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1953-07-03 第16回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 尾崎 末吉君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 八百板 正君 理事 池田正之輔君       相川 勝六君    植木庚子郎君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    鈴木 正文君       田中  元君    富田 健治君       中村  清君    灘尾 弘吉君       羽田武嗣郎君    葉梨新五郎君       原 健三郎君    船越  弘君       本間 俊一君    八木 一郎君       稻葉  修君    小山倉之助君       佐藤 芳男君    櫻内 義雄君       中村三之丞君    古井 喜實君       青野 武一君    櫻井 奎夫君       福田 昌子君    武藤運十郎君       八木 一男君    横路 節雄君       和田 博雄君    加藤 鐐造君       木下  郁君    小平  忠君       河野  密君    中居英太郎君       平野 力三君    石橋 湛山君       北 れい吉君    三木 武吉君       黒田 寿男君    辻  政信君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  岡野 清豪君         建 設 大 臣 戸塚九一郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         保安政務次官  前田 正男君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 七月三日  委員河野金昇君、河本敏夫君、松浦周太郎君、  伊藤好道君、今澄勇君、三宅正一君及び河野一  郎君辞任につき、その補欠として並木芳雄君、  佐藤芳男君、稻葉修君、櫻井奎夫君中澤茂一  君、木下郁君及び池田正之輔君が議長の指名で  委員に選任された。 同日  理事河野一郎君の補欠として池田正之輔君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事互選  昭和二十八年度一般会計予算  昭和二十八年度特別会計予算  昭和二十八年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 尾崎末吉

    尾崎委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算外二案を一括議題として質疑を継続いたします。福田昌子君。
  3. 福田昌子

    福田(昌)委員 外務大臣にお尋ね申し上げたいのでございます。MSA交渉をきようからお始めになるとか新聞に出ておりましたが、このMSAに関しまして、経済的な問題を少しお尋ねさせていただきたいと思います。  MSA援助に関しまして、政府がお結びになります相互防衛援助協定に際して、いろいろ経済的な問題が起つて参ると思います。相互安全保障法によりますと、このMSA援助には見返り資金勘定が必要になるような条文がございますが、この見返り資金勘定はどういうことになるのでございましようか。
  4. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 各国の例を見ますと、そういうものをつくつておるところもあるようであります。あれは元来有償のものと無償のものとあつて、またその中にも見返り資金勘定のようなものもあるようであります。これは話してみないとわかりませんが、日本の場合はそういう必要はないであろうし、またそういう必要のないことをわれわれは考えております。
  5. 福田昌子

    福田(昌)委員 それでは日本の場合は見返り資金勘定というようなものにならないことを望むし、そういうように交渉したい、こういうお考えでいらつしやいますか。——日本でこれから交渉なさいますMSA援助のあり方と申しますか、それはいろいろあると思いますが、贈与の形式になるのでございましようか、債務の形になるのでございましようか。     〔委員長退席西村(久)委員長代理着席
  6. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これも実は正確に申すと、交渉してみたあとでないときまりませんが、贈与という形になるものとわれわれは期待しおります。但しあのアメリカ法律にも書いてありますが、将来もしそれらの武器等が、当判の目的を果すに必要がなくなつた場合、いらなくなつた場合、こういうときには返還するということになるかもしれないと思います。
  7. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、武器をおもに対象になすつてお話つたと思いますが、武器にいたしましても、贈与の形であるけれども、借りるというようなつもりで交渉するとい)ことになるのでございましようか。
  8. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはみんな交渉してみないと結果ははつきり申し上げられませんが、借りるのじやなくて、やはりこちらの所有になると思います。なりますけれども目的はつきりしておるのでございますから、たとえばそれが非常に古くなつて不必要になる、そのときにたとえば日本でスクラツプにして何かに使つてしまつていいのかというと、そういうことではなくて、やはりいらなくなつたものは返す、あるいは人数が減つてそれだけいらなくなつたというような場合には、返すということになるのではないかと思つております。形はやはりもらうことになるだろうと考えております。
  9. 福田昌子

    福田(昌)委員 形はもらうことになるけれども返すというお答えでございまして、形はもらうことになるけれども返すというのはよくわかりませんけれども、そうなりますと、フリゲート艦の貸借の場合に問題になりましたように、やはり修理その他に関する返すときのための予算的な措置をお考えになられるのでございましようか。
  10. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 すべてそういう問題が交渉題目になるのでありますから、今から申し上げられませんが、つまりよく法律言葉でいうと、解除条件付とかいうような言葉がありまして、たとえば今海上警備隊がある、そこヘフリゲート艦が来ております。これは借りておりますが、かりにこれが日本贈与されたとしましても、海上警備隊日本で必要なしとしてやめてしまう場合に、この処分はどうするかということになりますと、これは返すのが正当であろうと思つております。しかし日本が必要な限りは、これはもらつたものである、これは各国ともそういうふうにやつておるのが多いようでありますが、これはよく話をしてみないとわかりません。またもらつたものでありますから、その後においては物理は日本側でいたしましようが、これも話合いによりまして、日本経済に大きな圧迫を来すような場合はまた別問題である、但し返す場合、いらなくなつたり使えなくなつたりした場合は、特別の場合でありまして、普通はないのですが、そういう場合でありますから、直して返すというようなことはちよつと考えられないのでありまして、いらなくなつたものを返せば返す、こういうことになるのであります。しかし交渉してみなければこれはわかりません。
  11. 福田昌子

    福田(昌)委員 フリゲート艦の場合ですと、返す場合には原形にもどして返すというようなことであつたと思いますけれども、今度MSA援助対象として借りる武器は、フリゲート艦の場合とは違つて、返すような場合があつたら、使い古したままの廃物として返してもいいということでありますか。
  12. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういうふうに一応考えられるのでありまして、これは今ここでお話しても、そういう問題が交渉題目になるのでありますから、ここでこうなるとかああなるとかいうことは、まだ早いと思います。
  13. 福田昌子

    福田(昌)委員 もちろんこれから御交渉になられるわけでございますから、私注文もかねて御質問申し上げておるわけでございますので、なるべく日本の予算的な措置を必要としいなように、MSA援助政府が受けられる、私どもは受けられることについて疑義を持つておりますが、受けられるものならなるべく日本の予算的なものに食い込まないように、返済いたします場合のいろいろな条件もお考えいただきたいと思つて御質問申し上げておるわけであります。  次にお伺い申し上げたいのでございますが、このMSA援助対象になりますものにつきまして、今おもに完成兵器贈与というようなことについてのお話でございました。完成兵器贈与でありましたら、経団連などが望んでおりますところの、MSA援助に対する積極的な意図というものは、希望が薄れるわけでございますが、経団連あたりが非常にMASの援助希望いたしておりますということは、そのほかの形のものが多分に望まれるということによつて、これを期待いたしておるのだと思います。大体完成兵器のほかにどういう形の援助があるか、具体的に申しましてもこれからの交渉でございましようから、大体推定の範囲のことをお知らせいただきたいと思います。
  14. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そのほかには、たとえば日本で、やはりこれも完成兵器と名づけられるかもしれませんが、日本アメリカ政府注文して、日本でつくらしてそれを受取つて、今度日本保安隊なり海上警備隊なりに引渡してくれるというようなものが考えられます。そのほかに、一般に漠然とNSA援助といつて大いに期待されておるのは、いわゆる域外買付というようなもので、特需のようなものであります。これは直接日本に対する援助じやないのであります。たとえばよその国に対するMSA援助に必要なものを、ドル日本買つてつて行くというわけでありますから、日本経済には非常な潤いになりましようが、日本国内に対する直接の援助ではない、間接的なものであります。
  15. 福田昌子

    福田(昌)委員 日本の財界が希望しておるのは、域外買付の点であろうと思いますけれども、そういう援助というものは、今MSA日本向け対象になつております金額はつきりしなくて一億五千万ドル前後であるかわかりませんが、その範囲の外にあるわけでございましようか。
  16. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 その額は私はもちろんここで的確には申し上げられませんが、伝えられておりますのは日本に対する援助であります。域外買付は、よその国に対する援助、つまりよくいわれます十億何がしというのをアジア方面援助するが、その十億何がしの日本に対するものを除いた残りで、どこから品物を買つてどこへ持つて行くかということになる。そのとき日本でどれだけ買うかということが問題になる。これはアジアだけですが、アジア以外でも、必要があれば日本から買つて行つてもさしつがえない。要するに域外買付というのは日本に直接の援助でないものであります。
  17. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、大体日本向けMSA対象金額外のものですと、これは将来の交渉いかんの問題でございましようからはつきり御答弁いただくことは困難と思いますが、大体完成兵器がどのくらいのパーセンテージ日本軍需産業に影響いたして、軍需産業経済的な面にプラスになるものはどのくらいのパーセンテージでありましようか。
  18. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私どもは、まず同じことならば国内発注してそれでもつて使用するのが望ましいと考えておりますが、この部分はちよつとわからないのでありまして、国内設備いかんにもよりましようし、また域外買付との競合の問題、つまりどちらの注文を先によけいとるかといと問題もありましよう、また値段にもよりますし、これも十分話してみないとわからないのであります。
  19. 福田昌子

    福田(昌)委員 結局MSA援助を受けるとすれば、国内発注の形が完成兵器援助にも当然望ましいわけであります。その望ましい方向に向つて強力に交渉なさる御意思がありましようか。
  20. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 できるだけそういうふうにいたしたいと考えております。
  21. 福田昌子

    福田(昌)委員 MSA援助完成兵器で来る場合が相当あるわけでございますが、そういたしますとのNSA問題が起ります前から保安隊が借りておりまするいろいろな兵器は、この際MSAの中に一貫して入るのでござとましようか、それとも別の取扱いでございましようか。
  22. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これも実は正確に申すと、話してみないと今申し上げられないのでありますが、われわれの希望としては、これは別個のものとして話をはつきりさせたい、こう考えておるのであります。
  23. 福田昌子

    福田(昌)委員 別個のものとして取扱いたといいうことでございますが、私ども別個のものとしてお取扱いを願いたいと思います。  それからお尋ねいたしたいのでございますが、MSA援助を受けることになりますと、日本防衛力の増強ということが当然起つて参りますし、しかもMSA援助というものは、アジア地域集団防衛というものを考慮しての意味合いで、アメリカ考えていると思うのでありますが、そうなれば国際情勢いかんによりまして、日本保安隊海外に出動するということも当然あり得ると思います。これに対して岡崎外相は、繰返しそういうことはないといとような御答弁でございますが、それはどういうことを根拠としておつしやつておられるのでしようか。
  24. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはつまり条約なり、外国との間の話合いあるいは約束によりまして、外国軍隊なり保安隊なりを出すという義務があるなしによつて、第一にはきまると思います。ところが今の日本の結んでおります平和条約にしても、安全保障条約にしても、保安隊海外に出すということは全然ない。逆にむしろ積極的に国内防衛に当るということになつておりますから、義務的にそういうことを負つておることは一つもないわけです。義務で負わないとすればその次に考えられるのは、政府なり国民なりが、何かの場合に保安隊海外に出す方がいいということになつて出す場合が、理論的にはあり得るわけです。しかしただいまのところ、政府もそれを考えておりませんし、国民海外保安隊を出すことについては反対の方が非常に多いと思つておりますから、義務は何もない、じや自発的にそういうことをやるかというと、それもやらないということになれば、何もそういう問題は起らない、こう考えております。
  25. 福田昌子

    福田(昌)委員 外務大臣の御答弁は、私ども国民としては当然望ましいと期待しております御答弁でございますが、しかしアメリカ政府とお約束なさつた言葉ではございませんし、日本外務大臣希望的な観測としてお述べになつた言葉でありますので、私どもとしては非常に心配な点があるのでございます。六月二十四日の交換公文の書類を見せていただきましたが、あの場合におきましても、私ども国民として一番先に知りたいのは、保安隊海外派遣の問題でございます。その一番知りたいことをなぜアメリカ政府にお問合せにならなかつたかということでございます。これにつきましては今後の交渉におきまして、ぜひはつきりさせていただきたいと思います。国民が要望しておることでもありますし、また将来外務大臣の責任になられることでありますから、今後の交渉において、海外派遣をやらないということを、はつきり文書をもつて交渉なさるおつもりがあるかどうか、知らせていただきたい。
  26. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは、つまり条約義務があるとすればやらなければなりませんが、今申した通り条約上の義務は何もないのでありまして、アメリカ側の回答の中にも、日本治安維持の部隊を治安維持以外の目的に使うというようなことは条約上もないし、MSA計画にも入つておらない、こういうことを言つておるのであります。そこでわれわれとしては、元来そういう問題は日本政府国民のきめることであつて、一々日本保安隊は外に出さなくていいでしようか、というようなことを向うにお伺いを立てることは、はなはだ不見識だと思います。これた政府なり国民なりがきめる問題でありますから、私としてはそういうことをいたす必要もないし、また政府はつきり今まで言つていることであつて、念を押す必要は一つもないと考えております。独立国家とよくいわれますが、これは任意として決定すべき事項であつて、よその国に伺いを立てるべきことではないと考えております。
  27. 福田昌子

    福田(昌)委員 日本外務大臣のお考えとしてはきわめてりつぱだと思います。しかし、よく総理も御答弁になることですが、外交交渉におきましてアメリカの意向はわからないということをよくおつしやいますが、この場合においても、私は、アメリカ側がどう解釈しておるかということはわからないと思います。私どもといたしましては、公文書をもつてはつきりとお問合せ願わなければ信じられませんし、ぜひ公文書をもつて問合せを要求いたします。  次にお尋ねさせていただきたい問題は、MSA援助を受けますと、これに対しカントリーチーム監督を受けることになつておりますが、そのカントリーチームというのは保安隊にあります顧問団とは、どういう関係に立つのでありますか。
  28. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これも話をする一つ題目でありますが、普通カントリーチームといいますものは任務が大体きまつておりまして、これは安全保障条約の中に書いてありますが、たとえばアメリカ軍隊連絡官と連絡して調達の事務に当るとか、防衛計画に対して援助をするとか、そういう種類のものであります。その一部は現在保安隊にある顧問仕事になろうと思います。
  29. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、現在の保安隊顧問の方々がこれを兼務するということになるのでございましようか。それとも別個に新しいこういう団体の形がとられることになるのでしようか。
  30. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは先方の都合であり、考え方でありますから、私はここで申し上げられませんが、そのかしらはアメリカの大使がなることになつております。その下にはおそらく今の顧問団の人が入るのじやないかと思つております。
  31. 福田昌子

    福田(昌)委員 このカントリーチーム監督範囲になりますが、これは当然日本産業に対していろいろな日本向け発注の問題なんかに対しも監督があり、域外買付のいろいろな作業上の点につきましても監督の権限があるのでありますか。
  32. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そこまではやつてないように私はほかの国の例では見ておりますが、正確なことは話をしてはつきりきめてから申し上げと思います。
  33. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、カントリーチームと申しましても、大体今の保安隊顧問団のお仕事と似たような点と考えてよろしゆうございましようか。
  34. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 それ以外に、今おつしやつた域外買付の場合の発注カントリーチーム関係するかどうかというようなことが一つつておると思います。いずれにいたしましても、これは各国の例があることでありまして、今まで五十箇国近い国が援助を受けておりますが、このカントリーチーム内政干渉にならないようなことは、各国とも非常に敏感にやつております。従つてわれわれとしても一番眼目は内政干渉に至らないようにいたすべきである、こういうことを考えております。それに至らない範囲であるならば、いろいろな援助をすることはさしつかえないのじやないか、こう漠然とは考えております。     〔西村(久)委員長代理退席委員長着席
  35. 福田昌子

