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1953-07-31 第16回国会 衆議院 労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十一日(金曜日)     午後零時三十七分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 持永 義夫君 理事 佐藤 芳男君    理事 山花 秀雄君 理事 矢尾喜三郎君       池田  清君    川崎 秀二君       黒澤 幸一君    多賀谷真稔君       稲富 稜人君    井堀 繁雄君       長  正路君    中原 健次君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  中西  實君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      龜井  光君         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君  委員外出席者         参議院議員   田畑 金光君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    有吉  正君         専  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 七月二十九日  委員持永義夫君及び中澤茂一辞任につき、そ  の補欠として福井勇君及び稲富稜人君が議長の  指名委員に選任された。 同月三十日  委員福井勇辞任につき、その補欠として持永  義夫君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員竹谷源太郎辞任につき、その補欠として  長正路君が議長指名委員に選任された。 同 日  理事持永義夫君が理事補欠当選した。 同 日  理事中助松君は死去された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長補欠選任労働金庫法案(  参議院提出参法第四号)   請 願  一 失業対策事業費増額並びに日雇労働者健    康保険法制定に関する請願加藤勘十君紹    介)(第四八一号)  二 失業対策事業費増額に関する請願島上善    五郎紹介)(第七四二号)  三 港湾労働法制定に関する請願青野武一君    紹介)(第七四四号)  四 駐留軍労務者退職金現金化に関する請願    (菊川忠雄紹介)(第一九四一号)  五 電気事業及び鉱業における争議行為方法    の規制に関する法律制定反対請願菊川    忠雄君外四名紹介)(第一九七二号)  六 自由労務者就労条件改善等に関する請願    (櫻井奎夫君紹介)(第二三〇〇号)  七 けい肺法制定に関する請願赤松勇君紹    介)(第二七七三号)  八 けい肺病療養補償期間延長に関する請願(    菊川忠雄君外四名紹介)(第二七七四号)  九 呉市の失業対策事業拡充に関する請願(前    田榮之助君外一名紹介)(第二八〇〇号) 一〇 失業対策事業就労労務者待遇改善に関す    る請願中川俊思君紹介)(第二九七四    号) 一一 同外一件(門司亮紹介)(第二九七五    号) 一二 東京地方附添婦組合労働者供給事業許可    の請願島上善五郎紹介)(第二九七六    号) 一三 失業対策事業就労労務者待遇改善に関す    る請願井堀繁雄紹介)(第三二二三    号) 一四 失業対策事業就労労務者待遇改善に関す    る請願大石ヨシエ紹介)(第三三七一    号) 一五 同(山花秀雄紹介)(第三六〇九号) 一六 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律制定反対請願(    山花秀雄紹介)(第三六一〇号) 一七 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律制定反対請願(    萩元たけ子君紹介)(第三九八四号) 一八 同(杉村沖治郎紹介)(第四〇三二号) 一九 同(菊川忠雄紹介)(第四一〇九号) 二〇 同外一件(多賀谷真稔紹介)(第四二二    号) 二一 失業対策事業拡充に関する請願(稻村順三    君紹介)(第三九八五号) 二二 失業対策事業費国庫補助率引上げ等に関    する請願鈴木茂三郎紹介)(第四〇三    一号) 二三 失業対策事業就労労務者待遇改善に関す    る請願小川豊明紹介)(第四一〇八    号) 二四 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律制定反対請願(    勝間田清一紹介)(第四二六一号) 二五 けい肺法制定に関する請願和田博雄君紹    介)(第四三三七号) 二六 失業対策事業就労労務者待遇改善に関す    請願堤ツルヨ紹介)(第四五七四号) 二七 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律制定反対請願(    飛鳥田一雄紹介)(第四五七五号) 二八 同(早稻田柳右エ門紹介)(第四六九〇    号) 二九 国鉄職員特殊勤務手当に関する裁定等実    施の請願(楯兼次郎君紹介)(第四六九一    号) 三〇 国鉄職員特殊勤務手当に関する裁定等実    施の請願山口丈太郎紹介)(第四七九    〇号) 三一 戦傷病者に対する強制雇用法制定に関する    請願三鍋義三紹介)(第四八二九号) 三二 戦傷病者強制雇用法制定に関する請願(    矢尾喜三郎紹介)(第五〇三〇号) 三三 けい肺法制定に関する請願佐々木盛雄君    紹介)(第五三一三号) 三四 垂水町に鹿屋公共職業安定所出張所設置の    請願永田良吉紹介)(第五二一一号) 三五 職業安定行政地方移管に関する請願(大    石ヨシエ紹介)(第五二七四号) 三六 けい肺法制定に関する請願小島徹三君紹    介)(第五五二二号) 三七 失業対策事業就労労務者待遇改善に関す    る請願三鍋義三紹介)(第五五二三    号) 三八 戦傷病者に対する強制雇用法制定に関する    請願山下春江紹介)(第五七五一号)   陳情書  一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第九六    号)  二 同(第    九七号)  三 同    (第九八号)  四 同(第九    九号)  五 電気事業争議行為に関する法的措置の陳    情書    (第一〇〇号)  六 失業対策審議会答申案即時完全実施の陳    情書(第一二    二号)  七 基本的労働対策に関する陳情書    (第    一二三号)  八 漁業を労働者災害補償保険法強制適用事    業に指定の陳情書    (第二七二号)  九 潜水病の予防治療法に関する陳情書    (第二七三    号) 一〇 緊急失業対策法労働組合法との関係に関    する陳情書    (第三八一号) 一一 北海道の失業対策事業労務者に対する冬期    加給金に関する陳情書    (第三八二号) 一二 日雇労働者賃金引上げ等に関する陳情書    (第三八三号) 一三 失業対策事業に関する陳情書    (第四〇九号) 一四 けい肺特別法制定に関する陳情書    (第四七三号) 一五 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書    (第四七四号) 一六 失業対策労務者賃金引上げ促進陳情書    (第五〇七    号) 一七 電気産業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書    (第五二二号) 一八 香川県に労災病院設置陳情書    (第五五七号) 一九 日雇労務者に対する夏期手当支給に関する    陳情書    (    第五五八号) 二〇 失業対策事葉に関する陳情書    (第六一四号) 二一 電気事業及び石炭鉱僕における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書外    四件    (第六六〇号) 二二 同    (第七二    〇号) 二三 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第七八四号) 二四 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書外    一件    (第七八五    号) 二五 同外六件    (第八六号) 二六 同外四件    (第七八七号) 二七 失業対策事業費に関する陳情書    (第七八八    号) 二八 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書外    一件    (第八一三    号) 二九 近江絹糸株式会社労働状態調査に関する    陳情書    (第八三一    号) 三〇 けい肺特別法制定に関する陳情書    (第八五七号) 三一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書外    四件    (第八六八号) 三二 同    (第八六    九号) 三三 同外一件    (第八七〇号) 三四 同    (第八七一号) 三五 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第九〇五号) 三六 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書外    二件    (第九〇六号) 三七 失業対策事業関係予算増大に関する陳情書    (第九一七号) 三八 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第九一八号) 三九 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案陳情書外九件    (第九一九号) 四〇 同外三件    (第九二〇号) 四一 同外四件    (第九二一号) 四二 同    (第九二二号) 四三 同    (第九二三号) 四四 同    (第九二四号) 四五 同外三件    (第九二五号) 四六 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第九五二号) 四七 同(第九    五三号) 四八 同    (第九五四号) 四九 同(第九    五五号) 五〇 同    (第九五六号) 五一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書外    一件    (第九五七    号) 五二 同外二件    (第九五八号) 五三 同外八件    (第九五九号) 五四 失業対策事業に対する補助金増額に関す    る陳情書(    第九八七号) 五五 職業補導事業に対する国庫補助金増額に    関する陳情書    (第九八八号) 五六 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第九八九号) 五七 同    (第九九〇号) 五八 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書    (第    九九一号) 五九 同    (第九九二    号) 六〇 同    (第九九三号) 六一 同    (第九    九四号) 六二 同    (第九    九五号) 六三 同    (第九九六号) 六四 同    (第九九七    号) 六五 公労法並びに日鉄法の改正に関する陳情書    (第九九八号) 六六 けい肺特別法制定反対に関する陳情書    (第一〇二六号) 六七 けい肺特別法制定に関する陳情書    (第一〇二七号) 六八 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第一〇二八号) 六九 同(第    一〇二九号) 七〇 同    (    第一〇三〇号) 七一 同    (第一〇三一号) 七二 同    (第一〇三二号) 七三 同    (第一〇三三    号) 七四 同    (第一〇三四号) 七五 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書    (第一〇三五号) 七六 同    (第一〇三六号) 七七 同    (第一〇三七    号) 七八 同    (第一〇三八号) 七九 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第一〇六四号) 八〇 同    (第一〇六五号) 八一 同外一件    (第一〇六六号) 八二 同    (第一〇六七号) 八三 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書    (    第一〇六八号) 八四 同    (第一〇六九号) 八五 同    (第一一〇〇号) 八六 同    (第一一〇一号) 八七 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する陳情書    (第一一五二号) 八八 同    (第一一五三号) 八九 同    (第一一五四号) 九〇 同    (第一    一五五号) 九一 同    (第一一五六号) 九二 同    (第一一五七号) 九三 同    (第一一五    八号) 九四 同    (第一一五九号) 九五 同    (第一一六〇    号) 九六 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の    方法規制に関する法律案反対陳情書    (第一一六一号) 九七 同    (    第一一六二号) 九八 同    (第一一六三    号) 九九 同    (第一一六四号) 一〇〇 同    (第一一六五号) 一〇一 同    (第一    一六六号) 一〇二 同    (第一一六七号) 一〇三 郵政調停案完全実施等に関する陳情書    (第一一六八号) 一〇四 水害炭鉱労働事情調査に関する陳情書    (第一二〇四    号) 一〇五 電気事業及び石炭鉱業における争議行為    の方法規制に関する陳情書    (第一二五七号) 一〇六 電気事業及び石炭鉱業における争議行為    の方法規制に関する法律案反対陳情書    (第一二八号) 一〇七 失業対策審議会答申案即時完全実施の    陳情書(第一    二八二号) 一〇八 けい肺特別法制定に関する陳情書    (第一三〇八号) 一〇九 同    (第一三〇九号) 一一〇 失業対策事業費予算増額に関する陳情    書(第一三一    〇号)     ―――――――――――――
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  まず理事及び小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。理事及びけい肺病対策小委員長持永義夫君が去る二十九日一旦委員辞任せられましたので、ただいま理事及びけい肺病対策小委員かそれぞれ一名ずつ欠員なつております。この際これらの補欠選任を行わなければなりませんが、これは前例によりまして委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松勇

