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永持公述人 本日ここに
公述人といたしまして、
昭和二十八年度
予算案のうちで、旧軍人等の恩給に関係のある事項について、所外を述べさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。
さて新聞紙の報道するところによりますと、
日本政府は韓国政府に対しまして、韓国にありますところの
日本人の私有財産の返還を要求しておられます。その理由として、へーグの陸戦法規で、個人の私財産には手がつけられないということとあげておられるようでございます。国内問題と国外の問題では、法律的に申しますと、大分趣が違うということは伺
つておりますが、法の精神から申しますと、政府が旧軍人等に与えておりましたところの恩給権、これも
一つの私有財産だと思うのでございます。これを連合国か七年の長きにわた
つて停止をさせておつたということは、私どもとしてはまことに心外のことに思うのでございますがその問題はともかくといたしまして、平和条約が公布になりまして、効力が発効いたしましてから一年以上になりますのに、いまなおこの問題が未解決にな
つておるということは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。その辺をお考えになりまして、政府といたされましても、前
国会にこの問題に関係する
予算案並びに法律案を御拠出になりまして、衆議院におかれましてはその
予算案は御承認になりました。
予算案、法律案ともに不満なところはございますが、このお心持に対しましては、一同を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。が御承知のような
情勢で、未解決のまま今日まで持ち越されておるのでございます。私どもの受けました精神的の打撃というものは、
相当大きなものがございまして、また大多数の者が物質的の打撃を受けております。また恩給の顔を拝めませんで、政府並びに議会に対して、感謝の意を表するひまもなく、むしろうらみをのんで、あの世に旅立
つて行く人が少くないのでございます。私の承知しておりますごく狭い
範囲でも、この一月から他界しておる者が百名ぐらいにな
つております。
一方一般公務員の恩給について見ますと、御承知のように
昭和二十三年以前に退職された方々の恩給が、その後に退職された方々の恩給と均衡がとれないというので、昨年議員立法でその是正の法律を制定されまして、その
予算を暫定
予算の中にお組み入れになりまして、すでにこの一月から支給をされております。のみならず今回の
予算の中には、この十月から昨年一般公務員の給与改善、これに伴うところの恩給
増額に応ずる
予算の
増額を
計上されております。旧軍人関係の恩給とのつり合いのとれていないということは、別問題といたしますれば、まことに政府としても議会としても公正な取扱いだと私は思
つております。願わくは旧軍人関係の恩給につきましても、この公正なお考えをも
つてお取扱いを願いたいのでございます。具体的の問題につきましてはすでに口頭もしくは書きもので申し上げておりまして、特に新しいことはないのでございますが、せつかく時間をいただいたのでございますから、その主要な点について、しばらく御清聴を煩わしたいと思います。
第一は旧軍人関係の恩給と、社会保障との関係でございますが、これを社会保障にしたらよかろう、あるいは社会保障を加味したらよかろうというお説があるようでございます。一般公務員の恩給でも、あるいは民間会社の退職年金あるいは退職一時金にいたしましても、みな退職時の
所得と勤続年数とを基礎として算定をされておられます。それに、薄給に甘んじ、命を投げ出してお国に御奉公した忠良の護国の戦士たちを差別待遇してよろしいという理由は、私どもはちよつと了解いたしかねる次第でございます。一般公務員の恩給もやめてしまえ、会社の退職年金、退職一時金もやめてしまえ、退職したらすべて社会保障にしろ、こういうことでございますれば、そのよしあしは別問題といたしまして、首尾一貫した
議論だと思うのでありますが、そういう徹底をしたお話は伺
つておりません。またこれは言うべくしてなかなか実現がむずかしい問題ではないかと思
つておるのでございます。なお先般中国から帰
