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1953-07-07 第16回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 尾崎 末吉君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君    理事 池田正之輔君       相川 勝六君    有田 二郎君       植木庚子郎君    江藤 夏雄君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    鈴木 正文君       田中  元君    高橋圓三郎君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       船越  弘君    本間 俊一君       八木 一郎君    稻葉  修君       小山倉之助君    河野 金昇君       河本 敏夫君    櫻内 義雄君       中村三之丞君    古井 喜實君       島上善五郎君    武藤運十郎君       八木 一男君    横路 節雄君       和田 博雄君    加藤 鐐造君       小平  忠君    河野  密君       中村 高一君    平野 力三君       三宅 正一君    石橋 湛山君       河野 一郎君    三木 武吉君       黒田 寿男君    辻  政信君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  岡野 清豪君         郵 政 大 臣 塚田十一郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         保安政務次官  前田 正男君         外務事務官         (経済局長)  黄田多喜夫君         大蔵事務官         (大臣官房長) 森永貞一郎君         国税庁長官   平田敬一郎君         通商産業事務         官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君         建設政務次官  南  好雄君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 七月七日  委員佐藤洋之助君、鈴木正文君及び三鍋義三君  辞任につき、その補欠として高橋圓三郎君、有  田二郎君及び勝間田清一君が議長の指名で委員  に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  分科会設置の件  昭和二十八年度一般会計予算  昭和二十八年度特別会計予算  昭和二十八年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 尾崎末吉

    尾崎委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算外二案を一括議題として質疑を継続いたします。この際昨日の河野一郎君の質疑に関して政府より発言を求められております。これを許します。岡野通産大臣
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 昨日の御質問の四千七百万ドル余の対米債権の問題について、経過処理ぶりお答え申し上げます。  本件朝鮮向け石炭化学薬品などの輸出及びのりなどの朝鮮よりの輸入の貿易差額が出たのでありますが、通産省昭和二十七年四月十八日に これがわが国受取債権であることを当時の司令部確認を求めたのであります。これに対し同日付で先方から回答があり、右債権はこれを認め、事案を先方関係部局へ連絡すべきおもむきでありました。次いで翌十九日マーカツト経済科学局長新聞声明があり、本件債権ガリオア債務を最終的に清算する際に処理されるであろうとの内容でありました。この新聞声明に対してはあらためて債権確認をいたしてあります。そこで通産省大蔵省その他国内関係方面へ連絡いたしたのであります。  以上の経過でおわかりの通り、当方としては本件債権確認手段を講じているのであります。なお本件については目下外務省において米国側と協議中であります。
  4. 河野一郎

    河野(一)委員 ただいまの通産大臣お答えでありますが、私はこの際吉田総理質問の前に一言申し上げたい。総理は、きのう私がお尋ねいたしましたときに、閣僚諸君がどういう態度であつたか、事いやしくも二百億になんなんとするわが国家の財産であります、これが対米関係においてどうなつているかという質問を私がしたときに、今の岡野さんのお答えのようなことが、きのうまずお答えがあつてしかるべきはずなんだ。私は今のお答えについてはこれから順次ただしますが、全然閣僚諸君も答えなかつたじやないか。吉田総理は一体この二百億の金を知つてつたのかどうか。いやしくも一国の総理大臣が、二百億のアメリカ関係において金がとれるかとれないかわからぬ、その書類はどこに行つておるかわからぬというような怠慢なことで、総理大臣が一体勤まるか。そんなばかな総理大臣が日本にあつたことがあるか。(笑声程度を越えておるじやないか。そうしてようやく一晩たつてみんなで相談をして、答えるのは今の程度で一体済みますか。あらためて申し上げる。一体岡野さんは今の答弁国民が納得すると思いますか。いつ一体アメリカ交渉しましたか。その債権は確定しておりますか。アメリカちやんと払うと言つておりますか。あらためてお答え願いたい。
  5. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。正式の確認書でございますから、アメリカは、これは国として責任を持つことと考えております。そうして外交機関を通じまして話をしております。
  6. 河野一郎

    河野(一)委員 しからばお尋ねするが、この最終の先方から来た覚書この覚書に何と書いてある。条件付確認ではありませんか。この条件は、いつあなたははずされたか。条件付確認のその条件アメリカが了承するという返事がいつ来ましたか。その確認書をお示し願いたい。
  7. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。こういうような三つの条件が整うならばと、こう書いてあります。そこでその条件ちやんと整えてわれわれの方で口頭で通告しております。と申しますことは、第一件はそれに対する取扱いの書類、それから帳簿が二重になつておりはせぬかということ、それから為替レートの問題が百二十五円でいいか悪いか、こういうことであります。これはみな事務的にちやんと打合せ済みでございます。
  8. 河野一郎

    河野(一)委員 その条件を全部先方確認したという覚書がこつちに来ておりますか。そうしてその覚書が来ておるのなら、その覚書をちようだいいたしたい。口頭ではいけませんよ。先方からちやんと覚書が来ておるか。その後、新木大使先方交渉したか、向うのだれと交渉して何という返事向うからあつたか、お示し願いたい。
  9. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。あの確認書は、あれで私はいいと思います。ただ、あと外交交渉は、私詳しく存じておりません。
  10. 河野一郎

    河野(一)委員 それならば総理大臣、当時の外務大臣たる総理からお答え願いたい。
  11. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをします。米国政府との間には相当複雑しておる貸借があるのであつて、ある一部をとつて交渉が未了なりといつて、それをとつて怠慢というのは、言う方がおかしいと思う。 (拍手、発言する者多し)
  12. 河野一郎

    河野(一)委員 手をたたいて、あとで恥をかきなさるなよ。一体こちらから二百億の貸しがあるのに、ようございますか、総理、よくお聞きなさいよ。こちらから先方貸しがある。先方からわれわれの方にガリオアその他でもつて……。     〔発言する者多し〕
  13. 尾崎末吉

    尾崎委員長 静粛に願います。
  14. 河野一郎

    河野(一)委員 一体ガリオアについては、どういうことになつておりますか。いやしくも国会の承認を得ずして、先方貸しもあれば借りもある、そんなことがかつてに言えますか。なぜ議会承認ちやんと経ない。議会承認経ずし貸しもあるし、借りもある、かつてにそんなことが言えるか。そんな答弁がありますか。ガリオアについては、われわれ議会はこれに対して感謝決議までしているじやないか。それをあなたが今ここで持ち出して、貸しもある、借りもある、そんなばかなことが言えますか。これが怠慢でなくして何ですか。アメリカ借りがあるなら、借りがあると、なぜちやんとその債権確認しないのですか。それがわが国財政計画のどこに載つておるか。はつきりしなければいけませんよ。それは一体先方から、いつどういうふうにして払えと、いつ要求がありましたか。
  15. 吉田茂

    吉田国務大臣 交渉がついた結果は予算において現われますが、交渉中であるから予算に出ておらないのはあたりまえの話である。
  16. 河野一郎

    河野(一)委員 交渉中といつて、いつ交渉したか。しからばその交渉した経過を承りたい。
  17. 吉田茂

    吉田国務大臣 外交交渉は、一々ここに公表することはできません。     〔発言する者多し〕
  18. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御静粛に願います。
  19. 河野一郎

    河野(一)委員 それを秘密外交というのですよ。こういうわが国が二百億アメリカ貸しがあつて、とれずにいる、この交渉経過を発表しなさいと言うのが一体何が悪い。どれが秘密ですか。秘密でも何でもないじやありませんか。われわれの方が終戦後の物資の一番足りないときに、無理して集めた物資向うに渡した、その金が向うから払われずにある、それを払つてくれというのが何が一体悪いのですか。そういうことを言わないから、反米思想が充満して来るのだ。アメリカに対しての国民思想が悪くなるのだと私は初めから言つているじやありませんか。あなたが交渉内容は言えないというようなことを言うから、日米間の関係がますますおかしくなつて来る。これをはつきり言うことによつて国民感情は明瞭になつて来る。はつきりお答えなさい。
  20. 吉田茂

    吉田国務大臣 河野君は外国と交渉をしたことがないから、そういうばかなことを言う。(「ばかなことを言うとは何だ」と呼ぶ者あり)交渉は、結局において、国家の利益になることが外交の目的だ……(発言する者多く、聴取不能)かつてソビエトが公表外交といいますか、秘密外交がいかぬといつてつた結果、遂に今日最も大なる秘密外交をやつておるのであります。これは交渉をしてみれば、公表することの善悪というものが自然わかつて来て、交渉の経験によつてみて、秘密にすべきものは秘密にし、交渉ができたときに発表して、これが予算になり、あるいは法律になつて現われるのが、どこの国の制度でもあります。     〔発言する者多し〕
  21. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御静粛に願います。     〔「答弁中のばかなことというのは取消せ」「ばかげたとばかとは違う」と呼び、その他発言する者多し〕
  22. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御静粛に願います。
  23. 河野一郎