    福田(昌)委員 相互安全保障法の五百十六条によりますと、自由企業奨励という条項がございまして、これによりますと、日本国内産業に対しまして、いろいろなアメリカ側の相互的な立場に立つてアメリカ経済の自由な企業が許されるように解釈される点がございます。こういう日本国内におきまして、アメリカの自由な民間企業の障害となるようなものを取除き、かつこの法律によつて援助を受ける国の中で、生産制限または物価つり上げをもたらすようなカルテル及び独占的な措置が行われるような場合において、これを阻止することができるというような条項があるのでございますが、こういうような条項が、日本におきましてもこの条文通り使われるということになりますと、日本援助を受けておる国でありますから、その援助を受けておる国にアメリカのような大きな経済力を持つた国が入つて参りまして、こういう自由企業奨励というような形で日本産業にいろいろと関係して参りますと、結局日本産業アメリカドルによつて支配されることになるかもしれないということを考えなければならないと思いますが、このMSA援助というものは、この法律規定されてありますように、日本においてもこういう自由企業奨励というような条項が適用されるのでありましようか。
  36. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私どもはむしろ進んでそれを提唱しておるのであります。もちろん今の経済状態においては、昔のように全部手放しの自由ということはできませんが、一定のわくの中でできるだけ個人創意を生かして競争を健全にさせて行きたいということは、われわれは考えておるのであります。この点についてはアメリカ側主義とは何ら考え方矛盾はない、また世界に向つて自由企業自由貿易ということをわれわれは主張しておりまして、その意味で何ら矛盾はないと思つております。ただ国内産業がまだ弱体である現在において、むやみにアメリカ企業が自由に入つて来るということは、国内産業保護の上から考えなければならぬ、そういう点は考えておりますが、主義上の問題としては、できるだけ個人創意を生かして健全な競争をさせたいという方針は、われわれはぜひその方に進みたいと考えております。
  37. 福田昌子

    福田(昌)委員 では、外務大臣のお考えとしては、この五百十六条はむしろ好ましい条項である。アメリカ経済的な自由企業日本国内における奨励というのは、むしろこちらから好ましい事柄であるというような御解釈でございましたから、重ねてお伺いいたしたいのでございます。そういたしますと、日米通商航海条約でよく問題になつておりました第七条と第九条の定義でございますが、日本国内における外国銀行業務、預金、信託業務が計されている、そしてまた日本の旧株式も無制限アメリカ経済によつて買占めができるというような規定が、このMSAの捜助を受けることによつて、さらに拍車をかけられるというようなことになりまして、自由企業という言葉はまことに望ましいのでございますが、結果的に見て、日本産業日本経済が非常に脅かされるということを警戒しなければならないと思うのでございますが、日米通商航海条約におきまして最も問題となつております第七条、第九条の規定が、このMSAによつてさらに拍車をかけられる、このことに対しまして、外務大臣としてどういうお考えをお持ちであるかお伺いいたします。
  38. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 別にこれはMSAを受けることによつて拍車をかけるとかけられないとかいう問題にはならないと考えております。通商航海条約の第一の点は、銀行業務という業種については、戦争前から外国銀行に特権を認めておつたのでございます。これはやはり外資導入という点から必要であつてつていたわけでありますが、その戦争前から認めている業種を今後も認めたのであります。第二の、国内において株式等を取得することについては、御承知のように三年間はこれができないという制限をつけております。われわれの考えでは、三年間のうちには資本の再評価等も十分でき上りまして、外国の金で不当に日本産業を圧迫する心配はないというのが、一般専門家等の意見でありましたので、三年間という制限をつけてこの原則を認めたわけであります。
  39. 福田昌子

    福田(昌)委員 ただいまの問題につきまして大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
  40. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまの外務大臣答弁通り、現在のところ何ら支障ないものと認めております。
  41. 福田昌子

    福田(昌)委員 私ども何ら支障ないことを望んでいるわけでございますが、これは支障あることもあり得る問題を含んでいると思いますから、今後の運営交渉において御注意をしていただきたいと思います。  次に、やはり第五百十六条の規定になりますが、これを読んで参りますと、被援助国の労働の団体交渉機関としての自由労働組合運動の増大で強化を奨励する、そうしてこの自由企業奨励に貢献するということになつております。これは文章通り読んでおりますと、さほど心配はないように思われるのでありますが、労働組合運動の増大及び強化、ことに自由な労働組合運動の増大ということをうたつてありますが、御承知のように、アメリカでは最近マツカーシー旋風が吹きすさんでおります。そのアメリカが自由な労働組合運動、こういう言葉をつけることは、私どもといたしましては、自由な労働組合運動という名のもとにおきまして、日本の労働組合の正しい組合運動に対しても、いろいろな制限を加えて来るのではないかという心配があるのでございます。こういう点に対して政府としてはどういう御解釈をおとりになつているか承りたい。
  42. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 MSA法律は世界の各国に適用されるのでありまして、ことにいわゆるポイント・フオアの適用されるような地域においては、労働組合もまだ完全にできてない地域もたくさんあるのでございます。こういう点を考えてのことであろうと思いますが、しかしいずれにしましても、アメリカ合衆国におきまして正当に法律としてつくられたものの文面の解釈を文面ではこうなつているが実は違うのであろう、こういうような解釈をわれわれはとらないのでありまして、正当な文面の上の解釈、これがこの法律の精神であろうと考えております。
  43. 福田昌子

    福田(昌)委員 文面通り解釈するのが当然である、私どももさように解釈いたしたいと思います。そこでお尋ねいたしたいのでありますが、この形のもとからいたしまして、日本の労働組合運動を制限するような意味において、労働基準法の改正をやるというような問題は、絶対に起らない御確信をお持ちでございましようか。
  44. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 MSA援助を受けることによつて、そのような関係は全然出て参りません。
  45. 福田昌子

    福田(昌)委員 それは直接MSA援助を受することによつて起るということにはならないと思うのでありますが、間接的にその圧力が日本の労働基準法の改正にまで及ぶというようなことは、これはアメリカ本国でさえもマツカーシー旋風の吹きすさんでいるところを見ますと、当然起つて来ることが推定し得る点と思うのでございます。従いまして政府当局におきましてはそういうことを御勘案の上におきまして、労働基準法を絶対に改正しないというお考えのもとでお進みをいただきたいと思うのでございます。これからの交渉でございましようから、ここで御確答を得ることは困難でありますから希望いたしておきます。  次にお尋ねいたしたいのは、五百十六条の規定のいろいろな条項に対しましてのカントリーチーム監督でありますが、このカントリーチーム監督が今の五百十六条の規定にまで及ぶのでございましようか。
  46. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 カントリーチームは先ほど申しましたように、内政干渉にわたらないことを原則としております。こういう問題は国内できめる問題でありまして、カントリーチームとは関係ないものとわれわれは考えております。
  47. 福田昌子

    福田(昌)委員 私どももさようにありたいと思います。こういう問題にまで触れるということは内政干渉になりますから、ぜひカントリーチームはこういう問題は監督の権限外にあるという形において交渉していただきたいと思うのでございます。  次にお尋ね申し上げたいのは、このMSA援助政府が先に申しておられました、ことに第五次吉田内閣の組閣当時、その前から申しておられました東南アジアの開発計画と関連があるのでございましようか。
  48. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 MSA援助の中には、いわゆる昔申したポイント・フオアというものが入つておりまして、これが五百十一条町項の規定に該当するものとわれわれは了解いたしております。政府としては外交演説にも申しました通り、できる範囲におきましてポイント・フオアとかコロンボ・プランとかエカ・フエとかいうものと連繋を保つてアジア経済に寄与したい、こう考えておりますが、直接にMSA援助を受けることによつて、ポイント・フォアと日本とがただちに関係が出て来るという結論には達しないのでありまして、できるだけ将来そういう方向に向いたいとわれわれは考えております。
  49. 福田昌子

    福田(昌)委員 東南アジア諸国との賠償関係とは、どういう関連があるのでございましようか。
  50. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 MSAと賠償関係は全然関係はございません。賠償は賠償として、政府としては平和条約にある義務のことでもありますから、これはできるだけ忠実に実行いたしたいと考えております。
  51. 福田昌子

    福田(昌)委員 このMSA援助によりまして、日本防衛力というものは増強されますが、日本防衛関係の予算は、どういう形に今後なるのでございましようか。——では重ねて質問させていただきます。MSA援助を受けますと、いずれにいたしましても日本防衛力の増強ということはアメリカ側考えておりますし、そういう傾向が現われて来るわけでございます。二のMSA援助を受けることによりまして——忌憚なく申しますと、日本防衛予算は、この援助を受けることによつて、非常に削減されることになるのでございましようか、お尋ねをいたします。
  52. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。MSA援助を受けた場合に、保安隊に関するいわゆる経費というものは、減るのじやないかという御質問のように承りますが、このMSA援助をどういう形で受入れるかということはまだはつきりわかつておりません。その点についてのお答えはただいまいたしかねると思います。
  53. 福田昌子

    福田(昌)委員 それは当然のことでございまして、これからの交渉によるわけございますから、私のお尋ねにはつきり御答弁をいただくのは無理かと思います。金額の点もわかつておらないことでもありますし、ただ推定として防衛予算は減るとお考えになるのか、あるいはまた現状維持で行くつもりであられるのか、あるいは増加するお考えであるのか、承りたいと思います。
  54. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点につきましては、私はただいまの保安隊関係におきましては、さほどかわりはなかろうかとこう考えております。
  55. 福田昌子

    福田(昌)委員 では保安庁長官のお考えは、MSA援助をどういう形で、どれだけの金額を受けようとも、日本の国家予算の編成の上における保安隊の経費というものは現状維持であるか、あるいはまた多少増加することもあり得る、こういうお考えでございましようか。
  56. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。はつきりしたことはわかりませんが、まずわれわれの考えからいたしますと、保安庁経費は現状とそうかわりはないものと考えているわけであります。
  57. 福田昌子

    福田(昌)委員 次にお尋ねいたしたいことは、保安隊の方々はよくアメリカに留学しておられますが、保安隊の幹部がアメリカで入つておられます学校は、どういう種類の学校でございますか。
  58. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 いろいろの学校に入つております。あるいは普通の兵科学校に入つているものもありますし、あるいは通信その他の研究あるいは運輸関係の学校、一つの学校でなく各種の学校に入つているのであります。
  59. 福田昌子

    福田(昌)委員 向うの陸軍関係の学校にも入つておられますか。
  60. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 さようであります。陸軍関係の学校にも入つております。
  61. 福田昌子

    福田(昌)委員 その留学の費用はどこから出ているのですか。
  62. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 費用は旅費、滞在費等はこちらで持つております。向うのいわゆる授業料とかその他のものにつきましては、向う持ちということになつております。
  63. 福田昌子

    福田(昌)委員 保安隊の経費の中から出ているわけですか、旅費その他の費用については。
  64. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 保安庁の経費から出ております。
  65. 福田昌子

    福田(昌)委員 次に外務大臣にお尋ねさせていただきたいのでございます。日本の従来同胞でありました沖縄の帰属の問題が最近盛んに論議になつておりますが、この沖繩の日本復帰に対しまして、外務当局としてはどのような交渉を今日持たれているか、また持つたことがあるか。
  66. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 沖繩の主権が日本にあるということは決定いたしております。実際の取扱いとしては、内地と同様になつておらないのは御承知の通りでありますから、われわれとしては、しばしばアメリカ側に申入れをしたり協議をしたりいたしまして、できるだけ早くこれを内地と同じようにするという方針で話合いを続けております。
  67. 福田昌子

    福田(昌)委員 沖繩の経済開発、産業復興の問題とMSAとは関係がございますか。
  68. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私ども日本に関する分をこれから交渉するのでございますが、沖繩については、ただいまのところ考えておりません。従つて関係はないと考えております。
  69. 福田昌子

    福田(昌)委員 保安庁長官にお尋ねいたしたいのでございますけれども、例の問題の、長官の防衛五箇年計画の問題でございます。新聞には、保安隊顧問団長でありますワトソン少将がすでに持ち帰つて、至急アメリカのワシントン政府と検討したというようなことが伝えられておりましたが、アメリカに持ち帰られるような防衛五箇年計画を、なぜ日本の国会には御発表できないのであるか。
  70. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点につきましては、ワトソンがどんなものを持ち帰つたかわかりませんが、私はワトソンと会つたこともありません。この問題については存じません。従いまして、ワトソンにさようなものを渡した覚えもありません。
  71. 福田昌子

    福田(昌)委員 ワトソンに直接にお渡しにならなくても、そういうものをワトソンが手に入れようと思えばできると思いますし、すでに新聞にも出ておつたわけでありますから、当然ワトソンが承知することになると思うのであります。そういう新聞にもすでに出ておつたことを、なぜ保安庁長官は国会に発表できないのでございますか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  72. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ワトソンがはたしてそれを持ち帰つたかどうかも私は存じません。そういう確報は入つておりません。従つて、ワトソンに関する限りにおいて、私は何ら関係はないのであります。私の、新聞の伝えます何とか計画というのは、これは、自分の見当をつけるためにつくらしたものでありまして、これは庁議にかけておるものでもありません。また庁議の決定も何もしておりません。正式の案ではないということを、どうぞ御了承願います。
  73. 福田昌子

    福田(昌)委員 長官はよく男ならというお言葉をお使いになりますが、私どもは男ならという言葉に非常に封建的な意味を感じまして、ひいては女性蔑視の考え方、封建的な考え方におきまして、非常に遺憾に思つておりますが、せめてこういう場合、たとえば今問題になつております防衛五箇年計画は、長官の試案であるかどうか存じませんが、これほど問題になつている計画でございますからよく保安庁長官がお使いになつている男ならで、これこそやはり今国民要望の計画案を御提出になるのがあたりまえだろうと思います。保安庁長官はどういう意味で男ならというお言葉をお使いになつたか、この際承りたいと思います。
  74. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 いや、まことに恐縮です。男ならということは、自分ははつきりしたことを申し上げるという継ぎ言葉であります。あるいは封建的とか申されましたが、そういう意味でありますならば、私は喜んで取消すわけであります。
  75. 福田昌子

    福田(昌)委員 男ならという言葉の封建性はともかくといたしまして、今の御答弁によりますと、はつきりしたことを申し上げたいという言葉のつもりで、男ならということをお使いになつたということであります。それでありますならば、なおさら、この際はつきりなさる意味で、今御提出なすつたらいかがですか。
  76. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。私が自分の意見もまとまり、また庁議にもかけて成案を得ましたならば、これは喜んで皆様の御批判を受けたいと思います。まだ自分の意見もまとまつていないので、その意見をまとめ、そしてまた庁議にかける前提として、一つの見当をつけるためにやつたことであります。
  77. 福田昌子

    福田(昌)委員 まだまとまつてもいないし、一つの試案でもあるし、世間にも発表できないものであるというような御答弁でありますが、そういうものを新聞に御発表になるということは、男ならと言われる長官にしては、非常に軽卒だと思うのであります。私どもはこれから保安庁長官にその案の御提出をお願いすることを要求いたしておりますが、それはともかくといたしまして、私どもは、男ならというような言葉を、昭和の現代において保安庁長官ともちろう方がお使いになるということを、きわめて遺憾に思うのであります。この裏には、女ならという言葉が対句として出て参るわけでありますが、女ならどういうことをやつてもいいということになるわけでございます。ところが私ども言葉じりをつかまえるわけではありませんが、女ならむしろ、保安庁長官がなさつているようなそういうぐずついた態度、一応発表したものを引込めたり出したりして国民の疑惑を招くような態度というものは、むしろ女ならとらないと思うのであります。そういう点におきまして、こういう女なら、男ならという言葉を使うことをこの際よくお考えいただきまして、御注意いただきたいと思うのであります。そういう軽卒な言葉は、今後お使いにならないように御注意いただきたいと思います。  さらにお尋ねいたしたいのでございますが、保安庁長官の御答弁によりますと、軍隊というものと、自衛力というものが私どもにはよくわからないのでございますが、朝鮮の戦争、あれは長官のお考えにおきましては自衛力の行使でございましようか、それとも戦争でございましようか。
  78. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは国際法の関係にわたることでありますが、普通これは戦争とは言つていないようであります。これは前に外務大臣からお答えがあつた通りであります。
  79. 福田昌子

