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1953-07-11 第16回国会 衆議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十一日(土曜日)     午前十一時四十五分開議  出席委員    委員長 尾崎 末吉君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君    理事 池田正之輔君       相川 勝六君    植木庚子郎君       江藤 夏雄君    小林 絹治君       迫水 久常君    庄司 一郎君       田中  元君    高橋圓三郎君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       船越  弘君    本間 俊一君       八木 一郎君    小山倉之助君       河野 金昇君    櫻内 義雄君       中村三之丞君    古井 喜實君       石山 權作君    福田 昌子君       武藤運十郎君    八木 一男君       横路 節雄君    和田 博雄君       加藤 鐐造君    小平  忠君       河野  密君    中居英太郎君       三宅 正一君    北 れい吉君       河野 一郎君    黒田 寿男君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         通商産業大臣  岡野 清豪君         国 務 大 臣 安藤 正純君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         経済審議庁次長 平井富三郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 七月十一日  委員栗田英男君、小林進君及び山本勝市君辞任  につき、その補欠として櫻内義雄君、平野力三  君及び世耕弘一君が議長の指名で委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算  昭和二十八年度特別会計予算  昭和二十八年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 尾崎末吉

    尾崎委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算外二案を一括議題といたします。  この際去る七日の委員会において理事会申合せによつて保留されておりました河野一郎君の質疑を許します。河野一郎君。
  3. 河野一之

    河野(一)委員 前会に引続きまして、対米債権の問題につきましてお尋ねいたすのであります。  最初に、前二回の質問によりまして私がただしましたところの政府見解を要約いたましすと、大体こういうことになると思うのでありますが、これについて、もし私の見解間違つておりましたならば、御訂正を願いたい。  第一は、わが国の対米債権は確定しておること、第二は、ガリオアイロア等相殺すべきものにあらざること、第三は、講和後引続き対米交渉中なるも、当初新木大使により、さらに現在に至るまで集京駐在米大使館に対して交渉中なり、四、本件に必要なる一切の書類は整備しあること、ということに了承したのでありますが、これはいかがでございますか。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一番の確定は事実でございます。それからガリオアイロアの問題でございますが、これはこちらで債務と認めておりますので、そういたしますと自然交渉というものはそれにひつかかつて来るだろうということが予想できます。それから対米交渉中である、これは事実でございます。それから四点をもう一度……。
  5. 河野一之

    河野(一)委員 本件に必要なる、解決に必要なる一切の書類は整備しておること。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 全部整備しております。それから五点をもう一度……。
  7. 河野一之

    河野(一)委員 それだけでけつこうです。大体了承のようでありますが、第二点のガリオアその他と相殺すべきものにあらざることというのは、この前明瞭に御答弁なつております。ただいまの御答弁でありますと、この点について多少違うようでありますが、これをもう一ぺん御答弁を願います。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 この前御答弁申し上げましたように、あれは商業ベースによるところの債権でございます。ガリオアイロアは、御承知通り援助資金でございまして、性質が違います。それでございますから、われわれといたしましては性質が違うと心得ております。しかし両国の交渉をいたします際には、当然向うから話をされる。それが予想されるということは、すでにマーケット声明によりまして、四月十八日に確認を得まして、十九日に新聞に発表したときには、ガリオアイロアあたりが最終的に清算せられるときに清算されるだろう、こういうことを言つておりますから、向うからはそういうようなことが出て来るということが予想せざるを得ない情勢であります。
  9. 河野一之

    河野(一)委員 それは少し話が違うので、これはこの前の吉田総理の御答弁にも、そういう答弁をしておられるのであります。この答弁速記録をごらんになるとわかりますが、私も相当に調べてこういう結論を得ておるのであります。あらためて訂正なさるならば訂正してけつこうですが、この前のはそうなつておらない。しからば現在交渉中に、先方からはこれと相殺をするというような申出があるのかないのかということを承りたい。この二点をここで訂正して、向うから相殺申出があれば、これに応ぜざるを得ないものであるかどうか。さらにまた現在交渉中に先方からそういう申出があつたかどうかということについて、御答弁を願いたい。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 重ねて御答弁申し上げます。先ほど申し上げましたように、あれはコマーシャルベースによる債権であります。それからガリオアイロア援助資金でありまして、われわれといたしましては、独立国の名誉にかけても払つて行きたい。こういう感じがいたします。しかしその払う点についてはまだ交渉はいたしておりません。しかし対米交渉中のものはわれわれはやはり債権として考えておりますが、しかしただいまのところ、その交渉経過につきましては、私の方から申し上げることはできません。外務大臣の方で承知しておる、こう思います。
  11. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 アメリカ側からは非公式にずつと前から、これは占領中からと記憶しておりますが、ガリオアイロアその他報奨物資とか、払下げ物資とかいろいろありますが、こういうものについて正確にどれが一体債務であるか、どれが債務でないかということを確定したいという希望がありましたが、われわれの方はまだ書類等の整備も十分できておらないので、その交渉はつきりいたすところまでは行つておりません。今度の問題につきましてはマーケット声明というものが、御承知通りありますので、われわれとしては少くとも形からいつても違う。債権であるから、われわれの希望としては、これはこれで別個に考えたい、こういう話合いを続けております。
  12. 河野一之

