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1953-07-14 第16回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事      入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            大倉 精一君            木島 虎藏君   衆議院議員            關谷 勝利君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省海運局海    運調整部長   植田 純一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉蔵君    運輸省鉄道監督    局民営鉄道部長 山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸省海運局定    期船課長    岡田京四郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海上運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方鉄道軌道整備法案衆議院提出)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  先ず海上運送法の一部を改正する法律案を議題に供します。  前回に引続き質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  3. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 最近生じた、小さな船舶事故によつて起きた損害、特に人の損害に対して、どういうような事例があるか、補償賠償、その事例一つ承わりたいのですが……。
  4. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 局長が不在でございますので、私から御説明申上げます。  国内の定期旅客航路事業におきまする事故の実例でございますが、戦後のめぼしいものを挙げまして、十ぐらいございますが、瀬戸内海方面で関西汽船の女王丸、これは触雷でございますが、昭和二十三年に沈没しております。そうしてこれは二百三十人の船客死亡又は行方不明にさしております。それから二十四年に川崎汽船の青葉丸というのがやはり沈没いたしております。これは九十六人ばかりの船客死亡及び行方不明というものを見ております。それから同じく二十四年に八千代汽船というのの美島丸というのがやはり沈没しております。これも四十八人の死亡、行方不明というものを見ております。それから小さい事業者で、瀬戸内海のほうでございますが、これは昭和二十六年に個人業者かやつております船が沈みまして、これも船客を四名殺しておるわけであります。その他数個の事例がわかつております。それから又今年に入りましてからで、五十トン未満のほうの船について申上げますと、瀬戸内海方面、それから志摩の湾内、それから東北方面等にも……それからもう一つ九州の上五島でございます。ここでも船腹の事故が起つておりまして、それぞれ船客を殺しておるわけでございます。こういつたようなのを最近の一応の事例として申上げておきます。
  5. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 それに対してどういうような……例えば二十六年、二十八年の小さな会社、特に個人業者乗客つた被害者に対してどういうような措置がとられ、会社にどういうような影響があるか、それについてちよつと……。
  6. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 先ほど申上げました二、三の事例におきましては、死亡者一人当り見舞金が、これは非常に区々になつております。昭和二十三年頃で二万円、見舞金として二万円、或いは葬祭料として一万五千円というふうなものが出ておりますが、これらは時価に換算いたしまして五万円程度じやないかというふうに思つております。それから小さい事業者のほうの例でございますが、先ほど申上げました昭和二十六年に瀬戸内海のほうで起りました個人業者のであります。これは見舞金として三万円程度をやつております。そうしまして、この個人業者の場合には、船を寄附いたしましてその賠償に当てているわけであります。そのために個人業者でありましてその船一隻でやつておりましたものが、その船を提供いたしたために爾後事業を実際上継続して行くことができないというふうな事態になつております。そういつたのが最近の例でございます。
  7. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 そういたしますと、今の、お見舞金程度の三万円ということで、これはそれ以上できないからというのでこれでけりをつけてるということでございますか。
  8. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 御説の通りでございまして、実際上これらの事業者が十分の保険等をつけておりませんために、無い袖は振れないということで、被害者のほうを泣寝入りさしておるといつたような恰好になつているわけであります。
  9. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 それからこれらの事故は、何と申しますか、不可抗力的な事故が多かつたのでございますか。
  10. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 事故が起りました場合、これは必ず海事審判に廻します。そうして、これが不可抗力であるか、或いは船員その他乗組員の過失であるかということを審判するわけであります。只今手許の資料では、どういうのが不可抗力であり、どれが責任事故であつたかということはわかりませんので、後ほど調べてお答えいたします。必ずしも不可抗力と思われない事故が相当あるのであります。
  11. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 この定期航路を永続的に確保するということも必要だと思うのですが、やはり危険が予想されないことはないので、特に今のお話の瀬戸内でこういう事故が出て来ている。昨日海運局長お話によると、北海道等には非常に危いからこれをやるというお話があつたが、今の事例を伺うと、むしろ非常に安全な内海でかなり起きているのでございますね。それに対してやはり旅客の……これはないからということでは、誠に申訳ないように思うのですね。今度の措置によつて一体どういうことになりますか、そこらの見通しを少し伺いたいと思います。
  12. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 昨日も御答弁申上げましたように、私どもといたしましても行政指導といたしまして、定期航路を営んでいる業者ができるだけ船員保険を付するということをいたしております。その方法といたしましては、先日申上げました団体的に保険で加入するという途を開いているわけでございます。それから行政指導をいたしまする場合に必要な保険料等については、料金認可の際に、料金構成要素としてそれを加味して認可する、実際上業者保険に加入しても、それが大きな負担にならないようにする、こういつたことであります。実際土命令を発しますのは、先日申上げましたように、客観的に見まして非常に危い、而も事故が起つた場合に、どうも会社としての支払能力がないというふうな場合に、どうしてもその会社が入ることを肯じないというふうな場合のみの限定じやないか、かように私考えているわけであります。できるだけこの法律は、伝家宝刀として抜く場合は限定するようにしたい、他は行政指導で実際の効果を挙げるように、こういうふうに考えております。
  13. 岡田信次