    赤松委員長 御異議がなければ、理事及びけい肺病対策小委員持永義夫君を再び指名いたします。  なお持永義夫君の委員辞任に伴い、けい肺病対策小委員長欠員なつておりますが、これも前例によりまして委員長より指名いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認め、けい肺病対策小委員長に再び持永義夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 赤松勇

    赤松委員長 これより本委員会に付託されました請願審議に入ります。なお、紹介議員のお見えなつておりません請願につきましては、かわつて委員の方より順次御説明を願いますから、さよう御了承を願います。  日程第一、失業対策事業費増額並びに日雇労働者健康保険法制定に関する請願加藤勘十君紹介)(第四八一号)を議題といたします。——紹介議員見えませんので、かわつて矢尾君より御説明を願います。
  6. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 本請願要旨は、現在失業対策事業は、単なる失業者救済事業としてではなく、わが国経済復興に寄与する建設的事業として大きな発展を遂げ、その健全なる推進と合理的運営が期待されているが、本事業予算は五十万人の完全失業者のうち、十六万人しか収容できない僅少な額であり、労力費単価も二百四十九円、資材費単価は二十円に過ぎず、これでは本事業経済的効果合理的運営は困難である。また労働条件が低く、生活力の貧弱な日雇い労働者に対する健康保険制度適用はきわめて緊急の問題である。ついては、本事業費として二百億円程度予算を計上するとともに、すみやかに日雇い労務者に対し、健康保険法制定されたいというのであります。
  7. 赤松勇

    赤松委員長 政府側より御意見を承ることにいたします。——それではこれは留保して後刻にまわします。     —————————————
  8. 赤松勇

    赤松委員長 日程第二、失業対策事業費増額に関する請願島上善五郎紹介)(第七四三号)及び日程第九、第二一の請願は、いずれも同趣旨請願と認められますので、一括議題として審査を進めます。紹介議員がお見えになりませんので、多賀谷真稔君。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 本請願要旨説明いたします。本請願要旨は、失業問題はますます弱化しつつあるが、失業対策事業予算は現在五十万人の完全失業者のうち、わずかその十六万人が収容されるのみで、単価も二百四十九円、資材費単価は二十円しか計上されず、このような貧困な予算では本事業経済効果合理的運営をはかることは困難である。ついては、昭和二十八年度予算失業対策事業費を二百億程度増額されたいというのであります。
  10. 赤松勇

    赤松委員長 これも後刻、政府側より御意見を承ることにいたします。     —————————————
  11. 赤松勇

    赤松委員長 日程第三、港湾労働法制定に関する請願青野武一紹介)(第七四四号)を議題といたします。多賀谷真稔君。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 本請願要旨を御説明いたします。本請願要旨は、港湾運送事業の円滑にして能率的な作業の遂行と労働秩序の確立は、貿易立国を念願とするわが国にとつて、不可欠の要請である。ついては、港湾労働者の雇傭を恒常化し、収入の安定をはかる港湾労働法制定されたいというのであります。
  13. 赤松勇

    赤松委員長 これも後刻、政府側より御意見を承ることにいたします。     —————————————
  14. 赤松勇

    赤松委員長 日程第四、駐留軍労務者退職金現金化に関する請願菊川忠雄紹介)(第一九四一号)を議題といたします。矢尾喜三郎君。
  15. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 本請願要旨は、講和条約発効とともに駐留軍労務者の身分は一般労務者に変更されたが、この際政府退職金を支払わなければならないことを十分認めながら、その現金化昭和二十七年法律第百七十四号によつて労務者が退職したときに支払うこととして、労務者の要望を無視している。ついては、全国二十万の駐留軍労務者の切実な要求である退職金現金化をはかるため、同法を改正されたいというのであります。
  16. 中西實

    中西政府委員 ちよつとお伺いいたしますが、今のは、この間法律が出まして、十日という期限で払うことになりましたが、その前から出ておつた請願で、その事実があれば済むという問題じやなかつたのですか。
  17. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 その通りです。     —————————————
  18. 赤松勇

    赤松委員長 日程第五、電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律制定反対請願菊川忠雄君外四名紹介)(第一九七二号)及び日程一六、第一七、第一八、第一九、第二〇、第二四、第二七、第三八は、いずれも同趣旨請願と認められますので、一括議題といたします。井堀繁雄君。
  19. 井堀繁雄

    井堀委員 本請願要旨について御説明申し上げます。今回政府が国会に提出した電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案は、労働関係の公正な調整をはかるものでなく、公共の福祉に名をかりた片手落ちの違憲立法であつて現行労働法でも十分スト規制が行えるのを、政府が去年の争議における責任を労働者のみに転嫁し、社会を欺瞞せんとする立法であるから、本法の制定に反対するというのであります。     —————————————
  20. 赤松勇

    赤松委員長 日程第六、自由労務者就労条件改善等に関する請願櫻井奎夫君紹介)(第二三〇〇号)及び第一〇、第一一、第一三、第一四、第一五、第二三、第二六、第三七はいずれも同趣旨請願と認められますので、一括議題といたします、多賀谷真稔君。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 本請願要旨を御説明いたします。本請願要旨は、現在の失業状態は悲惨な状況にある。ついては、自由労働者の窮状を打開すため、緊急対策として一、最低賃金月八千円を保障すること、二、失業者をすべて失業対策事業に就労させ、月二十五日を確保すること、三、国庫負担による日雇健康保険を実施すること、四、失業保険法を改正して、あぶれた日から支給し、顧を二百円に引上げること、五、赤字補填として夏季手当を支給すること等を実現されたいというのであります。
  22. 赤松勇

    赤松委員長 これもあとから一括政府側から御答弁願います。     —————————————
  23. 赤松勇

    赤松委員長 日程第七、けい肺法制定に関する請願赤松勇紹介)(第二七七三号)日程第八、第二五、第三三、第三六は、いずれも同趣旨請願と認められますので、一括議題といたします。多賀谷真稔君。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 本請願要旨を御説明いたします。本請願要旨は、産業のたつとい犠牲である各種の職業病のうち、特殊な性質を有して存在する珪肺患者は、八千名を越える多きに達し、しかも今日の進んだ科学のもとでも医学的に未解明とされ、一度罹患すれば、その治療はきわめて困難とされ、加えて現行保護法規の不備は、いたずらに多くの罹患労働者とその家族を生命の危険と生活の恐怖に陥れ、社会的、人道的に放置することのできない大きな問題となつている。ついては、これが対策として、珪肺法制定されたいというのであります。
  25. 龜井光

    龜井政府委員 珪肺病に対する対策につきましては、目下労働基準局に設置されております珪肺対策審議会におきまして、具体的な審議に入つております。専門部会としましては、診断部会予防部会厚生対策部会恕限度決定部会という四つの専門部会におきまして、それぞれ検討を加えました。従いまして、この検討と並行しまして、本審議会におきまして、並行的にこれらのものをどういうふうに取扱つて行くかということの審議を目下始めたわけであります。政府としましては、これらの審議の結果を待ちまして、これに対する措置を十分研究し、その結論を得たいというふうに考えております。     —————————————
  26. 赤松勇

    赤松委員長 日程第一二、東京地方附添婦組合労働者供給事業許可請願島上善五郎紹介)(第二九七六号)を議題といたします。山花秀雄君。
  27. 山花秀雄

    山花委員 本請願要旨は、東京都文京区西須賀町所在の東京地方附添婦組合は、労働者供給事許可を労働省に申請中であるが、許可のないため、需要に対する供給に敏速を欠き、患者に迷惑をかける等非常に不便をこうむるのみならず、有料派出会申請後一、二箇月で許可になるのに本組合のごとく相互扶助の精神に基き、無料の供給事産が許可されないのは遺憾であり、同一の組合がすでに山形、名古屋、神戸等の数箇所で許可なつている。ついては、東京地方附添婦組合労働者供給事産を許可されたいというのであります。
  28. 赤松勇

    赤松委員長 政府側より御意見を承ることにいたします。江下政府委員
  29. 江下孝

    江下政府委員 東京地方附添婦組合労働者供給事業許可の問題でありますが、調査にやや日にちをとりましたので、決定が遅れましたが、最近調査も完了いたしましたので、近く許可をする方針のもとに準備を進めております。
  30. 赤松勇