    河野(一)委員 今の外務大臣の御答弁は非常に明瞭であります。明瞭でありますが、そういうふうに明瞭なものを、一体通産大臣がなぜ不明瞭にするような答弁をされるのか。これは性質が違うから、これはこれで別だ。片一方は貿易債権だ。もらうものはもらうのだと言えばよいじやありませんか。なぜそれを一方においてこういうものがあるからというようなことを言われるか。この前の答弁通りこれは相殺すべきものではないのだ。もらうものはもらうものだ。あとガリオアその他のものについては、これはどうなつておるかということを、まだ話合いをしたことはないのだ。ないものを、  一方においてはつきり債権と確定しておるものと相殺することがあるかないか、この前ないと御答弁されたものを、またここであるようなないようなもやもやしたこと言う必要はないじやありませんか。ことにマーカットがどう言つたとかこう言つたとかいうことを言われるが、あのときにマーカットがそういうことを言つたけれども、それは話が違うということを明確に言うたじやありませんか。日本政府がそのときにはつきりしたじやありませんか。それを今になつてまたそういうことを言つたからとかなんとかいうことを持ち出す必要はないじやありませんか。もう一ぺん御答弁を願いたい。
  13. 岡野清豪

    岡野国務大臣 幾度申し上げても同じことで、先ほども申し上げましたが、コマーシャルベースでやつておる債権と、ガリオアイロア債務とは違う。しかしあとのことはマーカットがそういうことを言つておるから、向うとしてはおそらく一緒に清算したいという希望があるだろう、こう私は申し上げておるのです。ちつともかわりありません。コマーシャルベース債権ガリオア債務とははつきり違うということを申し上げております。
  14. 河野一之

    河野(一)委員 どういう意味でそういうことをからませて御答弁しなければならぬのか、私は了解に苦しむ。あなたがわざわざそういう問題を持ち出して来るのはおかしいと思う。これは別なんだ。一方はどこまでも援助資金なんだ。占領中、日本占領政策遂行上必要な・アメリカとしての援助なんだ。問題が違うのだから、これはこれで先般総理お答えになつたように、日本人の名誉にかけても、払えるときになつたら払いたいものであるというのは、その通りです。何もこんなものをもらつて、いつまでも恩に着せられるようなことをする必要はない。それはその通りだ。しかし今さしあたりこれだけの債権があるものを、これはこれとして払つてもらうのはあたりまえなのです。しかもその債権たるやあなたは確定しておると言われるが。しからば承る。先般の確認書の第三項にありますところの適当な機関にこれを移すと書いてある。その適当な機関に移すとはどういう意味に解釈しておられますか。
  15. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。適当な機関と申すことは、向うの方の適当な機関でありますから、私は存じませんけれども、しかし日本といたしましては、適当な機関であるとして外為委員会ちやんと処理すると思います。
  16. 河野一之

    河野(一)委員 そういうことではない。向う通告に適当な機関に移すと書いてあるが、それは一体何をさすのだ。あなた方は適当な機関を探してみて適当な機関は見当りましたか、交渉してどれが適当な機関かわかりましたか、日本のことではありません。昨日の決算委員会で聞いてみると、あなた方はまるでばかなことを言つておるので、外為の方にまわしたとかどうしたとか言つておるが、そんなことを聞いておるのではない。そうではない。アメリカの方の先般の通告による一本適当な機関とは何なんだ、それがはつきりわかつておるか、それをはつきり答弁願いたいというのであります。
  17. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。適当な機関といつたら、向うでこれを処理する適当な機関考えておりますが、それは向うのことでありますから私は存じません。
  18. 河野一之

    河野(一)委員 それがわからなければ交渉のしようがないではありませんか。一体政府内部にどういう意見があるか。あなたは調べておいでになるのですか。その書類アメリカ側からもらつたときに、この適当な機関は何だとあなたが内部で相談したときにどういう意見になつたのですか。あなた御存じないのでしよう。どういう意見になつたかと私は聞いておる。あなたは御存じないでしよう。日本政府は何に交渉したらいいかわからないでしよう、はつきり言つた方がいいでしよう。
  19. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それがすなわち外交交渉によるものでありまして、向うが適当の機関に移すと言つておるわけであります。だから移すにきまつております。そこでわれわれといたしましては対アメリカの問題でありますから、アメリカ大使舘に対してこれを交渉すれば、アメリカ大使舘の方で適当の機関がどこであるかということは向うの裁断にまかすわけであります。
  20. 河野一之

    河野(一)委員 しからばその適当な機関外務大臣に承りたい。
  21. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 当時のことは別といたしまして、講和発効後はアメリカ国務省なりあるいはこちらの大使館なりが適当な機関であると思いますが、その後の交渉によりまして、今こちらの大使舘が適当な機関である、こう判断いたしております。
  22. 河野一之

