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衆議院議員(關谷勝利君) 衆議院の
運輸委員会におきまして、
修正案の動議を提出いたしましたものといたしまして、その
修正案に対しまする一応の御
説明を申上げたいと存じます。
第一は、第十九条の二、第十九条の三及び第十九条の四をそれぞれ第十九条の三、同じく四、五とし、第十九条の次に次の一条を加えるのであります。第十九条の二といたしまして「運輸大臣は、旅客定期航路事業を永続的に確保し、且つ、旅客の利益を保護するため必要があると認めるときは、運輸
審議会にはかり、旅客定期航路事業者に対し、当該旅客定期航路事業者が旅客の運送に関し支払うことのある損害賠償のため保険契約を締結することを命ずることができる。」とこれを
修正をいたしたのであります。これは現行法におきましては、運輸大臣が保険契約締結の命令を発することができまするのは、「旅客定期航路事業者の事業について利用者の利便を阻害している事実があると認めたとき」、こういうことにな
つておるのでありまするが、この場合「利用者の利便を阻害している事実がある」、こう書いてありまするのは、事故が
現実に発生して、事業者が実際に十分な賠償金の支払をし得なか
つた場合があ
つたとき、こういうふうな
意味に
解釈ができます。併し保険契約は元来、将来発生する虞れがある災害に備えて締結をするものでありまして、実際に事故を起した事業者に対してのみ締結を命ずるということは、これは保険本来の目的を達成するには十分でない。
従つて運輸大臣が命令を発する場合を「運輸大臣が旅客定期航路事業を永続的に確保し、且つ、旅客の利益を保護するため必要があると認めるとき」に拡張をいたしまして、そのためには保険契約締結の命令に関する
規定を、現行法第十九条、これはサービス改善の命令にな
つておりますが、これとは別個の
規定をする必要がありまするので、これを十九条の二といたしまして、現行法の十九条の二、十九条の三、十九条の四をそれぞれ十九条の三、四、五というふうに一項ずつ繰下げたのであります。
なお、「旅客の利益を保護するため」とは、旅客が海難によ
つて死傷いたしました場合、被害者が
法律上請求し得る賠償金の支払ができると、こういうことにすることでありまして、「旅客定期航路事業を永続的に確保し、」と申しまするのは、事業者が支払うべき賠償金を支払いましても、なお且つ事業の継続が不可能とならないようにするということ、こういうふうな
意味であります。
次に、「第三十条第三号及び第三十条の三中「第十九条の三(第十九条の四において準用する場合を含む。)」を「第十九条の四(第十九条の五において準用する場合を含む。)」に改める。」、こういうふうに出ております。これは保険契約締結の命令に関する
規定を第十九条の二として、現行法中第十九条の二、第十九条の三及び第十九条の四を一条ずつ繰下げたため、
関係条文を改めたものであります。
第四十三条中「適用しない。」の次に「但し、総トン数五トン未満の
船舶(ろかいのみをも
つて運転し、又は主としてろかいをも
つて運転する舟を除く。)のみをも
つて営む旅客定期航路事業については、この限りでない。」と改める、こういうふうにな
つているのであります。現行法の四十三条では、総トン数五トン未満の
船舶又はろかいのみをも
つて運転し、又は主としてろかいのみをも
つて運転する船のみをも
つて営みます
海上運送事業は、
海上運送法の適用
範囲から除外されているのでありまするが、旅客定期航路事業の公益性に鑑みまして、旅客定期航路事業については総トン数五トン未満の
船舶のみを以て営むものでありましても、ろかいのみによるものでない限り、この
海上運送法の
規定を適用しようということにな
つているのであります。
第四十四条中「前条中」を「前条及び第四十五条の二中」に改めるのであります。これは第四十四条は専ら河川、湖、沼において営む
船舶運航事業について
海上運送法を準用し、その場合、第四十三条中の「総トン数五トン未満」とあるのを「総トン数二十トン未満」と読替えることを
規定いたしておるのでありますが、新たに
海上運送法の適用を受けることにより、総トン数五トン未満の
船舶のみによる旅客定期航路事業に関する運輸大臣の職権を、
海運局長の委任する
規定を第四十五条の二として新たに設けることにいたしましたので、同条中の「総トン数五トン未満の
船舶」とあるのは「総トン数二十トン未満の
船舶」と読替える必要がありまして、そのために第四十四条中の「前条中」を「前条及び第四十五条の二中」とするものであります。
第四十五条の次に次の一条を加える。職権の委任であります。第四十五条の二「この
法律に
規定する運輸大臣の職権で総トン数五トン未満の
船舶のみをも
つて営む旅客定期航路事業に関するもののうち省令で定めるものは、
海運局長が行う。」、こういうことにいたしておるのであります。これは第四十三条の改正
規定によりまして、総トン数五トン未満の
船舶のみをも
つて営む旅客定期航路事業につきましては、新たに
海上運送法が適用されることになるのでありまするが、これらの事業は規模も小さく又特に地方的色彩の強いものでありまするので、手続の簡素化を図りますると共に、地方の実情に即した解決をするためには、地方
海運局長の専決とすることが適当であると考えられますので、特に本省の処理を必要とするものを除いて、地方
海運局長に職権を委任しようとするものであります。
この2の「この
法律の
規定中運輸
審議会に関する部分は、
海運局長が前項の
規定により委任された運輸大臣の職権を行う場合には、適用しない。」、こうありまするのは、運輸