    岡田信次君 第四十四条なんですが、昨日のお話旅客定期航路事業に関しては、四十四条の、川や湖が海上と同じようになつたのですが、そういたしますと、現在湖だとか沼だとか川で以て、この海上運送法に言われております船舶運航事業以外の船舶貸渡業海上運送取扱業海運仲立業海運代理店業検数業鑑定業及び検量業というのが行われているのかどうか。
  14. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 河川湖沼におきましても、やはり自分が船を持つてつてそれを貸す、こういうものがありますれば、これは海上運送法による貸渡になるわけであります。従つて河川湖沼でも、そういうものが多少は存在するかと思います。併し今度の改正の狙いは、一般的にそういうものじやなしに、河川湖沼において定期航路事業を営んでおるもの、これを対象とするわけであります。
  15. 岡田信次

    岡田信次君 そういたしますと、大体河川湖沼における主なる、何といいますか、運送業は、船舶運航事業であるというふうになりますれば、河川湖沼と、海上と、分ける必要がないのじやないか。四十四条はやめちやつて、どこか第二条の二項かなんかに加えたら、四十四条は削除しちやつていいのじやないかと思うのですが、如何でしよう。
  16. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 一般的に見まして、海上においては危険性その他から見て五トン以上を、海上運送法もそうですが、その他の法律も大体そうである。ところが河川湖沼においては危険性その他から見て、大体二十トン以上を対象にしていいだろう、こういうふうに考えております。今度改正対象にいたしますのは、二十トン未満の中の定期航路事業だけであつて従つて定期航路事業以外のものにつきましては、従前通り全然法の対象にしないというのが妥当じやないか、かように考えております。
  17. 岡田信次

    岡田信次君 ところが二十トン未満というこ五トン未満も入るでしよう。
  18. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 勿論入ります。その場合は定期航路事業だけでございます。
  19. 岡田信次

    岡田信次君 それはわかるのですが、定期航路以外のものはそう多くない。いわんやほかの船舶運航事業以外は殆んど少いというのでしたらわかるのですが、わざわざ河川湖沼規定を設けなくても、一つにしてもいいのじやないか。
  20. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 多くはございませんが、やはり船舶貸渡業なり或いは海上運送取扱業なり、こういうものを営んでおるものがあるわけであります。従いましてそういうものに必要がないのに、徒らに煩雑なことをさせる必要はないかと思います。
  21. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 もう一度第十九条の二について伺いたいのですが、今言つたようなことは大体危なつかしいというようなことは行政監督上わかるわけですね。危い経営をしている、資本的に見ても又運航のやり方を見ても又場所的に見ても危いというようなことはまあわかるので、そういつたときにはこの十九条の二の「旅客定期航路事業を永続的に確保し」ですが、場合によつては非常に営利主義で無理にお客を乗せる、改善命令にも従わないというような場合は、むしろそういう業者は永続的に確保するよりはやめさして、そうしてむしろ命令航路のようなものを補助してやるとか、そういうことが望ましいのですし、それから「旅客利益を保護するため必要がある」というところの、この「旅客利益を保護する」ということは、一体永続すること、確保することによつて利益を保護するという意味か、それとも万一のことがあつた場合に旅客を何というか、先ほどの、僅かの金より出ないということじや困るから、もう少しお客にも生命財産を保障すると同時に、若し万一のことがあつた場合にはもう少しそれに対する見舞なり補償なりをよくするという意味なのか、そういうような点について御意見を承わりたい。
  22. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) これはちよつと私から御答弁申上げるのも如何かと思いますが、この趣意は両方を狙つておるわけです。先ほど定期船課長から御説明申上げましたように、一旦事故が起りますと、この保険に入つていません場合にはその船会社がそれでまあ潰れてしまう。そういうふうなことになりますと、その航路が非常に重要であるにもかかわらず航路経営できなくなる。これをまあそういう虞れのないようにするのが一つ。それからもう一つは、旅客の死傷に対しまして十分の償いをして旅客の立場を保護する。こういう二面をやるわけであります。
  23. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 その二面はわかるのですが、そういう意味ならば危なつかしい、経営のできないところを放つて置いたんじや旅客利益を保護することにならないので、そういうことの起きないうちに国としてはもう少し強い方法をとつて、いわゆる命令航路、それが必要欠くべからざる航路なら、今はそういう航路があるかどうか知らんが、命令航路のようなものにして、国がそれをもつと保護してやらなければならん、経営の補助もしてやるようなことが適当なんじやないかと思われますし、それから旅客利益を保護するためという意味が、その万一の場合に今のような涙……。悪い言葉になりますけれども、これより出せないからということで、私も苦い経験があるんだが、生命財産に対して二万円とか三万円というお金で、それで終りにしてしまうことは如何にもどうかと思われるのですが、而も昨日もちよつと委員のほうから話が出ましたように、事故というのは忘れたようなときに来るので、一般の場合はお客は安いほうがいいので、保険料二分五厘くらいだというお話でしたが、それが又運賃に加算されるということになるので、事故がなければそのために運賃が上るということはお客利益にならないのですね。而も一朝事がある場合にどの程度のことができるか、さつきお答え頂けなかつたが、今度の保険契約命令することによつて一体どの程度見通しまでお客生命財産の保障ができるか。その点についてもちよつと伺つておきたい。
  24. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この保険加入せしめることによりまして大体今定期航路事業者団体としてかけております保険金額は、二十五万円と五十万円の二種類にしております。従いましてこれはまあ企業の規模によつて二十五万円の保険に入るものと五十万円の保険に入るものとあるわけですが、従いまして少くとも二十五万円までは払えるように相成つております。これはまあ一面におきまして旅客負担に相成りますると共に、一方において定期航路事業を営んでおる者もいつ事故が起るかわからない、併し事故が仮に起つても、まあ三万円か、三万円はひどうございますが、十万円くらいで話が済ませることはできるであろう、ところがこの保険に入ると少くともまあ二十五万円くらいは払わなければならない、徒らに負担を負うようになるんじやないかというのでいやがる向きもあるのでございますが、併しまあ一般通念として事故が起つた場合に三万円とか五万円の涙金で以て済ますべきものじやなかろう。従つて業者としては是非ともこういう保険に入つて事故が起つた場合の措置を講じておくべきであるというのが私ども考えで、まあそういう考えの下に業者を指導して参りたい、かように考えております。
  25. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 さつきの海運局長お話伝家宝刀命令はしない、行以指導で行くつもりだというお話がありましたが、一番必要な業者行政指導になかなかこれは従わないので、むしろ先ほど個人業者の場合のお話がありましたが、たとえ犠牲者が四人であつてもこれはなかなかそういう小さな業者ですとこういうふうなことになつてしまう、一人当り本当涙金……。そういうところが一番この十九条の二を使うことが必要だと思うのですが、伝家宝刀としてしまつておいてそれを行政指導としてやられるならこの規定は要らないし、この規定を無理に使えばずるいところはなかなか承知したいというようなことが予想されませんか。
  26. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) お説の通りその辺は非常にむずかしいかと存じます。まあ小さい業者ほど財政的に非常に苦しうございまして、従つてこの保険の掛金が非常な負担に相成るわけでございますが、併しこれはそう一挙にそこまで持つて行くことは困難でございます。大きい業者から漸次そういう保険思想を普及して小さい業者もこれは入らなければならないものだというふうなところに無理なく持つて行く、かように考えるわけであります、従いましてこの法律が施行されたから従つて行政指導をバツクにして強化してすぐ全部これに入れようということを考えるのは非常に無理だ、漸次そういう方向業者を持つて行くようにしたい、かように考えております。
  27. 一松政二