    河野(一)委員 私の言うのは、あなたが交渉される相手はアメリカ国務省交渉されようと、こちらの大使舘交渉されようと、要するにアメリカ政府交渉をしておられる、こういうことなんです。ところがこの金を支払うのはだれが支払うか、だれが支払うつもりだということを承りたい。
  23. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれ一の考えでは、アメリカ大使館をかりに適当な機関と認めますれば、これと交渉していよいよ票決定いたしますれば、アメリカ政府が払うのでありますから、そのどこのセクシヨンから金が出るかということは、われわれとしては特に関知しなくてよろしいと思います。ただその手紙の当時は、おそらく司令部のあつたときでありますから、司令部の中にはいろいろなセクションがあるから、その意味のことであつたかと思つてつたのであります。
  24. 河野一之

    河野(一)委員 しからばこの債権者をいろいろ条件がついてちやんとすれば、アメリカ政府は払うと言つておるのですかどうですか。
  25. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 まだそこまでの結論は出ておりませんが、債権確認することは向うとしてもその用意がある。支払いのところまでは話が行つておりません。
  26. 河野一之

    河野(一)委員 そうすると債権は大体向うからつけて来た条件日本政府の方において満たされれば、アメリカ政府の方において支払いをする。それが相殺の形をとるか何をするかということはまだ先だ。これはアメリカ政府がその責任を果すということだけは、今日までの外交交渉で明確になつておる、こう了承してよろしゆうございますか。
  27. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 支払いの方はただいま申した通り、まだそこまで話は行つておりませんが、債権を、つまりいろいろの条件はありますが、これが満たされれば、アメリカ側からいえば債務でありますが、この債務があるということの確認いたすことと、われわれの方では、今までのところの結果からいえばそう信じております。
  28. 河野一之

    河野(一)委員 そこが大事なところなんですが、満たされることとこちらが信ずるのは初めから信じているのですが、先方アメリカが、そういう条件が満たされれば払うということはきまつておるのですか。そういう確認は得ておるのかどうかということを承りたい。
  29. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 たびたび申す通り、まだ結論まで来ておりませんから、私としてはここではつきり申し上げるわけには行きませんが、つまり今言うのは、私の信ずるところだけを申すわけであります。しかし交渉のいろいろの様子から見まして、債務確認する用意はある。ということは、つまり債務を引受けることになるわけであります。
  30. 河野一之

    河野(一)委員 そこまで外交交渉が行つていると外務大臣が言われるならば、私の心配を申し上げるのですが、アメリカ政府の中の一部には、この債権朝鮮に転換するというような気持はないのですか。そういうふうな見解はないのですか。それはちようどガリオアその他を日本政府に払え、払うべきだということと同じに、この品物使つたの朝鮮だということから、朝鮮政府が払うべきものだというような意見は、一体ないのですか。そういう心配は全然ないのですか。
  31. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私の考えでは、かりにありましても、アメリカ政府韓国政府との話合いであつて、その点はわれわれとして承知いたしておりません。
  32. 河野一之

    河野(一)委員 もうそれ以上言うことにやめます。外交上のことでありますから、それ以上追究する必要はありませんから……。ただ私の心配しますことは、そういうことにならぬように、とにかくマーカット氏その他が、当時この債権に関する往復文書等を見ましても、日本政府のだれが怠慢であつたか、たれが悪かつたかということはあとにいたしまして、非常に不明朗だ、棒を引いてしまえ、こんな債権ほ捨ててしまえといつて政府の一部でお答弁になりますように、初めからこの債権ちやんとしておるものならば、外為資金に入るべきものである。当然入るべきものを、外為設立の当時には入れずにおいて、そして講和のときにようやくこれを認めたとか、認めぬとかいうようなことになつて、外為にまわしたとかまわさないというようなことになるほど、それほどだれが怠慢であつたか、だれが不正であつたかというような部類に属すべきものだと私は思う。ようございますか。これはいずれも日本国家の支出によつてできたところの債権である。その債権が、一般政治常識と申しますか、われわれの常識でいえば、外為をつくりましたときに、ただちに外為資金にこれは繰入れらるべきものである。そのときには、これは紙くずかごの由に捨ててあつた。(「ばかなことを言うな」と呼ぶ者あり)ばかなことであるかどうか聞きたまえ。それが捨ててあつたところから、通産省のお役人さんが一生懸命努力されて、紙くずかごの中から拾い出して、マーカットが棒を引くと言つたやつを拾い出して、これまであるというところまでようやくでつち上げて、それを吉田総理以下不勉強でなまけておつて、ほつておいたものだから、もう一ぺん紙くずかごの中にもどりかけて、いまだにこれがふらふらしているということなんです。それであるから申し上げるのだ。吉田総理に承りますが、この二百億の対米債権のわが国家としての歳出は、どこからどういうふうに出たものか。これは総理庁に属しておるそうでありますから、お答えを願いたい。
  33. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいまのお尋ねは、貿易特別会計からでございます。それからあの当時は、総司令部韓国の間に取引をしておりました。そのときに韓国で必要なものをこちらに注文しますと、とにかくわれわれとしては、その意を受けまして、そうして貿易公団がございまして、まだ当時の時代でございましたから、貿易公団とか、配炭公団とか、石炭公団とかなんとかいうのがございました。そこに注文しまして、そして届けさせる。そうすると、それを払いますのは、貿易特別会計という資金の中から払う、こういうようになつております。
  34. 河野一之

