○中川(源)
委員 大臣の御答弁を承りましてまことに感謝にたえません。実にりつぱな抱負なりお考えを持
つていただいておるということを聞きまして、まことに私どもは心強く思う次第でございます。
御承知の通り日本の国はただいま青少年の犯罪が非常に多く
なつておる、今日は老人は犯罪を犯さない、しかしながら青少年は相当な犯罪を、二十七人に対し一人犯しており、軽犯罪は川名に一人の犯罪を犯す、軍隊のある時分には兵隊に行
つて犯罪を犯すような余地もなか
つたのでございますが、だんだん恐ろしい殺人、強盗窃盗、強姦、というような罪を犯す者が二十五才から以下十三才までというように、年齢がますます低下して行く、そうしてますます犯罪者がふえて行く、こういうまことに難かしい日本に
なつてしま
つておるのでありますが、その原因を調べてみますると、
教育の普及徹底を怠
つておるという向きも多うございまして、先日も刑務所の方に行
つて、非常に優秀な通信
教育を受けて、まじめに勉強しておる者というのを調べてみましたら、涙ながらに若い青年が語りました。その前に私は京都から奈良までの間自動車で走りましたところが、若いほんとうに自分の孫のような子供が刑務所の犯人として土木事業に従事しておる、たくさんの者が事業をや
つておる、何という犯罪者がこんな子供ばかりに
なつてしま
つたのだろうと申してお
つたのでありますが、刑務所に尋ねまして、私どもはなぜこんな恐ろしい罪を起したかということを考えてみましたときに、ま
つたくこれは
教育をなおざりにしてお
つたからであろうということをいまさらに悟りまして、刑務所に入りながら一生懸命勉強をいたしております。すなわち国民は
教育の
機会均等を与えられて、われわれも学ぶことができることはまことにありがたい、私は今度出獄いたしましたならば、絶対に犯罪は犯しませんからというような模範生がございました。ですから中産階級程度の者の犯罪が非常に多いのです。これは警察を
充実するということよりも、まず
教育に力を入れるということが大切じやないか。定時制の
教育に今五億とかあるいは十億のわずかな金しか行きません。警察の
充実に対しては佃百億とかいうような金を出しますが、それよりもまず
教育に力を入れまして、犯罪のない国にしなければならぬ、これが大切なのです。今人口調節と何とかいろいろなことを申して八千五百万の人間が小さな四つの島でひしめき合
つて暮さなければならぬ、日本に食糧が足りない、人口の多いことを嘆く人がありますが、私はこの八千五百万の日本の国民は世界の宝にならなければいけない、日本のすべての青少年に対しまして
教育を普及徹底せしめまして、専門家、技術家をたくさん出す、頭の力において決して外国人に負けない日本人である、アメリカでも日本人は頭が優秀である、東洋の民族で一番優秀である、アメリカ人も日本人の頭には負けるかもしれない、かように申しておる、日本人は頭の力によ
つて世界を指導するに足るところのりつぱな技術あるいは専門家をつくることによ
つて、私は日本の
再建をし、世界に君臨しなければならない、かように考えましたときに、実際自分が働いて学びたいという意欲を持
つている者こそ優先的に扱うべきである。準義務
教育として定時制
教育、通信
教育を払
つていただいておると思いますが、さらに
一般の
教育者が準義務
教育として優先的に勤労青少年
教育をすべきであると考えておるかというに、今日遺憾ながら全日制の
教育と定時制の
教育と比較いたしまするならば、全日制の
教育の方が大切であるかのことく考えている
教育者も多数おるわけです。今日では差別待遇をされております。たとえば教職員の配置等につきましても、全日制の七割あるいは人前くらい、しかも專任教師が足りない、わずかの専任教師しかいないというような状態でありますが、それに対してすでに平衡交付金の中で四割の
国庫補助をしておられるのです。これは平衡交付金に入りますまでは単独に
補助を出しておられたのでございますが、ただいまでは平衡交付金の中に入
つております。平衡交付金の中に入
つておりますと、文部省の指導あるいは助言あるいは方針がどうも地方に徹底しにくい、それではいけない。どうしても直接に地方自治庁の手を離れてを出すようにしなければならぬ。先ほど大臣が仰せになりましたような二十八億の金は文部省の指導、助言によ
つて使わるべき性質の
補助金にしなければならない、かように存ずる次第でございます。これに対しましてわれわれも一致協力いたしまして、一日もすみやかにひもつきのわくの中に入れられた