    一松政二君 僕は關谷さんに一つ伺いたいのだけれども、この法律の目的は、つまり人命に若しものことがあつたときにその人に対して会社がその保険金或いは見舞金を出せるようにしてやるというのが主眼なのか、或いは船の安全ということは結局乗客安全性を守るということになつて、それからもう一つにはいわゆる零細企業もつまり維持育成しようというのが……、まあ關谷さんはそういうお考えだろうと思うのだが、そこにちよつと新らしく零細企業負担がかかつて、そうして負担のかかりつぱなしというようなことになる危険はないのですか。従つて若し負担のかかりつぱなしになれば、それだけ零細企業者圧迫することになるのですが、その辺はどういうお考えですか。
  28. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 大体この法律主眼といたしますところは、事故をなくしたいというようなことから、船舶安全法、それから船舶職員法というようなものの一部改正も行うものでありまして、第一に安全性を確保いたしまして事故を未然に防ぐことが第一義であります。万一事故が起きました場合に、これは又その弁償、賠償能力などがないようなことがあつた場合に迷惑をかけるからその場合にも迷惑のかからないようにしたい、こういうふうなことでありまして、若し零細企業はそういうふうな事故に一たび出会つたあとに永続できない、こういうふうなことになりますので、保険をかけさしてそれによつて賠償さして依然として永続することができる、従つて乗客の便利を図ることができるというふうにしたい、こう考えておるのでありまして、負担のかかりつぱなしというふうに……、これは事故のことでありますので、それは絶えずあつては大変なことでありますが、その有事の際に、平生これが大体平均いたしましても百分の二・五くらいにしかならんのでありますが、その程度のものは負担をし切れるのではないか。それによつて万一の場合自分会社も守り乗客にも迷惑をかけない、こういうふうな気持であります。
  29. 一松政二

    一松政二君 昨日仁田さんのお話を聞くと殆んどまあ船舶の償却は愚か、配当金どころか金利さえも払えない、これは大船会社でもそうですが、そういう小さな零細企業者がそうであるかどうかは存じませんが、大体考えて今とにかく保険料をそれに払うことになれば、それだけ運賃或いは渡し料に追加し得るかどうか、追加し得ないことになれば私はそれだけ圧迫することになると思う。そうすればそれだけ零細企業者圧迫するのみならず、船舶安全性を保持する。危険を予防する、これは丁度労働問題における労働組合法基準法と同じ考え方になる。大小業と零細企業中小企業者との間にあつて、今日いろいろ中小企業安定法考えつて労働基準法特例が設けられない限り、これはなかなか言うべくしてむずかしいことなんです。殊に労働組合法或いは労働基準法特例を設けることそれ自身が又一つの欠きた問題になりかねない。従つてここにも零細企業を……、いわゆる安全性という一般的の概念は結構なことですが、その零細企業をそれによつて圧迫することには私は依然として変りないと思うのですが、そういうことは圧迫があつてもあえてそれを国家は断行して行こうと、こういうお考えですか。
  30. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 大体この保険料あたりは何と申しますか、平均してもう二・五%というのでありますので、これは非常に何と申しますか金額にいたしましては非常に少いのであります。なお将来の運賃の上に加算をいたしましても極めて少額のものでありまして、私はその程度のもので乗客も安全であり便利である、なおそういう営業者も救われるというのでありましたならば結構であろうと私は思つております。
  31. 一松政二