    赤松委員長 質疑はありませんか。
  31. 中原健次

    中原委員 本件について、ただい夜の政府の、近く許可をする方針決定を見たという御答弁でありましたが、ただ単に東京地方附添婦組合の問題だけでなく、全国的な傾向をいろいろ見ますると、最近有料の取扱いをもつてしておる組合といいますか、団体の許可は、比較的容易にこれがなされておつて、しかも一方そういう相互扶助的な組織形態を持つておる組合に対する許可の方が、かえつてその時間をより多く要しておる。つまり、申請から許可に至るまでの間の期間が非常に長くかかつておる。こういうことが指摘されてありましたが、これは実態的に見て全国的な一つの傾向になつておるんじやないかということを感じられる節があるわけでございます。これについて、当局はどういうふうな御見解を持つておいでになるか、この際伺つておきたい。
  32. 江下孝

    江下政府委員 特別にそういう種のものに対しまして、許可なら許可の指令を出すことについて、ことさらに遅らせているつもりはございません。偶然に調査にひまをとりましたので、そういう関係で遅れたものと思います。
  33. 中原健次

    中原委員 当然そういう御方針であろうと思いますが、しかし実際の傾向というものが、むしろその方針に背反しておるような結果が出ている事実があるのであります。もちろんこの際それを具体的に指摘してどうこうというほどの考えは持ちませんけれども、そういう傾向を依然として改められぬようなことになつて参りますと、その間に一つの問題が残つて来ると思いますので、今後のこの許可の取扱いについては、きわめて敏速に申請者の善意にこたえて行くように努めてもらいたいという希望を申し上げておきます。     —————————————
  34. 赤松勇

    赤松委員長 日程第二、失業対策事業費国庫補助率引上げ等に関する請願鈴木茂三郎紹介)(第四〇三一号)を議題といたします。山花秀雄君。
  35. 山花秀雄

    山花委員 本請願要旨は、最近民間購買力の不振と中小企業の資金不足による閉店、廃業及び諸官公署の人員整理等により、失業者は巷間にあふれているが、これが失業対策事業費に対する地元負担が高率なため、最近の窮迫した地方財政をもつては、本事業を推進することがとうてい不可能である。ついては、本事業趣旨にかんがみ、これが事業費の国庫補助を事務費、労力費を五分の四、資材費を三分の二にそれぞれ引上げるとともに、地元負担額に対して起債を認可する等の措置を講ぜられたいというのであります。
  36. 赤松勇

    赤松委員長 政府側より御意見を承ることにいたします。江下政府委員
  37. 江下孝

    江下政府委員 現在の国庫補助の比率を上げることは、地方財政の事情から見まして賛成でございますが、ただこの仕事は、もちろんその結果が地方の各自治体に残るわけでございますので、その補助率もやはり適当のところでとめなくてはならぬというふうに考えております。
  38. 赤松勇

    赤松委員長 御質疑はありませんか。——御質疑なしと認めます。     —————————————
  39. 赤松勇

    赤松委員長 次に、日程第二九、国鉄職員特殊勤務手当に関する裁定等実施の請願(楯兼次郎君紹介)(第四六九一号)及び日程第三〇は、いずれも同趣旨請願と認められますので、一括議題といたします。山花秀雄君。
  40. 山花秀雄

    山花委員 本請願要旨は、国鉄職員特殊勤務手当は、輸送業務並びにこれに関連する者業務の特殊性によつて、死傷病者の常に発生する危険、不潔、重労働作業に対して支給されるもので、本俸のべース・アツプがあれば当然値上げすべきものでありながら、国鉄当局は昭和二十三年の賃金設定の際から昨年まで、これが単価をすえ置きにして来たため、労組の申請に対して仲裁委員会はこれが改訂等の裁定を行つたのであるが、当局はいまだ実現していない。ついては、仲裁裁定第八号第二項及び賃金に関する協約附属覚書第二項が実施できるよう措置を講ぜられたいというのであります。
  41. 赤松勇

    赤松委員長 政府側の御意見を伺うことにいたします。中西政府委員
  42. 中西實

    中西政府委員 当事者並びに大蔵当局あたりの関係者ともよく打合せまして、さらに検討いたしたいと思います。
  43. 赤松勇

    赤松委員長 御質疑はございませんか。——御質疑なしと認めます。     —————————————
  44. 赤松勇

    赤松委員長 次に、日程三一戦傷病者に対する強制雇用法制定に関する請願(三鍋儀三君紹介)(第四八二九号)及び日程第三二、第三八は、いずれも同趣旨請願と認められますので、一括議題といたします。山花秀雄君。
  45. 山花秀雄

    山花委員 本請願要旨は、傷病軍人軍属は、障害、疾病が原因となつて就業の機会を失い、より困難な困窮生活の悪条件下に陥つており、今後社会的に一般人と伍して生活の基礎を就職に求めることは、まことに困難である。ついては、長期雇用、最低賃金制度の確立、労働時間の短縮、技能補導等を規定する戦傷病者に対する強制雇用法を即時制定されたいというのであります。
  46. 赤松勇

    赤松委員長 政府側意見を求めます。
  47. 江下孝

    江下政府委員 戦傷病者の就職その他保護の問題であります。戦傷病者の中で特に身体障害者につきましては、御承知の通り、政府におきまして特に一般の人に優先しまして、優先的に雇用の問題を扱つているわけであります。そのためのいろいろな各般の手段を講じていることは、御承知の通りだろうと思います。これを強制雇用にするがよいかどうかという問題でありますが、現在のところ国民の同胞愛に訴えまして、相当就職の問題も進んでおりまして、比較的成功いたしております。目下のところ強制雇用のことは考えておりません。
  48. 赤松勇

    赤松委員長 御質疑ございませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  49. 赤松勇

    赤松委員長 日程三四、垂水町に鹿屋公共職業安定所出張所設置請願永田良吉紹介)(第五二一一号)を議題といたします。山花君。
  50. 山花秀雄

    山花委員 本請願要旨は、鹿児島県肝属郡垂水町は、鹿屋公共職業安定所から二十二キロの距離にある農業を主要産業とする町で、最近の経済状勢や台風禍による失業者多く、また農家戸数四千戸の平均耕作反別はわずかに三反四畝であつて生活を維持できずに出かせぎに出る者が多く、現在の失業者は八百名、潜在失業者は八百名を数える有様である。ついては、垂水町に鹿屋公共職業安定所出張所を設置されたいというのであります。
  51. 赤松勇

    赤松委員長 政府意見を求めます。
  52. 江下孝

    江下政府委員 この点につきましては、立地条件ないしは地元の希望等をよく聞きました上で、とりはからいたいと存じております。     —————————————
  53. 赤松勇

    赤松委員長 日程三五職業安定行政地方移管に関する請願大石ヨシエ紹介)(第五二七四号)を議題といたします。
  54. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 本請願趣旨を申し上げますと、職業紹介、職業補導、失業保険等の安定行政は、現在国及び地方の二重監督のもとにおいて行われており、ために行政遂行上はなはだ煩雑不合理な面を持ち、円滑なる運営を阻害しております。安定行政に従事する職員の身分は、たとえば労働事務官、地方事務官等、国家公務員とせられているにもかかわらず、業務上の指揮監督は知事に属し、任命権についても、都道府県及び公共職業安定所の上級官吏の任命権は都道府県知事の内申に基いて労働大臣が行い、その他の職員の任命権は都道府県知事となつており、かつまた、都道府県の機構内において地方公務員の身分を保有する職員と同一職場でともに働く現実よりする人事、給与勤務条件の差異は、人事行政に支障を来し、職員の勤労意欲の低下を引起す原因となつており、これらはともに職業安定行政の運営の一大支障となつておりますので、御理解ある措置をお願いいたします。
  55. 江下孝

    江下政府委員 職業安定組織の問題でありますが、現在は仰せの通り、身分は国家公務員で、職務上は知事の指揮監督下にある。これは職業行政という特殊な性格に基くものであるということで、現在までその方法で実施をして参りました。将来この問題につきましては、国と地方の事務の配分の問題という見地から、検討は要する問題と思いますが、現在のところこの方法で続けて行きたい、こういうふうに思つております。     —————————————
  56. 赤松勇

    赤松委員長 それでは先ほど保留になつておりました日程第一、失業対策事業費増額並びに日雇労務者康保険法制定に関する請願加藤勘十君紹介)につきまして、政府の御意見を承ることにいたします。
  57. 江下孝

    江下政府委員 失業対策事業費増額いたしまして、できるだけ多くの失業者を吸収して参り、さらに賃金を適当なところに定めまして、その福利をはかつて行くことは必要だと思います。昨年と本年とを比較いたしましても、就労日数あるいは就労員数等につきまして、それぞれ相当の増加をはかつております。今後この上とも努力をいたして参りたいと思つております。  なお日雇労働者健康保険関係につきましては、これは現在失業保険の保険経済が必ずしも楽に行つていないという点から、健康保険の具体的実施については、十分検討をしてみたいと思います。
  58. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 各府県に失業対策費を割当てられる場合でありますが、現在の府県の財政状態からその受入れが困難であるから、いわば予算を返上するという状態にあるのか、それとも十分受入れ態勢はあるから、どんどんふやしてもらいたいというこういう自治体の要請であるのか、その案情をお尋ねいたします。
  59. 江下孝

    江下政府委員 現在までのところ地方からそういう声はまだ強くは聞きません。しかしだんだん地方財政もきゆうくつになつて行くようでありますので、今後いかにわくだけ増大いたしましても、その方の手当をいたしませんと、ある程度支障を来すのではないかと思います。
  60. 中原健次