    河野(一)委員 それは少し違いはしませんか。二百億の金が貿易特別会計の中から生れて来たのですか。
  35. 岡野清豪

    岡野国務大臣 そういう円払い貿易に関することは、貿易特別会計の仕事でございますので、その当時いわゆる進駐軍と申すものがありまして、進駐軍韓国の間で取引をしている。そのときに韓国からこういうものが入つた、そうするとそれを日本で金を払うときには貿易特別会計で払い、それからまた日本から朝鮮へ送れという品物がございますと、その品物を買つて送らせる。そうすると業者に払うのは、やはり貿易特別会計で払う。こういうことになつております。詳しくは事務当局から御説明いたさせます。
  36. 河野一之

    河野(一)委員 わかつている。(「わかつておれば聞くな」と呼ぶ者あり)だまつて聞きたまえ貿易特別会計から払つたつたとおつしやるが、その貿易特別会計の元は一体どこから来ているのですか。二百億も一体貿易特別会計でもうかつちやつたんですか。二百億ももうかつたんですか。
  37. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは私、ラウンド・ナンバーしか存じませんで申し上げますが、一応貿易特別会計というものは、一番初めに、終戦当時交易特別勘定とかなんとかいうものがありまして、それに五千万円の資金を入れまして、それでやつておるというときに—従いまして一般会計からそれに資金を出して、そうして貿易特別会計資金をつくつておりました。それから今度は、その貿易特別会計にある資金をもつて—流動資金でございますから、出たり入つたりしておつたわけです。(「けたが違う」と呼ぶ者あり)いや、違いません。それでは詳しく申し上げますが、四百十億ほど国家資金が入つてつたのでございますけれども、貿易特別会計はいろいろの勘定がありまして、四百八十億くらい一般会計へまたもとして、貿易特別会計というものは、損をしていない。こういうことになつております。
  38. 河野一之

    河野(一)委員 そうすると、損をしていないで、この二百億というものはどこから出たのですか。
  39. 岡野清豪

    岡野国務大臣 損をしておりませんということは、貿易特別会計の内容はよく知りませんけれども、しかし二百億という金は業者に払つたわけです。業者に払いまして、そうして貿易特別会計というものがとにかくその資金で出して、その源泉は何かといえば、一般会計あたりから入つて来て、それで立てかえて払つたりしておる。出入りは朝鮮関係ばかりではございません。貿易全体のことをやつてつたわけでございますから、その貿易全体のことでいろいろ決算てみますと、四百十億ほど国家資金が入つたのでございますけれども、貿易特判会計からはまた一般会計とかなんかという方面に出しまして、四百八十七億くらいもうかつたのじやないかと思いますけれども……。
  40. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 詳しくお答え申し上げます。当初終戦直後には為替貿易特別会計の中に貿易勘定を設けまして、その資金五千万円をもつて運用いたしておりました。次いで貿易基金特別会計が設置されまして、一般会計から九億五千万円の繰入れを受けたのであります。さらに昭和二十四年、ドツジ政策が始まりました当時、四百億円の一般会計からの繰入れを受けたのでございます。従いまして他会計並びに一般会計から貿易特別会計に繰入れられましたものは、四百十億円でございます。なお貿易特別会計昭和二十五年度をもつて特別会計としての整理を終つたのでございますが、昭和二十五年末までに、外国為替特別会計に対しまして三十九億並びに二百六十億、しめて二百九十九億、それから二十六年一般会計において歳計剰余として百七億、二十七年度におきまして、一般会計において歳計剰余として七十七億、これをそれぞれ残しておるのでございます。従いましてこれらの一般会計並びに他会計へ繰りもどしたと申します金額は、四百八十三億に相なつておるのでございます。こう申しますとただちに御疑問が起りますのは、それでいてなおかつ二百億近い外貨債権を、どうして取得し得たかという御疑問であろうと思いますが、これは当時貿易特別会計の中に、アメリカ援助によつて受入れた小麦とか塩とか、そのような物資が入つておりまして、それを国内に放出した代価をもつて相当のものがまかなわれておつたということによつて、かかる外貨債権を残し得て、なおかつ四百八十三億を一般会計その他に繰りもどすことができるように相なつた次第であります。
  41. 河野一之

    河野(一)委員 大体今の説明はその通り私は了承いたします。そこで通産大臣並びに総理大臣に承りたいのですが、これはアメリカから小麦その他援助物資をもらつた、その金を入れたのでしよう。
  42. 岡野清豪

