラン、それからスカンヂナビアのSAS、これも日本に参つておりますが、大体一億五千七百万クローネ、大体こういうふうな状況でございます。
  38. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 それに比較してこの二十億、而も政府が半分というのは、昨日からも質疑が出ておつたように、どうも少し十分でないように思うのですが、この点についての御見解はどうですか。
  39. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) この点は昨日大臣も申上げましたようにお聞きしておりますが、政府としましても、できれば二十億程度出資いたしたいという初めに希望がありまして、大分折衝いたしたのでございますが、財政関係その他で当初はとにかく十億ということに相成つたわけであります。私どもとしましては、できれば来年度予算にも更に十億程度追加して頂きまして、増資ということも考えたいというふうに考えております。
  40. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 この評価審査会ですが、この評価審査会をどういうふうにして、これも運輸大臣が命令されることになるわけでございますか。
  41. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) さようでございます。大体航空機とか或いは固定資産その他の流動資産等評価でございますので、不動産関係に当る人或いはそういう評価関係に当るような人を法律によりまして、七人ぐらいをお願い申上げたいというふうに考えております。
  42. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 これは多少意見になりますが、現在日本航空ができた当時、アメリカパイロツトを使わなければならんとか、相当無理があつたと思うのですが、やはりそれが反映して年々赤字を出しておる。今回は政府が腰を入れるということになるわけでありますけれども、私から見ると、如何にも無理をして赤字を出して来た会社を助けて、そうして更に今度はその弱いものを入れて国際航空檜舞台に出ようというような形に見えるので、その点私としては非常にこの航空会社として弱点があるように見受けられるわけですが、それらの点に関しましてどういうふうに考えておられるか。
  43. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 日航の創業以来日も浅うございます。又現在の構成等につきましても、いろいろ各方面資本参加を得て参つておりますので、必ずしも業態十分とは言えないと存じますが、国内幹線で現在やつております事業業態としましては、最近は非常に成績を挙げておりまして、国際的に見ましても大体要するに相当と申せる程度業績になつております。例えば旅客利用率にしましても六五%という程度利用率を挙げておりますので、会社業績としましては、現在は相当つておるのじやないかと存ずるわけであります。創業日が浅いために、結局創業初期の欠損というものが相当出ております。この点は先ほど申上げましたように、評価審査会のほうでよく評価をしてもらいまして、マイナス資産をこの会社に新らしく持込むというようなことはないように考えて行きたい、こういうふうに存ずるわけであります。
  44. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 まあ前に海運においてはさような時代があつたと思うのですが、つまり内航で以て外国競争をカバーするというか、つまり内航で或る程度儲けてそれでそれの基礎を以て外航に対抗して行くというようなことがあつた時代もあると思うのですが、この航空会社は、私の考えも入るのであれですが、内航でも余りはかばかしくない、そうするとその無理を外航に押し付けたのじやなお国際競争に堪えない。大体国際航空としては、昔から船で行われた大西洋のブルー・リボンというようなことで、つまり看板でここで余りえらい儲けをしようということが無理だと思うのですが、そうすると、今度はその会社の利益を上げて行くためには、国内にもつといい基盤がなければならん、かようなことに相成ろうと思うのですが、国内航空として更にこれを、最近大分多くなつて来たということを言われておりますが、更にこれを拡張する、例えば札幌までは行つておるが、更にこれをローカルとして釧路にローカルを作るとか、或いは九州であるならば博多から鹿児島までのローカルを作るとか、そういうような国内の計画はお持ちであるのか、お持ちでないのか、そういうような点をお伺いいたします。
  45. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 只今計画では、要するに現在使つておりますDC4クラスを十分使いこなせる国内の幹線をこの会社としてはやらせる、従いましてなおそれ以上の地方へ出ますローカル線につきましては、別な会社考えて行きたい、こういうふうに考えております。と申しますのは、そういう地方のローカル線になりますと、飛行場の整備その他も非常に遅れております。又旅客の数から行きましても、現在の六十何人乗といつたよう飛行機では十分にこれを効率を上げて使用することができないのじやないかというような考慮に基きまして、大体現在の幹線程度をこの会社はやつて行くというふうに考えておるわけでございます。
  46. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 そうしますと、その国内の航空で以てこの国際航空を或る程度カバーできるという見通しを持つておられるわけですか。現在の国内幹線航空で以てですね。
  47. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) お話のように、国内幹線で儲けて、それを力付けとして国際線へ出て行くというふうな考慮は特に本会社としては考えておらないわけであります。大体国内もとんとんに行けるようになれば、むしろ、値下げでもして乗客の便宜を図るというほうへ進むべきじやないかというぐらいに考えておる次第でございます。
  48. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 大体航空運賃は、鉄道に比較すると、一等の運賃、寝台料金或いは急行料金を入れた運賃と匹敵するのが大体例だと思うのですが、我が国においては鉄道の運賃が外国の水準から見てかなり低い、それに対して国内航空として今言われたようになお下げて行くというような状態で行かれると、ますます会社の経営の基礎が心もとないような感じがいたすので、国内航空として私はやはり或る場合には体面を張り、或る場合には優秀機を使つて向うを張らなければ、或いは損失でも出るくらいの覚悟でなければいかんと思うのですが、その点については、私はどうも何というか、非常に確信があるように思えないのですが、その点については如何お考えですか。
  49. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) お話通り日本の鉄道料金は安いのでありまして、只今航空料金は、大体汽車の一等に寝台料金を加算した程度というような問題は、むしろ現在やつております日航のサービスは、外国で申しますと、小口サービスと言つていいぐらいのサービスでないかと思うのであります。従いまして鉄道料金と比較しますと、外国の例ではむしろ二等の料金に寝台料金、急行料金を加えた料金程度で飛行様に乗れるはずであります。鉄道料金が非常に安いので、現在では一等を上廻るという形になつております。そういう点は日本航空事業としましても将来非常に痛いところでございます。従いまして先ほど申上げました例えばという話でございまして、国内で十分黒が出るようになつたらばということなのでございますので、すぐに値下げまで至るというふうな状態には簡単には参らんと存じます。従いまして国際線につきましても、特に国内で大いに儲けてこれを支えにして国際に出るというふうなうしろ付けがないために弱いのではないかというお話誠に御尤もでございまして、これにはやはり政府としましても相当な援助をし、或いは会社も十分の努力をしてもらわなければならぬということは、私ども考える次第でございます。
  50. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 飛行場施設の整備が遅れておるように聞いておるのですが、これらについて政府として更に整備を早くするという案がありますか、どうですか。
  51. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 先ほども申上げましたように、この国際航空として一番関係のございますのは羽田でございますが、羽田につきましても、現在七千フィート強の滑走路を八千フィート余に延ばす計画で現在準備を進めております。それからこれらの飛行機が実際飛び立つときに使います待機航空通信の施設、或いは外国の地から、例えばハワイとか或いはサンフランシスコ等の基地との連絡通信というふうな施設も、アメリカが持つて参りまして羽田で作つておりましたものを政府として買取りまして、現在航空局の手でこれを運営いたしております。そのほかターミナルも、先ほど申上げましたように、準備をいたしております。なおお話がローカルの飛行場でごさしますれば、それも本会社とは関係ございませんけれども日本航空発展のために、できるだけローカル飛行場も整備いたしたいという考え予算も要求し、我々も計画はいたしております。
  52. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 今言われたローカルの飛行整備について、本年度の予算面はどういうようになつておりますか。
  53. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 本年度は飛行場設備といたしましては、仙台の飛行場の整備という点が認められまして、それを計上いたしてございます。
  54. 森田義衞

    森田義衞君 国内幹線をこの日本航空がやりまして、ローカル線は他の会社をしてやらしめるといつたことのようで、昨日からお話があつたのでありますが、果してこのローカル・ラインをどういつた政策で以て、どういつた程度会社を作つてやれば、一体そういつた国内ローカル線の拡先ができるのか、そういつた見通し、或いはそういつた会社に対して、今後の新らしくできる会社に対して、どういつた方針をとつて行くのか、お伺いしたい。
  55. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ローカル線につきましては、先般航空審議会という審議会が航空法に基いてできておりまして、各方面の有識者にお集まり頂きまして御審議を願つたのであります。大体日本としてはローカル会社は国内に二つ程度でいいだろう。できれば地域的にまあ分野を分けまして大体二つぐらいに作つたらいいというふうな御答申を頂いております。私どももこの御答申に従つて現在計画しておるわけでございます。大体飛行機としましては、十人乗り前後の中型と申しますか、むしろ小型に近い程度飛行機を使用いたしまして、これによつて地方の主要都市を結ぶローカル線を計画しております。現在会社としまして希望して申請しておりますのが四社ございまして、その中から一番実力のあり、事業計画もこれならばやつて行けるという程度のものが運輸審議会等にもかけられまして、二社程度免許になるのではないかというふうに考えております。
  56. 森田義衞

    森田義衞君 私はすでに運輸審議会の答申を読んだのでございますけれども、この二社程度が例えば二十八年度で希望ラインと言つておるので、例えば福岡ライン、福岡から大分或いは岩国ラインとか高松へ行く線とか、或いは鹿児島へ行く線とか、或いは新潟に行く線とかといつた二十八年度で実施したいという希望の計画があるようですけれども、こういつたものが国内幹線以外にローカル線として大体やれる見込があるのか。そうしてその会社が大してここに、日本航空会社ならば助成法がありますが、何にも補助なくして或いはその他の便宜の提供なくしてやつて行けるかどうか、その点をお伺いしたい。
  57. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 現在、先ほど申上げましたように、四社ほど希望の会社も出ておりますが、航空機もまだ十分入手しておりません。割合に実力のあるほうでも今申上げた飛行機をやつと一機か二機手に入れた程度でございまして、一番問題になりますのは、やはり運航に対するパイロツト訓練でございます。パイロツト訓練計画を見ましても、なかなか簡単には、これならばお客を乗せて定期をやつてもよろしいという程度までは至らないのでありまして、現在まで訓練を行い、或いは計画を実行中という状況でございます。従いまして当初の計画では、二十八年度にも相当そのローカルの定期もやりたいという希望はございましたのですが、なかなかそこまでは至らないので、時期としては或る程度遅れるのではないかというように考えております。  なお最後のお尋ねの、地方にも相当補助或いは育成をしなければローカル線もなかなかむずかしいのではないかという点は、私どももそういう点は十分考えなければならんと思つておるのであります。現在としましては、差当りとにかく飛行場或いは保安施設といつたようなものをできるだけ国が整備して、間接にこれをまあ育成して行く、或いは先ほども申上げました乗員養成補助金といつたようなものを考える、或いは今度速達便を航空機に全部乗せることになりましたので、そういうものもできるだけローカル会社にも積んでもらつてつて行くといつたような、むしろ間接的な補助を現在はまだ考えておるわけでございまして、会社としましても、初めから補助金予定して計画は作つて来ておらないのであります。併し実際問題としてやつて参ります場合には、日航の例を見てもわかりますように、創業当初はやはり相当苦しい状態が続くのではないかと存ずるのでありまして、そういう場合にはなお業績を見まして、必要があればできるだけ補助金といつたようなものも考えたいという気持は持つております。
  58. 森田義衞

    森田義衞君 余り経営の内容が悪いと、むしろ航空機の機体の補助なり或いは乗務員の訓練なり、安全性の確保の面についても疑問が起きて来やしないかといつた点も考えられますし、それと今乗務員訓練については補助金を出す、先ほども日航のほうでは去年が三千万円ですか、それから今年が五千万円といつたお話がありましたが、補助費はないといつた話だつたが、どういつた費目で補助費が組まれておるのか、その点も伺いたい。
  59. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 補助金がないと申上げましたのは、要するに赤字補助といつたよう補助金がないというのでございまして、乗員訓練費は乗員の訓練費に本年度五千万円予算に計上されております。これは別に日航に限つたわけではございませんので、ローカル会社にも使用ができるような建前になつております。
  60. 大和与一

    大和与一君 航行の安全の確保ですね、これはいろいろと今までお話を聞くと、やはり心配になるのですがね。この安全の確保ということを逆に言うと、サービスよりも操縦士の実力とか、それよりも機体整備の完璧とか、こういうことが言われると思うのですが、あなたのほうでは、航空の安全を確保するために、どれが弱点であり、それに対して具体的に今後どういうふうに指導監督を厳重にやつて行く、こういうふうなお考えを持つておられるか、お聞きしたい。
  61. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) そういう点につきまして、只今術部長が来ておりますので、技術的な関係になりますので、お許しを得ますれば、技術部長説明さしたいと思いますが、よろしうございますか。
  62. 市川清美

    説明員(市川清美君) 只今お話のありました安全性の問題については、航空法によりまして規定されましたいろいろな検査、機体におきまする検査、その他につきましては、大体世界的な標準によりまして現在検査をいたしております。大体そのほうには余り隘路はないものと考えております。問題は乗員なんでございます。乗員で今特にネツクになつておりますものは、最近出て参りました航空交通管制の問題、空の交通制度と申しまさか、そういうものが新らしく世界航空の分野に現われて参りました。これに対する訓練というものが現在問題になつております。これが先ほど監理部長から説明がありました外人操縦士を外に出して、日本人に急に切替えられないという大きな隘路の一つなんであります。なお且つこの問題は、地上の管制官の場合、これは航空局職員で行なつております。この場合にも当てはまる問題でございます。この地上管制官の訓練パイロツトの管制上の訓練、こういうものに相当時間を費しております。そういう現状でございます。
  63. 大和与一

    大和与一君 そうすると、航空法規の定めるところによつてやられておる機体の整備と申しますか、詳しいことはわからんけれども、そういうようなことは、今までも一回も間違いなかつたということですか。例えば木星号なんかの問題もあるけれども、そういうことはなかつた、むしろそれはその他の理由によるものだ、如何なる場合においても、そういう機体整備その他のことは完全にやられておるということになりますか。
  64. 市川清美