    中原委員 失業対策事業費増額請願に関連して伺いますが、先般来しばしば問題になつております賃金引上げの問題であります。政府はPWの集計をまつて賃金の引上げ措置を講ずなと答弁しておるので、これは大体改善の見通しも具体的についておると思うのでありますが、賃金の問題について、今政府が少くとも予定しておる具体的な引上げの可能な範囲を、この際聞いておきたいと思います。なお、日程第一の請願にもありましたように最低日収額の確保、それから就労最低日数の引上げ、これは当然関連しますが、きわめて重大なことであります。ただ単に日額が上りましても、就労日数が不安定であつたのでは、しかもそれがさらに予算のわくがきゆうくつなために、日数を引下げられるということになつて参りましたのでは、まつたく意味がないのであります。従つて、この問題に関連して、今後の賃金の確保の問題について、どういう御見解を持つているか。単に御見解だけでなく、これに対する具体的な方針をどのようにお進めになつておるか、そういう点をこの際お聞きしたいと思います。  なお、立つたついでで恐れ入りますが、基準局長の見解をちよつと聞いておきたいのであります。それは証券取引所にあつた米極東海軍司令部に勤務しておつた労務者が、昨年末に四百五十名ばかり首を切られて、その措置が不法であるという結論を基準局の方でお出しになつて、そういう認定をされた。それに関連して当然解雇予告手当を支給すべきであるということになつておつたようでありますが、いまだ当局として、これに対して積極的に予告手当の支給措置も講じておらぬというふうに聞き及ぶのでありますが、これについて基準局長としては、今これの実現のためにどういう努力をしておいでになるか、それともしておいでにならないのか、それとももう支払いがされておるものとお考えになつておるのか、その間の事情をひとつ承りたい。
  61. 江下孝

    江下政府委員 日雇労働者の賃上げの問題でございますが、これは九月を目途といたしまして諸般の準備を進めておりますが、目下のところ関係方面との打合せも済みませんので、具体的にどれくらい上るということは、まだ申し上げる時期ではないと考えます。  それから賃金は上げたが、ほかの面でかえつて減らすというようなことでは何にもならぬというようなことは、絶対にないようにいたしたいと思います。
  62. 龜井光

    龜井政府委員 ただいま御質問のございました、極東海軍の四百五十名の解雇労務者に対しまする解雇予告手当の支払いにつきましては、調達庁としまして、この問題を米軍当局と折衝して参りましたが、結論を得ませんので、日米合同委員会に今問題を提起しております。外務省としましても、この問題をできるだけ早く解決したいという心組みで、先週の木曜日の定例の合同委員会から、この問題は検討されておるわけであります。昨日も合同委員会があつたのでありますが、まだ最終結論は出ていないのであります。しかし、かねがね当労働委員会でも、あるいは参議院の労働委員会でも、外務省の伊関国際協力局長が、この問題につきましては責任を持つて、できるだけ早く解決をするということを言明されておりますので、われわれとしましては、側面的に外務省を督励いたしまして、この問題の早期の解決をはかつて行く、またはかるように念願をいたしております。
  63. 中原健次

    中原委員 いろいろそれぞれの機関を通して努力を進められている様子を承知したのでありますが、しかし、私はここで一言希望を申し上げておきたいと思うことがあるのであります。と申しますのは、大体労働者は、解雇去れましたそのとたんに、非常に生活上の脅威が加わつて来ることは、申すまでもないのであります。それを、いたずらにではないでしようが、とにかくだらだらと長い期間を要して解決を見ることができないというようなことが続けられたのでは、まつたくこの解雇予告手当というものの意味がなくなつてしまうように思います。従つて、そういう機関での結論を早急に——少くともここ一、二週の間に、当然それが出るというのであればまだしもでありますが、不幸にしてまだまだそれがだらだらと遷延して、押し流されて行くというようなことがもし予想される場合には、これは私は結論をまつまでもなく、そのような基準法の第二十条違反に該当するような違反事項であるといたしますならば、やはりそれに対する雇用者としての責任上、政府がしかるべき措置を講じて、この労働者の苦痛にこたえて行くという決意がなければならぬと私は思います。そこで、それを実行せしめるものには、労働省当局として相当腹をきめて行つて、解決を早くしていただきたいと思います。やはり待つている方からしますと、なかなか待ち切れないものであります。大した金でもなさそうでありますので、この点については、労働省として積極的な措置を講ずるように御努力願いたい。これは要請いたしておきます。
  64. 赤松勇

    赤松委員長 ただいまの仲原君の御希望に対しましては、さきに山花秀雄君、矢尾喜三郎君等から強く要望されておりますので、この際ただいまの要望をすみやかに善処するよう、本委員会の名において強く政府に要求しておきたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 赤松勇

    赤松委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  66. 赤松勇

    赤松委員長 日程第二、失業対策事業費増額に関する請願は、日程第一の請願書の際政府の御答弁がございましたので、これを省略いたします。     —————————————
  67. 赤松勇

    赤松委員長 日程第三、港湾労働法制定に関する請願青野武一紹介)これは政府側意見が留保されておりますので、この際この問題に関する政府側の御意見を承りたいと思います。
  68. 江下孝

    江下政府委員 港湾労働法につきましては、ヨーロツパの一、二の国におきまして、これを実施している国があるようでございます。しかしながら、わが国の実情と、かの地の実情とを比べて見ますと、あるいは雇用慣習、あるいは労働の動き方の違い、その他いろいろ違う点もございますので、目下慎重にこの点は検討中でございます。
  69. 赤松勇

    赤松委員長 本件に関しましては、山花秀雄君外何名かの人によつて、本衆議院に提出されておりますので、やがて労働委員会に付託されると思いますが、その際慎重審議をしたいと思います。     —————————————
  70. 赤松勇

    赤松委員長 同じく、先ほど政府の御意見が留保になつております、日程第六、自由労務者就労条件改善等に関する請願、桜井歪夫君の紹介でございますが、この際政府の御意見をお伺いしたいと思います。
  71. 江下孝

    江下政府委員 日雇労働者の就労日数の増加でございますが、昨年二十日稼動ということを予算を組んでおりましたが、今年は二十一日ということに増加いたしております。なおこの上とも就労日数の増加については努力いたしたいと思います。賃金につきましては、先ほど中原委員にお答えいたした通りであります。
  72. 井堀繁雄

    井堀委員 ちよつとこの機会にお尋ねいたしておきたいと思いますが、二十八年度の予算で行きますと、失業者の増加見込みについて、われわれから言うと、かなり消極的な感じがいたすのであります。政府の経済政策なり財政政策とにらみ合せますと、やはり世界経済に比較しながら日本の自立経済を達成するという、大きな主張を前提にして予算の組織を説明されておりますが、こういう政府の考え方であの修正された大きな予算が実施されますと、この日雇い労働者によつて当然救つて行かなければならぬ失業者が、急速に増大するものと思うのであります。あの予算でとうてい収容できないような事態が出来した場合には、何か緊急にこの種の失業者を救済して行く道が考えられておるかどうか、あるいはあの予算で多くの人を収容するということになれば、ここに請願いたしております趣旨とは食い違つて、個々の待遇を切り下げて多くの人を救済するという結果が、必然的に起つて来ると思うのであります。こういう点では待遇改善の要請とは反対の傾向が相当できると思いますが、この点に関する見解と対策をお伺いしておきたいと思います。  さらに待遇改善の小さい問題でありますが、最近日雇い労働者に作業用共を給与しております。しかし、最近衣料品もずつと質のよいものが安くなつておりますし、地下たびその他もそうだと思いますが、予算で行きますので、質がよくて価格が安くなると配給量がふえて来ることになると思うのですが、そういうような実際措置の上で待遇の改善の余地があるのかないのか。またそういう改善については、労働省と地方の末端のそれぞれの間に、どういうような協議——協議というか、末端の人と中央のそういう計画や指導をなさる方との間に十分な連絡があるかどうか。われわれの承知しておるところによりますと、どうも上から流されて、下の意見があまり反映していないのではないかと思うのですが、こういう点に対する御所見を伺つておきたいと思います。
  73. 江下孝

    江下政府委員 現在の失業対策事業予算では、今後増大する失業者に対して十分でないのではないかという御質問でございます。私どもも、今後雇用情勢は、必ずしも楽観は許されないというふうに考えております。しかし、さしあたりの考えとしましては、大体のところ保ち合つて行くのではないかと思つております。しかし、雇用情勢の悪化に備えまして、今年度は昨年度の一日十五万の就労のわくを十六万八千人にふやしておるわけでございます。そのほか公共事業の吸収人員の増加等を考え合せますと、まあどうにか今のところこの程度のことでやつて行けるのではないかというふうに考えております。  それから、末端の事業実施主体と労働省との連絡の問題でございますが、もしそういう連絡上不備の点があるといたしますならば、今後十分改善して参りたいと思います。
  74. 赤松勇

    赤松委員長 質疑はございませんか。——なお請願のほかにいろいろ一般労働行政に関する御質疑があると思いますが、もし会期が延長になつたとすれば、その際十分お聞きを願いたいと思います。  それでは本日の請願日程中第二、第六、第九、第十、第十一、第十三、第十四、第十五、第二十一、第二十二、第二十三、第二十六、第三十七の各請願につきましては、何れもその趣旨が適切妥当な請願と認められますので、衆議院規則第百七十八条により議院の会議に付するを要するものとし、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。  なお、ただいま決しました各請願委員会報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  77. 赤松勇