    河野(一)委員 私も、二十年も代議士をしておりますが、総理大臣がばかなことというようなことを言われたことはない。
  24. 尾崎末吉

    尾崎委員長 河野君に申し上げます。委員長は本委員会の初めにあたりまして、努めて政府言葉注意をせられ、委員も努めて言葉注意をせられるように最初御注意願つたのであります。
  25. 河野一郎

    河野(一)委員 承知しました。
  26. 尾崎末吉

    尾崎委員長 従いまして政府の方にも御注意申し上げますが、質問者のあなたにおかれましても、できるだけ慎重に、できるだけ御丁重に御発言を希望申し上げておきます。
  27. 河野一郎

    河野(一)委員 しかし、まあそういう言葉のやりとりはまたあとの問題にしますが、一体今の総理答弁というものは、それでわれわれは納得できるとお考えになりますか。交渉中々々々という。ようございますか。交渉中ならば交渉中ということは、私はすつかりわかつておるのです。これはわかつていないで言うておるのじやないか。私は徹底的に調べておる。徹底的に調べて、新木大使向う交渉して、だれと交渉して何と言われたか、私はちやんと知つておるのですよ。ないじやないですか。それにないことをあるような顔をして、秘密に名をかりて、しかもせぬことをしたと言うから言う。それを交渉しておらぬじやないか。新木大使がいつ交渉した。交渉を一ぺんしたら、向う交渉の相手が見つからなかつたじやないか。そんなことを本国政府でもどこまでも受付けてないといつておるじやないですか。その後岡崎さんありますか。
  28. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 政府新木大使を通じて交渉したとは申しておりません。私どもアメリカ大使館を通じて話を推進いたしております。
  29. 河野一郎

    河野(一)委員 それは岡崎さんあまり食言ですよ。そういうことなら、なぜきのうあなたはここで答えなかつたか。あなたは現在外務大臣として東京交渉しておるのならば、なぜここでお答えにならないか。きのうはお答えにならぬで、今になつて新木大使はやつていない――吉田総理新木大使をしてやらしておるがごとくにおつしやつておるじやありませんか。
  30. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 事が慎重でありますから、昨日は十分調査してお答えすると申し上げました。
  31. 河野一郎

    河野(一)委員 そういう答弁では国民が納得しません。事は慎重であるとかなんとかいつて、そういう答弁できのうはきのうの態度で、あなたのきのうここに出ていらした態度はみな見て知つているのですよ。きのうは、事が重大であるから慎重にと、そういうような態度でおいでになつたのでしよう。そういうことではいけません。そうでなしに、ちやんと明瞭に――今、総理は、これは秘密で、外交上のことだから言えないと言う。そうして、さもさも新木大使をして交渉さしておるようなことを言う。岡野さんは新木大使交渉しておるとおつしやつたでしよう、どうですか。
  32. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。新木大使出発赴任の際に、通産省から文書をもつて、こういうような債権確認がしてあるから、これをひとつよろしくやつてくれというようなことを言つた。その当時マーケット少将から、ガリオア、イロアと相殺するような声明が出たものですから、これは別なんだが、しかし、話をしてくれといえば、きつと向う貸しがあるからというような話が出る、その点を注意してくれというようなことを言つたわけであります。それを新木大使に対して通産省側として言つたのですけれども、やはり外交交渉外務省が正式な機関でございますから、六月二十四日ごろと思いますが、次官通達をもつて正式に外務省に対して、新木大使に、私がただいま申し上げましたようなことを正式に外務大臣から言つてくれと言つた。こういうことを言つてつておるのであります。これを昨日申し上げたのであります。
  33. 河野一郎

    河野(一)委員 わかりました。今の岡野さんのお話の通り、それは新木大使にそういうふうに言つておやりになつたことは知つている。きのうから申し上げている。そういうふうにガリオアとは別だ、これも政府確認している。しかるに、今吉田総理お答えは、ガリオアとひつかかつているように、借りもあれば貸しもあるからというような答弁をしてごまかそうとする。これは従来の通産省がおとりになつ態度とは違う。これは明瞭です。  第二点は、新木大使をして交渉させるように出発のときに持たしてやつた、これは知つている。言つてつたところが、向うから要領を得ないということを言つて来ている。そういうことを言つて新木大使を通じてやつているのを、岡崎さんは何と言つたか。新木大使ではない、こつちでやつていると言つた。これはどうですか。
  34. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 新木大使の方に通知が出ていることは私も調べて知つている。しかしながら、交渉の結果が現われないので、今度は大使館を通じてこちらで交渉しているのであります。
  35. 河野一郎

    河野(一)委員 そういう事いやしくも二百億の金をやりとりするというのに、新木大使言つてつた要領を得ないから、今度は東京でやつているのだと言い、通産省はそれを新木大使にやらしているのだという。そういうようなことで一体済みますか。私がきのうこれを持ち出してから、あわててそういうふうに、答弁をどういうふうに持つて行こう、こういうふうに持つて行こうということをおつしやつても、そういうことで一体済みますか。良心的にいつてそういう答弁で済みますか。
  36. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ワシントンで要領を得なければこちらでやる以外に方法はない。われわれとしても最善の手は尽しています。
  37. 河野一郎

    河野(一)委員 しからば承りたい。あなたはアメリカ大使にいつ交渉なさつたか。
  38. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 交渉というものは私がやるに限つておりません。経済担当局長もおれば課長もおるのであります。また先方にも経済担当の人がおるのであります。(「いつやつたか」と呼ぶ者あり)ずつとやつている。(笑声
  39. 河野一郎

    河野(一)委員 交渉内容はしばらくおいて、この問題について、いつだれがどういうふうにおやりになつたか、これはお話できるでしよう。
  40. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 少くともこれだけのことは申し上げます。経済局長アメリカ大使館ウエアリング参事官と話をしました。
  41. 河野一郎

    河野(一)委員 それはいつごろから始めてどういうふうな経過だということをお示し願いたい。私たちはどうしてもこの交渉は全然やつておらぬと思う。しかもこれは、今大蔵省書類があつて大蔵省の中で塩づけになつてしまつている。よろしいですか、これはとろうとしてもとれやしませんよ。岡野さんは先ほど確認されている、書類は整つているとおつしやつたが、私は整つているとは思わぬ。いずれ書類は全部見せてもらうつもりでありますが、整つておりませんよ。こんな書類アメリカへ持つてつたつてアメリカは聞きやしませんよ。そういうふうにあなたはおつしやるけれども、それで外交交渉をしているようなことをおつしやつたつて、そんなことはだめですよ。よく明瞭にお答え願いたい。
  42. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 交渉はいたしております。明瞭に申し上げます。
  43. 河野一郎

    河野(一)委員 一体交渉の結果、経過として大体見込みはありますか。どうですか。
  44. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは交渉のことでありますから、もちろん見込みがあると考えてやつておりますが、まだ結果は現われておりません。
  45. 河野一郎

    河野(一)委員 今のように、通産大臣確認されておるとはつきりおつしやつた。ところが外交交渉では確認されている債権を、交渉のことでありますから、結果はわかりませんというような答弁でよろしいでしようか。
  46. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は、とにかく債権としてどこまでもこれはしつかり主張すべきものだ、こう考えております。同時に、それに対する書類は整つております。ところが、そんな書類は整つていないのだと仰せになるのでありますが、何の根拠でそうおつしやるか、ひとつ私から伺いたいと思います。
  47. 河野一郎

    河野(一)委員 あらためて申し上げますが、何の書類という程度のものではない。私は相当慎重に研究しているのですよ。あなたがおつしやるよりも私の方が研究していると思う。ところが、アメリカから条件をつけて反問される程度に、こちらの帳簿は不十分である。しかもこの内容不純がある。だからアメリカからさかねじを食うのです。納めた品物代金を払うのはあたりまえなんです。それをアメリカからこれだけの条件をつけて来いというようなことを言われる。それはおわかりになると思う。だから私は申し上げるが、岡崎さんは、交渉をしておらぬのに交渉をしておると言うが、こんなものは交渉するようなものじやない。品物を売つたら金を払うのがあたりまえじやないですか。買つた人が金を払うのはあたりまえじやないですか。アメリカともあろうものが、あれだけの金のある人が、金を払わないと言うはずはない。ここに内容不純があるからとかくの議論が出て来る。ここに政府の重大な責任があると私は申し上げる。であるから、こういうものは長くたたないうちに、去年の講和のときにただちにやつて、ただちに結論をつけべきものだつた。それを、こうやつて時日が経過するからだんだん話がおかしくなつてしまう。こういうような問題をなおざりにしておいて、そうして外部にはMSAで援助を受けるのだとか、何々で援助を受けるのだとかいつて、ただ援助を受けることばかり考えている。こちらから当然出している品物代金をとることについては、国民が黙つておれば知らぬ顔をしている。そういう怠慢ななまけものの総理大臣があるかと言うのはあたりまえじやありませんか。この交渉経過を承ると同時に、その事実について承らなければ、われわれは納得できません。委員長を通じて明確にこの内容を承りたい。交渉経過を承りたい。
  48. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申しますが、私どもといたしましては、いろいろ調べました。そうしましたら、全部確認され、同時に確認されてこれを主張するだけの材料は整つておるのです。それを、整つておらぬとか、不確実であるとかなんとかということを言うが、そういうことでなく、これは国家のためでありますから、もし欠陥がありますと、債権を主張するのに非常に不便だと思いますから、もしそれをお示し願えたら参考になると思います。そういうふうにお願いいたします。
  49. 河野一郎