    一松政二君 そこで私はこれはむしろ全国引つくるめて一つプール作つて、そうして非常に安いレートで、損害保険会社がこれを又プールを作るなり何なりして、そうしてこれをその特殊の……、それは危いからそれを付けろとか何とかいうことは、それは昨日の質問で私はできないと思うのです。安全だ不安全だということは、これはそんなに簡単にわかるものじやない。危いと思えば危いだけの準備と心がまえを持つてつておりますから、私は木登りの例を引いたわけでありますけれども従つてこういう法案を出されればそれに対抗して、もつと今度は損害保険が全国的に考えて、そうして乗客もまあ命は一番惜しいのですが、万一の場合にはそれが金銭的に、例えば飛行機に乗れば少くとも乗つたときには何がしか日本航空が今しておるようなふうに、船に乗れば船会社負担にもならず乗客負担にもならず、と言えばまあ国家補償するかという問題が起りますが、併しプール計算にすれば非常に私は僅かなことで済むと思うのですがね。一年に過去の例を調べてみればそうたくさんのケースはないと思う。併し万一の場合に遭遇した人はその零細企業者も乗つている人もこれはもう大変なことになつておるわけで、一体にそういう思想は普及して行きつつある。でここまで、五トン以下まで拡張される必要があれば、なぜそういうところにこれを持つてつてもらえないかということが私は少しこの法案に対する不服です。ただここまでやつたのでは、ただ圧迫と……、そうしてまあ大小企業の間にもおのずからまあ幾らでもありますから……、私が先ほどから言うのは負担のかけ放しだというので、これは必ずその間にも議論があると思うのです。まあ小の間には小の間で競争があり、中の間には中の間競争があり、今度中小があれば大との間に競争があるが、どこかに有利であつてどこかに悪いという問題がこの法案にも伏在しておる。従つて零細企業圧迫する。零細企業圧迫することは、關谷さんは大いに零細企業奨励者だと私は思うので、どうしてこういう法案をわざわざ御修正になるか、御修正になる以上はもう一歩進んで殆んど負担にならずして全体的に安心だと、何があつても、あつたときにはまあそれに相当しなくても多少慰められると、これは丁度保安庁の係官がいなくても水害の何に赴いて、そうしてそれを救助した者に対しては国家責任をとろうというあの考え方もあるわけですし、非常に稀に起るケースであつて、ここまで政府が世話をやくならば、なぜもう一歩そこまで進まないか、そういうことに対してどうお考えになりますか。關谷さんから一つ伺いたい。
  32. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) お説の通りでありまして、大体理想といたしましてはそう持つて行きたいのでありますが、法文はこのようになつておりましても、大体今申しましたようにプールでやるというふうなことになりますと非常に保険料も安くなりますので、行政指導をいたしましてその方向に持つて行きたいと、こういうふうに考えておるのでございます。大体法はこのようになつておりましても、非常に安くなれば、従つて船会社負担も安くなりますし、そうして広い範囲に救済ができますので、できる限りその方向に持つて行きたいというのがこの法案の趣旨なんです。
  33. 一松政二

    一松政二君 ところが私は考えるのにそういう組合ができたり或いは保険会社契約ができるような所は一応そういう思想も発達しておる、或いは場合によつて事故もあつたかも知れない所だと思うんです。ところが全国的にこれを見れば殆んど無事故の所も非常にたくさんあるはずですし、従つてプールすれば非常に私は安いものになつて、乗つている人もそんなのが自分の渡し銭の中に入つているのか、入つていないのか知らずにそのまま私は行けると思うんです。そうすればこれは業者も非常に軽くなるし、乗つている人もいい。そうして今団体団体とやつていると言うけれども、そういう所はよくわかつているわけです、わからんところの田舎で安心している所に事故があるんです。安全だと思う所に事故があるんです。事故のある所には船舶の安全というよりも乗客の無理がかなりそれに左右する場合が多いわけです。乗るな、乗るなと言うてもそれに乗らなければ今夜帰れないとか何とかいうことになれば超満員で乗る。これを又海運局長係官取締るというようなそんな係官も何もいやしないし、行政指導取締ろうといつたつて、あの電車の鈴なり、それからバスの鈴なりを、あれほどの取締規則がありながら、これをどうすることもできない。私はそういう場合に事故が起る危険がある。従つてそういうことも全国的に見れば殆んど僅かなことで済む、従つてそういう方向に持つて行くことがこの法案修正し或いは通す前提と私はしなければならんという考え方があるわけなんです。如何ですか、海運局長から一つ
  34. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) お話通りでありまして、現在はこの二十トン以上のものだけの旅客定期航路事業者だけの組合になつておるんですが、この法案が通過をいたしますとやはりこれが許可の対象というようなことになりますので、やはり実態がはつきりつかみ得ると思います。従つてそういうような零細なものもこれは組合というようなものに加入させるというふうな面、まあ負担金等は殆んどかけないというような程度組合に加入させることができると思いますので、そういうふうな斡旋をさせまして、先ほどお話になりましたように、殆んど全部が加入し得られるようにたくさん加入いたしますれば料金従つて非常に低廉になつて来るんですから、二・五%から一%になりますが、うんと安くなると思いますので、そういうふうなところへ持つてつて殆んど全部が入り得るようなことにいたしたいとこういうふうに考えておるのであります。
  35. 一松政二

    一松政二君 今の、關谷さん、二・五%というのは保険料ですか。
  36. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 保険料であります。
  37. 一松政二

    一松政二君 二・五%という保険料運賃の……。
  38. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今の關谷さんからの御説明、ちよつと補足して申上げますが、只今二・五となりましたのは運賃額の二・五%と、こういうのであります。昨日申上げましたように、人間一人に幾らというのでなしにその航路について年間幾らの人間が動いて、大体幾らの運賃額がある、従つてその会社は幾ら保険料を払うか、そうするとその会社航路事故が起きました場合二十五万円の口に入つていると一人当り二十五万円と、こういうことになる。
  39. 一松政二