    赤松委員長 これより陳情書の審査に入ります。日程第一ないし第一一〇を一括議題として順次その趣旨を濱口専門員より説明をいたさせます。
  78. 濱口金一郎

    ○濱口専門員 陳情要旨を一括御説明いたします。  日程第一、電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する陳情要旨は、累次にわたり反覆された電気産業及び石炭鉱業における争議行為によつて、電力及び石炭需要者たる国民大衆の受けた脅威と被害の甚大であつたことは言までもない。政府は、公共の福祉を擁護する立場から、電気事業石炭鉱業争議行為方法を組制する法律案を提出するやに聞き及んでいるが、われわれは同法案が早急に法制化されることを念願している。ついては、同法案成立のため格段の配慮をされたいとの趣旨であります。  日程第二、第三、第四、第五は、日程第一と同じ趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第六、失業対策審議会答申案即時完全実施陳情要旨は、政府においては、失業対策事業の重要性にかんがみ、さきに失業対策審議会を設け、失業対策の基本的な方針並びに実施について調査研究され、審議会においては、政府の意を体して討究を重ね、具体的な答申書が提出された由である。ついては、失業対策事業事業効果を上げ、かつ労働者生活安定を期するため、失業対策審議会の答申案を早急に実施せしめられたいとの趣旨でございます。  日程第七、基本的労働対策に関する陳情要旨は、労使関係の基調が、すべて国際経済に伍する、国民経済という共通の基盤に立つべきことの厳たる事実を直視して、政府においても生産コストの引下げをはかるため、企業を合理化させ、労働の生産性を高め、労使双方相協力して産業平和を確立し、国家経済の繁栄と国民生活の向上を期すべきである。ついては、当面の労働対策としては次項に重点を置かれたい。一、産業平和を期するため、労使が紛争を自由的に早期解決することに努力せしめ、労働委員会においても調停機能が国民経済に即して真に労使関係の安定を招来し得るよう、その調査機能の整備充実を行うこと、二、賃金対策については、事業の実態と能率に即する給与制度を合理化すること、三、産業破壊分子の活動に対しては、法制を整備して有効適切な行政措置をとることとの趣旨であります。  日程第八、漁業を労働者災害補償保険法強制適用事業に指定の陳情要旨は、近時、漁場の関係上遠海漁業のやむなきに至るため、多数労働者が一時に遭難死亡した実例は非常に多いが、その大部分が小規模事業として経営されているため、事業主は資力に乏しく、かつ漁業労働者生活環境上、保険に加入していない。よつて災害発生の場合、保険に加入していない労働者の遺家族の生活は困窮をきわめ、ゆゆしき社会問題化している実情であるから、労働者災害補償保険法を改正して、漁業を同保険法の強制適用事業に指定するよう措置を講ぜられたいとの趣旨であります。  日程第九、潜水病の予防治療法に関する陳情要旨は、水産業、サルベージ業における潜水病の被害者は急激に増加しているが、潜水病に関する研究機関の欠如、治療施設の皆無、所要経費の僅少であることは、ひとり漁業、建設関係者の問題にとどまらず、広く国の施策として坂上げ解決を要するものである。ついては、潜水病の予防並びに治療法の研究に関し、労働衛生の観点に立つて政府においても適確な対策を樹立し、その実施のため十分な経費を充当せられたいとの趣旨であります。  日程第一〇、緊急失業対策法労働組合法との関係に関する陳情要旨は、緊急失業対策法及びこれに基く省令、通牒等と、労働組合法との関係において、明確を欠く点が多く、これが失業対策事業の運用に及ぼすところ大であるにかんがみ、特に失業対策事業労務者により組織する労働組合の団体交渉権、労働協約及び争議権(争議権と緊急失業対策法、就業規則との関係等)を明確にする立法措置を講ずることを希望しているものであります。  日程第一一、北海道の失業対策事業労務者に対する冬期加給金に関する陳情要旨は、北海道は冬期間の生計費が他府県に比較して著しく膨脹し、一般の冬期における労務賃金も高く、また公務員に対しても石炭手当が支給され、生活保護者に対しては冬期薪炭費を支給されている。ついては、北海道の特殊事情を考慮され、失業対策労務者に対し、冬期加給金を賃金中に包含して別個に冬期の賃金表を定めるとともに、労力費国庫補助基本額を増額されたいとの趣旨であります。  日程第一二、日雇労働者賃金引上げ等に関する陳情要旨は、日雇い労働者現行賃金は、男平均二百円女平均百六十八円であるが、月の平均就労日数は十八日で、失業保険金を加えても一箇月男四千四百四十円、女三千八百六十二円であつて、家族平均四人を扶養しなければならず、一人当り一食分の食費はわずかに十一円というみじめな現状である。ついては、日雇い労働者の最低生活維持のために、次項実施を配慮されたい。一、現行賃金の五割引上げ、一人月二十五日の完全就労、二、全額国庫負担による日雇い保険の制定、日雇い失業保険待期々間の撤廃と保険金の増額、三、社会保障制度の確立、越盆、越年手当の支給、四、団結権、団体交渉権、労働協約権の保障等を希望している趣旨のものであります。  日程一三失業対策事業に関する陳情要旨は、近時経済界の変転より失業者はますます増加の傾向にあり、これに対して失業対策事業は一部国庫負担の上実施されているが、地元負担が高率のため、地方財政に重大なる支障を来しており、とうてい十分な救済はでき得ない現状であつて、治安に及ぼす影響もまた大なるものがある。ついては、失業対策事業趣旨にかんがみ、労務者吸収人員わくの拡大をはかるとともに、国庫補助の増額、特に資料費の補助率を三分の二に引上げられたいとの趣旨であります。  日程第一四、けい肺特別法制定に関する陳情要旨は、珪肺症は業務上に基因し、治療の長期性と治癒の困難性は今まで治癒した実例がない悲惨な職業病であり、療養期間の延長、休業補償の問題、打切り後の補償については、打切り補償の算定基礎になる賃金のスライドの問題等は、現行法では解決できない事情にある。ついては、すみやかに珪肺特別法を制定され、これが完全な救護対策を講ぜられたいとの趣旨であります。  日程第一五、電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案反対陳情要旨はさきに内閣不信任案成立の根因をなした五大悪法案の一といわれるスト規制法案が、そのまましかも夜陰にまぎれて再提案されたが、すべて不可解のきわみで、このことは国会と国民をはなはだしく自演したものといわざるを得ず、同法案には絶対に反対である。という趣旨を表明するものであります。  日程一六失業対策労務者賃金引上げ促進陳情要旨は、失業対策事業に就労している日雇い労務者の賃金は、一般勤労者の賃金に比較して相当低位であるため、その生活もきわめて安定を欠いている状態であり、ことに生活保護法による扶助料と労働賃金とには、著しい矛盾がある。ついては、これら労務者の賃金を現行の三割増しとするとともに、福利厚生施設の充実をはかるよう措置されたいという趣旨であります。  日程第一七は、日程第一五と同様でありますので、これを省略いたします。  日程第一八、香川県に労災病院設置陳情要旨は、四国は本州よりはるか海上に分離した独立地域であつて、従来より労災病院の設置を希望して来たところであるが、香川県は四国の関門として交通の要衝を占め、地理的に最も妥当な位置に位し、しかも政治の中心地となつた現在、特に立地条件に適合するものと思考される。ついては、被災者の救済と労働者福祉増進のため、労災病院を香川県に設置されたいとの趣旨のものであります。  日程第一九、日雇労務者に対する夏期手碁支給に関する陳情要旨は、失業対策事業に従事する日雇い労務者は、憲法に定められた文化的生活権の擁護より遠く置き忘れられ、物価水準を度外視した賃金により、わずかに生命を維持するにすぎない現状で、更衣期を迎えて作業衣類の購入はもとより、妻子の衣類、げた等、日常物資の購入等は思いもよらないところである。ついては、憲法の定める最低の基本人権の擁護を求めるとともに、夏期手当として一人当り三千円を支給されたいとの趣旨のものでございます。  日程第二〇、失業対策事業に関する陳情要旨は、失業者の勤労意欲と作業能率とを向上せしめ、一般作業場への転入誘導に資し、一日も早く、失業者を定職につかしめるため、その賃金を四半期ごとに、地方公務員の地域給を適正に加味したるものとなし、かつ同地域、同時期、同職種の一般賃金に対する法定率に従つてスライドせしめ、また、必要により作業を請負制度化し、月間二十五日までの就労を可能ならしめ、かつ紹介数の割当わくを認めること等を実施し、ひいては国民皆働対策をもつて消極的失業対策に転換し得るように配慮されたいとの趣旨のものであります。  日程第二一、二二は、第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第二三は、第一と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第二四、二五、二六は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第二七、失業対策事業費に関する陳情要旨は、本来政府事業であるべき失業対策事業施行のため、都市は事業費の大半をその負担に帰せしめられている実情は、都市財政がきわめて困窮逼迫し、また都市における失業者が農村よりの集中等もあつて、ますます増加の傾向が顕著であるとき、従来のごとき過少なる国庫補助をもつてしては、とうてい十分なる事業運営を期することは不可能であり、財政の負担もまた耐え得ないところである。よつて失業対策事業における国庫補助の実額を総事業費の九割以上とし、また例年実施のやむなきに至つている盆暮れ手当は国庫負担とし、なお賃金は適当に増額されたいとの趣旨のものであります。  日程二八は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第二九、近江絹糸株式会社労働状態調査に関する陳情趣旨は、近江絹糸株式会社はわずか十五才の少年、少女たちを遠隔の農村地帯より募集し、低賃金、低労働条件、長時間労働、寄宿舎監禁制度等、労働基準法等を公然と無視している状態であつて、われわれは過去数年にわたり、同社の当事者に警告し、その反省を求めたが、事態は少しも改善されていない。ついては、同社の労働状態調査は、わが国繊維労働者の真相をつかむことであることにかんがみ、社会正義を守り、世界平和に志す各界におかれては、同社の実態を調査し、多数の年少労働者の尊い犠牲を防止されたいとの趣旨のものであります。  日程第三〇は、日程第一四と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程三一、三二、三三、三四は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程三五は、日程第一と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程三六は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第三七、失業対策事業関係予算増大に関する陳情要旨は、鳥取県における失業対策事業就労者の平均手取賃金は、一日百六十円ないし二百三十円であり、就労日数は一箇月二十日以下となり、平均家族三・六人ないし四人というみじめな状態に置かれている。ついては、これら日雇労働者の要求する賃金値上げ、就労日数の増大、夏期手当支給等の諾問題を根本的に解決するため、本年度国庫予算中の失業対策事業関係予算増額されたいとの趣旨のものであります。  日程三八は、日程第一と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程三九、四〇、四一、四二、四三、四四、四五は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第四六、四七、四八、四九、五〇は、日程第一と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第五一、五二、五三は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第五四、失業対策事業に対する補助金増額に関する陳情要旨は、失業対策事業の賃金は、一般職種別賃金の改訂があるまで改正されないことは了承しているが、昨年の改訂は、一般職種別賃金の改訂直前に、失業対策事業の賃金が改訂されたために、一部不合理な面があり、かつ寒冷積雪地の賃金は四季によつて若干の差異があり、特に冬季間は一般民間企業はもとより、公務員、生活保護法適用者に至るまで、越冬用燃料手当か支給されているため、日雇労働者にもこれに相当する何らかの措置が必要とされている。ついては、特に近く適用される日雇い労働者健康保険の掛金による実質収入の減少と、生活保護法の扶助料増額等の併行策として、現行賃金より一〇ないし二〇%の労働費補助基本日額を増額されたく、また資材費及び事業費補助金についてもこれを増額されたいとの趣旨であります。  日程第五五、職業補助事業に対する国庫補助金増額に関する陳情要旨は、職業補導事業に対する国庫補助については、年々労働省の定める国庫補助要綱に基き交付されているが、右要綱によれば、経常費三分の二以内、施設費二分の一以内と定められており、実際の補助額はきわめて少額であり、かつ国と都道府県との負担区分も明確を欠いているため、地方庁において不合理な予算措置を講ずる結果となる場合が多い。ついては、同負担割合並びに予算算定基準を、地方財政法第十条に基き、法律または政令により明確に定められるとともに、補助率の引上げ措置を講ぜられたいという趣旨であります。  日程第五六、第五七は、日程第一と同趣旨でありますので、省略いたします。  日程第五八、五九、六〇、六一、六二、六三、六四は、日程第一五と同趣旨でありますので、これも省略いたします。  日程第六五、公労法並びに日鉄法の改正に関する陳情要旨は、労働組合から罷業権をなくすることは、生産大衆を貧困に陥れて行くものであり、働く者が生活を亭受できないことである。また仲裁調停制度は、いつも予算上、資金上という理由で実施されないことは、労使の競争に対し、一方の利益のみを擁護して、きわめて不公平といわねばならず、仲裁制度は一方的なものでなく、政府も当然これに拘束されるのであるから、かかる意味で公共企業等労働関係法を改正されたい、また日本国有鉄道法についても、次項を考慮し改正されたい。一、組織、財務、人事等経営については、国鉄の自主性を付与すること、二、管理委員会に対し、従業員の参加を認めること、三、団体交渉の対象となる日鉄法の諸条項を削除すること等との趣旨のものであります。  日程第六六、けい肺特別法制定反対に関する陳情要旨は、けい肺法案が再び今国会に上程されるとのことであるが、珪肺及び粉塵に関しては、科学的に未解明の部分が多い現在、これらの基礎的問題を未解決にして、その予防、補償等について今ただちに立法化することは、適正を欠くものと考えられ、またわが国のごとく国際的に見ても相当高度の労働基準が定められている国において、珪肺のみについて、さらに現行法以上の特別補償の立法化は必要を認められず、加うるに同法制定の場合は、補償、予防面において多額の経費を必要とし、産業界不振の折から、企業によつてはその経営を危殆に瀕せしめるおそれがある。ついては、今日の段階においては、珪肺に対する特別立法を行うがごときは妥当でないので、とりやめられたいとの趣旨のものであります。  日程第六七は、日程第一四と同じでありますので、これを省略いたします。  日程第六八、六九、七〇、七一、七二、七三、七四は、日程第一と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第七五、七六、七七、七八は、日程第一五と同趣旨でありますのでこれも省略いたします。  日程第七九、八〇、八一、八二は、日程第一と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第八三、八四、八五、八六は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第八七、八八、八九、九〇、九一、九二、九三、九四、九五は、日程第一と同趣旨でありますのでこれを省略いたします。  日程第九六、九七、九八、九九、一〇〇、一〇一、一〇二は、日程第一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第一〇三、郵政調停案完全実施等に関する陳情要旨は、組合職場大会において次項の決議をしたので、これが実現につき配慮されたい。一、郵政調停案の完全実施、二、夏期手当  一箇月分支給、三、スト禁止法反対という趣旨のものであります。  日程第一〇四、水害炭鉱労働事情調査に関する陳情要旨は、今次の大豪雨により福岡県下の炭鉱もまた、甚大な被害を受け、浸水、陥没せる炭坑百十九、うち、すでに廃坑、休業のやむなきに至つたものは数十坑に及び、労働者の解雇、休職の事態を惹起し、現在までに三万人が解雇され、さらにこれらに対する予告手当、休職者に対する休職中の給料は、労働基準法第十九条、第二十条及び第二十六条の規定が適用され支給されていない実情である。さらに憂慮すべきことは、被害の僅少なる炭鉱が、これを奇貨として休業しており、これらの事態は労働者の勤労権はもちろん、生活権をも極度に脅かし、労働問題としてのみならず、重大なる社会問題に進展し、これが対策に緊急を要している。ついては、国会労働委員会においては、福岡県下の労働事情を早急に調査さるるようとりはからわれたいとの趣旨のものであります。  日程第一〇五は、日程第一と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第一〇六は、日程弟一五と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第一〇七は、日程第六と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第一〇八、一〇九は、日程第一四と同趣旨でありますので、これを省略いたします。  日程第一一〇、失業対策事業費予算増額に関する陳情要旨は、失業対策事業費増額により、該事業就労者の労働条件は漸次改善されて来たが、失業者の増大、生活条件の悪化等により、今日ではその待遇を一層改善しなければならない状態にあるものと認められ、加うるに一般職種別賃金制による賃金の制限に、一世帯一人の原則が厳守されてある関係上、賃金、就労日数等の直接の待遇を改善する施策とともに、社会保障による救済策が急務であるが、失業対策事業の性質上、これらの施策は失業対策事業費関係予算増額なしには、いかんともなしがたい問題であるので、これが予算増額されたいとの趣旨のものであります。  以上であります。
  79. 赤松勇