    河野(一)委員 それは岡野さん、もう少しよく勉強して今のようにおつしやつた方がいいと思う。もしそれならば、そのときにきちつと書類を整えて出されればこういう反問が来るはずはない。こういう反問が来るには、来るだけの根拠があつて来るのです。それで、条件付債権なつている。あなたの部下はそういうことをおつしやつているかどうかしらないが、その後あなたの部下は何もしていない、これはあなたの部下から聞いている。何度交渉してもうまく行かないとはつきり聞いている。それを議会で、あなたは国民の前でうまいことをおつしやつてもだめだ。少くとも、根拠なしに国家のためにならぬようなことをここでみだりに発表しないようにすべきだということは私も心得ております。ところが、ほんとうに内容について私は知つているから、今にしてこれを明確にしなければならぬから申し上げているのです。
  50. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私不敏のために、部下がいろいろ申したことを、あまり過信しておるかとも存じておりますが、その点におきまして、私は実はきのうはおぼろげながら覚えておりまして、はつきりした書類は手元に持つておりませんでしたから、ああいうような答弁をすることになりましたけれども、しかし昨日事務当局からよく聞きますと、完全になつておると言つておる。いつでも払うと言えば払つてもらうたけの先方の満足する資料があると言いますから、それを信じておるわけでございます。もしあなたの方でお調べくださいまして欠陥があるのだということになれば、これは私といたしましても責任上大事なことでありますから、もしおさしつかえなかつたら、国家のためにそれをお示し願いたいと思います。
  51. 河野一郎

    河野(一)委員 私はいずれこの問題は、行政監察委員会あたり書類を全部出していただいて、あらためて調べるようにいたしたいと思います。(「ないない」と呼ぶ者あり)なければ見せてやる。あるかないか見ろ。
  52. 尾崎末吉

    尾崎委員長 河野君に申します。御質問政府の方に願います。委員同士質問は許されておりません。
  53. 河野一郎

    河野(一)委員 あらためて岡崎外務大臣に、交渉経過を具体的にお示し願いたいと思います。
  54. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 交渉経済局長先方ウエアリング参事官との間にいたしておりまして、これは随時適当の機会にやつております。まだ結論が出ておりませんから、ここで申し上げるまでの段取りにはなつておりません。
  55. 河野一郎

    河野(一)委員 こういう問題になつたことでありますから、今の交渉経過をひとつ政府委員でもよろしゆうございますから、ここに出て……(「本人本人」と呼ぶ者あり)本人に御説明を願うことにいたしたいと思います。
  56. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 経済局長といえども、まだ交渉の結果を発表するだけの段取りなつておりません。しかし結論が出れば必ず発表いたします。
  57. 尾崎末吉

    尾崎委員長 武藤運十郎君より関連質問の申出があります。大体二問程度に願います。武藤運十郎君。
  58. 武藤運十郎

    ○武藤委員 この債務は昭和二十年から二十三年までの間の取引だと思います。それについて国内メーカーやサプライアーには円で支払つたそうでありますが、そうでありますか、通産大臣に伺います。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 その通りでございます。
  60. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そうしますと、そのころはどういう費目から支払つておりますか。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 貿易特別会計だと思いますが、これは政府委員からはつきりと答弁させます。
  62. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 お答えいたします。当時海外貿易を処理するために貿易特別会計が設置されておりまして、国内に対する輸出代金の支払いは、同会計の処理として支出されております。
  63. 武藤運十郎

    ○武藤委員 いずれにしましても、この支払いというものは国民の税金から払われておる。ことにあの当時国内におきましては物資が足りないというので、国民が耐乏生活をしておつた。そのうちから送つたものであります。ところが今伺いますと、その後五年を経過しておるのでありますけれども、いまだに交渉中ということであります。一体どういう交渉をしたのか、その当時からの交渉経過を述べてもらいたい。
  64. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 お答え申し上げます。当時輸出に対しまする円代金は貿易特別会計において支払つておりましたが、その受取り外貨の経理は、総司令部勘定によつて処理されておつたのでございます。その総司令部の外貨勘定が逐次わが方に移管されたのでございまするけれども、それは講和成立の直前に移管されたというふうに相なつておるものでございまして、私どもがこれらの外貨の形における対外債権あるいは債務を知り得ましたのは、引継ぎに関連いたしてございます。
  65. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そこで伺しますが ガリオア、イロアの性質を聞きたい。これは一体アメリカから贈与されたものか、債務として日本が引受けなければならぬものか。もし債務だとすればその金額、返済期、返済方法などを伺いたいと思うのであります。これは岡野通産大臣に伺いたい。
  66. 岡野清豪

    岡野国務大臣 政府といたしましては、ガリオア、イロアなんかは債務と考えておる次第でございます。しかしその範囲は複雑しておりまして、まつたく見当がつかない。そうして向うの発表によりますと、総額が二十一億五千万ドルになつておるといいますけれども、日本ではつきり言えますことは、見返資金特別会計ができました以後積立てました八億四千七百万ドル――約三千億円でありますが、これはいつでも両方でわかる。しかしながらあとの分は、どういうふうな勘定になつておるかまつたくわかりません。そういたしますと、これは向うからどういうものをなにしたという明細書が来て、そうしてそれをわれわれが検討しなければわからぬことになつております。要するに八億四千七百万ドルというものだけは、これはもし債務と心得て交渉に入るならば、対象になるものだと私は考えております。
  67. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そうしますと、その分については、今後貿易勘定なり、その他の日本の対米債権と差引かれることになるのかどうか。
  68. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはどうも、私お答え申し上げかねますが、セクシヨナリズムになりますけれども、この確認を得ました――河野さんはまだ書類が不完備だと仰せになりますけれども、私が事務当局に聞いたところによれば、完備しておると思います。この四千七百万ドルというものは独立の債権であつて、このガリオア、イロアというものと関連を持たないものと私は考えております。そういう意味で進めております。
  69. 武藤運十郎

    ○武藤委員 岡崎さんに伺いますが、新木大使交渉させたけれども効能がないというか、結果が現われないというか、漢方薬みたいな話ですすれども、どういう交渉を、いつアメリカのどのセクシヨンとしたか、経過を承りたい。
  70. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 新木大使は、日は今ここでそらで覚えておりませんが、昨年の七月の中旬ごろだろうと思いますが、通産省から受取りました書類に基いて新木大使に、こういう問題があるから十分心得ておるようにということを申してやつたのであります。その後新木大使は――その前に通産大臣からその経緯も聞いて行つたと了解しておりますが、その後国務省側といろいろその問題についても話してみたけれども、どうも要領を得ないということでありました。
  71. 武藤運十郎

    ○武藤委員 要領を得ないというのは、ただ要領を得ないだけではなく、具体的になぜ要領を得ないのか。つまりあの当時日本におきまして衝に当つたのは、マーカツト経済局長もおりますし、キヤンベルという貿易課長もおつたはずであります。どういうわけで要領を得なかつたのか、その要領を得なかつた理由を承りたいと思う。
  72. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはおそらく――はつきりしたことは要領を得ないのですからわかりませんが、(笑声)おそらく当時司令部におつた係官はいろいろほかの仕事に入つてしまいまして、国務省としてはそれをはつきり把握している人も見つからなかつたのではないかと思います。一部ずつはいろいろ知つている人もありましようけれども……。従つてどうも交渉はつきり要領を得るところまで行かない、こういうことのようであります。
  73. 武藤運十郎

    ○武藤委員 これは民間の個人を相手ではないのであつてアメリカ政府が相手である。交渉するところがよくわからないようなことで、一体新木大使は何をしておるのでしようか。そういうはずは私はないと思う。どこへ交渉しましたか、もつとはつきり言つてください。国務省のどのセクシヨンにしましたか。
  74. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 この問題は日本で起つた債権でありまして、書類等は通産省その他関係方面にあるのであつて、問題はここにあるのであります。従つて新木大使要領を得なければ、この東京大使館と日本政府交渉するのが当然でありますから、この方に移しております。
  75. 河野一郎