    岡野国務大臣 そういうものも貿易特別会計に入つております。
  43. 河野一之

    河野(一)委員 そういうアメリカから援助で持つて来たものを政府は処分して、それをかつて貿易特別会計の中に繰入れてしまつて、それで幾ら入つておるかどうなつておるか、それはわかつておるのですか。
  44. 岡野清豪

    岡野国務大臣 詳しいことは政府委員から申し上げます。
  45. 中野哲夫

    中野政府委員 その数字はわかつております。(「わかつていたら言つたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)非常に厖大な資料でございますから、次会に申し上げます。
  46. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいまのは私から説明いたします。貿易特別会計は、その当時日本全国の、また全産業貿易を全部ひつくるめておりまして、そしてただいま問題になつておりますのはその一部分でございます。貿易特別会計の内容をはつきりとしますのには相当……。
  47. 河野一之

    河野(一)委員 そうじやない。援助物資で持つて来たものを国内で処分して、それを幾らこれに繰入れておるか。
  48. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それが非常に厖大になつておりますから……。
  49. 河野一之

    河野(一)委員 それじやそれは予算にもなければわれわれ国会にも何も関係なしに、かつてにもらつて来てかつて政府が処分して、かつてに繰入れてかつてにした、こういうことじやないか。そんなばかなことがあるか。
  50. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいまのお話でございますが、アメリカ政府よりの援助は約二十億ドルと、ドルについての数字は一般に言われておりますことは御承知通りと思うのでございます。それを円にいたしました会計は、援助会計援助資金によつて取得いたしましたものと、それからわれわれの輸出しました代金によつて外国物資を買いつけて、これを国内に放出したものと二通りございますが、事実は当時まで一本の会計で整理されておりました関係上、区別がはつきりついていないのでございます。(「おかしいじやないか」と呼ぶ者あり)少しもこれはおかしくないのでございまして、当時アメリカ側からこれだけのものを引取れという命令がございますれば、それをとつて国内にマル公その他の価格で放出して、その放出した代金を歳入としてとつてつたというだけでございまして、その金は輸出品の代価を調弁するのに使われておつたわけでございます。すなわち貿易特別会計自体は一つの回転基金でございました。一般会計から、ただいま申し上げた通り五千万円プラス九億五千万円、しめて十億の資金を受けまして、あとはそのような放出物資の代価とこの十億の基金とによりまして、これを回転しておつたわけでございます。従いまして外貨の数字では、当時までに約十一億ドル近い数字が入つてつたということを伝えられておるのでございますけれども、これが援助資金で買つたものなのか、商業資金で買つたものかの区別がついていなかつたわけでございますので、わが方でこれを明らかにするのに相当時間がかかる、このような関係に相なつております。なお申し上げますと、貿易特別会計が清算をいたしますまでに出し入れいたしました金額は、私が当時この締切りをやりました関係上、正確な数字ではございませんが、約七千三百億であつた考えております。
  51. 河野一之

    河野(一)委員 どうもだんだん内容を聞いて行くとあまり政府のやつておることが乱暴で、ただアメリカの命令だけで、日本の国内の法律も無視すれば、議会も無視すれば、乱暴狼藉はなはだしいものだとわれわれあきれざるを得ない。吉田総理は当時外務大臣であられた、当時の責任者として、はたして今のようなことでりつぱにやつていらしたとお考えになりますか。この際総理の所見をただします。
  52. 吉田茂

    吉田国務大臣 主管省はそれぞれその任務を十分尽しておると私は考えております。
  53. 河野一之

    河野(一)委員 任務を尽しておるといつて、尽しておらぬじやないですか。援助物資で持つて来たものも貿易で持つて来たものも、どれが援助であり、どれが貿易であるかわからない、わからないからみな一本になつておる。それで一体よいのですか。ガリオアやその他でやつて来たのは二十億ドルだ、何が二十億ドルだか何が貿易だかわからぬじやないか。どこから何が出て来ておるかわからぬ、乱暴じやないか。まじめに答弁たまえ。(「興奮するな」と呼び、その他発言する者多し)国民にかわつて興奮せざるを得ない、黙つて聞きたまえ答弁たまえ
  54. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは終戦直後…。
  55. 河野一之

    河野(一)委員 直後じやない、最近までそうじやありませんか。
  56. 岡野清豪

    岡野国務大臣 最近はわかつており  す。     〔発言する者あり〕
  57. 尾崎末吉

    尾崎委員長 発言は委員長の許可を得てやつてください。
  58. 岡野清豪

    岡野国務大臣 二十四年にちやんと見返り資金というものができまして、二十四年四月一日以降ははつきりとわかりまして、八億四千七百万ドルになつております。その以前は終戦直後のことで混乱しておりましたせいもありましうが、一体ガリオアで来たのか貿易で来たのか、十分突き合せて話をしなければ明確にならないのでございます。そこで、先般も申し上げました通り、二十一億五千万ドルというものがガリオアイロアで来ている、こういうことを向うでは言つておるのでございますが、これははつきりいたしませんで、私がはつきり申し上げられますことは、二十四年四月一日来降、向うからそういうものに入つて来たものを積み立てまして、ほかの財政投資に向けるという見返り資金の制度ができまして以来というものは、日本アメリカとの間にはつきり勘定をつけ合つてわかつております。しかしそれ以前は、非常に急場でございまして、どんどん入れたものもありましようし、また貿易として考えたものもありましよう、これは各内閣にわたつていることでございますから、私自身としては、十分な話合いがつく段階になりまして向うから精算書が来ますれば、それにつき合せてこちらからもこれを検討しなければならぬと考えておる次第であります。
  59. 河野一之