    赤松委員長 これより政府側より御意見を承ります。
  80. 中西實

    中西政府委員 労政関係の事項につきましては、ことさら申し上げるべきこともございません。
  81. 龜井光

    龜井政府委員 陳情書の中の基準局関係のものにつきまして、漁業労働者に労災保険を強制適用してくれという陳情ですが、昨年の暮れから今年の初めにかけまして実態の調査をいたしましたところ、非常に労働関係が複雑でございます。特に賃金の関係におきまして、非常に技術的にむずかしい面がございます。現行法におきましては、任意適用をいたしておるのでありまして、労災保険に加入する道も開いておりますので、この方の勧奨をいたしまして、できるだけ労災保険に加入するようにわれわれとしては勧奨をしております。もう少し漁業の実態というものが、その労働関係が明確になりますならば、そのときに検討したいと考えております。  潜水病の予防治療に関する陳情でございますが、これにつきましては、目下千葉におきまする労災病院を主体としまして、この予防治療法につきまして研究をいたしておりまして、その結論をまちまして、これに対します施策を打立てたいと思つております。  それから珪肺の特別法の制定につきましては、先ほど請願の際に申し上げましたので、省略させていただきます。  それから近江絹糸の労働調査の問題につきましては、現在担当の監察官を派遣いたしまして調査をいたしております。その調査の結果によりまして、われわれとしましてはまた別な方案をとりたいと思つております。  以上であります。
  82. 江下孝

    江下政府委員 失業対策事業の問題につきましては、先ほど来いろいろお答え申し上げました通りでございますが、なお本陳情趣旨を十分検討いたしまして、この事業の改善をいたしたいと思います。
  83. 赤松勇

    赤松委員長 この際質疑があればこれを許します。質疑はありませんか。  なお、この際政府側にお尋ねいたしますが、さきに一般労働行政の中で、山花秀雄君外数人の委員から調査資料の要求がございましたが、これを御提出いただけますか。——スト規制法の問題が忙しくて、お忘れになつたかと思いますが、一般労働行政の際に、たとえば山花君は、駐留軍労務者の基地問題等につきまして資料を要求しております。その他数人の方より資料を要求しております。  質疑はありませんか。——それでは質疑なしと認めます。
  84. 赤松勇

    赤松委員長 これより労働金庫法案を議題といたします。質疑を許します。
  85. 持永義夫

    持永委員 第二十四条第四項の部外者の役員の数の制限でございますが、これにつきましては、仄聞するところによると、五分の一とあるのを三分の一にしたいというような意見があつたということを聞いておりますが、提案者とされまして、どういうふうにお考えになつていますか。この五分の一にされた理由を、ひとつはつきり御説明願いたいと思います。
  86. 田畑金光