    河野(一)委員 今の岡崎君の御答弁でありますが、先ほど通産大臣のお話になりました通り確認書の中にこれはアメリカの何々役所に引継いでおくからということは書いてありますね、条件の第三番に……。GHQからアメリカの国務省の方のこういうポストに引継いでおくからということは、向うから来た確認書に書いてある。よろしゆうございますか。そうすればGHQは当然それをやつておくべきはずだ。しかもその確認書アメリカ書類でありますから、ちやんと責任者の署名があるのですから、それを新木大使が今岡崎さんのおつしやるように国務省に交渉したら、その当時の人もいなければ、どこへ行つて要領を得ない。これはおかしいじやありませんか。向うから責任のある覚書が来ておる。その向うから来ておる覚書の第三項にちやんと書いてある。それは向うの役所に引継いでおくと書いてある。その引継いでおくという書類を日本の政府によこした人はこつちにちやんとわかつておる。そうすればその人にどこの役所に引継いでおるのか、どういう責任をとつてくれるのかと、新木さんが言えば、要領を得ないはずはない。まじめに交渉して、責任を負つてやられてないからそういうことになる。あなた方はやつておる、やつておるとおつしやるけれども、ほんとうに真剣にやつていないからそういう答弁をせざるを得ないのである。はつきりしておるじやありませんか。覚書ちやんと書いてある、それはお認めになるでしよう、覚書に書いてあることは……。
  76. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。その確認書には、適当な関係の部局に対してこれを引継いでおく、こう書いてあります。
  77. 河野一郎

    河野(一)委員 適当な部局に引継ぐ、とある。その引継ぐという書類をよこした責任者はちやんとわかつておる 書類に名前か書いてある けさの新聞にあなたが発表しておる、何々からこういう書類が来ておると書いてある。その人が適当な部局に引継ぐと言つておるなら、その人のところに行けばどこに引継いだかわかるはずじやありませんか。それが要領を得ないということはどういうわけだ、まじめにやらないから要領を得ない。であるから私はこの際あらためて政府に要求する。交渉経過てんまつを明瞭に具体的にここに説明して、この問題に対する国民の納得を得るということが、政府の当然とるべき責任であると私は思う。(「その通り」)明瞭にしてもらいたい。
  78. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 先ほど申した通り東京大使館と日本政府とはここで交渉いたしております。交渉経過が発表できる時期になりましたならば必ず発表します。
  79. 八百板正

    ○八百板委員 ただいままでの政府答弁を伺つておりますと、ことごとく要領を得ないのであります。当然政府の怠慢と無責任に対して、十分これを反省すべきにもかかわらず、ずうずうくしくこれを押し切ろうというような態度は、まことにもつて国会に対する冒涜であると言わなければならぬ。国民の税金の中から二百億円という莫大なる債権を、日本が確認されておりながら、この債権の処理を今日まで怠つたという政府責任は、まことに重大なるものがあると思うのであります。しかもこれに対する政府答弁は支離滅裂、閣僚の意見はどれ一つとして系統立つたものはこれを見つけることができないのであります。われわれはこの委員会を通じて、政府責任ある態度をもつてこの経過を明らかにし、交渉の相手方、日時、金額それぞれについて的確なる答弁を用意することを要求するものであります。しかし今日までの政府態度を見て参りますと、その発言の中には当然重大なる内閣の責任をとるべき発言をたくさん含んでおります。われわれはこれらの問題を速記録を通じて十分に検討いたしまして、重大なる決意をいたさなければならないと考えております。従つてこれらに対するわれわれの態度もまた目先の予算委員会の意見、これだけによつてこれを決定することはできないと考えますので、この際休憩せられんことの動議を提出いたします。
  80. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ちよつと理事諸君においでを願います。暫時休憩いたします。     午前十一時二十六分休憩      ――――◇―――――     午前十一時四十八分開議
  81. 尾崎末吉

    尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。中村三之丞君の関連質問を許します。中村三之丞君。
  82. 中村三之丞

    中村(三)委員 昨日来河野委員によつて行われた重大質問は、アメリカとの権利義務を正しくせよ、これが河野委員の根本的な考えでありまして、これは全国民の納得するところであると私は信じます。(「その通り」)従つて政府は冷静に、しかも誠意をもつて系統ある答弁をなさるのが、私は必要であると思うのであります。  第一にお伺いいたしたいことは、ガリオア、イロアという日本の債務と河野君によつて示されたる債権というものは、相殺すべきものでなくして、この二百億円は別個のものと考えるのでありますが、総理大臣はどういうふうにお考えになりますか。何となれば、岡野大臣とその他の大臣すなわち総理とは、話が食い違つているように思います。(「その通り」、拍手)
  83. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ガリオア……。     〔「総理大臣だ」「そんな不誠意があるか」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  84. 尾崎末吉

    尾崎委員長 静粛に願います。
  85. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答をいたしすまが、アメリカに対しての債務もあり、アメリカに対する義務もあります。しかしガリオアはいま債権にはなつておらないのであります。しかしながら。(「債務だ」「債務じやない」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然)ばかなことを言うな……。     〔「ばかとは何だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  86. 尾崎末吉

    尾崎委員長 静粛に願います。
  87. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本としては、日本国民としては、終戦、相手国からの食糧によつて生きた。これは日本国民としては、これを支払うのが当然であつて、日本国民の名誉からいつて、支払いたいと私は思うのであります。しかしこれはいまだ債務にはなつておりません。何となれば、交渉中とまでも行かないのであります。しかしながらわれわれは日本政府としては、これは払いたいものである、払わなければいかぬものだと考えております。しこうして先ほど通産大臣が言われた八億何千万とかいうのは、これはすでに日本の認めた債務と言つていいでありましようが、これについてもまだ交渉を開始しておりません。いずれアメリカ政府との間には最後の交渉をいたすつもりであります。従つて払うものもあれば、払わないものもあり、この交渉は現に、あるいは今後継続いたすつもりでありますから、交渉の途中において、二百億云々の立てかえ金についての結末がつかないのは当然であり、これは交渉の題目になつておるのであります。従つて立てかえ金の方ばかり論議すれば、これをとらないことが怠慢であると言われるならば、またアメリカ側から言つてみても、とるべきものもあるのであるから、とらないのは、アメリカ側の怠慢とも言われるのであります。これは交渉の結果において、円満な妥結、穏当な解決に到着するつもりでおります。
  88. 中村三之丞

    中村(三)委員 日米間のこの問題は、会社の本店と支店との交互計算のようなものではない。権利義務を明らかにすることによつて日米親善が進められるというところに、河野君の考えがあると私は思う。国民またしかりであります。言うべきことを言わないで、これが怠慢であると言われてもしかたがないじやありませんか。ゆえに私は、この二百億円というものと、ガリオア、イロアはまつたく違うということを、総理大臣はあらためてここに確認的な答弁を願いたい。
  89. 吉田茂

    吉田国務大臣 ガリオアの問題は、これはただいま申した通り、別に今後交渉いたすつもりでおります。また出本国民の名誉の上から払うべきものは払いたいと思います。従つて日本と米国政府との間にはやりとりすべき問題は、二百億の問題ばかりではない、調ベてみればまだあるだろうと思います。これは今後の交渉の題目であります。この交渉の結果いかになるかということは、予算に現われ、あるいは法律において現われるでありましようから、交渉の結果は、そのときにおいて御研究を願いたい。
  90. 中村三之丞

    中村(三)委員 ガリオアやイロアは、払うべきものは払う、その通りであります、しからば二百億円は、こちらが払つてもらわなければならないものならば、払つてもらいたいということをなぜ言わないのか。
  91. 吉田茂

    吉田国務大臣 交渉しております。
  92. 中村三之丞

    中村(三)委員 今の総理答弁はわかりません。もう一ぺんお願いいたします。
  93. 吉田茂

    吉田国務大臣 二百億はすでに確認せられて、この支払いについては、現に交渉中であるということをはつきり申し上げます。
  94. 中村三之丞

    中村(三)委員 しからば、岡崎外務大臣は昨日何と言われたか。何もしていない。今朝あわててそういうことを言つておる。私は岡崎外務大臣は食言が得意であると思う。この際、あらためて統一ある答弁を願いたい。
  95. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 昨日は、交渉しているとも、していないとも、申しません。取調べてからお答えをすると申しました。ただいま取調べてお答えをしたのであります。
  96. 中村三之丞

    中村(三)委員 最初はそうおつしやつた。そうして河野君の追究が急なるがために、手のひらを返すがごとく、こういうことを言つておる。一国の国務大臣が何たる自信のないことであるか。あなたは食言なんです。それならば、交渉しておるということが正しいのだということを、あらためてはつきりおつしやい。
  97. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 昨日はお聞きの通り、取調べてからお答えをいたしますと申しました。本日取調べてお答えをしたのであります。
  98. 中村三之丞

    中村(三)委員 それはあとから、河野君の追究急であるから、そう言われた。前はそう言つていない。しからば、前のことは取消しますとはつきりおつしやい。
  99. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 速記録をお調べくださればわかりますが、昨日は私は取調べてからお答えをしますという一言以外には、何にもお答えをしておりません。
  100. 中村三之丞