    一松政二君 私はね、この十九条の二ですか「命ずることができる。」と、「必要があると認めるときは、」というのですが、私の意見では必要があると認めたときは遅いのであつて、そうして必要のないと思つているところへ事故が起るのですから、この点は私はよほど考えて頂かなければ、事故があつたからそこが事故が又再びあるというのじやない、あつたら却つてなくなるのですから、事故があつたからないときにはそれじやどこを認めるかというと、これはなかなかむずかしい。そこで私は法自身が少し、こういうものを律するには、むしろ全面的に入らなければならんというなら又これはわかるのですけれども、必要があると認めるということは、行政官庁、まあ広く言えば政府ですけれども、一行政官庁がこれを一応認定する場合が若しあつたら、地方の海運局長がこれを認定するということは、私はこれは非常にどうかと思うのです。これは非常に認定はむずかしいので、これは別に罰則があるわけでもなければ何でもないでしよう。従つてそういうふうに認定したからといつて、命じたからといつたつて必ずしも入らんかもわからない。まあ入るほうが本来から言えばいいのです、そういう事故があつたときにはいいんだけれども保険料が高いというと、そういう問題がある。組合に入つてるほどの人ならば私は問題ないと思うのですけれども、五トン以下にした場合には、組合に入つてない人ばかりだと思うのです。今言つたこの原案ですと、二十トンですけれども、五トンまで下げると組合に入つていない人はかりなんです。そういう人を網羅するということになれば、むしろ一歩を進めて全部入るんだ、入るんだけれども殆んど負担はないんだ、万一負担があつた場合はむしろ社会が、国家が一応或いはそこまで行くんだということの……丁度国鉄で事故があつたときに、国鉄が見舞金を出すように、国鉄は損害保険かけるよりは一々払つたほうがいいから恐らくやるんであろう、これが個人であれば保険会社は極く零細な保険料でそれをカバーするということになると思うのです。で、私はもうこれは意見になりますが、ここまで拡げるんならばなぜそこまで拡げないか、これでは甚だ片手落ちであるということだけの意見を私は申述べて、一応この質疑は終つておきたいと思います。
  40. 前田穰

    委員長前田穰君) まだ何かありますか。
  41. 仁田竹一

    仁田竹一君 多少ありますけれども賛成意見の中に織込まして下さい。
  42. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御質問ありせんか。
  43. 大倉精一

    ○大倉精一君 一つだけお伺いいたしますが、今の一松委員の質疑の中にも入つていたのですが、もう一回聞きたいのですが、この「必要があると認めるときは、」というのはどういう場合を予想しているか、必要があるという場合ですね。
  44. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 大体危険の虞れがあるというふうな意味、こうした何といいますか、やはり冬季に波浪の高いというようなことが書いてあります。過去の実績等に徴しまして大体そういうようなことが判定ができる。完全にそれでできるというわけでもありませんけれども、そういうふうにまあできると、こういうわけです。
  45. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうするとこれは主として判定は過去の実績によつて必要あるなしは判定するというふうな考えで済むわけですか。
  46. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) そうばかりではないのでありまして、いろいろ何といいますか、地帯によりましては冬季非常に波浪が高いということと、航路の何といいますか潮流の関係というような、激しいところというふうなのがありますから、自然そういうふうなものもすべてを総合的に含めて認める、こういうことになると思います。
  47. 大倉精一

    ○大倉精一君 こういうような考えがあるかないかをちよつと聞きたいのですが、それはさつきも一松さんの言われた通りに危険の度合とか或いは必要あるなしの判定は非常にむずかしいと思いますが、私の考えとしては大体航海する人間の安全を確保するということはこれはすべての人がやつぱりその恩恵に浴さなければならないと思う。即も保険に入つていない、入つているということの差別があつちやいけないと思うのですが、従つて命ずることができるのじやなくして、これを何といいますか、すべてがこの保険に入る、すべてが保険に入るという建前の下に、而もそれが零細企業圧迫したり或いは船客負担が多くなつたりというのではなくして、そういうような負担船客もそれから船主も国家も共同して負担をするというような工合に修正されるお考えはあるかないか、そういうようなものはどうですか。
  48. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 別にそこまではちよつと非常に困難だと思いますので、今のところはこういうことでできるだけたくさんの会社がこの経営というものについてはしやすい料金でやれるようにして行政指導でやりたいという程度で、今直ちにそこまでということはちよつと考えにくいと思い出す。
  49. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうすると、大体行政指導というものに重点を置いてやつて行こう、こういう工合に考えられるのですか。
  50. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) これは、法は強制的にはなつておりませんので、大体行政指導によつてそういうふうに仕向けて行きたい、こういうふうに考えております。
  51. 前田穰