    福田(昌)委員 国際法上のお言葉は当然ですが、私は保安庁長官のお考えをお伺いしたいのでございます。
  80. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは各国とも警察力の行使と言つておるようであります。
  81. 福田昌子

    福田(昌)委員 では朝鮮のあの戦場は、警察力の行使であり、防衛力の行使の範囲と保安庁長官はお考えでございましようか。
  82. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは見方によつていろいろありましようが、しかし今申しまする通り、国際法上、これは警察力の行使ということで解釈しているようであります。
  83. 福田昌子

    福田(昌)委員 と申しますと、日本保安隊も、自衛力の行使の形において、あの程度のことはやるというふうに解釈してよろしいのでございましようか。
  84. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 申すまでもなく、日本の平和と秩序を乱すような行為に対しては、保安隊が出動することは当然であります。
  85. 福田昌子

    福田(昌)委員 朝鮮の警察力行使程度のことと申しましても、これはたいへんな程度でございますが、そういうことを日本保安隊もやるということをお認めでございますね。
  86. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 もちろん日本の平和、秩序を乱されるような事態が起りますれば、保安隊は当然出動いたします。
  87. 福田昌子

    福田(昌)委員 次は水害に関してのお尋ねでございますが、今の御答弁によりますと、朝鮮のあの悲劇的な大戦争と同じことを保安隊は任務として持つておるということになりますから、これが軍隊であることは申すまでもないことであります。しかし保安庁長官は、しよつちゆう保安隊の任務は国内の治安にあるという御説明をしておられましたが、治安という言葉からいたしますと、当然今回の水害対策等に対しても、治安維持の上から相当御活躍を願わなければならぬと思いますがこの治安維持の上において、どの程度の準備を保安隊は持つておられたか、それとこの保安隊がどれだけの活動を今回の水害対策においてなさつたかを伺いたい。
  88. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 この際少し詳細に申し上げたいと思います。もとより保安隊は保安庁法第六十六条によつて、国家の災害に際して出動する任務を持つております。それによつて北九州においては喜んで出動しております。七月一日現在において四千四百名、二日現在において五千五百名出ております。しかしてそのやつた仕事の性質を見ますと、人命救助、避難民救出、給水作業——この給水作業というのは、特に私は御理解を得たいと思いますが、どろ水をかぶつたときは清水がないのであります。しかも人の生きる上に一番必要なものは清水であります。これをいかに供給するかということに苦心をいたしました。どろ水を清水にいたす、いち早くそうといものを準備いたしまして万遺憾のないようにやつております。救出人員は約一千名に及んでおります。それから舟艇及び車両によつて人員、物資の輸送をやつております。それから死体の発掘作業、架橋作業をやつております。これはきわめて迅速果敢にやつております。それから堤防の補強作業、たき出しの補給、その他万般にわたつて保安隊は時宜に適したことをやつております。
  89. 福田昌子

    福田(昌)委員 保安隊が非常に御活躍になつたことを伺つて了といたしますが、しかし、お言葉を返すようで恐縮でございますが、その程度の救済作業でございましたならば、あえて保安隊ならずともやり得るものであると私ども考えます。たとえば今度の水害において孤立した集団部落に対しては、駐留軍の援助によつてヘリコプターで救済したというようなことが出ておりますが、もし保安庁長官がほんとうにこれを国内治安維持と大衆の生活安定のために必要なものであるとお考えであれば、ヘリコプターくらい常から用意しておきまして——水害は日本に昔からあるもので初めて起つておるものでもございませんから、当然用意がなければならないと思います。駐留軍の援助をこの際わざわざまつまでもなく、ヘリコプターによる救済くらいは保安隊でできると思いますのに、そういうことがなされていない。今伺つたのでは、まるで消防隊と同じような仕事範囲であることについてきわめて遺憾に思うのでございます。それから国内治安のために必要であるというお考えであるなら、ぜひそういう点を御勘案いただきまして、そういう災害のための備えをしていただきたいと思うのでございます。  次に御質問いたしたいのでございますが、従来の対米債務の問題は、昨日でしたか、外務大臣からの御答弁がございまして、まあ借りたものと思つておるけれども、わざわざこちらから押しかけて行つて、借金であるということをはつきりして、返さなくてもよいと思つておるという御答弁でございました。ところがこの対外債務の中でも、対米債務の中で早急に返さなければならないものがございますが、それに対してはどういう対策をおとりになりますか
  90. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 どういうものをおさしになつておるかわかりませんが、たとえば払下げ物資であるとかいろいろな種類のものがありまして、その当時額もきまり、支払いの方法もきまつておるものもあります。そういうものは約束通りに、払うわけであります。
  91. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういう払下げ物資による債務をお払いになるわけでございますが、それが日本の留学生の費用になつておるとか伺つておるのでありますが、そうでございましようか。
  92. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはよくいわれますフルブライト法案がありまして、その返還されたものを、その方面に使つておるのであります。
  93. 福田昌子

    福田(昌)委員 今後もその形において対米債務の一部を、続けて留学生の費用にお充てになることと思いますが、それはどのくらいの留学生費用になるのでございましよう。
  94. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私はその数について今ここに資料を持つておりませんから、後ほど申し上げます。
  95. 福田昌子

    福田(昌)委員 外貨の割当計画についてお尋ねいたしたいと思います。
  96. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 この四月から九月までの外貨の割当としまして、大体ドルが五億七千九百万ドル、ポンドが二億九千九百万ドル、清算勘定が三億五千一百万ドル、合計十二億二千九百万ドル考えております。
  97. 福田昌子

    福田(昌)委員 外貨の割当計画というものは、日本ドルの枯渇した貿易産業におきまして、非常に重大な問題と私ども考えるのでございますが、この外貨の割当はどの機関でしておられるのでごさいましよう。
  98. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外貨の割当は通産省で主としてやつております。しかし関係各省とよく打合せの上でやつております。
  99. 福田昌子

    福田(昌)委員 通産省でおやりになつておるその外貨の割当によりまして、日本に入つて参る輸入品を見ますと、非常にぜいたく品が多い感じがいたします。戦後の日本国民の生活は、上から下まで全般的に見まして、非常にぜいたくになつておる感じがいたしますが、この外貨の不要不急な面の使用ということも、日本国民のぜいたくを奨励しておる感じがするのでございます。私どもは外貨の割当計画は非常に慎重でなければならないと思いますが、これを慎重にする意味において、外貨の割当計画に対する特別な委員会をお持ちになる計画があるかを伺いたい。
  100. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ただいまちよつと失念しておりましたが、総理大臣を会長にして、関係閣僚が入りまして外貨審議会をつくつて慎重にやつております。それから先ほど仰せのごとく、ただいま日本の内地でいろいろぜいたくなものが使われておる、そういう意味におきまして今後は奢侈品については相当にこれを抑制して行きたいと考えております。
  101. 福田昌子

    福田(昌)委員 輸入の中で半分を占めておりますものは、着る物と食べる物でございますが、これによる浪費は相当大きいのでございます。また主食の輸入にいたしましてもただいまでは相当在庫品もありますし、決して安い値段で買入れしていない、下手な買付をやつておられますが、これに対してはむだのない買付をなさる必要があると思いますので、主食とか、着る物食べる物を中心としての買付に対する通産大臣の御見解を承りたいと思います。
  102. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいま日本の輸入といたしまして一番大きな部分を占めておりますものはやはり着る物と食べる物でございます。そこでわれわれといたしましては、その着る物と食べる物のために、原料品をたくさん入れて、外貨の五億ドル、ほとんど五〇%くらいを使つておるわけでございます。今後いろいろ世界情勢に応じまして、日本の輸出が相当困難になるだろうという見通しのもとに、一面輸出を振興いたしますと同時に、必要なもので、もしこれが代替物としてかえられるならば輸入を削減するという意味におきまして、外貨の節約をはかろうと思つております。食糧の増産とか合成繊維の増産とかいうものを極力考えて、この方面にも財政資金を投じまして、早く自給度を向上して行きたい、そして輸入をそれだけ押えまして、外貨の節約をして行きたい、こう考えて下ります。
  103. 福田昌子

    福田(昌)委員 外貨の割当、その使用の問題は、国家予算の使途と同様に重要な問題であると思いますから、通産大臣におきましてもこれを慎重にお考えいただきまして、相当な識者をもつてこの割当計画をするような委員会を早急におつくりいただきたいと思うのです。  次に一点だけお伺いいたしたいのは、通産大臣におかれましては、日本の今後の自立経済というものは、どういう形で復興して行くお考えでありますか。
  104. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。大きく抽象論で申しますれば、自立経済というものは国民生活の安定をはかることと国民所得の向上するということを第一の目標に置きまして、いろいろな施策をして行くわけでございます。今後の問題としては、日本は御承知の通りに資源の少いところでございます。資源が少いと申しましても、内地でやればできるものもございますので、先ほど申しました合成繊維のごときはむろん国産物でりつぱな衣類もできる。そういうふうにいたしまして日本の内地の自給を十分やつて行きまして、外国から入つて来る物を防ぐ。しかしそれかと申しましても、輸出貿易に必要な原材料、すなわちいろいろな産業について必要な生産財の輸入はむろんやらなければならないでありましようし、また食糧などは、増産するといたしましても幾らかはやはり入れなければならない。そういう意味においてそういう点は考えて行かなければならない。しかし要するに自立経済の目標とは何かと申しますと、われわれとしては、国民の生活が安定すると同時に国民所得が向上して行く、これを目標にしていろいろな施策を講じて行かなければならぬと思つております。
  105. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ちよつと申し上げますが、申合せの時間が過ぎておりますから……。
  106. 福田昌子

    福田(昌)委員 もう一点だけでやめます。  そういたしますと、日本の生産復興というものは国民生活の安定に寄与するものであり、結局平和産業を主として伸ばして行きたい、こういうお考えであると解釈してよろしゆうございましようか。
  107. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 むろん平和産業を伸ばすことが主でございますけれども、しかしわれわれといたしましては、輸出入貿易によつてわれわれの国民生活を向上して行かなければなりませんので、そういたしますと、もし兵器でも買手がうんとあるということになれば、これもやはりつくつて輸出する、こういうことをやつて行きたいと思います。そういう方面で、ただいま外国から注文をとつておりますが、船舶とか機械とかいうものがたくさんございますから、そういうことに努力してそういう輸出貿易を振興したい、こう考えております。
  108. 福田昌子

    福田(昌)委員 そうしますと、経団連が発表しております基本経済政策というものと通産大臣のお考えというものは、まつたく一致しておると見てよろしゆうございましようか。
  109. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。経団連は、最近取上げております大きな問題は、やはり兵器生産をやつて行きたいというような希望もあるようでございます。しかし私の考え経団連考え方と一致しておるということは、もし私が先ほど申し上げましたように、外貨すなわちドルかせぎができるという方面において必要な生産ならばこれはやつてもいい、この点は一致しておりますけれども経団連と全幅的な一致というようなことは私は考えておりません。
  110. 福田昌子

    福田(昌)委員 それでは私の質問はこれで終ります。
  111. 尾崎末吉

    尾崎委員長 小平忠君。
  112. 小平忠

    ○小平(忠)委員 外務大臣にまず最初にお伺いい、したいと思います。問題となつておりますMSA援助につきまして、今まで外務大臣が国会においでいろいろ御説明になり答弁されましたその中で、MSA援助をもしかりに日本が受けるとした場合においては、わが国のいわゆる治安の維持、さらに自衛力の強化、ひいては国民経済の発達に寄与するところがあるという観点から、受くべきであるということをこの国会を通じて説明されたと思いますが、そのように解釈してよろしゆうございましようか。
  113. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 受くべきだというところまではまだ行つておりませんが、受けたいものだと考えております。
  114. 小平忠

    ○小平(忠)委員 受けたいものであるということでありますと、私が伺つた結論とはそうかわりがないと思います。そうしますと現在わが国の保安隊というものはもつぱらわが国の治安維持のために必要であるという御説明であります。しかしわが国がかりに外国の直接侵略を受けた場合において、この保安隊が傍観するわけには参らぬ、直接侵略を受けた場合においては、国内治安維持のために設けられております保安隊といえども出動するのだということは、外務大臣も総理大臣もあるいは木村保安庁長官も言明されておるのでありますが、外務大臣もそのようにお考えでございましようか。
  115. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外国の侵略を受けた場合には、国民全部が出て行つてこれを撃退する、その一つとして保安隊も当然出て行くものだ、こう考えております。
  116. 小平忠

    ○小平(忠)委員 吉田内閣の閣僚はどうもまわりくどいことをおつしやつて国民全部というようなことやら、消防隊というようなことやら、そういうことを頭にかぶせて、最後に保安隊が出て来るのでありますが、大体の意図は、それは保安隊が指導するものと私は解釈しておるのであります。そういたしますと、具体的にMSA援助を受けた場合に、実際の保安隊の機構なり保安隊の実態について、ただいま小村保安庁長官は、保安庁の経費の面においても、そう現状と大差がないということをおつしやつていましたが、実際MSA援助を受けた場合において、保安隊の機構なり現状においてかわりないものであるかどうか、外務大の御見解を承りたいと思います。
  117. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは私は見解を述べる立場にないのでありまして、ただ閣僚の一人として見ますれば、先ほど木村保安庁長官の申されたように私も行えます。
  118. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは今までこの委員会を通じて答弁されたこととはつじつまが合わない。現にこのMSAを受けることによつて、わが国の国内の治安の問題にしろ、自衛力の問題にしろ強化されるということを言明されております。従いまして私はあえてこのことを伺つたのは、保安隊というものの性格が、現にこれは国内治安維持だけにとどまらないというようなところに問題がある。従いまして、現に外務大臣が米国とすでにMSA援助についての交渉を始めた、そういう段階において、これはきわめて重要な問題でありますから、お伺いいたしたいのでありますが、ただいま冒頭に外務大臣がおつしやつたように、MSA援助を受けるということは、わが国のいわゆる自衛力の増強あるいは治安維持の確保に寄与するという見解から見ますならば、これはまたMSAの内容をしさいに検討してみた場合においてもそうでありますが、軍事援助というように解釈できるのでありますが、その点について、外相の見解を承りたいと思います。
  119. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私ども外国の過去の例をいろいろ研究もしおります。たとえばチエコスロヴアキアの国内の暴動でありますが、これは外国の使嗾を受けた大規模の擾乱によつて、一夜にして共産化された例であります。そのときにいかなる武器を使い、いかなる方法で、一夜のうちに国内を席巻したかということも、かなり材料を持つて見ておりますが、そういうことから見ますと、国内防衛というものは、おつしやるようにそう簡単に、普通の平和のときのことを考えていては、足りない場合も多々あろうと思つております。従つて私がMSAを受けたいと思いますのは、かりに兵員の数を増すとか増さぬということは別問題といたしましても、もつとさらによく保安隊なり海上警備隊なりの能率が上るように、装備がちやんとできるようにいたしたいというのが、常に私の考え方であります。
  120. 小平忠

