○岡崎国務
大臣 外務省所管の
昭和二十八
年度の
予算について大要を御
説明いたします。
予算総額は五十一億三千五百二十三万三千円で、これを大別いたしますと、外務本省十六億九千五百三万三千円、在外公館三十四億四千二十万円であります。ただいまその
内容について御
説明いたします。
第一、外務本省一般行政に必要な
経費五億二千六百七十万一千円は
外務省設置法に定める本省内部局及び附属機関の一般事務を処理するための
職員千二百七十四名の
人件費及び物件費等でありまして、前
年度に比して五千二百三十万円の増加は、
職員の給与改訂及び人に伴う
経費の
増額等であります。
第二、外務行政連絡調整に必要な
経費一億二千七百七十五万七千円は、本省と在外公館との事務連務のための電信料、郵便料及び旅費等でありまして、前
年度に比し四十六百十二万六千円の増加は、在外公館の増加と連絡事務の増加したためであります。
第三、外交文書編纂公刊に必要な
経費四百七十七万八千円は、明治以来の
日本外交史実を編集し、公刊するための
経費であります。
第四、外交電信に必要な
経費四千百九十一万六千円は、在外公館との通信施設の改良整備等に必要な
経費であ
つて、前
年度に比し九百十一万七千円増加したのは、在外公館新設に伴う電信機械購入の増加によるものであります。
第五、外交運営の充実に必要な
経費二億四千万円は、外交再開第二年目において各国との外交交渉により幾多の懸案問題の解決をはかり、また
各種の条約協定を締結する必要がありますが、これらの交渉を
わが国に有利に展開させるため必要な工作費で、前
年度に比し二億一千万円の
増額とな
つております。
第六、アジア
諸国に関する外交政策及び賠償
実施政策の樹立に必要な
経費一千三百八十七万二千円は、アジア
諸国に関する外交政策の企画立案、その
実施及び賠償
実施政策の樹立のため必要な
経費であります。
第七、欧米
諸国等に関する外交政策の樹立に必要な
経費二千二百四万四千円は、北米、中南米、西欧及び英連邦
諸国に関する外交政策の企画立案及びその
実施に必要な
経費と、今秋京都において開催される太平洋問題
調査会の太平洋
会議補助金二百七十万七千円、及び在パリ
日本会館
補助金九十二万五千円であります。
第八、海外渡航
関係事務処理に必要な
経費七百九十七万二千円は、旅券の発給等海外渡航事務の
経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための委託費四百六十万円であります。
第九、国際
経済情勢の
調査並びに
資料の収集に必要な
経費八百五十一万七千円は、
世界経済の正確な把握を期するため内外の
資料文献を広く収集整理するための
経費であります。
第十、通商
貿易振興に必要
経費五千五十三万二千円は、通商利益の保護増進をはかるため、国連の後進国
開発計画に即応し、
東南アジア諸国に対する将来の
貿易振興を期待し、財団法人国際学友会の事業として、
東南アジア諸国の
技術留学生の受入れ施設の建設拡充のための
補助金四千九百八十五万五千円と、訪日通商使節団の国内視察の際の同行旅費であります。前
年度に比し四千五百四十三万六千円の増加は、前述
補助金を増加したためであります。
第十一、条約締結及び条約集編集等に必要な
経費一千五百二十二万一千円は、国際条約の締結、条約集等の編集、条約典型の作成、条約及び国際法並びに内外法規の
調査研究のため必要な
事務費等であります。
第十二、戸籍法及び国籍法
関係事務処理に必要な
経費三百四十八万九千円は、在外邦人の身分
関係事務、及び二重国籍者の
日本国籍離脱に関する戸籍法上の事務に必要な
事務費であります。
第十三、国際連合への
協力に必要な
経費六千六百四十八万三千円は、国際連合各機関の
調査研究に必要な
事務費及び後進国
経済開発技術援助拡大
計画拠出金二千八百八十八万四千円と、国際連合国際児童緊急拠出費三千六百十万五千円であります。
第十四、国際労働機関アジア地域
会議負担金支払いに必要な
経費一千七百十四万一千円は、今秋東京において開催される国際労働機関主催の第二回アジア地域
会議に対する
わが国の負担金であります。