    説明員(市川清美君) それはまあ規定通り飛行機には時間によつてこれを点検いたしております。一番短かい時間は二十五時間から始まりまして、五十時間、七十時間というような時間によりまし填点検をして参ります。大体今の飛行機で言いますと、千二百時間ぐらい使いますと、メージヤー・オーバーホールと申しまして、全部分解しまして中身を調べるわけであります。併し只今御指摘ありましたように、それがいつも百点取つておるかと言われると、それは神様ではない限りにおいては、ステークもあると思います。或いはもう一つ、私のほうとして非常に困つておる問題は、現在輸入機でありますがために、製造過程のところまで立入つて検査できない部分が少しございます。その部分について疑問が起きるたびに製造元に照会しておるという現状でございます。
  65. 大和与一

    大和与一君 技術的には一応のお話はわかるのですが、ただこの会社の発足に当つて、昨日からもいろいろ質疑を聞くと相当無理がありますから、その無理のしわ寄せが航行の安全ということに影響を及ぼすことがあつたら私は困ると思うのです。そういう点をまああなたのほうで絶対に航行の安全を確信を持つてやれる、こういうことにならなければ心配でこの法案を通すことができないのですから、それは如何なる場合でもそれが一番絶対条件になるのだから、その点について一つはつきりした御返事、回答を頂きたいのです。
  66. 市川清美

    説明員(市川清美君) 只今日本航空国際線に伸びようとしておるDC6型につきまして、我がほうの技術家も先方に出して、向うの製造中の状態から検査をし、或いは一部の者は実習をしておる、そのための訓練期間を或る程度置いております。又日本に帰りまして持つて来ましても、そのために直ちにそれを実用に供するというわけでなくて、当分の間試験飛行、テストをいたして、実際に営業開始するときにはもう絶対に安心だという段階まで持つて行きたい、こういう覚悟でいろいろな準備を進めております。
  67. 大和与一

    大和与一君 まあむしろ部長さんのほうからいいと思うのですが、経営全体からいつてのしわ寄せが航行の安全を脅かす、こういうことが今後絶対にないように、よほど注意してもらわなければいかん。そのためには、今技術部長さんですか、おつしやつたことが絶対の安全の限界だとすれば、それを守るためにほかのほうが少し緩んで来る、こういうことがあつてもそれだけは守つて行く、こういうふうなことになつてもらうと困るですね。それは私たちは抽象的に考えておるからよく明確には分析できないけれども、まあこういうふうな、あなたが心配しておるような、このひよこの育ち方では、よほど保育をうまくやつたり、監督を厳重にせんと、できちやつたらあとは会社のほうは自分でいいようにやつて行くのだから、会社自分で少しでも儲からなければいかんし、損しないようにやつて行く。そごに今度はまあ営業政策のほうが重点になつたりいろいろな葛藤があるわけですよ。そういう点は一つ十分注意してもらわなければならんと思う。航行の安全だけは絶対確信を持つて政府が全責任を持つ、こういうような手を打つてもらわないと困ると思うのです。それはよろしうございますか。
  68. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) お言葉の通り、とかくそういうことはありがち、だと私ども考えます。実際又そんなことがあつては非常に困ることでございますので、私ども考え方としましては、航空局の職分と申しますか、努力しますことは、とにかく航空というものが安全に行くのだということが第一の職分と考えております。会社監督その他につきましても勿論そういう気持で今後当りたいと思つております。たとえ経営状況その他が如何になれ、航空機の運航の安全を阻害するといつたような場合には、もう事業をストツプさせるというぐらいのつもりで考えております。できるだけそういう方針で今後も行きたいと思つております。  それから委員長にお許しを願いまして、先ほどの一松先生郵便料金の問題でございますが、今聞かせましたところ、昨年の七月にベルギーで万国郵便会議で決定になりましたそうでございますが、下げました理由は、従来の郵便料金は、旅客貨物の運賃に比べて高過ぎるという理由でございまして、多数国の意見が通つてこれが決定になりまして、本年五月から実施されておるというふうに聞いて参つております。甚だ不勉強で申訳ございません。重ねてお詫び申上げます。
  69. 一松政二

    一松政二君 そうすると、郵便と言えば、いわゆる書状とそれから小包と両方だろうと思うのですが、その割合を大体この収支計算書で見るというと、郵便収入が一二%であり、他の手荷物及び貨物収入が両方挙げて一〇%で、郵便のほうが多いわけです。それが今のお話ですと、手荷物又は貨物よりも割高であつたから、それを訂正したという意味で私もいささか安心したのですが、それは今度は貨物の運賃が、これは相当将来とも殖えて行く傾向にあるだろうと思うのですが、それを実は聞きたかつたのだ。それに対してはどういうことになつておるか。今聞けば貨物との比較において郵便料金のほうが割高であつたからその割高の部分を訂正した、併し割高にしておつたのは、割高にしておつた理由があるだろうと思うのです。従つて郵便料金値下げがあつたということは、一つの私がかねぐ予想するような前兆であるのです。そういうお話でありますが、只今のところでは手荷物及び貨物料金については、従前通りということがはつきりしておるのですか。
  70. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 只今のところではそういう話がまだ出ておらないようでございます。
  71. 一松政二

    一松政二君 これは私監理部長の話を聞いたつてちよつと安心が行かないのだ。委員長にお願いしますが、これは郵政当局に聞いてみたいのです。そういう点をはつきりさせないと、ただ割高であつたと言つたつて、これは一つの抽象的な話です。結局如何に何があろうと、国際協定があろうと、何があろうといろいろ競争が行われるのですから、どこかの国が値下げを申出ればどうしても応じなければならん。応じなければ、そこで海運においては激烈な競争が半年か一年続いて、そうしてそのあげくに両方疲れるか、或いは仲裁が入るかして、又一応協定が成立するというのが海運界におけるこれは常例であります。従つて国際協定があるからといつて安心になるものでは絶対にない。現にそれは郵便料金が収入予定の一二%を占めるものがここに例を示しておるのです。これは必ず人間の問題及び貨物の問題に私は来ると思う。でありますから、もつとはつきりしたことをこの際私は知つておく必要がある。私は重ねてこれは運輸大臣一つお願いしたい。こういう日本航空法案を出しておる航空局が、現にその収入の一三%を占める郵便料金値下げのあつた理由を、いわゆる他の主管省であるから郵政局当局に聞かなければわからんというようなことでは、如何に法律上或いは監督があろうとなかろうと、私はそういうことは理由にならんと思う。私は大臣に一応そういうことで、日本の運輸省の航空局がそういう体たらたらであつていいかどうか。これは運輸大臣一つ私は聞きたいと思いますから、この法案のお取扱中に是非一度そういう機会を作つて頂きたい。
  72. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  73. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  それでは午前中はこの程度にとめまして、午後この法案審議を続行したいと思いますが、その前にあらかじめ私からちよつと政府委員のかたにお願いしておきたいのですが、先刻来いろいろ政府の行う施設その他の事柄について質問がありまして、それぞれお答えになつておりますが、どうもいずれも断片的でありますので、それだけで完全に政府のすることが果されるのかどうか。最小限度にこの日本航空株式会社設立して、国際航路並びに国内幹線営業をやるために必要な施設その他の事柄は、全部実際の運航開始までにはできるかどうかということを取りまとめて御答弁を願うことが必要じやないかと思うのであります。一つ午後それを取りまとめて御説明願うことの御準備を願いたいと思います。
  74. 一松政二

    一松政二君 今二、三日うちに局長が帰つて来るのじやないですか。
  75. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) まだ電報が来ておりませんので、はつきり……。
  76. 一松政二

    一松政二君 でありますから、やはりこれは局長が一応全責任を持つておられて、最高責任者運輸大臣でありますけれども、その局長がいない所で私はこの論議をしておるからどうも的外れの、或いはあやふやな、事務当局としても又答えにくい、責任を持つたようなことは言えない立場にあるし、私は満足の行かないような結果に終るのじやないかと思うのですが、私はこの法案の最後のけじめは、航空局長の出席の上で私は審議をやつて頂きたいと思うのです。
  77. 前田穰

    委員長前田穰君) 非常に御尤もな御意見ですが、若し非常に速かに航空局長が帰つて来るということが確実であれば大変結構な御意見だと思いますか。
  78. 一松政二

    一松政二君 明日帰るというのです。
  79. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  80. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは速記を始めて。  それではこれで暫らく休憩いたします。    午後零時二十分休憩    —————・—————    午後二時十一分開会
  81. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を再会いたします。  日本航空株式会社法案議題といたします。  午前に引続き御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  82. 一松政二

    一松政二君 秋は午前の質疑に対しまして、事務当局のかたからの御答弁が頗る我が意を得ないので、多少過激に渡るかも知れない程度の語調を以てあえて苦言を呈したわけであります。それはほかではございません。いやしくも自分所管関係のある事柄は、法律があろうとなかううと、所管であろうと所管でなかろうと、そういうものに対しては私は細心の注意と綿密なるいわゆる情勢の変化に対してそれをキヤツチするだけの心がけを以て官吏諸公に、官吏という言葉は改めますが、いわゆる公務員諸公に常々事務を担当して頂きたいと思う。国民は血税を払つてそうして四苦八苦をして今日渡世をいたしておるのが世の実情であります。今、日本航空株式会社法審議するに当りまして、五月から実施されておるところの航空郵便物料金値下げがあつたわけであります。私は昨日も大臣に御質問申上げたときに、私が将来国際競争は激烈になるであろう、如何に協定があろうとも協定の運賃は一応は協定の線に従つてやるが、情勢が変化すれば協定の中で又新らしい値下げの申出があつたりして、若しそれが協定に応じられなければ一応協定を破棄してやる、これは海運の場合にありがちなことでありますから、航空界においてこのことが起らないと何人も保証することはできないと思う。それが日本航空の発足以前においてすでに郵便物値下げがあつたわけであります。私はその原因を聞いたところが、所管外であるからつまびらかにしないという御答弁があつたわけです。そこで私は非常に不満に思つたわけです。いやしくも損益勘定を議会に提出して、そうして日本航空株式会社法審議しておる、郵便物はその収入の一三%という数字を出しております。私は今日はこれは郵便物だけでございますけれども、いつこれが貨物に及び、人間の航空輸送費に、遂に旅客のほうの競争ができないと限らない、私はむしろそうなることを希望しておるのです。又そうすることによつてのみ航空発達し、又多くの人がそういう利便にあずかり得る、鉄道と航空とそれから海運と、陸上においてはバス、これらがおのおの競争をするところに又発展もあり、発展のあるところに、或る場合においては深刻な競争の部面も出て来る、それによつて切磋琢磨されて初めて私は進歩があると思う。でありますから、私は所管外であるから知らなかつた、或いはつまびらかにしないという答弁に対しては、非常に今でも不満であります。甚だ運輸大臣にお気の毒と思いますけれども大臣所管されておる航空局でそういう態度であつてはならんと確信するが故にあえて大臣を煩わしまして、一応そういうことのないように十分御注意になつて一つ部下を督励して頂きたいと思うので、大臣には甚だ御迷惑でありますけれども、他山の石としてこれをお聞き願えれば大変仕合せであると思つて、あえて大臣にお願いしたわけでございます。
  83. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 誠に御鄭重な御意見でありまして、有難うございました。航空郵便物航空の人の輸送料、それから貨物の輸送の料金というものが将来だんだん航空が盛んになるにつれて下るべき傾向を持ち、又競争によつて下り、そこの間に又みんなの仕事の優秀性を発揮して航空が盛んになるというようなことが当然循環的に起つて来る問題で、そうならなければ航空というものの値打もないと思います。昨日お話もありましたように、私ども郵便物もだんだん下るであろうし、人の運賃も下るであろう、貨物も下るであろう、そういう場合にどうして対処して行くか、それを切り抜けて行ける日本航空でなければこの航空発達……その存在の意義を失うということは、昨日も御同感の意を表したわけであります。そういうつもりで私ども、今後航空会社をしてその心持を失わずに、忘れないでそういうことがいつ起つて来てもそれに応ずる心がまえで態勢を整えなくちやならないのでありますが、同時に監督の任にありまする私どもといたしましても、そういう航空問題を取上げまして、航空に関連するいろいろな直接関係のない問題でも絶えず注意を怠らずして、航空発達のためにはどうなるかということを注意すべきは当然であります。今後ともそういう心持を以て勉強させたいし、私どももそのつもりで勉強したいと思つております。それからこの機会に先ほど委員長から御注意もありましたそうでありますか、昨日一松君のお尋ねの中にも出ました政府の出撃もう少しどんどんして行くことが一番の途で、その心持には同感の意を表しました。同時に私どもが十億円にしかならなかつた内輪話等を申上げたのでありましたが、それにつきまして、委員長からそれで仕事を始めてうまく運営できるかという御心配を頂きたいそうであります。私どもは出資が多ければ多いだけまあこれは初めの時分においてはこれに対する配当ということを暫らく遠慮してもらえば、借入金による利子を払うというような問題等による苦しみ等を受けないで済むのでありますから、できるだけ出資が多くなることが望ましいのでございますが、止むを得ず十億円で政府の出資をとどめ、民間の十億と合せて二十億で、これでは飛行機を買うのにも足りないのでございます。これに対応する策といたしましては、本年度は少くとも新らしい国際航空路には三倍の飛行機を使わなくちやなりません。これらに対しましての資金の手当等にまだはつきりしないものもありまするが、手持外貨を何か使わしてもらつて、金利も割合安くして使わしてもらうような線に相談を向けつつあるのでございます。まあ来年或る時期までは今のままで仕事を出発いたしましても、途中で動けなくなる、暫らく休業だというような状態でなくやつて行き得ると思います。その間に資金とか、そのほかの手当をいたしまして、この会社がじりじりとあとずさりせずに、前へ前へと進むように努力して参りたいと思つております。スタートにつきましては、そういうわけでございますから、御注意は含んで努力させますが、先ず心配なくやれるだろうと考えております。
  84. 前田穰