補助金にするように協力いたしたいと思うのでございます。
さらにまたただいま仰せになりました施設の
補助金としてすべてで一千八百万円、わずかでまことに心もとない次第でございますけれども、かりに単独法をつくりまして、本年はわずかしか支出はできないけれども、将来はこれに付倍かふやして
内容の
充実をはかるのであるというような方針を定めていただきませんと、ただいま全国に三千二百も定時制の学校がありますが、その中で中学校の校舎を使
つておるものが千ほどあり、二千二百ほどの中でどうも
内容の
充実していない、これでも高等学校の
教育が。きるかというような、設置
基準というようなものではなく、非常に貧弱な設備しかないというものが大
部分でございまして、このままで参りますならば、おそらく定時制に魅力がなくなる、あるいは一段低い
教育である、
内容の
充実していない
教育である、こういうふうな解釈を
一般の人がするように
なつて参りますので、せつかくこういうりつぱな
教育制度をつく
つていただいたのでありますから、幾分かでも誘い水のために
補助金を出して、そうして
内容の
充実をはからしめるというようなことをしてもらいたいと思うのでございますが、この設備に対する大臣のお考えを伺いたいと思うのでございます。
また分校の校舎建築につきましては、地方
財政が今日非常にきゆうくつな折柄、それでもまず分校でも建てようという意欲が非常に強い市町村におきましては、熱心にこの分校の建設に
努力いたしておりますが、ぜひとも建てなければならない、またまさに危険状態にある危険校舎を改築しなければならない、どこに参りましてもこれでもほんとうに学校かと言われるような
建物の中で、定時制
教育の行われているのが多くありますが、それらに対して改築をする、あるいはまた
新設をするというようなものに対して、たといわずかでも三分の一の
補助金でももらえることができますれば、その地方地方の発展策になりまして——定時制
教育があまねく普及徹底しておるところと徹底していないところ、たとえば滋賀県のごときはわずかしか定時制
教育はありません。しかし
全額県費をも
つていたしております。県費はけつこうでありますが、それではなかなか容易に建たないという状態でございますので、
政府から三分の一でも
補助金を分校建設に対して出してもらえるということでございましたならば、もつともつとふえまして、ただいま中学を卒業した者が三分の一しか入れないものが、あるいは半分、あるいは六割も七割も入るようになるのではなかろうか、こう考えまして、分校建設につきましては早く
補助金を出すように、また
補助金を出せないという状態でございますならば、せめて起債だけでも認可することができるように、起債も今日まだ認可しいない、——今回は少しの
予算を組んでいただいたようでございますけれども、これではとうてい足りませんので、もう少しこの起債の認可をする、あるいは
補助金を出すという、分校建設に対する奨励の対策を講じていただく考えがないかどうかということを伺いたいのであります。
それから育英
資金でございますが、大体日本育英会の
資金は生徒数に割当てて各県に配当されております。それによ
つて各県の育英会の支
部長は学校の人数によ
つて割当てていうものが多いのです。しかしその育英会の条件は、御承知の通り貧しいということが第一条件であり、第二は勉強もよくできるという、この二つの条件がそろ
つている岩に対して育英
資金を流用せしむるというわけでございますが、全日制の生徒と定時制の生徒を比べまするならば、これは比べものにならない。全日制の生徒は大体においてゆたかである。それを数によ
つて割出てることは無理である。定町制の子供は、たとえば父が戦死いたしまして、母や年寄りを自分の力で養いながらさらに学ぶ、工場に勤めて得ました収入は母や年寄りに向ける、自分は五時に工場を終
つて、公事をとらずに学校に行
つて、夜の十時に
なつてようやく食事をするというようにして勉強している者が大多数であります。こういうようにいたしております間に病気に
なつたり、いろんな無理が重なるために定時制
教育を受けることができなくなる。これはどうしても通信
教育によ
つてさらに学ばなければならぬと思うのでございますが、通信
教育に対しましては国で定められた、あるいは推薦された書物に対して
補助金を出すということにし、また途中で挫折する者のないように、育英
資金をまず貧しいという点から参りましすならば、優先的にこの定時制の