第十五、日米合同
委員会日本側事務局の事務及び国連軍協定
実施に関する事務処理に必要な
経費四百四十一万二千円は、日米安全保障条約第三条に基く行政協定の
実施機関である合同
委員会の
日本側事務局の事務、及び国際連合軍との協定
実施に関する事務に必要な
経費であります。
第十六、情報啓発事業
実施に必要な
経費二千五百九十二万九千円は、国際情勢に関する
資料の入手、海外に対する本邦
事情の啓発及び国内啓発等のため必要な
経費であります。前
年度に比し三百四十万六千円の増加は、通信購読料と啓発
資料作成の増加したためであります。
第十七、国際文化事業
実施に必要な
経費一千五百五十四万一千円は、文化交流を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な啓発宣伝
資料の作成、購入の
経費、及び国際連合
協力の意思を盛り上げるため国家的事業の一環として財団法人
日本国際連合協会
補助金六百八十八万五千円と、
日本文化の海外紹介の事業を主とする財団法人国際文化
振興会
補助金二百八十万円であります。前
年度に比し一千八十六万六千円の増加は、前述の
補助金の増加と文化紹介
資料の購入、作成の増加によるものであります。
第十八、未引揚邦人
調査及び外地にある遺骨引取に必要な
経費二千六百十四万八千円は、未帰還邦人の氏名、生死等を明らかにし引揚げ
促進のための外交交渉及び留守家族援護策の
実施に必要な
資料を整備するための
事務費、及びこの事務の一部を都道府県に委託するための委託費九百六十七万九千円と、外地において戦没した同胞の遺骨引取り、墓地保存等の協定に必要な
事務費等であります。
第十九、旧外地
関係事務処理に必要な
経費五百五十七万七千円は、朝鮮、台湾、樺太、関東州等旧外地官庁
職員の給与、恩給、その他残務整理に必要な
経費であります。
第二十、旧外地官庁引揚
職員等の給与支給に必要な
経費六千万円は、二十八
年度中の旧外地官庁引揚見込み
職員三百二十四名と、未引揚
職員七百三名の留守家族に対する俸給その他諸給与であります。
第二十一、移民
振興に必要な
経費一億六千二百四十八万四千円は、ブラジル開拓移民一千二百五十人を送り出すための渡航費
貸付金一億四千八百二十八万三千円、及びこれが事務を移民
団体に委託するための
経費五百九十二万円等であります。
第二十二、神戸移住あつ旋所事務処理に必要な
経費七百九万六千円は、移民の本邦出発前における健康診断、教養、渡航あつ旋等の事務を行うため必要な
経費であります。
第二十三条、国際
会議参加及び国際分担金支払等に必要な
経費二億四千百四十二万三千円は、海外で開催される
各種国際
会議に
わが国の代表を派遣し、また本邦で開催される国際
会議に必要な
経費と、
わが国が加盟している国際機関の分担金であります。
第二十四条、在外公館一般行政に必要な
経費三十三億六千二百九十四万二千円は、既設公館六十二館三百十七名と二十八
年度新設
予定の在米大使館ニユーヨーク分室、キューバ、ヴエネズエラ、カンボジア、イラン、オーストリアの五公使館、へルシンキ総領事館、べーレン、ダツカ、ラゴス、ナイロビの四領事館に必要な
職員三十六名及び既設公館の
職員の増加六十五名計四百十八名の給与、赴任、帰朝、出張旅費、
事務費、交際費等であります。昨
年度に比し二億四千百三十一万五千円の増加となりますが、そのおもなるものは
職員給与の改訂、
事務費及び交際費の増加であります。
第二十五条、対米宣伝に必要な
経費二千五百五十五万一千円は、日米親善に寄与するため、
わが国の政治、
経済、文化等の
事情を組織的にアメリカ合衆国各地に紹介するための
資料作成費、講演謝礼、及び
事務費等であります。
第二十六条、在外公館営繕に必要な
経費三千四百七十万七千円は、イント駐剳大使の公邸新営費及び在フランス大使館事務所の修理費等であります。
第二十七条、国際
会議事務処理に必要な
経費千七百万円は、在外公館所在地で開催される国際
会議の事務処理に必要な
事務費であります。
以上がただいま上程されております
外務省所管昭和二十八
年度予算の大要であります。詳細御
審議のほどをお願いいたします。