    ○田畑参議院議員 御承知のように、労働金庫は、第一条にありますように、労働組合、消費生活協同組合、その他労働者の団体が協同して組織する金融機関でありまして、構成は団体を中心とする団体主義をもつて貫かれているわけであります。従いまして、労働金庫の役員というものは、当然にその構成員である労働組合生活協同組合の中から選出された諸君が役員にたるのが原則でありますけれども、しかし労働金庫という名称にも明確に現われておりますように、労働金庫は、労働者の福祉厚生活動の機関であるとともに、他の一面におきましては、金融という性格を持つているわけであります。一般的に申し上げますならば、労働組合あるいは生活協同組合、すなわち労働金庫の構成員の中に、金融経験者を求めることは、概してむずかしいのであります。従いまして、労働金庫の建前から申しますならば、自主的な組織でありますから、当然にその中から役員等も選出されて構成されるのが現則でありますけれども、先ほど申し上げましたように金融経験者が少いということ、こういうことを考えましたときに、本来の労働金庫の構成員のみの中から役員を求めるということになつて参りますと、かえつて金庫の運営において、もろもろの支障を来すわけであります。こういう点からいたしまして、員外に役員を求めて来るということが当然出て来るわけであります。そこで金庫の構成員の中に金融経験者を取入れる必要性から、員外役員、こういうことが出て参つたわけであります。しからば、どの程度の員外役員を認むべきであるか、こういう問題が出て参るのでございますが、その際に考慮されることは、先ほど申し上げましたように、労働金庫というものが、あくまでも労働者の自主的な機関であるというこの性格からいたしまして、竹きるだけ員外役員というものは少くあつてほしい、こういう要請が出て来ようと思うのであります。また他の一面におきましては、金融機関という性格から、どうしても金融経験者の員外役員を迎えなくてはならぬという要請が出て参ります。この二つの問題をどう調整するか、こういうところから、五分の一にするか三分の一にするか、こういうことになつて参つたわけであります。御承知のように、昭和二十五に岡山県に勤労者信用組合が生れましてから、すでに今日三十府県、三十の労働金庫ができております。従いまして、既存の金庫の経営の実情をわれわれは調査いたしまして、現実の運営の経験の面からいたしました場合には、五分の一という員外役員を認めますことが、実際の経営上の経験から申しましても、先ほど申し上げました原則論から申しましても妥当な線ではなかろうか、こういうことで五分の一という数字が出て参つたわけであります。さようにひとつ御了承をお願いしたいと思います。
  87. 井堀繁雄

    井堀委員 この法律の所管は、大蔵省と労働省の両方ということになつておりますが、この場合いずれの役所がその主をなすかということによつて、非常に金庫それ自身が迷惑を受けるようなことがあるのではないかと心配されますが、提案者において、その点に対する御懸念がないかどうか、お尋ねいたしたいと思います。     〔委員長退席、山花委員長代理着席〕
  88. 田畑金光

    ○田畑参議院議員 今、井堀委員からの御質疑にもありましたように、労働金庫の所管は、大蔵大臣と労働大臣の共管という形になつておるわけであります。この共管になりました事情というのは、説明するまでもなく、労働金庫というものが、一面においては、労働組合運動の福祉、厚生活動の機関としての性格を持つことと、他の面におきましては、労働金庫が、労働者の銀行という金融機関の性格を帯びている、この二点から共管というものが生れて来ているわけであります。同時にまた、御承知のごとく、従来の労働金庫は、一定の法律的な要件を備えておりますならば、いわゆる法規裁量的な自由認可主義をとつてつておるわけであります。ただ、こういう建前で参りますと、府県にあるいは金庫が濫立するとか、あるいは金庫設立の実質的な要件を備えない金庫等が生れまして、労働金庫の基礎が非常に脆弱化する危険もあるわけであります。こういう面をも防止しようという意味合いにおきまして、監督制度が強化された、こういう建前をとつているわけであります。ただ、御質問の趣旨のように、これを大蔵省と労働省との共管にしようといたしますと、われわれ提案者といたしまして心配されることは、今後この手続あるいは管理等からいたしまして、非常に煩雑に陥る危険もあるわけであります。従いまして、われわれの気持といたしましては、大蔵省は要するに事業内容あるいは経理の監査という面のみに干渉していただいて、その他の、面においては労働省が主として所管する。すなわち労働金庫は、あくまでも労働組合運動の福祉、厚生活動の一環である、ことに労働省は労働者のサービス機関である、こういうことを考えましたときに、労働省が主として労働金庫の所管に当るということが、金庫運営においては望ましい姿ではなかろうか、かようにわれわれとしては考えております。さらに本法案によりますならば、第九十八条を見ますると「大蔵大臣及び労働大臣は、この法律による権限の一部を都道府県知事に委任することができる。」こういうことになつておるわけであります。従いまして、労働金庫というものは、各地方の府県にできております関係上、政令を通じ、さらに中央から地方に委任する、こういう形が、労働金庫をして、ほんとうにその地方の実情に即した労働者の金融機関としての役割を果させるゆえんではなかろうか、かようにわれわれとしては考えて提案を申し上げているわけであります。
  89. 井堀繁雄

    井堀委員 了解できました。  次に、もう一つお尋ねしたいと思うのでありますが、この法案が通過いたしますと、施行規則が必要になると思います。従つて、施行規則によつてかなり運営上かわつて来ると思いますが、施行規則をおつくりになるのは、結局起案者の手を離れて、政府の手になると思うのです。そういう場合にも、提案者側と十分連絡はあると思いますけれども、提案者側も、現在金庫の連合組織になつております労働金庫協会のような団体もありますので、こういうものとしばしば連絡されると思いますが、そういう点について、起案者といたしましては何か御用意がありますかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  90. 田畑金光

    ○田畑参議院議員 ただいま井堀委員の御質問の趣旨でありますが、御承知のごとく全国労働金庫協会という、現在は任意団体でありますが、機関ができまして、今日までも、たとえば労働金庫法の制定等につきましても、この機関を通じて積極的に、あるいは政府、あるいは労働省、各党等に働きかけて参つているわけであります。従いましてこの法案が幸いに制定されましたあかつきは、施行細則等につきましては、さらに全国労働金庫協会等を通じ、労働省あるいは大蔵省と折衝いたしまして、せつかくできました労働金庫法というものが、ほんとうに労働金庫を育成強化して参りまして、これを通じ、労働者の福利厚生活動が一段と前進するように、制度の上におきましても、運営の面からいたしましても、万遺憾なきように進めて参りたい、かように考えておるわけであります。
  91. 井堀繁雄

    井堀委員 趣旨はよく了解しましたが、施行規則について、何か事前に労働省、大蔵省とお打合せ等をなさつたことがございますか。またないとすれば、そういうことについてのお考えをお尋ねいたします。
  92. 田畑金光

    ○田畑参議院議員 まだそのような施行細則について、打合せ等は済んでおりません。この法律ができましたあかつきにおきましては、すみやかに今の御趣旨等も参酌いたしまして、関係当局と話合いを進めて行こう、かように考えております。
  93. 井堀繁雄

    井堀委員 大蔵省にお尋ねいたしたいと思います。先ほど起案者にお尋ねいたしましたと同じ趣旨において、大蔵省と労働省の共管になるようであります。その場合、今起案者の説明によりますと、金融の監督の部面だけが大蔵省の主たる所管で、その他は、労働政策の一環として、労働省が金庫の責任当局というようなお考えのようでありますが、この点について、大蔵省のお考え方を伺つておきたいと思います。
  94. 有吉正

    ○有吉説明員 労働金庫は、法案によりますと、労働省と大蔵省の共管になつております。大蔵省といたしましては、労働金庫が金融機関の一つでございますので、金融行政上、これが監督をして参るのは当然のことでございます。また同時に、労働金庫は労働者の福祉増進に密接な関連がございます。そのために労働省がこれを監督して参る、これまた当然の話でございます。大蔵省といたしましては、労働省との間に緊密な連絡を保ちまして、金融機関といたしましての労働金庫が、労働者の福祉増進に資しますために監督して参りたい、かように考える次第でございます。
  95. 井堀繁雄

    井堀委員 重ねてお尋ねいたします。私どもの心配いたしますことは、今御説明のように、金融事業としてであると同時に、労働組合の福祉活動もしくは労働者相互扶助的な事業活動として大きく期待をかけておりますが、仕事の実際上の問題になりますと、なかなかそうはつきり区域まで明瞭に規定することは困難だと思うのであります。そういうような場合に、従来もたびたびわれわれはこういう経験を持つておるのであります。適当な言葉でありませんが、お役所のなわ張の争いから、当事者が非常に迷惑をこうむつたというような例がかなりたくさんある。そういう点から考えますと、この種の事業というものは、とかくこれだけが大蔵省の監督で、これからこつちが労働省というように、なかなかけじめがつきにくい問題ではないかと思われます。あらかじめそういう点について、両省の間にこれこれというようなことをおきめになるような御意向でもあるかどうか、あるいはまつたくそういうものはないが、何か常時連絡するような機関でも設置されるおつもりであるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  96. 有吉正