    河野(一)委員 今の通産大臣答弁の、各内閣にわたつておるからというようなことはいらぬことでしよう。自分は自分の責任をいかにして果すかということです。しかも、占領直後のことであるということを非常に言われるが、それは直後もあつた、しかしその後において交渉の過程が長過ぎる。あなた自身でも全然おやりにならなかつたでしよう。自分ではやることをちつともやらずにおいて、そしてこれはわからぬときのことだから、わからぬときのことだからで、それでは問題がなければわからないなりになつてしまうのですか。岡崎さんの答弁はまだまじめだと思う。今のように、内部がどつちのものかわからぬということなんです。だから、あなたは書類が全部整つておるとおつしやるけれども、みなでたらめなんだ。そういうことだから対米交渉をなさるにもはつきりした交渉ができない。あなたのようにこの間、河野さん、君ひとつ教えてくれというようなことをここで言われたけれども、読売新聞を見ておわかりになつたでしよう。だれが一体私にこういうことを話して、これじや国家のためにならぬから、しつかりおやりなさいと言つているか、この人物はどういう人物か、はつきりおわかりになつたろうと思う。そういう人物があつて、これも国家のために憂えて、私に一切の材料を出している。これじや国家のためになりませんよ。これじや交渉はできませんよ。書類は石炭箱の中にしまつて、麹町の大橋団書館の中に入つておる、こういうことじやだめですよ。一切の整理をしなければいけませんよ。四千七百万ドルの交渉をするときも、アルバイトの学生を頼んで来て、それで帳面をつけたということじやありませんか。そういうことでアメリカに持つて行くなら—なぜアメリカがこういうことを認めたかというと、もう講和で、日本独立のときであるから、向うはGHQが解散するまぎわで、全然日本から持つて来た書類を調べたりできないから、アメリカとしてはこの書類は信用ができないのだ、信用できないが、せつかく日本から持つて来たのだから、総括的に認めておけ。しかし、これは認められておるのじやないんだ。こういう条件が満たされればということで、全然認められているのじやない。また、こんなアルバイトの学生を五百円か六百円の日当で使つてつくつた帳面は、国際交渉の基礎になるものじやない。ようございますか。その後何もやらないじやありませんか。それを今ここでもつて、この間から委員会、さもさも自分たちに何も責任はない、何もやらなくてもいいんだというようなことを言つておられるが、そんなことで行くわけはないのであります。だから、もつと真剣に、予算をとつて、この書類をすつかりとりまとめて、はつきりした外交交渉をおやりなさい。やらないでいるみずからの責任を痛感しなさいと言つている。総理大臣、どうですか。
  60. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今のアルバイトを使つたとかなんとかいうことは、私は存じませんけれども、少くとも私のところで大橋金庫の四つをもらいまして、そうして書類をそれに入れて、材料はありまして、この間そういう話がありましたから、通産省に取寄せておきましたから、いつでもごらん願えばいいと思います。いわゆる証票書類と称するものは、全部整つております。そして、あの問題といたしましては、確認書をキヤンベルが出し、同時にそれを翌日の新聞でマーカット確認して、またわれわれの方でそれを確かにマーカット確認したのだということを、だめを押してございますから、債権としては確立しており、同時に材料も整つておるわけでございます。そこで、あと外交交渉によりまして、これを取立てることに努力するのが当然だと思います。
  61. 河野一之

    河野(一)委員 それならば、もう少し岡野さんのおわかりになるように申し上げる。ようございますか。これは物資をGHQから石炭を幾らととのえろ、薬品を幾らととのえろ、こういうことを向うから命令か注文かしらぬが来る。そうすると、これを公団でととのえられる。石炭なら、配炭公団か、日本何とか石炭公団かしらぬが、そこでととのえてアメリカに渡す。ようございますか。渡したものを船に積んで持つてつた場合に貿易になるのですよ。国内で使つた石炭は貿易じやない。その区別は一体どうつくか、その区別はつけてありますか。たとえば立川飛行場から飛行機に積んで持つてつたものは、国内に使つた朝鮮へ持つてつたか、わかりますか。これは飛行機で積んで行つた方はどうして証明しますか。
  62. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先ほどから申し上げますように、コマーシャルベースによつてできた、貿易と認めるものを全部そろえてございます。内地で進駐軍が注文しまして、そうしてこれを使つたということは、これはむろん入つておりません。船積書類によつてつております。
  63. 河野一之