    中村(三)委員 あとからそんなことを言つておる。しからば取調べられた、そして経済局長をしてやらしめると言われたが、あらためて政府に要求いたします。ただちに外務省経済局長をここに呼んでもらいたい。そしてその経過を承りたい。あらためてここに要求をいたします。そうでなければ、この問題ははつきりして行かない。政府が誠意をもつてはつきりさせるならば、われわれはまたこれを承るにやぶさかであるものではない。ただ昨日来聞いておりますと、総理大臣は相当興奮しておられる。河野君の質問なるがゆえに、そう御興奮なさらないでよろしい。冷静にお答えをしていただきたい。いやしくも一国の総理大臣、それから通産大臣外務大臣、みなちぐはぐである。まことにあわてふためいておることは、醜態であるといわなければならない。もう少し吉田内閣は腹をすえて、河野君の質問答弁せられんことを、私は要求をいたしておきたい。
  101. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ただいまのお話は承りました。われわれは先ほどお話のように、ガリオア、イロアと、この債権とは、別に取扱つております。従いまして、交渉結論はまだ出ておりません。しかし、独立直前ではありましたけれども先方もサブスタンシャリイという字を使つて、実質的にはこれを認めておりますので、われわれは今後も努力して、この支払いに至るまで交渉を続けるつもりでおります。
  102. 中村三之丞

    中村(三)委員 私は経済局長を、即刻この席に出席せしめることを要求いたします。
  103. 尾崎末吉

    尾崎委員長 外務大臣答弁がありますか。
  104. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 経済局長は、私が責任をもつてここで答弁をしておりますれば、同様であります。
  105. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御質問ありませんか。――中村君よろしゆうございますか。――中村高一君に関連質問を許します。大体二間程度に願います。
  106. 中村高一

    中村(高)委員 今の問題につきまして関連質問をいたします。これは具体的なことをもう少し政府に尋ねておきたいのでありますが、昨年の四月十九日のアメリカ司令部からの回答によりますならば、この債務は日本の政府が適当な条件を整えて来るならば支払つてもいいということの回答があつたのではないかどうか。その点をまず第一にお尋ねをいたします。
  107. 岡野清豪

    岡野国務大臣 債権が確立したということを証明した書類でございます。でございますからわれわれは、債権ができた、確認されたということで関係局にこれを通達してあるわけでございます。
  108. 中村高一

    中村(高)委員 アメリカ司令部の回答によるならば、日本の政府は、今通産大臣答弁では、認めたというのであるけれども、その認めたのは無条件に認めたのではなくして、たとえばどれだけの品物が引渡されたか、その引渡証をつけて来い、さらに引渡したことを明確にすべき日本の張簿を提供しろという、あるいは支払いの金額について、ドル換算率について日本とアメリカとの間に意見が合わない、こういう点が解決をされれば支払うというのに、日本の政府では、その必要条件を満たすべき書類が整つておらないというのが事実ではないか。
  109. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはございます。完全に保存されてございます。保存されておつてその条件は整つえおりますから、関係方面すなわち外為の関係は外為の委員会、またこれと外交交渉に移すものは外務省、それからまた現金で入るか何で入るか知りませんが勘定として入りますれば大蔵省、こういうふうにちやんと各別々に、われわれとしてはその通り通達してあるわけでございます。それで外務省はそれを基礎にして交渉しつつあるわけでございます。
  110. 尾崎末吉

    尾崎委員長 中村君、結論を願います。
  111. 中村高一

    中村(高)委員 書類が整備されておつてこれが明確であるならば、長い間この問題がそのまま荏苒とした交渉で解釈されないというようなことは、われわれとしてはこうてい納得することができないのであります。よつて先ほど来問題になつておりますところの経済局長を呼んで、さらにどういう品物が、どの商店から出されて、それがどれだけ具体的に渡つたか、その必要な書類を資料として提出することと、局長をただちにこの委員会に召喚することとを動議として私は提出いたします。     〔「議事進行」「委員長何しておるか」「動議を採決しないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  112. 尾崎末吉

    尾崎委員長 横路君。
  113. 横路節雄

    ○横路委員 議事進行について発言の許しがありましたから……。今までの河野委員岡崎外務大臣との質疑応答を聞いておりますと、岡崎外務大臣は、経済局長をして交渉に当らせている、こう言われておりますので、ぜひすみやかに本委員会経済局長を呼んでその間の経緯を明らかにしていただきたい。
  114. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいまの議事進行に関する横路君の御発言は了承いたしました。ただちに呼ぶことにいたします。先ほどの動議は、動議成立に至るまでもなくただいま横路君の議事進行に関する発言によりまして呼ぶことにいたしましたから、さよう御了承願います。
  115. 中村高一

    中村(高)委員 議事進行について。局長のことはよいのです。それは来るならば動議でなくてもけつこうであるけれども、先ほど言つた資料、これも当然出さなければならぬのですから、委員長は、この委員会に二百億に関する必要な書類をみな提出してもらいたい。     〔「委員長、関連質問」と呼ぶ者あり〕
  116. 尾崎末吉

    尾崎委員長 関連質問を許します。小林君。
  117. 小林絹治

    小林(絹)委員 過日来の予算委員会質疑の進行を見まして、国民はことさら予算審議を引延ばしておるのじやないかという疑いを持つのではないかと、私は心配をするのであります。(拍手)この問題につきましては、もとより重大な問題であります。けれどもどこの因でも役人仕事というものはこういうものなんです。でありますけれども政府としては出先の役人をも鞭撻し、また在米大使を通して交渉する場合もあるし、また直接に在日アメリカ大使に対して交渉する場合もありますから、これは両建で行かなければならぬことはもちろんであります。でありますから、この問題につきまして、必要な書類予算委員会が要求いたしまして、政府の出せるものは出すということをお答えなつておるのですから、委員会におきましても、その書類の出るまで審議を中止するというようなことがないように、他の質疑に移るなりその他の方法によつて予算審議を一刻もゆるがせにしないように、進行されるように、委員長において特に御配慮願いたいと思います。 (拍手、笑声)     〔「総理大臣に言つたらいいだろう」と呼び、その他発言する者多し〕
  118. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいま関連質問でありますが、(「関連質問か」「議事進行だ」と呼ぶ者あり)ただいまの御希望に沿うように、経済局長が見えるまでの間これを許します。ありますか。     〔「関連質問なら答弁したらいいじやないか」「議会不信の声が起りますよ。」「委員長何をしているか。」「委員長時間が惜しいじやないか」と呼び、その他発言する君多し〕
  119. 尾崎末吉

    尾崎委員長 しばらくお待ちください。     〔「委員長、どうした」と呼ぶ者あり〕
  120. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいま迎えに行つております。――御要求の外務省経済同長より答弁を求めます。外務省経済同長黄田多喜夫君。     〔「質問しないとわからない、何を答弁するんだ」と呼ぶ者あり〕
  121. 尾崎末吉

    尾崎委員長 質問はされたはずであります。――それでは河野一郎君。
  122. 河野一郎

    河野(一)委員 先ほど来私から、わが国朝鮮事変以来アメリカに対して約二百億の金を立てかえ払いした、それをアメリカの方が講和条約のときに未解決のまま引揚げてしまつた、そこでそれを、先ほど政府答弁によりますと、新木駐米大使からアメリカ側に交渉したところが、要領を得ないので、日本の政府はこれを東京に移してあなたがアメリカ大使館とこの問題について交渉をしたという外務大臣の御答弁でありますが、私たちはそういうことがあつたのなら、そのてんまつを詳細ここで承りたいということを質問しておるのであります。この点についてあなたが、いつどこでアメリカ大使館のだれとどういう交渉をなすつたか、お答え願いたいということであります。
  123. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 お答えいたします。時期は大体昨年の十月ぐらいからであつたと存じますが、アメリカ大使館の力と本件の存在並びに経緯を説明いたしまして交渉いたしております。本件債権の取立ての方法とか、あるいはどういうふうにやるとかということをやつておるのでありますけれども、複雑な問題でございますので、まだ解決には達しておりません。
  124. 河野一郎

    河野(一)委員 次にお尋ねいたしますが、あなたが交渉なすつておる問題は、アメリカ側ではこの債権は認めておりますか、おりませんか、お答え願いたい。
  125. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 お答えいたします。本質的には認めておるのでございます。
  126. 河野一郎

    河野(一)委員 本質的に認めておる問題について、支払いを向うがするということの回答が得られぬのは、どういう点におもなる点があるか、お答え願います。
  127. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 お答えいたします。問題が複雑で多岐でございますので、ただちに一方的にのみわが方からの債権確認――確認はしているのでありますけれども、それをどういうふうにするかということに関しては、いまだ解決に至つていないのでございます。
  128. 河野一郎

    河野(一)委員 あなたは昨年の最終に司令部から通産省に来た書類をどういうことに了解しておいでになりますか。
  129. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいまの御質問の要旨をもう一ぺんお願いいたします。
  130. 河野一郎

    河野(一)委員 もう一ぺん申します。司令部解散の際に、時日で申しますと二十七年の四月の十九日に、向うから書類が来ているはずであります。それによつて先方から確認をして来ているというふうにお考えなのか、それともそれをどういうふうにお考えになつ先方交渉しておるものであるか、承りたい。なおこの際重ねて申しますが、複雑であるということでありますが、確認をしておるならば、複雑という言葉は私は無用だと思う。確認されておるならば確認されておる。約二百億 四千七百万ドルの金を日本が立てかえ払いしておるということを向う確認しておるならば、複雑でも何でもない。これは債権向うから見れば債務ということが明瞭だと私は思うのでありますが、複雑というのはどういう意味でありますか、複雑の説明を願いたい。
  131. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 昨年の四月十九日に向うの方から通産省あてに参りました書類は、私承知いたしております。従いましてその書類に基きまして向う確認している債権であるからということで交渉いたしておるわけであります。 (河野(一)委員 「複雑の理由」と呼ぶ)複雑の理由と申しますのは、何と申しますか、つまり……。     〔「何が複雑だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  132. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御静粛に願います。
  133. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 いろいろな向うの要求事項もございますので、それらとの関連においてということであります。
  134. 河野一郎