つて参りました者が、ソ連の恩給
制度を調べて来たのでございますが、それによりますと、ソ連でも軍人の恩給及び遺族の扶助料というものは、社会保障よりも優越してあります。そしてその
金額は、やはり退職時の収入と勤続年数とを
考慮して算定しております。従軍加算、航空加算、潜水艦の加算というようなものも認めております。ソ連の
性質上、勤続年数の短い者には恩給をやらないことにな
つておりますが、恩給を支給する者に対しては、
わが国の現在考えられておりますものに比べて、はるかに上まわ
つております。
わが国では、御承知のように退職時の
所得の五割以上にはどういう場合にも恩給をふやさないということにな
つておりますが、ソ連では八割までも支給することにな
つております。何も私はソ連のまねをするということを主張するわけでも何でもございませんが、ソ連のような国ですら、こういう
制度があるということは、本問題の御審議上、大いに御参考にしていただきたいと思うのでございます。
次は国家
財政との関係でございますが、私どもも、国の目下の
情勢では、国家
財政を無視してよろしいということは決して主張いたしません。ある
程度の犠牲は忍ばねばならぬということは、十分覚悟しておりまするが、その犠牲の
程度について、御承知と思いますが一応お話申し上げますと、恩給法特例審議会の提出されました答申ですら、昔の通りの恩給を復活した場合の
金額を、現在の給与ベースにべース・アツプして勘定いたしました
金額の半分以下にな
つております。それが政府の原案ではさらに一割余減額してあります。ベース・アツプと申しましたが、これは恩給法特例審議会の答申をなされたときのベースでございます。この十月からの一般公務員の恩給のベース、また一般公務員にいたしますれば、昨年の末にきめられました給与ベース、これについて換算をいたしますと、今度の
予算額は所要額の三分の一にな
つております。それだけの犠牲が払われているわけでございます。一般公務員は今度の
予算では前年度に比べて二割余も
増額にな
つておる。また先ほど申しました給与ベースの上つたことのための
増額、これは本年度は六%にな
つておりますが、これを一年に計算いたしますと、一割余になると思います。犠牲を払うのはもちろん喜んで払いますが、できるだけ公平な犠牲を払わせていただきたいということを念願している次第でございます。これは今すぐという問題ではございませんが、どうぞ将来に対して大いに御
考慮を願いたいと思うのでございます。
次は恩給法特例審議会の答申が新聞に発表になりましたときに、所要
金額の大
部分というものは、戦死者の遺族の扶助料と傷病者に充てられているものでございますのに、有力な新聞ですらそこを誤解をして、とかくの記事を書かれ、それが
国民感情に悪い影響を与えたということは、私どもまことに遺憾に思
つているところでございます。また大将とか兵とかいう階級の名前が出ましたために、これまた
国民感情に影響を与えていると思うのでありますが、私どもといたしましてはこの階級の名称の出ておりますのは、先ほど申しました退職時の
所得を現わすところの代名詞に使われているのだと思います。現に今度の法律案もそうだと思いますが、前
国会に出されました法案を見ますと、階級でなく
金額で書いてあるところは非常にわかりにくいのでございまして、私どもと一緒に研究して絶えず恩給のことをや
つております者ですら、とんだ間違いを来した例もございます。それに戦後出ましたいろいろの法令で、階級の名称があが
つておるのもあるのであります。なお階級に関連しまして、上の者に厚く下の者に薄いという御
議論があるのであります。前の恩給の額と、今回
予算案にあげられております基礎にな
つておりますものとを比較してみますと、上の者では昔の
金額の五、六十倍、下の者は百倍あるいは百倍を少し上まわ
つております。一般公務員ではこれが少くも百二十倍から百五十倍にな
つております。もう
一つ別の言葉で申しますれば、旧軍人におきましては、一番上と一番下との比較は、上の者は下の者の九倍にな
つておりませんのに、一般公務員では十三倍以上にな
つております。また保安隊の一番上のいわゆる保安監の基礎恩給額は三十三万六円にな
つております。元大将の基礎恩給額は十六万四千八百円で、半額にもな
つておりません。下の方でももちろん一般公務員より少うございますが、これは三割