    河野(一)委員 それでは飛行機で持つてつたものはどうなりますか。
  64. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 きわめて具体的な問題でありますので、私からお答え申し上げます。すべて朝鮮向けの船積書類、つまり船荷証券につきまして、船荷の円払いをいたす。同時に司令部のアカウント・デヴイジヨンといいます。記帳方にまわします。飛行機によります場合は、私の記憶では、なかつた思つておりますが、もしありました場合は、ウエイビル、すなわち飛行機の積荷証券に相当するその書類によつて品物の代金の支払い及び書類司令部へのさしまわしをやつてつたはずでございます。
  65. 河野一之

    河野(一)委員 だんだん話がこまかくなりますから、これらはいずれ決算委員会にまわしてお尋ねすることにいたします。せつかく総理大臣御出席でありますから、主として総理大臣にお尋ねすることにいたします。今まで私が質問いたしましたところによつて政府内部において、この二百億の対米債権が、事務が進まないために、おそらく岡崎君の交渉が不円滑だつたと思う。一番遺憾に思いますことは、私は日本政府の言明を信用いたしますが、たとえば数日来の外国電報を見ますと、ニューヨークからの電報には、新木君は全然交渉したことはない。アメリカでもそういう交渉を受けたことはないという電報が来ております。現内閣のことでありますから、新聞電報なんかでは答弁ができないとおつしやるかもしれませんが、国民はそうは思わない。国民はこの電報を見て、議会で言つておることは、あれは吉田のうそだ、こういうふうに思う。そういたしますと、一体アメリカ日本の関係に及んで、これが非常な悪影響を及ぼすと私は思う。さらにまたアメリカ大使館交渉にしても、私はそういう瞬間をたくさん持つておりますが、これは現在交渉を始めようとし、交渉を続けようとしておられるのでありますから、アメリカ大使館の問題については、ここで触れることを差控えます。私どもも代表を立ててアメリカ大使館にいろいろの意見を申しておりますから、この点については差控えますが、少くともただいま申し上げました通り、対米二百億の債権がある。しこうしてこれについて政府は何らの交渉をせずにおつたんだ。政府は新木君が赴任するときに書類を持たしてやつたという、その新木君が、向う交渉しておらぬと外国電報は伝えている。そうして一方国民から見れば、ガリオアその他アメリカから援助を受けておつて、非常に感謝しておる。その感謝しておつて喜んでおつたものが、これは今度金を払うんだという。払わないでいいんだと思つてつたものが払わなければならぬ。当然とれると思つているのが、何だか向うは払い渋つているんだというような印象を、この問題のために全国民に与えたことは事実であります。これはこの機会に明瞭にしておきませんと、日米国交上はなはだおもしろくないと私は思いますので、この点について吉田総理から、興奮せずに、冷静にここで全国民にひとつお話を願いたいと思う。
  66. 吉田茂

    吉田国務大臣 外電が何と伝えるか、これは私どもの知つたことではありませんが、しかし政府としてなすべきことをなしているということは、これまで外務大臣通産大臣の説明で国民は了解いたしたと私は考えております。
  67. 河野一之

    河野(一)委員 そういう答弁でなしに、総理は外電が何と伝えようかということでなしに、国民の常識に合うような御答弁を願いたい。少くとも国民の常識というものは、外国電報が伝えたものは、それは決してでたらめだとか、うそだとか思わぬのですよ。だから外国電報がそういうふうに伝えて来たら、これをまともに受取つて、そうしてこれをさらに国民が納得行くように、総理はお話願いたいと思う。またこういうようになりますと、一体日米間の問題はどういう感情になるか、たとえば内灘の問題にしましても、その他全国の基地の問題にしましても、こういうな問題が契機になつて、だんだん悪化すればとて、よくなるはずはない、これらが私が最初に申し上げました通り、全部内閣諸公の職務の怠慢から発している。たとえば内灘の問題にしてもそうです。これは岡崎君に言うのは失礼ですが、私はあえて申し上げる。神奈川県の知事さえ相模湖をつくるときに一箇村ぐらいは立ちのいてもらつて、相模湖をりつぱにつくつている。国民が了解の行くように、政治が完全に国民を指導すれば、わが国民は理解のもとにたいていのことはやるのです。村山の貯水池にしてもそうなんだ。県知事、都知事が、何らのトラブルなしに執行できることが、外務大臣総理大臣がこれだけのトラブルを起すということは、いかにあなた方が国民から信頼がないか、しからざれば国民に対してなすべきことをなさないか、みずから深く反省される必要がある。こういうことはすべて日米国交上に非常な悪影響を及ぼしておるということを自覚すべきだと私は思う。いかががございましよう。もう一回重ねて総理大臣の、今のような御答弁でない御答弁を願いたい。
  68. 吉田茂