    ○小平(忠)委員 どうも御答弁の趣旨が明瞭でないのでありますが、さらに私は保安隊の今日の運営について、若干疑問があるのであります。と申しますのは、今日保安隊には 先ほども議論されましたように、米国の顧問団、さらにカントリーチーム、こういつたものは、行政協定のどの条項に基いてあるのか、あるいは申合せでできておりますのか、お伺いいたしたいと思います。
  121. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 行政協定には、こういうものはありません。
  122. 小平忠

    ○小平(忠)委員 いかなる根拠によりまして、保安隊の中に顧問団なり、こういつた監督というものがあるのですか。
  123. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは私の権限外のことでありますから、正確でないおそれがありますが、私の了解しておるところでは、よく保安庁長官の言われますように、今保安隊アメリカから武器を借りておる。その武器の管理者となり、また特に日本で今まで使われていないようなものについては、使用方法を教える。そういう意味でこういう人々が入つておる。こう了解しております。
  124. 小平忠

    ○小平(忠)委員 外務大臣監督外とおつしやいましたが、直接その問題について監督云々というのは違うでありましよう。しかし少くとも保安隊は、わが国の治安維持のために自主的に設けられたものである。そういう見地から、自主的にわが国自体の国内治安維持のために設けられたそういつた組織に対して、外国の軍人か、外国軍隊保安隊内部におるということについては、外務大臣としては承知されておらなければならない問題であろうと思うのであります。今外務大臣の説明ざれたように、武器の貸与を受けておるから、その武器の使用法等についての説明を聞く必要があるということだけでないと思います。もつと赤裸々におつしやつていただいた方がいいのではないかと思います。
  125. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはどうぞ保安庁長官からお聞きを願います。
  126. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それ以上追究はいたしませんが、これは後日に残しておきます。そういたしますと、関連いたしまして、この保安隊というものは、MSA援助によつて直接変化はない。こういうことは今外務大臣も、先ほど木村保安庁長官もおつしやつたのであります。そうすると、いかなる理由によつてこのMSA援助を受けるかという、具体的な問題がわからないのであります。さらに私は、このMSA援助を受けることによつて、わが国が必然的に再軍備の義務を負わされるというようなことを、非常に懸念するものであります。これはかつてこの国会が始まつた冒頭においては、いろいろ議論されましたが、現に交渉の段階に入つた今日、きわめて重要な段階でありますから、そういつた再軍備の義務、さらにひいては内政干渉というようなところまで入りはしないかという、この重要な問題について、すでに交渉を始めようとする外務大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
  127. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 政府としては、再軍備の義務などを負う意向は全然ありません。また内政干渉を許すというつもりも全然ありません。
  128. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その問題は、外務大臣答弁に若干食い違いがあると思いますが、それはまたあらためてお伺いしたいと思います。  次に、これはきわめて重要なる問題であるという観点から、先般この委員会においても外務大臣は、いわゆる協定を結ぶという場合において、国会の承認が事前であるか、あるいは事後であるか、批准を要するか要しないかの問題について——昨日わが党の今澄君の質問に対しましては、批准条項が設けられるであろうというようなことをおつしやつたのであります。そうなつて参りますと、先般の外務大臣答弁によりますと、批准条項が設けられる場合においては、国会の事後承認を受けという意図が明らかにされておるのであります。従つてそれはきわめて重要な問題でありますから、批准条項を設けられるであろうその根拠と、さらに外務大臣は、この協定の締結は、いわゆる国会の承認を事前に受けるか、あるいは事後承認の形で批准を求めるか、この見解を明瞭に願いたいと思います。
  129. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 批准条項を設けようとしておるのは、私の考えでありまして、今後交渉の結果多分そうなるであろうということを言つておるのであります。なお事前とか事後とかいうことをおつしやいましたが、それは憲法による事前とか事後の意味であるならば、またお答えのしようもありますが、ちよつと質問がはつきりいたしませんので、事前とか事後とは、何の事前であり、何の事後であるか、もう一度はつきりおつしやつていただきたいのですが……。
  130. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私の伺つておりますのは、今日の交渉段階——この交渉という問題についてはいろいろ解釈されると思うのでありますが、私の外務大臣にお伺いいたしましたのは、すなわち正式の条約の締結は、いわゆる国会の承認を得なければならない、その憲法の規定に従うところの国会の承認ということであります。
  131. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 政府はただいまのところ、これが条約になるか、協定になるか——まあ協定になるだろうと思いますが、協定も国際的に見れば、広い意味の条約の一種であります。そこで広い意味のこの条約につきましては、悪法の規定に基きまして、締結前に国会の承認を求めるつもりでおります。
  132. 小平忠

    ○小平(忠)委員 MSA問題につきましては、時間の都合もありますから大体以上にいたしておきます。  この機会に外務大臣条約の改訂問題について若干承つておきたいと思います。すでに締結されました平和条約、安保条約あるいは安保条約の成立に伴う行政協定、これらについて外務大臣はきわめて平等なる条約とお考えになるか、あるいはこれは不平等であるから改訂したいとお考えになるか、承りたいと思います。
  133. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 平和条約に関しましは、中身からいつてもこれは正しいあのであるし、国会におきましても絶対多数を得て承認をされたものでありまして、改訂する必要もないし、改訂する意思もありません。安全保障条約につきましては、これは一種の片務的の条約でありまして、アメリカ側の方では日本の安全を保障しようとしておるのに、日本側としてはアメリカの保全を保障しようといたしておりません。従つていわゆる双務的なものではありませんけれども日本の現状から見ましてはやむを得ないところでありますので、このまましばらく続けて行きたいと思つております。行政協定につきましてはいつも申します通り、刑事裁判権等につきまして、できるだけすみやかにNATO協定と同様の趣旨にいたしたい、つまりこれは改訂いたしたいと考えております。
  134. 小平忠

    ○小平(忠)委員 平和条約についての見解は、国会においての多数の賛成のもとにあれは通過したものであるとおつしやつておりますが、私はこの平和条約について根本的にやはり問題になりますのは領土問題だと思います。これは直接平和条約の条章云々、その点については明瞭になつていると思いますが、現にわが国固有の領土であります南樺太、千島あるいは琉球、小笠原等の問題でありますが、これがきわめて重要な問題として今後幾多の解決をただちにしなければならぬ。あれはとりもなおさず安保条約でもなければ、行政協定でもございません。平和条約のいわゆる基本的な重要な条章であります。こういう点について外務大臣は今日の段階、国民のこれだけの要請があるにもかかわらず、それでも平和条約はきわめて平等なるものであるとお考えになりますか。
  135. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれはポツダム宣言を受諾いたしまして、そのポツダム宣言の条項に基いて決定されたものでありまして、もちろん国民感情からすれば残念な点もありましようけれども、あの終戦当時に、東京も原子爆弾を見舞われるかもしれぬというような状況のときに、ポツダム宣言を受諾するということをはつきり日本としては言いまして、そうして戦争をやめて、そのあとで今度はポツダム宣言がけしからぬということは、国際信義上からもどうかと思うのであります。また国会において非常な多数をもつて承認されていた条約を、ただちに変更するというようなことを申すことは、これは国会の審議権からいつてもどうかと思われるのであります。政府としても、ただいまのところ、国民感情から言えば問題となる点があることは承知しておりますけれども、しかしこの条約を改訂するということを申すつもりはないのであります。
  136. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、先ほど申し上げた南樺太、千島、琉球、小笠原諸島等の領土返還について、すみやかにわが国の主権として返還を具体的に要請をされるというお考えは、外務大臣としては現在ないと解釈してさしつかえないでしようか。
  137. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 平和条約におきまして、千島とか南樺太に対しては、日本はその権利、権原等を全部放棄したのであります。しかしながら沖繩であるとか奄美大島であるとかいわゆる南西諸島等については、その主権を保持しておりますから、樺太等と南西諸島等とはおのずから性質が異なつております。南西諸島に対しては日本は主権は持つております。それをいつ実現するかというのが問題であります。これについては先ほど福田君からの御質問にもありました通り政府としてはできるだけ早くこれを内地と同様にいたすように交渉もいたし、話合いもして実現に努めております。
  138. 小平忠

    ○小平(忠)委員 外務大臣に最後にもう一点伺いたいと思います。本日の新聞紙上に、日本対フイリピンの賠償問題が、最終段階に来て好結果に進む段階になつたという報道がされております。これはきわめて重要な問題でありますので、外務大臣のこれに対する今後の考え方をこの機会にお伺いしたいと思います。
  139. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 あの報道につきましては私は根拠は知りませんが、政府としてはできるだけ早く賠償問題を解決したいと思いまして、従来からずつと話をいたしております。ことに今度戦争犯罪者の釈放、減刑等がありましたが、これは比島側の国民感情も相当緩和したからこそ大統領もこういう決定をしたのだということで、こういう機会にさらに賠償問題の解決に推進をいたしたいと思つておりますが、具体的には新聞で伝えるほどまでにはまだ話をいたしておりません。しかし今後もできるだけ早く努力をいたすつもりでおります。
  140. 小平忠

    ○小平(忠)委員 次に大蔵大臣伺います。最初に、ただいま外務大臣からもいろいろ見解を承つたのでありますが、MSA援助につきましてこれをわが国が受けるとした場合、わが国の国家財政特に国家予算に対しまして、どのような影響があるのか、これについて大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
  141. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御承知のようにまだ交渉が始まつたばかりでありまして、交渉の内容が明らかにされませんから、どういうふうにまとまるか明らかにされておりませんので、日本の財政及び予算上にどういう影響があるかということを、ただいまのところ御返事いたしかねる次第でございます。
  142. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それに関連しまして目下問題になつておるのは、昭和二十八年度本予算の防衛費でありますが、吉田内閣はかつてのように与党絶対過半数の多数ではないという現状から、改進党の動向によつて支配される点が多分にある。これは現実の問題であります。その改進党が、本日の新聞を見ますと、すでに自由党と交渉を始めるその交渉内容といたしまして、このいわゆる防衛費を二百億削減しようという案を決定いたしております。これに対して大蔵大臣は、あくまでも提出された予算案を堅持しようというのか、場合によつては与党たる自由党あるいは協力せんとする改進党の意思を参酌して、この防衛費を節減せんとする考えか、伺いたい。
  143. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 まだ改進党の案については、私は何も承知いたしておりませんし、現在の防衛費は、不成立予算よりも今度出している本予算の方で、できるだけの削減を加えておる次第でございますので、私どもとしては、ただいまのところ削減する余地はないと考えておりますが、なお考えます。
  144. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大蔵大臣の御答弁の最後に、さらに考慮したいとおつしやつておりますが、防衛費の削減について考慮するとするならば、こういう点について考慮されるか。これはもうすでに審議も総括質問を終りまして、具体的な一般質問という段階に参つておるのでありますから、そのお考え方を承りたいと思います。
  145. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつと言葉が足りませんでしたが、私し申しますのは、何か改進党の案があるならば、それを考えてみたいということを申したのでありまして、私ども現段階においては、今の保安庁経費等は削減する余地はないと存じております。
  146. 尾崎末吉

    尾崎委員長 この際お諮りいたします。理事河野一郎君が委員を辞任せられましたので、理事補欠は先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長池田正之輔君理事に指名いたします。それでは午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後四時二十九分開議
  148. 尾崎末吉

    尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。質疑を継続いたします。
  149. 川崎秀二

    ○川崎委員 私は議事進行に関する緊急質問を行いたいと思うのでありまり。去る六月二十六日、当予算委員会におきまして、武藤運十郎君より提出せられました動議に関連してであります。これは目下審議中の二十八年度総予算案に重大な関連のある事項でありまして、第一に、木村保安庁長官が過般来言明をいたしておつたところの警備五箇年計画の内容を、すみやかに当委員会に提示すべしということと、第二は保安庁二十八年度の予算に関し、当初の要求額と査定内容を、当委員会に対し、予算審議上の参考資料としてすみやかに提出されたいということであつたのであります。委員会はこの動議を採決の結果、多数をもつて可決をいたしたのでありまして、その後、この警備五箇年計画と保安庁経費の査定内容についてはすみやかに政府が回答をして、ここに参考資料として提出をしなければならぬのであります。しかるにその後一週間もたつておりながら、委員会の意思は無視されたまま何らの返答がないということは、政治上きわめて影響するところ重大であると思いますので、この間に委員長はいかなる処置をとられたか、まずもつて委員会の議決によりましたことについては、その執行は委員長に責任があると思いますので、いかなる措置をとられたか、お伺いをいたしたいと思うのであります。
  150. 尾崎末吉

    尾崎委員長 お答えいたします。去る二十六日の資料要求の決議につきましては、委員長として即日議長を経由しまして、政府に対し要求の手続をとつた次第であります。
  151. 川崎秀二

    ○川崎委員 それに対し、委員長の手元には政府から何らかの回答がありましたか。
  152. 尾崎末吉

    尾崎委員長 資料の要求の決議について、政府より提出する、またはしないということについての正式の回答はまだ伺つておりません。
  153. 川崎秀二

    ○川崎委員 これはまことに奇怪なることを承るのでありまして、いまだ正式の回答がないとするならば、政府の責任はもとより、予算委員長としても、今日予算の重大な審議をしておつて、ことにMSA問題に関連をして防衛計画の内容を知らなければ、政府が今日米国側に対して正式交渉に入らんとしておる瞬間において、まことに予算審議上重大な関係になつて来ると思うのであります。しかるに予算委員長は、政府からただ回答がない、こういうことだけで私は済まぬと思うのでありますが、もう一度明快なる御所信を承りたいと思うのであります。
  154. 尾崎末吉

    尾崎委員長 その後機会あるごとに、政府の方にはその趣旨のことは話はいたしておつたのでありますが、なおただいまの川崎君の発言に対しまして、政府の方もお聞き及びの通りでありますから、この際、政府より御発言がありましたら、伺いたいと思います。
  155. 川崎秀二

    ○川崎委員 委員長の責任をついておるのです。委員長の今までとつたことは、明らかに怠慢であると思います。しかしそれはまたこの委員会において、委員長に対しての態度をきめたいと思うのであります。  そこで関連してお伺いをいたしますが、この委員会の決議というものは、非常に重要なことであることは御承知であると思うのであります。現に憲法第六十二条には「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」とある。しこうして国会法においては第百四条に、「各議院から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」と書いてある。これは重要な箇所であります。しこうしてこのことを受けて、委員会の規定で衆議院規則第五十六条に、「委員会は、議長を経由して審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を要求することができる。」と書いてある。これらの関連において最も重大なものは、国会法第百四条に規定されたことであつて、これらの箇条は、いずれも委員会並びに議院が必要と認めたときは報告または記録の提出を求めることができると書いてあつて、しこうしてその責任も国会法第百四条に書いてあるのであります。今後どうされるかは別として、今日までのところ、もしこれに応じなければ明らかに国会法違反ということになるのであります。  そこで木村保安庁長官にお伺いをいたしたいが、政府はこの箇条を知つていて、かついかなる回答をなすものか。予算委員長からあつたところの交渉並びに委員会の決議に対してどういうお考えであるか、この際お伺いをいたしたいと思います。
  156. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。委員長から議長を経由して要求書の出ておることは、まさに拝承しておるのであります。今お尋ねの国会法の規定も私存じております。そこで慎重に考慮いたしまして、その回答をなるべくすみやかにいたしたい、こう考えておる次第であります。これまで遅延したことはまことに申訳ありませんが、早急にひとつ回答いたしたいと思います。
  157. 横路節雄