    ○有吉説明員 お答えいたします。労働省と大蔵省の共管の際におきまして、その権限をどういうふうに考えるかという御質問でございますが、私どもといたしましては、権限を、どこまでの権限が労働省の管轄にあり、どこまでの権限か大蔵省の管轄にあるというように、割つて考えることはいたしたくないと思います。同じ権限を、大蔵省といたしましては主としては金融機関の健全性という面からこれを取上げて参る、労働省といたしましては労働行政の部面からこれを取上げて参るという見方の違いは出て参るかと思いますが、権限といたしましては、ひとつ共管の妙を生かしまして、十分に遺憾のないようにいたして参りたい、かように考えているわけであります。ただ問題が、実際的な問題あるいは技術的な問題になりますれば、話がごく卑近になりまして恐縮でありますが、書類をどちらに先に出すかというような点になりましたならば、両者の間に緊密な連絡を持ちまして、その割振りをきめて参るというような自主的な点はありますが、全体にこの行政をいかに動かして行くかというような点につきましては、両者の間において権限争いというようなことはなく、両者の共管の妙を生かしまして行政指導に努めて参りたい、かように考えております。またこの間に連絡協調の機関を設けてはどうかという御質問でございますが、大蔵省におきましては銀行局に特殊金融の課がございまして、これが主管いたしております。労働省におきましては当面の課がございます。その間におきまして緊密な連絡を保つて参ることによつて実をあげて参る、かように考えておりますので、別に特別な連絡の機関を設ける必要はなかろう、かように存ずる次第であります。
  97. 井堀繁雄

    井堀委員 これはいずれ仮定しての話ですから、はつきりしたことはわからぬでしようが、ただ今御説の中にもありましたように、大蔵省と労働省は、仕事の性質もたいへん異なつておりますが、この金庫に関する限りは、同一歩調をとつて、仰せのようにまとまつた監督なり御指導を願わなければならぬと思うのです。おおむね問題になりますのは、監督権に関する問題が多いと思うのであります。たとえば認可、許可のようなものにいたしましても、両方に書類を出して、両方の意見が、役所が一本でありませんために、時間的にもただちに決裁をもらうことが困難だというようなことが相当できると思うのであります。たとえば、役所の内部でいいますと、局長、課長に書類が動くというような場合にも、両方へそれぞれ行つて、両方の御都合が悪いということになりますと、倍の時間を要するというようなことになつたり、役所の建前が違うために、意見の調整をすることが比較的困難だと思うのです。こういう実際上の問題については、かなり心配が起つて来るのではないかと思うのです。それを役所が独自の見解でそれぞれの断を下したり、あるいは命令を出されたりしたのでは実際にやり切れぬ問題が起きて来るのではないかと思うのです。こういう点から、ただいまのような役所の姿で協同の立場で権限を、この場合にはこうするというようなことは、事実上むずかしいのではないかというような心配を、私ども非常にしておる。従つて、そういう場合の特殊の機関というほどでないまでも、調整をとるための組織というものがやはりなければ、うまく行かぬのじやないかという心配がある。この点について、はなはだくどいようですが、御説明を伺つておきたいと思います。
  98. 有吉正

    ○有吉説明員 権限が労働省と大蔵省と共管になつております関係上、あるいは労働金庫の方々に御迷惑をかける点があるのではないかという御心配は、私どももごもつともな点があろうかと思います。しかしながら、実際上の運営におきましてこの点は解決して参りたい、かように存じて、先ほども御答弁した次第でございます。たとえて申しますならば、労働省の方に書類をお出し願う、同時に大蔵省に書類をお出し願うというような煩瑣なことはいたしませず、労働省の方に書類をお出し願いましたならば、ただちに大蔵省の方にも御連絡願う、書類を一つにしてまわしていただく、あるいはその間期間等の問題もございますが、これもできる限りスピード・アツプして参るというような技術上の問題によつてこれを解決して参りたい。その間の両者の緊密な連絡、事務のスピード化、その両者をあわせまして、十分に指導の面におきまして、労働金庫に御迷惑のかかることのないように努めて参りたい、かように考える次第でございます。
  99. 井堀繁雄

    井堀委員 労働省がお見えなつておりませんし、この問題はいずれまたこの法案が委員会決定を見ましたならば、なお詳しくお尋ねをいたし、希望を申し上げたいと思います。きようはこれで質問を打切ります。
  100. 山花秀雄

    山花委員長代理 持永義夫君。
  101. 持永義夫

    持永委員 私はこの前の委員会の際に大体本件に関しましては質問をいたし、御答弁を願つたのでありますが、なお漏れた点を二、三お聞きしたいと思います。それは現在ありまする二十九の労働金庫の経営状況、今手元に資料を持つておりませんが、この前労働省でありましたか配付されました資料によりますと、二十七年度の決算において、赤字を出している労働金庫もあるように見受けたのでありますが、事実どうなつておりますか、概況をお示し願いたいと思います。もし大蔵省の方でお調べになつているようなことがあれば、大蔵省の方からお答え願いたいと思います。なければ、提案者の方でもけつこうです。
  102. 田畑金光

    ○田畑参議院議員 ただいまの御質問に、詳細に答えることはできないかもしれませんが、ただ私の知れる限りの範囲で申し上げますならば、御承知のように、金融機関というものは、一般的に申しますならば、設立後二、三年間は赤字の出るのが普通とされているのであります。ただ、労働金庫の場合はどうかと申しますならば、現在までの経理状況を検討してみました場合に、比較的初期にできました労働金庫、たとえば岡山、兵庫、千葉、埼玉、福島、広島、こういう府県の労働金庫は、いずれもが昭和二十七年度の決算におきましては剰余金を出しているわけであります。ことに、この中でも兵庫、千葉、福島の労働金庫は、初年度から繰越しの損金を償却しまして、ある程度配当も行えるという段階までこぎつけて参つているわけであります。こういうような経営の状況になつて参りますと、当然に預金利率の引上げ、あるいは貸付利息の引下げ等も同時にやつているわけでありまして、おそらくこういう経理状況で進んで参りますならば、昭和二十七年度以降設立されます労働金庫も、同様な経営の実績を示して行くものではなかろうか、かようにわれわれとしては見ているのであります。どういうわけでこういう実績が上つて来るのかと申しますと、御承知のごとく労働金庫は、先ほど申し上げましたように、労働組合あるいは生活協同組合、こういう労働者の団体として把握いたしておりまして、従いまして預金の吸収等から見ましても、他の一般金融機関より容易に吸収できるわけであります。また貸付金の回収にいたしましても、あくまでも労働者の団体として把握いたしておりますし、その責任も団体が負うという形になつておりますので、銀行に通例見られます貸倒れというようなことも、ほとんど絶無にひとしく、こういう預金の吸収、また貸付金の回収の便利、こういうことからいたしまして、経営のコストも低いというのが、労働金庫の運営上の利便とされております。幸いにいたしまして現在までの労働金庫は、ある程度の年数がたちますと、全部堅実な経営になり、軌道に乗りまして、その本来の任務を達成しつつある、こういうことが一般的に申し上げ得ると思います。ただ設立当初におきましては、出資額の面、あるいは預金吸収等におきまして、期待に沿い得ない労働金庫も若干ありますけれども、これも歳月が解決し得るのではなかろうか、われわれ当事者としては、こういうように見て参つておるわけであります。
  103. 山花秀雄

    山花委員長代理 それでは暫時休憩いたします。     午後二時二十二分休憩      ————◇—————     午後六時五十五分開議
  104. 赤松勇

    赤松委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この持永義夫君より発言を求められておりますから、これを許します。持永義夫君。
  105. 持永義夫

    持永委員 ただいま上程されております労働金庫法案につきましては、私ども賛成の点を表するものでありますが、ただ一言希望を申し上げたいと思います。不幸にして関係省が見えておりませんが、委員長において、本会議における報告の際に、各関係大臣にその旨が伝わるようしかるべく御報告願いたいと思うのであります。  それは、この労働金庫法は、申すまでもなく大事な労働者の資金を吸収し運営する機関でありまして、いわば庶民金融機関でありますから、どうか庶民金融機関であるということを特に念頭に置いて、この大事な資金が公正に適正に使われ、そうして健全な発展を期し得られるように、特に関係大臣が適正なる監督をしていただきたい、また積極的な指導もしていただきたいということを念願するものであります。  かつて公益質屋が、明治の終りごろでありますが、ある漁村にできました、この公益質屋につきましては、当時内務省は自治法制上許されないものであるということで反対をいたしましたが、そのときの知事であり、われわれの先輩であります有吉忠一という人が、内務省の反対にかかわらずこれを断行いたしました。そうして事実公益質屋を運営させまして、その公益質屋が基盤となつて今日の公益質屋法ができたことをよく存じております。今日は相当多数の公益質屋ができてそれぞれ庶民金融機関といたしまして、一定の法制のもとに健全なる発展をなしておりますが、この労働金庫法ができましても、今後多数の労働者のためにこれが健全なる運営をなされるように私は念願し、またそういうふうになるように、関係大臣が適正なる指導あるいは監督を加えられますように希望をいたしまして、本案に賛成するものであります。
  106. 赤松勇

    赤松委員長 ただいまの持永義夫君の御意見ごもつともだと存じます。おそらく全員御異議ないものと認めまして、本委員会はその希望を付したいと思います。  なお、本会議委員長報告の際にも、御希望の通り、強くこの趣旨を織り込んで委員長報告をしたいと思います。  この際お諮りいたします。ただいま議題なつております労働金庫法案、(参議院提出参法第四号)につきましては、すでにあらかた質疑も終了したと存ぜられますので、この院本案につきましては、質疑を打切り、討論を省略の上、ただちに採決をしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認めます。  それでは労働金庫法案(参議院提出参法第四号)について採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  108. 赤松勇

    赤松委員長 起立総員。よつて本安は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時五十八分散会