程度減額にな
つておる状況でございます。また戦死者の遺族の扶助料にいたしましても、一般公務員の方は、従來は上から下まで普通扶助料の何倍とい
つて、一定の倍数額だつたのでございます。旧軍人の方は、上の方と下の方の倍率が連
つておりまして、下の方の倍率は上の方の倍率の二倍にな
つております。これはおはずかしい話でございますが、五・一五とか二・二六事件を軍で起しました。これは社会改造を理念としたものでございまして、この思想が言わず語らずの間に軍の間に入
つておりまして、恩給の制定にもその観点が含まれまして、遺族の扶助料のごときは、ただいま申しましたような状況にな
つていたのかと思います。要しますのに、今度の政府の考えておられますところの旧軍人関係の恩給の規定は、過去現在における恩給の規定のうちで一番上に薄く、下に厚くできておる規定でございます。
以上で全般のことを終りますが、なお各項目について考えておりますことを申し上げますと、先ほども申しましたように、元々通りの恩給を復活していただいたのに比べて、三分の一にな
つておるでございますから、その中には私どもとして幾多の不満、不服があるのは、御想像にかたくないと思うのでございます。しかしながら、それを一々取立てて言
つても切りはございません。また国家
財政も考えなければなりません。それに先ほど申しましたように、早く恩給をいただきたいという念願を持
つておる者が非常に多いのでございますから、いろいろな文句を言
つて、そのためにごたついて、法の制定が遅れるということになるのは、一番の苦しいところでございます。やむを得なければ、政府原案のままでもよろしゆうございますから、できるだけ早くこれを通していただきたいということが、第一の希望でございます。しかしなから、以下そのいろいろの要望事項のございますうちで、
相当重要で、しかも下級の者に影響が大きく、また実現もこの
程度ならできはしないかと思われることについて、お話を申し上げたいと存じます。
第一は、戦死者の遺族の扶助料でございますが、いわゆる公務扶助料とな
つておるものでございますが、公務扶助料を受領する者に対しましては、一人も失格者が出ておりません。これは当然のこととは申しながら、まことにけつこうなことと存じます。しかしながら、先ほども申しましたように、所要
金額の大
部分というものは戦死者の遺族に充てられているのでございますから、どうしてもこの扶助料に手をつけなければ、所要
金額を減らすわけには行かないのでございます。それである
程度手を加えておられます。一般公務員の従来の公務扶助料は、先ほど申しましたように普通扶助料の四倍、主人が生きておられたときの恩給の二倍にな
つておりますが、これが今度は一般公務員も旧軍人も同じように改正になりましたが、この法律が施行になりましてから、六箇月間はまだ元のままでございます。前の戦争で戦死をいたしました一般公務員の遺族というものは、主人が生きていたときの恩給の二倍を上の方でも下の方でももらわれているのでございます。ところが旧軍人につきましては、上の方では主人の生きていたときの恩給を少し下まわ
つている。公務扶助料が主人が生きておりましたときの恩給より少し少いのでございます。また下の方は、主人が生きていたときの恩給の三割増しくらいにな
つているにすぎません。一般公務員との振合いはとれておりません。しかしこの問題は、かれこれ言
つてもしようがございませんが、そういう状況であるということを特に御承知おきを願いたいのでございます。そして下の方の者の年金は、割合いに少いのでございますから、せめて月額三十円
程度に上るように御
配慮願いたいと思うのですが、さてこれを胸算用してみますと、年額が百億、本年度にいたしますれば七、八十億ということになると思うのでございます。先ほど申しました一般公務員の
増額から見ますれば、このくらいのことは当然とも言えないように思うのでございますが、あるいはむずかしいかと思います。むずかしければ、十億でも十五億でもこの公務扶助料を御
増額になりまして、下級者の公務扶助料を幾らかでもお増しいただきましたならば、遺族の方々も非常に感謝の念をささげられることと思いますし、また私どもも非常に感謝を申し上げる次第でございます。
次は、傷病者の問題でございますが、傷病者はやはり圧縮を受けておりますが、その増加恩給でことに犠牲を