    ○横路委員 関連して。保安庁長官にお尋ねいたしますが、ただいま早急にというお話でございますが、すでに二十六日からきようまで一週間たつて、しかも二十八年度本予算の審議の重大な段階に立つておるわけでございます。そこでただいま御答弁がございました早急にとは、一体明日午前中に提出されるのか、明日午後提出されるのか。もはや一週間を経過しておる今日でございますから、期限を明らかにしていただきたいということが第一点。  さらに第二の点につきましては、ただいま川崎委員からお話がございました提出される資料につきましては、本予算委員会で決議になりまして、この委員会でお話がございました、保安庁長官から保安局長に命じてつくられたいわゆる警備計画、しかもそれはお話によりますと、六月六日吉田総理の手元まで出されておるというその内容について、それを出されるのか、それをいつお出しになるか。さらにその内容については、今私が申し上げた本予算委員会においていわゆる決議の内容になつたものをお出しになると思うのでございますが、その二つの点についてお尋ねいたします。
  158. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。第一のいわゆる計画案なるものは、これは出すべきものであるかどうかということについて、今慎重考慮いたしておる次第であります。私の考えでは、これは予算審議に関係がないものと考えておりますが、なおよく慎重に考慮して行きたい。第二の点は、これは早急に出したいと考えております。
  159. 横路節雄

    ○横路委員 重ねて保安隊長官にお尋ねいたしますが、本予算委員会で決議になりまして、予算委員長を通して議長より保安庁長官、内閣に要求されましたいわゆる警備計画につきましては、本予算委員会では、予算審議上重大なるものであるという考えに立つて決議をしたわけです。その結果に対しまして、ただいま長官は予算審議上関係がないということは、これは明らかに川崎委員からお話がありましたように、この決議に対する根本的な否定であると考えております。従つて委員会といたしましては、この決議同様あくまでも予算審議上重大なる資料であるのでぜひ出してもらいたいが、保安庁長官としては、これは予算審議上何ら関係がないからあくまでも拒否なさるというのか、その点重ねて明確にしていただきたい。拒否をなさるという上に立つて早急に回答なさるというのか。予算委員会の決議によつて委員長から議長を通して保安庁長官の要求されましたのは、その計画内容について早急に出してもらいたいということである。その早急とはもはや一週間以上たつているのであるから、一体いつなのか。この点について私はお尋ねをしているわけでございまして、ただいまの長官のように予算審議上全然無関係であるということになると、これはまつた委員会の決議に対して根本的に否定しているということになりますから重ねてお伺いいたします。
  160. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点につきましては十分考慮いたしまして、数日中に回答いたしたい、こう考えております。
  161. 横路節雄

    ○横路委員 私は保安庁長官にお尋ねいたしますが、先ほど私の前の質問に対しましては、予算審議の関係上これは別にしろ、審議上は関係がない、こういうお話でございましたが、ただいまの答弁の、いろいろひとつ考慮して、参酌してというのは一体どういうことでございますか。先ほど関係がない、こういうお話でございましたし、ただいまはいろいろ考慮してみたいと言う。この点は一体どちらがほんとうなんでありますか。その点についてあらためてはつきりしていただきたい。それから重ねて、早急にということでございますが、早急にということはきようか、あすか、あさつてかということでございまして、まさか一週間、十日というのではないと思います。そういう意味で、先ほどから何べんもお話がございますように、保安庁長官は男の中の男だそうでございますから、ひとつはつきりと期限のことは明確に言つておいていただきたい。
  162. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これはいわゆる私の考えといたしましては十分に慎重にやりたい、こう考えておる次第であります。そこでいつとは申し上げかねますが、なるべく早急に、ここ数日中に必ず回答いたしたい、こう考えます。
  163. 小平忠

    ○小平(忠)委員 関連して。きわめて重大なる発言を木村長官がされましたので、私はお伺いしたいと思いますがただいまの御答弁によりますと、二十八年度の予算にわれわれ野党が一致して(「野党じやないよ、委員会の意思だ」と呼ぶ者あり)この予算委員会のいわゆる決議であります。その要求に対して関係がないということを明瞭におつしやられたのであります。本件に関しましては、私が午前中この委員会で大蔵大臣に次のような質問をいたしました。それは目下予算の審議のさ中にありまして、特に全国民がこの保安庁経費なり、あるいは防衛費の問題なり、あるいは再軍備の問題なりいろいろ関心を持つているさ中に、改進党は、本日の新聞によれば保安庁経費二百億を削減するという案を検討中であることが発表されております。この点について大蔵大臣にお伺いいたしましたところが、大蔵大臣は、政府としては現在保安庁経費なり、あるいは防衛費の削減については考えてないが、改進党の二百億の削減については考慮しないということを私に答弁されたのであります。このことは明らかに、保安庁が大蔵省に当初要求いたしました二十八年度の予算と重要な関連があるのであります。大蔵大臣が現に考慮したい、考えてみたいという重要な問題であるにかかわらず、木村長官は関係がないということは、これはまさに予算審議の真意を曲解するもはなはだしい。あなたにそういう考え方がありますからすなわち一週間もたつても何ら回答がない。これは私は国会軽視もはなはだしいと思います。従いまして、ただいま横路君からもおつしやつたように、われわれは今まで政府の紳士的な回答を待つておりましたが、すでに一週間経過しました。従つてわれわれは予算審議をすみやかにやるという見地から、これはまじめに政府に要求しておるのでありますから、いつ出せるかという期限をこの機会に明快に御答弁を願いたい。
  164. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ごもつともです。早急に回答いたしたい、こう考えております。なるべく六日中に回答いたしたいと考えております。
  165. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま木村長官は早急にと言つて、最後に小さな声で六日中にと言われた。六日中にお出しになるならば、もつと大きな声で、例の長官の男前を発揮されてはつきり御答弁をもう一回願いたい。それはわれわれ野党は決して予算審議を遷延せしめるような考え方は毛頭持つておりません。冒頭から吉田総理の出席を願うことについても、再び暫定予算を出して国民を迷惑せしめないように、すみやかに予算の審議を終るようにわれわれは努力した。そういう意味から政府みずからがこの予算審議を遷延するようなことのないように、ただいまの点についてもう一ぺん明確に御答弁願いたい。
  166. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 六日中に回答いたしたい、こう考えます。
  167. 川崎秀二

    ○川崎委員 先ほどの私の一番最後の質問で、ちようど関連質問があつたわけですが、木村長官の答弁の中に、回答は考慮中である、続いていわく、予算審議に何ら関係のないものである、こういう御発言があつた。これは非常に重大なことであつて、予算審議に関係があればこそ、参考資料としても提出を要求しておる。この点は重大な問題でありますから、どういう意味で言われたか。二十八年度予算に直接関係のない正式書類であるという意味ならば了解しますが、それでなしに予算に何ら関係がないということならばわれわれ了承することはできない。これは重大な失言ですよ。
  168. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ごもつともです。私の言葉は足りなかつたわけです。初めのいわゆる私の試案なる計画というものは、それは二十八年度予算には何ら関係のないものであろうという気持を持つて私は言つたのです。あとの第二の点の経費の問題はむろん関係があります。これはぜひ何とか考慮したいと私は考えます。
  169. 横路節雄

    ○横路委員 保安庁長官にお尋ねいたしますが、今の保安庁長官の説明はこうですか。二十八年度予算編成にあたつて保安庁から大蔵当局に出された予算要求並びに大蔵省の査定されたものについては要求されておる。この点については二十八年度予算に関係があるからこの点は出します。但し世間で言うところの警備五箇年計画というのは、二十八年度予算に関係がないからこの点については出さない、こういうふうにただいま答弁をなすつたのですか。やはりその点については明確にしていただきたい。
  170. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点については問題がありますから、慎重に考慮いたしまして考えよう、こういうことであります。
  171. 横路節雄

    ○横路委員 保安庁長官にお尋ねいたしますが、保安庁長官が答弁されました内容について、私がせつかく善意に解釈して長官のことについて再度お尋ねすると、元へもとしてすつかりわからなくなつてしまうのです。そこで私は長官にお尋ねいたしたいのは、六日中に回答するというのは、出す、出さないということを回答するということを言われているのか、それとも本予算委員会で決議になつて、川崎委員から言われているように、予算委員長を通して議長からあなたの手元に、国会法その他によつて要求されている、大蔵官の要求された予算の要求額、大蔵省り査定、それからいわゆる自衛五箇年前画について、その内容について回答しますというのか、それとも出す、出さないを回答するというのか、その点に明らかにしていただきたい。当然川崎委員の言うように、二十六日の本予算委員会の決議に従つて二つの資料については、あなたは責任を持つて回答をしなければならぬ。出すということを回答しなければならない。その点について明らかにしていただきたい。
  172. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。その国会法に規定されておるところに該当するかしないかということについて、私は答弁いたしたのであります。これを出すとは私は言つてないのであります。これは今後十分に考慮いたして、出すべきものであれば出す、そういうことであります。
  173. 横路節雄

    ○横路委員 私は緒方副総理にお尋ねしたいと思う。ただいま保安庁長官は、この点については国会法をよく研究して出すべきものであれば出すし、国会法を研究した結果、この予算委員会の決議は不当だからこれを出さなくてもいいというのであれば出さない、その点について国会法をよく研究してから出すというようなことは、私は重大なる問題だと思う。これはただ単に保安庁長官の問題ではなしに、吉田内閣全体の問題なので、この点については総理大臣がおいでにならないので、副総理としては総理大臣がおらない間の責任者として、今の保安庁長官の説明に対してどういうようになされるか、ひとつ明確にしていただきたい。
  174. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 お答えいたします。私はいわゆる警備五箇年計画なるものについては、今まで見たことがないのであります。でありますからどういうものが出されるか知りませんが、出されるものならは出します。
  175. 横路節雄

    ○横路委員 それではもう一度緒方副総理にお尋ねします。出されるものは出しますというこうは、六月二十六日の本委員会の決議に従つて所定の手続をとつたものについては、要求された通り出しますという私たちに対する御返事でございますか。その点をひとつ明確にしていただきたい。
  176. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 いわゆる警備計画なるものは出せないようでございます。
  177. 小平忠

    ○小平(忠)委員 先ほど木村長官は、六日には必ず回答するということを御答弁されたわけであります。私はこの回答という言葉をきわめて善意に解釈した。ところが木村長官の意思は、出す出さないの問題を回答するのであつて、この委員会において議決された内容のものを出すということを明らかにされない。これは私が冒頭に申し上げたように、国会軽視もはなはだしい。なおかつ緒方副総理は、さらに出すべきものは出すし、出せないものは出せない、さらに言を加えて警備五箇年計画になるものは出せない、こういうことをおつしやられたのであります。警備五箇年計画というものがありながら出さないという権限は、緒方副総理にはないと思う。これは憲法なり国会法のどの章にも出さないという権限はないと私は思うが、その点について承りたい。
  178. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私は警備計画というものを見ておりません。よく研究をしてお答えをいたします。
  179. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま緒方副総理は、警備五箇年計画なるものは見ていないとおつしやられましたが、私はあらためて木村長官にお伺いいたします。先ほど川崎秀二君からも申されたように、この衆議院の議決をされましてからすでに一週間たつております。一週間の日数が経過している今日、一体木村長官は、この衆議院の議決に対してどのような検討をされて、そうし出てどのような結論を持つておられるか、それをひとつこの機会に明確にして、ただきたい。
  180. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 十分検討いたしております。六日中にその結論を出して御回答申し上げるというこうであります。
  181. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの木村長官の御答弁は何ら誠意がない。結局衆議院の予算委員会の決議を何ら考慮をしていないとわれわれは解釈してさしつかえない。すなわち一週間経過しておつても、何ら一歩も前進しない。なおかつ緒方副総理は、木村長官が知つておるのを総理大臣にかわるべき副総理がそれを知らないというがごときは、われわれはまつたく了解に苦しむのであります。従いまして私は、警備五箇年計画というものを出さないとおつしやられた緒方副総理の真意は、知らないから出さないのか、知つておるのだが出さないのか、それを承りたい。
  182. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私は警備五箇年計画なるものを全然見ておりません。
  183. 池田正之輔

    ○池田(正)委員 先ほど来の川崎委員その他の委員諸君と政府閣僚との間の質疑応答を聞いておりますと失言だらけで、これはこのままで行くとどこまで行つてもはてしがない。そうしてこの問題につきましては、われわれとしては先般来の各閣僚の答弁について、なお速記録をよく調査した上でさらに検討しなければならぬ点が多々あると思います。しかしわれわれは一日も早くこの重大な予算案を処理しなければならぬ責任を持つております。従つてそのためには、われわれがこの委員会において決議をして政府に要求した資料に対して、先ほど木村長官は、六日ごろまでに出すとか出さぬとかあいまいなお言葉でもつて答弁があつたようでありますけれども、これではわれわれは承知できない。従つてわれわれはあらためてこの前の決議に基いてさらにこの際この決議を再確認し、少くとも月曜日までに、必ず政府がこの委員会の決議を尊重して、資料を提出するということを要求いたします。それを動議として提出いたします。
  184. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいまの池田正之輔君の動議に対して採決いたします。池田君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  185. 尾崎末吉

    尾崎委員長 起立多数。よつて池田君の動議は可決されました。  小平忠君。
  186. 小平忠

    ○小平(忠)委員 午前に引続きまして大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。  ただいまの木村長官のいわゆる警備計画なり、あるいは保安庁経費に対して、御承知のような、きわめて責任のない御答弁があつたのでありますが、午前中の大蔵大臣の御答弁の中で防衛費並びに保安庁経費の節減については、今や国民の輿論となつております。午前中の大臣の答弁では、最後に考慮されるとおつしやられたのは、政府が二十八年度の本予算の保安庁経費なり、いわゆる防衛費の削減について考慮するという見解でありますか。あるいは改進党が考えております二百億の削減案について考慮されるというのか、その点を明確にもう一度お伺いします。
  187. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 小平さんにお答えいたします。誤解のないように申し上げておきますが、私は改進党の案をまだ正式によく見ておりませんから、それは考えてみますということであります。なお保安庁経費は、今日のところ、私どもは今度の本予算において百億余を、いわゆる次年度へ国庫負担契約を残しておるほかに、十数億を削つておるのでありまして、この予算は削減する余地なしということは先刻申し上げた通りであります。
  188. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点で明瞭にわかりましたから、次に私は、わが国経済の最も基本的な重要問題として、食糧問題の解決がきわめて重要であろうと思うのであります。吉田内閣の長い間の食糧政策というものは、私からあえて申し上げるまでもなく、国民の輿論であります食糧増産の意欲というものはむしろ減退し、輸入食糧というものは何ら減らない。そうして外国から高い食糧を輸入する、依然として輸入食糧によるところの政策をとつておるのでありますが、わが国国民経済の最も大きな根幹となすべき、また国民生活の安定の点から見ても最も重要でありますこの食糧問題について、二十八年度予算編成においてどのような考え方を持つてこれをやられたか。また今後こういう考え方で食糧問題の解決に臨よれようとするのか、まずその点を承りたいのであります。
  189. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 食糧問題が日本の現状から見て、また民生安定の上から見ても、あるいは国際収支のバランスの上から見ましても必要であることにつきましては、小平さん仰せの通りに、私どもも強く感じている一人であります。しかしこの増産計画というものにつきましては、私どもは前年度に比べまして相当増額しましたことは、  お手元にある数字でおわかりが願えることと思うのであります。しかし私か食糧増産について考えておることは、これは最も有効にこの予算を使うかということなんでありまして、いたずらに額がふえるということのみが食糧増産にならないということは、昨日も申し上げた通りであります。従いまして私どもは、食糧増産に対する熱意は人後に落ちず持つておりますが、しかし予算が日本の財政上とにらみ合せて、かつこの予算の執行が最も食糧増産に役立つよう配分使用されることなりと考えております。
  190. 小平忠