    委員長前田穰君) 私一つつておきたいのですが、昨日の質問の中に新らしい免許をするしないということの基準といいますか、主として御答弁によりますと、船舶の検査ということの御答弁だつたようでありますが、それ以外に何かお考えがありましようか。又海運局として本法案が通過すればどういうふうな方針で臨まれるか。例えば従来から少しこれは船が多過ぎると思つておられたようなところに、統制的の意味で淘汰をされるといつたふうな船舶の検査以外に、何か新らしい免許の基準を考えておられるかどうかということをお伺いしたいのですが……。
  52. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 若し本法案が成立いたしました暁における私どもの運用の心がまえといいますか、そういう点を申述べますと、昨日申上げました主として船の安全性によつて判断すると申しましたのは、現在事業を営んでおりますものが改めて申請をした、そういう場合にそういう事業者をやめさせるかどうか、こういうことについては概括的に申して危い船を使つておるというふうなものだけが不許可になるという公算が多いのではないかと思います。非常に事業者が多くて、従つてこれを今営んでいるものを廃止するかどうかということはこれはよほど慎重に、果してそれが地域上非常にバランスを失しているかどうかということを慎重に考えた上で処置しなければならないかと思つております。これは或いは場合によつては起るかも知れませんが、極めて稀な例ではないかと考える次第でございます。それから新規の事業を許可いたしまする場合には、やはり海上運送法に従来の定期航路を許可する基準がございまして、その基準に該当するというものを許可するわけでございます。そのうち海運局長会議で許可いたしまするものと、それから本省で取上げるものとあるわけでございますが、本省で取上げるものといたしましては、昨日申上げました二つの海運局に跨がりまするもののほかに、例えば中央で許可いたしまするものと競合するような航路を五トン未満の船で営むという場合には或いはこれを中央で取上げて中央の所管事項にしなければならんのではないかというふうにも考えておりますので、その点もう少し研究さして頂きたいと思つております。
  53. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかに御質問ございませんか。それでは本日はこの程度にとどめまして、次回に持越すことにいたしたいと思います。   —————————————
  54. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に地方鉄道軌道整備法案を議題に供します。質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  55. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 二、三質問を申上げたいと思います。地方鉄道軌道事業は極めて公益性が強い事業でありますから、まじめに営業しても赤字の場合があるというときは補助すべきであると思います。そこで旧法たる私鉄の補助法においては営業補助を行なつて参りましたが、この法案は天然資源の開発、産業の振興上特に重要な新線、改良等の促進を助成するのが主眼となつておりますので、その営業に関しては設備困難で代替機関がない場合に限定している点ではむしろ旧法のほうが妥当であると思われますが、この点は立案者のお考えは如何でありましようか。
  56. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 大体この何といいますか、成るべく範囲を広くいたしたいというふうな気持は立案者としてはあるのでありますけれども、現在のような財政上非常にその点大蔵省あたりの折衝もむずかしいこともありますので止むを得ず最小限度の何と申しまするか、助成というふうなことでやつておるのでございます。
  57. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 それではこの法律としては只今の御趣旨のように最小限度といたされましても何か省令かなんかで多少の弾力性ある措置はなすようなお考えはおありでありましようかどうか。監督局長に、植田さんにお尋ねいたしたいと思います。
  58. 植田純一

    政府委員(植田純一君) この法案ができました暁におきましては、この適用の基準につきましては省令等を以ちましてもう少し適用基準の範囲というものを、範囲をきめたいと思つております。飽くまでもこの法律の趣旨に副いましてはつきりと、或る程度はつきりとした基準を作りたい、かように考えておる次第であります。
  59. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 それでは無論この法律の枠内であることは当然ではありますが、多少の弾力性がある補助が行われる、さように解釈してよろしうございますか。
  60. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 実はこの認定というものは非常に重要な問題でありますので、この法律の趣旨に副いまして誰もが尤もだというような運用をして行きたい、かように考えておるわけであります。併しながらこの飽くまでも基準と申しましても、まあ省令できめます表現には限度がございます。限度がございまして運用の点はございますと思いますが、飽くまでその運用につきましても私は法の精神に副いまして運用して行くべきであると、かように考えておる次第であります。
  61. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 この問題はどうもこれでは枠が狭いと存じますが、一応これに関する質問は打切りまして、次の質問に移りたいと思います。  次の質問は補助期間を十年とした理由を承わりたい。又第十七条の場合は八年となつておりますが、その理由を併せて質問いたします。植田さんから。
  62. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 補助の期間を十年といたしましたのは、大体この新線の開通、開業の場合におきましては、その開通後相当の期間がたち、その沿線開発の成果が現われて初めて採算がとれるということになつて来るのが通例でございます。大体その期間が十年くらいと予想されますので、かような意味におきまして十年といたしたわけであります。又大きな改良の場合におきましても、この改良に投じましたその資金の圧迫等によりましてなかなか採算が非常に苦しいというようなことでございます。この点も又十年もたちまするとこの間の成果が現われて来る。従いましてこれを無限に、無期限に補助するということは到底考えられませんので、そういう大体成果を発揮する時期ということで十年ということにいたしたわけでございます。  又十七条の利子補給金につきましては、その年限を「当該契約をした会計年度以降八箇年度以内」ということにいたしておりますが、これは現在一般に設備資金の償還は工事竣工後五カ年程度というのが妥当であるとされておりますので、この会計年度以降八カ年度以内ということは実質的には五カ年保証をするというつもりでございます。
  63. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 次に従来の地方鉄道補助法や北海道拓殖鉄道の補助法の補助率はその制定又は改訂当時の一般金利情勢を基礎にいたしたのでありましたが、即ち旧法では、益金と合せて建設資金の七分になつておりましたが、本法案の建設改良に対する補助率が年六分として立案されておりますのは現在の金融金利のマーケツトから見まして低過ぎると思われますが、立案者のお考えはどうでありましようか、關谷さんでも植田さんでも結構でございます。
  64. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 従来からこの地方鉄道補助法につきましても北海道拓殖鉄道補助に関する法律にいたしましても、只今お話がございましたように、通常の金利或いは通常の配当ということを基準にいたしまして、その比率というものが補助率というものがきめて参つておるのであります。今回の六分というものはそういう観点から見ますると確かに低いのでございます。それを引上げたいという、もう少し高いものに、補助率にしたいという気持はあるのでございますが、現在の日本の経済の実情、又財政上なかなかいろいろと問題もございますので、一応六分ということにいたしまして、本法施行後の情勢によりまして、又善処したい、かように考えておる次第でございます。
  65. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 更に又建設資金や改良資金のうち、金融機関から借入れるものにつきましては政府をして債務保証せしめることが必要であると思われますが、この点立案者として關谷さんのお考えを伺いたい。
  66. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 大体は債務保証をするのが、これが理想的でありますが、いろいろ他の産業の関係というような、いろいろな方面からの制約がありまして、いろいろ折衝過程におきましてこの債務保証というようなことがやはり実現をし得なかつたのでありますが、本当を申しまするというと現在のような状態におきましては、これは債務保証をいたしまして、そうして金融の円滑化を図るというのがこれが理想的である、こういうふうに考えております。
  67. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 第三条で[認定」と「承認」という言葉を使つておりますが、この使い分けの意義はどういうふうに使つておりましようか。「認定」と「承認」となつておりますが……。
  68. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 先ほど来お話がございましたように、今回は従来の地方鉄道補助法と違いまして、そのうちの特別な意義を持つた鉄道というものを認定いたしまして補助の対象としている、そういう意味で認定という言葉を使つたわけでありますが、ただこの大きな改良工事、特定の改良工事を必要といたしますものにつきましては、その改良工事の計画が果してこの趣旨に副うているかどうかという、この改良計画そのものの妥当性と申しますか、必要性と申しますか、そういうものを認めなければならんというような必要がございますので、この特別の改良工事を施行しますものに対しましては、その計画を承認するという観念を取入れたわけでございます。
  69. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そこで第三条について更に伺いたいのは、第三条の第二号の場合でありますが、災害防止のためとありますけれども、前段にあります産業の維持振興上重要でないものであつても、災害の防止のために必要である場合には、その会社に資金がない場合にはやはりこれを何とかして行かなければならないと考えますのですが、何故にこれが枠外になつておりますのでしようか。それを局長にお伺いいたします。
  70. 植田純一