払つておりますのは、上級者と軽症者でざいます。いわゆる第七項症、第一ないし第四款症の者の年金を一時金にかえておられます。これは一般公務員も同じように改正にな
つておりますが、やはり過去の戦役につきましてはかわりませんで、こういう方々は年金をいただけるようにな
つております。希望によ
つて、一時金でもいいように法律案はできております。これは
予算の関係もございましようが、お国のために働いた者に対して、まことに無情な処置ではないかと思います。できることならば、第七項症並びに第一ないし第四款症の者の年金を復活させていただきたいのでございます。ことに第七項症の者は増加恩給がなくなりますと、普通恩給の権利までなくなることになりますので、少くとも第七項症者の復活は御
考慮を願いたいと思うのでございます。第七項症だけにして私が胸算用をいたしますと、一時賜金であるところの傷病賜金が減
つて参りますから、それを
考慮に入れますと、まず四億くらいあればいいのではないかと思うのでございます。
次は加算の問題でございます。加算は今回は一般公務員も旧軍人も全部廃止になりましたが、先ほど申しましたと同じように、過去に対しましては、一般公務員の方はやはり加算が残
つておるのでございます。加算廃止の理由といたしましては、内地が戦場化しているから従軍加算はいらぬ、国家
財政が苦しいから加算をやめる、
調査が困難であるからして加算はやれないというようなことがあげられているように思います。そのうちで、内地の戦場化したという問題は一応ごもつともでございます。でございますが、お国のために命を投げ出しておるところの軍の特異性を考えますと、昔通りの従軍加算は別といたしましても、ある
程度の加算は認められるのが至当ではないか、ましてこれを過去の日清、日露の戦役までさかのぼるということは、理論から申しますればまことにりくつに合わない、こう申せると思うのでございます。
次は国家
財政との関係で、これもやむを得なければ犠牲を払わなければならぬと思
つておるのでございます。しかしこの従軍加算がなくなるために――従軍加算があれば年金をいただく権利を持
つておるのに、加算がなくなるためにこの権利をなくなす、いわゆるこの権利者が百四十五万人くらいあるのでございます。国が戦争に負けた、これらの人々は若い人であるとは申しながら、国が一応約束したことを破
つてしまうということは、考えていただきたいと思うのでございます。これも無理やりにたくさん考えていただきたいというわけではなくて、すでに裁定を受けております者に対して、加算がなくなると年金の権利がなくなるというときに、これに年金を与えることについて特別の算定法を規定されておるのでございますが、それと同じような算定法を適用していただきたいと思うのでございます。
また
調査の困難の問題でございますが、これも一応ごもつともなことでございますが、今申したように若い者が多く、そうして実際の恩給を支給開始いたしますまでには
相当の年数があるのでございます。その間に十分
調査はできると思うのでございます。ことにこの問題は戦死者には関係のない問題でございます。生きておる者、その中で病死した者もございましよう生きておる者だけでございますから、割合に
調査はむずかしくないと思います。さてこの加算を今のようにして認めた場合、
予算にどう響くかということを考えてみますと、大
部分の者が若年停止の制限を受けておりますから、今すぐ恩給を支給する必要はございません。一方こういう者に予定しておりますところの一時恩給、これはあとでまた申し上げますが、この一時恩給がなくなりますので、むしろ
予算といたしましてはここに
余裕ができて来ると思います。数年後にな
つて初めて恩給を支給することになりますが、初めは半額、全額を支給する時分になりますと、先ほど申し上げましたように、どんどん年寄りが死んで行きます。結局国としては
予算はほとんどふえないで済むというように私は想像をいたしております。こういう見地でこの最小限の加算ということについて御
配慮を煩わしたいと思うのでございます。この加算がなくなりましたために、年金の権利がなくなるという者を救う手段といたしまして、一時恩給ということがあげられております。連続七年以上勤務した者はある
方法で勘定をした一時恩給を支給して、それを兵にまで及ぼすということにな
つておりますが、実際兵で七年もとどま
つておるということはまず少いのじやないかと思