審議会は運輸大臣の諮問機関でありまするので、
海運局長に委任せられました事項につきましては、運輸
審議会に諮ることを必要としない、こういうことに改めたものであります。
次に、第四十九条第一号中「第十九条の二」を「第十九条の三」に改める。これは第十九条の二として、保険契約締結に関する命令に関する
規定を新たに挿入しましたことに伴いますところの条文整理であります。次に、第四十九条の第二号中も、四十九条第一号、二号、両方ともこれは条文の整理と、こういうことに相成
つております。
次に、附則でありまするが、これは附則の第一項の、この
法律中、保険契約締結の命令に関する
規定及びこの
規定を設けたことによる他の条文の整理に関する
規定は、公布の日から施行する。五トン未満の
船舶によりまする旅客定期航路事業に対する
海上運送法適用に関する
規定は、これらの事業者に対する周知と必要な
規則の制定に多少の日時を要しますので、その施行期Hは、この
法律公布の日から九十日を超えない期間内において政令で定める、こういうことにいたしたのであります。
附則の第二項及び第三項は、総トン数五トン未満の
船舶のみをも
つて営む旅客定期航路事業に
海上運送法を適用することにしたことによる経過
措置でありまして、第四十三条の改正
規定が施行される日におきまして、総トン数五トン未満の
船舶のみをも
つて旅客定期航路事業を営んでおりまするものは、同条の改正
規定の施行の日から六十日以内に免許の申請をすることができるといたしたのでありまして、運輸大臣は、申請を受けた日から百八十日以内に免許又は不免許の決定をするものとして、若しその期間内に決定がない場合には、その申請は免許されたものとすることといたしております。運輸大臣の決定期間を百八十日といたしましたのは、五トン未満の
船舶につきましては、すべて新たに検査をする必要がありますので、予想されますところの免許申請の数と管海官庁の検査能力とを勘案いたしまして、約六カ月の期間を以て妥当と、こういうことにいたしたのであります。大体事業者数が五百九十四
程度と想像されますし、航路の数が六百四十九で、隻数にいたしまして一千五十一隻
程度になりますので、その
程度の日数をおいたと、こういうことに相成
つておるのであります。
附則の第四項は、
海上運送法におきまする旅客定期航路事業とは、旅客船による定期航路事業であり、旅客船とは十三人以上の旅客定員を有する
船舶でありますので、或る定期航路事業が旅客定期航路事業であるかどうかは、使用
船舶の旅客定員が十三人以上であるかどうかということによ
つて決定されるのでありまして、旅客定員の決定が前提要件とな
つておるのであります。併しながら現行の
船舶安全法は、総トン数五トン未満の
船舶には適用されないために、五トン未満の
船舶につきましては、法的に定員が確定されていないのであります。
従つて五トン未満の
船舶のみを以て営みます旅客定期航路事業につきましては、
海上運送法を適用いたしますためには、先ずこれらの小型船に
船舶安全法を適用しまして、旅客定員を確定をする必要があるのであります。又旅客輸送の用に供される
船舶の設備状態の如何は、
人命の安全に関するものでありますので、最小限度の安全性の確保は必要でありまするし、この
意味におきましても
船舶安全法の適用が必要であるということを
規定をいたしておるのであります。附則の第四項は、
海上運送法の改正により必要とな
つた船舶安全法の一部改正に関する
規定でありまして、第一に、
船舶安全法の適用を受けない総トン数五トン未満の
船舶の中から、旅客運送の用に供するものはこれを除外することといたしました。第二に、これらの小型船についての検査は、主務大臣が必要と認めたときに随時にこれを行うこととし、その場合の検査の方法その他の詳細はすべて省令に譲
つて、できる限りその簡素化を図ることといたしました。第三に、現在帆船は総トン数二十トン未満及び平水区域のみを航行するものは安全法の適用を受けておらないのでありますが、これも旅客輸送の用に供するものは適用されるものといたしたのであります。附則の第五項は、
船舶安全法は、
船舶の物的面におきまする安全性の確保のための
法律でありますが、人的面におきまする安全性の確保のための
法律として
船舶職員法があり、この両
法律は相待
つて船舶の安全性の確保の役割を果しているものであります。従いまして五トン未満の旅客船の安全性の確保を図りますためには、
船舶安全法の適用と共に、
船舶職員法の適用が必要とされるのであります。附則第五項は、その目的を達成いたしますために、必要最小限度の
範囲において
船舶職員法の一部を改正じようとするものであります。その改正の
内容は、第一に現在総トン数五トン未満の
船舶は、同法にいう
船舶の定義から除かれておるのでありますが、その中で旅客運送の用に供するものはこれを除くこととして、同法を適用することといたしまして、第二に、これらの
船舶の職員は小型
船舶操縦士又はそれ以上の資格の海技従事者でなければならないことといたしまして、別表に必要な改正を加え、第三に、経過
措置としまして別表第七を改正して昭和二十九年八月三十一日までは右の改正は適用はしない、こういうことにいたしまして、更に、この
法律施行の際に、現にこれらの
船舶の船長でありますものに対しましては、市町村長の証明あるものに限りまして、昭和二十九年八月三十一日までは試験を行わずして小型
船舶操縦士の資格についての免許を与えることができる、こういうことにいたしたのでありまして、これが
海上運送法の一部を改正する
法律案に対しまする
修正案として衆議院の
委員会で動議を提出いたして通過をいたしたものであります。