    委員長前田穰君) 私が午前中にお伺いいたしました趣旨に若干食い違いがあるように思いまするので、念のためにお伺いしたいと思うのでありますが、先般来いろいろ委員会でも質疑を繰返しておられ、それから又委員会外においていろいろ仄聞するところによりますというと、国家として、航空会社でなくて、国家としてすべき地上設備、それからその他の乗員でありますとか、いろいろな設備が理想のところまで実施されていないようなふうにも聞えまするし、又非常に何と申しますか、不完全といつては語弊があるかも知れませんが、思うように進行し得ないのではないかという疑を私をして抱かしめたものでございますから、それで断片的には各委員からいろいろ国家の行うべき施設について御質問がありまして、それに対する答弁がそれぞれあつたのでありますが、それでもう国家の行うべき施設その他に関して全部質問が尽されておるかどうかということについて懸念を持つたものですから、航空会社資本とか或いは外部資本とか、そういつたものと離れて、国家として施行すべき施設その他に関して遺漏はないのか。日本国際航空を開拓するに必要な最小限度の施設その他のことは、実際それまでに完成するのかどうか、そういうことを包括的に伺いたい、こういうことを申上げた趣旨だつたのです。
  85. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) わかりました。この国際航空関係で国家として設備しなければならん問題といいますと、地上施設或いは勤務員等でありまして、先ず羽田設備と、それから台湾等の航路を開くと考えられる場合には、板付の飛行場設備等であります。これは私どもの今承知しておる限りでは、地上設備及び空中の設備、それからこれに必要な人員の配置等は、いつ始めてもいいような状態になつていると了承しております。ただここでか、衆議院でありましたか、ちよつと忘れましたが、羽田飛行場というものをまだアメリカの軍が大分使つておる。そして民間航空もだんだんいろいろな国からも入つて来ておるし、日本のも、国内航空もあれば、国際航空もこれから始まるというような情勢で、あそこが手狭でそれで本当にうまく行けるかというような質問を受けたことがありましたが、その意味からいたしますと、羽田飛行場というものは私はこれで十分だという情勢とは思わないのでございます。よくあそこでも、飛行機の出発などで、定期航空で定時にちやんと飛んでおるのが一番大事なものであります。今の日航の数回の飛行でも、出発が、空中の管制のために一時間近くも待たされるというような状態等を見ましても、必ずしもあそこは十分なものとは思えないのでありますが、取りあえずの問題といたしましては、先ずあそこで出発いたしまして、危険、安全というような文句から考えましては心配ないだろうと思うております。
  86. 前田穰

    委員長前田穰君) 申上げます。郵政省の郵務局長が出席しておられますから御質問がありましたらどうぞ。
  87. 大和与一

    大和与一君 昨日からもいろいろ御説明を承わつたのですが、どうも航行の安全とか或いは経営の健全化、こういうことはやはりまだ私どもも十分に納得が行かないわけです。これは事務当局の、ミニマムな考え方からすれば、どうやら出発できるのではないかと思つておるのでしようけれども、それには外国航空会社競争するという実力は恐らくなかなか持つていないし、そういうことは部長回答でも、いろいろな心配をして、確信があるとは言つていないわけです。こういうふうになつて来ると、いろいろなサービスその他が若干低下をしても一航空の安全ということは絶対に確保してもらわなければいかんから、政府がこれを発足させるためには、航空の安全だけは如何なる場合でも万全の態勢で確信がある、こういうようなお考え方で進むであろうと思うのです。それでただこれは、飛行機が空から落ちるのでなくて、地上施設の整備が不十分であるために、不測の事態が起ることがなきにしもあらず、だと思うのですが、それらのことも十分に考えて頂く。そうしなければ若し何か起つた場合に、単なる会社責任だけでなくして、やはり政府がその責任の一半は当然負うべきである、こういうふうに重大なる責任感を持たれてやつて頂きたいと思います。ですから質問としては、航空の安全ということを、これを許す以上は、絶対の確信がある、こういうふうなことを考えておられるかどうか。第二点としては、会社が初めですからなかなかうまく行かんのは当り前ですけれども、やつてみて、さて経営がなかなかうまく行かん、そうなると相当泥沼に金を注ぎ込むというふうなことが苦しうまく行かん場合には起つて来ます。そういうときに政府としては、初めから相当無理を承知の上で、而も船舶に比べれば非常に補助額も少い恰好で出発をするわけだから、その経営がうまく行かん、或いは不測の事態が起つて、国民的な非常な反撥も受ける、こういうときには、この会社に対して再検討を加えて、或いはコーポレーシヨンにするとか、或いは国家の直営にするとか、諸外国の例にもあるように、こういうふうなこをそのときには考えるのだ、こういうことを大臣から一つ回答頂きたいと思います。
  88. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 第一番目の航空の安全は確保して行くつもりであろうが、それについて十分な用意ありや否やということでありますが、これは私どもが第一に考えておる問題であります。こればかりは、一遍試してみようというわけには行かないのであります。おつこちればみんな死んでしまうのがきまりみたいなもので、これは我々に話を、国際航空をやろうという会社の出願が三つばかりありましたが、その中には少しく運賃を安くして、競争場裡に入つて行くというためには、こういう中古と申しますか、大洋横断には第二級に属するというような飛行機を使つても、併しこれは曾つて落ちたことがない、安全だ、これでやつて行けば他の会社よりも安く行つて、すぐお客を取れるというふうな話等もあつたのですが、これは私は断然排撃をいたしまして、一人といえども、万が一というようなことがある、その虞れがあるような飛行機を使うことは困るのだ、第一級の飛行機を使つてもらいたい。それで第一級で安全、この人ならば大丈夫だという飛行士並びに乗組員が揃つてからしか、これは一人のお客も乗せることはできない。人間だけではない、郵便物だけであつても、そういうことは認めなければならんという方針で話をいたしております。それで初めは残念ながら外人が運転をいたしますが、もうすでに昨年から日本の乗員もアメリカにやつて練習もいたさせております。将来はだんだんこういう人が二番目の操縦士になり、或いは三番目の操縦士と、こういう式で入つて行きまして、それがだんだん慣れて、もう大丈夫、これならどこの飛行機に対してもひけをとらんという状態にならなければ飛び立たせないというつもりでおりますが、今のところはそういうふうにして準備をだんだんいたしまして、近く着きます飛行機で国内でいろいろ練習等をいたしまして、九月に入りましたら先ず第一回の大洋横断の試験飛行をしてみようと思つております。それから第二回目は十月の十五日、第三回目は十月の二十四日と三回に亘る試験飛行をいたしまして、初めて十、月の一日からお客を乗せての航空に入る、その間に十分な試験飛行の結果等につきましても検討をいたしまして万全を期してやりたいと思うております。  第二の、経営が成り立たんときは、このくらいの程度で先ず先ずというところでやつて行く、それで若しものことがあつて、これが経済的に言えば、経済的の競争のために非常に経営が困難になる。これは補助金その他で仮に賄おうとするが、或いは飛行機の運航の工合が悪くてお客がまるで来ないとか、いろいろなことで行けない場合には、今の会社組織をやめて、公社組織或いは国営というものに持つて行く心持がないかどうかというお話でありますが、私どもは国営にするか公社にするか、こういうふうな行き方にするかというようなこと、それから又二つ三つあるのをそういう連中のどれにでも自由競争的に、これは国際条約の関係もありますが、一応許すというような問題等さまざまに考えてみまして、今のこの案が私どものほうとしては、これから先は意見の相違になるが、一番いいのじやないか、政府監督もする、そしてこの経営そのものにはビジネス・マンとしてほかの国との競争、そして経営的にも飛ぶ上においても競争して、そしてぐいぐいと仕事を伸ばしてもらうというのには、当るか当らんか知らない言葉ですけれど、餅は餅屋、こういうビジネス的な方面に特に有能の人に、こういう方面会社でやつてもらう。そうしてそれを対象に置いて、その人の心持の下に一致団結してやれるような人々が、重役陣にも業務陣にも集まつてもらい、そうしてうまくやつてもらつたほうが一番いいのじやないかということでこれをきめたわけです。これについては、これから更にいろいろ意見があると思いますが、これがうまく成功することを希つておるわけであります。それでまあ、いろいろ困る場合には、できる限りのものは、まだまだこれはどういうふうになるかわからんから、具体的な援助方法も、ただ補助金をやることができるとか、その他のことが書いてあるだけで、きまつていないものもありまするが、そういう手だても皆さんがたの御賛成を得ながらやつて行つて、そうしてこれがうまく育てばよし、しどうしてもうまく行かない場合には、或いは又御相談によつて、中途半端なものは思い切つて、国営にするか、或いは一応公社案にするかというような問題等も、勿論いろいろ考えるときは、そう悪くなれば考えべき対象となると思います。私は発案者である心持からか、うぬぼれといいますか、これが一番よいという気持は持つておるのでありますが、これから先になつて私がお辞儀をしなければならんことになるかも知れません。成るべく一生懸命に……、先ずは一番先にお話のあつた航空安全、これだけは何としても万全を期してもこれは起り得ることでありますから、できるだけのことは注意してやりたいと思つております。
  89. 東隆

    ○東隆君 この経営の主体をパブリツク・コーポレーシヨンにするか、国営にするか、或いはこういう特殊会社の形をとるか、これは今大臣お話なつ大臣の信念は私は了承いたします。意見が違いますけれども、それはそれでいいのですが、国際方面に進出することによつて、私は航空事業なんかはやはり国際的な資本がこれに関係をする機会が非常に多くなつて来ると思う。それでこの場合に、政府が出資をする分はこれは一向差支えないのでありますが、民間が引受ける株式は、これは日本航空株式会社法の条文ですか、商法の第二百四条ですか、「株式ノ譲渡ハ定款ノ定二依ルモノ之ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得ズ。株券ノ発行前二」云々、このような条文が適用されて参りますと、私はこの会社に対する発議権を外国資本が持つというような虞れも起きて来るのじやないか、こう考えますので、それに対する資本の、何といいますか、構成における何か制限みたいなものがはつきりここに現われておりますか。
  90. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) この日本航空株式会社だけに対して特殊な制限は置いてないのでありますが、航空法によつてきめられておりまする外国資本は三分の一以上占めることはならないという規定をそのままこれに適用して然るべきぢやないかと私どもは思うておるのでございます。これは三分の一も資本が入れば相当大きな発言権となり、そしてそれが実質的にひつかき廻すということがありはしないかという心配がここに起るわけでございます。これは私どもはそのものをそのものとして考えた場合には、今の場合におきまして政府の出資が半分はありまするし、発言権も強いわけでありますし、それで外国資本に支配されるというようなことはなくて済むであろうということを考えたわけでございます。そういうふうなものを根本的にもう一つ考えますと、そのほかの場合でも、この会社は別といたしまして、そのほかの日本会社にも三分の一入つて来られることを認めておる今の航空法そのものが、あれで日本航空の自主性というものに安全だろうかどうだろうかという心配がそもそもあるのでございます。これは実は一つ現実の問題として、或るアメリカ航空会社が三分の一資本を持つて、そうして日本の国内航空幹線をやりたいという出願の申出があるのでございます。これには、そういたしますと、国内の幹線と、それから自分たちのやつておりまする国際路線と繋ぐということによつて日本に来るものの一貫した切符を売るというようなことによつて、お客を余計取り得るという見方から、そういうふうな計画になつておりました。これは航空法の建前から、法律的には一つも違反ではないのでありまして、日本航空の自主性、日本航空が今非常にひよわであるということを考えますと、大きな資本が三分の一も入つて来て、それが実質的に支配するというようなことがあつては困るという心持でありまして、それを排撃いたしまして実はこういうふうな、幹線はこれ一本で、日本航空株式会社幹線と、それから国際線ということにきめたものであります。そういたしますと、それは国内幹線はほかの会社に許さないということでお断りしたわけでございます。  それでは、そういう人々がローカル線をやれるだろうかという問題でありますが、私はその場合、若しローカル線をやられるものとすると、まあこの問題とは合わないのだが、これはローカル線を許す問題としてもう一応研究の対象にはなる。それであなたのほうからお出しになるならば、そういうことで幹線を除いてお出しになつても、お出しにならんほうがいいと、今は言えないのだが、併しそのときに私がどう判断するかは別問題だが、お出しになるならお出しになるこ上はできるのだということを言いましとも法律たが、もうローカル線では意味ない、幹線でこう繋ぐということで培養線にしなければならない。それでそういうことには興味を失一つたということで、引下がられたという実例があります。実際問題としては私は心配ないのじやないか、こういうふうに思つております。
  91. 東隆