    政府委員(植田純一君) お答えいたします。実は一番最初に御質問がございましたように、もつとこういう条件を、むずかしい条件を付けないで広くすべきじやないかという御意見、これは御尤もな御意見でございますが、立案者から答弁がありましたように、この補助の対象といたしましてはあらゆるどの鉄道でも広くまあその補助をするというものじやございませんので、特定の特別な意義を持つた鉄道に限つて最小限度の助成措置をこの際やつて行きたい、かような趣旨から出ているわけでありまして、従いましてこの産業の維持振興上特に重要な地方鉄道であるということに対象を限つているわけであります。
  71. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 それでは災害の防止のため大規模の改良を必要とした場合に、特に産業維持振興上特段の重要性がない、そういうふうなときにはこの災害防止に対して運輸省としてはどういう御処置をとられますか、無論会社の財政なりが許すならば問題ありませんが、会社の財政が逼迫している事業に対しましては如何なる処置をとられるでありましようか、監督上の御処置をお伺いしたいと思います。
  72. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 一般的に申しましてこの補助法に該当しない鉄道につきましても勿論その正常な発展或いは又助成ということにつきましては十分まあ関心を持つているわけでありますが、例えばお話のような場合、資金の融資の斡旋をやるとか、或いはそのほか行政上できる限りの配慮は勿論いたすつもりでございます。
  73. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 次に認定又は承認した鉄道の中から更に補助の申請があることになりますと思いますが、認定又は承認した鉄道は結局補助するのでありましようか。その年度の補助予算総額で補助申請中のもののうち資格ありと認められるものの全部が賄えないときにはどうなさるか。その予算措置はどうでありましようか。又本法案が通過いたしました場合には補助金及び利子補給に要する予算の裏付けはとられているでありましようか。お伺いいたします。
  74. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 勿論この認定或いは承認を受けました鉄道に対しましては、この助成措置、補助の方策を講じたい、かように考えているわけであります。ただこの補助の予算の関係もございますので、この予算の面の折衝と並行的にこの認定又は承認ということも慎重にやらなければならん、かように考えております。この助成につきましての予算の裏付けはどうかというお尋ねでございますが、二十八年度といたしましては、従来からございますこの北海道の拓殖鉄道補助に関しまする法律によりますところの北海道の地方鉄道軌道に対する補助予算、これは計上してございますが、その他の地方鉄道軌道に対しますところの予算の裏付けは目下のところございません。この法案が通過いたしましたならばできるだけ近い機会にいたしたい、かように考えている次第であります。
  75. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 新線及び改良の補助はその線の区間補助となると思いますが、欠損補助はその会社の営業全体を対象として行われると思いますが、その点如何ですか。この場合鉄道収入だけの欠損を言うのですか、兼業収入を含めて考えられるのですか、それを局長にお伺いしたい。
  76. 植田純一

