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高橋(禎)
委員 今の問題について、
小坂労相にいま一言
お尋ねいたしておきます。念を押しておきたいと思いますが、裁判がなくても停電
ストは疑問があることは、法務当局の御
説明がございましたし、労働省からも
説明がありましたけれども、学者の間においても停電
ストのあるものについては犯罪にならぬという
意見が相当強いものがあるのです。そこへも
つて参りまして福岡の柳河支部でも無罪の裁判がありましたし、東京高等裁判所においても、まあ検事の手違いがあつたとも言われますけれども、無罪というものが言い渡されて確定をしておる。そういうふうな学説の反対するものかあり、裁判所も下級裁判所においては無罪の判決を下しておる。中には確定したものもある。そういうときに、しかも今同じ
ような事件が最高裁判所に係属をしておる。こういう過程において、私どもはこの
法案を審議しておるわけであります。もしも
政府において反対の学説もしりぞけ、あるいは裁判所の
意見もしりぞけて、われわれの主張が正しいのだということで押し切
つて、そうして今まで不正不当であつたものをわれわれはここに宣言するのにすぎないのだという態度で進んで行
つておられまして、最高裁判所においてそれは間違
つておつた、やはり東京高等裁判所のごとくに無罪の裁判を下すべきものであつたという結論に達したときに、これはきわめて重大な問題が起るわけであります。私は干のときに、
日本の労働問題について非常な悪い影響を与えることを国家のために憂えるものでありまして、まだ
法案は審議中ですから、もしも今まで不当なものであ
つたのをこれは宣言しておるのだということがあやまちであれば、この際私は改めておかれた方がいいと思うのであります。もしも段高裁判所がいわゆる犯罪にならないものである、正当なものであるということを宣言いたしました場合に、今審議しておりますこの
法律がかりに通過しておつた場合に、
労働大臣の所見のごとくに解釈されて通過していたという
ような場合においては、一体
勤労者の
団体行動権というものを侵害したところの
法律になるのではないかという
ようなことで
憲法に違反したものだという
ような説もこれは起り得ることを私は心配するのでありまして、今の場合、今
お尋ねいたしました
ようないろいろな条件を十分総合してお
考えに
なつて、十五回
特別国会でこの案は通過したのであるからというのでこれを
提出されて、まあこれは通過するだろうという
ような軽い
気持でこの
法案の審議に対処せられるということは、私は
労働大臣の将来を思いましても、これはお気の毒な
ようなことになるのではないかと
考えますので、この際十分に御研究お
考えの上に、これらに関していま一度御所信をお述べいただきたいと思うのであります。