○葉梨委員 災害の対策処置につきましては申し上げるまでもなく、いろいろの慎重調査を要する事項もあることは、過去の実績にかんがみまして明瞭であります。とんだ思い違いの、
予算をたくさんとりたいがために、災害にかこつけて災害があ
つたごとく見せかけるがごとき過去においての不祥なこともあ
つたのでありますから、当局は慎重を期しておられる、こういうことは当然想像つきますし、責任上しかるべきことであろうと思うのであります。しかしくれぐれも先ほど申し上げましたように、かような処置は急速を要することでありますし、必要でありますので、暫定
予算の提出にあた
つて十五億をさしあたり組まれた、なお詳細の
事態が判明しますれば、これに対しましては、やはり一応組んだ
予算外にもさらにまた考慮されてその適切を期せられるということであろうと思うのでありますが、それもできる限りすみやかに御処置を願いたいと思うのであります。
風水害に対しましての
質疑はその
程度といたしまして、私は次に人口問題につきまして、簡単に
お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。土曜日の
経済審議庁の説明資料によりますると、二十七年度におきまする
わが国の人口の増加は百二十万、二十八年度の増加見通しは百十万という、これは見通しでありましようが説明でありまして、約十万の減少というような見通しを発表しておられるのであります。もちろんこれは見通しでありますから、どこまでも見通しとして考うべきことであろうかとは思うのでありますが、しかしこれは年に十万減
つたとしましても、大体百万前後の人口の増加は、年々
わが国においてはあるものと思う。いかに産児制限の徹底がありましても、これがために人口の増加が少しもないようなことになるということについては、われわれは今
考え得ないと思うのであります。
国内における人口に対する処置と端的に申し上げますと、農村などではこれを二、三男対策と申しておりますが、人口の増加に対しましての対策は、非常にこれはなおざりにすることのできない問題であります。もちろん産児制限法を施行したり、あるいは
国内においてこの人口を養い得るように、先ほど来通産大臣の言われる輸出第一主義をも
つて、輸出に必要な
材料の輸入を第一として行くというようなことで、
国内における工賃かせぎという形において人口を養う方策等もとられるでありましようし、さらにまた先般本
会議において農林大臣から説明がありました、いわゆる食糧増産対策を徹底せしめて行くことによ
つて、人口の増加に対しても対応して行くというような方法もありましよう。いずれも必要なことではありますが、しかしながら私はこの際
わが国の人口のはけ口を、海外に積極的に求める方法はないだろうかということに対して、さらに検討することが必要じやないのか、かように
考えるのであります。ソ連の
東亜における終局の
目的は、
日本の人的資源をねら
つているのだというようなことも、よく世間で言われているのでありますが、
わが国の人的資源というものは、これはじやまに扱うべきではなくして、これをむしろ貴重なものとしてわれわれは扱
つて行きたい。そうしてわれわれの民族が消極的な人口対策をも
つて進むのではなく、積極的な対策を講じて行くようにしたい。たとえば産児制限のごときはもちろんさしあた
つての対策としてやむを得ざる対策であろうし、また社会
政策から見てこれのある
程度の施行ということは、
考え得るのでありますけれ
ども、しかしながらフランス等の例を見ましても詳しく申し上げるまでもなく、その民族の衰微ということに対しまして、この消極的な人口対策ということは非常に
考えなくちやならないのじやないか、むしろ積極的な人口対策を講じて行くべきじやないか、こういうふうに私は
考えるのであります。もちろん現在の
事態に対処しましての対策としましては、それは現在や
つておりますようなやり方も、一応もつともでありますけれ
ども、さらに進んで私は海外に向
つてわが人口のはけ口を求めるというような点について、
政府は努力をすべきではなかろうか、しばしば自由国家群の外電の伝えるところによりますると、未開発地域に対しまする開発の助成ということをいわれております。これは
技術的に資金的に助成するということが主であるようであります。しかしながら
わが国の近く、ことに太平洋の中にはニユーギニアを初めとして人口稀薄な、いわゆる開発せんがためには人的資源を第一に必要とする広汎な地域がある、これは申し上げるまでもないことでありまして、か
つて戦前におきましては、人種的にこれを封鎖してお
つたというようなことまでいわれた地域が、非常に広汎にわた
つてあることは事実であります。
わが国は今日いわゆる帝国主義を捨て、
侵略主義を捨てて、そうした自由国家群の仲間に入
つた。そうして
世界の平和と幸福に寄与して行こう、人類の平和と幸福に寄与して行こうという
建前をと
つておるのでありますから、この
建前のもとに、こういう心がけの
国民をそれらの地域に送
つて、先進諸国の資本に加うるに、
わが国の過剰人口、人的資源をも
つてこれに協力をするという対策をと
つて行くべきではないかとわれわれは思うのであります。これらに対しまして、
政府は、もちろん国際的の諸環境に対しまする
情勢にもよりましようけれ
ども、しかしその状況よろしきをはか
つて、積極的に人口のはけ口をこれらの地方に求めるために、自由国家群の了解を求めるということに努力する、またむしろ端的に言えば、
日本民族のはけ口を、未開発地域のニユーギニアその他の人口まれなる地域に向
つて求める、そして人的協力をするということを明らかにして、各国家群の了解を得るように努めるという意思がないかどうか、私はこういう施策は必要なのではないか、時至らばまことにけつこうなことであると思うのだが、
政府はそれに対しましてどういうお
考えを持
つているか、御
答弁願いたいと思います。