○亀井
政府委員 ただいま御
質問のございました米国極東海軍司令部の移転に伴いまする解雇予告手当の支給の問題でございます。この経過は、すでに
熊本委員は御承知の
通りと思いますが、昨年の十月二十日に予告をいたしまして、十一月十八日付をも
つて解雇するという予告をしたわけであります。ところが、十月二十四日になりまして、
日本人管理者が、司令部の移転が延びたために十月二十日にした予告は
撤回するという旨を申し出まして、
労働者もそれに同意をいたしたわけでございます。ところが、その後十一月十五日になりまして、先般
撤回した予告はそのまま生きておるのだ、
従つて十二月一日にお前らは解雇するのだという通達があ
つたわけであります。そこで
法律論としましては、この十一月十五日になされました解雇予告の
撤回の取消しが、どういう
法律的な効果を持
つて来るかという問題が争われたわけであります。
労働者側は、この解雇予告の
撤回の取消しに応じないという
労働者が四百五十名お
つたわけでございます。従いまして、そうなりますと、われわれの
法律解釈から申しますと、十一月十五日にあらためて解雇予告がなされたものと見なされるわけでございます。
従つて、それから後の解雇予告手当につきましては支給すべきであるという認定を東京
労働基準局長がいたしまして、これを特別調達庁の方に文書をも
つて通告したわけであります。従いまして、特別調達庁としましては、ただちにその
趣旨を体しまして、現地の司令部と折衡をいたしたわけでございますが、現地の海軍司令部からは、これに対して、予告手当を支給する義務がないという回答が参りました。その後再三折衝をいたしたのでございますが、これに対しまする明快な回答を司令部から受けることができなか
つたわけでございます。
従つて労働省としましては、一月二十一日の認定によりまして、一応われわれの手を離れた問題ではございますが、しかし解雇されました
労働者の生活不安を
考えますと、調達庁をしてできるだけ早く予告手当を支払わしめることが、
労働者のために必要でございますので、再々調達庁に督促をいたしまして、その実現方につきまして努力して参
つたわけでございます。調達庁の方としましては、ただいま申し上げましたように、司令部の方からこれに対しまする拒否の通知を受けましたので、実は板ばさみになりまして、結局日米合同
委員会にこの問題を持ち上げるということになりまして、五月十四日に特調から外務省に文書をもちましてその申請をいたしたわけでございます。外務省としましては、日米合同
委員会にこの問題を取上げますと、いろいろ時間的に相当のひまがかかりまして、かえ
つていい結果が出ないおそれがあるんじやなかろうかということで、別の外交折衝によ
つて何とか処置したい、そしてその目安がつきました後に、形式的に日米合同
委員会にかけて、その処理をはか
つて行くというふうに、目下外務省がせつかく努力しておるように私は聞いております。