    ○東隆君 私は幹線とそれからローカル線とこう二つ比べたときに、経営の面から行くと、私はローカルの線はこれはなかなか収支がうまく立つとは考えません。それで大部分収益を挙げられるものは幹線だと思うのです。そういうふうに考えて来たときに、その幹線の中に外国資本が入り込む機会が相当あります。それから仮にそれが三分の一に限定されておるとしましても、事業報告その他を通して十分に中身を掻き廻す機会が非常に多いわけで、これはあの室蘭の製鋼所なんか、実はあれは外国資本が少し入つておつたばつかりに、非常に困難なことが起きた事例があるのです。そんなふうなことを考えると、これは平和産業には相違ないと思いますけれども外国資本が入ることは極力避けなければならん。そのためにはやはり一〇〇%政府出資というような形態をとるのが、幹線にはどうしても必要だと、こう考えるのですが、この点は資本の構成その他から日本航空事業発達させる上においても、国が中心になつて幹線をやる、ローカル・ラインについては、これこそここにある程度のような機構で以て進めて行く、これが私は立ち遅れの日本航空を進めて行くやり方だと、こう考えるのですが、これは大臣考え方が違うのですが、併し資本の構成だけ一つつて考えてみても、そういう心配が私は多分にあると思うので、もう少しお考えを変えるわけには参りませんか。
  92. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) いろいろ御説のような話等は前から、昨年この問題を計画した時分からも、非公式にいろいろ美奈さんがたの御意見も承わつて相当時間をかけてこういう結論に到達したわけでありますが、私どもとしては、今おつしやるようなことは、もうそれは全然心配ないということは、私の心持としては申上げるけれども、形の上においてそういうことがあり得るということは事実でありまして、ないとは決して言えない形にはなつておるわけでございます。併し実際上の運営の上において、私は外国資本に支配されるというようなことには、いろいろな実際上の監督、指導の面で、その心配なくやつて行けるのだと思うておりますけれども、やつて若しそこに非常な大きな欠陥が生じ、そしてそのために日本航空権と申しますか、日本の自主的な航空をひどく阻害されるというような問題があつたときには、おのずからそこに又考え方を変えなくちやならんようなことが起つて来るかも知れません。私はそうならずに済むのじやないかと思つておるわけでございます。併しこれはあなたと少し意見が違うかも知れませんか……。
  93. 東隆

    ○東隆君 これは先ほど説明を聞いておりましたときに、ローカル・ラインをやる場合に二つの会社考えておるのだ、そんなにたくさんこしらえないつもりだというようなお話もあつたのですが、併しローカル・ラインになりますと、二つに制限をするというような、そういう形では依然として意味をなさんと、こう思うのです。これは相当な数できて来ると思うのですが、これに対して政府は助成の方法であるとか、或いはそれに対する資金の融通だの、そんなような点はどんなふうにお考えになつておるのか。恐らくこの特別な会社よりももつとプライベートな色彩を持つたものができるとすると、私は助成も、それから資金の融通も非常に困難になると思うのです。そういう点があると思うので、それについてどういうお考えを持つておるか伺いたいと思います。
  94. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) これは日本航空問題についての審議会で答申を昨年得まして、これによりますと、日本には、幹線は触れてありませんのでございまして、ローカル線についてこれは二つぐらいと書いてありましたが、二つまあ許したらよかろう、余りに多くなくてそれくらいがよかろう、そのくらいな意味だつたと思います。はつきりしたことはわかつていないようですが、その答申に基いて考えますと、どうも地域的に分けると、どこもここも一緒くたにやるのも少しごたごたしますから、多少の出入りはあるにしても、大阪を中心にしてそれから東北、それから西南というふうに二つに分れて、多少の入り合いは認めるということだとすれば、二つの会社も立つのじやないかと、まあ輸送料その他についても一応出ておりますのを推定しますと、それで行くのじやないか。これは今お聞きの通りに、私どもの案は今のところはこれよりももつとプライベートでありますが、出願の会社のうちに許したいと思うておりますが、そういたしますと、それはどういうことが我我のほうから援助的にやれるかと言えば、実質的の援助になるのは郵便料金だと思います。郵便物を運ぶ、これは一つの力に……、どのくらいの程度になりますかわかりませんが、これが一つになろうと考えます。補助といつても、表向きに出ない一つ補助だろうと思います。それで資金を借入れるというような問題等には何も触れておりませんが、どうせアメリカとかイギリスとかから飛行機を買うのでありますから、そういうものの外貨割当等のお世話をいたしておるという程度でございます。これは立つだろうかという問題になりますと、私どもいろいろ考えてみると、なかなか本筋はずつと通つておるし、そのあとはどうだろうかと思いますが、西のほうが立つだろうとか、東のほうも決して立たんことはないとかいろいろ言われますが、これは一つは地上設備、それから飛行場の空の設備などがもう少しどんどんできないと、飛ぼうにも中途半端な飛び方をしておると、折角定期航空が開けたといつても立ち得ないだろうと思います。今度もせめて地方も少しやりたいと思つて、高松の航空設備と、それから鹿児島の航空設備、それからできれば、別府あたりも、西のほうだけ一応やるということができはせんかと思いましたか、予算か削減されてしまつて、調査費だけ僅かにもらつたわでけすが、これはどうしても測候所の設備その他をしてもらわなければ飛び得ないだろうが、高松くらいは飛べるだろう、大阪を上れば高松は見えておるようなものだから、そうむずかしい測候所の報告を取らんでも飛んで行けるのじやないかというような話などは聞きますけれども、鹿児島までになりますと、今のように飛行機が決していい加減に飛んでは行けないというようなことが常識的になつておる場合に、簡単に始められないということになりますと、なかなかローカル線は始めにくいのであります。今考えておりますのは、大阪を中心にして、東京、それから仙台から札幌まで行く線、それから大阪から向うに行く線、この幹線を間を置いて行く、例えば名古屋は止むを得んのでありますが、岩国は仮に、これは仮にでありますが、幹線としては大きい飛行機では降りなくてもいいというような、そういう場合には郵便物、大体夜間郵便をやると非常にいいのじやないかという話があります。そういうようなことでそろばんが出そうでありますから、それならそういうことでスタートさせようかというようなことを考えておるのであります。今のところは立つと言つておるのですけれども、実際は少しやはり暫らく無理ではないかと思つております。
  95. 東隆

    ○東隆君 すでに北海道なんかには北日本航空株式会社なんというものができておつて、そうして着々準備を進めております。資本は非常に貧弱なもので、なかなか立ち行かんと思います。が、併し以前軍が使用しておつた稚内であるとか美幌であるとか、その他各地に飛行場の跡がありますが、そういうような所に試験飛行なんかもやつたようであります。そういうふうなことを考えて、そういうものこそが、本当のローカル・ラインで、今お話になつたような途中を繋ぐというのは、私は却つてローカル線じやなくて、それと違うような感じがするのですが、それで私の言つたような意味におけるローカル・ラインというものを完成させるためには、独立採算だの何だの、そんなような考え方からいつたら、これはできるものじやないのです。これにはやはり相当な国の助成をしなければならん、それでその形こそ、私はこの今提案をされているような法律、こういう法律によつてでき上つたものが適当しているのじやないか、こう考えております。  それから国際的に錆を削つてやらなければならんようなもの、これはやはり国が中心になつてやつたほうがいい、こういう考え方になりますので、そういう点からいろいろなことを考えみてると、非常に前途に心細いものがあるのですが、これは意見が異なるのですけれども、私はそういう考えの肩を持ちますので、今、失礼ですけれども以上のような質問をしたわけです。
  96. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 今のお話のような線は、私ども参考にして考究するものが今後の問題にはあると思います。今のお話の本線、幹線を繋いでの一応ローカル・ラインのスタートよりも、そういう行き方で今スタートするならそういうことが考えられるというのでありまして、本筋はあなたのおつしやるように、そうでないところを見るのが本当だと思うのです。北海道或いは中国又は九州等で自分は定期航空をやるのだというようなことを頻りに言つて気勢を挙げておる会社が幾つもあるのでありますが、今までには定期航空をそういうところに許すということは、どこにもやつておりませんし、それからまだまだそうやつてあちらこちら飛ぶのに安全な測候所その他の空中、地上の設備が不十分で、ただ飛行場だけあるというような、戦争前私どもが朝日新聞社におつた時分に勇敢に飛ばしておつた大阪行の定期とか新潟行の定期のように、新潟に飛ぶのに、新潟の上空雲なしというと飛んで行つたような、そういう勇敢な大和魂で飛ぶようなわけに行かないし、郵便物にしてもそうは行かない、人の問題はなお更今いろんな設備で完備し得るようなものがあるので、やはりそうしたものをやらずに人を飛ばすようなわけには行かんから、なかなか簡単には飛ばしにくいだろうと思つております。併しいずれにしても、北海道のような広汎な地域で、そうして鉄道ならば相当長い時間かかるというような所等には、飛行機という問題は相当考えなくちやならん、やはり国の端のほうに行けば行くほどそういう問題は非常に大きく考えられなくちやならん、こういうことになつております。そういう問題についてお話したわけであります。
  97. 一松政二

    一松政二君 私は本法案に対する運輸大臣に対しまする質疑は、先ほどの御答弁で、十分と思いますから、これ以上運輸大臣に聞くことはございません。で、私は若し皆さんに御異議がなければ、今郵政省から郵務局長がお見えになつておるそうでございますから、先ほどの国際郵便物値下げについて、如何なる理由によつたのか、或いは小荷物、貨物と一体どういう関連を持つておるのか、そういうことについて伺いたいと思います。
  98. 松井一郎

    政府委員(松井一郎君) 郵政省の郵務局長でございます。只今のお尋ねに対しまして、私丁度昨年のブラツセル会議に出ておりましたので、その間のいきさつをお話し申上げたいと思います。  御承知のように第二次世界大戦後非常に航空機発達いたしまして、今日外国郵便の殆んど七割というものは航空郵便になつております。そこで世界中に航空郵便を輸送するためには、お互いに郵政庁間において責任を持つて引受けて、そうしてその決済率というものをきめておかなければ、これは郵便物を送れないわけであります。その決済率をどういうふうにきめるかということが、実際問題といたしましては、やはりその当時における航空会社に対する支払運賃というものを無視しては、これはやりにくい問題で、必ずしもそれに拘束せられるわけではありませんが、やはりそれが一つの基準になる、そこで郵便物運送料をどういうふうにきめるかということについて、一九四七年にパリで行われました万国郵便会議におきまして、その当時は実は日本はまだ占領中で出席を許されなかつたわけでありますが、いろいろ議論いたしました結果、大体において書状、手紙、それから葉書類ですが、そういうものについては、原則としてヨーロツパ地域においては一トン・一キロメートルというトン・キロ計算でありますが、金フランとして三フラン、これは金フランというのは或る抽象的な貨幣でございまして、金何匁というふうな一つの観念上の貨幣でございます。これを大体今のアメリカ・ドルの数字で換算いたしますと、一金フランが大体百二十円くらいになつております。これがいわゆるA地域というものであります。ところがその当時はまだヨーロツパ以外において、殊にアジア方面においては、余り航空路発達しておらなかつたのです。こういう所へ航空路を伸ばして行くには、いろいろコストがかかるというので、B地域というものは六フラン、つまり倍を取るということがパリ会議できまつたわけであります。ところがその後世界の航空路は御承知のように非常な発達を遂げまして、競争が激甚になつて来る、且つ又航空郵便の利用率が多くなるので、この六フランというのは如何にも高いという声が中間に起りまして、そうして御承知のイアタと言つて世界の主な航空会社が入つておる一つのアソシエーシヨンでありますが、このイアタのメンバーと各郵政庁の幹事役とが中間において会合いたしまして、もつと値下げはできないものだろうかというような話をいたしました結果、六フランと三フランとの結合地域については五フランに値下げしようじやないかというのが、丁度一昨年のこの会議からそういう話があつたわけであります。  そこへ今度ブラツセル会議に出まして、又新たなる角度でこれを検討したわけであります。丁度このブラツセル会議には、これは郵政庁だけではきめかねる問題でありますので、世界の各主要航空会社のイアタのメンバー、それから先日日本も加入を認められたかに承知いたしておりますイカオ、これはフランス語でオアシーといつておりますが、それも出て来まして、そうしていろいろと論争しました。これは恐らく万国郵便会議で最も激しい議論を戦わした問題でありますが、大体の傾向を申上げますと、世界の飛行機におけるコストというものはだんだん下つておる、これはオアシーから出た資料で以て認定できる、併し各国の航空機会社の経済状況というものは、むしろ悪化しておるということが出された資料でわかつたわけであります。これは申上げるまでもなく、非常に急速に各国が航空機会社を作つた関係上、その航空路発達に必ずしも需要面が随従しなかつたという面が反映しておるのだろうと思います。そこで大体アメリカとか、そういう世界の航空路を持つておる国は、どうもこのままでは赤字が殖える、そこでむしろ郵便料金は値上げしてもらいたいというような態度をとつたわけであります。併し自分で世界の航空路を持つておらない多数の国にとつては、それは別問題だ、コストが下つておれば当然下げるべきではないかというのが、中小国の基本的考えであります。この両者が論戦を重ねました結果、一応委員会におきましては六フラン地域は撤廃しよう、全部三フランにしようということになつたわけであります。併し総会におきまして、それでは従来の六フラン地域が三フランになると、郵便料金が半分に減つてしまう、現実問題として航空会社に与える非常に大きな影響というもの、結局それは航空機を持つておる会社補助金で面倒を見るより仕方がない問題だ、それは余り酷だというので、中間案が出まして、先日国会で御承認を得まして日本も批准いたしましたブラツセル条約の最終案は、金三フランではあるが、併しこの七月一日現在におきまして三フラン以上払つておつた地域については、四フランにしようということになつたわけであります。ところがこの条約の規定日本に当てはめてみますと、日本は従来殆んど六フラン地域であつたわけであります。これが今度は四フランになつたのであります。その関係でそこに航空料の支払として約二割ばかりを七月一日以降減らさなければならない、日本においては航空便では御承知のコンビネーシヨン料金というものをとつておりまして、基本料金航空料金と一括した料金体系をとつておる関係上、これを総合した目から見ると、一割の値下げになつております。併し航空料の支払の減るという面から見ますと、二割の低減になつておるわけであります。その理由は、結局コストが下つて来たからそうしようじやないかという論に尽きるようであります。勿論郵便物料金というものをどうきめるかについては、これはいろいろ見方はあるようであります。会議において有力な発言をした国の案としては、郵便物も普通貨物も同じじやないか、郵便を運んだから特別に高い料金を払う必要はどこにもない、もつと下げろ、ニフランでいいじやないかというような案すら出たのでありますが、余りにも現状に対する大きな変革というものは、いろいろな方面において面白くない影響を与えるであろうというので妥協されたのが今度のブラツセル案でございます。
  99. 一松政二