    ○小平(忠)委員 会糧問題の解決は、ただいま大蔵大臣の御答弁の要旨をもつてしますれば、国家予算を最も有効に使うべきである、こうおつしやられたのでございます。私はこの問題について、しからば吉田内閣がこの食糧増産のために最も有効に国費を使つておるかと申しますと、私はそうでないと申し上げたい。具体的に申し上げますならば、例の食糧増産五箇年計画というものを、吉田内閣が廣川農相時代に打出して、一体本年度幾ら食糧増産費が増額されておるかといいますと、前年度は四百二億七千万円、本年度は四日九十三億八千万円で、わずか九十一億しかふえていない。これは実質的に増額でなくて、食糧増産費に従来の科目整理をやつたという見地からこういう数字が出ているのであつて、決して良種増産については政府は有効的にその経費を使つていない。有効的に経費を使うのでありますれば——二十八年反の輸入食糧計画を見ますと、驚くなかれ外国食糧に千四百七億円という厖大な国費を投入しようとしております。この輸入食糧の価格は、御承知のように、一番高いものは、日本に打つて来まして着レールで換算をいたしまして、一石当り一万三千円、一石当り一万三千円という食糧は非常に高い食糧であります。こういう食糧政策をとつておるのでありますが、これで一体小笠原大蔵大臣は、ただいま御答弁されたように、有効に使うという趣旨には、この二十八年度の予算編成は当つていないと思うのでありますが、いかがでございますか。
  191. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 少い予算のうちで九十数億円を増額いたしておることは、予算配分上私は食糧増産に重きを置いたゆえんなりと考えております。もちろん十分と申し上げることは——これは小平君御承知の通りであります。しからばなぜそういう輸入を多くするかという問題でありますが、これは米と麦について申しますと、前年より若干輸入石数が減つております。特に麦の方は、私の記憶に誤りがなければ、三十万トンくらい前年度は本年度よりよけい入れていると記憶しております。従いまして日本の増産計画に伴つて、年々これを少くして参りたいと考えておるのでありまして、千四百億円も使つているが、それをなぜ一気にやめないかと仰せになりましても、これは現在の日本の食糧需給の関係で、漸次減少する方へ持つて参るより以外に道がなかろう。これがやはり食糧につきましても、多角的なまた年次的な計画のもとに増産計画を立てるのやむを得ぬ理由であると存じておるのであります。
  192. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの御答弁によりますと、輸入食糧の金額というものは、非常にむだな金であるけれども、食糧が足りない。問題は増産をしなければならない、増産を相考慮しながら輸入食糧を逐次減らすということをしなければならぬということでありますが、そういたしますと、やはり食糧の増産という見地から、土地改良、開拓等を積極的にやれということだと思うのであります。そういうことになりますと、わが国の土地改良なり開拓を今後推進をするという面を具体的に考えて参りますときに、今回の西日本あるいは北九州の風水害、水害の被害は甚大であります。さらに先般の凍霜害といつた面から——政府は食糧増産、食糧増産ということに意を用いられておりますけれども、こういつた年々の災害の及ぼす影響はきわめて大であります。幸いに東北、北海道地方は比較的この定期台風を、終戦後においてはのがれるという非常に好結果にある地域であります。特に戦後の開拓計画は、百五十万町歩のうち北海道が八十五万町歩という、本州、四国、九州地帯よりも二倍以上の開拓計画を立てて推進しておる。こういうように食糧増産の見地から国策として北海道の総合開発を推進されておるのでありますが、私は具体的に北海道総合開発について、吉田内閣の今日までとられて来た施策については了とする点はあるのでありますが、しかし当初北海道開発法を制定され、またその予算の組み方等について当初の考え方から見ると、最近その積極性が欠けておるように思うのでありますが、大蔵大臣の所見を伺いたい。
  193. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 仰せの通り、東北北海道方面で最近食糧増産が非常に積極的に進みつつあることは大いに喜ぶべきことであると思うのであります。予算措置についてお話がありましたが、北海道の方について申しますと、他の方よりは少し割よくお出ししておるのであります。これは私が調べたものによりますと、二十八年をごらん願いましても、かりに北海道と内地と区別いたしますと、内地一般の方は、公共事業費あるいは食糧増産対策費がそれぞれ一割二分ぐらいでありますが、それに反して北海道に対する公共事業費、食糧増産対策費は一割三分六厘になつておりまして、その点から申しますと、北海道の豊富な資源と、将来開発さるべき土地が多い。こういう面に重きを置いて、予算措置としては多くとつてあると思います。もつとも増産対策費が四十八億七千五百万円ですか、これが十分であるとは申し上げませんが、今の予算配分としては、政府としてなし得る最善を尽しておる。こういうふうに考えておる次第であります。
  194. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私はただいま大蔵大臣から吉田内閣の基本的な考え方を承つたような感じがするのであります。北海道の総合開発をそのようなお考え方のもとに政府が行われたならば、まつたく今後は単なる空理空論に終つて遅々として進まないわけです。といいますことは、公共事業費、食糧増産費が、本州、四国、九州に比較して、北海道のパーセンテージが上つておるのだと言われるが、それは一割二分と一割三分六厘、わずか一分六厘の開きです。こういうような見解で一体北海道開発法をおつくりになつたり、北海道の未開発資源を開発しようとお思いになるのでありましようか。私は断じてそうではないと思います。日本は敗戦によつてすべての外地を失つて、現在日本がきわめて資源の乏しい国としまして、地下資源にしましても、あるいは農林水産物、あるいは電源の開発にしましても、日本全体の約四六%から四七%は北海道にあるといわれておる。この北海道の資源の開発をしようということで、北海道開発法を制定せられ、予算の裏づけ等をせられるということからいたしまして、そういう本州、四国、九州等府県の比率の問題ではない。国家が国策として国土の開発、未開発資源の開発という見地から、予算措置においても、今日そのような比率の対照でなく別わくをもつて、北海道の開発を雄大なる構想でやつたり、あるいはかつて満州、朝鮮、台湾を開拓したような構想のもとにやらなければならぬというふうに私は考えますが、幸い北海道開発庁長官であります戸塚大臣が見えておられますから、この際大臣の御意見を伺つておきたいと思います。
  195. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 先ほど大蔵大臣が本州地方との比較で申し上げたことはごもつともだと思いますが、ただ北海道開発庁を設けた趣旨は、ただいま小平君が仰せのように、北海道を開発するというのではなくて、北海道を日本のために開かなければいかぬ。日本のために役立たさなければならぬというのが、この開発庁がつくられ、開発法が制定せられた趣旨である、私はかように考えております。しかしただ現在の財政状況でそういう意味であるから、そのうち北海道に特別にたくさん持つて行かなければならぬという結論までは、ただちには到達し得ないと思いますが、ただ北海道の開発としては特殊の考え方をもつて、ほんとうに国策として、日本全体のために北海道を役立たせて行くことには、私も常に腐心をいたしているところでありますので、今後この北海道開発庁設置の趣旨に十分沿つて参りたい、かように考えております。
  196. 小平忠

    ○小平(忠)委員 戸塚長官の基本的な線は了とできます。しからばその主管大臣として、今後そういう国家的見地から国のために北海道の開発をやるという考え方を、やはり具体的に現わしますためには、問題は予算的措置になつて参ります。二十八年度の予算の実際の内容を見ますと——これは二十六年八月に法律規定されております北海道開発審議会が、政府に答申いたしましたが、まつたくその答申の何分の一しか要求が達せられていないという現状であります。一体この開発審議会の答申というものは、そのような権威のないものでありましようか。具体的にしからば予算措置は現在わが国が公共事業費なり、あるいは食糧増産費等全部合せまして百四十七億程度のものでありますが、審議会が答申いたしております額は、少くとも年間五百億くらいの、いわゆる開発費を投ずるというのが、国のあらゆる多くの権威者を網羅した審議会において決定された答申でありますが、これに対して吉田内閣が実際に受入れられていないというのが現状であります。これに対して具体的に、そういつた方面についていかようにお考えになつておられるかお伺いいたします。
  197. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 お答えいたします。北海道開発庁設置の趣旨は、先ほど申し上げたように、私も考えているのでありますが、しからば開発審議会で答申をした額に伴う予算のとり方があまりに少い。これは財政上の事情等もあつて相当困難であつたことと思いますが、まだ今後国全体のバランスの上からももちろんこの予算というものは考えなければなりません。ただ北海道そのものについてもう少し検討を加えて行つて、あるいは財源の措置をするということもまだ考える余地があるのではないか、そういうことも私室は考えているのでありますが、いまだここではつきりと申し上げる段階にまで参つておりません。なお、あるいは田の予算の建前として、北海道の開発予算を特別な扱いをするということもできないことはないのではないかと考えられますが、いま少し研究の期間を置かせていただきたい、かように考えます。
  198. 小平忠

    ○小平(忠)委員 この問題につきまして、最後に大蔵大臣にその所見のほどを伺いたいのでありますが、ただいま戸塚開発庁長官はその具体的な予算の編成やあるいは方法についてもつと検討してみたいとおつしやられたのであります。これは現在予算の編成は大蔵省がやつているのでありまして、特に主務大臣という見地から、この北海道総合開発の基本的な考え方さえ出て参りますれば、予算の編成はいわゆる事務的な、技術的な操作であります。それは今日財政法なりあるいは法律に示されている範囲内における操作上の問題であります。私がなぜこのことを申し上げるかというと、大蔵大臣が本州対北海道の比率を申されたからであつて、そういう考え方ではいつまでも本州対北海道の扱いになつてできないという見地から、これは国策として別わくにそういう考え方を——かつて朝鮮や台湾、満州を開拓したような考え方で、まずやるのだという方針さえきまるならば、おのずからこの予算措置というものはきまつて来ると思うのでありますが、この点について最後に一点お伺いしておきたいと思います。
  199. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私どももこの北海道の開発というのに非常に重きを置いておりますが、これを予算上別わくにするというような考えを現在持つておりません。ただ御承知のごとく、現在公共事業費あるいは食糧増産対策費のうちでも、土地改良とか開拓事業の分は、含めまして、それを一括して実は北海道開発庁の所管に入れて、そのうちの予算の実行方を、あるいは河川とか、道路とか、開拓とかいろいろ事業がわかれるものですから、各省別にいたしておるのであります。それでこれはどうしても国全体としての総合性を一つ考えなければなりませんし、また河川とか、道路とか、あるいは開拓、そういつたものの権衡といいますか、またそれに対する総合的な問題も考えなければなりませんので、ただいまのところは、私どもは今やつておる北海道の開発庁の関係に入れて、逐次その実行方について各省へ分割する、こういうやり方が一番実際に適しておるのではないか、かように考えておる次第であります。
  200. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの問題については、根本的に私が考えております構想とは、少し考え方が違うのでありまして、これはまた後日の機会によくお伺いをしたいと思います。  次に、これは本年度予算の審議にあたりまして重要な点でありますが、今や全国の農村においても、都市においても、あるいは炭鉱においても、各種の、多くの協同組合組織があるのでありますが、先般の公聴会におきましても、きわめて公平な立場にある朝日新聞の論説委員であります土屋さんの御意見を承つたのでありますが、営利を目的とする会社に対する課税方式と、それから営利を目的としない協同組合に対する課税とは、今日まつたく同一の取扱いをされておるのであります。かつて戦時中においても、戦前においても——戦前においては特に協同組合に対しては免税措置をとつた。戦時中は、特に戦時中という臨時立法で、特別法人税というものが課せられておる。これは戦争が済んだならば、ただちに復元して免除されるのが建前だろうと思うのであります。ところがそういう戦時中に特別法人税という制度をとつて軽減しておつた措置よりも、今日においてはもつと過重なる措置をとつておられるのでありますが、各種協同組合に対しまして、法人税というものを免除するお考えはあるかないか、お伺いしたいのであります。
  201. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 協同組合の育成は非常に望ましいことでありますが、しかし小平さんも御承知のごとく、いろいろ中小商工業者との間に、以前相当問題があつたことは、御記憶のことと思うのであります。しかし私どもとしては、一方そういう法人とちよつと違いまして、税率も三五%に引下げておりますし、また事業分量に応じます分配金の損金歳入というものを認めております。さらに中間申告の手続を省略する。こういつたような措置も講じておりますので、従つて協同組合の法人税負担は、一般の法人に比べれば非常に軽減されておる——非常にという言葉はちよつと取消します。相当軽減されておる、かように考えますので、ただいまのところ、これを全免するというような考え方は実は持つておりません。
  202. 小平忠

    ○小平(忠)委員 非常に減免ということを最後はお取消しになつて、相当額減免されていると言われましたが、されていないのであります。私は具体的な資料をひとついただきたい。今日まつたく営利を目的としない協同組合に対するこういつた措置というものは、私はまことに了解に苦しむのであります。従いましてただいまの大蔵大臣考え方をぜひ改めまして、このような中小生産者の大衆組織であります協同組合に対しましては、法人税免除の措置をぜひ——本年度間に合わなければ、これからひとつ二十九年度予算の編成に入るのでありましようから、政府みずからが法改正を行い、予算措置もとつてもらいたい、こう思うのであります。  次に、これは前の池田大蔵大臣の当時から私は強く主張いたしている点でありますが、北陸、東北、北海道のいわゆる寒冷地帯におきまする所得税に対する特別控除でありますが、これは全然雪が降らなくて暖かい地方と、東北、北海道のごとき雪が降つて石炭も使わなければならない、さらに被服あるいは住宅、そういつた点から見て実に環境が違うのであります。そういう意味で、私は実際に石炭手当あるいはその他の地域給等の問題について、積雪地以外と同じ取扱いというのは非常に矛盾があると思う。そういう見地から、燃料費、さらに被服費、あるいは住宅費、こういつた面において、勤労者以外の中小商工業者あるいは農民に対しましても、所得税に対する寒冷地における特別控除を、ぜひ政府がみずから法制化し、予算措置をとつてもらいたい、こう思うのでありますが、いかがでありますか。
  203. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 小平さんにさつきちよつと申し上げましたが、やはり普通に四二の法人税が三五になつておりますし、あるいは普通法人が利益に算入される分配金が損失と認められている。こういうふうになつておりますので、これらの点、私は非常にという言葉はさつきも取消しましたが、相当な軽減になつていることは御了承願えることと思うのであります。  次に今仰せになりました積雪寒冷地…とかいうことについての問題でございますが、これは所得税の査定その他の場合に相当軽減の措置がとつてあるのでありまして、ただいまのところそれが十分であるか十分でないか、その程度はよくわかりませんが、そういう措置は従来とも講じてあるのでありますが、お話の次第もございますので、なおよくこの点は実情に合うように研究してみたいと存じます。
  204. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これは池田大蔵大臣の当時から研究するするとおつしやいまして、遂に結論を得なかつたのであります。今度はぜひ研究を早急にしていただきまして、これは非常にむずかしい問題でありまして、職業別とか地別、環境別といろいろありますが、非常に実際に困つておる問題でありますから、御考慮いただきたい。  次に、給与ベースと地域給の問題でありますが、本件は昨日横路君の質問に対して、淺井人事院総裁からいろいろ具体的な御答弁があつたのであります。淺井人事院総裁の御答弁によりますと、なるべくすみやかに給与改訂の勧告をいたしたい、こう言つておられるのであります。その期限については、明確におつしやらなかつたのでありますが、最も近い機会、急速にとおつしやつておるのでありますから、すみやかに出してもらえるものと期待いたしております。その勧告があつた際、もちろんこの予算にも影響して参ります。その勧告があつた際、大蔵大臣はどのような処置をとられますか、お伺いしたい。
  205. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 地域差の問題等につきましては、勧告がありますれば十分考えてみたいと思つおります。私どもも率直にこれを申し上げまして、大分食糧事情等もかわつてつておりますし、生活その他の面から見て、そう著しく都市と農村、あるいは大都市と中小都市との間に、開れがだんだんなくなつてなくなつているように思います。従いましてだんだんと、少くも地域差のごときものはせばめらるべきものと思います。また漸次なくさるべきものではないか。かように考えておりますが、これがどういうふうに勧告をされますか。またその勧告の模様によつて、財政上の措置がとり得るかどうかという問題もございますので。ただ私は率直な感じを申し上げますれば、今お話通りだんだんと地域差のごときものは実際にはせばめて、またしまいにはなしくて行くべさものであろう。かように考えている次第であります。
  206. 小平忠