    河野(一)委員 債権先方確認しておると、あなたはおつしやつておる。先方確認をしておるならば、複雑ということはないはずだ。それは一体条件付確認ですか、それとも簡単に向う確認したのか。確認しておるなら複雑ということは、先方から一体どういうことを言つておるのか、それを承りたい。
  135. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 私が申し上げましたのは、債権確認に関する複雑というのではないのでございます。つまり向う側にも日本側に対して相当の要求がありはしないか――あるという、そういうことでございます。
  136. 河野一郎

    河野(一)委員 これはおかしな話で、向う側にもありはしないかと、あなたがそういうことを取越苦労して交渉しておられるのですか。債権確認して、こつちは金がないのだからぜひ払つてくれということを交渉していらつしやるのか。それを先ほど来の政府答弁が、もしくは政府態度が、今朝の新聞あたりを見ますと、ガリオアとからんでいるようなふうにも吉田さんもおつしやるし、からんでいないようにもおつしやるし、さつぱりわからないのだ。そこであなたも一体そういう考えでこの問題を扱つておられるから複雑という考えが出て来るのかどうか、その点を明確にしてもらいたい。――答弁してください。     〔「正直に言えばいいんだ」と呼ぶ者あり〕
  137. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 つまり私の方が申しておりますのは、これは確定した債権であるのだから早く払つてほしいということを申しました。向うの方はこれはガリオアとかイロアとかいうものがあるからそれらの関連において……、そういうことであります。
  138. 河野一郎

    河野(一)委員 どうもその話がおかしい。それならば先ほど岡野国務大臣は何とおつしやつた。そういうものとは関係ない。この点は明確に認めたということを言うたじやありませんか。
  139. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私が先ほど申しましたのは、独立のりつぱな債権である、それだから、ガリオアとかイロアに関連されては困る。これは取越苦労かもしれませんけれども、マーカツト声明が十九日新聞に出まして、それにはガリオアとかなんとかいうものがあるから、これと何とかして一緒にするというような意味がとれましたものですから、それで、それでは困るからというので、わざわざ通産省の役人がマーケットのところへ行きまして向うは了承したのであります。そこで私は今想像でございますけれども向うがそういう下心があつたから、おそらくそういうことを外務省を通じてやつておるのじやないか、それを排除するのに努力しておるのが外務省の立場だ、こう思います。
  140. 河野一郎

    河野(一)委員 違う。きのうからきようの答弁でも、そういうふうに、向うからマーケットが言うた。そこであなたの方は努力して、それは間違いです、それは違いますということを日本の通産省が申し出て、それはマーカットが了承したということになつておる。その点までは明瞭なんだ。だれもそんなことを言つてはいない。アメリカ側でもそれは認めておる。認めておるから国に帰つて適当な機関に移しておくと、それまでははつきりしておる。それはおわかりでしよう。それを今ごろになつてそんなことを言つたらおかしいじやないか。
  141. 岡野清豪

    岡野国務大臣 その通りでございますが、もともと向うがそういう考えであつたのだから、外交交渉のときにやはりその片鱗が出るので、外務省としても因つておるのだろうと私は想像したのであります。
  142. 河野一郎

    河野(一)委員 そういうことを、第一岡野さんあなたは、きのうのこの速記録を今とつたのですけれども、速記録に何と答弁していらつしやるか、よくこれを読んでごらんなさい、きのうあなたが答弁されたこととまるで違いますよ。またここでうそを言つたことになりますよ。そういう御答弁をなさつてようござんすか。  それから経済局長にお尋ねするが、そういう程度答弁をするならば、打合せなくてもいいでしよう。そこで岡崎さんに打合せなくてもいいでしよう。事務当局事務当局らしくもつとまじめに御答弁願いたい。昨年の十月以来、その後いつ交渉なさいましたか。
  143. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 昨年の十月以来折に触れてやつております。最近では四月ごろ、それからまた六月ごろに本件を持出しております。
  144. 河野一郎

    河野(一)委員 その後この問題について、向うと往復された、あなたのやりとりされた内容は、だんだんどういうふうに変化しておりますか、それを承りたい。
  145. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 もとと同じでございまして、それは先ほど申し上げました通りの理由で、まだ解決を見ておりません。
  146. 河野一郎

    河野(一)委員 新木さんが向う交渉されたときには、向うの国務省のどこに交渉していいのか要領を得なかつたというのが、先ほどの岡崎さんの御答弁なのだ。新木大使先方交渉するときに要領得なかつたものを、あなたが昨年から今日までこちらの出先大使館交渉しておられる。そうすると向うにはこれを受付けるセクシヨンがあるというふうにあなたはお考えですか。向うの国務省のどこでこの問題を扱つておるかということは、今日ではおわかりになつておりますか。
  147. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 私はこちらの大使館を相手にしておりまして、まだ向うがどこでやつておるのか、そういうことは承知しておりません。
  148. 河野一郎

    河野(一)委員 一体新木大使がどのくらい交渉したか知らぬが交渉したけれども向う要領を得なかつたのを、あなたはこちらにとつて東京でもつてアメリカ大使交渉して、向うのどの役所がこの問題の主管かわからないで、ただ出先の大使館の参事官か何かをつかまえて交渉して、今日までぶらぶらして何も交渉の変化はありません、要領を得ません、これでは新木大使よりまだ悪いではありませんか。一体この問題をあなたは引受けて、担当して、解決がつくとお考えですか。これだけの重大問題が解決がつくと考えて交渉しておられますか
  149. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 ワシントンでやりますよりも、本件はどうしても東京でやつた方が適当であるということを考えておりますので、東京交渉しているわけでございます。依然としてこれの交渉を継続いたしまして、円満な解決に持つて行きたいと考えております。
  150. 河野一郎

    河野(一)委員 この際吉田総理に私は一言御答弁願いたいと思う。先般来の総理答弁並びにその他閣僚の答弁を伺つておりますと、日本から品物を渡した。先ほども中村君の御発言中にもありましたが、当時非常に物資が不足しておつた、困窮しておつた中をさいてわれわれが物資アメリカに渡した、しかもその債権は確定しておる。しかして一方アメリカからは援助物資として日本によこしたものであつて、これは先ほど総理がお話の通り、われわれの名誉にかけても払おうと思つておる。払えるようになつたら払おうと思つている。決してこれをごまかしてしまおうとは考えておらない。それはその通りでけつこうだと思つておる。思うが、アメリカの方が、われわれ議会感謝決議までしたものを、せつかくわれわれが困難の中からしぼり出して渡した物の代金、これとひつかけて交渉経過が一年たつても今日まではかばかしくないというようなことは、こういうことが外交上支障があるとお考えになりませんか。
  151. 吉田茂

    吉田国務大臣 交渉は簡単ではないのであります。いろいろな交渉に時間がとれるのは当然であります。国際の交渉においてことにしかりであります。ゆえに今日できないとか昨日できないということは問題でないので、結果が……。(「興奮するな」と呼ぶ者あり)結果が満足であればいいはずであります。
  152. 尾崎末吉

    尾崎委員長 それでは総理に対する総括質疑は、理事会の申合せの時間を(発言する者多し)大分超過をいたしておりますので、一応この程度に終了することにいたします。  暫時休憩いたします。午後は二時より再開いたします。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後四時三十七分開議
  153. 尾崎末吉

    尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際申し上げます。委員長としましては、さきに本予算案の審議を始めるにあたりまして委員会運営に関する理事会の申合せは、これを尊重して行くことを特に申し上げておいたことは各位も御承知のことと思います。このことは委員会運営の円滑をはかる上においても、またお互いの信頼の上においても、肝要のことと思うのであります。午前中の委員会において総理に対する総括質疑を一応この程度で終ることとする旨を宣告いたしましたのも、この理事会の申合せを尊重する建前からいたしたのであります。ただその際一応この程度で終了と申し上げましたのは、さらに理事会等において協議の上、特別の事情によつてはあらためて申合せをいたし、なお総括質疑を行うこともあり得ることをも考えたので、宣告いたした次第であります。先刻理事会を開きまして本問題を協議いたしましたが、その申合せに従いましてこの際河野一郎君の発言を許します。
  154. 河野一郎