    一松政二君 それで関連してお伺いしますが、今の値下げなつたのは書状だけではなくして、小包郵便も同様であろうと私は思うのですが、さようですか。
  100. 松井一郎

    政府委員(松井一郎君) お答えいたします。私は問題となつた書状について説明だけいたしましたが、そのほかについては、私どもは小包とか何とかにつきましては、これはパリ条約においては一・五フランであつた、ところがそれを今度ブラッセル条約では一・二五フラン、殊にそのうちで新聞紙については一フランに値下げする、これについては航空会社も何ら異存がないというので、初めから議論にならずに値下案がきまつたわけでございます。
  101. 一松政二

    一松政二君 そうすると、これは郵務局長にお伺いするのはどうかと思うのですが、例えばニユーヨークに何か商品の見本を送りたいとか、或いは親類、友人に小包で物を送りたいという場合と、それから飛行機に、小包じやなくしていわゆる小荷物扱かなんかで頼んだ場合、今日ではその小荷物扱を、一応この法案説明の中にも、いわゆる小荷物扱というのが出してありますが、小荷物扱は先の国に行けば、そこの普通郵便物になるのか、或いは航空郵便物になるのか、それとのいわゆる運賃の関連はどういうふうにお考えになつておるのか、おわかりでしたら、ついでですからちよつと一つ
  102. 松井一郎

    政府委員(松井一郎君) 私どものほうでは勿論航空小包というものはやつております。この航空小包につきましては、先ほど申上げましたように、アメリカならアメリカ飛行機を使つて送つた場合に、私どもアメリカの郵政庁に対して、一トン・一キロメートルについて一・二五フランというこの計算で決済いたします。併し小包料金自身はこれだけじやないわけでございまして、そのほかに日本郵政庁の取り分、アメリカ郵政庁の取り分といつたようなものが全部合致したものが航空郵便料金になるわけでございまして、この一・二五フランというものと航空会社自身が取扱われる航空貨物料金というものとは必ずしも一致をしておりません。
  103. 一松政二

    一松政二君 その場合に小荷物扱で送つたほうが安いのか、或いは最初から小包郵便物として、同じ物を同じ量送つた場合の計算は、一体どういうふうになつておるのですか。
  104. 松井一郎

    政府委員(松井一郎君) それは場合によつて違うのじやないかと思います。例えば航空会社へ直接お持ちになつたような場合には、むしろ航空貨物のほうが安くなるのが当然じやないかと思います。併し向うへ着いてからの配達とか、こちらでも必ずしも航空会社のすぐ近くにその方がおられない場合、郵便局と言えば全国どこからでも出せる、それをも含めた勘定をいたしますと、これは或いは郵便のほうが得な場合もあるかと思いますが、場合場合でどちらが高くなるか安くなるかということは一概には言えないと思います。
  105. 一松政二

    一松政二君 先ほどあなたのほうの御意見というか、御報告を間接に承わつたときは、航空郵便料が小荷物も書状も含めて貨物よりも著しく高いから安くしたというふうに承わつたので、なお少し合点が行かないから、あなたにわざわざ私御出席をお願いしたわけなんですが、小荷物なり或いは貨物ということになれば、今言つたようなあと先の問題があるわけです。それが郵便物にしてしまえば、今言つた通り殆んどドア・ツー・ドアに近い関係になると思う。そういつたようなことであつても、そういう前後のことを考慮しても、郵便物が小荷物或いはその他の貨物扱よりも今までは割高になつておつたわけですか。
  106. 松井一郎

    政府委員(松井一郎君) これは郵便物は御承知のように小さいのは随分小さいものを取扱いますが、大きさは余り大きなものは取扱えない。ところが一般航空会社貨物は、むしろ大きなものが相当取扱われておりまして、小さいからといつても最低単位というものをやはり取つておるようでありますが、大体申しまして、非常に小型なものは郵便物で送られる、大型なものはこれは航空貨物になる、料金計算からいつてもそれでうまくバランスがとれているのじやないかと私ども考えております。
  107. 一松政二

    一松政二君 従つてブラツセル会議において論議された場合には、つまり貨物郵便物の比較から論議が起つたのではなくして、主としてそういう航空路を持たない、常に払い分になる国、それらの意見及び航空の非常なる発達によつて競争が激烈になつて、もつと安くても取りたい、恐らく小包或いは書状においては、それを積んでも積まなくても、飛行機はそれほどの重量に堪えないことはないのだから、その間にあればできるだけ掻つさらつて自分のところへ積んでもらいたいというのが、私は実情じやないかと思うのです。従つてむしろ受け手がもつと安くしてもこつちに欲しいという意見が強くて安くなつたのじやないかと思うのですが、その辺如何ですか。
  108. 松井一郎

    政府委員(松井一郎君) おつしやる通り航空会社からいたしますると、ともかく単価を下げていいとはつきり申します。その代りにもつとたくさん郵便物を積んでくれないかということが、航空会社から見た一つ考え方だと思います。そこで航空会社、イアタのほうといたしましては、こういう注文を出した。航空郵便物を殖やすといいましても、これはそうほかの品物と違いまして簡単に殖えない。それで或る国で、航空郵便のために特別割増料金を取つている国と、割増料金を取らないで中途で鉄道によつて運んでいる国とがある、これは将来恐らくそういうふうになつて行くと思いますが、現在世界的に見ますと、二つの国があります。併し大部分の国は御承知のように航空郵便については割増料金を取つております。航空会社は割増料金を取つておるほうは、そう郵便物は簡単に殖えないから、こちらの郵便物は高く頂きましよう、割増料金を取つていなくて、普通郵便でもどんどん積んでいる国になれば、郵便物は殖えますから、ここで安くしましようと、実は商業採算からいうとそれでも引き合うわけでありまして、そういう要望をイアタのほうから出して来たわけであります。併し大多数の国は、現実においてまだ航空郵便については割増料金を取つておりますので、それを認めますと、形としてはいいようですが、現実において今までよりもむしろ値上げになる危険性もある。ところが現在ですら郵便料金の基本というものは、貨物その他に比べますとやはり高く払つております。それが正しいかどうかについてはいろいろ意見もありますが、沿革的にそういうふうに高い。これは負担力の問題というのですか、そういう料金を払つておりますので、一般的に少しでも値下げしたいという要望がありますが、今すぐにそれを持出されるとむしろ逆になりますので、その申出は郵政庁側としては拒否したわけでございます。
  109. 一松政二

    一松政二君 そこで今度はあなたの所管外になるけれども、参考のためにあなたの御意見を伺つておきたい。郵便物について非常に航空事業発達の結果、すでに競争して料金値下げが現れておる。旅客料金についても、これがますます競争の結果、発達すれはするほど安くなるし、又安くなることが人類の福祉に副うゆえんであろうと思うわけです。従つて当然安くする方向に向うであろう、競争は激烈になるであろうと私は考えておるのですが、あなたのこれは所管外でございますが、あなたの感想を一つお伺いしたい。
  110. 松井一郎

    政府委員(松井一郎君) 私は余りそういうことについて責任ある意見を申上げる立場にございませんが、万国郵便会議において郵便料をきめるときの基本になつた資料と申しますか、それはオアシーから出された資料を見ましても、世界の飛行機のコストというものは年々下りつつある。又片一方におきましては、非常に各会社間の競争が激烈になる、会社経営としては必ずしも楽でなくとも、又一般的に航空運賃というものは下落の傾向にあるのじやないかということは、そのデータからも今日言い得るのじやないかという感じを持つております。
  111. 一松政二

    一松政二君 有難うございました。これを以て私は郵務局長に対する質問は打切ります。
  112. 前田穰

    委員長前田穰君) 大臣衆議院委員会から呼ばれているのですが、若し大臣に対する質疑がありましたら……。
  113. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私はこの法案が今の日本の実態からいつて航空事業を発展させなければならんという建前に立ちます場合に、基本的には一応認められるが、法案の内容全部を考える場合には、極めて理論的なものだと思う。そこで大臣にお伺いしたいのは、大臣はいわゆる国でかなりこれに対する努力をせられたと承わつておるが、十億というような程度の金では全く何もできないというのが現実であろうと存じます。これに対して二十九年度の予算の編成も間近に迫つておるという関係から、将来大臣が主張せられて来たより多くより充実せしめるという点に対するどういうお考えがあるかということが一点、もう一点は、ついでですから皆一緒に聞きます。今の飛行場の実情が、どなたか同僚議員から聞かれたことと思うのですが、完璧を期していない。例えば羽田のような場合は返還されたと言われておるが、名目的には返還されておるが、実質的には、私の知つている埒内においては、日本航空株式会社ができても自由に使えないという実情に置かれておる。その他多くそういう所が存在しておるのではないか。特に北海道あたりの飛行場ども、そういう関係の所と、もう一つは、自主的に運輸省がやろうとすれば、飛行場の確保が今のうちならばでき得るというような所もあるように考えられます。そうした飛行場の設置に対して、どういうお考えを持つておるか、その二点を伺つておきたいと思います。
  114. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 第一のお尋ねですが、私実は昨日から、さつきも申してあつたのでありますが、これではなかなかこれから先もつと伸ばさなければならんのには、資本金の総額として二十億円ではどうしても少いし、政府の出資十億円というものも、非常にもの足りないものであります。来年度の予算、これは皆さんがたのお力添えも得なければ、どうにもなかなかむずかしいかもわかりませんが、是非政府の出資を増額いたしたいと、こういうふうに私だけは念願しております。  それから第二の飛行場の不完全の問題も、私さつきここに申上げておつたのでありますが、今お話なつ羽田などという所は、日本に返つたというものの、アメリカ側で使われておるものが非常に多いのでございます。それで外国から、民間航空だけでも十一カ国も入つて来ておる。国内幹線としての日航、これが又外国航路にこれから出るということ等考えますと、又いろいろ不自由でございます。あそこを拡張する案もあり、又アメリカ側にもう少し返してもらいたいという問題もあり、或いはもう一つ思い切つて違う所に飛行場を設けるというような問題も考えられるのじやないかというような問題がいろいろあるのでございます。それでそれはアメリカ側に対しましては、或いは一個々々の具体的なものを示して、あの格納庫を返してもらえんかとか、これをこの場合はどうしてくれるのかという相談はいたしておりますが、これは微々たる状態でございます。羽田飛行場の拡張ということも、これは話に出ておる程度でまだ何ともなりません。新規の飛行場というものをこういう所にすればできるという話がある程度でございます。これはみんな今の飛行場では不満足だという心持は持つておることでありますから、何とかしてこういうふうな問題の解決をだんだん図つて行かなければならんと思つております。それから地方の飛行場で、早く押えておかないとほかに転換されるというような所が現実にあるのでございます。そういう所と話をしておりますと、非常に喜んで飛行場をこしらえることに協力する態勢を地方でとつて頂いている所もありますが、そうでなくて、飛行場に留保しておくことに非常に反対されておる所もあるという実情であります。国内としてはいろいろ違つた情勢がありますのですが、これは一遍飛行場を潰せば、日本のようなところ、人間が多くて場所が少いところでは、なかなか飛行場は都会の近くにはできにくいということになりますから、折角将来あそこいらにでも定期航空路を持つて行かなければならんという所では、是非確保しておきたいと思つております。  それからそういう所の飛行場をだんだんローカル線ができるために整備して行くという問題、これは非常に私ども念願しておるのであり、今年度の予算も、さつき話しておりましたが、鹿児島であるとか、高松であるとかいう所だけでも、設備してみようと思つてかかつたのでありますが、予算が削られまして非常に残念な状態になつております。これらは今年は調査費が出ましたので、来年はそういう所の事業、空中の設備ができると思いますが、そういうふうに一カ所とかニカ所とかぐらいずつ、非常にローカル線の欲しい、特に遠い地帯、九州の端とか北海道の端であるとかいう所には欲しいけれどもなかなかできにくいという問題がありますが、これはどうしても予算をできるだけ多くもらつて確保し、実際に即するようにいたしたい、こういうふうに思つております。
  115. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そこで今言つた飛行場の設置には、賛成の所もあるが、反対の所もある。これにはいろいろ見方もあろうが、大体今の実情から、飛行場を作るということは米軍が利用するという感覚の上に立つた反対のものが多いのじやないか。駐留軍が使用するということでなくて、現実に日本航空株式会社が使つて、北海道と九州を繋ぐのだから、北海道と東京を繋ぐのだからということになれば、私はそう反対せずにでき得るのではないか。この努力はやはり運輸省あたりが積極的にやるべきではなかろうか、これが一点、もう一点は今返してもらわなければならん所に対する外務省の立場は、勿論運輸省とは若干違うと思うけれども、運輸省としては、独立国になつた今日の段階においては、当然返してもらわなければいかんじやないかと、かなり強く、場合によれば外務省が立場上困難に追込まれるまで強く打出すことが、航空事業発表のために非常に重要な役割をするのじやないかというように考えるのですが、その点一つ特に大臣から強力に推し進めてもらいたいと思います。
  116. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 第一の御質問は、そのつもりで私どものほうは話を進めております。ここにまあ余り大きな飛行場でもない、で、アメリカ軍の飛行場に使うというようなものではない所が問題になつておるのがあるのであります。こういう所にはもう一遍、これは潰れれば将来、昔よく停車場を断わつてあとから非常に迷惑したということが必ず来るのだから、これはこの際特にやつておかなければならんということでいろいろ話をいたしております。それから特にあそこもここもといつてアメリカに取られておるから、残念だから取戻すという心持でなく、本当に実際的にいろいろ飛行をするのに不自由しないように、我々のほうでできるだけのものを返してもらい、向うは向うの実際の任務をやれるような状態にしてもらうには、その所については日本側に返してもいいのじやないか。或いはほかのほうに一部分移つても、新規に大きな飛行場をこしらえるということになると又問題が起るでしようが、ほかの飛行場の一部分に或る施設等を移して、我々のほうに返してもらつてもいいじやないかという所もあるのであります。これは特にそういう意味を述べまして、外務省にお願いして折衝をしております。それから現場等で折衝のある所は、現場で頻りにいろいろ話を進めておるわけでございます。
  117. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 あと一点、これは細かい問題になるが、若しこの法案が通過したと仮定する場合に、常識的な言葉でいうならば、僅か十億ぐらいの融資をしておいて余り政府が権限を持ち過ぎるのじやないかということが一点考えられる。その中に設立委員の任命ということがあるのだが、この設立委員の任命は、どういう方面からどういうように任命するお考えか、これが一点。それから例えば取締役、社長というようなものも、運輸大臣の了解を得なければできないというふうに考えられるようになつておるのだが、作るときにはそれでもよろしい、さてできた、社長乃至取締役が非常に、極端に言えば不適任であつた、そういう場合に、運輸省のほうでこの人を換えることができるのかどうか、この二点をお伺いしておきたいと思います。
  118. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 設立委員は、まだ私の手許にはできておりませんが、これは今の日航ができたときは、全国的に設立委員といいますか、発起人を集めまして、北海道から九州に至る各方面の人を集めて、大変たくさんな数々設置したようであります。実はこれは私だけの私案で、まだはつきりしませんが、十名内外くらいにしたらどうだろうか。そして本当にいろいろな問題を相談してもらつたほうがいいのではないか、こういうふうに私は思うておるのですが、まだはつきりきめておりません。省にも何人かおりますから、そんな連中とも話合つてみようと思つております。そういうふうなのがいいと思うのですが、一つ皆さんの御賛成も得たいと思うのであります。で、どういう人をするかということはきめておりませんが、なかなかそう玄人というものはあるものじやない、そういう仕事の性質じやありませんが、こういう会社としての出発に必要なものは、成るべく各方面の人をできれば入れたいと、こう思つております。  それから社長の任命でありますが、それは初めは私、運輸大臣が承認しなければならんことになつております。これは最も適当だと思う人を探がそうと思うておりますが、まだ腹中の人を持ちません。規定上においては、途中で私はその人をやめさせるということはできないように思うのですが、だから私が運輸大臣として監督権を発動して社長をやめさせるというような正面きつてのことはできませんが、ただ政府は株を持つておりまして、この株主としての発言によつて、或いはその人の進退問題まで及ぶようなことがないとも限らない、こう思うております。
  119. 一松政二