    ○小平(忠)委員 おもに地域給の問題については御答弁があつたようでありますが、私は給与の基本的ら点について伺つたのであります。浅井人事院総裁も、昨日はベース改訂をするがどうかという点で、御勧告をすることを明言された。これは非常に大きな問題です。その勧告があつた政府にどういう処置をとられるかということを伺つたのであります。
  207. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これば勧告がありました場合に考究し研究してみますが、私どもが実は調べているところによりますと、昨年十一月を一〇〇に考えると、あるいはCPIでもCPSでもいいが、CPSのごときはむしろ九十何点かに下つているような実情でもあります。ただ民間の給与が三月ごろの分を見ると、ちようどきのう浅井総裁が話されたと思うが、一割二分ほど——一〇〇と見たも一のが百十二、三パーセントまで上つたものもありますが、しかしこれが常の例になるかどうかということは、まだ私ども十分検討する余地があると思います。しかしそれらのことを離れまして、財政上の点から特にこの点は考慮してみる。こういうふうに考えている次第であります。
  208. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、二十八年度の予算補正をなされるお考えがありますか。
  209. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまのところは予算の補正をなす考えは持つておりません。
  210. 小平忠

    ○小平(忠)委員 次に法務総裁にお尋ねします。最近選挙違反の問題について、とかく政治的な観点から実際にはこれに対する検挙なり取調べがなされているのですが、もし地方において、そういつた政治的な意図のもとに、選挙違反に対する検挙なり取調べが行われておつた際に、これに対して法務総裁はどのような処置をなされておりますか。
  211. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。私は選挙違反に関しまして党派のいかんで手心をしておりません。それは大体各党の方々におわかり願つているかと思つております。第一線のものが多いことでありますから、具体的に事実をおつしやつてくださいますれば、改めるところはさつそく改めます。また数多い検察官あるいは警察官の中には、私が訓令をした内容からはみ出ないとも限らないのでありまして、それについては具体的な御教示をむしろ進んでお受けいたしたい。
  212. 小平忠

    ○小平(忠)委員 具体的な問題に入りますと、いついつさしつかえがあるかとも思いますので、それは差控えたい。事実そういう問題が全国に多いと思うが、そういう問題は摘発とか投書とかがあつた場合になされるのか。そうでなく法務総裁御みずから部下の者に指揮督励されてやるのか。そういつた政治的な意図のもとには検挙なり調査等をなされない具体的措置が、もしされているとすれば、どういう方法でされているかを承りたい。
  213. 犬養健

    犬養国務大臣 まず総選挙に臨むに際しまして、厳格に党派のいかんによつて取締りを左右してはならぬということを言つてございます。それから第一線の者が選挙違反の摘発の件数が多いと成績がいいという観念を持つてはいけませんので、件数主義を全廃するということを申しております。それから違挙違反というものはなかなかこれは微妙なものでございますから、なかなか実際むずかしいことでございますけれども、できるだけ良識をもつて扱え、こういうことを言つてあります。しかし数多い第一線のことでございますからできるだけ、私は国会の食堂だの廊下などで、どうも行き過ぎだというお話伺いますと、その日のうちに出先にその内容をもう一度調べさしております。できるだけのことをしておりますが、そういう意味で、私の気持はさようでございますから、どうか何かの方法で具体的事実をお知らせいただきますならば、今後の戒めの標準にもなろう、むしろ個々の事実を伺うことを望んでいるような次第でございます。
  214. 八百板正

    ○八百板委員 関連して法務総裁にちよつとお伺いしたいのですが、この前選挙違反の問題で、閣僚の中になはなましい選挙違反の現役がおられるということは、吉田内閣の方針にふさわしくないではないか、そういう人は早く首を切つたらいいじやないかという話をしましたところが、吉田さんはそのときにこういうことを言われました。そういう選挙違反の事実はあるが、非常に重大な仕事についている人なので、これに選挙違反の責めを負わせるということは、慎重に考えているのである、こういうようなことを総理大臣が言われたのでありますが、速記録を見ないというと、正確な言葉の表現は食い違いますが、意味はその通りであります。そういうような方針を総理大臣は言明せられたのでありますが、そういう方針が法務総裁の方にも伝えられて、そういう方針でものを処理されておられるのかどうか、これを一つちよつとこの際に伺つておきたいと思います。
  215. 犬養健

    犬養国務大臣 八百板さんにお答えいたしますが、ただいまのお尋ねのお言葉の内容がちよつとはかりかねることがあるのでありますが、私の職務といたしましては、違法行為を摘発するということでありまして、事いやしくも違法行為に関することは、厳正にやつているわけでございます。総理大臣がどういうふうに言われましたか、この予算委員会で言われたなら、私おつたかどうか覚えておりませんが、おそらく総理大臣の言われた内容は、本人に選挙違反の事実が及んでいるにかかわらず役目が重大であるから、といとりでなくして、本人を選挙で、かついでいるフアンといいますか。あるいは運動員の中に違反事実があるけれども、本人に及んでいるという事実もまだないし、かたかた重要な責めに任じているので、今のところ、かえる気ははい、こう言われたのじやないか。本人に及んでいるけれども役目が重大だから首切る必要がない、と言われたようには覚えておりませんが、さらに御質問を受けます。
  216. 小平忠

    ○小平(忠)委員 選挙違反に対する法務総裁の大体の考え方はわかりましたが、これはやはり非常に広範囲にわたりましていろいろむずかしい問題があるので、時間もありませんから他の機会にしたいと思います。  それと関連して、実にこれは選挙違反ではないのでありますが、たまたま農林大臣がお見えになつておりますから伺いますが、北海道十勝の芽室村に、農林大臣の直接の部下であります食糧検査員が食糧検査をする際に、雑穀の豆をいわゆるさしでとります、これをさし豆という、このさし豆が何千俵、何万俵とありまして、相当の数になる。しかし寒村僻地においては、今日食糧庁の食糧事務所の検査員に対しましては、何ら石炭手当もあるいは時間外勤務手当もありません。非常に薄給で、農村でもその町でも同情いたしまして、そのさし豆の一部を、申合せしまして農業協同組合なり町村役場がそれを実際に寄付しておる。これは今日では公然の秘密というか、そういうことになつております。この問題に対しまして、突如として検察当局が芽室町の全検査員を検挙いたしまして、さらに実際に検査を受けた農業協同組合の関係の人なり、あるいは農家が一斉検挙によつてとても困つておるという事件があるのであります。この問題について、農林大臣は御存じかどうか、さらに法法務大臣はこういう問題は実際に収賄事件として検挙しているのかどうか。これは非常に大きな問題として、地元の新聞は三段に取扱つております。新聞の論調はきわめて同情しております。両大臣の御所見をこの機会に承つておきたいと思います。
  217. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。ただいまお尋ねの北海道食糧事務所帯広支所の検査官数名が、ただいまお話のような職務環境のもとで、非常に農家の便宜をはかつて深夜作業までして検査した。それに対して農家の方々が非常に感謝の気持をもつて、それに感謝の気持を贈つたといこうとであります。確かに食糧庁で調べておりますところでも現金を収受しているといと事実があるのであります。本人たちはそのことを非常に非をさとりまして、辞職願を出して来ております。そこでこの取折につきましては、そういう職務環境のもとに行われたとは申しますものの、まさしく公務員としてあるべきことではございませんので、司法当局の取調べの推移に従いまして処置をしなければならぬと考えております。しかしその結果農産物の出まわり期にあたりまして、農産物検査に支障を起さないようには十分手配をしておるつもりでございます。
  218. 犬養健

    犬養国務大臣 小平さんにお答えいたします。御指摘の問題をちよつと耳にいたしまして、実は報を関係告方面から求めてあります。これを私どもが扱つておる考え方を率直に申し上げてみたいと思います。冒頭に申し上げますが、事件全体を通じて、今のようなお話でありましよう、情状酌量の余地は確かにあるという考え方で事件を取扱つておりますが、検察庁の立場から申しますと、犯罪の成立については、どうも疑いないという態度で今調べておる次第でございます。  次に、御承知と思いますが、私の方の承知しておる事実を申し上げますと、国警の北海道釧路方面隊の帯広地区警察署において、釧路地方検察庁帯広支部と連絡の上、三月十五日から三月二十七日の間に北海道食糧事務所の帯広支所芽室出張所の職員十二名、おつしやる通りであります。贈賄者側四名を取調べの上、三月二十七日釧路地検帯広支部に事件を送致したこういう事件でございます。事件内容とししまては、農林大臣も今触れられたことでありますが、この検査官たちが農産物検査に関して、農業関係者から寛大な取扱いをしてもらいたい旨の請託を受けて、現金四十六万余円を収賄した、こういうことになつているのでございます。なお本件の捜査につきましては、事件関係者の地位とか職掌などを考えまして、慎重な捜査をいたしたのでございまして、たとえば贈賄者、農業共済組合の大金一三氏という人に対しては、三月十八日の午前十時に逮捕令状によつて逮捕しましたが、取調べの結果事情が明瞭になりましたので、同じ日の四時に釈放しておるようなわけであります。また収賄着たる検査官の平田俊夫氏に対しては逮捕令状が発付せられたのでありますが、同氏の奥さんが病気であるということなので、家庭の事情なども考えまして身柄を拘束せずに任意で取調べた。一例を申し上げますと大体今のお話のような情状酌量をしたことでありましよう、ほかの事案に比較してみますと、割合に寛大な気持でやつておるのではないかと思います。今伺いますと、一種の習慣になつておるということでございますが、その習慣ということがどのくらいわれわれが頭に入れていいか、明日もう一度十分私の手元において調べ直させます。それから新聞で同情的であるということも私聞いております。できましたらその新聞を拝借しまして、取調べの参考にいたしたいと思います。この事案は明瞭になり次第、さらにお知らせする機会をつくりたいと思います。
  219. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま両大臣の御答弁があつたわけでありますが、この問題は、事件そのものは大きな事件でありませんけれども、ただいまの両大臣の御答弁によりますと、及ぼす影響は、これは北海道だけでなく全国的な大きな問題だろうと思います。今日食糧検査員が不足であることは事実、それから実際出まわり期においてはほんとうに深夜作業をしておる。こういう現状について、少くとも国の職員が何らそういう手当を受けていないということについても考えなければなりませんし、それから実際に法に照してい違反は違反であるというところから、検察当局がそういうものに対しては検挙をするということについては了といたしますが、実際問題としてさし豆、さし米、こういつたものを実際に公の機関でありますところの町村役場とか、農業協同組合がその地方の食糧事務所なりと公的に打合せをいたしまして、そしてそういうものを実際に支給をしておる。そういう問題までが違反となるということになると、この事件は芽室だけでありません。これと同様な取扱いが——これは北海道の農業団体と話し合つておりますから、全道的であります。全部この問題にひつかかると思います。ですから農林大臣におかれましても直接あなたの部下ですから、法務大臣もひとつ十分に取調べて、これは御回答をいただきたいと思うわけであります。  次に農林大臣にお伺いいたしますが、先ほど大蔵大臣の食糧政策に対する基本的な考え方を承りました。私は今日の食糧問題の一番の問題点は、輸入食糧とそれから食糧増産にあろうかと思うのであります。歴代の吉田内閣が今日依然として年間約一千四百億円以上の輸入食糧を仰がなければならぬという、この輸入食糧これは政府が自主的に足りないからといつて外国から貝つておるものであるか、それとも押しつけられておるものであるか、これをひとつまず農林大臣から承りたい。
  220. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。自主的にか、押しつけられてかとおつしやいますが、大体食糧需給の見込みをつけまして、年間の国内食糧を確保いたした上にどれだけ足りないか、そり足りない分についてできるだけ外地食糧でもつて行かなければならぬ。そり輸入計画のもとに輸入をいたしておるわけでありまして、これはまつたく自主的にいたしておるわけでもあります。
  221. 小平忠

    ○小平(忠)委員 政府が自主的に輸入をしているものとするならば、きわめて了解に苦しむ点があるのであります。一千四百七十億という厖大な輸入食糧のうち、その多くはいわゆる外米であります。その外米の輸入先国別を見ましても、非常に今日輸入食糧の価格が、食管特別会計において大きな負担となつているということは、そこにあろうと思います。自主的にとおつしやいますが、しからば今日わが国の大麦なり小麦なりが、国内で一体足りないのでありましようか。大麦なり小麦は輸入しなくても余つておりますにもかかわらず、大麦や小麦を輸入するということはどういうわけですか。
  222. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたしますが、大体ただいまの管理制度のもとにおきまして、現行配給量を確保して参りますのは、配給の食糧として三千二百六十万石くらい、その他加工米を合せまして三千四百六十万石見当が、大体今日の米の配給制度のもとにおきます年間の需要量であります。御承知のように、農家から供出をしていただく二十七年産米については、あるいは特別集荷というような方法まで講じましても、二千八百万石に満たないという状態であります。従いまして、本年度の配給食糧を確保して行く上から行きましても、大体三千四百六十万石の米をどうしても確保しなければならぬ。今年度の作況いかんにもよりますけれども、いずれにいたしましても六百万石以上の不足を生ずるわけであります。これはもちろん米だけでなしにすればよろしゆうございますけれども、どうしても米食を一応確保して行く上から行きますと、どうしても六百万石以上の外米を確保しなければならぬ。そういう需給上の状況からいたしまして、好むと好まざるとにかかわらず、とにかく米を確保する。そのために外米の九十万トンの輸入計画を立てておるわけであります。
  223. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間も大分経過しておりますから、私は要点をまとめて質問いたしたいと思います。ただいまの輸入食糧に対する問題は、相当見解の相違もあります。先般わが党の平野委員からも承つた際、大臣が保留された点も多々あるのでありますが、輸入食糧に対しましては、きわめて重要な点でありますから、さらに後日時間を見てお伺いしたいと思います。  関連いたしまして、基本的に私は再度承つておきたいのは、外米を小麦なり大麦に変更できないか。そうすることによつて、いわゆる輸入食糧の価格が相当ここに浮くということ。その次には、そういう形をとりますならば、必然的に今旦二百億計上されております補給金につきましても、相当の減額になる。この補給金に対してもどう考えられるか。次は、最近非常にそういう観点からやみ米が値上りしております。このやみ米の値上りは、影響するところ甚大でありますが、これに対して政府は具体的にどのような処置をとつておられるか。  それから大きな問題としては、二重米価に対しまする保利農相の基本的な見解であります。これは主さに野党各派は、一致して二重米価の見解をとつておりまして、本年度予算審議の重大な課題として、今や盛り上つておりますが、この二重米価に対する保利農相の基本的見解を承りたい。  次は農産物価格安定法についてでありますが、承るところによりますれば、政府はその準備を進めまして、この農産物価格安定法を近々国会に出す。さらにこれに対する予算の裏づけは、国会に提出されております食管特別会計の予備金、昨年は五十億を本年は百億にいたしておりますが、その五十億増額したのは、この農産物価安定法の制定に基きまする、これが実施の際に、予算として予備金から五十億流用するということを漏れ承つておるのでありますが、これは事実かどうか。またそういう考え方がどの程度進められているのか。その際、農産物価格安定法に基くいわゆる該当品目は、どの程度に考えられているのか。あともう一点ありますが、以上の点について承りたい。
  224. 保利茂