    河野(一)委員 私はこの際政府に一言申し上げたいと思うのであります。それは最初に私が申し上げました通り、ただいま私が質問中でありまする問題は、日米国交に重大な影響があります。もとより私は両国民間の感情をなるべく融和して、親善を重ねるように意図しておる一人であります。その意味からいたしまして、十分この問題について了解を得たい。政府においても徹底的に国民の納得行くように御答弁なされることが絶対必要であります。しかるに昨日来の政府の御答弁を伺いますと、総理大臣外務大臣ないしは通産大臣等そのときそれによつて答弁がかわる、用語が不十分であるがためかとも存じますが、いずれにいたしましても、われわれどもをして十分納得せしめることはできません。これは速記録によつて見ましても明瞭であります。従いまして私は、本日は総理大臣も御欠席でありますから、政府におきましては十分にこれらの連絡を調整せられまして、われわれ国民をしてこの問題について十分納得の行くように、また国際的に申しますれば、先般来の御答弁によりますれば、一切の債権は確定しておる。何のためにアメリカが一体払わないのかということになりますと、まつたく了解がつかない。何でアメリカともあろうものがこういうものについて不明朗な態度をとつておるかということが全然了解できません。岡崎外務大臣の御答弁のごときは、われわれその疑惑を最も深めます。新木駐米大使をして交渉せしめたが、要領を得ない、要領を得ない筋合いのものでは断じてないのであります。これは通産大臣答弁によつても明瞭であります。アメリカ確認しておるというのでありますから、確認しておるものが要領を得ないというのは、どの点から参りましても納得できない。しかも昨年来しばしば交渉しているといわれますが、これも承つてみれば一歩も前進していない。これは何としてもアメリカ態度がわれわれ納得できないのであります。しかしこれらの問題につきましては、いずれ総理大臣出席の上で、とくとわれわれをして納得の行くようになさることが絶対必要だと思う。ただ、あくまでも私は申し上げる。かくのごとき重大なる財源であります。これがもし本年度予算、明年度予算に組み入れることができますれば、どれだけかわれわれは減税もできるでございましようし、その他あらゆる緊急施設がこれによつてできるでしよう。かくのごとき処置をとらずに、こういう問題の交渉に荏苒日をかしておるということは、われわれ国民として断じて納得のできないところであります。政府におかれましては、すみやかに吉田総理出席のもとに、われわれをしてかかる疑惑をなからしめるように善処せられんことを強く要望いたしまして、きようの私の質問はひとまず留保いたします。
  155. 尾崎末吉

    尾崎委員長 それでは河野一郎君の質疑は後日に譲ることとし、また決議に基くいわゆる警備計画の資料に関する問題を除きまして、その他の総理に対する総括質疑は一応この程度で終了することといたします。  なおこの際、去る六月二十六日及び七月三日の決議による資料要求の件について政府より発言を求めております。これを許します。木村保安庁長官。
  156. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 去る六月二十六日当予算委員会の決議に基きまして御要求のありました点についてお答えを申し上げます。御要求のうち、予算に関する書類は別途提出いたした次第であります。御要求のうち、いわゆる警備計画の案なるものにつきましては、これは将来わが国の治安情勢の変化に伴つて、警備力の増加を必要とするようになつた場合において、いかにしたらよいかという私の心構えとして、一応の見当をつけるために案をつくらしたものであります。これにつきましては、関係各庁と全然協議したものではないばかりか、保安庁内部におきましても、協議を経ておるものではないのであります。従いまして、せつかくの御要求でありますが、提出いたしかねる次第であります。あしからず御了承願います。なお将来警備計画の案が成案としてでき上りました場合において、御要求によりまして喜んで提出いたしたいと考える次第であります。
  157. 武藤運十郎

    ○武藤委員 われわれは予算委員会の決議に基きまして、政府に対して、かねて木村長官がお話をなさつたといういわゆる警備計画を資料として提出すべきことを求めておるのであります。これはただいま木村長官からは提出ができないという趣旨の御発言がございましたが、私どもとすれば、これに承服することができません。ことにその提出を拒絶する理由が、一応の心積り、いわゆる誠案であり、かつ関係各庁の庁議、省議などを経たものではないから出せないという理由であるのでございます。しかしながらこの案の存在することは、私は質問並びに同僚各委員質問によりまして明瞭であります。ことに木村長官がその部下局長でありますところの保安局長に命じてつくらせ、そのでき上つたものを受取りまして、総理大臣の手元へ提出をしておる。総理大臣はこれを緒方副総理に渡しておるというのでありまして、案が存在をいたしますることは間違いがない事実であります。そこでこれはどうしても、出してもらわなければならないと思いますが、今述べられたような理由は、国権の最高機関である国会、立法府が行政府監督上の立場から、あるいは議案、予算案などを審議する立場から、資料要求の決議をいたしましたこの決議に対して、どうして出せないかという理由にはならないと私は思います。そこで明らかに出さないという拒絶の意思表示をしておるのでありますが、私はどうして出せないかという法律上の根拠を承りたい。私どもは憲法並びに国会法、衆議院規則等に基きまして、法律に基いて提出の要求をいたしておるのであります。従いまして何ゆえに提出ができないか。憲法、国会法、衆議院規則その他による法律上の根拠を承りたいと思うのであります。
  158. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 もとより私は国会を尊重するものであります。国会法によつて出すべきものは出したいと思うのであります。今申し上げました通り、これはまつたく私の心構えをつくる一つの見当の案にすぎないのであります。今申し述べましたように、庁においてすらこれを協議しておるわけでも何でもありません。もとよりこれを成案といたしましてでき上つたなれば、喜んで私は提出いたしたいものと、こう考えておる次第であります。
  159. 武藤運十郎