    吉田国務大臣 日米の間の国交については何ら憂うべきことはありません。また誤解を与えておることはありません。また国民の常識においても、政府のやつておることについては十分理解があると私は確信いたします。
  69. 河野一之

    河野(一)委員 そういう独善的な答弁をしておつて、国民は何ら心配しておりませんと言うが、それなら内灘でも何でも片づくはずじやありませんか。それがまだ片づかないじやありませんか。そういう事態を起すことをもつても反省すべきじやありませんか。それを、国民は完全に了解しております、日米間の関係については心配がないなどと言うが、どこが一体心配がないか。心配がないならば全国各地の基地の問題は、今日のような騒ぎはならぬはずじやありませんか。一旦片づいたところまでが今日みなやかましく言い出した。外務委員会で各地の証人を呼んでお調べになつていることだけでもよくおわかりになるはずだ。当然やらなければならぬことをなさずに、大磯あたりにひつこんでおつて、議会にもろくろく出て来ないでおつてそうして日米間の関係は心配がない、国民感情は心配がないというような、その独善的な気持が、わが国家を害することはなはだしい。あなたは何らの自覚、反省がない。そうして二百億に余るところの債権について私が言い出したら、あわてふためいて第一日には閣僚みな顔を見合せてわからなかつたではないか。     〔「興奮するな」「委員長、注意しろ」と呼び、その他発言する者多し〕
  70. 尾崎末吉

    尾崎委員長 静粛に願います。
  71. 河野一之

    河野(一)委員 何ら答弁することもできずに、二百億に余るところの対米債権について何も自覚がなかつたじやないか。こんなふまじめな怠慢な内閣がありますか。言われて初めて気がついて騒ぎ出した。この問題の裏面にあるところの不正事実については、予算委員会で時間をかけることは失礼でございますし、特にまた吉田総理決算委員会にもお出になるようでありますから、その石炭の売渡しの内容、買上げの内容、これらの証票書類の受渡しの状況というものにつきましては、いずれ決算委員会なり、ないしはまた行政監察委員会において取上げることにいたすつもりです。しかし今のようにいくら申し上げても無批判でずうずうしく、みずからこれだけの貸金を全然とらずにおいといて……(「自分の意見じやないか」と呼び、その他発言する者多し)君らは黙つて聞きたまえ
  72. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御静粛に願います。
  73. 河野一之

    河野(一)委員 これだけの貸しがある、その貸しを何ら努力もせずにほつておいて、そして調べて行けばだんだん次の委員会、次の委員会で明らかになりますが、向うから援助されたものと、貿易で買つたものと、どういうふうに幾らで売つて、どういうふうにしたらというようなことは全然せずして、まるでノーズロースで、アメリカの言いなりにただこれ易々諾々として、一部の役人が、一部の国民がアメリカと結託していかに不正をなしたかということは、だんだんわかるのです。そういうことを全部暴路したら一体どうなるか、君らは。よろしゆうございますか。(「やれやれ」と呼ぶ者あり)だんだんわかるんだ。そういうことでございますから、国民感情をどうしたらよろしいか、何をどうしたらよろしいかというようなことをまじめに答弁すべきなんだ。ただこの場だけでそういうことを答弁しておいて、下僚との連絡も十分つかない。私がここで質問した晩に、一体通産省の役人を夜何時まで集めて、あなたは心配したか。そういうことはみなわかる。国民が知らぬだけなんだ。そういうことを裏面でいろいろくふうをし苦労をし、こうして答弁しようか、ああしてやつて行こうかというようなことで押えつけて、それをここでやつても、そういうことはただこの場をごまかすだけで何らの効果はない。それはひつきよう岡野君のように直接この問題に関係がない者がみずから関係があるごとくになつて行く。他の閣僚諸君にしてもそうです。これだけの間違いがあつたならば、あつたと率直に認めたらいい。私さえこういうことまで言つては対米外交上よろしくなかろうという問題については実は控えておる。お互いに国家のために協力しなければいかぬから控えておる。吉田さんについては私はどんな悪口でも言う。しかし対米交渉にさしつかえのあることは私の良識において控えておる。それをただ現内閣の命さえつなげばいい、自分の責任さえ回避すればいい、国家もなければ何もない現内閣の諸君の態度に至つては、実に唾棄すべきものだ。私の二十年間の政治生活において、現内閣の閣僚諸公ほど国家を思わざるものはない。こんな内閣は初めてだ。あえて総理の所見をただしたい。
  74. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。国を思えばこそわれわれはこうして心配いたして一生懸命にやつておるのであります。     〔河野委員「やらずにいたじやないか、どこでやつた」と呼ぶ〕
  75. 尾崎末吉

    尾崎委員長 静かにお聞きを願います。
  76. 岡野清豪

    岡野国務大臣 外務省でやつております。
  77. 尾崎末吉

    尾崎委員長 それでは河野一郎君の保留の質疑はこれにて終了いたしました。  本日はこの程度にいたしまして、次会の開会日時は公報をもつてお知らせいたします。  本日は午後二時より分科会を開くことといたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会