○仁田竹一君
運輸大臣にこの
地方鉄道軌道整備法案の
提出になりました機会に御意見を承わ
つておきたいと思います。
地方鉄道軌道整備法案の提案理由を拝見いたしますと、その
地方鉄道或いは軌道の
目的、ここに書いてありまする国土の総合
開発でありまするとか、
産業の発達でありまするとか、或いは又
天然資源の
開発だとか、生産コスト、旅客
輸送の緩和と、すべてが海上の
輸送業者の
目的と同じことなんであります。同時に又
国有鉄道の新設或いは省営バスの運行されることによりまして、民間の海運業者がこうむ
つておりまする損害も、又等しくこの
地方鉄道並びに軌道に付けておりまする理由とこれ又同じことなんであります。然るに海上
輸送のほうにおきましては、漸く離島にのみ限られました離島航路
整備法によりまして漸く利子の補給ができるだけの
法律が現在ありまするだけで、同じ事情にありまするにかかわりませず、
地方鉄道軌道整備法案におきまするように、例えば
地方鉄道軌道の受くる損害の補償でありますとか、或いは投下資本の何分の範囲内における国庫の
補助でありまするとか、借入金の利子の一部、或いは地方税も固定資産税或いは事業税の減免、特に又それらの
運輸開始後十年を経過しないものはこれとても
新線とみなすといつたような特例までも設けまして、非常に
地方鉄道或いは軌道の損害に対しましては至れり尽せりの
法案が現在
審議されつつあるわけであります。ところが一方前に申しましたように、海上の運送事業のほうに至りましては、離島にのみ関しまして利子補給の一部ができたというだけに至
つておるわけでありまするが、大臣も御案内のように、
地方鉄道或いは軌道とは、何と申しましても地方の有力者であり、而も大資本を擁しておりまする
経営でありまするけれ
ども、この海上の運送業者、特にローカル的な地方の海上運送業者は御案内のように非常に弱小資本でありまして、而もその多くは一艘二艘という小さい船主が多いのでございます。従いまして戦時中の統制は別といたしまして一その後ばらばらになりまして、未だに統制された団体すらもない、まあ漸く昨年でありまするか、地方の小さな定期船業者だけが寄りまして定期船協会というものができましたのもまだ一年に足りない。こんなふうでありまして、
自分たちが
国有鉄道によりまして非常に損害を受けておりながらも、まあお上のすることだからこれはしようがないだろうというふうにして我慢をし、又その
自分たちの権利と申しまするか、損害を主張し得る機会も力もなかつた、こういうふうな現状であつたのでございます。そこで今日のこの
法案を見まするときに、同じように
国有鉄道或いは省営バスによ
つて受けておりまする海運業者も、このようなやはり損害に対する
考え方が当然でき得るはずのものではないかと、このように存じておる次第でありまするが、現在
鉄道或いはバスによ
つて受けておりまする海運業者に資料を調査なさしめておりまするが、相当数あると思いますし、又私が承知しておりまするものも相当ございます。折角大臣においで願いましたので、この機会に私が今申上げましたような海運業者に対しても、
鉄道によ
つて受けまする損害について、
地方鉄道と同じようなお
考えをお持ちになりまするかどうか、この点について御意見を承わりたいと思います(