つております。それにこの一時恩給の
制度は一般公務員にもございまして、三年以上の者には支給することにな
つておるのでございます。やむを得ずこの
方法をとられる場合におきましても、七年を三年なり五年なりまで下げていただきたいと思うのでございます。しかしこれは
予算にも影響いたしますから今すぐというわけにも行きません。むしろ
予算の見地から申しますれば、先ほど申しましたように、加算を御採用に
なつた方がいいんじやないかと思うのでございます。
それからなお今回政府のお考えにな
つておるところでは、連続七年以下勤務した君は、その勤務はすべて恩給
金額の算定以上はただ奉公ということにな
つております。一般公務員ではこれが一年、一年未満のものは勘定に入れないが、一年以上のものは途中が途切れましても、みんな勘定に入れることにな
つております。七年というのはあまりにも残酷なような気がするのでございます。たとえて申しますと、連続七年勤務して、間を置いて連続五年勤務した。総計で十二年勤務した下士官は、普通の考えでは年金がいただけますのに、七年として勘定をして一時恩給だけいただくということにな
つておるのでございます。この連続七年ということは、せめて連続三年、やむを得ないでも連続五年くらいまでお下げにな
つていただきたいと思うのでございます。これはそうたくさんはないので
予算には大した影響はないのではないかと思
つております。
最後にお願いいたしたいのは戦犯者の問題でございます。拘禁中の戦犯者には依然恩給を停止することにな
つております。戦犯者は大体におきまして部下の行為の責任罰を受けておるのでございます。そして七
年間も拘禁をされ、その家族の者は非常に困
つております。従来は未帰還者には恩給をやらないのだから、それとのつり合い上拘禁者にはやらないとのお話がありまして、一応ごもつとものように思つたのでありますが、今度は未帰還者の家族にも恩給を支給するようにな
つております。そうして未帰還者のうちにはあちらで依然拘禁されておる者もあるはずでございます。それとのつり合いを考えますと、ぜひこれは御
考慮を願いたいと思うのでございます。外交上の関係もあると思いますが、今度の法律案はまだ拝見しておりませんが、前法律案で二十四条というものをきれいにすらつと削
つてしまつたらいいんじやないかと思
つております。これは削りましてもほかに影響はない、そうすればあまり目立たない。対外的にも大した問題はなくて済むんじやなかろうかと思
つております。それからなお刑死者、獄死者、これらも公的の行為で、敵の手のために殺されたものでございますから、これを公務死亡としてお取扱いを願いたいと思うのでございます。これもぜひ御
考慮を願いたいと思います。
以上いろいろ申し上げました。まだ申し上げたいこともたくさんあるのでございますが、大分時間も超過いたしましたからこの辺でやめておきますけれども、要しまするに、いろいろの関係もございますから、政府の原案そのままでもやむを得ませんから、なるべく早く通していただきたい。しかしながらただいま申し上げましたいろいろな点、公務扶助料、下級者の
増額、七項症、第一ないし第四次症の年金、その他加算の失格者に対してだけ加算を
考慮するという問題、連続七年の問題、戦犯者の問題、これらについて切に御
配慮をお願いする次第でございます。長い間御清聴を煩わしましてまことに恐縮に存じます。
私どもの
努力が足りませんので多くの者に生活上の脅威与え、また恩給をの顔を拝まないでなくな
つて行かれる方々がたくさんあるので、まことに申訳なく思
つておるということを申し添え、最後に漏れ承るところによりますと、この恩給停止の命令が連合軍から出ましたときに、当時の政府の方は何とか思いとどま
つてくれということをお願いに行かれたそうでありますが、そのときにGHQの方のお話では、従来はソビエトの提案というものはみんなけ飛ばしていた。これが初めてのソビエトの提案を採用したものであ
つて、もう一度出た命令であるから、いまさら取消すわけに行かないというような回答があつたということでございます。こういうようないきさつもある旧軍人関係の恩給でございます。どうぞその辺をお考えいただきまして、一日も早くできるだけ有利な
予算並びに法律案を成立させていただくよう切に切にお願いして私の公述を終ろうと存ずるのであります。長い間どうもありがとうございました。(拍手)