    一松政二君 ちよつと私質疑をさつき打切つたのですが、一言大臣にお願いしておきたいことがあるのです。私は、役人という言葉は当るか当らんか知りませんが、役人というものをしたことがない。恐らく運輸大臣も確かに大臣になられるまではそうであろうと、或いは前に台湾にいらしたことがあるから……まあそれはともかくとして、今郵務局長から承わつて、我々はこの法案審議する上において、私は自分の想像しておることをまさに証明されたような気がするわけです。それが運輸省の航空局にそれほどあの国家の金を使つて日本から代表者行つて、そういう万国の会議をやつた結果が、全くどうも私は今日の郵便物は、先ほども聞いたように、航空郵便になることがもう世界の殆んど常識になつて来るだろうと思うのです。そして又それが、航空郵便料というものが収入のかなりなウエイトを占めるわけですから、航空局がこういう会議にさつぱり関心がなかつたのかどうか私にはわからないのですが、過去にそういうことがあつたとすれば、私は過去を必ずしも誉めませんが、今後、役所のセクシヨナリズムということをよく民間で言われております。法律があればできるけれども法律がなければまるきり我関せず焉と、自分に積極的に責任がなければ何ら自分から行動を起そうとしない、或いは又他からどこかへ説明をしに行くということも恐らくしないであろうと思うのです。そうしておのおの割拠しておつて、そうして政府政府で金を使つていなければならんということは、私は実に残念なことであると思うのです。でありまするから、如何に行政整理を総理大臣が言つても、法律が次から次へ出ておつて、役にも立たん、私はなくもがなの法律を出されれば、それを踏襲するだけの人はあると思う。而も自分のところに直接関係がなければ、かなりな自分所管事項に影響があつても、次分の所管でないから責任はないわけです。法律の上から責任はない。従つて注意も払わんという結果になりはしないかと憂えるわけです。従つて私は少くとも運輸大臣としては、こういう郵政省からわざわざ会議に列席して、今のような情報をお持ちになつておるわけでありますが、いやしくも航空局にはその行つた結果が、詳細に私はそれに当られる者、事務担当のかたにも一応そういう話がわかつてつて欲しいと思います。そうでなければ、私は午前中に質問したよりなああいう御返事を頂くようなことになつて、実に遺憾に思つたわけですから、今後はどうか法律責任があるとかないとかいうようなことでなくして、我が事務に少くとも関係のあることで、そうして国際会議或いは国内会議で重大問題の、或いはかなりな自分の仕事に影響のあるようなことがありましたら、どうか他の省でも何でもいいから、私は大臣が率先してそういうものの報告なり、正式でも非公式でもいいが、皆事務担当の局の者にわからせるように御尽力をお願いしたいのであります。
  120. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 了承いたしました。その通り注意いたします。
  121. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  122. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  他に御発言もないようですがこれで質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  124. 一松政二

    一松政二君 私は本法案それ自身には賛成をいたします。  併しながら今後の世界の航空事情は並大抵ではございません。恐らく私は、今雨が外には降つておりまするが、日本航空株式会社が首途をするときは、暴風雨でないまでも雨降りだろうと思います。これは譬えであります。なお風が吹いて、場合によつては暴風雨に遭遇しないとも限らない。で、皆さんの憂えられておるがごとくに、実に幼稚な会社であると考えます。そうして政府のこれに対する心がまえも、私は十分であるとは考えません。もつともつと突つ込んで真剣に実情を把握して、そうしてその上に対策を立つべきであると考えまして、まだ、政府答弁の中にもありませんけれども、まあ一応試みにこれを、試みと言つちや語弊がありますが、一応の発足として不十分ではあるが出したというのが実情であろうと思います。従つてこれをこの際深くは管めませんけれども、今後万全の注意を払つて、そうして国際競争場裡に遺憾なき施策を講ずることを要望いたしまして、私の討論を終りたいと思います。
  125. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私は先ほど申しましたように、基本的にはこの案に賛成をします。  けれども、今同僚委員が言われたように、今の日本の置かれた実態から行きますならば、独立国としての日本は強度な航空対策を講じなければならんときである。国の置かれた実態とこれをみる場合には、誠に心寂しいものを感ずるのであります。ですからどうか先ほど来申しましたように、飛行場の設置、そして助成金の増加、あらゆる航空事業発展のために、運輸省はもう少し積極的に努力をするということをこの際お願いして、賛成をしておきたいと思います。
  126. 東隆

    ○東隆君 私はこの法案に反対をするものであります。  理由は、国際線或いは国内の幹線にこの会社航空路を開いて行く場合に、この程度の構成では私は前途非常に覚束かないと考えますので、どうしても国営又はパブリツク・コーポレーシヨンのようなものでこれをやるべきである、出資は国が一〇〇%やるべき筋合いのものである、こう考えるのです。この程度の特殊会社でありまするならば、これはローカル・ラインの場合に考えるべきである、こういう意味で、鞭撻する意味において反対の意を表するものであります。
  127. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。他に御意見もないと存じますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれにより採決に入ります。なお念のために申し添えますが、衆議院の修正したものが原案でございます。本案を原案通り可決するごとに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  129. 前田穰

    委員長前田穰君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされました方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     岡田信次   入交 太藏     重盛 壽治  植竹 春彦     大倉 精一  木島 虎藏     森田 義衞  一松 政二   —————————————
  131. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、道路運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 二、三点質問します。この道路運送法の目的が、公共の福祉を増進するために事業の適正な運営及び公共な競争を確保するということ、そうして道路運送に関する秩序を確立するということにあるように思うのです。又そういうことに重点を置かなければならんと思うのですが、現在の道路運送に関する状況は、いわゆる自家用自動車というものが非常に多くなつて、これがいわゆる闇行為、闇営業をやつておる、こういうことが現在の実情のようであつて、これが輸送秩序を乱しておるということになつておるように思うのですが、こういう状況に関する当局の御認識はどういう程度であるか、その点についてお話を願いたい。
  133. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自家用自動車の取締ということは、この法律を励行するためにも是非必要なことでございます。そこで運輸省としても、昨年当初から輸送秩序確立運動というものを起しまして、免許を受けない自家用自動車が営業類似行為をやることを厳重に取締つておるのでございます。ところがこれは非常にそのケースが多いために、なかなかそのあとを断つことができない状態であります。その根本的な理由としては、自家用自動車でも営業をやらざるを得ないような止むを得ない事情もあるかと思うのであります。それは山の中その他で既存業者のトラツクでは輸送が賄い切れないようなものとか、或いは既存業者のトラツクが荷主の要望があるのになかなか車を差向けないというような場合に、止むを得ず自家用に対して荷主も輸送を頼むし、自家用もこれを引受けるというような事情があるわけです。そういうものは免許を与えて、それによつて荷主の要望も、又自動車所有者の要望もかなえてやることが本当だと思うのでありますが、とかく既存の営業用トラツク業者は、新規免許絶対反対ということを盛んに運動して、いろいろとブレーキをかけておる、そのために免許をやるべきものにもやらないために、止むを得ずもぐりに追込むというようなことも相当あつたと思うのであります。これは私は輸送秩序確立ということの蔭に隠れて、既存の利益だけを振廻すということで面白くないことと思いますので、昨年暮に通牒も出し、又国会或いは社会全般からトラツクの免許をもつと容易にすべきであるというようなお話もありましたので、免許基準は地方の実情に応じて必要なものには免許を与えるという方針を徹底させることにしたのであります。そういうことによつて、必要な又立派なものには免許を与えるということにすれば、無理に自家用でもぐりをしなくても、正々堂々と免許でやれるということになりますから、問題の相当の部分はそれによつて解決すると思うのであります。そういうことになつてなお且つ免許を与えるべきでない者が、自家用の名において営業をやることは、これは厳重に取締らなければいけないというふうに問題を整理して参りましたので、今後は更に力を入れてその取締を励行したいと思うのであります。  ただここにまあ弁解がましくて遺憾でございますが、どうも困る問題は、たび重なる行政整理によりまして、我我の地方における仲間、担当者が減員されておる、で、必要な取締も完全にできないような状態にあることを残念に思います。これについてはたびたびの予算折衝でその増員を要求しておるのでありますが、まだ完全に効果は現わしていないのですが、そのような少い予算定員、減らされつつある予算定員を以て、できるだけ能率的に取締を励行したい、かように考えております。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁によると、闇行為の原因というものが、一つは山間僻地のような所でなかなか業者が廻つて来ないというようなことと、それから既存業者の利益擁護のための新免許絶対反対というようなことに基因するものが多いという御趣旨の下に立つておられるようですが、実情は相当既存業者の数もあり、そうして既存業者自身がすでに飽和点に達しておつて、お互いに公正な競争ができないような状態になつておる中で、やはりこの自家用自動車の闇行為によつて更にその飽和状態というものが拍車をかけられておるという状況にもあるように思われるのですが、そういうことはないかどうかということ、もう一つは、今お話の中にもちよつとその片鱗が窺えたように思うのですが、自家用自動車の闇行為というものの取締ができない、この黙認をしておるかというような問題もあるのですが、そういうような実績を作つた上において、その実績に対して許可を与えてやる、いわゆる法律を破つて行くというような実績を作つて、その実績の下に、実績があるからどいつて許可をして行く、却つてそれを取締るというよりも、むしろそういう法律を破つて行く行為の実績に対して許可を与えるというような方針をとつておられるように思うのですが、そういう工合に考えていいかどうか。
  135. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自家用自動車を取締つてくれという営業関係からの強い要望の中には、誠に妥当な理由なり申分も非常にあるのでありますが、併しながらそれに便乗し介在して、我我としては何というか、満足できないような要望もあるのであります。例えば自分の義務を十分に励行せずに、徒らに免許を与えられて、既得権者として擁護されて、その権利の上に眠つて義務を尽さないというような業者の方もないわけではないのであります。そういう業者に対しては、我々は権利を与えると同時に十分義務も尽し責任も励行してもらわなければいけない。そういうことをせずにおいて、徒らに自家用の取締々々といつても、自家用自動車がそれをやらざるを得んような雰囲気を作り、荷主の不満を買つておる、そういうことは十分反省してもらわなければならんということを非常に強く要望しておるのでございます。又権利を持ちながら十分にその義務を尽さずに、いわゆる免許権を他人に貸して、名義貸の下に名義を利用して搾り取つておるというような者もないわけではないのでありますから、名義貸の一掃ということも厳重に我々は要望しておるのであります。そのようにして免許権者が十分に義務も尽し、責任も負い、サービスを十分にして、その上でなお且つ営業行為をやるもぐりがあるならば、これは徹底的に取締らなければいけない、こういう建前から輸送秩序確立の運動の第一の眼目は、既免許業者責任、義務の完全励行である、かように要望しております。そうして第二に、自家用車の営業行為の取締である、かように考えます。そうして第三に、輸送秩序確立運動の大きな問題として、新規免許という問題があるのでございます。  そこで新規免許について、もぐりをやつて実績を持つている、そういう者を認めるかという問題でありますが、成るほど法律違反でやつた実績というものは、これは飽くまでも法律違反として追及すべきでありますし、法律において適当に警告を発するなり、行為の停止をするなりいたしておりますけれども、そのようにして立派な適格者でありながら、免許を得られないために名義借り又は自家用車による営業類似行為を行わなければならないようなかわいそうな事態は速かに解消すべきである。その解消の方法は、そのように立派な適格者であるものについては、免許を与えることである、こういう考えをはつきりと持つたのでありまして、これは昨年十二月末の陸運局長に対する通牒の趣旨であるわけでございます。
  136. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁を聞いておると、免許業者責任を果さないということを強く衝いておられるようですが、その問題とこの法律を遵守するという問題とは、少し別のように思うのです。従つて今私の聞かんとするところのものは、この闇行為というものが事実上今跋扈しておるということになれば、而も法律が空文化して殆んどその取締が励行されていないというような状態であると思うのですが、この法律を励行する、いわゆる闇行為の取締をするという今後の具体的な方策というものについて一応御意見を承わりたいと思います。
  137. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 闇行為の取締については、今後とも十分に努力をいたしたいと思つております。ただ問題は、先ほどちよつと申上げましたが、予算及び定員が御承知のようにどんどん減らされて、実際現場第一線における取締に当る諸君は誠に忙しくて困つておるだろうと思うのであります。その点は我々も誠に気の毒だと思つて、あらゆる機会をつかまえてその増員及び予算の増加を努力しておるわけでございます。併しながら限られた国の財政でありますから、そう簡単にこの希望が達せられないのを残念に思うのでありますが、その限られた予算定員の中では重点的に重要な陸運事務所にできるだけ人間を配置するとか、又仕事の程度に応じて、その業務監査、取締という方面に人間をできるだけ集中するというふうに、重点的な運用、能率的な運営をやつて、最大限の努力をいたしたいと思つておるわけでございます。  なおこれについては、役人だけでもなかなか十分な効果が挙げられませんので、関係事業者団体にも呼びかけて、政府の方策にできるだけの協力をしてもらおう、かように思つております。そこで今度の法律でも、百二十五条の改正案文の中に、事業者団体の行う行為を挙げてありますが、その中にも第九号或いは十号というふうに、この法律励行のために構成員のみならず、外部に対しても大いに活躍して協力をしてもらう、こういうことを書上げておるわけでございます。何とかして官民協力してお説のような目的を達するように努力したいと思つております。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 今のお話によるというと、予算が非常に少いので、陸運事務所等の機構が十分ではない、従つて取締が十分できないのだというようなお話でありまして、今度は予算も一億円削られておるように思うのですが、そういう方面からなお更そういう陸運事務所等にしわ寄せが重点的に来るのではないかということを心配するのですが、この点はどうですか。
  139. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 予算の節約については、一カ所に特にしわ寄せするということはせずに、その仕事の重要度に応じて十分に按配をして行こうと思つております。決して陸軍事務所にしわ寄せするというようなことは毛頭考えておりません。ただ仕事の内容として、陸運局と陸運事務所に適当に仕事を振分けて、重複して無駄な時間と手数と金がかかるようなことは成るべく避けて、陸運局と陸運事務所に成るべく仕事がうまく分配できるような形をとつてみたいと思つております。
  140. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは取締のことは又あとに質問を保留するとしまして、この免許という方面についてちよつとお尋ねしたいのですが、昨年の一月から今年の六月までのトラツク新免許の統計を見ますというと、保有車両が十台以下のものが非常に多く免許されて、千三百三十六件に達しておるということをちよつと私は聞いておりますが、今度のこの新らしい法律によると、たとえトラツク一台を特つてつても、これが免許の対象になるのだというような工合に受取れるのですが、当局として将来の新規免許に対するところの一般方針についてお伺いをしたいと思います。
  141. 中村豊