    ○武藤委員 承服ができません。私どもは庁議を経た案を出せと言つておるのではありません。政府の決定せられた成案を出せと言つておるのではありません。それも提出を求める対象にはなりましようが、しかし今存在する資料というものは、これまた国会におきまして予算審議その他の審議をいたします参考になる資料であることは間違いがありません。しかもその資料が予算審議に関係があるとか、あるいは審議の必要があるとかいうようなことにつきましては、すべてその決定権は国会にございます。決議をされたけれども関係がないものであるとか、必要かないものであるとかいうことは、行政府としては越権のさたでありまして、法律の解釈から申しますと、すべからく行政府は、立法府におきまして決定した決議には絶対に従つて出さなければならないものであると私は考える。ところが今木村保安庁長官のお話に伺つてみますと、それほど予算審議には関係がないから出さぬというような御趣旨に聞えます。この前もそのような御発言がございました。そこで私は先ほど来求めておりますように、法律上の根拠を伺いたいというのであります。
  160. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 成案ができましたなれば、これが審議の対象となることはもとよりでありますが、その成案のでき上るまでの一段階の私の心構えとしてつくつたもでありますから、これは審議の対象になるものとは考えておりません。
  161. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私は法律上の見解による正当な納得のできる話がない限りは、何回でも伺います。私は成案を要求しておるのではない。この委員会で決定をしておりますのは、いわゆる警備計画という言葉によつて表わされております通り、必ずしも成案であることを必要としない。しかも国会法並びに憲法に基きますれば、いやしくも国会において決定をしました以上は、提出の要求がありました以上は、それがいかなるものでありましても、提出をしなければならないということになつておる。それが予算の審議に、役に立つか立たないかということは、受取つてみてから、われわれ立法府において決定をすべきものであつて、その決定の前にあくまでもそれは必要がないというようなことは、言うべき筋合いのものではあるまいと思います。そこで私は、ここへ幸いに法制局長官が来ておりますから、憲法第六十二条、国会法百四条の解釈を伺いたいと思います。
  162. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま御指摘の条文の解釈について、私は率直に申し上げまして、相当疑問がある点であると思います。私は少くとも今回の事件を離れまして、今ちようど条文をあげてのお尋ねでありますからして、それについて私自身がふに落ちないと思つておるところを、とりあえずお聞き取りを願つて、武藤博士のお教えを願いたいと思います。  今御指摘になりました憲法六十二条、これは「両議院は、」と書いてあるわけでございます。私どもこれは憲法を立案するときの気持でございますが、その前のオーソドックスの考え方として「両議院は」とある場合は、これはおのおののハウスを言うのであつて、すなわち院議をもつて構成するハウスを言うのだというふうにわれわれは了解して、起案のときもその気持でおつたのであります。この場合は「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、」ということがありますので、これはハウスとしての権限である。従つて委員会関係の問題は、そこから当然出て来ないんじやないかという疑問を、私は持つつたわけておであります。そこで国会法に百四条というものがございますが、これもその系統を受けてのことであり、申すまでもなく憲法自身には応じなければならないという条文はございません。しかしそれを受けて国会法百四条においては、「応じなければならない。」ということを補足しておるわけであります。これは正面から申しますと、ハウスとしての権限を規定したものであると思います。ところがただいまお言葉にありましたように、衆議院規則にもう一つございます。五十六条に「委員会は、議長を経由して審査又は調査のため、」記録の提出を求めることができるとあります。この関係は私は今まで考えておつたところでは、委員会限りの要求権を、この衆議院規則において創設されたものである。従いましてこの関係では応じなければならないという言葉が出て来ないんじやないか。これは今までそういうふうに思つてつたわけであります。これはしかしそうは申しますけれども、お教えを願いたいという言葉を最初に述べました通り、国会内部の問題でありまして、私どもといたしましては、そういうことに深入りしてとやかく解釈論を申し上げる立場になると思います。従つてわれわれとしては、御要求があれば、それに対して法律上で応ずる義務があろうとなかろうと、お出しできるものはお出しすべきだという一本の建前で参つておるわけであります。  ところで今度の問題に帰つて来るわけでございますが、従来御承知の通りに、いろいろの委員会で資料の提出要求がございました。政府といたしましては、喜んでこれは提出いたしました。あるいはまた、これはかくかくの事由でどうしても御提出できません、それはやむを得ないだろうというお話合いで、今まできわめてこれが順調に参つてつたわけであります。今度のように正面からの御要求があつて、これに対してどうのこうのという問題が起つたのは、私おそらく今回が初めてだろうと思います。従いまして非常に心苦しい、好ましからぬことではありますけれども、この法律の条文をこの際は裸にして検討しなければならぬ。この場合におきましては、先ほど申しました場面とは違いまして、われわれとしては要求を受ける方の当事者であります。当事者は当事者としてやはり一定の見解を立てるべき立場にあると思います。その意味でわれわれとしては、われわれの立場からこれを検討したわけであります。ところで今御指摘の諸条文、私は衆議院規則に基くものと思いますけれども、いずれにいたしましても、憲法あるいは国会法衆議院規則、いずれにも記録の提出を求めることができると書いてあるわけであります。そうして今回の御要求にも、予算委員会における審査のための記録の提出を求められた。そこで私はこの記録という文字の解釈を、心ならずもここでしなければならぬ立場に立つわけであります。普通の法律にたくさん同様な言葉が出ております。多くは書類あるいは文書という言葉が使つてあります。国会関係の法律においても書類という言葉を使つておる場合があるわけであります。そこで書類という言葉と記録という言葉の問題になります。書類ということになれば、およそ一片の紙片も書類ということに、形式的にはなると私は思いますが、記録と申しました場合には、これは社会一般の通念から申しまして、書類の中のある性格を備えたものと見ざるを得ないというふうに考えるわけでございます。それならどういうものをその観念の中心とするかということになりますと、われわれの考えております記録というものの観念は、今役所の場合でありますから、役所の場合について申し上げますと、役所の文書として整理保存の対象とされる。たとえば文書の登録簿というようなものによつて整理保存の対象となるような役所の文書というものを中心の観念としておることは、私は普通の常識から見て間違いのないことだと思うのです。中心の観念と申しますからして、それの限界はあるいはそれよりも多少は広くなるかもしれませんが、しかしながらいずれにいたしましても、ただいま保安庁長官が答えられましたような、その御要求のものはそういうものであるということになりますれば、それはここにいう記録に当るべくあまりにほど遠いという見解に、われわれは立たざるを得ないという解釈より持ち合しておりませんので、そう申し上げざるを得ないのであります。
  163. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私は今法制局長官からるる伺いましたが、法制局長官も、法律家として非常に公平な立場からお話をなさつておられるのだと思います。またそのように努力しておられるのだと思います。しかしただいまの御説は、やはり私どもは承服ができない。記録と申しまして、あるいは書類と申しまして、少し議論になりますが、整理保存の対象になるというようなお言葉がございますけれども、従来国会で要求しました場合には、たくさん出ておりますけれども、一片の紙片といえどもずいぶん出されております。これもすべて書類、文書、記録という言葉によつて出されておるのでありまして、特にこのものに限つて整理保存の対象にならぬというようなことを言われますことは、ただ出さないための詭弁にすきないと私は思ののであります。記録というのは、申すまでもなく、民事上のあるいは商事上の私法関係における権利義務の関係の場合と、国会においての資料の提出における文書とは違うので、整理保存とかそういうことに関保なし、あるいはまた権利義務の関係を生ずるということに関係がないただ一片の書類でありましても、とにかくてこに存在をし、そうして国会におきまして、行政監督の立場からあるいは議案審理の必要上から、その提出を求のるということは、国会法によつて可能でありますし、また一旦決定をしまして以上は、国会に従属する立場にあり行政府は、必ずこれを出さなければはらないと思うのであります。ことに憲法と国会法の条文の関係が、ないではないかというような御説がございましたけれども、多分これは御存じだろうと思いますが、昭和二十二年に国会法を制定いたしますときの速記録をちよつと読んでみます。今の事務総長であります大池説明員が、こういうふうに言つておる。「本条は現行議院法第七十四条及び新憲法第六十二条に対応する条文でありまして、「内閣、官公署その他」と申しますのは、これは会社及び個人も含んでおるわけであります。またたとえ秘密書類といえどもその提出を求めることができるのでありまして、その秘密書類を審査する場合には、秘密会を開けば足りることであります。秘密なるが故にこの提出を拒絶することはできないものと解しております。」こういうふうに言いまして、あとの問題は秘密に触れておるのでありますが、憲法六十二条とまつたくうらはらの関係にあるものであるということが、国会法改正委員会で説明をされておる。そしてこれは各党の議員がここに出席をしております。そして自由党からは小澤佐重喜君が出席をいたされまして賛成の意思表示をして、この国会法というものは通過しておる。こういういきさつから申しましても、百四条が六十二条と関係がないというお説は、私は間違いではないかと思います。いかがでございましようか。
  164. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま御引用になりました速記録はまことにその通りでありまして、私も十分承知しております。従いまして私が先ほど申しましたのも、国会法の第百四条は憲法の第六十二条を受けてのものであるとお答えしたわけでありますから、今の大池さんの説明とちつともかわらない。ただ私が申し上げたのは、これはよけいなことを申し上げたわけですけれども、憲法の六十二条にいう「両議院」というのは、その隣近所にたとえば「両議院の会議は、公開とする。」とありますし、また一方には両議院は三分の一以上の出席がなければ、会議を開くことができないというような条文があります。それらの場合の両議院というのはいずれも本会議のことを言つているわけです。院議をもつて活動するハウスのことを言つておるのではございません。このことは明らかに隣近所の条文からいえば立証できる。従つて国会法は、そのハウスの行動としてのものを受けての条文である。ところが今回のものについては衆議院の御要求についての本会議というものは、私はどうもあつたように思えないというところから、実はひそなかる疑問を申し上げただけの話で、それを種にして私はここでレジスタンスをしようというような気分は毛頭ない。むしろさつきお言葉がありましたように、今までたくさん出したじやないかとおつしやいますが、それは前に触れましたように、今までは和気あいあいと申しますと、言葉は過ぎますけれども委員会の非公式な申出があつて、それはございますから、お出しいたしましよう、あるいはこれはちよつと無理ですから、ごかんべん願いましようということで、すべてうまく話が来て、この国会法の条文を洗い立ての問題というものは全然なかつたわけであります。今回が初めてであるということで、心ならずもこの記録の意味ということを申し上げざるを得ないということでございます。
  165. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私はこう思うのです。その記録が和気あいあいのうちに出されようと出されまいと、そういうことは法律の解釈に関係あるまいと思うのです。そうなりますと政府に不利益な書類は出さない、利益な書類は出してもいい、また利害関係のないものは出してもいい、こういうことになりまして、国会が国権の最高機関として行政府を監督する立場、再々出しますが、予算、法律案の議案を審議する立場から、必要がある場合には、特にその提出を求めることができるということを、憲法で規定をした規定というものが、空文に帰するのではないかと思う。それが政府に利益であろうと不利益であろうと、あるいは話合いで和気あいあいのうちであろうと、けんか腰であろうと、いやしくも一たび国会の意思が決定しましたならば、出さなければならないというのが、特に新憲法におきまして、前の明治憲法になかつた条文を挿入したゆえんではなかろうかと思うのです。そういう意味におきまして、いやしくも国会で決定をいたしました以上は、これは政府の意思いかんにかかわらず、とにかく出さなければならぬものだと思うのです。特に六十二条というものを新しく新憲法に設けました理由も、そこにあると思うのでありますが、もし私が申しましたような趣旨と違いますならば、木村さんから御答弁をいただきたいと思うのであります。
  166. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。私はこの試案なるものは、先ほど申しました通り、庁の決議も何ら経ていない。従つて私としても責任が持てないものであります。責任の持てないものを私は出すことはできない、こういうことを申しておるのであります。(「なぜ責任の持てないようなものを総理大臣に出したか」と呼ぶ者あり)これは総理大臣に出したのは相談のためであつて、提出したものではありません。こういう案で将来一応の案をひとつつくつてみたらどうかということの相談にすぎないのであります。     ―――――――――――――
  167. 尾崎末吉

    尾崎委員長 この際お諮りいたします。昭和二十八年度一般会計予算外二案の審査のため、分科会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  なお分科会の区分、主査の選定及び分科員の配置につきましては、先例によつて委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。
  170. 武藤運十郎

    ○武藤委員 大分時間も経過いたしましたし、なお総理大臣の御出席がありませんから、私の質問を留保いたしまして、本日はこの限りでとどめます。
  171. 尾崎末吉

    尾崎委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明八日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後五時六分散会