    ○保利国務大臣 順次お答えいたしますが外米を外麦に変更すれば、勢い第二の御質問の、今日三百億の補給金の軽減もできて、その方をとるべきではないかというお考えは、まことにごもつともであると思います。しかしながらこのことは、今日のわれわれ国民の長い間の食習慣が、米に対する根強い嗜好性から抜け切れないというところにも関連がありまして、どうしても麦よりも米に、小麦よりむしろ大麦、裸麦の方に偏向しております。しかし将来の日本の食糧事情を考えてみますと、どうしても米食偏重の二の食生活の習慣は何とか改善されて、そしてあまり米だけにたよらないというような習慣がつけられるようになることは、最も望ましいと思いますが、今日は、先ほども申しますように、最小限の加工米と配給米を確保いたしますためには、どうしても九十万トンの外米の輸入はやむを得ないので、最小限の計画を立てておるわけであります。これにも関連いたしまして、やみ米の騰貴のことは、先刻来しばしば当委員会でも問題になつておりますが、せんじ詰めますところ、やはり米の消費量は、東京あたりではかなりふえているということは、消費者の世帯調査等でも大体見えますが、私が先ほど来申しますように、やはり困難な食糧事情のもとにある中に、国民全体が食生活をどう持つて行くべきであるかという点に、こういう場合に深くひとつ全体の方々に御認識をいただきたい。と申しますのは、先日も申しましたように、麦の価格は全然動いていない、しかも数量もきわめて豊富にある。最近、ここ数日来のやみ米価の方もおちついて来ております。やみ米価のことについてはもうしばらく様子を見てみたい、そういうふうに考えております。  なお主要農産物の価格安定の問題につきましては、これは今日食糧増産が国民的要請の大きな課題になつてつて、農家に食糧増産を要請している。その農家からいえば、増産した食糧の価格が安定しなければ、農家経済の安定を保つことができない。わが国の農業恐慌にしばしばあつております農村の方々は、やはりその点を非常に憂えておるわけでございますから、食糧増産を強く要請する際においては、増産せられた農産物の価格というものは、大体安定して農家経済の上にその向上をもたらしても、脅かすようなことにはならぬというあり方は、私はどうしても必要だ、そういうふうに考えております。従つて、昨年は米麦のほかに、澱粉の買上げもいたしておるわけでございますが、かりに主要農産物の安定法を制定するという場合に、どういう品目をつけ加えるかということは、これは私は十分研究して行かなければならぬと思いますが、たとえば菜種のようなものをどうするかというような点もあろうと思いますが、これは今関係当局と折衝いたして、おりまして、この国会に出せるか出せませんか、ただいまのところはまだ言明をいたしかねるわけであります。  二重米価の問題につきましては、先日も申し上げておりますように、私どもは、やはり農家の食糧増産の意欲を盛んならしめる上から行きましても、また消費者の面から行きまして、食糧流通の円滑を期する上から行きましても、これは統制を撤廃する条件がそこに熟成したならば、統制を撤廃することがいいという考え方の上に立つております。従いまして、本年度の予算におきましても、二重米価という考え方はとらない予算を提出して御審議を願つておるわけでございます。今日はそういう考えは持つておりません。
  225. 小平忠

    ○小平(忠)委員 二重米価の問題について、政府提出の予算は二重米価の処置はとつていない。もちろんそうであります。しかしながら、国会において多数の意思によつてこの二重米価制度をとるということになつた場合に、大臣はこれに対してどのような見解であるか。これは現実問題として改進党も二重米価の線をとつております。わが社会党も同じであります。もちろん金額については若干の開きがありますが、そういう線にあります。そうしますと、多分にこの二重米価の線で予算が通過する可能性が強いのであります。そうなつて参りますと、私が一番心配になりますのは、今までの臨時的な措置としての超過供出奨励金、早期供出奨励金等の問題が出て参ります。一旦多数の意思によつて二重米価制をとつた際に、農林大臣はこれに対する具体的な処置として、まず生産者価格、消費者価格をどの程度に取扱われるか、さらに超過供出並びに早期供出奨励金は合せて約百五十億になりますか、これらをどのように取扱いをされるか、きわめて重要な問題でありますから、承つておきたいと思います。
  226. 保利茂

    ○保利国務大臣 国会多数の御意思で二重米価をとつた場合にどうするか、二重米価という問題は、実際的には出来秋の新米価を、生産者価格をどうきめ、その生産者価格に基く消費者価格をどうきめるかという問題でございますから、私は出来秋の米価を決定するときに慎重に検討すればいいのではないかと考えております。しかしながら、これはまた国会の御見解があろうと思います。なおそういう考え方で、今日は、政府といたしましては、先ほども申しますような方針にのつとつて予算を組んでおるわけでございます。従つて早場米奨励金あるいは超過供出奨励金、これは予算に組んでおります通りに実行いたして行くつもりでおります。
  227. 小平忠

    ○小平(忠)委員 先ほどの大臣の御答弁で、これは輸入食糧に関連する問題でありますが、日本国民は、いわゆる米食偏重というか、そういつたような古い習慣を脱しない限り、米を麦に転換する、米食をパン食に転換するということはむずかしい。それと同時に、大臣に重大なる一つ考え方を持つていただきたいのは、わが国の食生活の改善は、大臣も御承知のように、これは吉田内閣の栄養審議会で出しております国民の最も適量であるカロリーの摂取量を見ますと、日本人ほど乳製品あるいはさらに蛋白質の食糧につい摂取量が少く、われわれがほんとうに畜産を奨励しなければならぬという点が、この内閣の栄養審議会の出しておる資料を見ても明らかであります。かりに一つの例を見ますと、卵については、現在は生産量は幾らあるかということ、二十六年の調べでは十五億個でありまして、国民が一日に三分の一個を食べるとした場合には、百十七億個が必要である。従つてその場合、鶏の十五倍の増産をしなければ、国民が一日に三分の一個の卵が食べられない。さらに今日の乳製品でありますが、牛乳の場合は、一日に一・五合になつております。ところが今日の生産額とは二百三十石で、この一・五合の標準から牛乳を国民が飲むとした場合には、五千四十八万石の牛乳がなければ、国民が一日に一五合飲めない。従いまして今日乳牛を二十二倍増産しなければならぬ。さらに鳥肉であります。これは一日十一匁。今日の生産量は四千三百万貫でありますが、この十一匁を食べるとした場合においては、三億四千万貫の増産をしなければならぬ。今日よりも八倍の増産をしなければならぬ点を見ましても、今日の畜産において、日本ほど家畜が少い国は、特にアメリカなり欧米諸国を見た場合にない。ところがその少い乳製品が高くて一般国民の口には入らないというようなことから、国民が澱粉質の、いわゆる米であるとか、あるいはばれいしよ、かんしよ、こういつたものに偏重しておる。ひとつ農林大臣は、こういつた見地からぜひ米食中心という考え方を捨てて、やはり畜産を奨励して、国民が安い乳製品、安い肉を食べられるということから、私はいわゆる国民の健全なる体位の向上に大きな役割を果すと思うのであります。こういう見地から農林大臣に、就任早々でありましようけれども、わが国の畜産行政に対します基本的な考え方をまずこの機会に承つておきたいと思います。
  228. 保利茂

    ○保利国務大臣 まつたお話通り、私は同様のことを多年北海道で酪農に非常に権威を持たれておる黒沢さんからも常に聞かされており、そうしてただいまお話のような栄養摂取の状態に国民の食生活が進みますならば、米だ米だと騒いでいる米も、五千七、八百万石で八千五百万人の人を養えるのではないかということも聞き、この点につきましては、私は国民の方々とともに一段の努力を払つて参りたいと存じております。そこでただいまもお話のように、牛乳を五千万石飲むには、一人当り五勺くらいでございましようけれども、五千万石の牛乳を飲めるようにするには、今日の二十二倍の増産をやらなければならぬ。これはたいへんなことでございます。他面、有畜農業あるいは酪農ということを強く言われておりますのは、結局、一面においては、この酪農、有畜農業による農業生産力、地方の回復あるいは保持をはかるというところに、この有畜農業を奨励しなければならぬ点があると思います。実際このわずかな耕作面積の耕地の地方を保持し、回復して行く上から見ましても、どうしても畜産というものが盛んにならなければならぬ。これはまたいろこれはまたいろいろお教えも受けましてお力を仰いでやつて行きたいと思います。
  229. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これはきわめて広範囲なる重要な問題でありますから、十分に御考慮おき願いたいと思いますが、最後に一点お伺いいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。  それは、今日何といつても大きな農政上の問題は、食糧の面においては、食糧増産費に国がもつと思い切つて増産の予算を振り向ける。そのためには財源をどこに求めるかといいますれば、輸入食糧の輸入方法においてまず考える余地がある。さらに補給金の問題についても、輸入方法によつては、これを減額できる方法があるというような観点から、まずこの輸入食糧に対する基本的な考え方を再検討し、それによつて、産み出した金を、いわゆる土地改良、開拓等にまわし得るという問題が、一番大きな問題ではなかろうかと思うのであります。  もう一つは、食糧増産のために欠くべからざる肥料でありますが、これは今日大きな問題となつて、いろいろ政府当局も慎重に検討されておる点でありますが、硫安のごときは、六百円、六百二、三十円の価格でこれを輸出し、一方農家には九百円近い八百六十円から七、八十円という、約三百円近い価格差をもつて農家ご配給している。こういう現状から、そういうような矛盾が今日農政上の大きな難問題であろうと思うのであります。従つて私は、六百二十円で硫安が輸出し得るならば、農家にもその価格またはそれ以下で配給し得ないことはないと思う。先般の政府委員答弁によりますと、この輸出はある程度出血輸出であり、損をしているという。そうして反面では、その出血輸出で損をしている面を結局農家の負担とせしめているような現状がもしあるならば、これはきわめてゆゆしき問題であります。こういう問題について、私はすべからく、すみやかにもつとこの化学肥料については値下げを断行し、もちろん硫安工場の経営の問題についても、根本的なメスを入れて、コストの引下げというところまで行かなければならないと思うのでありますが、こういつた二つの重要問題が保利農林大臣の当面する農政問題解決の大きな点ではなかろうかと思うのであります。この二つの点について最後に保利農林大臣の確たる所見を承りまして、私の質問を終りたいと思います。
  230. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。輸入食糧を節減して、輸入食糧に使つている財政資金を土地資金を土地改良にまわすなり、食糧増産の面にまわせという御趣意は、まつたくその通りであります。今日まで食糧増産のために、過去五箇年間に千三百億くらいの財政投融資を土地改良あるいは災害復旧、農地改善等に費して、その結果は、ともかくも昨年におきましては、むしろ戦前よりも米においても相当、麦においても相当の増産を来していると私は思うのであります。しかし食糧増産は、何さま今年金をかけたからといつて、今年すぐ効果の出るものでないことは百も御承知のことでございますから、これはなかなか一気にやれるものじやない。そこでどうしても粘り強く、着実に、先ほど大蔵大臣も申しましたように、ともかくちよつと私の頭に浮びますことでも、過去五箇年間に千三百億からの財政投融資をして、土地改良その他をはかつて来ており、相当耕地の改善も行われ、耕地の拡張も行われた。その改善された土地あるいは耕地と、それを耕す農民の耕作技術と努力とが相まつて、初めて増産の夫が上つて来ると思います。従つて小平さんの言われるような線においてやつて行くということは、もう申し上げるまでもございません。その線で今後もなお一層努力をいたして参るつもりでおります。  第二は肥料の問題でございますが、これは当面いたしておる非常に大きな問題で、どうしても秋までには一つの解決をしなければならぬ。お話のように、農家の素朴な感情からいたしますれば、外国に安く出して、おれたちには高く買わせる、こういう素朴な感情は免れ得ないところであります。しかし内需を押えて輸出をいたしておるというような状態であれば、また別でございますけれども、内需については十分の量を確保いたしておりまして、さらに肥料工業の発達によつて発展して参りましたその増産、内需の余力を輸出いたして、それがたまたま今日の全体の貿易事情からして、非常な国際競争に打勝てないというようなところから、出血輸出という表現をもつてやられている輸出状態を見ているわけであります。しかし出血輸出をするから内需の方にその損失のさや寄せをされないようにするということは、これはもちろん大事なことだと思うわけであります。従いましてただいま肥料対策委員会で数箇月来御審議を願つて来ております。ほぼ結論に到達する段階に来ておると思いますから、私はこの肥料対策委員会の答申を待ちまして、お話の点についてすみやかに妥当な解決ができまするように努力をいたすつもりでおります。
  231. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私はもう少し具体的な御答弁をいただいて切上げようと思つたのでありますが、ただいまの御答弁は、あまりにも抽象的であつて、つかみどころがない。それは本会議の施政演説で、あるいは基本的な線で演説をぶたれるならいでしようけれども、これは委員会でありますから、私はもつと具体的な内容を承りたかつたのであります。具体的にといいますと、肥料が、輸出肥料の価格と農家に配給する価格とに三百円近い開きがあるのはどういうわけか。それから輸入食糧についても、それは善処したい、そのようにしたいと言いながら、もう四年も五年も同じことを繰返して来て、依然として補給金の額も輸入食糧の額も減らさずに、そうして高い食糧を買つている、こういう矛盾がある。ただ私が大きな点で指摘いたしたいのは、二十八年度の農家の供出価格は一石七千五百円でありますが、配給価格は十キロ当り六百八十円、これを精米一石に換算いたしますと、一石一万二百円、生産者価格と消費者価格は一石について二千七百円も開きがある。その内容を大蔵省が提示されました食管特別会計の内容で見ますと、結局、食糧庁の人件費、それから保管料、さらに輸送賃、加工賃、それから政府のロス、これらを見込んでおります。見込んでおりますが、一体一升について二十七円、一石について二千七百円という差額を生ずるとは国民には理解できないのです。断じて理解できません。だから今日は配給を受ける国民も困つている。こういう問題について、時間がありませんから、私は最後に農林大臣に、この予算書では明確にわかりません、いわゆるアウト・ラインだけでありまして、従つてこれをわれわれはさらに検討して明らかにしなければならぬ義務があります。およそ生産者価格と消費者価格とで一石について大きな開きがある。この内容を具体的にひとつ、書面でけつこうですから、御回答いただきたい。  さらに輸入食糧については、輸入先国別、期別、品目別の価格、それからどういう方法で輸入されておりますか、すなわちもちろん現在商社をもつていわゆる入札制度においてやられると思うのでありますが、その方法を承りたい。  最後にもう一点、肥料の問題については前の内田農相のときも、すみやかに結論を出して、それを明らかにいたしたい、目下肥料の委員会でやつておりますから、その結論を出したいということですが、昨日私のところへ経済審議庁から資料を届けて参りましたが、その内容を見ますと、結論は出ておりません。ひとつ農林大臣からも大いに督励をされまして、すみやかにこれを出してください。いかなる理由によつて輸出価格と農家の配給価格に三百円近い開きがあるのか、その内容と今後これをどうなさるのか、この点について、書面でけつこうですから、御回答いただきたい。これをお願い申し上げて、質問を終ります。
  232. 尾崎末吉

    尾崎委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明四日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後六時二十六分散会