    政府委員(中村豊君) どの程度がトラツク事業ならトラツク事業の適正な規模であるかということは、なかなかむずかしい問題でございまして、まあ率直に申上げれば、規模が大きければ大きいほど業務管理もよろしいし、又労務管理も合理化されるだろうと思いますし、荷主の要望に応じて絶えず輸送を引受けることもできますし、まあ大きれば大きいほど望ましいということは、これは言えると思うのであります。併しながらそれじや小さければいけないかということになりますと、小さくても小さいなりに要望を果せればそれでいいじやないかという議論も立つのでございまして、この辺は実はいろいろ研究していますけれども、なかなかむずかしい問題でございます。それから又大都会は相当大きいことを要求するけれども、地方、山間部に行けば、そんな大きい規模を持つていなくても、大体荷主の要求そのもの、輸送要請量が少いのだから、少くてもいいではないかということも言えると思います。そこでそれこそ事業の実態、地域の実情に応じて規模を適当に考えるということで対処しておるわけでございます。併しながら一台はどうかということは、これはいろいろ問題があるところだろうと思います。そこで一台というのは、幾ら小さくても本当に最小限度で、これが車が故障になり修理に出せば、もうその間は開店休業になるわけですから、荷主の要請にも副い得ないということで、一台というのは極く例外的な場合しか、これは無理だろうと思うのでございます。例えば山間僻地の本当の辺鄙な所とか、離れ島、そういう所だけで、普通の都会では一台ということはこれは無理だろうと思います。併しごこに一台というものがたくさんあるわけですから、疑問を持たれたと思うのですが、今許したのは、こういうものと、今のような僻陬の所、それからもう一つは、貨物自動車運送取扱業者、つまり水屋でございます。これが集配用にトラツク一台持つてやりたいというものが、それは本来のトラツク事業者ではなしに、集配用だけのものですから一台でもいいということで許してあるのが多いわけでございます。
  142. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで今度は道路運送トラック営業の免許基準といいますか、免許上の基準もあるようですが、七の認定をする機関はどこになるわけですか。
  143. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 個々の免許をきめる場所でございますか。
  144. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうです。
  145. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それは運輸大臣権限の事業、例えばバスだとか、路線トラツクは、運輸大臣がきめる場合に運輸審議会に諮問して、その策申を尊重するということになりますが、陸運局長権限の区域小型トラツクとか、今後は区域トラックも陸運局長の権限に任したらどうかと思つておりますが、そういうものとかタクシー、ハイヤー事業のようなものは、陸運局長だけが自分責任において考えるということになります。従来は道路運送審議会に諮問をしていたのでありますが、それが廃止になりますから、陸運局長自分自身の責任において公正な判断をするという形でございます。その場合にできるだけ関係者の意見なり申出は聞こうと思いまして、聴聞会制度は拡張して活用しようと思つておるわけです。
  146. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは又後ほど……。
  147. 大和与一

    大和与一君 陸運事務所と関係のある話ですが、自動車行政が国家事務であるとすれば、現在第一線にある陸運事務所の職員の身分は、地方事務官から運輸事務官に切替えるのが適切じやないか、こういう気がするのです。第一線の職員は身分は地方事務官であつて予算と任命は運輸省というような崎形児的な存在であるために、非常に小安である。これに対してどういうふりなお考えを持つておられますか。
  148. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 疑問を抱かれるのは御無理がないと思うのでございますが、これは第一線の仕事でも自動車の仕事は、運輸省としてはこれは国家事務であると確信しております。従つて第一線の陸運事務所の諸君も、これは国家公務員として国の事務をやつてもらいたいと思つておるわけでございます。ところが現在は、身分と予算運輸大臣が握つておりますけれども、実際の仕事の指揮は知事の下にあつて、その監督を受けるというところは、いわば変態的な形でございます。こういうことになりましたのには、いきさつがございまして、まあ一つ考え方は、国家公務員として、国の事務として、運輸大臣から地方の末端に至るまで縦の線を一本貫くべきであるという考え方と、もう一つは、末端の仕事はこれは地方事務であるから、府県知事の下に入れて、行政事務の地方への委譲と申しますか、地方自治の強化といいますか、そういうことに合わすべきであるという意見とがありまして、それが二、三年前に対立したわけであります。その両者の議論がなかなか結末がつかずに、地方自治強化を早く実現しろというようなことから歩み合いがありまして、今のような変則的な形になつたのでございます。沿革はそのようなことで行われたのでありますが、お説のようにそれでは実際に合わないと思いますので、何とか近いうちにはつきりした、すつきりした形に一本に直したいというふうに念願しておるのでございます。
  149. 大和与一

    大和与一君 その一本にするのは、どつちのほうに一本にするのか、そのほうのお考えと、それからその明らかにお認めになつておるズレによつて、まあ首になるなんということはあり得ないだろうと思いますが、成積がいいとか悪いとかいうような実際の仕事は、地方事務官でやつておるわけですね。それでその任命とあれは中央でやつておるわけだから、中央機構と地方機構とのズレによつて不都合なことは今までなかつたか、或いは今後もその点は絶対にないか、安んじて仕事は今の通りでやつてもらつてよろしいと、それで近くこれは必ず一本化するように責任を持つて努力をするのだ、こういうふうに考えてよろしいかどうか。
  150. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 運輸省としては国の事務として、従つて国家公務員として一本にすべきであるという強い考えを持つております。そういう考え関係個所とたびたび折衝しておるわけでございます。従いまして陸運事務所の諸君も、運輸省の人間として全く同様に考え填おりますので、決してその点は御心配はかけないと思います。今までもそういうことで陸運事務所の諸君の地位を危うくしたり、その面倒を見なかつたりするようなことはいたさなかつたつもりでございますが、今後もそのつもりでやつて行きたいと思います。
  151. 大和与一

    大和与一君 その一本化のための今からの経緯ですね、いわゆるこんな恰好で話が進められ、大体いつ頃その話が若干具体化するというか、そういうふうな何かお見通しがあつたら一つお伺いしたい。
  152. 中村豊

    政府委員(中村豊君) これはたびたび運輸省としては関係の個所へ要望しておるのでりますが、なかなか話に乗つて来ませんが、その機会としては地方行政制度の改革ということが今も日程に上つておるようでございまして、その際にはつきりいたして行きたいと思います。又もう一つとしては、行政機構の改革といいますか、行政整理というのは言葉がおかしいと思いますが、そういう問題が又たびたび起つて来るでしようから、そういう機会を成るべく早くつかまえて、我々が正しいと思う線に早くいたすことに努力するつもりであります。
  153. 大和与一

    大和与一君 第二の点は、道路運送法、道路運送車両法、自動車抵当法の行政に当るべき陸運事務所の予算と定員は非常に貧弱である。徒らに行政機構を強化することは、これは避けなくちやいけないけれども、陸運事務所の場合は、業務量の著しい増加、車両数の増加というようなこと、そういうものに対して予算と定員が反比例しておる。これは十六国会でも衆議院の館氏が討論に立つて何か話をしたらしいですが、その結果、東京都の陸運事務所においては、昨年十月の身体検査の結果、百名中二十名の結核患者を出しておる。公務員の罹病率は〇・〇四八、最高は電通で一・二、こういうふうなことが実際にあるようですが、いわゆるさつきもちよつと話が出たけれども、需要と供給の原則ですか、本当に科学的に考えても、或いはその職場のいろいろな条件を判断してみても、その適正な定員というか、そうでないという場合には、当然これは予算にも拘束されるけれども、やはり殖やして、病気になつたり、或いは著しく労働過重である、こういうようなことはこれはどうしてもいけないことだから、そういうことについてどういう対策をお考えになつておられるでしようか。
  154. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 現場第一線の諸君の勤務が過重にならんように、そのような健康上の危険を冒さないようにというこれはいういろいろ苦心しておるのでございます。一番簡単な方法は、定員を殖やして予算をたくさんやることですが、これにはたびたび申すようにおのずから限度がありますので、その限られた範囲で今努力しておりますのは、先ず仕事を再配分して、陸運局と陸運事務所の仕事の重複をやめて、それによつて定員を実質的に生み出すということや、それから第二は、定員の再配置ということを考えまして、例えば非常に忙しい事務所には、比較的忙しくない陸運局なり陸運事務所から定員を持つて行く、或いは本省の定員を割愛するというようなことで、特に急場、困つておる陸運事務所を救済するということを現にもう実行しております。それから第三には、業務の簡素化ということを考えまして、現場、第一線で一番多い仕事は車両検査でありますから、車両検査について、保安上の必要は最小限度抑えなければいけませんが、無駄がなくて済むような検査なり手数というものはできるだけ省いて行こう、こういうように考えております。大蔵省も根本的には、車が増加すれば車両検査要員は是非殖やさなければいかんということは認めておるのでございまして、今年の予算でもその点は検査要員に関しては増員になつております。そういうふうに少い人の中でやりくり算段をして、重要な重点的な仕事は何とか人間を十分集めることによつて対処しておるわけであります。
  155. 大和与一

    大和与一君 全体から見て定員がやはり足りないだろうと思うのです、恐らく不足がちだから……。その場合に、今言つたように運行の安全を確保するためには、やはり重点的にそこに、これは大事な点だから人が寄つて行く、その場合に全体は殖えなくて、その他の職場が窮屈になる、それによつて今言つたような罹病率が統計的にも出ているらしいですが、そういうことになると結局これは何とかせにやいかんと思うのです。今病気のことに触れられませんでしたが、こういうふうな病気なんかが実際出ておるとすれば、やはり定員の配置或いは全体のバランスにおいてアンバランスがあるから、そういうふうなことになるのじやないか、こういうことも考えられますから、そういう点はやはり全体を殖やすという努力はされておることになるかも知らんが、なおそれに対してどういう具体的な対策というか、お考えをお持ちでしようか。
  156. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 私先ほど三つばかりの考え方があると申しましたが、このことは全部具体的に実行しておるわけでございます。で、各陸運局、陸運事務所の方に集まつてもらつて、納得の行くところで今のような重点的な配分をしておるわけです。又職員組合の諸君もいろいろ話しに来られるので、よく膝を交えて相談しておるわけでございます。まあ皆が満足するという状態には、これはまだちよつとならないのですけれども、まあまあ我慢してもらつていると今のところは考えておるわけです。併しそれだからといつ填、我々の努力は飽くまでも続けて、増員ということに頑張つて行きたいと思つております。
  157. 大和与一