    政府委員(植田純一君) このいわゆる赤字の鉄道の補助の場合におきましても、まあ考え方としますと一応のこの運輸系統から見まして、何と申しますか、独立性と申しますか、そういう一体性と申しますか、そういう区間を対象といたしまして考えますことはこの新線或いは改良の場合と同じことじやないか、かように考えております。そういたしまして只今お尋ねの欠損補助の場合におきましては、その区間の、区間と申しますか、対象といたしますところの鉄道区間の鉄道の営業状態のみを対象として考えて行きたい、かように考えている次第でございます。
  77. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 兼業収入は含まないわけですね。
  78. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 欠損補助の場合におきまして、その鉄道の存続が必要であるという見地からいたしまして、その会社の兼業等の営業状態等につきましては考慮に入れないということが妥当ではないかと、かように考えておる次第でございます。
  79. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そこで第七条について伺いますが、本条文の趣旨は御説明に待つといたしましても、本法が施行されました結果として、兼業や投資の圧迫と思わるるような指示は絶対に行うべきでないので、本条の適用には十分の注意を要することと思います。そこでここに、兼業又は投資に関する必要な指示とありますが、何のための指示であるか明示していないので、立案者としての御説明を速記にとどめておきたいと思います。なお本法施行後の参考のために例示をしておいて頂きたいと思います。これは關谷さんでも、植田さんでも、どちらでも結構であります。
  80. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 現在私鉄業界か各方面に投資或いは兼業するというような場合におきましては、現行法に制限がありませんために、いろいろな事業に投資をしておるわけでございます。本法におきまして、運輸大臣の指定を受け、国の保護を受ける電鉄におきまして、いろいろ、例えば映画でありますとか、或いは非常に投機的な仕事に投資するというようなことになりますと、ますます本業そのものの採算を悪くするという可能性も生じますので、そういうものに対しては、投資或いは兼業するということについて、一応この監督する必要上、必要な指示を与えるというふうに考えておるわけでございます。例えばバスをやる、バスをやる場合に、その会社利益について相当プラスになるというような際にまでこれを禁止しようというのではないのでございまして、或いは会社そのものが非常に危い仕事にまで手を出そうとするような場合に、それはいかんというようなことを言いたい規定なんでございます。
  81. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 それでは培養計画については別に黒字である限りよろしいと、こういうわけですね。培養計画、例えば遊園地、映画、芝居、デパート、その他の運送業以外の培養計画ですね、それは従来通り……。
  82. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) そういう場合はどうも抽象的でお答えが甚だ困難だろうと思うのでありまして、その会社の状態、立地条件等によりまして、その兼業をやることによりましてこの会社が十分業績が挙がるというふうな見通しがあつた場合には禁止をする意思はございません。
  83. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 次に第二十四条について伺いますが、二十四条の後段「当該地方鉄道業者が、日本国有鉄道の当該鉄道線路と接近しない、又は並行しない区間につき地方鉄道業を継続することができなくなつてこれを廃止したときも、同様とする。」この点を伺いますが、これは両線間のみの接近を意味するような場合でありましようか、又国鉄からの圧迫のみならず、地方鉄道を並行認可してあるような場合の適用は如何になりましようか、お尋ねいたします。
  84. 植田純一

    政府委員(植田純一君) この条項は、例えば並行又は接近している区間の地方鉄道を廃止しなければならん、ところがその区間を廃止しますると、残つてる区間は接近又は並行しておらんわけでありますけれども、残つてる区間だけではその営業を継続する価値がないというようなことで、いわゆるその会社の主たる部分が鉄道に接近又並行したために廃止してしまつた、従つてその従たる部分ももう廃止せざるを得ないというような場合の規定でございます。
  85. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 それでは只今の質問のあとの部分ですが、国鉄からの圧迫のみならず、地方鉄道を並行認可した場合、或いはバス路線の認可によつてその地方鉄道軌道が非常な赤字を来たすような場合はどういうふうになりましようか。
  86. 植田純一

    政府委員(植田純一君) そういう場合、例えば他の地方鉄道或いは又自動車というような場合には、この条項は該当いたしません。
  87. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 その点は遺憾と思いますが、他の質問に移ります。  国鉄の補償金の条項がやはり第二十四条に入つておりますが、これは何故に地方鉄道軌道法に特に挿入されたのでありましようか。国鉄に対する補償金の条項の問題であります。
  88. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 御承知の通り、この同じ精神の規定が現在地方鉄道法並びに軌道法にあるわけでございますが、ただ現在の地方鉄道法或いは軌道法の規定は、制定以来非常に古うございまして、殊にその規定におきましては国有鉄道も政府という表現で現わしてあり……勿論政府であつたわけでありますが……政府という文字でありまして、この点いろいろと明確を欠く点がございますのと、それからいわゆる収益還元率等につきまして現在の状況とそぐわないような事情がございまして、改正しなければならん必要というものが以前から感ぜられておつたわけであります。今回地方鉄道軌道整備法におきまして、その一環といたしましてここに一部修正いたしまして挿入いたしたわけでございます。そういう事情でございます。
  89. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 最後に、補助は毎年審査して行われますが、従来はこの補助事務が非常に厳格に過ぎまして、普通の鉄道会社の社員ではなかなか困難であつた事実がありますが、それに対する監督官庁としての今後の運営についてお考えをお伺いいたしたいと思います。
  90. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 従来は標準営業費というものを立てまして、それで詳細な規定を以ちましてやつたわけでございますが、理想から申上げますと、標準営業費を作りましてやるのがよろしいのでございますが、昨今の経済界の動揺が激しく、最小自乗法その他の数字的なものがそのままとり得ないという事情もございまして、将来経済が安定をいたしますと、そういう計算方式もとりたいと思つておりますが、今回は或る程度そういう方式を考えまして標準化したものにしたいと思つておりますが、できるだけ簡略に弾き得るように、又正確を期するように現在検討中でございます。
  91. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 了承いたしました。質問打切ります。
  92. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会