○和田
委員 私は、
政府がそういう希望的推測をしておられることについては今とやかく言いませんが、もちろん防衛計画がすぐに人数をふやすだけの計画だとも思
つておりません。もちろん、何年度には装備をまず主にして、これを完全なものにして行くということも、その計画としては成り立つと思います。しかし、それだけでその計画が終るものではないと私は思う。やはり人数もふやし、あるいは装備をもつとよくして行くという計画は、どうしても不可分に伴うのでありまして、今はなるほど
保安隊を十一万から十八万——
向うが要求するような十八万なり三十万なりは断る。また、そういう計画を
政府はあるいはお出しにならぬかもしれない。しかし
MSAの
援助というものは、やはり二年なり三年なり相当長期にわたるものであります。従いまして、その点について、ことに
総理大臣の言われているような、
日本の
経済自立というものについての
援助というものもあるだろうというお
考えをかりにこちらが立てるとすれば、
経済面においてもまたは警備計画の面においても、何らかの長期的な計画というものがそこになければ、
援助を与える
アメリカ側からい
つても、
援助の与えようがないのではないかと私は思うのであります。先般その点についても保安庁の木村君に尋ねてみたら、現在の装備の点において欠けているのは、通信であるとか、そんな方面のものであ
つて、ほかの方は十分なのだ、守れるのだということを言われておるのです。ところが
岡崎さんは、そうじやないのだ、今の装備はあらゆる点で不備なんだということを前から本
会議でも
言つておられる。そこに多少の食い違いがあ
つたと私は思うのでありますが、もしも今のようにこちらから計画を出さずに、そうして、いいのだろうということで推し進む以上は、その前提として、今の
保安隊の装備で、少くとも兵器の点については十分なのだということでないと、これはなかなか納得が行きにくいのであります。おそらく
向うではそういうことで満足するとは思いませんが、こちらの立場としては、そうでなければこれ
はつじつまが合わないように私は思うのであります。
そこで今度は、これは木村さんにお聞きしたいのでありますが、防衛計画というものは、いずれは出さなければならぬものであるとすれば、早くお出しに
なつた方が、
政府としてはこの場合はいいのじやないかと思うのであります。出さずにおいて、そしてカーテンのうしろでいろいろと抵抗をされるよりは、
政府がほんとうに今の
保安隊は
軍隊ではない、そしてこれでは不十分だ、警察力なんだといわれるならば、警備計画をお出しにな
つて、
日本はこれで行くのだということをお示しに
なつた方が——それに対して立場はいろいろ違います。われわれはもとよりそういう立場はとりませんが、私は少くとも今この大きな問題を処理して行く
外交としては、そういう
態度に出られた方が、よほど
国民の疑いを晴らし、また
国民外交としてのもつといい知恵が出て来る、反対をするにしても、堂堂たる反対ができると私は思うのであります。そういうことが、ほんとうの自主
独立の国の
外交だと私は思うのであります。ことに木村さんは、一旦総理に出して、そしてそれを総理は緒方さんにお返しにな
つて、また手元に返
つた一つの試案を持
つておられる。これは責任の持てない案だということを木村さんはこの
予算委員会において答弁されておる。しかしいやしくも
一つの行政庁の長官が、自分の責任の持てないようなものを
総理大臣に出すような、そんなばかげた責任のないことはないと私は思うのであります。また同時にそれだけ責任の持てないものを、なぜそれならば——こういうことは言いたくないが、旅先では話をされるのでありますか。旅先の放言は、これは
吉田内閣のほんとうのお家芸だとも言えるのでありまして、旅ではか
つてにそういうことをしやべる。総理に出した試案は無責任だという。これは
日本の安全保障の仕事を守
つておられる木村長官としては、どうも私は納得が行かない、この点について、私は
吉田総理に実はお聞きしたいのであります。こういう閣僚が責任のないものをあなたのお手元に出し、旅先では責任のないことをしやべる。そしてその事柄が
日本の安全に非常に関係しておることであるというような事態につきましては、総理として一体どういう
考えを持
つておられるのか。私は閣僚を十分取締られる責任にある総理としての御答弁を願いたい。