    大和与一君 職員組合との確執はないんですね、大した確執はない……。
  158. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点はまあまあというところで、まあ我慢してくれておると私は信じております。
  159. 大和与一

    大和与一君 ちよつと違う質問ですが、東京都の自動車交通の調整といいますか、こういう問題でちよつと質問したいのですが、交通調整法というものが都にはあるらしいのですね。それに対して何とか最近国際自動車というのが一つ路線を取りたいといいますか、臨時的に便法的にやつておるらしいのですが、こういうことを、あなたのほうではこういう希望に対してどういうふうなお考えをお持ちでしようか。
  160. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点については交通調整法という法律かあつて、東京都内は、当時の方針としては、東京都で以て一元化する、まあ国鉄の昔の省線電車ですね、それから地下鉄、この二つは別にして、あと都内の電車、バスは全部東京都が一元化するという基本方針に基いて買収統合が行われたわけです。それはそのときにおいて勿論正しかつたし、そして完全にそれが励行されたわけでございます。ところが終戦後いろいろと事情が変つて参りまして、先ず各官庁を循環的に廻つて国家公務員、まあ役人を乗せる車が是非欲しいという要望があつたのであります。これは各省から、それに対して東京都にすぐ話を持込んだところが、東京都は、現在それだけの車はない、到底それに応じられない、断るということで断られた。それで他に適当なものがないかどうかと探したところが、今の国際自動車というのが手を挙げたので、それに委託したというのが事の始まりでございます。ところが官庁を廻るという便利なルートで役人だけしか乗せないということは、これは差別待遇であると、利用者、一般市民のほうから文句が出まして、役人だけが何か自分勝手に特権を持つておるように誤解して、我々にも乗せろという盛んな要望があつたらしいのであります。実際の車に対して、運転手、車掌に対してそういう要求があつた場合に、なかなか断わり切れずに止むを得ずずるずる乗せているうちに惰性で以て乗り癖がついたということであつたらしいのです。国際の免許は官吏だけを乗せるという免許でございますから、一般人を乗せるということは違反であるというので、陸運局長から差止め命令を出した。それによつて、国際はそれを守つて現在はやめておるのです。ところが乗り癖のついた一般市民は、非常に不便であるというので承知しなくなつて、これを開放して我々も乗せろという強い要望が行われた、それに応じて国際が一般免許をくれという申請を出して来たというのが今までのいきさつであります。  それに対する考え方をどうするかという問題ですが、何かそういうふうな便利なルートに車を動かしたという場合に、一般市民もひとしく乗れるようにするということは適当であろうと思うのです。ただ問題は、実際はそれを国際に許すか、或いは交通調整法で曾つて一元化の責任を負わされた都に許すかということだけが問題であろうと思うのであります。その点は先般公聴会をやつたそのときの事実や何かをよく研究して、目下慎重考究中なんですが、その場合に交通調整法という沿革を十分に考えると共に、一般市民の要望を満たす、又それまでに払つて来た国際自動車の犠牲的な業務というものをどう考えるかということを噛み合せて、何か妥当な結論を出したいと思つておるわけであります。
  161. 大和与一

    大和与一君 その交通調整法というのが、昔できた当時はそれで十分に賄えたと思うのですが、その後東京都の交通量の激増によつて、殆んどそれは名前ばかりで実際には役に立つていないのじやないか。これはまだよく研究していませんから、ちよつと言葉が足りんかも知れませんが、そうなると、そういう交通調整法を若し新らしく作るとすれば、東京都全体の交通政策からいつて、これは当然考えなければいかん。そういうことを今すぐ、まるで流れるような交通に対して、あなたのほうでできるかどうか。若しそれが簡単にできないとすれば、これは非常な大問題ですから、よほどこれは詳細に研究をしてやらなければならんし、当然今までにやらなければならないのであつて、あなたの力でなくて、むしろ怠慢であつたと私は思います。そうなると、今言つたような問題が若しも新らしくできて、そうしてそれに似たようなことがあつちこつちでもうすでにあるらしいですね。国際自動車だけでなくして、只今そういうことをやつておるところがあるわけです。それでも皆虎視眈々として、少しでも伸ばそうということを考えておるわけです。そういうこととの兼ね合いとかいろいろお考えにならなくちやならんと思うのですが、何か今国際自動車に対してそれを許すとか、そういうようなことは別にお考えになつていないのですか。
  162. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 交通調整法とかいう法律の問題は、これはいわば行政のやり方といいますか、そういう場合にどういう方法がとれるかということであつて、根本的に誰にやらすか、これは一元的にやらすべきか、競争会社を認めるかということは、道路運送法に基いて、この法の精神によつて運輸大臣が交通政策としてきめるべきことだと思うのであります。それできまつた政策を実行する場合に、交通調整法のテクニックが使えて、或いは要するに強制買収、強制合併ということを命令できるという権限を、運輸大臣及び建設大臣も入つておりますから、それに与えたという法律なんです。交通調整法そのものからはこの問題は出填来ないので、むしろ道路運送法なり、その他一連の法律によつて運輸大臣がどういう政策をとるべきかということが出て来ると思うのです。その辺を今いろいろ考えて、ひとりバスだけの問題じやなくして、鉄道とも噛み合せて考えておるわけであります。
  163. 大和与一

    大和与一君 道路運送法と交通調整法との関係はわかりましたけれども、私がお聞きしたがつたのは、道路運送法、何もバスだけでなくして、あらゆるすべての交通機関を含めたいわゆる交通調整とか、統制というか、そういうことが当然考えられなければ、東京都の交通は混乱をして来るばかりだと思うのです。そういうことを考えておられるかどうか。或いは今後どういうようなことを考えておるか。それを考えれば、おのずからあらゆる交通機関がどういうような形であるべきかという姿が出て来ると思うのです。併しそれがなかなか簡単にできないとすれば、今具体的に出ておる交通調整法によるか、それは別としても、とにかく国際自動車から出て来た問題が、これは交通の調整上いろいろ混乱を導くようなことがあつては困ると思うのですが、それをただぽつと出て来たから、まあ一応利用者に諮つたら便利だという、私も随分利用しているけれども、闇は随分あるですよ、皆インチキで、私は一番よく知つているわけです。そしういうことを取締つているつもりでおるけれども、つもりだけで実際はなかなかできていないです。そういうことはなかなか一片の通知じや駄目なんです。そういうようなことを考えると、やはり東京都全体の現行の交通調整法か、それを基礎にした考え方に立つても、よほど慎重に考えて頂かなくてはならんのじやないかと考えるのですがその点如何ですか。
  164. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 交通調整全体は、鉄道まで含めて、非常に重要な問題だし、都市計画まで触れなければいけない問題だと思いますので、これは簡単に結論は出ないと思います。これは運輸省全体の大きな政策であり、運輸省だけじやなしに、ほかの官庁も関係すると思いますので、それはそれとして根本的に研究しますが、この問題をそのためにいつまでも遅らすということは、これは非常に各方面から怠慢を責められておるわけですから、成るべく早い機会に、混乱を起さないうちに妥当な線を出したいものだと思つております。
  165. 大和与一

    大和与一君 私の言つているのは、やはり根本策を等閑視しては、現実の具体的な解決はないと思つているのです。だからそれは、その完全な根本策はできないにしても、やはり大筋は一つ運輸大臣考えて頂いて、それでこれは年々東京都が人口も殖える、地域も殖えるのたから、こういう全体を日本で誰かがちやんと睨んでおつて調整をして行かんと、そういうふうなことについて、そんな小さいことばかりやつたつて、恐らく混乱がひどくなるばかりだと思う。ですからそれでやはり大綱は立ててもらいたい。そういう大綱に立つてやる、こういうふうにしてもらわんと困る。それはそれとして一つ促進してもらいたいと思います。そうして今の具体的な問題は、東京都がその当時どういう理由で断つたか、その当時の輸送量或いは市民の熱望した輸送の地域なり路線というものは、ここで今動いている形でなくて、やはりそのときの実際に許された、或いはやつておつた路線が、一番市民大衆としては渇望しておつたところで、それにやはり重点を置けばおのずから力に限界があつて、それでもできなかつたかどうか、そういう、その他の詳しいことは知らんけれども、そういう理由もあつたのかも知れないと思いますから、そういうことを十分考えて、その辺は一つ公平な判断をして頂きたいと思います。
  166. 中村豊

    政府委員(中村豊君) お説のような点は十分勘案して、公平な判断をして見たいと思つております。
  167. 大和与一

    大和与一君 ちよつと蛇足になるかも知れせけれども、国際自動車が、運輸省関係の人がやめていろいろとあちごちで生きて行かにやならんから、そういうふうなことを考えておる人もおらんでもないようなことも聞くけれども、そんなようなことはちよつと蛇足に過ぎるかも知らんが、一つ十分公平にやつて頂さたいと思います。
  168. 大倉精一

    ○大倉精一君 自動車運送協議会のことについてちよつとお伺いしたいのですが、自動車運送協議会は、この提案理由説明によると、適正供給輸送力の策定をするのだ、そういう問題について陸運局長の諮問に応ずるのだとういことによつておるのですが、その適正供給輸送力の策定ということは、非常に具体的な問題としてむずかしいと思うのですが、その策定の具体的な方法として、どういうようなことを考えておられるか伺いたい。
  169. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 適正供給輸送力の策定という問題を大きく取上げたのは、免許基準にもありますように。免許の際の重要な審査項目に、供給輸送力と輸送需要量との睨み合せ、均衡ということがあるわけです。その場合にそれが非常にむずかしいのでありまして、いつも審査するときに大問題になるわけであります。そこで道路運送審議会が従来はそれを検討していたのでありますが、それがなくなりますから、陸運局長だけで聴聞会をやつて研究するという程度では不十分だと思いますので、こういう各方面関係者が参画される協議会でその点を先ず慎重に検討し填頂こう、こういう趣旨にしたわけであります。  そこでその構成にもありますように、事業者の代表のほかに利用者の代表の方、それから学識経験者という第三者的な立場の人も入つてもらつて、むずかしい問題はあるが、慎重に検討して頂こうとしたわけであります。むずかしいことはむずかしいが、何といつても、これに取つ組まなければ問題は解決できませんから、重要な審議事項に掲げたわけであります。
  170. 大倉精一

    ○大倉精一君 この重要な問題は、結局新らしく免許する、しないというような大きな基準になると思うのですが、そこでこの問題が空文になつてはいけないので、実際具体的に適正供給輸送力の策定をしてもらわないと、非常に各方面が迷惑をする。そこで従来運輸審議会というものがあつて、そういうことをやつておつたと思うのですが、この運輸審議会の運営等については、いろいろ好ましくないことも聞いております。従つて今度できる自動車運送協議会というものの構成についても、非常にこれは重要な問題だと思うのですが、この構成の中に、衆議院のほうの質問でお答えになつておるところによると、各種団体にも諮問するのだ、こういうようにお答えになつておると思うのですが、この各種団体の中には、関係労働組合なども含んでおるのかどうかということについてお伺いしたい。
  171. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 労働組合という形で考えるのは適当でないかと思うのでありますが、利用者としては勤労大衆というような資格で、利用者のうちの最も大衆的な意味合いから、そういう方面にも意見は聞かなければいけないと思いますが、労働組合というと、何といいますか、経営者組合と並んだ性格における労働組合に対しては、意見をお尋ねするのは適当でないかと思います。
  172. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の聞いておるのは、労働組合というものが、いわゆる資本家側と対立する一つの団体であるというそういう性格の前提で以て聞いておるのじやないのであつて、この学識経験者という中には、この事業に永年従事するところの従事員というものは、非常に大切な経験者であると思うわけです。従つてその従事員の意思を集約しておるところは、やはり労働組合という組織を持つておるので、そういう意味合いからこの学識経験者の中には、そういう団体も相談をされる中に含んでおるのかどうか、こういうことを申上げたので、労働組合というと何でもかでも労使対立する団体であるかのような印象を以て、この問題に関する限りお答えになつては工合が悪いと思うのです。そういう意味合いで私はお尋ねしておるわけです。
  173. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 学識経験ある者の中に、利用する大衆という意味で労働関係の方も考えるべきだと思つてりおます。そういうことについて適当な人を得られるように、選考の際にはその趣旨を通牒で以て明らかにしようかと思つております。
  174. 一松政二

    一松政二君 議事進行について発言をいたしたいと思います。  今朝十時から委員会をやつて、もう大体申合せの四時半を過ぎたと思いますが、私もまだ大倉委員或いは大和委員の御質問に関連する質問もあるのですけれども、これは又長くなつてしまうから次の機会に譲りたいと思います。どうか今日は大体申合せの時刻は過ぎておると思いますから、この程度で他日に同僚議員も留保をされるようにお願いたしたいと思うのですが、如何でしよう。
  175. 前田穰

    委員長前田穰君) 大倉君よろしうございますか。
  176. 大倉精一

    ○大倉精一君 非常に重要な質問に差しかかつたのですが、皆さんの御意向がそうであるとすれば、次回に続けてやらして頂きます。
  177. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  178. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始め填。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時三十六分散会