教育を受けている者に多数これを利用せしむることが必要ではないか、全日制よりも、痛切に感じるのは定時制でございます。ほ
つておきますこ、入りましたときから卒業するまで半分くらいに減
つております。全日制はさよなことはありません。ほとんど八割、九割の者が卒業いたしますが、定時制の方はそういう
財政経済の面からどうしても行けなく
なつて参りまして、経済的に詰ま
つている者が多うございますので、これに対して育英
資金を流用せしむることこそ今日の急務である、これは優先的に流用せしむる必要があると私は考えまして、地方々々の
教育長なりあるいは学校長なりに、このことは参りますたびことは印すのでございますけれども、まだはつきりとそれを考えている者が少うございます。文部省の方からもその点を日本育英会とお打合せをいただきまして、さらに
教育長あてに、ほんとうに貧しい者から優先すべきだ、そしてよく勉強のできる者に流用せしむるように、生徒の数によ
つて割当てるということよりも、貧しい、途中で挫折しなければならない者を食いとめるために、この育英
資金を流用せしめたらどうかというような通牒を発していただく必要が、私は今日はあると思いますが、いかがでございますか。
また私はこの
産業教育振興法のできました精神は、第十六条にもある、定時制のごとき働きながら学ぶことのできる、設備のないところに設備をせしめるというのが振興法をつくるときの最初の動機であ
つたろうと思います。にもかかわらず、昨年は大蔵省の査定の誤りであると私は思いますが、文部省の意向に反して五〇%以上理科設備のできているものに、さらに
補助を出すというようなことがきめられたものでありますから、定時制は五〇%できておるのはほとんどないので、潤わないということで、今度は一五%以上七〇%以下のところに流用せしめるということになりましたので、大分定時制に潤うのではないかと思うのでございますけれども、これも文部省の指導方針がその点はつきりとしまして、主としてこの産振法の
予算は定時制に流用すべきである、定時制に優先すべきであるということの通牒を出してもらう必要がある、私はかように考えるのでございますが、いかがでございますか。
また高等学校を卒業いたしましてをさらに進学をいたしたいという希望持
つておる者に対して、大学局はどの府県にも
一つずつ大半をつくることは必要であると認めておられる。
一般昼間の大半は多過ぎて、これは私は整理すべきであると思いますが、夜間の大学は、私立の大学はありますが、
公立の大学は少い。私立の大学は授業料も高いし、荷い金額の寄付金も出さなければならぬようなこともありまして、貧乏な働きながら学んでおる者はなかなか行けないという状態でございますので、どうしても
公立の大学を開放してもらわなければならぬ。まず東京大学を先に開放して、そうして学びたいという意欲を持つ者が学ぶことのできるようにしてもらわなければならない。大学の先生たちが相かわらず象牙の塔にこも
つて、優秀なる者を少数よリ出さない、夜間に教えるのをきらうというようなことがあ
つては、
教育の
機会均等の精神に反するものである。早くこの東京大学をまず開放して、そうしてどこの大学も貧乏な者が、授業料をほとんどなしに、あるいは安い授業料で、昼間は勤務しながら夜間に勉強できるようにしてもらいたい。たとえばオハイオ州立大学のごとき、オハイオ州立大学は朝の五時から夜の十時までレクチユアをや
つております。いつでも自分の都合のよい時間に勉強することができる、これほど便利なものはないのです。そういうふうに学びたい者はいつでも講義を受けることができるという進歩的な大学にしなければならない。旧体制な東京大学であ
つてはならない。多くの者を学ばす、希望者は皆利用せよ、開放するということこそ今日の急務中の急務であると存じます。いつまでも象牙の塔にこも
つて、これを捨てておくということは国策上特によくないことであると思いますが、大臣のお考えはいかがでございますか。
これに対して、各
公立の大学に対して警告を発していただきまして、昔のような考え方をやめにしよう、
教育の
機会均等という精神を普及徹底せしめ、あまねく
教育を徹底をせるために開放せよという通牒を発していただく必要があると思うのでございます。地方ではもしも開放されたならば、もう入り切れないほどたくさんな入学志願者があふれることを私ははつきり保証することができると思うのでございます。
これらにつきまして一括して大臣か御答弁をいただくことができますならばたいへんありがたいと存じます。